エスカレータまたは動く歩道のハンドレールの表面にフィルムを貼付する方法および装置
【課題】フィルムと、そのフィルムをエスカレータまたは動く歩道のハンドレールに貼付する方法を提供すること。
【解説手段】フィルムは、単層、または二重層のフィルムでもよい。例えば、広告のような印刷物を、その表面もしくは層間に付してもよい。また、フィルムを適用する装置や関連する方法も含まれ、1つまたはそれ以上のローラによってフィルムをハンドレールに押圧し、ハンドレールの動きによって、フィルムのロールを解くようになっている。予備延伸のため、そして、フィルムのしわやハンドレールからの分離を発生させる使用に際しての圧縮ひずみを減少させるために、フィルムを取付け時に延伸する。フィルム端を適切な位置に保持するために、フィルムキャップを、フィルムの端部に融合または接着する。
【解説手段】フィルムは、単層、または二重層のフィルムでもよい。例えば、広告のような印刷物を、その表面もしくは層間に付してもよい。また、フィルムを適用する装置や関連する方法も含まれ、1つまたはそれ以上のローラによってフィルムをハンドレールに押圧し、ハンドレールの動きによって、フィルムのロールを解くようになっている。予備延伸のため、そして、フィルムのしわやハンドレールからの分離を発生させる使用に際しての圧縮ひずみを減少させるために、フィルムを取付け時に延伸する。フィルム端を適切な位置に保持するために、フィルムキャップを、フィルムの端部に融合または接着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道のハンドレールに係り、特に、このようなハンドレールの表面に、広告やその他の可視素材を適宜含有する保護膜を貼付することに関する。
【背景技術】
【0002】
広告主は、常に広告を配置する新しい場所を探している。様々な集団輸送システム等が、広告を出すにあたってよい環境であることは以前から知られている。したがって、集団輸送システムには広告を見る可能性のある乗客が多数存在してはいるものの、たくさんの人々に見てもらえるような良い位置に配置される広告は、比較的少ないのである。集団輸送システムでの移動というのは、常に、どちらかといえば時間のかかるものであり、したがって、そのようなシステムで移動する人々には、広告を見たり読んだりする時間が十分にある。そして、それはビジネスにとって広告を更に魅力的なものとしている。このことは古くからよく認識されており、広告主は広告を配置するために様々な場所を捜し求めているのである。
【0003】
エスカレータや動く歩道は、多くの集団輸送システムにおける一般的な要素であり、例えば、大きなオフィスビル、ショッピングモール、大きな店舗などのように高いレベルの歩行者往来がある数多くの場所に設置されている。エスカレータでの移動は、例えば地下鉄での移動に比べて短時間ではあるが、それでも広告を見る可能性のある乗客を提供してくれる。エスカレータに乗っている時間は比較的短いが、乗客が広告に気がついて、その広告を見るには十分な長さである。さらに、エスカレータの乗客が、エスカレータに乗っている間にそれ以外のこと、例えば、本や新聞を読んだりすると考えるのは現実的ではない。
【0004】
広告主は、古くからこのことを認識しており、利用度の高いエスカレータにおいては、様々な広告パネルをよく見かける。よって、従来の広告ポスターがエスカレータのシャフトの壁に並べて貼られているのを、しばしば目にすることがある。さらにまた、広告主は、より小さなパネルにより小さなポスター状の広告を配置し、上りと下りのエスカレータ間の手摺りを分けるストリップ部の上に掲載することもしている。一般に、上りと下りの両方の乗客に見えるように、広告は両側に掲示されている。
【0005】
独創的な広告主は、エスカレータに広告を掲載するための他の方法を捜し求め、そして、広告がエスカレータのハンドレールに配置可能であることに気づいたのである。エスカレータのハンドレールの表面はそれ以外に使用されることはないため、これは魅力的なアイデアである。何かを把持するときには必ずそうするように、エスカレータに乗る人は、ハンドレールの場所を確認するために、本能的に、まずハンドレールを見ることになる。ということは、通常、エスカレータの各使用者または乗客は、少なくともハンドレールを一瞥するものである。これは、例えば、熟知された会社のロゴや他の広告装置など、単純な広告にとっては、魅力的なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハンドレールの表面に、連続的であり取り外し可能なフィルムを貼付するという概念に基づいたものである。
【0007】
先願の米国特許出願第09/252784号およびその一部継続出願から発行された米国特許第6450228号においては、粘着層を備えた軟質フィルムを、予備延伸や伸長をすることなくハンドレールに貼付していた。ハンドレールが、例えば、エスカレータまたは動く歩道の端部においてプーリを通過するとき、ハンドレールは彎曲し、そして周知のようにハンドレールの上部は延伸され、下部は圧縮されることになる。スチールケーブルや延伸抑制装置が、ハンドレールの上部に位置する中立軸を明確にする役割を、確実に果たしているのである。その結果、スチールケーブル上のハンドレールの上部の一部が延伸または伸長され、ハンドレールの上部における下位部分およびリップ部が圧縮されることになる。リップ部が中立軸のかなり下に延長されているため、ハンドレールが端部のプーリを通過する際などに、これらのリップ部は相当に圧縮されることなる。
【0008】
フィルムがハンドレールに貼付されるということは、リップ部の上に位置するそのフィルムの端部も、同様に圧縮されるということである。実際には、これがフィルムの端部にしわを寄せたりひだをつけたりする結果となる。ハンドレールの彎曲によって生じる圧縮にさらされた場合、使用されている粘着剤は、フィルムの最外端とハンドレールとの接着力を保持することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る細長いハンドレールとこのハンドレールに接着された軟質フィルムとの組み合わせは、前記フィルムが、第1フィルム層と、この第1フィルム層を前記ハンドレールに接着するために前記第1フィルム層と前記ハンドレールの間に設けられている粘着剤の第1層とを備えており、前記フィルムが伸長状態の前記ハンドレール上に貼付され、これによって、フィルムが所望の予備延伸を得て、前記フィルムの縁が圧縮ひずみに曝されたときに、その縁が前記ハンドレールから分離する可能性を少なくとも減少させることを特徴としている。
【0010】
本発明の別の態様に係る軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法は、
(1)第1フィルム層と、この第1フィルム層の内側に位置する粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く前記ハンドレールの幅に対応する幅を有しているフィルムを設置する工程と、
(2)前記フィルムの第1端部を、前記ハンドレールの表面に対して整合し、接着する工程と、
(3)前記フィルムに、実質的に一定の引張荷重を与え、所望の度合いのひずみを前記フィルムに施す工程と、
(4)前記ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、前記予備延伸されたフィルムを継続的ならびに徐々に前記ハンドレールに接着させる工程と、
(5)前記フィルムの全幅が、前記ハンドレールの表面に均一および滑らかに接着されていることを確認する工程と
を含むことを特徴としている。
【0011】
本発明の更に別の態様であるハンドレールの表面に連続的なループとして接着されるフィルムの2つの端部間の継ぎ目を形成する方法は、
(1)フィルムキャップを取り付け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部の表面に接着する工程と、
(2)前記フィルムの端部を整合された状態に保つために、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部に融合させる工程と
を含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明は粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置を具備しており、この装置は、装置を手摺りに取り付けるための取り付け手段と、第1ロールのフィルムを取り付けるための第1スピンドル手段と、前記フィルムが前記ハンドレールに貼付される前に、所望の量のひずみを付すため、前記フィルムに張力を与えるための張り装置と、前記フィルムに圧力を与え、前記ハンドレールに前記フィルムを接着させるための圧力手段とを備えており、使用に際して、前記ハンドレールが前記装置を通って駆動され、前記圧力手段によって、前記フィルムが前記第1ロールから解かれて、前記フィルムを前記ハンドレールに接着させ、前記張り装置によって、前記フィルムを予備延伸することを特徴としている。
【0013】
本発明は軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法を具備しており、この方法は、所望の度合いの予備延伸または伸長を施すことを特徴としている。繰り返すが、エスカレータのハンドレールと言うときには、動く歩道のハンドレールをも包含している。第1工程において、第1フィルム層と、その外側に粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く、前記ハンドレールの幅に対応する幅を有するフィルムを設置する。そして、前記フィルムをハンドレールに対して整合し、フィルムの第1端部を、ハンドレールの表面に接着する。それから、ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、フィルムを継続的、そして徐々に前記ハンドレールに接着させる。同時に、前記フィルムにひずみを付して、予備張力または予備延伸をフィルムに施す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のより深い理解と、いかにその効果が発揮されるかを更に明瞭にするため、本発明の最良の実施形態を明確にする添付図面を参照するものである。
【0015】
本発明に係る、フィルムをハンドレールに貼付する装置の基本的な構成と使用形態が図1および図7に示されている。その基本原理は、2002年9月17日発行の米国特許第6450228号にて開示された装置と同じであり、その内容は、この参照によりここに包含される。
【0016】
本装置は参照番号10にて図1に示され、他の図面にて詳細に示される実際のエスカレータハンドレール200を有するエスカレータの手摺り198に取付けられている。この装置10は、手摺り198への取り付けのために吸盤20に取付けられた第1および第2支持アーム12を有している。
【0017】
前記各支持アーム12は、主アーム部14、ほぼ垂直に延在している調整可能アーム部16およびトップアーム部18を備えた三角構造をなしている。前記調整可能アーム部16は調整可能ねじ込み素子を備えており、前記アーム部16の長さの調節を可能としている。前記主アーム部14が吸盤20に旋回可能に装着され、この配置によって異なる手摺り構成に装着可能とされ、前記装置10の可動部が確実にハンドレールに対して適切な位置に来るようにされている。このようにして前記各種アーム部14,16,18は旋回可能に接続されている。
【0018】
前記トップアーム部18の端部には、前記装置10の主要フレーム30に取付けられるための取付金具22が設けられている。前記主要フレーム30は、複数の離間された孔部または装着箇所32を有しており、前記支持アーム12が異なる位置に固定可能となっている。前記支持アーム12を前記フレーム30の両側に装着するため、そしてエスカレータまたは動く歩道の両側に装着し、ひいては、特定の手摺りの一方の側に装着するため、2セットまたは2列の孔部32がフレーム30の2面に穿設されている。繰り返すが、これは異なる手摺り構成198に対応するためであり、また、多くの手摺りには吸盤20を配置するための継続的な滑らかな表面がないため、アーム12の離間と配置箇所を所望のままに変更可能にするためである。好ましくは、前記取付金具22を簡単にねじ止めするために、前記孔部12もしくは取付金具22の孔のどちらかがねじ山を有しているとよい。前記取付金具22を留め金で固定するために、取付金具22は、一方に単純な円筒形孔を有し他方にねじ孔を有するU字型とすることができる。
【0019】
前記主要フレーム30は、いずれかの端部に調整ローラ装置34,36を備えている。これらの調整ローラ装置34,36はほぼ一致しているため、一方のローラ装置34のみについてその簡単な特徴を図4を参照して説明する。
【0020】
前記ローラ装置34は、取付金具40によって前記主要フレーム30に装着された中央ローラ38を有している。側部取付金具42は1対の平行な横方向案内ロッド44,44を支持しており、これらの横方向案内ロッド44には1対のサイドローラ48,48用の各支持金具46が装着されている。
【0021】
作動ノブ52を一方の端部に有するねじ棒50が、前記側部取付金具42に回転可能に取り付けられている。ねじ棒50は、軸の両端に、支持金具46に係合する対向するねじ部を有している。その結果、前記作動ノブ52の回転によって、2つの支持金具46とそのサイドローラ48を、相互に内側に向けて移動させるか、あるいは、相互に外側に離れるように移動させることになる。 第1スピンドルアーム60(図3および図7)が、前記主要フレーム30から上方に延在するように設けられている。ハンドレールに貼付するための1ロールのフィルムを装着するため、第1スピンドル62が、前記第1スピンドルアーム60に設けられている。
【0022】
鉛直方向に延在する第2アーム64が設けられており、この第2アーム64は、第2スピンドル66を支持している。使用の際には、前記第2スピンドル66がフィルムロールと係合され、フィルムからの剥離シートを巻き取るようになっている。
【0023】
鋸歯状の駆動ベルトのような駆動ベルトなどの駆動機構68がスピンドル62,66を結合するように設けられており、使用の際、巻き取りロール用のスピンドル66が、スピンドル62によって駆動されるようになっている。2つのスピンドル62,66間にはギヤ比が形成されており、2つのスピンドル62,66上のロールの全ての有効径に対して、巻き取り用前記第2スピンドル66上のロールの外周をより高速に駆動しようとしている。そして、スリップクラッチが前記駆動機構68に設けられ、スピンドル66に作用する過剰な速度を生じないようになっている。これによって、前記第2スピンドル66のロールに巻かれている剥離シートに作用する張力を、有効かつ適切に保つことができる。
【0024】
また、1対の上方に延在する取付金具70,72が前記主要フレーム30の上部に設けられている。剥離シート案内ローラ74(図7)が前記取付金具70,72の間に回転可能に設けられており、剥離シートを前記第2スピンドル66上のロールに導くようになっている。また、テンションローラ76が、前記取付金具70,72間に回転するように装着され、このテンションローラ76は、制動装置またはテンションモータ78に接続されている。
【0025】
前記制動装置78は、従来の110V交流入力を要する実質的に一定のトルクを与える小さな外形の電気モータでもよい。このトルクはフィルムへの均一の張力に変換されて、テンションローラ76へと伝達される。しかしながら、実際のフィルム速度の範囲で必要な一定のトルクを供与できるものであれば、それに適したいかなる能動または受動装置をも使用可能である。例えば、磁気クラッチは、受動式で外部電源を必要としないことから都合がよい。下記に詳しく説明しているように、実際に要求される張力にはかなりの差があるため、制動装置も変える必要がある。この目的のため、フィルムのずれを防ぐには、フィルムが前記テンションローラ76の周りに十分に巻回され、前記テンションローラ76とフィルムとの間の適切な駆動特性を確保する必要がある。
【0026】
前記制動装置78と前記テンションローラ76とを接続する鋸歯状駆動ベルトが設けられている。前記鋸歯状駆動ベルトおよびスピンドル軸62,66間の駆動機構のための共通カバー114が設けられていてもよい。
【0027】
前記第1ローラ装置34とテンションローラ76との間には、圧力ローラ機構80が存在している。前記圧力ローラ機構80は、1対の上方延在ガイド82を有している。前記テンションローラ76は軸を有しており、このテンションローラ76は、前記軸を前記方延在ガイド82に接続する1対の玉軸継手に回転可能に装着されている。これによって、前記テンションローラ76の軸を拘束したりあるいは圧力を与えることなく、前記上方延在ガイド82が独立して移動することができる。
【0028】
鉛直方向軸84が摺動可能に前記上方延在ガイド82に装着されており、この鉛直方向軸84は圧力ローラ86の駆動軸に接続されている。これによって、前記圧力ローラ86は、その駆動軸の周りを自由に回転可能とされている。前記鉛直方向軸84の上端は水平方向部材88に接続されている。
【0029】
前記圧力ローラ86を、参照番号200で示されるハンドレールに向かって下方に押圧するために、前記上方延在ガイド82内のばね89が、前記鉛直方向軸84に下向きの力を付与するように配置されている。
【0030】
先願の米国特許出願第09/252784号および米国特許第6450228号にほぼ準じた巻付機構が設けられている。この巻付機構は、まず、圧力ローラ86の動作によりフィルムをハンドレールに粘着させ、次第にハンドレールに巻きつけていき、実質的に、ハンドレールの露出部分をできる限り所望のように覆うものである。この巻付け機構は、参照番号90にて示されている。
【0031】
開示された実施形態における巻付けまたは圧縮機構90は、2つの主要部を有している。具体的には、トラフ型素子92とローラ延長装置120であり、どちらもローラを有している。2つの要素に分けることは、下記に説明するようにいくつかのメリットを供するが、前述の米国特許第6450228号のように、単一の圧縮機構を使用しても簡素化というメリットがあることを理解されたい。
【0032】
巻付けまたは圧縮機構90は、第1半シェル部92aおよび第2半シェル部92bを有するトラフ型またはシェル型素子92を備えている。図5と図5aに示すように、前記フレーム30の2つの十字部材の各々から2つの取付金具94が下方に向かって延在しており、この2つの取付金具94には2つの半シェル部92a,92bが旋回可能に装着されている。
【0033】
2つの半シェル部92a,92bは、少なくとも部分的に透明である。使用に際して、この半シェル部92a,92bの透明性によって、ローラとハンドレールとの係合状態が視覚的に検査可能となり、装置の取り付けを促進することとなる。
【0034】
トラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bは、前記主要フレーム30に取付けられている1対の取付金具94に旋回可能に装着されている。延長アーム96が両半シェル部92a,92bから上方に延在し、ハンドル98が前記延長アーム96の上端部に設置されている。したがって、前記ハンドル98を一緒に把持して押すことにより、両半シェル部92a,92bが、図5に示す位置のように開かれることになる。前記両半シェル部92a,92bを閉じるには、ハンドル98を放せばよい。各半シェル部92a,92bをそれぞれ閉じた位置において固定するため、図5Aに示されるように、単純な留め金を有するロック機構100が各取付金具94に設けられている。閉じた状態では、ローラは、ハンドレール200の表面とハンドレール200上のフィルムに対して押圧されている。
【0035】
ここで、特に図3、図5および図5aを参照すると、一連の5対のローラ101,102,103,104,105が、各半シェル部92a,92b内のローラ装着機構に回転可能に装着されている。各対の前記ローラ101〜105に関しては、ローラ101が、比較的装置の中央線に近くで、かつハンドレール200の中央線に近くに装着されている。また、前記ローラ101は、各半シェル部92a,92bの後方に向かって装着されている。前記他対のローラ102〜105は、漸次フィルムをハンドレール200に巻きつけるために、中央から漸次離間し、そして機構の前方に次第に近づくように配置される。各ローラ101〜105は短いアームに装着され、それぞれ、ローラをハンドレール200とフィルム160に対して押圧するためのばね機構を有している。
【0036】
さらに、3対のローラ106,107,108をローラ延長装置120上またはリップローラアセンブリに装着してもよい。前述のように、これらの3対のローラ106〜108は、必ずしも別々に設置する必要はないが、このように別々に設置すれば、装置10を、梱包および輸送をし易くするのに十分な部品サイズに分解することができる。さらに、こうすると少量だけ開けばよいので、トラフ型素子92の設計を簡単にできる。対のローラ108については、リップローラアセンブリ120をさらに開く必要がある。前述した先願の関連発明における実施形態に比べて、本発明の実施形態においては、フィルムをハンドレール全体に巻付けようという意図を反映して、8対のローラを備えているが、異なる数のローラの使用を含む、種々の変更が可能である。他の用途においては、少ない数のローラが適当であるかもしれないし、また、例えば、独特の四角いハンドレールの外形では、さらに多くのローラが必要かもしれない。 主に図6、図6aおよび図6bを参照すると、ローラ延長装置は、互いの鏡像となる第1部品121および第2部品122を有している。両部品121,122は旋回可能に接続され、前記主要フレーム30の取付金具126に係合する共通取付ボルト124によって装着されている(図6b)。
【0037】
前記2つの部品121,122は、それぞれサイドフランジ128を有している。最初の装着時に、ボルト124によって部品121,122に特定量の遊びまたは軸方向運動が許容され、これらの部品121,122は自由に回転可能とされている。図6aに示すように、これによって、両部品121,122が、破線で示す開いた位置から実線で示す完全に閉じた位置まで移動し、ハンドレール200の周りに完全に係合されることになる。一度完全に係合されると、取付けボルト124が完全に締結される。これによって、サイドフランジ128が取付け金具126の側面に係合され、2つの部品121,122を正確に一列に調整し正しい位置に保持する。
【0038】
第1部品121および第2部品122のそれぞれは、2対のローラ106,107を有する第1アーム130を備えている。また、第2アーム132が最後の対のローラ108に設けられている。
【0039】
各ローラ対106,107は短いアームとばね機構134とを含んでいる。ばね機構134は、他のローラ対のばね機構110と全体的に類似している。しかしながら、ハンドレール200の下部表面に対して、ローラ106,107の各々を、少なくともある程度係合させるため、ばね機構は延長軸136を有している。
【0040】
図6aに示すように、最後のローラ対108は、第2アーム132に装着されている。ローラ108は、鉛直延在ロッド142に固定された短軸140に装着されている。前記鉛直延在ロッド142は第2アームにおけるスライド移動のために装備され、コイルばね144は鉛直延在ロッド142を上方に付勢するために設けられている。このコイルばね144によって、ローラ108をハンドレール200のリップ部の下部表面に対して押圧している。
【0041】
図示されているように、前記鉛直延在ロッド142の上端部には、第1部品121および第2部品122が定位置に固定された後、タイロッド146が挿入される横孔が設けられている。このタイロッド146によって、通例両ロッド142を一緒に鉛直方向に確実に移動するとともに、ローラ108のハンドレール200下における適切な整合を確実にする。つまり、前記鉛直延在ロッド142はローラ108が整合ミスとなるような軸回転を行わないようになっている。
【0042】
前述した種々のローラは、すべてそれぞれ特有の機能に見合った表面を備えている。例えば、鉛直ローラ38およびサイドローラ48は良好なガイドおよび中央寄せ動作を可能にするため比較的硬く形成されている。また、圧力ローラ86とローラ101〜107は弾力性のカバーを備えており、そして、ローラ106は小さく、硬い表面を有していてもよい。テンションローラは、フィルム160に対して高い摩擦率を示すスポンジ状または多孔性の弾性材料により形成されたカバーを備えていてもよい。これらのローラは、例えば、ポリウレタン材料またはシリコーン材料により被覆されていてもよい。
【0043】
つぎに、図9は、本発明に使用され、また、先の米国特許第6682806号および関連米国特許出願の要件であるフィルムの概略断面図を示している。この断面図は、ハンドレールの縦方向を横切って描かれている。このフィルムは参照番号160で示され、下側に第1粘着層164を有する第1フィルム層162を備えている。貼付するまでフィルムを保護し、そしてこのフィルムをスリーブ150に巻き付けるために、周知の方法にて剥離シート166が設けられている。
【0044】
第1フィルム層162の上には、参照番号168で示すように、印刷物が設けられている。この印刷物168は、文章、ロゴ、画像などでもよく、これらの印刷物168はしばしば繰り返しパターンを有している。概略的に示しているが、他の層の厚みに大きく影響しないように、印刷物168は取るに足らないほどの厚みとされている。印刷物168は、第1フィルム層162の表面に直接印刷されている。
【0045】
印刷物168を施した後、対応する第2粘着層172を有する第2フィルム層170を第1フィルム層162上に設け、両フィルム層162,170の間に印刷物168を挟むようにする。これによって、印刷物168が保護される。 各フィルム層162,170は、好ましくは、光沢が強く透明で軟質なフィルムであり、透明なアクリル製の感圧粘着剤により被覆されているとよい。これらのフィルムは、剥離性ライナーを備えている。よって、第1フィルム層162の上面に印刷が施され、剥離性ライナーまたはシートが取り外されて、第2フィルム層170とその対応粘着剤172が第1フィルム層162の上面に設置されると、図9に示されるような複合フィルム160が形成される。
【0046】
現在供与されているフィルム160の幅は、一般的に33cm(13インチ)である。本発明の目的のためには、ある特定のハンドレールへの適用に合わせて所望の幅に切断されることになる。
【0047】
なんらかの適用に際して、第1フィルム層162および第2フィルム層170の両方に鮮明(clear)であることが要求される場合、第1フィルム層162に着色することが望ましい。よって、第1フィルム層162は、広告素材や製造業者のロゴの背景として適当な一様の色を有してもよく、その色は、ある特定の製品や製造業者と関連する色でもよい。さらに、必要であれば、第2フィルム層170が着色されていてもよい。
【0048】
本発明の他の態様は、エスカレータまたは動く歩道のハンドレールを、単純に保護するためのフィルムの使用に関する。この目的のためには、フィルム160は、単一層でもよい。このような適用の場合、第2フィルム層170およびその粘着剤172は除外してもよい。このような適用の際にも、完璧にするためには、印刷物168が第1フィルム層162の上面に施されていてもよい。しかしながら、その場合、印刷物168は保護されることなく、ハンドレール駆動機構を通過する過程において、過度の磨耗や傷などにさらされることになる。
【0049】
また、フィルムは、ハンドレールを簡単に活性化させる方法として、動作案内表示を任意に含む無地の色を有するだけでもよい。
【0050】
そのほかの点では、本発明において使用されるフィルムは、前述された米国特許第6450228号および関連米国特許出願に記載されたとおりである。このフィルムは参照番号160で示され、下側に第1粘着層を有する第1層を備えている。フィルム160は、約12.7〜76.2μm(0.5〜3.0ミル)の範囲の厚さのポリウレタンで形成され、約6.35〜25.4μm(0.25〜1ミル)の範囲の厚さの粘着剤の層を備えている。貼付されるまでフィルムを保護し、このフィルムをスリーブに巻き付けるために、周知の方法にて剥離シート166が設けられている。
【0051】
下記のフィルム厚さが、実質的に有効であるとみなされている。つまり、第1フィルムは50.8μm(2ミル)の厚さと無地色を有し、第2フィルムは透明で76.2μm(3ミル)の厚さを有している。破壊を最小限にするため、厚みを減らすか、あるいは変えてもよい。また、いくつかの用途においては、艶消し仕上げのフィルムが好まれることもある。
【0052】
下記の表に、フィルムの好ましい特質を設定する。前述のように、フィルムはポリウレタン材料で形成されていてもよい。しかし、もっと一般的には、多数の異なる熱可塑性のエラストマーの使用が望まれる。
【0053】
【表1】
【0054】
下記に詳述されるように、本発明においては、一般的に6%程度の一方向へのフィルムの予備延伸がなされる。つまり、フィルムの縦方向に6%程度のひずみが生じる。フィルム、適用形態、ハンドレール構成などによって、その正確なひずみの度合いは異なる。しかしながら、現段階において、そのようなひずみが、必然的に、フィルムに施された画像をも合わせて延伸することが認識されている。ほとんどの画像やパターンの場合、この一方向における小さい割合の延伸は、それほど大きな影響ではなく、見過ごせる程度のものである。他の画像の場合、フィルムに施された後画像が所望の比率となるように、対応して、その画像を軸方向に収縮あるいは減少させる。これにより、その長さが初期の長さのおよそ94.33%となり、そして、6%延長された際に、初期の意図された長さに戻るようにする。
【0055】
一方向の延伸が対応する垂直寸法の減少を起こすことは知られているが、軸方向の延伸は、画像の横方向に対する影響をほとんどあるいは全く及ぼさない。そして、これによって、どこでその発生が生じても埋め合わせることができる。 ここで、本発明の装置の使用について説明する。まず、フィルムがハンドレールに設置される前に、ハンドレールが適切に準備されていなければならない。ほとんどの場合、一定期間使用された後のハンドレールには、汚れや油脂の膜がついており、粘着フィルムの適切な粘着力を阻害している。最初に、元々のフィルムを取り外す必要があれば、現存のフィルムを取り外す技術を提供している前述した米国特許第6450228号および関連米国出願を参照されたい。 したがって、まず、すべての汚れと油脂を取り除くために、ハンドレールを適切な溶剤で洗浄する。そして、ハンドレールに、設置に当って妨げとなるゲージや欠陥がないかを検査する。もし深い溝がある場合、フィルムを設置する前に、ハンドレールを交換する必要があるかもしれない。
【0056】
一機のエスカレータや動く歩道に対して、作業者は、各ハンドレール用の互いに適合する2ロールのフィルムを用意する。図において、ハンドレールは参照番号200、その手摺りは198にて示され、1ロールのフィルムは174で示されている。
【0057】
装置10は手摺り198に装着され、好ましくは、図1および図2に示すように、下りエスカレータユニットにおいては、エスカレータの上部に、そして、上りエスカレータユニットにおいては、エスカレータの下部に装着される。このような位置への装着が障害物によって阻まれるときには、装置10を、ハンドレールの直線的な傾斜部における端部から離れて取付けてもよい。
【0058】
元々は、支持アーム120は組み立てられているが、輸送の際には、個々の部品に解体されてもよい。2つの部品121,122を備えるリップローラアセンブリ120が組み立てられ、主要フレーム30に取り付けられるよう準備される。
【0059】
初期の装着時において、圧力ローラのばね動作が、装置の適切な位置を妨げないように、圧力ローラ86を上昇させる。このため、水平方向部材88が持ち上げられ、つばなどがこの水平方向部材88と上方延在ガイド82の間に挿入されて圧力ローラ86の上昇位置を保持している。そして、各ローラ装置34,36のサイドローラ48を外側に十分に変位させ、ハンドレール198の周りに適度な隙間を設けている。ハンドル98を把持することによって、シェル型またはトラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bが開かれる。
【0060】
ハンドル98を把持しながら、主要フレーム30をハンドレール198の上まで下げる。そして、トラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bを、ハンドルを放しロック機構を係合することによって閉じる。この操作中に、種々のローラ101〜105の位置をモニターし、ハンドレールに適切にまた均等に接触していることを確認する。
【0061】
ここまでに、フレーム30の両端部が、ローラ38によってハンドレール200上に支持されることになる。どちらかの端部におけるノブ52を作動し、サイドローラ48を、ハンドレール200に接触するまで変位させる。これによって、装置10が、ハンドレール200に対して正確に配置され中央寄せされる。
【0062】
そして、吸盤20を手摺り198に接着する。必要であれば、調整アーム部16を要求される長さに調節し、主要フレーム30の所望の位置に合った、吸盤20の適切な位置を確保する。モータまたは制動装置78を適当な電源に接続する(受動制動装置では、必要とされない)。
【0063】
それから、ローラ延長装置120を、取付けボルト124によって主要フレーム30に取り付ける。そして、2つの部品121,122をハンドレール200を回して閉じ、ボルト124を締めて部品121,122を閉じた位置にて保持する。このとき、そのローラの動作を点検する。必要であれば、ローラ延長装置120の閉じ動作を簡単にするために、ローラをハンドレールから振り放し、そして、後に元の位置に回転させてもよい。
【0064】
このとき、もし必要であれば、ハンドレール200を短時間作動させ、フィルムをハンドレールに押圧するすべてのローラ101〜108が適切な位置に配置され所望のままに機能していることを確認してもよい。シェル型またはトラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bが透明なので、種々のローラを確認のために目視することができる。また、開いた構成のローラ延長装置120によって、その中のローラを点検することが可能となっている。
【0065】
そして、スリーブ150上の1ロール174のフィルム160をスピンドル62に装着し、剥離シートを巻き取るための巻取りロール178を第2スピンドル162に装着する。
【0066】
フィルム160の端部を初めのロールから解き、剥離シート166の端部をフィルムからはがして巻取りロールの周りに巻きつける。参照番号176にて示されるフィルムの端部を、テンションローラ76の周りと圧力ローラ86の下に通してから、ハンドレール200の上面に粘着する。フィルムの側端は、開始時に、手作業にてハンドレールに巻きつける。
【0067】
それから、ハンドレール200を短距離だけ移動または走行させる。これによって、フィルムが機構全体を通過し始め、ローラや圧力ローラ機構90が、フィルム160をハンドレール200の周りに巻きつけていく。
【0068】
フィルム160がハンドレール200に対して適切に当てられていること、つまり、フィルム160がハンドレール200の周りに適切に巻かれていること、そして、ハンドレール200の下側のハンドレール200のスロットに対して、フィルム160の端部が所望のままに整合されていること、望まれていないひだ、しわ、気泡などがないことが一旦確認されると、装置によって、ハンドレール200の全体をフィルム160により覆うこととなる。
【0069】
フィルム160をハンドレール200の全長に沿って作動させる前に、フィルム160の張力をチェックするとよい。好ましくは、このチェックは、フィルム160を短距離分だけ作動させ、ハンドレール200上のフィルム160を測定し、フィルム160に作用する延伸または緊張の度合いを調べることによって実行される。ほとんどのフィルム160が何らかの標準の繰り返しパターンを有していると予想され、フィルム160上の画像または印刷物の目だった特色間の長さは、剥離シートの延伸されていないフィルム160から知り得る。もしくは、事前に測定しておくこともできる。そして、短い長さのフィルム160がハンドレール200に当てられたあと、対応の測定を調べ、所望の緊張または延伸の度合いがフィルム160に作用しているかを確認する。正確な延伸または緊張の度合いは、例えば、個々のハンドレール200の特性、設備、温度あるいは湿度など、多くの要因に依存することが見出されている。したがって、実際には、制動装置またはモータ78によって付与されるトルクを調整することが必ず要求される。
【0070】
もし、初期に作動したフィルム160の張力が誤っているときには、そのフィルム160を排除し、張力を調整する。所望の制限以内の張力または緊張でフィルム160が当てられると、ハンドレール200を作動させてフィルム160をハンドレール200の全体に沿って設置する。一方のハンドレール200がフィルム160により被覆されたら、その後、他方のハンドレール200が同じ処理を受けることになる。
【0071】
一般的に、試験ストリップとして、エスカレータを3メートル走行または作動させる。その間、フィルム160の端がローラ101〜108によって折り曲げられないように注意する。整合性、気泡やしわの存在、または他の欠陥などについて、フィルム160をチェックする。フィルムロール174のスピンドル60上における位置を調整してフィルム160を中央寄せし、必要があれば、圧力ローラ86によって付与される圧力を調整する。
【0072】
フィルム160の延伸は、フィルム160の繰り返し長を測定することによって計算される。元の未延伸の繰り返し画像をX、延伸された画像をYとすると、その延伸は下記のように計算される。
延伸率 = ((Y−X)/X)×100
【0073】
一般的に、所望の延伸はおよそ6%である。もし、延伸率が低すぎるなら、モータまたは制動装置78の制御装置の設定を上げ、反対に、延伸率が高すぎる場合には、設定を下げる。
【0074】
下記の表2は、制動装置78の参考設定を表しており、常に6%の延伸または緊張を得るために必要な引張り力には、相当の差があることを示している。
【0075】
【表2】
【0076】
その延伸をテストするために、ハンドレール200をさらに2〜3メートル走行または作動させる。前述した測定または計算を再び実行し、延伸率を特定する。所望の延伸度合いが得られるまで、この動作を必要回数だけ繰り返す。 一旦所望の延伸となると、フィルムの試験箇所を引張って取り除く。そして、はさみまたはナイフを用いて、ハンドレール200自体を傷つけたり切り込みをいれたりしないように気を付けながら、フィルムの端部を、ハンドレール200の縦軸に対して80〜85度の角度できれいに切り取る。これによって、参照番号183にて示される、実際に傾斜したフィルム端を有する、第1フィルム端部182を得ることができる(図10aの破線)。
【0077】
図8aに示すように、圧力ローラ86の影響下において、フィルム160は、最初、ハンドレール200と接触する際には、平面において平坦である。前述した張力機構によって、所望のひずみや予備延伸を付与している。一般的に、これは6%程度のものであり、更に、フィルムにおけるパーセントひずみとして、5〜8%の範囲で測定されることが、一般的に期待されている。
【0078】
フィルム160をさらにハンドレール200に沿って引張ると、図8bに示すように、ローラ101〜108によって、フィルムが完全にハンドレール200に接触するまで、徐々にハンドレール200に巻き付けられていく。
【0079】
そして、フィルム160が全ハンドレール200に設置可能となる。エスカレータまたは動く歩道のスタートボタンが、1回の完全な運行のために作動され、そして、フィルム160が、約1.5〜2メートルほど第1フィルム端部に重なったときに止められる(図10、完全な重複は図示していない)。そして、フィルム160が切断され、フィルム端部を十分に装置(アプリケータ)10から出すために、エスカレータまたは動く歩道を走行または作動させる。
【0080】
それから、装置10を取り外すか、または、取り除いてもよい。まず、ローラ延長装置120を、主要フレーム30から外し、取り除く。支持アーム12と吸盤20を取り除き、サイドローラ48を緩める。トラフ型素子92の半シェル部92a,92bのロック機構100を開く。半シェル部92a,92bをハンドル98によって開いた状態で保持し、装置10を手摺り198から取り外す。そして、他方のハンドレール200にフィルム160を施す必要があれば、そちらに移動するか、あるいは、輸送のために完全に解体、荷造りできるように単純に置いておく。必要であれば、吸盤20によって残された黒い残留物を手摺りから取り除いておく。
【0081】
そして、本発明のさらに他の態様として、ハンドレール200の両端部用のヒートシール継ぎ目を形成している。フィルム160の最後の切断が施された後、実質的なフィルム端または縁185を有する第2フィルム端部184が形成される(図10)。
【0082】
第2フィルム端部184は、フィルム160の重なった部分における余分なフィルム160の適切量を、フィルム160の重複部分における印刷またはパターンが適切に整合するか、あるいは、不整合があまり認識できない程度になるまで、引張り上げる。フィルム160の上端部を、ハンドレール200の軸に対して80〜85度の角度で切り取り、第2フィルム端部184のフィルム端185を形成する。そして、端部184を手で滑らかに押さえ、気泡やしわがないことを確認する。
【0083】
フィルムが予備延伸の対象となっていることから、フィルムの滑動を防ぐため、ハンドレール200にフィルム160を固定するための粘着剤の使用は不適当であることがわかった。粘着剤を使用すると、短時間でフィルムの張力が端部182,184を滑動作させ始めることになるからである。
【0084】
図10に示すように、ヒートシール封止こて190が使用される。参照番号192にて示されるように、フィルムキャップが設けられている。このフィルムキャップ192は、ほぼ長方形であり、剥離シートを備えている。また、このフィルムキャップ192は、フィルム160自体と同じ材料で形成されており、フィルムキャップ192の厚さに関しては、異なる厚さでもよいとされているが、好ましくは、フィルム160の1つの層と同じ厚さを有しているとよい。このフィルムキャップ192は透明である。例えば、フィルムキャップ192は約12.7〜76.2μm(0.5〜3.0ミル)の範囲の厚さを有し、10〜25mmの範囲の幅を有している。
【0085】
フィルムキャップ192のライナーまたは剥離シートを取り除き、重複しているフィルム端部182,184の上から、対照的に配置する。言い換えると、露出している上側のフィルム端185がフィルムキャップ192を二分するように調整する。
【0086】
それを均等に平滑にし、繰り返しになるが、しわや気泡がないように確認する。
【0087】
それから、中央から側部に向かって、ヒートシール封止こて190を、フィルムキャップ192に対して押圧する。これは、ゆっくりと均等に、均一の圧力で作用し、フィルムキャップ192をフィルム端部182,184にヒートシールする。つまり、フィルムキャップ192をフィルム160の上面に融合または接着させるのである。
【0088】
フィルム160に接着されないように、ヒートシール封止こて190が、非付着性の表面、例えばポリ4フッ化エチレン(テフロン:商標)表面を有しているとよいことが見出されている。使用されるテフロン表面は、フィルムキャップ192上に残る可能性のある表面パターンまたは外観を有している。しかしながら、これによって、フィルムキャップ192が、フィルム160に適切にヒートシールまたは接着されたことを確認できるというメリットがある。フィルムキャップ192の接着は、目視検査、または、操作者が、自身の指を使ってフィルムキャップ192の縁をつまむことによって検査することができる。 最終的に、ハンドレール200のリップ部の縁におけるフィルムキャップ192の過剰部分を、はさみによって切り取る。
【0089】
そして、ハンドレールの全体長におけるフィルムの最終検査を実行する。これほどの注意を払っても、気泡が時折発生する場合もある。この場合、皮下注射器で刺したり、徐々に気泡を圧搾して気泡中の空気を押し出し、フィルム160の全体をハンドレール200の表面に接着させるようにすることで解消できる。大きな気泡に関しては、針で多数の刺し孔を開ける必要があるかもしれない。
【0090】
前述したように、ハンドレール200に軟質のフィルム160を取付けるにあたっての問題は、使用中に、ハンドレール200が伸縮することである。図8bに、参照番号240にてハンドレール200の中立軸が示されている。これは、242にて概略的に示される張力素子によって特定されており、張力素子242は、通常、同一平面上にある一連のスチールケーブルである。さらに、図8bに示すように、これらのスチールケーブル242によって、ハンドレール200の上面が、中立軸240から距離D1だけ離間し、参照番号244にて示されるリップ部の下部が、中立軸240から距離D2だけ離間することになる。言い換えると、これらのスチールケーブル242は、一般的に弾性エラストマー材料により形成されているハンドレール200の残りの部位よりもかなり高い弾性率を有しているため、中立軸240の位置を特定するのは、ほとんど特に延伸抑制スチールケーブル242の特質によるものである。距離D2は、距離D1よりもかなり大きい。
【0091】
参照番号246にて示されるように、本出願人による先願において、フィルム160を、246にて示される箇所の近辺、つまり、ハンドレール200の最も広い箇所のやや下側の、248にて示される線である、ハンドレールの肩部250の中央にて、リップ部の周りに部分的に巻きつけることが提案されていた。このようにしても、フィルム160の縁246は、その位置においてすら、中立軸に対してかなり下側になる。その結果、ハンドレール200が、例えば、エスカレータの端部にてローラの周りを通過する際、中立軸240の下のハンドレール体が圧縮されることになる。一方、中立軸240の上のハンドレール体は、延伸される。フィルム160にとって延伸されることは問題ではない。第一に、上面が中立軸240から比較的短い距離D1しか離間していないため、延伸の度合いが比較的小さい。第二に、フィルム160は、必要な度合いの延伸に耐性を有し、その程度の延伸によってフィルム160がハンドレール200から取り外されてしまうようなことはないのである。
【0092】
縁246に向けて伸びているフィルムの端部に問題が発生する。縁246自体は中立軸240より大分下に位置しており、ハンドレールに粘着された状態を保持するには、相当量の圧縮が要求される。実際には、繰り返し使用された後の縁246には、しわまたはひだ現象を発生する傾向があることがわかった。つまり、縁246には、ハンドレール200からしわによって剥がれた短い部分と、ハンドレール200に接着されたままの短い部分とが交互に生じ、これによって中立軸240の下側のハンドレール部の圧縮に順応している。
【0093】
したがって、本発明では、フィルム160に予備延伸を施している。これにより、フィルムの緊張、または%伸長率として測定される予備延伸の度合いを、少なくともフィルム長における圧縮減少の最大値、つまり、使用中に起こり得る負の伸びよりも大きくすることができる。これによって、ハンドレール200が伸縮したとしても、フィルム160の全体が、常にぴんと張った状態に保たれる。ハンドレール200自体、特にリップ部244に向かっての箇所が、相当の圧縮ひずみに曝されることになるが、フィルム160に作用する正味のひずみは、常に、引張り歪みである。そのため、フィルム160がハンドレール体200から持ち上げられてしまうようなことはないのである。
【0094】
このような予備延伸により、ハンドレール200上のフィルム160の上部に作用する総合的な引張り負荷は増加するが、中立軸240から比較的短い距離D1であるため、フィルム160に作用する総合的な引張り歪みは、それでも、許容範囲内である。特定のハンドレール設計に関しては、フィルム160の構成および材料の選択によっては、過剰な引張り負荷がフィルム160に作用することになる。そのような場合、フィルム160の予備延伸を減らしてもよい。そうすれば、フィルム160の縁には、小さい圧縮ひずみが作用することとなる。これらを小さくすることによって、フィルム160をハンドレール200に接着するために使用される粘着剤が、目だったしわやひだ現象を発生することなく、圧縮ひずみに耐えることができる。
【0095】
先願の発明においては、246にて示すように、フィルム160に過剰な圧縮ひずみを作用させないように、フィルム160の縁を、ハンドレール200の胴部の比較的高い位置に配置していた。本発明においては、これらの圧縮ひずみが完全に除去されているか、あるいは、少なくとも許容範囲のレベルまで減少されているため、フィルム160を、例えば参照番号252や254にて示される位置の周りまで延長でき得ることが考察される。縁252は、遠くリップ部242の近辺に位置し、縁254は、フィルム160が、およそリップ部244の端部まで伸びるものとみなしている。ハンドレール本体のかなり下に位置する縁は、ユーザには見えにくくはっきりしないため、これは理想的なことである。縁が何らかの方法で見えるか、または、ユーザがハンドレールを手で把持した際に、その感触によって縁を感知することができる場合、それらの縁をつまむ傾向のあるユーザを奨励することになる。時が経ち、また繰り返しの使用によって、縁が傷つけられ、その結果、フィルム160が、かなりもしくは多少の範囲において分離されたり、フィルム160の全体またはフィルム160の一部がハンドレール駆動機構に巻き込まれたりする可能性がある。
【0096】
特に、ハンドレール200にフィルム160を巻きつける度合いは、調整可能であり、それは、個々のハンドレール200の外形と設備に依存する。フィルム160の縁をユーザからしっかりと遠ざけ、何らかの理由によってフィルム160を剥がそうとする人々に簡単に届かないようにするにあたって、フィルム160を、大きく離してハンドレール200のリップ部の周りに巻きつけることは有益である。一方、リップ部の周り全体にフィルム160を巻きつけた箇所では、ハンドレール200がローラなどの周りを走行する際に、座屈する可能性がある。したがって、常に、これらの2つのパラメータの間で、妥協点を見出すことが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係るフィルムを貼付する装置をエスカレータの手摺り上にて使用する実施形態を示す斜視図
【図2】図1に示す貼付装置、手摺りおよびハンドレールを詳細に示す拡大斜視図
【図3】図1の貼付装置の下方からの斜視図
【図4】図1の貼付装置の後ろ側端部の斜視図
【図5】図1の貼付装置における押圧機構のトラフ型素子の開いた状態を示す端面図
【図5a】図5のトラフ型素子の閉じた状態を示す端面図
【図6】図1の貼付装置に使用されるローラ延長装置の開いた状態を示す端面図
【図6a】図6のローラ延長装置の閉じた状態を示す端面図
【図6b】図6のローラ延長装置をトラフ型素子に装着する状態を詳細に示す斜視図
【図7】図1の貼付装置の動作を示すための貼付装置、手摺りおよびハンドレールの側面図
【図8a】フィルムをハンドレール上に載置した状態を概略的に示す説明図
【図8b】図8aのフィルムをハンドレールに巻き付ける状態を概略的に示す説明図
【図9】フィルムの実施形態を示す縦断面図
【図10a】フィルムの継ぎ目を示す平面図
【図10b】フィルムの継ぎ目にフィルムキャップを取付ける状態を示す斜視図
【図10c】こてを用いてフィルムの端部にフィルムキャップを接着する状態を示す斜視図
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道のハンドレールに係り、特に、このようなハンドレールの表面に、広告やその他の可視素材を適宜含有する保護膜を貼付することに関する。
【背景技術】
【0002】
広告主は、常に広告を配置する新しい場所を探している。様々な集団輸送システム等が、広告を出すにあたってよい環境であることは以前から知られている。したがって、集団輸送システムには広告を見る可能性のある乗客が多数存在してはいるものの、たくさんの人々に見てもらえるような良い位置に配置される広告は、比較的少ないのである。集団輸送システムでの移動というのは、常に、どちらかといえば時間のかかるものであり、したがって、そのようなシステムで移動する人々には、広告を見たり読んだりする時間が十分にある。そして、それはビジネスにとって広告を更に魅力的なものとしている。このことは古くからよく認識されており、広告主は広告を配置するために様々な場所を捜し求めているのである。
【0003】
エスカレータや動く歩道は、多くの集団輸送システムにおける一般的な要素であり、例えば、大きなオフィスビル、ショッピングモール、大きな店舗などのように高いレベルの歩行者往来がある数多くの場所に設置されている。エスカレータでの移動は、例えば地下鉄での移動に比べて短時間ではあるが、それでも広告を見る可能性のある乗客を提供してくれる。エスカレータに乗っている時間は比較的短いが、乗客が広告に気がついて、その広告を見るには十分な長さである。さらに、エスカレータの乗客が、エスカレータに乗っている間にそれ以外のこと、例えば、本や新聞を読んだりすると考えるのは現実的ではない。
【0004】
広告主は、古くからこのことを認識しており、利用度の高いエスカレータにおいては、様々な広告パネルをよく見かける。よって、従来の広告ポスターがエスカレータのシャフトの壁に並べて貼られているのを、しばしば目にすることがある。さらにまた、広告主は、より小さなパネルにより小さなポスター状の広告を配置し、上りと下りのエスカレータ間の手摺りを分けるストリップ部の上に掲載することもしている。一般に、上りと下りの両方の乗客に見えるように、広告は両側に掲示されている。
【0005】
独創的な広告主は、エスカレータに広告を掲載するための他の方法を捜し求め、そして、広告がエスカレータのハンドレールに配置可能であることに気づいたのである。エスカレータのハンドレールの表面はそれ以外に使用されることはないため、これは魅力的なアイデアである。何かを把持するときには必ずそうするように、エスカレータに乗る人は、ハンドレールの場所を確認するために、本能的に、まずハンドレールを見ることになる。ということは、通常、エスカレータの各使用者または乗客は、少なくともハンドレールを一瞥するものである。これは、例えば、熟知された会社のロゴや他の広告装置など、単純な広告にとっては、魅力的なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハンドレールの表面に、連続的であり取り外し可能なフィルムを貼付するという概念に基づいたものである。
【0007】
先願の米国特許出願第09/252784号およびその一部継続出願から発行された米国特許第6450228号においては、粘着層を備えた軟質フィルムを、予備延伸や伸長をすることなくハンドレールに貼付していた。ハンドレールが、例えば、エスカレータまたは動く歩道の端部においてプーリを通過するとき、ハンドレールは彎曲し、そして周知のようにハンドレールの上部は延伸され、下部は圧縮されることになる。スチールケーブルや延伸抑制装置が、ハンドレールの上部に位置する中立軸を明確にする役割を、確実に果たしているのである。その結果、スチールケーブル上のハンドレールの上部の一部が延伸または伸長され、ハンドレールの上部における下位部分およびリップ部が圧縮されることになる。リップ部が中立軸のかなり下に延長されているため、ハンドレールが端部のプーリを通過する際などに、これらのリップ部は相当に圧縮されることなる。
【0008】
フィルムがハンドレールに貼付されるということは、リップ部の上に位置するそのフィルムの端部も、同様に圧縮されるということである。実際には、これがフィルムの端部にしわを寄せたりひだをつけたりする結果となる。ハンドレールの彎曲によって生じる圧縮にさらされた場合、使用されている粘着剤は、フィルムの最外端とハンドレールとの接着力を保持することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る細長いハンドレールとこのハンドレールに接着された軟質フィルムとの組み合わせは、前記フィルムが、第1フィルム層と、この第1フィルム層を前記ハンドレールに接着するために前記第1フィルム層と前記ハンドレールの間に設けられている粘着剤の第1層とを備えており、前記フィルムが伸長状態の前記ハンドレール上に貼付され、これによって、フィルムが所望の予備延伸を得て、前記フィルムの縁が圧縮ひずみに曝されたときに、その縁が前記ハンドレールから分離する可能性を少なくとも減少させることを特徴としている。
【0010】
本発明の別の態様に係る軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法は、
(1)第1フィルム層と、この第1フィルム層の内側に位置する粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く前記ハンドレールの幅に対応する幅を有しているフィルムを設置する工程と、
(2)前記フィルムの第1端部を、前記ハンドレールの表面に対して整合し、接着する工程と、
(3)前記フィルムに、実質的に一定の引張荷重を与え、所望の度合いのひずみを前記フィルムに施す工程と、
(4)前記ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、前記予備延伸されたフィルムを継続的ならびに徐々に前記ハンドレールに接着させる工程と、
(5)前記フィルムの全幅が、前記ハンドレールの表面に均一および滑らかに接着されていることを確認する工程と
を含むことを特徴としている。
【0011】
本発明の更に別の態様であるハンドレールの表面に連続的なループとして接着されるフィルムの2つの端部間の継ぎ目を形成する方法は、
(1)フィルムキャップを取り付け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部の表面に接着する工程と、
(2)前記フィルムの端部を整合された状態に保つために、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部に融合させる工程と
を含むことを特徴としている。
【0012】
また、本発明は粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置を具備しており、この装置は、装置を手摺りに取り付けるための取り付け手段と、第1ロールのフィルムを取り付けるための第1スピンドル手段と、前記フィルムが前記ハンドレールに貼付される前に、所望の量のひずみを付すため、前記フィルムに張力を与えるための張り装置と、前記フィルムに圧力を与え、前記ハンドレールに前記フィルムを接着させるための圧力手段とを備えており、使用に際して、前記ハンドレールが前記装置を通って駆動され、前記圧力手段によって、前記フィルムが前記第1ロールから解かれて、前記フィルムを前記ハンドレールに接着させ、前記張り装置によって、前記フィルムを予備延伸することを特徴としている。
【0013】
本発明は軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法を具備しており、この方法は、所望の度合いの予備延伸または伸長を施すことを特徴としている。繰り返すが、エスカレータのハンドレールと言うときには、動く歩道のハンドレールをも包含している。第1工程において、第1フィルム層と、その外側に粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く、前記ハンドレールの幅に対応する幅を有するフィルムを設置する。そして、前記フィルムをハンドレールに対して整合し、フィルムの第1端部を、ハンドレールの表面に接着する。それから、ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、フィルムを継続的、そして徐々に前記ハンドレールに接着させる。同時に、前記フィルムにひずみを付して、予備張力または予備延伸をフィルムに施す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のより深い理解と、いかにその効果が発揮されるかを更に明瞭にするため、本発明の最良の実施形態を明確にする添付図面を参照するものである。
【0015】
本発明に係る、フィルムをハンドレールに貼付する装置の基本的な構成と使用形態が図1および図7に示されている。その基本原理は、2002年9月17日発行の米国特許第6450228号にて開示された装置と同じであり、その内容は、この参照によりここに包含される。
【0016】
本装置は参照番号10にて図1に示され、他の図面にて詳細に示される実際のエスカレータハンドレール200を有するエスカレータの手摺り198に取付けられている。この装置10は、手摺り198への取り付けのために吸盤20に取付けられた第1および第2支持アーム12を有している。
【0017】
前記各支持アーム12は、主アーム部14、ほぼ垂直に延在している調整可能アーム部16およびトップアーム部18を備えた三角構造をなしている。前記調整可能アーム部16は調整可能ねじ込み素子を備えており、前記アーム部16の長さの調節を可能としている。前記主アーム部14が吸盤20に旋回可能に装着され、この配置によって異なる手摺り構成に装着可能とされ、前記装置10の可動部が確実にハンドレールに対して適切な位置に来るようにされている。このようにして前記各種アーム部14,16,18は旋回可能に接続されている。
【0018】
前記トップアーム部18の端部には、前記装置10の主要フレーム30に取付けられるための取付金具22が設けられている。前記主要フレーム30は、複数の離間された孔部または装着箇所32を有しており、前記支持アーム12が異なる位置に固定可能となっている。前記支持アーム12を前記フレーム30の両側に装着するため、そしてエスカレータまたは動く歩道の両側に装着し、ひいては、特定の手摺りの一方の側に装着するため、2セットまたは2列の孔部32がフレーム30の2面に穿設されている。繰り返すが、これは異なる手摺り構成198に対応するためであり、また、多くの手摺りには吸盤20を配置するための継続的な滑らかな表面がないため、アーム12の離間と配置箇所を所望のままに変更可能にするためである。好ましくは、前記取付金具22を簡単にねじ止めするために、前記孔部12もしくは取付金具22の孔のどちらかがねじ山を有しているとよい。前記取付金具22を留め金で固定するために、取付金具22は、一方に単純な円筒形孔を有し他方にねじ孔を有するU字型とすることができる。
【0019】
前記主要フレーム30は、いずれかの端部に調整ローラ装置34,36を備えている。これらの調整ローラ装置34,36はほぼ一致しているため、一方のローラ装置34のみについてその簡単な特徴を図4を参照して説明する。
【0020】
前記ローラ装置34は、取付金具40によって前記主要フレーム30に装着された中央ローラ38を有している。側部取付金具42は1対の平行な横方向案内ロッド44,44を支持しており、これらの横方向案内ロッド44には1対のサイドローラ48,48用の各支持金具46が装着されている。
【0021】
作動ノブ52を一方の端部に有するねじ棒50が、前記側部取付金具42に回転可能に取り付けられている。ねじ棒50は、軸の両端に、支持金具46に係合する対向するねじ部を有している。その結果、前記作動ノブ52の回転によって、2つの支持金具46とそのサイドローラ48を、相互に内側に向けて移動させるか、あるいは、相互に外側に離れるように移動させることになる。 第1スピンドルアーム60(図3および図7)が、前記主要フレーム30から上方に延在するように設けられている。ハンドレールに貼付するための1ロールのフィルムを装着するため、第1スピンドル62が、前記第1スピンドルアーム60に設けられている。
【0022】
鉛直方向に延在する第2アーム64が設けられており、この第2アーム64は、第2スピンドル66を支持している。使用の際には、前記第2スピンドル66がフィルムロールと係合され、フィルムからの剥離シートを巻き取るようになっている。
【0023】
鋸歯状の駆動ベルトのような駆動ベルトなどの駆動機構68がスピンドル62,66を結合するように設けられており、使用の際、巻き取りロール用のスピンドル66が、スピンドル62によって駆動されるようになっている。2つのスピンドル62,66間にはギヤ比が形成されており、2つのスピンドル62,66上のロールの全ての有効径に対して、巻き取り用前記第2スピンドル66上のロールの外周をより高速に駆動しようとしている。そして、スリップクラッチが前記駆動機構68に設けられ、スピンドル66に作用する過剰な速度を生じないようになっている。これによって、前記第2スピンドル66のロールに巻かれている剥離シートに作用する張力を、有効かつ適切に保つことができる。
【0024】
また、1対の上方に延在する取付金具70,72が前記主要フレーム30の上部に設けられている。剥離シート案内ローラ74(図7)が前記取付金具70,72の間に回転可能に設けられており、剥離シートを前記第2スピンドル66上のロールに導くようになっている。また、テンションローラ76が、前記取付金具70,72間に回転するように装着され、このテンションローラ76は、制動装置またはテンションモータ78に接続されている。
【0025】
前記制動装置78は、従来の110V交流入力を要する実質的に一定のトルクを与える小さな外形の電気モータでもよい。このトルクはフィルムへの均一の張力に変換されて、テンションローラ76へと伝達される。しかしながら、実際のフィルム速度の範囲で必要な一定のトルクを供与できるものであれば、それに適したいかなる能動または受動装置をも使用可能である。例えば、磁気クラッチは、受動式で外部電源を必要としないことから都合がよい。下記に詳しく説明しているように、実際に要求される張力にはかなりの差があるため、制動装置も変える必要がある。この目的のため、フィルムのずれを防ぐには、フィルムが前記テンションローラ76の周りに十分に巻回され、前記テンションローラ76とフィルムとの間の適切な駆動特性を確保する必要がある。
【0026】
前記制動装置78と前記テンションローラ76とを接続する鋸歯状駆動ベルトが設けられている。前記鋸歯状駆動ベルトおよびスピンドル軸62,66間の駆動機構のための共通カバー114が設けられていてもよい。
【0027】
前記第1ローラ装置34とテンションローラ76との間には、圧力ローラ機構80が存在している。前記圧力ローラ機構80は、1対の上方延在ガイド82を有している。前記テンションローラ76は軸を有しており、このテンションローラ76は、前記軸を前記方延在ガイド82に接続する1対の玉軸継手に回転可能に装着されている。これによって、前記テンションローラ76の軸を拘束したりあるいは圧力を与えることなく、前記上方延在ガイド82が独立して移動することができる。
【0028】
鉛直方向軸84が摺動可能に前記上方延在ガイド82に装着されており、この鉛直方向軸84は圧力ローラ86の駆動軸に接続されている。これによって、前記圧力ローラ86は、その駆動軸の周りを自由に回転可能とされている。前記鉛直方向軸84の上端は水平方向部材88に接続されている。
【0029】
前記圧力ローラ86を、参照番号200で示されるハンドレールに向かって下方に押圧するために、前記上方延在ガイド82内のばね89が、前記鉛直方向軸84に下向きの力を付与するように配置されている。
【0030】
先願の米国特許出願第09/252784号および米国特許第6450228号にほぼ準じた巻付機構が設けられている。この巻付機構は、まず、圧力ローラ86の動作によりフィルムをハンドレールに粘着させ、次第にハンドレールに巻きつけていき、実質的に、ハンドレールの露出部分をできる限り所望のように覆うものである。この巻付け機構は、参照番号90にて示されている。
【0031】
開示された実施形態における巻付けまたは圧縮機構90は、2つの主要部を有している。具体的には、トラフ型素子92とローラ延長装置120であり、どちらもローラを有している。2つの要素に分けることは、下記に説明するようにいくつかのメリットを供するが、前述の米国特許第6450228号のように、単一の圧縮機構を使用しても簡素化というメリットがあることを理解されたい。
【0032】
巻付けまたは圧縮機構90は、第1半シェル部92aおよび第2半シェル部92bを有するトラフ型またはシェル型素子92を備えている。図5と図5aに示すように、前記フレーム30の2つの十字部材の各々から2つの取付金具94が下方に向かって延在しており、この2つの取付金具94には2つの半シェル部92a,92bが旋回可能に装着されている。
【0033】
2つの半シェル部92a,92bは、少なくとも部分的に透明である。使用に際して、この半シェル部92a,92bの透明性によって、ローラとハンドレールとの係合状態が視覚的に検査可能となり、装置の取り付けを促進することとなる。
【0034】
トラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bは、前記主要フレーム30に取付けられている1対の取付金具94に旋回可能に装着されている。延長アーム96が両半シェル部92a,92bから上方に延在し、ハンドル98が前記延長アーム96の上端部に設置されている。したがって、前記ハンドル98を一緒に把持して押すことにより、両半シェル部92a,92bが、図5に示す位置のように開かれることになる。前記両半シェル部92a,92bを閉じるには、ハンドル98を放せばよい。各半シェル部92a,92bをそれぞれ閉じた位置において固定するため、図5Aに示されるように、単純な留め金を有するロック機構100が各取付金具94に設けられている。閉じた状態では、ローラは、ハンドレール200の表面とハンドレール200上のフィルムに対して押圧されている。
【0035】
ここで、特に図3、図5および図5aを参照すると、一連の5対のローラ101,102,103,104,105が、各半シェル部92a,92b内のローラ装着機構に回転可能に装着されている。各対の前記ローラ101〜105に関しては、ローラ101が、比較的装置の中央線に近くで、かつハンドレール200の中央線に近くに装着されている。また、前記ローラ101は、各半シェル部92a,92bの後方に向かって装着されている。前記他対のローラ102〜105は、漸次フィルムをハンドレール200に巻きつけるために、中央から漸次離間し、そして機構の前方に次第に近づくように配置される。各ローラ101〜105は短いアームに装着され、それぞれ、ローラをハンドレール200とフィルム160に対して押圧するためのばね機構を有している。
【0036】
さらに、3対のローラ106,107,108をローラ延長装置120上またはリップローラアセンブリに装着してもよい。前述のように、これらの3対のローラ106〜108は、必ずしも別々に設置する必要はないが、このように別々に設置すれば、装置10を、梱包および輸送をし易くするのに十分な部品サイズに分解することができる。さらに、こうすると少量だけ開けばよいので、トラフ型素子92の設計を簡単にできる。対のローラ108については、リップローラアセンブリ120をさらに開く必要がある。前述した先願の関連発明における実施形態に比べて、本発明の実施形態においては、フィルムをハンドレール全体に巻付けようという意図を反映して、8対のローラを備えているが、異なる数のローラの使用を含む、種々の変更が可能である。他の用途においては、少ない数のローラが適当であるかもしれないし、また、例えば、独特の四角いハンドレールの外形では、さらに多くのローラが必要かもしれない。 主に図6、図6aおよび図6bを参照すると、ローラ延長装置は、互いの鏡像となる第1部品121および第2部品122を有している。両部品121,122は旋回可能に接続され、前記主要フレーム30の取付金具126に係合する共通取付ボルト124によって装着されている(図6b)。
【0037】
前記2つの部品121,122は、それぞれサイドフランジ128を有している。最初の装着時に、ボルト124によって部品121,122に特定量の遊びまたは軸方向運動が許容され、これらの部品121,122は自由に回転可能とされている。図6aに示すように、これによって、両部品121,122が、破線で示す開いた位置から実線で示す完全に閉じた位置まで移動し、ハンドレール200の周りに完全に係合されることになる。一度完全に係合されると、取付けボルト124が完全に締結される。これによって、サイドフランジ128が取付け金具126の側面に係合され、2つの部品121,122を正確に一列に調整し正しい位置に保持する。
【0038】
第1部品121および第2部品122のそれぞれは、2対のローラ106,107を有する第1アーム130を備えている。また、第2アーム132が最後の対のローラ108に設けられている。
【0039】
各ローラ対106,107は短いアームとばね機構134とを含んでいる。ばね機構134は、他のローラ対のばね機構110と全体的に類似している。しかしながら、ハンドレール200の下部表面に対して、ローラ106,107の各々を、少なくともある程度係合させるため、ばね機構は延長軸136を有している。
【0040】
図6aに示すように、最後のローラ対108は、第2アーム132に装着されている。ローラ108は、鉛直延在ロッド142に固定された短軸140に装着されている。前記鉛直延在ロッド142は第2アームにおけるスライド移動のために装備され、コイルばね144は鉛直延在ロッド142を上方に付勢するために設けられている。このコイルばね144によって、ローラ108をハンドレール200のリップ部の下部表面に対して押圧している。
【0041】
図示されているように、前記鉛直延在ロッド142の上端部には、第1部品121および第2部品122が定位置に固定された後、タイロッド146が挿入される横孔が設けられている。このタイロッド146によって、通例両ロッド142を一緒に鉛直方向に確実に移動するとともに、ローラ108のハンドレール200下における適切な整合を確実にする。つまり、前記鉛直延在ロッド142はローラ108が整合ミスとなるような軸回転を行わないようになっている。
【0042】
前述した種々のローラは、すべてそれぞれ特有の機能に見合った表面を備えている。例えば、鉛直ローラ38およびサイドローラ48は良好なガイドおよび中央寄せ動作を可能にするため比較的硬く形成されている。また、圧力ローラ86とローラ101〜107は弾力性のカバーを備えており、そして、ローラ106は小さく、硬い表面を有していてもよい。テンションローラは、フィルム160に対して高い摩擦率を示すスポンジ状または多孔性の弾性材料により形成されたカバーを備えていてもよい。これらのローラは、例えば、ポリウレタン材料またはシリコーン材料により被覆されていてもよい。
【0043】
つぎに、図9は、本発明に使用され、また、先の米国特許第6682806号および関連米国特許出願の要件であるフィルムの概略断面図を示している。この断面図は、ハンドレールの縦方向を横切って描かれている。このフィルムは参照番号160で示され、下側に第1粘着層164を有する第1フィルム層162を備えている。貼付するまでフィルムを保護し、そしてこのフィルムをスリーブ150に巻き付けるために、周知の方法にて剥離シート166が設けられている。
【0044】
第1フィルム層162の上には、参照番号168で示すように、印刷物が設けられている。この印刷物168は、文章、ロゴ、画像などでもよく、これらの印刷物168はしばしば繰り返しパターンを有している。概略的に示しているが、他の層の厚みに大きく影響しないように、印刷物168は取るに足らないほどの厚みとされている。印刷物168は、第1フィルム層162の表面に直接印刷されている。
【0045】
印刷物168を施した後、対応する第2粘着層172を有する第2フィルム層170を第1フィルム層162上に設け、両フィルム層162,170の間に印刷物168を挟むようにする。これによって、印刷物168が保護される。 各フィルム層162,170は、好ましくは、光沢が強く透明で軟質なフィルムであり、透明なアクリル製の感圧粘着剤により被覆されているとよい。これらのフィルムは、剥離性ライナーを備えている。よって、第1フィルム層162の上面に印刷が施され、剥離性ライナーまたはシートが取り外されて、第2フィルム層170とその対応粘着剤172が第1フィルム層162の上面に設置されると、図9に示されるような複合フィルム160が形成される。
【0046】
現在供与されているフィルム160の幅は、一般的に33cm(13インチ)である。本発明の目的のためには、ある特定のハンドレールへの適用に合わせて所望の幅に切断されることになる。
【0047】
なんらかの適用に際して、第1フィルム層162および第2フィルム層170の両方に鮮明(clear)であることが要求される場合、第1フィルム層162に着色することが望ましい。よって、第1フィルム層162は、広告素材や製造業者のロゴの背景として適当な一様の色を有してもよく、その色は、ある特定の製品や製造業者と関連する色でもよい。さらに、必要であれば、第2フィルム層170が着色されていてもよい。
【0048】
本発明の他の態様は、エスカレータまたは動く歩道のハンドレールを、単純に保護するためのフィルムの使用に関する。この目的のためには、フィルム160は、単一層でもよい。このような適用の場合、第2フィルム層170およびその粘着剤172は除外してもよい。このような適用の際にも、完璧にするためには、印刷物168が第1フィルム層162の上面に施されていてもよい。しかしながら、その場合、印刷物168は保護されることなく、ハンドレール駆動機構を通過する過程において、過度の磨耗や傷などにさらされることになる。
【0049】
また、フィルムは、ハンドレールを簡単に活性化させる方法として、動作案内表示を任意に含む無地の色を有するだけでもよい。
【0050】
そのほかの点では、本発明において使用されるフィルムは、前述された米国特許第6450228号および関連米国特許出願に記載されたとおりである。このフィルムは参照番号160で示され、下側に第1粘着層を有する第1層を備えている。フィルム160は、約12.7〜76.2μm(0.5〜3.0ミル)の範囲の厚さのポリウレタンで形成され、約6.35〜25.4μm(0.25〜1ミル)の範囲の厚さの粘着剤の層を備えている。貼付されるまでフィルムを保護し、このフィルムをスリーブに巻き付けるために、周知の方法にて剥離シート166が設けられている。
【0051】
下記のフィルム厚さが、実質的に有効であるとみなされている。つまり、第1フィルムは50.8μm(2ミル)の厚さと無地色を有し、第2フィルムは透明で76.2μm(3ミル)の厚さを有している。破壊を最小限にするため、厚みを減らすか、あるいは変えてもよい。また、いくつかの用途においては、艶消し仕上げのフィルムが好まれることもある。
【0052】
下記の表に、フィルムの好ましい特質を設定する。前述のように、フィルムはポリウレタン材料で形成されていてもよい。しかし、もっと一般的には、多数の異なる熱可塑性のエラストマーの使用が望まれる。
【0053】
【表1】
【0054】
下記に詳述されるように、本発明においては、一般的に6%程度の一方向へのフィルムの予備延伸がなされる。つまり、フィルムの縦方向に6%程度のひずみが生じる。フィルム、適用形態、ハンドレール構成などによって、その正確なひずみの度合いは異なる。しかしながら、現段階において、そのようなひずみが、必然的に、フィルムに施された画像をも合わせて延伸することが認識されている。ほとんどの画像やパターンの場合、この一方向における小さい割合の延伸は、それほど大きな影響ではなく、見過ごせる程度のものである。他の画像の場合、フィルムに施された後画像が所望の比率となるように、対応して、その画像を軸方向に収縮あるいは減少させる。これにより、その長さが初期の長さのおよそ94.33%となり、そして、6%延長された際に、初期の意図された長さに戻るようにする。
【0055】
一方向の延伸が対応する垂直寸法の減少を起こすことは知られているが、軸方向の延伸は、画像の横方向に対する影響をほとんどあるいは全く及ぼさない。そして、これによって、どこでその発生が生じても埋め合わせることができる。 ここで、本発明の装置の使用について説明する。まず、フィルムがハンドレールに設置される前に、ハンドレールが適切に準備されていなければならない。ほとんどの場合、一定期間使用された後のハンドレールには、汚れや油脂の膜がついており、粘着フィルムの適切な粘着力を阻害している。最初に、元々のフィルムを取り外す必要があれば、現存のフィルムを取り外す技術を提供している前述した米国特許第6450228号および関連米国出願を参照されたい。 したがって、まず、すべての汚れと油脂を取り除くために、ハンドレールを適切な溶剤で洗浄する。そして、ハンドレールに、設置に当って妨げとなるゲージや欠陥がないかを検査する。もし深い溝がある場合、フィルムを設置する前に、ハンドレールを交換する必要があるかもしれない。
【0056】
一機のエスカレータや動く歩道に対して、作業者は、各ハンドレール用の互いに適合する2ロールのフィルムを用意する。図において、ハンドレールは参照番号200、その手摺りは198にて示され、1ロールのフィルムは174で示されている。
【0057】
装置10は手摺り198に装着され、好ましくは、図1および図2に示すように、下りエスカレータユニットにおいては、エスカレータの上部に、そして、上りエスカレータユニットにおいては、エスカレータの下部に装着される。このような位置への装着が障害物によって阻まれるときには、装置10を、ハンドレールの直線的な傾斜部における端部から離れて取付けてもよい。
【0058】
元々は、支持アーム120は組み立てられているが、輸送の際には、個々の部品に解体されてもよい。2つの部品121,122を備えるリップローラアセンブリ120が組み立てられ、主要フレーム30に取り付けられるよう準備される。
【0059】
初期の装着時において、圧力ローラのばね動作が、装置の適切な位置を妨げないように、圧力ローラ86を上昇させる。このため、水平方向部材88が持ち上げられ、つばなどがこの水平方向部材88と上方延在ガイド82の間に挿入されて圧力ローラ86の上昇位置を保持している。そして、各ローラ装置34,36のサイドローラ48を外側に十分に変位させ、ハンドレール198の周りに適度な隙間を設けている。ハンドル98を把持することによって、シェル型またはトラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bが開かれる。
【0060】
ハンドル98を把持しながら、主要フレーム30をハンドレール198の上まで下げる。そして、トラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bを、ハンドルを放しロック機構を係合することによって閉じる。この操作中に、種々のローラ101〜105の位置をモニターし、ハンドレールに適切にまた均等に接触していることを確認する。
【0061】
ここまでに、フレーム30の両端部が、ローラ38によってハンドレール200上に支持されることになる。どちらかの端部におけるノブ52を作動し、サイドローラ48を、ハンドレール200に接触するまで変位させる。これによって、装置10が、ハンドレール200に対して正確に配置され中央寄せされる。
【0062】
そして、吸盤20を手摺り198に接着する。必要であれば、調整アーム部16を要求される長さに調節し、主要フレーム30の所望の位置に合った、吸盤20の適切な位置を確保する。モータまたは制動装置78を適当な電源に接続する(受動制動装置では、必要とされない)。
【0063】
それから、ローラ延長装置120を、取付けボルト124によって主要フレーム30に取り付ける。そして、2つの部品121,122をハンドレール200を回して閉じ、ボルト124を締めて部品121,122を閉じた位置にて保持する。このとき、そのローラの動作を点検する。必要であれば、ローラ延長装置120の閉じ動作を簡単にするために、ローラをハンドレールから振り放し、そして、後に元の位置に回転させてもよい。
【0064】
このとき、もし必要であれば、ハンドレール200を短時間作動させ、フィルムをハンドレールに押圧するすべてのローラ101〜108が適切な位置に配置され所望のままに機能していることを確認してもよい。シェル型またはトラフ型素子92の2つの半シェル部92a,92bが透明なので、種々のローラを確認のために目視することができる。また、開いた構成のローラ延長装置120によって、その中のローラを点検することが可能となっている。
【0065】
そして、スリーブ150上の1ロール174のフィルム160をスピンドル62に装着し、剥離シートを巻き取るための巻取りロール178を第2スピンドル162に装着する。
【0066】
フィルム160の端部を初めのロールから解き、剥離シート166の端部をフィルムからはがして巻取りロールの周りに巻きつける。参照番号176にて示されるフィルムの端部を、テンションローラ76の周りと圧力ローラ86の下に通してから、ハンドレール200の上面に粘着する。フィルムの側端は、開始時に、手作業にてハンドレールに巻きつける。
【0067】
それから、ハンドレール200を短距離だけ移動または走行させる。これによって、フィルムが機構全体を通過し始め、ローラや圧力ローラ機構90が、フィルム160をハンドレール200の周りに巻きつけていく。
【0068】
フィルム160がハンドレール200に対して適切に当てられていること、つまり、フィルム160がハンドレール200の周りに適切に巻かれていること、そして、ハンドレール200の下側のハンドレール200のスロットに対して、フィルム160の端部が所望のままに整合されていること、望まれていないひだ、しわ、気泡などがないことが一旦確認されると、装置によって、ハンドレール200の全体をフィルム160により覆うこととなる。
【0069】
フィルム160をハンドレール200の全長に沿って作動させる前に、フィルム160の張力をチェックするとよい。好ましくは、このチェックは、フィルム160を短距離分だけ作動させ、ハンドレール200上のフィルム160を測定し、フィルム160に作用する延伸または緊張の度合いを調べることによって実行される。ほとんどのフィルム160が何らかの標準の繰り返しパターンを有していると予想され、フィルム160上の画像または印刷物の目だった特色間の長さは、剥離シートの延伸されていないフィルム160から知り得る。もしくは、事前に測定しておくこともできる。そして、短い長さのフィルム160がハンドレール200に当てられたあと、対応の測定を調べ、所望の緊張または延伸の度合いがフィルム160に作用しているかを確認する。正確な延伸または緊張の度合いは、例えば、個々のハンドレール200の特性、設備、温度あるいは湿度など、多くの要因に依存することが見出されている。したがって、実際には、制動装置またはモータ78によって付与されるトルクを調整することが必ず要求される。
【0070】
もし、初期に作動したフィルム160の張力が誤っているときには、そのフィルム160を排除し、張力を調整する。所望の制限以内の張力または緊張でフィルム160が当てられると、ハンドレール200を作動させてフィルム160をハンドレール200の全体に沿って設置する。一方のハンドレール200がフィルム160により被覆されたら、その後、他方のハンドレール200が同じ処理を受けることになる。
【0071】
一般的に、試験ストリップとして、エスカレータを3メートル走行または作動させる。その間、フィルム160の端がローラ101〜108によって折り曲げられないように注意する。整合性、気泡やしわの存在、または他の欠陥などについて、フィルム160をチェックする。フィルムロール174のスピンドル60上における位置を調整してフィルム160を中央寄せし、必要があれば、圧力ローラ86によって付与される圧力を調整する。
【0072】
フィルム160の延伸は、フィルム160の繰り返し長を測定することによって計算される。元の未延伸の繰り返し画像をX、延伸された画像をYとすると、その延伸は下記のように計算される。
延伸率 = ((Y−X)/X)×100
【0073】
一般的に、所望の延伸はおよそ6%である。もし、延伸率が低すぎるなら、モータまたは制動装置78の制御装置の設定を上げ、反対に、延伸率が高すぎる場合には、設定を下げる。
【0074】
下記の表2は、制動装置78の参考設定を表しており、常に6%の延伸または緊張を得るために必要な引張り力には、相当の差があることを示している。
【0075】
【表2】
【0076】
その延伸をテストするために、ハンドレール200をさらに2〜3メートル走行または作動させる。前述した測定または計算を再び実行し、延伸率を特定する。所望の延伸度合いが得られるまで、この動作を必要回数だけ繰り返す。 一旦所望の延伸となると、フィルムの試験箇所を引張って取り除く。そして、はさみまたはナイフを用いて、ハンドレール200自体を傷つけたり切り込みをいれたりしないように気を付けながら、フィルムの端部を、ハンドレール200の縦軸に対して80〜85度の角度できれいに切り取る。これによって、参照番号183にて示される、実際に傾斜したフィルム端を有する、第1フィルム端部182を得ることができる(図10aの破線)。
【0077】
図8aに示すように、圧力ローラ86の影響下において、フィルム160は、最初、ハンドレール200と接触する際には、平面において平坦である。前述した張力機構によって、所望のひずみや予備延伸を付与している。一般的に、これは6%程度のものであり、更に、フィルムにおけるパーセントひずみとして、5〜8%の範囲で測定されることが、一般的に期待されている。
【0078】
フィルム160をさらにハンドレール200に沿って引張ると、図8bに示すように、ローラ101〜108によって、フィルムが完全にハンドレール200に接触するまで、徐々にハンドレール200に巻き付けられていく。
【0079】
そして、フィルム160が全ハンドレール200に設置可能となる。エスカレータまたは動く歩道のスタートボタンが、1回の完全な運行のために作動され、そして、フィルム160が、約1.5〜2メートルほど第1フィルム端部に重なったときに止められる(図10、完全な重複は図示していない)。そして、フィルム160が切断され、フィルム端部を十分に装置(アプリケータ)10から出すために、エスカレータまたは動く歩道を走行または作動させる。
【0080】
それから、装置10を取り外すか、または、取り除いてもよい。まず、ローラ延長装置120を、主要フレーム30から外し、取り除く。支持アーム12と吸盤20を取り除き、サイドローラ48を緩める。トラフ型素子92の半シェル部92a,92bのロック機構100を開く。半シェル部92a,92bをハンドル98によって開いた状態で保持し、装置10を手摺り198から取り外す。そして、他方のハンドレール200にフィルム160を施す必要があれば、そちらに移動するか、あるいは、輸送のために完全に解体、荷造りできるように単純に置いておく。必要であれば、吸盤20によって残された黒い残留物を手摺りから取り除いておく。
【0081】
そして、本発明のさらに他の態様として、ハンドレール200の両端部用のヒートシール継ぎ目を形成している。フィルム160の最後の切断が施された後、実質的なフィルム端または縁185を有する第2フィルム端部184が形成される(図10)。
【0082】
第2フィルム端部184は、フィルム160の重なった部分における余分なフィルム160の適切量を、フィルム160の重複部分における印刷またはパターンが適切に整合するか、あるいは、不整合があまり認識できない程度になるまで、引張り上げる。フィルム160の上端部を、ハンドレール200の軸に対して80〜85度の角度で切り取り、第2フィルム端部184のフィルム端185を形成する。そして、端部184を手で滑らかに押さえ、気泡やしわがないことを確認する。
【0083】
フィルムが予備延伸の対象となっていることから、フィルムの滑動を防ぐため、ハンドレール200にフィルム160を固定するための粘着剤の使用は不適当であることがわかった。粘着剤を使用すると、短時間でフィルムの張力が端部182,184を滑動作させ始めることになるからである。
【0084】
図10に示すように、ヒートシール封止こて190が使用される。参照番号192にて示されるように、フィルムキャップが設けられている。このフィルムキャップ192は、ほぼ長方形であり、剥離シートを備えている。また、このフィルムキャップ192は、フィルム160自体と同じ材料で形成されており、フィルムキャップ192の厚さに関しては、異なる厚さでもよいとされているが、好ましくは、フィルム160の1つの層と同じ厚さを有しているとよい。このフィルムキャップ192は透明である。例えば、フィルムキャップ192は約12.7〜76.2μm(0.5〜3.0ミル)の範囲の厚さを有し、10〜25mmの範囲の幅を有している。
【0085】
フィルムキャップ192のライナーまたは剥離シートを取り除き、重複しているフィルム端部182,184の上から、対照的に配置する。言い換えると、露出している上側のフィルム端185がフィルムキャップ192を二分するように調整する。
【0086】
それを均等に平滑にし、繰り返しになるが、しわや気泡がないように確認する。
【0087】
それから、中央から側部に向かって、ヒートシール封止こて190を、フィルムキャップ192に対して押圧する。これは、ゆっくりと均等に、均一の圧力で作用し、フィルムキャップ192をフィルム端部182,184にヒートシールする。つまり、フィルムキャップ192をフィルム160の上面に融合または接着させるのである。
【0088】
フィルム160に接着されないように、ヒートシール封止こて190が、非付着性の表面、例えばポリ4フッ化エチレン(テフロン:商標)表面を有しているとよいことが見出されている。使用されるテフロン表面は、フィルムキャップ192上に残る可能性のある表面パターンまたは外観を有している。しかしながら、これによって、フィルムキャップ192が、フィルム160に適切にヒートシールまたは接着されたことを確認できるというメリットがある。フィルムキャップ192の接着は、目視検査、または、操作者が、自身の指を使ってフィルムキャップ192の縁をつまむことによって検査することができる。 最終的に、ハンドレール200のリップ部の縁におけるフィルムキャップ192の過剰部分を、はさみによって切り取る。
【0089】
そして、ハンドレールの全体長におけるフィルムの最終検査を実行する。これほどの注意を払っても、気泡が時折発生する場合もある。この場合、皮下注射器で刺したり、徐々に気泡を圧搾して気泡中の空気を押し出し、フィルム160の全体をハンドレール200の表面に接着させるようにすることで解消できる。大きな気泡に関しては、針で多数の刺し孔を開ける必要があるかもしれない。
【0090】
前述したように、ハンドレール200に軟質のフィルム160を取付けるにあたっての問題は、使用中に、ハンドレール200が伸縮することである。図8bに、参照番号240にてハンドレール200の中立軸が示されている。これは、242にて概略的に示される張力素子によって特定されており、張力素子242は、通常、同一平面上にある一連のスチールケーブルである。さらに、図8bに示すように、これらのスチールケーブル242によって、ハンドレール200の上面が、中立軸240から距離D1だけ離間し、参照番号244にて示されるリップ部の下部が、中立軸240から距離D2だけ離間することになる。言い換えると、これらのスチールケーブル242は、一般的に弾性エラストマー材料により形成されているハンドレール200の残りの部位よりもかなり高い弾性率を有しているため、中立軸240の位置を特定するのは、ほとんど特に延伸抑制スチールケーブル242の特質によるものである。距離D2は、距離D1よりもかなり大きい。
【0091】
参照番号246にて示されるように、本出願人による先願において、フィルム160を、246にて示される箇所の近辺、つまり、ハンドレール200の最も広い箇所のやや下側の、248にて示される線である、ハンドレールの肩部250の中央にて、リップ部の周りに部分的に巻きつけることが提案されていた。このようにしても、フィルム160の縁246は、その位置においてすら、中立軸に対してかなり下側になる。その結果、ハンドレール200が、例えば、エスカレータの端部にてローラの周りを通過する際、中立軸240の下のハンドレール体が圧縮されることになる。一方、中立軸240の上のハンドレール体は、延伸される。フィルム160にとって延伸されることは問題ではない。第一に、上面が中立軸240から比較的短い距離D1しか離間していないため、延伸の度合いが比較的小さい。第二に、フィルム160は、必要な度合いの延伸に耐性を有し、その程度の延伸によってフィルム160がハンドレール200から取り外されてしまうようなことはないのである。
【0092】
縁246に向けて伸びているフィルムの端部に問題が発生する。縁246自体は中立軸240より大分下に位置しており、ハンドレールに粘着された状態を保持するには、相当量の圧縮が要求される。実際には、繰り返し使用された後の縁246には、しわまたはひだ現象を発生する傾向があることがわかった。つまり、縁246には、ハンドレール200からしわによって剥がれた短い部分と、ハンドレール200に接着されたままの短い部分とが交互に生じ、これによって中立軸240の下側のハンドレール部の圧縮に順応している。
【0093】
したがって、本発明では、フィルム160に予備延伸を施している。これにより、フィルムの緊張、または%伸長率として測定される予備延伸の度合いを、少なくともフィルム長における圧縮減少の最大値、つまり、使用中に起こり得る負の伸びよりも大きくすることができる。これによって、ハンドレール200が伸縮したとしても、フィルム160の全体が、常にぴんと張った状態に保たれる。ハンドレール200自体、特にリップ部244に向かっての箇所が、相当の圧縮ひずみに曝されることになるが、フィルム160に作用する正味のひずみは、常に、引張り歪みである。そのため、フィルム160がハンドレール体200から持ち上げられてしまうようなことはないのである。
【0094】
このような予備延伸により、ハンドレール200上のフィルム160の上部に作用する総合的な引張り負荷は増加するが、中立軸240から比較的短い距離D1であるため、フィルム160に作用する総合的な引張り歪みは、それでも、許容範囲内である。特定のハンドレール設計に関しては、フィルム160の構成および材料の選択によっては、過剰な引張り負荷がフィルム160に作用することになる。そのような場合、フィルム160の予備延伸を減らしてもよい。そうすれば、フィルム160の縁には、小さい圧縮ひずみが作用することとなる。これらを小さくすることによって、フィルム160をハンドレール200に接着するために使用される粘着剤が、目だったしわやひだ現象を発生することなく、圧縮ひずみに耐えることができる。
【0095】
先願の発明においては、246にて示すように、フィルム160に過剰な圧縮ひずみを作用させないように、フィルム160の縁を、ハンドレール200の胴部の比較的高い位置に配置していた。本発明においては、これらの圧縮ひずみが完全に除去されているか、あるいは、少なくとも許容範囲のレベルまで減少されているため、フィルム160を、例えば参照番号252や254にて示される位置の周りまで延長でき得ることが考察される。縁252は、遠くリップ部242の近辺に位置し、縁254は、フィルム160が、およそリップ部244の端部まで伸びるものとみなしている。ハンドレール本体のかなり下に位置する縁は、ユーザには見えにくくはっきりしないため、これは理想的なことである。縁が何らかの方法で見えるか、または、ユーザがハンドレールを手で把持した際に、その感触によって縁を感知することができる場合、それらの縁をつまむ傾向のあるユーザを奨励することになる。時が経ち、また繰り返しの使用によって、縁が傷つけられ、その結果、フィルム160が、かなりもしくは多少の範囲において分離されたり、フィルム160の全体またはフィルム160の一部がハンドレール駆動機構に巻き込まれたりする可能性がある。
【0096】
特に、ハンドレール200にフィルム160を巻きつける度合いは、調整可能であり、それは、個々のハンドレール200の外形と設備に依存する。フィルム160の縁をユーザからしっかりと遠ざけ、何らかの理由によってフィルム160を剥がそうとする人々に簡単に届かないようにするにあたって、フィルム160を、大きく離してハンドレール200のリップ部の周りに巻きつけることは有益である。一方、リップ部の周り全体にフィルム160を巻きつけた箇所では、ハンドレール200がローラなどの周りを走行する際に、座屈する可能性がある。したがって、常に、これらの2つのパラメータの間で、妥協点を見出すことが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係るフィルムを貼付する装置をエスカレータの手摺り上にて使用する実施形態を示す斜視図
【図2】図1に示す貼付装置、手摺りおよびハンドレールを詳細に示す拡大斜視図
【図3】図1の貼付装置の下方からの斜視図
【図4】図1の貼付装置の後ろ側端部の斜視図
【図5】図1の貼付装置における押圧機構のトラフ型素子の開いた状態を示す端面図
【図5a】図5のトラフ型素子の閉じた状態を示す端面図
【図6】図1の貼付装置に使用されるローラ延長装置の開いた状態を示す端面図
【図6a】図6のローラ延長装置の閉じた状態を示す端面図
【図6b】図6のローラ延長装置をトラフ型素子に装着する状態を詳細に示す斜視図
【図7】図1の貼付装置の動作を示すための貼付装置、手摺りおよびハンドレールの側面図
【図8a】フィルムをハンドレール上に載置した状態を概略的に示す説明図
【図8b】図8aのフィルムをハンドレールに巻き付ける状態を概略的に示す説明図
【図9】フィルムの実施形態を示す縦断面図
【図10a】フィルムの継ぎ目を示す平面図
【図10b】フィルムの継ぎ目にフィルムキャップを取付ける状態を示す斜視図
【図10c】こてを用いてフィルムの端部にフィルムキャップを接着する状態を示す斜視図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いハンドレールと、このハンドレールに接着された軟質フィルムとの組み合わせであって、
前記フィルムが、第1フィルム層と、この第1フィルム層を前記ハンドレールに接着するために前記第1フィルム層と前記ハンドレールの間に設けられている粘着剤の第1層とを備えており、
前記フィルムが伸長状態の前記ハンドレール上に貼付され、これによって、フィルムが所望の予備延伸を得て、前記フィルムの縁が圧縮ひずみに曝されたときに、その縁が前記ハンドレールから分離する可能性を少なくとも減少させることを特徴とするハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項2】
前記フィルムが、少なくとも部分的に、前記ハンドレールの肩部の外側の表面の周りまで延長されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項3】
前記第1フィルム層に、印刷物を有していることを特徴とする請求項2に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項4】
前記フィルムが、第2フィルム層と、この第2フィルム層を前記第1フィルム層上に接着するための粘着剤の第2層とを備えていることを特徴とする請求項3に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項5】
前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に、印刷物を有していることを特徴とする請求項4に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項6】
前記印刷物が、前記フィルムの長手方向に沿って、一定の間隔で繰り返されるパターンを有していることを特徴とする請求項3に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項7】
各フィルム層が、12.7〜76.2μmの範囲の厚さのポリウレタンと、6.35〜25.4μmの範囲の厚さの適当な粘着剤とを備えていることを特徴とする請求項4に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項8】
前記フィルムが、前記ハンドレールのリップ部の端部に及ぶまで、前記ハンドレールの肩部の周りに延長されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項9】
エスカレータまたは動く歩道用として駆動されるため、前記ハンドレールは継続的なループのハンドレールであり、前記フィルムが、前記ハンドレールの長手方向に沿って概ね連続しており、互いに重なり合って継ぎ目を形成する端部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項10】
前記フィルムが、前記ハンドレールの外周に延長され、少なくとも部分的に前記ハンドレールの肩部を覆っていることを特徴とする請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項11】
前記粘着剤は、前記フィルムの取り外しを可能とし、よって、使用に際して、前記細長のハンドレールは、前記軟質フィルム付き、または、前記軟質フィルムなしで使用可能であり、前記軟質フィルムを別の軟質フィルムと交換可能であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項12】
前記フィルムに施される予備延伸の量は、前記フィルムに付されるひずみとして測定される5〜8%の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項13】
前記フィルムに施される予備延伸の量は、実質的には、前記フィルムに付されるひずみとして測定される6%であることを特徴とする請求項12に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項14】
滑動による分離を防ぐために、前記重なった端部の上から取り付けられ、前記端部に融合されるフィルムキャップを備えていることを特徴とする請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項15】
前記フィルムキャップが、一片の透明素材を備えていることを特徴とする請求項14に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項16】
各フィルム層および前記一片の透明素材が熱可塑性エラストマーにより形成され、それぞれが12.7〜76.2μmの範囲の厚さを有していることを特徴とする請求項15に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項17】
前記フィルムの各端部およびフィルムキャップのすべてが、前記ハンドレールの軸に対して、80〜85度の範囲の角度で傾けられていることを特徴とする請求項16に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項18】
軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法であって、
(1)第1フィルム層と、この第1フィルム層の内側に位置する粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く前記ハンドレールの幅に対応する幅を有しているフィルムを設置する工程と、
(2)前記フィルムの第1端部を、前記ハンドレールの表面に対して整合し、接着する工程と、
(3)前記フィルムに、実質的に一定の引張荷重を与え、所望の度合いのひずみを前記フィルムに施す工程と、
(4)前記ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、前記予備延伸されたフィルムを継続的ならびに徐々に前記ハンドレールに接着させる工程と、
(5)前記フィルムの全幅が、前記ハンドレールの表面に均一および滑らかに接着されていることを確認する工程と
を含むことを特徴とする軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項19】
第1ロールに前記フィルムを備え、前記第1ロールを前記ハンドレールの近辺の第1スピンドルに装着する工程と、工程(4)において、少なくとも一つのローラを前記ハンドレールの表面に取り付け、前記フィルムを前記ハンドレールに対して押し付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項20】
前記ハンドレールの肩部の周りに巻き付けるのに十分な幅を有するフィルムを用意する工程を含み、前記方法が、それぞれの対が連続的に離間して前記ハンドレールの外側の周囲に装着された複数対のローラによって、前記フィルムを前記ハンドレールの外周に徐々に巻き付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項21】
前記ハンドレールのリップ部の端部に達するのに十分な幅を有するフィルムを用意する工程と、前記方法が、工程(5)において、前記フィルムが前記ハンドレールのリップ部の端部に達するまで、前記ハンドレールの肩部の周りに前記フィルムを巻き付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項22】
工程(3)が、前記フィルムに対して5〜8%の範囲のひずみを付する工程を含むことを特徴とする請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項23】
工程(3)が、前記フィルムに対して、実質的に6%のひずみを付する工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項24】
前記フィルムの両端部を重ね合せ、前記ハンドレールの周りに完全なループ状のフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項18ないし請求項23のいずれか1項に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項25】
前記フィルムの重なった端部にフィルムキャップを設け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部と融合させて、前記端部の滑動を防ぐ工程を含むことを特徴とする請求項24に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項26】
前記端部が、前記フィルムの端部に整合された前記ハンドレールの細長いストリップの軸に対して、80〜85度の範囲の角度を有するように、前記フィルムを切断する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項27】
ハンドレールの表面に連続的なループとして接着されるフィルムの2つの端部間の継ぎ目を形成する方法であって、
(1)フィルムキャップを取り付け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部の表面に接着する工程と、
(2)前記フィルムの端部を整合された状態に保つために、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部に融合させる工程と
を含むことを特徴とする継目形成方法。
【請求項28】
下側部分と上側部分としてのフィルム部分を形成する工程と、少なくとも前記上側部分の端部を、前記ハンドレールの軸の垂線に相対する角度に切断する工程と、前記フィルムキャップを、均一な幅の細長く実質的に透明なストリップとし、前記透明ストリップを前記フィルムの切断された端部に整合させる工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の継目形成方法。
【請求項29】
粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置であって、
前記装置を手摺りに取り付けるための取り付け手段と、
第1ロールのフィルムを取り付けるための第1スピンドル手段と、
前記フィルムが前記ハンドレールに貼付される前に、所望の量のひずみを付すため、前記フィルムに張力を与えるための張り装置と、
前記フィルムに圧力を与え、前記ハンドレールに前記フィルムを接着させるための圧力手段とを備えており、
使用に際して、前記ハンドレールが前記装置を通って駆動され、前記圧力手段によって、前記フィルムが前記第1ロールから解かれて、前記フィルムを前記ハンドレールに接着させ、前記張り装置によって、前記フィルムを予備延伸することを特徴とする粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項30】
前記取り付け手段が、前記装置を手摺りの滑らかな表面に真空装着させるための吸盤を備えていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項31】
剥離シートを巻き取るための第2ロールを使用に際して装着する第2スピンドル手段と、前記第1スピンドル手段と第2スピンドル手段の間に位置する駆動手段とを備え、
前記第1スピンドル手段上のロールからフィルムが解かれることによって、前記第1スピンドル手段が前記第2スピンドル手段を駆動し、これによって、第2スピンドル手段が、前記第1ロールから解き放たれたフィルムから分離された剥離シートを巻き取ることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項32】
第2スピンドル手段が、常に、前記剥離シートを巻き付けるのに必要な速度より速く駆動されるように、前記駆動手段は、前記第1スピンドル手段および第2スピンドル手段間の速度比率を有しており、前記装置は、過剰な速度を消散させるために、少なくとも前記第1スピンドル手段または第2スピンドル手段にクラッチ手段を備えていることを特徴とする請求項31に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項33】
前記圧力機構は、ハンドレールの中央線に対応して、前記圧力機構の中央線に対して対称的に取り付けられた複数対のローラを有する押圧機構を備えており、前記複数対のローラは、押圧機構の後端部からその前端部に向かって延長されており、前記後端部および前端部は、ハンドレールの動く方向に対応しており、
後端側の1対のローラが前記機構の中央線の近くに装着され、前記前端側に向かって、連続した各対のローラが、徐々に離間されながら装着されているため、ハンドレールが前記押圧機構を通過すと、前記フィルムが、前記ハンドレールの中央線から、前記ハンドレールのリップ部の外側の表面の周りに徐々に巻き付けられ、前記押圧機構は主要ローラよりも前方に配置されていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項34】
前記押圧機構は、前記装置の中央線に対して対称的に設けられた1対のトラフ型素子半部を有する概ねトラフ型の部材を備え、ハンドレール上への装着のために、前記装置は、前記トラフ型素子を開かせて前記半部を平行に変位させ、そして、ローラをハンドレールの表面に当接させながら、前記トラフ型素子を前記ハンドレールの周りに配置することが可能な機構を備えていることを特徴とする請求項33に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項35】
前記トラフ型素子半部は、操作者が、ローラの動作を目視するに十分な透明性を有し、それによって、使用に際して、前記ローラの正確な係合や動作を目視検査によって確認することができることを特徴とする請求項34に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項36】
前記装置のいずれか一方の端部において、ハンドレール上に前記装置を配置するための案内ローラを備えていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項37】
前記案内ローラが、前記装置の各端部において、中央ローラとサイドローラとを備えていることを特徴とする請求項36に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項38】
前記サイドローラは、側方運動用に装着され、前記案内ローラの側方位置を調整して、異なる幅のハンドレールに取り付け可能とされることを特徴とする請求項37に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項39】
前記装置は、前記スピンドル手段を有する主要フレームと、前記主要フレームに取り付けられた前記張り装置および圧力手段とを備え、
前記取り付け手段が、アームをハンドレールの手摺りに取り付けるための取り付け手段を有する少なくとも1つの、前記主要フレームに到着可能なアーム備えており、少なくとも1つのアームが、前記取り付け手段と前記主要フレームの相対位置を調整可能であることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項40】
2つの取り付けアームを備え、
前記主要フレーム上の異なる位置に前記アームを取り付け可能なように、前記主要フレームが、前記取り付けアームのための複数の装着位置を備えていることを特徴とする請求項39に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項41】
各取り付けアームには、3つのアーム部が旋回可能に、三角構造を形成するように一緒に設けられ、少なくとも、1つのアーム部の長さが調整可能であることを特徴とする請求項40に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項42】
前記取り付け手段が、吸盤を備えていることを特徴とする請求項41に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項43】
前記押圧機構が、少なくとも1対のローラを保持するローラ延長装置を備え、前記ローラ延長装置は、前記装置の残りの部分から分離可能であることを特徴とする請求項34に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項1】
細長いハンドレールと、このハンドレールに接着された軟質フィルムとの組み合わせであって、
前記フィルムが、第1フィルム層と、この第1フィルム層を前記ハンドレールに接着するために前記第1フィルム層と前記ハンドレールの間に設けられている粘着剤の第1層とを備えており、
前記フィルムが伸長状態の前記ハンドレール上に貼付され、これによって、フィルムが所望の予備延伸を得て、前記フィルムの縁が圧縮ひずみに曝されたときに、その縁が前記ハンドレールから分離する可能性を少なくとも減少させることを特徴とするハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項2】
前記フィルムが、少なくとも部分的に、前記ハンドレールの肩部の外側の表面の周りまで延長されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項3】
前記第1フィルム層に、印刷物を有していることを特徴とする請求項2に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項4】
前記フィルムが、第2フィルム層と、この第2フィルム層を前記第1フィルム層上に接着するための粘着剤の第2層とを備えていることを特徴とする請求項3に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項5】
前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に、印刷物を有していることを特徴とする請求項4に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項6】
前記印刷物が、前記フィルムの長手方向に沿って、一定の間隔で繰り返されるパターンを有していることを特徴とする請求項3に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項7】
各フィルム層が、12.7〜76.2μmの範囲の厚さのポリウレタンと、6.35〜25.4μmの範囲の厚さの適当な粘着剤とを備えていることを特徴とする請求項4に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項8】
前記フィルムが、前記ハンドレールのリップ部の端部に及ぶまで、前記ハンドレールの肩部の周りに延長されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項9】
エスカレータまたは動く歩道用として駆動されるため、前記ハンドレールは継続的なループのハンドレールであり、前記フィルムが、前記ハンドレールの長手方向に沿って概ね連続しており、互いに重なり合って継ぎ目を形成する端部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項10】
前記フィルムが、前記ハンドレールの外周に延長され、少なくとも部分的に前記ハンドレールの肩部を覆っていることを特徴とする請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項11】
前記粘着剤は、前記フィルムの取り外しを可能とし、よって、使用に際して、前記細長のハンドレールは、前記軟質フィルム付き、または、前記軟質フィルムなしで使用可能であり、前記軟質フィルムを別の軟質フィルムと交換可能であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項12】
前記フィルムに施される予備延伸の量は、前記フィルムに付されるひずみとして測定される5〜8%の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項13】
前記フィルムに施される予備延伸の量は、実質的には、前記フィルムに付されるひずみとして測定される6%であることを特徴とする請求項12に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項14】
滑動による分離を防ぐために、前記重なった端部の上から取り付けられ、前記端部に融合されるフィルムキャップを備えていることを特徴とする請求項9に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項15】
前記フィルムキャップが、一片の透明素材を備えていることを特徴とする請求項14に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項16】
各フィルム層および前記一片の透明素材が熱可塑性エラストマーにより形成され、それぞれが12.7〜76.2μmの範囲の厚さを有していることを特徴とする請求項15に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項17】
前記フィルムの各端部およびフィルムキャップのすべてが、前記ハンドレールの軸に対して、80〜85度の範囲の角度で傾けられていることを特徴とする請求項16に記載のハンドレールとフィルムの組み合わせ。
【請求項18】
軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法であって、
(1)第1フィルム層と、この第1フィルム層の内側に位置する粘着剤の第1層とを有し、概ね細長く前記ハンドレールの幅に対応する幅を有しているフィルムを設置する工程と、
(2)前記フィルムの第1端部を、前記ハンドレールの表面に対して整合し、接着する工程と、
(3)前記フィルムに、実質的に一定の引張荷重を与え、所望の度合いのひずみを前記フィルムに施す工程と、
(4)前記ハンドレールを、前記フィルムと相対して駆動させ、前記予備延伸されたフィルムを継続的ならびに徐々に前記ハンドレールに接着させる工程と、
(5)前記フィルムの全幅が、前記ハンドレールの表面に均一および滑らかに接着されていることを確認する工程と
を含むことを特徴とする軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項19】
第1ロールに前記フィルムを備え、前記第1ロールを前記ハンドレールの近辺の第1スピンドルに装着する工程と、工程(4)において、少なくとも一つのローラを前記ハンドレールの表面に取り付け、前記フィルムを前記ハンドレールに対して押し付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項20】
前記ハンドレールの肩部の周りに巻き付けるのに十分な幅を有するフィルムを用意する工程を含み、前記方法が、それぞれの対が連続的に離間して前記ハンドレールの外側の周囲に装着された複数対のローラによって、前記フィルムを前記ハンドレールの外周に徐々に巻き付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項21】
前記ハンドレールのリップ部の端部に達するのに十分な幅を有するフィルムを用意する工程と、前記方法が、工程(5)において、前記フィルムが前記ハンドレールのリップ部の端部に達するまで、前記ハンドレールの肩部の周りに前記フィルムを巻き付ける工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項22】
工程(3)が、前記フィルムに対して5〜8%の範囲のひずみを付する工程を含むことを特徴とする請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項23】
工程(3)が、前記フィルムに対して、実質的に6%のひずみを付する工程を含むことを特徴とする請求項22に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項24】
前記フィルムの両端部を重ね合せ、前記ハンドレールの周りに完全なループ状のフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項18ないし請求項23のいずれか1項に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項25】
前記フィルムの重なった端部にフィルムキャップを設け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部と融合させて、前記端部の滑動を防ぐ工程を含むことを特徴とする請求項24に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項26】
前記端部が、前記フィルムの端部に整合された前記ハンドレールの細長いストリップの軸に対して、80〜85度の範囲の角度を有するように、前記フィルムを切断する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の軟質フィルムを移動ハンドレールに貼付する方法。
【請求項27】
ハンドレールの表面に連続的なループとして接着されるフィルムの2つの端部間の継ぎ目を形成する方法であって、
(1)フィルムキャップを取り付け、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部の表面に接着する工程と、
(2)前記フィルムの端部を整合された状態に保つために、前記フィルムキャップを前記フィルムの端部に融合させる工程と
を含むことを特徴とする継目形成方法。
【請求項28】
下側部分と上側部分としてのフィルム部分を形成する工程と、少なくとも前記上側部分の端部を、前記ハンドレールの軸の垂線に相対する角度に切断する工程と、前記フィルムキャップを、均一な幅の細長く実質的に透明なストリップとし、前記透明ストリップを前記フィルムの切断された端部に整合させる工程を含むことを特徴とする請求項27に記載の継目形成方法。
【請求項29】
粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置であって、
前記装置を手摺りに取り付けるための取り付け手段と、
第1ロールのフィルムを取り付けるための第1スピンドル手段と、
前記フィルムが前記ハンドレールに貼付される前に、所望の量のひずみを付すため、前記フィルムに張力を与えるための張り装置と、
前記フィルムに圧力を与え、前記ハンドレールに前記フィルムを接着させるための圧力手段とを備えており、
使用に際して、前記ハンドレールが前記装置を通って駆動され、前記圧力手段によって、前記フィルムが前記第1ロールから解かれて、前記フィルムを前記ハンドレールに接着させ、前記張り装置によって、前記フィルムを予備延伸することを特徴とする粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項30】
前記取り付け手段が、前記装置を手摺りの滑らかな表面に真空装着させるための吸盤を備えていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項31】
剥離シートを巻き取るための第2ロールを使用に際して装着する第2スピンドル手段と、前記第1スピンドル手段と第2スピンドル手段の間に位置する駆動手段とを備え、
前記第1スピンドル手段上のロールからフィルムが解かれることによって、前記第1スピンドル手段が前記第2スピンドル手段を駆動し、これによって、第2スピンドル手段が、前記第1ロールから解き放たれたフィルムから分離された剥離シートを巻き取ることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項32】
第2スピンドル手段が、常に、前記剥離シートを巻き付けるのに必要な速度より速く駆動されるように、前記駆動手段は、前記第1スピンドル手段および第2スピンドル手段間の速度比率を有しており、前記装置は、過剰な速度を消散させるために、少なくとも前記第1スピンドル手段または第2スピンドル手段にクラッチ手段を備えていることを特徴とする請求項31に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項33】
前記圧力機構は、ハンドレールの中央線に対応して、前記圧力機構の中央線に対して対称的に取り付けられた複数対のローラを有する押圧機構を備えており、前記複数対のローラは、押圧機構の後端部からその前端部に向かって延長されており、前記後端部および前端部は、ハンドレールの動く方向に対応しており、
後端側の1対のローラが前記機構の中央線の近くに装着され、前記前端側に向かって、連続した各対のローラが、徐々に離間されながら装着されているため、ハンドレールが前記押圧機構を通過すと、前記フィルムが、前記ハンドレールの中央線から、前記ハンドレールのリップ部の外側の表面の周りに徐々に巻き付けられ、前記押圧機構は主要ローラよりも前方に配置されていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項34】
前記押圧機構は、前記装置の中央線に対して対称的に設けられた1対のトラフ型素子半部を有する概ねトラフ型の部材を備え、ハンドレール上への装着のために、前記装置は、前記トラフ型素子を開かせて前記半部を平行に変位させ、そして、ローラをハンドレールの表面に当接させながら、前記トラフ型素子を前記ハンドレールの周りに配置することが可能な機構を備えていることを特徴とする請求項33に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項35】
前記トラフ型素子半部は、操作者が、ローラの動作を目視するに十分な透明性を有し、それによって、使用に際して、前記ローラの正確な係合や動作を目視検査によって確認することができることを特徴とする請求項34に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項36】
前記装置のいずれか一方の端部において、ハンドレール上に前記装置を配置するための案内ローラを備えていることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項37】
前記案内ローラが、前記装置の各端部において、中央ローラとサイドローラとを備えていることを特徴とする請求項36に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項38】
前記サイドローラは、側方運動用に装着され、前記案内ローラの側方位置を調整して、異なる幅のハンドレールに取り付け可能とされることを特徴とする請求項37に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項39】
前記装置は、前記スピンドル手段を有する主要フレームと、前記主要フレームに取り付けられた前記張り装置および圧力手段とを備え、
前記取り付け手段が、アームをハンドレールの手摺りに取り付けるための取り付け手段を有する少なくとも1つの、前記主要フレームに到着可能なアーム備えており、少なくとも1つのアームが、前記取り付け手段と前記主要フレームの相対位置を調整可能であることを特徴とする請求項29に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項40】
2つの取り付けアームを備え、
前記主要フレーム上の異なる位置に前記アームを取り付け可能なように、前記主要フレームが、前記取り付けアームのための複数の装着位置を備えていることを特徴とする請求項39に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項41】
各取り付けアームには、3つのアーム部が旋回可能に、三角構造を形成するように一緒に設けられ、少なくとも、1つのアーム部の長さが調整可能であることを特徴とする請求項40に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項42】
前記取り付け手段が、吸盤を備えていることを特徴とする請求項41に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【請求項43】
前記押圧機構が、少なくとも1対のローラを保持するローラ延長装置を備え、前記ローラ延長装置は、前記装置の残りの部分から分離可能であることを特徴とする請求項34に記載の粘着フィルムを移動ハンドレールに貼付する装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2007−517743(P2007−517743A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548054(P2006−548054)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000014
【国際公開番号】WO2005/065934
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506219373)エスカレーター、ハンドレール、カンパニー(バルバドス)インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Escalator Handrail Company (Barbados) Inc.
【住所又は居所原語表記】Chancery House, High Street, Bridgetown, Barbados
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000014
【国際公開番号】WO2005/065934
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(506219373)エスカレーター、ハンドレール、カンパニー(バルバドス)インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Escalator Handrail Company (Barbados) Inc.
【住所又は居所原語表記】Chancery House, High Street, Bridgetown, Barbados
【Fターム(参考)】
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