説明

インバータ電源装置

【課題】 本発明では、変圧器の1次側の入力電流値に影響されず精度の良い偏磁判別を行うことができるインバータ電源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 インバータ回路と、負荷に適した電圧に変圧する変圧器と、変圧器の入力電流値を検出する入力電流検出回路と、出力電流値を検出する出力電流検出回路と、インバータ回路を制御する出力変調制御回路と、入力電流値が偏磁電流基準値以上になると偏磁と判別する偏磁判別回路と、偏磁が判別された時点からインバータ周波数の半周期が終了するまで出力変調制御を禁止する禁止回路と、を備え、偏磁電流基準生成回路は変圧器の入力電流値をインバータ周波数の半周期ごとにサンプルホールドした値に予め定めた偏磁電流値を加算して半周期ごとの偏磁電流基準値を生成し、偏磁判別回路は入力電流値と半周期前の偏磁電流基準値とを比較する、ことを特徴とするインバータ電源装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器の偏磁を解消するための機能を搭載したインバータ電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ電源装置にとって変圧器の偏磁は大きな問題である。偏磁から飽和へと至ると変圧器はその機能を失い短絡負荷状態となるために、インバータ回路のスイッチング素に過電流が流れてスイッチング素子が破損する。偏磁は、負荷の急変、スイッチング素子等の特性のバラツキ、フィードバック制御系の不安定等の種々の要因で発生する。特に、最近のインバータ電源装置は、動作周波数(キャリア周波数)が100kHzを超えるものもあり、変圧器の鉄芯に高周波での損失が少ないフェライトコアが使用されることが多い。しかし、フェライトコアは飽和磁束密度の値が低いために、少しの偏磁で直ぐに飽和に至る。このために、高周波のインバータ電源装置では偏磁対策がより一層重要である。以下、従来技術の偏磁防止技術について説明する。
【0003】
図8は、従来技術の偏磁防止機能を搭載したインバータ電源装置の電気接続図である。3相ブリッジ整流器DR1は、3相商用電源ACを整流する。平滑コンデンサCは、整流された電圧を平滑して直流電圧を出力する。両者DR1、Cによって直流電源が形成される。インバータ回路は、第1のスイッチング素子TR1乃至第4のスイッチング素子TR4から形成される。ここでは、インバータ回路方式がフルブリッジ方式の場合であるが、プッシュ・プル方式でも良い。第1のスイッチング素子TR1と第4のスイッチング素子TR4とは同時にオン/オフ制御され、第2のスイッチング素子TR2と第3のスイッチング素子TR3とは同時にオン/オフ制御される。そして、インバータ回路は、直流電圧を高周波交流に変換する。
【0004】
図8に示す変圧器INTは、高周波交流の電圧を負荷に適した電圧に変圧する。相対向する一方の第1のスイッチング素子TR1、第4のスイッチング素子TR4がオン状態のときは、変圧器INTの1次巻線には正の電圧が印加し、入力電流検出信号Idは正の値となる。逆に、相対向する他方の第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3がオン状態のときは、変圧器INTの1次巻線には負の電圧が印加し、入力電流検出信号Idは負の値となる。これら正及び負の電圧の印加時間(電圧積分値)がアンバランスになると偏磁が発生する。すなわち、負荷急変により相対向する一方の第1のスイッチング素子TR1、第4のスイッチング素子TR4のオン時間と相対向する他方の第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3のオン時間に大きな差があると偏磁が発生する。2次整流器DR2は、変圧された高周波交流を整流する。直流リアクトルDCLは、整流された直流を平滑し負荷に供給する。
【0005】
入力電流検出回路IDは、変圧器INTの1次電流を検出して入力電流検出信号Idとして出力する。出力電流検出回路ODは、出力電流を検出して出力電流検出信号Odとして出力する。出力電流設定回路IRは、所望値の出力電流設定信号Irを出力する。
【0006】
図9に示す出力変調制御回路SCは、誤差増幅回路EI、パルス幅変調制御回路PWM、三角波発振回路OSC、第1のアンド回路AND1及び第2のアンド回路AND2にて形成され、誤差増幅回路EIは、出力電流設定信号Irと出力電流検出信号Odとの誤差増幅して誤差増幅信号Eiを出力する。三角波発振回路OSCは、インバータ回路の高周波交流周波数の2倍の周波数を有する三角波信号Oscを出力し、三角波信号Oscの周波数を設定することで、高周波交流の周波数(キャリア周波数)が決定される。パルス幅変調制御回路PWMは、誤差増幅信号Ei及び三角波信号Oscを入力としてパルス幅変調を行い、パルス幅変調信号Pw1、Pw2を出力する。
【0007】
禁止回路は、図9に示す第1のアンド回路AND1及び第2のアンド回路AND2で形成され、第1のアンド回路AND1は、後述する偏磁判別信号Epと第1のパルス幅変調信号Pw1とのアンド論理を行って第1の出力変調制御信号Sc1として出力し、第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epとパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って第2の出力変調制御信号Sc2として出力する。そして、第1の出力変調制御信号Sc1は、相対向する一方の第1のスイッチング素子TR1、第4のスイッチング素子TR4をオン制御する信号であり、第2の出力変調制御信号Sc2は、相対向する一方の第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3をオン制御する信号である。そして、第1の出力変調制御信号Sc1と第2の出力変調制御信号Sc2とは、図10後述するように、半周期ずれた信号であり、両信号で高周波交流の1周期になる。
【0008】
図9に示す偏磁判別回路EPは、絶対値回路FW、比較回路CP、電流基準回路IREF、偏磁防止回路HD及び反転回路INで形成され、絶対値回路FWは、交流の入力電流検出信号Idを全波整流して絶対値信号Fwとして出力し、比較回路CPは絶対値信号Fwの値と予め定めた電流基準値Irefとを比較し、絶対値信号Fwの値が電流基準値Irefの値より大きいときに、比較信号CpをHighレベルにして出力する。偏磁防止回路HDは、比較信号CpがHighレベルになると偏磁防止信号HdをHighレベルにして出力し図示省略のインバータ周波数の半周期が終了するまで偏磁防止信号HdをHighレベルを維持する。そして、反転回路INは、偏磁防止信号Hdを反転し偏磁判別信号Epとして出力する。
【0009】
図10は、従来技術の偏磁判別方法の動作を説明するタイミング図であり、同図(A)は三角波信号Oscを示し、同図(B)は第1のパルス幅変調信号Pw1を示し、同図(C)は第2パルス幅変調信号Pw2示し、同図(D)は入力電流検出信号Idを示し、同図(E)は絶対値信号Fwを示し、同図(F)は偏磁判別信号Epを示し、同図(G)は第1の出力変調制御信号Sc1を示し、同図(H)は第2の出力変調制御信号Sc2を示す。
【0010】
次に、従来技術の偏磁防止の動作について図10を用いて説明する。
例えば、インバータ電源装置の最大出力電流値を300Aとすると、入力電流値は75Aになる。そして、最大出力電流値の300Aを確保するために電流基準値を105Aとする。
図10に示す時刻t=t1〜t2の期間中は、図10(B)に示すように、相対向する一方の第1のスイッチング素子TR1、第4のスイッチング素子TR4のための第1のパルス幅変調信号Pw1が出力され、同図(D)に示すように入力電流検出信号Idは正の値となる。この期間中は変圧器INTには正の電圧が印加する。時刻t=t2〜t3の期間中は、同図(C)に示すように、相対向する他方の第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3のための第2のパルス幅変調信号Pw2が出力され、図(D)に示すように入力電流検出信号Idは負の値となる。この小電流期間中(例えば、入力電流25A)に負荷変動により偏磁が発生すると、同図(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が上昇し、例えば、40Aになる。しかし、電流基準値Irefを105Aと高く設定されているために、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値が電流基準値Iref未満になるため偏磁判別回路EPは偏磁発生が判別できない。
【0011】
時刻t4〜t5の中電流期間中(例えば、入力電流50A)に負荷変動により偏磁が発生すると、図10(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が上昇し、例えば80Aになる。しかし、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値が電流基準値Iref未満になるため偏磁判別回路EPは偏磁発生が判別できない。
【0012】
時刻t6〜t7の大電流期間中(例えば、75A)に負荷変動により偏磁が発生すると、図10(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し120Aに達する。このとき時刻t=t61において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値が電流基準値Iref(105A)以上になると比較回路CPは偏磁が発生した判別し比較信号CpをHighレベルにしる。そして、偏磁防止回路HDは、比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号Hdを時刻t=t7までHighレベルを維持し、反転回路INによって偏磁防止信号Hdを反転し同図(F)に示す偏磁判別信号Epとして出力する。
【0013】
図9に示す、禁止回路を形成する第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epと第2のパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って図10(H)に示す第2の出力変調制御信号Sc2を出力し、時刻t=t61でLowレベルになり、これにより電流値が上昇するのを抑制して第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3が破損するのを防止する。しかし、この偏磁防止対策では、最大出力電流値300Aを確保するために電流基準値Irefの値を高くなり、偏磁が相当に進行した状態でパルス幅を禁止するので偏磁解消に時間を有してしまう。結果として、時刻t=t8以後も入力電流値が急上昇してパルス幅の禁止が連発する状態に陥る。
よって、偏磁解消時間が長くなるとスイッチング素子の保護が充分機能しなく、破壊又は劣化の原因になる。そして、出力の不安定状態も招いてしまう。
【0014】
上述より、従来技術では図8に示す変圧器INTの偏磁を判別すために、変圧器INTの入力電流値を検出し、この入力電流値が予め定めた電流基準値以上のときに偏磁と判別し、判別した時点からインバータ周波数の半周期が終了するまでインバータ回路のスイッチング素子をオフ状態にして偏磁の解消を行っていた。しかし、偏磁を判別する電流基準値が高く設定されているために、変圧器INTの偏磁が相当に進行した状態で判別するために偏磁解消の時間が長くなり、スイッチング素子の保護が充分機能しなく破壊又は劣化の原因になる。そして、出力の不安定状態も招いてしまう。
【0015】
特許文献1のインバータ電源装置では、上述の偏磁を解消する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−20243
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述した変圧器の1次側の入力電流値が所定の電流基準値以上になると偏磁と判別して出力変調制御信号の出力を禁止する従来技術では、インバータ電源装置の最大出力電流値が、例えば、300Aのとき、最大出力電流値を確保するために偏磁と判別する入力電流の電流基準値を300A以上に高く設定することが要求される。しかし、この高く設定した電流基準値に基づいて偏磁を判別すると、偏磁が相当進行した状態で判別することになり、偏磁解消に時間を要し、出力変調制御信号の出力禁止状態が連発する状態に陥る。このため、インバータ回路を形成するスイッチング素子に過電流が流れて破壊又は劣化を招いてしまう。
【0018】
また、偏磁を判別する電流基準値を高く設定しているために、出力電流値が小さいときに発生する初期の偏磁が判別できない。
【0019】
そして、従来技術の特許文献1では、出力電流値が小さいときに発生する偏磁を判別するために変圧器の1次側の入力電流を微分し、この微分値の上昇率が基準微分値を超えたとき偏磁を判別する方法が記載されているが、この方法では、近年インバータ電源装置の動作周波数(キャリア周波数)が100kHzを超える高速化にあり、この高速化により微分判別方法では、ノイズの影響を受けやすくなり、偏磁判別の信頼性に問題を生じる。
【0020】
そこで、本発明では、変圧器の偏磁が相当進行する前に偏磁処理を行うインバータ電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、直流電源を複数個のスイッチング素子によって高周波交流に変換するインバータ回路と、前記高周波交流を負荷に適した電圧に変圧する変圧器と、前記変圧器の入力電流値を検出する入力電流検出回路と、前記変圧された高周波交流を整流して負荷に供給する整流回路と、前記整流された出力電流値を検出する出力電流検出回路と、前記出力電流値に応じて前記インバータ回路を出力変調制御する出力変調制御回路と、前記変圧器の入力電流値が予め定めた偏磁電流基準値以上になると前記変圧器の偏磁と判別して偏磁判別信号を出力する偏磁判別回路と、前記偏磁判別信号が入力された時点から予め定めたインバータ周波数の半周期が終了するまで前記出力変調制御を禁止し前記インバータ回路のスイッチング素子をオフ状態に変化させる禁止回路と、を備えたインバータ電源装置において、前記偏磁電流基準値を生成する偏磁電流基準生成回路を設け、前記偏磁電流基準生成回路は、前記変圧器の入力電流値を前記インバータ周波数の半周期ごとにサンプルホールドすると共に前記サンプルホールドした値に予め定めた偏磁電流値を加算して前記半周期ごとの偏磁電流基準値を生成し、前記偏磁判別回路は、前記入力電流値と前記半周期前の偏磁電流基準値とを比較する、ことを特徴とするインバータ電源装置である。
【0022】
請求項2の発明は 前記偏磁電流値を、前記半周期前の入力電流値に基づいて変化させる、ことを特徴とする請求項1記載のインバータ電源装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1によれば、インバータ周波数の半周期ごとの入力電流値に応じて適宜な偏磁電流基準値を設定するので、変圧器の偏磁が発生した直後に偏磁判別が可能となり、この偏磁判別によりインバータ回路のスイッチング素子に流れる過電流が偏磁発生直後に抑制できスイッチング素子の破損又は劣化を防止できる。
さらに、変圧器の入力電流を微分し、この入力電流の微分値の上昇率に基づいて偏磁を判別する従来技術に対して、本発明の偏磁判別では、微分値の上昇率に基づいて偏磁の判別を行わないので高周波ノイズの影響が受けにくく、偏磁判別の信頼性が向上する。
【0024】
本発明の請求項2によれば、偏磁電流値を変圧器の入力電流値に基づいて生成するので偏磁発生の判別が難しい小電流のときの判別が可能となり、偏磁発生の初期で偏磁解消処理ができるので保護協調がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態1に係るインバータ電源装置の電気接続図である。
【図2】図1に示す偏磁判別回路の詳細図である。
【図3】実施形態1の動作を説明するタイミング図である。
【図4】実施形態1の変圧器の入力電流値と偏磁電流基準値との関係図である。
【図5】実施形態2の偏磁判別回路の詳細図である。
【図6】実施形態2の動作を説明するタイミング図である。
【図7】実施形態2の変圧器の入電流値と偏磁電流基準値との関係図である。
【図8】従来技術のインバータ電源装置の電気接続図である。
【図9】図7に示す従来技術の偏磁判別回路の詳細図である。
【図10】従来技術の動作を説明するタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示す変圧器に、高周波交流の正・負各半波に不平衡が生じると、変圧器の一方の半波に偏磁電流である直流電流が発生する。このとき、変圧器は磁気飽和を起して短絡負荷状態になり、変圧器の入力電流が過大となってインバータ回路を形成するスイッチング素子が破損される危険性が生じる。
本発明の実施の形態は、インバータ周波数の半周期ごとの変圧器の入力電流値に予め定めた偏磁電流値を加算して偏磁電流基準値を生成し、入力電流値と半周期前の偏磁電流基準値とを比較して入力電流値が偏磁電流基準値以上のとき偏磁が発生した判別とするものである。
【0027】
図1は、上記の偏磁判別機能を有する実施形態1のインバータ電源装置の電気接続図である。同図において、図8に示す従来技術のインバータ電源装置の電気接続図と同一符号の構成物は、同一動作を行うので説明は省略し、符号の相違する構成物についてのみ説明する。
【0028】
入力電流検出回路IDは、変圧器INTの1次側の高周波交流の1次電流を検出し入力電流検出信号Idとして出力する。
【0029】
図2は、実施形態1の偏磁判別回路EPI及び偏磁電流基準生成回路EHの詳細図であり、偏磁判別回路EPIは、絶対値回路FW、比較回路CP、偏磁防止回路HD及び反転回路INで形成される。そして、偏磁電流基準生成回路EHは、サンプルホールド回路SH、偏磁電流設定回路ES、加算回路AD及び位相シフト回路FSで形成される。
【0030】
サンプルホールド回路SHは、絶対値信号Fwの値を第1の出力変調制御信号Sc1及び第2の出力変調制御信号Sc2に同期してサンプルホールドしてサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0031】
偏磁電流設定回路ESは、予め定めた偏磁電流値αを設定する。加算回路ADは、サンプルホールド信号Shの値に偏磁電流設定回路ESで設定した予め定めた偏磁電流値αを加算して加算信号Adを出力する。位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数に同期し加算信号Adを半周期位相遅れして偏磁電流基準信号Ehとして出力する。
このとき、例えば、変圧器INTの1次巻線N1、2次巻線N2として、巻線比(N2/N1)の係数、例えば、1/4とし、インバータ電源装置の最大出力電流値を300Aとすると、入力電流値は75Aになる。そして、例えば、偏磁電流値αを40Aにして偏磁電流基準値115Aで偏磁を判別すると、偏磁電流値αの40Aが大きいために偏磁が相当進行した状態で判別することになる。
【0032】
逆に、偏磁電流値αを小さくして20Aにし、偏磁電流基準値95Aにして偏磁を判別すると、偏磁判別には問題ないが、図1に示す負荷短絡のとき、短絡解除を行う通電電流が抑制されて短絡解除が旨く行かないという問題が発生する。
上記より、偏磁電流値αを30Aにすると偏磁が相当に進行しない状態で判別でき、且つ、短絡解除も旨く行くことができる。
【0033】
図4は、偏磁電流値αを30Aとしたときの入力電流値と偏磁電流基準値との関係図であり、入力電流値に応じて偏磁電流基準値が変化することを示している。
【0034】
図2に示す比較回路CPは、絶対値信号Fwの値と偏磁電流基準値Ehの値とを比較し、絶対値信号Fwの値が偏磁電流基準値Ehより大きいときに、比較信号CpをHighレベルにして出力する。偏磁防止回路HDは、比較信号CpがHighレベルになると偏磁防止信号HdをHighレベルにして出力し、図示省略のインバータ周波数の半周期が終了するまで出力を維持する。そして、反転回路INは、偏磁防止信号Hdを反転して偏磁判別信号Epiとして出力する。
【0035】
図3は、実施形態1の偏磁判別方法の動作を説明するタイミング図であり、同図(A)は三角波信号Oscを示し、同図(B)は第1のパルス幅変調信号Pw1を示し、同図(C)は第2パルス幅変調信号Pw2示し、同図(D)は入力電流検出信号Idを示し、同図(E)は絶対値信号Fwを示し、同図(F)はサンプルホールド信号Shを示し、同図(G)は偏磁電流基準信号Eh、同図(H)は偏磁判別信号Epiを示し、同図(i)は第1の出力変調制御信号Sc1を示し、同図(J)は第2の出力変調制御信号Sc2を示す。
【0036】
次に、実施形態1の偏磁判別の動作について図3及び図4を用いて説明する。
図3に示す時刻t=t1〜t2の小電流期間で、図4に示すC点の入力電流値(25A)のとき、図2に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t11のとき、入力電流値(25A)をサンプルホールドして図3(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0037】
図2に示す加算回路ADは、図3(F)に示すサンプルホールド信号Shの値(25A)に予め定めた偏磁電流値(30A)を加算して加算信号Adとして出力する。位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t2まで位相シフトして偏磁電流基準値Ehとして出力する。
【0038】
時刻t=t2〜t3の小電流期間中に負荷変動により偏磁が発生すると、図3(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、40Aになる。そして、比較回路CPは時刻t=t21において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(40A)とインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Ehの値(55A)とを比較し、絶対値信号Fwの値が偏磁電流基準値Ecの値より小さいので偏磁判別回路EPIは偏磁発生が判別できないので偏磁判別信号EpiをHighレベルにする。
【0039】
時刻t=t3〜t4の中電流期間で、図4に示すB点の入力電流値(50A)のとき、図2に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t31のとき、入力電流値(50A)をサンプルホールドして、図3(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0040】
加算回路ADは、図3(F)に示すサンプルホールド信号Shの値(50A)に偏磁電流値(30A)を加算して加算信号Adとして出力する。位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t4まで位相シフトして偏磁電流基準値Ehとして出力する。
【0041】
時刻t=t4〜t5の中電流期間中に負荷変動により偏磁が発生すると、図3(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、80Aになる。そして、比較回路CPは時刻t=t41において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(80A)とインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Eh(80A)とを比較し、絶対値信号Fwの値が偏磁電流基準値Eh以上になるので比較回路CPは比較信号CpをHighレベルになり、偏磁防止回路HDは比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号HdをHighレベルにし、時刻t=t5までHighレベルを維持する。そして、反転回路INによって偏磁防止信号Hdは反転され、同図(H)に示す偏磁判別信号EpiをLowレベルにする。
【0042】
図2に示す禁止回路を形成する第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epiと第2のパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って第2の出力変調制御信号Sc2を出力し、時刻t=t41でLowレベルになり、これにより、偏磁判別信号が入力された時点から高周波交流の半周期が終了する、時刻t=t5まで第2の出力変調制御信号Sc2を禁止して偏磁電流の上昇を抑制し偏磁の解消を行う。
【0043】
時刻t=t5〜t6の期間で、図2に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t51のときの入力電流値(75A)をサンプルホールドし、図3(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0044】
加算回路ADは、サンプルホールド信号Shの値(75A)に偏磁電流値(30A)を加算して加算信号Adとして出力する。位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t6まで位相シフトして偏磁電流基準値Ehとして出力する。
【0045】
図3に示す、時刻t=t6〜t7の大電流期間中に負荷の急変により再度偏磁が発生すると、図3(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、120Aになる。そして、比較回路CPは時刻t=t61において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(120A)とインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Ehの値(105A)とを比較し、絶対値信号Fwの値(120A)が偏磁電流基準値Eh(105A)以上になるので比較回路CPは比較信号CpをHighレベルにし、偏磁防止回路HDは比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号HdをHighレベルにし、時刻t=t7までHighレベルを維持する。そして、反転回路INによって偏磁防止信号Hdは反転され、同図(H)に示す偏磁判別信号EpiをLowレベルにする。
【0046】
図2に示す禁止回路を形成する第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epiと第2のパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って第2の出力変調制御信号Sc2を出力し、時刻t=t61でLowレベルになり、これにより偏磁判別信号が入力された時点から高周波交流の半周期が終了する時刻t=t7までは第2の出力変調制御信号Sc2を禁止して偏磁電流の上昇を抑制し偏磁解消を行って第2のスイッチング素子TR2、第3のスイッチング素子TR3が破損するのを防止する。
【0047】
また、入力電流値をサンプルホールドするタイミングとして、例えば、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルのときに行っているが、第1の出力変調制御信号Sc1の出力期間中の中間時点でサンプルホールドしても良い。
【0048】
上述より、入力電流値に予め定めた偏磁電流値を加算して偏磁電流基準値を算出し、この算出した偏磁電流基準値に基づいて偏磁を判別すると、偏磁が相当に進行する前に偏磁判別が可能となり、偏磁の初期段階で偏磁防止処理を行うことができるので、偏磁の解消が早くなりインバータ回路のスイッチング素子の過電流による劣化又は破損からの保護が可能になる。
【0049】
実施形態2についての説明。
インバータ電源装置において、直流リアクトルに閉ループの特性を有する直流リアクトルが一般的に使用されている。そして、閉ループの特性を有する直流リアクトルでは、出力電流値が大きいときにインダクタンス値が小さくなり、逆に、出力電流値が小さいときにインダクタンス値が大きくなる。
よって、出力電流値が大きいとき、直流リアクトルのインダクタンス値が小さいために変圧器の入力電流の変化率(di/dt)が大きく、偏磁が発生したとき変圧器の入力電流が大きく変化する。逆に、出力電流値が小さいときに、直流リアクトルのインダクタンス値が大きいために変圧器の入力電流の変化率(di/dt)が小さく、偏磁が発生したときに変圧器の入力電流の変化が小さくなる。
【0050】
上記より、出力電流値が大きいときに偏磁を判別する偏磁電流値を大きくし、逆に、出力電流値が小さいときに偏磁を判別する偏磁電流値を小さくすることで、偏磁の判別精度が大きく向上する。
【0051】
図7は、入力電流値と偏磁電流基準値との関係図であり、入力電流値に応じて偏磁電流値αが変化することを示している。
【0052】
図5は、実施形態2の偏磁判別回路の詳細図である。同図において、実施形態1に示す図2の偏磁判別回路の詳細図と同一符号の構成物は、同一動作を行うので説明は省略し符号の相違する構成物についてのみ説明する。
【0053】
図5に示す入力電流対応偏磁電流基準生成回路EHIは、サンプルホールド回路SH、出力電流対応偏磁電流設定回路EI、加算回路AD及び位相シフト回路FSで形成される。
【0054】
サンプルホールド回路SHは、絶対値信号Fwの値を第1の出力変調制御信号Sc1及び第2の出力変調制御信号Sc2に同期してサンプルホールドしてサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0055】
入力電流対応偏磁電流設定回路EIは、図7に示すように入力電流値に応じて偏磁電流値αが変化する。加算回路ADは、サンプルホールド信号Shの値に入力電流対応偏磁電流設定回路EIで設定された偏磁電流値αを加算して加算信号Adとして出力する。
【0056】
図6は、実施形態2の偏磁判別方法の動作を説明するタイミング図であり、同図(A)は三角波信号Oscを示し、同図(B)は第1のパルス幅変調信号Pw1を示し、同図(C)は第2パルス幅変調信号Pw2示し、同図(D)は入力電流検出信号Idを示し、同図(E)は絶対値信号Fwを示し、同図(F)はサンプルホールド信号Shを示し、同図(G)は偏磁電流基準信号Eh、同図(H)は偏磁判別信号Epiを示し、同図(i)は第1の出力変調制御信号Sc1を示し、同図(J)は第2の出力変調制御信号Sc2を示す。
【0057】
次に、実施形態2の偏磁判別の動作について図5から図7を用いて説明する。
図6に示す時刻t=t1〜t2の小電流期間で、図7に示すC点の入力電流値(25A)のとき、図5に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t11のときの入力電流値(25A)をサンプルホールドし、図3(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。そして、図5に示す加算回路ADは、図6(F)に示すサンプルホールド信号Shの値(25A)に、出力電流対応偏磁電流設定回路EIによってインバータ周波数の半周期前の入力電流値に応じて生成される偏磁電流値(例えば、4A)を加算して加算信号Adとして出力し、位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t2まで位相シフトして偏磁電流基準値Eh(29A)として出力する。
【0058】
時刻t=t2〜t3の小電流期間中に負荷変動により偏磁が発生すると、図6(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、40Aになる。そして、比較回路CPは時刻t=t21において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(40A)とインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Ehの値(29A)とを比較し、絶対値信号Fwの値が偏磁電流基準値Ehの値より大きいので比較回路CPは比較信号CpをHighレベルにし、偏磁防止回路HDは、比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号HdをHighレベルにし、時刻t=t3までHighレベルを維持する。そして、反転回路INによって偏磁防止信号Hdは反転され、同図(H)示す偏磁判別信号EpiをLowレベルにする。
【0059】
禁止回路を形成する第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epiと第2のパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って第2の出力変調制御信号Sc2を出力し、時刻t=t21でLowレベルになり、これにより、これにより、偏磁判別信号が入力された時点から高周波交流の半周期が終了する、時刻t=t3まで第2の出力変調制御信号Sc2の出力を禁止し偏磁電流の上昇を抑制して偏磁解消を行う。
【0060】
時刻t=t3〜t4の中電流期間で、図7に示すB点の入力電流値(50A)のとき、図5に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t31のときの入力電流値(50A)をサンプルホールドし、図6(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。そして、図5に示す加算回路ADは、図6(F)に示すサンプルホールド信号Shの値(50A)に、出力電流対応偏磁電流設定回路EIによって入力電流値に応じて生成される偏磁電流値(10A)を加算して加算信号Adとして出力し、位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t4まで位相シフトして偏磁電流基準値Eh(60A)として出力する。
【0061】
図6に示す、時刻t=t4〜t5の中電流期間中に負荷変動により偏磁が発生すると、図6(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、80Aになる。そして、時刻t=t41において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(80A)と偏磁電流基準生成回路EHで生成したインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Eh(60A)とを比較し、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(80A)が偏磁電流基準値Eh(60A)以上になるので比較回路CPは比較信号CpをHighレベルにし、偏磁防止回路HDは比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号HdをHighレベルにし、時刻t=t5までHighレベルを維持する。そして、反転回路INによって偏磁防止信号Hdは反転され、同図(H)に示す偏磁判別信号EpiをLowレベルにする。
【0062】
禁止回路を形成する第2のアンド回路AND2は、偏磁判別信号Epiと第2のパルス幅変調信号Pw2とのアンド論理を行って第2の出力変調制御信号Sc2を出力し、時刻t=t41でLowレベルになり、これにより、これにより、偏磁判別信号が入力された時点から高周波交流の半周期が終了する、時刻t=t5まで第2の出力変調制御信号Sc2を禁止して偏磁電流の上昇を抑制し偏磁の解消を行う。
【0063】
時刻t=t5〜t6の期間で、図5に示すサンプルホールド回路SHは、第1の出力変調制御信号Sc1に同期してサンプルホールドを行い、第1の出力変調制御信号Sc1がLowレベルになる時刻t=t51のときの入力電流値(75A)をサンプルホールドし、図6(F)に示すサンプルホールド信号Shとして出力する。
【0064】
加算回路ADは、サンプルホールド信号Shの値(75A)に偏磁電流値(20A)を加算して加算信号Adとして出力する。位相シフト回路FSは、加算信号Adが入力されるとインバータ周波数の半周期が終了する時刻t=t6まで位相シフトして偏磁電流基準値Eh(95A)として出力する。
【0065】
図6に示す、時刻t=t6〜t7の大電流期間中に負荷の急変により再度偏磁が発生すると、図6(D)に示すように、入力電流検出信号Idの値が急上昇し、例えば、120Aになる。そして、時刻t=t61において、同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(120A)と偏磁電流基準生成回路EHで生成したインバータ周波数の半周期前の偏磁電流基準値Eh(95A)とを比較し。同図(E)に示す絶対値信号Fwの値(120A)が偏磁電流基準値Eh(95A)以上になるので比較回路CPは比較信号CpをHighレベルにし、偏磁防止回路HDは比較信号CpのHighレベルに応じて偏磁防止信号HdをHighレベルにし、時刻t=t7までHighレベルを維持する。そして、反転回路INによって偏磁防止信号Hdは反転され、同図(F)に示す偏磁判別信号EpiをLowレベルにする。
そして、以後は上述と同一動作を行う。
【0066】
上述より、偏磁電流値をインバータ周波数の半周期前の入力電流値に基づいて生成するので、出力電流値が小さいときに発生する偏磁に対して偏磁発生の判別が可能となり、偏磁の解消時間が短くなり、インバータ回路を形成するスイッチング素子に流れる過電流が素早く抑制でき、保護協調の精度が大きく向上する。
【符号の説明】
【0067】
1 負荷
AD 加算回路
AND1 第1のアンド回路
AND2 第2のアンド回路
C1 平滑コンデンサ
CP 比較回路
Cp 比較信号
DK インバータ駆動回路
Dk1 第1のインバータ駆動信号
Dk2 第2のインバータ駆動信号
Dk3 第3のインバータ駆動信号
Dk4 第4のインバータ駆動信号
DCL 直流リアクトル
DR1 1次整流回路
DR2 2次整流回路
EH 偏磁電流基準生成回路
EI 入力電流対応偏磁電流設定回路
EHI 入力電流対応偏磁電流基準生成回路
EP 偏磁判別回路
Ep 偏磁判別信号
EPI 偏磁判別回路
Epi 偏磁判別信号
EI 誤差増幅回路
Ei 誤差増幅信号
ES 偏磁電流設定回路
FW 絶対値回路
Fw 絶対値信号
FS 位相シフト回路
HD 偏磁防止回路
Hd 偏磁防止信号
ID 入力電流検出回路
Id 入力電流検出信号
IN 反転回路
INT 主変圧器
IR 出力電流設定回路
Ir 出力電流設定信号(出力電流設定値)
IREF 電流基準回路
Iref 電流基準信号
OD 出力電流検出回路
Od 入力電流検出信号
OSC 三角波発生回路
Osc 三角波発生信号
PWM パルス幅変調回路
Pw1 第1のパルス幅変調信号
Pw2 第2のパルス幅変調信号
SC 出力変調制御回路
Sc1 第1の出力変調制御
Sc2 第1の出力変調制御
TR1 第1のスイッチング素子
TR2 第2のスイッチング素子
TR3 第3のスイッチング素子
TR4 第4のスイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を複数個のスイッチング素子によって高周波交流に変換するインバータ回路と、前記高周波交流を負荷に適した電圧に変圧する変圧器と、前記変圧器の入力電流値を検出する入力電流検出回路と、前記変圧された高周波交流を整流して負荷に供給する整流回路と、前記整流された出力電流値を検出する出力電流検出回路と、前記出力電流値に応じて前記インバータ回路を出力変調制御する出力変調制御回路と、前記変圧器の入力電流値が予め定めた偏磁電流基準値以上になると前記変圧器の偏磁と判別して偏磁判別信号を出力する偏磁判別回路と、前記偏磁判別信号が入力された時点から予め定めたインバータ周波数の半周期が終了するまで前記出力変調制御を禁止し前記インバータ回路のスイッチング素子をオフ状態に変化させる禁止回路と、を備えたインバータ電源装置において、前記偏磁電流基準値を生成する偏磁電流基準生成回路を設け、前記偏磁電流基準生成回路は、前記変圧器の入力電流値を前記インバータ周波数の半周期ごとにサンプルホールドすると共に前記サンプルホールドした値に予め定めた偏磁電流値を加算して前記半周期ごとの偏磁電流基準値を生成し、前記偏磁判別回路は、前記入力電流値と前記半周期前の偏磁電流基準値とを比較する、ことを特徴とするインバータ電源装置。
【請求項2】
前記偏磁電流値を、前記半周期前の入力電流値に基づいて変化させる、ことを特徴とする請求項1記載のインバータ電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−16230(P2012−16230A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152679(P2010−152679)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】