エアバッグ装置
【課題】排出孔の開閉を安定して確保することが可能なエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、開口時に膨張用ガスの一部を排出可能な排出孔42を有したエアバッグと、排出孔42の周縁に結合されて排出孔42を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材50と、を備えている。フラップ材50は、エアバッグの外周側における排出孔42の周縁に結合されて、それぞれ、排出孔42を閉塞可能な複数の押え片55から構成される。押え片55は、エアバッグとの結合部位52を、排出孔42の開口時に開く際の略直線状のヒンジ部位として、排出孔42の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設され、相互に平らに重なり合って排出孔42を塞ぎ可能に、配設される。最も外周側に位置する外周側押え片55Aが、外周側押え片55Aのヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させている。
【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、開口時に膨張用ガスの一部を排出可能な排出孔42を有したエアバッグと、排出孔42の周縁に結合されて排出孔42を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材50と、を備えている。フラップ材50は、エアバッグの外周側における排出孔42の周縁に結合されて、それぞれ、排出孔42を閉塞可能な複数の押え片55から構成される。押え片55は、エアバッグとの結合部位52を、排出孔42の開口時に開く際の略直線状のヒンジ部位として、排出孔42の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設され、相互に平らに重なり合って排出孔42を塞ぎ可能に、配設される。最も外周側に位置する外周側押え片55Aが、外周側押え片55Aのヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、膨張時の内圧を抑制可能に設定されるエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置では、座席に着座した乗員を保護可能にエアバッグを膨張させる構成のものであって、エアバッグに、膨張用ガスの一部を排出可能とする排出孔が、形成され、この排出孔をフラップ材により開閉可能として、乗員の着座位置や体格に応じて、排出孔の開閉を制御し、エアバッグの膨張時の内圧を抑制する構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このエアバッグ装置では、フラップ材が、可撓性を有したシート材から構成されるとともに排出孔を塞ぎ可能な大きさに設定されて、少なくとも一端をエアバッグに縫着させた押え片から、構成されている。そして、この押え片におけるエアバッグへの縫着部位を排出孔の開口時に開くヒンジ部位とし、押え片におけるヒンジ部位から離れた先端側を、エアバッグにおける流入用開口の近傍に配置される開閉制御装置に連結させる構成であった。そして、押え片部は、開閉制御装置との連結状態が解除された際に、ヒンジ部位を中心として開き、排出孔が開口される構成であった。
【特許文献1】米国特許第6,648,371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、押え片は、ヒンジ部位以外の部位も、エアバッグに縫着される構成であった。例えば、Fig.5に開示される押え片では、押え片における開閉制御装置に連結される先端側の部位も、排出孔周縁となる部位において、エアバッグに縫着されていた。また、Fig.6に開示される押え片部では、複数配設される排出孔の周縁において、開閉制御装置に連結される先端側となる部位を除いた周囲を、全周にわたってエアバッグに縫着される構成であった。そのため、従来のエアバッグ装置では、押え片の開閉制御装置との連結状態が解除され、さらに、押え片をエアバッグに縫着させている縫合糸が破断して、押え片とエアバッグとの縫着状態が解除された後にのみ、排出孔が開口される構成であることから、縫合糸が円滑に破断しない場合、排出孔が開口されず、排出孔の開き状態を安定させることが困難であった。
【0005】
また、従来のエアバッグ装置において、Fig.5に開示される押え片では、押え片が、排出孔に挿通可能な寸法に設定されている。すなわち、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する場合、排出孔が押え片により閉塞された状態でエアバッグが膨張することとなるが、排出孔が押え片により確実に閉塞されず、排出孔と押え片との間に生じた隙間から膨張用ガスが漏れることとなる。そのため、従来のエアバッグ装置では、排出孔の閉塞状態を安定して維持し、排出孔付近からの膨張用ガスの漏れを抑えることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、排出孔の開閉を安定して確保することが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
フラップ材との連結状態の維持時、フラップ材が排出孔の塞ぎ状態を維持し、フラップ材との連結状態の解除時、フラップ材が、排出孔を開口させるように、フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
フラップ材が、エアバッグの外周側における排出孔の周縁に結合されて、それぞれ、排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状の複数の押え片から構成され、
複数の押え片が、エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させてとして、排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されるとともに、相互に平らに重なり合って排出孔を塞ぎ可能に、配設され、
押え片の内の排出孔の塞ぎ時の最も外周側に位置する外周側押え片が、外周側押え片のヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させていることを特徴とする。
【0008】
本発明のエアバッグ装置では、エアバッグの排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材の複数の押え片が、エアバッグの外周側に配設される構成であるものの、このフラップ材の各押え片は、排出孔の周縁に結合されて排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状とされている。そして、各押え片は、エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位とし、このヒンジ部位により、排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されて、かつ、排出孔の閉塞時に、相互に平らに重なり合って排出孔を閉塞する構成である。すなわち、本発明のエアバッグ装置では、複数の押え片が、エアバッグの外周側において、排出孔を中心として放射状に配設されることとなる。そして、本発明のエアバッグ装置では、排出孔の塞ぎ時に最も外周側に位置する外周側押え片が、ヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させる構成である。
【0009】
そのため、本発明のエアバッグ装置では、各押え片のヒンジ部位が排出孔周縁を全周にわたって囲むように形成され、かつ、各押え片部は、相互に平らに重なり合って排出孔を塞いでいることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する場合には、これらの複数の押え片部により、排出孔を隙間なく塞ぐことができて、排出孔からのガス漏れを極力抑えることができる。また、本発明のエアバッグ装置では、複数の押え片は、エアバッグの外周側に配設されており、外周側押え片のみが、開閉制御装置に連結されている構成であることから、外周側押え片の開閉制御装置との連結状態が解除された状態でエアバッグが展開膨張すると、複数の押え片が、エアバッグ内に流入した膨張用ガスによって、押圧されて、それぞれ、ヒンジ部位を中心として開くこととなり、排出孔が開口することとなる。すなわち、本発明のエアバッグ装置では、外周側押え片の開閉制御装置との連結状態を解除すれば、各押え片は、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔を安定して開口させることができる。そして、このとき、各押え片は、ヒンジ部位を直線状とし、かつ、相互にずらして配設されていることから、開き時に、円滑に開くことが可能となって、排出孔を安定して開かせることが可能となる。
【0010】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、排出孔の開閉を安定して確保することが可能である。
【0011】
さらに、本発明のエアバッグ装置において、押え片を、少なくとも3枚以上配設させ、
外周側押え片の内周側に配設される内周側押え片のうちの少なくとも一つに、内周側押え片の内周側から外周側、若しくは、外周側から内周側に、他の内周側押え片を挿通させて、内周側押え片相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリットを、配設させた構成とすることが好ましい。
【0012】
上記構成のエアバッグ装置では、外周側押え片の内周側に配設される複数の内周側押え片が、排出孔の閉塞時において、一部の内外を入れ替えるように、相互に重なり合って配置されることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態において、エアバッグ内に膨張用ガスが流入し、内周側押え片が膨張用ガスに押圧されても、各内周側押え片における一部の内外を入れ替えるようにして重なり合った面に、摩擦力が発生し、相互の重ね合わせ状態が容易に解除されないこととなる。そのため、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、内周側押え片が膨張用ガスに押圧されて排出孔から浮き上がるように移動することを防止できて、排出孔からの膨張用ガスの漏れを一層抑えることができる。なお、各内周側押え片部は可撓性を有したシート材から構成されており、このシート材に形成されるスリットにより、相互に係合されていることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する際には、この内周側押え片相互の重ね合わせ状態は、膨張用ガスの押圧力により、容易に解除することができ、排出孔を支障なく開かせることができる。
【0013】
さらに、上記構成のエアバッグ装置において、開閉制御装置を、エアバッグの膨張用ガスの流入用開口の近傍に配置させ、
排出孔を、流入用開口から離れた位置に配置させ、
外周側押え片のヒンジ部位から離れた先端側を、排出孔の近傍の周縁を貫通するベルト部として、開閉制御装置に連結させた構成とすることが好ましい。
【0014】
エアバッグ装置を上記構成とすれば、排出孔が、エアバッグの流入用開口から離れた膨張用ガスの下流側に配置されることとなり、エアバッグの膨張完了形状を迅速に確保した状態で、内圧を抑制し易くなる。また、上記構成のエアバッグ装置では、排出孔を閉塞する各押え片と、開閉制御装置とが、離れて配置されることとなるが、外周側押え片の先端側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通するように、配設されている構成である。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、外周側押え片側においてエアバッグの外周側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通されて、エアバッグの内周側に配置されることとなる。そのため、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、このベルト部におけるエアバッグ内周側に位置する部位が、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより、エアバッグを構成する周壁側に押し付けられるような態様となることから、ベルト部がエアバッグを構成する周壁から大きく離れるようにたるむことがない。そのため、上記構成のエアバッグ装置では、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、外周側押え片をベルト部により的確に排出孔周縁に押えることができて、排出孔からのガス漏れを抑えることができる。
【0015】
さらにまた、エアバッグ装置として、
フラップ材が、
エアバッグの内周側における排出孔の周縁に結合される可撓性を有したシート状の止め片から構成され、
止め片が、
エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させるとともに、排出孔を塞ぎ可能な本体部と、ヒンジ部位から離れた先端側に配置されて、排出孔の近傍の周縁を貫通して、開閉制御装置に連結されるベルト部と、を備え、
本体部が、排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能とし、かつ、排出孔の開口時にヒンジ部位から排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定され、
ベルト部の少なくとも本体部近傍の部位が、排出孔の開口時に排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能に、エアバッグにおける排出孔の近傍の周縁を貫通している構成のものを使用してもよい。
【0016】
上記構成のエアバッグ装置では、フラップ材を構成する止め片の本体部が、エアバッグの内周側に配置されるとともに、排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに、設定されている。すなわち、上記構成のエアバッグ装置において、フラップ材が開閉制御装置への連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際には、本体部により、排出孔を隙間なく塞ぐことができ、かつ、排出孔からのガス漏れも防止することができる。また、上記構成のエアバッグ装置では、止め片部の本体部と、開閉制御装置とが、離れて配置されることとなるが、本体部の先端側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通するように、配設されている構成である。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、本体部側においてエアバッグの内周側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通されて、エアバッグの外周側に配置されることとなる。そのため、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でのベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通された先端側の部位を、エアバッグを構成する周壁によって押えられることとなる。その結果、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、ベルト部が排出孔から浮き上がるように移動することを抑えることができて、本体部により排出孔を的確に塞ぐことができ、排出孔からのガス漏れを抑えることができる。
【0017】
また、上記構成のエアバッグ装置において、止め片の本体部は、排出孔の開口時には、ヒンジ部位から排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。そのため、開閉制御装置との連結状態が解除された状態でエアバッグが展開膨張する際には、本体部は、エアバッグ内に流入した膨張用ガスによって、押圧されて、ヒンジ部位を中心として、排出孔からエアバッグ外に突出するように開くこととなって、排出孔が開口することとなる。また、このとき、ベルト部は、本体部近傍の部位を、本体部とともにエアバッグ外に突出させるように移動することとなり、本体部を、エアバッグ外に支障なく突出させることができる。すなわち、上記構成のエアバッグ装置においても、開閉制御装置への連結状態を解除すれば、本体部が、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔を安定して開口させることができる。
【0018】
したがって、上記構成のエアバッグ装置においても、排出孔の開閉を安定して確保することが可能である。
【0019】
また、上記構成のエアバッグ装置において、止め片の本体部におけるヒンジ部位から離れた先端側に、ベルト部と直交するように両側に延びて、ベルト部の外周側に配置される先端縁部を設け、
エアバッグの内周側に、本体部の内周側における先端縁部のヒンジ部位側を覆って、ベルト部と直交方向の両縁付近をエアバッグの内周面側に結合させる可撓性を有したシート状とし、さらに、ベルト部における本体部側近傍を挿通可能な凹部を周縁に備えた押え枠材を、配設させ、
止め片を、エアバッグの折り畳み収納時、押え枠材の内周側に、本体部の先端縁部を折り返して載せ、ベルト部を、折り返した先端縁部の内周側に載せて、エアバッグを収納させることが、好ましい。
【0020】
上記構成のエアバッグ装置では、止め片の本体部におけるヒンジ部位から離れた先端側を、折り返した先端縁部により塞いだ状態で、エアバッグが収納されることとなる。そして、この折り返した先端縁部は、ベルト部と押え枠材との間に挟まれるような態様となることから、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際には、ベルト部により押えられて、先端縁部の折り返した状態が維持されることとなる。そのため、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、止め片の本体部における先端縁部からヒンジ部位側に延びる両側縁が、排出孔側に部分的にめくれることが防止されて、安定したシート状で排出孔を塞ぐことができ、排出孔からのガス漏れを一層抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜4に、本発明の一実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置Mを示す。
【0022】
なお、実施形態における前後・上下・左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図3・4の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右方向を示すものである。
【0023】
エアバッグ装置Mは、図2〜4に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置Mとステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0024】
ステアリングホイール本体1は、リング部R・ボス部B・スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0025】
エアバッグ装置Mは、図3に示すように、折り畳まれたエアバッグ37と、エアバッグ37に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ37とインフレーター8とを収納して保持するケースとしてのバッグホルダ11と、バッグホルダ11の開口11aを覆うように配設されるエアバッグカバーとしてのパッド27と、ホーンスイッチ17を介在させてバッグホルダ11に連結されるとともにエアバッグ装置Mをステアリングホイール本体1に連結させるための2つの連結板21と、エアバッグ37に形成される後述する排出孔42の開閉を制御する開閉制御装置23と、を備えて構成されている。インフレーター8と開閉制御装置23との作動は、エアバッグ作動制御装置71により制御される。
【0026】
エアバッグ作動制御装置71は、図1に示すように、ステアリングホイールWと座席SEに着座した乗員(運転者)MDとの距離を検知可能な位置検知センサ72、あるいは、運転者MDの重量を検知可能な重量センサ73、及び、車両の加速度や加速の方向等を検知可能な衝突検知センサ74等と、電気的に接続され、これらのセンサ72・73・74等からの電気信号を入力させて、インフレーター8を作動させるとともに、好適な膨張モードでエアバッグ37を膨張させるように、開閉制御装置23の作動を制御する。
【0027】
インフレーター8は、上部に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口8bを備えた略円柱状の本体8aと、本体8aの外周面から突出して配置される略四角板状のフランジ部8cと、を備えて構成されている。フランジ部8cには、後述するリテーナ6から突出するボルト6aを挿通させるための挿通孔8dが、形成されている。
【0028】
リテーナ6は、略四角環状体の板金製として、四隅に、下方へ突出するボルト6aを備えて構成されている。このリテーナ6は、エアバッグ37の内周面側における流入用開口40の周縁やバッグホルダ11を経て、インフレーター8のフランジ部8cから突出させる。そして、各ボルト6aにナット7を締結することにより、エアバッグ37とインフレーター8とが、リテーナ6を利用して、バッグホルダ11に取り付けられている。
【0029】
バッグホルダ11は、図3・4に示すように、それぞれ、板金製とするホルダ本体12と2つの保持プレート16とを備えて構成されている。2つの保持プレート16は、ホルダ本体12の前後両側における下面側に固着されている。
【0030】
ホルダ本体12は、略四角板状の底壁部13と、底壁部13の周縁から上方に延びるとともに上端側を開口させて構成される側壁部14と、を備えて構成されている。底壁部13における中央付近には、円形に開口してインフレーター8の本体8aを下方から上方へ挿通可能な挿通孔13aが、形成されている。挿通孔13aの周縁には、リテーナ6の各ボルト6aを挿通させる4つの挿通孔13bが、形成されている。また、底壁部13における挿通孔13aの前方側には、エアバッグ37の後述するベルト部58の先端58bに形成されるループ部59を挿通可能とする貫通孔13cが、形成されている。
【0031】
また、底壁部13の下部側であって、貫通孔13cの近傍となる部位には、エアバッグ37の後述するベルト部58の先端58b側を連結する開閉制御装置としての係止部材23が、配設されている。この係止部材23は、ベルト部58の先端58bに形成されるループ部59に挿通される係止ピン24と、底壁部13の下面側に固着されて係止ピン24を引き込み可能に作動するアクチュエータ25と、から構成されている。アクチュエータ25が係止ピン24を引き込ませるように作動すると、係止ピン24がループ部59を係止している状態から、係止を解除する状態に移行する。このアクチュエータ25は、制御装置からの電気信号により係止ピン24を移動できれば、油圧・水圧・空気圧、あるいは、インフレーター等の膨張するガス圧を発生させる場合を含めた流体圧を利用するピストンシリンダ、それらの流体圧や電気を利用したモータ、電磁ソレノイド、復元時の付勢力を利用するばね等を、使用することができる。なお、底壁部13の下面における貫通孔13cの周縁であって、アクチュエータ25と対向する縁部側には、図5に示すように、係止部材23の係止ピン24の先端を支持して、係止時における係止ピン24からのループ部59の抜けを防止する支持台13dが、配設されている。
【0032】
ホルダ本体12における側壁部14は、前後の部位の上端に、外方の下方へ延びる係止爪14aを備え、これらの係止爪14aは、パッド27の後述する側壁部31における前後の位置の段差部31aに、係止されることとなる。
【0033】
ホルダ本体12に固着された前後2つの保持プレート16は、それぞれ、左右両側のスポーク部Sにおけるリング部R近傍の被覆層3の部位付近まで延びる保持部16aを備え、各保持部16aには、ホーンスイッチ17が取り付けられている。各保持プレート16は、リベット34を挿通させる取付孔16bを備えている。
【0034】
2つの連結板21は、エアバッグ装置Mの左右両側の下面で、それぞれ、前後方向に沿うような帯状に配設され、前後方向の略中間部位を、ステアリングホイール本体1の芯金2に固定させるように構成され、また、前後両端を、それぞれ、保持プレート16の左右両端の保持部16aの下方に配設されるとともに、スポーク部Sの部位の芯金2に支持させるように、構成されている。そして、連結板21の前後両端と保持部16aとは、ホーンスイッチ17を介在させた状態で、左右の連結板21に支持され、連結板21が芯金2に固定されることにより、ステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に装着されることとなる。
【0035】
エアバッグカバーとしてのパッド27は、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図2〜4に示すように、ボス部Bの上部側を覆う天井壁部28と、天井壁部28の外周縁から下方に延びる略四角筒形状の側壁部31と、を備えて構成されている。天井壁部28における側壁部31の内側部位は、折り畳まれたエアバッグ37を覆う部位として構成され、その部位には、エアバッグ37の膨張時に開く複数の扉部30が、周囲に破断予定部29を設けて、配設されている。扉部30は、実施形態の場合、図2に示すごとく、前後方向に沿って2枚並設されており、内部に膨張用ガスを流入させたエアバッグ37に押圧されて、周囲の略H字形状の破断予定部29を破断させて、前後に開く構成である。側壁部31には、水平方向に貫通する複数の取付孔32が、形成されている。これらの取付孔32には、パッド27をバッグホルダ11に保持させるための固着手段としてのリベット34が挿入されている。
【0036】
エアバッグ37は、図6・8に示すように、膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体38と、バッグ本体38に形成される排出孔42を閉塞可能なフラップ材50と、バッグ本体38の膨張完了時の形状を規制するテザー61と、を備えて構成されている。
【0037】
バッグ本体38は、膨張完了時の外周壁が、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。バッグ本体38の外周壁は、膨張完了時にステアリングホイールW側となって膨張用ガスを流入させる流入用開口40を有した車体側壁部39と、流入用開口40と対向して配置されて膨張完了時に乗員(運転者)側となる乗員側壁部45と、から構成されている。
【0038】
流入用開口40は、インフレーター8の本体8aを下方から挿入させて、インフレーター8のガス吐出口8bから吐出される膨張用ガスを、バッグ本体38内に流入させるための部位である。また、流入用開口40の周縁には、リテーナ6に形成されたボルト6aを挿通させる取付孔41が、4個形成されている。また、車体側壁部39における流入用開口40の前方となる部位には、円形に開口した排出孔42が、形成されている。そして、排出孔42と流入用開口40との間には、排出孔42の後方側近傍と、流入用開口40の前方側近傍と、の2箇所に、フラップ材50の後述するベルト部59を挿通可能に左右方向に沿って形成されるスリット状の挿通孔43A・43Bが、配設されている。
【0039】
バッグ本体38は、図7に示すように、車体側壁部39を構成する円形状の車体側基布47と、乗員側壁部45を構成する円形状の乗員側基布48と、から構成されている。車体側基布47の中央には、流入用開口40を構成する開口47aが、形成されている。また、車体側基布47には、取付孔41・排出孔42・挿通孔43(43A・43B)に対応した位置に、取付孔47b・排出孔47c・挿通孔47dが、それぞれ、形成されている。
【0040】
フラップ材50は、図6・7・9に示すように、バッグ本体38の外周側に配置されて排出孔42を塞ぎ可能な本体布51と、本体布51に連結されるベルト部58と、から構成されている。
【0041】
本体布51は、実施形態の場合、バッグ本体38と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。本体布51は、図9に示すように、中央に位置して車体側壁部47における排出孔42周縁に結合される略四角形状の結合片52と、結合片52から前後左右に延びるように構成される略四角形状の4つの押え片55と、から構成されて、外形形状を略十字形状とされている。
【0042】
結合片52は、実施形態の場合、略正方形状とされて、中央付近に、排出孔42に対応して円形に開口する貫通孔52aを、備えている。そして、結合片52は、周縁近傍を全周にわたって、車体側壁部39に縫着されて結合されている。この結合部位53は、貫通孔52a(排出孔42)の周囲の全周を囲むような略正方形状とされ、直線状の各辺53aが、それぞれ、各押え片55(55A・55B・55C・55D)の元部側をエアバッグ37(車体側壁部39)に結合させる結合部位として、各押え片55(55A・55B・55C・55D)のヒンジ部位を構成することとなる。
【0043】
各押え片55(55A・55B・55C・55D)は、結合片52を中心として放射状に配設されており、具体的には、結合片52の前後両側と左右両側との4箇所に配設されて、それぞれ、排出孔42(貫通孔52a)を塞ぎ可能な大きさの略長方形状とされている。結合部位53における各辺(ヒンジ部位)53aの長さは、排出孔42の直径より大きい寸法としている。そして、実施形態の場合、結合片52の前方側に配設される押え片55Aが、排出孔42の塞ぎ時に最も外周側に位置する外周側押え片とされている。そして、結合片52の後方側と左右両側とに配設される押え片55B・55C・55Dが、外周側押え片55Aの内周側に配設される内周側押え片とされることとなる。実施形態の場合、各内周側押え片55B・55C・55Dは、外形形状を、結合片52と略同一に設定されており、外周側押え片55Aは、内周側押え片55B・55C・55D全体を覆い可能なように、外形形状を、内周側押え片55B・55C・55Dより大きくして、構成されている。
【0044】
各内周側押え片55B・55C・55Dには、排出孔42の塞ぎ時に、他の内周側押え片55B・55C・55Dを挿通させて、内周側押え片55B・55C・55D相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリット56が、形成されている。実施形態の場合、各スリット56は、それぞれ、各内周側押さえ片55B・55C・55Dの後縁から前後方向の略中央にかけて、左右方向の中央付近となる部位に、前後方向に沿った直線状に切り込みを設けるようにして、形成されている。そして、各内周側押え片55B・55C・55Dは、排出孔42を塞ぐように相互に重ね合わせられる際に、スリット56を利用して、左側部位55Bb・55Cb・55Dbあるいは右側部位55Ba・55Ca・55Daの内外を入れ替えるようにして、重ね合わせられることとなる。
【0045】
ベルト部58は、可撓性を有した帯状の布材から構成されるもので、外周側押え片55Aの外周側に連結されている。ベルト部58は、一端58a側を外周側押え片55Aに縫着されて、外周側押え片部55Aの開き時における前縁側(ヒンジ部位53aから離れた先端側)から突出して、前後方向に沿うように、配設されることとなる(図6参照)。ベルト部58における他端58b側には、端部をリング状に縫着させて構成されるループ部59が、配設されている。ループ部59は、係止部材23の係止ピン24を挿通可能に構成されており、図3・5に示すように、エアバッグ37の折り畳み収納時において、係止ピン24を挿通されて、係止部材23に係止されることとなる。
【0046】
また、ベルト部58は、図6・8に示すように、車体側壁部39に形成される挿通孔43A・43Bに貫通されるように配置されるもので、各押え片55A・55B・55C・55Dを、排出孔42を塞ぐように重ね合わせた状態において、排出孔42近傍に形成される挿通孔43Aに貫通されて、中間部位58cをバッグ本体38の内周側に位置させ、ループ部59が形成される先端58b側を、バッグ本体38外に突出させるように、再度、流入用開口40近傍に形成される挿通孔43Bに貫通されることとなる(図8参照)。すなわち、ベルト部58は、エアバッグ37の折り畳み収納時において、両端58a・58b側をバッグ本体38の外周側に位置させ、中間部位58cをバッグ本体38の内周側に位置させるようにして、配置されることとなり、挿通孔43Bから突出している先端58b側のループ部59に、係止部材23の係止ピン24が、挿通されることとなる。実施形態の場合、ベルト部58は、長さ寸法を、ループ部59が係止ピン24との係止状態を維持された状態でエアバッグ37が膨張する際にも、エアバッグ37が支障なく膨張を完了可能な寸法に、設定されている。
【0047】
テザー61は、バッグ本体38及びフラップ材50の本体布51と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。テザー61は、図12に示すように、バッグ本体38の膨張完了時における車体側壁部39と乗員側壁部45との離隔距離を規制してバッグ本体38の膨張完了形状を規制するもので、車体側壁部39側の車体側部材62と、乗員側壁部45側の乗員側部材66と、から構成されている。車体側部材62は、流入用開口40周縁を補強する補強部63と、補強部63の左右両縁側から延設される帯状の延設部64・64と、を備えている。補強部63は、中央付近に、流入用開口40に対応した円形の開口63aを備えた略円環状とされており、開口63aの周縁には、取付孔41及び挿通孔43Bに対応して、取付孔63b・挿通孔63cが、形成されている。乗員側部材66は、乗員側壁部45側に連結される略円形の連結部67と、連結部67の左右両縁側から延設される帯状の延設部68・68と、を備えている。そして、車体側・乗員側部材62・66における各延設部64・68が、先端相互を縫着させるようにして、テザー61が構成されている。
【0048】
次に、エアバッグ37の製造について述べる。車体側基布47には、予め、開口47a、挿通孔43Aを構成する挿通孔47d、及び、排出孔47cを形成しておく。また、テザー61の車体側部材62にも、予め、開口63aを形成しておく。そして、フラップ材50においても、予め所定形状に裁断して貫通孔52aとスリット56とが形成された本体布51の外周側押え片55Aに、ループ部59を形成したベルト部58の端部58aを縫着させておく。
【0049】
まず、車体側基布47の外表面側に、排出孔47cに貫通孔52aを対応させるように本体布51を配置させ、縫合糸を利用してフラップ材50の本体布51を、結合部位52の部位で、車体側基布47に縫着させる。同様に、テザー61の車体側部材62を、開口47aに補強部63の開口63aを対応させるようにして、車体側基布47の内表面側に載置させ、開口47a・63a周縁を縫着させる。また、乗員側基布48の内表面側に、テザー61の乗員側部材66における連結部67の周縁を、縫着させる。
【0050】
その後、取付孔41及び挿通孔43Bの孔明け加工を、車体側基布47と補強部63とに施す。勿論、この孔明け加工時に、同時に、流入用開口40を設けるようにして、縫合前には、開口47a・63aが形成されていないようにしてもよい。
【0051】
次いで、車体側基布47と乗員側基布48とを、それぞれ、外表面側が対向するように重ねて、外周縁相互を縫着させる。外周縁の縫合作業後、外周縁の縫合代がエアバッグ37の外表面に表れないように、バッグ本体38を、流入用開口40を利用して、反転させる。そして、反転後に、テザー61における各延設部64・68の先端を、流入用開口40から引き出し、縫着させれば、エアバッグ37を製造することができる。
【0052】
そして、上記のように製造したエアバッグ37を使用して、エアバッグ装置Mを組み立てる。まず、フラップ材50により、排出孔42を塞ぐ。具体的には、車体側壁部39が乗員側壁部45上に載置されるように裏返して平らに展開した状態のエアバッグ37において、図10のAに示すように、本体布51を平らに展開した状態から、まず、図10のBに示すように、排出孔42の右側に位置する内周側押え片55Bを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、次いで、排出孔42の後側に位置する内周側押え片55Cを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、各内周側押え片55B・55Cのスリット56を利用して、図10のCに示すように、内周側押え片55Cの左側部位55Cbを内周側押え片55Bの右側部位55Baの内側に位置させ、内周側押え片55Cの右側部位55Caを内周側押え片55Bの左側部位55Bbの外側に位置させるように、内周側押え片55B・55Cを重ね合わせる。その後、排出孔42の左側に位置する内周側押え片55Dを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、各内周側押え片55C・55Dのスリット56を利用して、図11のAに示すように、内周側押え片55Dの左側部位55Dbを内周側押え片55Cの右側部位55Caの内側に位置させ、内周側押え片55Dの右側部位55Daを内周側押え片55Bの右側部位55Baの外側に位置させるように、内周側押え片55Dを内周側押え片55B・55Cに重ね合わせる。その後、図11のBに示すように、外周側押え片55Aを、ヒンジ部位53a近傍で、排出孔42を塞ぐように折り返し、ベルト部58を、ループ部59側から、排出孔42近傍に形成される挿通孔43Aに貫通させる。その後、ベルト部58のループ部59側部位を、流入用開口40近傍に形成される挿通孔43Bに貫通させて、ループ部59をエアバッグ37の外周側に突出させれば、フラップ材50により、排出孔42を閉塞させることができる。
【0053】
その後、リテーナ6を流入用開口40からエアバッグ37内に挿入させ、各ボルト6aを取付孔41から突出させる。次いで、エアバッグ37を、ループ部59の挿通孔43Bからの突出状態を維持させつつ、バッグホルダ11内に収納可能なように、折り畳む。
【0054】
次いで、各ボルト6aを底壁部13の挿通孔13bから突出させ、ループ部59を貫通孔13cから突出させるようにして、折り畳まれたエアバッグ37を、予め係止部材23、ホーンスイッチ17、及び、連結板21を、取り付けておいたバッグホルダ11内に収納させる。そして、係止部材23の係止ピン24をループ部59に挿通させ、係止ピン24の先端側を支持台13dに支持させるようにして、ループ部59を係止部材23に係止させる。その後、インフレーター8の本体8aを、下方から底壁部13の挿通孔13a内に挿入させて、各ボルト6aを、フランジ部8cの挿通孔8dから突出させる。そして、各ボルト6aにナット7を締結させて、バッグホルダ11に、エアバッグ37とインフレーター8とを保持させる。
【0055】
その後、エアバッグ37にパッド27を被せて、側壁部31の段差部31aにバッグホルダ11の係止爪14aを係止させるとともに、バッグホルダ11と側壁部31とを、リベット34により締結すれば、エアバッグ装置Mを組み立てることができる。
【0056】
このようにして組み立てたエアバッグ装置Mは、車両に取付済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に対し、所定のボルトを使用して、連結板21を連結させれば、ステアリングホイール本体1に組み付けることができ、このとき、ステアリングホイールWの組立と、車両へのステアリングホイールWの搭載と、が完了することとなる。なお、エアバッグ装置Mの車両への搭載時には、制御装置71から延びる作動信号入力用のリード線を、インフレーター8と係止部材(開閉制御装置)23とに接続させておく。
【0057】
エアバッグ装置Mの車両への搭載後、走行中の車両が衝突すれば、制御装置71がインフレーター8に作動信号を出力することとなって、インフレーター8が、膨張用ガスをガス吐出口8bから吐出させ、エアバッグ37が、膨張用ガスを内部に流入させて膨張し、パッド26の扉部30・30を前後両側に開かせて、運転者MD側に突出し、膨張を完了することとなる。
【0058】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、所定のセンサ72・73・74からの信号を入力させている制御装置71が、例えば、運転者MD1(MD)が小柄であったり、ステアリングホイールWに近接した位置に着座していることを検知した場合には、エアバッグ37の展開膨張前に、予め、フラップ材50の開閉制御装置(係止部材)23への連結状態を解除させる。すなわち、アクチュエータ25を、係止ピン24を引き込むように作動させ、ループ部59と係止ピン24との係止状態を解除した状態で、エアバッグ37を膨張させることとなる。この場合、エアバッグ37は、図12のBに示すように、排出孔42を開口させて、排出孔42から余剰の膨張用ガスGを排出させるようにして、膨張を完了させることとなる。また、逆に制御装置71が、例えば、運転者MD2(MD)が大柄であったり、ステアリングホイールWから離れた位置に着座していることを検知した場合には、エアバッグ37は、フラップ材50の開閉制御装置(係止部材)23への連結状態を維持させるように、アクチュエータ25を作動させず、ループ部59が係止ピン24に係止された状態で、膨張することとなる。この場合、エアバッグ37は、図12のAに示すように、排出孔42の閉塞状態を維持させたままで、膨張を完了させることとなる。
【0059】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42を中心として放射状に配置される各押え片55A・55B・55C・55Dのヒンジ部位53aが、排出孔42周縁を全周にわたって囲むように形成され、かつ、各押え片55A・55B・55C・55Dは、相互に平らに重なり合って排出孔42を塞いでいることから、外周側押え片55Aがベルト部58による係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37が展開膨張する際には、これらの複数の押え片55A・55B・55C・55Dにより、排出孔42を隙間なく塞ぐことができて、排出孔42からのガス漏れを極力抑えることができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、複数の押え片55A・55B・55C・55Dは、エアバッグ37の外周側に配設されており、外周側押え片55Aのみが、ベルト部58を利用して開閉制御装置としての係止部材23に連結されている構成であることから、ベルト部58と係止部材23との係止状態が解除されて、外周側押え片55Aの係止部材23との連結状態が解除された状態でエアバッグ37が展開膨張すると、4枚の押え片55A・55B・55C・55Dが、エアバッグ37内に流入した膨張用ガスGによって、押圧されて、それぞれ、ヒンジ部位53aを中心として開くこととなり、排出孔42が開口することとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ベルト部58の係止部材23による係止状態が解除されれば、各押え片55A・55B・55C・55Dは、膨張用ガスGに押圧されて自然に開くことから、排出孔42を安定して開口させることができる。そして、このとき、各押え片55A・55B・55C・55Dは、ヒンジ部位53aを直線状として、かつ、相互にずらして配設されていることから、開き時に、円滑に開くことが可能となって、排出孔42を安定して開かせることが可能となる。
【0060】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42の開閉を安定して確保することが可能である。
【0061】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、3枚の内周側押え片55B・55C・55Dが、排出孔42の閉塞時において、一部の内外である左側部位55Bb・55Cb・55Dbや右側部位55Ba・55Ca・55Daを、内外周方向で入れ替えるように、相互に重なり合って配置されることから、外周側押え片55Aがベルト部58を利用して係止部材23との連結状態を維持された状態において、エアバッグ37内に膨張用ガスが流入し、内周側押え片55B・55C・55Dが膨張用ガスに押圧されても、各内周側押え片55B・55C・55Dにおける内外を入れ替えるようにして重なり合った左側部位55Bb・55Cb・55Dbや右側部位55Ba・55Ca・55Daの面に、摩擦力が発生し、相互の重ね合わせ状態が容易に解除されないこととなる。そのため、外周側押え片55Aがベルト部58を利用して係止部材23との連結状態を維持された状態で、エアバッグ37が展開膨張する際に、内周側押え片55B・55C・55Dが膨張用ガスに押圧されて排出孔から浮き上がるように移動することを防止できて、排出孔42からの膨張用ガスの漏れを一層抑えることができる。なお、各内周側押え片55B・55C・55Dは可撓性を有した織布から構成されており、この織布に形成されるスリット56により、相互に係合されていることから、外周側押え片55Aが開閉制御装置23との連結状態を解除された状態でエアバッグ37が展開膨張する際には、この内周側押え片55B・55C・55D相互の重ね合わせ状態は、膨張用ガスの押圧力により、容易に解除することができ、排出孔42を支障なく開かせることができる。
【0062】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、開閉制御装置としての係止部材23を、排出孔42から離れたバッグホルダ12側に配置させている。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42が、エアバッグ37の流入用開口40から離れた膨張用ガスの下流側に配置されることとなり、エアバッグ37の膨張完了形状を迅速に確保した状態で、内圧を抑制し易くなる。そして、実施形態のエアバッグ装置では、外周側押え片55Aは、先端58b側を係止部材23に係止されたベルト部58により押えられることとなるが、このベルト部58は、排出孔42の近傍の周縁に形成される挿通孔43Aに貫通するように、配設されている構成である。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、外周側押え片55A側においてエアバッグ37の外周側に配置されるベルト部58が、排出孔42の近傍の周縁に配置される挿通孔43Aに貫通されて、エアバッグ37の内周側に配置されることとなる。そのため、ベルト部58が係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37が展開膨張する際に、このベルト部58におけるエアバッグ内周側に位置する部位58cが、エアバッグ37内に流入する膨張用ガスにより、エアバッグ37を構成する周壁(車体側壁部39)側に押し付けられるような態様となることから、ベルト部58が車体側壁部39から大きく離れるようにたるむことがない。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ベルト部58が係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、外周側押え片55Aをベルト部58の端部58aにより的確に排出孔42周縁に押えることができて、排出孔42からのガス漏れを抑えることができる。
【0063】
なお、このベルト部58は、係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグ37が展開膨張する場合には、外周側押え片55Aの開きに伴って、ループ部59を挿通孔43Bから引き抜くようにしてバッグ本体38内に位置させるような状態となり、このループ部59は、エアバッグ37の膨張に何ら支障を与えることなく、挿通孔43Bから引き抜かれることとなる。
【0064】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、フラップ材50の本体布51は、4枚の押え片55A・55B・55C・55Dを備える構成とされているが、押え片の配置数はこれに限られるものではなく、例えば、図13のAに示すフラップ材50´における本体布51´のごとく、3枚の押え片55A´・55B´・55C´を備える構成のものを使用してもよい。図13のAに示す本体布51´は、中央に位置する結合片52´が、一辺を前方側に位置させるような略正三角形状とされ、各押え片55A´・55B´・55C´は、前方側と左右両側とに延びるように形成されている。結合片52´の中央付近には、前述の本体布51と同様に、排出孔42に対応した円形の貫通孔52a´が形成されている。そして、結合片52´は、周縁近傍を全周にわたって、車体側壁部39に縫着されており、この貫通孔52a´の周囲の全周を囲む略正三角形状の結合部位53´の直線状の各辺53a´が、各押え片55A´・55B´・55C´のヒンジ部位を構成することとなる。勿論、結合部位53´における各辺(ヒンジ部位)53a´の長さも、排出孔42の直径より大きい寸法としている。
【0065】
図13のAに示す本体布51´では、各押え片55A´・55B´・55C´のうち、前方側に配設される押え片55A´が、他の押え片55B´・55C´を覆い可能な略四角形状とされて、外周側押え片とされている。外周側押え片55A´には、前述の外周側押え片55Aと同様に、ベルト部58が縫着されている。左右両側に配設される押え片55B´・55C´は、内周側押え片とされるもので、それぞれ、結合片52´と略同一の外形形状を備えた三角形状とされている。そして、各内周側押え片55B´・55C´の後縁側における左右方向の中央付近には、スリット56´が、配設されている。
【0066】
この本体布51´においても、前述の本体布51と同様に、図13のBに示すごとく、まず、内周側押え片55B´をヒンジ部位53a´近傍で排出孔42を覆うように折り返し、次いで、図14のAに示すごとく、内周側押え片55C´をヒンジ部位53a´近傍で折り返して、各押え片55B´・55C´のスリット56´を利用して、内周側押え片55C´の右側部位55Ca´を内周側押え片55B´の左側部位55Bb´の外側に位置させ、内周側押え片55C´の左側部位55Cb´を内周側押え片55B´の右側部位55Ba´の内側に位置させるようにして、内周側押え片55B´・55C´を重ね合わせる。その後、図14のBに示すごとく、外周側押え片55A´を、ヒンジ部位53a´近傍で、排出孔42を塞ぐように折り返し、ベルト部58を挿通孔43Aに貫通させれば、本体布51´により、排出孔42を閉塞させることができる。このような本体布51´を使用した場合にも、各押え片55´が排出孔42を中心として放射状に配設されるとともに、各押え片55´のヒンジ部位53a´が、排出孔42周縁を全周にわたって囲むように形成されることから、閉塞時に、排出孔42を隙間なく塞ぐことができて、排出孔42からのガス漏れを極力抑えることができる。
【0067】
なお、押え片55(55A・55B・55C・55D)・55´(55A´・55B´・55C´)の配置数は、上記に限られるものではなく、直線状のヒンジ部位を備えて、それぞれ、排出孔を塞ぎ可能とされるとともに、ヒンジ部位により排出孔周縁を全周にわたって囲み可能な構成であれば、5枚以上配設させる構成としてもよい。また、実施形態では、フラップ材50・50´が、各押え片55・55´を、結合片52・52´を介して一体的に構成した本体布51・51´から、構成されているが、フラップ材の形状は、勿論これに限られるものではなく、フラップ材として、各押え片を別体として、それぞれ、車体側壁部39に結合させる構成のものを使用してもよい。なお、実施形態のごとく、フラップ材として、結合片を備え、結合片を介して押え片を配設させる場合には、結合片における貫通孔の周縁を全周にわたって縫着させれば、各押え片を車体側壁部に結合させることができ、押え片をそれぞれ別体として車体側壁部にそれぞれ縫着させる場合と比較して、縫合作業工数を低減させることができ、エアバッグの製造工数を低減させることができて、好ましい。
【0068】
また、エアバッグ37Aとして、図15に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ37Aは、排出孔42Aの形状と、フラップ材としての止め片77、そして、ベルト部58Aを挿通させる挿通孔43が排出孔42A近傍のみに配設されている以外は、前述のエアバッグ37と同様の構成であり、同一の部材には図符号の末尾に「A」を付して、説明を省略する。エアバッグ37Aでは、排出孔42Aは、略四角形状に開口して、構成されている。
【0069】
止め片77は、図16・17に示すように、バッグ本体38Aの内周側に配設されて排出孔42Aを塞ぎ可能な本体布部78と、本体布部78に連結されるベルト部58Aと、から構成されている。ベルト部58Aは、前述のエアバッグ37におけるベルト部58と同様の構成であり、同一の部材には図符号の末尾に「A」を付して、説明を省略する。
【0070】
本体布部78は、バッグ本体38Aと同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されるもので、図16〜18に示すように、内周側に配設される結合片部79と、結合片部79と車体側壁部39Aとの間に配置されて排出孔42Aを塞ぎ可能とする本体部85と、から構成されている。
【0071】
結合片部79は、図16・18・19に示すように、短手方向を略前後方向に沿わせた長方形状とされており、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット79aを備えており、スリット79aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに本体部85側に連結される補助片部80とし、スリット79aの外側の部位を、車体側壁部39A側に結合される結合枠部81として、構成されている。補助片部80は、排出孔42Aの開口時に、本体部85とともに開き可能とされるもので、本体部85の後述するヒンジ部位82a近傍に位置する前端80a側を、開き時のヒンジ部位として、内周面側に、ベルト部58Aの端部58a側を縫着させて、端部58a付近を補強している。なお、実施形態の場合、補助片部80は、外形形状を、排出孔42Aと略同一に設定されて、排出孔42Aと対応する位置に、形成されている。
【0072】
結合枠部81は、後縁側を除いた前縁側と左右両縁側を、全周にわたって、車体側壁部39Aに縫着されて結合されている。実施形態の場合、本体部85は、この結合部位82における前端側の部位82aにおいて、結合枠部81とともに、車体側壁部39Aに共縫いされて結合されることとなり、この前端側部位82aが、本体部85のヒンジ部位を構成することとなる。
【0073】
そして、結合枠部81における後縁側部位が、押え枠材83を、構成することとなる。すなわち、押え枠材83は、ベルト部58Aと直交方向となる左右両縁付近を、結合部位82により、車体側壁部39Aに結合される構成である。そして、押え枠材83の後縁側における左右方向の中央付近には、ベルト部58Aを挿通可能に略長方形状に切り欠かれた凹部83aが、形成されている。
【0074】
本体部85は、実施形態の場合、長手方向を前後方向に略沿わせた長方形板状とされており、前縁85a側を、結合枠部81に形成される結合部位82により、結合枠部92とともに車体側壁部39Aに縫着されて、この前縁85a近傍に位置する結合部位82の前端側部位82aを、ヒンジ部位とするように、構成されている。本体部85は、排出孔42Aの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Aの開口時には、ヒンジ部位82aから排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出可能な大きさに、設定されている。具体的には、本体部85は、左右方向の幅寸法T1を、補助片部80(排出孔42A)の左右方向の幅寸法T2より大きくして、かつ、結合部位82の左右方向の幅寸法T3より小さくするように、設定されている(図19のA参照)。また、本体部85は、図19のAに示すごとく、平らに展開した状態において、ヒンジ部位82aから離れた後縁側を、押え枠材83より後方に突出可能とするように、前後方向の長さ寸法L1を、結合枠部81の前後方向の長さ寸法L2より大きく設定されている(図19のA参照)。すなわち、本体部85は、結合片部79と車体側壁部39Aとの間に配設された状態で、前縁85a側のみを、車体側壁部39Aに結合される構成である。また、本体部85は、補助片部80とともに端部58a側を縫着させたベルト部58Aを、さらに、ヒンジ部位82aから離れた先端側であって押え枠材83と重なる位置において、縫着させている。
【0075】
そして、本体部85は、平らに展開した状態で、図19のAに示すごとく押え枠材83から後方に突出している先端縁部86を、車両搭載時において、図16・17・19のBに示すごとく、押え枠材83の後縁近傍となる位置で折り返して押え枠材83の内周側に載せ、そして、さらに、この折り返した先端縁部86の内周側に、ベルト部58Aを載せるように、配置されることとなる。先端縁部86は、実施形態の場合、前後方向の幅寸法T3を、押え枠材83に形成される凹部83aの前後方向の幅寸法T4と略同一に設定されており(図19のA参照)、先端縁部86は、凹部58Aから突出したベルト部58Aにより、内周側を押えられることとなる。すなわち、本体部85は、折り返して、押え枠材83とベルト部58Aとの間に挟まれる先端縁部86により、排出孔42Aの後縁側の部位を塞ぐような態様となる。そして、ベルト部58Aは、排出孔42A周縁であって、押え枠材83の後方側に形成される挿通孔43Aに貫通されて、図15に示すように、先端58b側(ループ部59A側)を、エアバッグ37Aの外周側に位置させるように、配置されることとなる。
【0076】
エアバッグ本体37Aにおいても、ベルト部58Aの端部58b側に形成されるループ部59Aは、バッグホルダ11の底壁部13に形成される係止部材23に係止される構成であり、ベルト部58Aは、長さ寸法を、ループ部59Aが係止部材23の係止ピン24との係止状態を維持された状態で、エアバッグ37Aが支障なく膨張を完了可能な寸法に、設定されている。そして、本体部85は、ループ部59Aが係止部材23との連結を解除された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、エアバッグ37A内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位82aを回転中心として、排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出するように開くこととなる。このとき、ベルト部58Aは、本体部85の移動に伴って、本体部85近傍に位置する部位58dを、エアバッグ37A外に突出させることとなる。
【0077】
実施形態の本体布部78は、図18に示すように、結合片部79と本体部85とを、左右方向の中央を一致させるようにしてそれぞれ前縁側で連結させたような外形形状を略凸字形状とされた本体布部用基布88から、構成されている。そして、実施形態の止め片77を備えたエアバッグ37Aは、以下のようにして、製造することができる。具体的には、予め結合片部79の部位にスリット79aを形成しておいた本体布部用基布88を、結合片部79と本体部85との前縁側となる部位において、左右方向に沿った折目C1(図18参照)により折り返して、補助片部80と本体部85とにベルト部58Aの端部58a付近を縫着させておく。その後、本体布部用基布88を、結合片部79が内周側に位置するように、車体側壁部38Aの内表面側に配置させて、結合部位82の部位で、車体側壁部38Aに縫着させる(図19のA参照)。そして、押え枠材83から後方に突出している先端縁部86を、押え枠材83の後縁近傍となる位置で折り返して、図16・17・19のBに示すごとく、押え枠材83とベルト部58Aとの間に挟むように、押え枠材83の内周側に載せ、ベルト部58Aを、車体側壁部39Aに形成される挿通孔43Aに貫通させておく。その後、前述のバッグ本体38と同様に、所定箇所を縫着させれば、エアバッグ37Aを製造することができる。
【0078】
上記構成のエアバッグ37Aを使用したエアバッグ装置では、フラップ材としての止め片77の本体部85が、エアバッグ37Aの内周側に配置されるとともに、排出孔42Aの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに、設定されている。すなわち、上記構成のエアバッグ37Aを用いたエアバッグ装置において、止め片77が開閉制御装置としての係止部材23への連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、本体部85により、排出孔42Aを隙間なく塞ぐことができ、かつ、排出孔42Aからのガス漏れも防止することができる。また、上記構成のエアバッグ装置では、止め片部77の本体部85と、係止部材23とが、離れて配置されることとなるが、本体部85の先端側に配置されるベルト部58Aが、排出孔42Aの近傍の周縁に配設される挿通孔43Aに貫通されるように、配設されている構成である。すなわち、本体部85側においてエアバッグ37Aの内周側に配置されるベルト部58Aが、排出孔42Aの近傍の周縁で貫通されて、エアバッグ37Aの外周側に配置されることとなる。そのため、係止部材23との連結状態を維持された状態でのベルト部58Aを、排出孔42Aの近傍の周縁で、エアバッグ37Aを構成する周壁39Aによって押えることができる。換言すれば、ベルト部58Aは、挿通孔43Aよりも端部58b側となって、エアバッグ37Aの外周側に位置する部位58dを、車体側壁部39Aにより押えられることとなる。その結果、ベルト部58Aが係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが膨張する際にも、ベルト部58Aが排出孔42Aから浮き上がるように移動することを抑えることができて、本体部85により排出孔42Aを的確に塞ぐことができ、排出孔42Aからのガス漏れを抑えることができる。
【0079】
また、上記構成のエアバッグ37Aにおいて、止め片77の本体部85は、排出孔42Aの開口時には、ヒンジ部位82aから排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出可能な大きさに、設定されている。そのため、係止部材23との連結状態が解除された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、本体部85は、エアバッグ37A内に流入した膨張用ガスGによって、押圧されて、図20に示すごとく、ヒンジ部位82aを中心として、排出孔42Aからエアバッグ37A外に突出するように開くこととなって、排出孔42Aが開口することとなる。また、このとき、ベルト部58Aは、本体部85近傍の部位58dを、本体部85とともにエアバッグ37A外に突出させるように移動することとなり、本体部85を、エアバッグ37A外に支障なく突出させることができる。すなわち、上記構成のエアバッグ37Aを使用した場合にも、係止部材23との連結状態を解除すれば、本体部85が、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔42Aを安定して開口させることができる。
【0080】
したがって、上記構成のエアバッグ37Aを使用したエアバッグ装置においても、排出孔42Aの開閉を安定して確保することが可能である。
【0081】
また、上記構成のエアバッグ37Aでは、止め片77が、本体部85におけるヒンジ部位82aから離れた先端側を、押え枠材83の内周側に載せるように折り返した先端縁部86により塞いだ状態で、エアバッグ37Aが収納されることとなる。そして、この折り返した先端縁部86は、ベルト部58Aと押え枠材83との間に挟まれるような態様となることから、係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、ベルト部58Aにより押えられて、先端縁部86の折り返した状態が維持されることとなる。そのため、係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際に、本体部85における先端縁部86からヒンジ部位82a側に延びる両側縁(左右両縁)85b・85c(図18・19B参照)が、排出孔42A側に部分的にめくれることが防止されて、安定したシート状で排出孔42Aを塞ぐことができ、排出孔42Aからのガス漏れを一層抑えることが可能となる。
【0082】
なお、このような点を考慮しなければ、図21・22に示す構成の本体布部91を備えた止め片90を、使用してもよい。本体布部91は、図21のBに示すごとく、結合片部92と、結合片部92と略同一形状の本体部側部位95と、を備える略長方形状の本体布部用基布99から構成されており、図21のA・22に示すごとく、結合片部92を、本体側部位95の内周側に位置させるようにして、車体側壁部39Bの内周側に配設されることとなる。
【0083】
結合片部92は、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット92aを備えており、スリット92aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに後述する本体部96側に連結される補助片部93とし、スリット79aの外側の部位を、車体側壁部39B側に結合される結合枠部94として、構成されている。補助片部93は、外形形状を車体側壁部39Bに形成される排出孔42Bと同一に設定されて、排出孔42Bと対応する位置に、配設されることとなる。
【0084】
本体部側部位95は、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット95aを備えており、スリット95aの内側の部位を、本体部96とし、スリット95aの外側の部位を車体側壁部39Bに結合される結合枠部97として、構成されることとなる。本体部96は、排出孔42Bの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Bの開口時には、後述するヒンジ部98aから排出孔42Bを挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。具体的には、本体部96は、前後・左右方向の幅寸法を、補助片部93(排出孔42B)の前後・左右方向の幅寸法より大きくするように、設定されている。そして、ベルト部58Aは、前述の本体布部78と同様に、端部58a側で補助片部93と本体部96とに縫着され、端部58aから離れた中間部位で本体部96に縫着されることとなる。
【0085】
そして、実施形態の本体布部91では、本体布部用基布99を、結合片部92と本体部側部位92との前縁側となる部位に形成される折目C2(図21のB参照)で折り返し、結合枠部92・97が、内外で重ねられた状態で、結合枠部92・97の周縁を、後端側に配設されるベルト部58Aを挿通させるための隙間98b以外の部位を全周にわたって車体側壁部39Bに縫着されることとなり、この結合部位98における前端側の部位98aが、本体部96のヒンジ部位を構成することとなる。
【0086】
このような構成の本体布部91を備えた止め片90では、本体部96におけるヒンジ部位98aから離れた先端側が折り返されず、この部分が塞がれない状態となるが、本体部96が、排出孔42Bの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに設定されていることから、ベルト部58Aが係止部材23に係止された状態でエアバッグが展開膨張する場合にも、本体部96により排出孔42Bを的確に塞ぐことができ、排出孔42Bからのガス漏れを抑えることができる。勿論、ベルト部58Aが係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する場合には、本体部96は、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位98aを回転中心として、排出孔42Bを挿通してエアバッグ外に突出するように開くこととなり、排出孔42Bが円滑に開口されることとなる。
【0087】
さらに、車体側壁部39Cに形成される排出孔42Cを略直角三角形状として、図23・24に示す構成の本体布部102を備えた止め片101を、使用してもよい。排出孔42Cは、図23のAに示すごとく、斜辺側を左右方向に沿わせて前方に位置させるように、形成されている。本体布部102は、図23のBに示すように、略直角三角形状の結合片部103と本体部107とを斜辺側で結合させたような略四角形状の本体布部用基布109から構成されており、図23のA・24に示すごとく、結合片部103が、本体布102の内周側に位置するように、配設されることとなる。
【0088】
結合片部103は、略直角三角板形状とされて、斜辺側を左右方向に沿わせて前方に位置させるように、配設されている。結合片部103は、前側を除いて連続的に形成される略L字形状のスリット103aを備えており、スリット103aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに後述する本体部96側に連結されて排出孔42Cと対応した形状とされる補助片部104とし、スリット103aの外側の部位を、車体側壁部39C側に結合される結合枠部105として、構成されている。結合枠部105は、後端側の一部を除いた周縁を、全周にわたって、車体側壁部39Cに縫着されて結合されている。そして、本体部107は、この結合部位106における前端側の部位106aにおいて、結合枠部105とともに、車体側壁部39Cに共縫いされて結合されることとなり、この前端側部位106aが、本体部107のヒンジ部位を構成することとなる。
【0089】
本体部107は、斜辺(ヒンジ部106a)を前端側に位置させるような略直角三角形状とされ、排出孔42Cの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Cの開口時には、ヒンジ部106aから排出孔42Cを挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。また、本体部107は、前縁側のみを結合枠部105とともに縫着されるように、本体布部用基布109を結合片部103と本体部107との前縁側となる部位に形成される折目C3(図23のB参照)で折り返した際に、前縁側を除いた周縁を、結合部位106より内側に位置させるように、構成されている。そして、ベルト部58Aは、前述の本体布部78・91と同様に、端部58a側で補助片部103と本体部107とに縫着され、端部58aから離れた中間部位で本体部107に縫着されることとなる。
【0090】
このような構成の本体布部102を備えた止め片101においても、本体部107におけるヒンジ部位106aから離れた先端側が折り返されず、この部分が塞がれない状態となるが、本体布部102においても、本体部107が、排出孔42Cの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに設定されていることから、ベルト部58Aが係止部材23に係止された状態でエアバッグが展開膨張する場合にも、本体部107により排出孔42Cを的確に塞ぐことができ、排出孔42Cからのガス漏れを抑えることができる。勿論、ベルト部58Aが係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する場合には、本体部107は、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位106aを回転中心として、排出孔42Cを挿通してエアバッグ外に突出するように開くこととなり、排出孔42Cが円滑に開口されることとなる。
【0091】
なお、実施形態の本体布部78・91・102では、結合片部79・92・103に、ベルト部58Aにより本体部85・96・107に連結されて、ベルト部58Aの端部58a付近の連結強度を上げる補助片部80・93・104が形成されているが、この補助片部80・93・104を配設させず、この部位を切り欠くように、結合片部を構成し、本体部85・96・107のみにベルト部58Aを連結させる構成としてもよい。
【0092】
また、実施形態のエアバッグ37では、排出孔42のみから膨張用ガスを排出させる構成であるが、エアバッグを、通常のステアリングホイール用エアバッグ装置のごとく、別途、急激な膨張用ガスの流入による破損防止のために、常時開口するように構成される膨張用ガスを排出可能なベントホールを設けるように、構成してもよい。
【0093】
さらに、実施形態では、エアバッグ装置として、ステアリングホイール用のエアバッグ装置を例に採り説明しているが、本発明を適用可能なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、例えば、助手席用のエアバッグ装置にも、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイール用エアバッグ装置を搭載した車両のステアリングホイール付近を示す概略図である。
【図2】同実施形態のエアバッグ装置が使用されるステアリングホイールの平面図である。
【図3】同実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】同実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のIV−IV部位に対応する。
【図5】同実施形態のエアバッグ装置において、係止部材の部位付近を示す部分拡大概略断面図であり、図3のV−V部位に対応する図である。
【図6】同実施形態のエアバッグ装置に使用されるエアバッグの底面図である。
【図7】同実施形態のエアバッグの製造時における構成部材を示す概略分解斜視図である。
【図8】同実施形態のエアバッグの概略断面図である。
【図9】同実施形態のエアバッグに使用されるフラップ材の展開図である。
【図10】同実施形態のエアバッグにおいて、フラップ材により排出孔を閉塞する工程を示すエアバッグ外周側から見た概略斜視図である。
【図11】同実施形態のエアバッグにおいて、フラップ材により排出孔を閉塞する工程を示す概略斜視図であり、図10の後の工程を示す。
【図12】同実施形態のエアバッグの膨張完了状態を示す概略断面図である。
【図13】フラップ材の変形例を示すとともに、このフラップ材により排出孔を閉塞する工程を示すエアバッグ外周側から見た概略図である。
【図14】図13のフラップ材により排出孔を閉塞する工程を示す概略図であり、図13の後の工程を示す。
【図15】他の実施形態のエアバッグを示す底面図である。
【図16】図15のエアバッグにおける止め片の部位を示すエアバッグ内周側から見た概略斜視図である。
【図17】図15のエアバッグにおける止め片の部位の概略断面図であり、図16のXVII−XVII部位に対応する図である。
【図18】図15のエアバッグに使用される止め片を構成する本体布部の展開図である。
【図19】図15のエアバッグにおける止め片の部位の平面図であり、先端縁部の折り返し前と折り返し後との状態を示す図である。
【図20】図15のエアバッグにおいて、係止部材が解除されて排出孔が開いた状態を示す部分拡大断面図である。
【図21】他の形態の止め片を示す図であり、止め片の部位の平面図、及び、止め片における本体布部用基布の展開図である。
【図22】図21の止め片を使用したエアバッグにおける止め片の部位の概略分解斜視図である。
【図23】さらに他の形態の止め片を示す図であり、止め片の部位の平面図、及び、止め片における本体布部用基布の展開図である。
【図24】図23の止め片を使用したエアバッグにおける止め片の部位の概略分解斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
8…インフレーター、
23…係止部材(開閉制御装置)、
24…係止ピン、
25…アクチュエータ、
37・37A…エアバッグ、
39・39A・39B・39C…車体側壁部、
40…流入用開口、
42・42A・42B・42C…排出孔、
43A・43B…挿通孔、
45…乗員側壁部、
50・77・90・101…フラップ材(止め片)、
53・82・98・106…結合部位、
53a・82a・98a・106a…ヒンジ部位、
55…押え片、
55A…外周側押え片、
55B・55C・55D…内周側押え片、
56…スリット、
58・58A…ベルト部、
59・59A…ループ部、
85・96・107…本体部、
86…先端縁部、
W…ステアリングホイール、
M…ステアリングホイール用エアバッグ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、膨張時の内圧を抑制可能に設定されるエアバッグを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグ装置では、座席に着座した乗員を保護可能にエアバッグを膨張させる構成のものであって、エアバッグに、膨張用ガスの一部を排出可能とする排出孔が、形成され、この排出孔をフラップ材により開閉可能として、乗員の着座位置や体格に応じて、排出孔の開閉を制御し、エアバッグの膨張時の内圧を抑制する構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このエアバッグ装置では、フラップ材が、可撓性を有したシート材から構成されるとともに排出孔を塞ぎ可能な大きさに設定されて、少なくとも一端をエアバッグに縫着させた押え片から、構成されている。そして、この押え片におけるエアバッグへの縫着部位を排出孔の開口時に開くヒンジ部位とし、押え片におけるヒンジ部位から離れた先端側を、エアバッグにおける流入用開口の近傍に配置される開閉制御装置に連結させる構成であった。そして、押え片部は、開閉制御装置との連結状態が解除された際に、ヒンジ部位を中心として開き、排出孔が開口される構成であった。
【特許文献1】米国特許第6,648,371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグ装置では、押え片は、ヒンジ部位以外の部位も、エアバッグに縫着される構成であった。例えば、Fig.5に開示される押え片では、押え片における開閉制御装置に連結される先端側の部位も、排出孔周縁となる部位において、エアバッグに縫着されていた。また、Fig.6に開示される押え片部では、複数配設される排出孔の周縁において、開閉制御装置に連結される先端側となる部位を除いた周囲を、全周にわたってエアバッグに縫着される構成であった。そのため、従来のエアバッグ装置では、押え片の開閉制御装置との連結状態が解除され、さらに、押え片をエアバッグに縫着させている縫合糸が破断して、押え片とエアバッグとの縫着状態が解除された後にのみ、排出孔が開口される構成であることから、縫合糸が円滑に破断しない場合、排出孔が開口されず、排出孔の開き状態を安定させることが困難であった。
【0005】
また、従来のエアバッグ装置において、Fig.5に開示される押え片では、押え片が、排出孔に挿通可能な寸法に設定されている。すなわち、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する場合、排出孔が押え片により閉塞された状態でエアバッグが膨張することとなるが、排出孔が押え片により確実に閉塞されず、排出孔と押え片との間に生じた隙間から膨張用ガスが漏れることとなる。そのため、従来のエアバッグ装置では、排出孔の閉塞状態を安定して維持し、排出孔付近からの膨張用ガスの漏れを抑えることが困難であった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、排出孔の開閉を安定して確保することが可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
フラップ材との連結状態の維持時、フラップ材が排出孔の塞ぎ状態を維持し、フラップ材との連結状態の解除時、フラップ材が、排出孔を開口させるように、フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
フラップ材が、エアバッグの外周側における排出孔の周縁に結合されて、それぞれ、排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状の複数の押え片から構成され、
複数の押え片が、エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させてとして、排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されるとともに、相互に平らに重なり合って排出孔を塞ぎ可能に、配設され、
押え片の内の排出孔の塞ぎ時の最も外周側に位置する外周側押え片が、外周側押え片のヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させていることを特徴とする。
【0008】
本発明のエアバッグ装置では、エアバッグの排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材の複数の押え片が、エアバッグの外周側に配設される構成であるものの、このフラップ材の各押え片は、排出孔の周縁に結合されて排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状とされている。そして、各押え片は、エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位とし、このヒンジ部位により、排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されて、かつ、排出孔の閉塞時に、相互に平らに重なり合って排出孔を閉塞する構成である。すなわち、本発明のエアバッグ装置では、複数の押え片が、エアバッグの外周側において、排出孔を中心として放射状に配設されることとなる。そして、本発明のエアバッグ装置では、排出孔の塞ぎ時に最も外周側に位置する外周側押え片が、ヒンジ部位から離れた先端側を、開閉制御装置に連結させる構成である。
【0009】
そのため、本発明のエアバッグ装置では、各押え片のヒンジ部位が排出孔周縁を全周にわたって囲むように形成され、かつ、各押え片部は、相互に平らに重なり合って排出孔を塞いでいることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する場合には、これらの複数の押え片部により、排出孔を隙間なく塞ぐことができて、排出孔からのガス漏れを極力抑えることができる。また、本発明のエアバッグ装置では、複数の押え片は、エアバッグの外周側に配設されており、外周側押え片のみが、開閉制御装置に連結されている構成であることから、外周側押え片の開閉制御装置との連結状態が解除された状態でエアバッグが展開膨張すると、複数の押え片が、エアバッグ内に流入した膨張用ガスによって、押圧されて、それぞれ、ヒンジ部位を中心として開くこととなり、排出孔が開口することとなる。すなわち、本発明のエアバッグ装置では、外周側押え片の開閉制御装置との連結状態を解除すれば、各押え片は、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔を安定して開口させることができる。そして、このとき、各押え片は、ヒンジ部位を直線状とし、かつ、相互にずらして配設されていることから、開き時に、円滑に開くことが可能となって、排出孔を安定して開かせることが可能となる。
【0010】
したがって、本発明のエアバッグ装置では、排出孔の開閉を安定して確保することが可能である。
【0011】
さらに、本発明のエアバッグ装置において、押え片を、少なくとも3枚以上配設させ、
外周側押え片の内周側に配設される内周側押え片のうちの少なくとも一つに、内周側押え片の内周側から外周側、若しくは、外周側から内周側に、他の内周側押え片を挿通させて、内周側押え片相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリットを、配設させた構成とすることが好ましい。
【0012】
上記構成のエアバッグ装置では、外周側押え片の内周側に配設される複数の内周側押え片が、排出孔の閉塞時において、一部の内外を入れ替えるように、相互に重なり合って配置されることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態において、エアバッグ内に膨張用ガスが流入し、内周側押え片が膨張用ガスに押圧されても、各内周側押え片における一部の内外を入れ替えるようにして重なり合った面に、摩擦力が発生し、相互の重ね合わせ状態が容易に解除されないこととなる。そのため、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、内周側押え片が膨張用ガスに押圧されて排出孔から浮き上がるように移動することを防止できて、排出孔からの膨張用ガスの漏れを一層抑えることができる。なお、各内周側押え片部は可撓性を有したシート材から構成されており、このシート材に形成されるスリットにより、相互に係合されていることから、外周側押え片が開閉制御装置との連結状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する際には、この内周側押え片相互の重ね合わせ状態は、膨張用ガスの押圧力により、容易に解除することができ、排出孔を支障なく開かせることができる。
【0013】
さらに、上記構成のエアバッグ装置において、開閉制御装置を、エアバッグの膨張用ガスの流入用開口の近傍に配置させ、
排出孔を、流入用開口から離れた位置に配置させ、
外周側押え片のヒンジ部位から離れた先端側を、排出孔の近傍の周縁を貫通するベルト部として、開閉制御装置に連結させた構成とすることが好ましい。
【0014】
エアバッグ装置を上記構成とすれば、排出孔が、エアバッグの流入用開口から離れた膨張用ガスの下流側に配置されることとなり、エアバッグの膨張完了形状を迅速に確保した状態で、内圧を抑制し易くなる。また、上記構成のエアバッグ装置では、排出孔を閉塞する各押え片と、開閉制御装置とが、離れて配置されることとなるが、外周側押え片の先端側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通するように、配設されている構成である。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、外周側押え片側においてエアバッグの外周側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通されて、エアバッグの内周側に配置されることとなる。そのため、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、このベルト部におけるエアバッグ内周側に位置する部位が、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより、エアバッグを構成する周壁側に押し付けられるような態様となることから、ベルト部がエアバッグを構成する周壁から大きく離れるようにたるむことがない。そのため、上記構成のエアバッグ装置では、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、外周側押え片をベルト部により的確に排出孔周縁に押えることができて、排出孔からのガス漏れを抑えることができる。
【0015】
さらにまた、エアバッグ装置として、
フラップ材が、
エアバッグの内周側における排出孔の周縁に結合される可撓性を有したシート状の止め片から構成され、
止め片が、
エアバッグとの結合部位を、排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させるとともに、排出孔を塞ぎ可能な本体部と、ヒンジ部位から離れた先端側に配置されて、排出孔の近傍の周縁を貫通して、開閉制御装置に連結されるベルト部と、を備え、
本体部が、排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能とし、かつ、排出孔の開口時にヒンジ部位から排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定され、
ベルト部の少なくとも本体部近傍の部位が、排出孔の開口時に排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能に、エアバッグにおける排出孔の近傍の周縁を貫通している構成のものを使用してもよい。
【0016】
上記構成のエアバッグ装置では、フラップ材を構成する止め片の本体部が、エアバッグの内周側に配置されるとともに、排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに、設定されている。すなわち、上記構成のエアバッグ装置において、フラップ材が開閉制御装置への連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際には、本体部により、排出孔を隙間なく塞ぐことができ、かつ、排出孔からのガス漏れも防止することができる。また、上記構成のエアバッグ装置では、止め片部の本体部と、開閉制御装置とが、離れて配置されることとなるが、本体部の先端側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通するように、配設されている構成である。すなわち、上記構成のエアバッグ装置では、本体部側においてエアバッグの内周側に配置されるベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通されて、エアバッグの外周側に配置されることとなる。そのため、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でのベルト部が、排出孔の近傍の周縁で貫通された先端側の部位を、エアバッグを構成する周壁によって押えられることとなる。その結果、ベルト部が開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、ベルト部が排出孔から浮き上がるように移動することを抑えることができて、本体部により排出孔を的確に塞ぐことができ、排出孔からのガス漏れを抑えることができる。
【0017】
また、上記構成のエアバッグ装置において、止め片の本体部は、排出孔の開口時には、ヒンジ部位から排出孔を挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。そのため、開閉制御装置との連結状態が解除された状態でエアバッグが展開膨張する際には、本体部は、エアバッグ内に流入した膨張用ガスによって、押圧されて、ヒンジ部位を中心として、排出孔からエアバッグ外に突出するように開くこととなって、排出孔が開口することとなる。また、このとき、ベルト部は、本体部近傍の部位を、本体部とともにエアバッグ外に突出させるように移動することとなり、本体部を、エアバッグ外に支障なく突出させることができる。すなわち、上記構成のエアバッグ装置においても、開閉制御装置への連結状態を解除すれば、本体部が、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔を安定して開口させることができる。
【0018】
したがって、上記構成のエアバッグ装置においても、排出孔の開閉を安定して確保することが可能である。
【0019】
また、上記構成のエアバッグ装置において、止め片の本体部におけるヒンジ部位から離れた先端側に、ベルト部と直交するように両側に延びて、ベルト部の外周側に配置される先端縁部を設け、
エアバッグの内周側に、本体部の内周側における先端縁部のヒンジ部位側を覆って、ベルト部と直交方向の両縁付近をエアバッグの内周面側に結合させる可撓性を有したシート状とし、さらに、ベルト部における本体部側近傍を挿通可能な凹部を周縁に備えた押え枠材を、配設させ、
止め片を、エアバッグの折り畳み収納時、押え枠材の内周側に、本体部の先端縁部を折り返して載せ、ベルト部を、折り返した先端縁部の内周側に載せて、エアバッグを収納させることが、好ましい。
【0020】
上記構成のエアバッグ装置では、止め片の本体部におけるヒンジ部位から離れた先端側を、折り返した先端縁部により塞いだ状態で、エアバッグが収納されることとなる。そして、この折り返した先端縁部は、ベルト部と押え枠材との間に挟まれるような態様となることから、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際には、ベルト部により押えられて、先端縁部の折り返した状態が維持されることとなる。そのため、開閉制御装置との連結状態を維持された状態でエアバッグが展開膨張する際に、止め片の本体部における先端縁部からヒンジ部位側に延びる両側縁が、排出孔側に部分的にめくれることが防止されて、安定したシート状で排出孔を塞ぐことができ、排出孔からのガス漏れを一層抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜4に、本発明の一実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置Mを示す。
【0022】
なお、実施形態における前後・上下・左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図3・4の二点鎖線参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の左右を左右方向として、前後・上下・左右方向を示すものである。
【0023】
エアバッグ装置Mは、図2〜4に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSSに連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置Mとステアリングホイール本体1とから構成されている。
【0024】
ステアリングホイール本体1は、リング部R・ボス部B・スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0025】
エアバッグ装置Mは、図3に示すように、折り畳まれたエアバッグ37と、エアバッグ37に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ37とインフレーター8とを収納して保持するケースとしてのバッグホルダ11と、バッグホルダ11の開口11aを覆うように配設されるエアバッグカバーとしてのパッド27と、ホーンスイッチ17を介在させてバッグホルダ11に連結されるとともにエアバッグ装置Mをステアリングホイール本体1に連結させるための2つの連結板21と、エアバッグ37に形成される後述する排出孔42の開閉を制御する開閉制御装置23と、を備えて構成されている。インフレーター8と開閉制御装置23との作動は、エアバッグ作動制御装置71により制御される。
【0026】
エアバッグ作動制御装置71は、図1に示すように、ステアリングホイールWと座席SEに着座した乗員(運転者)MDとの距離を検知可能な位置検知センサ72、あるいは、運転者MDの重量を検知可能な重量センサ73、及び、車両の加速度や加速の方向等を検知可能な衝突検知センサ74等と、電気的に接続され、これらのセンサ72・73・74等からの電気信号を入力させて、インフレーター8を作動させるとともに、好適な膨張モードでエアバッグ37を膨張させるように、開閉制御装置23の作動を制御する。
【0027】
インフレーター8は、上部に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口8bを備えた略円柱状の本体8aと、本体8aの外周面から突出して配置される略四角板状のフランジ部8cと、を備えて構成されている。フランジ部8cには、後述するリテーナ6から突出するボルト6aを挿通させるための挿通孔8dが、形成されている。
【0028】
リテーナ6は、略四角環状体の板金製として、四隅に、下方へ突出するボルト6aを備えて構成されている。このリテーナ6は、エアバッグ37の内周面側における流入用開口40の周縁やバッグホルダ11を経て、インフレーター8のフランジ部8cから突出させる。そして、各ボルト6aにナット7を締結することにより、エアバッグ37とインフレーター8とが、リテーナ6を利用して、バッグホルダ11に取り付けられている。
【0029】
バッグホルダ11は、図3・4に示すように、それぞれ、板金製とするホルダ本体12と2つの保持プレート16とを備えて構成されている。2つの保持プレート16は、ホルダ本体12の前後両側における下面側に固着されている。
【0030】
ホルダ本体12は、略四角板状の底壁部13と、底壁部13の周縁から上方に延びるとともに上端側を開口させて構成される側壁部14と、を備えて構成されている。底壁部13における中央付近には、円形に開口してインフレーター8の本体8aを下方から上方へ挿通可能な挿通孔13aが、形成されている。挿通孔13aの周縁には、リテーナ6の各ボルト6aを挿通させる4つの挿通孔13bが、形成されている。また、底壁部13における挿通孔13aの前方側には、エアバッグ37の後述するベルト部58の先端58bに形成されるループ部59を挿通可能とする貫通孔13cが、形成されている。
【0031】
また、底壁部13の下部側であって、貫通孔13cの近傍となる部位には、エアバッグ37の後述するベルト部58の先端58b側を連結する開閉制御装置としての係止部材23が、配設されている。この係止部材23は、ベルト部58の先端58bに形成されるループ部59に挿通される係止ピン24と、底壁部13の下面側に固着されて係止ピン24を引き込み可能に作動するアクチュエータ25と、から構成されている。アクチュエータ25が係止ピン24を引き込ませるように作動すると、係止ピン24がループ部59を係止している状態から、係止を解除する状態に移行する。このアクチュエータ25は、制御装置からの電気信号により係止ピン24を移動できれば、油圧・水圧・空気圧、あるいは、インフレーター等の膨張するガス圧を発生させる場合を含めた流体圧を利用するピストンシリンダ、それらの流体圧や電気を利用したモータ、電磁ソレノイド、復元時の付勢力を利用するばね等を、使用することができる。なお、底壁部13の下面における貫通孔13cの周縁であって、アクチュエータ25と対向する縁部側には、図5に示すように、係止部材23の係止ピン24の先端を支持して、係止時における係止ピン24からのループ部59の抜けを防止する支持台13dが、配設されている。
【0032】
ホルダ本体12における側壁部14は、前後の部位の上端に、外方の下方へ延びる係止爪14aを備え、これらの係止爪14aは、パッド27の後述する側壁部31における前後の位置の段差部31aに、係止されることとなる。
【0033】
ホルダ本体12に固着された前後2つの保持プレート16は、それぞれ、左右両側のスポーク部Sにおけるリング部R近傍の被覆層3の部位付近まで延びる保持部16aを備え、各保持部16aには、ホーンスイッチ17が取り付けられている。各保持プレート16は、リベット34を挿通させる取付孔16bを備えている。
【0034】
2つの連結板21は、エアバッグ装置Mの左右両側の下面で、それぞれ、前後方向に沿うような帯状に配設され、前後方向の略中間部位を、ステアリングホイール本体1の芯金2に固定させるように構成され、また、前後両端を、それぞれ、保持プレート16の左右両端の保持部16aの下方に配設されるとともに、スポーク部Sの部位の芯金2に支持させるように、構成されている。そして、連結板21の前後両端と保持部16aとは、ホーンスイッチ17を介在させた状態で、左右の連結板21に支持され、連結板21が芯金2に固定されることにより、ステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に装着されることとなる。
【0035】
エアバッグカバーとしてのパッド27は、オレフィン系熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製とされて、図2〜4に示すように、ボス部Bの上部側を覆う天井壁部28と、天井壁部28の外周縁から下方に延びる略四角筒形状の側壁部31と、を備えて構成されている。天井壁部28における側壁部31の内側部位は、折り畳まれたエアバッグ37を覆う部位として構成され、その部位には、エアバッグ37の膨張時に開く複数の扉部30が、周囲に破断予定部29を設けて、配設されている。扉部30は、実施形態の場合、図2に示すごとく、前後方向に沿って2枚並設されており、内部に膨張用ガスを流入させたエアバッグ37に押圧されて、周囲の略H字形状の破断予定部29を破断させて、前後に開く構成である。側壁部31には、水平方向に貫通する複数の取付孔32が、形成されている。これらの取付孔32には、パッド27をバッグホルダ11に保持させるための固着手段としてのリベット34が挿入されている。
【0036】
エアバッグ37は、図6・8に示すように、膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体38と、バッグ本体38に形成される排出孔42を閉塞可能なフラップ材50と、バッグ本体38の膨張完了時の形状を規制するテザー61と、を備えて構成されている。
【0037】
バッグ本体38は、膨張完了時の外周壁が、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。バッグ本体38の外周壁は、膨張完了時にステアリングホイールW側となって膨張用ガスを流入させる流入用開口40を有した車体側壁部39と、流入用開口40と対向して配置されて膨張完了時に乗員(運転者)側となる乗員側壁部45と、から構成されている。
【0038】
流入用開口40は、インフレーター8の本体8aを下方から挿入させて、インフレーター8のガス吐出口8bから吐出される膨張用ガスを、バッグ本体38内に流入させるための部位である。また、流入用開口40の周縁には、リテーナ6に形成されたボルト6aを挿通させる取付孔41が、4個形成されている。また、車体側壁部39における流入用開口40の前方となる部位には、円形に開口した排出孔42が、形成されている。そして、排出孔42と流入用開口40との間には、排出孔42の後方側近傍と、流入用開口40の前方側近傍と、の2箇所に、フラップ材50の後述するベルト部59を挿通可能に左右方向に沿って形成されるスリット状の挿通孔43A・43Bが、配設されている。
【0039】
バッグ本体38は、図7に示すように、車体側壁部39を構成する円形状の車体側基布47と、乗員側壁部45を構成する円形状の乗員側基布48と、から構成されている。車体側基布47の中央には、流入用開口40を構成する開口47aが、形成されている。また、車体側基布47には、取付孔41・排出孔42・挿通孔43(43A・43B)に対応した位置に、取付孔47b・排出孔47c・挿通孔47dが、それぞれ、形成されている。
【0040】
フラップ材50は、図6・7・9に示すように、バッグ本体38の外周側に配置されて排出孔42を塞ぎ可能な本体布51と、本体布51に連結されるベルト部58と、から構成されている。
【0041】
本体布51は、実施形態の場合、バッグ本体38と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。本体布51は、図9に示すように、中央に位置して車体側壁部47における排出孔42周縁に結合される略四角形状の結合片52と、結合片52から前後左右に延びるように構成される略四角形状の4つの押え片55と、から構成されて、外形形状を略十字形状とされている。
【0042】
結合片52は、実施形態の場合、略正方形状とされて、中央付近に、排出孔42に対応して円形に開口する貫通孔52aを、備えている。そして、結合片52は、周縁近傍を全周にわたって、車体側壁部39に縫着されて結合されている。この結合部位53は、貫通孔52a(排出孔42)の周囲の全周を囲むような略正方形状とされ、直線状の各辺53aが、それぞれ、各押え片55(55A・55B・55C・55D)の元部側をエアバッグ37(車体側壁部39)に結合させる結合部位として、各押え片55(55A・55B・55C・55D)のヒンジ部位を構成することとなる。
【0043】
各押え片55(55A・55B・55C・55D)は、結合片52を中心として放射状に配設されており、具体的には、結合片52の前後両側と左右両側との4箇所に配設されて、それぞれ、排出孔42(貫通孔52a)を塞ぎ可能な大きさの略長方形状とされている。結合部位53における各辺(ヒンジ部位)53aの長さは、排出孔42の直径より大きい寸法としている。そして、実施形態の場合、結合片52の前方側に配設される押え片55Aが、排出孔42の塞ぎ時に最も外周側に位置する外周側押え片とされている。そして、結合片52の後方側と左右両側とに配設される押え片55B・55C・55Dが、外周側押え片55Aの内周側に配設される内周側押え片とされることとなる。実施形態の場合、各内周側押え片55B・55C・55Dは、外形形状を、結合片52と略同一に設定されており、外周側押え片55Aは、内周側押え片55B・55C・55D全体を覆い可能なように、外形形状を、内周側押え片55B・55C・55Dより大きくして、構成されている。
【0044】
各内周側押え片55B・55C・55Dには、排出孔42の塞ぎ時に、他の内周側押え片55B・55C・55Dを挿通させて、内周側押え片55B・55C・55D相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリット56が、形成されている。実施形態の場合、各スリット56は、それぞれ、各内周側押さえ片55B・55C・55Dの後縁から前後方向の略中央にかけて、左右方向の中央付近となる部位に、前後方向に沿った直線状に切り込みを設けるようにして、形成されている。そして、各内周側押え片55B・55C・55Dは、排出孔42を塞ぐように相互に重ね合わせられる際に、スリット56を利用して、左側部位55Bb・55Cb・55Dbあるいは右側部位55Ba・55Ca・55Daの内外を入れ替えるようにして、重ね合わせられることとなる。
【0045】
ベルト部58は、可撓性を有した帯状の布材から構成されるもので、外周側押え片55Aの外周側に連結されている。ベルト部58は、一端58a側を外周側押え片55Aに縫着されて、外周側押え片部55Aの開き時における前縁側(ヒンジ部位53aから離れた先端側)から突出して、前後方向に沿うように、配設されることとなる(図6参照)。ベルト部58における他端58b側には、端部をリング状に縫着させて構成されるループ部59が、配設されている。ループ部59は、係止部材23の係止ピン24を挿通可能に構成されており、図3・5に示すように、エアバッグ37の折り畳み収納時において、係止ピン24を挿通されて、係止部材23に係止されることとなる。
【0046】
また、ベルト部58は、図6・8に示すように、車体側壁部39に形成される挿通孔43A・43Bに貫通されるように配置されるもので、各押え片55A・55B・55C・55Dを、排出孔42を塞ぐように重ね合わせた状態において、排出孔42近傍に形成される挿通孔43Aに貫通されて、中間部位58cをバッグ本体38の内周側に位置させ、ループ部59が形成される先端58b側を、バッグ本体38外に突出させるように、再度、流入用開口40近傍に形成される挿通孔43Bに貫通されることとなる(図8参照)。すなわち、ベルト部58は、エアバッグ37の折り畳み収納時において、両端58a・58b側をバッグ本体38の外周側に位置させ、中間部位58cをバッグ本体38の内周側に位置させるようにして、配置されることとなり、挿通孔43Bから突出している先端58b側のループ部59に、係止部材23の係止ピン24が、挿通されることとなる。実施形態の場合、ベルト部58は、長さ寸法を、ループ部59が係止ピン24との係止状態を維持された状態でエアバッグ37が膨張する際にも、エアバッグ37が支障なく膨張を完了可能な寸法に、設定されている。
【0047】
テザー61は、バッグ本体38及びフラップ材50の本体布51と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。テザー61は、図12に示すように、バッグ本体38の膨張完了時における車体側壁部39と乗員側壁部45との離隔距離を規制してバッグ本体38の膨張完了形状を規制するもので、車体側壁部39側の車体側部材62と、乗員側壁部45側の乗員側部材66と、から構成されている。車体側部材62は、流入用開口40周縁を補強する補強部63と、補強部63の左右両縁側から延設される帯状の延設部64・64と、を備えている。補強部63は、中央付近に、流入用開口40に対応した円形の開口63aを備えた略円環状とされており、開口63aの周縁には、取付孔41及び挿通孔43Bに対応して、取付孔63b・挿通孔63cが、形成されている。乗員側部材66は、乗員側壁部45側に連結される略円形の連結部67と、連結部67の左右両縁側から延設される帯状の延設部68・68と、を備えている。そして、車体側・乗員側部材62・66における各延設部64・68が、先端相互を縫着させるようにして、テザー61が構成されている。
【0048】
次に、エアバッグ37の製造について述べる。車体側基布47には、予め、開口47a、挿通孔43Aを構成する挿通孔47d、及び、排出孔47cを形成しておく。また、テザー61の車体側部材62にも、予め、開口63aを形成しておく。そして、フラップ材50においても、予め所定形状に裁断して貫通孔52aとスリット56とが形成された本体布51の外周側押え片55Aに、ループ部59を形成したベルト部58の端部58aを縫着させておく。
【0049】
まず、車体側基布47の外表面側に、排出孔47cに貫通孔52aを対応させるように本体布51を配置させ、縫合糸を利用してフラップ材50の本体布51を、結合部位52の部位で、車体側基布47に縫着させる。同様に、テザー61の車体側部材62を、開口47aに補強部63の開口63aを対応させるようにして、車体側基布47の内表面側に載置させ、開口47a・63a周縁を縫着させる。また、乗員側基布48の内表面側に、テザー61の乗員側部材66における連結部67の周縁を、縫着させる。
【0050】
その後、取付孔41及び挿通孔43Bの孔明け加工を、車体側基布47と補強部63とに施す。勿論、この孔明け加工時に、同時に、流入用開口40を設けるようにして、縫合前には、開口47a・63aが形成されていないようにしてもよい。
【0051】
次いで、車体側基布47と乗員側基布48とを、それぞれ、外表面側が対向するように重ねて、外周縁相互を縫着させる。外周縁の縫合作業後、外周縁の縫合代がエアバッグ37の外表面に表れないように、バッグ本体38を、流入用開口40を利用して、反転させる。そして、反転後に、テザー61における各延設部64・68の先端を、流入用開口40から引き出し、縫着させれば、エアバッグ37を製造することができる。
【0052】
そして、上記のように製造したエアバッグ37を使用して、エアバッグ装置Mを組み立てる。まず、フラップ材50により、排出孔42を塞ぐ。具体的には、車体側壁部39が乗員側壁部45上に載置されるように裏返して平らに展開した状態のエアバッグ37において、図10のAに示すように、本体布51を平らに展開した状態から、まず、図10のBに示すように、排出孔42の右側に位置する内周側押え片55Bを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、次いで、排出孔42の後側に位置する内周側押え片55Cを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、各内周側押え片55B・55Cのスリット56を利用して、図10のCに示すように、内周側押え片55Cの左側部位55Cbを内周側押え片55Bの右側部位55Baの内側に位置させ、内周側押え片55Cの右側部位55Caを内周側押え片55Bの左側部位55Bbの外側に位置させるように、内周側押え片55B・55Cを重ね合わせる。その後、排出孔42の左側に位置する内周側押え片55Dを、ヒンジ部位53a近傍で排出孔42を覆うように折り返し、各内周側押え片55C・55Dのスリット56を利用して、図11のAに示すように、内周側押え片55Dの左側部位55Dbを内周側押え片55Cの右側部位55Caの内側に位置させ、内周側押え片55Dの右側部位55Daを内周側押え片55Bの右側部位55Baの外側に位置させるように、内周側押え片55Dを内周側押え片55B・55Cに重ね合わせる。その後、図11のBに示すように、外周側押え片55Aを、ヒンジ部位53a近傍で、排出孔42を塞ぐように折り返し、ベルト部58を、ループ部59側から、排出孔42近傍に形成される挿通孔43Aに貫通させる。その後、ベルト部58のループ部59側部位を、流入用開口40近傍に形成される挿通孔43Bに貫通させて、ループ部59をエアバッグ37の外周側に突出させれば、フラップ材50により、排出孔42を閉塞させることができる。
【0053】
その後、リテーナ6を流入用開口40からエアバッグ37内に挿入させ、各ボルト6aを取付孔41から突出させる。次いで、エアバッグ37を、ループ部59の挿通孔43Bからの突出状態を維持させつつ、バッグホルダ11内に収納可能なように、折り畳む。
【0054】
次いで、各ボルト6aを底壁部13の挿通孔13bから突出させ、ループ部59を貫通孔13cから突出させるようにして、折り畳まれたエアバッグ37を、予め係止部材23、ホーンスイッチ17、及び、連結板21を、取り付けておいたバッグホルダ11内に収納させる。そして、係止部材23の係止ピン24をループ部59に挿通させ、係止ピン24の先端側を支持台13dに支持させるようにして、ループ部59を係止部材23に係止させる。その後、インフレーター8の本体8aを、下方から底壁部13の挿通孔13a内に挿入させて、各ボルト6aを、フランジ部8cの挿通孔8dから突出させる。そして、各ボルト6aにナット7を締結させて、バッグホルダ11に、エアバッグ37とインフレーター8とを保持させる。
【0055】
その後、エアバッグ37にパッド27を被せて、側壁部31の段差部31aにバッグホルダ11の係止爪14aを係止させるとともに、バッグホルダ11と側壁部31とを、リベット34により締結すれば、エアバッグ装置Mを組み立てることができる。
【0056】
このようにして組み立てたエアバッグ装置Mは、車両に取付済みのステアリングホイール本体1の図示しない取付座に対し、所定のボルトを使用して、連結板21を連結させれば、ステアリングホイール本体1に組み付けることができ、このとき、ステアリングホイールWの組立と、車両へのステアリングホイールWの搭載と、が完了することとなる。なお、エアバッグ装置Mの車両への搭載時には、制御装置71から延びる作動信号入力用のリード線を、インフレーター8と係止部材(開閉制御装置)23とに接続させておく。
【0057】
エアバッグ装置Mの車両への搭載後、走行中の車両が衝突すれば、制御装置71がインフレーター8に作動信号を出力することとなって、インフレーター8が、膨張用ガスをガス吐出口8bから吐出させ、エアバッグ37が、膨張用ガスを内部に流入させて膨張し、パッド26の扉部30・30を前後両側に開かせて、運転者MD側に突出し、膨張を完了することとなる。
【0058】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、所定のセンサ72・73・74からの信号を入力させている制御装置71が、例えば、運転者MD1(MD)が小柄であったり、ステアリングホイールWに近接した位置に着座していることを検知した場合には、エアバッグ37の展開膨張前に、予め、フラップ材50の開閉制御装置(係止部材)23への連結状態を解除させる。すなわち、アクチュエータ25を、係止ピン24を引き込むように作動させ、ループ部59と係止ピン24との係止状態を解除した状態で、エアバッグ37を膨張させることとなる。この場合、エアバッグ37は、図12のBに示すように、排出孔42を開口させて、排出孔42から余剰の膨張用ガスGを排出させるようにして、膨張を完了させることとなる。また、逆に制御装置71が、例えば、運転者MD2(MD)が大柄であったり、ステアリングホイールWから離れた位置に着座していることを検知した場合には、エアバッグ37は、フラップ材50の開閉制御装置(係止部材)23への連結状態を維持させるように、アクチュエータ25を作動させず、ループ部59が係止ピン24に係止された状態で、膨張することとなる。この場合、エアバッグ37は、図12のAに示すように、排出孔42の閉塞状態を維持させたままで、膨張を完了させることとなる。
【0059】
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42を中心として放射状に配置される各押え片55A・55B・55C・55Dのヒンジ部位53aが、排出孔42周縁を全周にわたって囲むように形成され、かつ、各押え片55A・55B・55C・55Dは、相互に平らに重なり合って排出孔42を塞いでいることから、外周側押え片55Aがベルト部58による係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37が展開膨張する際には、これらの複数の押え片55A・55B・55C・55Dにより、排出孔42を隙間なく塞ぐことができて、排出孔42からのガス漏れを極力抑えることができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、複数の押え片55A・55B・55C・55Dは、エアバッグ37の外周側に配設されており、外周側押え片55Aのみが、ベルト部58を利用して開閉制御装置としての係止部材23に連結されている構成であることから、ベルト部58と係止部材23との係止状態が解除されて、外周側押え片55Aの係止部材23との連結状態が解除された状態でエアバッグ37が展開膨張すると、4枚の押え片55A・55B・55C・55Dが、エアバッグ37内に流入した膨張用ガスGによって、押圧されて、それぞれ、ヒンジ部位53aを中心として開くこととなり、排出孔42が開口することとなる。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ベルト部58の係止部材23による係止状態が解除されれば、各押え片55A・55B・55C・55Dは、膨張用ガスGに押圧されて自然に開くことから、排出孔42を安定して開口させることができる。そして、このとき、各押え片55A・55B・55C・55Dは、ヒンジ部位53aを直線状として、かつ、相互にずらして配設されていることから、開き時に、円滑に開くことが可能となって、排出孔42を安定して開かせることが可能となる。
【0060】
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42の開閉を安定して確保することが可能である。
【0061】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、3枚の内周側押え片55B・55C・55Dが、排出孔42の閉塞時において、一部の内外である左側部位55Bb・55Cb・55Dbや右側部位55Ba・55Ca・55Daを、内外周方向で入れ替えるように、相互に重なり合って配置されることから、外周側押え片55Aがベルト部58を利用して係止部材23との連結状態を維持された状態において、エアバッグ37内に膨張用ガスが流入し、内周側押え片55B・55C・55Dが膨張用ガスに押圧されても、各内周側押え片55B・55C・55Dにおける内外を入れ替えるようにして重なり合った左側部位55Bb・55Cb・55Dbや右側部位55Ba・55Ca・55Daの面に、摩擦力が発生し、相互の重ね合わせ状態が容易に解除されないこととなる。そのため、外周側押え片55Aがベルト部58を利用して係止部材23との連結状態を維持された状態で、エアバッグ37が展開膨張する際に、内周側押え片55B・55C・55Dが膨張用ガスに押圧されて排出孔から浮き上がるように移動することを防止できて、排出孔42からの膨張用ガスの漏れを一層抑えることができる。なお、各内周側押え片55B・55C・55Dは可撓性を有した織布から構成されており、この織布に形成されるスリット56により、相互に係合されていることから、外周側押え片55Aが開閉制御装置23との連結状態を解除された状態でエアバッグ37が展開膨張する際には、この内周側押え片55B・55C・55D相互の重ね合わせ状態は、膨張用ガスの押圧力により、容易に解除することができ、排出孔42を支障なく開かせることができる。
【0062】
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、開閉制御装置としての係止部材23を、排出孔42から離れたバッグホルダ12側に配置させている。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、排出孔42が、エアバッグ37の流入用開口40から離れた膨張用ガスの下流側に配置されることとなり、エアバッグ37の膨張完了形状を迅速に確保した状態で、内圧を抑制し易くなる。そして、実施形態のエアバッグ装置では、外周側押え片55Aは、先端58b側を係止部材23に係止されたベルト部58により押えられることとなるが、このベルト部58は、排出孔42の近傍の周縁に形成される挿通孔43Aに貫通するように、配設されている構成である。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、外周側押え片55A側においてエアバッグ37の外周側に配置されるベルト部58が、排出孔42の近傍の周縁に配置される挿通孔43Aに貫通されて、エアバッグ37の内周側に配置されることとなる。そのため、ベルト部58が係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37が展開膨張する際に、このベルト部58におけるエアバッグ内周側に位置する部位58cが、エアバッグ37内に流入する膨張用ガスにより、エアバッグ37を構成する周壁(車体側壁部39)側に押し付けられるような態様となることから、ベルト部58が車体側壁部39から大きく離れるようにたるむことがない。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ベルト部58が係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグが膨張する際にも、外周側押え片55Aをベルト部58の端部58aにより的確に排出孔42周縁に押えることができて、排出孔42からのガス漏れを抑えることができる。
【0063】
なお、このベルト部58は、係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグ37が展開膨張する場合には、外周側押え片55Aの開きに伴って、ループ部59を挿通孔43Bから引き抜くようにしてバッグ本体38内に位置させるような状態となり、このループ部59は、エアバッグ37の膨張に何ら支障を与えることなく、挿通孔43Bから引き抜かれることとなる。
【0064】
実施形態のエアバッグ装置Mでは、フラップ材50の本体布51は、4枚の押え片55A・55B・55C・55Dを備える構成とされているが、押え片の配置数はこれに限られるものではなく、例えば、図13のAに示すフラップ材50´における本体布51´のごとく、3枚の押え片55A´・55B´・55C´を備える構成のものを使用してもよい。図13のAに示す本体布51´は、中央に位置する結合片52´が、一辺を前方側に位置させるような略正三角形状とされ、各押え片55A´・55B´・55C´は、前方側と左右両側とに延びるように形成されている。結合片52´の中央付近には、前述の本体布51と同様に、排出孔42に対応した円形の貫通孔52a´が形成されている。そして、結合片52´は、周縁近傍を全周にわたって、車体側壁部39に縫着されており、この貫通孔52a´の周囲の全周を囲む略正三角形状の結合部位53´の直線状の各辺53a´が、各押え片55A´・55B´・55C´のヒンジ部位を構成することとなる。勿論、結合部位53´における各辺(ヒンジ部位)53a´の長さも、排出孔42の直径より大きい寸法としている。
【0065】
図13のAに示す本体布51´では、各押え片55A´・55B´・55C´のうち、前方側に配設される押え片55A´が、他の押え片55B´・55C´を覆い可能な略四角形状とされて、外周側押え片とされている。外周側押え片55A´には、前述の外周側押え片55Aと同様に、ベルト部58が縫着されている。左右両側に配設される押え片55B´・55C´は、内周側押え片とされるもので、それぞれ、結合片52´と略同一の外形形状を備えた三角形状とされている。そして、各内周側押え片55B´・55C´の後縁側における左右方向の中央付近には、スリット56´が、配設されている。
【0066】
この本体布51´においても、前述の本体布51と同様に、図13のBに示すごとく、まず、内周側押え片55B´をヒンジ部位53a´近傍で排出孔42を覆うように折り返し、次いで、図14のAに示すごとく、内周側押え片55C´をヒンジ部位53a´近傍で折り返して、各押え片55B´・55C´のスリット56´を利用して、内周側押え片55C´の右側部位55Ca´を内周側押え片55B´の左側部位55Bb´の外側に位置させ、内周側押え片55C´の左側部位55Cb´を内周側押え片55B´の右側部位55Ba´の内側に位置させるようにして、内周側押え片55B´・55C´を重ね合わせる。その後、図14のBに示すごとく、外周側押え片55A´を、ヒンジ部位53a´近傍で、排出孔42を塞ぐように折り返し、ベルト部58を挿通孔43Aに貫通させれば、本体布51´により、排出孔42を閉塞させることができる。このような本体布51´を使用した場合にも、各押え片55´が排出孔42を中心として放射状に配設されるとともに、各押え片55´のヒンジ部位53a´が、排出孔42周縁を全周にわたって囲むように形成されることから、閉塞時に、排出孔42を隙間なく塞ぐことができて、排出孔42からのガス漏れを極力抑えることができる。
【0067】
なお、押え片55(55A・55B・55C・55D)・55´(55A´・55B´・55C´)の配置数は、上記に限られるものではなく、直線状のヒンジ部位を備えて、それぞれ、排出孔を塞ぎ可能とされるとともに、ヒンジ部位により排出孔周縁を全周にわたって囲み可能な構成であれば、5枚以上配設させる構成としてもよい。また、実施形態では、フラップ材50・50´が、各押え片55・55´を、結合片52・52´を介して一体的に構成した本体布51・51´から、構成されているが、フラップ材の形状は、勿論これに限られるものではなく、フラップ材として、各押え片を別体として、それぞれ、車体側壁部39に結合させる構成のものを使用してもよい。なお、実施形態のごとく、フラップ材として、結合片を備え、結合片を介して押え片を配設させる場合には、結合片における貫通孔の周縁を全周にわたって縫着させれば、各押え片を車体側壁部に結合させることができ、押え片をそれぞれ別体として車体側壁部にそれぞれ縫着させる場合と比較して、縫合作業工数を低減させることができ、エアバッグの製造工数を低減させることができて、好ましい。
【0068】
また、エアバッグ37Aとして、図15に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ37Aは、排出孔42Aの形状と、フラップ材としての止め片77、そして、ベルト部58Aを挿通させる挿通孔43が排出孔42A近傍のみに配設されている以外は、前述のエアバッグ37と同様の構成であり、同一の部材には図符号の末尾に「A」を付して、説明を省略する。エアバッグ37Aでは、排出孔42Aは、略四角形状に開口して、構成されている。
【0069】
止め片77は、図16・17に示すように、バッグ本体38Aの内周側に配設されて排出孔42Aを塞ぎ可能な本体布部78と、本体布部78に連結されるベルト部58Aと、から構成されている。ベルト部58Aは、前述のエアバッグ37におけるベルト部58と同様の構成であり、同一の部材には図符号の末尾に「A」を付して、説明を省略する。
【0070】
本体布部78は、バッグ本体38Aと同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる可撓性を有した織布から形成されるもので、図16〜18に示すように、内周側に配設される結合片部79と、結合片部79と車体側壁部39Aとの間に配置されて排出孔42Aを塞ぎ可能とする本体部85と、から構成されている。
【0071】
結合片部79は、図16・18・19に示すように、短手方向を略前後方向に沿わせた長方形状とされており、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット79aを備えており、スリット79aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに本体部85側に連結される補助片部80とし、スリット79aの外側の部位を、車体側壁部39A側に結合される結合枠部81として、構成されている。補助片部80は、排出孔42Aの開口時に、本体部85とともに開き可能とされるもので、本体部85の後述するヒンジ部位82a近傍に位置する前端80a側を、開き時のヒンジ部位として、内周面側に、ベルト部58Aの端部58a側を縫着させて、端部58a付近を補強している。なお、実施形態の場合、補助片部80は、外形形状を、排出孔42Aと略同一に設定されて、排出孔42Aと対応する位置に、形成されている。
【0072】
結合枠部81は、後縁側を除いた前縁側と左右両縁側を、全周にわたって、車体側壁部39Aに縫着されて結合されている。実施形態の場合、本体部85は、この結合部位82における前端側の部位82aにおいて、結合枠部81とともに、車体側壁部39Aに共縫いされて結合されることとなり、この前端側部位82aが、本体部85のヒンジ部位を構成することとなる。
【0073】
そして、結合枠部81における後縁側部位が、押え枠材83を、構成することとなる。すなわち、押え枠材83は、ベルト部58Aと直交方向となる左右両縁付近を、結合部位82により、車体側壁部39Aに結合される構成である。そして、押え枠材83の後縁側における左右方向の中央付近には、ベルト部58Aを挿通可能に略長方形状に切り欠かれた凹部83aが、形成されている。
【0074】
本体部85は、実施形態の場合、長手方向を前後方向に略沿わせた長方形板状とされており、前縁85a側を、結合枠部81に形成される結合部位82により、結合枠部92とともに車体側壁部39Aに縫着されて、この前縁85a近傍に位置する結合部位82の前端側部位82aを、ヒンジ部位とするように、構成されている。本体部85は、排出孔42Aの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Aの開口時には、ヒンジ部位82aから排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出可能な大きさに、設定されている。具体的には、本体部85は、左右方向の幅寸法T1を、補助片部80(排出孔42A)の左右方向の幅寸法T2より大きくして、かつ、結合部位82の左右方向の幅寸法T3より小さくするように、設定されている(図19のA参照)。また、本体部85は、図19のAに示すごとく、平らに展開した状態において、ヒンジ部位82aから離れた後縁側を、押え枠材83より後方に突出可能とするように、前後方向の長さ寸法L1を、結合枠部81の前後方向の長さ寸法L2より大きく設定されている(図19のA参照)。すなわち、本体部85は、結合片部79と車体側壁部39Aとの間に配設された状態で、前縁85a側のみを、車体側壁部39Aに結合される構成である。また、本体部85は、補助片部80とともに端部58a側を縫着させたベルト部58Aを、さらに、ヒンジ部位82aから離れた先端側であって押え枠材83と重なる位置において、縫着させている。
【0075】
そして、本体部85は、平らに展開した状態で、図19のAに示すごとく押え枠材83から後方に突出している先端縁部86を、車両搭載時において、図16・17・19のBに示すごとく、押え枠材83の後縁近傍となる位置で折り返して押え枠材83の内周側に載せ、そして、さらに、この折り返した先端縁部86の内周側に、ベルト部58Aを載せるように、配置されることとなる。先端縁部86は、実施形態の場合、前後方向の幅寸法T3を、押え枠材83に形成される凹部83aの前後方向の幅寸法T4と略同一に設定されており(図19のA参照)、先端縁部86は、凹部58Aから突出したベルト部58Aにより、内周側を押えられることとなる。すなわち、本体部85は、折り返して、押え枠材83とベルト部58Aとの間に挟まれる先端縁部86により、排出孔42Aの後縁側の部位を塞ぐような態様となる。そして、ベルト部58Aは、排出孔42A周縁であって、押え枠材83の後方側に形成される挿通孔43Aに貫通されて、図15に示すように、先端58b側(ループ部59A側)を、エアバッグ37Aの外周側に位置させるように、配置されることとなる。
【0076】
エアバッグ本体37Aにおいても、ベルト部58Aの端部58b側に形成されるループ部59Aは、バッグホルダ11の底壁部13に形成される係止部材23に係止される構成であり、ベルト部58Aは、長さ寸法を、ループ部59Aが係止部材23の係止ピン24との係止状態を維持された状態で、エアバッグ37Aが支障なく膨張を完了可能な寸法に、設定されている。そして、本体部85は、ループ部59Aが係止部材23との連結を解除された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、エアバッグ37A内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位82aを回転中心として、排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出するように開くこととなる。このとき、ベルト部58Aは、本体部85の移動に伴って、本体部85近傍に位置する部位58dを、エアバッグ37A外に突出させることとなる。
【0077】
実施形態の本体布部78は、図18に示すように、結合片部79と本体部85とを、左右方向の中央を一致させるようにしてそれぞれ前縁側で連結させたような外形形状を略凸字形状とされた本体布部用基布88から、構成されている。そして、実施形態の止め片77を備えたエアバッグ37Aは、以下のようにして、製造することができる。具体的には、予め結合片部79の部位にスリット79aを形成しておいた本体布部用基布88を、結合片部79と本体部85との前縁側となる部位において、左右方向に沿った折目C1(図18参照)により折り返して、補助片部80と本体部85とにベルト部58Aの端部58a付近を縫着させておく。その後、本体布部用基布88を、結合片部79が内周側に位置するように、車体側壁部38Aの内表面側に配置させて、結合部位82の部位で、車体側壁部38Aに縫着させる(図19のA参照)。そして、押え枠材83から後方に突出している先端縁部86を、押え枠材83の後縁近傍となる位置で折り返して、図16・17・19のBに示すごとく、押え枠材83とベルト部58Aとの間に挟むように、押え枠材83の内周側に載せ、ベルト部58Aを、車体側壁部39Aに形成される挿通孔43Aに貫通させておく。その後、前述のバッグ本体38と同様に、所定箇所を縫着させれば、エアバッグ37Aを製造することができる。
【0078】
上記構成のエアバッグ37Aを使用したエアバッグ装置では、フラップ材としての止め片77の本体部85が、エアバッグ37Aの内周側に配置されるとともに、排出孔42Aの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに、設定されている。すなわち、上記構成のエアバッグ37Aを用いたエアバッグ装置において、止め片77が開閉制御装置としての係止部材23への連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、本体部85により、排出孔42Aを隙間なく塞ぐことができ、かつ、排出孔42Aからのガス漏れも防止することができる。また、上記構成のエアバッグ装置では、止め片部77の本体部85と、係止部材23とが、離れて配置されることとなるが、本体部85の先端側に配置されるベルト部58Aが、排出孔42Aの近傍の周縁に配設される挿通孔43Aに貫通されるように、配設されている構成である。すなわち、本体部85側においてエアバッグ37Aの内周側に配置されるベルト部58Aが、排出孔42Aの近傍の周縁で貫通されて、エアバッグ37Aの外周側に配置されることとなる。そのため、係止部材23との連結状態を維持された状態でのベルト部58Aを、排出孔42Aの近傍の周縁で、エアバッグ37Aを構成する周壁39Aによって押えることができる。換言すれば、ベルト部58Aは、挿通孔43Aよりも端部58b側となって、エアバッグ37Aの外周側に位置する部位58dを、車体側壁部39Aにより押えられることとなる。その結果、ベルト部58Aが係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが膨張する際にも、ベルト部58Aが排出孔42Aから浮き上がるように移動することを抑えることができて、本体部85により排出孔42Aを的確に塞ぐことができ、排出孔42Aからのガス漏れを抑えることができる。
【0079】
また、上記構成のエアバッグ37Aにおいて、止め片77の本体部85は、排出孔42Aの開口時には、ヒンジ部位82aから排出孔42Aを挿通してエアバッグ37A外に突出可能な大きさに、設定されている。そのため、係止部材23との連結状態が解除された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、本体部85は、エアバッグ37A内に流入した膨張用ガスGによって、押圧されて、図20に示すごとく、ヒンジ部位82aを中心として、排出孔42Aからエアバッグ37A外に突出するように開くこととなって、排出孔42Aが開口することとなる。また、このとき、ベルト部58Aは、本体部85近傍の部位58dを、本体部85とともにエアバッグ37A外に突出させるように移動することとなり、本体部85を、エアバッグ37A外に支障なく突出させることができる。すなわち、上記構成のエアバッグ37Aを使用した場合にも、係止部材23との連結状態を解除すれば、本体部85が、膨張用ガスに押圧されて自然に開くことから、排出孔42Aを安定して開口させることができる。
【0080】
したがって、上記構成のエアバッグ37Aを使用したエアバッグ装置においても、排出孔42Aの開閉を安定して確保することが可能である。
【0081】
また、上記構成のエアバッグ37Aでは、止め片77が、本体部85におけるヒンジ部位82aから離れた先端側を、押え枠材83の内周側に載せるように折り返した先端縁部86により塞いだ状態で、エアバッグ37Aが収納されることとなる。そして、この折り返した先端縁部86は、ベルト部58Aと押え枠材83との間に挟まれるような態様となることから、係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際には、ベルト部58Aにより押えられて、先端縁部86の折り返した状態が維持されることとなる。そのため、係止部材23との連結状態を維持された状態でエアバッグ37Aが展開膨張する際に、本体部85における先端縁部86からヒンジ部位82a側に延びる両側縁(左右両縁)85b・85c(図18・19B参照)が、排出孔42A側に部分的にめくれることが防止されて、安定したシート状で排出孔42Aを塞ぐことができ、排出孔42Aからのガス漏れを一層抑えることが可能となる。
【0082】
なお、このような点を考慮しなければ、図21・22に示す構成の本体布部91を備えた止め片90を、使用してもよい。本体布部91は、図21のBに示すごとく、結合片部92と、結合片部92と略同一形状の本体部側部位95と、を備える略長方形状の本体布部用基布99から構成されており、図21のA・22に示すごとく、結合片部92を、本体側部位95の内周側に位置させるようにして、車体側壁部39Bの内周側に配設されることとなる。
【0083】
結合片部92は、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット92aを備えており、スリット92aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに後述する本体部96側に連結される補助片部93とし、スリット79aの外側の部位を、車体側壁部39B側に結合される結合枠部94として、構成されている。補助片部93は、外形形状を車体側壁部39Bに形成される排出孔42Bと同一に設定されて、排出孔42Bと対応する位置に、配設されることとなる。
【0084】
本体部側部位95は、中央付近に、前側を除いた左右両側と後端とに連続的に形成される略コ字形状のスリット95aを備えており、スリット95aの内側の部位を、本体部96とし、スリット95aの外側の部位を車体側壁部39Bに結合される結合枠部97として、構成されることとなる。本体部96は、排出孔42Bの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Bの開口時には、後述するヒンジ部98aから排出孔42Bを挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。具体的には、本体部96は、前後・左右方向の幅寸法を、補助片部93(排出孔42B)の前後・左右方向の幅寸法より大きくするように、設定されている。そして、ベルト部58Aは、前述の本体布部78と同様に、端部58a側で補助片部93と本体部96とに縫着され、端部58aから離れた中間部位で本体部96に縫着されることとなる。
【0085】
そして、実施形態の本体布部91では、本体布部用基布99を、結合片部92と本体部側部位92との前縁側となる部位に形成される折目C2(図21のB参照)で折り返し、結合枠部92・97が、内外で重ねられた状態で、結合枠部92・97の周縁を、後端側に配設されるベルト部58Aを挿通させるための隙間98b以外の部位を全周にわたって車体側壁部39Bに縫着されることとなり、この結合部位98における前端側の部位98aが、本体部96のヒンジ部位を構成することとなる。
【0086】
このような構成の本体布部91を備えた止め片90では、本体部96におけるヒンジ部位98aから離れた先端側が折り返されず、この部分が塞がれない状態となるが、本体部96が、排出孔42Bの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに設定されていることから、ベルト部58Aが係止部材23に係止された状態でエアバッグが展開膨張する場合にも、本体部96により排出孔42Bを的確に塞ぐことができ、排出孔42Bからのガス漏れを抑えることができる。勿論、ベルト部58Aが係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する場合には、本体部96は、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位98aを回転中心として、排出孔42Bを挿通してエアバッグ外に突出するように開くこととなり、排出孔42Bが円滑に開口されることとなる。
【0087】
さらに、車体側壁部39Cに形成される排出孔42Cを略直角三角形状として、図23・24に示す構成の本体布部102を備えた止め片101を、使用してもよい。排出孔42Cは、図23のAに示すごとく、斜辺側を左右方向に沿わせて前方に位置させるように、形成されている。本体布部102は、図23のBに示すように、略直角三角形状の結合片部103と本体部107とを斜辺側で結合させたような略四角形状の本体布部用基布109から構成されており、図23のA・24に示すごとく、結合片部103が、本体布102の内周側に位置するように、配設されることとなる。
【0088】
結合片部103は、略直角三角板形状とされて、斜辺側を左右方向に沿わせて前方に位置させるように、配設されている。結合片部103は、前側を除いて連続的に形成される略L字形状のスリット103aを備えており、スリット103aの内側の部位を、ベルト部58Aとともに後述する本体部96側に連結されて排出孔42Cと対応した形状とされる補助片部104とし、スリット103aの外側の部位を、車体側壁部39C側に結合される結合枠部105として、構成されている。結合枠部105は、後端側の一部を除いた周縁を、全周にわたって、車体側壁部39Cに縫着されて結合されている。そして、本体部107は、この結合部位106における前端側の部位106aにおいて、結合枠部105とともに、車体側壁部39Cに共縫いされて結合されることとなり、この前端側部位106aが、本体部107のヒンジ部位を構成することとなる。
【0089】
本体部107は、斜辺(ヒンジ部106a)を前端側に位置させるような略直角三角形状とされ、排出孔42Cの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさであって、かつ、排出孔42Cの開口時には、ヒンジ部106aから排出孔42Cを挿通してエアバッグ外に突出可能な大きさに、設定されている。また、本体部107は、前縁側のみを結合枠部105とともに縫着されるように、本体布部用基布109を結合片部103と本体部107との前縁側となる部位に形成される折目C3(図23のB参照)で折り返した際に、前縁側を除いた周縁を、結合部位106より内側に位置させるように、構成されている。そして、ベルト部58Aは、前述の本体布部78・91と同様に、端部58a側で補助片部103と本体部107とに縫着され、端部58aから離れた中間部位で本体部107に縫着されることとなる。
【0090】
このような構成の本体布部102を備えた止め片101においても、本体部107におけるヒンジ部位106aから離れた先端側が折り返されず、この部分が塞がれない状態となるが、本体布部102においても、本体部107が、排出孔42Cの塞ぎ時にガス漏れ防止可能な大きさに設定されていることから、ベルト部58Aが係止部材23に係止された状態でエアバッグが展開膨張する場合にも、本体部107により排出孔42Cを的確に塞ぐことができ、排出孔42Cからのガス漏れを抑えることができる。勿論、ベルト部58Aが係止部材23との係止状態を解除された状態でエアバッグが展開膨張する場合には、本体部107は、エアバッグ内に流入する膨張用ガスにより押されて、ヒンジ部位106aを回転中心として、排出孔42Cを挿通してエアバッグ外に突出するように開くこととなり、排出孔42Cが円滑に開口されることとなる。
【0091】
なお、実施形態の本体布部78・91・102では、結合片部79・92・103に、ベルト部58Aにより本体部85・96・107に連結されて、ベルト部58Aの端部58a付近の連結強度を上げる補助片部80・93・104が形成されているが、この補助片部80・93・104を配設させず、この部位を切り欠くように、結合片部を構成し、本体部85・96・107のみにベルト部58Aを連結させる構成としてもよい。
【0092】
また、実施形態のエアバッグ37では、排出孔42のみから膨張用ガスを排出させる構成であるが、エアバッグを、通常のステアリングホイール用エアバッグ装置のごとく、別途、急激な膨張用ガスの流入による破損防止のために、常時開口するように構成される膨張用ガスを排出可能なベントホールを設けるように、構成してもよい。
【0093】
さらに、実施形態では、エアバッグ装置として、ステアリングホイール用のエアバッグ装置を例に採り説明しているが、本発明を適用可能なエアバッグ装置はこれに限られるものではなく、例えば、助手席用のエアバッグ装置にも、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイール用エアバッグ装置を搭載した車両のステアリングホイール付近を示す概略図である。
【図2】同実施形態のエアバッグ装置が使用されるステアリングホイールの平面図である。
【図3】同実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
【図4】同実施形態のステアリングホイールの概略断面図であり、図2のIV−IV部位に対応する。
【図5】同実施形態のエアバッグ装置において、係止部材の部位付近を示す部分拡大概略断面図であり、図3のV−V部位に対応する図である。
【図6】同実施形態のエアバッグ装置に使用されるエアバッグの底面図である。
【図7】同実施形態のエアバッグの製造時における構成部材を示す概略分解斜視図である。
【図8】同実施形態のエアバッグの概略断面図である。
【図9】同実施形態のエアバッグに使用されるフラップ材の展開図である。
【図10】同実施形態のエアバッグにおいて、フラップ材により排出孔を閉塞する工程を示すエアバッグ外周側から見た概略斜視図である。
【図11】同実施形態のエアバッグにおいて、フラップ材により排出孔を閉塞する工程を示す概略斜視図であり、図10の後の工程を示す。
【図12】同実施形態のエアバッグの膨張完了状態を示す概略断面図である。
【図13】フラップ材の変形例を示すとともに、このフラップ材により排出孔を閉塞する工程を示すエアバッグ外周側から見た概略図である。
【図14】図13のフラップ材により排出孔を閉塞する工程を示す概略図であり、図13の後の工程を示す。
【図15】他の実施形態のエアバッグを示す底面図である。
【図16】図15のエアバッグにおける止め片の部位を示すエアバッグ内周側から見た概略斜視図である。
【図17】図15のエアバッグにおける止め片の部位の概略断面図であり、図16のXVII−XVII部位に対応する図である。
【図18】図15のエアバッグに使用される止め片を構成する本体布部の展開図である。
【図19】図15のエアバッグにおける止め片の部位の平面図であり、先端縁部の折り返し前と折り返し後との状態を示す図である。
【図20】図15のエアバッグにおいて、係止部材が解除されて排出孔が開いた状態を示す部分拡大断面図である。
【図21】他の形態の止め片を示す図であり、止め片の部位の平面図、及び、止め片における本体布部用基布の展開図である。
【図22】図21の止め片を使用したエアバッグにおける止め片の部位の概略分解斜視図である。
【図23】さらに他の形態の止め片を示す図であり、止め片の部位の平面図、及び、止め片における本体布部用基布の展開図である。
【図24】図23の止め片を使用したエアバッグにおける止め片の部位の概略分解斜視図である。
【符号の説明】
【0095】
8…インフレーター、
23…係止部材(開閉制御装置)、
24…係止ピン、
25…アクチュエータ、
37・37A…エアバッグ、
39・39A・39B・39C…車体側壁部、
40…流入用開口、
42・42A・42B・42C…排出孔、
43A・43B…挿通孔、
45…乗員側壁部、
50・77・90・101…フラップ材(止め片)、
53・82・98・106…結合部位、
53a・82a・98a・106a…ヒンジ部位、
55…押え片、
55A…外周側押え片、
55B・55C・55D…内周側押え片、
56…スリット、
58・58A…ベルト部、
59・59A…ループ部、
85・96・107…本体部、
86…先端縁部、
W…ステアリングホイール、
M…ステアリングホイール用エアバッグ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
前記エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、前記排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
該フラップ材との連結状態の維持時、前記フラップ材が前記排出孔の塞ぎ状態を維持し、前記フラップ材との連結状態の解除時、前記フラップ材が、前記排出孔を開口させるように、前記フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記フラップ材が、前記エアバッグの外周側における前記排出孔の周縁に結合されて、それぞれ、前記排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状の複数の押え片から構成され、
複数の前記押え片が、前記エアバッグとの結合部位を、前記排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させて、前記排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されるとともに、相互に平らに重なり合って前記排出孔を塞ぎ可能に、配設され、
前記押え片の内の前記排出孔の塞ぎ時の最も外周側に位置する外周側押え片が、該外周側押え片の前記ヒンジ部位から離れた先端側を、前記開閉制御装置に連結させていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記押え片が、少なくとも3枚以上配設され、
前記外周側押え片の内周側に配設される内周側押え片のうちの少なくとも一つが、該内周側押え片の内周側から外周側、若しくは、外周側から内周側に、他の内周側押え片を挿通させて、前記内周側押え片相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリットを、備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記開閉制御装置が、前記エアバッグの膨張用ガスの流入用開口の近傍に配置され、
前記排出孔が、前記流入用開口から離れた位置に配置され、
前記外周側押え片の前記ヒンジ部位から離れた先端側が、前記排出孔の近傍の周縁を貫通するベルト部として、前記開閉制御装置に連結されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
前記エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、前記排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
該フラップ材との連結状態の維持時、前記フラップ材が前記排出孔の塞ぎ状態を維持し、前記フラップ材との連結状態の解除時、前記フラップ材が、前記排出孔を開口させるように、前記フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記フラップ材が、前記エアバッグの内周側における前記排出孔の周縁に結合される可撓性を有したシート状の止め片から構成され、
該止め片が、
前記エアバッグとの結合部位を、前記排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させるとともに、前記排出孔を塞ぎ可能な本体部と、前記ヒンジ部位から離れた先端側に配置されて、前記排出孔の近傍の周縁を貫通して、前記開閉制御装置に連結されるベルト部と、を備え、
前記本体部が、前記排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能とし、かつ、前記排出孔の開口時に前記ヒンジ部位から前記排出孔を挿通して前記エアバッグ外に突出可能な大きさに、設定され、
前記ベルト部の少なくとも前記本体部近傍の部位が、前記排出孔の開口時に前記排出孔を挿通して前記エアバッグ外に突出可能に、前記エアバッグにおける前記排出孔の近傍の周縁を貫通していることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項5】
前記止め片が、前記本体部における前記ヒンジ部位から離れた先端側に、前記ベルト部と直交するように両側に延びて、前記ベルト部の外周側に配置される先端縁部を備え、
前記エアバッグの内周側に、前記本体部の内周側における前記先端縁部の前記ヒンジ部位側を覆って、前記ベルト部と直交方向の両縁付近を前記エアバッグの内周面側に結合させる可撓性を有したシート状とし、さらに、前記ベルト部における前記本体部側近傍を挿通可能な凹部を周縁に備えた押え枠材が、配設され、
前記止め片が、前記エアバッグの折り畳み収納時、前記押え枠材の内周側に、前記本体部の先端縁部を折り返して載せ、前記ベルト部を、前記折り返した前記先端縁部の内周側に載せて、前記エアバッグが収納されていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
前記エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、前記排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
該フラップ材との連結状態の維持時、前記フラップ材が前記排出孔の塞ぎ状態を維持し、前記フラップ材との連結状態の解除時、前記フラップ材が、前記排出孔を開口させるように、前記フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記フラップ材が、前記エアバッグの外周側における前記排出孔の周縁に結合されて、それぞれ、前記排出孔を閉塞可能な形状の可撓性を有したシート状の複数の押え片から構成され、
複数の前記押え片が、前記エアバッグとの結合部位を、前記排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させて、前記排出孔の周囲の全周を囲むように、ずらして、配設されるとともに、相互に平らに重なり合って前記排出孔を塞ぎ可能に、配設され、
前記押え片の内の前記排出孔の塞ぎ時の最も外周側に位置する外周側押え片が、該外周側押え片の前記ヒンジ部位から離れた先端側を、前記開閉制御装置に連結させていることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記押え片が、少なくとも3枚以上配設され、
前記外周側押え片の内周側に配設される内周側押え片のうちの少なくとも一つが、該内周側押え片の内周側から外周側、若しくは、外周側から内周側に、他の内周側押え片を挿通させて、前記内周側押え片相互の重なり合いの一部の内外を入れ替え可能とするスリットを、備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記開閉制御装置が、前記エアバッグの膨張用ガスの流入用開口の近傍に配置され、
前記排出孔が、前記流入用開口から離れた位置に配置され、
前記外周側押え片の前記ヒンジ部位から離れた先端側が、前記排出孔の近傍の周縁を貫通するベルト部として、前記開閉制御装置に連結されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
膨張用ガスを流入させて、収納時の折り畳み状態から膨張するとともに、開口時に流入させた膨張用ガスの一部を排出させて、膨張時の内圧を抑制可能とする排出孔を有したエアバッグと、
前記エアバッグの排出孔の周縁に結合されて、前記排出孔を開口若しくは塞ぎ可能とするフラップ材と、
該フラップ材との連結状態の維持時、前記フラップ材が前記排出孔の塞ぎ状態を維持し、前記フラップ材との連結状態の解除時、前記フラップ材が、前記排出孔を開口させるように、前記フラップ材に連結される開閉制御装置と、
を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
前記フラップ材が、前記エアバッグの内周側における前記排出孔の周縁に結合される可撓性を有したシート状の止め片から構成され、
該止め片が、
前記エアバッグとの結合部位を、前記排出孔の開口時に開く際のヒンジ部位として略直線状に配設させるとともに、前記排出孔を塞ぎ可能な本体部と、前記ヒンジ部位から離れた先端側に配置されて、前記排出孔の近傍の周縁を貫通して、前記開閉制御装置に連結されるベルト部と、を備え、
前記本体部が、前記排出孔の塞ぎ時にガス漏れ防止可能とし、かつ、前記排出孔の開口時に前記ヒンジ部位から前記排出孔を挿通して前記エアバッグ外に突出可能な大きさに、設定され、
前記ベルト部の少なくとも前記本体部近傍の部位が、前記排出孔の開口時に前記排出孔を挿通して前記エアバッグ外に突出可能に、前記エアバッグにおける前記排出孔の近傍の周縁を貫通していることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項5】
前記止め片が、前記本体部における前記ヒンジ部位から離れた先端側に、前記ベルト部と直交するように両側に延びて、前記ベルト部の外周側に配置される先端縁部を備え、
前記エアバッグの内周側に、前記本体部の内周側における前記先端縁部の前記ヒンジ部位側を覆って、前記ベルト部と直交方向の両縁付近を前記エアバッグの内周面側に結合させる可撓性を有したシート状とし、さらに、前記ベルト部における前記本体部側近傍を挿通可能な凹部を周縁に備えた押え枠材が、配設され、
前記止め片が、前記エアバッグの折り畳み収納時、前記押え枠材の内周側に、前記本体部の先端縁部を折り返して載せ、前記ベルト部を、前記折り返した前記先端縁部の内周側に載せて、前記エアバッグが収納されていることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−145181(P2007−145181A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342497(P2005−342497)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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