説明

ウライドトロポロン誘導体

【課題】 サイトカイニン活性を有する新規化合物を提供する。
【解決手段】 下記の一般式(I):


(式中、R1は水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示し;R2は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R3は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す)で表される化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイトカイニン活性を有する新規なウライドトロポロン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
植物の成長を抑制又は促進させる物質は除草剤や植物成長調節剤などとして農園芸分野で有効に用いられている。例えばウレア誘導体やカルバメート誘導体を有効成分として含む除草剤が数多く知られている。また、ウレア誘導体には植物の細胞分裂を促進する作用を有する化合物(このような作用を有する物質は「サイトカイニン」と呼ばれる)が多数知られている。例えばN,N'-ジフェニルウレアがそのような作用を有することが報告されており(J. Am. Chem. Soc., 77, 6351, 1955)、強いサイトカイニン作用を有するN-(2-クロル-4-ピリジル)-N'-フェニルウレア(フォルクロルフェニュロン, 特公昭57-16104号公報)が農園芸において実用化されている(薬学雑誌, 114, 577, 1994)。もっとも、フォルクロルフェニュロンの農園芸における用途は限定されているところから、より広範囲な農園芸用途に使用することができ、あるいは特徴的なサイトカイニン作用を発揮することができる化合物の提供が求められている。
【0003】
一方、トロポロン骨格を有する化合物のうち、ウレア誘導体として2-ウレイドトロポロン(Chem. Pharm. Bull., 16, 1503, 1968)のほか、そのフェニル誘導体(J. Chem. Res. Miniprint, 3, 901, 1999; Heterocycles, 55, 2131, 2001)などが知られている。レチノイド活性を有するアルキル置換フェニルウレア誘導体であるトロポロン化合物(Chem. Pharm. Bull., 49, 501, 2001)も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、サイトカイニン活性を有し、農園芸の除草剤や植物成長調節剤などの農薬の有効成分として有用な新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記の一般式(I)で表されるウライドトロポロン誘導体が強いサイトカイニン活性を有しており、農薬の有効成分として有用であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0006】
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示し;R2は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R3は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す)で表される化合物又はその塩が提供される。
【0007】
上記発明の好ましい態様によれば、R1が水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基(該置換基はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、又はスルホン酸基からなる群から選ばれる)、アミノ基、又はモノ若しくはジアルキルアミノ基であり、R2が水素原子又はC1-4アルキル基を示し、R3が置換基を有していてもよい6ないし10員のアリール基、置換基を有していてもよい5員ないし14員のヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又はアルキル基である上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が提供される。
【0008】
別の観点からは、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含む農薬が提供される。この発明の好ましい態様によれば、植物成長調節剤である上記農薬が提供される。さらに別の観点からは、農園芸用植物の成長調節方法であって、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩の有効量を該植物に適用する工程を含む方法が本発明により提供される。
【発明の効果】
【0009】
一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩は農園芸用植物に対する植物成長調節剤などの農薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
R1は水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示す。アルコキシ基としては、直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基を用いることができ、直鎖又は分枝鎖状のC1-6アルコキシ基が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを用いることができるが、メトキシ基がより好ましい。該アルコキシ基が置換基を有する場合、置換基の個数及び種類は特に限定されないが、C1-6アルコキシ基(好ましくはメトキシ基又はエトキシ基)が例えば1個の置換基を有することが好ましい。アルコキシ基上の置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、又はアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1-6アルコキシカルボニル基など)などを例示することができるが、これらに限定されることはない。置換基を有していてもよいアミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノキ、アセチルアミノ基などを挙げることができるが、モノアルキルアミノ基が好ましい。該アミノ基上に置換するアルキル基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を用いることができ、例えばC1-12アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基を用いることができる。ジアルキルアミノ基に置換する2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。モノアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基などが好ましい。
【0011】
R2は水素原子又はアルキル基を示す。R2が示すアルキル基としては直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を用いることができ、例えばC1-12アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基を用いることができる。より好ましくはメチル基又はエチル基を用いることができ、特に好ましくはメチル基を用いることができる。R2が示すアルキル基が置換基を有する場合、置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、水酸基、又はアミノ基などを挙げることができる。R2が示すアルキル基は無置換であることが好ましい。
【0012】
R3は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。R3が示すアリール基としては、6ないし10員のアリール基を用いることができ、より具体的にはフェニル基又はナフチル基を用いることができる。R3が2個の隣接するアルキル基で置換されたフェニル基であり、かつR1が無置換の水酸基であるときには、R3が示すフェニル基上の2個のアルキル基が結合して6員環を形成しないことが好ましい。R3が示すヘテロ環基としては、5員ないし14員のヘテロ環基を用いることができ、ヘテロ環基のヘテロ環を構成するヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及びイオウ原子からなる群から選ばれる1ないし5個のヘテロ原子が好ましい。ヘテロ環基は、単環式芳香族ヘテロ環基、縮合多環式芳香族ヘテロ環基、単環式非芳香族ヘテロ環基、又は縮合多環式非芳香族ヘテロ環基のいずれであってもよい。
【0013】
単環式芳香族ヘテロ環基としては、例えば、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、(1,2,3-オキサジアゾール)-4-イル、(1,2,3-オキサジアゾール)-5-イル、(1,2,4-オキサジアゾール)-3-イル、(1,2,4-オキサジアゾール)-5-イル、(1,2,5-オキサジアゾール)-3-イル、(1,2,5-オキサジアゾール)-4-イル、(1,3,4-オキサジアゾール)-2-イル、(1,3,4-オキサジアゾール)-5-イル、フラザニル、(1,2,3-チアジアゾール)-4-イル、(1,2,3-チアジアゾール)-5-イル、(1,2,4-チアジアゾール)-3-イル、(1,2,4-チアジアゾール)-5-イル、(1,2,5-チアジアゾール)-3-イル、(1,2,5-チアジアゾール)-4-イル、(1,3,4-チアジアゾリル)-2-イル、(1,3,4-チアジアゾリル)-5-イル、(1H-1,2,3-トリアゾール)-1-イル、(1H-1,2,3-トリアゾール)-4-イル、(1H-1,2,3-トリアゾール)-5-イル、(2H-1,2,3-トリアゾール)-2-イル、(2H-1,2,3-トリアゾール)-4-イル、(1H-1,2,4-トリアゾール)-1-イル、(1H-1,2,4-トリアゾール)-3-イル、(1H-1,2,4-トリアゾール)-5-イル、(4H-1,2,4-トリアゾール)-3-イル、(4H-1,2,4-トリアゾール)-4-イル、(1H-テトラゾール)-1-イル、(1H-テトラゾール)-5-イル、(2H-テトラゾール)-2-イル、(2H-テトラゾール)-5-イル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、2-ピラジニル、(1,2,3-トリアジン)-4-イル、(1,2,3-トリアジン)-5-イル、(1,2,4-トリアジン)-3-イル、(1,2,4-トリアジン)-5-イル、(1,2,4-トリアジン)-6-イル、(1,3,5-トリアジン)-2-イル、1-アゼピニル、1-アゼピニル、2-アゼピニル、3-アゼピニル、4-アゼピニル、(1,4-オキサゼピン)-2-イル、(1,4-オキサゼピン)-3-イル、(1,4-オキサゼピン)-5-イル、(1,4-オキサゼピン)-6-イル、(1,4-オキサゼピン)-7-イル、(1,4-チアゼピン)-2-イル、(1,4-チアゼピン)-3-イル、(1,4-チアゼピン)-5-イル、(1,4-チアゼピン)-6-イル、(1,4-チアゼピン)-7-イル等の5ないし7員の単環式芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
【0014】
縮合多環式芳香族ヘテロ環基としては、例えば、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル、1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル、1-インドリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、(2H-イソインドール)-1-イル、(2H-イソインドール)-2-イル、(2H-イソインドール)-4-イル、(2H-イソインドール)-5-イル、(1H-インダゾール)-1-イル、(1H-インダゾール)-3-イル、(1H-インダゾール)-4-イル、(1H-インダゾール)-5-イル、(1H-インダゾール)-6-イル、(1H-インダゾール)-7-イル、(2H-インダゾール)-1-イル、(2H-インダゾール)-2-イル、(2H-インダゾール)-4-イル、(2H-インダゾール)-5-イル、2-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、(1,2-ベンゾイソオキサゾール)-3-イル、(1,2-ベンゾイソオキサゾール)-4-イル、(1,2-ベンゾイソオキサゾール)-5-イル、(1,2-ベンゾイソオキサゾール)-6-イル、(1,2-ベンゾイソオキサゾール)-7-イル、(2,1-ベンゾイソオキサゾール)-3-イル、(2,1-ベンゾイソオキサゾール)-4-イル、(2,1-ベンゾイソオキサゾール)-5-イル、(2,1-ベンゾイソオキサゾール)-6-イル、(2,1-ベンゾイソオキサゾール)-7-イル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、(1,2-ベンゾイソチアゾール)-3-イル、(1,2-ベンゾイソチアゾール)-4-イル、(1,2-ベンゾイソチアゾール)-5-イル、(1,2-ベンゾイソチアゾール)-6-イル、(1,2-ベンゾイソチアゾール)-7-イル、(2,1-ベンゾイソチアゾール)-3-イル、(2,1-ベンゾイソチアゾール)-4-イル、(2,1-ベンゾイソチアゾール)-5-イル、(2,1-ベンゾイソチアゾール)-6-イル、(2,1-ベンゾイソチアゾール)-7-イル、(1,2,3-ベンゾオキサジアゾール)-4-イル、(1,2,3-ベンゾオキサジアゾール)-5-イル、(1,2,3-ベンゾオキサジアゾール)-6-イル、(1,2,3-ベンゾオキサジアゾール)-7-イル、(2,1,3-ベンゾオキサジアゾール)-4-イル、(2,1,3-ベンゾオキサジアゾール)-5-イル、(1,2,3-ベンゾチアジアゾール)-4-イル、(1,2,3-ベンゾチアジアゾール)-5-イル、(1,2,3-ベンゾチアジアゾール)-6-イル、(1,2,3-ベンゾチアジアゾール)-7-イル、(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)-4-イル、(2,1,3-ベンゾチアジアゾール)-5-イル、(1H-ベンゾトリアゾール)-1-イル、(1H-ベンゾトリアゾール)-4-イル、(1H-ベンゾトリアゾール)-5-イル、(1H-ベンゾトリアゾール)-6-イル、(1H-ベンゾトリアゾール)-7-イル、(2H-ベンゾトリアゾール)-2-イル、(2H-ベンゾトリアゾール)-4-イル、(2H-ベンゾトリアゾール)-5-イル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、1-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、2-ナフチリジニル、3-ナフチリジニル、4-ナフチリジニル、2-プリニル、6-プリニル、7-プリニル、8-プリニル、2-プテリジニル、4-プテリジニル、6-プテリジニル、7-プテリジニル、1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル、9-カルバゾリル、2-(α―カルボリニル)、3-(α―カルボリニル)、4-(α―カルボリニル)、5-(α―カルボリニル)、6-(α―カルボリニル)、7-(α―カルボリニル)、8-(α―カルボリニル)、9-(α―カルボリニル)、1-(β―カルボニリル)、3-(β―カルボニリル)、4-(β―カルボニリル)、5-(β―カルボニリル)、6-(β―カルボニリル)、7-(β―カルボニリル)、8-(β―カルボニリル)、9-(β―カルボニリル)、1-(γ―カルボリニル)、2-(γ―カルボリニル)、4-(γ―カルボリニル)、5-(γ―カルボリニル)、6-(γ―カルボリニル)、7-(γ―カルボリニル)、8-(γ―カルボリニル)、9-(γ―カルボリニル)、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル、1-フェノキサジニル、2-フェノキサジニル、3-フェノキサジニル、4-フェノキサジニル、10-フェノキサジニル、1-フェノチアジニル、2-フェノチアジニル、3-フェノチアジニル、4-フェノチアジニル、10-フェノチアジニル、1-フェナジニル、2-フェナジニル、1-フェナントリジニル、2-フェナントリジニル、3-フェナントリジニル、4-フェナントリジニル、6-フェナントリジニル、7-フェナントリジニル、8-フェナントリジニル、9-フェナントリジニル、10-フェナントリジニル、2-フェナントロリニル、3-フェナントロリニル、4-フェナントロリニル、5-フェナントロリニル、6-フェナントロリニル、7-フェナントロリニル、8-フェナントロリニル、9-フェナントロリニル、10-フェナントロリニル、1-チアントレニル、2-チアントレニル、1-インドリジニル、2-インドリジニル、3-インドリジニル、5-インドリジニル、6-インドリジニル、7-インドリジニル、8-インドリジニル、1-フェノキサチイニル、2-フェノキサチイニル、3-フェノキサチイニル、4-フェノキサチイニル、チエノ〔2,3-b〕フリル、ピロロ〔1,2-b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5-a〕ピリジル、イミダゾ〔11,2-a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5-a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2-b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2-a〕ピリミジニル、1,2,4-トリアゾロ〔4,3-a〕ピリジル、1,2,4-トリアゾロ〔4,3-a〕ピリダジニル等の8ないし14員の縮合多環式芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
【0015】
単環式非芳香族ヘテロ環基としては、例えば、1-アジリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、2-テトラヒドロフリル、3-テトラヒドロフリル、チオラニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、1-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、1-(2-ピロリニル)、1-(2-イミダゾリニル)、2-(2-イミダゾリニル)、1-(2-ピラゾリニル)、3-(2-ピラゾリニル)、ピペリジノ、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1-ホモピペリジニル、2-テトラヒドロピラニル、モルホリノ、(チオモルホリン)-4-イル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル等の3ないし7員の飽和若しくは不飽和の単環式非芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
【0016】
縮合多環式非芳香族ヘテロ環基としては、例えば、2-キヌクリジニル、2-クロマニル、3-クロマニル、4-クロマニル、5-クロマニル、6-クロマニル、7-クロマニル、8-クロマニル、1-イソクロマニル、3-イソクロマニル、4-イソクロマニル、5-イソクロマニル、6-イソクロマニル、7-イソクロマニル、8-イソクロマニル、2-チオクロマニル、3-チオクロマニル、4-チオクロマニル、5-チオクロマニル、6-チオクロマニル、7-チオクロマニル、8-チオクロマニル、1-イソチオクロマニル、3-イソチオクロマニル、4-イソチオクロマニル、5-イソチオクロマニル、6-イソチオクロマニル、7-イソチオクロマニル、8-イソチオクロマニル、1-インドリニル、2-インドリニル、3-インドリニル、4-インドリニル、5-インドリニル、6-インドリニル、7-インドリニル、1-イソインドリニル、2-イソインドリニル、4-イソインドリニル、5-イソインドリニル、2-(4H-クロメニル)、3-(4H-クロメニル)、4-(4H-クロメニル)、5-(4H-クロメニル)、6-(4H-クロメニル)、7-(4H-クロメニル)、8-(4H-クロメニル)、1-イソクロメニル、3-イソクロメニル、4-イソクロメニル、5-イソクロメニル、6-イソクロメニル、7-イソクロメニル、8-イソクロメニル、1-(1H-ピロリジニル)、2-(1H-ピロリジニル)、3-(1H-ピロリジニル)、5-(1H-ピロリジニル)、6-(1H-ピロリジニル)、7-(1H-ピロリジニル)等の8ないし10員の飽和若しくは不飽和の縮合多環式非芳香族ヘテロ環基が挙げられる。
【0017】
R3が示すアラルキル基としては直鎖状又は分枝鎖状のC1-6アルキル基に1ないし3個、好ましくは1又は2個のアリール基が置換したアラルキル基が好ましい。アリール基としては上記に説明したものが好ましい。アラルキル基として、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。R3が示すアルキル基としては、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基を用いることができ、例えばC1-12アルキル基などが挙げられる。より具体的にはアダマンチル基などのシクロアルキル基や直鎖又は分枝鎖状のC1-8アルキル基などを用いることができる。
【0018】
R3が示すアリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、又はアルキル基は置換基を有していてもよい。これらに基が置換基を有する場合、置換基の個数、置換位置、及び置換基の種類は特に限定されず、2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、又はアルキル基上の置換基として、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、シクロプロピル基、アダマンチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、チオール基、アルキルカルボニル基(アセチル基、エチルカルボニル基など)、アリール基(フェニル基、ナフチル基など)、ヘテロ環基(上記のR3におけるヘテロ環基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基など)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基(モノフルオロメチル基、トリフルオロメチル基など)、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基、ジヒドロエチル基など)、アルキルアミノ基(アミノメチル基など)、モノアルキルアミノ基(モノメチルアミノ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基など)、アルキレンジオキシ基(メチレンジオキシ基など)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。さらに、上記に例示した基の組み合わせからなる基(例えばハロゲン化アリール基、ハロゲン化アルキルオキシ基など)を置換基として有していてもよい。
【0019】
特に好ましいR1、R2、及びR3の組み合わせとしては、
(1)R1が水酸基又はC1-4アルコキシ基であり、R2が水素原子又はC1-4アルキル基であり、R3が置換基を有していてもよいフェニル基、C1-4アルキル基、置換基を有していてもよいピリジル基、又は置換基を有していてもよいチアゾリル基である組み合わせ;
(2)R1が水酸基又はC1-4アルコキシ基であり、R2が水素原子又はC1-4アルキル基であり、R3が置換基を有していてもよいフェニル基(該置換基はハロゲン化C1-4アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、及びC1-4アルコキシ基からなる群から選ばれる)、C1-4アルキル基、置換基を有していてもよいピリジル基(該置換基はC1-4アルキル基又はハロゲン原子から選ばれる)、又はチアゾリル基である組み合わせ;及び
(3)R1が水酸基又はメトキシ基であり、R2が水素原子であり、R3が置換基を有していてもよいフェニル基(該置換基はトリフルオロメチル基、シアノ基、塩素原子、及びメトキシ基からなる群から選ばれる)、C1-4アルキル基、置換基を有していてもよいピリジル基(該置換基はC1-4アルキル基又は塩素原子から選ばれる)、又はチアゾリル基である組み合わせ
が挙げられる。
【0020】
一般式(I)で表される本発明の化合物は、酸付加塩を形成することがあり、また置換基の種類に応じて塩基付加塩などの塩の形態で存在する場合があるが、本発明の範囲にはいかなる塩も包含される。酸付加塩としては、塩酸塩若しくは臭化水素酸塩などの鉱酸塩、又はp-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、若しくは酒石酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。塩基付加塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機アミン塩などを用いることができる。また、グリシン塩などのアミノ酸塩として存在することもできる。さらに、本発明の化合物又はその塩は、水和物又は溶媒和物として存在する場合があるが、これらの物質も本発明の範囲に包含される。
【0021】
本発明の化合物は、置換基の種類に応じて、1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、光学活性体やジアステレオマーなどの立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明の範囲に包含される。また、オレフィン性の二重結合に基づく幾何異性体(syn-又はanti-異性体)又はそれらの任意の混合物のほか、互変異性体が存在する場合には、それらも全て本発明の範囲に包含される。
【0022】
本明細書の実施例には、上記一般式(I) に包含される上記の好ましい化合物の製造方法が具体的に説明されている。従って、これらの製造方法において用いられた出発原料、反応試薬、及び反応条件などを適宜選択し、必要に応じてこれらの製造方法に適宜の修飾ないし改変を加えることにより、本発明の範囲に包含される化合物はいずれも製造可能である。もっとも、本発明の化合物の製造方法は、実施例に具体的に説明されたものに限定されることはない。
【0023】
一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩はサイトカイニン活性を有しており、例えば、農園芸植物に対して植物成長調節剤などの農薬として使用することができる。本発明の化合物又はその塩がサイトカイニン活性を有することは、本明細書の実施例に具体的に説明された方法に従って、例えば植物体におけるクロロフィルの保持効果を測定することにより当業者が容易に確認することができる(サイトカイニンの活性確認手段などについては、例えば薬学雑誌, 114, 577, 1994などを参照のこと)。一般式(I)で表される本発明の化合物又はその塩を有効成分として含む農薬は、農園芸植物に対して成長促進剤、分化誘導剤、老化防止剤、又は伸長抑制剤として使用することができ、あるいは農園芸用土壌に対して除草剤などの目的で使用することもできる。
【0024】
一般式(I)で表される化合物又はその塩と当業界で周知の製剤用添加物とを用いて、農薬用組成物を調製することができる。農薬用組成物の形態は特に限定されず、当業界で利用可能な形態であればいかなる形態を採用してもよい。例えば、乳剤、液剤、油剤、水溶剤、水和剤、フロアブル、粉剤、微粒剤、粒剤、エアゾール、くん蒸剤、又はペースト剤などの形態の組成物を用いることができる。農薬用組成物の製造方法も特に限定されず、当業者に利用可能な方法を適宜採用することができる。本発明の農薬用組成物には、殺虫剤、殺菌剤、殺虫殺菌剤、除草剤などの他の農薬の有効成分を配合してもよい。本発明の農薬の適用方法及び適用量は、適用目的、剤型、適用場所などの条件に応じて当業者が適宜選択可能である。至適な作用を得るための濃度は以下の実施例を参照することにより当業者が適宜決定できる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。以下の実施例中、Meはメチル基、Buはブチル基、Msはメタンスルホニル基を示す。
例1:N-(2-メチル-4-ブロモフェニル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア
(a)5-ニトロソトロポロン
【化2】

トロポロン(1)(200mmol, 24.4g)を酢酸 64 ml、水 20 mlに溶かし、氷冷下に NaNO2 (290 mmol, 20.014 g) を水 40 mlに溶解して徐々に加え1時間攪拌した。反応液を吸引濾過しながら水 (20 ml)で洗った後、少量のメタノールで洗い、残渣を減圧乾燥して化合物2の粗生成物を26.6 g 得た。収率 88%
黄色結晶
m.p. : 195-205℃で色が変わり始め220℃で黒色変化.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 13.9 (1H, br-s), 7.7 (1H, d, J=12.4Hz), 7.2 (1H, d, J=11.7Hz), 6.6 (2H, d, J=12.8Hz).
IR (KBr) cm-1 : 3155, 1603, 1514.
LRMS : 151(M+)
【0026】
(b)5-アミノトロポロン
【化3】

ナス型フラスコにPtO2 (48.3 mg) を加えメタノール 60 ml を加えた後、5-ニトロソトロポロン (2) (40 mmol, 6.04 g) を加え、 水素雰囲気下に 室温で5時間攪拌した。反応液に活性炭を加えしばらく攪拌した後、触媒を濾去して濾液を減圧濃縮した。 得られた残渣をメタノールから再結晶して化合物 3 を得た。定量的
黄色粉末
m.p. : 177-179℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 7.22 (2H, dd, J=10.8, 1.2Hz), 6.84 (2H, dd, J=10.8, 1.2Hz), 6.34 (2H, br-s).
IR (KBr) cm-1 : 3420, 3200, 1658, 1521, 1439.
LRMS : 137(M+)
【0027】
(c)N-(2-メチル-4-ブロモフェニル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア(製造方法A)
【化4】

5-アミノトロポロン (3) (1.5 mmol, 205.5 mg) をテトラヒドロフラン(THF)10 mlに懸濁させ、2-メチル-4-ブロモフェニルイソシアナート (1.5 mmol, 0.21 ml) を加え室温で1.5時間攪拌した。反応液を吸引ろ過し、残渣をメタノールから再結晶して化合物 12 を417mg 得た。収率80%
黄茶色燐片状結晶
m.p. : 236-239℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 9.29 (1h, br-s, NH), 8.14 (1H, br-s, NH), 7.76 (1H, d, J=8.7Hz), 7.57 (2H, dd, J=11.0, 1.5Hz), 7.39 (1H, d, J=2.4Hz), 7.31 (1H, dd, J=8.7, 2.4Hz), 7.21 (2H, dd, J=11, 1.5Hz), 2.22 (3H, s, Me)
IR (KBr) cm-1: 3295, 3190, 1635, 1598, 1548, 1452, 1416, 1276, 1182, 822, 667.
LR-MS : 350 (2.5), 348 (2.9), 213 (46), 211 (46), 187 (84), 185 (92).
【0028】
例2:N-(2-フルオロフェニル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア
【化5】

5-アミノトロポロン (3) (1.5 mmol, 205.5 mg) をTHF 10 mlに懸濁させ、2-フルオロフェニルイソシアナート (1.5 mmol, 0.168 ml) を加え室温で一昼夜攪拌した。反応液を減圧留去し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル) で精製し、メタノールから再結晶し化合物 13 を91mg得た。収率 22%
淡黄色燐片状結晶
m.p. : 250-255℃ 分解.
1H-NHR (DMSO-d6) : δ 9.27 (1H, br-s, NH), 8.67 (1H, br-s, NH), 8.08 (1H, ddd, J=8.3, 8.3, 1.8Hz), 7.57 (2H, d, J=12.3Hz), 7.21 (2H, d, J=12.3Hz), 7.27-7.19 (1H, m), 7.14 (1H, dd, J=7.8, 6Hz), 7.06-6.98 (1H, m).
13C-NMR (DMSO-d6) : δ 168.6, 152.0, 139.2, 127.4, 127.0, 126.9, 124.9, 124.3, 122.8, 120.7, 115.0.
IR (KBr) cm-1: 3310, 3210, 1635, 1602, 1495, 1450, 1418, 1265, 762.
LR-MS :274(M+)
【0029】
例3:N-(4-シアノフェニル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア
【化6】

5-アミノトロポロン (3) (10 mmol, 1.37 g) をTHF 10 mlに懸濁させ、4-シアノイソシアナート (10 mol, 1.44 g) を加え室温で2時間攪拌した。反応液を吸引ろ過し、残渣をメタノールから再結晶して化合物 19 を2.254 g得た。収率80%
淡黄色プリズム状結晶
m.p. : 236-237.5℃.
1H-NHR (DMSO-d6) : δ 9.32 (1H, br-s, NH), 9.05 (1H, br-s, NH), 7.73 (2H, A2B2, J=9.0, 1.8Hz, Ph-H), 7.62 (2H, A2B2, J=9.0, 1.8Hz, Ph-H), 7.10 (2H, A2B2, J=11.0, 1.5Hz, Tp-H), 6.70 (2H, A2B2, J=11.0, 1.5Hz, Tp-H).
LR-MS : 281(M+).
【0030】
例4:N-フェニル-N'-(5-トロポロニル)ウレア
【化7】

5-アミノトロポロン (3) (1.5 mmol, 205.5 mg) をTHF 10 mlに懸濁させ、フェニルイソシアナート (1.5 mmol, 0.245 ml) を加え6時間加熱還流した。反応液を減圧留去し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー (10%メタノール / ジクロロメタン) で精製した後、メタノールから再結晶して化合物 26 を183.5 mg得た。収率48%.
淡茶色燐片状結晶
m.p. : 255-258℃ 分解.
1H-NHR (DMSO-d6) : δ 8.89 (1H, br-s, NH), 8.79 (1H, br-s, NH), 7.56 (2H, d, J=12.3Hz), 7.44 (2H, dd, J=7.8, 0.6Hz), 7.28 (2H, dd, J=7.8, 7.8Hz), 7.21 (2H, d, J=12.3Hz), 6.98 (1H, ddd, J=7.8, 7.8, 0.6Hz).
LR-MS : 256 (M+).
【0031】
例5:N-tert-ブチル-N'-(5-トロポロニル)ウレア
【化8】

5-アミノトロポロン (3 mmol, 411 mg) をTHF 10 ml に懸濁させ tert-ブチルイソシアナート (9 mmol, 1.02 ml)を加え3時間加熱還流した。反応液を吸引ろ過した後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール / ジクロロメタン) で精製して化合物 40 を463.3 mg得た。収率66%
茶色光沢燐片状結晶
m.p. : 207-210℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.50 (1H, br-s, NH), 7.51 (2H, A2B2, J=11.0, 1.5Hz), 7.17 (2H, A2B2, J=11.0, 1.5Hz), 6.13 (1H, br-s, NH), 1.27 (9H, s, t-Bu).
13C-NMR (DMSO-d6) : δ 168.0, 153.8, 140.9, 126.3, 125.2, 49.7, 28.9.
IR (KBr) cm-1: 3350, 3170, 3005, 1640, 1560, 1446, 1359, 1260, 1206.
LR-MS : 236 (M+, 9), 163 (13), 138 (9).
【0032】
例6:N-(2-ベンゾチアゾリル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア(製造方法B)
【化9】

N-(tert-ブチル)-N'-5-(トロポロニル)ウレア (40) (0.5 mmol, 118 mg) をトルエン 5 mlに懸濁させ、2-アミノベンゾチアゾール (1.5 mmol, 225 mg) を加え精留塔を付けた蒸留装置を組み120℃で1.5時間加熱した。反応液を冷却後吸引ろ過し、残渣をメタノールから再結晶して化合物47 を120 mg得た。収率 77%
黄白色プリズム状結晶
m.p. : 257-260℃で黒変.
1H-NMR (DMSO-d6) :δ 11.4-10.0 (1H, br-s, NH), 9.37 (1H, br-s, NH), 7.89 (1H, d, J=7.8Hz), 7.64 (2H, d, J=12.3Hz), 7.62 (1H, d, J=7.8Hz), 7.39 (1H, ddd, J=7.8, 7.8, 1.2Hz), 7.27-7.22 (1H, m), 7.24 (2H, d, J=12.3Hz).
IR (KBr) cm-1 : 3350, 3265, 3220, 2990, 1710, 1552, 1526, 1444, 1350, 1254, 1213.
LR-MS : 313 (M+, 0.6), 176 (100), 163 (33), 150 (91).
【0033】
例7:N-メチル-N-フェニル-N'-(5-トロポロニル)ウレア
【化10】

N-(tert-ブチル)-N'-5-(トロポロニル)ウレア (40) (0.4 mmol, 94.4 mg)をトルエン 5mlに懸濁させ、N-メチルアニリン (1.2 mmol, 130μl)を加え、精留塔を付けた蒸留装置を組み120℃で5時間加熱した。反応液を減圧留去した後、10% メタノール / ジクロロメタンで抽出し、有機層を10%塩酸及び飽和食塩水で順次洗いNa2SO4 で乾燥した後、溶媒を減圧留去して化合物 52 を78.4 mg得た。収率73%
黄茶色プリズム状結晶
m.p. : 134-136℃.
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.52 (2H, ddd, J=7.8, 7.2, 1.8Hz), 7.44-7.33 (5H, m), 7.25 (2H, A2B2, J=12.3, 1.5Hz), 3.34 (3H, s, OMe).
13C-NMR (DMSO-d6) δ: 168.8, 154.7, 143.5, 139.9, 130.1, 129.1, 126.2, 125.9, 124.0, 39.7.
IR (KBr) cm-1 : 3400, 3225, 1684, 1543, 1496, 1445, 1363, 1262.
LR-MS : 270 (M+, 27), 163 (29), 134 (82), 106 (100).
【0034】
例8:N-(3-ピリジル)-N'-(5-トロポロニル)ウレア(製造方法C)
【化11】

5-アミノトロポロン (1.5 mmol, 205 mg) とニコチン酸アジド (1.5 mmol, 223 mg)をTHF 10 mlに懸濁させ 15時間加熱還流した。反応液を吸引ろ過し、残渣をエタノールから再結晶して化合物 54 を174 mg得た。収率45%
こげ茶色プリズム状結晶
m.p. : 212-213℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 9.00 (1H, br-s, NH), 8.96 (1H, br-s, NH), 8.60 (1H, d, J=2.4Hz), 8.19 (1H, dd, J=4.5, 1.5Hz), 7.91 (1H, ddd, J=8.4, 2.4, 1.5Hz), 7.57 (2H, d, J=12Hz), 7.31 (1H, dd, J=8.4, 4.5Hz), 7.22 (2H, d, J=12Hz).
13C-NMR (DMSO-d6) : δ 168.7, 152.5, 143.0, 140.1, 139.2, 135.9, 127.9, 125.3, 124.8, 123.5.
LR-MS : 257 (M+, 16), 214 (9), 163 (99), 137 (100).
【0035】
例9:N-フェニル-N'-(2-メトキシ-5-トロポニル)ウレア(製造方法D)
【化12】

化合物 26 (0.29 mmol, 75 mg) をメタノール 5 mlに懸濁させ、(トリメチルシリル)ジアゾメタンを発泡がおさまるまで加え、室温で攪拌した。反応後、酢酸を加えてしばらく攪拌し反応液を減圧留去した。残渣をメタノールから再結晶して化合物 83を71.8 mg 得た。収率 92%
黄白色粉末
m.p. : 232-233 ℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ8.34 (1H, br-s, NH), 8.77 (1H, br-s, NH), 7.48-7.35 (4H, m), 7.258 (2H, dd, J= 8.0, 8.0Hz), 7.06 (1H, d, J=12.9Hz), 6.99 (1H, d, J=10.5Hz), 6.97 (1H, dd, J=8, 8Hz), 3.79 (3H, s, OMe).
LR-MS : 270 (M+), 177 (27), 151 (36), 119 (22), 108 (46), 93 (100).
【0036】
例10:N-(4-メトキシベンゾイル)-N'-(2-メトキシ-5-トロポニル)ウレア
【化13】

例9と同様にして化合物27から化合物84を得た。収率 85%
茶色プリズム状結晶 (メタノール)
m.p. : 219-221 ℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.72 (1H, br-s, NH), 7.44 (1H, dd, J=11.4, 1.4Hz), 7.35 (1H, dd, J=12.9, 1.4Hz), 7.22 (1H, d, J=8.4Hz), 7.02 (1H, d, J=12.9Hz), 6.96 (1H, d, J=11.4Hz), 6.88 (1H, d, J=8.4Hz), 6.69 (1H, dd, J=5.4Hz, NH), 4.20 (2H, d, J=5.4Hz), 3.76 (3H, s, OMe), 3.72 (3H, s, OMe).
LR-MS : 314 (M+), 177 (20), 151 (26), 121 (100).
【0037】
例11:N-(4-メチルフェニル)-N'-(2-メトキシ-5-トロポニル)ウレア
【化14】

例9と同様にして化合物43から化合物90を得た。収率 96%
黄土色粉末. (メタノール)
m.p. : 237-238 ℃.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.82 (1H, br-s, NH), 8.69 (1H, br-s, NH), 7.44 (1H, dd, J=11.1, 2.7Hz), 7..39 (1H, dd, J=12.9, 2.7Hz), 7.32 (2H, d, J=8.4Hz), 7.08 (2H, d, J=8.4Hz), 7.05 (1H, d, J=12.9Hz), 6.99 (1H, d, J=11.1Hz), 3.79 (3H, s, OMe), 2.23 (3H, s, Me).
LR-MS : 284 (M+, 10), 177 (28), 133 (34), 106 (100).
【0038】
例12:N-メチル-N-フェニル-N'-(2-メトキシ-5-トロポロニル)ウレア
【化15】

例9と同様にして化合物52から化合物92を得た。収率 90%
茶色粘稠液体
1H-NMR (CDCl3) : δ 7.52 (2H, dd, J= 8.1, 8.1Hz), 7.47-7.31 (4H, m), 7.16 (1H, d, J=13.2Hz), 7.00 (1H, d, J=13.2, 1.2Hz), 6.71 (1H, d, J=11.1Hz), 6.20 (1H, br-s, NH), 3.90 (3H, s, OMe), 3.34 (3H, s, NMe).
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.34 (1H, br-s, NH), 7.43-7.38 (3H, m), 7.33 (2H, dd, J=7.2, 0.9Hz), 7.23 (1H, dd, J=7.2, 7.2Hz), 7.19 (1H, dd, J=11.1, 2.1Hz), 6.96 (1H, d, J=12.9Hz), 6.91 (1H, d, J=11.4Hz), 3.78 (3H, s, OMe), 3.25 (3H, s, NMe).
LR-MS : 284 (M+, 26), 177 (52), 134 (93), 107 (100).
【0039】
例13:化合物96(a)(製造方法D)
(a)化合物4
【化16】

5-アミノトロポロン (3) (16.4 mml, 2.25 g)とベンズアルデヒド (30 mmol, 3 ml) をベンゼン 120 ml に懸濁させ、ディーンスターク装置をつけて一昼夜加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣をエーテルで洗浄して化合物 4 を2.242 g得た。収率 50%
黄色微小針状結晶.
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.58 (1H, s, CH), 7.92 (2H, dd, J=7.5, 1.8Hz), 7.58-7.46 (3H, m), 7.35 (2H, A2B2, J=10.7, 1.5Hz), 7.25 (2H, A2B2, J=10.7, 1.5Hz).
【0040】
(b)化合物5
【化17】

化合物 4 (10 mmol, 2.25 g)、炭酸カリウム (30 mmol, 5.09 g)、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6 (1 mmol, 377 mg) をアセトニトリル 100 ml に懸濁させ、ブロモ酢酸 t-ブチルエステル (40 mmol, 5.8 ml) を加えて8時間加熱還流した。反応液を吸引ろ過し、ろ液を減圧留去した。残渣をジクロロメタン に溶かしNa2CO3水溶液を加えて抽出し、有機層を飽和食塩水で洗い Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1) で精製して化合物5を2.319 g得た。収率 68%
油状物質
1H-NMR (CDCl3) : δ 8.37 (1H, s, CH), 7.88 (2H, d, J=5.7Hz), 7.55-7.46 (3H, m), 7.32-7.24 (2H, m), 6.88 (1H, d, J=10.8Hz), 6.71 (1H, d, J=10.8Hz), 4.77 (2H, s), 1.48 (9H, s).
LR-MS : 339 (M+, 12), 283 (43), 238 (100).
【0041】
(c)化合物6
【化18】

化合物 5 (0.0858 mmol, 29,1 mg) をメタノール 3 mlに溶かし、10% 塩酸 3 mlを加え室温で攪拌30分間攪拌した。反応液にNa2CO3 水溶液を加えて ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗い Na2SO4 で乾燥した後、溶媒を減圧留去して化合物6を22 mg得た。定量的
黒茶色粘稠油状物
1H-NMR (CDCl3) : δ 7.21 (1H, d, J=12.9Hz), 7.03 (1H, d, J=10.8Hz), 6.83 (1H, dd, J=12.9, 2.4Hz), 6.16 (1H, dd, J=10.8, 2.4Hz), 4.64 (2H, s), 4.43 (2H, br-s, NH2), 1.46 (9H, s, t- Bu).
LR-MS : 251(M+, 10), 178 (38), 150 (100).
【0042】
(d)化合物96a(製造方法E)
【化19】

化合物 6 (0.32mmol, 81.6mg)をTHF 5 mlに懸濁させ、p-トリルイソシアナート (0.32 mmol, 40μl)を加え室温で一昼夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をエーテルで洗浄して化合物96aを87.5mg得た。収率 71%
黄色燐片状結晶
m.p. : 219-221℃
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.87 (1H, br-s, NH), 8.69 (1H, br-s, NH), 7.46-7.34 (2H, m), 7.31 (2H, d, J=8.4Hz), 7.11 (1H, d, J=12.0Hz), 7.08 (2H, d, J=8.4Hz), 6.97 (1H, d, J=10.8Hz), 4.73 (2H, s), 2.23 (3H, s), 1.41 (9H, s).
LR-MS : 384 (M+, 1.1), 311 (3.8), 283 (3.8).
【0043】
例14:N-(4-メチルフェニル)-N'-[2-(2-オキシ酢酸)-5-トロポニル]ウレア
【化20】

化合物 96a (0.084mmol, 32.4mg)をジクロロメタン 0.1 mlに懸濁させ、氷冷下にトリフルオロ酢酸 0.3 mlを加えて室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣にエーテルを加えて吸引ろ過し化合物 96bを21.6 mg得た。収率 79%
黄色粉末 (メタノール)
m.p.: 124-126℃ 分解
1H-NMR (DMSO-d6) : δ 8.89 (1H, br-s, NH), 8.73 (1H, br-s, NH), 7.44-7.36 (2H, m), 7.32 (2H, d, J=8.1Hz), 7.09 (1H, d, J=13.8Hz), 7.08 (2H, d, J=8.1Hz), 6.99 (1H, d, J=11.1Hz), 4.76 (2H, s), 2.23 (3H, s).
LR-MS : M+出ず. 310 (1), 284 (0.6), 240 (3), 106 (100).
【0044】
例15:N-(2-イソプロピルフェニル)-N'-(2-メシルオキシ-5-トロポロニル)ウレア(製造方法F)
【化21】

化合物 21 (0.4mmol, 119.2mg) をジクロロメタン 12 mlに懸濁させトリエチルアミン 0.25 mlを加えて氷冷下攪拌し、メタンスルホン酸クロライド(MsCl)を加えて室温で30分間攪拌した。反応液に10%塩酸を加えて酸性にし10%メタノール/ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗い、Na2SO4で乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー (メタノール:ジクロロメタン=1: 9)で精製して化合物 97 を106.1 mg 得た。収率 71%
黄白色燐片状結晶.
m.p. : 172-174℃.
1H-NMR (CDCl3) : δ 7.50 (1H, d, J=11.7Hz), 7.43-7.10 (8H, m), 6.68 (1H, br-s), 3.43 (3H, s, Me), 3.16 (1H, m), 1.23 (6H, d, J=6.9Hz).
IR (KBr) cm-1 : 3315, 2965, 1668, 1595, 1562, 1500, 1445, 1361, 1229, 1149.
LR-MS : 376 (M+, 2), 241 (11), 163 (38).
【0045】
例16:N-(2-イソプロピルフェニル)-N'-(2-メチルアミノ-4-トロポニル)ウレア(製造方法G)
【化22】

化合物 97 (0.246 mmol, 92.6 mg)をTHF 10 mlに溶かし、40%メチルアミン 水溶液1 mlを加えて室温で一昼夜攪拌した。反応液を減圧留去し、残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル) で精製して化合物99を38.2 mg得た。収率50%.
黄色プリズム状結晶
m.p. : 199-201℃.
1H-NMR (CDCl3) : δ 9.20-8.50 (1H, br-s), 7.80-6.40 (9H, m), 3.14 (1H, m), 3.00 (3H, s), 1.16 (3H, s).
LR-MS : 311 (M+, 49), 176 (33), 150 (80), 120 (100).
【0046】
以下に上記実施例及び上記実施例に準じて製造した本発明の化合物を示す。
【表1】



【0047】
試験例:サイトカイニン活性試験
(a)検定方法
各被験化合物をエタノールに溶解又は懸濁させた(1000 ppm又は100 ppmとなるように調製)。6 cmシャーレに水を10 ml加え各濃度の被験化合物を100μl加えた。直径1 cm のコルクボーラーでかぶ(アブラナ科)の葉をくり抜き、切片8枚を表面にして浮かべた(n=4、室内蛍光灯点灯、 室温23℃)。対照としてエタノールを用い、陽性対照としてジフェニルウレア(DPU)10 ppmを用いた。
【0048】
(b)評価
(i)目視による点数化
処理開始日を0日とし、5日目の葉の様子を下記の評価段階により点数化 (n=4の合計) し、各化合物のスコアを処理開始時の値に対する百分率で表した。
評価段階
A (2点)・・・・・葉の緑色が70%以上ぐらい
B (1点)・・・・・葉の緑色が30-70%ぐらい、若しくは少しとろけて葉が沈んでいる
C (0点)・・・・・葉の緑色が30%以下、若しくはかなりとろけている状態
(ii)紫外吸収によるクロロフィル残存量測定
一定期間培養したかぶ葉切片8枚 (1シャーレ中) の水気をキムワイプで軽くぬぐい、遠心管に入れて95% エタノールを10 ml加え、60-90分間超音波をかけて残存クロロフィルを抽出した。3000 rpmで30分間遠心分離して665 nmにおける吸光度を測定してクロロフィル残存量を定量し、処理開始時のクロロフィル含量に対する百分率で表した。対照として95%EtOHを用いた。
【0049】
クロロフィル残存割合に対する既存の植物成長調節剤の作用を評価した。DPU(N,N'-ジフェニルウレア) 10 ppm及び対照(95%エタノール)を作用させた場合における5日間のクロロフィルの残存割合を測定した。4PU 30 (1 ppm)、DPU (10 ppm) に関しては 処理開始後1日目で80%に減少するものの5日後にもほぼ同量のクロロフィルを保持していた。DPU (1 ppm)では5日目ではほぼ50%まで減少した。対照は右肩下がりの減少を与え5日目には20%まで減少した。以上の結果から、被験化合物による開始5日目のクロロフィル残存量を定量し、処理開始時の含量に対する百分率で表した. (n=2の平均)。得られた各化合物のスコア及びクロロフィル残存活性をDPUの値を100として以下の表に示す。
【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】

(式中、R1は水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を示し;R2は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し;R3は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す)で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
R1が水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基(該置換基はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、又はスルホン酸基からなる群から選ばれる)、アミノ基、又はモノ若しくはジアルキルアミノ基であり、R2が水素原子又はC1-4アルキル基を示し、R3が置換基を有していてもよい6ないし10員のアリール基、置換基を有していてもよい5員ないし14員のヘテロ環基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又はアルキル基である請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物又はその塩を含む農薬。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物又はその塩からなるサイトカイニン活性剤。

【公開番号】特開2007−145723(P2007−145723A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338370(P2005−338370)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591063648)財団法人乙卯研究所 (4)
【Fターム(参考)】