説明

エックス線分析装置

【課題】エックス線分析装置での測定ではエックス線の照射方向と検出方向とを被測定位置で交差させる必要があり、エックス線の集中手段の指向方向を簡便に調整でき、さらに照射エックス線のうち集中手段に導かれないエックス線が周囲に漏洩することを防止したエックス線分析装置を提供する。
【解決手段】キャピラリー12、13を挿入したキャピラリーチャックの先端部にロックナットを締め付けてキャピラリー12、13を保持させ、該キャピラリーチャックをキャピラリーホルダ16に挿入し、該キャピラリーホルダ16を発生装置2と検出装置3にそれぞれカバー14、15を介して取り付ける。キャピラリーホルダ16の周壁に植設した調整ネジの締め付け状態を調整することによりキャピラリーチャックの姿勢を調整してキャピラリー12、13の指向方向を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エックス線を用いて試料を分析する場合に、試料に対してエックス線を照射するエックス線発生装置と試料で反射したエックス線を捕捉するエックス線検出装置とに、エックス線を集中させるために設けられるキャピラリー等の取付と指向方向の調整を簡便に行えるようにし、しかもエックス線発生装置からのエックス線の漏洩を極力防止したエックス線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白色エックス線を試料に照射し、その照射位置における回折線と蛍光エックス線とを同時に検出することにより試料を分析するエネルギー分散型エックス線回折・分光装置を、本願出願人は既に提案している(特許文献1参照)。このエックス線回折・分光装置は、白色エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ離散した異なる第1の位置と第2の位置とに移動させ、それぞれの位置における前記エックス線検出手段により各エネルギー毎のエックス線強度を得て、得られたデータに所定の処理を施して、回折エックス線に関するデータと蛍光エックス線のデータを得るようにしたものである。
【0003】
このエックス線回折・分光装置では、エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、第1の位置と第2の位置とに移動させて測定を行うことができるため、可搬性に優れた装置とすることができるものである。良好な可搬性を備えているため、測定対象が設置されている場所に携行して測定を行うことができる利点を備えている。
【0004】
さらに、本願出願人はエックス線発生手段とエックス線検出手段の移動を常に所定の関係に支持させて行うことができるようにしたエックス線分析装置も提案している(特許文献2参照)。このエックス線分析装置は、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、同一の円弧に沿って移動させると共に、エックス線発生手段の照射方向とエックス線検出手段の検出方向をこの円弧の中心で交差させるよう案内する案内手段と、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とを、それぞれ案内手段に沿って移動させる発生手段移動装置と検出手段移動装置とを備え、前記測定対象の被測定位置を前記円弧の中心である測定予定位置に設定する構成とされたものである。
【0005】
【特許文献1】国際公開 WO 2005/005969 A1
【特許文献2】特願2005−359017
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記エックス線分析装置によれば、エックス線発生手段とエックス線検出手段とを所定の位置関係を維持しながら迅速に移動させることにより、測定時間を短縮化できると共に、可搬性に優れたものとすることができる。
【0007】
ところで、測定のためにはエックス線発生手段によるエックス線の測定対象物に対する照射位置と、エックス線検出手段による測定対象物における捕捉位置とを一致させる必要がある。これら、エックス線発生手段とエックス線検出手段とには、照射エックス線及び検出エックス線を集中させるために、それぞれキャピラリー等の集中手段が設けられている。エックス線の照射方向と検出方向は、これらキャピラリーの指向方向を調整することにより、測定対象物における被測定位置で交差させるようにしてある。キャピラリーは中空円筒状の細管で形成されているため、取付角度が僅かでもずれてしまうと被測定位置に一致させることができない。しかも、測定時の振動等による影響を受けることなく、その指向方向を維持する必要がある。
【0008】
そこで、この発明は、キャピラリーを確実に保持できると共に、その指向方向の調整を簡便に行える調整機構を備えたエックス線分析装置を提供することを主たる目的とし、発生手段によって発生されたエックス線のうち、測定位置に集中させるためにキャピラリーに案内されるエックス線以外が、周囲に漏洩することを極力防止するようにしたエックス線分析装置を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るエックス線分析装置は、測定対象の被測定位置と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに、エックス線を案内して被測定位置に集中させる集中手段を設け、前記集中手段を前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させて設ける保持手段を設け、前記集中手段の指向方向を調整する調整手段を前記保持手段に設け、該調整手段により前記指向方向を調整して、前記エックス線発生手段からの照射エックス線の照射位置と前記エックス線検出手段による検出エックス線の捕捉位置とを調整することを特徴としている。
【0010】
前記集中手段を保持させた前記保持手段を、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに設ける。この状態で、前記調整手段を操作して、保持手段に保持された集中手段の指向方向を、エックス線発生手段から照射エックス線が測定位置に照射され、該測定位置で反射した検出エックス線をエックス線検出手段で捕捉することができるように調整する。
【0011】
また、請求項2の発明に係るエックス線分析装置は、前記集中手段がキャピラリーであり、前記調整手段が前記指向方向と交差する方向に進退可能に前記保持手段に螺合させた適宜本数の調整ネジであり、該適宜本数の調整ネジの保持手段に対する締め付け位置を調整することによりキャピラーの指向方向を調整することを特徴としている。
【0012】
前記集中手段として中空円筒状のキャピラリーを用い、このキャピラリーを保持手段に挿入して保持させる。保持手段に螺合させた前記調整ネジを締め付けることにより、キャピラリーに該調整ネジによる押圧力が加えられる。複数本の調整ネジのそれぞれについて押圧力を異ならせることにより、キャピラリーの姿勢が変更されるから、その指向方向が変更される。したがって、調整ネジのそれぞれについて締め付け状態を調整することにより、キャピラリーの指向方向が被測定位置を通るように調整する。
【0013】
また、請求項3の発明に係るエックス線分析装置は、測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに設けた、前記エックス線を集中させるためのキャピラリーを挿入するキャピラリーチャックと、前記キャピラリーに遊嵌され、前記キャピラリーチャックと螺合するロックナットと、前記キャピラリーチャックを挿入するキャピラリーホルダと、前記キャピラリーホルダの周壁に、該キャピラリーホルダの軸方向と交差する方に進退可能な適宜本数の調整ネジを植設し、前記ロックナットをキャピラリーチャックに螺合させて締め付けることによりキャピラーを保持させ、前記キャピラリーホルダを前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させ、前記調整ネジの締め付け状態によってキャピラリーの軸方向を調整してキャピラリーの指向方向を調整することを特徴としている。
【0014】
前記キャピラリーチャックにキャピラリーを挿入し、このキャピラリーチャックを前記キャピラリーホルダに挿入する。キャピラリーに前記ロックナットを遊嵌してキャピラリーチャックの先端部に螺合させて締め付けると、キャピラリーがキャピラリーチャックに保持される。前記調整ネジを締め付けて、その先端をキャピラリーチャックの周壁面に当接させた状態とし、それぞれの調整ネジの締め付け具合を調整して、キャピラリーチャックに対する押圧力を調整する。これにより、キャピラリーチャックの姿勢が変更され、キャピラリーの指向方向が調整される。
【0015】
また、請求項4の発明に係るエックス線分析装置は、測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、前記エックス線発生手段のエックス線の出射部に被せたカバーと、前記エックス線発生手段の出射部の後部の胴部に取り付けて、前記カバーを止着する保持フレームと、前記エックス線発生手段の前記胴部の基端部に設けたフランジ部の後面に当接させた固定板とを有し、前記フランジ部を前記固定板と保持フレームとにより挟持させて、該保持フレームをエックス線発生手段に固定し、前記カバーにキャピラリーホルダを取り付け、このキャピラーホルダに、前記エックス線を集中させるキャピラリーを連繋させて保持させたことを特徴としている。
【0016】
エックス線はエックス線発生装置の出射部から発せられるので、この出射部に臨ませて集中手段であるキャピラリーを配することになる。発せられたエックス線のうち、一部はこのキャピラリーに案内されず、前記カバー内を乱反射するものが存する。このキャピラリーに導かれないエックス線がカバー外に漏洩してしまうと、操作者が被曝するおそれがあるから、キャピラリーをカバーに連繋させる構造を利用して、エックス線がカバーから漏洩しないようにしたものである。キャピラリーに導かれずにカバー内で反射するエックス線は、このカバーが前記保持フレームに止着され、さらに該保持フレームが前記固定板と協働してフランジ部を挟んでいるため、カバー内と外部とを連通させる隙間が迷路状に形成されることになる。このため、エックス線の周囲への漏洩が阻止される。
【0017】
また、請求項5の発明に係るエックス線分析装置は、前記キャピラリーホルダにキャピラリーチャックを挿入し、前記キャピラリーチャックと螺合するロックナットを、前記キャピラリーに遊嵌させて設け、前記ロックナットをキャピラリーチャックに螺合させて締め付けることによりキャピラーを保持させ、前記キャピラリーホルダの周壁に、該キャピラリーホルダの軸方向と交差する方向に進退可能な適宜本数の調整ネジを植設し、前記キャピラリーホルダを前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させ、前記調整ネジの締め付け状態によってキャピラリーの軸方向を調整してキャピラリーの指向方向を調整することを特徴としている。
【0018】
すなわち、キャピラリーの取付構造にエックス線の漏洩防止構造を付加した構造としてある。キャピラリーを保持させるキャピラリーホルダを前記カバーに取り付けることにより、キャピラリーの指向方向の調整を行えるようにすると共に、保持フレームにカバーを止着させることにより、キャピラリーに導かれないエックス線の漏洩を防止するようにしたものである。
【0019】
また、請求項6の発明に係るエックス線分析装置は、前記保持フレームの前面に前側凹所を形成し、該前側凹所に前記カバーの後部を収容させ、該保持フレームの背面に後側凹所を形成し、該後側凹所に前記フランジ部を収容させて、カバーとフランジ部とをそれぞれ保持フレームに連繋させたことを特徴としている。
【0020】
前記カバーとエックス線発生手段のそれぞれと、保持フレームとの係合を、いわゆるインロウ形式によって行うようにしたものである。この形式の係合によって部材間に形成される隙間を迷路状にでき、エックス線の漏洩を極力防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るエックス線分析装置によれば、集中手段の指向方向を調整する調整手段が設けられているから、エックス線の照射位置と検出位置とを被測定位置に確実に一致させることができ、極力正確な測定を行うことができる。
【0022】
また、請求項2の発明に係る発明によれば、集中手段としてのキャピラリー等を複数本の調整ネジで調整することによるから、該キャピラリーの指向方向の微調整を容易に行うことができ、該指向方向が確実に被測定位置を通過するよう、より確実に調整することができる。
【0023】
また、請求項3の発明に係るエックス線分析装置によれば、ロックナットの締め付けによりキャピラリーを簡便にキャピラリーチャックに保持させることができる。しかも、調整ネジはキャピラリーチャックを押圧することによるから、キャピラリーが押圧される場合に比べて、キャピラリーを損傷させることがほとんどない。
【0024】
また、請求項4の発明に係るエックス線分析装置によれば、エックス線発生手段から発せられたエックス線のうちキャピラリーに導かれないエックス線が、エックス線発生手段の周囲に放射されることが極力防止されるから、操作者等が被曝することを防止することができる。
【0025】
また、請求項5の発明に係るエックス線分析装置によれば、簡単な構造でキャピラリーの指向方向を調整する機構と、エックス線発生装置から発せられたエックス線が周囲に漏洩することを確実に防止する構造とを具備させることができる。
【0026】
また、請求項6の発明に係るエックス線分析装置によれば、保持フレームとカバーとの係合と、保持フレームとエックス線発生手段との係合とを、確実に行うことができると共に、この係合構造によってカバーの内外部を連通させる隙間を確実に迷路状とすることができて、エックス線の漏洩を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るエックス線分析装置を具体的に説明する。
【0028】
図2にこの実施形態に係るエックス線分析装置1の正面からの斜視図を、図3に測定のための動作を説明する一部を想像線で示す平面図を、図4に構造を説明する平面図を、図5に正面図をそれぞれ示してある。このエックス線分析装置1は、白色エックス線を発生するエックス線発生手段としての発生装置2と、この発生装置2で発生された白色エックス線が測定対象物Oを照射した位置(被測定位置)で反射したエックス線を捕捉して、当該位置におけるエックス線のエネルギーと強度とを検出するエックス線検出手段としての検出装置3と、これら発生装置2と検出装置3の移動を案内するガイドレール4等により構成されている。前記発生手段2から発生した白色エックス線はこの発生手段2の先端から照射方向に伸長させた集中手段であるキャピラリー12を通して射出され、前記検出手段3の先端から検出方向に伸長させた集中手段であるキャピラリー13を通して捕捉される。
【0029】
前記発生装置2と検出装置3は、それぞれ摺動プレート21、31に取り付けられて保持されており、これら摺動プレート21、31は保持プレート22、32に対して、それぞれ照射方向と検出方向に摺動可能とされている。これら摺動プレート21、31の摺動は、図5に示すように、摺動プレート21、31と保持プレート22、32との間に介在させた直動ガイド装置G12によって案内されるようにしてある。また、この摺動プレート21、31には、発生装置2と検出装置3の側方に張り出させて、図3及び図4に示すように、係合ブラケット23a、33aが設けられている。他方、保持プレート22、32のそれぞれには、照射方向側の両端部と検出方向側の両端部とのそれぞれに設けられた支持ブラケット24a、24b、34a、34bに回動自在に駆動スクリュー23b、33bが掛け渡されており、これら駆動スクリュー23b、33bのそれぞれに前記係合ブラケット23a、33aに形成されたナット部が螺合させてある。これら駆動スクリュー23b、33bは、発生装置2の反出射側すなわち背部側の支持ブラケット24aと、検出装置3の反入射側すなわち背部側の支持ブラケット34aよりもさらに背部側に突出させてあり、この突出させた部分に操作つまみ25、35が嵌着されており、操作者がこの操作つまみ25、35を摘んで回転させると駆動スクリュー23b、33bがそれぞれ回動する。また、保持プレート22、32の表面であって前記駆動スクリュー23b、33bに沿った部分には、前記係合ブラケット23a、33aの位置を把握できるよう、目盛26、36が刻設されている。これら保持プレート22、32は前記ガイドレール4に連繋して、このガイドレール4に案内されて移動可能とされている。
【0030】
前記ガイドレール4は、図2〜図4に示すように、円弧状に形成されている。このガイドレール4の円弧の中心は、図3及び図4に示すように、発生装置2の照射方向Doと検出装置3の検出方向Diとの交点Cとしてあり、この交点Cが測定予定位置となり、測定対象物Oにおける材料組成を測定する位置となる被測定位置をこの測定予定位置に一致させた状態で測定が行われる。
【0031】
ガイドレール4は図5に示すように、断面鳩尾形状に形成されており、保持プレート22、32にこの断面形状と合致する形状の連繋溝22a、32aが形成され、この連繋溝22a、32aの長手方向をガイドレール4の曲率と等しい曲率で円弧状に湾曲させてあり、この連繋溝22a、32aを介して保持プレート22、32がガイドレール4と連繋させてある。したがって、前記発生装置2の照射方向と、検出装置3の検出方向は、前記交点C即ち測定予定位置を指向した状態を維持しながら移動させることができる。また、このガイドレール4は、分割して形成されている。この実施形態では3分割で形成されており、各別にベースプレート5に止めネジ4aによって固定されている。他方、ベースプレート5には、このガイドレール4が取り付けられる位置に、図5に示すように、収容溝4bが形成されており、ガイドレール4の下端部がこの収容溝4bに収容されて、ガイドレール4の円弧の形状が維持されるようにしてある。さらに、図2〜図4に示すように、ベースプレート5には、ガイドレール4の内側に位置させて、該ガイドレール4の内側の円弧に合致する形状の維持面を有する維持板5aが取り付けられている。すなわち、ガイドレール4を前記収容溝4bに収容させて拘束すると共に、前記維持板5aを、維持面がガイドレール4の内側面に押圧した状態でベースプレート5に固定することにより、ガイドレール4が歪むことを防止している。これは、ガイドレール4が、前述したように、発生装置2と検出装置3の移動を案内する場合に、これら発生装置2と検出装置3の停止時における位置関係には高い精度が要求されるためであり、ガイドレール4に歪みが生じては精度を維持できなくなるおそれがあるためである。
【0032】
前記ガイドレール4の外方には、このガイドレール4が沿っている円弧と同心の円弧に沿わせて外側に歯6aが形成されている円弧状のラック6が配設されている。他方、前記保持プレート22、32のそれぞれには、前記駆動スクリュー23b、33bを挟んで発生装置2と検出装置3の反対側に、これら発生装置2と検出装置3を移動させるための駆動モータ27、37がそれぞれ取り付けられている。この駆動モータ27、37にステッピングモータを用いることが、発生装置2と検出装置3の移動を高精度に制御できるので好ましい。この駆動モータ27、37の出力軸には前記ラック6と噛合するピニオン27a、37aが嵌着させてある。これらピニオン27a、37aは、2枚の同一形状の歯車を軸方向に重ねると共に、これら2枚の歯車の歯の位置を周方向に僅かにずらして前記出力軸に嵌着させてある。この歯の位置のずれによって、ラック6の歯との間に生じるバックラッシュが除去されるようにしてある。なお、図3及び図4においては、これらラック6とピニオン27a、37aとをピッチ円で示してある。
【0033】
前記ベースプレート5は、前記ガイドレール4とラック6とが敷設され、前記維持板5aを取り付けるのに十分なほぼ円弧状をした架台部5bと、この架台部5bの背部に伸長させた台板部5cとが一体とされている。この台板部5cにはコントロールボックス7が取り付けられており、前記駆動モータ27、37の駆動回路がこのコントロールボックス7に収容されている。なお、この駆動回路に対して駆動信号等の制御信号を出力する制御回路は、このエックス線分析装置1による測定場所から適宜距離を離隔した位置に配された図示しないメインボックス内に配されている。
【0034】
前記ベースプレート5の下方には支持プレート8が配されて、これらベースプレート5と支持プレート8とは、ベースプレート5を支持プレート8に対して図3及び図4においてガイドレール4の径方向となるY方向に移動自在に、直動ガイド装置G58を介して連繋させてある。さらに、前記支持プレート8は架台プレート9の上方に配されており、支持プレート8と架台プレート9とは、支持プレート8が架台プレート9に対して図3及び図4においてガイドレール4の径方向と直交する径直角方向となるX方向に移動自在に、直動ガイド装置G89を介して連繋させてある。前記ベースプレート5の支持プレート8に対する移動は径方向駆動モータ51の作動により行われ、支持プレート8の架台プレート9に対する移動は径直角方向駆動モータ81により行われる。なお、この移動機構は、これら駆動モータ51、81の出力回転で駆動スクリューを回動させ、この駆動スクリューと螺合させたナット部を、ベースプレート5と支持プレート8のそれぞれに設けた構造等とすることができる。
【0035】
前記ベースプレート5は前述したように、少なくとも円弧状に形成する必要から架台部5bを有する形状とされているが、前記支持プレート8と架台プレート9は、前記X方向の移動とY方向の移動を行わせる機構を組み込めるものであれば任意の形状とすることができる。一方、このエックス線分析装置1の小型軽量化は、良好な可搬性を確保するために好ましい。また、ベースプレート5が円弧状とされていれば、測定対象物Oが立体的で、測定位置がこの立体の凹んだ部分となる場合には、測定位置よりも前方にある部分を円弧状の内側部分に位置させることができるので、測定を支障なく行うことができて好ましい。このため、ベースプレート5を円弧状に形成し、支持プレート8と架台プレート9とは、この円弧状の内側に突出する部分がない形状とすることが好ましい。そこで、この実施形態では、架台プレート9はベースプレート5と支持プレート8とを支持するために、ベースプレート5の架台部5bとほぼ等しい形状の円弧状に形成し、支持プレート8は、架台プレート9に対してX方向へ移動することが可能であり、ベースプレート5がY方向へ移動することを案内するのに十分となる大きさの矩形に形成されている。支持プレート8が矩形とされているため、ベースプレート5の測定対象物O側、すなわち前部側の端部が支持プレート8から外れた位置となる。他方、前記発生装置2と検出装置3とはベースプレート5の端部まで移動するが、端部まで移動した場合には、これら発生装置2と検出装置3との重量によってベースプレート5が撓んでしまうおそれがある。これを防止するために、図6に示すように、ベースプレート5が、測定対象物Oから最も離隔した位置にある端部の下方に、架台プレート9に固定した支持ブラケット10が配されている。この支持ブラケット10は、架台プレート9に固定された台座部10aに支持部10bが昇降可能に支持されて、高さ調整が自在となるように設けられ、この支持部10bの上面に転動可能に支持球10cが保持されている。ベースプレート5は、下面がこの支持球10cに接した状態で支持されるようにしてある。なお、支持部10bの昇降は、支持部10bの下部にネジ部10dを設け、台座部10aにこのネジ部10dと螺合するナット部を設けて、ネジ部10dを回動させることにより行わせることができる。
【0036】
前記発生装置2から出射される照射エックス線はキャピラリー12に測定位置を照射するよう案内され、測定位置で反射した検出エックス線はキャピラリー13によって案内されて検出装置3に入射するようにしてある。これらキャピラリー12、13は、発生装置2と検出装置3とのそれぞれに被せられたカバー14、15を介して取り付けられている。キャピラリー12、13は中空円筒で形成されており、いずれのキャピラリー12、13も同一形状であれば発生装置2と検出装置3との間の互換性があって好ましい。前記カバー14、15にはキャピラリーホルダ16が取り付けられており、このキャピラリーホルダ16にキャピラリー12、13が保持される。なお、キャピラリー12、13が同一形状である場合には、キャピラリーホルダ16は発生装置2と検出装置3とに共通の形状とすることが好ましい。
【0037】
図1は、キャピラリーホルダ16にキャピラリー12が保持された状態を示す断面図である。キャピラリーホルダ16の先端部の開口にはキャピラリーチャック16aが挿入されており、このキャピラリーチャック16aの先端部開口からキャピラリー12が挿入される。このキャピラリーチャック16aは、中間部に先端部よりも拡径された拡径部16dが形成されており、前記キャピラリーホルダ16の先端開口部にはこの拡径部16dよりも内径を小径とした環状の係止環16eが止着されている。また、キャピラリーチャック16aの先端部の外径はこの係止環16eの内径よりも小さくしてある。このため、キャピラリーチャック16aはキャピラリーホルダ16の基端部側から挿入して、前記拡径部16dの段部が前記係止環16eに当接した状態で配されるようにしてある。他方、キャピラリー12にはロックナット16bが遊嵌され、このロックナット16bはキャピラリーチャック16aの先端部の外周面に形成された雄ネジと螺合する。キャピラリーチャック16aの先端部は、外側に僅かに拡開されており、ロックナット16bが締め付けられると、この先端部が内側に撓むようにしてある。また、キャピラリーチャック16aの内周面には、キャピラリー12に接触するよう縮径されたスロート部16cが形成されており、ロックナット16bの締め付けによる前記先端部の撓みによって、このスロート部16cがさらに縮径されてキャピラリー12を適宜な力で保持するようにしてある。他方、キャピラリーホルダ16の先端部近傍には、調整ネジ17が螺合されている。この調整ネジ17は周方向にほぼ等間隔で4カ所に設けられており、先端を前記キャピラリーチャック16aに当接させるようにしてある。この調整ネジ17をそれぞれ適宜に締め付けることにより、キャピラリー12の指向方向を調整できると共に、キャピラリーチャック16aがキャピラリーホルダ16に保持される。
【0038】
前記発生装置2には前記カバー14が取り付けられて、このカバー14の先端部に前記キャピラリーホルダ16が取り付けられている。エックス線が出射される発生装置2の先端部は円錐台形に形成されており、前記カバー14はこの円錐台形の部分に被せられる。この円錐台形の基部に円柱形の胴部2aが連続しており、この胴部2aに環状の保持フレーム18が嵌着され、この保持フレーム18に前記カバー14が固定されている。カバー14と保持フレーム18との結合は、図5に示すように、保持フレーム18の前面に形成された凹所にカバー14を嵌合させて、いわゆるインロウ形式によって行われている。また、保持フレーム18の背面に形成された凹所に、発生装置2の胴部2aの基部に形成されたフランジ部2bを嵌合させて、いわゆるインロウ形式よって結合させてあり、このフランジ部2bの背面側から固定板18aを当接させ、この固定板18aを保持フレーム18にネジ止めすることにより、このフランジ部2bを保持フレーム18と固定板18aとにより挟持させて、発生装置2が保持フレーム18に固定されている。そして、この保持フレーム18が前記摺動プレート21の止着されて、発生装置2が摺動プレート21に取り付けられた状態としてある。
【0039】
他方、検出装置3には保持フレーム19が嵌着され、この保持フレーム19に前記カバー15が固定されて取り付けられている。また、この保持フレーム19が前記摺動プレート31に止着されて、検出装置3が摺動プレート31に取り付けられた状態としてある。
【0040】
前記カバー14、15には管継ぎ手20aが取り付けられており、この管継ぎ手20aを介して、カバー14の内外部が連通させてあり、内部側ではキャピラリー12、13の内部に連通させてある。そして、図2に示すようにチューブ20が管継ぎ手20aに接続されている。このチューブ20には、図示しないシールガスとしてのヘリウムガスの供給装置が接続されており、ヘリウムガスがカバー14の内部からキャピラリー12、13の内部に供給されるようにしてある。なお、シールガスは、チューブ20の途中に流量計等を介在させて、キャピラリー12、13への供給量を調整することができるようにしてある。
【0041】
前記ガイドレール4は、図2〜図4に示すように、前記交点Cを中心とした円弧に沿ってベースプレート5に設けられている。このベースプレート5のガイドレール4の交点C側に測距装置30が設けられている。この測距装置30は、レーザー光線を発するレーザー光源31と発せられたレーザー光線が測定対象で反射してその反射光線を受け入れる受光部32とを備えている。また、レーザー光線は、その進行方向が前記交点Cを通過するようにしてあり、極力小さい径のものとすることが好ましい。また、この測距装置30で測定する範囲は、前記交点Cを含む径方向にある位置であって、交点Cの前後に数mm程度の範囲でよく、特に交点Cまでの距離を正確に測定できるものであれば好ましい。
【0042】
以上により構成されたこの発明の実施形態に係るエックス線分析装置1の作用を、以下に説明する。
【0043】
このエックス線分析装置1では、発生装置2から測定対象物Oに向けて白色エックス線を照射し、測定対象物Oで反射したエックス線を検出装置3で捕捉し、そのエックス線強度を測定して測定対象物Oの材料組成を測定する。この測定に際しては、発生装置2と検出装置3とを移動させ、測定対象物Oにおける被測定位置に対する角度を、例えば、図4に示す広角位置と図3において想像線で示す狭角位置にある場合のそれぞれについて行うものである。このため、発生装置2から発せられたエックス線を被測定位置に確実に照射させ、被測定位置で反射したエックス線を検出装置3で確実に捕捉する必要があると共に、発生装置2と検出装置3の移動の前後において、被測定位置が同一とならなければないらない。まず、この被測定位置に発生装置2の照射位置と検出装置3の検出位置とを一致される操作を説明する。
【0044】
発生装置2と検出装置3のキャピラリー12、13の指向方向を前記交点Cで交差するように調整する。キャピラリー12、13は、予めキャピラリーホルダ16に挿入され、先端部に前記ロックナット16bが螺合させてあるキャピラリチャック16aにロックナット16b側から挿入する。このとき、ロックナット16bは締め付けを緩めておくことにより、キャピラリー12、13が円滑に挿入できるようにしておく。他方、キャピラリーホルダ16に螺合させて調整ネジ17を適宜に締め付けて、キャピラリーホルダ16にキャピラリーチャック16aを保持させた状態としておく。キャピラリー12、13がキャピラリチャック16aに挿入された状態でロックナット16bを締め付ける。これにより、キャピラリーチャック16aの先端部が内側に撓み、前記スロート部16cがキャピラリー12、13を押圧するから、キャピラリー12、13がキャピラリーチャック16aに保持された状態となる。そして、前記調整ネジ17を締め付け、あるいは緩めることによりキャピラリーチャック16aのキャピラリーホルダ16に対する姿勢を変更する。すなわち、調整ネジ17は、周方向にほぼ等間隔で4カ所に設けられているから、対向した位置にある一対の調整ネジ17のうち一方を締め付け、他方を緩めることにより、キャピラリーチャック16aは締め付けられた調整ネジ17の押圧力の方向に傾くことになる。したがって、4本の調整ネジ17の締め付け状態に応じて、キャピラリーチャック16aの姿勢を変更させることができ、該キャピラリーチャック16aに保持されているキャピラリー12、13の指向方向を変更することができる。このそれぞれの調整ネジ17の締め付け状態を調整して、キャピラリー12、13の指向方向が交点Cを通過するように調整する。
【0045】
そして、試料である測定対象物Oにおける測定すべき被測定位置が前記交点Cと一致するように設置する。この状態で、前記測距装置30によって被測定位置に対する距離を測定すれば、この被測定位置が交点C上にあるか否かを判別できる。被測定位置が交点Cと一致していない場合には、前記径方向駆動モータ51と径直角方向駆動モータ81とを必要に応じて作動させる。すなわち、径直角方向駆動モータ81を作動させると、前記支持プレート8が直動ガイド装置G89に案内されて架台プレート9に対してガイドレール4の径方向と直交するX方向に移動するので、測距装置30から発せられたレーザー光線が測定対象Oに入射するように調整する。また、測距装置30により得られた距離が、ベースプレート5上に設定された図示しない基準点と交点Cとの間の距離と異なっている場合には前記径方向駆動モータ51を作動させ、ベースプレート5を支持プレート8に対してY方向に移動させる。これにより、図示しない前記基準点から交点Cまでの距離と、同じく測定対象Oの被測定位置までの距離とを等しくすることができる。これらの調整によって、被測定位置が交点Cに位置した状態となるから、前記発生装置2から白色エックス線を発生させ、前記検出装置3により被測定位置におけるエックス線のエネルギーと強度を検出する。
【0046】
発生装置2から発せられたエックス線は、一部はキャピラリー12に導かれて被測定位置を照射することになるが、キャピラリー12に進入しない部分が生じる。エックス線のうちのキャピラリー12に進入しない部分は、カバー14内で反射する。このカバー14は保持フレーム18に止着され、保持フレーム18は固定板18aに連繋した状態で発生装置2に取り付けられているから、反射したエックス線はカバー14内から周囲に漏洩することがない。特に、この実施形態のように、カバー14と保持フレーム18との結合と、保持フレーム18と発生装置2のフランジ部2bとの結合をそれぞれインロウ形式によって行わせることにより、カバー14や保持フレーム18、固定板18aの間や、これらカバー14等と発生装置2との間に形成される隙間が迷路状に形成されるので、エックス線の漏洩を確実に防止することができる。
【0047】
一方、前記発生装置2のキャピラリー12と検出装置3のキャピラリー13とにはシールガスであるヘリウムガスが供給されているから、これらキャピラリー12、13の先端からヘリウムガスが噴出される。発生装置2から出射されたエックス線はキャピラリー12に案内されて被測定位置に集中して照射され、被測定位置で反射したエックス線の一部はキャピラリー13に案内されて検出装置3に入射する。このため、これらエックス線は、ヘリウムガスの雰囲気中を進行することとなり、大気中を進行する場合に比べて減衰することが極力防止される。しかも、ヘリウムガスは被測定位置まで達するから、エックス線は大気と全く接触することなく、測定対象物Oを照射し、検出装置3で捕捉される。これは、例えば、測定対象物Oが壁面の一部である場合には、図4に示すように、発生装置2と検出装置3との間が広角となった場合に、発生装置2または検出装置3の一部が壁面に当接してしまうおそれが生じる。このような場合には、広角の状態を維持したまま前記摺動プレート21、31を前記保持プレート22、32に対して移動させて、壁面と接触することを防止する。このとき、発生装置2と検出装置3は、被測定位置から離隔する方向に移動することとなり、キャピラリー12、13から被測定位置までの距離が大きくなる。この場合でも、ヘリウムガスがキャピラリー12、13から被測定位置に向けて噴出されるから、エックス線は確実にヘリウムガス雰囲気中を進行することになり、良好な検出効率を維持させることができる。
【0048】
次いで、発生装置2と検出装置3とを移動させて、これらの照射角度と検出角度を変更する。これら発生装置2、3の移動は、前記駆動モータ27、37をそれぞれ作動させることにより行う。駆動モータ27、37を作動させると、これらの出力軸に嵌合させたピニオン27a、37aが回動し、これらピニオン27a、37aと前記ラック56の噛合により、これらピニオン27a、37aがラック6に沿って転動する。これにより、駆動モータ27、37を支持している保持プレート22、32がガイドレール4に案内されて移動することになり、これら保持プレート22、32に摺動プレート21、31を介して取り付けられている発生装置2と検出装置3が前記交点Cを中心とした円弧に沿って移動することになる。しかも、これら発生装置2と検出装置3の照射方向と検出方向はいずれも交点Cを指向した状態に維持される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明に係るエックス線分析装置によれば、エックス線の照射方向を案内する集中手段と、測定対象の被測定位置で反射したエックス線をエックス線検出手段へ案内する集中手段とのそれぞれの指向方向を簡単に調整することができるから、測定のための準備に要する時間を短縮でき、例えば史跡や遺跡、歴史的造形物等のように、短時間での材料組成の測定を行うことを要求される状況での測定に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の実施形態に係るエックス線分析装置のキャピラリーの取付構造を説明する断面図である。
【図2】この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の正面からの斜視図で、概略の構造を示している。
【図3】この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の概略構造と測定のための動作を説明するための平面図で、一部を想像線で示してある。
【図4】この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の構造を説明する平面図である。
【図5】この発明の実施形態に係るエックス線分析装置の正面図である。
【図6】図3に示すエックス線分析装置の左側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 エックス線分析装置
2 発生装置(エックス線発生手段)
2a 胴部
2b フランジ部
21 摺動プレート
22 保持プレート
22a 連繋溝
23a 係合ブラケット
23b 駆動スクリュー
24a、24b 支持ブラケット
25 操作つまみ
26 目盛
27 駆動モータ
27a ピニオン
3 検出装置(エックス線検出手段)
31 摺動プレート
32 保持プレート
32a 連繋溝
33a 係合ブラケット
33b 駆動スクリュー
34a、34b 支持ブラケット
35 操作つまみ
36 目盛
37 駆動モータ
37a ピニオン
4 ガイドレール
4a 止めネジ
4b 収容溝
5 ベースプレート
51 径方向駆動モータ
5a 維持板
5b 架台部
5c 台板部
6 ラック
6a 歯
7 コントロールボックス
8 支持プレート
81 径直角方向駆動モータ
9 架台プレート
10 支持ブラケット
10a 台座部
10b 支持部
10c 支持球
10d ネジ部
12 キャピラリー
13 キャピラリー
14 カバー
15 カバー
16 キャピラリーホルダ
16a キャピラリーチャック
16b ロックナット
16c スロート部
17 調整ネジ
18 保持フレーム
19 保持フレーム
20 チューブ
20a 管継ぎ手
30 測距装置
Do 照射方向
Di 検出方向
O 測定対象物
G 直動ガイド装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の被測定位置と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、
前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに、エックス線を案内して被測定位置に集中させる集中手段を設け、
前記集中手段を前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させて設ける保持手段を設け、
前記集中手段の指向方向を調整する調整手段を前記保持手段に設け、該調整手段により前記指向方向を調整して、前記エックス線発生手段からの照射エックス線の照射位置と前記エックス線検出手段による検出エックス線の捕捉位置とを調整することを特徴とするエックス線分析装置。
【請求項2】
前記集中手段がキャピラリーであり、前記調整手段が前記指向方向と交差する方向に進退可能に前記保持手段に螺合させた適宜本数の調整ネジであり、該適宜本数の調整ネジの保持手段に対する締め付け位置を調整することによりキャピラーの指向方向を調整することを特徴とする請求項1に記載のエックス線分析装置。
【請求項3】
測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、
前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに設けた、前記エックス線を集中させるためのキャピラリーを挿入するキャピラリーチャックと、
前記キャピラリーに遊嵌され、前記キャピラリーチャックと螺合するロックナットと、
前記キャピラリーチャックを挿入するキャピラリーホルダと、
前記キャピラリーホルダの周壁に、該キャピラリーホルダの軸方向と交差する方に進退可能な適宜本数の調整ネジを植設し、
前記ロックナットをキャピラリーチャックに螺合させて締め付けることによりキャピラーを保持させ、
前記キャピラリーホルダを前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させ、
前記調整ネジの締め付け状態によってキャピラリーの軸方向を調整してキャピラリーの指向方向を調整することを特徴とするエックス線分析装置。
【請求項4】
測定対象の被測定位置に対して白色エックス線を照射するエックス線発生手段と、前記被測定位置から放出されたエックス線のエネルギーと強度を検出するエックス線検出手段とを有し、照射角度と検出角度を所定の関係に保って前記エックス線発生手段とエックス線検出手段とをそれぞれ移動させ、前記エックス線検出手段により取得されたエックス線のエネルギーと強度とに基づいて回折エックス線分析と蛍光エックス線分析を行うエックス線分析装置において、
前記エックス線発生手段のエックス線の出射部に被せたカバーと、
前記エックス線発生手段の出射部の後部の胴部に取り付けて、前記カバーを止着する保持フレームと、
前記エックス線発生手段の前記胴部の基端部に設けたフランジ部の後面に当接させた固定板とを有し、
前記フランジ部を前記固定板と保持フレームとにより挟持させて、該保持フレームをエックス線発生手段に固定し、
前記カバーにキャピラリーホルダを取り付け、このキャピラーホルダに、前記エックス線を集中させるキャピラリーを連繋させて保持させたことを特徴とするエックス線分析装置。
【請求項5】
前記キャピラリーホルダにキャピラリーチャックを挿入し、
前記キャピラリーチャックと螺合するロックナットを、前記キャピラリーに遊嵌させて設け、
前記ロックナットをキャピラリーチャックに螺合させて締め付けることによりキャピラーを保持させ、前記キャピラリーホルダの周壁に、該キャピラリーホルダの軸方向と交差する方向に進退可能な適宜本数の調整ネジを植設し、
前記キャピラリーホルダを前記エックス線発生手段とエックス線検出手段のそれぞれに連繋させ、
前記調整ネジの締め付け状態によってキャピラリーの軸方向を調整してキャピラリーの指向方向を調整することを特徴とする請求項4に記載のエックス線分析装置。
【請求項6】
前記保持フレームの前面に前側凹所を形成し、該前側凹所に前記カバーの後部を収容させ、該保持フレームの背面に後側凹所を形成し、該後側凹所に前記フランジ部を収容させて、カバーとフランジ部とをそれぞれ保持フレームに連繋させたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエックス線分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−39560(P2008−39560A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−213332(P2006−213332)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】