説明

エピポドフィロトキシンの(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド誘導体、その調製方法及び諸療法における抗癌剤としてのその応用

本発明は、置換(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド鎖によって4位置で置換されている新規のポドフィロトキシン誘導体、その調製方法及び抗癌剤としての薬剤の形でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意には置換された(ポリ)アミノアルキルアミノアセトアミド鎖により4位置で置換されている新規のポドフィロトキシン誘導体、その調製方法及び薬剤としての、特に抗癌剤としてのその使用に関する。
【0002】
本発明の化合物は、癌治療での有用性のために知られている天然リグナンであるポドフィロトキシンの誘導体を構成している。その他の合成誘導体、例えばエトポシド及びテニポシドなどは、現在特に小細胞肺癌の治療において化学療法剤として使用されている。これらの様々な化合物は、トポイソメラーゼIIの触媒活性を阻害することによって作用する。
【0003】
かくして、ポドフィロトキシン骨格上のβ位置におけるアセトアミド置換は、スペルミンまたはスペルミジンアセトアミド、あるいはさらに一般的には(ポリ)アミノアルキルアセトアミド単位を表す。
【背景技術】
【0004】
4’−デメチルエピポドフィロトキシン誘導体は、トポイソメラーゼIIの阻害物質として知られている。その細胞毒性及び抗腫瘍活性が、特にエトポシド、TOP53(Drugs of the Future,1996年,21号,1136頁)、GL331(Medicinal Research Reviews,1997年,17号,367頁)及びNK611(Cancer Chemother. Pharmacol.,1996年,38号,217頁及び541頁)について実証されてきた。ポドフィロトキシンの4β−位置において直接結合されているベンジルアミン型のアミノ鎖を有する化合物について記述されてきた(J. Med. Chem.,1991年,34号,3346頁)。仏国特許出願公開第2810321号明細書は、癌治療において使用されるカルバミン酸またはチオカルバミン酸ポドフィロトキシン誘導体について開示している。4β−位置におけるアミド化合物も同様に開示されてきた(米国特許第6566393号明細書;Acta Pharmacetica Sinica(Yaoxue Xuebao),1993年,28号,422頁;Acta Chem. Scand.,1993年,47号,1190頁)。
【0005】
欧州特許第0876374号明細書は、エトポシド及びテニポシドの調製における合成中間体である4’−デメチルエピポドフィロトキシンを得ることを目的としたポドフィロトキシン脱メチル化のための方法ついて開示している。
【0006】
国際公開第03/082876号パンフレットは、抗癌活性を示す4β−1’’−[{2’’−置換ベンゾイル}アニリン]ポドフィロトキシン類似体について開示している。
【特許文献1】仏国特許出願公開第2810321号明細書
【特許文献2】米国特許第6566393号明細書
【特許文献3】欧州特許第0876374号明細書
【特許文献4】国際公開第03/082876号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より有効な治療を入手できることが必要であるため、現在のところ治療が不完全であるかまたは全く治療されていないタイプの腫瘍を標的とすることができ、しかも耐性の問題のない、異なる作用機序を有する新規の分子を探求することが奨励されている。これらの新規の製品が入手可能となることによって、一部の腫瘍に関してはより有効である同時治療を用いたプロトコルを準備することも同様に可能になる。
【0008】
本発明の新規の化合物はこの問題に応えることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の一般構造式(I)を有する化合物、あるいは、無機または有機酸を用いたこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、特にこれらの化合物の付加塩に関するものである。
【化1】

該構造式において、
■R1及びR2が、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し、
■R3及びAが、合わさってC3−C8環を形成するか、
または
■R3が、水素原子、C1−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から選択された基を表し、かつAは水素原子、C1−C4アルキル基、ベンジル基、及び下記の構造式(II)の基から成る群から選択された基を表し、
【化2】

該構造式において、
●aは2〜5まで変動し、
●R4及びBは、合わさってC3−C8環を形成するか、
または
●R4が、水素原子、C1−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から
選択された基を表し(ここで、R3とR4は、2個または3個の炭素原子
を含むアルキレン鎖によって結合可能である)、かつBが下記から成る群か
ら選択された基を表す。
―水素原子、
―C1−C4アルキル基、
―ベンジル基、
―下記構造式(III)の基、
【化3】

(なお該構造式において、b及びcは互いに独立して、2〜5まで変
動可能であり、かつR5〜R7は、互いに独立して、水素原子、C1
−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から選択された基を表し
(ここで、R4とR5および/またはR5とR6および/またはR6
とR7は、2個または3個の炭素原子を含むアルキレン鎖により結合
可能である));
―及び、下記の構造式(IV)の基、
【化4】

(なお該構造式において、cは2〜5まで変動可能であり、R8及びR
9は、それぞれ互いに独立して、水素原子またはC1−C5アルキル基を
表し(ここで、R4とR8は、2個または3個の炭素原子を含むアルキ
レン鎖により結合可能である)、またはR8とR9は合わさってC3−C
8環を形成する。)
【0010】
本発明の文脈中において、C3−C8環は有利には一つ以上のヘテロ原子、特に酸素を含むことのできる脂肪族環である。
【0011】
本発明の有利な代替形態に従うと、構造式(I)において、R3〜R9は、互いに独立して、水素原子またはC1−C4アルキル基、有利には水素原子またはメチル基を表す。
【0012】
本発明の文脈中において特に有利な化合物は、R3が、水素原子またはメチル基を表し、かつAが、水素原子、メチル基または構造式(II)の基を表し、該構造式においてR4が水素原子、メチル基またはエチル基を表し、かつBが、
−水素原子、
−メチル基、
−エチル基、
−構造式(III)の基(該構造式において、R5、R6及びR7は、水素原子、C1−C4アルキル基またはベンジル基を表す)、
−構造式(IV)の基(該構造式において、同一のものであるR8及びR9は、水素原子またはメチル基を表す)、
から成る群から選択された基を表す化合物である。
【0013】
本発明に従った好ましい化合物は、下記の化合物、及び無機または有機酸を用いたこれらの化合物の付加塩の中から選択される。

2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(2−(モルホリン−4−イル)エチルアミノ)アセトアミド

2−[(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−ジメチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミド

2−ベンジルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペラジン−1−イル)アセトアミド

2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−エチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(プロピルアミノ)アセトアミド

2−ブチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−ジエチルアミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−アミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−アミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(3−アミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5aS,6,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[8−オキソ−9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[3−(4−アミノブチルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
2−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(5−アミノペンチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
【0014】
さらに、好ましい本発明の化合物は、下記から成る群、及び無機または有機酸を用いたこれらの付加塩の中から選択される。

2−[(2−ジメチルアミノエチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−ジメチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[3−(4−アミノブチルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
【0015】
本発明に従った化合物の異性体は、本発明の不可欠な一部を成す。
【0016】
言外の制限的意味なく、薬学的に受容可能な酸のなかでも、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸及びスルファミン酸に言及することができる。
【0017】
本発明に従った化合物は、側鎖の塩基性窒素と共に無機または有機塩を形成する可能性を介して水溶性であるという特徴を示す。このことは、投与、処方、流通、薬物動態及び生物学的利用能に関して非常に有意な利点である。
【0018】
本発明のもう一つの主題は、本発明に従った化合物を調製するための方法であり、該方法は以下の連続的な段階を含む。
a)下記の構造式(VIII)のポドフィロトキシンから出発する段階、
【化5】

b)該当する場合には、下記の構造式(V)の化合物の脱メチル化による調製段階、
【化6】

(なお該構造式において、R1及びR2は構造式(I)の化合物において定義されたとおりである);次に
c)酸性媒質中でクロロアセトニトリルと構造式(V)または構造式(VIII)の化合物を反応させ、次に、該当する場合には、脱メチル化反応により、下記の構造式(VI)の化合物を得る段階、
【化7】

(なお該構造式において、R1及びR2は構造式(I)において定義されたとおりである);次に
d)構造式(VI)の化合物と下記の構造式(VII)の化合物の反応段階
【化8】

(なお該構造式において、R3及びAは構造式(I)の化合物において定義されたとおりであり、A基中に任意に存在するアミンは、ルイス塩基の存在下の極性非プロトン性溶媒を含む溶媒混合物中で、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル(Z)基、又はtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基から成る群から有利に選択される適切な保護基により保護されている)。
【0019】
天然生成物であるポドフィロトキシン中の原子は、従来、ポドフィロトキシン誘導体のために本発明の文脈中において使用されているものとは異なるシステムに従って付番されている。従って、本発明の文脈中においては、本発明に従った化合物(合成生成物)は、下記の構造式(I)の化合物のために与えられたシステムに従って付番されることになる。
【化9】

一方で、ポドフィロトキシンは、構造式(VIII)の化合物のために上記で与えられた従来使用されているシステムに従って付番されている。
【0020】
本発明の代替形態に従うと、ポドフィロトキシン上での脱メチル化反応によって得られる構造式(V)の化合物が調製される。かくして、
【化10】

という、4’−デメチルエピポドフィロトキシン(Va)(使用されている付番は、構造式(VIII)についてポドフィロトキシンのために使用されているものである)が、仏国特許出願公開第2742439号明細書に開示されている方法に従い、−10℃〜40℃の温度でトリフルオロ酢酸またはアセトン及び水の存在下で、試薬対メチオニン(または硫化ジメチル)/メタンスルホン酸を用いたポドフィロトキシン上での脱メチル化反応により得られる。
【0021】
過剰の試薬及び追加の反応時間を用いて、構造式(V)(該構造式において、R1=H及びR2=Me(またはR2=H及びR1=Me))の化合物であるジ脱メチル化生成物(Vb)(J. Med. Chem.,1986年,第29号,1547頁に記述されている)及び、新規の生成物である構造式(V)(該構造式において、R1=R2=H)の化合物であるトリ脱メチル化生成物(Vc)を得ることも同様に可能である。
【0022】
段階c)で、構造式(V)の化合物は、当業者には既知の方法に従って、刊行物Acta Chem. Scand.,1993年,第47号,1190頁に記述されている方法と類似の要領で、メタンスルホン酸または硫酸といった強酸の存在下でクロロアセトニトリルを用いたリッター反応に付される。この反応は、R1及びR2が構造式(I)の化合物において定義されているとおりである構造式(VI)の中間体を結果としてもたらす。
【0023】
段階c)の間、クロロアセトニトリルと構造式(V)の化合物の反応の前に、望ましくない副生成物の合成を防止するため、モノ−、ジ−及びトリ脱メチル化化合物(構造式(Va)、(Vb)及び(Vc))を、そのフェノール官能基においてベンジルオキシカルボニル基で保護することができる。これらの保護基は、その後、炭上のパラジウムの存在下での水素添加分解により従来型の要領で容易に開裂させることができる。しかしながら、クロロアセトニトリルと構造式(V)の化合物の直接反応を、未保護のフェノール官能基を有する構造式(Va)、(Vb)及び(Vc)の化合物を用いて実施することが可能である。
【0024】
本発明の別の代替形態に従うと、ポドフィロトキシン(VIII)が出発材料として直接使用される。
【0025】
モノ脱メチル化反応は、段階c)の間に、結果として構造式(VI)(該構造式において、R1=R2=Me)の誘導体(VIa)を得るべくリッター反応の後に実施される。同様にして、過剰の試薬及び追加の反応時間により、構造式(VI)(該構造式において、R1=H及びR2=Me(またはR2=H及びR1=Me))の化合物であるジ脱メチル化生成物(VIb)、及び構造式(VI)(該構造式において、R1=R2=H)の化合物であるトリ脱メチル化生成物(VIc)を得ることも可能である。
【0026】
段階d)の反応は、有利には、トリエチルアミンといった塩基及びヨウ化カリウムの存在下で、アセトニトリル及びDMFの混合物といった極性非プロトン性溶媒中において周囲温度で実施される。ヨウ化カリウムは、より良い反応性を得るために、構造式(VI)の化合物中に存在する塩素をヨウ素によって置換することを可能にする。
【0027】
構造式(VIII)においては、アミン官能基のための適切な保護基の例として、特にtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)基及びベンジルオキシカルボニル(Z)基に言及することができる。アミン官能基の保護は、カップリング反応中に単一の反応性部位しか存在しないような方法で、望ましくない副生成物の合成を避けることを可能にする。
【0028】
構造式(VII)の化合物は、Protective Groups in Organic Synthesis(Theodora W.Greene,第2版,John Wiley and Sons,1991年)またはSynthesis,2002年,第15号,2195頁;Bull. Chem. Soc. Jpn.,1998年,第71号,699頁;Tet. Lett.,1998年,第39号,439頁;Tet. Lett.,2001年,第42号,2709頁;OPPI,1994年,第26号,599頁;Synthesis,1994年,第37号;J. Org. Chem.,1998年,第63号,9723頁;Tet. Lett.,1994年,第35号,2057頁及び2061頁に示されているもののような、例えばBOCまたはZといったアミン用保護基による一連の選択的保護に従って調製することができる。これらの刊行物は、用いられた保護基での様々なアミンの調製について記述している。当業者であれば、類推により作業を進めることが可能である。
【0029】
該当する場合には、本発明に従った方法の最終段階は、適切な基によって保護されたアミン官能基の脱保護で構成される。
【0030】
本発明の化合物は、ポドフィロトキシンの天然起源に由来するキラル中心を有している。構造式(V)の化合物において、5−、5a−、8a−及び9−位置における水素原子は次の位置を有している:H5α、H5aα、H8aβ、H9β。構造式(VI)の化合物において、不斉炭素の立体配置は、有利には次の通りである:5S、5aS、8aS、9R。
【0031】
本発明は同様に、R1、R2及びR3が水素原子を表している構造式(V)の中間化合物にも関する。
【0032】
本発明のもう一つの主題は、薬剤としての本発明に従った構造式(I)の化合物にある。
【0033】
本発明の化合物は、それ自身任意にはアミンまたはポリアミンにより置換されているアセトアミド基により4位置に置換されているエピポドフィロトキシン構造を示す。
【0034】
アクリジン型のDNA−挿入単位に対してグラフトされたポリアミン鎖を有する化合物(J. Org. Chem.,2000年,第65号,5590頁;J. Med. Chem.,2002年,第45号,5098頁)、またはクロラムブシルといったアルキル化単位(J. Chem. Soc. Chem. Commun.,1992年,298頁)が記述されてきた。
【0035】
エトポシドを含めた他の既知の抗癌化合物とは定性的及び定量的に異なっている本発明の化合物は、DNAを標的として有し、それに対する損傷を引き起こすことに成功している薬剤であるという特性を有している。
【0036】
細胞は通常、DNAに対する損傷に直面すると、修復システムを開始させることによって反応し、それが確実に無傷の状態に留まるようにする。本発明の化合物を用いると、この修復方法がそれほど有効ではなく、その後細胞は細胞死に向かって発達する。DNA開裂のこの現象は、コメット試験中で蛍光により表示されかつ測定される(下記参照)。
【0037】
本発明の化合物は、幾つかのマウスモデルに関してインビトロ細胞毒性特性及びインビボ抗腫瘍特性を有している。
【0038】
本発明の化合物は、重量損失による固体形態のため、副作用を起すことなく有意でかつ完全ですらある腫瘍の退行をもたらす可能性を有していることから、例外的かつ驚くべき抗腫瘍活性を示す。これは、黒色腫、結腸直腸癌、肺、前立腺、膀胱、乳房、子宮、胃、膵臓または肝臓の癌、卵巣癌、白血病、特にリンパ腫及び骨髄腫、ENT(耳鼻咽喉)癌及び脳腫瘍といった非固形腫瘍及び固形腫瘍に関する有効な活性という希望を患者にもたらすことになる。
【0039】
本発明の特定の主題は、少なくとも一つの構造式(I)の化合物、及び経口または非経口経路による投与用として適切な賦形剤を含むことを特徴とする医薬品組成物にある。
【0040】
少なくとも一つの構造式(I)の化合物、及び経口または非経口投与用として適切な賦形剤含む本発明に従った医薬品組成物は、単独またはその他の抗癌剤と組み合わせて投与することが可能である。それらは、注射可能な形態、または硬質ゼラチンカプセルを含むカプセルまたは錠剤形態、注入可能な経路により0.5〜300mg/m2の投薬量で、かつ経口経路により1〜100mg/m2の投薬量で一日一回以上といったような投与に適した体裁をとり得る。
【0041】
最後に、本発明は、黒色腫、結腸直腸癌、肺、前立腺、膀胱、乳房、子宮、胃、膵臓または肝臓の癌、卵巣癌、白血病、特にリンパ腫及び骨髄腫、ENT癌及び脳腫瘍といった非固形腫瘍及び固形腫瘍の抗癌治療を目的とした薬剤の調製における、本発明に従った構造式(I)の化合物の使用に関する。
【0042】
本発明の一つの有利な代替形態に従うと、該薬剤は、癌および/または腫瘍の治療における同時の、分離された、または時間分散型の使用のための組合せ製品として、
a)構造式(I)の化合物、及び
b)抗癌剤、
を含む。
【0043】
特に該抗癌剤は、白金誘導体、タキサン、ビンカ及び5−FUから成る群から選択される。
【0044】
本発明の文脈中において、該薬剤は、従来の療法に対して耐性を示す腫瘍の治療をも同様に目的としている。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は、本発明の説明を可能にするものであり、それを制限するものではない。以下の実施例のプロトンNMRスペクトルにおいて、プロトンを呼称するために使用されている付番は、構造式(VIII)のポドフィロトキシンの構造について用いられ示されているものである。これとは対照的に、合成された生成物を指定するために使用されている付番は、構造式(I)の化合物のために使用され定義されているものである。
【0046】
実施例1:以下の化合物の調製:
5−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オン;及び
9−ヒドロキシ−5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オン
10g(24mmol)のポドフィロトキシンを60mlのトリフルオロ酢酸中に溶解させる。5.4ml(72mmol)の硫化ジメチル及び47ml(72mmol)のメタンスルホン酸を連続的に加える。撹拌を9時間維持し、5.4ml(72mmol)の硫化ジメチルを再度加えて撹拌を9時間維持する。媒質を素早く氷上(600ml)に走らせ、酢酸エチルで抽出する(3×300ml)。有機相をまず水で、次にNaHCO3溶液で中性になるまで洗浄する。硫酸ナトリウム上での乾燥、ろ過及び蒸発の後、6.3gの粗製脱メチル化生成物を得る。シリカ上のフラッシュクロマトグラフィ(溶離:CH2Cl2/アセトン 9/1)により550mgの5−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オン、すなわち構造式(Va)の4’−デメチルエピポドフィロトキシンの単離が可能になる。1.10gの5−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オン(分析対象:C20188・0.15H2O;計算値:C% 61.74、H% 4.74;実際値:C% 61.67、H% 4.68)、及び次に1.9gの9−ヒドロキシ−5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンも同様に単離される。後者の化合物は、以下の特徴を伴うプロトンNMRスペクトルを有している:1H NMR(d6−DMSO)δ8.65(m,2H)、7.95(m,1H)、6.71(s,1H,H5)、6.47(s,1H,H8)、5.98(d,2H,J=2Hz,OCH2O)、5.93(s,2H,H2',H6')、4.68(d,1H,J=3.2Hz,H4)、4.34(t,1H,J=8Hz,H11a)、4.29(d,1H,J=5.2Hz,H1)、4.16(dd,1H,J=8Hz,J’=10Hz,H11b)、3.17(dd,1H,J=5.2Hz及びJ’=14Hz,H2)、2.76(m,1H,H3)。
【0047】
実施例2:炭酸ベンジルエステル2−ベンジルオキシカルボニルオキシ−5−(9−ヒドロキシ−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−メトキシフェニルエステルの調製
撹拌しながら窒素下0℃で2.65ml(18.5mmol)のクロロギ酸ベンジルを、4.3ml(30mmol)のトリエチルアミンの存在下でCH2Cl2とTHFの1/1混合物中で実施例1に従って得られた2.4g(6.2mmol)の5−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンの溶液中に導入する。反応を1時間継続し、次に媒質を水の上に注ぎ、有機相を沈殿により分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させかつ蒸発させる。得られた二炭酸化合物をイソプロピルエーテルから結晶化させる(3.1g、収量76%)。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH 95/5)Rf=0.6;1H NMR(d6−DMSO)δ7.36(m,10H,Ar)、5.22(s,2H,ベンジルCH2)、5.17(s,2H,ベンジルCH2)。
【0048】
実施例3:炭酸ベンジルエステル2,3−bis(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−5−(9−ヒドロキシ−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)フェニルエステルの調製
実施例2と同じ反応によって、ただし5−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンの代わりに5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンを用いて、三炭酸誘導体を96%の収量で得る。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOΗ 95/5)Rf=0.5;1H NMR(d6−DMSO)δ7.38(m,10H,Ar)、7.31(m,5H,Ar)、5.21(s,4H,ベンジル CH2)、5.17(s,2H,ベンジル CH2)。
【0049】
実施例4:2−クロロ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は以下の二つの異なる方法で得ることができる:
a)構造式(Va)の4’−デメチルエピポドフィロトキシン30gを47.4mlのクロロアセトニトリルに加え、次に撹拌しながら3滴の濃硫酸を加える。周囲温度で撹拌を3時間維持する。その後300mlのイソプロパノールを撹拌しながら加える。得られた沈殿物をろ過し、200mlのイソプロパノールで洗浄する。沈殿物を水で中性pHとなるまですすぎ、次にエチルエーテルですすぐ。真空下で乾燥させた後、34.2g(収量96%)の白色固体を得る。融点:240℃;1H NMR(d6−DMSO)δ8.65(d,1H,J=7Hz,NH)、8.26(s,1H,4’−OH)、6.78(s,1H,H5)、6.54(s,1H,H8)、6.24(s,2H,H2',H6')、5.99(d,2H,J=11.3Hz,OCH2O)、5.17(dd,1H,J=4.56及び7Hz,H4)、4.51(d,1H,J=5.2Hz,H1)、4.29(t,1H,J=8Hz,H11a)、4.10(s,2H,CH2Cl)、3.78(dd,1H,J=8Hz及び10Hz,H11b)、3.63(s,6H,2×OCH3)、3.15(dd,1H,J=5.2及び14Hz,H2)、3.97(m,1H,H3)。
b)0.2mlの濃硫酸を、周囲温度で2mlのクロロアセトニトリル中で、懸濁状態で撹拌された1gのポドフィロトキシンに加える。溶液は均質になる。撹拌を周囲温度で2時間維持し、その後反応媒質を氷上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。沈殿により分離した後、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、2−クロロ−N−[9−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドに相当する840mgの明褐色の結晶を得る。融点=145℃。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH 95/5,Rf=0.5);1H NMR(d6−DMSO)δ4.1(s,2H,CH2Cl)。
この化合物を、実施例1の条件に従って脱メチル化し、従来のクロマトグラフィの後に20%の収量で、上述の実施例4a)のものと同じ化合物を得る。
【0050】
実施例5:2−クロロ−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
実施例4a)と同じ手順に従って、ただし実施例1に従って得られた5−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンを用いて、SiO2上のフラッシュクロマトグラフィ(溶離:CH2Cl2/MeOH 98/2)の後にベージュ色の固体を28%の収量で単離する。MS−ESI(m/z):462.1(MH+),479.1(MNH4+)。
【0051】
実施例6:炭酸ベンジルエステル2−ベンジルオキシカルボニルオキシ−5−[9−(2−クロロアセチルアミノ)−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−3−メトキシフェニルエステルの調製
実施例4a)と同じ手順に従って、ただし実施例2で得られた炭酸ベンジルエステル2−ベンジルオキシカルボニルオキシ−5−(9−ヒドロキシ−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ−[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)−3−メトキシフェニルエステルを用いて、炭酸ベンジルエステル2−ベンジルオキシカルボニルオキシ−5−[9−(2−クロロアセチルアミノ)−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−3−メトキシフェニルエステルを白色の泡の形で83%の収量で単離する。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH 95/5,Rf=0.63);1H NMR(d6−DMSO)δ4.11(s,2H,CH2Cl)。
【0052】
実施例7:2−クロロ−N−[8−オキソ−9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
実施例4a)と同じ手順に従って、ただし実施例1で得られた5−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−9−ヒドロキシ−5,8,8a,9−テトラヒドロ−5aH−フロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オンを用いて、SiO2上のフラッシュクロマトグラフィ(溶離:CH2Cl2/MeOH 95/5)の後に20%の収量でベージュ色の泡を単離する。MS−ESI(m/z):448.0(MH+)、465.0(MNH4+)。
【0053】
実施例8:炭酸ベンジルエステル2,3−bis(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−5−[9−(2−クロロアセチルアミノ)−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]フェニルエステルの調製
実施例4a)と同じ手順に従って、ただし実施例3で得られた炭酸ベンジルエステル2,3−bis(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−5−(9−ヒドロキシ−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]フェニルエステルを用いて、炭酸ベンジルエステル2,3−bis(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−5−[9−(2−クロロアセチルアミノ)−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]フェニルエステルを単離する。
【0054】
最終化合物の調製
実施例9:2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
0.75ml(5.2mmol)のトリエチルアミンそして次に微量のヨウ化カリウムKIを30mlのアセトニトリル及び3mlのDMF中に溶解した状態の実施例4の化合物1g(2.1mmol)に加える。次に、10mlのアセトニトリル中の0.6ml(5.2mmol)のN,N−ジメチル−1,2−エタンジアミンの溶液を周囲温度で撹拌しながら加える。撹拌を2日維持し、その後反応媒質を蒸発させ、残渣を水(100ml)で回収し、CH2Cl2で抽出する(25mlを3回);沈殿により分離させた後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発させる。残渣をChromagel 60AC シリカ(35−70mesh)上のフラッシュクロマトグラフィ(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90/9/1)により精製する。400mgの白色の泡が得られる(収量36%)。塩酸で飽和させたイソプロパノール溶液を加えることによって、アセトンから二塩酸塩を沈殿させる。融点=230℃;1H NMR塩基(d6−DMSO)δ8.26(m,1H,OH)、8.20(d,1H,J=8.3Hz,NHアミド)、6.76(s,1H,H5)、6.53(s,1H,H8)、6.24(s,2H,H2'-6')、5.99(d,J=11.56Hz,OCH2O)、5.20(dd,1H,J=8.3及び4.7Hz,H4)、4.50(d,1H,J=5.2Hz,H1)、4.28(t,1H,J=8Hz,H11a)、3.73(dd,1H,J=10.8及び8Hz,H11b)、3.63(s,6H,2×OMe)、3.37(m,1H,NH)、3.19(s,2H,CH2CO)、2.94(m,1H,Hl)、2.50(m,4H,2×CH2)、2.08(s,6H,2×CH3);MS−ESI(m/z):528.2(MH+)。
以下の化合物を同じ反応により、ただし対応する出発材料を用いて得る:
【0055】
実施例10:N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(2−モルホリン−4−イル)エチルアミノ)アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及び2−(モルホリン−4−イル)エタンアミンから調製される。
二塩酸塩:融点=212℃;MS−ESI(m/z):570.2(MH+)。
【0056】
実施例11:2−[(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びN,N,N−トリメチル−1,2−エタンジアミドから調製される。
二塩酸塩:融点=238℃
【0057】
実施例12:2−ジメチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びジメチルアミンから調製される。
塩酸塩:融点(℃)>260℃;分析対象:C252828・HCl;計算値:C% 57.64、H% 5.61、N% 5.38;実際値:C% 57.47、H% 5.47、N% 5.26。
【0058】
実施例13:N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びピペリジンから調製される。
塩酸塩:融点=269−270℃;分析対象:C283228・HCl;計算値:C% 59.95、H% 5.93、N% 4.99;実際値:C% 59.57、H% 6.25、N% 4.96。
【0059】
実施例14:2−ベンジルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びベンジルアミンから調製される。
塩酸塩:融点=225℃
【0060】
実施例15:N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペラジン−1−イル)アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びピペラジンから調製される。
二塩酸塩:融点=237−8℃
【0061】
実施例16:2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びN−ベンジルピペラジンから調製される。
二塩酸塩:融点=205℃
【0062】
実施例17:2−エチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びエチルアミンから調製される。
【0063】
実施例18:N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(プロピルアミノ)アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びプロピルアミンから調製される。
【0064】
実施例19:2−ブチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びブチルアミンから調製される。
【0065】
実施例20:2−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びN,N−ジエチル−1,2−エタンジアミンから調製される。
【0066】
実施例21:2−(2−ジエチルアミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4の化合物及びN,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミンから調製される。
【0067】
実施例22:2−アミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4で得られた化合物から2段階で得られる。第1段階において、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミンの代わりにベンジルアミンを用いて、実施例4の化合物を実施例9の方法に従って処理する。対応するベンジルアミノ中間体、すなわち実施例14の化合物が得られる(TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH 95/5:Rf=0.34)。第2段階では、この中間体を脱ベンジル化する。すなわち、830mgのこの中間体を、強く撹拌しながら8時間、10%の炭上のパラジウム100mgと水素雰囲気を伴うMeOH(30ml)及びTHF(20ml)の混合物中に置く。その後触媒をろ過し、ろ液を蒸発させる。シリカカラム(CH2Cl2/MeOH/NH4OH−90/9/1)上での溶離により、AcOEtから結晶化した300mgの脱ベンジル化合物を得る(収量43%)。イソプロパノールHCl溶液の添加によってアセトン中で塩酸塩を形成させる。融点=236℃;MS−APCI(m/z)457.1(MH+)。
【0068】
実施例23:2−(2−アミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例4で得られた化合物から2段階で得られる。第1段階において、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミンの代わりにベンジル2−アミノエチルカルバマート(Synthesis,2002年,第15号,2195頁,Bull. Chem. Soc. Jpn.,1998年,第71号,699頁)を用いて、実施例4の化合物を実施例9の方法に従って処理する。N−ベンジルオキシカルボニル保護基を有する中間体が得られ、その塩酸塩をイソプロパノールHCl溶液の存在下でアセトン中において形成させる。融点=178℃。MS−APCI(m/z)634.3(MH+)。第2段階では、実施例22と同様に、炭上のパラジウム及び水素を用いてこの中間体を処理する。89%の収量で二塩酸塩が得られる。融点=236℃。分析対象:C252938・2HCl;計算値:C% 52.46、H% 5.46、N% 7.34;実際値:C% 52.78、H% 5.46、N% 7.14。
【0069】
実施例24:2−(3−アミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
N−ベンジルオキシカルボニル保護基を有する中間体を、実施例22の場合と同じ反応順序で、ただし対応する出発材料を用いて得る。該中間体の塩酸塩を、イソプロパノールHCl溶液の存在下でアセトンとエチルエーテル中で形成させる。融点=132℃。MS−APCI(m/z)648.1(MH+)。実施例22の場合と同じ方法に従って脱ベンジル化を行い、二塩酸塩を得る。融点=219℃。MS−APCI(m/z)514.3(MH+)。
【0070】
実施例25:2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
N−ベンジルオキシカルボニル保護基を有する中間体を、実施例22の場合と同じ反応順序で、ただしTet. Lett.,2001年,第42号,2709頁に従って得られたベンジル4−アミノブチルカルバマートを用いて得る。該中間体はエチルエーテルから塩基状態で結晶化する。融点=95−96℃。MS−APCI(m/z)662.4(MH+)。その後脱ベンジル化により、二塩酸塩を得る。融点=201℃。MS−ESI(m/z)528.2(MH+)。3H2Oを用いて水和形態を形成させる。融点=223℃。分析対象:C273338・2HCl;計算値:C% 54.01、H% 5.87、N% 7.00;実際値C% 53.64、H% 5.63、N% 6.85。
【0071】
実施例26:2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[8−オキソ−9−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は実施例22の場合と同じ手順で、ただし実施例4b)で得られた中間体2−クロロ−N−[9−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドを用い、かつベンジル{4−[(3−アミノプロピル)ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)カルバマート(Tet. Lett.,1998年,第39号,439頁)を用いて、無色の油の形で得る。
TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5)Rf=0.46;MS−ESI(m/z)1058.5(M+)。実施例20の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により、四塩酸塩を得る。融点=209℃。MS−ESI(m/z)656.3(MH+)。
【0072】
実施例27:2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル{4−[(3−アミノプロピル)−ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)カルバマート(Tet. Lett.,1998年,第39号,439頁)を用いて実施例4に従って得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。対応するベンジル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)(4−{ベンジルオキシカルボニル−[3−({[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d]ジオキソール−5−イルカルバモイル]メチル}−アミノ)プロピル]アミノ}ブチル)カルバマート中間体が得られる(TLC SiO2 CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5);Rf=0.27。第2段階では、その後脱ベンジル化によって四塩酸塩を得る。融点=267℃。MS−ESI(m/z)642.2(MH+)。分析対象:C334758・4HCl;計算値:C% 50.32、H% 6.53、N% 8.89;実際値:C% 50.264、H% 6.57、N% 8.66。
【0073】
実施例28:2−{3−[4−(3−アミノプロピル−アミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5aS,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル{4−[(3−アミノプロピル)ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)カルバマート(Tet. Lett.,1998年,第39号,439頁)を用い、実施例5で得られた化合物、2−クロロ−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドから、実施例22の方法に従って2段階で得られる。ベンジル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)(4−{ベンジルオキシカルボニル−[3−({[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d]ジオキソール−5−イルカルバモイル]メチル}アミノ)プロピル]アミノ}ブチル)カルバマート中間体が得られる。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5);Rf=0.15。第2段階では、窒素での浄化の後に、10mlのMeOH中のこの中間体90mgの溶液に対して10%の炭上のパラジウム20mgを加える。水素で膨張させたバルーンを用いて浄化を実施し、1時間にわたり強く撹拌しながら反応媒質全体にわたり水素雰囲気を維持する。窒素での浄化の後に、0.1mlのイソプロパノールHCl溶液(3.6N)を媒質に加え、触媒をろ過し、MeOHですすぎ、その後にろ液を乾燥状態まで蒸発させる。残渣を20mlのエチルエーテル中で回収し、塩酸塩沈殿物をろ過し、次に乾燥させる。20mgの結晶を得る(収量30%)。
【0074】
実施例29:2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)−ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[8−オキソ−9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル{4−[(3−アミノプロピル)ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)カルバマート(Tet. Lett.,1998年,第39号,439頁)を用い、実施例7で得られた化合物、2−クロロ−N−[9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドから、実施例22の方法に従って2段階で得られる。ベンジル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)(4−{ベンジルオキシカルボニル−[3−({[(8−オキソ−9(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d]ジオキソール−5−イルカルバモイル)メチル]アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]カルバマート中間体が得られる。TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5);Rf=0.15。第2段階においては、この中間体を実施例28の方法に従って水素添加分解する。次にエチルエーテルからの沈殿により四塩酸塩を得る。融点=115℃;MS−ESI(m/z)613.3(MH+)。
【0075】
実施例30:2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a、6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
実施例25の場合と同じ反応順序で、ただし実施例4で得られた中間体の代わりに実施例5で得られた中間体を用いて、N−ベンジルオキシカルボニル保護基を有する中間体を得る;TLC SiO2(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90/9/1);Rf=0.26。実施例28の第2段階の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により乳白色の粉末の形で二塩酸塩を得る。融点=94℃。これと同一の化合物は、同じくベンジル4−アミノブチルカルバマートを用いた実施例25の手順と、それに続く水素添加分解に従って、それ自体実施例6で得られた炭酸ベンジルエステル2−ベンジルオキシカルボニルオキシ−5−[9−(2−クロロアセチルアミノ)−6−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−3−メトキシフェニルエステルの反応によっても同様に得られる。
【0076】
実施例31:2−[3−(4−アミノブチルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル{4−[(3−アミノプロピル)ベンジルオキシカルボニルアミノ]ブチル}カルバマート(Synthesis,1994年,第37号)を用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。対応するベンジル(4−{ベンジルオキシカルボニル−[3−({[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イルカルバモイル]メチル}アミノ)プロピル]アミノ}ブチル)カルバマート中間体が得られる。第2段階では、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化から三塩酸塩を得る。融点=255℃;MS−ESI(m/z)585.2(MH+)。
【0077】
実施例32:2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル{3−(4−アミノブチル)ベンジルオキシカルボニルアミノ}プロピル}カルバマート(J. Org. Chem.,1998年,第63号,9723頁)を用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。対応するベンジル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−[4−({[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イルカルバモイル]メチル}アミノ)ブチル]カルバマート中間体が得られる。第2段階では、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化から三塩酸塩を得る。融点=199℃;MS−ESI(m/z)585.2(M+);分析対象:C304048・3HCl;計算値:C% 51.92、H% 6.24、N% 8.07;実際値:C% 52.30、H% 6.27、N% 7.88。
【0078】
実施例33:2−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、ベンジル(3−アミノプロピル)(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)カルバマート(Tet. Lett.,1994年,第35号,2057頁及び2061頁)を用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。対応するベンジル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)−[3−({[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イルカルバモイル]メチル}アミノ)プロピル]カルバマート中間体が得られる。第2段階では、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により三塩酸塩を得る。MS−ESI(m/z)571.2(M+)。
【0079】
実施例34:2−{3−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、実施例27の方法と類似の要領で調製されたベンジル(3−アミノプロピル){3−[ベンジルオキシカルボニル(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピル)アミノ]プロピル}カルバマートを用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。第2段階では、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により、2−{3−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド四塩酸塩を得る。MS−ESI(m/z)628.1(M+)。
【0080】
実施例35:2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、(Synthesis,1994年,第37号)の方法と類似の要領で調製された(4−アミノブチル){4−[ベンジルオキシカルボニル(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)アミノ]ブチル}カルバミン酸ベンジルエステルを用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。第2段階では、クロマトグラフィによる精製の後、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により、2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド四塩酸塩を得る。融点=263℃;MS−ESI(m/z)670.6(M+)。
【0081】
実施例36:2−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、(Synthesis,1994年,第37号)の方法と類似の要領で調製された(4−アミノブチル)(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)カルバミン酸ベンジルエステルを用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。第2段階では、クロマトグラフィによる精製の後、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により、2−[4−(4−アミノブチルアミノ)−ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド三塩酸塩が得られる。融点=225℃;MS−ESI(m/z)600.2(M+)。
【0082】
実施例37:2−(5−アミノペンチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミドの調製
この化合物は、5−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ペンチルアミンを用いて実施例4で得られた化合物から、実施例22の方法に従って2段階で得られる。第2段階では、クロマトグラフィによる精製の後、実施例22の場合と同じ方法に従った脱ベンジル化により、2−(5−アミノペンチルアミノ)−N−[9−(4−ジヒドロキシ−3,5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド二塩酸塩が得られる。融点=215℃;MS−ESI(m/z)543.1(M+)。
【0083】
本発明の化合物の薬理学的結果
インビトロ及びインビボ試験
1)インビトロ活性:
a)細胞毒性試験
使用された試験はA549ヒト系細胞(非小細胞肺癌)の増殖阻害である:
A549腫瘍細胞を96−ウェルプレート内でフェノールレッド(Seromed)不含のRPMI1640媒質中に播種し、それに5%のウシ胎児血清を加える(100μl/ウェル、1.25×104細胞/ml)。5%のCO2を含むインキュベータ内で24時間37℃でインキュベートした後、媒質を試験化合物を含むものと交換し、その後プレートをさらに48時間インキュベートする。メーカー(Packard,Rungis,フランス)によって推奨される通り、ATP−Lite−M(登録商標)キット中に存在する細胞融解、ルシフェラーゼ及びルシフェリン溶液を用いて、媒質中へのATPの放出後の発光を測定することにより細胞の生存率を評価する。各々の実験条件は、六つの同一コピーとして少なくとも三回試験した。IC50(M)として表した結果は、表I中に列記され、化合物の細胞毒性を示している。
【0084】
b)細胞中(in cellulo)のDNA破断の検出試験:
コメット試験を使用する。10μMの各試験化合物を用いて1時間インキュベートした後にA549細胞中でDNAの破断を検出する。エトポシド及びビノレルビンをそれぞれ陽性対照及び陰性対照として使用する。コメット試験を用いて破断を明らかにする(Br. J. Cancer,2000年,第83号,1740頁)。各化合物について、25個の細胞を分析し、Komet ソフトウエア(Kinetic imaging,英国)を用いて平均Tail Moment(TM)を計算する。結果は、1とみなされたエトポシドのTMとの関係において表現されており、表I中に列記されている。かくして、エトポシドのものよりも優れているそのDNA開裂の誘導についての本発明の生成物の利点が示される。
【0085】
【表1】

【0086】
2)インビボ活性:
本発明の化合物は、輸液、注射または経口経路による投与形態を可能にする水溶性を有している。これらは、その水溶性塩酸塩の形態で提供され、その溶解度値は、表II中に列記されている。
【0087】
P388実験腫瘍モデル。使用されたモデルは、先行技術の文書(従来のインビボ癌モデル:実験的療法で使用される3つのマウスモデル例(Classic in vivo cancer models:Three examples of mouse models used in experimental therapeutics)Current Protocols in Pharmacology Unit 5.24:5.24.1−5.24.16,2001年)において記述されていた通り、DBA/2マウス(DBA/2JIco,Charles River)内での連続的腹腔内移植により維持されているP388マウス白血病(Tumor Models in Cancer Research., Teicher,B.A. ed.,Humana Press Inc., ニュージャージー州トトワ,23−40頁,2002年)である。
【0088】
実験は、先行技術の文書(Cancer Chemother. Pharmacol.,1998年,第41号,437−447頁)で既に記述されているプロトコルに従って実施される。これは、マウス1匹あたり106個のP388白血病細胞を、ゼロ日目に静脈内でC2DF1ハイブリッドマウス(CD2F1/CrlBR,Charles River,St Aubin−les−Elbeuf,フランス)内に移植することから成る。治療及び対照ケージ内で動物を無作為化した後、評価対象の化合物を、腫瘍移植の翌日、第1日目に一回の腹腔内注入で投与する。その後、動物を毎日監視し、週に2回体重を測定し、あらゆる臨床反応を記録する。生存率は、抗腫瘍活性を評価するためのパラメータである。生存率の増大は、(治療を受けたグループの生存率中央値/対照グループの生存率中央値)×100に対応するT/Csurvival率(%)として定義される。T/Csurvival率を、投与された各用量について計算し、得られた最大値は、達成された生存率の最高の増加(最大活性)を表し、これは最適T/Csurvival率によって定義される。結果は、最適T/Csurvival値を見ることのできる表II中に例示されている。この結果は、実施例9、12、25及び27の化合物がP388白血病を持つ動物の生存率の有意な増大という結果をもたらしたことを示しており、これは129〜157%という最適T/Csurvival値に反映され、これらの化合物を用いた動物の治療が動物の生存率を29〜57%まで延長させることを可能にしたことを表している。特定的には、NCI(National Cancer Institute)の基準に従うと、T/Csurvival値は、それが少なくとも120%超である場合に有意であるとみなされる(Semin. Oncol.,1981年,第8号,349−361頁)。
【0089】
化合物の最適活性に関連付けられた動物の相対的体重損失は、NCIの基準に従うと毒性閾値よりはるかに低い(Ann. Oncol., 1994年,第5号,415−422頁)。
【0090】
B16実験腫瘍モデル。使用されたモデルは、上記(Classic in vivo cancer models:Three examples of mouse models used in experimental therapeutics.Current Protocols in Pharmacology Unit 5.24:5.24.1−5.24.16,2001年)で記述された通り、C57BL/6マウス(C57BL/6 NCrlBR,Charles River,St Aubin−les−Elbeuf,フランス)内での連続的皮下移植により維持されているB16黒色腫である(Tumor Models in Cancer Research., Teicher,B.A. ed.,Humana Press Inc., ニュージャージー州トトワ, 23−40頁、2002年)。
【0091】
実験は、既に上述した通りのプロトコルに従って実施される。B16腫瘍組織をダウンスホモジナイザーを用いて0.9%の無菌塩化ナトリウム溶液中で破砕かつ均質化し、次にゼロ日目に0.5mlのこの1g/ml調製物をC57BL/6マウスの側腹内皮下に接種する。治療及び対照ケージ内の動物を無作為化した後、腫瘍の移植後3、5、7及び10日目に評価対象の化合物を腹腔内投与する。その後動物を毎日監視し、週に2回体重を測定し、あらゆる臨床反応を記録する。実験期間中、腫瘍のサイズを週に3回測定する。腫瘍体積を計算し、腫瘍のサイズに及ぼす化合物の活性を、(治療を受けたグループの腫瘍体積中央値/対照グループの腫瘍体積中央値)×100に対応するT/Cvolume率(%)によって定義する。
【0092】
結果は、最適T/Cvolume値を見ることのできる表IIに例示されている。結果は、とりわけ、実施例25及び27の化合物が腫瘍成長の有意な減速という結果をもたらすことを示しており、それは各々25%及び7%という最適T/Cvolume値に反映されている。特定的には、NCI(National Cancer Institute)の基準に従うと、T/Cvolume値は、それが少なくとも42%未満の場合に有意であるとみなされる(Cancer Res.,1991年,第51号,4845−4852頁)。
【0093】
【表2】

【0094】
MX−1実験腫瘍モデル。用いられたモデルは、上記(Classic in vivo cancer models:Three examples of mouse models used in experimental therapeutics.Current Protocols in Pharmacology Unit 5.24:5.24.1−5.24.16,2001年)に記述されている通り、スイスヌードマウス(Ico:Swiss−nu/nu,Iffa Credo,L’Arbresle,フランス)内に連続的皮下移植により維持されているヒト乳癌である(Developmental Therapeutics Program,Division of Cancer Treatment,National Cancer Institute,In vivo Cancer Models 1976−1982.NIH刊行物第842635号,Washington DC:United States Government Printing Office,1984年)。
【0095】
実験は、既に上述した通りのプロトコルに従って実施される(Cancer Chemother. Pharmacol.,1998年,第41号,437−447頁)。ゼロ日目に、MX−1腫瘍のフラグメントをスイスヌードマウスの側腹内皮下に移植する。治療及び対照ケージ内の動物を無作為化した後、評価対象の化合物を腫瘍の移植後7、9、11、14、16及び18日目に腹腔内投与する。その後、動物を毎日監視し、週に2回体重を測定し、あらゆる臨床反応を記録する。実験期間中、腫瘍のサイズを週に3回測定する。腫瘍体積を計算し、腫瘍のサイズに及ぼす化合物の活性を、(治療を受けたグループの腫瘍体積中央値/対照グループの腫瘍体積中央値)×100に対応するT/Cvolume率(%)によって定義する。結果は表II中に列記されている。実施例25の化合物は、10mg/kgの治療について51%のT/Cvolume率(%)を示し、実施例27の化合物は2.5mg/kgの治療について0%のT/Cvolume率(%)を示し、かくして腫瘍の完全な根絶を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般構造式(I)を有する化合物、あるいは、無機または有機酸を用いたこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、特にこれらの化合物の付加塩。
【化1】

該構造式において、
■R1及びR2が、互いに独立して、水素原子またはメチル基を表し;
■R3及びAが、合わさってC3−C8環を形成するか、
または
■R3が、水素原子、C1−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から選択された基を表し、かつAは水素原子、C1−C4アルキル基、ベンジル基、及び下記の構造式(II)の基から成る群から選択された基を表し、
【化2】

該構造式において、
●aは2〜5まで変動し、
●R4及びBは、合わさってC3−C8環を形成するか、
または
●R4が、水素原子、C1−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から
選択された基を表し(ここで、R3とR4は、2個または3個の炭素原子
を含むアルキレン鎖により結合可能である)、かつBが、
下記から成る群から選択された基を表す。
−水素原子、
−C1−C4アルキル基、
−ベンジル基、
−下記構造式(III)の基、
【化3】

(なお該構造式において、b及びcは互いに独立して、2〜5まで変
動可能であり、かつR5〜R7は、互いに独立して、水素原子、C1
−C4アルキル基及びベンジル基から成る群から選択された基を表し
(ここで、R4とR5および/またはR5とR6および/またはR6
とR7は、2個または3個の炭素原子を含むアルキレン鎖により結合
可能である))
−及び、下記の構造式(IV)の基
【化4】

(なお該構造式において、cは2〜5まで変動可能であり、かつR8及
びR9は、それぞれ互いに独立して、水素原子またはC1−C5アルキル
基を表し(ここで、R4とR8は、2個または3個の炭素原子を含むア
ルキレン鎖により結合可能である)、またはR8とR9は合わさってC3
−C8環を形成する。)
【請求項2】
R3〜R9が、互いに独立して、水素原子またはC1−C4アルキル基、有利には水素原子またはメチル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3が、水素原子またはメチル基を表し、かつAが、水素原子、メチル基または構造式(II)の基を表し、該構造式においてR4は水素原子、メチル基またはエチル基を表し、かつBが、
−水素原子、
−メチル基、
−エチル基、
−構造式(III)の基(なお該構造式において、R5、R6及びR7は、水素原子、C1−C4アルキル基またはベンジル基を表す)、
−構造式(IV)の基(なお該構造式において、同一のものであるR8とR9は、水素原子またはメチル基を表す)、
から成る群から選択された基を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
下記の化合物、及び無機または有機酸を用いたこれらの化合物の付加塩の中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。

2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(2−(モルホリン−4−イル)エチルアミノ)アセトアミド

2−[(2−ジメチルアミノエチル)メチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−ジメチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペリジン−1−イル)アセトアミド

2−ベンジルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(ピペラジン−1−イル)アセトアミド

2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−エチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]−2−(プロピルアミノ)アセトアミド

2−ブチルアミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−ジエチルアミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−アミノ−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(2−アミノエチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(3−アミノプロピルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5aS,6,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]プロピルアミノ}−N−[8−オキソ−9−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(4−アミノブチルアミノ)−N−[9−(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[3−(4−アミノブチルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
2−[4−(3−アミノプロピルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{3−[3−(3−アミノプロピルアミノ)プロピルアミノ]プロピルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−{4−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]ブチルアミノ}−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−[4−(4−アミノブチルアミノ)ブチルアミノ]−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド

2−(5−アミノペンチルアミノ)−N−[9−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−8−オキソ−5,5a,6,8,8a,9−ヘキサヒドロフロ[3’,4’:6,7]ナフト[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル]アセトアミド
【請求項5】
下記の連続的な段階を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物の調製方法。
a)下記の構造式(VIII)のポドフィロトキシンから出発する段階、
【化5】

b)該当する場合には、下記の構造式(V)の化合物の脱メチル化による調製段階、
【化6】

(なお該構造式において、R1及びR2は構造式(I)の化合物において定義されたとおりである);次に
c)酸性媒質中でクロロアセトニトリルと構造式(V)または構造式(VIII)の化合物を反応させ、次に、該当する場合には、脱メチル化反応により、下記の構造式(VI)の化合物を得る段階、
【化7】

(なお該構造式において、R1及びR2は構造式(I)の化合物において定義されたとおりである);次に
d)構造式(VI)の化合物と下記の構造式(VII)の化合物との反応段階
【化8】

(なお該構造式において、R3及びAは構造式(I)の化合物において定義されたとおりであり、A基中に任意に存在するアミンは、ルイス塩基の存在下で極性非プロトン性溶媒を含む溶媒混合物中で適切な保護基により保護されている)
【請求項6】
周囲温度で反応が実施される場合、段階d)で用いられる極性非プロトン性溶媒がアセトニトリル及びジメチルホルムアミド(DMF)であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階d)で用いられる塩基がトリエチルアミンであることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
1、R2及びR3が水素原子を表す、請求項5に記載の構造式(V)の中間化合物。
【請求項9】
薬剤としての、請求項1〜4のいずれか一つに記載の構造式(I)の化合物。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の少なくとも一つの構造式(I)の化合物、及び経口または非経口経路による投与用として適切な賦形剤を含むことを特徴とする、医薬品組成物。
【請求項11】
黒色腫、結腸直腸癌、肺、前立腺、膀胱、乳房、子宮、胃、膵臓または肝臓の癌、卵巣癌、白血病、特にリンパ腫及び骨髄腫、ENT(耳鼻咽喉)癌及び脳腫瘍といった非固形腫瘍及び固形腫瘍の抗癌治療を目的とした薬剤を調製するための、請求項1〜4のいずれか一つに記載の構造式(I)の化合物の使用方法。
【請求項12】
該薬剤が、癌および/または腫瘍の治療における同時の、分離された、または時間分散型の使用のための組合せ製品として、
a)構造式(I)の化合物、及び
b)抗癌剤、
を含むことを特徴とする、請求項11に記載の使用方法。
【請求項13】
該抗癌剤が、白金誘導体、タキサン、ビンカ及び5−FUから成る群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の使用方法。
【請求項14】
該薬剤が、従来の療法に対して耐性を示す腫瘍の治療を目的とすることを特徴とする、請求項12または13に記載の使用方法。

【公表番号】特表2007−532628(P2007−532628A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507869(P2007−507869)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001268
【国際公開番号】WO2005/100363
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506331240)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE MEDICAMENT
【Fターム(参考)】