エアバッグ
【課題】乗員を拘束するエアバッグを早期に展開させるとともに、衝撃の大きさや乗員の体格に応じた適切な拘束ができるエアバッグを提供する。
【解決手段】乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグである。
【解決手段】乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両に装備され、車両の衝突の衝撃から乗員を保護するためのエアバッグに関し、詳しくは、車両衝突時の衝撃の大きさや乗員の体格などに応じた拘束が可能なエアバッグに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、多くの車両に、乗員保護装置としてエアバッグ装置が搭載されるようになった。このエアバッグ装置では、一般に展開させるバッグの大きさや形状、内圧は一定である。しかし、車両衝突時の衝撃の大きさや乗員の体格などによって、乗員に対して適切なバッグの大きさや形状、内圧があり、拘束力や負傷防止の観点から、これらに応じてバッグの大きさや形状、内圧を変えることが望まれている。そこで、様々なエアバッグ装置が開発されている。
【０００３】
特許文献１には、乗員が高速でエアバッグに突っ込んで来た場合や、低速でエアバックに突っ込んで来た場合に最適に乗員を拘束できるよう、エアバッグ内を車両前方側でありガス導入口を有した第１室と車両後方側の第２室とに区画する隔壁と、該第１室と第２室とを連通するガス通路と、該第２室に設けられたベントホールとを備えたエアバッグが開示されている。このエアバッグは、車両の衝突が検知されると、まず第１室が膨張し、次いでガス通路を通って第２室にガスが流入し該第２室が膨張する。このように膨張したエアバッグに乗員が突っ込んできた場合、第２室からベントホールを介してガスが徐々に流出することにより衝撃エネルギーが吸収され、乗員が第１室で比較的ソフトに受け止められることが記載されている。
【０００４】
しかし、特許文献１では、乗員を最初に拘束する第２室が、第１室が膨張した後に展開するため、乗員が高速で突っ込んできた場合に、早期の膨張展開が間に合わないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−１６３１４４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、前記課題を解決するものであり、乗員を拘束するエアバッグを早期に展開させるとともに、衝撃の大きさや乗員の体格に応じた適切な拘束ができるエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
すなわち、本発明は、乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグに関する。
【０００８】
前記乗員側パネルと中間パネルとが、規制布により結合していることが好ましい。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、インフレータ側パネルと乗員側パネルとの間に設けられた中間パネルが、インフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されているため、インフレータから噴出したガスにより、まず、乗員側に位置する主室が膨張する。そのため、早期の膨張展開が可能である。
【００１０】
さらに、エアバッグの内圧を調整するための副室が設けられているため、乗員が小さい人であったり低速で衝突してきた場合には、中間パネルに設けられた内部排気口からガスが副室へと抜けるため、乗員をやわらかく拘束することができる。
【００１１】
同様に、高速で衝突した場合や乗員が大きい人であった場合にも副室へとガスが抜けるが、主室のつぶれが大きいため抜けるガスの量が多くなる。そのため、副室の内圧が高くなり、乗員をしっかりと拘束することができる。同時に、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口からの排気も行われるが、この外部排気口の総面積が内部排気口よりも小さいため、副室の内圧は高いまま適切に維持される。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】膨張展開前における助手席用エアバッグを乗員側から見た時の平面図である。
【図２】図１におけるＡ−Ａ線での、膨張展開初期の断面図である。
【図３】図１におけるＡ−Ａ線での、体格の小さい乗員が衝突した場合の断面図である。
【図４】図１におけるＡ−Ａ線での、体格の大きい乗員が衝突した場合の断面図である。
【図５】(ａ)インフレータ側パネル、（ｂ）中間パネル、（ｃ）乗員側パネル、および（ｄ）規制布の形状例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の特定の実施形態を詳細に説明するものであり、本発明は係る実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【００１４】
図１は、本発明のエアバッグ８の平面図である。図５に示すように、本発明のエアバッグ８は、インフレータ側パネル１、中間パネル２および乗員側パネル３が重ね合わされて構成されている。中間パネル２と乗員側パネル３との間には、必要に応じて、規制布４を配置してもよい。なお、図５は、各パネルの一例を示すものであり、形状などとくに限定されるものではない。
【００１５】
インフレータ側パネル１には、インフレータ取付口７ａおよび１つ以上の外部排気口５（図１および図５では５ａと５ｂの２つ）が設けられている。外部排気口５は、副室ＩＩからのガスを外部へと排出するものであり、その総面積は、後述する内部排気口６の総面積よりも小さい。これにより、高速で衝突した場合や乗員が大きい人が衝突した場合にも、副室IIの内圧を高いまま維持することが可能となる。
【００１６】
外部排気口５の総面積は、内部排気口６の総面積の６０％以下であることが好ましく、５０％以下であることがより好ましい。外部排気口の総面積が、６０％より大きいと、副室ＩＩ内に十分な圧力を維持することができず、乗員保護性能が低下する傾向にある。また、その下限は１０％であることが好ましい。下限が１０％より小さいと、副室ＩＩ内の内圧が高くなりすぎ、乗員への反力が強くなりすぎる傾向にある。
【００１７】
中間パネル２には、インフレータ取付口７ｂおよび１つ以上の内部排気口６（図１および図５では６ａと６ｂの２つ）が設けられている。内部排気口６は、主室Ｉからのガスを副室ＩＩへと排出するものであり、その総面積は、前記の通り、外部排気口５の総面積よりも大きい。
【００１８】
規制布４は、中間パネル２と乗員側パネル３との間に必要に応じて配置されるものであり、乗員側パネル３の形状を規制すると共に副室ＩＩへのガスの供給をしやすくしている。さらに、規制布４により、中間パネル２の内部排気口６がインフレータ側パネル１で塞がれてしまうことを防止することができる。また、規制布４をインフレータ取付口７付近に結合することにより、耐熱保護布の役割をもたせることもできる。
【００１９】
本発明のエアバッグ８の、規制布４を配置した場合における製造方法について説明する。図５に示すように、基布から、インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３、および、規制布４を裁断する。続いて、インフレータ側パネル１と中間パネル２とを、インフレータ取付口７ａ（および７ｂ）付近で結合する。ついで、中間パネル２および乗員側パネル３をそれぞれ規制布４を介して結合する。最後に、各パネルを重ねあわせ、外周を結合する。
【００２０】
このように、インフレータ側パネル１と乗員側パネル３との間に設けられた中間パネル２が、インフレータ取付口７ａ（および７ｂ）付近でインフレータ側パネル１と結合されているため、図２に示すように、インフレータから噴出したガスにより、まず、乗員側に位置する主室Ｉが膨張し、乗員を確実に拘束することができる。
【００２１】
膨張した主室Ｉに、低速あるいは体格の小さな乗員が衝突した場合、図３に示すように、主室Ｉのガスが内部排気口６（６ａおよび６ｂ）から副室ＩＩへと抜けて、主室Ｉの内圧が低くなり、乗員を柔らかく拘束する。
【００２２】
一方、高速あるいは体格の大きな乗員が衝突した場合、やはり、主室Ｉのガスが内部排気口６から副室ＩＩへと抜けるため、乗員を柔らかく拘束する。そして、図４に示すように、主室Ｉのへこみが次第に大きくなり、副室ＩＩに流れ込むガスの量が多くなっていく。副室ＩＩに設けられた外部排気口５の総面積は内部排気口６よりも小さいため、エアバッグ外部に排出されるガスの量は副室ＩＩに流れ込む量よりも少なくなる。その結果、副室ＩＩの内圧は高いまま適切に維持され、最終的に副室ＩＩが乗員をしっかりと拘束することができる。
【００２３】
インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３および規制布４の結合の方法としては、縫製、接着、溶着あるいはこれらの併用などいずれの方法によってもよく、エアバッグとしての性能を満足するものであればよい。なかでも、強度の点で、縫製であることが好ましい。縫製により接合する場合、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行うことができる。
【００２４】
前記縫製に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。たとえば、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン４６、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
【００２５】
縫い糸の太さは７００ｄｔｅｘ（２０番手相当）〜２８００ｄｔｅｘ（０番手相当）、運針数は２〜１０針／ｃｍであることが好ましい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離は２．２〜８．０ｍｍ程度として、多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、１本針ミシンで複数回縫合してもよい。
【００２６】
前記インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３および規制布４には、繊維布帛が用いられる。ここで繊維布帛とは、繊維糸条を用いて製織される織物、繊維糸条を用いて製編される編物および不織布を意味する。
【００２７】
前記繊維布帛を構成する繊維は、天然繊維や、再生繊維、合成繊維、半合成繊維および無機繊維などの化学繊維など、とくに限定されるものではない。たとえば、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン４６、ナイロン６１０、ナイロン６１２などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン６Ｔ、ナイロン６Ｉ、ナイロン９Ｔに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維（ＰＰＳ）、ポリエーテルエーテルケトン系繊維（ＰＥＥＫ）、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維（ＰＢＯ）、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などから適宜、１種または２種以上を選定すればよい。なかでも、汎用性があり、基布の製造工程、基布物性などの点から、合成繊維フィラメントが好ましい。とくには、物理特性、耐久性、耐熱性などの点からナイロン６６繊維が好ましい。また、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維、ナイロン６繊維も好ましい。
【００２８】
これら繊維には、紡糸性や、加工性、耐久性などを改善するために通常使用されている各種の添加剤、たとえば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの１種または２種以上を使用してもよい。また、カラミ織を製織する上で望ましい場合には、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工、糊付け加工などの加工を施してもよい。さらに、糸条の形態は、長繊維フィラメント以外に、短繊維の紡績糸、これらの複合糸などを用いてもよい。
【００２９】
たとえば、前記繊維布帛が織物の場合は、平織、斜子織（バスケット織）、格子織（リップストップ織）、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでもよい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め６０度を含む多軸設計としてもよく、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。なかでも構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できる点で、平織が好ましい。
【００３０】
織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、たとえば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などから選定すればよい。
【００３１】
前記繊維布帛が編物の場合は、シングルトリコット編、シングルコード編、シングルアトラス編などのたて編や、平編、ゴム編、パール編などのよこ編、などの編組織を単独またはそれらを組み合わせた二重組織などからなるものがあげられる。また、前記繊維布帛が不織布の場合は、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、スパンレース、ステッチボンド、スパンボンド、メルトブロー、湿式などにより製造されるものがあげられる。
【００３２】
前記繊維布帛に使用される糸の単糸太さは、同じでも異なってもいずれでもよく、たとえば、０．５〜８ｄｔｅｘの範囲であることが好ましい。また、単糸の強度も、５．４ｃＮ／ｄｔｅｘ以上であることが好ましく、８ｃＮ／ｄｔｅｘ以上であることがより好ましい。また、これら繊維の単糸の断面形状も、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、布帛の製造、得られた布帛の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、太さや断面形状などが異なる複数の糸を、合糸、撚り合わせなどにより一体化したものを用いてもよい。
【００３３】
前記繊維の総繊度は、１５０〜１０００ｄｔｅｘであることが好ましく、２３５〜７００ｄｔｅｘであることがより好ましい。１５０ｄｔｅｘ未満ではエアバッグに求められる強度が得られにくい傾向にあり、１０００ｄｔｅｘより大きくなると、重量が大きくなりすぎると同時に、基布の厚みが増大しバッグの収納性が悪くなるおそれがある。
【００３４】
前記繊維布帛は、目付けが１９０ｇ／ｍ２以下、引張強力が６００Ｎ／ｃｍ以上であることが好ましい。目付けと引張強力がこの範囲であれば、軽くて物理特性に優れているといえる。なお、ここでいう目付けは、後述する不通気処理剤を塗布する前の未加工の状態の基布重量をいう。
【００３５】
前記繊維布帛が織物である場合のカバーファクターは、１５００〜２５００であることが好ましい。カバーファクターが１５００より小さいと、織物の開口部が大きくなるためバッグの気密性を得ることが困難となり、またカバーファクターが２５００より大きいと、織物の厚みが増大し、バッグの収納性が悪くなるおそれがある。ここで、カバーファクターとは基布のタテ糸総繊度をＤ1（ｄｔｅｘ）、タテ糸密度をＮ1（本／２．５４ｃｍ）とし、ヨコ糸総繊度をＤ2（ｄｔｅｘ）、ヨコ糸密度をＮ2（本／２．５４ｃｍ）とすると（Ｄ1×０．９）１／２×Ｎ１＋（Ｄ２×０．９）１／２×Ｎ2で表される。
【００３６】
また、前記繊維布帛は精練および熱処理を施されたものであってもよい。
【００３７】
前記したように、繊維布帛からなる各パネルは、耐熱性の向上および通気度の低下を目的として、樹脂層を有していてもよい。また、その目的から、前記樹脂層は、少なくとも各パネルの片面全面に付着しているが、パネル表面、パネルを構成する糸束の間隙部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。耐熱性、および、パネルに外力が加わっても被膜の損傷が抑えられるという理由により、樹脂層を有する面同士を接合して、被覆面が内側になるようにエアバッグを作製することが好ましい。
【００３８】
前記樹脂としては、たとえば、クロロプレンゴム、ハイバロンゴム、フッ素ゴムなどの含ハロゲンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン三元共重合ゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムなどのゴム類、および、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂およびフッ素樹脂などの含ハロゲン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、オレフィン樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂類があげられ、これらは単独または併用して使用される。なかでも、可撓性、耐熱性および耐候性に優れる点で、シリコーンゴムおよびシリコーン樹脂が好ましい。
【００３９】
被覆方法としては、１）コーティング法（ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど）、２）浸漬法、３）印捺法（スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど）、４）転写法（トランスファー）、５）ラミネート法、および６）スプレーなどにて噴霧する方法などがあげられる。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
【００４０】
また、塗布量としては、５〜６０ｇ／ｍ２が好ましい。塗布量が５ｇ／ｍ２より少ないと、パネルの通気性が高くなるため、バッグの気密性に問題が発生するおそれがあり、また塗布量が６０ｇ／ｍ２より多いと、パネルの厚みが厚くなってバッグの収納性に問題が発生するおそれがある。
【００４１】
また、使用するインフレータの特性に応じて、インフレータ噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けてもよい。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、たとえば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ＰＢＯ繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いてもよいし、エアバッグ本体と同じか本体用基布より太い糸を用いて別途作成した織物を用いてもよい。また、織物に耐熱性被覆材を施したものを用いてもよい。
【符号の説明】
【００４２】
Ｉ 主室
ＩＩ 副室
１ インフレータ側パネル
２ 中間パネル
３ 乗員側パネル
４ 規制布
５（５ａ、５ｂ） 外部排気口
６（６ａ、６ｂ） 内部排気口
７（７ａ、７ｂ） インフレータ取付口
８ エアバッグ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車両に装備され、車両の衝突の衝撃から乗員を保護するためのエアバッグに関し、詳しくは、車両衝突時の衝撃の大きさや乗員の体格などに応じた拘束が可能なエアバッグに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、多くの車両に、乗員保護装置としてエアバッグ装置が搭載されるようになった。このエアバッグ装置では、一般に展開させるバッグの大きさや形状、内圧は一定である。しかし、車両衝突時の衝撃の大きさや乗員の体格などによって、乗員に対して適切なバッグの大きさや形状、内圧があり、拘束力や負傷防止の観点から、これらに応じてバッグの大きさや形状、内圧を変えることが望まれている。そこで、様々なエアバッグ装置が開発されている。
【０００３】
特許文献１には、乗員が高速でエアバッグに突っ込んで来た場合や、低速でエアバックに突っ込んで来た場合に最適に乗員を拘束できるよう、エアバッグ内を車両前方側でありガス導入口を有した第１室と車両後方側の第２室とに区画する隔壁と、該第１室と第２室とを連通するガス通路と、該第２室に設けられたベントホールとを備えたエアバッグが開示されている。このエアバッグは、車両の衝突が検知されると、まず第１室が膨張し、次いでガス通路を通って第２室にガスが流入し該第２室が膨張する。このように膨張したエアバッグに乗員が突っ込んできた場合、第２室からベントホールを介してガスが徐々に流出することにより衝撃エネルギーが吸収され、乗員が第１室で比較的ソフトに受け止められることが記載されている。
【０００４】
しかし、特許文献１では、乗員を最初に拘束する第２室が、第１室が膨張した後に展開するため、乗員が高速で突っ込んできた場合に、早期の膨張展開が間に合わないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−１６３１４４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、前記課題を解決するものであり、乗員を拘束するエアバッグを早期に展開させるとともに、衝撃の大きさや乗員の体格に応じた適切な拘束ができるエアバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
すなわち、本発明は、乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグに関する。
【０００８】
前記乗員側パネルと中間パネルとが、規制布により結合していることが好ましい。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、インフレータ側パネルと乗員側パネルとの間に設けられた中間パネルが、インフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されているため、インフレータから噴出したガスにより、まず、乗員側に位置する主室が膨張する。そのため、早期の膨張展開が可能である。
【００１０】
さらに、エアバッグの内圧を調整するための副室が設けられているため、乗員が小さい人であったり低速で衝突してきた場合には、中間パネルに設けられた内部排気口からガスが副室へと抜けるため、乗員をやわらかく拘束することができる。
【００１１】
同様に、高速で衝突した場合や乗員が大きい人であった場合にも副室へとガスが抜けるが、主室のつぶれが大きいため抜けるガスの量が多くなる。そのため、副室の内圧が高くなり、乗員をしっかりと拘束することができる。同時に、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口からの排気も行われるが、この外部排気口の総面積が内部排気口よりも小さいため、副室の内圧は高いまま適切に維持される。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】膨張展開前における助手席用エアバッグを乗員側から見た時の平面図である。
【図２】図１におけるＡ−Ａ線での、膨張展開初期の断面図である。
【図３】図１におけるＡ−Ａ線での、体格の小さい乗員が衝突した場合の断面図である。
【図４】図１におけるＡ−Ａ線での、体格の大きい乗員が衝突した場合の断面図である。
【図５】(ａ)インフレータ側パネル、（ｂ）中間パネル、（ｃ）乗員側パネル、および（ｄ）規制布の形状例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の特定の実施形態を詳細に説明するものであり、本発明は係る実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【００１４】
図１は、本発明のエアバッグ８の平面図である。図５に示すように、本発明のエアバッグ８は、インフレータ側パネル１、中間パネル２および乗員側パネル３が重ね合わされて構成されている。中間パネル２と乗員側パネル３との間には、必要に応じて、規制布４を配置してもよい。なお、図５は、各パネルの一例を示すものであり、形状などとくに限定されるものではない。
【００１５】
インフレータ側パネル１には、インフレータ取付口７ａおよび１つ以上の外部排気口５（図１および図５では５ａと５ｂの２つ）が設けられている。外部排気口５は、副室ＩＩからのガスを外部へと排出するものであり、その総面積は、後述する内部排気口６の総面積よりも小さい。これにより、高速で衝突した場合や乗員が大きい人が衝突した場合にも、副室IIの内圧を高いまま維持することが可能となる。
【００１６】
外部排気口５の総面積は、内部排気口６の総面積の６０％以下であることが好ましく、５０％以下であることがより好ましい。外部排気口の総面積が、６０％より大きいと、副室ＩＩ内に十分な圧力を維持することができず、乗員保護性能が低下する傾向にある。また、その下限は１０％であることが好ましい。下限が１０％より小さいと、副室ＩＩ内の内圧が高くなりすぎ、乗員への反力が強くなりすぎる傾向にある。
【００１７】
中間パネル２には、インフレータ取付口７ｂおよび１つ以上の内部排気口６（図１および図５では６ａと６ｂの２つ）が設けられている。内部排気口６は、主室Ｉからのガスを副室ＩＩへと排出するものであり、その総面積は、前記の通り、外部排気口５の総面積よりも大きい。
【００１８】
規制布４は、中間パネル２と乗員側パネル３との間に必要に応じて配置されるものであり、乗員側パネル３の形状を規制すると共に副室ＩＩへのガスの供給をしやすくしている。さらに、規制布４により、中間パネル２の内部排気口６がインフレータ側パネル１で塞がれてしまうことを防止することができる。また、規制布４をインフレータ取付口７付近に結合することにより、耐熱保護布の役割をもたせることもできる。
【００１９】
本発明のエアバッグ８の、規制布４を配置した場合における製造方法について説明する。図５に示すように、基布から、インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３、および、規制布４を裁断する。続いて、インフレータ側パネル１と中間パネル２とを、インフレータ取付口７ａ（および７ｂ）付近で結合する。ついで、中間パネル２および乗員側パネル３をそれぞれ規制布４を介して結合する。最後に、各パネルを重ねあわせ、外周を結合する。
【００２０】
このように、インフレータ側パネル１と乗員側パネル３との間に設けられた中間パネル２が、インフレータ取付口７ａ（および７ｂ）付近でインフレータ側パネル１と結合されているため、図２に示すように、インフレータから噴出したガスにより、まず、乗員側に位置する主室Ｉが膨張し、乗員を確実に拘束することができる。
【００２１】
膨張した主室Ｉに、低速あるいは体格の小さな乗員が衝突した場合、図３に示すように、主室Ｉのガスが内部排気口６（６ａおよび６ｂ）から副室ＩＩへと抜けて、主室Ｉの内圧が低くなり、乗員を柔らかく拘束する。
【００２２】
一方、高速あるいは体格の大きな乗員が衝突した場合、やはり、主室Ｉのガスが内部排気口６から副室ＩＩへと抜けるため、乗員を柔らかく拘束する。そして、図４に示すように、主室Ｉのへこみが次第に大きくなり、副室ＩＩに流れ込むガスの量が多くなっていく。副室ＩＩに設けられた外部排気口５の総面積は内部排気口６よりも小さいため、エアバッグ外部に排出されるガスの量は副室ＩＩに流れ込む量よりも少なくなる。その結果、副室ＩＩの内圧は高いまま適切に維持され、最終的に副室ＩＩが乗員をしっかりと拘束することができる。
【００２３】
インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３および規制布４の結合の方法としては、縫製、接着、溶着あるいはこれらの併用などいずれの方法によってもよく、エアバッグとしての性能を満足するものであればよい。なかでも、強度の点で、縫製であることが好ましい。縫製により接合する場合、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行うことができる。
【００２４】
前記縫製に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。たとえば、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン４６、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
【００２５】
縫い糸の太さは７００ｄｔｅｘ（２０番手相当）〜２８００ｄｔｅｘ（０番手相当）、運針数は２〜１０針／ｃｍであることが好ましい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離は２．２〜８．０ｍｍ程度として、多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、１本針ミシンで複数回縫合してもよい。
【００２６】
前記インフレータ側パネル１、中間パネル２、乗員側パネル３および規制布４には、繊維布帛が用いられる。ここで繊維布帛とは、繊維糸条を用いて製織される織物、繊維糸条を用いて製編される編物および不織布を意味する。
【００２７】
前記繊維布帛を構成する繊維は、天然繊維や、再生繊維、合成繊維、半合成繊維および無機繊維などの化学繊維など、とくに限定されるものではない。たとえば、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン４６、ナイロン６１０、ナイロン６１２などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン６Ｔ、ナイロン６Ｉ、ナイロン９Ｔに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維（ＰＰＳ）、ポリエーテルエーテルケトン系繊維（ＰＥＥＫ）、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維（ＰＢＯ）、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などから適宜、１種または２種以上を選定すればよい。なかでも、汎用性があり、基布の製造工程、基布物性などの点から、合成繊維フィラメントが好ましい。とくには、物理特性、耐久性、耐熱性などの点からナイロン６６繊維が好ましい。また、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維、ナイロン６繊維も好ましい。
【００２８】
これら繊維には、紡糸性や、加工性、耐久性などを改善するために通常使用されている各種の添加剤、たとえば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの１種または２種以上を使用してもよい。また、カラミ織を製織する上で望ましい場合には、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工、糊付け加工などの加工を施してもよい。さらに、糸条の形態は、長繊維フィラメント以外に、短繊維の紡績糸、これらの複合糸などを用いてもよい。
【００２９】
たとえば、前記繊維布帛が織物の場合は、平織、斜子織（バスケット織）、格子織（リップストップ織）、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでもよい。必要に応じて、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め６０度を含む多軸設計としてもよく、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。なかでも構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できる点で、平織が好ましい。
【００３０】
織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、たとえば、シャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などから選定すればよい。
【００３１】
前記繊維布帛が編物の場合は、シングルトリコット編、シングルコード編、シングルアトラス編などのたて編や、平編、ゴム編、パール編などのよこ編、などの編組織を単独またはそれらを組み合わせた二重組織などからなるものがあげられる。また、前記繊維布帛が不織布の場合は、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、スパンレース、ステッチボンド、スパンボンド、メルトブロー、湿式などにより製造されるものがあげられる。
【００３２】
前記繊維布帛に使用される糸の単糸太さは、同じでも異なってもいずれでもよく、たとえば、０．５〜８ｄｔｅｘの範囲であることが好ましい。また、単糸の強度も、５．４ｃＮ／ｄｔｅｘ以上であることが好ましく、８ｃＮ／ｄｔｅｘ以上であることがより好ましい。また、これら繊維の単糸の断面形状も、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、布帛の製造、得られた布帛の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、太さや断面形状などが異なる複数の糸を、合糸、撚り合わせなどにより一体化したものを用いてもよい。
【００３３】
前記繊維の総繊度は、１５０〜１０００ｄｔｅｘであることが好ましく、２３５〜７００ｄｔｅｘであることがより好ましい。１５０ｄｔｅｘ未満ではエアバッグに求められる強度が得られにくい傾向にあり、１０００ｄｔｅｘより大きくなると、重量が大きくなりすぎると同時に、基布の厚みが増大しバッグの収納性が悪くなるおそれがある。
【００３４】
前記繊維布帛は、目付けが１９０ｇ／ｍ２以下、引張強力が６００Ｎ／ｃｍ以上であることが好ましい。目付けと引張強力がこの範囲であれば、軽くて物理特性に優れているといえる。なお、ここでいう目付けは、後述する不通気処理剤を塗布する前の未加工の状態の基布重量をいう。
【００３５】
前記繊維布帛が織物である場合のカバーファクターは、１５００〜２５００であることが好ましい。カバーファクターが１５００より小さいと、織物の開口部が大きくなるためバッグの気密性を得ることが困難となり、またカバーファクターが２５００より大きいと、織物の厚みが増大し、バッグの収納性が悪くなるおそれがある。ここで、カバーファクターとは基布のタテ糸総繊度をＤ1（ｄｔｅｘ）、タテ糸密度をＮ1（本／２．５４ｃｍ）とし、ヨコ糸総繊度をＤ2（ｄｔｅｘ）、ヨコ糸密度をＮ2（本／２．５４ｃｍ）とすると（Ｄ1×０．９）１／２×Ｎ１＋（Ｄ２×０．９）１／２×Ｎ2で表される。
【００３６】
また、前記繊維布帛は精練および熱処理を施されたものであってもよい。
【００３７】
前記したように、繊維布帛からなる各パネルは、耐熱性の向上および通気度の低下を目的として、樹脂層を有していてもよい。また、その目的から、前記樹脂層は、少なくとも各パネルの片面全面に付着しているが、パネル表面、パネルを構成する糸束の間隙部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。耐熱性、および、パネルに外力が加わっても被膜の損傷が抑えられるという理由により、樹脂層を有する面同士を接合して、被覆面が内側になるようにエアバッグを作製することが好ましい。
【００３８】
前記樹脂としては、たとえば、クロロプレンゴム、ハイバロンゴム、フッ素ゴムなどの含ハロゲンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン三元共重合ゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムなどのゴム類、および、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂およびフッ素樹脂などの含ハロゲン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、オレフィン樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂類があげられ、これらは単独または併用して使用される。なかでも、可撓性、耐熱性および耐候性に優れる点で、シリコーンゴムおよびシリコーン樹脂が好ましい。
【００３９】
被覆方法としては、１）コーティング法（ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど）、２）浸漬法、３）印捺法（スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど）、４）転写法（トランスファー）、５）ラミネート法、および６）スプレーなどにて噴霧する方法などがあげられる。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
【００４０】
また、塗布量としては、５〜６０ｇ／ｍ２が好ましい。塗布量が５ｇ／ｍ２より少ないと、パネルの通気性が高くなるため、バッグの気密性に問題が発生するおそれがあり、また塗布量が６０ｇ／ｍ２より多いと、パネルの厚みが厚くなってバッグの収納性に問題が発生するおそれがある。
【００４１】
また、使用するインフレータの特性に応じて、インフレータ噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けてもよい。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、たとえば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ＰＢＯ繊維、ポリイミド繊維、含フッ素系繊維などの耐熱性繊維材料を用いてもよいし、エアバッグ本体と同じか本体用基布より太い糸を用いて別途作成した織物を用いてもよい。また、織物に耐熱性被覆材を施したものを用いてもよい。
【符号の説明】
【００４２】
Ｉ 主室
ＩＩ 副室
１ インフレータ側パネル
２ 中間パネル
３ 乗員側パネル
４ 規制布
５（５ａ、５ｂ） 外部排気口
６（６ａ、６ｂ） 内部排気口
７（７ａ、７ｂ） インフレータ取付口
８ エアバッグ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグ。
【請求項２】
前記乗員側パネルと中間パネルとが、規制布により結合している請求項１記載のエアバッグ。
【請求項１】
乗員側パネルと中間パネルとからなり、インフレータから噴出したガスにより膨張する主室と、該中間パネルとインフレータ側パネルとからなり、該中間パネルに設けられた内部排気口からの排気により膨張する副室とを有するエアバッグであって、該中間パネルがインフレータ取付口付近でインフレータ側パネルと結合されており、インフレータ側パネルに設けられた外部排気口の総面積が該内部排気口の総面積よりも小さいエアバッグ。
【請求項２】
前記乗員側パネルと中間パネルとが、規制布により結合している請求項１記載のエアバッグ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−５７０７８（Ｐ２０１１−５７０７８Ａ）
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２０８８５９（Ｐ２００９−２０８８５９）
【出願日】平成２１年９月１０日（２００９．９．１０）
【出願人】（０００１０７９０７）セーレン株式会社 (462)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月２４日（２０１１．３．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月１０日（２００９．９．１０）
【出願人】（０００１０７９０７）セーレン株式会社 (462)
【Ｆターム（参考）】
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