説明

エアバッグ

【課題】 耐熱性の縫製糸を使用せずに耐熱性を向上させたエアバッグを提供する。
【解決手段】 車両の衝突時インフレータから噴出される高圧ガスにより膨張展開されるエアバッグ本体1と、エアバッグ本体1内に設けられ、かつ一端がエアバッグ本体1の乗員拘束面2bの内面に縫着され、他端はインフレータが接続されたガス導入口10の近傍に固定されて、エアバッグ本体1の展開形状を規制するテザーベルト15とを備えたエアバッグの乗員拘束面2bの内面とテザーベルト15の一端を縫着する縫着部15dに、エアバッグ本体1内に導入された高圧ガスが縫着部15dに当たるのを防止する遮蔽部材20を設けたもので、テザーベルト15とエアバッグ本体1の乗員拘束面2bを縫着する縫着部15dに高温、高圧ガスが直接当たるのを遮蔽部材20が遮蔽するため、耐熱性の縫製糸を使用せずにエアバッグ本体1の耐熱性を向上させることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護するエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来自動車等の車両には、車両が衝突した際の衝撃から乗員を保護するため、例えばステアリングホイールの中央部や、助手席前方のインストルメントパネル内等にエアバッグが設置されている。
【0003】
前記エアバッグは、ポリアミド系合成高分子材(商品名:ナイロン)等の織布を裁断することにより形成された複数の基布パネルを縫製することにより、袋状のエアバッグ本体が形成されていて、車両が衝突した際インフレータから噴出される高圧ガスによりエアバッグ本体を瞬時に膨張展開させることにより、衝突時の衝撃をエアバッグ本体が吸収するようになっている。
【0004】
また前記エアバッグは、設置する場所によって形状が異なるが、通常複数枚の基布パネルを縫製することにより袋状のエアバッグ本体が形成されており、エアバッグ本体が膨張展開される際、所定の方向へ所定の形状で展開されるよう図8ないし図10に示すように、エアバッグ本体a内にテザーベルトbが設けられたエアバッグや、例えば特許文献1等に記載されたエアバッグが公知である。
【0005】
図8ないし図10に示すエアバッグは、上下2枚の基布パネルb、cを袋状に縫製することによりエアバッグ本体aが形成されており、下側の基布パネルcには、図示しないインフレータより噴出された高圧ガスをエアバッグ本体a内に導入するガス導入口(図示せず)が開口されている。
【0006】
上側の基布パネルbには、ガスを排出するベントホールeが開口されていると共に、エアバッグ本体a内には、テザーベルトfが設けられていて、テザーベルトfの一端は、エアバッグ本体aの乗員拘束面gに縫着され、テザーベルトfの他端は、ガス導入口の近傍に縫着されている。
【0007】
また前記特許文献1に記載の車両用エアバッグ装置は、時間差で動作する第1、第2インフレータを備えていて、第1インフレータに対し遅れて動作する第2インフレータの外筒に、テザーベルトの一端が係止され、テザーベルトの他端は、エアバッグの乗員拘束面の内側に縫着されている。
【0008】
一方近年では、様々な衝突に対してもエアバッグが有効に機能するように、高出力のインフレータが採用されるようになっている。
【0009】
高出力のインフレータは、噴出孔より高温、高圧ガスを瞬時に噴出することから、噴出孔に取り付けられたエアバッグの取り付け部付近を強化するため、例えば特許文献2に記載されているように、エアバッグのインフレータ取り付け用開口部に補強布を縫着する際、縫製用の上糸と下糸に耐熱性を有するアラミド系繊維からなる縫製糸を用いており、これによってアラミド縫製糸がインフレータより噴出される高温、高圧ガスに耐えるため、高出力のインフレータに対応したエアバッグが得られる上、エアバッグの内面側には、アラミド製上糸のみが露出し、下糸はエアバッグの外側のみに位置することから、補強布の縫製に保護層を設けなくとも、高温のインフレータガスに十分に耐える高性能のエアバッグを得ている。
【特許文献1】特開2000−71911号公報
【特許文献2】特開平8−225048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし図8ないし図10に示す従来のエアバッグや、前記特許文献1に記載のエアバッグでは、図9に示すようにインフレータよりエアバッグ本体a内に噴出された高圧ガスは、エアバッグ本体a内を矢印hに示すように旋回しながらエアバッグ本体aを所定形状に膨張展開させるため、エアバッグ本体aの乗員拘束面gの内面に一端が縫着されたテザーベルトfの縫着部iに高温、高圧ガスが集中的に当たることになる。
【0011】
しかし乗員拘束面gとテザーベルトfとの縫着部iには、エアバッグ本体aの膨張力と、エアバッグ本体aの展開形状を規制する抑制力(張力)が同時に作用するため、エアバッグ本体aの中でも最も強度が弱い最弱部分となるので、補強布追加、基布の厚さ及び縫製糸の太さ、基布裁断形状等調整する必要がある。
【0012】
そこで特許文献2に記載されているように、基布パネルb、cとテザーベルトfの端部を縫着している縫製糸jに、耐熱性を有するアラミド縫製糸jを使用すれば、縫製糸jが熱によって破断される可能性は少なくなるが、基布パネルb、cとテザーベルトfとの縫着部iにのみ耐熱性を有する縫製糸jを使用した場合、次のような課題がある。
【0013】
エアバッグ本体aは、複数枚の基布パネルb、cを袋状に縫製することにより形成されていることは前述したが、基布パネルb、cを縫製する際、一部例えば基布パネルbとテザーベルトfとの縫着部iのみを耐熱性を有する縫製糸jで縫製した場合、縫製時、縫製糸jの交換を頻繁に行わなければならないため、縫製に手間がかかると共に、この手間を少なくするためエアバッグ本体a全体を耐熱性の縫製糸jで縫製した場合、エアバッグ本体aのコストが高くなる。
【0014】
また基布パネルb、cとテザーベルトfとの縫着部iを耐熱性を有する縫製糸jで縫製した場合でも、縫着部iに過大な張力が作用すると、図10に示すように基布パネルbとテザーベルトfを縫着している縫製糸iの針孔kが開くおそれがある。
【0015】
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、耐熱性の縫製糸を使用せずに耐熱性を向上させたエアバッグを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のエアバッグは、車両の衝突時インフレータから噴出される高圧ガスにより膨張展開されるエアバッグ本体と、エアバッグ本体内に設けられ、かつ一端がエアバッグ本体の乗員拘束面の内面に縫着され、他端はインフレータが接続されたガス導入口の近傍に固定されて、エアバッグ本体の展開形状を規制するテザーベルトとを備えたエアバッグであって、乗員拘束面の内面とテザーベルトの一端を縫着する縫着部に、エアバッグ本体内に導入された高圧ガスが縫着部に当たるのを防止する遮蔽部材を設けたものである。
【0017】
前記構成により、テザーベルトとエアバッグ本体の乗員拘束面を縫着する縫着部に高温、高圧ガスが直接当たるのを遮蔽部材が遮蔽するため、高出力のインフレータを使用する場合でも、耐熱性の縫製糸を使用せずにエアバッグ本体の耐熱性を向上させることができるようになる。
【0018】
また通常の縫製糸を使用してエアバッグ本体や補強布、テザーベルト等を縫製することができるため、エアバッグ本体の縫製時、縫製糸の交換を頻繁に行う必要がなくなり、これによって部分的に耐熱性の糸を使用してエアバッグ本体を縫製する場合に比べて、縫製にかかる手間を大幅に削減できる共に、耐熱性の縫製糸を使用する必要がないので、エアバッグ本体の製造コストを低減することもできる。
【0019】
本発明のエアバッグは、遮蔽部材を、エアバッグ本体を形成する上側基布パネルの内面に沿って設けると共に、遮蔽部材の一端を、乗員拘束面の内面とテザーベルトの縫着部との間に設けた補強布に、また他端をガス導入口の周囲に設けた補強布にそれぞれ接続したものである。
【0020】
前記構成により、遮蔽部材の取り付けにテザーベルトの縫着部を強化する補強布や、ガス導入口の周囲を強化する補強布が利用できるため、別部品を使用せずに遮蔽部材の取り付けが行えるようになり、これによって部品点数の削減や、部品コストの削減が図れるようになる。
【0021】
本発明のエアバッグは、遮蔽部材を、エアバッグ本体を形成する上側基布パネルの内面に沿って設けられた補強布より延設し、かつ先端部に庇状の遮蔽部を形成すると共に、遮蔽部の先端を、乗員拘束面の内面とテザーベルトの縫着部との間に設けた補強布の上縁部に縫着したものである。
【0022】
前記構成により、上側基布パネルの内面に沿って設けられた補強布がインフレータより噴出される高温、高圧ガスより上側基布パネルを保護すると同時に、上側基布パネルの内面に沿って旋回する高温、高圧ガスを庇状の遮蔽部がエアバッグ本体の中心方向へ案内するため、エアバッグ本体の耐熱性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明のエアバッグによれば、テザーベルトとエアバッグ本体の乗員拘束面を縫着する縫着部に高温、高圧ガスが直接当たるのを遮蔽部材が遮蔽するため、耐熱性の縫製糸を使用せずにエアバッグ本体の耐熱性を向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
【0025】
図1はエアバッグ本体の乗員拘束面側の斜視図、図2はエアバッグ本体の前部側の斜視図、図3はエアバッグ本体の縦断面図、図4は図3のA方向からの矢視図、図5はエアバッグ本体を形成する上側基布パネルの展開図、図6は同下側基布パネルの展開図、図7はエアバッグ本体が膨張展開する際の作用説明図である。
【0026】
図1ないし図3に示すエアバッグ本体1は、図5及び図6に示す2枚の上下基布パネル2,3を袋状に縫製することにより形成されている。
【0027】
図5に示す上側基布パネル2は、エアバッグ本体1が膨張した際に上側となるもので、例えば315デニール、62本/インチのポリアミド系高分子材(商品名:ナイロン)からなる織布を裁断することにより、頂部が円弧状となったほぼ正三角形状の主部2aと、主部2aの底辺中央に連設された乗員拘束面2bとが形成されている。
【0028】
主部2aには、頂部から両側縁2cのほぼ3分の2付近まで重なるように、上側基布パネル2と同材質の補強布4が重ねて設けられており、補強布4の底辺4aに寄った位置に、底辺4aに沿って複数個、例えば2個のベントホール5が開口されている。
【0029】
ベントホール5は主部2a側にも開口されていて、ベントホール5の周囲を縫い糸6により縫製することにより、主部2aと補強布4が縫着され、補強布4の底辺4aも縫い糸6により主部2aに縫着されている。
【0030】
主部2aの底辺2cは、ベントホール5を中心とする円弧により形成されていて、主部2aの底辺2cとほぼ同曲率の円弧により形成された乗員拘束面2bの両側縁2dと主部2aの底辺2cが縫い糸7により縫着されるようになっており、乗員拘束面2bの底辺2eは、ほぼ直線状となっている。
【0031】
図6に示す下側基布パネル3は、エアバッグ本体1が膨張展開された際に下側となるもので、上側基布パネル2と同仕様のナイロン(商品名)により上側基布パネル2とほぼ同形状に形成されている。
【0032】
すなわち頂部が円弧状に形成されたほぼ正三角形状の主部3aと、主部3aの底辺中央部に連設された乗員拘束面3bとから形成されている。
【0033】
主部3aには、頂部から両側縁3cのほぼ3分の2付近まで重なるように、下側基布パネル3と同材質の補強布8が設けられており、主部3aの頂部付近には、ガス導入口10が開口されている。
【0034】
ガス導入口10は、車両が衝突した際、図示しないインフレータより噴出される高圧ガスをエアバッグ本体1内へ導入するためのもので、例えば高出力のデュアルインフレータに応対するよう、インフレータのガス噴出口とほぼ同形状のほぼ8の字形に形成されている。
【0035】
ガス導入口10の周辺には、高出力のインフレータより噴出される高温、高圧ガスにも耐えるように、図3に示すように下側基布パネル3を挟んで複数枚の補強布11が重ねられた状態で設けられている。
【0036】
そしてこれら補強布11と下側基布パネル3は、ガス導入口10の周囲を複数重に縫製する縫い糸12により縫着されている。
【0037】
主部3aの底辺3cは、上側基布パネル2の主部2aの底辺2cとほぼ同曲率の円弧により形成されていて、これら底辺3cと同曲率の円弧により形成された乗員拘束面3bの両側縁3dと主部3aの底辺3cが縫い糸13により縫着されるようになっており、乗員拘束面3bの底辺3eは、ほぼ直線状となっている。
【0038】
一方エアバッグ本体1内には、エアバッグ本体1の展開方向や展開形状を規制するテザーベルト15が設けられている。
【0039】
テザーベルト15は、上下基布パネル2,3と同材質の織布により形成されていて、図3に示すように取り付け部15aと展開部15bとからなる。
【0040】
取り付け部15aは、ガス導入口10の周辺部に縫着された複数枚の補強布11のうち、最も内側に位置する2枚の補強布11の外周縁から舌状に延設されていて、この取り付け部15aに、中間部に縫着部15dを有する帯状展開部15bの両端部が縫い糸16により縫着されている。
【0041】
テザーベルト15の取り付け部15aから展開部15bの縫着部15dまでの長さは、エアバッグ本体1が膨張展開された際、エアバッグ本体1の乗員拘束部2b、3bが乗員側へ突出する突出量が所定寸法となるように規制できる長さに設定されていて、縫着部15dは、上側基布パネル2の乗員拘束面2dの内面に、補強布17を介して縫い糸18により縫着されている。
【0042】
補強布17は、上下基布パネル2,3と同材質織布により縫着部15dよりやや大きい長方形状に形成されていて、乗員拘束面2bとテザーベルト15の縫着部15dとを縫着する縫い糸18により図5に示すように枠状に縫製されており、補強布17の上縁部17aに遮蔽部材20の先端が縫着されている。
【0043】
遮蔽部材20は、高出力のインフレータよりエアバッグ本体1内へ噴出された高温、高圧ガスが、テザーベルト15の縫着部15dを上側基布パネル2に縫着している縫い糸18に直接当たるのを防止するためのもので、上側基布パネル2の内面に沿って設けられた補強布4の底辺4a中央部より帯状に延設されており、テザーベルと15より幅広に形成されている。
【0044】
また遮蔽部材20の他端側は、テザーベルト15の縫着部15dに上方から達していて、先端部が図4に示すようにテザーベルト15の取り付け部15a側へ折り返されることにより、庇状の遮蔽部20aが形成されており、この遮蔽部20aと補強布17の上縁部17aが図7に示すように縫い糸21により縫着されている。
【0045】
これによって遮蔽部材20の折り返し部20aにより、テザーベルト15の縫着部15dと上側基布パネル2を縫着する縫い糸18が、遮蔽部20aにより覆われるようになっている。
【0046】
次に前記構成されたエアバッグの作用を説明する。
【0047】
2枚の基布パネル2,3を縫製してエアバッグ本体1を製作するに当たっては、まず上側基布パネル2の主部2aに補強布4を重ねた状態でベントホール5の周囲を縫製して、ベントホール5の周囲を補強すると同時に、補強布4の底辺4aを上側基布パネル2に縫着する。
【0048】
また下側基布パネル3の主部3aに補強布8を重ね、さらにガス導入口10の周辺にも複数枚の補強布11を重ねた状態でガス導入口10の周囲を縫製して、ガス導入口10の周囲を補強すると同時に、補強布8の底辺8aを下側基布パネル3に縫着する。
【0049】
以上のようにして上下基布パネル2,3に補強布4,8,11を縫着したら、テザーベルト15の縫着部15dを、補強布17を介してエアバッグ本体1の乗員拘束面2bの内面(縫製時は外面)に縫着し、テザーベルト15の展開部15b両端を補強布11より延設された取り付け部15aに縫着して、テザーベルト15の取り付けを完了する。
【0050】
次に上下基布パネル2,3を重ねた状態で、上下基布パネル2,3の頂部と主部2a,3aの両側縁同士を縫い糸9により縫着したら、上側基布パネル2の主部2aの底辺2cと乗員拘束面2bの両側縁3dを縫着し、同様に下側基布パネル3の主部3aの底辺3cと乗員拘束面3bの両側縁3dを縫着し、最後に乗員拘束面2b,3bの底辺2e,3eを縫着して、袋状のエアバッグ本体1を縫製する。
【0051】
そしてエアバッグ本体1の縫製が完了したら、縫い代がエアバッグ本体1の内側となるようにガス導入口10からエアバッグ本体1の表裏を反転した後、エアバッグ本体1を所定形状に折り畳み、ガス導入口10をインフレータのガス噴出口に嵌合した状態で、インフレータにエアバッグ本体1を取り付けることにより、エアバッグモジュールを構成する。
【0052】
一方前記構成されたエアバッグモジュールは、例えば助手席前方のインストルメントパネル(ともに図示せず)内に設置して使用するもので、車両が衝突した際インフレータより噴出される高温、高圧ガスがガス導入口10よりエアバッグ本体1内へ導入されると、折り畳まれた状態のエアバッグ本体1が膨張展開を開始する。
【0053】
このときガス導入口10よりエアバッグ本体1内へ導入された高温、高圧ガスは、図7の矢印Bに示すようにエアバッグ本体1内を旋回しながらエアバッグ本体1を膨張させる。
【0054】
そしてエアバッグ本体1内に設けられたテザーベルト15が緊張されると、テザーベルト15によりエアバッグ本体1の展開形状や乗員側への突出量が規制されるが、このときテザーベルト15の縫着部15dに過大な引っ張り力が作用する。
【0055】
しかし上側基布パネル2の内面に沿うように設けられた遮蔽部材20の先端部に形成された庇状の遮蔽部20aが、縫着部15dを上側基布パネル2の乗員拘束面2bに縫着している縫い糸18を上方より覆って、高温、高圧ガスが縫着部15dの縫い糸18に直接当たるのを防止するため、上下基布パネル2,3を縫製している通常の縫製糸を縫い糸18に使用しても、高温、高圧ガスにより縫い糸18が破断されることが少ない。
【0056】
すなわち高出力のインフレータを使用する場合でも、縫い糸18に耐熱性の縫製糸を使用せずにテザーベルト15の縫着部15dが破損するのを未然に防止できるようになるため、耐熱性の縫製糸を使用せずにエアバッグ本体1の耐熱性を向上させることができるようになる。
【0057】
なお前記実施の形態では、テザーベルト15の縫着部15dに設けた補強布17の上縁部17aに遮蔽部材20の遮蔽部20a先端を縫着したが、遮蔽部20aを直接テザーベルト15の展開部15b上面に縫着するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のエアバッグは、テザーベルトとエアバッグ本体の乗員拘束面を縫着する縫着部に高温、高圧ガスが直接当たるのを遮蔽部材が遮蔽するため、耐熱性の縫製糸を使用せずにエアバッグ本体の耐熱性を向上させることができ、高出力のインフレータを使用するエアバッグに最適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態になるエアバッグの乗員拘束面側の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になるエアバッグの前部側の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態になるエアバッグの縦断面図である。
【図4】図3のA方向からの矢視図である。
【図5】本発明の実施の形態になるエアバッグを形成する上側基布パネルの展開図である。
【図6】本発明の実施の形態になるエアバッグを形成する下側基布パネルの展開図である。
【図7】本発明の実施の形態になるエアバッグが膨張展開する際の作用説明図である。
【図8】従来のエアバッグの斜視図である。
【図9】従来のエアバッグのテザーベルト付近の説明図である。
【図10】図9のC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 エアバッグ本体
2 上側基布パネル
2b 乗員拘束面
3 下側基布パネル
3b 乗員拘束面
4 補強布
8 補強布
10 ガス導入口
11 補強布
15 テザーベルト
15d 縫着部
17 補強布
20 遮蔽部材
20a 遮蔽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の衝突時インフレータから噴出される高圧ガスにより膨張展開されるエアバッグ本体と、前記エアバッグ本体内に設けられ、かつ一端が前記エアバッグ本体の乗員拘束面の内面に縫着され、他端は前記インフレータが接続されたガス導入口の近傍に固定されて、前記エアバッグ本体の展開形状を規制するテザーベルトとを備えたエアバッグであって、前記乗員拘束面の内面と前記テザーベルトの一端を縫着する縫着部に、前記エアバッグ本体内に導入された高圧ガスが前記縫着部に当たるのを防止する遮蔽部材を設けたことを特徴とするエアバッグ。
【請求項2】
前記遮蔽部材を、前記エアバッグ本体を形成する上側基布パネルの内面に沿って設けると共に、前記遮蔽部材の一端を、前記乗員拘束面の内面と前記テザーベルトの縫着部との間に設けた補強布に、また他端を前記ガス導入口の周囲に設けた補強布にそれぞれ接続してなる請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項3】
前記遮蔽部材を、前記エアバッグ本体を形成する上側基布パネルの内面に沿って設けられた補強布より延設し、かつ先端部に庇状の遮蔽部を形成すると共に、前記遮蔽部の先端を、前記乗員拘束面の内面と前記テザーベルトの縫着部との間に設けた補強布の上縁部に縫着してなる請求項1または2に記載のエアバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−55471(P2007−55471A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244225(P2005−244225)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】