説明

ウツボの皮からのオイル抽出方法、ウツボの皮から抽出されたオイルを含有する化粧品及びウツボの皮から抽出されたオイルを含有するサプリメント

【課題】 ウツボの皮から油(オイル)を効率的に抽出することのできる方法を提供し、さらに、抽出されたウツボのオイルを含有する化粧品及びサプリメントを提供する。
【解決手段】 ウツボを圧力釜に入れ、水温125℃で30分煮沸し、皮を身から分離し、ウツボの皮をこし布で濾過し、得られた液体を水温60℃〜80℃の湯に入れ、水温略5℃まで冷却し、油分の層と水分の層とに分離されたとき、油分のみに水温60℃〜80℃の湯を加え、水温略5℃まで冷却し、必要に応じて上記湯に入れるステップと、冷却するステップとを繰り返すことによりオイルを抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の皮からのオイル抽出方法並びに抽出されたオイルを含有する化粧品及びサプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚類からオイルを抽出して健康食品の原料とするなどの利用が行われている。下記の特許文献1〜3には、その例が示されている。
【特許文献1】特開2001−506501号公報
【特許文献2】特開2003−180247号公報
【特許文献3】特開2004−91514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、冷凍工程やミキシング工程を含むものであり、油(オイル)の抽出のための装置が大がかりとなり、コスト高となり、またウツボから効率的に油を抽出するには適さない。また特許文献2に記載の技術は、塩分を有するアルコール水溶液を加える工程を有し、ウツボから効率的に油を抽出するには適さない。さらに、特許文献3に記載の技術は、遠心分離工程を含むものであり、ウツボから効率的に油を抽出するには適さない。
【0004】
本発明は上記従来例の問題点に鑑み、ウツボの皮から油を効率的に抽出することのできる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記方法により抽出されたウツボのオイルを含有する化粧品を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記方法により抽出されたウツボのオイルを含有するサプリメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、ウツボを圧力釜に入れ、水温100℃以上で煮沸し、前記ウツボの皮を身から分離するステップと、分離された前記ウツボの皮を濾過するステップと、濾過により得られた液体を湯に入れるステップと、前記液体と前記湯を混合することにより得られた混合液体を冷却するステップと、冷却により前記混合液体が油分の層と水分の層とに分離されたとき、分離された前記油分のみに湯を加えるステップと、前記油分と前記湯を混合することにより得られた混合液体を冷却するステップと、必要に応じて上記湯に入れるステップと、冷却するステップとを繰り返すステップとを、有するウツボの皮からのオイル抽出方法を提供するものである。具体的には、ウツボを圧力釜に入れ、水温125℃で30分煮沸し、前記ウツボの皮を身から分離するステップと、分離された前記ウツボの皮をこし布で濾過するステップと、濾過により得られた液体を水温60℃〜80℃の湯に入れるステップと、前記液体と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却するステップと、冷却により前記混合液体が油分の層と水分の層とに分離されたとき、分離された前記油分のみに水温60℃〜80℃の湯を加えるステップと、前記油分と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却するステップと、必要に応じて上記湯に入れるステップと、冷却するステップとを繰り返すステップとを、有するウツボの皮からのオイル抽出方法を提供するものである。
【0006】
また本発明は、上記方法により抽出されたオイルを含有する化粧品及びサプリメントを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ウツボの皮から効率的にオイルを抽出することができる。また、本発明によれば、効率的に抽出されたウツボの皮のオイルを含有する化粧品及びサプリメントを提供することができ、人々の美容や健康維持に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るウツボの皮からのオイル抽出方法を示すフローチャートである。まず捕獲したウツボを用意する。ウツボとしては、約30種類ほどが確認されているが、日本近海では、和歌山沖では、1匹当たりの質量が1.5kg程度であり、奄美大島付近では、1匹当たりの質量が10kg程度であるが、奄美大島付近のウツボの場合は、その質量の約40%〜45%が皮であり、皮の質量の30%〜40%が油分である。一方、皮以外の身の部分の油含有率は1%程度である。したがって、本発明では、効率的に油分を抽出するために皮を身から分離するようにしている。また、本発明の好ましい実施の形態では、奄美大島付近で捕獲したウツボ(平均質量は約10kg程度)を用いている。
【0009】
まずステップS1でウツボを圧力釜に入れ、水温125℃で30分煮沸し、ウツボの皮を身から分離する。次いでステップS2で、分離されたウツボの皮をこし布で濾過する。次いでステップS3で、濾過により得られた液体を水温60℃〜80℃の湯に入れる。次いでステップS4で、前記液体と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却する。冷却により前記混合液体が油分の層と水分の層とに分離されたとき、ステップS5で分離された油分のみを水温60℃〜80℃の湯に入れる。次いでステップS6で、前記油分と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却する。さらにステップS7で、必要に応じて上記湯に入れるステップS5と、冷却するステップS6とを繰り返す。
【0010】
こうして所望のオイルが分離されるのである。得られたオイルは、料理や調味料として用いることができるほか、化粧品の原料として用いることができる。化粧品としては、化粧水、栄養クリームなどに利用することができる。さらに健康食品としてのサプリメントとし提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
以上説明したように、本発明は食用油の製造の他、化粧品や健康食品の製造などの産業において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るウツボ皮のオイル抽出方法の好ましい実施の形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウツボを圧力釜に入れ、水温100℃以上で煮沸し、前記ウツボの皮を身から分離するステップと、
分離された前記ウツボの皮を濾過するステップと、
濾過により得られた液体を湯に入れるステップと、
前記液体と前記湯を混合することにより得られた混合液体を冷却するステップと、
冷却により前記混合液体が油分の層と水分の層とに分離されたとき、分離された前記油分のみに湯を加えるステップと、
前記油分と前記湯を混合することにより得られた混合液体を冷却するステップと、
必要に応じて上記湯に入れるステップと、冷却するステップとを繰り返すステップとを、
有するウツボの皮からのオイル抽出方法。
【請求項2】
ウツボを圧力釜に入れ、水温125℃で30分煮沸し、前記ウツボの皮を身から分離するステップと、
分離された前記ウツボの皮をこし布で濾過するステップと、
濾過により得られた液体を水温60℃〜80℃の湯に入れるステップと、
前記液体と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却するステップと、
冷却により前記混合液体が油分の層と水分の層とに分離されたとき、分離された前記油分のみに水温60℃〜80℃の湯を加えるステップと、
前記油分と前記湯を混合することにより得られた混合液体を水温略5℃まで冷却するステップと、
必要に応じて上記湯に入れるステップと、冷却するステップとを繰り返すステップとを、
有するウツボの皮からのオイル抽出方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法により抽出されたオイルを含有する化粧品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の方法により抽出されたオイルを含有するサプリメント。

【図1】
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【公開番号】特開2006−241186(P2006−241186A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54809(P2005−54809)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(504352814)株式会社マーベセラー (1)
【Fターム(参考)】