説明

エチレン系重合体およびこれから得られる成形体

【課題】成形性に優れ、かつ機械的強度に優れた新規なエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、さらに詳しくは、このエチレン系重合体及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、好ましくはブロー成形体を提供すること。
【解決手段】エチレンと、炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であって、下記要件[F1]〜[F4]を同時に満たすエチレン系重合体。
[F1]MFRが0.1〜1.0g/10分の範囲。
[F2] 密度(d)が890〜960kg/mの範囲。
[F3]溶融張力〔MT(g)〕と、〔η(P)〕との比〔MT/η(g/P)〕が7.00×10−5〜9.00×10−4の範囲。
[F4]炭素原子1000個あたりのメチル分岐数〔A(/1000C)〕とエチル分岐数〔B(/1000C)〕との和〔(A+B)(/1000C)〕が1.4以下。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来公知のエチレン系重合体と比較して成形性に優れ、かつ機械的強度、熱安定性に優れた新規なエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、さらに詳しくは、このエチレン系重合体及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、好ましくはブロー成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン系共重合体は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。これら成形方法や用途に応じて、エチレン系共重合体に要求される特性も異なってくる。例えばブロー成形におけるたれ下りあるいはちぎれを防止するためには、エチレン系共重合体として分子量の割には溶融張力の大きいものを選択しなければならない。同様の特性が、インフレーション成形におけるバブルのゆれ、あるいはTダイ成形における幅落ちを最少限に押えるために必要である。
【0003】
高圧法低密度ポリエチレンは、チーグラー触媒を用いて製造したエチレン系重合体と比較して、溶融張力が大きく成形性が良いため中空容器などの用途に供されている。しかし高圧法低密度ポリエチレンは、複雑な長鎖分岐構造を有するため機械的強度に劣ることが予想される。
【0004】
また、チーグラー触媒系の内、メタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体は機械的強度に優れるが、溶融張力に劣るため成形性の悪化が予想される。
【0005】
クロム系触媒を用いた重合により得られるエチレン系重合体は、多くの長鎖分岐を含有するために分子の拡がりが小さく、そのために機械的強度が劣っていた。また、エチレンとα-オレフィンとの共重合体の場合は、α-オレフィンをほとんど含まない場合は硬くて脆い成分の生成する、一方でα-オレフィンを過剰に共重合した場合はべたつきの原因となったり、柔らかくて結晶構造が弱い成分が生成している。さらに、クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体は末端ビニル基が多いため、熱安定性に劣ると予想される。
【0006】
特開平11−166083号公報にはチーグラー触媒を用いて得られる高分子量成分と低分子量成分とからなるエチレン系重合体と、クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体とのエチレン系樹脂組成物が開示されている。このエチレン系樹脂組成物はクロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体を含有していることから、機械的強度、熱安定性に劣ると予想される。さらに、マルチサイト触媒であるチーグラー触媒を用いているため、組成分布が広いと予想される。
【0007】
このような問題を解決するため、長鎖分岐を導入したエチレン系重合体が種々開示されている。
【0008】
特開平2−276807号公報にはエチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリドとメチルアルモキサンとからなる触媒の存在下で溶液重合により得られたエチレン系重合体が、特開平4−213309号公報にはシリカに担持したエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとメチルアルモキサンとからなる触媒の存在下で気相重合により得られたエチレン系重合体が、WO93/08221号公報には拘束幾何触媒の存在下で溶液重合により得られたエチレン系重合体が、特開平8−311260号公報にはシリカに担持したMe2Si(2-Me-Ind)2のラセミ及びメソ異性体とメチルアルモキサンとからなる触媒の存在下で気相重合により得られたエチレン系重合体が、特開平8−34819号公報には化学処理したモンモリロナイトに担持したビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドからなる触媒の存在下でスラリー重合により得られたエチレン系重合体が、特開平8−319313号公報にはCp*Ti(OMe)3とメチルアルモキサンとからなる触媒を用いた重合により得られたエチレン系重合体が開示されている。
【0009】
これらのエチレン系重合体は、長鎖分岐の無い直鎖状のエチレン系重合体に比べ溶融張力が向上し、成形性に優れる旨の記載があるが、その効果については不十分であることが予想される。
【0010】
以上述べたように、従来の公知技術から、成形性に優れ、かつ機械的強度に優れた樹脂を効率的に得ることは難しかった。換言すれば、成形性に優れ、かつ機械的強度に優れたエチレン系重合体が出現すれば、その工業的価値は極めて大きいといえる。
【0011】
本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意研究した結果、特定の分子構造と溶融物性を付与することにより、成形性に優れ、かつ機械的強度に優れるエチレン系重合体を見出し本発明を完成するに至った。
【特許文献1】特開平11−166083号公報
【特許文献2】特開平2−276807号公報
【特許文献3】特開平4−213309号公報
【特許文献4】WO93/008221号公報
【特許文献5】特開平8−311260号公報
【特許文献6】特開平8−034819号公報
【特許文献7】特開平8−319313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来公知のエチレン系重合体と比較して成形性に優れ、かつ機械的強度に優れた新規なエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、さらに詳しくは、このエチレン系重合体及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、好ましくはブロー成形体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のエチレン系重合体は、エチレンと、炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であって、下記要件[F1]〜[F4]を同時に満たすことを特徴としている。
[F1]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜1.0g/10分の範囲である。
[F2] 密度(d)が890〜960kg/mの範囲である。
[F3]190℃における溶融張力〔MT(g)〕と、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度〔η(P)〕との比〔MT/η(g/P)〕が7.00×10−5〜9.00×10−4の範囲である。
[F4]13C−NMRにより測定された炭素原子1000個あたりのメチル分岐数〔A(/1000C)〕とエチル分岐数〔B(/1000C)〕との和〔(A+B)(/1000C)〕が1.4以下である。
【0014】
本発明に係るエチレン系重合体は、上記要件に加えて下記[f1]〜[f3]のいずれか1つ以上を満たすことが好ましい。
[f1]GPCで測定したZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が10以上である。
[f2]IRで測定した炭素数1000個あたりの末端ビニル基数〔v(/1000C)〕とGPCで測定した数平均分子量(Mn)とから算出される1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)が0.47/1分子鎖以下である。
[f3]DSCにおける融点の最大ピーク〔Tm(℃)〕と密度(d)とが、下記関係式(Eq-1)を満たす。
【0015】
【数1】

【0016】
また、本発明のエチレン系重合体は、
固体状担体と
(A)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を一個以上含む周期律表4族の遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)一般式(I)で示される多価官能性有機ハロゲン化物、
【0017】
【化1】

【0018】
〔式(I)中、Rはハロゲン原子を一個以上含む(o+p)価の基であり、o,pは、(o+p)≧2を満たす正の整数であり、QおよびQは、−OH、−NHまたは−NLH(−NLHにおいて、Lは、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基またはリン含有基から選ばれる任意の基である。)を示し、LとR、NとR、NとNは互いに結合して環を形成していてもよい。〕を接触させて得られる固体状遷移金属触媒成分と、必要に応じて、
(B)有機アルミニウム化合物
とから形成される触媒系を用いて重合して得られるエチレン系重合体である。
【0019】
本発明に係るエチレン系重合体を、他の樹脂とブレンドすることにより、成形性に優れ、かつ機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。本発明に係るエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む樹脂組成物を加工することにより、成形性に優れ、且つ機械的強度に優れた成形体、好ましくはブロー成形体が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物は、成形性が良く、且つ機械的強度に優れた成形体、好ましくはブロー成形体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るエチレン系重合体について具体的に説明する。
本発明に係るエチレン系重合体は、エチレンと炭素数4〜10のα-オレフィン、好ましくはエチレンと炭素数4〜10のα-オレフィン(ただしコモノマーとしてブテン−1を使用する場合には、炭素数6〜10のα-オレフィンも必須とする)、より好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα-オレフィンとの共重合体である。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
このようなエチレン系重合体は下記[F1]〜[F4]に示すような特性を有している。
【0022】
[F1]メルトフローレート(MFR)が0.1〜1.0g/10分の範囲である。メルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上の場合、得られるエチレン系重合体のせん断粘度が高すぎず成形性が良好である。メルトフローレート(MFR)が1.0g/10分以下の場合、得られるエチレン系重合体の耐衝撃強度が良好である。
【0023】
メルトフローレート(MFR)は分子量に強く依存しており、メルトフローレート(MFR)が小さいほど分子量は大きく、メルトフローレート(MFR)が大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Kazuo Soga, KODANSHA”CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”,p376(1990))。このため、水素/エチレンを増減させることで、請求範囲の上限・下限のメルトフローレート(MFR)を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0024】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238-89に従い190℃、2.16kg荷重の条件下に測定される。
【0025】
[F2] 密度(d)が890〜960kg/m、好ましくは900〜940kg/m、より好ましくは905〜935kg/mの範囲にある。密度(d)が890kg/m以上の場合、得られるエチレン系重合体の耐熱性が良好であり、密度(d)が960kg/m以下の場合、得られるエチレン系重合体の耐環境応力破壊性(ESCR)が良好である。
【0026】
密度はエチレン系重合体のα-オレフィン含量に依存しており、α-オレフィン含量が少ないほど密度は高く、α-オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系重合体中のα-オレフィン含量は、重合系内におけるα-オレフィンとエチレンとの組成比(α-オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えばWalter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α-オレフィン/エチレンを増減させることで、請求範囲の下限・上限の密度を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0027】
密度(d)は測定サンプルを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
【0028】
[F3] 溶融張力〔MT(g)〕と、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度〔η(P)〕との比〔MT/η(g/P)〕が7.00×10−5〜9.00×10−4、好ましくは1.00×10−4〜9.00×10−4の範囲である。MT/η*が7.00×10−5以上の場合、得られるエチレン系重合体の成形性に優れる、具体的にはブロー成形における溶融パリソンの垂れ下がり、ちぎれが発生しづらい。
【0029】
MT/ηは、実施例1に示した製造方法における、<前段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量と、<後段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量との比(<前段>分子量/<後段>分子量)に強く依存し、<前段>分子量/<後段>分子量が大きいほど、MT/ηは大きく、<前段>分子量/<後段>分子量が小さいほどMT/ηは小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えばKazuo Soga, KODANSHA”CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”,p376(1990))。このため、水素/エチレンを調節し、<前段>分子量/<後段>分子量を増減させることで、請求範囲の上限・下限のMT/ηを有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0030】
溶融張力(MT)は溶融されたポリマーを一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定される。測定には東洋精機製作所製、MT測定機を用いた。条件は樹脂温度190℃、溶融時間6分、バレル径9.55mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.095mmφ、ノズル長さ8mmで行なった。
【0031】
また、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度(η)は、測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.02512≦ω≦400の範囲で測定することにより決定される。測定にはレオメトリックス社製レオメーターRDS-IIを用いた。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約1.8mmとした。測定点はω一桁当たり5点とした。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、5〜20%の範囲で適宜選択した。せん断粘度測定に用いたサンプルは、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kg/cm、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cmの条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することで調製した。
【0032】
[F4]13C−NMRにより測定されたメチル分岐数〔A(/1000C)〕とエチル分岐数〔B(/1000C)〕との和〔(A+B)(/1000C)〕が1.4以下、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.6以下である。なお、本発明で定義したメチル分岐数およびエチル分岐数は、後述するように1000カーボンあたり数で定義される。
【0033】
エチレン系重合体中にメチル分岐、エチル分岐などの短鎖分岐が存在すると、短鎖分岐が結晶中に取り込まれ、結晶の面間隔が広がってしまうため、樹脂の機械的強度が低下することが知られている(例えば 大澤善次郎 他:高分子の寿命予測と長寿命化技術, p.481, エヌ・ティー・エス(2002))。そのため、メチル分岐数とエチル分岐数との和(A+B)が1.4以下の場合、得られるエチレン系重合体の機械的強度が良好である。
【0034】
エチレン系重合体中のメチル分岐数、エチル分岐数はエチレン系重合体の重合方法に強く依存し、高圧ラジカル重合により得られたエチレン系重合体は、チーグラー型触媒系を用いた配位重合により得られたエチレン系重合体に比べ、メチル分岐数、エチル分岐数が多い。配位重合の場合、エチレン系重合体中のメチル分岐数、エチル分岐数は、重合系内におけるプロピレン、1−ブテンとエチレンとの組成比(プロピレン/エチレン、1−ブテン/エチレン)に強く依存する。このため、1−ブテン/エチレンを増減させることで、請求範囲のメチル分岐数とエチル分岐数の和(A+B)を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0035】
13C-NMRにより測定されたメチル分岐数およびエチル分岐数は下記のように決定される。測定は日本電子(株)社製ECP500型核磁気共鳴装置(1H:500MHz)を用い、積算回数1万〜3万回にて測定した。なお、化学シフト基準として主鎖メチレンのピーク(29.97 ppm)を用いた。直径10mmの市販のNMR測定石英ガラス管中に、PEサンプル250から400mgと和光純薬工業(株)社製特級o-ジクロルベンゼン:ISOTEC社製ベンゼン-d6=5:1(体積比)の混合液3mlを入れ、120℃にて加熱、均一分散させることにより行った。NMRスペクトルにおける各吸収の帰属は、化学領域増刊141号 NMR−総説と実験ガイド[I]、132ページ〜133ページに準じて行った。1,000カーボン当たりのメチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対する、メチル分岐由来のメチル基の吸収(19.9ppm)の積分強度比より算出した。また、エチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対する、エチル分岐由来のエチル基の吸収(10.8ppm)の積分強度比より算出した。
【0036】
本発明に係るエチレン系重合体は、上記要件に加えて下記[f1]〜[f3]のいずれか1つ以上を満たすことが好ましい。
【0037】
[f1]GPCで測定したZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が10以上、好ましくは15以上である。Mz/Mwが10以上の場合、得られるエチレン系重合体の溶融張力が大きくなり成形性に優れる。
【0038】
Mz/Mwは、実施例1に示した製造方法における、<前段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量と、<後段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量との差を広げると大きくなり、差を狭めると小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えばKazuo Soga, KODANSHA ”CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”,p376(1990))。このため、水素/エチレンを調節し、<前段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量と、<後段>にて重合されるエチレン系重合体の分子量とを増減させることで、請求範囲のMz/Mwを有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0039】
Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)はウォーターズ社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HT及びTSKgel GMH6−HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml /分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000<Mw<4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、PEとして換算して求めた値である。
【0040】
[f2]IRで測定した炭素数1000個あたりの末端ビニル基数〔v(/1000C)〕とGPCで測定した数平均分子量(Mn)とから算出される1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)が0.47/1分子鎖以下、好ましくは0.30/1分子鎖以下以下である。1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)が0.47/1分子鎖以下の場合、得られるエチレン系重合体の成形加工時の熱安定性に優れる。
【0041】
1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)に強く依存し、水素/エチレンを増加させると1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)は減少し、水素/エチレンを減少させると1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)は増加する。このため、実施例1に示した製造方法における、<前段>での水素/エチレンを増減させることで、請求範囲の1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)を有するエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0042】
1分子鎖あたりの末端ビニル基数(V)はGPCで測定した数平均分子量(Mn)とIRで測定した炭素数1000個あたりの末端ビニル基数(v)とを用い、下記式(Eq-3)により決定される。
【0043】
【数2】

【0044】
数平均分子量(Mn)はウォーターズ社製GPC−150Cを用い、上述と同様の方法により測定した。
【0045】
炭素数1000個あたりの末端ビニル基数(v)は日本分光社製赤外分光光度計FT-IR 410型を用い、以下のように測定した。測定試料はエチレン系重合体約0.3gをテフロン
(登録商標)シート(0.1mm厚)、アルミ板(0.1mm厚)、鉄板(2〜3mm厚)の順にはさみ、これを、油圧成形機で加熱温度180℃、加熱時間3分、成形圧力50〜100kg/cm2でプレスし、その後、室温で1分間、圧力0〜50kg/cm2で冷却することにより調製した。測定は透過率法により、測定範囲5000cm-1〜400cm-1、分解能2cm-1、積算回数4回で実施した。910cm-1に検出される末端ビニル基由来の吸収をキーバンドとし、不飽和結合を含まないポリエチレンと、片末端のすべてがビニル基であるポリエチレンとを用いて作製した検量線より、炭素数1000個あたりの末端ビニル基数(v(/1000C))を定量した。
【0046】
[f3] DSCにおける融点の最大ピーク〔Tm(℃)〕と密度(d)とが、下記関係式(Eq-1)を満たす。
【0047】
【数3】

【0048】
好ましくは、下記関係式(Eq-2)を満たす。
【0049】
【数4】

【0050】
融点の最大ピーク(Tm)が0.315×d−170以下の場合、得られるエチレン系重合体の組成分布が狭いため、べたつきの原因となる成分が少ない。
【0051】
上述したように、融点の最大ピーク(Tm)は密度(d)のほかに、得られるエチレン系重合体の分子鎖間でのα−オレフィンの分布(組成分布)に依存する。密度が同じ場合、組成分布が広いほど、α−オレフィンの少ない分子鎖が存在し厚い結晶を形成してしまうため、融点の最大ピーク(Tm)は高くなり、組成分布が狭いほど、α−オレフィンは均等に各分子鎖が存在し厚い結晶を形成しないため、融点の最大ピーク(Tm)は低くなる。チーグラー触媒の場合、活性点が不均質であるため得られるエチレン系重合体の組成分布が広くなることが知られている(例えば 松浦一雄 他:ポリエチレン技術読本, p.20, 工業調査会(2001))。そのため、エチレン系重合体の密度が同じ場合、融点の最大ピーク(Tm)は高くなる。メタロセン触媒の場合、活性点が均質であるため得られるエチレン系重合体組成分布が狭くなり、その結果、密度が同じ場合、融点の最大ピーク(Tm)は低くなる。同じ密度における融点の最大ピーク(Tm)は重合温度によっても変動させることができる。重合温度を上げれば、重合系内が均一になり組成分布が狭くなる傾向にある。その結果、同じ密度における融点の最大ピーク(Tm)は低くなる。重合温度を下げれば、重合系内が不均一になり組成分布が広くなる傾向にある。その結果、同じ密度における融点の最大ピーク(Tm)は高くなる。このため、実施例1に示した製造方法における、<前段>での重合温度を増減させることで、請求範囲の融点の最大ピーク(Tm)と密度(d)との関係を満たすエチレン系重合体を製造することが可能である。
【0052】
融点の最大ピーク(Tm)は、PERKIN ELMER社製Pyris 1を用い、以下のように測定した。測定に用いた試料は、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kg/cm、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cmの条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することで調製した。測定サンプル約5mgをアルミパンに詰め、窒素雰囲気下(窒素:20ml/min)で[cond-1]〜[cond-4]の温度プロファイルにて測定を実施した。
[cond-1]30℃から10℃/分で200℃まで昇温
[cond-2]200℃で5分間保持したのち20℃/分で30℃まで降温
[cond-3]30℃から10℃/分で200℃まで昇温
上記[cond-3]の測定で得られた吸熱曲線における最大ピークの温度を融点の最大ピーク〔Tm(℃)〕とした。
【0053】
上記のような特性を有する本発明に係るエチレン系重合体は、例えば、後述するような固体状担体と、(A)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を一個以上含む周期律表4族の遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)一般式(I)で示される多価官能性有機ハロゲン化物、
【0054】
【化2】

【0055】
〔式(I)中、Rはハロゲン原子を一個以上含む(o+p)価の基であり、o,pは、(o+p)≧2を満たす正の整数であり、QおよびQは、−OH、−NHまたは−NLH(−NLHにおいて、Lは、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基またはリン含有基から選ばれる任意の基である。)を示し、LとR、NとR、NとNは互いに結合して環を形成していてもよい。〕を接触させて得られる固体状遷移金属触媒成分と、必要に応じて、(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒系の存在下に、エチレンと炭素数6〜20のα-オレフィンとを、得られる共重合体の密度が890〜950kg/cmとなるように共重合させることによって製造することができるが、必ずしもこの製造方法に限定されるものではない。以下、(a)遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、(c)多価官能性有機ハロゲン化物、必要に応じて用いられる(B)有機アルミニウム化合物について詳説する。
【0056】
(a)遷移金属化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(a)は、例えば一般式(II)で表わされるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を一個以上含む周期律表4族の遷移金属化合物である。
【0057】
【化3】

【0058】
〔上記一般式(II)中、R1〜R6 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜C20のアルキル基、C3〜C20のシクロアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C6〜C20のアリール基、およびC〜C20のアリールアルキル基から選ばれ、珪素、ハロゲンまたはゲルマニウム原子を含むことができ、R3とR4 、R4 とR5 及びR5 とR6 のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成してもよい。Rは、二つの配位子を結合する二価の基であって、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基またはゲルマニウム或いはスズ含有基であり、同じ炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ原子上の二つの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。tとtは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基である。Mは、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムから選ばれた遷移金属である。〕
【0059】
一般式(II)において、R1〜R6としてのハロゲン原子としては、塩素,臭素,フッ素,ヨウ素原子が挙げられ、C〜C20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基など;C3〜C20のシクロアルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など;C2〜C20のアルケニル基として、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基など;C〜C20のアリールアルキル基として、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなど;C6〜C20のアリール基として、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどが挙げられる。
【0060】
1〜R6としてのハロゲン含有基としては、上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基などが挙げられる。
【0061】
珪素またはゲルマニウム含有基としては、上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリール基の炭素原子の1個以上が珪素またはゲルマニウム原子で置換された基などが挙げられる。
【0062】
このR1〜R6は、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、隣接する基、すなわち、R3 とR4 、R4 とR5及びR5 とR6 のうちの少なくとも一組は互いに結合して環を形成してもよい。このような環を形成したインデニル基としては、例えば4,5−ベンゾインデニル基、5,6−ベンゾインデニル基、6,7−ベンゾインデニル基、α−アセナフトインデニル基及びその炭素数1〜10のアルキル置換体などを挙げることができる。
【0063】
は、二つの配位子を結合する二価の基であって、そのうちのC〜C20の炭化水素基としては、メチレン、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、ジイソプロピルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、イソプロピリデンなどの置換アルキレン基、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキレン基などが挙げられ、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基などが挙げられる。
【0064】
〜C20の珪素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンなどの(置換)シリレン基などが挙げられ、ゲルマニウム、スズ含有基としては、上記珪素含有基においてケイ素をゲルマニウム、スズに変換した基などが挙げられる。
【0065】
とtは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基から選択された基である。ハロゲン原子としては、塩素,臭素,フッ素,ヨウ素原子が挙げられ、C〜C20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基などのアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、またC〜C20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基などが挙げられる。珪素含有基としては、トリメチルシリル基,ジメチル(t−ブチル)シリル基などが挙げられ、酸素含有基としては、メトキシ基,エトキシ基などが挙げられ、イオウ含有基としては、チオール基,スルホン酸基などが挙げられ、窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。tおよびtは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
一般式(II)で表される、成分(a)の遷移金属化合物としては、例えば、特開平4−268308号公報,同5−306304号公報,同6−100579号公報,同6−157661号公報,同6−184179号公報,同6−345809号公報、同7−149815号公報,同7−188318号公報,同7−258321号公報などに記載されている化合物を挙げることができる。
【0067】
具体例としては、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、1,3−プロピレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、1,3−プロピレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、1,2−プロピレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、1,2−プロピレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、2,3−ブチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、2,3−ブチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンズ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンズ[f]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチルベンズ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチルベンズ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−メチルベンズ[f]インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2−エチルベンズ[e]インデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,6−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、フェニルメチルシリレンビス(2,7−ジメチル−4−アントラセニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、および上記メタロセン化合物のジブローミド化合物、ジアルキル化合物、ジアラルキル化合物、ジシリル化合物、ジアルコキシ化合物、ジチオール化合物、ジスルホン酸化合物、ジアミノ化合物、ジホスフィン化合物または上記化合物の中心金属が、チタンまたはハフニウムであるメタロセン化合物等が挙げられる。
【0068】
本発明の架橋メタロセン化合物は公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、本出願人によるWO 01/27174号公報が挙げられる。
【0069】
(b)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(b)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0070】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0071】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0072】
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、一般式:RamAl(ORb)npq (式中、RaおよびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドを例示できるが、これらのうちトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
【0073】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。これらの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
【0074】
(c)多価官能性有機ハロゲン化物
(c)多価官能性有機ハロゲン化物は下記一般式(I)表わされる化合物である。
【0075】
【化4】

【0076】
〔式(I)中、Rは、ハロゲン原子を一個以上含む(o+p)価の基であり、o,pは、(o+p)≧2を満たす正の整数であり、QおよびQは、−OH、−NHまたは−NLH(−NLHにおいて、Lは、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基またはリン含有基から選ばれる任意の基である。)を示し、LとR、NとR、NとNは互いに結合して環を形成していてもよい。〕
【0077】
一般式(I)において、QおよびQうちの−NLHで示される置換アミノ基におけるLのうち、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素原子が挙げられ、C〜C20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基などのアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。
【0078】
またC〜C20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基などが挙げられる。珪素含有基としては、トリメチルシリル基,ジメチル(t−ブチル)シリル基などが挙げられ、酸素含有基としては、メトキシ基,エトキシ基などが挙げられ、イオウ含有基としては、チオール基,スルホン酸基などが挙げられ、窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。
【0079】
このような前記一般式(I)で表される多価官能性有機ハロゲン化物の具体例としては、OH−R−OH型化合物〔Rの定義は一般式(I)に同一〕として、3−フルオロカテコール、4−フルオロカテコール、3,4−ジフルオロカテコール、3,5−ジフルオロカテコール、3,6−ジフルオロカテコール、3,4,5−トリフルオロカテコール、3,4,6−トリフルオロカテコール、テトラフルオロカテコール、3−(トリフルオロメチル)カテコール、4−(トリフルオロメチル)カテコール、3,4−ジ(トリフルオロメチル)カテコール、3,5−ジ(トリフルオロメチル)カテコール、3,6−ジ(トリフルオロメチル)カテコール、3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)カテコール、3,4,6−トリ(トリフルオロメチル)カテコール、テトラ(トリフルオロメチル)カテコール、2−フルオロレゾルシン、4−フルオロレゾルシン、5−フルオロレゾルシン、2,4−ジフルオロレゾルシン、2,5−フルオロレゾルシン、4,5−ジフルオロレゾルシン、4,6−ジフルオロレゾルシン、5,6−ジフルオロレゾルシン、2,4,5−トリフルオロレゾルシン、4,5,6−トリフルオロレゾルシン、テトラフルオロレゾルシン、2−(トリフルオロメチル)レゾルシン、4−(トリフルオロメチル)レゾルシン、5−(トリフルオロメチル)レゾルシン、2,4−ジ(トリフルオロメチル)レゾルシン、2,5−(トリフルオロメチル)レゾルシン、4,5−ジ(トリフルオロメチル)レゾルシン、4,6−ジ(トリフルオロメチル)レゾルシン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)レゾルシン、2,4,5−トリ(トリフルオロメチル)レゾルシン、4,5,6−トリ(トリフルオロメチル)レゾルシン、テトラ(トリフルオロメチル)レゾルシン、2−フルオロハイドロキノン、3−フルオロハイドロキノン、2,3−ジフルオロハイドロキノン、2,5−ジフルオロハイドロキノン、2,6−ジフルオロハイドロキノン、2,3,5−トリフルオロハイドロキノン、2,3,6−トリフルオロハイドロキノン、テトラフルオロハイドロキノン、2−(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、3−(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、2,3−ジ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、2,5−ジ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、2,3,5−トリ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、2,3,6−トリ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、テトラ(トリフルオロメチル)ハイドロキノン、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、2−フルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、3−フルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、4−フルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、3,8−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、4,8−ジフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3,4−トリフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3,6−トリフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3,7−トリフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3,8−トリフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3,6,7−テトラフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、ヘキサフルオロー1,5−ジヒドロキシナフタレン、1−フルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、3−フルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、4−フルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、3,5−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,5−ジフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,3,4−トリフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,3,5−トリフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、3,4,5−トリフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,3,4,5−テトラフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヘキサフルオロー2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,3,4,5−テトラフルオロビフェノール、2,2’,4,4’−テトラフルオロー4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロー4,4’−ビフェノール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニル、ビス(2,3−ジフルオロー4−ヒドロキシ)メタン、ビス(2,6−ジフルオロー4−ヒドロキシ)メタン、ビス(3,5−ジフルオロー4−ヒドロキシ)メタン、ビス(テトラフルオロー4−ヒドロキシ)メタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジフロオロフェノール)、テトラフルオロエチレンフリコー、ヘキサフルオロ−1,3−プロパングリコール、2,2’、3,3’−テトラフルオロー1,4−ブタンジオール、オクタフルオロ−1,4−ブタンジオール、パーフルオロ−1,5−ペンタンジオール、パーフルオロー1,6−ヘキサンジオール、パーフルオロー1,7−ヘプタンジオール、パーフルオロー1,8−オクタンジオール、および上記OH−R−OH化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0080】
N−R−NH化合物〔Rの定義は一般式(I)に同一〕としては、2−アミノ−3−フルオロアニリン、2−アミノ−4−フルオロアニリン、2−アミノ−5−フルオロアニリン、2−アミノ−3,4−ジフルオロアニリン、2−アミノ−3,5−ジフルオロアニリン、2−アミノ−3,6−ジフルオロアニリン、2−アミノ−3,4,5−トリフルオロアニリン、2−アミノ−3,4,6−トリフルオロアニリン、2−アミノ−テトラフルオロアニリン、2−アミノ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−3,4−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−3,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−3,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−2−フルオロアニリン、3−アミノ−4−フルオロアニリン、3−アミノ−5−フルオロアニリン、3−アミノ−2,4−ジフルオロアニリン、3−アミノ−2,5−フルオロアニリン、3−アミノ−4,5−ジフルオロアニリン、3−アミノ−4,6−ジフルオロアニリン、3−アミノ−5,6−ジフルオロアニリン、3−アミノ−2,4,5−トリフルオロアニリン、3−アミノ−4,5,6−トリフルオロアニリン、3−アミノ−テトラフルオロアニリン、3−アミノ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−4−(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−2,4−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−2,5−(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−4,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−5,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−2,4,5−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−4,5,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2−フルオロアニリン、4−アミノ−3−フルオロアニリン、4−アミノ−2,3−ジフルオロアニリン、4−アミノ−2,5−ジフルオロアニリン、4−アミノ−2,6−ジフルオロアニリン、4−アミノ−2,3,5−トリフルオロアニリン、4−アミノ−2,3,6−トリフルオロアニリン、4−アミノ−テトラフルオロアニリン、4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2,3−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2,3,5−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−2,3,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、4−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)アニリン、2−アミノー6−フルオロベンジルアミン、1,5−ジアミノ−2−フルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−3−フルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−4−フルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,4−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,6−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,7−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,8−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−3,4−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−3,8−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−4,8−ジフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3,4−トリフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3,6−トリフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3,7−トリフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3,8−トリフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−2,3,6,7−テトラフルオロナフタレン、1,5−ジアミノ−ヘキサフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1−フルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3−フルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−4−フルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,3−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,4−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,5−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,4−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,5−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−4,5−ジフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,3,4−トリフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,3,5−トリフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−3,4,5−トリフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−1,3,4,5−テトラフルオロナフタレン、2,6−ジアミノ−ヘキサフルオロナフタレン、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,3,4,5−テトラフルオロビフェニル、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,2’,4,4’−テトラフルオロビフェニル、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、ビス(4−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−テトラフルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−アミノー4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェニル)]−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(2−アミノ−ヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジフロオロアニリン)、2,4−ジアミノー6−(4−フルオロフェニル)ピリミンジン、2,4−ジアミノー5−フルオロキナゾリン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、テトラフルオロスクシンアミド、テトラフルオロエチレンジアミン、ヘキサフルオロ−1,3−プロペンジアミン、2,2’,3,3’−テトラフルオロー1,4−ブチレンジアミン、オクタフルオロ−1,4−ブチレンジアミン、デカフルオロ−1,5−ペンテンジアミン、パーフルオロー1,6−ヘキセンジアミン、パーフルオロ−1,7−ヘプテンジアミン、パーフルオロー1,8−オクテンジアミンおよび上記HN−R−NH化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0081】
HLN−R−NLH型化合物〔RおよびLの定義は一般式(I)に同一〕としては、3−フルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、4−フルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3,4−ジフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3,5−ジフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3,6−ジフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3,4,5−トリフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3,4,6−トリフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、テトラフルオロ−1,2−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2−フルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、4−フルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、5−フルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,4−ジフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,5−フルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、4,6−ジフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、5,6−ジフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,4,5−トリフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、4,5,6−トリフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、テトラフルオロ−1,3−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2−フルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、3−フルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,3−ジフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,5−ジフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,6−ジフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2,3,6−トリフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、テトラフルオロ−1,4−ジ(N−メチルアミノ)ベンゼン、2−フルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、3−フルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、4−フルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,4−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,6−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,7−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,8−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、3,4−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、3,8−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、4,8−ジフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3,4−トリフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3,6−トリフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3,7−トリフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3,8−トリフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、2,3,6,7−テトラフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、ヘキサフルオロー1,5−ジ(N−メチルアミノ)ナフタレン、4,4’−ジ(N−メチルアミノ)−2,3,4,5−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジ(N−メチルアミノ)−2,2’,4,4’−テトラフルオロビフェニル、4,4’−ジ(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、ビス(4−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、ビス((N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−(N−メチルアミノ)−3,5−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−(N−メチルアミノ)−テトラフルオロフェニル)メタン、4,4’−ビス(2−(N−メチルアミノ)−ヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、テトラフルオロエチレンジアミン、ヘキサフルオロ−1,3−プロペンジアミン、2,2’,3,3’−ヘキサフルオロー1,4−ブチレンジアミン、オクタフルオロ−1,4−ブチレンジアミン、デカフルオロ−1,5−ペンテンジアミン、パーフルオロー1,6−ヘキセンジアミン、パーフルオロー1,7−ヘプテンジアミン、パーフルオロー1,8−オクテンジアミン、1,2−ジ(N−メチルアミノ)テトラフルオロエタン、1,3−ジ(N−メチルアミノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ジ(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’−ヘキサフルオロブタン、1,4−ジ(N−メチルアミノ)−オクタフルオロブタン、1,5−ジ(N−メチルアミノ)−デカフルオロペンタン、1,6−ジ(N−メチルアミノ)−パーフルオロヘキサン、1,7−ジ(N−メチルアミノ)−パーフルオロペンタン、1,8−ジ(N−メチルアミノ)−パーフルオロオクタン、5−フルオロウラシル、6−フルオロウラシル、1−フルオロキサンチン、3−フルオロキサンチン、7−フルオロキサンチン、3−フルオロアデニン、5−フルオロメチルウラシル、5−トリフルオロメチルウラシル、6−フルオメチルロウラシル、1−フルオロメチルキサンチン、3−フルオロメチルキサンチン、7−フルオロメチルキサンチン、3−フルオロメチルアデニンおよび上記HLN−R−NLH型化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0082】
HO−R−NH型化合物〔Rの定義は一般式(I)に同一〕としては、2−アミノ−3−フルオロフェノール、2−アミノ−4−フルオロフェノール、2−アミノ−3,4−ジフルオロフェノール、2−アミノ−3,5−ジフルオロフェノール、2−アミノ−3,6−ジフルオロフェノール、2−アミノ−3,4,5−トリフルオロフェノール、2−アミノ−3,4,6−トリフルオロフェノール、2−アミノ−テトラフルオロフェノール、2−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−3,4−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−3,6−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−3,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、2−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−2−フルオロフェノール、3−アミノ−4−フルオロフェノール、3−アミノ−5−フルオロフェノール、3−アミノ−2,4−ジフルオロフェノール、3−アミノ−2,5−フルオロフェノール、3−アミノ−4,5−ジフルオロフェノール、3−アミノ−4,6−ジフルオロフェノール、3−アミノ−5,6−ジフルオロフェノール、3−アミノ−2,4,5−トリフルオロフェノール、3−アミノ−4,5,6−トリフルオロフェノール、3−アミノ−テトラフルオロフェノール、3−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−4−(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−5−(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−2,4−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−2,5−(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−4,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−4,6−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−5,6−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−2,4,5−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−4,5,6−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、3−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2−フルオロフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、4−アミノ−2,3−ジフルオロフェノール、4−アミノ−2,5−ジフルオロフェノール、4−アミノ−2,6−ジフルオロフェノール、4−アミノ−2,3,5−トリフルオロフェノール、4−アミノ−2,3,6−トリフルオロフェノール、4−アミノ−テトラフルオロフェノール、4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2,3−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2,3,5−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−2,3,6−トリ(トリフルオロメチル)フェノール、4−アミノ−テトラ(トリフルオロメチル)フェノール、5−アミノ−2−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−3−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−4−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,4−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,6−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,7−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−3,4−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−3,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−4,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3,4−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3,6−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3,7−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3,8−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2,3,6,7−テトラフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−アミノ−ヘキサフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、2−アミノー1−フルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノ−3−フルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー4−フルオロ−6−ヒドロキシナフタレンナフタレン、2−アミノ−1,3−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー1,4−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー1,5−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー3,4−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー3,5−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー4,5−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー1,3,4−トリフルオロ ー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー1,3,5−トリフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー3,4,5−トリフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノー1,3,4,5−テトラフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−アミノーヘキサフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、ビス(4−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−アミノー2,6−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ3,5−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシテトラフルオロフェニル)メタン、4,4’−ビス(2−アミノ−ヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジフロオロアニリン)、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミドオキシム、5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アルボキシアミドオキシム、2−アミノーテトラフルオロエタノール、3−アミノーヘキサフルオロ−1−プロパノール、4−アミノー2,2’,3,3’−テトラフルオロー1−ブタノール、4−アミノ−オクタフルオロ−1−ブタノール、5−アミノ−パーフルオロ−1−ペンタノール、6−アミノーパーフルオロー1−ヘキサノール、7−アミノ−パーフルオロー1−ヘプタノール、8−アミノ−パーフルオロー1−オクタノールおよび上記HO−R−NH化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0083】
HO−R−NLH型化合物〔LおよびRの定義は一般式(I)に同一〕としては、2−(N−メチルアミノ)−3−フルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−4−フルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−3,4−ジフルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−3,5−ジフルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−3,6−ジフルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−3,4,5−トリフルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−3,4,6−トリフルオロフェノール、2−(N−メチルアミノ)−テトラフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−2−フルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−4−フルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−5−フルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−2,4−ジフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−2,5−フルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−4,5−ジフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−4,6−ジフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−5,6−ジフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−2,4,5−トリフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)−4,5,6−トリフルオロフェノール、3−(N−メチルアミノ)テトラフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2−フルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−3−フルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2,5−ジフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2,3,5−トリフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)−2,3,6−トリフルオロフェノール、4−(N−メチルアミノ)テトラフルオロフェノール、5−(N−メチルアミノ)−2−フルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−3−フルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−4−フルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,4−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,7−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,8−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−3,4−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−3,8−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−4,8−ジフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3,4−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3,6−トリフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3,7−トリフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3,8−トリフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)−2,3,6,7−テトラフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−メチルアミノ)ヘキサフルオロ−1−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1−フルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−3−フルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−4−フルオロ−6−ヒドロキシナフタレンナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,3−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,4−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−3,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−4,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,3,4−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,3,5−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−3,4,5−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)−1,3,4,5−テトラフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−メチルアミノ)ヘキサフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、ビス(4−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−(N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ3,5−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシテトラフルオロフェニル)メタン、4,4’−ビス(2−(N−メチルアミノ)ヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジフロオロアニリン)、2−(N−メチルアミノ)テトラフルオロエタノール、3−(N−メチルアミノ)ヘキサフルオロ−1−プロパノール、4−(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’−テトラフルオロー1−ブタノール、4−(N−メチルアミノ)オクタフルオロ−1−ブタノール、5−(N−メチルアミノ)パーフルオロ−1−ペンタノール、6−(N−メチルアミノ)パーフルオロー1−ヘキサノール、7−(N−メチルアミノ)パーフルオロー1−ヘプタノール、8−(N−メチルアミノ)パーフルオロー1−オクタノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3−フルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4−フルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4−ジフルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,5−ジフルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,6−ジフルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4,5−トリフルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4,6−トリフルオロフェノール、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)テトラフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2−フルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4−フルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−5−フルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,4−ジフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,5−フルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4,5−ジフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4,6−ジフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−5,6−ジフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,4,5−トリフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4,5,6−トリフルオロフェノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)テトラフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2−フルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3−フルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,5−ジフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,5−トリフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,6−トリフルオロフェノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)テトラフルオロフェノール、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4−フルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,4−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,6−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,7−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4,8−ジフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,4−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,6−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,7−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,8−トリフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3,6,7−テトラフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)ヘキサフルオロー1ーヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1−フルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3−フルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4−フルオロ−6−ヒドロキシナフタレンナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,3−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,4−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,5−ジフルオロー6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−4,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,3,4−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,3,5−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−3,4,5−トリフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)−1,3,4,5−テトラフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)ヘキサフルオロ−6−ヒドロキシナフタレン、ビス(4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ3,5−ジフルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシテトラフルオロフェニル)メタン、4,4’−ビス(2−(N−トリフルオロメチルアミノ)ヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジフロオロアニリン)、2−(N−トリフルオロメチルアミノ)テトラフルオロエタノール、3−(N−トリフルオロメチルアミノ)ヘキサフルオロ−1−プロパノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)−2,2’,3,3’−テトラフルオロー1−ブタノール、4−(N−トリフルオロメチルアミノ)オクタフルオロ−1−ブタノール、5−(N−トリフルオロメチルアミノ)パーフルオロ−1−ペンタノール、6−(N−トリフルオロメチルアミノ)パーフルオロー1−ヘキサノール、7−(N−トリフルオロメチルアミノ)パーフルオロー1−ヘプタノール、8−(N−トリフルオロメチルアミノ)パーフルオロー1−オクタノールおよび上記HO−R−NLH型化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0084】
N−R−NLH型化合物〔LおよびRの定義は一般式(I)に同一〕としては、2−(N−メチルアミノ)−3−フルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−4−フルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−3,4−ジフルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−3,5−ジフルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−3,6−ジフルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−3,4,5−トリフルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)−3,4,6−トリフルオロアニリン、2−(N−メチルアミノ)テトラフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−2−フルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−4−フルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−5−フルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−2,4−ジフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−2,5−フルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−4,5−ジフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−4,6−ジフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−5,6−ジフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−2,4,5−トリフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)−4,5,6−トリフルオロアニリン、3−(N−メチルアミノ)テトラフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2−フルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−3−フルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2,5−ジフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2,3,5−トリフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)−2,3,6−トリフルオロアニリン、4−(N−メチルアミノ)テトラフルオロアニリン、5−アミノ−2−フルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−3−フルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−4−フルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,4−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,6−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,7−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,8−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−3,4−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−3,8−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−4,8−ジフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3,4−トリフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3,6−トリフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3,7−トリフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3,8−トリフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−2,3,6,7−テトラフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、5−アミノ−ヘキサフルオロー1ー(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1−フルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノ−3−フルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー4−フルオロ−6−(N−メチルアミノ)ナフタレンナフタレン、2−アミノ−1,3−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1,4−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1,5−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー3,4−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー3,5−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー4,5−ジフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1,3,4−トリフルオロ ー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1,3,5−トリフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー3,4,5−トリフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノー1,3,4,5−テトラフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、2−アミノーヘキサフルオロー6−(N−メチルアミノ)ナフタレン、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,3,4,5−テトラフルオロビフェニル、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,2’,4,4’−テトラフルオロビフェニル、4−アミノ−4’−(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’,4,4’,5,5’,6,6’−オクタフルオロビフェニル、(4−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)(4−(N−メチルアミノ)−2,3−ジフルオロフェニル)メタン、(4−アミノ−2,6−ジフルオロフェニル)(4−(N−メチルアミノ)−2,6−ジフルオロフェニル)メタン、(4−アミノ−3,5−ジフルオロフェニル)(4−(N−メチルアミノ)−3,5−ジフルオロフェニル)メタン、(4−アミノ−テトラフルオロフェニル)(4−(N−メチルアミノ)−テトラフルオロフェニル)メタン、(4−(2−アミノ−ヘキサフルオロイソプロピル))(4−(4−(N−メチルアミノ)−ヘキサフルオロイソプロピル))ジフェニルエーテル、1−アミノ−2−(N−メチルアミノ)テトラフルオロエタン、1−アミノ−3−(N−メチルアミノ)−ヘキサフルオロプロパン、1−アミノ−4−(N−メチルアミノ)−2,2’,3,3’−ヘキサフルオロブタン、1−アミノ−4−(N−メチルアミノ)−オクタフルオロブタン、1−アミノ−5−(N−メチルアミノ)−デカフルオロペンタン、1−アミノ−6−(N−メチルアミノ)−パーフルオロヘキサン、1−アミノ−7−(N−メチルアミノ)−パーフルオロペンタン、1−アミノ−8−(N−メチルアミノ)−パーフルオロオクタン、(4−ブローモテトラフルオロフェニル)ヒドラジン、2−クロロー6−フルオロフェイルヒドラジン、3−クロロー4−フルオロフェイルヒドラジン、2−クロロー4−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2−クロロー5−トリフルオトメチルフェニルヒドラジン、2,4−ジクトトー6−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2,6−ジクトトー6−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2,4−フルオロフェニルヒドラジン、2,5−フルオロフェニルヒドラジン、5−フルオロー2−メチルフェニルヒドラジン、4−フルオロフェニルヒドラジン、ペンタフルオロフェニルヒドラジン、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラジン、2−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2−アミノー6−フルオロープリン、2−アミノー6−トリフルオロメチループリンおよび上記HN−R−NLH型化合物のフッ素原子を、臭素原子、塩素原子に置換した化合物等が挙げられる。
【0085】
これらのうちで好ましくは、テトラフルオロレゾルシン、テトラフルオロハイドロキノン、テトラブローモハイドロキノン、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2’,3,3’−テトラフルオロー1,4−ブタンジオール、2−アミノ−5−フルオロアニリン、2−アミノー6−フルオロベンジルアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス(3−アミノー4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェニル)]−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,4−ジアミノー6−(4−フルオロフェニル)ピリミンジン、2,4−ジアミノー5−フルオロキナゾリン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、テトラフルオロスクシンアミド、5−トリフルオロメチルウラシル、4−アミノ−3−フルオロフェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミドオキシム、5−(トリフルオロメチル)ピリジンー2−アルボキシアミドオキシム、(4−ブローモテトラフルオロフェニル)ヒドラジン、2−クロロー6−フルオロフェイルヒドラジン、3−クロロー4−フルオロフェイルヒドラジン、2−クロロー4−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2−クロロー5−トリフルオトメチルフェニルヒドラジン、2,4−ジクトトー6−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2,6−ジクトトー6−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジン、2,4−フルオロフェニルヒドラジン、2,5−フルオロフェニルヒドラジン、5−フルオロー2−メチルフェニルヒドラジン、4−フルオロフェニルヒドラジン、ペンタフルオロフェニルヒドラジン、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラジン、2−(トリフルオロメチル)フェニルヒドラジンであり、特に好ましくは,テトラフルオロレゾルシン、テトラフルオロハイドロキノン、テトラブローモハイドロキノン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニルである。
【0086】
(B)有機アルミニウム化合物
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、(A)(a)遷移金属化合物、(b) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)多価官能性有機ハロゲン化物を接触させて得られる固体状遷移金属触媒成分と、必要に応じて、(B)有機アルミニウム化合物を含むこともできる。
【0087】
本発明で用いられる(B)有機アルミニウム化合物としては、たとえば下記一般式(III)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0088】
AlT3−n … (III)
(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基であり、Tはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
【0089】
上記一般式(III)において、Rは炭素数1〜12の炭化水素基例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、ノニル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0090】
このような有機アルミニウム化合物(d)としては、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブローミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブローミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブローミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウム、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0091】
また有機アルミニウム化合物(B)として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることもできる。
【0092】
AlU3−n … (IV)
(式中、Rは上記と同様であり、Uは−OR基、−OSiR3基、−OAlR基、−NR基、−SiR基または−N(R)AlR基であり、nは1〜2であり、R、R、R、およびRはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Rは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RおよびRはメチル基、エチル基などである。)
【0093】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物が用いられる。
(1)RAl(OR3−nで表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど;(2)RAl(OSiR3−nで表される化合物、たとえばEtAl(OSiMe)、(iso-Bu)Al(OSiMe)、(iso-Bu)Al(OSiEt)など;(3)RAl(OAlR3−nで表される化合物、たとえば、EtAlOAlEt、(iso-Bu)AlOAl(iso-Bu) など;(4)RAl(NR3−nで表される化合物、たとえばMeAlNEt、EtAlNHMe、MeAlNHEt、EtAlN(SiMe、(iso-Bu)AlN(SiMeなど;(5)RAl(SiR3−nで表される化合物、たとえば(iso-Bu)AlSiMeなど;(6)RAl〔N(R)AlR3−nで表される化合物、たとえばEtAlN(Me)AlEt、(iso-Bu)AlN(Et)Al(iso-Bu)など。
【0094】
上記一般式(III)および(IV)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式RAlで表される化合物が好ましく、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基であるものが好ましい。
【0095】
固体状担体
本発明において使用される固体状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらの混合物、たとえばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどを例示することができる。これらの中でSiOおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。なお、上記無機酸化物には少量のNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO)、BaSO、KNO、Mg(NO)、Al(NO)、NaO、KO、LiOなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0096】
このような固体状担体は、その種類および製法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる固体状担体は、比表面積が50〜1000m/g、好ましくは100〜700m/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm/gであることが望ましい。該固体状担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用いられる。
【0097】
さらに、本発明に用いることのできる固体状担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0098】
次に、本発明のオレフィン重合用固体触媒についてより具体的に説明する。本発明のオレフィン重合用固体触媒は、固体状担体と、(A)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を一個以上含む周期律表4族の遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)前記一般式(I)で示される多価官能性有機ハロゲン化物を接触させて得られる固体状遷移金属触媒成分と、必要に応じて、(B)有機アルミニウム化合物からなることを特徴としている。なお、(A)固体状遷移金属触媒成分を成分(a)、(b)および(c)から調製する際には、さらに成分(d)有機アルミニウム化合物を共存させることができる。この(d)有機アルミニウム化合物としては、前記の(B)有機アルミニウム化合物を制限なく用いることができる。
【0099】
次に、上記の(A)固体状遷移金属触媒成分を調製する方法について述べる。成分(a)、成分(b)、成分(c)および固体状担体から(A)固体状遷移金属触媒成分調製する場合では、成分(a)、成分(b)、成分(c)および固体状担体を不活性炭化水素中で混合接触させることにより調製することができる。
【0100】
この際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(a)と成分(c)とを直接、混合接触させることは避けることが望ましい。このような直接的な接触では、成分(a)の分解・変質を招く恐れがあり、最終的に得られるオレフィン重合触媒の触媒活性を著しく低下させてしまう可能性が高い。
【0101】
好ましい接触順序としては、例えば、
i)固体状担体に、成分(b)を混合接触させ、次いで成分(a)を接触させた後に、成分(c)を接触させる方法、
ii)固体状担体に、成分(b)を混合接触させ、次いで成分(c)を接触させた後に、成分(a)を接触させる方法、
iii)まず成分(a)と成分(b)とを混合接触させ、次いで固体状担体、引き続き成分(c)を混合接触させる方法、
iv)成分(b)と成分(c)との接触混合物に、固体状担体を接触させ、引き続き成分(a)を混合接触させる方法などが挙げられる。
【0102】
成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および固体状担体から(A)固体状遷移金属触媒成分調製する場合では、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)および固体状担体を不活性炭化水素中で混合接触させることにより調製することができる。
【0103】
この際の各成分の混合順序は任意であるが、成分(a)と成分(c)とを直接、混合接触させることは、上述と同様の理由から避けることが望ましい。
【0104】
好ましい接触順序としては、例えば、
i)固体状担体に、成分(b)を混合接触させ、次いで成分(a)を接触させた後に、成分(c)、成分(d)、または成分(c)と成分(d)との接触混合物を、接触させる方法、
ii)固体状担体に、成分(b)を混合接触させ、次いで成分(c)を接触させた後に、成分(a)または成分(d)を接触させる方法、
iii)まず成分(a)と成分(b)とを混合接触させ、次いで固体状担体、引き続き成分(c)、成分(d)、または成分(c)と成分(d)との接触混合物を、接触させる方法、
iv)成分(b)と成分(c)との接触混合物に、固体状担体を接触させ、引き続き成分(a)または成分(d)を混合接触させる方法などが挙げられる。
【0105】
本発明では、上記各成分を混合するに際して、成分(a)は、固体状担体1gあたり、10−6〜5×10−4モル、好ましくは5×10−6〜2×10−4モルの量で用いられ、成分(a)の濃度は、10−5〜5×10−3モル/リットル−溶媒、好ましくは5×10−5〜2×10−2モル/リットル−溶媒の範囲である。成分(b)は、該成分(b)に由来するアルミニウム(Al)と、成分(a)に由来する遷移金属との原子比(Al/遷移金属)で、10〜1000、好ましくは50〜500の量で用いられる。成分(c)は、成分(b)に由来するアルミニウム1モルに対し、0.01〜5.0モル、好ましくは0.02〜1.0モル、より好ましくは0.03〜0.5モルの量で用いられる。また、成分(d)が用いられる場合は、該成分(d)中のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)中のアルミニウム原子(Al-b)とのグラム原子比(Al-d/Al-b)で、0.01〜2.0、好ましくは0.02〜1.0の量で用いられる。
上記各成分を混合する際の混合温度は、−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。また、混合接触時には混合温度を変化させてもよい。
【0106】
本発明では、好ましい接触形態の一つとして、成分(b)および成分(c)を、あらかじめ不活性炭化水素中で混合接触させ、成分(b)と成分(c)との混合接触物を含む溶液を調製した後に、該溶液と、他の成分とを混合接触させる方法が挙げられる。成分(b)と成分(c)とを混合接触させるに際して、成分(b)の濃度は、0.01〜5モル/リットル−溶媒、好ましくは0.1〜3モル/リットル−溶媒の範囲である。成分(c)は、成分(b)に由来するアルミニウム1モルに対し、0.01〜5.0モル、好ましくは0.02〜1.0モル、より好ましくは0.03〜0.5モルの量であることが望ましい。成分(b)成分(c)とを混合接触する際の混合温度は、−20〜150℃、好ましくは0〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
【0107】
本発明で触媒の調製に用いられる不活性炭化水素として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0108】
本発明に係るオレフィン重合触媒では、成分(a)に由来する遷移金属原子が。固体状担体1g当たり、5×10−5〜5×10−2グラム原子、好ましくは10−5〜10−2グラム原子の量で担持され、成分(b)および必要により用いられる成分(d)に由来するアルミニウム原子が10−3〜1.0グラム原子、好ましくは5×10−3〜5×10−1グラム原子の量で担持され、成分(c)が、5×10−5〜5×10−2モル、好ましくは10−5〜10−2モルの量で担持されていることが望ましい。また、必要に応じて用いられる成分(B)は、成分(a)に由来する遷移金属原子1グラム原子当たり500モル以下、好ましくは1〜200モルの量で用いられることが望ましい。
【0109】
本発明に関わるオレフィン重合では、重合反応を単段で行なっても良いし、二段以上の多段で行うこともできる。しかし、既に述べたように、多段重合方式は、本発明のエチレン系重合体の密度(d)、MFR、メチル分岐数とエチル分岐数の和(A+B)をほぼ一定値に保ったままMT/ηを本発明のクレーム範囲内で任意に可変できるという特徴を持つことから、通常は多段、好ましくは二段または三段重合反応方式が採用される。本発明における二段重合は、通常、前段重合(以下の説明では「予備重合」と呼称する場合がある。)と後段重合(本重合)工程とから構成される。本発明の三段重合は、通常、予備重合と二段の本重合工程から構成される。
【0110】
予備重合触媒は、上記成分(a)、成分(b)、成分(c)および固体状担体の存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィンを予備重合させることにより調製することができる。なお上記各成分(a)、成分(b)、成分(c)および固体状担体からはオレフィン重合触媒が形成されていることが好ましい。このオレフィン重合触媒に加えて、さらに成分(d)を添加してもよい。
【0111】
予備重合に際して、成分(a)は固体状担体1g当り、遷移金属として10-6〜5×10-4モル、好ましくは5×10−6〜2×10−4モルの量で用いられる。成分(b)は、該成分(b)のアルミニウム(Al)と成分(a)の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)で、10〜1000、好ましくは50〜500の量で用いられる。成分(c)は、成分(b)1モルに対し、0.01〜5.0モル、好ましくは0.02〜1.0モル、より好ましくは0.03〜0.5モルの量で用いられる。また、成分(d)が用いられる場合は、該成分(d)中のアルミニウム原子(Al−d)と成分(b)中のアルミニウム原子(Al−b)との原子比(Al−d/Al−b)で、0.01〜5.0、好ましくは0.02〜1.0の量で用いられる。
【0112】
遷移金属化合物(a)または各成分から形成されたオレフィン重合触媒の予備重合系における濃度は、遷移金属/重合容積1リットル比で、通常10−6〜2×10−2モル/リットル、さらには5×10−5〜10−2モル/リットルであることが望ましい。
【0113】
予備重合温度は、−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は、0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。予備重合には、後述する重合時に用いられるオレフィンと同様のオレフィンが用いられるが、好ましくはエチレンを主成分とするオレフィンである。
【0114】
予備重合触媒は、不活性炭化水素溶媒を用いて調製されたオレフィン重合触媒懸濁液にオレフィンを導入してもよく、また不活性炭化水素溶媒中で生成したオレフィン重合触媒を懸濁液から分離した後、再び不活性炭化水素中に懸濁して、得られた懸濁液中にオレフィンを導入してもよい。
【0115】
予備重合によって、固体状担体1g当り0.01〜1000g、好ましくは0.1〜800g、さらに好ましくは0.2〜500gの量のオレフィン重合体(予備重合体)が生成することが望ましい。
【0116】
予備重合は回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても実施することができる。このように得られる予備重合触媒では、成分(a)に由来する遷移金属原子が、固体状担体1g当たり、10−7〜4×10−2グラム原子、好ましくは5×10−7〜2×10−2グラム原子の量で担持され、成分(b)に由来するアルミニウム原子が10−6〜9.0×10−1グラム原子、好ましくは5×10−6〜5×10−1グラム原子の量で担持され、成分(c)が、5×10−8〜4×10−2モル、好ましくは10−8〜2×10−2モルの量で担持されていることが望ましい。
【0117】
次に、本発明に係るオレフィンの重合方法について説明する。本発明では、上記のオレフィン重合用固体触媒の存在下にオレフィンの重合を行う。重合は懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。
【0118】
液相重合法では上述した触媒調製の際に用いた不活性炭化水素と同じものを溶媒として用いることができ、またオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0119】
本発明のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、上記のような触媒は、重合系内の成分(a)に由来する遷移金属原子の濃度として、10−8〜10−3グラム原子/リットル(重合容積)、好ましくは10−7〜10−4グラム原子/リットル(重合容積)の量で用いられることが望ましい。この際、所望により有機アルミニウムオキシ化合物を用いてもよい。有機アルミニウムオキシ化合物の使用量は、成分(a)に由来する遷移金属原子1グラム原子当たり0〜500モルの範囲であることが望ましい。
【0120】
オレフィンの重合温度は、スラリー重合法を実施する際には、−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であることが望ましく、液相重合法を実施する際には、0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲であることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合温度は0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲であることが望ましい。重合圧力は、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0121】
得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることによって調節することができる。このような本発明のオレフィン重合触媒により重合することができるオレフィンとしては、エチレン、および炭素数が3〜20のα−オレフィン、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;炭素数が5〜20の環状オレフィン、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどを挙げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンなどを用いることもできる。
【0122】
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施される。
【0123】
本発明に係るエチレン系重合体を、他の熱可塑性樹脂とブレンドすることにより、成形性に優れ、かつ機械的強度に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。本願エチレン系重合体と、他の熱可塑性樹脂とのブレンド比率は、99.1/0.1〜0.1/99.9である。
【0124】
他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタール等の結晶性熱可塑性樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリレート等の非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。ポリ塩化ビニルも好ましく用いられる。
【0125】
上記ポリオレフィンとして具体的には、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系重合体、3-メチル-1-ブテン系重合体、ヘキセン系重合体などが挙げられる。中でも、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、4-メチル-1-ペンテン系重合体が好ましく、エチレン系重合体である場合は本発明に係るエチレン系重合体であっても従来のエチレン系重合体であってもよく、エチレン・極性基含有ビニル共重合体であってもよいが、従来のエチレン系重合体がより好ましい。
【0126】
上記ポリエステルとして具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族系ポリエステル;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができる。
【0127】
上記ポリアミドとして具体的には、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。
【0128】
上記ポリアセタールとして具体的には、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができる。中でも、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0129】
上記ポリスチレンは、スチレンの単独重合体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α-メチルスチレンとの二元共重合体であってもよい。
【0130】
上記ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するABSが好ましく用いられる。
【0131】
上記ポリカーボネートとしては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどから得られるポリマーを挙げることができる。中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから得られるポリカーボネートが特に好ましい。
【0132】
上記ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキシド)を用いることが好ましい。
【0133】
上記ポリアクリレートとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレートを用いることが好ましい。
【0134】
上記のような熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。特に好ましい熱可塑性樹脂はポリオレフィンであって、エチレン系重合体がより特に好ましい。
【0135】
本発明に係るエチレン系重合体は、上記熱可塑性樹脂に加えてさらに本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブローッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0136】
本発明に係るエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む樹脂組成物を加工することにより、成形性に優れ、且つ機械的強度に優れた成形体、好ましくはフィルムが得られる。
【0137】
本発明のエチレン系共重合体は、一般のブロー成形、フィルム成形やインジェクション成形及び押出成形により加工される。得られたフィルムは単層でも使用することができるが、多層とすることでさらに様々な機能を付与することができる。その場合には、前記各成形法における共押出法が挙げられる。
【0138】
本発明のエチレン系重合体、及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物を加工することにより得られる成形体としては、ブロー成形によるボトル容器、工業薬品缶、ガソリンタンク、フィルム成形によるフィルム、押出成形によるチューブ、パイプ、引きちぎりキャップ、日用雑貨品等射出成形物、繊維、回転成形による大型成形品などがあげられる。
【0139】
以下実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0140】
固体成分(S)の調製
窒素流通下、250℃で10時間乾燥したシリカ(SiO)13g(成分E)を、100mLのトルエンに懸濁した後、0℃まで冷却した。この懸濁液にメチルアルモキサン(成分B:アルベマール品)のトルエン溶液(Al原子換算で1.75mmol/mL)52.6mLを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜2℃に保った。引き続き0℃で30分間反応させた後、1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた固体成分をトルエンで4回洗浄した後、トルエンを加え、固体成分(S)のトルエンスラリーを調製した。得られた固体成分(S)の一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:0.1216g/mL、Al濃度:0.575mmol/mLであった。また、上澄みの一部を採取し、濃度を測定したところ、Al濃度:0.001mmol/mL以下であった。
【0141】
固体触媒成分(X)の調製
窒素置換した400mLのガラス製フラスコにトルエン208mLを入れ、攪拌下、上記で調製した固体成分(S)のトルエンスラリー(固体部換算で8.0g)を装入した。次に、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(成分A)のトルエン溶液(Zr原子換算で0.0015mmol/mL)126mLを滴下し、室温で2時間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、トルエンで1回洗浄し、250mLのトルエンスラリーとした。次に、室温にてテトラフルオロハイドロキノン1.377g(成分C)を溶解したトルエン溶液150mLを装入し、40℃まで昇温した後、30分間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、トルエンで1回洗浄し、250mLのトルエンスラリーとした。さらに、メチルアルモキサン(アルベマール品;成分B)のトルエン溶液(Al原子換算で0.253mmol/mL)150mLを10分かけて滴下し、40℃まで昇温した後、30分間反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、トルエンで3回、デカンで3回洗浄し、デカン150mLを加えて固体触媒成分(X)のデカンスラリーを調製した。得られた固体触媒成分(X)のデカンスラリーの一部を採取して濃度を調べたところ、Zr濃度0.0892mg/mL、Al濃度11.2mg/mLであった。
【0142】
前重合触媒成分(Q)の調製
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン 500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。20℃、エチレン雰囲気にて、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmol(成分D)、固体触媒成分(X)(ジルコニウム原子換算で0.0254mmol)をこの順に装入した。エチレン圧を0.78MPa・Gとし、20℃にて8時間重合を行った後に脱圧し、オートクレーブ内のエチレンを窒素により置換した。内容物を充分に窒素置換した1L容器に移液し、デカンで3回洗浄し、デカンを加えて前重合触媒成分(Q)のデカンスラリーを調製した。得られた前重合触媒成分(Q)のデカンスラリーの一部を採取してスラリー濃度、前重合量を調べたところ、スラリー濃度=0.1693g/mL、固体触媒成分1g当たりの前重合量は、31g/g−固体触媒成分であった。また、前重合によって得られた重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)を行ったところ、前重合体のMwは75.4×10、Mzは735.6×10であった。
【実施例1】
【0143】
重合
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン 500mLを入れ、エチレンを流通し、液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、水素−エチレン混合ガス(水素濃度:0.085vol%)を用いて、系内を置換した後、1−ヘキセン60mL、トリイソブチルアルミニウム 0.375mmol(成分D)、前重合触媒成分(Q)1.44gをこの順に装入した。65℃に昇温して、0.78MPa・Gにて30分間重合を行った。得られたポリマーを10時間、真空乾燥し、エチレン・1−ヘキセン共重合体98.9gを得た。
【0144】
測定試料を調製するため、得られたエチレン系重合体に耐熱安定剤としてIrganox1076(チバスペシャリティケミカルズ)0.1重量%、Irgafos168(チバスペシャリティケミカルズ)0.1重量%を加え、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用い、樹脂温度180℃、回転数50rpm.で5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cmの条件にて冷却した。該試料を用いて物性測定を行った結果を表1に示す。
【0145】
実施例1は請求項1、2に記載の要件を満たしている。このため、ブロー成形における溶融パリソンの垂れ下がり、ちぎれが発生しづらく、且つ耐衝撃強度、耐環境応力破壊性(ESCR)に優れ、さらに熱安定性に優れると予想される。
【0146】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと、炭素数4〜10のα-オレフィンとの共重合体であって、下記要件[F1]〜[F4]を同時に満たすことを特徴とするエチレン系重合体。
[F1]190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜
1.0g/10分の範囲である。
[F2] 密度(d)が890〜960kg/mの範囲である。
[F3]190℃における溶融張力〔MT(g)〕と、200℃、角速度1.0rad/秒におけ
るせん断粘度〔η(P)〕との比〔MT/η(g/P)〕が7.00×10−5
9.00×10−4の範囲である。
[F4]13C−NMRにより測定された炭素原子1000個あたりのメチル分岐数〔A
(/1000C)〕とエチル分岐数〔B(/1000C)〕との和〔(A+B)(/1000C)〕が1.4以
下である。
【請求項2】
下記要件[f1]〜[f3]のいずれか1つ以上を満たすことを特徴とする請求項1記載のエチレン系重合体。
[f1]GPCで測定したZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/
Mw)が10以上である。
[f2]IRで測定した炭素数1000個あたりの末端ビニル基数〔v(/1000C)〕
とGPCで測定した数平均分子量(Mn)とから算出される1分子鎖あたりの末端
ビニル基数(V)が0.47/1分子鎖以下である。
[f3]DSCにおける融点の最大ピーク〔Tm(℃)〕と密度(d)とが、下記関係式
(Eq-1)を満たす。
【数1】

【請求項3】
固体状担体と
(A)(a)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を一個以上含む周期律表4族の遷移金属化合物、(b)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c)一般式(I)で示される多価官能性有機ハロゲン化物、
【化1】

〔式(I)中、Rはハロゲン原子を一個以上含む(o+p)価の基であり、o,pは、(o+p)≧2を満たす正の整数であり、QおよびQは、−OH、−NHまたは−NLH(−NLHにおいて、Lは、ハロゲン原子、C〜C20の炭化水素基、C〜C20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基またはリン含有基から選ばれる任意の基である。)を示し、LとR、NとR、NとNは互いに結合して環を形成していてもよい。〕を接触させて得られる固体状遷移金属触媒成分と、必要に応じて、
(B)有機アルミニウム化合物
とから形成される触媒系を用いて重合して得られることを特徴とする請求項1〜2に記載のエチレン系重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物.
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン系重合体及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体。
【請求項6】
請求項5に記載のエチレン系重合体及びエチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物から得られるブロー成形体。

【公開番号】特開2006−8837(P2006−8837A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187516(P2004−187516)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】