説明

エポキシ硬化のための触媒

本発明は、エポキシ化合物含有組成物の硬化のための潜在性触媒としての、式(I)[式中、R1及びR3は互いに独立して1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、R2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、さらにR4及びR5は一緒になって脂肪族又は芳香族の環を形成することが可能であり、Xは13を下回るpK値を有するアニオンを示し(25℃で、1barで水又はジメチルスルホキシド中で測定されたもの)、かつnは1、2又は3を示す]の1,3−置換イミダゾリウム塩の使用に関するが、但し、該イミダゾリウム塩として、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート−酢酸複合体を除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化合物含有組成物を硬化するための潜在性触媒としての、式I
【化1】

[式中、R1及びR3は互いに独立して1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、
R2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、その際、R4及びR5は一緒になって脂肪族又は芳香族の環を形成することが可能であり、Xは13を下回るpK値(水又はジメチルスルホキシド中で25℃、1barで測定されたもの)を有するアニオンを示し、かつ、nは1、2又は3を示す]の1,3−置換イミダゾリウム塩の使用に関するが、但し、該イミダゾリウム塩として、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート−酢酸複合体を除く。
エポキシ化合物は被覆剤の製造のため、接着剤として、成形体の製造のため及び多くの他の目的のために使用される。そのためにこれは加工中において、一般には液体の形(適した溶剤中の溶液又は液体の溶剤不含の100%の系として)で存在する。エポキシ化合物は一般に低分子量である。これは使用の際に硬化する。硬化のための種々の可能性が知られている。少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物から出発して、アミノ化合物あるいは少なくとも2個のアミノ又は少なくとも1個のアンヒドリド基を有する酸無水物化合物を用いて、重付加反応により(鎖伸長)を実施する。より高い反応性を有するアミノ化合物又は酸無水物化合物は、一般に、望ましい硬化直前に添加する。これはいわゆる二成分(2K)系である。
【0002】
さらに、エポキシ化合物の単重合又は共重合のための触媒を使用することもできる。高い温度で初めて活性化する触媒が知られている(潜在性触媒)。このような潜在性触媒は、一成分(1K)系、すなわち、エポキシ化合物が、望ましくない早期の硬化を生じさせることのない潜在性触媒を含有する系が可能であるといった利点を有する。
【0003】
潜在性触媒として商業的に入手可能であるのは、特に三フッ化ホウ素とアミンのアダクト(BF3−モノエチルアミン)、四級化ホスホニウム化合物及びジシアンジアミド(DICY)である。
【0004】
Journal of Polymer Science Polymer Letters Edition, Vol 21, 633-638 (1983)において、この目的のための1,3−ジアルキルイミダゾリウム塩の使用が記載されている。175℃を上回るその分解の際に、1−アルキルイミダゾールが遊離し、これはその後に硬化に作用する。カチオンの構造が多様である場合には、アニオンとしてハロゲニド、クロリド及びヨージドを使用する。
【0005】
DE-A 2416408からイミダゾルム−ホウ酸塩、例えばイミダゾリウム−テトラフェニルボラート又はイミダゾリウム−テトラn−ブチルボラートが知られている。
【0006】
US 3 635 894には、クロリド、ブロミド及びヨージドから選択されたアニオンを有する1,3−ジアルキル−イミダゾリウム−塩が、エポキシド化合物のための潜在性触媒として記載されている。
【0007】
Kowalczyk and Spychaj, Polimery (Warsaw, Poland) (2003), 48(11/12), 833-835には、エポキシド化合物のための潜在性触媒として1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムテトラフルオロボラートの使用が記載されている。触媒作用は、先ず190℃で開始する。
【0008】
Sun, Zhang and Wong, Journal of Adhesion Science and Technology (2004), 18(1), 109-121には、潜在性触媒としての1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートの使用が開示されている。その作用は先ず196℃で開始する。
【0009】
JP 2004217859では、イミダゾリウム−テトラアルキル−ボレート又はイミダゾリウム−ジアルキル−ジチオカルバメートが使用されている。活性化は、高エネルギー光線の照射によって実施する。
【0010】
EP 0 458 502は、エポキシ化合物のための多数の異なる触媒を開示している。列記において、さらに1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート(R1=エチル、R2=メチル及びR3=メチル、式I中)及び1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム−アセテート−酢酸複合体が見出される。
【0011】
適した潜在性触媒は、エポキシド化合物と一緒に良好に混合可能であってもよい。この混合物は、室温及び通常の貯蔵条件下で、可能な限り長い時間に亘って安定であり、その結果、貯蔵可能な1K系として適している。しかしながら使用時には、硬化に必要とされる温度があまり高くなく、特に200℃を顕著に下回るべきである。低い硬化温度によってエネルギーコストが節約され、かつ望ましくない副反応を回避することができる。低い硬化温度にもかかわらず、硬化される系の機械的及び適用技術的特性は劣悪であってはならない。これらの特性(たとえば硬度、可とう性、接着性等)が少なくとも同等に良好であるか、それどころか改善されていることが望ましい。
【0012】
したがって本発明の課題は、前記要求を充足する潜在性触媒としてのイミダゾリウム塩及びイミダゾリウム塩とエポキシド化合物の混合物に関する。
【0013】
これに応じて、一般式Iの潜在性触媒及び当該潜在性触媒を含有する組成物の前記に定義された使用が見出された。
【0014】
イミダゾリウム塩について
本発明によれば式I
【化2】

[式中、R1及びR3は互いに独立して1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、
R2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する有機性基を示し、その際、R4及びR5は一緒になって脂肪族又は芳香族の環を形成することができ、Xは13を下回るpK値(水又はジメチルスルホキシド中25℃、1barで測定されたもの)を有するアニオンを示し、かつ、nは1、2又は3を示す]の1,3−置換イミダゾリウム塩を使用する。
【0015】
1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート(R1=エチル、R2=メチル及びR3=メチル、式I中)及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム−アセテート−酢酸複合体はイミダゾリウム塩として、EP 0 458 502中のリストにおいて開示されており、したがってこれらについては除外する。
【0016】
R1及びR3は互いに独立して、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する有機性基を示す。有機性基はさらに他のヘテロ原子、好ましくは酸素原子、さらに好ましくはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を含有していてもよい。
【0017】
好ましくは、R1及びR3は互いに独立して炭化水素基、この場合、これは炭素及び水素の他に必要に応じてさらにヒドロキシル基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を含有していてもよい。
【0018】
R1及びR3は好ましくは互いに独立して、1〜20個の炭素原子、特に1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、この場合、これは、その他のヘテロ原子、例えば酸素又は窒素を含有するものではない。炭化水素基は脂肪族(さらに不飽和脂肪族基を含む)又は芳香族基であってもよいか、あるいは、芳香族基と同時に脂肪族基を含有していてもよい。
【0019】
炭化水素基としては、たとえばフェニル基、ベンジル基、1個又は複数個のC1〜C4−アルキル基によって置換されたフェニル基、ベンジル基、アルキル基及びアルケニル基、特にアリル基が挙げられる。
【0020】
特に好ましくはR1及びR3は互いに独立してC1〜C10アルキル基、アリル基又はベンジル基を示す。アルキル基として、C1〜C6アルキル基が特に好ましく、好ましい実施態様においてアルキル基はC1〜C4アルキル基である。
【0021】
特に好ましくはR1及びR3は互いに独立してメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基、アリル基又はベンジル基を示し、その際、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基が特に好ましい。
【0022】
一つの好ましい実施態様において、
R1及びR3はメチル基であり、
R1及びR3はエチル基であり、
R1はメチル基であり、かつR3はエチル基であり、
R1はメチル基であり、かつR3はプロピル基であり、
R1はメチル基であり、かつR3はブチル基であり、
R1はメチル基であり、かつR3はアリル基であり、
R1はエチル基であり、かつR3はアリル基であり、
R1はメチル基であり、かつR3はベンジル基であり、
R1はエチル基であり、かつR3はベンジル基である。
【0023】
R2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、その際、R4及びR5は一緒になって脂肪族又は芳香族の環を形成することができる。有機性基は、炭素及び水素の他にさらにヘテロ原子、たとえば窒素又は酸素を含有していてもよく、好ましくは酸素を、特にヒドロキシル基、エステル基、エーテル基又はカルボニル基の形で含有していてもよい。
【0024】
好ましくはR2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は炭化水素基を示し、この場合、これは炭素及び水素の他に必要に応じてさらにヒドロキシル基、エーテル基、エステル基又はカルボニル基を含有していてもよい。
【0025】
R2、R4及びR5は好ましくは互いに独立して、水素原子又は1〜20個の炭素原子、特に1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、この場合、これは、その他のヘテロ原子、例えば酸素又は窒素を含有するものではない。炭化水素基は脂肪族(さらに不飽和の脂肪族基を含む)又は芳香族基であってもよいか、あるいは芳香族基と同時に脂肪族基から成っていてもよく、その際、R4及びR5は芳香族又は脂肪族の炭化水素環を形成していてもよく、この場合、これは場合によっては、他の芳香族又は脂肪族炭化水素基によって置換されていてもよい(場合により置換された炭化水素環のC原子の数は、置換基を含んで、好ましくは最大40、特に最大20、特に好ましくは最大15又は最大10である)。
【0026】
炭化水素基として、たとえばフェニル基、ベンジル基、1個又はそれ以上のC1〜C4アルキル基によって置換されたフェニル基又はベンジル基、アルキル基、アルケニル基であり、R4及びR5が環を形成する場合には、R4及びR5によって形成された芳香族の5又は6員環、シクロヘキセン又はシクロペンテンであり、その際、これらの環系は、特に1個またはそれ以上のC1〜C10、好ましくはC1〜C4アルキル基によって置換されていてもよい。
【0027】
特に好ましくいR2、R4及びR5は互いに独立してH原子、C1〜C8アルキル基、C1〜C8アルケニル基、たとえばアリル基、フェニル基又はベンジル基を示す。
【0028】
特に好ましくは、R2、R4及びR5は互いに独立してH−原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基を示し、その際、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基は特に好ましい。
【0029】
一つの好ましい実施態様において、R2は、他の基R4及びR5及び残りの基R1及びR3とは独立してH原子を示す。R2がH原子を示す式Iのイミダゾリウム塩は本発明の範囲内において特に好ましく、エポキシ化合物中での良好な溶解性及び潜在性触媒としてのより高い効果を有する。一つの好ましい実施態様において、アニオンがアセテートである場合に、R2がH原子を示す。
【0030】
一つの好ましい実施態様において、
R2、R4及びR5がH原子であり、
R2はH原子又はC1〜C4アルキル基であり、かつR4、R5はH原子又はC1〜C4アルキル基である。
【0031】
式Iの化合物のカチオンとしての具体例は、以下のものが挙げられる:
1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム(R1=ブチル、R3=メチル)
1−ブチル−3−エチル−イミダゾリウム(R1=ブチル、R3=エチル)
1,3−ジメチル−イミダゾリウム(R1=メチル、R3=メチル)
1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム(R1=エチル、R3=メチル)
1−エチル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム(R1=エチル、R2=メチル、R3=メチル)。
式Iにおいて、nは1、2又は3であり、アニオンはこれに応じて1個、2個又は3個の負の電荷を有しており、かつこれに応じて塩中に、1個、2個又は3個のイミダゾリウムカチオンが存在している。
【0032】
好ましくは、nは1又は2であり、特に好ましくはnは1であり、したがってアニオンは特に好ましくは一価である。
【0033】
Xは、13を下回るpK値を有するアニオンを示し、好ましくは12を下回り、特に好ましくは11を下回り、かつ特に好ましくは10.5を下回る。
【0034】
これに関してpK値は25℃で、1barで、選択的に溶剤としての水又はジメチルスルホキシド中で測定され、よって本発明によれば、アニオンが水又はジメチルスルホキシド中で相当するpK値を有する場合に充足する。特にジメチルスルホキシドは、水中でアニオンが良好に溶解しない場合に使用する。双方の溶剤については、文献において標準値が記載されている。塩基の場合には、多段階で、水と反応して相当するポリプロトン酸を生じ、これは一つの工程において前記pKB値を有する場合に充足する。
【0035】
pK値は、塩基定数Kの負の常用対数表示であり、これは他方で、以下の反応の解離定数である:
【数1】

【0036】
逆反応の解離定数は、酸定数K及び相当する負の常用対数表示pK値である。
【0037】
したがって文献中でpK値が記載される場合には、単純な関係式
【数2】

を用いて、pKB値を算定することができる。
【0038】
適したアニオンXとして、特に1個又はそれ以上のカルボキシレート基を有する化合物(カルボキシレートと略す)が挙げられ、この場合、これは前記pK値を有するものである。
【0039】
カルボキシレートとしては、特に1〜20個の炭素原子を有する有機性の化合物が挙げられ、この場合、この化合物は1個又は2個の、好ましくは1個のカルボキシレート基を含有する。
【0040】
したがってこれは脂肪族と同時に芳香族化合物であってもよく、その際、芳香族化合物としては、芳香族基を含有するものを意味する。特に好ましくは、カルボキシレート基の酸素原子以外に他のヘテロ原子を含有しないか、あるいは、必要に応じてさらに1個又はそれ以上のヒドロキシル基、カルボニル基又はエーテル基を含有する脂肪族又は芳香族化合物である。特に好ましくは、カルボキシレート基の酸素原子以外に他のヘテロ原子を含有しない脂肪族又は芳香族化合物である。
【0041】
2個のカルボキシレート基を有する化合物として、たとえばフタル酸、イソフタル酸、C2〜C6ジカルボン酸、たとえばシュウ酸(第1工程でpK値12.77;第2工程で9.81)、マロン酸(第1工程でpK値11.17;第2工程で8.31)、コハク酸(第1工程でpK値9.81;第2工程で8.52)、グルタル酸(第1工程でpK値9.66;第2工程で8.59)、アジピン酸(第1工程でpK値9.58;第2工程で8.59)のアニオンが挙げられる。
【0042】
1個のカルボキシル基を有する化合物として、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和のC1〜C20カルボン酸、好ましくはアルカンカルボン酸、アルケンカルボン酸、アルキンカルボン酸、アルカジエンカルボン酸、アルカトリエンカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸又はケトカルボン酸のアニオンが挙げられる。適したアルカンカルボン酸、アルケンカルボン酸及びアルカジエンカルボン酸はさらに脂肪酸として知られている。
【0043】
特に安息香酸(pK9.8)、フェニル酢酸(pK99.69)、ギ酸(ホルメート、pK10.23)、酢酸(アセテート、pK9.24)、請求項1中のディスクレーマーにより含まれないものとされているがアセチル酢酸(pK10.42)又は乳酸(pK10.22)である。
【0044】
ヒドロキシカルボン酸又はケトカルボン酸としては、たとえばグリコール酸(pK10.18)又はグリコキシル酸(pK10.68)が挙げられる。
【0045】
その他のカルボン酸は、たとえばチオエーテルカルボン酸、たとえばメチル−メルカプト酢酸(pK10.28)である。
【0046】
その他のアニオンは、たとえばシアニド(CN−、pK4.6)又はシアネート(OCN−、pK10.08)である。
【0047】
pK値又は相当するpK値についての文献は、市販の辞書におけるR.Williamsの極めて詳細なリストから見出され、さらにはインターネットにおいて、アドレスhttp://research.chem.psu.edu/brpgroup/pKa_compilation.pdfから見出される。このリストにまとめられた値は、特に以下の原文献を引用している。
【0048】
Brown, H.C. et al., in Braude, E.A.and F.C. Nachod, determination of Organic Structures by Physical Methods, Academic Press, New York, 1955(ジカルボン酸)
Dawson, R.M.C. et al., data for Biochemical Research, Oxford, Clarendon Press, 1959(カルボン酸)
Dippy, J.F.J.; Hughes, S.R.C. Rozanski, A J.Chem Soc1959, 2492(置換された酢酸)
Hildebrand, J.H. Principles of Chemistry, New York, The Macmillan Company, 1940(シアニド、シアネート)
【0049】
式Iのイミダゾリウム塩は、例えばBASF社, Sigma Aldrich社又はMerck社により商業的に入手可能である。得られた塩のアニオンは、望ましい場合には簡単にイオン交換によって他のアニオンに置き換えることができる。
【0050】
エポキシ化合物について
硬化可能な組成物はエポキシ化合物を含有する。特に1〜10個のエポキシ基を有するエポキシ化合物、好ましくは少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物が考慮される。
【0051】
特に好ましくは、硬化可能な組成物は2〜6個、さらに好ましくは2〜4個及び特に好ましくは2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含む。
【0052】
エポキシ基は特にグリシジルエーテル基であり、この場合、これはアルコール基をエピクロロヒドリンと反応させることにより生じる。
【0053】
エポキシ化合物が低分子量の化合物であってもよく、この場合、これは一般に1000g/モルを下回る平均分子量Mnを有するものであるか、あるいは、より高分子量の化合物(ポリマー)であってもよい。脂肪族化合物、さらに脂環式化合物であってもよいか、あるいは、芳香族基を有する化合物であってもよい。
【0054】
特にエポキシ化合物は、2個の芳香族又は脂肪族の6員環を有する化合物又はそのオリゴマーであってもよい。
【0055】
技術的意味においてエポキシ化合物は、エピクロリヒドリンと、少なくとも2個の反応性H原子を有する化合物、特にポリオールを反応させることによって得ることが可能である。
【0056】
特に技術的意味において、エピクロロヒドリンを、少なくとも2個の、好ましくは2個のヒドロキシ基及び2個の芳香族又は脂肪族6員環を含有する化合物で反応させることによって得られ;このような化合物としては特に、ビスフェノールA及びビスフェノールF並びに水素化ビスフェノールA及びビスフェノールFが挙げられる。
【0057】
さらにエピクロロヒドリンと他のフェノール、たとえばクレゾール又はフェノールアルデヒドアダクトとの反応生成物、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、特にノボラックが考慮される。
【0058】
当然のことながら、エピクロロヒドリン由来ではないエポキシ化合物が挙げられる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレートとの反応、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートとのラジカル共重合によるエポキシ基を含む、エポキシ化合物を考慮することができる。これに関連して、さらにDow社からのERL-4221(CAS Nummer 2386-87-0)が挙げられる:
【化3】

【0059】
この組成物の使用に関しては、特に20〜10℃、好ましくは20〜40℃、特に好ましくは20℃での処理温度の際に液体のエポキシ化合物が適している。
【0060】
組成物の他の構成成分について
本発明による組成物は、潜在性触媒及びエポキシ化合物以外に他の構成成分を含有していてもよい。
【0061】
組成物は1K−系に適していると同時に、2K−系のための貯蔵可能な成分として適している。
【0062】
2K−系の場合には、使用直前に第2の極めて反応性の成分を添加し;第2の成分の添加後に得られた混合物はもはや貯蔵安定性ではなく、それというのも架橋反応又は硬化が生じて、かつ粘度上昇を招くためである。
【0063】
1K−系はすでに全ての必要な構成成分を含有するものであって、貯蔵安定性である。
【0064】
以下の説明は、別記しない限りにおいて、1K−系のみならず2K−系の組成物にも該当する。
【0065】
エポキシ化合物以外に当該組成物は、他の反応性であるかまたは非反応性の構成成分を含有することができる。
【0066】
たとえばフェノール樹脂が考慮されてもよく;ここでフェノール樹脂の用語は、フェノール又はフェノール誘導体、たとえばo−、m−又はp−クレゾールと、アルデヒド又はケトン、特にホルムアルデヒドとの縮合生成物を意味する。フェノール樹脂として特に適しているのは、レゾール及び特にいわゆるノボラックであり、これに関しては、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとの酸縮合によって得られるフェノール樹脂を意味し、特にモル過剰量のフェノールを含有する。ノボラックは、好ましくはアルコール又はアセトン中で溶解する。
【0067】
さらに酸無水物架橋剤、たとえばフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸−二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチル−テトラヒドロフタル酸無水物、3−メチル−テトラヒドロフタル酸無水物、4−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物又は3−メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物を考慮することができる。
【0068】
フェノール樹脂及び無水物硬化剤は、エポキシ化合物と重付加の形で架橋する。さらにこの重付加反応、特にエポキシ化合物とフェノール樹脂との重付加反応は、式Iのイミダゾリウム塩を用いて促進される。
【0069】
これに関して特に適しているのは、式Iのイミダゾリウム塩の他に、エポキシ化合物さらには少なくとも1種のフェノール樹脂、好ましくはノボラックを含有する本発明による組成物である。
【0070】
非反応性の構成成分としては、他の架橋反応を生じることのない樹脂、並びに無機充填剤又は顔料が挙げられる。
【0071】
当該組成物はさらに溶剤を含有していてもよい。場合によっては、好ましい粘度に調製するための有機溶剤が考慮されてもよい。
【0072】
一つの好ましい実施態様において、当該組成物は溶剤を必要に応じてわずかな量(100質量部のエポキシ化合物に対して20質量部を下回る、特に10質量部を下回り又は5質量部を下回る)で含有し、かつ特に好ましくは溶剤を含有しない(100%系)。
【0073】
好ましい組成物は、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%のエポキシ化合物から成る(使用された任意の溶剤を除く)。
【0074】
式Iのイミダゾリウム塩の含量は、100質量部のエポキシ化合物に対して好ましくは0.01〜10質量部、特に好ましくは少なくとも0.1質量部、さらに好ましくは少なくとも0.5質量部及び特に好ましくは少なくとも1質量部であり;好ましくは100質量部のエポキシ化合物に対して、好ましくは8質量部を上回ることなく、特に6質量部を上回ることなく、特に、この含量は100質量部のエポキシ化合物に対して、たとえば1〜6又は3〜5質量部である。
【0075】
式Iのイミダゾリウム塩に加えて当該組成物は、当然のことながらさらに従来公知の潜在性触媒を含有していてもよく、これは例えば、アミンと三フッ化ホウ素とのアダクト(BF3−モノエチルアミン)、四級化ホスホニウム化合物又はジシアンジアミド(DICY)であってもよい。硬化剤として窒素含有構成成分は、芳香族及び脂肪族ポリアミン、たとえばN−アミノエチル−ピペラジン、ポリエチレンアミン、特に芳香族及び脂肪族ジアミン、例えばイソホロンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、特にメタ−キシリレンジアミン、4,4’−メチレン−ジアニリン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ピペラジン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、ネオペンタジアミン、2,2’−オキシビズ(エチルアミン)、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,12−ジアミノ−ドデカン、1,10−ジアミノ−デカン、ノルボルナン−ジアミン、メンテン−ジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジアミノ−シクロヘキサン、ポリエーテルアミン、たとえばエチレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンチレンオキシドをベースとするアミン又はプロピレンオキシドを含む前記アルキレンオキシドとアンモニアとの混合物、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,3−ジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、XTJ−568(Huntsman)、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン(XTJ 504、Huntsman)、1,10−ジアミノ−4,7,−ジオキサデカン(XTJ 590、Huntsman)、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン(BASF)、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,3−ジアミン(BASF)、XTJ−566(Huntsman)、アンモニア、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドをベースとするポリエーテルアミン、例えばXTJ−500、XTJ−501、XTJ−511(Huntsman)、ポリ(1,4−ブタンジオール)又はポリ(THF)、プロピレンオキシド及びアンモニアをベースとするポリエーテルアミン:XTJ−542、XTJ−559(Huntsman)、ポリエーテルアミンT403、ポリエーテルアミンT5000であり、その際、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン並びにプロピレンオキシドとアンモニアとをベースとするポリエーテルを除外する。
【0076】
他の窒素含有構成成分として選択される例は、置換イミダゾール、例えば1−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、イミダゾリン、例えば2−フェニル−イミダゾリン、第3級アミン、例えばN,N−ジメチル−ベンジルアミン、DMP30(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール)、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)、ケチミン、例えばEPi−Cure3502、ポリアミドアミン、例えばVersamid(R)140(Cognis)、ウロン(Urone)、例えば3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル−尿素(Monourone)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル−尿素(Diuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Fenuron)、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素(chlorotoluron)、トリル−2,4−ビス(N,N−ジメチルカルバミド)Amicure UR2T (Air Products)、テトラアルキル−グアニジン、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、DICYとアミンとの反応生成物、いわゆるビグアニジン、たとえばHT2844(Vantico)である。
【0077】
組成物は、好ましくは20〜100℃、殊に好ましくは20〜40℃、特に好ましくは20℃の処理温度の際に液体である。
【0078】
50℃までの温度の際の全組成物の粘度上昇は、10時間、特に100時間の期間に亘って、21℃で、1barでの潜在性触媒なしの組成物の粘度に対して20%を下回り、殊に好ましくは10%を下回り、特に好ましくは5%を下回り、とりわけ好ましくは2%を下回る。
【0079】
当該組成物は1K−系として適している。
【0080】
当該組成物は、2K−系の貯蔵可能成分としても適している。
【0081】
2K−系の場合には、専ら高反応性成分、例えば常用の極めて反応性のアミン硬化剤又は反応性の酸無水物硬化剤を使用前に添加するだけで、粘度上昇において識別可能な硬化が開始する。
【0082】
例えば2K−系中でエポキシ化合物のための架橋剤として通常使用される反応性ポリアミン又はポリ酸無水物を考慮することができる。公知のアミン架橋剤は、特に脂肪族ポリアミン、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン又はプロピレンオキシド及びアンモニアをベースとするアミン(ポリエーテルアミン、例えばD 230、D 2000、D 400)である。
【0083】
硬化及び使用について
式Iのイミダゾリウム塩を含有する組成物は貯蔵安定性である。式Iのイミダゾリウム塩は、エポキシ化合物中で良好であり、かつ本発明による組成物中において溶解性である。式Iのイミダゾリウム塩は、潜在性触媒として組成物中で作用する。エポキシ化合物の重合又は架橋の際のその効果は極めて良好である。
【0084】
40℃を下回る、特に30℃を下回る通常の貯蔵温度の際に、組成物の粘度上昇は生じないか又はわずかにのみ観察される。したがって当該組成物は1K系として適している。1K系は使用前に硬化又は架橋に作用する第2成分の添加を必要としない。
【0085】
組成物は、当然のことながら2K−系のための貯蔵可能成分として適している(s.o.)。
【0086】
1K−系又は2K−系としての組成物の硬化は、従来公知の潜在性イミダゾリウム触媒で可能な温度よりも低い温度で実施することができる。硬化は、通常の圧力及び250℃を下回る温度、殊に200℃を下回る温度、好ましくは175℃を下回る温度、特に150℃を下回る温度及びとりわけ好ましくは125℃を下回る温度で、かつそれどころか100℃を下回る温度で実施することができる。さらに80℃を下回る温度での硬化が可能である。硬化は40〜175℃、特に60〜150℃又は60〜125℃の温度で実施することができる。
【0087】
本発明による組成物は、被覆剤又は含浸剤(Impraegnierungsmittel)として、接着剤として、複合材料として、成形体を製造するために、あるいは、成形体を埋込み、結合又は硬化させるための注型材料として適している。当該記載及びこれに関する以下の説明は、1K系のみならず2K系にも該当し、前記すべての使用の際に好ましい系は、1K系である。
【0088】
被覆剤としてたとえばラッカーが挙げられる。特に、任意の支持体、たとえば金属、プラスチック又は木材料上に、本発明による組成物(1K又は2K)を用いて耐引掻性の保護塗膜を得ることができる。当該組成物は、電気的使用における絶縁被覆として、例えば電線及びケーブルのための絶縁被覆として適している。さらにフォトレジスト製造のために使用にも適している。これは特にリペアラッカー、例えばパイプを解体することなしにパイプの修繕する際(現場硬化管更生工法(CIPP))に適している。これはさらに床の補強塗装のために適している。
【0089】
接着剤として、1K又は2K構造用接着剤を挙げる。構造用接着剤は、成形部品を互いに堅牢に結合するのに役立つ。この成形部品は任意の材料からのものであってもよく;プラスチック、金属、木材、革、セラミック等からの材料が考慮される。これに関して、溶融接着剤(ホットメルト接着剤)であってもよく、この場合、これは先ず高い温度において流動性であって、かつ加工可能なものである。さらに床用接着剤であってもよい。当該組成物は、特にSMT法による(表面実装)半導体基板(電子回路)の製造のための接着剤として適している。
【0090】
複合材料(コンポジット)中では、種々の材料、たとえばプラスチック及び補強材料(繊維、炭素繊維)を互いに結合する。
【0091】
当該組成物は、含浸繊維、たとえばプリプレグを製造するため及びこれをさらに加工して複合材料にするのに適している。
【0092】
複合材料のための製造方法として、貯蔵後の含浸繊維又は繊維織物(例えばプリプレグ)の硬化又は押出成形、引抜成形(pultrusion)、巻取り(winding)及びレジンインジェクション成形(RTM)、樹脂注入技術(RI)が挙げられる。
【0093】
特に、繊維を本発明による組成物を用いて含浸してその後に高い温度で硬化させることができる。含浸中及び場合によっては引き続いての貯蔵中においてさらに硬化が生じることはないかまたはわずかにのみ生じる。
【0094】
当該組成物は、成形体の埋込み、結合又は硬化させるための注型材料として、例えば電気的分野において使用される。これは、フリップチップ用アンダーフィル剤として、あるいは、ポッティング、キャスティング及び(グラブトップ)封止のための電気用注型樹脂(Elektrogiessharze)として適している。
【実施例】
【0095】
使用材料
エポキシ化合物として、ビスフェノールA由来のジグリシジルエーテル(DGEBAと略す)を使用し、これはNan Ya社の製品としてNPEL 127Hの名称で入手可能である。
【0096】
試験組成物
それぞれ5質量部のイミダゾリウム塩又はイミダゾリウム塩の混合物を、100質量部のエポキシ化合物と一緒に混合した。第1表に組成物及び結果をまとめる。1×及び1××の場合には、他の構成成分との混合物を試験した(第2表の脚注参照)。
【0097】
測定方法
使用材料及び硬化の過程は、示差走査熱量計(DSC)を用いて試験した。これに関連して組成物5〜15mgを、DSC熱量計(DSC 822、Mettler Toledo)中で10℃/分の一定速度で加熱した。
【0098】
(発熱性重合反応の開始時、開始温度)、Tmax(発熱ピークの温度最大値、最大反応加速度に相当する)及びΔH(DSC曲線の積分、重合反応の全放出熱量に相当する)を測定した。
【0099】
さらに硬化し反応させた試験体のガラス転移温度(T)を以下のようにしてDSC測定により測定した:
20gの未硬化組成物を3〜4mmのフィルム厚で、アルミニウムパン中に入れ、かつそれぞれ30分に亘って40℃、60℃、80℃、100℃、120℃及び140℃で硬化させた。硬化した試験体のTはDSC測定によって30℃/分の加熱速度で、3個の独立した測定の平均値として定めた。
【0100】
貯蔵安定性(ポットライフ)は、相対粘度を測定することによって試験した(GELNORM(R)-RVN粘度計)。種々の温度(25℃、80℃、100℃及び120℃)を、日(d)又は分(min)の時間で測定した。示された時間は、混合物が依然として流動性である後の時間である。
【0101】
【表1】

× MHHPSA(メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)を含有する試験混合物
モル比:エポキシド:酸無水物=1:0.9、
100質量部のエポキシドに対して1質量部のイミダゾリウム塩、
硬化条件:100℃で3時間及び150℃で2時間
×× Novolak PHS6000 IZ04(Hexion Specialty GmbH)を含有する試験混合物
モル比:エポキシド:ヒドロキシ=1:0.9、
100質量部のエポキシド+Novolakに対して1質量部のイミダゾリウム塩、
硬化条件:140℃で2時間及び100℃で2時間。
【0102】
EMIMアセテートとDICYとの混合物は、10:9の比まで液体かつ均一な溶液であり、従ってエポキシ樹脂に対して容易に計量供給することができる。
【0103】
【表2】

【0104】
5%EMIMアセテートでのDGEBAの硬化の場合には、約11時間に亘っての貯蔵安定性である。驚くべきことにDICYの添加は、系の貯蔵安定性を増加させ、かつ硬化したエポキシ樹脂のガラス転移温度を比較可能な程度であるか又は増加させる。EMIMアセテート(1)とDICYとの混合物は液体であり、したがってエポキシ樹脂と特に良好に混合可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物含有組成物の硬化のための潜在性触媒としての式I
【化1】

[式中、R1及びR3は互いに独立して1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、
R2、R4及びR5は互いに独立してH原子又は1〜20個の炭素原子を有する有機性基を示し、その際、R4及びR5はさらに一緒になって脂肪族又は芳香族の環を形成することができ、Xは13を下回るpK値(水又はジメチルスルホキシド中25℃、1barで測定されたもの)を有するアニオンを示し、かつ、nは1、2又は3を示す]の1,3−置換イミダゾリウム塩の使用。但し、イミダゾリウム塩として、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムアセテート−酢酸複合体を除く。
【請求項2】
R1及びR3は互いに独立してC1〜C10アルキル基、アリル基又はベンジル基を示す、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R2、R4及びR5が互いに独立してH原子又はC1〜C8アルキル基、C1〜C8アルケニル基、特にアリル基、フェニル基又はベンジル基を示す、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
アニオンXがアセテートである場合には、R2がH原子を示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
R2がH原子を示す、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
nが1を示す、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
Xがカルボキシレートアニオンを示す、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
硬化可能な組成物が、少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
硬化可能な組成物が、平均で2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
組成物が、エピクロロヒドリンとアルコールとの反応によって得られるエポキシ化合物を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
組成物が、水及び有機溶剤を除いて少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%のエポキシ化合物からなる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
組成物が付加的に他の構成成分、例えば酸無水物系硬化剤又はフェノール樹脂、特にノボラックを含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
潜在性触媒の含量が、100質量部のエポキシ化合物に対して0.01〜10質量部である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
エポキシ化合物及び式Iの潜在性触媒を含む、硬化可能な組成物。
【請求項15】
DICY及び/又はアミン架橋剤を含む、請求項14に記載の硬化可能な組成物。
【請求項16】
硬化剤として、窒素含有構成成分を含む、請求項14又は15に記載の硬化可能な組成物。
【請求項17】
室温で液体でありかつ均一な、イミダゾリウム塩中のDICYの混合物を含む、請求項16に記載の硬化可能な組成物。
【請求項18】
水及び有機性溶剤を除いて少なくとも30質量%のエポキシ化合物から成る、請求項14から17までのいずれか1項に記載の硬化可能な組成物。
【請求項19】
硬化を200℃を下回る温度で実施する、請求項14又は17に記載の組成物を硬化する方法。
【請求項20】
被覆剤又は含浸剤として、接着剤として、複合材料中で、成形体製造のため、あるいは、成形体の埋込み、結合又は硬化させるための注型材料としての、請求項14から17までのいずれか1項に記載の硬化可能な組成物の使用。
【請求項21】
含浸繊維又は含浸繊維織物の硬化によってかあるいは押出成形、引抜成形、巻取り及びレジンインジェクション成形、樹脂注入技術によって複合材料を製造するための、請求項14から17までのいずれか1項に記載の硬化可能な組成物の使用。

【公表番号】特表2010−529271(P2010−529271A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511598(P2010−511598)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057117
【国際公開番号】WO2008/152003
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】