説明

エアシリンダ装置

【課題】 可動部の構成を簡素化して駆動部の小型化、軽量化を図ることを可能とし、種々のワークの移載に好適に使用できるエアシリンダ装置を提供する。
【解決手段】 スライド枠18と複数個の可動ブロック20a〜20dと、圧力エアを利用して前記可動ブロックを、相互間隔が狭間隔となる閉じ位置と、広間隔となる開き位置との間で進退動させる駆動機構とを備えたエアシリンダ装置であって、前記駆動機構として、前記各々の可動ブロックにシリンダ室とピストンとを備えたピストン機構30a〜30dを、前記ピストン34の移動方向をガイドロッドの軸線方向に平行に設けるとともに、可動ブロックが移動する全移動位置において前記シリンダ室をすべて連通させて設け、シリンダ室に装着されたピストン34の前部側に圧力エアを供給するエア流路と、ピストン34の後部側へ圧力エアを供給するエア流路とを独立に設け、ピストンの前部側と後部側への圧力エアの供給を切り替え制御することにより、可動ブロック20a〜20dを開き位置と閉じ位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のワークを移載する際に、ワークの配置を変換して移載する駆動装置として利用することができるエアシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品等のワークをピックアップして移載する操作は、製品の組立を自動化した装置等においてはもっとも基本的な処理操作ある。電子部品等の小部品は部品を真空吸着して、たとえばトレイから基板に移載するといった操作がなされる。このような移載操作の際に、ワークを1点ずつピックアップして所定の移載位置に供給する方法もあるが、一度に複数個のワークをピックアップして各々のワークを所定の移載位置に供給する方法もある。
【0003】
このように、一度に複数個のワークをピックアップして所定位置に移載する場合には、一般に、ワークをピックアップする際のワークの間隔と、移載位置でのワークの間隔とは異なるから、ピックアップする位置と移載する位置とでワークを支持する位置を変えて移載する必要がある。このようにワークの支持位置を変えて移載する方法としては、機械的なリンク機構を利用して支持位置を変える方法や、エアシリンダを駆動源として支持位置を変えるようにする等の方法が考えられる。
【特許文献1】特開2005−170622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークの支持位置を変えて移載する移載装置を高速で作動させるようにするには、移載装置はより小型で軽量である必要があり、また構造もより簡素で多数回の動作に耐えるものである必要がある。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、可動部の構成を簡素化して駆動部の小型化、軽量化を図ることを可能とし、種々のワークの移載用として好適に使用することができるエアシリンダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、ガイドロッドを備えたスライド枠と、前記ガイドロッドに移動自在にガイドされて支持された複数個の可動ブロックと、圧力エアを利用して前記可動ブロックを、相互間隔が狭間隔となる閉じ位置と、広間隔となる開き位置との間で進退動させる駆動機構とを備えたエアシリンダ装置であって、前記駆動機構として、前記各々の可動ブロックにシリンダ室とピストンとを備えたピストン機構を、前記ピストンの移動方向を前記ガイドロッドの軸線方向に平行に設けるとともに、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において前記シリンダ室をすべて連通させて設け、前記シリンダ室に装着された前記ピストンの前部側に圧力エアを供給するエア流路と、前記ピストンの後部側へ圧力エアを供給するエア流路とを独立に設け、前記ピストンの前部側と後部側への圧力エアの供給を切り替え制御することにより、前記可動ブロックを開き位置と閉じ位置に移動させることを特徴とする。
【0006】
前記シリンダ室は、可動ブロックに設けた装着孔に取り付けられたスリーブ体と、該スリーブ体の前部に取り付けられたピストンパイプと、後段のピストンパイプから延出する連結パイプ部が前記スリーブ体に形成された縮径部にエアシールして摺入することにより形成され、前記連結パイプ部の前端に、貫通孔が設けられた前記ピストンが固定され、ピストンの周側面が前記シリンダ室の内周面にエアシールして摺動可能に設けられることにより、一方の圧力エアのエア送入口に前記ピストンの前部側が連通して設けられているものが好適に用いられる。
また、前記可動ブロックの各々に、前記ガイドロッドの軸線方向に平行に、先端側が次段の可動ブロックに設けられた流路内にエアシールした状態で摺入し、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において互いに連通する固定パイプを、他方の圧力エアのエア送入口に連通して取り付けられ、前記可動ブロックに、前記流路と前記シリンダ室に装着されたピストンの後部側に連絡する連絡流路が設けられているものが好適に用いられる。
【0007】
また、ガイドロッドを備えたスライド枠と、前記ガイドロッドに移動自在にガイドされて支持された複数個の可動ブロックと、圧力エアを利用して前記可動ブロックを、相互間隔が狭間隔となる閉じ位置と、広間隔となる開き位置との間で進退動させる駆動機構とを備えたエアシリンダ装置であって、前記駆動機構として、前記各々の可動ブロックにシリンダ室とピストンとを備えたピストン機構を、前記ピストンの移動方向を前記ガイドロッドの軸線方向に平行に設けるとともに、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において前記シリンダ室をすべて連通させて設け、前記シリンダ室の内容積を拡大する向きにシリンダ室に圧力エアを供給するエア流路と、前記シリンダ室の内容積を縮小する向きにピストン機構に付勢力を作用させる付勢手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエアシリンダ装置は、可動ブロックをスライド枠に移動自在に支持するとともに、可動ブロックを開き位置と閉じ位置に移動する駆動機構として圧力エアによって駆動されるピストン機構を設け、装置の外部に露出する構成を簡素化したことによって、装置のメンテナンスを容易にし、装置を衛生的に取り扱うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係るエアシリンダ装置の実施の形態について、添付図面にしたがって詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1、2は、本発明に係るエアシリンダ装置の第1の実施の形態の構成を示す断面図である。図1は、エアシリンダ装置が閉じ位置(第1の位置)にある状態を示し、図2は、エアシリンダ装置が開き位置(第2の位置)にある状態を示す。本実施形態のエアシリンダ装置は、エア圧を利用して、閉じ位置と開き位置との間でワークの支持位置を変換して移動動作するように設けられている。
【0010】
本実施形態のエアシリンダ装置は、図1に示すように、支持基体10にガイドロッド12、14を互いに平行に水平向きに固定し、ガイドロッド12、14の先端に固定板16を固定して構成したスライド枠18に、移動自在に4個の可動ブロック20a、20b、20c、20dを装着して形成される。
【0011】
図4は、固定板16を側面方向から見た状態を示す。固定板16の上部には左右に離間した位置に各々1本のガイドロッド12が設けられ、固定板16の下部に1本のガイドロッド14が設けられる。可動ブロック20a〜20dには、その上部の左右2個所、下部の中央の1個所にそれぞれガイドロッド12、14を挿通するガイド孔が設けられ、これら3本のガイドロッド12、14によって可動ブロック20a〜20dが可動に支持される。
【0012】
可動ブロック20a〜20dは側面形状が長方形に形成され、下部にワークをピックアップするピックアップ手段を取り付ける取付部21が設けられる。ワークのピックアップ手段はとくに限定されるものではなく、ワークに合わせてエア吸着によるもの等を適宜選択して使用すればよい。図ではピックアップ手段を省略している。
可動ブロック20a〜20dの厚さは可動ブロック20a〜20dをスライド移動させる際の移動ストロークに関係する。本実施形態では支持基体10側から1番目の可動ブロック20aの厚さを厚く、4番目の可動ブロック20dの厚さをが薄く設定しているが、可動ブロック20a〜20dの厚さはとくに限定されるものではない。
【0013】
可動ブロック20a〜20dは、ガイドロッド12、14によりガイド支持されるとともに、ピストン等のエアシリンダを組み合わせた駆動機構により閉じ位置と開き位置との間で移動する。
本実施形態においては、可動ブロック20a〜20dに装着される駆動機構は、可動ブロック20a〜20dの各々にピストン機構30a、30b、30c、30dを設け、これらのピストン機構30a〜30dを直列に配置してシリンダ室を連通させ、ピストン34をシリンダの前位置と後位置との間で移動させる圧力エアに連絡するエア回路を設けることによって形成される。
【0014】
図3に可動ブロック20a〜20dを駆動する駆動機構の構成を拡大して示す。
可動ブロック20a〜20dに設けられるピストン機構30a〜30dは、シリンダ室を構成するスリーブ体31、およびスリーブ体31に内挿されるピストンパイプ32と、ピストンパイプ32の前部に連結されたピストン34とによって形成される。
スリーブ体31は可動ブロック20a〜20dに設けた装着孔22の内周面にエアシールして挿入固定され、隣接するスリーブ体31とピストンパイプ32とは、後段(支持基体10に近い側)のスリーブ体31の前部に前段(支持基体10から離れる側)のピストンパイプ32のフランジ部32aが外嵌して固定される。なお、装着孔22はガイドロッド12、14と軸線方向が平行となるように設けられている。
【0015】
ピストンパイプ32のフランジ部32aの前部は前方に延出し、連結パイプ部32bとなる。この連結パイプ部32bの外周面には前段の可動ブロックに設けられるスリーブ体31がエアシールした状態で進退動可能に外挿される。すなわち、各々のピストン機構30a〜30dに取り付けられるスリーブ体31は、後部が連結パイプ部32bの外周面に摺接するように縮径して形成され、縮径部の内周面に連結パイプ部32bの外周面に摺接するパッキン31aが装着されている。
【0016】
ピストン34は、後部を連結パイプ部32bの内側に嵌入して連結パイプ部32bに連結され、ピストン34の前部は拡径してスリーブ体31の内周面に摺接するフランジ部34bに形成される。フランジ部34bの周側面にはスリーブ体31の内周面とエアシールするシール体34cが設けられる。ピストン34には連結パイプ部32bと同心に貫通孔34aが設けられ、これによって連結パイプ部32bの筒内とピストン34の貫通孔34aとが連通し、ピストン34はスリーブ体31の内周面を摺動して軸線方向に進退動可能となる。
【0017】
本実施形態のエアシリンダ装置では、各々の可動ブロック20a〜20dに上述したピストン機構30a〜30dが形成され、隣接する可動ブロックの間で、連結パイプ部32bとスリーブ体31とがエアシールされた状態で軸線方向に摺動可能となる。
なお、1番目の可動ブロック20aのピストンパイプ32cは、単円筒状に形成され、支持基体10に形成された可動ブロック20a〜20dを開き位置に移動させるための圧力エアを送入するためのエア送入口11aに連通する。また、4番目の可動ブロック20dの側面に封止板36が取り付けられ、ピストン機構30dのシリンダ室が封止空間に形成される。こうして、可動ブロック20a〜20dに設けられたピストン機構30a〜30dは、ガイドロッド12、14の軸線方向に平行に直列的に配置され、すべてのシリンダ室がエア送入口11aに連通する。
【0018】
図3に示すように、支持基体10には、圧力エアに接続する他のエア流路として、可動ブロック20a〜20dを閉じ位置に移動させるエア送入口11bが設けられている。可動ブロック20a〜20dには、固定パイプ40と、固定パイプ40が内挿されるガイド筒42とを装着するガイド孔24が、ガイドロッド12、14と軸線方向を平行に貫通して設けられる。図4は、エアシリンダ装置を側面方向から見た状態で、固定パイプ40およびガイド孔24は1つ設けられている。
【0019】
各々の可動ブロック20a〜20dでは、ガイド孔24にガイド筒42がエアシールして固定され、ガイド筒42の前部に固定パイプ40の後部が固定される。ガイド筒42に固定された固定パイプ40の前部側は、次段(前段)のガイド筒42に内挿される。なお、1番目の可動ブロック20aに装着される固定パイプ40は、支持基体10に形成されたエア送入口11bに連通して、支持基体10に固定される。
【0020】
ガイド孔24の内周面には固定パイプ40の外周面に摺接するシール体43が設けられ、可動ブロック20a〜20dに設けられた固定パイプ40とガイド筒42とはエア送入口11bに連通した状態で直列的に連結される。
ガイド孔24の内周面とガイド筒42の外周面との間には外周空間24aが形成され、ガイド筒42の内部とこの外周空間24aとを連通する連通孔42aがガイド筒42の側面に開口する。また、可動ロッド20a〜20dの各々には、ガイド孔24とピストン機構30a〜30dのシリンダ室とを連絡する連絡流路26が設けられる。
【0021】
この連絡流路26は、ガイド孔24に形成された外周空間24aと、ピストン機構30a〜30dに設けられたスリーブ体31の外周面と装着孔22の内周面との間に形成された外周空間22aとの間を連絡する。スリーブ体31には外周空間22aとシリンダ室を構成するスリーブ体31の内部空間とを連絡する連通孔31bが外周空間22aに連通する位置に開口して設けられる。
こうして、本実施形態のエアシリンダ装置には、エア送入口11aから送入するエア回路とエア送入口11bから送入するエア回路の2系統のエア回路が各ピストン機構30a〜30dに設けられたシリンダ室に連通することになる。
【0022】
(エアシリンダ装置の作用)
図1は、可動ブロック20a〜20dが閉じ位置にある状態である。この状態で、エア送入口11aに圧力エアを送入すると、圧力エアはピストンパイプ32からピストン34の貫通孔34aに送入され、この送入圧力によって可動ブロック20a〜20bが連結パイプ部32bに対して前進する。すなわち、可動ブロック20a〜20dの各々に設けられたピストン機構30a〜30dではシリンダ室の前部に圧力エアが送入され、ピストン34がシリンダ室内で後位置に移動し、可動ブロック20a〜20dが前進位置(開き位置)に移動する。
図2が、可動ブロック20a〜20dが前進位置(開き位置)に移動した状態を示す。可動ブロック20a〜20dの前進位置は、ピストン34がシリンダ室の後面に当接した位置で規制される。
【0023】
可動ブロック20a〜20dを開き位置から閉じ位置に移動させる操作は、エア送入口11aから供給する圧力エアをエア送入口11bに切り替え、エア送入口11bから圧力エアを送入することによってなされる。
エア送入口11bから圧力エアを送入すると、圧力エアは固定パイプ40からガイド筒42に送入され、連通孔42aから連絡流路26を介してピストン機構30a〜30dのシリンダ室の後部に送入される。すなわち、連絡流路26から装着孔22の外周空間22a内に送入された圧力エアは連通孔31bからスリーブ体31の内部、すなわちシリンダ室に配置されたピストン34の背面側に送入され、ピストン34をシリンダ室内で前進させる。これによって、可動ブロック20a〜20dが連結パイプ部32bに対して後退位置(閉じ位置)に移動する。
【0024】
図1が、可動ブロック20a〜20dが後退位置に移動した状態である。ピストン34の前進位置は、連結パイプ部32bの内側面にピストン34が当接することによって規制される。
このように、ピストン機構30a〜30でのシリンダ室内でピストン34が進退動し、ピストン34の進退動にともなって可動ブロック20a〜20dが閉じ位置と開き位置に移動する。ピストン34が進退動する移動範囲が可動ブロック20a〜20dの移動ストロークを決める。
【0025】
このように、本実施形態のエアシリンダ装置では、エア送入口11aとエア送入口11bから送入する圧力エアを切り替えることによって可動ブロック20a〜20dを開き位置と閉じ位置に移動させることができる。
たとえば、エア送入口11aから圧力エアを送入した状態で可動ブロック20a〜20dに取り付けたピックアップ手段でワークをピックアップし、次いで、エア送入口11bから圧力エアを送入することによって、ワークが狭間隔の状態でピックアップし、ワークを広間隔として移載するといった操作を行うことができる。もちろん、ワークを広間隔でピックアップし、狭間隔として移載するといったことも可能である。
【0026】
(第2実施形態)
図5、6、7は本発明に係るエアシリンダ装置の第2の実施の形態の構成を示す。上記実施形態においては、可動ブロック20a〜20dを閉じ位置と開き位置に移動させるため、シリンダ室に圧力エアを送入する2系統のエア回路を設けたが、一方のエア回路のかわりにスプリング等の付勢手段を利用して、圧力エアを送入しない際には、たとえば可動ブロック20a〜20dが閉じ位置に復帰し、圧力エアを送入した際に開き位置に可動ブロック20a〜20dが移動するように構成することも可能である。本実施形態のエアシリンダ装置は、1系統のエア回路を設けて閉じ位置と開き位置に可動ブロックが移動するように構成した例である。
【0027】
図5は、エアシリンダ装置の可動ブロック20が閉じ位置にある状態、図6は、可動ブロック20が開き位置にある状態を示す。なお、本実施形態では中央に配した支持基体10の両側に直列に4個ずつ可動ブロック20を配し、支持基体10の両側(図5の左右方向)に向けて可動ブロック20が開閉するように設けている。これらの可動ブロック20は第1実施形態におけると同様に支持基体10に固定したガイドロッド(不図示)に支持されて左右方向に可動となる。
【0028】
図7に、本実施形態のエアシリンダ装置において可動ブロック20を開閉する駆動機構を拡大して示す。本実施形態においても各々の可動ブロック20にピストン機構50を設け、ピストン機構50のシリンダ室に圧力エアを送入することによって可動ブロック20を軸線方向に可動に設けている。
本実施形態のピストン機構50は、可動ブロック20に設けた装着孔22に装着したスリーブ体51と、スリーブ体51に内挿したピストンパイプ52と、ピストンパイプ52の前部に固定したピストン54とを備える。
【0029】
スリーブ体51は、可動ブロック20に固定されるスリーブ部51aと、前段の可動ブロック20に向けて延出する縮径スリーブ部51bとからなる。縮径スリーブ部51bは前段の可動ブロック20に設けられたスリーブ体41のスリーブ部51aに内挿するように延出し、縮径スリーブ部51bはシール体51cによりスリーブ部51aとエアシールした状態で進退動可能となる。スリーブ部51aと縮径スリーブ部51bとは互いに内挿される配置に配列されることにより、ピストン機構50のシリンダ室を構成する。最端部の可動ブロック20には、縮径スリーブ部51bに封止キャップ55を取り付けてシリンダ室を密閉している。
【0030】
ピストンパイプ52は、短筒状に形成されたフランジ部52aから連結パイプ部52bを延出した形態に形成され、各々の縮径スリーブ部51bの前端にフランジ部52aが固定されてスリーブ体51と一体に進退動する。フランジ部52aには連通孔52cが設けられる。
連結パイプ部52b先端には貫通孔54aが貫通して設けられたピストン54が固定される。ピストン54の前部にはフランジ部54bが形成され、フランジ部54bに連通孔52cが形成されている。
【0031】
本実施形態では、図7に示すように、ピストン54のフランジ部54bの後端面と後段の縮径スリーブ部51bの内周面に設けられた段差との間に、ピストンパイプ52の連結パイプ部52bとピストン54に外挿するように弾発スプリング60を装着する。弾発スプリング60は各段のピストン機構50ごとに、縮径スリーブ部51bとピストン54との間を弾発するように設けられる。
【0032】
(エアシリンダ装置の作用)
図5は、可動ブロック20が閉じ位置にある状態である。この状態で、エア送入口11aに圧力エアを送入すると、圧力エアはピストンパイプ52からピストン54の貫通孔54aに送入され、連通孔54cおよび連通孔52cを介して、シリンダ室に送入され、縮径スリーブ部51bに外挿されている前段のスリーブ部51aが前方(支持基体10から離れる向き)に押動される。スリーブ部51aを前方に移動させる作用は、弾発スプリング60の弾発力に抗してなされる作用であり、スリーブ部51aが後段の縮径スリーブ部51bに対して前方に移動することにより、可動ブロック20が開き位置に移動する。図6が可動ブロック20が開き位置に移動した状態を示す。
【0033】
この可動ブロック20が開き位置に移動する際には、圧力エアは弾発スプリング60の弾発力に抗して可動ブロック20を移動させるに十分な圧力を備えている必要がある。可動ブロック20は、ピストン54のフランジ部54bが縮径スリーブ部51bの内周面に設けた段差に当接した位置で移動位置が規制される。
【0034】
図6に示した状態で、エア送入口11aから送入する圧力エアの供給を停止すると、弾発スプリング60の付勢力により、ピストン54が縮径スリーブ部51bに対して前進するとともに、ピストンパイプ52もシリンダ室内で前進し、ピストンパイプ52のフランジ部52aの端面が縮径スリーブ部51bの後端面51dに当接した位置で可動ブロック20の移動位置が規制される。すなわち、図5に示す閉じ位置に可動ブロック20が復帰する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のエアシリンダ装置は、エア送入口11aから圧力エアが送入されない場合には、可動ブロック20はすべて閉じ位置にあり、エア送入口11aから圧力エアを送入したときにのみ可動ブロック20が開き位置に移動するように作用する。圧力エアの送入回路を1系統のみで構成することにより、圧力エアの切り替え制御が不要になるという利点がある。
なお、本実施形態では可動ブロック20が復帰する位置が閉じ位置となるように設定したが、たとえば縮径スリーブ部51bの後端面とピストンパイプ52のフランジ部52aの前端面との間に弾発スプリング60を装着することによって、可動ブロック20の復帰位置が開き位置となるように構成することもできる。
【0036】
本発明に係るエアシリンダ装置の場合は、可動ブロックに設けるピストン機構を各々の可動ブロックに共通する構成として設けたことにより、各部材を共通化して使用することが可能になる。また、ピストン機構のシリンダ室に圧力エアを送入することによって可動ブロックを進退動させる構成としたことによって、全体の構成を簡素化して組み立てることが可能となる。また、ピストン機構は可動ブロック内に内蔵されて組み立てられているから、摺動部分をクリーニングするといった操作によって簡単にメンテナンスできるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るエアシリンダ装置の第1の実施の形態について可動ブロックが閉じた状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係るエアシリンダ装置の第1の実施の形態について可動ブロックが開いた状態を示す断面図である。
【図3】可動ブロックを駆動する機構を拡大して示した断面図である。
【図4】スライド枠を側面方向から見た状態の説明図である。
【図5】本発明に係るエアシリンダ装置の第2の実施の形態について可動ブロックが閉じた状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係るエアシリンダ装置の第2の実施の形態について可動ブロックが開いた状態を示す断面図である。
【図7】可動ブロックを駆動する機構を拡大した示した断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 支持基体
11a、11b エア送入口
12、14 ガイドロッド
18 スライド枠
20a、20b、20c、20d 可動ブロック
21 取付部
22 装着孔
24 ガイド孔
26 連絡流路
30a、30b、30c、30d ピストン機構
31 スリーブ体
32 ピストンパイプ
32b 連結パイプ部
34 ピストン
40 固定パイプ
42 ガイド筒
50 ピストン機構
51 スリーブ体
51a スリーブ部
51b 縮径スリーブ部
52 ピストンパイプ
52b 連結パイプ部
54 ピストン
54a 貫通孔
60 弾発スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドロッドを備えたスライド枠と、前記ガイドロッドに移動自在にガイドされて支持された複数個の可動ブロックと、圧力エアを利用して前記可動ブロックを、相互間隔が狭間隔となる閉じ位置と、広間隔となる開き位置との間で進退動させる駆動機構とを備えたエアシリンダ装置であって、
前記駆動機構として、前記各々の可動ブロックにシリンダ室とピストンとを備えたピストン機構を、前記ピストンの移動方向を前記ガイドロッドの軸線方向に平行に設けるとともに、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において前記シリンダ室をすべて連通させて設け、
前記シリンダ室に装着された前記ピストンの前部側に圧力エアを供給するエア流路と、前記ピストンの後部側へ圧力エアを供給するエア流路とを独立に設け、前記ピストンの前部側と後部側への圧力エアの供給を切り替え制御することにより、前記可動ブロックを開き位置と閉じ位置に移動させることを特徴とするエアシリンダ装置。
【請求項2】
前記シリンダ室は、可動ブロックに設けた装着孔に取り付けられたスリーブ体と、該スリーブ体の前部に取り付けられたピストンパイプと、後段のピストンパイプから延出する連結パイプ部が前記スリーブ体に形成された縮径部にエアシールして摺入することにより形成され、
前記連結パイプ部の前端に、貫通孔が設けられた前記ピストンが固定され、ピストンの周側面が前記シリンダ室の内周面にエアシールして摺動可能に設けられることにより、一方の圧力エアのエア送入口に前記ピストンの前部側が連通して設けられていることを特徴とする請求項1記載のエアシリンダ装置。
【請求項3】
前記可動ブロックの各々に、前記ガイドロッドの軸線方向に平行に、先端側が次段の可動ブロックに設けられた流路内にエアシールした状態で摺入し、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において互いに連通する固定パイプを、他方の圧力エアのエア送入口に連通して取り付けられ、
前記可動ブロックに、前記流路と前記シリンダ室に装着されたピストンの後部側に連絡する連絡流路が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のエアシリンダ装置。
【請求項4】
ガイドロッドを備えたスライド枠と、前記ガイドロッドに移動自在にガイドされて支持された複数個の可動ブロックと、圧力エアを利用して前記可動ブロックを、相互間隔が狭間隔となる閉じ位置と、広間隔となる開き位置との間で進退動させる駆動機構とを備えたエアシリンダ装置であって、
前記駆動機構として、前記各々の可動ブロックにシリンダ室とピストンとを備えたピストン機構を、前記ピストンの移動方向を前記ガイドロッドの軸線方向に平行に設けるとともに、前記閉じ位置と開き位置との間を前記可動ブロックが移動する全移動位置において前記シリンダ室をすべて連通させて設け、
前記シリンダ室の内容積を拡大する向きにシリンダ室に圧力エアを供給するエア流路と、前記シリンダ室の内容積を縮小する向きにピストン機構に付勢力を作用させる付勢手段とを設けたことを特徴とするエアシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−218284(P2007−218284A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36732(P2006−36732)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000152996)株式会社日本ピスコ (9)
【Fターム(参考)】