説明

ウエハ収納容器

【課題】半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを、シンプルでかさばらない低コストの構成で容器内の空間から効率的に除去することができ、さらに、そのような汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができるウエハ収納容器を提供すること。
【解決手段】蓋体2の内壁面とウエハ支持体7とで形成された少なくとも一つの空間において複数の半導体ウエハWの軸方向に伸びた略全範囲にわたって、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルアブソーバ19が配置されている。このケミカルアブソーバ19の補強フレーム15、16に形成されたアブソーバ係止部18によってウエハ支持体7に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の半導体ウエハを外部環境から隔離された清浄な環境中に収納して輸送、保管するために使用されるウエハ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ収納容器には一般に、容器本体と、その容器本体の開口部を気密に塞ぐ蓋体とが設けられていて、複数の半導体ウエハを収納した状態で、外部環境から隔離された完全な密閉状態にすることができる。しかし、容器内外の環境要因により、容器内の空気中には有機ガス成分、酸性ガス成分及びアルカリ性ガス成分等のような、半導体ウエハに対して悪影響を及ぼす可能性のある種々のガス(以下、「汚染ガス」という)が含まれている。そこで従来は、汚染ガスを吸着するためのケミカルアブソーバを容器内に配置したり(例えば、特許文献1、2)、ケミカルアブソーバに加えてさらに容器内に循環気流を形成したりするためのファンモータ等を配置していた(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3336652号公報
【特許文献2】特開2004−260087号公報
【特許文献3】特開2001−77188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載された発明等のように容器内の適宜の位置にケミカルアブソーバを配置しても、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することはできず、汚染ガスによる半導体ウエハに対する悪影響防止の効果は限定的なものでしかなかった。また、引用文献3に記載された発明等のように、容器内に循環気流を形成するためのファンモータ等を配置すると、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することができるようになるが、容器の構成が大掛かりになるため、非常に取り扱い難くなると同時に大幅なコスト高になってしまう。また、従来のウエハ収納容器では、使用されるケミカルアブソーバの種類が使用環境等に対応して精査されていないため、容器中に含まれる各種汚染ガスの一部のガスしか吸着除去できない場合が少なくなかった。
【0004】
本発明は、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを、シンプルでかさばらない低コストの構成で容器内の空間から効率的に除去することができ、さらに、そのような汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができるウエハ収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のウエハ収納容器は、複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、シールを介して、容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、容器本体内において複数の半導体ウエハを軸方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、複数の半導体ウエハの外縁に対向する蓋体の内壁面の領域に複数の半導体ウエハの軸方向に伸びた状態に形成された凹部と、ウエハ支持体と協働して複数の半導体ウエハを押さえて固定するように凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルアブソーバが、上記容器本体と上記ウエハ支持体との間隙であって上記複数の半導体ウエハにおける軸方向の略全範囲にわたって配置されているものである。
【0006】
なお、ウエハ支持体には、ケミカルアブソーバが配置された空間と半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されているとよい。
【0007】
また、ケミカルアブソーバの外縁全体に沿って補強フレームが設けられていてもよい。
さらに、容器本体とウエハ支持体によって形成された空間内に配置されたケミカルアブソーバが、その空間内からの離脱をウエハ支持体自体により規制されていてもよい。あるいは、ケミカルアブソーバをウエハ支持体に係止するためのアブソーバ係止部が、上記補強フレームに形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋体の内壁面に形成された凹部内の空間がそこに配置されたウエハ押さえ部材により仕切られて、その空間内にケミカルアブソーバが配置されていることにより、ウエハ収納容器をシンプルでかさばらない低コストの構成にすることができる。そして、ケミカルアブソーバが配置された凹部が、複数の半導体ウエハの軸方向に伸びた状態に形成されていることにより、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを容器内の空間から効率的に除去することができる。また、ケミカルアブソーバに用いる化学吸着剤として、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用化学吸着剤、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用化学吸着剤、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用化学吸着剤の中の一つ又は複数を選択することにより、汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1はウエハ収納容器の側面断面図、図2はウエハ収納容器の内部を示す斜視図、および図3は容器本体の部分正面断面図である。
【0010】
各図に示される1は、例えばポリカーボネート等のような汚染ガス発生の比較的少ないプラスチック材によって形成された容器本体である。容器本体1は、複数(この実施の形態では25枚)の半導体ウエハWを収納することができる大きさで、その上面または側面だけが開口した形状に形成されている。そして、容器本体1の内側には、複数の半導体ウエハWをそれらの軸方向に一定の間隔をあけた整列状態で支持することができる一対のウエハ支持体7が、あい対向して容器本体1の内壁面に沿って配置されている。プラスチック材で形成された各ウエハ支持体7には、半導体ウエハWを載せるためのV状の断面形状をしたウエハ支持溝8が例えば25個ずつ等間隔に形成されている。一対のウエハ支持体7の間に存在し開口に対向する容器本体1の底部は空間になっている。なお、ウエハ支持体7の構成はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
容器本体1の開口部には蓋体2が着脱自在に取り付けられる。蓋体2が容器本体1に取り付けられた状態では、弾力性のある部材で環状に形成されたシール材3により容器本体1の開口部が気密に塞がれて、ウエハ収納容器内が外部環境から隔離された完全な密閉状態になる。なお、シール材3はこの実施の形態では蓋体2に取り付けられているが、蓋体2自体でシール材3を形成してもよく、あるいはシール材3を容器本体1側に設けても差し支えない。国際半導体製造装置材料協会の規格によって公知のように、機械装置によって自動的に蓋の開閉を行うことが可能なウエハ収納容器には、蓋体2を容器本体1に対してロックするための図示していない一対のラッチ機構を有している。これら各ラッチ機構は蓋体2を真っ直ぐに貫通する状態に蓋体2内の外縁寄りの位置に配置されており、蓋体2はラッチ機構を内蔵するのに十分な厚みに形成されている。
【0012】
蓋体2の内壁面(即ち裏側の面)には、図示しない一対のラッチ機構が配置された肉厚の厚い部分の間の位置に凹部4が形成されて、その部分は蓋体2の厚みが薄くなっている。凹部4は、容器本体1の底面に対して垂直に保持された複数の半導体ウエハWの外縁に上方から対向する状態に蓋体2の中心線を挟んでその両側に均等な幅をとって形成され、その底面が一定の深さの平面になっている。そして凹部4は、図1に示されるように複数の半導体ウエハWの軸方向に真っ直ぐに伸びて、両端が各々シール材3の内側付近に隣接する大きさの長方形状に形成され、複数の半導体ウエハW全部の外縁に対向する大きさになっている。
【0013】
そのような凹部4内には、容器本体1内に配置された一対のウエハ支持体7と協働して全部の半導体ウエハWを上方から弾力的に押さえて固定するためのプラスチック材等からなるウエハ押さえ部材5が配置されている。この実施の形態のウエハ押さえ部材5は、凹部4の長手方向の中心線を挟んでその両側に分かれて一対配置されていて、自己の弾性又は蓋体2に形成された係止突起(図示せず)等により蓋体2に対して分離自在に係止されている。各ウエハ押さえ部材5は、基部付近以外の部分が、ウエハ支持体7のウエハ支持溝8に対応して、図示しないスリットにより半導体ウエハWの軸方向に隙間をあけて細長く均等に分割されている。この実施の形態では、各ウエハ押さえ部材5がスリットにより25分割されている。
【0014】
一対のウエハ押さえ部材5は、蓋体2の内壁面に形成された凹部4内の空間を、複数の半導体ウエハWの軸方向に伸びた三つの領域に仕切る形状に形成されている。具体的には、各ウエハ押さえ部材5が、各々の基部寄りの半部で凹部4の底面との間に長方形状の空間を形成し、各々の先端寄りの半部どうしでさらに凹部4の底面との間に第3の空間を形成する形状に曲げて形成されている。各ウエハ押さえ部材5の先端寄りの半部は半導体ウエハWに触れる位置まで突出していて、そこに形成されたV状の断面形状のウエハ押さえ溝6内に半導体ウエハWが嵌められて、ウエハ押さえ部材5が半導体ウエハWに押し付けられて弾性変形した状態になっている。
【0015】
一方、図1と図3に示すように、容器本体1とウエハ支持体7とで囲まれることにより形成された二つの空間のうちの少なくとも一つの空間内には、ケミカルアブソーバ9および10が配されている。このケミカルアブソーバ9および10は、図1に示すように、半導体ウエハWの軸方向に伸びて半導体ウエハWが配されている領域のほぼ全領域にわたって配されている。このケミカルアブソーバ9および10は、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用化学吸着剤、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用化学吸着剤、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用化学吸着剤のうちの少なくとも一種類を用いたケミカルアブソーバとなっている。この実施の形態においては、ケミカルアブソーバは一方の空間に2つ、他方の空間に2つの計4つ配されている場合を示したが、所定のガス吸着特性を確保することが可能であれば、両空間に1つずつ配しても良いし、片側の空間に1つだけ配しても良い。ウエハ支持体7には、各ケミカルアブソーバ9と10が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている。具体的には、この実施の形態においては各ウエハ支持体7を分割するスリットが通気孔になっている。なお、ウエハ収納容器内の空気を循環させるためのファンモータその他の装置は一切設けられていない。
【0016】
図4にウエハ支持体7の具体的構成を示す。図4はウエハ支持体の構成を示す斜視図である。ウエハ支持体7は、半導体ウエハWの周縁方向に伸びてその軸方向に複数整列したフィン13と、これらのフィン13を連結する結合部14とから主に構成されており、フィン13と結合部14とで囲繞される空間がスリットになっている。そして、最下部に位置する結合部14はスリットによってV溝形状に切込みが入れられており、これがウエハ支持溝8を形成している。また、最上部ぶ位置する結合部14の側部には一対の上部係止部11が、最下部に位置する結合部14の側部には一対の下部係止部12が形成されている。これらウエハ支持体7に形成された上部係止部11と下部係止部12とは、容器本体1の内部側面に設けられた図示しない係止溝に篏合して、ウエハ支持体7を容器本体1に取り付ける作用をする。
【0017】
ケミカルアブソーバとしては、酸性ガス用化学吸着剤とアルカリ性ガス用化学吸着剤、および有機ガス用化学吸着剤を用いたものを適切に配することで効果的な不純物ガス吸着を行うことができる。すなわち、有機ガス用化学吸着剤を酸性ガス用化学吸着剤とアルカリガス用化学吸着剤との間に位置させることで、酸性ガス用化学吸着剤とアルカリ性ガス用化学吸着剤とが相互に影響を与えることを防止することができる。なお、有機ガス用化学吸着剤用のガス吸着剤としては例えば活性炭等を用いて、芳香族炭化水素、シロキサン成分、アルコール類、エステル類等の有機物よりなるガスを吸着除去することができる。活性炭は活性炭粉末を不織布袋等の中に入れたものを用いても良いが、シート状に加工した活性炭シートを用いるのが便利である。活性炭シートとしては、繊維状活性炭そのものを不織布状にしたもの、又は不織布状のシートを形成する過程でこれに粉末の活性炭を添着したもの等を用いることができる。
【0018】
酸性ガス用化学吸着剤用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えば炭酸カリウム等のアルカリ性化合物を添着した吸着剤を用いて、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の酸性物質よりなるガスを吸着除去することができる。また、アルカリ性ガス用化学吸着剤用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えばリン酸等の酸性化合物を添着した吸着剤を用いて、アンモニア、アミン類等のアルカリ性物質よりなるガスを吸着除去することができる。また、吸着剤としては活性炭以外にも、表面活性処理をした金属繊維やセラミック吸着剤などをも用いることができる。
【0019】
図12は、上述の実施の形態に係るウエハ収納容器内の汚染ガス除去の効果を確認するために行った実験の、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析結果を示している。比較のために、ケミカルアブソーバ9と10が使用されない場合(図13)と、ケミカルアブソーバ9と10が半導体ウエハWの径方向に一か所に配置された場合(図14)についても同一条件にて実験を行った。なお、ウエハ収納容器は実験前に蓋体2を開いて有機濃度の高い室内(即ち、普通の建物の室内)に一週間保管し、クリーンルーム内で直径30cmの半導体ウエハW25枚とケミカルアブソーバ9と10とをセットした。そして、蓋体2を閉じて三日間放置後に、テナックス管を用いてウエハ収納容器内の空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析を行った。その結果、上述の実施の形態に示したようにケミカルアブソーバ9と10を図1および図3に示すように配置することにより、ウエハ収納容器内の汚染ガスが著しく減少することが確認された。このように、有機ガス用化学吸着剤、酸性ガス用化学吸着剤、及びアルカリ性ガス用化学吸着剤の三種類の化学吸着剤を全て配置すれば汚染ガスの大半を吸着除去することができ、ウエハ収納容器の使用環境等に合わせて一つ又は複数の化学吸着剤を選択することで、効率的かつ効果的に汚染ガスを吸着除去することができる。
【0020】
上述のようにしてウエハ収納容器内に配置される各ケミカルアブソーバ19は、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ(メンブレンフィルタ)で囲繞してその内側に封止するのが好ましい。そのようにすることで、ケミカルアブソーバを形成するガス吸着物質がケミカルアブソーバ外に拡散することを防止することができると同時に、ガス吸着物質の吸着機能が空気中のガス以外の粒状物等によって劣化することを防止することができる。そのような膜状フィルタとしては、PTFEやPFA等のような四フッ化エチレン樹脂系の多孔質フィルムを用いることができ、厚みを例えば0.02〜0.05mm程度と極めて薄く形成することができる。
【0021】
図7は、そのような膜状フィルタ20と21で化学吸着剤を囲繞して封止する状態を略示しており、ここでは三つに分割された化学吸着剤22、23、および24が同一面に並べられて二枚の膜状フィルタ20と21の間にサンドイッチ状に配置されている。三つの化学吸着剤22、23、および24は、同種のフィルタでもよいが異なる種類のフィルタであってもよい。そして、図8に示されるように、重ね合わされた二枚の膜状フィルタ20と21を外縁部と各化学吸着剤22、23、および24の間の部分とにおいて互いに融着することにより、化学吸着剤が膜状フィルタの内側に封止された状態になる。このとき、膜状フィルタ20は3つの部分20a、20b、および20cに分断されて機能することになる。25が融着部である。
【0022】
図9は、有機ガス用化学吸着剤27と酸性ガス用化学吸着剤26とアルカリ性ガス用化学吸着剤28の三つの化学吸着剤を、酸性ガス用化学吸着剤26とアルカリ性ガス用化学吸着剤28とで有機ガス用化学吸着剤27を挟み込んだ状態に積層形成して配置した状態を略示している。このように三種類の化学吸着剤26、27、および28を積層することにより面積効率が向上し、有機ガス用化学吸着剤27を酸性ガス用化学吸着剤26とアルカリ性ガス用化学吸着剤28との間に挟み込む配置にすることにより、酸性ガス用化学吸着剤26とアルカリ性ガス用化学吸着剤27とが相互に化学反応を起こすことを防止することができる。そして、この場合にも、図9に示されるように、積層された三種類の化学吸着剤26、27、および28を、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ20と21で一まとめに囲繞して、図10に示されるように膜状フィルタ20と21の外縁部を全周にわたって融着するとよい。25が融着部であり、その効果は前述の通りである。図13に示されるように、三種類の各化学吸着剤を各々長手方向に複数に分割して26a、26b、27a、27b、および28a、28bとし、各分割片どうしを積層して膜状フィルタ20と21内に封止するようにしてもよい。
【0023】
なお、ケミカルアブソーバ19を容器本体1とウエハ支持体7との間に形成される空間内に安定した状態に保持するために、図5に示されるように、化学吸着剤を囲繞する膜状フィルタの外縁の融着部に沿って、例えば板状のプラスチック材からなる補強フレーム15と16とを設けてもよい。一対の補強フレーム15と16でケミカルアブソーバ19の融着部を挟み込む構成を採る場合には、きつく嵌まり合う係合ピン17aと係合孔17bを各々補強フレーム16と15に形成しておくと容易に組み立てることができる。二枚の補強フレームのうち容器本体1の内壁に面する方の補強フレーム16は、膜状フィルタの全面に面する板状に形成しても差し支えない。また、2枚の補強フレームにはケミカルアブソーバが環境に暴露するように開口が設けられている。
【0024】
また、図8と図9に示されるように、ケミカルアブソーバ19を係止するためのアブソーバ係止部18を補強フレームに形成してもよい。本実施形態のアブソーバ係止部18は抜け防止のためのフックを持ったスナップ構造をしており、図4に示したウエハ支持体7に設けられた上部係止部11または下部係止部12に篏合して、ウエハ支持体7に脱着自在に取り付けることができる。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばウエハ支持体7の形状等はどのようなものであってもよく、ウエハ押え部材5と協働して複数の半導体ウエハWを押さえて固定する機能を有していて、ケミカルアブソーバ9と10が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気路が形成されているものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るウエハ収納容器の側面断面図である。
【図2】本発明に係るウエハ収納容器の内部配置を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るウエハ収納容器の部分正面断面図である。
【図4】本発明に係るウエハ収納容器のウエハ支持体を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るケミカルアブソーバの補強構造を示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係るケミカルアブソーバの補強構造を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るケミカルアブソーバの分解斜視図である。
【図8】本発明に係るケミカルアブソーバの斜視図である。
【図9】本発明に係るケミカルアブソーバの分解斜視図である。
【図10】本発明に係るケミカルアブソーバの斜視図である。
【図11】本発明に係るケミカルアブソーバの分解斜視図である。
【図12】本発明に係るウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果を確認する実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図13】本発明に係るウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルアブソーバを省いた場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図14】本発明に係るウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルアブソーバを半導体ウエハの面と平行に配置した場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【符号の説明】
【0027】
1 容器本体
2 蓋体
3 シール材
4 凹部
5 ウエハ押さえ部材
7 ウエハ支持体
9、10 ケミカルアブソーバ
15、16 補強フレーム
18 アブソーバ係止部
20、21 膜状フィルタ
25 融着部
26 酸性ガス用化学吸着剤
27 有機ガス用化学吸着剤
28 アルカリ性ガス用化学吸着剤
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、シールを介して、上記容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように上記容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、上記容器本体内において上記複数の半導体ウエハをその軸方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、上記複数の半導体ウエハの外縁に対向する上記蓋体の内壁面の領域に上記複数の半導体ウエハの面に対して略垂直な方向に伸びた状態に形成された凹部と、上記ウエハ支持体と協働して上記複数の半導体ウエハを押さえて固定するように上記凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、
特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルアブソーバが、上記容器本体と上記ウエハ支持体との間隙であって上記複数の半導体ウエハにおける軸方向の略全範囲にわたって配置されていることを特徴とするウエハ収納容器。
【請求項2】
上記ウエハ支持体には、上記ケミカルアブソーバが配置された空間と上記半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている請求項1記載のウエハ収納容器。
【請求項3】
上記ケミカルアブソーバの外縁全体に沿って補強フレームが設けられており、当該ケミカルアブソーバを上記ウエハ支持体に係止するためのアブソーバ係止部が、前記補強フレームに形成されている請求項1または2のいずれかの項に記載のウエハ収納容器。
【請求項4】
上記補強フレームは、少なくとも上記半導体ウエハ側の面に上記ケミカルアブソーバを露出させるための開口を有している請求項3記載のウエハ収納容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−141080(P2008−141080A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327726(P2006−327726)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【出願人】(596042578)日本ピュアテック株式会社 (15)
【出願人】(506224218)アドハンド株式会社 (6)
【Fターム(参考)】