ウエハ収納容器
【課題】半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを、シンプルでかさばらない低コストの構成で容器内の空間から効率的に除去することができ、さらに、そのような汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができるウエハ収納容器を提供すること。
【解決手段】蓋体5の内壁面に形成された凹部8内の空間が、ウエハ押さえ部材10により複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタ20がウエハ押さえ部材10によって仕切られた凹部8内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されている。
【解決手段】蓋体5の内壁面に形成された凹部8内の空間が、ウエハ押さえ部材10により複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタ20がウエハ押さえ部材10によって仕切られた凹部8内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の半導体ウエハを外部環境から隔離された清浄な環境中に収納して輸送、保管するために使用されるウエハ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ収納容器には一般に、容器本体と、その容器本体の開口部を気密に塞ぐ蓋体とが設けられていて、複数の半導体ウエハを収納した状態で、外部環境から隔離された完全な密閉状態にすることができる。しかし、容器内外の環境要因により、容器内の空気中には有機ガス成分、酸性ガス成分及びアルカリ性ガス成分等のような、半導体ウエハに対して悪影響を及ぼす可能性のある種々のガス(以下、「汚染ガス」という)が含まれている。そこで従来は、汚染ガスを吸着するためのケミカルフィルタを容器内に配置したり(例えば、特許文献1、2)、ケミカルフィルタに加えてさらに容器内に循環気流を形成するためのファンモータ等を配置していた(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3336652号公報
【特許文献2】特開2004−260087号公報
【特許文献3】特開2001−77188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載された発明等のように容器内の適宜の位置にケミカルフィルタを配置しても、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することはできず、汚染ガスによる半導体ウエハに対する悪影響防止の効果は限定的なものでしかなかった。また、引用文献3に記載された発明等のように、容器内に循環気流を形成するためのファンモータ等を配置すると、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することができるようになるが、容器の構成が大掛かりになるため、非常に取り扱い難くなると同時に大幅なコスト高になってしまう。また、従来のウエハ収納容器では、使用されるケミカルフィルタの種類が使用環境等に対応して精査されていないため、容器中に含まれる各種汚染ガスの一部のガスしか吸着除去できない場合が少なくなかった。
【0004】
本発明は、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを、シンプルでかさばらない低コストの構成で容器内の空間から効率的に除去することができ、さらに、そのような汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができるウエハ収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のウエハ収納容器は、複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、容器本体内において複数の半導体ウエハをその軸線方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、複数の半導体ウエハの外縁に対向する蓋体の内壁面の領域に複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成された凹部と、ウエハ支持体と協働して複数の半導体ウエハを押さえて固定するように凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、蓋体の内壁面に形成された凹部内の空間が、ウエハ押さえ部材により複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタがウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されているものである。
【0006】
なお、ウエハ押さえ部材には、ケミカルフィルタが配置された空間と半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されているとよく、ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の複数であって、それらがウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内の複数の空間に分離して並列に配置されていてもよい。その場合、各ケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタにより囲繞されてその内側に封止されていてもよい。
【0007】
また、ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタであり、それらが、酸性ガス用ケミカルフィルタとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタとで有機ガス用ケミカルフィルタを挟み込んだ状態に積層形成されていてもよく、その場合、積層された三つのケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタで一まとめに囲繞されてその内側に封止されていてもよく、膜状フィルタの外縁全体に沿って補強フレームが設けられていてもよい。
【0008】
また、ウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内に配置されたケミカルフィルタが、凹部内からの離脱をウエハ押さえ部材自体により規制されていてもよい。あるいは、凹部の壁面とそれに対向する膜状フィルタの外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層が設けられていて、ケミカルフィルタが凹部の壁面に対して着脱自在に吸着固定されていてもよく、その場合、自己吸着層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層して形成されていてもよい。あるいは、ケミカルフィルタを凹部又はウエハ押さえ部材に係止するためのフィルタ係止部が、凹部又はウエハ押さえ部材に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体の内壁面に形成された凹部内の空間がそこに配置されたウエハ押さえ部材により仕切られて、その空間内にケミカルフィルタが配置されていることにより、ウエハ収納容器をシンプルでかさばらない低コストの構成にすることができる。そして、ケミカルフィルタが配置された凹部が、複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成されていることにより、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを容器内の空間から効率的に除去することができる。また、ケミカルフィルタとして、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の一つ又は複数を選択することにより、汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1はウエハ収納容器の縦断面図、図2は図1におけるA−O−B断面図、図3は蓋体5側ユニットの背面図(図1における矢視C図)である。なお、図2はいわゆる端面図であり、断面に現れる部分のみが図示されて、断面位置より遠方に見える部分の図示は省略されている。
【0011】
各図に示される1は、例えばポリカーボネート等のような汚染ガス発生の比較的少ないプラスチック材によって形成された容器本体である。容器本体1は、複数(この実施の形態では25枚)の半導体ウエハWを収納することができる大きさで、その上面だけが開口した形状に形成されている。そして、容器本体1の下半部内には、複数の半導体ウエハWをそれらの軸線方向に一定の間隔をあけた整列状態に載せて支持することができる一対のウエハ支持体2が、あい対向して容器本体1の内壁面に沿って配置されている。プラスチック材で形成された各ウエハ支持体2には、半導体ウエハWを載せるためのV状の断面形状をしたウエハ支持溝3が例えば25個ずつ等間隔に形成されている。一対のウエハ支持体2の間に位置する容器本体1の底部は空間になっている。なお、ウエハ支持体2の構成はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
容器本体1の開口部には蓋体5が着脱自在に取り付けられる。蓋体5が容器本体1に取り付けられた状態では、弾力性のある部材で環状に形成されたシール材6により容器本体1の開口部が気密に塞がれて、ウエハ収納容器内が外部環境から隔離された完全な密閉状態になる。なお、シール材6はこの実施の形態では蓋体5に取り付けられているが、蓋体5自体でシール材6を形成してもよく、あるいはシール材6を容器本体1側に設けても差し支えない。7は、蓋体5を容器本体1に対してロックするための一対のラッチ機構である(ただし、ラッチ機構7の具体構成の図示は省略されている)。各ラッチ機構7は蓋体5を真っ直ぐに貫通する状態に蓋体5内の外縁寄りの位置に配置されており、蓋体5はラッチ機構7を内蔵するのに十分な厚みに形成されている。
【0013】
蓋体5の内壁面(即ち裏側の面)には、一対のラッチ機構7が配置された肉厚の厚い部分の間の位置に凹部8が形成されて、その部分は蓋体5の厚みが薄くなっている。凹部8は、図1に示されるように、容器本体1の底面に対して垂直に保持された複数の半導体ウエハWの外縁に上方から対向する状態に、蓋体5の中心線を挟んでその両側に均等な幅をとって形成され、底面が一定の深さの平面になっている。そして凹部8は、図2に示されるように複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に真っ直ぐに伸びて、図3に示されるように両端が各々シール材6の内側付近に隣接する大きさの長方形状に形成され、複数の半導体ウエハW全部の外縁に対向する大きさになっている。
【0014】
そのような凹部8内には、容器本体1内に配置された一対のウエハ支持体2と協働して全部の半導体ウエハWを上方から弾力的に押さえて固定するためのプラスチック材等からなるウエハ押さえ部材10が配置されている。この実施の形態のウエハ押さえ部材10は、図3に示されるように、凹部8の長手方向の中心線を挟んでその両側に分かれて一対配置されていて、自己の弾性又は蓋体5に形成された係止突起(図示せず)等により蓋体5に対して分離自在に係止されている。各ウエハ押さえ部材10は、基部(図3において左右両端部)付近以外の部分が、ウエハ支持体2のウエハ支持溝3に対応して、スリット11により半導体ウエハWの面方向と平行方向に隙間をあけて細長く均等に分割されている。この実施の形態では、各ウエハ押さえ部材10がスリット11により25分割されており、図2にその分割状態の断面が図示されている。
【0015】
一対のウエハ押さえ部材10は、図1に示されるように、蓋体5の内壁面に形成された凹部8内の空間を、各々が複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に伸びた三つの領域に仕切る形状に形成されている。具体的には、各ウエハ押さえ部材10が、各々の基部寄り(図1において左右両端寄り)の半部で凹部8の底面との間に長方形状の空間を形成し、各々の先端寄りの半部どうしでさらに凹部8の底面との間に第3の空間を形成する形状に曲げて形成されている。各ウエハ押さえ部材10の先端寄りの半部は半導体ウエハWに触れる位置まで突出していて、そこに形成されたV状の断面形状のウエハ押さえ溝12内に半導体ウエハWが嵌められて(図2参照)、ウエハ押さえ部材10が半導体ウエハWに押し付けられて弾性変形した状態になっている。
【0016】
そのようにしてウエハ押さえ部材10で仕切られることにより凹部8に形成された三つの空間のうちの少なくとも一つの空間内には、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタのうちの少なくとも一種類のケミカルフィルタ20が、略全範囲にわたって配置されている。この実施の形態においては、三つの全ての空間内のほぼ全範囲に各々ケミカルフィルタ20が単に置かれた状態に配置されて、凹部8内からの離脱がウエハ押さえ部材10によって凹部8の底面との隙間に挟持されることで規制されている。ウエハ押さえ部材10には、各ケミカルフィルタ20が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている。具体的には、この実施の形態においては各ウエハ押さえ部材10を分割するスリット11が通気孔になっており、三つの空間のうち中央位置に位置する空間に対しては一対のウエハ押さえ部材10どうしの間に位置する隙間も通気孔になっている。なお、ウエハ収納容器内の空気を循環させるためのファンモータその他の装置は一切設けられていない。
【0017】
図4は、上述のように構成されたウエハ収納容器における半導体ウエハWとケミカルフィルタ20の配置のみを略示しており、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zが有機ガス用ケミカルフィルタ20xを間にした位置関係で、三つのケミカルフィルタ20x,20y,20zが同平面に並列に配置されている。このように有機ガス用ケミカルフィルタ20xを間に位置させることで、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとが相互に影響を与えることを防止することができる。なお、有機ガス用ケミカルフィルタ20x用のガス吸着剤としては例えば活性炭等を用いて、芳香族炭化水素、シロキサン成分、アルコール類、エステル類等の有機物よりなるガスを吸着除去することができる。活性炭は活性炭粉末を不織布等の中に入れたものを用いてもよいが、シート状に加工した活性炭シートを用いると便利である。活性炭シートとしては、繊維状活性炭そのものを不織布状にしたもの、又は不織布状のシートを形成する過程でこれに粉末の活性炭を添着したもの等を用いることができる。
【0018】
酸性ガス用ケミカルフィルタ20y用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えば炭酸カリウム等のアルカリ性化合物を混ぜた吸着剤を用いて、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の酸性物質よりなるガスを吸着除去することができる。また、アルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20z用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えばリン酸等の酸性化合物を添着したものを用いて、アンモニア、アミン類等のアルカリ性物質よりなるガスを吸着除去することができる。
【0019】
図5は、上述の実施の形態に係るウエハ収納容器内の汚染ガス除去の効果を確認するために行った実験の、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析結果を示している。比較のために、ケミカルフィルタ20が使用されない場合(図6)と、ケミカルフィルタ20が半導体ウエハWの面に対して平行に一か所に配置された場合(図7)についても同一条件にて実験を行った。なお、ウエハ収納容器は実験前に蓋体5を開いて有機濃度の高い室内(即ち、普通の建物の室内)に一週間保管し、クリーンルーム内で直径30cmの半導体ウエハW25枚とケミカルフィルタ20とをセットした。そして、蓋体5を閉じて三日間放置後に、テナックス管を用いてウエハ収納容器内の空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析を行った。その結果、上述の実施の形態に示したようにケミカルフィルタ20(20x,20y,20z)を配置することにより、ウエハ収納容器内の汚染ガスが著しく減少することが確認された。このように、有機ガス用ケミカルフィルタ20x、酸性ガス用ケミカルフィルタ20y、及びアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zの三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを全て配置すれば汚染ガスの大半を吸着除去することができ、ウエハ収納容器の使用環境等に合わせて一つ又は複数のケミカルフィルタ20を選択することで、効率的に汚染ガスを吸着除去することができる。
【0020】
上述のようにしてウエハ収納容器内に配置される各ケミカルフィルタ20は、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ(メンブレンフィルタ)で囲繞してその内側に封止するのが好ましい。そのようにすることで、ケミカルフィルタ20を形成するガス吸着物質がケミカルフィルタ20外に拡散することを防止することができると同時に、ガス吸着物質の吸着機能が空気中のガス以外の粒状物等によって劣化することを防止することができる。そのような膜状フィルタとしては、PTFEやPFA等のような四フッ化エチレン樹脂系の多孔質フィルムを用いることができ、厚みを例えば0.02〜0.05mm程度と極めて薄く形成することができる。
【0021】
図8は、そのような膜状フィルタ21でケミカルフィルタ20を囲繞して封止する状態を略示しており、ここでは三つに分割されたケミカルフィルタ20が同一面に並べられて二枚の膜状フィルタ21の間にサンドイッチ状に配置されている。三つのケミカルフィルタ20は、同種のフィルタでもよいが異なる種類のフィルタであってもよい。そして、図9に示されるように、重ね合わされた二枚の膜状フィルタ21を外縁部と各ケミカルフィルタ20の間の部分とにおいて互いに融着することにより、ケミカルフィルタ20が膜状フィルタ21の内側に封止された状態になる。22が融着部である。
【0022】
図10は、有機ガス用ケミカルフィルタ20xと酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zの三つのケミカルフィルタを、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとで有機ガス用ケミカルフィルタ20xを挟み込んだ状態に積層形成して配置した状態を略示している。このように三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを積層することにより面積効率が向上し、有機ガス用ケミカルフィルタ20xを酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとの間に挟み込む配置にすることにより、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとが相互に化学反応を起こすことを防止することができる。そして、この場合にも、図11に示されるように、積層された三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ21で一まとめに囲繞して、図12に示されるように膜状フィルタ21の外縁部を全周にわたって融着するとよい。22が融着部であり、その効果は前述の通りである。図13に示されるように、三種類の各ケミカルフィルタ20x,20y,20zを各々長手方向に複数に分割して、各分割片どうしを積層して膜状フィルタ21内に封止するようにしてもよい。
【0023】
なお、ケミカルフィルタ20を凹部8内の分割された空間内に安定した状態に保持するために、図14に示されるように、ケミカルフィルタ20を囲繞する膜状フィルタ21の外縁の融着部22に沿って、例えば板状のプラスチック材からなる補強フレーム25を設けてもよい。一対の補強フレーム25で膜状フィルタ21の融着部22を挟み込む構成を採る場合には、きつく嵌まり合う係合ピン26と係合孔27を補強フレーム25に形成しておくと容易に組み立てることができる。各補強フレーム25には、ケミカルフィルタ20が環境に暴露するように大きな開口が形成されている。ただし、二枚の補強フレーム25のうち蓋体5の内壁に面する方の補強フレーム25は、膜状フィルタ21の全面に面する板状に形成しても差し支えない。
【0024】
また、図15に示されるように、ケミカルフィルタ20を係止するためのフィルタ係止部29を凹部8の壁面部に形成してもよく、図示は省略するが、同様のフィルタ係止部をウエハ押さえ部材10側に形成してもよい。また、図16に示されるように、凹部8の壁面とそれに対向する膜状フィルタ21の外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層30を設けて、ケミカルフィルタ20が凹部8の壁面に対して着脱自在に吸着固定されるようにしてもよい。自己吸着層30としては、多数の微細吸盤を有する多孔質弾性材料又は発泡性弾性材料等を用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層したものを用いることができ、発泡形成された微細な気泡が微細吸盤になる。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばウエハ押さえ部材10の形状等はどのようなものであってもよく、ウエハ支持体2と協働して複数の半導体ウエハWを押さえて固定する機能を有していて、ケミカルフィルタ20が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気路が形成されているものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の縦断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の図1におけるA−O−B断面のみの形状を示す端面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の蓋体側ユニットの背面図(図1における矢視C図)である。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器内のケミカルフィルタの配置状態を示す略示図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果を確認する実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図6】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルフィルタを省いた場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図7】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルフィルタを半導体ウエハの面と平行に配置した場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態におけるケミカルフィルタが膜状フィルタ内に封止された状態の斜視図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態におけるウエハ収納容器内のケミカルフィルタの配置状態を示す略示図である。
【図11】本発明に係る第3の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図12】本発明に係る第3の実施の形態におけるケミカルフィルタが膜状フィルタ内に封止された状態の斜視図である。
【図13】本発明に係る第4の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図14】本発明に係る第5の実施の形態におけるケミカルフィルタの補強構造の分解斜視図である。
【図15】本発明に係る第6の実施の形態におけるケミカルフィルタの係止構造の略示断面図である。
【図16】本発明に係る第7の実施の形態におけるケミカルフィルタの係止構造の略示断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 容器本体
2 ウエハ支持体
5 蓋体
6 シール材
8 凹部
10 ウエハ押さえ部材
11 スリット(通気孔)
20 ケミカルフィルタ
20x 有機ガス用ケミカルフィルタ
20y 酸性ガス用ケミカルフィルタ
20z アルカリ性ガス用ケミカルフィルタ
21 膜状フィルタ
22 融着部
25 補強フレーム
29 フィルタ係止部
30 自己吸着層
W 半導体ウエハ
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の半導体ウエハを外部環境から隔離された清浄な環境中に収納して輸送、保管するために使用されるウエハ収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ収納容器には一般に、容器本体と、その容器本体の開口部を気密に塞ぐ蓋体とが設けられていて、複数の半導体ウエハを収納した状態で、外部環境から隔離された完全な密閉状態にすることができる。しかし、容器内外の環境要因により、容器内の空気中には有機ガス成分、酸性ガス成分及びアルカリ性ガス成分等のような、半導体ウエハに対して悪影響を及ぼす可能性のある種々のガス(以下、「汚染ガス」という)が含まれている。そこで従来は、汚染ガスを吸着するためのケミカルフィルタを容器内に配置したり(例えば、特許文献1、2)、ケミカルフィルタに加えてさらに容器内に循環気流を形成するためのファンモータ等を配置していた(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3336652号公報
【特許文献2】特開2004−260087号公報
【特許文献3】特開2001−77188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1、2に記載された発明等のように容器内の適宜の位置にケミカルフィルタを配置しても、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することはできず、汚染ガスによる半導体ウエハに対する悪影響防止の効果は限定的なものでしかなかった。また、引用文献3に記載された発明等のように、容器内に循環気流を形成するためのファンモータ等を配置すると、容器内の汚染ガスを効率よく吸着除去することができるようになるが、容器の構成が大掛かりになるため、非常に取り扱い難くなると同時に大幅なコスト高になってしまう。また、従来のウエハ収納容器では、使用されるケミカルフィルタの種類が使用環境等に対応して精査されていないため、容器中に含まれる各種汚染ガスの一部のガスしか吸着除去できない場合が少なくなかった。
【0004】
本発明は、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを、シンプルでかさばらない低コストの構成で容器内の空間から効率的に除去することができ、さらに、そのような汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができるウエハ収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のウエハ収納容器は、複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、容器本体内において複数の半導体ウエハをその軸線方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、複数の半導体ウエハの外縁に対向する蓋体の内壁面の領域に複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成された凹部と、ウエハ支持体と協働して複数の半導体ウエハを押さえて固定するように凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、蓋体の内壁面に形成された凹部内の空間が、ウエハ押さえ部材により複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタがウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されているものである。
【0006】
なお、ウエハ押さえ部材には、ケミカルフィルタが配置された空間と半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されているとよく、ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の複数であって、それらがウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内の複数の空間に分離して並列に配置されていてもよい。その場合、各ケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタにより囲繞されてその内側に封止されていてもよい。
【0007】
また、ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタであり、それらが、酸性ガス用ケミカルフィルタとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタとで有機ガス用ケミカルフィルタを挟み込んだ状態に積層形成されていてもよく、その場合、積層された三つのケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタで一まとめに囲繞されてその内側に封止されていてもよく、膜状フィルタの外縁全体に沿って補強フレームが設けられていてもよい。
【0008】
また、ウエハ押さえ部材によって仕切られた凹部内に配置されたケミカルフィルタが、凹部内からの離脱をウエハ押さえ部材自体により規制されていてもよい。あるいは、凹部の壁面とそれに対向する膜状フィルタの外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層が設けられていて、ケミカルフィルタが凹部の壁面に対して着脱自在に吸着固定されていてもよく、その場合、自己吸着層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層して形成されていてもよい。あるいは、ケミカルフィルタを凹部又はウエハ押さえ部材に係止するためのフィルタ係止部が、凹部又はウエハ押さえ部材に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋体の内壁面に形成された凹部内の空間がそこに配置されたウエハ押さえ部材により仕切られて、その空間内にケミカルフィルタが配置されていることにより、ウエハ収納容器をシンプルでかさばらない低コストの構成にすることができる。そして、ケミカルフィルタが配置された凹部が、複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成されていることにより、半導体ウエハに悪影響を及ぼす汚染ガスを容器内の空間から効率的に除去することができる。また、ケミカルフィルタとして、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の一つ又は複数を選択することにより、汚染ガス除去を使用環境等に対応して選択的かつ効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1はウエハ収納容器の縦断面図、図2は図1におけるA−O−B断面図、図3は蓋体5側ユニットの背面図(図1における矢視C図)である。なお、図2はいわゆる端面図であり、断面に現れる部分のみが図示されて、断面位置より遠方に見える部分の図示は省略されている。
【0011】
各図に示される1は、例えばポリカーボネート等のような汚染ガス発生の比較的少ないプラスチック材によって形成された容器本体である。容器本体1は、複数(この実施の形態では25枚)の半導体ウエハWを収納することができる大きさで、その上面だけが開口した形状に形成されている。そして、容器本体1の下半部内には、複数の半導体ウエハWをそれらの軸線方向に一定の間隔をあけた整列状態に載せて支持することができる一対のウエハ支持体2が、あい対向して容器本体1の内壁面に沿って配置されている。プラスチック材で形成された各ウエハ支持体2には、半導体ウエハWを載せるためのV状の断面形状をしたウエハ支持溝3が例えば25個ずつ等間隔に形成されている。一対のウエハ支持体2の間に位置する容器本体1の底部は空間になっている。なお、ウエハ支持体2の構成はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
容器本体1の開口部には蓋体5が着脱自在に取り付けられる。蓋体5が容器本体1に取り付けられた状態では、弾力性のある部材で環状に形成されたシール材6により容器本体1の開口部が気密に塞がれて、ウエハ収納容器内が外部環境から隔離された完全な密閉状態になる。なお、シール材6はこの実施の形態では蓋体5に取り付けられているが、蓋体5自体でシール材6を形成してもよく、あるいはシール材6を容器本体1側に設けても差し支えない。7は、蓋体5を容器本体1に対してロックするための一対のラッチ機構である(ただし、ラッチ機構7の具体構成の図示は省略されている)。各ラッチ機構7は蓋体5を真っ直ぐに貫通する状態に蓋体5内の外縁寄りの位置に配置されており、蓋体5はラッチ機構7を内蔵するのに十分な厚みに形成されている。
【0013】
蓋体5の内壁面(即ち裏側の面)には、一対のラッチ機構7が配置された肉厚の厚い部分の間の位置に凹部8が形成されて、その部分は蓋体5の厚みが薄くなっている。凹部8は、図1に示されるように、容器本体1の底面に対して垂直に保持された複数の半導体ウエハWの外縁に上方から対向する状態に、蓋体5の中心線を挟んでその両側に均等な幅をとって形成され、底面が一定の深さの平面になっている。そして凹部8は、図2に示されるように複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に真っ直ぐに伸びて、図3に示されるように両端が各々シール材6の内側付近に隣接する大きさの長方形状に形成され、複数の半導体ウエハW全部の外縁に対向する大きさになっている。
【0014】
そのような凹部8内には、容器本体1内に配置された一対のウエハ支持体2と協働して全部の半導体ウエハWを上方から弾力的に押さえて固定するためのプラスチック材等からなるウエハ押さえ部材10が配置されている。この実施の形態のウエハ押さえ部材10は、図3に示されるように、凹部8の長手方向の中心線を挟んでその両側に分かれて一対配置されていて、自己の弾性又は蓋体5に形成された係止突起(図示せず)等により蓋体5に対して分離自在に係止されている。各ウエハ押さえ部材10は、基部(図3において左右両端部)付近以外の部分が、ウエハ支持体2のウエハ支持溝3に対応して、スリット11により半導体ウエハWの面方向と平行方向に隙間をあけて細長く均等に分割されている。この実施の形態では、各ウエハ押さえ部材10がスリット11により25分割されており、図2にその分割状態の断面が図示されている。
【0015】
一対のウエハ押さえ部材10は、図1に示されるように、蓋体5の内壁面に形成された凹部8内の空間を、各々が複数の半導体ウエハWの軸線に対して略平行方向に伸びた三つの領域に仕切る形状に形成されている。具体的には、各ウエハ押さえ部材10が、各々の基部寄り(図1において左右両端寄り)の半部で凹部8の底面との間に長方形状の空間を形成し、各々の先端寄りの半部どうしでさらに凹部8の底面との間に第3の空間を形成する形状に曲げて形成されている。各ウエハ押さえ部材10の先端寄りの半部は半導体ウエハWに触れる位置まで突出していて、そこに形成されたV状の断面形状のウエハ押さえ溝12内に半導体ウエハWが嵌められて(図2参照)、ウエハ押さえ部材10が半導体ウエハWに押し付けられて弾性変形した状態になっている。
【0016】
そのようにしてウエハ押さえ部材10で仕切られることにより凹部8に形成された三つの空間のうちの少なくとも一つの空間内には、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタのうちの少なくとも一種類のケミカルフィルタ20が、略全範囲にわたって配置されている。この実施の形態においては、三つの全ての空間内のほぼ全範囲に各々ケミカルフィルタ20が単に置かれた状態に配置されて、凹部8内からの離脱がウエハ押さえ部材10によって凹部8の底面との隙間に挟持されることで規制されている。ウエハ押さえ部材10には、各ケミカルフィルタ20が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている。具体的には、この実施の形態においては各ウエハ押さえ部材10を分割するスリット11が通気孔になっており、三つの空間のうち中央位置に位置する空間に対しては一対のウエハ押さえ部材10どうしの間に位置する隙間も通気孔になっている。なお、ウエハ収納容器内の空気を循環させるためのファンモータその他の装置は一切設けられていない。
【0017】
図4は、上述のように構成されたウエハ収納容器における半導体ウエハWとケミカルフィルタ20の配置のみを略示しており、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zが有機ガス用ケミカルフィルタ20xを間にした位置関係で、三つのケミカルフィルタ20x,20y,20zが同平面に並列に配置されている。このように有機ガス用ケミカルフィルタ20xを間に位置させることで、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとが相互に影響を与えることを防止することができる。なお、有機ガス用ケミカルフィルタ20x用のガス吸着剤としては例えば活性炭等を用いて、芳香族炭化水素、シロキサン成分、アルコール類、エステル類等の有機物よりなるガスを吸着除去することができる。活性炭は活性炭粉末を不織布等の中に入れたものを用いてもよいが、シート状に加工した活性炭シートを用いると便利である。活性炭シートとしては、繊維状活性炭そのものを不織布状にしたもの、又は不織布状のシートを形成する過程でこれに粉末の活性炭を添着したもの等を用いることができる。
【0018】
酸性ガス用ケミカルフィルタ20y用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えば炭酸カリウム等のアルカリ性化合物を混ぜた吸着剤を用いて、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等の酸性物質よりなるガスを吸着除去することができる。また、アルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20z用のガス吸着剤としては、例えば活性炭に例えばリン酸等の酸性化合物を添着したものを用いて、アンモニア、アミン類等のアルカリ性物質よりなるガスを吸着除去することができる。
【0019】
図5は、上述の実施の形態に係るウエハ収納容器内の汚染ガス除去の効果を確認するために行った実験の、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析結果を示している。比較のために、ケミカルフィルタ20が使用されない場合(図6)と、ケミカルフィルタ20が半導体ウエハWの面に対して平行に一か所に配置された場合(図7)についても同一条件にて実験を行った。なお、ウエハ収納容器は実験前に蓋体5を開いて有機濃度の高い室内(即ち、普通の建物の室内)に一週間保管し、クリーンルーム内で直径30cmの半導体ウエハW25枚とケミカルフィルタ20とをセットした。そして、蓋体5を閉じて三日間放置後に、テナックス管を用いてウエハ収納容器内の空気をサンプリングし、ガスクロマトグラフィ質量分析装置による分析を行った。その結果、上述の実施の形態に示したようにケミカルフィルタ20(20x,20y,20z)を配置することにより、ウエハ収納容器内の汚染ガスが著しく減少することが確認された。このように、有機ガス用ケミカルフィルタ20x、酸性ガス用ケミカルフィルタ20y、及びアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zの三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを全て配置すれば汚染ガスの大半を吸着除去することができ、ウエハ収納容器の使用環境等に合わせて一つ又は複数のケミカルフィルタ20を選択することで、効率的に汚染ガスを吸着除去することができる。
【0020】
上述のようにしてウエハ収納容器内に配置される各ケミカルフィルタ20は、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ(メンブレンフィルタ)で囲繞してその内側に封止するのが好ましい。そのようにすることで、ケミカルフィルタ20を形成するガス吸着物質がケミカルフィルタ20外に拡散することを防止することができると同時に、ガス吸着物質の吸着機能が空気中のガス以外の粒状物等によって劣化することを防止することができる。そのような膜状フィルタとしては、PTFEやPFA等のような四フッ化エチレン樹脂系の多孔質フィルムを用いることができ、厚みを例えば0.02〜0.05mm程度と極めて薄く形成することができる。
【0021】
図8は、そのような膜状フィルタ21でケミカルフィルタ20を囲繞して封止する状態を略示しており、ここでは三つに分割されたケミカルフィルタ20が同一面に並べられて二枚の膜状フィルタ21の間にサンドイッチ状に配置されている。三つのケミカルフィルタ20は、同種のフィルタでもよいが異なる種類のフィルタであってもよい。そして、図9に示されるように、重ね合わされた二枚の膜状フィルタ21を外縁部と各ケミカルフィルタ20の間の部分とにおいて互いに融着することにより、ケミカルフィルタ20が膜状フィルタ21の内側に封止された状態になる。22が融着部である。
【0022】
図10は、有機ガス用ケミカルフィルタ20xと酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zの三つのケミカルフィルタを、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとで有機ガス用ケミカルフィルタ20xを挟み込んだ状態に積層形成して配置した状態を略示している。このように三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを積層することにより面積効率が向上し、有機ガス用ケミカルフィルタ20xを酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとの間に挟み込む配置にすることにより、酸性ガス用ケミカルフィルタ20yとアルカリ性ガス用ケミカルフィルタ20zとが相互に化学反応を起こすことを防止することができる。そして、この場合にも、図11に示されるように、積層された三種類のケミカルフィルタ20x,20y,20zを、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタ21で一まとめに囲繞して、図12に示されるように膜状フィルタ21の外縁部を全周にわたって融着するとよい。22が融着部であり、その効果は前述の通りである。図13に示されるように、三種類の各ケミカルフィルタ20x,20y,20zを各々長手方向に複数に分割して、各分割片どうしを積層して膜状フィルタ21内に封止するようにしてもよい。
【0023】
なお、ケミカルフィルタ20を凹部8内の分割された空間内に安定した状態に保持するために、図14に示されるように、ケミカルフィルタ20を囲繞する膜状フィルタ21の外縁の融着部22に沿って、例えば板状のプラスチック材からなる補強フレーム25を設けてもよい。一対の補強フレーム25で膜状フィルタ21の融着部22を挟み込む構成を採る場合には、きつく嵌まり合う係合ピン26と係合孔27を補強フレーム25に形成しておくと容易に組み立てることができる。各補強フレーム25には、ケミカルフィルタ20が環境に暴露するように大きな開口が形成されている。ただし、二枚の補強フレーム25のうち蓋体5の内壁に面する方の補強フレーム25は、膜状フィルタ21の全面に面する板状に形成しても差し支えない。
【0024】
また、図15に示されるように、ケミカルフィルタ20を係止するためのフィルタ係止部29を凹部8の壁面部に形成してもよく、図示は省略するが、同様のフィルタ係止部をウエハ押さえ部材10側に形成してもよい。また、図16に示されるように、凹部8の壁面とそれに対向する膜状フィルタ21の外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層30を設けて、ケミカルフィルタ20が凹部8の壁面に対して着脱自在に吸着固定されるようにしてもよい。自己吸着層30としては、多数の微細吸盤を有する多孔質弾性材料又は発泡性弾性材料等を用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層したものを用いることができ、発泡形成された微細な気泡が微細吸盤になる。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばウエハ押さえ部材10の形状等はどのようなものであってもよく、ウエハ支持体2と協働して複数の半導体ウエハWを押さえて固定する機能を有していて、ケミカルフィルタ20が配置された空間と半導体ウエハWが配置された空間との間の通気を確保するための通気路が形成されているものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の縦断面図である。
【図2】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の図1におけるA−O−B断面のみの形状を示す端面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器の蓋体側ユニットの背面図(図1における矢視C図)である。
【図4】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器内のケミカルフィルタの配置状態を示す略示図である。
【図5】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果を確認する実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図6】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルフィルタを省いた場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図7】本発明に係る第1の実施の形態におけるウエハ収納容器による汚染ガス除去の効果と対比するために、ケミカルフィルタを半導体ウエハの面と平行に配置した場合の実験後の残留ガスの分析結果を示す線図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図9】本発明に係る第2の実施の形態におけるケミカルフィルタが膜状フィルタ内に封止された状態の斜視図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態におけるウエハ収納容器内のケミカルフィルタの配置状態を示す略示図である。
【図11】本発明に係る第3の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図12】本発明に係る第3の実施の形態におけるケミカルフィルタが膜状フィルタ内に封止された状態の斜視図である。
【図13】本発明に係る第4の実施の形態におけるケミカルフィルタの分解斜視図である。
【図14】本発明に係る第5の実施の形態におけるケミカルフィルタの補強構造の分解斜視図である。
【図15】本発明に係る第6の実施の形態におけるケミカルフィルタの係止構造の略示断面図である。
【図16】本発明に係る第7の実施の形態におけるケミカルフィルタの係止構造の略示断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 容器本体
2 ウエハ支持体
5 蓋体
6 シール材
8 凹部
10 ウエハ押さえ部材
11 スリット(通気孔)
20 ケミカルフィルタ
20x 有機ガス用ケミカルフィルタ
20y 酸性ガス用ケミカルフィルタ
20z アルカリ性ガス用ケミカルフィルタ
21 膜状フィルタ
22 融着部
25 補強フレーム
29 フィルタ係止部
30 自己吸着層
W 半導体ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、上記容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように上記容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、上記容器本体内において上記複数の半導体ウエハをその軸線方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、上記複数の半導体ウエハの外縁に対向する上記蓋体の内壁面の領域に上記複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成された凹部と、上記ウエハ支持体と協働して上記複数の半導体ウエハを押さえて固定するように上記凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、
上記蓋体の内壁面に形成された上記凹部内の空間が、上記ウエハ押さえ部材により上記複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、
特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタが、上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されていることを特徴とするウエハ収納容器。
【請求項2】
上記ウエハ押さえ部材には、上記ケミカルフィルタが配置された空間と上記半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている請求項1記載のウエハ収納容器。
【請求項3】
上記ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の複数であり、それらが上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内の複数の空間に分離して並列に配置されている請求項1又は2記載のウエハ収納容器。
【請求項4】
上記各ケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタにより囲繞されてその内側に封止されている請求項3記載のウエハ収納容器。
【請求項5】
上記ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタであり、それらが、上記酸性ガス用ケミカルフィルタと上記アルカリ性ガス用ケミカルフィルタとで上記有機ガス用ケミカルフィルタを挟み込んだ状態に積層形成されている請求項1又は2記載のウエハ収納容器。
【請求項6】
上記の積層された三つのケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタで一まとめに囲繞されてその内側に封止されている請求項5記載のウエハ収納容器。
【請求項7】
上記膜状フィルタの外縁全体に沿って補強フレームが設けられている請求項4又は6記載のウエハ収納容器。
【請求項8】
上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内に配置された上記ケミカルフィルタが、上記凹部内からの離脱を上記ウエハ押さえ部材自体により規制されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載のウエハ収納容器。
【請求項9】
上記凹部の壁面とそれに対向する上記膜状フィルタの外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層が設けられていて、上記ケミカルフィルタが上記凹部の壁面に対して着脱自在に吸着固定されている請求項4又は6記載のウエハ収納容器。
【請求項10】
上記自己吸着層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層して形成されている請求項9記載のウエハ収納容器。
【請求項11】
上記ケミカルフィルタを上記凹部又は上記ウエハ押さえ部材に係止するためのフィルタ係止部が、上記凹部又は上記ウエハ押さえ部材に形成されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載のウエハ収納容器。
【請求項1】
複数の半導体ウエハを収納するための容器本体と、上記容器本体の一面に形成された開口部を気密に塞ぐように上記容器本体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、上記容器本体内において上記複数の半導体ウエハをその軸線方向に所定の間隔をあけて支持するためのウエハ支持体と、上記複数の半導体ウエハの外縁に対向する上記蓋体の内壁面の領域に上記複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた状態に形成された凹部と、上記ウエハ支持体と協働して上記複数の半導体ウエハを押さえて固定するように上記凹部内に配置されたウエハ押さえ部材とを有するウエハ収納容器において、
上記蓋体の内壁面に形成された上記凹部内の空間が、上記ウエハ押さえ部材により上記複数の半導体ウエハの軸線に対して略平行方向に伸びた複数の領域に仕切られて、
特定のガス成分を吸着するための少なくとも一種類のケミカルフィルタが、上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内の少なくとも一つの空間内に略全範囲にわたって配置されていることを特徴とするウエハ収納容器。
【請求項2】
上記ウエハ押さえ部材には、上記ケミカルフィルタが配置された空間と上記半導体ウエハが配置された空間との間の通気を確保するための通気孔が略全域にわたって形成されている請求項1記載のウエハ収納容器。
【請求項3】
上記ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタの中の複数であり、それらが上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内の複数の空間に分離して並列に配置されている請求項1又は2記載のウエハ収納容器。
【請求項4】
上記各ケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタにより囲繞されてその内側に封止されている請求項3記載のウエハ収納容器。
【請求項5】
上記ケミカルフィルタが、所定の有機ガス成分を吸着する有機ガス用ケミカルフィルタ、所定の酸性ガス成分を吸着する酸性ガス用ケミカルフィルタ、及び所定のアルカリ性ガス成分を吸着するアルカリ性ガス用ケミカルフィルタであり、それらが、上記酸性ガス用ケミカルフィルタと上記アルカリ性ガス用ケミカルフィルタとで上記有機ガス用ケミカルフィルタを挟み込んだ状態に積層形成されている請求項1又は2記載のウエハ収納容器。
【請求項6】
上記の積層された三つのケミカルフィルタが、気体は通過するが固形粒子は通過しない多孔質の膜状フィルタで一まとめに囲繞されてその内側に封止されている請求項5記載のウエハ収納容器。
【請求項7】
上記膜状フィルタの外縁全体に沿って補強フレームが設けられている請求項4又は6記載のウエハ収納容器。
【請求項8】
上記ウエハ押さえ部材によって仕切られた上記凹部内に配置された上記ケミカルフィルタが、上記凹部内からの離脱を上記ウエハ押さえ部材自体により規制されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載のウエハ収納容器。
【請求項9】
上記凹部の壁面とそれに対向する上記膜状フィルタの外面のいずれか一方の側に、相手方に吸着する自己吸着層が設けられていて、上記ケミカルフィルタが上記凹部の壁面に対して着脱自在に吸着固定されている請求項4又は6記載のウエハ収納容器。
【請求項10】
上記自己吸着層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアクリル酸エステル共重合体からなる発泡アクリルラテックスを積層して形成されている請求項9記載のウエハ収納容器。
【請求項11】
上記ケミカルフィルタを上記凹部又は上記ウエハ押さえ部材に係止するためのフィルタ係止部が、上記凹部又は上記ウエハ押さえ部材に形成されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載のウエハ収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−60297(P2008−60297A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234998(P2006−234998)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【出願人】(596042578)日本ピュアテック株式会社 (15)
【出願人】(506224218)アドハンド株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【出願人】(596042578)日本ピュアテック株式会社 (15)
【出願人】(506224218)アドハンド株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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