説明

インジェクションノズル

【課題】 樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルが、樹脂混練部分の内圧が上昇した際における樹脂の逆流または添加剤の溶融不良等によるノズル閉塞を防止することができる優れた特徴を有するインジェクションノズルを提供する。
【解決手段】 樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルであって、少なくとも添加剤圧入口、該圧入口を開閉するステム、該ステムを一定圧力で抑えるピストンとスプリングおよびインジェクションノズルハウジングよりなり、かつ該ステムを固定するストッパーを有することを特徴とする液状添加剤のインジェクションノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂の造粒機に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルに関する。さらに詳しくは、樹脂混練部分の内圧が上昇した際における樹脂の逆流または添加剤の溶融不良等によるノズル閉塞を防止することができる優れた特徴を有するインジェクションノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製品は、通常、粉体の合成樹脂を添加剤、例えばタルク、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、耐侯剤、中和剤等と共に溶融混練してペレットの形態にした組成物として製造される。これらの添加剤は、常温で粉体のものから液状のもの、その中間に属するものなど多岐に亘り、添加条件によっては同時に添加することが困難なものや添加量が少ないため定量性が悪いものがあり、添加操作が煩雑である場合がある。また、個々の添加剤に対応して個別に多数の添加設備を設けることは、運転管理・設備投資上も問題があるため、多数の物性の異なる添加剤をより簡便で正確に添加する方法が望まれていた。
【0003】
従来、このような複数の添加剤を添加する方法として、粒状材料を均一にかつ連続的に混合して添加する粒状添加剤の連続混合装置(特許文献1参照)や固体の添加剤と結晶性ポリプロピレンを混合機に投入して混合し、ついで液状の添加剤を混合する方法等が記載されている(特許文献2参照)。また、比較的融点の低い添加剤を混合溶融して均一の液体とした後、同一の定量ポンプを用いて添加することが行われている(特許文献3参照)。しかし、合成樹脂の造粒機の混練部分は、一般的に樹脂の内圧が400〜500kPa程度かかるため、溶融した樹脂が液体添加剤注入用のインジェクションノズル部へ逆流して、詰まりを生じたり、溶融不良の添加剤がノズルに詰まり閉塞するなどの問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−115764号公報(第2頁−第3頁)
【特許文献2】特開平8−165383号公報(第2頁−第4頁)
【特許文献3】特開2005−2184号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況において、本発明は、樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルが、樹脂混練部分の内圧が上昇した際における樹脂の逆流または添加剤の溶融不良等によるノズル閉塞を防止することができる優れた特徴を有するインジェクションノズルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルであって、少なくとも添加剤圧入口、該圧入口を開閉するステム、該ステムを一定圧力で抑えるピストンとスプリングおよびインジェクションノズルハウジングよりなり、かつ該ステムを固定するストッパーを有することを特徴とする液状添加剤のインジェクションノズルに係るものである。前記インジェクションノズルハウジングに保温用ジャケットを有する請求項1記載のインジェクションノズルに係るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルが、樹脂混練部分の内圧が上昇した際における樹脂の逆流または添加剤の溶融不良等によるノズル閉塞を防止することができる優れた特徴を有するインジェクションノズルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のインジェクションノズルの断面図(図1)、インジェクションノズルのステムの動作を示す図(図2)、従来のインジェクションノズルの断面図(図3)に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0009】
図3は、従来用いられていた樹脂ペレット造粒機の樹脂混練部分へ添加剤を圧入するインジェクションノズルを造粒機に装着した状態を示している。予め貯槽で溶融混合された添加剤は定量ポンプで昇圧されて添加剤入口6からインジェクションノズルハウジング5とステム7の間の通路を通り、添加剤圧入口8を経て、樹脂混練部分11へ圧入される。
【0010】
図2は、インジェクションノズルのステムの動作を示す図である。樹脂組成物の処方上、液状の添加剤を圧入する必要のない場合は、添加剤圧入口8はステム7によって閉止状態21aになっており、添加剤を圧入する場合は、添加剤の圧力が造粒機内の樹脂圧以上になるとスプリング4が作動し、ピストン3を上昇させて添加剤圧入口が開口状態21bになって添加剤が圧入される。圧入される圧力は通常500〜600kPa程度であり、閉止時はスプリング4の圧力によってピストン3およびステム7を押し下げて添加剤圧入口8を閉じて、造粒機内部の溶融樹脂が逆流しないようになっている。しかし、造粒機内部の樹脂は強力に混練されているのでその圧力変動は大きく、スプリング4の圧力のみによって溶融樹脂のインジェクションノズルへの逆流を完全に防止することは困難であり、ノズル閉塞トラブルの原因のひとつとなっていた。
【0011】
図1は、本発明によるステム7を固定するストッパー1を有するインジェクションノズルを造粒機に装着した状態を示している。前記のように、スプリング4の押圧のみでは、添加剤を圧入せずに待機している状態で、造粒機内の溶融樹脂がインジェクションノズルへ逆流するのを完全に防止するのは困難である。そこで、ストッパー1を設け、固定用ナット2でステム7が添加剤圧入口8を閉止している場合に、造粒機内部の溶融樹脂の圧力によって作動しないように固定できるようにした。
【0012】
一方、インジェクションノズルを用いて添加する液状の添加剤は、常温で液体のものから、常温では固体であり常温より高温で溶解して液状になるものまで種類が多い。例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン混合組成物、非イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン・高級アルコール混合物等の各種添加剤等が挙げられる。
【0013】
これらの添加剤の溶解が不十分で未溶解の塊が存在すると、インジェクションノズルの出口で詰まりを生じ、トラブルの一因ともなる。そこで、保温用ジャケット9を設けてスチーム等によって保温が可能なようにして、温度低下を防止しインジェクションノズルの閉塞トラブルのもうひとつの原因を解消した。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のインジェクションノズルを造粒機に装着した状態を示す図
【図2】インジェクションノズルのステムの動作を示す図
【図3】従来のインジェクションノズルを造粒機に装着した状態を示す図
【符号の説明】
【0015】
1…ストッパー、2…固定用ナット、3…ピストン、4…スプリング、5…インジェクションノズルハウジング、6…添加剤入口、7…ステム、8…添加剤圧入口、9…保温用ジャケット、10…造粒機ケーシング、11…樹脂混練部分、21a…添加剤圧入口閉止状態、21b…添加剤圧入口開口状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂の造粒機に液状の添加剤を圧入するインジェクションノズルであって、少なくとも添加剤圧入口、該圧入口を開閉するステム、該ステムを一定圧力で抑えるピストンとスプリングおよびインジェクションノズルハウジングよりなり、かつ該ステムを固定するストッパーを有することを特徴とする液状添加剤のインジェクションノズル。
【請求項2】
前記インジェクションノズルハウジングに保温用ジャケットを有する請求項1記載のインジェクションノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−69504(P2007−69504A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260296(P2005−260296)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】