説明

エラストマー/セラミックのシールリングを有する弁

本発明は、直径方向において対向する2つの貫通孔(9)が開けられた、エラストマー材料製の部分(6)、および内部円周表面に露出されたセラミック製の部分(7)を有する環状の無端シールリングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
図1の分解斜視図に例示されるように、バタフライ弁は5つの主要構成要素を含む。本体はシールリング2とも呼ばれる環を取り囲み、シールリング2はバタフライまたはディスク3とも呼ばれる閉鎖部材を取り囲み、ディスク3は上部シャフト4とも呼ばれる操作シャフトによって操作され、上部シャフト4は下部軸5とも呼ばれる軸に対向する。
【背景技術】
【0002】
四分の一回転するバタフライ弁の生産における技術分野の状況は、設計者に、環のためのシーリング材料として大抵の場合エラストマー材料を使用させているが、この材料は閉鎖ディスクとは相溶しない(incompatible)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この原理の使用は、シーリングの問題に対する効果的な解決策を提供するが、しかし以下のことに関連する不利益を被る。
【0004】
・第一に、エラストマー材料と金属との間の摩擦係数は比較的大きく、したがって、ディスクを操作するためには大きい力が生み出されねばならないことを意味する。
【0005】
・第二に、劣った(poor)摩擦係数は、エラストマー材料の表面の進行性破壊をもたらし、これはシーリングに長期的に悪い影響を与え、およびしたがって弁の耐用年数を低減させる。
【0006】
・第三に、金属/エラストマーのトルクは、特に液体流体に関し、静的アプリケーションと動的アプリケーションとの間で大きく異なる摩擦係数の値を有する。静摩擦トルクは動トルクよりもはるかに大きく、それ故、例えば制御アプリケーションにおけるわずかな移動を必要とする操作の間、移動を開始させるために必要とされる非常に大きい力は、移動が開始され次第、非常に素早く弱められねばならず、そうでなければ、弁が所望の値を超えて移動したことが見出されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これらの不利益を克服するシールリングに関する。
【0008】
エラストマー材料の部分を有し、直径方向において対向する2つの貫通孔がこれを通って延びる無端環状シールリングは、内部円周面のセラミック材料の露出部分によって特徴付けられる。
【0009】
本発明は、2つの構成要素の性質を、エラストマー材料をその復元力特性のために、セラミック材料を金属材料およびセラミック材料で被覆された金属材料に対するその優れた摩擦係数のために、組み合わせる。
【0010】
弁の本体を取り囲むエラストマー部分は、したがって、複数の機能を果たす:
・これは、本体を、搬送すべき流体との接触から完全に隔離させる;
・これは、セラミック構成要素を支持し、搬送すべき流体に対するシーリングを保証するのに十分な接触力を生み出すために必要とされる復元力を提供する;
・これは、シャフトの通路に対するシーリング、および管のフランジの面に対する弁のシーリングを保証し、これが外部漏れを防止する。
【0011】
シールリングの最も低い摩擦は、セラミック部分が内部円周面の中心の輪(centre circle )にわたって延び、したがって対称性を提供するときに得られる。セラミック部分の幅は、好ましくは、内部円周面の幅の五分の一(1/5)から五分の四(4/5)までに相当する。
【0012】
1つの実施形態に従って、セラミック部分は、エラストマー部分に提供された開口部(apertures)に保持されるスタッドを含み、好ましくは、スタッドは2つの貫通孔の間で角度に関して規則的に分布しており、同時に、貫通孔はそれら自身のスタッドによって取り囲まれている。
【0013】
好ましくは、エラストマー部分は、セラミックスタッド間のシーリングを保証するように、内部円周面において同一平面上にあるかまたはセラミック部分を越えて延び、これは、エッジにおいても、シーリングを保証する。
【0014】
スタッドの円周長さは、好ましくは、2つの連続したスタッド間の円周距離の十二分の一(1/12)から三十六分の一(1/36)に相当する。2つのスタッド間の円周距離 は、好ましくは、リングの内部円周距離の二十四分の一(1/24)から百二十分の一(1/120)に相当する。
【0015】
様々な方法を用いて本発明に従うシールリングを製造することができ、そのうちの下述する1つの方法は、スタッドを接続するエラストマー部分における被覆された復元力のあるワッシャの存在を含む。
【0016】
別の実施形態に従って、スタッドは、エラストマー部分に封鎖される(blocked)蟻継ぎ(dovetail)状のラグ(lug)を有する。
【0017】
エラストマー部分に封鎖されるセラミックスタッドは、さらに、加硫処理され、またはエラストマー部分に接着接合されてもよい。
【0018】
また、本発明は、本発明に従うリングのバタフライ弁における使用に関する。
【0019】
添付図面に、純粋に例として以下の図面を与える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】現在の先行技術に従う弁の分解斜視図である。
【図2】本発明に従うシールリングの斜視図である。
【図3】本発明に従うリングの円周中心面に沿った断面図である。
【図4】図3のC−C線に沿った断面図である。
【図5】図3のD−D線に沿った断面図である。
【図6】本発明に従ったシールリングの実施形態の部分斜視図である。
【図7】図6のリングに使用されるスタッドの斜視図である。
【図8】図6のリングに使用されるスタッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
リングは、3種類の構成要素から構成されている:
・エラストマー材料の構成要素6、
・線形断面を有するセラミックスタッド7、
・軸の通路のためのセラミックスタッド8。
【0022】
スタッド8は、直径方向において対向する軸通路を取り囲む。スタッド7は、10度から30度の角度セクターに対応する長さを有する。各スタッドは、隣接するスタッドから3度から15度の角度セクターに対応する距離を置いている。
【0023】
2つの製造方法を用いて本発明に従うシールリングを製造することができる。
方法No.1:射出または圧縮による外側成形(overmoulding)
射出の前に、全てのセラミック構成要素は、モールドの内側に配置され、およびリングと共に成形されたままとなる復元力のあるバネタイプのワッシャによって適所に機械的に固定される。
【0024】
好ましい製造方法は、エラストマー材料の圧縮または射出による成形であり、これは、リングを、得るべき構成要素の最終的な形状にモールド内で成形させる。この成形は2つの材料から形成される複合構成要素を形成するスタッドを取り囲み、1つの材料のうちの1つは締め付けを保証するために復元力があり、および他の1つはシーリングを保証するために、固く、および良好な表面状態を有する。
方法No.2
第2の方法は、エラストマーリングをセラミックスタッド7、8を収容するために提供される開口部10を備える特定の形状の構成要素に成形するために提供される。この方法において、スタッド7、8は、それらが成形された後にリング内に埋め込まれており、およびスタッドのラグ11の蟻継ぎ形状によってエラストマー材料中に封鎖されている。
【0025】
蟻継ぎ形状による機械的な封鎖に加えて、セラミックスタッドは、数十分間にわたって温度を維持した状態で構成要素の組立品を固定的に接合させる加硫溶液によって、エラストマーに接着接合されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部円周面のセラミック材料の露出部分(7)によって特徴付けられる、直径方向において対向する2つの貫通孔(9)がこれを通って延びる、エラストマー材料の部分(6)を有する無端環状シールリング。
【請求項2】
セラミック部分(7)は、内部円周面の中心の輪にわたって延びることを特徴とする請求項1に記載のリング。
【請求項3】
セラミック部分は、エラストマー部分に提供された開口部に維持されるスタッド(7、8)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のリング。
【請求項4】
スタッド(7)は、貫通孔(9)間に、角度に関して規則的に分布していることを特徴とする請求項3に記載のリング。
【請求項5】
貫通孔(9)は、セラミックスタッド(8)によって取り囲まれていることを特徴とする請求項3または4に記載のリング。
【請求項6】
エラストマー部分(6)は、内部円周面において、同一平面上にあるかまたはセラミック部分(7、8)を越えて延びていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のリング。
【請求項7】
スタッドの円周長さは、リングの内部円周距離の1/12から1/36に相当することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のリング。
【請求項8】
2つのスタッド間の円周距離は、リングの内部円周距離の1/24から1/120に相当することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のリング。
【請求項9】
スタッド(7、8)を接続するエラストマー部分(6)内の、被覆された復元力のあるワッシャ(10)によって特徴付けられる請求項3〜7のいずれか一項に記載のリング。
【請求項10】
その蟻継ぎ状のラグ(11)がエラストマー部分(6)に封鎖されているスタッドによって特徴付けられる請求項3〜7のいずれか一項に記載のリング。
【請求項11】
バタフライ弁内における請求項1〜10のいずれか一項に記載のリングの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521448(P2013−521448A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555459(P2012−555459)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000784
【国際公開番号】WO2011/107668
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(597106035)
【Fターム(参考)】