説明

エラストマーに室温加硫できるオルガノポリシロキサン組成物及び新規オルガノポリシロキサン重縮合触媒

本発明は、重縮合によって架橋し且つアルキルスズ系触媒を含有していないエラストマーに室温から硬化させることができるオルガノポリシロキサン組成物及び新規オルガノポリシロキサン重縮合触媒に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重縮合によって架橋され且つ毒性問題を示すアルキルスズ系触媒を含有していないエラストマーに室温で加硫させることができるオルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、シリコーン化学における新規な重縮合触媒、及びそのオルガノポリシロキサンの重縮合反応用触媒としての使用に関する。
【0003】
さらに詳しくは、本発明は、使用前に二成分(RTV−2)組成物の形で提供される組成物を目的とする。
【背景技術】
【0004】
重縮合によって架橋するエラストマー配合物は、一般に、シリコーン油、一般的にアルコキシ末端を有するように場合によりシランによって予め官能化されたヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン、架橋剤、重縮合触媒、慣習的にはスズ塩又はチタン酸アルキル、補強充填剤及びその他の任意の添加剤、例えば増量剤、接着促進剤、着色剤、殺生物剤などを含有する。
【0005】
これらの室温加硫性オルガノポリシロキサン組成物は、周知であり、2つの異なる群:すなわち単一成分組成物(RTV−1)と二成分組成物(RTV−2)とに分類される。
【0006】
架橋中に、水分(RTV−1組成物の場合には大気中水分によって提供され、RTV−2組成物の場合には組成物の一部に導入される)は、重縮合反応を可能にし、エラストマーネットワークの形成をもたらす。
【0007】
一般に、単一成分(RTV−1)組成物は、空気に由来する水分に曝露されると架橋する、すなわち、前記組成物は、密閉媒体中では架橋することができない。例えば、シーラント又は常温硬化接着剤として使用される単一成分シリコーン組成物は、アセトキシシラン、ケチミノキシシラン、アルコキシシランなどのタイプの反応性官能基の加水分解、次いで形成されたシラノール基と、その他の残存反応性官能基との間の縮合反応のメカニズムに従う。この加水分解は、一般に、大気に曝露された表面から前記材料中に拡散する水蒸気によって行われる。一般に、重縮合反応の反応速度はきわめて遅い。従って、これらの反応は、適当な触媒によって触媒される。使用される触媒としては、ほとんどの場合、スズ、チタン、アミンを基礎とする触媒又はこれらの触媒の組成物が使用される。スズを基材とする触媒(特に、仏国特許第2557582号参照)及びチタンを基材とする触媒(特に、仏国特許第2786497号参照)が、極めて有効な触媒である。
【0008】
二成分組成物に関して、該組成物は、二成分(ベースポリマー材料を含有する第一の成分と触媒を含有する第二の成分)の形態で販売され、保存される。前記二成分は、使用時に混合され、得られる混合物は、比較的硬いエラストマーの形態で架橋する。これらの二成分組成物は、周知であり、特にWalter Nollの著書「Chemistry and Technology of Silicones」、1968年、第2版、395〜398頁に記載されている。これらの組成物は、本質的に次の4種類の成分:
−反応性α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンポリマー、
−架橋剤、一般にシリケート又はポリシリケート、
−スズ触媒、及び
−水
を含む。
【0009】
通常、縮合触媒は、有機スズ化合物を基材とする。実際に、多数のスズ系触媒が、これらのRTV−2組成物用の架橋触媒としてすでに提案されている。最も広く使用されている化合物は、アルキルスズカルボキシレート、例えばトリブチルスズモノオレエート又はジアルキルスズジカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート又はジメチルスズジラウレート(Nollの著書「Chemistry and Technology of silicones」、337頁、Academic Press、1968年、第2版又は欧州特許第147323号又は同第235049号参照)。
【0010】
しかし、アルキルスズ系触媒は、極めて有効であり、通常は無色液体であり、シリコーン油に溶解するが、毒性がある(再生についてCMR2毒性がある)という欠点を有する。
【0011】
チタン系触媒も、RTV−1組成物に広く使用されているが、大きな欠点を有する。チタン系触媒は、スズ系触媒よりも遅い反応速度を有する。さらに、これらの触媒は、ゲル化の問題によりRTV−2組成物に使用できない。
【0012】
その他の触媒、例えば亜鉛、ジルコニウム又はアルミニウムを基材とする触媒が、時には挙げられるが、これらの触媒は、凡庸な有効性により小規模な工業開発しかなわれていない。
【0013】
従って、持続可能な開発のためには、オルガノポリシロキサンの重縮合反応用の毒性のない触媒を開発することが必要であると思われる。
【0014】
オルガノポリシロキサンの重縮合反応の触媒の別の重要な態様は、ポットライフ、すなわち組成物を混合後に硬化させることなく使用できる間の時間である。この時間は、前記組成物を使用することを可能にするのに十分に長いが、製造された後に遅くとも数分又は数時間取り扱うことができる成形品を得るのに十分に短くなければならない。従って、触媒は、触媒された混合物のポットライフと、成形品を取り扱うことができる終端の時間(これらの時間は、対象とする用途、例えばシールの成形又は製造に依存する)との間の良好な妥協を得ることを可能にしなければならない。また、触媒は、触媒された混合物に、保存時間に応じて変化しない塗布時間を付与しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国特許第2557582号
【特許文献2】仏国特許第2786497号
【特許文献3】欧州特許第147323号
【特許文献4】欧州特許第235049号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Walter Noll,「Chemistry and Technology of Silicones」、1968年、第2版、395〜398頁
【非特許文献2】Noll,「Chemistry and Technology of silicones」、337頁、Academic Press、1968年、第2版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の主な目的は、単一成分エラストマー組成物と二成分エラストマー組成物の両方の架橋に使用できる触媒系を見出すことにある。
【0018】
本発明の別の主な目的は、単一成分エラストマー組成物と二成分エラストマー組成物の2つの種類の保存、加工及び架橋の制約を同時に満たし続ける触媒系を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
オルガノポリシロキサン組成物が見出され、このオルガノポリシロキサン組成物は、本発明の主題を構成し、一方で、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに硬化させることができるシリコーンベースBと、他方で、触媒有効量の少なくとも1つの触媒系Xとを含み、
a)前記触媒系Xが、以下の式(1):
[Zn(L1r1(L2r2(Y)x] (1)
(式中:
−r1=1又は2であり、r2=0又は1であり且つx=0又は1であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオン又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数個の記号L1は、同一であるか又は異なり、
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表し、及び
−記号Yは中性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むこと、並びに
b)前記触媒系Xが、次の工程:
−工程1:前記金属錯体又は塩Aを、少なくとも1つの油性オルガノポリシロキサンポリマーK(その粘度は、少なくとも100mPa.s、好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらに好ましくは少なくとも10000mPa.sである)に分散させる;及び
−工程2:前記混合物を、場合により混練後に、前記触媒系Xである均一混合物が得られるまで粉砕する;
に従って調製されることを特徴とする。
【0020】
「金属錯体又は塩A」という定義は、前記金属錯体又は塩Aの任意のオリゴマー体又は類縁体を包含すると解釈される。
【0021】
この目的を達成するために、本発明者らは、きわめて驚くべきことに及び予想外に、亜鉛を基材とし、独創的な方法に従って調製される触媒系Xを使用すると、重縮合反応用触媒として前記の式(1)の金属錯体又は塩Aを使用することが可能になることを実証するとういう面目を施した。
【0022】
また、固体の形態である亜鉛錯体はオルガノポリシロキサンの重縮合反応において凡庸な活性を有するのみであり、同様にシリコーン媒体に溶解しない固体の形態の触媒の使用は当業者には興味がなかったというこれまで認められていた技術的偏見を克服することも、本発明者らの面目である。
【0023】
本発明の組成物は、加熱処理後に、特に3日間に及ぶ150℃又は220℃の加熱処理後に良好な機械的性質を保持するエラストマーを得ることを可能にする。従って、この加熱処理後であってもエラストマーのショアA硬度は、相変わらず一定である。
【0024】
配位子の定義は、EDP Sciencesによって2000年に刊行されたDidier Astrucによる著書「Chimie Organometallique(有機金属化学)」から採用され、特に、第1章「Les complexes monometalliques(単一金属錯体)」、第31頁以下が参照されることに留意されたい。
【0025】
中性配位子Yの性質は、あまり重要ではなく、当業者は、問題となっている金属に適した任意の型の中性配位子を使用するであろう。
【0026】
本発明の構成要素の性質をさらに詳しく説明するためには、任意の従来の混合装置、特に緩徐撹拌装置を使用できることを明記することが重要である。従って、混合操作は、撹拌機を備えた混合装置で行うことができる。例として、一軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機、遊星形ミキサー、フックミキサー、低速分散機、スターティックミキサー、パドルミキサー、プロペラミキサー、アームミキサー又はアンカーミキサーを挙げることができる。
【0027】
任意の油性オルガノポリシロキサン重合体K(その粘度は、少なくとも100mPa.s、好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらに好ましくは少なくとも10000mPa.sである)が本発明の実施に適している。
【0028】
特に有利な実施形態によれば、粉砕は、3本ロールミルによって行い、そのロール同士の間の圧締圧は、均一な混合物をもたらすように調整される。
【0029】
本発明を実施するために、以下の式(2):
[Zn(L1r1(L2r2] (2)
(式中:
−r1=1又は2であり且つr2=0又は1であり;r1+r2=2であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオンであるか又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は、同一であるか又は異なり、及び
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表す)
の金属錯体又は塩Aを使用することが好ましい。
【0030】
本発明の独創質の少なくとも一部分は、重縮合触媒として使用する金属化合物Aの定義された会合の慎重な及び有利な選択によることに留意されたい。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、金属錯体又は塩Aは、以下の式(3)〜(6):
(3):[Zn(t−Bu−acac)2](式中、(t−Bu−acac)=2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト陰イオン又は2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンのエノラト陰イオンである);
(4):[Zn(2,4−ペンタンジオナト)2];
(5):[Zn(3,5−ヘプタンジオナト)2];及び
(6):[Zn(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)2
の錯体によって構成される群から選択される。
【0032】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、β−ジカルボニラト配位子L1は、β−ジケトンから誘導されるβ−ジケトナト陰イオンであるか又は次式:
1COCHR2COR3 (7)
(式中:
−R1は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐C1−C30炭化水素基あるいは飽和又は不飽和芳香族基を表し、
−R2は、水素を表すか又は炭化水素基、有利には最大で4個の炭素原子を有する一般的にはアルキル基を表し、
−R3は、飽和又は不飽和、直鎖、環状又は分岐C1−C30炭化水素基、飽和又は不飽和芳香族基又は基−OR4(式中、R4は、飽和又は不飽和、直鎖、環状又は分岐C1−C30炭化水素基を表す)を表し、
−R1とR2は、一緒に結合して環を形成してもよく、及び
−R2とR4は、一緒に結合して環を形成してもよい)
のβ−ケトエステルから誘導されるβ−ケトエステラト陰イオンである。
【0033】
本発明の組成物に特に有利な式(7)のβ−ジケトンの中から、次のβ−ジケトン類:2,4−ペンタンジオン(acac);2,4−ヘキサンジオン;2,4−ヘプタンジオン;3,5−ヘプタンジオン;3−エチル−2,4−ペンタンジオン;5−メチル−2,4−ヘキサンジオン;2,4−オクタンジオン;3,5−オクタンジオン;5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン;6−メチル−2,4−ヘプタンジオン;2,2−ジメチル−3,5−ノナンジオン;2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン;2−アセチルシクロヘキサノン(Cy−acac);2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(t−Bu−acac);1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン(F−acac);トリフルオロアセチルアセトン;ベンゾイルアセトン;ジベンゾイルメタン;3−メチル−2,4−ペンタジオン;3−アセチル−2−ペンタノン;3−アセチル−2−ヘキサノン;3−アセチル−2−ヘプタノン;3−アセチル−5−メチル−2−ヘキサノン;ステアロイルベンゾイルメタン;オクタノイルベンゾイルメタン;4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン及び4,4’−ジ−tert−ブチルジベンゾイルメタンによって構成される群から選択されるβ−ジケトンが挙げられる。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、β−ジカルボニラト配位子L1は、次の化合物:アセチル酢酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、イソブチルエステル、tert−ブチルエステル、イソペンチルエステル、n−ヘキシルエステル、n−オクチルエステル、1−メチルヘプチルエステル、n−ノニルエステル、n−デシルエステル及びn−ドデシルエステルから誘導される陰イオン又は仏国特許第1435882号に記載の陰イオンによって構成される群から選択されるβ−ケトエステラト陰イオンである。
【0035】
本発明の金属錯体Aの構成要素の性質をさらに詳しく説明するためには、L2は、次の陰イオン:フルオロ(F-)、クロロ(Cl-)、トリヨード(1-)(I3-、ジフルオロクロラト(1-)[ClF2-、ヘキサフルオロヨーダト(1-)[IF6-、オキソクロラト(1-)(ClO)-、ジオキソクロラト(1-)(ClO2-、トリオキソクロラト(1-)(ClO3-、テトラオキソクロラト(1-)(ClO4-、ヒドロオキソ(OH)-、メルカプト(SH)-、セラニド(SeH)-、ヒペルオキソ(O2-、オゾニド(O3-、ヒドロキソ(OH-)、ヒドロジスルフィド(HS2-、メトキソ(CH3O)-、エトキソ(C25O)-、プロポキシド(C37O)-、メチルチオ(CH3S)-、エタンチオラト(C25S)-、2−クロロエタノラト(C24ClO)-、フェノキシド(C65O)-、フェニルチオ(C65S)-、4−ニトロフエノラト[C64(NO2)O]-、ホルマト(HCO2-、アセタト(CH3CO2-、プロピオナト(CH3CH2CO2-、ニトリド(N3-、シアノ(CN)-、シアナト(NCO)-、チオシアナト(NCS)-、セレノシアナト(NCSe)-、アミド(NH2-、ホスフィノ(PH2-、クロロアザニド(ClHN)-、ジクロロアザニド(Cl2N)-、[メタンアミナト(1-)](CH3NH)-、ジアゼニド(HN=N)-、ジアザニド(H2N−NH)-、ジホスフェニド(HP=P)-、ホスホニト(H2PO)-、ホスホニナト(H2PO2-、カルボキシラト、エノラト、アミド、アルキラト及びアリーラトによって構成される群から選択され得る陰イオン性配位子であることを明記することが重要である。
【0036】
1つの好ましい実施形態によれば、L2は、次の陰イオン:酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、イソ酪酸イオン、ジエチル酢酸イオン、安息香酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ステアリン酸イオン、メトキシドイオン、エトキシドイオン、イソプロポキシドイオン、tert−ブトキシドイオン、tert−ペントキシドイオン、8−ヒドロキシキノリン酸イオン、ナフテン酸イオン及びトロポロネートイオンによって構成される群から選択される陰イオン性配位子である。
【0037】
中性配位子Yの性質は、あまり重要ではなく、当業者は、問題となっている金属に適した任意の型の中性配位子を使用するであろう。
【0038】
また、本発明は、触媒系Xであって、
a)前記触媒系Xが、以下の式(1):
[Zn(L1r1(L2r2(Y)x] (1)
(式中:
−r1≧1であり、r2=0又は1であり且つx=0又は1であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオン又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は同一であるか又は異なり、
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表し、及び
−記号Yは中性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むこと、並びに
b)前記触媒系Xが、次の工程:
−工程1:前記金属錯体又は塩Aを、少なくとも1つの油性オルガノポリシロキサンポリマーK(その粘度は、少なくとも100mPa.s、好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらに好ましくは少なくとも10000mPa.sである)に分散させる、及び
−工程2:前記混合物を、場合により混練後に、前記触媒系Xである均一混合物が得られるまで粉砕する、
に従って調製されることを特徴とする触媒系Xに関する。
【0039】
別の好ましい実施形態によれば、本発明はまた前記の触媒系Xであって、
a)前記触媒系Xが、以下の式(2):
[Zn(L1r1(L2r2] (2)
(式中:
−r1=1又は2であり且つr2=0又は1であり;r1+r2=2であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオンであるか又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は、同一であるか又は異なり、及び
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むことを特徴とする触媒系Xに関する。
【0040】
本発明の触媒系Xの量は、金属錯体又は塩Aが用途の要求を満たすのに十分な量であるように当業者によって調整される。一般に、金属錯体又は塩Aは、組成物中に組成物の全質量の0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%の間の量で存在する。
【0041】
本発明の別の主題は、本発明の及び前記の触媒系Xのオルガノポリシロキサンの重縮合反応用触媒としての使用からなる。
シリコーンベースBの説明:
重縮合反応によって架橋し、硬化する本発明で使用されるシリコーンベースは、周知である。これらのシリコーンベースは、特に多数の特許明細書に詳しく記載されており、市販されている。
【0042】
これらのシリコーンベースは、単一成分ベース、すなわち単一のパッケージに包装され、湿分の非存在下での保存中に安定であるベースであってもよく、これらは、湿分、特に周囲空気によって提供されるか又はその使用中に前記ベース内に生じる水分によって提供される湿分の存在下で硬化させることができる。
【0043】
単一成分ベースの他に、二成分ベース、すなわち2つのパッケージに包装されているベースを使用してもよく、これらは本発明の触媒系Xが混和されるとすぐに硬化する。これらのベースは、触媒の混和後に、2つの別個の部分に包装され、これらの部分の一つは、場合により、例えば本発明の触媒だけを含有するか又は架橋剤との混合物を含有する。
【0044】
本発明の組成物を製造するのに使用されるシリコーンベースBは、
−重縮合によってエラストマーに架橋させることができる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン油C;
−場合により少なくとも1つの架橋剤D;
−場合により少なくとも1つの接着促進剤E;及び
−場合により少なくとも1つのケイ質有機及び/又は非ケイ質無機充填剤F
を含んでもよい。
【0045】
ポリオルガノシロキサン油Cは、25℃で50〜5000000mPa.sの間の粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサンポリマーであることが好ましく、架橋剤Dは、分子当たり3個以上のケイ素原子に結合された加水分解性基を有する有機ケイ素化合物であることが好ましい。ポリオルガノシロキサン油Cはまた、ヒドロキシル官能基を有する前駆物質と、加水分解性基を有する架橋性シランとの縮合によって得られる加水分解性基によってその末端で官能化されてもよい。
【0046】
架橋剤(D)として、
−次の一般式:
1kSi(OR2(4-k)
(式中、記号R2は、同一であるか又は異なり、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基又は2−エチルヘキシル基、C3−C6オキシアルキレン基を表し、記号R1は、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、飽和又は不飽和及び/又は芳香族単環式又は多環式炭素環基を表し、及びkは、0、1又は2に相当する)
のシラン;及び
−このシランの部分加水分解生成物
を挙げることができる。
【0047】
3−C6アルコキシアルキレン基の例として、次の基:
CH3OCH2CH2
CH3OCH2CH(CH3)−
CH3OCH(CH3)CH2
25OCH2CH2CH2
を挙げることができる。
【0048】
記号R1は、C1−C10炭化水素基であって、
−C1−C10アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基又はデシル基;
−ビニル基及びアリル基;並びに
−C5−C8シクロアルキル基、例えばフェニル基、トリル基及びキシリル基
を包含するC1−C10炭化水素基を表す。
【0049】
架橋剤Dは、シリコーン市場で入手できる製品であり;また、その室温硬化組成物における使用は知られている;特に、仏国特許第1126411号、同第1179969号、同第1189216号、同第1198749号、同第1248826号、同第1314649号、同第1423477号、同第1432799号及び同第2067636号に記載されている。
【0050】
架橋剤Dの中で、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルシリケート及びアルキルポリシリケートが特に好ましく、その有機基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0051】
使用し得る架橋剤Dの別の例としては、さらに詳しくは、次のシラン類:
−プロピルトリメトキシシラン;
−メチルトリメトキシシラン;
−エチルトリメトキシシラン;
−ビニルトリエトキシシラン;
−メチルトリエトキシシラン;
−ビニルトリエトキシシラン;
−プロピルトリエトキシシラン;
−テトラエトキシシラン;
−テトラプロポキシシラン;
−1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン;
−1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン;及び
−テトライソプロポキシシラン、
あるいは、CH3Si(OCH33;C25Si(OC253;C25Si(OCH33;CH2=CHSi(OCH33;CH2=CHSi(OCH2CH2OCH33;C65Si(OCH33;[CH3][OCH(CH3)CH2OCH3]Si[OCH32;Si(OCH34;Si(OC254;Si(OCH2CH2CH34;Si(OCH2CH2CH2CH34;Si(OC24OCH34;CH3Si(OC24OCH33;ClCH2Si(OC253
を挙げることができる。
【0052】
架橋剤Dの別の例としては、エチルポリシリケート又はn−プロピルポリシリケートを挙げることができる。
【0053】
一般に、重縮合によってエラストマーに架橋させることができるポリオルガノシロキサンC 100重量部当たり0.01〜60重量部の架橋剤Dが使用される。
【0054】
従って、本発明の組成物は、少なくとも1つの接着促進剤E、例えば、以下の2つ:すなわち
(1)ケイ素原子に結合された1個以上の加水分解性基、及び
(2)1個以上の有機基であって、窒素原子を含む基で置換されるか、又はアクリル酸(メタクリル酸)基、エポキシ基及びアルケニル基の群から選択される、さらに好ましくは単独で又は混成物として採用される以下の化合物:
ビニルトリメトキシシラン(VTMO);
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO);
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO);
[H2N(CH23]Si(OCH2CH2CH33
[H2N(CH23]Si(OCH33
[H2N(CH23]Si(OC253
[H2N(CH24]Si(OCH33
[H2NCH2CH(CH3)CH2CH2]SiCH3(OCH32
[H2NCH2]Si(OCH33
[n−C49−HN−CH2]Si(OCH33
[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH33
[H2N(CH22NH(CH23]Si(OCH2CH2OCH33
[CH3NH(CH22NH(CH23]Si(OCH33
[H(NHCH2CH22NH(CH23]Si(OCH33
【0055】
【化1】

【0056】
【化2】

【0057】
又はこのような有機基を、20%を超える含有率で含有するポリオルガノシロキサンオリゴマーによって構成される群から選択される1個以上の有機基を有する有機ケイ素化合物を含んでもよい。
【0058】
単一成分ベース及び二成分ベースについて、無機充填剤Fとして、その平均粒径が0.1μm未満である極めて微細に粉砕された製品が使用される。これらの充填剤としては、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが挙げられる。これらのBET比表面積は、一般に40m2/gよりも大きい。これらの充填剤はまた、0.1μmよりも大きい平均粒径を有するさらに粗く粉砕された製品の形態であってもよい。このような充填剤の例としては、粉砕石英、珪藻土シリカ、炭酸カルシウム、焼結粘土、ルチル型酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム又は酸化マグネシウム、種々の形態のアルミナ(水和又は非水和)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、硫酸バリウム及びガラスマイクロビーズを挙げることができる;これらの非表面積は、一般に30m2/gよりも小さい。
【0059】
これらの充填剤は、この目的に慣用される種々の有機ケイ素化合物で処理することによって表面修飾されてもよい。従って、これらの有機ケイ素化合物は、オルガノクロロシラン、ジオルガノシクロポリシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン又はジオルガノシクロポリシラザンであってもよい(仏国特許第1126884号、同第1136885号及び同第1236505号、並びに英国特許出願公開第1024234号)。処理された充填剤は、ほとんどの場合、有機ケイ素化合物の重量の3〜30%を含有する。充填剤は、異なる粒径を有する数種類の充填剤の混合物から構成されてもよい。従って、例えば、充填剤は、40m2/gよりも大きいBET比表面積を有する微細シリカ30〜70%と、30m2/gよりも小さいBET比表面積を有するより粗く粉砕されたシリカ70〜30%とから構成されてもよい。
【0060】
充填剤を導入する目的は、本発明の組成物を硬化させることにより得られるエラストマーに機械的性質及び流動学的性質を付与することにある。
【0061】
これらの充填剤と組み合わせて、無機顔料及び/又は有機顔料、並びにエラストマーの耐熱性を向上させる薬剤(希土類元素の塩及び酸化物、例えば酸化セリウム及び水酸化セリウム)及び/又は耐火性を向上させる薬剤を使用してもよい。例えば、国際出願公開第98/29488号に記載されている酸化物の混合物を使用することができる。耐火性を向上させる薬剤の中から、ハロゲン化有機誘導体、有機リン誘導体、白金誘導体、例えば塩化白金酸(そのアルカノール類又はエーテル類との反応生成物)、又は塩化第一白金−オレフィン錯体を挙げることができる。これらの顔料及び薬剤は共に、充填剤の重量の多くて20%に相当する。
【0062】
その他の慣用の助剤及び添加剤を、本発明の組成物に配合してもよい。これらは、前記の組成物が使用される用途に応じて選択される。
【0063】
本発明の組成物を製造するのに使用されるシリコーンベースは、
−重縮合によってエラストマーに架橋させることができるポリオルガノシロキサン油C 100部;
−架橋剤D 0〜20部;
−接着促進剤E 0〜20部;及び
−充填剤F 0〜50部
を含み得る。
【0064】
主成分の他に、本発明の組成物の物理的特性及び/又はこれらの組成物を硬化させることにより得られるエラストマーの機械的性質に作用させることを目的として、非反応性直鎖ポリオルガノシロキサンポリマーGを導入してもよい。
【0065】
これらの非反応性直鎖ポリオルガノシロキサンポリマーGは、周知である;これらは、さらに特には、ジオルガノシロキシ単位と、少なくとも1%のモノオルガノシロキシ及び/又はシロキシ単位とから本質的に形成される25℃で少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサンポリマーを含み、ケイ素原子に結合されたその有機基は、メチル基、ビニル基及びフェニル基から選択され、これらの有機基の少なくとも60%はメチル基であり且つ多くて10%はビニル基である。これらのポリマー粘度は、25℃で数千万mPa.sに達することができる。従って、これらのポリマーとしては、流動性から粘稠性の外観を有する油及び軟質ゴムから硬質ゴムまでが挙げられる。これらは、仏国特許第978058号、同第1025150号、同第1108764号及び同第1370884号にさらに具体的に記載されている通常の方法に従って調製される。25℃で10mPa.s〜1000mPa.sの範囲の粘度を有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ジメチルポリシロキサン油を使用することが好ましい。これらのポリマー(可塑剤として働く)は、重縮合によって架橋させることができるポリオルガノシロキサン油C100部当たり多くて70部、好ましくは5〜20部の割合で導入することができる。
【0066】
本発明の組成物は、さらに有利には、少なくとも1つのシリコーン樹脂Hを含み得る。これらのシリコーン樹脂は、周知であり、市販されている分岐オルガノポリシロキサンポリマーである。これらのシリコーン樹脂は、分子当たり、式R’’’3SiO1/2(M単位)、R’’’2SiO2/2(D単位)、R’’’SiO3/2(T単位)及びSiO4/2(Q単位)の単位から選択される少なくとも2つの異なる単位を有する。基R’’’は、同一であるか又は異なり、直鎖又は分岐アルキル基もしくはビニル基、フェニル基又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。好ましくは、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。さらに具体的には、アルキルR基として、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基及びn−ヘキシル基を挙げることができる。これらの樹脂は、好ましくは加水分解され、この場合には5〜500meq/100gのヒドロキシル基の重量含有率を有する。
【0067】
樹脂の例として、MQ樹脂、MDQ樹脂、TD樹脂及びMDT樹脂を挙げることができる。
【0068】
本発明の組成物を製造するためには、単一成分組成物の場合には、湿気のない環境で、熱を供給するか又は供給せずに種々の基本成分を緊密に混合することを可能にする装置を使用することが必要であり、場合によりそれに加えられる成分は、前記の補助剤及び添加剤である。全てのこれらの成分は、装置に導入の任意の順序で装填し得る。従って、最初にオルガノポリシロキサン油Cと充填剤Fとを混合し、次いで得られたペーストに架橋剤Dと化合物Eと本発明の触媒とを加えることができる。また、前記の油Cと架橋剤Dと化合物Eと充填剤Fとを混合し、その後に本発明の触媒を加えることもできる。これらの操作中に、混合物は、揮発性物質の除去を促進することを目的として、周囲圧力下で又は減圧下で50〜180℃の範囲内の温度で加熱してもよい。
【0069】
本発明の単一成分組成物(そのままで使用される、すなわち蒸留されないで又は希釈剤中の分散物の形態で使用される)は、水の非存在下での保存中に安定であり、水の存在下で低温で(分散物の場合には、溶媒を除去した後に)硬化してエラストマーを形成する。
【0070】
そのままの組成物を湿潤雰囲気中で固体支持体上に付着させた後に、エラストマーに硬化する工程が生じ、付着した物体の外側から内側に生じることが観察される。スキン層が、最初に表面で形成し、次いで架橋が下方に続く。スキン層の完全な形成(これは、表面の粘着性のない感触をもたらす)は、数分の時間を必要とし、この時間は、組成物を取り巻く雰囲気の相対湿度の度合い及び該組成物の架橋性に依存する。
【0071】
また、付着層の下方硬化(これは、形成されたエラストマーの離型及び取り扱いを可能にするのに十分でなければならない)は、さらに長い時間を必要とする。実際に、この時間は、粘着性のない感触の形成のために前述の種々の因子だけではなく、付着層の厚み(この厚みは、一般に0.5mm〜数cmである)に依存する。単一成分組成物は、多数の用途、例えば建設産業での接合(jointing)、ほとんどの多様な材料(金属、プラスチック、天然及び合成ゴム、木材、紙板、陶器、レンガ、セラミック、ガラス、石、コンクリート、組積ユニット)の組立て、導電体の絶縁、電子回路の埋め込み、あるいは合成樹脂又はフォーム物品の製造に使用される金型の製造に使用し得る。
【0072】
また、本発明の二成分組成物の製造は、種々の成分を適当な装置で混合することによって行われる。均一組成物を得るためには、最初にポリマーAを充填剤Cと混合し、混合物全体を、前記油による充填剤の湿潤を完結させるように、80℃を超える温度で少なくとも30分間加熱し得ることが好ましい。得られる混合物(80℃未満の温度、例えば、ほぼ室温に保たれることが好ましい)に、その他の成分、すなわち架橋剤、触媒及び場合により種々の添加剤及び補助剤、さらには水を加えてもよい。
【0073】
本発明の組成物は、多数の用途、例えば建設産業及び/又は輸送産業(例えば:自動車、航空宇宙、鉄道、海運及び航空産業)での接合及び/又は接着、ほとんどの多様な材料(金属、プラスチック、天然及び合成ゴム、木材、板紙、ポリカーボネート、陶器、レンガ、セラミック、ガラス、石、コンクリート及び組積ユニット)の組立て、導電体の絶縁、電子回路の埋め込み、及び合成樹脂又はフォーム物品の製造に使用される金型の製造に使用し得る。
【0074】
従って、本発明の別の主題は、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに硬化させることができる本発明の及び前記のオルガノポリシロキサン組成物の前駆物質である二成分系であって、前記組成物を形成するために混合することを目的とする2つの別個の部分P1及びP2であること、並びにこれらの部分の1つが、
−オルガノポリシロキサンの重縮合反応用触媒としての本発明の及び前記の触媒系X、及び、
−前記架橋剤D又は重縮合によってエラストマーに架橋させることができるポリシロキサン油C
を含み、他方の部分が前記の種を含有していない
ことを特徴とする二成分系からなる。
【0075】
本発明の別の主題はまた、湿分の非存在下での保存中に安定であり且つ水の存在下でエラストマーに架橋する単一成分ポリオルガノシロキサン組成物であって、
−アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1つの架橋性直鎖ポリオルガノポリシロキサン;
−充填剤;及び
−本発明の及び前記の触媒系X
を含むことを特徴とする、水分の非存在下での保存中安定であり且つ水の存在下でエラストマーに架橋する単一成分ポリオルガノシロキサン組成物からなる。
【0076】
特に有利であり且つ重縮合反応によりシリコーンエラストマーに加硫させることができる本発明の1つのオルガノポリシロキサン組成物は、
(a)前記シリコーンベースBであって、
−重縮合によって架橋させることができる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン油C(これは、反応性α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンポリマーであり、その有機基は、炭化水素基、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基;2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基及び5〜8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基によって構成される群から選択される炭化水素基である)100重量部当たり;
−ポリアルコシキシラン、ポリアルコキシシランの部分加水分解により生じる生成物、及びポリアルコキシシランによって構成される群から選択される少なくとも1つの架橋剤D 0.1〜60重量部;
−前記の接着促進剤E 0〜60重量部;
−少なくとも1つのケイ質有機及び/又は非ケイ質無機充填剤F 0〜250重量部、好ましくは5〜200重量部;
−水0.001〜10重量部;
−直鎖ホモポリマー又はコポリマーからなる少なくとも1つの非反応性直鎖ポリオルガノシロキサンポリマーG(分子当たり、その1価の複数の有機置換基は、他方の置換基と同一であるか又は異なり且つケイ素原子に結合され、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリーレン基及びアリールアルキレン基から選択される)0〜100重量部;
−ポリオルガノシロキサン樹脂H 0〜70重量部;
−着色ベース又は着色剤I 0〜20重量部;及び
−当業者に公知の補助添加剤J、例えば可塑剤、架橋遅延剤、鉱油、抗微生物剤又は熱安定剤、例えば酸化チタン、酸化鉄又は酸化セリウム0〜20重量部
を含むシリコーンベースB;並びに
(b)本発明の及び前記の触媒系X 0.1〜50重量部
を含む。
【0077】
本発明の二成分組成物は、種々の形状に従って、付形するか、押出しするか又は成形し次いで室温で硬化させてエラストマーを得ることができる。
【0078】
また、本発明の二成分組成物は、自動車産業で使用される「その場(in situ)」シールの形成に適している。これらの「その場」シールは、幾つかの種類、すなわち「平板(flattened)」シール(「流し込みガスケット」シールとして知られている)、「付形(shaped)」シール(「プロファイル(profiled)」シールとして知られている)及び「射出成形」シールを包含する。
【0079】
「平板」シールは、組み立てるべき2つの金属又はプラスチック部品同士の間の接触領域に前記組成物のペースト状ビーズを塗布した後に形成される。ペースト状ビーズは、最初に前記部品の一方の表面に付着させ、次いで他方の部品を最初の部品に直ちに付着させる。これにより、ビーズの平板化をもたらし、その後にこれはエラストマーに変化する。この種のシールは、一般的な方法で分解する必要がない組立て品を目的とする(油だめシール、タイミングケースシールなど)。
【0080】
「成形」シールもまた、組み立てるべき2つの部品同士の間の接触領域に前記組成物のペースト状ビーズを塗布した後に形成される。しかし、ペースト状ビーズをこれらの部品の一方の表面に付着させた後に、ビーズを完全に硬化させてエラストマーを得、この時点でのみ第一の部品に第二に部品が施用される。
【0081】
さらにまた、前記シールは、そのゴム状性又は流動性により、表面に形成されるシールを有すべき表面のむら全てに調和する。このような理由から、
(1)互いに接触させるべき金属表面を入念に機械仕上げすること、及び
(2)得られる組立て品を強制的に締め付けること
は、無用である。これらの際立った特徴は、通常、組立て品の部品を補強し、強化することを意図する締結シール、スペーサー又はリブを使用せずに済ますことを可能にする。
【0082】
本発明の組成物は、室温で、密閉環境でさえも迅速に硬化するので、この結果は、これらの組成物の硬化により得られる「付形」シール(及びその他の「その場」シール)は、自己接着性であり、工業的条件下で容易に製造できることである。例えば、これらは、組成物を塗布するための自動装置を装備した自動車産業の標準的な組立ラインで製造できる。この自動装置は、多くの場合ミキシングヘッドと付着用ノズルを有し、付着用ノゾルは製造すべきシールの輪郭に沿って移動する。
【0083】
この装置によって製造され、供給される組成物は、一方で、組成物がミキシングヘッドで固体に硬化することを避けるために、他方で、シールが形成されるべき部品の表面にペースト状ビーズを付着させた後に完全な架橋を得るために、適切に調整される硬化時間を有していなければならない。これらの「付形」シールは、さらに特には、シリンダーヘッドカバーシール、ギアボックスケースカバーシール、タイミングスペーサーシール及びさらには油だめシールに適している。
【0084】
射出成形シールは、密閉環境中で形成され、多くの場合その空洞は完全に密封される。これらの空洞に入れられた組成物は、エラストマーに迅速に変化する。これらのシールは、例えば、クランクシャフトベアリングの気密性を確実にすることができる。
【0085】
本発明の組成物はまた、自動車産業以外の分野での迅速硬化性及び自己接着性シール及び/又は接着剤の形成に適している。従って、本発明の組成物は、プラスチック製スィッチボックスを接着させ、シールを形成するのに使用でき、
−家庭用電化製品用、特に例えばオーブンのガラス及び金属壁などの組立て部品、電気掃除機並びにアイロン部品用;
−例えば、自動車産業で使用される電子部品ハウジング(例えば、ブレーキ出力ディストリビューターなど)用;及び
−例えば、自動車産業でのタンクの組立て、接着、シール形成用
のシール及び/又は接着剤を製造するのに使用できる。
【0086】
本発明の組成物は、用途の種類により加熱処理に供される傾向がある密閉環境中でシールを形成するのに、例えば、ベーキングオーブンなどの家庭用電化製品で部品を接着させるのに使用されるシールに極めて特に適している。これは、幾つかの用途では、シールは用途の要求に従って接着性を維持しながら、100℃以上の温度に耐えなければならないという理由からである。
【0087】
本発明の別の主題は、自己接着性シール及び/又は接着剤であって、
−本発明のオルガノポリシロキサン組成物、又は
−前記の二成分系の部分P1とP2の混合により得られるオルガノポリシロキサン組成物
を周囲温度で硬化させることによって調製される自己接着性シール及び/又は接着剤に関する。
【0088】
本発明の最後の主題は、良好な耐熱性を有し且つ本発明の前記の二成分系又は本発明の前記の組成物を架橋させ、硬化させることによって得られるエラストマーからなる。
本発明のその他の利点及び特徴は、以下の実施例を読むと明らかであろう。以下の実施例は、例示として示すものであり、決して限定するものではない。
【実施例】
【0089】
実施例1〜4:
1)本発明の触媒系の調製
錯体[Zn(t−Bu−acac)2]を、2つの異なる粘度を有するシリコーン油:
a1:鎖末端のそれぞれで(CH32(OH)SiO0.5単位で保護され、25℃で14000mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油
a4:鎖末端のそれぞれで(CH33SiO0.5単位で保護され、25℃で50mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン油
に6.1%又は10%の濃度で分散させた。
【0090】
次いで、得られた混合物を、3本ロールミルで微粉砕した。3本ロールミルのロール同士の間の圧締圧は、可能ならば、均一混合物が得られるように調整した。このようにして得られた触媒系を、その外観の観点から及びブルックフィールド粘度計を用いた粘度測定により特性決定した。
【0091】
【表1】

【0092】
表1の結果は、少なくとも100mPa.sの粘度を有するシリコーン油を使用する重要性は、本発明の触媒系を使用することができることを目的とした均一混合物を得るのに重要であることを実証している。
2)重縮合反応により室温で架橋するシリコーン組成物
表2及び3に詳述した二成分組成物を調製した。以下に示す成分が、実施例1〜4及び比較例1〜3に使用した成分である:
a1:鎖末端のそれぞれで(CH32(OH)SiO0.5単位で保護され、25℃で14000mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油;
a2:鎖末端のそれぞれで(CH32(OH)SiO0.5単位で保護され、25℃で3500mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油;
a3:鎖末端のそれぞれで(CH32(OH)SiO0.5単位で保護され、25℃で750mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油;
a4:鎖末端のそれぞれで(CH32(OH)SiO0.5単位で保護され、25℃で50mPa.sの粘度を有するヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油;
b1:200m2/gのBET比表面積を有するヒュームドシリカ;
b2:10μmの平均粒径を有する粉砕石英;
b3:HMDZで処理し、a1と、鎖末端のそれぞれで(CH33SiO0.5単位で保護されたポリジメチルシロキサン油との混合物に分散させた200m2/gのBET比表面積を有するヒュームドシリカ;
:水;
d1:本発明の触媒系X:a1に6%の濃度で分散させ且つ前記パラグラフ1)に記載の手順に従って調製した[Zn(t−Bu−acac)2
d2:本発明の触媒系X:a1に10%の濃度で分散させ且つ前記パラグラフ1)に記載の手順に従って調製した[Zn(t−Bu−acac)2
d4:有機溶媒(酢酸エチル)に37.4%の濃度に希釈した[Zn(t−Bu−acac)2];
d5:Fomrez(登録商標)触媒UL−28:ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタナン=[C919COO]2Sn(Me)2
d6:Si(OC254と、式:[CH3(CH232Sn[OCOCH32のジブチルスズジアセテート(DBTDA)との反応生成物(反応温度=130℃)であるスズ−ケイ素化合物;
:エチルポリシリケート;
:式:H2N(CH22NH(CH23Si(OCH33のオルガノアミノシラン化合物
【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
4)非自己接着性組成物に関する試験:
表4の結果は、特に実施例1及び比較例1は、特許請求した触媒系の調製方法の有効性を強調している。また、実施例2及び3は、毒性生成物を含有しておらず且つ施用するのに適したポットライフ(すなわち、使用可能にするのに十分に長いが、23℃で遅くとも24時間後に取り扱うことができる目的物を得るのに十分に短いポットライフ)を有するエラストマーを得るためにこの触媒系を使用する利点を実証している。
【0096】
【表4】

−ショアA硬度(SAHで表す):測定は、ASTM-D2240規格の説明書に従って行った。
【0097】
表5の結果は、得られたエラストマーが、スズ系触媒を用いて得られた機械的性質と同様に良好な機械的性質を有することを示す。
【0098】
【表5】

−EB=破断点伸び(%、測定は、ASTM−D412又はAFNOR−T−46002規格の説明書に従って行った)。
−TS=引張強さ(MPa、測定は、ASTM−D412又はAFNOR−T−46002規格の説明書に従って行った)。
【0099】
【表6】

【0100】
表6もまた、特許請求した触媒系の存在下で架橋されたエラストマーの極めて良好な耐熱性を強調している:実際に、これらのエラストマーのショアA硬度(SAH)は、SAHの大きな変化を示すスズ錯体によって触媒されたエラストマー(150℃でSAHの喪失又は低下、次いで220℃で大きく増大)と異なり、150℃及び220℃での加熱処理後に相変わらず一定である。具体的には、150℃での比較例2は、14時間の加熱処理後にSAHが23から14に変化し、45時間後に16のSAHを達成するために硬化したエラストマーを明らかにしている。同じ比較例2であるが、220℃での比較例2は、今度は45時間の加熱処理後に23から28にそのSAHの硬度変化に遭遇するエラストマーを明らかにしている。これらの硬度の変化は、良好な耐熱性を必要とするが、この種の応力に供されるエラストマーの安定な挙動も必要とする用途には有害であることは明らかである。
5)自己接着性組成物に関する試験:
表7及び8の結果は、迅速な硬化時間と種々の支持体に対する良好な接着性を有するRTV組成物を得るための前記触媒系の有効性を実証している。組成物の接着性は、ガラス/ステンレス鋼を使用する異なる材料同士の間に接着層を生じさせることによって測定した(MNRPS−748規格、1mm厚シール)。
【0101】
反応速度及び接着の結果を、表7及び8に示す。
【表7】

【0102】
【表8】

−引張強さ:測定は、MNRPS−748規格の説明書に従って行った。
−凝集破壊:測定は、MNRPS−748規格の説明書に従って行った。
【0103】
これらの結果は全て、本発明の触媒系が、工業生産速度に適合した極めて迅速な反応速度を伴い、特に耐熱性(220℃で長時間加熱処理後にSAHの変化がない)に関して、対照に匹敵するか又はそれよりも優れている特性を有するエラストマーをもたらすことを示している。この触媒系もまた、ある種の自己接着性RTV組成物に含まれる接着促進剤と適合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノポリシロキサン組成物であって、一方で、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに硬化させることができるシリコーンベースBと、他方で、触媒有効量の少なくとも1つの触媒系Xとを含み、
a)前記触媒系Xが、以下の式(1):
[Zn(L1r1(L2r2(Y)x] (1)
(式中:
−r1=1又は2であり、r2=0又は1であり且つx=0又は1であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオン又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数個の記号L1は、同一であるか又は異なり、
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表し、及び
−記号Yは中性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むこと、並びに
b)前記触媒系Xが、次の工程:
−工程1:前記金属錯体又は塩Aを、少なくとも1つの油性オルガノポリシロキサンポリマーK(その粘度は、少なくとも100mPa.s、好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらに好ましくは少なくとも10,000mPa.sである)に分散させる;及び
−工程2:前記混合物を、場合により混練後に、前記触媒系Xである均一混合物が得られるまで粉砕する;
に従って調製されることを特徴とする、オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
前記粉砕が3本ロールミルで行われ、前記ロール同士の間の圧締圧が均一混合物をもたらすように調整されることを特徴とする、請求項1に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記触媒系Xが、以下の式(2):
[Zn(L1r1(L2r2] (2)
(式中:
−r1=1又は2であり、r2=0又は1であり;r1+r2=2であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオンであるか又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は、同一であるか又は異なり、
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
一方で、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに硬化させることができるシリコーンベースBと、他方で、以下の式(3)〜(6):
(3):[Zn(t−Bu−acac)2](式中、(t−Bu−acac)=2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト陰イオン又は2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンのエノラト陰イオンである);
(4):[Zn(2,4−ペンタンジオナト)2];
(5):[Zn(3,5−ヘプタンジオナト)2];及び
(6):[Zn(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)2
の錯体によって構成される群から選択される金属錯体又は塩Aである触媒有効量の少なくとも1つの重合触媒とを含むことを特徴とする、請求項3に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
前記β−ジカルボニラト配位子L1が、β−ジケトンから誘導されるβ−ジケトナト陰イオンであるか又は次式:
1COCHR2COR3 (7)
(式中:
−R1は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐C1−C30炭化水素基あるいは飽和又は不飽和芳香族基を表し、
−R2は、水素を表すか又は炭化水素基、有利には最大で4個の炭素原子を有する一般的にはアルキル基を表し、
−R3は、飽和又は不飽和、直鎖、環状又は分岐C1−C30炭化水素基、飽和又は不飽和芳香族基又は基−OR4基(式中、R4は、飽和又は不飽和、直鎖、環状又は分岐C1−C30炭化水素基を表す)を表し、
−R1とR2は、一緒に結合して環を形成してもよく、及び
−R2とR4は、一緒に結合して環を形成してもよい)
のβ−ケトエステルから誘導されるβ−ケトエステラト陰イオンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
前記の式(7)のβ−ジケトンが、次のβ−ジケトン類:2,4−ペンタンジオン(acac);2,4−ヘキサンジオン;2,4−ヘプタンジオン;3,5−ヘプタンジオン;3−エチル−2,4−ペンタンジオン;5−メチル−2,4−ヘキサンジオン;2,4−オクタンジオン;3,5−オクタンジオン;5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン;6−メチル−2,4−ヘプタンジオン;2,2−ジメチル−3,5−ノナンジオン;2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン;2−アセチルシクロヘキサノン(Cy−acac);2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(t−Bu−acac);1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン(F−acac);ベンゾイルアセトン;ジベンゾイルメタン;3−メチル−2,4−ペンタジオン;3−アセチル−2−ペンタノン;3−アセチル−2−ヘキサノン;3−アセチル−2−ヘプタノン;3−アセチル−5−メチル−2−ヘキサノン;ステアロイルベンゾイルメタン;オクタノイルベンゾイルメタン;4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン及び4,4’−ジ−tert−ブチルジベンゾイルメタンによって構成される群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
2が、次の陰イオン:フルオロ(F-)、クロロ(Cl-)、トリヨード(1-)(I3-、ジフルオロクロラト(1-)[ClF2-、ヘキサフルオロヨーダト(1-)[IF6-、オキソクロラト(1-)(ClO)-、ジオキソクロラト(1-)(ClO2-、トリオキソクロラト(1-)(ClO3-、テトラオキソクロラト(1-)(ClO4-、ヒドロキシド(OH)-、メルカプト(SH)-、セラニド(SeH)-、ヒペルオキソ(O2-、オゾニド(O3-、ヒドロキソ(OH-)、ヒドロジスルフィド(HS2-、メトキソ(CH3O)-、エトキソ(C25O)-、プロポキシド(C37O)-、メチルチオ(CH3S)-、エタンチオラト(C25S)-、2−クロロエタノラト(C24ClO)-、フェノキシド(C65O)-、フェニルチオ(C65S)-、4−ニトロフエノラト[C64(NO2)O]-、ホルマト(HCO2-、アセタト(CH3CO2-、プロピオナト(CH3CH2CO2-、ニトリド(N3-、シアノ(CN)-、シアナト(NCO)-、チオシアナト(NCS)-、セレノシアナト(NCSe)-、アミド(NH2-、ホスフィノ(PH2-、クロロアザニド(ClNH)-、ジクロロアザニド(Cl2N)-、[メタンアミナト(1-)](CH3NH)-、ジアゼニド(HN=N)-、ジアザニド(H2N−NH)-、ジホスフェニド(HP=P)-、ホスホニト(H2PO)-、ホスホニナト(H2PO2-、カルボキシラト、エノラト、アミド、アルキラト及びアリーラトによって構成される群から選択される陰イオン性配位子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
2が、次の陰イオン:酢酸イオン、シュウ酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、イソ酪酸イオン、ジエチル酢酸イオン、安息香酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、ステアリン酸イオン、メトキシドイオン、エトキシドイオン、イソプロポキシドイオン、tert−ブトキシドイオン、tert−ペントキシドイオン、8−ヒドロキシキノリン酸イオン、ナフテン酸イオン及びトロポロネートイオンによって構成される群から選択される陰イオン性配位子であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒有効量の少なくとも1つの触媒系Xと、シリコーンベースBであって、
−重縮合によってエラストマーに架橋させることができる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン油C;
−場合により少なくとも1つの架橋剤D;
−場合により少なくとも1つの接着促進剤E;及び
−場合により少なくとも1つのケイ質有機及び/又は非ケイ質無機充填剤F
を含むシリコーンベースBとを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項10】
重縮合反応によってシリコーンエラストマーに加硫させることができる請求項9に記載のオルガノポリシロキサン組成物の前駆物質である二成分系であって、前記組成物を形成するために混合することを意図する2つの別々の部分P1及びP2であること、並びにこれらの部分の1つが、
−オルガノポリシロキサンの重縮合反応用触媒としての請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒系X、及び
−重縮合反応によってエラストマーに架橋させることができる前記架橋剤D又はポリオルガノシロキサン油C
を含み、他方の部分が前記の種を含まないことを特徴とする、請求項9に記載のオルガノポリシロキサンの前駆物質である二成分系。
【請求項11】
湿分の非存在下での保存中に安定であり且つ水の存在下でエラストマーに架橋する単一成分ポリオルガノシロキサン組成物であって、
−アルコキシ、オキシム、アシル及び/又はエノキシ型、好ましくはアルコキシ型の官能化末端を有する少なくとも1つの架橋性直鎖ポリオルガノポリシロキサン;
−充填剤;及び
−請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒系X
を含むことを特徴とする、単一成分ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項12】
請求項9に記載のオルガノポリシロキサン組成物であって、重縮合反応によってシリコーンエラストマーに加硫させることができ、
(a)前記シリコーンベースBが、
−重縮合によって架橋させることができる少なくとも1つのポリオルガノシロキサン油C(これは、反応性α,ω−ジヒドロキシジオルガノポリシロキサンポリマーであり、その有機基は、炭化水素基、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基;3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基;2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基及び5〜8個の炭素原子を有するシクロアルケニル基によって構成される群から選択される炭化水素基である)100重量部当たり;
−ポリアルコシキシラン、ポリアルコキシシランの部分加水分解により生じる生成物、及びポリアルコキシシランによって構成される群から選択される少なくとも1つの架橋剤D 0.1〜60重量部;
−接着促進剤E 0〜60重量部;
−少なくとも1つのケイ質有機及び/又は非ケイ質無機充填剤F 0〜250重量部、好ましくは5〜200重量部;
−水0.001〜10重量部;
−直鎖ホモポリマー又はコポリマーからなる少なくとも1つの非反応性直鎖ポリオルガノシロキサンポリマーG(分子当たり、その1価の複数の有機置換基は、他方の置換基と同一であるか又は異なり且つケイ素原子に結合され、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリーレン基及びアリールアルキレン基から選択される)0〜100重量部
−着色ベース又は着色剤H 0〜20重量部;
−ポリオルガノシロキサン樹脂I 0〜70重量部;及び
−当業者に公知の補助添加剤J、例えば可塑剤、架橋遅延剤、鉱油、抗微生物剤又は熱安定剤、例えば酸化チタン、酸化鉄又は酸化セリウム0〜20重量部;並びに
(b)請求項1〜8のいずれか一項に記載の触媒系X 0.1〜50重量部
を含む、請求項9に記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項13】
良好な耐熱性を有し且つ請求項10に記載の二成分系あるいは請求項1〜9又は11〜12のいずれか一項に記載の組成物を架橋又は硬化させることによって得られるエラストマー。
【請求項14】
触媒系Xであって、
a)前記触媒系Xが、以下の式(1):
[Zn(L1r1(L2r2(Y)x] (1)
(式中:
−r1≧1であり、r2=0又は1であり且つx=0又は1であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオン又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は同一であるか又は異なり、
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表し、及び
−記号Yは中性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むこと、並びに
b)前記触媒系Xが、次の工程:
−工程1:前記金属錯体又は塩Aを、少なくとも1つの油性オルガノポリシロキサンポリマーK(その粘度は、少なくとも100mPa.s、好ましくは少なくとも5000mPa.s、さらに好ましくは少なくとも10000mPa.sである)に分散させる、及び
−工程2:前記混合物を、場合により混練後に、前記触媒系Xである均一混合物が得られるまで粉砕する、
に従って調製されることを特徴とする触媒系X。
【請求項15】
請求項14に記載の触媒系Xであって、
a)前記触媒系Xが、以下の式(2):
[Zn(L1r1(L2r2] (2)
(式中:
−r1=1又は2であり且つr2=0又は1であり;r1+r2=2であり;
−記号L1は、β−ジカルボニラト陰イオンであるか又はβ−ジカルボニル含有化合物のエノラト陰イオンである配位子を表し、r1=2である場合には、複数の記号L1は、同一であるか又は異なり、及び
−記号L2は、L1と異なる陰イオン性配位子を表す)
の少なくとも1つの金属錯体又は塩Aを含むことを特徴とする、請求項14に記載の触媒系X。
【請求項16】
オルガノポリシロキサンの重縮合反応用触媒としての請求項1〜8又は14〜15のいずれか一項に記載の触媒系Xの使用。
【請求項17】
自己接着性シール及び/又は接着剤であって、
−請求項1〜9又は11〜12のいずれか一項に記載のオルガノポリシロキサン組成物、又は
−請求項10に記載の二成分系の部分P1及びP2の混合により得られるオルガノポリシロキサン組成物
を周囲温度で硬化させることによって調製される自己接着性シール及び/又は接着剤。

【公表番号】特表2011−506742(P2011−506742A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538840(P2010−538840)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001773
【国際公開番号】WO2009/106723
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(507421304)ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【Fターム(参考)】