説明

インペラの製造方法

【課題】成形体1Sの仕上処理に要する時間を大幅に短縮して、タービンインペラ1の一連の製造時間を短くすること。
【解決手段】射出成形用金型19のキャビティ37に金属粉末とバインダとの混合物を射出することにより、仕上前形状と相似形の成形体1Fを成形し、成形体1Fに含まれるバインダを脱脂し、成形体1Fを焼成して焼結させることにより、仕上前形状の成形体1Sを作製し、成形体1Sにおけるブレードの外縁に相当する部位11S及びホイールの嵌合穴に相当する部位7Sに対して鍛造を行うことにより、成形体1Sをインペラ1の仕上形状に仕上げること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用過給機等の過給機に用いられるタービンインペラ等のインペラを製造するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用過給機に用いられるタービンインペラは、背面中心部に車両用過給機におけるロータ軸(タービン軸)の端部と嵌合可能な嵌合穴が形成されたタービンホイールと、このタービンホイールの外周面に間隔を置いて一体形成された複数枚のタービンブレードとを備えている。また、タービンホイールの嵌合穴及びタービンブレードの外縁は、高い寸法精度及び形状精度に仕上げられている。そして、タービンインペラを製造するには、次のように行う。
【0003】
即ち、精密鋳造によってタービンインペラの仕上前形状(中間形状)の成形体を作製する。続いて、成形体におけるタービンブレードの外縁に相当する部位及びタービンホイールの嵌合穴に相当する部位に対して機械加工を行うことにより、タービンブレードの外縁及びタービンホイールの嵌合穴を最終的に形成して、成形体をタービンインペラの仕上形状(最終形状)に仕上げる。以上により、成形体からなるタービンインペラの一連の製造を終了する。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−254627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、タービンインペラの構成材料として使用されるインコネル等の耐熱合金は難加工材であって、機械加工によってタービンブレードの外縁等を高い寸法精度及び形状精度に仕上げることは非常に厄介である。そのため、機械加工による成形体の仕上処理(タービンインペラの仕上処理)に多くの時間を要し、一連のタービンインペラの製造時間が長くなり、タービンインペラの生産性(製造性)及びタービンインペラの製造の作業性を向上させることが困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のインペラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、背面中心部に過給機におけるロータ軸の端部と嵌合可能な嵌合穴が形成されたホイールと、このホイールの外周面に間隔を置いて一体形成された複数枚のブレードと備えてなるインペラを製造するための製造方法において、前記インペラの仕上前形状を反転する形状(相補する形状)と相似形の成形面を有した射出成形用金型を用い、前記射出成形用金型の前記成形面によって区画されるキャビティに金属粉末とバインダとの混合物を射出することにより、仕上前形状と相似形の成形体を成形する射出工程と、前記射出工程の終了後に、前記成形体に含まれる前記バインダを脱脂(除去)する脱脂工程(除去工程)と、前記射出工程の終了後に、前記成形体を焼成して焼結させることにより、前記成形体を仕上前形状まで熱収縮させて、仕上前形状の前記成形体を作製する焼結工程と、前記焼結工程の終了後に、鍛造用金型を用い、前記成形体における前記ブレードの外縁に相当する部位及び前記ホイールの前記嵌合穴に相当する部位に対して鍛造を行うことにより、前記ブレードの外縁及び前記ホイールの前記嵌合穴を最終的に形成して、前記成形体前記成形体を前記インペラの仕上形状に仕上げる鍛造工程と、
を具備したことを要旨とする。
【0009】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「インペラ」には、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させるタービンインペラの他に、遠心力を利用して空気を圧縮するコンプレッサインペラが含まれる。また、「仕上前形状」とは、前記成形体を仕上げる直前の中間形状のことをいい、「仕上形状」とは、前記成形体を仕上げた後の最終形状のことをいう。
【0010】
本発明の特徴によると、前記射出工程、前記脱脂工程、及び前記焼結工程を経ることによって仕上前形状の前記成形体が作製されているため、換言すれば、精密鋳造に比べて寸法精度及び形状精度に優れた金属粉末射出成形法によって仕上前形状の前記成形体が作製されているため、仕上前形状を前記インペラの仕上形状に極力近づけることができる。また、仕上前形状を前記インペラの仕上形状に極力近づけた上で、前記成形体における前記ブレードの外縁に相当する部位及び前記ホイールの前記嵌合穴に相当する部位に対して鍛造を行っているため、機械加工による仕上げを行うことなく、前記ブレードの外縁及び前記ホイールの前記嵌合穴を高い寸法精度及び形状精度に仕上げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機械加工による仕上げを行うことなく、前記ブレードの外縁及び前記ホイールの前記嵌合穴を高い寸法精度及び形状精度に仕上げることができるため、前記成形体の仕上処理(前記インペラの仕上処理)に要する時間を大幅に短縮して、前記インペラの一連の製造時間を短くして、前記インペラの生産性(製造性)及び前記インペラの製造の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る射出工程及び射出成形用金型を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る脱脂工程を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る焼結工程を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る鍛造工程及び鍛造用金型を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタービンインペラの側断面図である。
【図6】図6(a)は、仕上前形状の成形体の側断面図、図6(b)は、仕上形状のタービンインペラの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るタービンインペラ、本発明の実施形態に係る射出成形用金型、本発明の実施形態に係る鍛造用金型、及び本発明の実施形態に係るインペラの製造方法について、図1から図6を参照して順次説明する。なお、図面中、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向を指してある。
【0014】
図5に示すように、本発明の実施形態に係るタービンインペラ1は、車両用過給機に用いられ、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させるものである。また、タービンインペラ1は、金属粉末射出成形によって成形された成形体1F(図2及び図3参照)を焼結してなるものであって、後述の射出工程、脱脂工程、焼結工程、鍛造工程を経ることによって製造されるものである。
【0015】
タービンインペラ1は、タービンホイール3を備えており、このタービンホイール3の外周面は、タービンインペラ1(タービンホイール3)の軸方向から径方向外側に向かって延びている。また、タービンホイール3の背面中心部には、車両用過給機におけるロータ軸(タービン軸)5の端部と嵌合可能な嵌合穴7が形成されている。ここで、タービンインペラ1の回転バランスを十分に確保するため、タービンホイール3の嵌合穴7は高い寸法精度及び形状精度に仕上げられている。
【0016】
タービンホイール3の外周面には、複数枚のタービンブレード9が周方向に間隔を置いて一体形成されている。また、各タービンブレード9の外縁11は、車両用過給機におけるシュラウド(ハウジングのシュラウド又はハウジングの一部に相当するシュラウドリング)13に沿うように延びてあって、各タービンブレード9の入口縁(上流縁)15は、車両用過給機における可変ノズル17(特開2000−265844号公報参照)の径方向内側に位置している。ここで、車両用過給機のタービン性能を十分に確保するため、各タービンブレード9の外縁11及び入口縁15は、タービンホイール3の嵌合穴7と同様に、高い寸法精度及び形状精度に仕上げられている。
【0017】
続いて、本発明の実施形態に係る射出成形用金型について説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る射出成形用金型19は、本発明の実施形態に係るインペラの製造方法の実施に用いられるものであって、射出成形用金型19の具体的な構成は、次のようになる。
【0019】
即ち、射出成形機における固定フレーム21の左側面には、射出成形用一体型23が着脱可能に設けられており、この射出成形用一体型23は、左側に、タービンインペラ1の背面(タービンホイール3の背面)の仕上前形状(中間形状)を反転する形状(相補する形状)と相似形の副成形面25を有している。また、射出成形機における左右方向へ移動可能な可動フレーム27の右側面には、ガイドブロック29が着脱可能に設けられており、このガイドブロック29の右側面には、円錐台状の窪み31が形成されている。そして、ガイドブロック29の窪み31には、複数(タービンブレード9の枚数と同数)の射出成形用分割型33が径方向へ拡縮移動可能に設けられており、複数の射出成形用分割型33は、射出成形用一体型23に対向してあって、内側に、タービンインペラ1の背面を除くタービンインペラ1の大部分の最終形状を反転する形状と相似形の主成形面35を有している。ここで、複数の射出成形用分割型33は、射出成形用一体型23と非接触状態にある場合に、可動フレーム27を左右方向へ移動させると、射出成形用一体型23に対して接近離隔する方向へ一体的に移動するようになっており、射出成形用一体型23と接触状態にある場合に、可動フレーム27を左右方向へ移動させると、径方向へ拡縮移動するようになっている。
【0020】
射出成形用金型19の型締め時に、射出成形用一体型23の副成形面25と複数の射出成形用分割型33の主成形面35によってキャビティ37が区画されるようになっている。また、射出成形用一体型23の副成形面25には、ゲート39が形成されており、射出成形用一体型23の内部には、ゲート39に連通したランナー41が形成されてあって、ランナー41は、射出成形機における射出ノズル43にスプール45を介して接続可能である。
【0021】
続いて、本発明の実施形態に係る鍛造用金型について説明する。
【0022】
図4に示すように、本発明の実施形態に係る鍛造用金型47は、本発明の実施形態に係るインペラの製造方法の実施に用いられるものであって、鍛造用金型47の具体的な構成は、次のようになる。
【0023】
即ち、鍛造プレス機における支持フレーム49の上側面には、鍛造用固定ブロック51が着脱可能に設けられている。そして、鍛造用固定ブロック51には、複数(タービンブレード9の枚数と同数)の鍛造用分割型53が径方向へ拡縮移動可能に設けられており、複数の鍛造用分割型53は、内側に、仕上前形状の成形体1Sにおけるタービンブレードの外縁に相当する部位11S(図6(a)参照)に対して鍛造を行う外縁鍛造部55、仕上前形状の成形体1Sにおけるタービンブレードの入口縁に相当する部位15S(図6(a)参照)に対して鍛造を行う入口縁鍛造部57を有している。また、鍛造プレス機における昇降可能(上下方向へ移動可能)なラム59の下側面には、作動ブロック61が着脱可能に設けられており、この作動ブロック61の下側面には、円錐台状の窪み63が形成されている。ここで、作動ブロック61の窪み63を複数8の鍛造用分割型53に接触させた状態で、ラム59を昇降させると、複数の鍛造用分割型53は径方向へ拡縮移動するようになっている。
【0024】
鍛造用固定ブロック51における複数の鍛造用分割型53の中心部には、鍛造用パンチ65が昇降可能(換言すれば、鍛造用固定ブロック51の厚み方向へ移動可能)に設けられており、この鍛造用パンチ65は、先端側に、成形体1Sにおけるタービンホイールの嵌合穴に相当する部位7S(図6(a)参照)に対して鍛造を行う穴鍛造部67を有している。また、鍛造用固定ブロック51における鍛造用パンチ65の下側には、鍛造用パンチ65を押上げる押上げロッド69が昇降可能に設けられており、この押上げロッド69は、油圧シリンダ等のロッド昇降用アクチュエータ(図示省略)の駆動によって昇降するものである。
【0025】
続いて、本発明の実施形態に係るインペラの製造方法について説明する。
【0026】
本発明の実施形態に係るインペラの製造方法は、タービンインペラ1を製造するための方法であって、射出工程、脱脂工程、焼結工程、鍛造工程を備えている。そして、各工程の具体的な内容は、次のようになる。
【0027】
(i)射出工程
図1に示すように、油圧シリンダ等のフレーム移動用アクチュエータ(図示省略)の駆動により可動フレーム27を右方向へ移動させることにより、複数の射出成形用分割型33を一体的に右方向へ移動させて、射出成形用一体型23に接触させる。更に、フレーム移動用アクチュエータの駆動により可動フレーム27を複数の射出成形用分割型33に対して右方向へ移動させることにより、複数の射出成形用分割型33を径方向内側へ収縮移動させて、射出成形用金型19の型締めを行う。
【0028】
射出成形用金型19の型締めの完了後に、射出ノズル43からスプール45、ランナー41、ゲート39を経由してキャビティ37に耐熱金属粉末(金属粉末の一例)と溶融状態のバインダとの混合物Mを射出して、キャビティ37内にバインダを硬化させる。これにより、タービンインペラ1の仕上前形状と相似形の成形体1F(図2及び図3参照)を成形することができる。なお、バインダとしては、ポリスチレン,ポリメチルメタアクリレート等の複数種の樹脂とパラフィンワックス等のワックスとからなるものを使用する。
【0029】
キャビティ37内にバインダを硬化させた後に、フレーム移動用アクチュエータの駆動により可動フレーム27を複数の射出成形用分割型33に対して左方向へ移動させることにより、複数の射出成形用分割型33を径方向外側へ拡張移動させる。更に、フレーム移動用アクチュエータの駆動により可動フレーム27を左方向へ移動させることにより、複数の射出成形用分割型33を一体的に左方向へ移動させて、射出成形用金型19の型開きを行う。そして、適宜の離型処理を行うことにより、成形体1Fを射出成形用金型19から取り外す。
【0030】
(ii)脱脂工程(除去工程)
射出工程の終了後に、図2に示すように、脱脂炉用治具(図示省略)を用いて、成形体1Fを脱脂炉71の所定位置にセットする。そして、脱脂炉71内を窒素ガス雰囲気中に保ちつつ、脱脂炉71のヒータ(図示省略)によって成形体1Fを所定の脱脂温度まで加熱する。これにより、成形体1Fに含まれるバインダを脱脂(除去)することができる。
【0031】
なお、バインダを脱脂する手法は、前述の加熱脱脂に限るものでなく、溶出脱脂、溶剤脱脂等の別の手法を採用しても構わない。
【0032】
(iii)焼結工程
脱脂工程の終了後に、図3に示すように、焼結炉用治具(図示省略)を用いて、成形体1Fを焼結炉73の所定位置にセットする。そして、焼結炉73内を真空雰囲気中に保ちつつ、焼結炉73のヒータ(図示省略)によって成形体1Fを所定の焼結温度まで加熱して、成形体1Fを焼成して焼結させる。これにより、図3において仮想線で示すように、成形体1Fを高密度化して仕上前形状(中間形状)まで熱収縮させて、仕上前形状の成形体(焼結体)1Sを作製することができる。
【0033】
(iv)鍛造工程
焼結工程の終了後に、図4に示すように、仕上前形状の成形体1Sを鍛造用金型47の所定位置にセットする。そして、油圧シリンダ等のラム昇降用アクチュエータ(図示省略)の駆動によりラム59を下降(下方向へ移動)させることにより、作動ブロック61を一体的に下降させて、作動ブロック61の窪み61を複数の鍛造用分割型53に接触させる。更に、ラム昇降用アクチュエータの駆動によりラム59を複数の鍛造用分割型53に対して下降させることにより、複数の鍛造用分割型53を作動ブロック61を径方向内側へ収縮移動させて、各鍛造用分割型53の外縁鍛造部55及び入口縁鍛造部57によって成形体1Sにおけるタービンブレードの外縁に相当する部位11S及び入口縁に相当する部位15Sに対して鍛造を行う。また、ロッド押上げ用アクチュエータの駆動により押上げロッド69を上昇(上方向へ移動)させて、鍛造用パンチ65を押上げることにより、鍛造用パンチ65の穴鍛造部67によって成形体1Sにおける嵌合穴に相当する部位7Sに対して鍛造を行う。これにより、タービンブレード9の外縁11、タービンブレード9の入口縁15、及びタービンホイール3の嵌合穴7を最終的に形成して、成形体1Sをタービンインペラ1の仕上形状に仕上げることができる。
【0034】
成形体1Sを仕上形状に仕上げた後に、ロッド押上げ用アクチュエータの駆動により押上げロッド69を下降させて、鍛造用パンチ65をタービンホイール3の嵌合穴7から離脱させる。また、ラム昇降用アクチュエータの駆動によりラム59を複数の鍛造用分割型53に対して上昇させることにより、複数の鍛造用分割型53を作動ブロック61を径方向外側へ拡張移動させる。更に、ラム昇降用アクチュエータの駆動によりラム59を上昇させることにより、作動ブロック61を一体的に上昇させて、作動ブロック61の窪み61を複数の鍛造用分割型53に対して離反させる。これにより、タービンインペラ1を鍛造用金型47から取り出すことができる。
【0035】
以上により、成形体1Sからなるタービンインペラ1の一連の製造が終了する。
【0036】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0037】
射出工程、脱脂工程、及び焼結工程を経ることによって仕上前形状の成形体1Sが作製されているため、換言すれば、精密鋳造に比べて寸法精度及び形状精度に優れた金属粉末射出成形法によって仕上前形状の成形体1Sが作製されているため、仕上前形状をタービンインペラ1の仕上形状に極力近づけることができる。また、仕上前形状をタービンインペラ1の仕上形状に極力近づけた上で、成形体1Sにおけるタービンブレードの外縁に相当する部位11S、タービンブレードの入口縁に相当する部位15S、及びタービンホイールの嵌合穴に相当する部位7Sに対して鍛造を行っているため、機械加工による仕上げを行うことなく、タービンブレード9の外縁11、タービンブレード9の入口縁15、及びタービンホイール3の嵌合穴7を高い寸法精度及び形状精度に仕上げることができる。
【0038】
従って、本発明の実施形態によれば、成形体1Sの仕上処理(タービンインペラ1の仕上処理)に要する時間を大幅に短縮して、タービンインペラ1の一連の製造時間を短くして、タービンインペラ1の生産性(製造性)及びタービンインペラ1の製造の作業性を向上させることができる。
【0039】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、本発明の実施形態に係るインペラの製造方法の製造対象をタービンインペラ1からコンプレッサインペラ(図示省略)に変更する等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0040】
1 タービンインペラ
1F 成形体
1S 成形体(焼結体)
3 タービンホイール
7 嵌合穴
7S 嵌合穴に相当する部位
9 タービンブレード
11 外縁
11S 外縁に相当する部位
15 入口縁
15S 入口縁に相当する部位
17 可変ノズル
19 射出成形用金型
21 固定フレーム
23 射出成形用一体型
25 副成形面
27 可動フレーム
29 ガイドブロック
31 絞り部
33 射出成形用分割型
35 主成形面
37 キャビティ
43 射出ノズル
47 鍛造用金型
49 支持フレーム
51 鍛造用固定ブロック
53 鍛造用分割型
55 外縁鍛造部
57 入口縁鍛造部
59 ラム
61 作動ブロック
65 鍛造用パンチ
67 穴鍛造部
69 押上げロッド
71 脱脂炉
73 焼結炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面中心部に過給機におけるロータ軸の端部と嵌合可能な嵌合穴が形成されたホイールと、このホイールの外周面に間隔を置いて一体形成された複数枚のブレードと備えてなるインペラを製造するための製造方法において、
前記インペラの仕上前形状を反転する形状と相似形の成形面を有した射出成形用金型を用い、前記射出成形用金型の前記成形面によって区画されるキャビティに金属粉末とバインダとの混合物を射出することにより、仕上前形状と相似形の成形体を成形する射出工程と、
前記射出工程の終了後に、前記成形体に含まれる前記バインダを脱脂する脱脂工程と、
前記射出工程の終了後に、前記成形体を焼成して焼結させることにより、前記成形体を仕上前形状まで熱収縮させて、仕上前形状の前記成形体を作製する焼結工程と、
前記焼結工程の終了後に、鍛造用金型を用い、前記成形体における前記ブレードの外縁に相当する部位及び前記ホイールの前記嵌合穴に相当する部位に対して鍛造を行うことにより、前記ブレードの外縁及び前記ホイールの前記嵌合穴を最終的に形成して、前記成形体を前記インペラの仕上形状に仕上げる鍛造工程と、を具備したことを特徴とするインペラの製造方法。
【請求項2】
前記射出成形用金型は、
前記ホイールの背面の仕上前形状を反転する形状と相似形の副成型面を有した射出成形用一体型と、
前記射出成形用一体型と対向し、前記射出成形用一体型に対して接近離隔する方向へ移動可能でかつ径方向へ拡縮移動可能であって、前記ホイールの背面を除く前記インペラの大部分の仕上前形状を反転する形状と相似形の主成形面を有した複数の射出成形用分割型とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載のインペラの製造方法。
【請求項3】
前記鍛造用金型は、
鍛造用固定ブロックと、
前記鍛造用固定ブロックに径方向へ拡縮移動可能に設けられ、前記成形体における前記ブレードの外縁に相当する部位に対して鍛造を行う外縁鍛造部を有した複数の鍛造用分割型と、
前記鍛造用固定ブロックにおける複数の前記鍛造用分割型の中心部に前記鍛造用固定ブロックの厚み方向へ移動可能に設けられ、前記成形体における前記ホイールの前記嵌合穴に相当する部位に対して鍛造を行う穴鍛造部を有した鍛造用パンチと、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインペラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−270645(P2010−270645A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122057(P2009−122057)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】