インクジェット装置
【課題】大面積基板におけるロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差に対して、精度良く着弾させることができるインクジェット装置を提供すること。
【解決手段】画素領域外にもインクを着弾させ、画素の端部と画素領域外にも着弾させたインクの着弾位置を認識カメラで認識して、画素の端部と画素領域外にも着弾させたインクの着弾位置からズレ量を算出し、吐出するノズルを切り替えて基板に塗布する。これより、上記課題を解決できる。
【解決手段】画素領域外にもインクを着弾させ、画素の端部と画素領域外にも着弾させたインクの着弾位置を認識カメラで認識して、画素の端部と画素領域外にも着弾させたインクの着弾位置からズレ量を算出し、吐出するノズルを切り替えて基板に塗布する。これより、上記課題を解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置に関し、例えば、有機EL(ElectroLuminescence)パネルの発光層などの塗布工程に用いられるインクジェット装置の高精度に塗布する塗布技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、有機発光層の形成方法によって、以下の2つに大別されうる。一つは、有機発光層を蒸着により形成する方法であり、有機発光層が低分子有機材料からなる場合に用いられる。他の一つは、有機発光層を溶媒塗布法により形成する方法であり、有機発光層が低分子有機材料の場合はもちろん、高分子有機材料からなる場合にも用いられることが多い。
【0003】
溶媒塗布法により有機発光層を形成する代表的な手段の一つに、インクジェット装置を用いて、有機発光材料を含むインクの液滴をディスプレイ基板の画素領域に吐出して、有機発光層を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。このとき吐出されるインクの液滴には、有機発光材料と溶媒が含まれる。
【0004】
インクジェット装置は、複数のノズルを有するインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドのノズルと基板との位置関係を制御しながら、ノズルからインクを吐出させるものである(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、基板に着弾した液滴が等方向に広がって所定の線幅を有する画素を形成することが開示されている。
【0005】
一方、液滴を吐出されるディスプレイ基板の画素は、バンクと称される隔壁で規定されていることが多い。吐出されたインクが画素に位置選択的に留まるようにするためである。バンクは、画素毎に、それぞれを区画されている。
【0006】
ところで、インクを塗布する画素の寸法は、長手方向の寸法で180〜250μmであり、精度良く塗布しなければ、位置ずれが発生し、隣の画素領域との混色や、膜厚の不均一が発生する。特に、温度変化により、基板のサイズが変化するため、インクの着弾不良が発生する。
【0007】
精度良く塗布する方法として、基板上にマーキングされたマークから位置ずれを検出してノズルを選択的に吐出する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
特許文献3について、図16を用いて説明する。図16は従来の基板の位置ずれを補正するインクジェット装置を示す。図16において、Mはマーク、M1は基準マーク、Wはワーク(基板)、W1は描画領域、W2は非描画領域、50は機能液滴吐出ヘッド、52はリニアスケール、52aはマーク列、54はワーク基準マークを示す。特許文献3について説明する。リニアスケール52内に基準マークM1を有し、基準マークM1は他のマークとは異なる形態でマーキングされていると共に、描画領域列毎に設けられているため、基準マークM1の検出に基づいてリニアセンサ51によるリニアスケール52のカウントをリセットする。
【0009】
万一、読み飛ばしやダブルカウントなどの検出誤差が生じた場合、描画領域列毎にこれを補正(修正)することができる。また、基準マークM1は、各描画領域列の検出開始位置を示すため、検出誤差が生じた後、続く描画領域W1の吐出開始位置から吐出精度を保持することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−362818号公報
【特許文献2】特開2003−266669号公報
【特許文献3】特開2004−337725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に示す従来の技術では、描画領域毎に基準マークM1を有するため、温度変化などにより基板の寸法が変化しても、描画領域での塗布を精度よく塗布することが可能となる。しかしながら、今後基板が大型化することが予測され、大型基板を搬送制御するためには、機構が大掛かりで複雑となり、信頼性が低くなるという問題があった。
【0012】
また、X軸方向(走査方向)のズレは補正できるが、Y軸方向(横方向)の補正は、できないという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決すべく、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差が大きくなる大面積基板に対して、シンプルでコストを抑えた方法で、高精度に塗布できるインクジェット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の観点のインクジェット装置は、ノズルからインクを吐出して基板上に設けられた画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、画素領域外に着弾しうるノズルを有し、基板上のパターンを画像認識するユニットを有し、基板の位置ズレを基板上のパターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズルを切り替える制御装置を有する。このように構成された第1の観点のインクジェット装置によれば、精度よくバンク内の画素にインクを塗布することができる。
【0015】
本発明に係る第2の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記画素領域外に着弾しうる前記ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させるように前記ノズルを切り替える制御装置を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第3の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記ノズルは一定間隔のピッチで配置され、前記ノズル以外に半ピッチずらした補完ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させる前記補完ノズルを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第4の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記基板に前記インクを塗布するとき、途中で前記基板上に全ての前記ノズルを吐出する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のインクジェット装置によれば、画素領域外に着弾しうるノズルを有し、基板上のパターンを画像認識するユニットを有し、基板の位置ズレを基板上のパターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズルを切り替えることにより、基板の搬送による位置補正でないため、複雑で大掛かりな機構が必要でなくなるため、信頼性の高い高精度の塗布を実現できる。その結果、画素領域の塗布均一性が向上し、色むらのない高品質の有機ELディスプレイを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る実施の形態1のインクを塗布すべき基板の平面図
【図2】実施の形態1の基板の拡大断面図であり、図1に示した基板のA−A線による断面図
【図3】実施の形態1のインクジェット装置のインクジェットヘッドと基板の位置関係を示す図
【図4】実施の形態1のインクジェット装置におけるノズルの配置を示す図
【図5】実施の形態1のインクジェット装置のインクジェットヘッドと認識マークが配置された基板とを示す図
【図6】実施の形態1の上方から見たインクジェット装置の概略平面図
【図7】実施の形態1のインクジェット装置の補正前後の吐出するノズルと画素の位置関係を示す図
【図8】実施の形態1のインクジェット装置を用いて形成された有機発光層を有する有機ELディスプレイの概略層構成を示す断面図
【図9】実施の形態1の有機電界発光ディスプレイの製造方法におけるプロセスを示す図
【図10】実施の形態2のインクジェット装置における画素と画素の間に1点だけインクを着弾させることを示した図
【図11】実施の形態2のインクジェット装置における画素とインクジェットヘッドのノズルの位置関係及びインクの着弾状態を示す図
【図12】実施の形態3のインクジェット装置における半ピッチずれたノズルを有するインクジェットヘッドを追加配置した図を示す図
【図13】実施の形態3のインクジェット装置における補正前後の吐出するノズルと画素の位置関係及びインクの着弾状態を示す図
【図14】実施の形態4のインクジェット装置における全ノズルを吐出する領域を有する基板の平面図
【図15】実施の形態4のインクジェット装置における全ノズルを吐出する領域を有する多面取り基板の平面図
【図16】従来の基板の位置ずれを補正するインクジェット装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る好適な実施の形態のインクジェット装置について図面を参照しつつ説明する。インクジェットヘッドから吐出されたインクの着弾位置と基板との走査方向のズレ(縦方向のズレ)は、インクジェットヘッドからのインクの吐出タイミングを変えて着弾位置を補正することができる。しかし、走査方向に直角なズレ(横方向のズレ)は、着弾位置を補正することができなかった。
【0021】
そこで、本発明では、画素領域外に着弾し得るノズルを設けることにより、基板の横方向のズレに対して、ノズルを選択し、補正して打つことができる。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の有機ELディスプレイの平面図である。図2は、図1に示した基板のA−A線による断面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、基板1はベース基板2上に画素4を規定するためのバンク3が形成されている。バンク3が形成されているベース基板2には、図示省略するが反射陽極、正孔注入層等の有機ELディスプレイとして必要な要素が形成されている。バンク3の断面形状は、図2に示すように順テーパ型であってもよく、裾が狭くなった逆テーパ型であってもよい。実施の形態1におけるバンク3の材料としては絶縁性を有する材料であれば任意に用いることが可能であり、耐熱性、溶媒に対する耐性を持つ絶縁性樹脂(例えばポリイミド樹脂等)であることが好ましい。
【0024】
また、バンク3は撥水性をもたせるためフッ素が添加されている。バンク3の形成方法としては、フォトリソグラフィ技術等が用いられており、パターニングにより形成される。例えば、バンク材料を塗布した後、ベーク処理→マスク露光処理→現像処理等により所望の形状がベース基板2上に形成される。
【0025】
バンク3により規制され区画される領域にはインク9が吐出され塗布される。バンク3は撥水性を有するため、後述するようにインク9が画素4に塗布されたときバンク3間で盛り上がってもバンク3により確実に保持され、バンク3間に確実に収納される。
【0026】
図1の平面図に示すように、ベース基板2上に形成されたバンク3は、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)用のそれぞれの複数の画素4を含むよう構成され、それぞれライン状に配列されている。
【0027】
各画素4間のバンク3の幅は60μmで形成されている。上記のように形成されたR,G,B用のバンク3は基板1において350μmのピッチで繰り返して形成されている。
【0028】
図3は、実施の形態1のインクジェット装置におけるR,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bと図1に示した基板1との位置関係を示す図である。各々のインクジェットヘッド5R,5G,5Bには、R,G,Bのそれぞれのインクを塗布するための複数のノズル6(図4参照)が設けられており、後述する走査動作において、バンク3により囲まれた列領域内がインク9の着弾位置となるよう配置されている。R,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bはそれぞれ同じ構成であるため、以下の説明においてはインクジェットヘッド5として説明する。
【0029】
図3において、符号Xで示す矢印がインクジェットヘッド5の走査方向である。なお、実施の形態1においては、インクジェットヘッド5をR,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bとして説明したが、1つのインクジェットヘッドにR,G,B用のノズルを設けた構成でも対応可能である。
【0030】
図4は、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)における複数のノズル6を有する基板対向面を示す図である。ノズル間ピッチは、約20μmである。
【0031】
図5は、図1と同様、基板1上にR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)用のそれぞれの画素4が形成され、認識マーク7を有する基板を示す。12は、画素4の端部の位置で、10は認識マーク7の中心部11と画素4の端部12との距離を示す。
【0032】
図6は、上方から見たインクジェット装置の概略平面図である。14は認識カメラで、15は、認識カメラ14を移動保持するためのスライダー部である。認識カメラ14は、駆動系(図示せず)で駆動される。16は、基板1を塗布するときに基板1を移動するためのステージである。17は、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)や認識カメラ14を保持するための架台であり、18は、インクジェット装置全体を支える架台である。インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)からインク9を基板1上に塗布するときは、架台17が移動して塗布する機構になっている。41は、ノズルの位置を選択する制御装置を示す。
【0033】
図7は、画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係で、図7(a)は補正前の、図7(b)は補正後の吐出するノズル6と画素4の位置関係を示す。図7において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。
【0034】
図7(a)は、画素4に対して本来塗布すべきノズル6の位置を、図7(b)は、ロット毎の寸法誤差や熱膨張率などの影響で基板1の画素4がずれている場合の吐出ノズル位置を示す。ノズル6の上に記している番号は、後述する塗布方法において説明するためノズル番号を付している。
【0035】
以下、実施の形態1における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0036】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0037】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出されるが、ノズル6からインク9が吐出される吐出周波数が、実施の形態1では1〜20kHzに設定して行っている。
【0038】
なお、実施の形態1において、吐出ノズルから塗布されるインクの液適量は同じであり、その液滴量は液滴数として換算することが可能である。なお、実施の形態1においては、各々のノズル6から吐出するインクの液適量は、3〜10pl(ピコリットル)である。
【0039】
塗布は、図5、図6に示すように、認識マーク7の中心部11と画素4の端部12の位置を認識カメラ14でそれぞれの位置を認識し、距離10を算出する。算出した距離10から本来の認識マーク7の中心部11と画素4の端部12の間の距離との差を求め、画素4内に所定の液滴量が入るように、吐出するノズル6を決定する。
【0040】
決定の仕方は、図7を用いて説明する。図7において、図7(a)は画素4に対して、本来インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)を表す。
【0041】
図7(a)では、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)のノズル番号は、N1、N2、N3、N4、N5、N6、とN10、N11、N12、N13、N14、N15である。それに対して、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差が発生し、横にずれた場合、インクジェットヘッド5やステージ16を動かすのではなく、図7(b)に示すように、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)の番号を変更して吐出する。
【0042】
図7(b)では、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)のノズル番号は、N2、N3、N4、N5、N6、N7とN11、N12、N13、N14、N15、N16である。すなわちインク9を吐出するノズル6の番号を変更するだけで、高精度の塗布が可能となる。本実施形態では、画素4内に液滴を6滴塗布する場合を示す。
【0043】
以上のように、本発明に係る実施の形態1のインクジェット装置においては、画素4領域外に着弾しうるノズル6を有し、基板1上の認識マーク7を画像認識し、基板1の位置ズレを基板上の画素4パターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズル6を切り替えて基板1の画素4に塗布する。
【0044】
このような方法によって、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0045】
(実施例)
実施の形態1のインクジェット装置において、走査方向のドット密度が4800dpi(ドット・パー・インチ)で行った。走査方向のドット密度が4800dpiの場合、走査方向に最小塗布ピッチ:5.291667μmでの塗布が可能である。インクジェット装置による基板1に対する塗布処理は、一回の走査動作において行うことができる構成である。R,G,Bのインク9の塗布順序は、特に限定されないが、実施の形態1においてはR,G,Bの順番で塗布した。
【0046】
なお、塗布後に形成されるR,G,Bの有機発光層の厚みは、約50〜100nm(例えば70nm)であることが好ましい。ノズル6の駆動周波数を10kHzで実施した。
【0047】
塗布は、図5、図6に示すように、認識マーク7と画素4の端部12の位置を認識カメラ14でそれぞれの位置を認識し、距離10を算出する。算出した距離10から本来の距離との差を求め、画素4内に所定の液滴量が入るように、吐出するノズル6を決定して、塗布を行った。結果として、混色の発生する確率が、補正しない場合は、発生確率が5%程度に対して、ノズル6を補正することにより、発生確率がほぼ0%となった。
【0048】
実施の形態1のインクジェット装置において、インク9に含まれる有機発光材料は高分子系発光材料であることが好ましく、高分子系発光材料の例としては、ポリフェニレンビニレン(Poly phenylene vinylene(PPV))及びその誘導体、ポリアセチレン(Poly acetylene)及びその誘導体、ポリフェニレン(Polyphenylene)及びその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Polypara phenyleneethylene)及びその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly 3−hexyl thiophene (P3HT))及びその誘導体、ポリフルオレン(Poly fluorene (PF))及びその誘導体等が含まれる。なお、インクの粘度は、約10mPa・sを採用した。
【0049】
図8は、実施の形態1のインクジェット装置を用いて形成された有機発光層等を有する有機ELディスプレイの一例を示すものであり、有機ELディスプレイにおける層構成の概略を示す断面図である。
【0050】
図8に示す各層の相対的な膜厚及び形状は、実際の膜厚及び形状を示すものではなく、説明上わかりやすく記載したものである。図8に示す有機ELディスプレイは、ベース基板にある平坦化膜22上に反射陽極23、正孔注入層24が形成されており、その正孔注入層24上にびバンク3が形成されている。前述のようにバンク3により区画される領域にインターレイヤー層(IL層)25及び有機発光層26が形成されている。
【0051】
反射陽極23は図1に示した画素4に対応して分離して作成されており、ディスプレイの発光部となる。なお、実施の形態1のインクジェット装置は、有機発光層26の形成における塗布処理において用いると共に、インターレイヤー層(IL層)25の形成における塗布処理においても同様の構成のインクジェット装置が用いられる。
【0052】
図8に示すように、有機ELディスプレイにおいては、有機発光層26及びバンク3を覆うように電子輸送層27、陰極28、封止層29、及び、樹脂層30が形成されている。そして、樹脂層30の上部にはガラス基板31及び偏光板32等が設けられて有機ELディスプレイが構成されている。上記のように構成された有機ELディスプレイは、図9のプロセスフローチャートに示すように製造されている。即ち、平坦化膜形成、反射陽極形成、正孔注入層形成、バンク形成、IL層形成、有機発光層形成、電子輸送層形成、陰極形成、封止層形成、樹脂層形成の順に製造される。この製造プロセスにおいて、IL層及び有機発光層が実施の形態1において説明したインクジェット装置を用いて所定の材料が塗布されて生成される。
【0053】
以上のように、本発明に係る実施の形態1のインクジェット装置においては、画素4領域外に着弾しうるノズル6を有し、基板1上の認識マーク7を画像認識し、基板1の位置ズレを基板上の画素4パターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズル6を切り替えて基板1を塗布する。
【0054】
このような方法によって、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0055】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0056】
実施の形態2のインクジェット装置において、前述の実施の形態1のインクジェット装置と異なる点は、画素4に塗布するノズル6以外に画素4領域以外に1ノズル分だけ塗布し、その距離から吐出すべきノズル6を決定することにある。図10に示すように、本来の画素4に塗布すべきノズル6以外に画素4Aと画素4Bの間に1点だけインク9を塗布する。35は、画素4Aと画素4Bの間に1点だけ塗布したインク9の着弾位置を示す。36は、画素4の端部12と画素4近傍に塗布されたインク9の着弾位置35の距離を表わす。
【0057】
図11は、図7と同様、画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係及びインク9の着弾状態を示す。
【0058】
図11(a)は、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があった場合に画素4に塗布したときのインク9の着弾位置を示す。図11(b)は、補正後のインク9の着弾位置を示す。図11において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。37は、画素4Aと画素4Bの間に1滴塗布するノズル6の着弾位置を示す。ノズル6の上に記している番号は、後述する塗布方法において説明するためノズル番号を付している。
【0059】
実施の形態2の説明においては、実施の形態1において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1の説明を援用して実施の形態2においては省略する。
【0060】
実施の形態2における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態2においては、前述の実施の形態1の説明に用いた図1、図3、図4、図6、図10及び図11を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0061】
以下、実施の形態2における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0062】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0063】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0064】
図10に示すように、本来の画素4に塗布すべきノズル6以外に画素4Aと画素4Bの間に1点だけインク9を塗布する。35は、画素4Aと画素4Bの間に1点だけ塗布したインク9の着弾位置を示す。36は、画素4の端部12と画素4近傍に塗布されたインク9の着弾位置35の距離を表わす。以下動作を説明する。
【0065】
画素4の端部12及び1点だけ塗布されたインク9の着弾位置35を認識カメラ14で認識し、距離36を算出する。続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズルを決定する。補正量の算出の仕方は、白と黒に2値化し画素4の端部12及び着弾位置35から距離を算出する。その際、塗布されたインク9の重心位置を着弾位置35として計算する。
【0066】
具体的な塗布状態について、インクジェットヘッド5のノズル6と画素4の相対位置から図11で説明する。基板1にインク9を1ライン分の画素4に吐出する。その際、ある特定の画素4間にインク9を1滴だけ塗布する。図11(a)のように、画素4Aと画素(b)の間に1滴のみインク9を着弾させる。37は画素4Aと画素(b)の間に1滴のみインク9を着弾させたときの着弾位置である。画素4Aの端部と着弾位置(画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置37)を認識カメラ14で認識し、画素4Aの端部と着弾位置37間の距離を算出する。
【0067】
続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズル6を決定する。決定した吐出するノズル6を切り替え、インク9を吐出する。補正後のインク9の吐出着弾状態を図11(b)に示す。図11(a)では、吐出するノズル6は、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N8、N10、N11、N12、N13、N14、N15に対して、図11(b)ではN2、N3、N4、N5、N6、N7、N9、N11、N12、N13、N14、N15、N16となる。結果として、画素4Aと 画素4Bには精度良くインク9を塗布することができることになる。
【0068】
以上のように、本発明に係る実施の形態2のインクジェット装置においては、画素4間に1滴インク9を塗布し、画素4の端部12及び1点だけ塗布されたインク9の着弾位置35を認識カメラ14で認識し、距離36を算出する。続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズルを決定して、塗布する。
【0069】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0070】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0071】
実施の形態3のインクジェット装置において、前述の実施の形態1及び実施の形態2のインクジェット装置と異なる点は、インクジェットヘッド5のノズル6に対して半ピッチずれたノズル38を有することである。
【0072】
図12は、ノズル6を有するインクジェットヘッド5に半ピッチずれたノズル38を有するインクジェットヘッドを追加配置した図を示す。
【0073】
図13は、半ピッチずれたノズル38を利用して、ノズル補正前と補正後の塗布した場合の画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係及びインク9の着弾状態を示す。図13において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。4は画素である。図13(a)は通常のノズル6で塗布した場合を表し、図13(b)は半ピッチずれたノズル38を利用した場合を示す。
【0074】
実施の形態3の説明においては、実施の形態1及び実施の形態2において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1及び実施の形態2の説明を援用して実施の形態3においては省略する。
【0075】
実施の形態3における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態3においては、前述の実施の形態1および実施形態2の説明に用いた図1、図3、図4、図5、図6、図7、図10、図11及び図12を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0076】
以下、実施の形態3における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0077】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0078】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0079】
以下動作を説明する。
【0080】
実施の形態1及び実施の形態2で吐出するノズル6の吐出位置の切り替えを行う方法を利用する。補正位置を認識カメラ14で実際に塗布すべき位置を認識し、補正距離を算出した後、通常のノズル6位置では、図13(a)示すように画素4上の端部上あるいは近傍に着弾すると判断された場合に、図13(b)に示すように、画素4内に着弾するように、半ピッチずらしたノズル38を利用して塗布を制御する。黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6、38である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6、38である。
【0081】
以上のように、本発明に係る実施の形態3のインクジェット装置においては、画素4の端部上あるいは近傍にインク9が着弾すると判断された場合、半ピッチずらしたノズル38を利用して塗布を制御する。
【0082】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0083】
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0084】
実施の形態4のインクジェット装置において、前述の実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3のインクジェット装置と異なる点は、基板1への吐出途中に全ノズルを吐出する領域を設けたことである。
【0085】
図14は、全ノズルを吐出する領域39を設けた基板1を示す。図15は、多面取りをするため各種パターン40を設けた基板1において吐出する領域39を設けた基板1を示す。
【0086】
実施の形態4の説明においては、実施の形態1及、実施の形態2及び実施形態3において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3の説明を援用して実施の形態4においては省略する。
【0087】
実施の形態4における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態4においては、前述の実施の形態1実施形態2及び実施形態3の説明に用いた図1、図3、図4、図5、図6、図7、図10、図11、図12及び図13を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0088】
以下、実施の形態4における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0089】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0090】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0091】
以下動作を説明する。
【0092】
実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3で吐出するノズル6の吐出位置の切り替えを行う方法を利用する。すなわち、補正位置を認識カメラ14で実際に塗布すべき位置を認識し、補正距離を算出した後、ノズル6の吐出する位置を制御する方法は、実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3の方法を利用する。インク9を基板1に塗布する際、図14に示すように途中で全ノズルを吐出する領域39を設ける。全ノズルを吐出する領域39は、画素4以外の領域でバンク3間に設けられている。全ノズルを途中で吐出することにより、不吐出の発生することがない。画素4だけに吐出した場合、吐出しないノズルが存在し、そのノズルを補正ノズルに利用したいときに不吐出になる場合がある。そのため、途中で全ノズルを吐出することにより、不吐出が発生することがなく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0093】
図15は、多面取りするために、基板1上に4個のパターン40が形成された場合を示す。各パターン40には、画素4が形成されている。39は、全ノズルを吐出する領域である。図15の場合も図14の場合と同様、吐出しないノズル6が存在し、そのノズルを補正ノズルに利用したいときに不吐出になる場合がある。そのため、途中でノズル6を全部吐出することにより、不吐出が発生することがなく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0094】
以上のように、本発明に係る実施の形態4のインクジェット装置においては、基板1への塗布中に途中で基板1上にノズル6全部を吐出する領域39を設けることにより、不吐出の発生が少なく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0095】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0096】
上記において、本発明に係る好適な実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4について説明したが、本発明は上記の実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4の構成や製造工程を示す内容に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく様々な変更が可能である。
【0097】
例えば、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、インクジェットヘッドにおいて複数のノズル間のピッチを約20μmとして設計した。これは、ノズルから吐出されたインクが着弾位置において互いに連結するようにするためである。したがって、走査方向に直交する方向のノズル間のピッチは、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましいが、特に限定する必要はない。
【0098】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、ノズルから吐出するインクの通常の吐出周波数を10kHzとして説明したが、特にこの周波数に限定されるものではなく、製造される有機ELディスプレイの仕様等に応じて適宜設定される。また、実施の形態1及び実施の形態2においては、走査方向のドット密度を4800dpiとしたが、特に限定されるものではなく、製造される有機ELディスプレイの仕様等に応じて適宜設定される。
【0099】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、基板1に対する塗布処理は、一回の走査動作において行うことができる構成であるが、インクジェットヘッド5R,5G,5Bの長手方向の寸法が基板1より小さく、複数回に分けて基板1を塗布しても同様の効果を奏する。
【0100】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4において、ノズルから吐出されるインクの一滴当たりの量は、5plとしたが、1pl〜15plの範囲内であることが好ましく、特に限定されるものではない。
【0101】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、インクの粘度が10mPa・sのものを用いたが、本発明においてはインクの粘度をこの数値に限定するものではなく、約5〜20mPa・sの範囲内が好ましく、特に限定されるものではい。
【0102】
また、実施の形態2おいては、画素4間で1滴のノズル6の着弾位置(画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置37)を認識するため1滴だけの吐出としたが、吐出は複数滴でも同様の効果を奏する。混色を避けるためには、できるだけ少ないほうが望ましい。
【0103】
また、実施の形態3おいては、通常のノズル6を有するインクジェットヘッド5に半ピッチずれたノズル38を有するインクジェットヘッド5を配置しているが、同じインクジェットヘッド5内に通常のノズル6と半ピッチずれたノズル38を配置しても同様の効果を奏する。
【0104】
また、実施の形態4おいては、全ノズルを吐出する領域39を1箇所としたが、複数個所設けた場合も同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、インクジェット装置において、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差に対しても、精度良く塗布膜を基板上に形成することができ、大面積の大型基板に対しても高精度に塗布でき、高画質の大型有機ELディスプレイや高信頼性のあるカラーフィルターを提供することができ、特に有機ELディスプレイの分野等において汎用性が高く、有用である。
【符号の説明】
【0106】
4,4A,4B 画素
5,5R,5G,5B インクジェットヘッド
6,38 ノズル
19 インクを吐出するノズル
20 インクを吐出しないノズル
37 画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置に関し、例えば、有機EL(ElectroLuminescence)パネルの発光層などの塗布工程に用いられるインクジェット装置の高精度に塗布する塗布技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイは、有機発光層の形成方法によって、以下の2つに大別されうる。一つは、有機発光層を蒸着により形成する方法であり、有機発光層が低分子有機材料からなる場合に用いられる。他の一つは、有機発光層を溶媒塗布法により形成する方法であり、有機発光層が低分子有機材料の場合はもちろん、高分子有機材料からなる場合にも用いられることが多い。
【0003】
溶媒塗布法により有機発光層を形成する代表的な手段の一つに、インクジェット装置を用いて、有機発光材料を含むインクの液滴をディスプレイ基板の画素領域に吐出して、有機発光層を形成する方法がある(例えば、特許文献1参照)。このとき吐出されるインクの液滴には、有機発光材料と溶媒が含まれる。
【0004】
インクジェット装置は、複数のノズルを有するインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドのノズルと基板との位置関係を制御しながら、ノズルからインクを吐出させるものである(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、基板に着弾した液滴が等方向に広がって所定の線幅を有する画素を形成することが開示されている。
【0005】
一方、液滴を吐出されるディスプレイ基板の画素は、バンクと称される隔壁で規定されていることが多い。吐出されたインクが画素に位置選択的に留まるようにするためである。バンクは、画素毎に、それぞれを区画されている。
【0006】
ところで、インクを塗布する画素の寸法は、長手方向の寸法で180〜250μmであり、精度良く塗布しなければ、位置ずれが発生し、隣の画素領域との混色や、膜厚の不均一が発生する。特に、温度変化により、基板のサイズが変化するため、インクの着弾不良が発生する。
【0007】
精度良く塗布する方法として、基板上にマーキングされたマークから位置ずれを検出してノズルを選択的に吐出する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
特許文献3について、図16を用いて説明する。図16は従来の基板の位置ずれを補正するインクジェット装置を示す。図16において、Mはマーク、M1は基準マーク、Wはワーク(基板)、W1は描画領域、W2は非描画領域、50は機能液滴吐出ヘッド、52はリニアスケール、52aはマーク列、54はワーク基準マークを示す。特許文献3について説明する。リニアスケール52内に基準マークM1を有し、基準マークM1は他のマークとは異なる形態でマーキングされていると共に、描画領域列毎に設けられているため、基準マークM1の検出に基づいてリニアセンサ51によるリニアスケール52のカウントをリセットする。
【0009】
万一、読み飛ばしやダブルカウントなどの検出誤差が生じた場合、描画領域列毎にこれを補正(修正)することができる。また、基準マークM1は、各描画領域列の検出開始位置を示すため、検出誤差が生じた後、続く描画領域W1の吐出開始位置から吐出精度を保持することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−362818号公報
【特許文献2】特開2003−266669号公報
【特許文献3】特開2004−337725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3に示す従来の技術では、描画領域毎に基準マークM1を有するため、温度変化などにより基板の寸法が変化しても、描画領域での塗布を精度よく塗布することが可能となる。しかしながら、今後基板が大型化することが予測され、大型基板を搬送制御するためには、機構が大掛かりで複雑となり、信頼性が低くなるという問題があった。
【0012】
また、X軸方向(走査方向)のズレは補正できるが、Y軸方向(横方向)の補正は、できないという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決すべく、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差が大きくなる大面積基板に対して、シンプルでコストを抑えた方法で、高精度に塗布できるインクジェット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の観点のインクジェット装置は、ノズルからインクを吐出して基板上に設けられた画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、画素領域外に着弾しうるノズルを有し、基板上のパターンを画像認識するユニットを有し、基板の位置ズレを基板上のパターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズルを切り替える制御装置を有する。このように構成された第1の観点のインクジェット装置によれば、精度よくバンク内の画素にインクを塗布することができる。
【0015】
本発明に係る第2の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記画素領域外に着弾しうる前記ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させるように前記ノズルを切り替える制御装置を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第3の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記ノズルは一定間隔のピッチで配置され、前記ノズル以外に半ピッチずらした補完ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させる前記補完ノズルを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第4の観点のインクジェット装置においては、前記ノズルから前記インクを吐出して前記基板上に設けられた前記画素に前記インクを塗布するインクジェット装置であって、前記基板に前記インクを塗布するとき、途中で前記基板上に全ての前記ノズルを吐出する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のインクジェット装置によれば、画素領域外に着弾しうるノズルを有し、基板上のパターンを画像認識するユニットを有し、基板の位置ズレを基板上のパターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズルを切り替えることにより、基板の搬送による位置補正でないため、複雑で大掛かりな機構が必要でなくなるため、信頼性の高い高精度の塗布を実現できる。その結果、画素領域の塗布均一性が向上し、色むらのない高品質の有機ELディスプレイを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る実施の形態1のインクを塗布すべき基板の平面図
【図2】実施の形態1の基板の拡大断面図であり、図1に示した基板のA−A線による断面図
【図3】実施の形態1のインクジェット装置のインクジェットヘッドと基板の位置関係を示す図
【図4】実施の形態1のインクジェット装置におけるノズルの配置を示す図
【図5】実施の形態1のインクジェット装置のインクジェットヘッドと認識マークが配置された基板とを示す図
【図6】実施の形態1の上方から見たインクジェット装置の概略平面図
【図7】実施の形態1のインクジェット装置の補正前後の吐出するノズルと画素の位置関係を示す図
【図8】実施の形態1のインクジェット装置を用いて形成された有機発光層を有する有機ELディスプレイの概略層構成を示す断面図
【図9】実施の形態1の有機電界発光ディスプレイの製造方法におけるプロセスを示す図
【図10】実施の形態2のインクジェット装置における画素と画素の間に1点だけインクを着弾させることを示した図
【図11】実施の形態2のインクジェット装置における画素とインクジェットヘッドのノズルの位置関係及びインクの着弾状態を示す図
【図12】実施の形態3のインクジェット装置における半ピッチずれたノズルを有するインクジェットヘッドを追加配置した図を示す図
【図13】実施の形態3のインクジェット装置における補正前後の吐出するノズルと画素の位置関係及びインクの着弾状態を示す図
【図14】実施の形態4のインクジェット装置における全ノズルを吐出する領域を有する基板の平面図
【図15】実施の形態4のインクジェット装置における全ノズルを吐出する領域を有する多面取り基板の平面図
【図16】従来の基板の位置ずれを補正するインクジェット装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る好適な実施の形態のインクジェット装置について図面を参照しつつ説明する。インクジェットヘッドから吐出されたインクの着弾位置と基板との走査方向のズレ(縦方向のズレ)は、インクジェットヘッドからのインクの吐出タイミングを変えて着弾位置を補正することができる。しかし、走査方向に直角なズレ(横方向のズレ)は、着弾位置を補正することができなかった。
【0021】
そこで、本発明では、画素領域外に着弾し得るノズルを設けることにより、基板の横方向のズレに対して、ノズルを選択し、補正して打つことができる。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の有機ELディスプレイの平面図である。図2は、図1に示した基板のA−A線による断面図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、基板1はベース基板2上に画素4を規定するためのバンク3が形成されている。バンク3が形成されているベース基板2には、図示省略するが反射陽極、正孔注入層等の有機ELディスプレイとして必要な要素が形成されている。バンク3の断面形状は、図2に示すように順テーパ型であってもよく、裾が狭くなった逆テーパ型であってもよい。実施の形態1におけるバンク3の材料としては絶縁性を有する材料であれば任意に用いることが可能であり、耐熱性、溶媒に対する耐性を持つ絶縁性樹脂(例えばポリイミド樹脂等)であることが好ましい。
【0024】
また、バンク3は撥水性をもたせるためフッ素が添加されている。バンク3の形成方法としては、フォトリソグラフィ技術等が用いられており、パターニングにより形成される。例えば、バンク材料を塗布した後、ベーク処理→マスク露光処理→現像処理等により所望の形状がベース基板2上に形成される。
【0025】
バンク3により規制され区画される領域にはインク9が吐出され塗布される。バンク3は撥水性を有するため、後述するようにインク9が画素4に塗布されたときバンク3間で盛り上がってもバンク3により確実に保持され、バンク3間に確実に収納される。
【0026】
図1の平面図に示すように、ベース基板2上に形成されたバンク3は、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)用のそれぞれの複数の画素4を含むよう構成され、それぞれライン状に配列されている。
【0027】
各画素4間のバンク3の幅は60μmで形成されている。上記のように形成されたR,G,B用のバンク3は基板1において350μmのピッチで繰り返して形成されている。
【0028】
図3は、実施の形態1のインクジェット装置におけるR,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bと図1に示した基板1との位置関係を示す図である。各々のインクジェットヘッド5R,5G,5Bには、R,G,Bのそれぞれのインクを塗布するための複数のノズル6(図4参照)が設けられており、後述する走査動作において、バンク3により囲まれた列領域内がインク9の着弾位置となるよう配置されている。R,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bはそれぞれ同じ構成であるため、以下の説明においてはインクジェットヘッド5として説明する。
【0029】
図3において、符号Xで示す矢印がインクジェットヘッド5の走査方向である。なお、実施の形態1においては、インクジェットヘッド5をR,G,B用の3つのインクジェットヘッド5R,5G,5Bとして説明したが、1つのインクジェットヘッドにR,G,B用のノズルを設けた構成でも対応可能である。
【0030】
図4は、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)における複数のノズル6を有する基板対向面を示す図である。ノズル間ピッチは、約20μmである。
【0031】
図5は、図1と同様、基板1上にR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)用のそれぞれの画素4が形成され、認識マーク7を有する基板を示す。12は、画素4の端部の位置で、10は認識マーク7の中心部11と画素4の端部12との距離を示す。
【0032】
図6は、上方から見たインクジェット装置の概略平面図である。14は認識カメラで、15は、認識カメラ14を移動保持するためのスライダー部である。認識カメラ14は、駆動系(図示せず)で駆動される。16は、基板1を塗布するときに基板1を移動するためのステージである。17は、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)や認識カメラ14を保持するための架台であり、18は、インクジェット装置全体を支える架台である。インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)からインク9を基板1上に塗布するときは、架台17が移動して塗布する機構になっている。41は、ノズルの位置を選択する制御装置を示す。
【0033】
図7は、画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係で、図7(a)は補正前の、図7(b)は補正後の吐出するノズル6と画素4の位置関係を示す。図7において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。
【0034】
図7(a)は、画素4に対して本来塗布すべきノズル6の位置を、図7(b)は、ロット毎の寸法誤差や熱膨張率などの影響で基板1の画素4がずれている場合の吐出ノズル位置を示す。ノズル6の上に記している番号は、後述する塗布方法において説明するためノズル番号を付している。
【0035】
以下、実施の形態1における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0036】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0037】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出されるが、ノズル6からインク9が吐出される吐出周波数が、実施の形態1では1〜20kHzに設定して行っている。
【0038】
なお、実施の形態1において、吐出ノズルから塗布されるインクの液適量は同じであり、その液滴量は液滴数として換算することが可能である。なお、実施の形態1においては、各々のノズル6から吐出するインクの液適量は、3〜10pl(ピコリットル)である。
【0039】
塗布は、図5、図6に示すように、認識マーク7の中心部11と画素4の端部12の位置を認識カメラ14でそれぞれの位置を認識し、距離10を算出する。算出した距離10から本来の認識マーク7の中心部11と画素4の端部12の間の距離との差を求め、画素4内に所定の液滴量が入るように、吐出するノズル6を決定する。
【0040】
決定の仕方は、図7を用いて説明する。図7において、図7(a)は画素4に対して、本来インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)を表す。
【0041】
図7(a)では、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)のノズル番号は、N1、N2、N3、N4、N5、N6、とN10、N11、N12、N13、N14、N15である。それに対して、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差が発生し、横にずれた場合、インクジェットヘッド5やステージ16を動かすのではなく、図7(b)に示すように、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)の番号を変更して吐出する。
【0042】
図7(b)では、インク9を吐出するノズル(インクを吐出するノズル19)のノズル番号は、N2、N3、N4、N5、N6、N7とN11、N12、N13、N14、N15、N16である。すなわちインク9を吐出するノズル6の番号を変更するだけで、高精度の塗布が可能となる。本実施形態では、画素4内に液滴を6滴塗布する場合を示す。
【0043】
以上のように、本発明に係る実施の形態1のインクジェット装置においては、画素4領域外に着弾しうるノズル6を有し、基板1上の認識マーク7を画像認識し、基板1の位置ズレを基板上の画素4パターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズル6を切り替えて基板1の画素4に塗布する。
【0044】
このような方法によって、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0045】
(実施例)
実施の形態1のインクジェット装置において、走査方向のドット密度が4800dpi(ドット・パー・インチ)で行った。走査方向のドット密度が4800dpiの場合、走査方向に最小塗布ピッチ:5.291667μmでの塗布が可能である。インクジェット装置による基板1に対する塗布処理は、一回の走査動作において行うことができる構成である。R,G,Bのインク9の塗布順序は、特に限定されないが、実施の形態1においてはR,G,Bの順番で塗布した。
【0046】
なお、塗布後に形成されるR,G,Bの有機発光層の厚みは、約50〜100nm(例えば70nm)であることが好ましい。ノズル6の駆動周波数を10kHzで実施した。
【0047】
塗布は、図5、図6に示すように、認識マーク7と画素4の端部12の位置を認識カメラ14でそれぞれの位置を認識し、距離10を算出する。算出した距離10から本来の距離との差を求め、画素4内に所定の液滴量が入るように、吐出するノズル6を決定して、塗布を行った。結果として、混色の発生する確率が、補正しない場合は、発生確率が5%程度に対して、ノズル6を補正することにより、発生確率がほぼ0%となった。
【0048】
実施の形態1のインクジェット装置において、インク9に含まれる有機発光材料は高分子系発光材料であることが好ましく、高分子系発光材料の例としては、ポリフェニレンビニレン(Poly phenylene vinylene(PPV))及びその誘導体、ポリアセチレン(Poly acetylene)及びその誘導体、ポリフェニレン(Polyphenylene)及びその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Polypara phenyleneethylene)及びその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly 3−hexyl thiophene (P3HT))及びその誘導体、ポリフルオレン(Poly fluorene (PF))及びその誘導体等が含まれる。なお、インクの粘度は、約10mPa・sを採用した。
【0049】
図8は、実施の形態1のインクジェット装置を用いて形成された有機発光層等を有する有機ELディスプレイの一例を示すものであり、有機ELディスプレイにおける層構成の概略を示す断面図である。
【0050】
図8に示す各層の相対的な膜厚及び形状は、実際の膜厚及び形状を示すものではなく、説明上わかりやすく記載したものである。図8に示す有機ELディスプレイは、ベース基板にある平坦化膜22上に反射陽極23、正孔注入層24が形成されており、その正孔注入層24上にびバンク3が形成されている。前述のようにバンク3により区画される領域にインターレイヤー層(IL層)25及び有機発光層26が形成されている。
【0051】
反射陽極23は図1に示した画素4に対応して分離して作成されており、ディスプレイの発光部となる。なお、実施の形態1のインクジェット装置は、有機発光層26の形成における塗布処理において用いると共に、インターレイヤー層(IL層)25の形成における塗布処理においても同様の構成のインクジェット装置が用いられる。
【0052】
図8に示すように、有機ELディスプレイにおいては、有機発光層26及びバンク3を覆うように電子輸送層27、陰極28、封止層29、及び、樹脂層30が形成されている。そして、樹脂層30の上部にはガラス基板31及び偏光板32等が設けられて有機ELディスプレイが構成されている。上記のように構成された有機ELディスプレイは、図9のプロセスフローチャートに示すように製造されている。即ち、平坦化膜形成、反射陽極形成、正孔注入層形成、バンク形成、IL層形成、有機発光層形成、電子輸送層形成、陰極形成、封止層形成、樹脂層形成の順に製造される。この製造プロセスにおいて、IL層及び有機発光層が実施の形態1において説明したインクジェット装置を用いて所定の材料が塗布されて生成される。
【0053】
以上のように、本発明に係る実施の形態1のインクジェット装置においては、画素4領域外に着弾しうるノズル6を有し、基板1上の認識マーク7を画像認識し、基板1の位置ズレを基板上の画素4パターンから画像認識で検出し、ズレ方向にノズル6を切り替えて基板1を塗布する。
【0054】
このような方法によって、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0055】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0056】
実施の形態2のインクジェット装置において、前述の実施の形態1のインクジェット装置と異なる点は、画素4に塗布するノズル6以外に画素4領域以外に1ノズル分だけ塗布し、その距離から吐出すべきノズル6を決定することにある。図10に示すように、本来の画素4に塗布すべきノズル6以外に画素4Aと画素4Bの間に1点だけインク9を塗布する。35は、画素4Aと画素4Bの間に1点だけ塗布したインク9の着弾位置を示す。36は、画素4の端部12と画素4近傍に塗布されたインク9の着弾位置35の距離を表わす。
【0057】
図11は、図7と同様、画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係及びインク9の着弾状態を示す。
【0058】
図11(a)は、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があった場合に画素4に塗布したときのインク9の着弾位置を示す。図11(b)は、補正後のインク9の着弾位置を示す。図11において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。37は、画素4Aと画素4Bの間に1滴塗布するノズル6の着弾位置を示す。ノズル6の上に記している番号は、後述する塗布方法において説明するためノズル番号を付している。
【0059】
実施の形態2の説明においては、実施の形態1において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1の説明を援用して実施の形態2においては省略する。
【0060】
実施の形態2における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態2においては、前述の実施の形態1の説明に用いた図1、図3、図4、図6、図10及び図11を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0061】
以下、実施の形態2における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0062】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0063】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0064】
図10に示すように、本来の画素4に塗布すべきノズル6以外に画素4Aと画素4Bの間に1点だけインク9を塗布する。35は、画素4Aと画素4Bの間に1点だけ塗布したインク9の着弾位置を示す。36は、画素4の端部12と画素4近傍に塗布されたインク9の着弾位置35の距離を表わす。以下動作を説明する。
【0065】
画素4の端部12及び1点だけ塗布されたインク9の着弾位置35を認識カメラ14で認識し、距離36を算出する。続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズルを決定する。補正量の算出の仕方は、白と黒に2値化し画素4の端部12及び着弾位置35から距離を算出する。その際、塗布されたインク9の重心位置を着弾位置35として計算する。
【0066】
具体的な塗布状態について、インクジェットヘッド5のノズル6と画素4の相対位置から図11で説明する。基板1にインク9を1ライン分の画素4に吐出する。その際、ある特定の画素4間にインク9を1滴だけ塗布する。図11(a)のように、画素4Aと画素(b)の間に1滴のみインク9を着弾させる。37は画素4Aと画素(b)の間に1滴のみインク9を着弾させたときの着弾位置である。画素4Aの端部と着弾位置(画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置37)を認識カメラ14で認識し、画素4Aの端部と着弾位置37間の距離を算出する。
【0067】
続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズル6を決定する。決定した吐出するノズル6を切り替え、インク9を吐出する。補正後のインク9の吐出着弾状態を図11(b)に示す。図11(a)では、吐出するノズル6は、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N8、N10、N11、N12、N13、N14、N15に対して、図11(b)ではN2、N3、N4、N5、N6、N7、N9、N11、N12、N13、N14、N15、N16となる。結果として、画素4Aと 画素4Bには精度良くインク9を塗布することができることになる。
【0068】
以上のように、本発明に係る実施の形態2のインクジェット装置においては、画素4間に1滴インク9を塗布し、画素4の端部12及び1点だけ塗布されたインク9の着弾位置35を認識カメラ14で認識し、距離36を算出する。続いて1点だけ塗布するノズル6の本来塗布すべき位置と画素の端部12の本来の距離との差から補正量を算出し、吐出すべきノズルを決定して、塗布する。
【0069】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0070】
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0071】
実施の形態3のインクジェット装置において、前述の実施の形態1及び実施の形態2のインクジェット装置と異なる点は、インクジェットヘッド5のノズル6に対して半ピッチずれたノズル38を有することである。
【0072】
図12は、ノズル6を有するインクジェットヘッド5に半ピッチずれたノズル38を有するインクジェットヘッドを追加配置した図を示す。
【0073】
図13は、半ピッチずれたノズル38を利用して、ノズル補正前と補正後の塗布した場合の画素4とインクジェットヘッド5のノズル6の位置関係及びインク9の着弾状態を示す。図13において、黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6である。4は画素である。図13(a)は通常のノズル6で塗布した場合を表し、図13(b)は半ピッチずれたノズル38を利用した場合を示す。
【0074】
実施の形態3の説明においては、実施の形態1及び実施の形態2において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1及び実施の形態2の説明を援用して実施の形態3においては省略する。
【0075】
実施の形態3における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態3においては、前述の実施の形態1および実施形態2の説明に用いた図1、図3、図4、図5、図6、図7、図10、図11及び図12を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0076】
以下、実施の形態3における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0077】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0078】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0079】
以下動作を説明する。
【0080】
実施の形態1及び実施の形態2で吐出するノズル6の吐出位置の切り替えを行う方法を利用する。補正位置を認識カメラ14で実際に塗布すべき位置を認識し、補正距離を算出した後、通常のノズル6位置では、図13(a)示すように画素4上の端部上あるいは近傍に着弾すると判断された場合に、図13(b)に示すように、画素4内に着弾するように、半ピッチずらしたノズル38を利用して塗布を制御する。黒丸で表されている19は、インク9を吐出するノズル6、38である。白丸で表されている20はインク9を吐出しないノズル6、38である。
【0081】
以上のように、本発明に係る実施の形態3のインクジェット装置においては、画素4の端部上あるいは近傍にインク9が着弾すると判断された場合、半ピッチずらしたノズル38を利用して塗布を制御する。
【0082】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0083】
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4のインクジェット装置について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0084】
実施の形態4のインクジェット装置において、前述の実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3のインクジェット装置と異なる点は、基板1への吐出途中に全ノズルを吐出する領域を設けたことである。
【0085】
図14は、全ノズルを吐出する領域39を設けた基板1を示す。図15は、多面取りをするため各種パターン40を設けた基板1において吐出する領域39を設けた基板1を示す。
【0086】
実施の形態4の説明においては、実施の形態1及、実施の形態2及び実施形態3において説明したものと同じ構成を有するものには同じ符号を付してその説明は実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3の説明を援用して実施の形態4においては省略する。
【0087】
実施の形態4における有機ELディスプレイ及びインクジェット装置の構成は、前述の実施の形態1と同じである。したがって、以下の実施の形態4においては、前述の実施の形態1実施形態2及び実施形態3の説明に用いた図1、図3、図4、図5、図6、図7、図10、図11、図12及び図13を参照して説明する。また、基板1とインクジェット装置におけるインクジェットヘッド5(5R,5G,5B)のノズル6との位置関係および走査方向は、前述の実施の形態1と同様である。
【0088】
以下、実施の形態4における有機ELディスプレイの製造方法に係る具体的なインクジェット装置の塗布方法について説明する。
【0089】
ガラス基板1に対してインクジェットヘッド5の各々のノズル6からインク9を塗布して形成される。
【0090】
インクジェットヘッド5によるガラス基板1に対する塗布方法は、インクジェットヘッド5をガラス基板1に対して走査しつつ、ノズル6からインクを吐出する。このときの走査方向は、図3に示したように、基板1におけるライン状に配置されたR,G,Bの画素4を含むバンク3に直交する方向と同じ方向である。R,G,B用の各列領域にノズル6から所定のインク9が吐出されるように想定されて、インクジェットヘッド5(5R,5G,5B)がガラス基板1に対して塗布動作を行う。上記のようにノズル6からインク9がバンク3により規定された複数の列領域を有する基板1に対して吐出される。
【0091】
以下動作を説明する。
【0092】
実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3で吐出するノズル6の吐出位置の切り替えを行う方法を利用する。すなわち、補正位置を認識カメラ14で実際に塗布すべき位置を認識し、補正距離を算出した後、ノズル6の吐出する位置を制御する方法は、実施の形態1、実施の形態2及び実施形態3の方法を利用する。インク9を基板1に塗布する際、図14に示すように途中で全ノズルを吐出する領域39を設ける。全ノズルを吐出する領域39は、画素4以外の領域でバンク3間に設けられている。全ノズルを途中で吐出することにより、不吐出の発生することがない。画素4だけに吐出した場合、吐出しないノズルが存在し、そのノズルを補正ノズルに利用したいときに不吐出になる場合がある。そのため、途中で全ノズルを吐出することにより、不吐出が発生することがなく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0093】
図15は、多面取りするために、基板1上に4個のパターン40が形成された場合を示す。各パターン40には、画素4が形成されている。39は、全ノズルを吐出する領域である。図15の場合も図14の場合と同様、吐出しないノズル6が存在し、そのノズルを補正ノズルに利用したいときに不吐出になる場合がある。そのため、途中でノズル6を全部吐出することにより、不吐出が発生することがなく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0094】
以上のように、本発明に係る実施の形態4のインクジェット装置においては、基板1への塗布中に途中で基板1上にノズル6全部を吐出する領域39を設けることにより、不吐出の発生が少なく、信頼性の高い塗布を実現できる。
【0095】
このような方法によって、ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差があったとしても、精度良く画素領域にインクを塗布することができ、色むらのない高品質のディスプレイを有する電子機器を提供することができる。
【0096】
上記において、本発明に係る好適な実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4について説明したが、本発明は上記の実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4の構成や製造工程を示す内容に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく様々な変更が可能である。
【0097】
例えば、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、インクジェットヘッドにおいて複数のノズル間のピッチを約20μmとして設計した。これは、ノズルから吐出されたインクが着弾位置において互いに連結するようにするためである。したがって、走査方向に直交する方向のノズル間のピッチは、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましいが、特に限定する必要はない。
【0098】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、ノズルから吐出するインクの通常の吐出周波数を10kHzとして説明したが、特にこの周波数に限定されるものではなく、製造される有機ELディスプレイの仕様等に応じて適宜設定される。また、実施の形態1及び実施の形態2においては、走査方向のドット密度を4800dpiとしたが、特に限定されるものではなく、製造される有機ELディスプレイの仕様等に応じて適宜設定される。
【0099】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、基板1に対する塗布処理は、一回の走査動作において行うことができる構成であるが、インクジェットヘッド5R,5G,5Bの長手方向の寸法が基板1より小さく、複数回に分けて基板1を塗布しても同様の効果を奏する。
【0100】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4において、ノズルから吐出されるインクの一滴当たりの量は、5plとしたが、1pl〜15plの範囲内であることが好ましく、特に限定されるものではない。
【0101】
また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3及び実施の形態4においては、インクの粘度が10mPa・sのものを用いたが、本発明においてはインクの粘度をこの数値に限定するものではなく、約5〜20mPa・sの範囲内が好ましく、特に限定されるものではい。
【0102】
また、実施の形態2おいては、画素4間で1滴のノズル6の着弾位置(画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置37)を認識するため1滴だけの吐出としたが、吐出は複数滴でも同様の効果を奏する。混色を避けるためには、できるだけ少ないほうが望ましい。
【0103】
また、実施の形態3おいては、通常のノズル6を有するインクジェットヘッド5に半ピッチずれたノズル38を有するインクジェットヘッド5を配置しているが、同じインクジェットヘッド5内に通常のノズル6と半ピッチずれたノズル38を配置しても同様の効果を奏する。
【0104】
また、実施の形態4おいては、全ノズルを吐出する領域39を1箇所としたが、複数個所設けた場合も同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、インクジェット装置において、基板ロット毎の寸法誤差や熱膨張による寸法誤差に対しても、精度良く塗布膜を基板上に形成することができ、大面積の大型基板に対しても高精度に塗布でき、高画質の大型有機ELディスプレイや高信頼性のあるカラーフィルターを提供することができ、特に有機ELディスプレイの分野等において汎用性が高く、有用である。
【符号の説明】
【0106】
4,4A,4B 画素
5,5R,5G,5B インクジェットヘッド
6,38 ノズル
19 インクを吐出するノズル
20 インクを吐出しないノズル
37 画素と画素の間に1点だけ塗布されたインクの着弾位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから基板上にインクを塗布するインクジェット装置において、
前記基板上の画素領域に着弾し得るノズルAと、前記画素領域外に着弾し得るノズルBとで構成されるノズルと、
前記基板に塗布されたインクのパターンを画像認識する認識ユニットと、
前記基板の位置ズレを基板上のインクのパターンから画像認識で検出し、インクのズレ方向に対応して前記ノズルAから前記ノズルBに切り替える制御装置と、を有すること、
を特徴とするインクジェット装置。
【請求項2】
前記制御装置は、インクを前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させるように前記ノズルを切り替える装置である、請求項1記載のインクジェット装置。
【請求項3】
前記ノズルは一定間隔のピッチで配置され、前記ノズル以外に半ピッチずらした補完ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させる前記補完ノズルを有する、請求項2記載のインクジェット装置。
【請求項4】
前記基板に前記インクを塗布するとき、途中で前記基板上に全ての前記ノズルを吐出する、請求項2記載のインクジェット装置。
【請求項5】
前記インクは、有機電界発光ディスプレイにおける有機発光層の材料である、請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット装置。
【請求項1】
ノズルから基板上にインクを塗布するインクジェット装置において、
前記基板上の画素領域に着弾し得るノズルAと、前記画素領域外に着弾し得るノズルBとで構成されるノズルと、
前記基板に塗布されたインクのパターンを画像認識する認識ユニットと、
前記基板の位置ズレを基板上のインクのパターンから画像認識で検出し、インクのズレ方向に対応して前記ノズルAから前記ノズルBに切り替える制御装置と、を有すること、
を特徴とするインクジェット装置。
【請求項2】
前記制御装置は、インクを前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させるように前記ノズルを切り替える装置である、請求項1記載のインクジェット装置。
【請求項3】
前記ノズルは一定間隔のピッチで配置され、前記ノズル以外に半ピッチずらした補完ノズルを有し、前記画素領域外に着弾させ、前記画素領域外に着弾させた前記インクの着弾位置と本来着弾すべき位置との差から前記画素に着弾させる前記補完ノズルを有する、請求項2記載のインクジェット装置。
【請求項4】
前記基板に前記インクを塗布するとき、途中で前記基板上に全ての前記ノズルを吐出する、請求項2記載のインクジェット装置。
【請求項5】
前記インクは、有機電界発光ディスプレイにおける有機発光層の材料である、請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−77430(P2013−77430A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216340(P2011−216340)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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