説明

ウエハテスト装置

【課題】設置面積を縮小させ、装置が有するケーブルを細くかつ短くすることが可能なウエハテスト装置を提供する。
【解決手段】テスト対象ウエハ13が載置されるステージ12を有する筐体11と、ステージ12上に配置され、複数のピン21を有するプローブカード20と、プローブカード20に接続され、テスト対象ウエハ13をテストするために必要な回路が形成されたテストボード19と、テストボード19が載置されたテストヘッド15と、テストヘッド15を旋回可能に支持するテストヘッド旋回装置16と、を具備するウエハテスト装置であって、前記テストヘッド15にはテスト対象ウエハ13の静特性または動特性をテストする複数のユニット25乃至29が収められるとともに、テストヘッド旋回装置16内には、電源を供給する電源ユニット23および、テストヘッド15を冷却する冷却ユニット22が収められ、ケーブル29により接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ上に形成された複数の半導体装置の電気的特性をテストするためのウエハテスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウエハテスト装置は、半導体試験装置(以下、テスタと称す)と、ウエハの搬送およびプロービングを行うハンドラー(以下、プローバと称す)と、により構成されている。
【0003】
テスタは、テスト対象ウエハに形成された個々の半導体装置にテスト信号を供給し、その結果を受けとることにより、製品の良否判定を行う装置である。このテスタは、テスタ本体および、テストヘッドにより構成され、このうちテストヘッドは、テスタ本体とは別のテストヘッド旋回装置に固定されている。
【0004】
上述のテスタにおいて、テスタ本体の内部には、DC測定ユニット、ファンクション測定ユニット、ファンクションパターン発生器、メモリ、電源ユニットおよび冷却ユニットといった、テストするために必要なユニットがそれぞれ搭載されている。ここで、ファンクションパターンとは、ウエハに形成された個々の半導体に印加する入力信号及び、半導体から出力された信号を比較するための期待値が記述されたものを意味する。
【0005】
一方で、テストヘッドは、テスト用の回路基板を有し、その上にテストボードが固定される。そして、テスタ本体とテストヘッドは、それぞれケーブルを介して電気的に接続されている(特許文献1等参照)。
【0006】
なお、このケーブルは、例えば直径が30cm、長さが5m程度であり、非常に重量が重くかつ長いものである。
【0007】
このような従来のテスタは、テスタ本体の回路基板が、例えばPC(Personal Computer)からなるテスタコントローラに接続されており、テスタコントローラからの指令によって、テスタ本体の回路基板に搭載された各ユニットが動作する。
【0008】
プローバは、内部にステージを有するものであり、テスト対象ウエハをステージ上に搬送する装置である(特許文献2等参照)。このステージは、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ移動可能であり、ステージの移動および、テスト対象ウエハの搬送は、このプローバが有するタッチパネルを操作することにより、所望の箇所に移動、若しくは搬送される。
【0009】
上述したテスタ及びプローバは、それぞれ専門メーカで作製されるものであり、別々の装置としてそれぞれリリースされる。
【0010】
ところで、近年のテスタは、テスタチャンネルが増加する一方で、小型化が進んでいる。しかし、プローバは、テスト対象ウエハの口径が、6インチ、8インチ、12インチと大きくなるに従い、大型化している。従って、テスタが小型化されているにも関わらず、ウエハテスト装置の設置面積が大きいという問題がある。
【0011】
また、テスタ本体を接続するケーブルは太く、かつ長いものであるため、このケーブルがウエハテスト装置の設置面積をさらに大きくする要因でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−137058号公報
【特許文献2】特開2008−177897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、設置面積を縮小させ、装置が有するケーブルを細くかつ短くすることが可能なウエハテスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による半導体試験装置は、テスト対象ウエハを載置し、任意の方向に移動可能なステージおよび、このステージ上に前記テスト対象ウエハを搬送する搬送手段を有する筐体と、この筐体の前記ステージ上に配置され、前記テスト対象ウエハと導通するための複数のピンを有するプローブカードと、少なくともテスト時には前記プローブカードに接続され、前記テスト対象ウエハをテストするために必要な回路が形成されたテストボードと、このテストボードが載置されたテストヘッドと、このテストヘッドに収められ、テスタコントローラからの指令によって、前記テスト対象ウエハの静特性または動特性をテストする複数のユニットと、前記テストヘッドを旋回可能に支持するテストヘッド旋回装置と、このテストヘッド旋回装置若しくは前記筐体内部に納められ、前記テスタコントローラからの指令によって前記複数のユニットに電源を供給する電源ユニットおよび、前記テスタコントローラからの指令によって前記テストヘッドを冷却する冷却ユニットと、これらの電源ユニットおよび冷却ユニットと前記テストヘッドとを電気的に相互に接続するケーブルと、を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設置面積を縮小させ、装置が有するケーブルを細くかつ短くすることが可能なウエハテスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るウエハテスト装置の構成を示す図である。
【図2】図1のウエハテスト装置において、各ユニットの接続関係を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係るウエハテスト装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るウエハテスト装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るウエハテスト装置において、筐体11の内部には、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ移動可能なステージ12および、ステージ12上部付近にプローブカード20が設けられている。このステージ12上には、筐体11の側面に設けられたウエハ搬入口(図示せず)から搬入され、例えばアーム等のウエハ搬送手段(図示せず)によって搬送されたテスト対象ウエハ13が載置される。
【0019】
また、上述の筐体11は、テスト対象ウエハ13をテストする際の温度等の条件を整えるための機能を有する。例えば、常温以下の低温下でテストする場合、低温のドライエアーを筐体11の内部に充満させることにより、筐体11の内部の温度を下げる。
【0020】
なお、ステージ12の移動、ウエハ13の搬送およびテスト条件の設定は、例えば筐体11の上面に設けられたタッチパネル14を操作することにより行われる。
【0021】
この筐体11の近傍には、後述するテストヘッド15を旋回可能に支持するテストヘッド旋回装置16が設けられている。このテストヘッド旋回装置16は、ヒンジ部17に固定されたアーム状の固定部材18の先端にテストヘッド15が設けられることにより、テストヘッド15を、筐体11上に支持している。
【0022】
テストヘッド15は、図1に示される矢印aの方向に旋回可能である。旋回動作は、例えば、エアーによりヒンジ部17を図1の矢印aで示される方向に回転させることにより行われる。
【0023】
このように旋回可能なテストヘッド15上には、複数のピン(図示せず)が設けられており、これらのピン上に、テストするために必要な周辺回路等が搭載されたテストボード19が載置されている。また、テストヘッド15をプローバ側に旋回させることにより、コンタクトリング50を介して、筐体11にセットされたプローブカード20と接続する。
【0024】
プローブカード20は、テスト対象ウエハ13に形成された複数の半導体装置がそれぞれ有する電極パッドに接触する複数のピン21を有している。そして、テスト対象ウエハ13に形成された個々の半導体装置のテストは、ファンクションパターン(テスト信号)等を、複数のピン21から個々の半導体装置に供給することにより行われる。さらに、ファンクションパターン等が供給されることにより行われたテスト結果は、複数のピン21を介してプローブカード20に返される。
【0025】
なお、テストボード19は、テスト対象ウエハ13に形成された特定の複数の半導体装置のテストに対応するように形成されたものである。従って、例えば、異なる複数の半導体装置をテストする場合には、これに対応したテストボード19に交換する必要がある。上述したテストヘッド15の旋回動作は、例えば、テストボード19を交換する際に行われる。
【0026】
次に、DC測定ユニット、ファンクション測定ユニット、ファンクションパターン発生器、メモリからなる、テスト対象ウエハ13の静特性または動特性をテストするためのユニットおよび、電源ユニット、冷却ユニットといったユニットについて説明する。図2は、本実施形態に係るウエハテスト装置において、ユニットの接続関係を説明するためのブロック図である。
【0027】
図2に示すように、冷却ユニット22および電源ユニット23は、テストヘッド旋回装置16内に収められている。一方で、DC測定ユニット25、ファンクション測定ユニット26、ファンクションパターン発生器27およびメモリ28は、テストヘッド15に組み込まれている。そして、テストヘッド旋回装置16内の各ユニット22、23とテストヘッド15とは、図1に示すケーブル29により、電気的に接続されている。
【0028】
テストヘッド旋回装置16内に収められた冷却ユニット22は、例えばファン、水冷装置等のテストヘッド15を冷却するための冷却装置を動作させるためのユニットである。また、電源ユニット23は、テストヘッド15に組み込まれた各ユニット25乃至28とテストヘッド15上に固定するテストボード19に電源を供給するためのユニットである。
【0029】
これらの冷却ユニット22および電源ユニット23は、例えばPC(Personal Computer)からなるテスタコントローラ30に電気的に接続されている。そして、冷却ユニット22および電源ユニット23は、テスタコントローラ30からの指令を受けとることにより、冷却装置を動作させる信号または、テストヘッド15に組み込まれた各ユニット25乃至28の電源を、ケーブル29を介して供給する。
【0030】
一方で、テストヘッド15に組み込まれたDC測定ユニット25は、プローブカード20に設けられた複数のピン21を介してテスト対象ウエハ13に形成された複数の半導体装置に直流電圧や直流電流を供給することにより、各半導体装置の静特性をテストするためのユニットである。このユニットは、各半導体装置の静特性のテスト結果を受けとり、個々の半導体装置が良品であるか否かを判定する機能も有する。
【0031】
また、ファンクションパターン発生器27およびファンクション測定ユニット26は、プローブカード20に設けられた複数のピン21を介してテスト対象ウエハ13に形成された複数の半導体装置にファンクションパターンを供給することにより、各半導体装置の動特性をテストするためのユニットである。このうち、ファンションパターンの発生およびこのパターンのドライブは、ファンクションパターン発生器27によって行われ、各半導体装置の動特性のテスト結果を受けとり、個々の半導体装置が良品であるか否かの判定は、ファンクション測定ユニット26により行われる。
【0032】
また、メモリ28は、各半導体装置の静特性および動特性をテストするために必要なファンクションデータが格納されるユニットである。
【0033】
テストヘッド15に組み込まれたこれらのユニット25乃至28は、テスタコントローラ30からの指令を、直接またはテストヘッド旋回装置16内の冷却ユニット22および電源ユニット23、ケーブル29、テストボード19を介して受けとることにより動作する。
【0034】
上述のウエハテスト装置によるウエハテスト方法は、以下の通りである。
【0035】
まず、タッチパネル14を操作することにより、テスト対象ウエハ13をステージ12上に搬送し、テスト対象ウエハ13が載置されたステージ12を、所望の位置に移動させる。ここで、所望の位置とは、テスト対象ウエハ13に形成された複数の半導体装置の電極パッドと、プローブカード20に設けられた複数のピン21とが接触する位置である。
【0036】
次に、冷却ユニット22および電源ユニット23が動作するように、対応する指令をテスタコントローラ30から冷却ユニット22および電源ユニット23に供給する。
【0037】
これらにより、ウエハテスト装置によるウエハテストの準備がなされる。
【0038】
以上のようにウエハテスト装置によるウエハテストの準備がなされた後、テスタコントローラ30を操作することにより、複数の半導体装置の静特性、もしくは動特性がテストされる。このテストは、例えば複数の半導体装置の静特性をテストする場合、対応する指令をテスタコントローラ30からDC測定ユニット25に供給することにより行われる。
【0039】
例えば静特性のテストが実行されると、その結果は、プローブカード20に設けられたピン21を介してDC測定ユニット25に返される。このとき、DC測定ユニット25は、その結果によって、テストされた半導体装置が正常に動作したか否かを判定する。判定の結果は、テスタコントローラ30に返され、例えばテスタコントローラ30が有するモニタ31上に表示される。これにより、テスト結果を知ることができる。
【0040】
以上のようにウエハテストは実行される。
【0041】
以上に説明したように、本実施形態に係るウエハテスト装置によれば、DC測定ユニット25、ファンクション測定ユニット26、ファンクションパターン発生器27およびメモリ28からなる各ユニットは、テストベッド15に組み込まれ、電源ユニット23および冷却ユニット22は、テストヘッド旋回装置16内に収められている。これにより、従来のウエハテスト装置が有するテスタ本体は不要となる。したがって、本実施形態に係るウエハテスト装置の設置面積は、従来のウエハテスト装置の設置面積より縮小させることができる。
【0042】
また、DC測定ユニット25、ファンクション測定ユニット26、ファンクションパターン発生器27およびメモリ28からなる各ユニットがテストヘッド15に組み込まれたこと、および、テスタ本体が不要となったことにより接続するケーブル29は、例えば直径を10cm、長さを2m程度まで細くかつ短くすることができる。
【0043】
以上に、本実施形態に係るウエハテスト装置について説明した。しかし、本発明は、上述のウエハテスト装置に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に変形可能である。
【0044】
例えば、電源ユニット23および冷却ユニット22は、筐体11の底部に収められてもよく、この場合であっても、ウエハテスト装置の設置面積の縮小させることができ、また、ケーブル29を細くかつ短くすることができる。
【0045】
また、本発明のウエハテスト装置は、例えば筐体11の内部に、テスト対象ウエハ13に形成された複数の半導体装置が有する電極の位置を検出するカメラ、プローブカード20が有する複数のピン21の位置を検出するカメラ等を有していてもよい。
【0046】
また、本発明のウエハテスト装置において、テストボード19は、必ずしもテストヘッド15上に載置される必要はなく、テストボード19とプローブカード20とが、電気的に接続されていればよい。従って、テストボード19は、例えばテストヘッド15の内部に収められてもよい。
【符号の説明】
【0047】
11・・・筐体
12・・・ステージ
13・・・テスト対象ウエハ
14・・・タッチパネル
15・・・テストヘッド
16・・・テストヘッド旋回装置
17・・・ヒンジ部
18・・・固定部材
19・・・テストボード
20・・・プローブカード
21・・・ピン
22・・・冷却ユニット
23・・・電源ユニット
25・・・DC測定ユニット
26・・・ファンクション測定ユニット
27・・・ファンクションパターン発生器
28・・・メモリ
29・・・ケーブル
30・・・テスタコントローラ
31・・・モニタ
50・・・コンタクトリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト対象ウエハを載置し、任意の方向に移動可能なステージおよび、このステージ上に前記テスト対象ウエハを搬送する搬送手段を有する筐体と、
この筐体の前記ステージ上に配置され、前記テスト対象ウエハと導通するための複数のピンを有するプローブカードと、
少なくともテスト時には前記プローブカードに接続され、前記テスト対象ウエハをテストするために必要な回路が形成されたテストボードと、
このテストボードが載置されたテストヘッドと、
このテストヘッドに収められ、テスタコントローラからの指令によって、前記テスト対象ウエハの静特性または動特性をテストする複数のユニットと、
前記テストヘッドを旋回可能に支持するテストヘッド旋回装置と、
このテストヘッド旋回装置若しくは前記筐体内部に納められ、前記テスタコントローラからの指令によって前記複数のユニットに電源を供給する電源ユニットおよび、前記テスタコントローラからの指令によって前記テストヘッドを冷却する冷却ユニットと、
これらの電源ユニットおよび冷却ユニットと前記テストヘッドとを電気的に相互に接続するケーブルと、
を具備することを特徴とするウエハテスト装置。
【請求項2】
前記複数のユニットは、前記複数のピンを介して前記テスト対象ウエハに直流電圧または直流電流を供給することにより静特性をテストし、このテスト結果を判定するDC測定ユニットと、
前記テスト対象ウエハのテストに必要なテスト信号を発生させ、このテスト信号を前記複数のピンを介して前記テスト対象ウエハに供給することにより動特性をテストするファンクションパターン発生器と、
前記動特性のテスト結果を判定するファンクション測定ユニットと、
前記静特性および前記動特性をテストするために必要なデータが格納されるメモリと、
からなることを特徴とする請求項1に記載のウエハテスト装置。
【請求項3】
前記テストボードは、コンタクトリングを介して前記プローブカードに接続されたことを特徴とする請求項1または2に記載のウエハテスト装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記テスト対象ウエハのテスト条件を整えるための機能を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウエハテスト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−60911(P2011−60911A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207428(P2009−207428)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】