説明

エレベータ遠隔故障診断システム、一次故障診断装置および二次故障診断装置

【課題】適切でない診断パラメータの変更による異常な故障検出を防ぐ。
【解決手段】収集された各機器の音データを蓄積するデータ蓄積手段106と、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを記憶する診断方法記憶手段110と、記憶された診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、収集された各機器の音データに基づいて一次診断を行い、機器の故障を検出した場合に一次診断結果を示すデータを二次故障診断装置103に送信する一次診断手段107と、一次診断手段107により送信されたデータに基づいて二次診断を行った二次故障診断装置103から受信した新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、蓄積された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合に当該診断パラメータまたは診断プログラムを診断方法記憶手段110に記憶させる再診断手段111とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備えたエレベータ遠隔故障診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベータ故障を遠隔診断する従来のエレベータ遠隔故障診断システムでは、まず、診断対象であるエレベータに設置された一次故障診断装置が、エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無の一次診断を行っている。ここで、一次故障診断装置が機器の異常を検出した場合には、遠隔のセンタ側に一次診断結果と共に収集したデータを通信回線を経由して伝送し、センタ側に設置された二次故障診断装置が受信したデータを用いて二次診断を行うことによって、高精度な故障診断を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来のエレベータ遠隔故障診断システムとして、一次故障診断装置が収集したデータを使用して、二次故障診断装置が一次診断用の診断パラメータ(異常を検出するしきい値)を設定することにより、一次故障診断装置の精度を向上させる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−40585号公報
【特許文献2】特開2004−277174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のエレベータ遠隔故障診断システムでは、一次故障診断装置が二次故障診断装置から新たな診断パラメータを受信した場合に、一次故障診断装置に記憶されている診断パラメータが無条件で変更される。そのため、この新たな診断パラメータの値が適切でない場合に、故障を頻繁に検出するようになったり、故障を検出できなくなる恐れがあるという課題があった。
【0006】
また、従来のエレベータ遠隔故障診断システムは、遠隔の二次故障診断装置において一次診断用の診断パラメータを生成する際に、一次診断で使用するデータの経年変化は考慮されない。そのため、診断パラメータを変更した後に、経年変化の範囲内であっても故障として検出される場合があり、診断精度が低下するという課題があった。
【0007】
さらに、従来のエレベータ遠隔故障診断システムは、一次故障診断装置が収集したデータが音声や画像データのような大量のデータである場合にも、二次故障診断装置の要求に応じて一次診断結果と共に収集したデータを通信回線を経由して伝送する。そのため、音声や画像データを伝送する場合には、伝送時間や通信コストが増大するという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、適切でない診断パラメータの変更による異常な故障検出を防ぐことができるエレベータ遠隔故障診断システム、一次故障診断装置および二次故障診断装置を提供することを目的としている。
【0009】
また、長期間にわたって高い診断精度を維持することができるエレベータ遠隔故障診断システム、一次故障診断装置および二次故障診断装置を提供することを目的としている。
さらに、伝送時間と通信コストを削減しつつ高い診断精度を維持することができるエレベータ遠隔故障診断システム、一次故障診断装置および二次故障診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るエレベータ遠隔故障診断システムは、エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、一次故障診断装置から送信された音データに基づいて各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備え、一次故障診断装置は、収集された各機器の音データを蓄積するデータ蓄積手段と、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを記憶する診断方法記憶手段と、診断方法記憶手段に記憶された診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、収集された各機器の音データに基づいて一次診断を行い機器の故障を検出した場合に一次診断結果を示すデータを二次故障診断装置に送信する一次診断手段と、一次診断手段により送信されたデータに基づいて二次診断を行った二次故障診断装置から受信した新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、データ蓄積手段に蓄積された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合に当該診断パラメータまたは診断プログラムを診断方法記憶手段に記憶させる再診断手段とを備えたものである。
【0011】
また、この発明に係るエレベータ遠隔故障診断システムは、エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、一次故障診断装置から送信された音データに基づいて各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備え、二次故障診断装置は、一次診断および二次診断に基づいて、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを変更するかを判定する診断方法変更判定手段と、診断方法変更判定手段により診断パラメータまたは診断プログラムを変更すると判定された場合に、一次故障診断装置から送信された音データに基づいて、経年変化量を反映した新たな診断パラメータの生成、または診断プログラムの選定を行い、一次故障診断装置に送信する診断方法変更手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、上記のように構成したので、一次故障診断装置が二次故障診断装置から新たな診断パラメータまたは診断プログラムを受信した場合に、この診断パラメータ等を用いて再度一次診断を行い、正常性を確認することで、適切でない診断パラメータ等の変更による異常な故障検出を防ぐことができる。
【0013】
また、この発明によれば、上記のように構成したので、二次故障診断装置が新たな診断パラメータを生成する際に、経年変化量を推定して行うことで、長期間にわたって高い診断精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエレベータ遠隔故障診断システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置による一次診断動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1における通信部が生成する一次診断通知データのデータフォーマットを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置による一次診断通知データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1における通信部が生成する二次診断要求データのデータフォーマットを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置による二次診断要求データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1における通信部が生成する二次診断用音データのデータフォーマットを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置による二次診断用音データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1における通信部が生成する診断パラメータ更新データのデータフォーマットを示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置による診断パラメータ更新データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態1における通信部が生成する再診断通知データのデータフォーマットを示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置による再診断通知データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態2に係るエレベータ遠隔故障診断システムを示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態2に係る一次故障診断装置による診断パラメータ更新データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態2における携帯診断保守装置による診断パラメータ更新データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態2に係る一次故障診断装置による再診断通知データを受信した際の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエレベータ遠隔故障診断システムを示す構成図である。
エレベータ遠隔故障診断システムは、図1に示すように、一次故障診断装置101、通信回線102、二次故障診断装置103および携帯診断保守装置104から構成される。
【0016】
一次故障診断装置101は、故障診断の対象であるエレベータと共に設置され、エレベータのかごを昇降させる各機器の故障を一次診断する機器である。この一次故障診断装置101は、図1に示すように、データ収集部105、データ蓄積部(データ蓄積手段)106、一次診断部(一次診断手段)107、通信部108、二次診断用音データ作成部109、診断パラメータ記憶部(診断方法記憶手段)110および再診断部(再診断手段)111から構成される。
【0017】
データ収集部105は、エレベータのかごの外部に取り付けられたマイクなどから、エレベータのかごを昇降させる各機器の動作音である音データを収集するものである。このデータ収集部105により収集された音データはデータ蓄積部106および一次診断部107に送信される。
【0018】
データ蓄積部106は、データ収集部105により収集された音データを蓄積するものである。このデータ蓄積部106に蓄積された音データは、一次故障診断装置101の各部により抽出される。また、一次故障診断装置101に接続された携帯診断保守装置104によっても抽出される。
【0019】
一次診断部107は、データ収集部105により収集された音データに基づいて、診断パラメータ記憶部110に記憶された診断パラメータを用いて、エレベータの各機器の故障有無を一次診断するものである。また、一次診断部107は、エレベータの機器の故障を検出した場合には、その際使用した音データを分析して故障要因を特定する。
この一次診断部107により故障ありと診断された場合には、その一次診断結果および故障要因を示す情報が通信部108に送信される。
【0020】
通信部108は、一次故障診断装置101の各部からの情報に基づいて二次故障診断装置103に送信するためのデータを生成して通信回線102を経由して二次故障診断装置103に送信し、二次故障診断装置103から通信回線102を経由して受信したデータを一次故障診断装置101の各部に送信するものである。
【0021】
二次診断用音データ作成部109は、二次故障診断装置103から音データの取得要求を含む二次診断要求データを受信した場合に、この二次診断要求データの内容にしたがって、データ蓄積部106に蓄積された該当する音データを取得するものである。この二次診断用音データ作成部109により取得された音データは通信部108に送信される。
【0022】
診断パラメータ記憶部110は、予め設定した診断パラメータを記憶するものである。この診断パラメータ記憶部110は、再診断部111から新たな診断パラメータを受信した場合には、この新たな診断パラメータを記憶する。この診断パラメータ記憶部110に記憶された診断パラメータは一次診断部107により抽出される。
【0023】
再診断部111は、二次故障診断装置103から新たな診断パラメータを含む診断パラメータ更新データを受信した場合に、この新たな診断パラメータを用いて、データ蓄積部106に蓄積された全ての音データに基づいて再度一次診断を行うものである。
また、再診断部111は、再度実施した一次診断結果に基づいて、新たな診断パラメータが正常であるか判定する。ここで、再診断部111は、新たな診断パラメータが正常であると判定した場合にはこの診断パラメータを診断パラメータ記憶部110に記憶させ、新たな診断パラメータが正常ではないと判定した場合にはこの診断パラメータを廃棄する。
この再診断部111により再度実施された一次診断結果および診断パラメータの判定結果を含む情報は通信部108に送信される。
【0024】
また、通信回線102は、一次故障診断装置101の通信部108からのデータを二次故障診断装置103の通信部112に送信し、二次故障診断装置103の通信部112からのデータを一次故障診断装置101の通信部108に送信するものである。
【0025】
また、二次故障診断装置103は、遠隔のセンタに設置され、エレベータの故障有無を二次診断する機器である。なお、二次故障診断装置103は、複数の一次故障診断装置101と通信回線102を経由して接続されている。
この二次故障診断装置103は、図1に示すように、通信部112、診断用データ判定部(診断方法変更判定手段)113、伝送帯域判定部(伝送帯域判定手段)114、データ蓄積部115、二次診断部116、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部(診断方法変更手段)118から構成される。
【0026】
通信部112は、二次故障診断装置103の各部からの情報に基づいて一次故障診断装置101に送信するためのデータを生成して通信回線102を経由して一次故障診断装置101に送信し、一次故障診断装置101から通信回線102を経由して受信したデータを二次故障診断装置103の各部に送信するものである。
【0027】
診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101から一次診断結果および故障要因を含む一次診断通知データを受信した場合に、その一次診断通知データの内容に基づいて、二次診断の必要性を判定するものである。ここで、診断用データ判定部113は、二次診断が必要と判定した場合には、通信部112に二次診断用音データの送信を要求する信号を出力する。
また、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101から二次診断用音データを受信した場合には、二次診断部116に二次診断の実施を要求する信号を出力する。
【0028】
また、診断用データ判定部113は、伝送帯域判定部114から伝送データ量の抑制を指示する信号を入力した場合、これまでに受信した一次診断通知データの故障要因を分析して、音データの取得量を設定して一次故障診断装置101に対して伝送データ量の抑制を指示する信号を通信部112に出力する。
【0029】
また、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101からの一次診断結果と二次診断部116による二次診断結果とから一次故障診断装置101の診断パラメータの変更が必要であるかを判定する。ここで、診断用データ判定部113は、診断パラメータの変更が必要であると判定した場合には、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118に新たな診断パラメータの生成を要求する信号を出力する。
また、診断用データ判定部113は、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118から新たな診断パラメータを受信した場合には、通信部112に新たな診断パラメータの送信を要求する信号を出力する。
【0030】
また、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101から一次診断結果および診断パラメータ判定結果を含む再診断通知データを受信した場合、この診断パラメータ判定結果に格納されているデータが無効を示していると判定した場合、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118に診断パラメータを再度生成するように要求する信号を出力する。
【0031】
伝送帯域判定部114は、一次故障診断装置101から一次診断通知データを受信した場合に、その一次診断通知データの内容から伝送路帯域の状態を判定するものである。ここで、伝送帯域判定部114は、伝送量の削減が必要と判定した場合には、診断用データ判定部113に対して伝送データ量の抑制を指示する信号を出力する。
【0032】
データ蓄積部115は、一次故障診断装置101から受信した音データおよび携帯診断保守装置104から受信した音データを蓄積するものである。このデータ蓄積部115に蓄積された音データは、二次診断部116、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118により抽出される。
【0033】
二次診断部116は、診断用データ判定部113から二次診断の実施を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて、エレベータの各機器の故障有無を高精度に二次診断するものである。この二次診断部116による二次診断結果を示す情報は診断用データ判定部113およびデータ蓄積部115に送信される。
【0034】
診断パラメータ生成部117は、診断用データ判定部113から新たな診断パラメータの生成を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて一次故障診断装置101の診断パラメータを新たに生成するものである。この診断パラメータ生成部117により生成された新たな診断パラメータは診断用データ判定部113に送信される。
【0035】
経年変化パラメータ生成部118は、診断用データ判定部113から新たな診断パラメータの生成を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて経年変化を推定して、経年変化量を反映した診断パラメータを生成するものである。この経年変化パラメータ生成部118により生成された診断パラメータは診断用データ判定部113に送信される。
【0036】
また、携帯診断保守装置104は、エレベータの保守点検を行う際に作業者が携帯する機器である。この携帯診断保守装置104は、図1に示すように、通信部119およびデータ蓄積部(データ保持手段)120から構成される。
【0037】
通信部119は、一次故障診断装置101の通信部108に接続した際に一次故障診断装置101からのデータを受信し、また、二次故障診断装置103の通信部112に接続した際に携帯診断保守装置104からのデータを送信するものである。
【0038】
データ蓄積部120は、通信部119が一次故障診断装置101に接続された場合にデータ蓄積部106に蓄積された音データを蓄積するものである。このデータ蓄積部120に蓄積された音データは、通信部119が二次故障診断装置103に接続された場合に抽出される
【0039】
なお、この携帯診断保守装置104は、数ヶ月〜数年の期間ごとに実施するエレベータの点検作業を行う際に作業者が持参し、一次故障診断装置101と接続(例えば有線/無線LAN)して一次故障診断装置101のデータ蓄積部106に蓄積されている全てのデータ(数ヶ月〜数年分の音データなど)をデータ蓄積部120へ移動させる。
この携帯診断保守装置104は複数箇所のエレベータの点検に対応し、点検する際に複数の一次故障診断装置101からデータを移動可能とする。
【0040】
さらに、携帯診断保守装置104は、エレベータの点検終了後に遠隔のセンタ側に戻って二次故障診断装置103と接続(例えば有線/無線LAN)し、データ蓄積部120に蓄積されている全てのデータ(複数エレベータの数ヶ月〜数年分の音データなど)を二次故障診断装置103のデータ蓄積部115へ移動する。これにより、二次故障診断装置103には数ヶ月〜1年ごとに大規模なデータの追加が行われる。
【0041】
次に、上記のように構成されたエレベータ遠隔故障診断システムの動作について説明する。
まず、一次故障診断装置101による一次診断動作について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置101による一次診断動作を示すフローチャートである。
一次故障診断装置101による一次診断動作は、図2に示すように、まず、データ収集部105は、エレベータが昇降した際に、かごの外側に取り付けられたマイクなどからエレベータの各機器の動作音である音データを収集する(ステップST21)。
このデータ収集部105により収集された音データはデータ蓄積部106に蓄積され、また、一次診断部107に送信される。
【0042】
次いで、一次診断部107は、診断パラメータ記憶部110に記憶された診断パラメータを用いて、データ収集部105により収集された音データに基づいてエレベータの各機器の故障有無を一次診断して、故障があるかを判定する(ステップST22)。
ここで、一次診断部107は、データ収集部105により収集された音データに対して音圧や周波数の分析などを行い、診断パラメータ記憶部110に記憶されている診断パラメータの値と比較する。例えば、診断パラメータ記憶部110に処理パラメータとして音圧のしきい値を記憶しておき、収集した音データの音圧の方がしきい値よりも大きい場合に故障ありと診断する。
【0043】
このステップST22において、一次診断部107がエレベータの機器に故障はないと判定した場合には、シーケンスは終了する。
一方、ステップST22において、一次診断部107は、エレベータの機器に故障があると判定した場合には、次いで、その際使用した音データを分析して故障要因を特定する(ステップST23)。
ここで、一次診断部107は、故障ありと診断した音データを分析して、例えば、しきい値を超える音圧の音データが衝撃音のような短時間で瞬間的に発生するものか、走行音のような長時間連続で発生するものかを判定することによって故障要因を特定する。
この一次診断部107により故障ありと判定された場合には、その一次診断結果および故障要因を示す情報が通信部108に送信される。
【0044】
次いで、通信部108は、一次診断部107から一次診断結果および故障要因を示す情報を受信した場合に、ただちに一次診断結果および故障要因を含む一次診断通知データを生成して二次故障診断装置103に送信する(ステップST24)。
【0045】
図3はこの発明の実施の形態1における通信部108が生成する一次診断通知データ121のデータフォーマットを示す図である。
一次診断通知データ121は、図3に示すように、データ識別番号122、診断結果123、故障要因124、診断情報125および伝送データ126から構成されている。
【0046】
このデータ識別番号122には、送信するデータが一次診断通知データ121であることを示すコード(例えば“1”)が格納され、診断結果123には一次診断結果を示すコード(例えば故障ありと診断した場合は“1”)が格納されている。また、故障要因124には故障ありと診断した音データの特徴を示すコード(例えば短時間で発生した場合は“0”、長時間で発生した場合は“1”)が格納され、診断情報125には一次診断を行った条件(例えば音データの測定時刻、エレベータのかごの動作方向、かごの位置、かごの移動速度、音圧などの検査項目およびしきい値)が格納され、伝送データ126には音データが格納されている。
【0047】
なお、通信部108は、通信回線102が高コストで伝送帯域が狭い場合(例えば携帯電話回線)には、短時間で伝送できるようにするため一次診通知データ121に伝送データ126を含まないようにする。
【0048】
次に、二次故障診断装置103による一次診断通知データ121を受信した際の動作について説明する。
図4はこの発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置103による一次診断通知データ121を受信した際の動作を示すフローチャートである。
二次故障診断装置103による一次診断通知データ121を受信した際の動作は、図4に示すように、まず、伝送帯域判定部114は、一次故障診断装置101から通信部112を経由して一次診断通知データ121を受信した場合に、その一次診断通知データ121に基づく伝送路帯域状態から伝送量の削減が必要であるかを判定する(ステップST41)。
例えば、一次診断通知データ121に伝送データ126が含まれていない場合には伝送量の削減が必要であると判定する。
【0049】
このステップST41において、伝送帯域判定部114が伝送量の削減は必要ないと判定した場合には、シーケンスはステップST43に進む。
一方、ステップST41において、伝送帯域判定部114が伝送量の削減が必要であると判定した場合には、次いで、診断用データ判定部113は、伝送帯域判定部114による伝送データ量の抑制指示に従い、これまでに受信した一次診断通知データ121の故障要因124を分析して、音データの取得量を設定して一次故障診断装置101に対して伝送データ量の抑制を指示する信号を通信部112に出力する(ステップST42)。
例えば、診断用データ判定部113は、所定の期間内に受信した一次診断通知データ121の故障要因124を検査して、短時間で発生した故障が多いと判定した場合は音データの取得量を少なく設定し、長時間で発生した故障が多いと判定した場合は音データの取得量を多く設定する。
【0050】
次いで、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101から一次診断通知データ121を受信した場合に、その一次診断通知データ121の内容に基づいて、二次診断が必要であるかを判定する(ステップST43)。
例えば、診断用データ判定部113は、所定の期間内に一次診断通知データ121を一定の回数以上受信した場合には二次診断が必要であると判定する。
【0051】
このステップST43において、診断用データ判定部113が二次診断は必要ではないと判定した場合には、シーケンスは終了する。
一方、ステップST43において、診断用データ判定部113が二次診断は必要であると判定した場合には、次いで、通信部112は、診断用データ判定部113による二次診断用音データの送信要求に従い、音データの取得要求を含む二次診断要求データを生成して一次故障診断装置101に送信する(ステップST44)。
【0052】
図5はこの発明の実施の形態1における通信部112が生成する二次診断要求データ127のデータフォーマットを示す図である。
二次診断要求データ127は、図5に示すように、データ識別番号128、取得データ情報129および取得データ量130から構成される。
このデータ識別番号128には送信するデータが二次診断要求データ127であることを示すコード(例えば“2”)が格納され、取得データ情報129には送信を要求する音データの情報(例えば送信する音データの開始時刻など)が格納され、取得データ量130には診断用データ判定部113により設定された音データの取得量が格納される。
【0053】
次に、一次故障診断装置101による二次診断要求データ127を受信した際の動作について説明する。
図6はこの発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置101による二次診断要求データ127を受信した際の動作を示すフローチャートである。
一次故障診断装置101の二次診断通知データ127を受信した際の動作は、図6に示すように、まず、二次診断用音データ作成部109は、二次故障診断装置103から二次診断要求データ127を受信した場合に、この二次診断要求データ127の内容に基づいて、データ蓄積部106に蓄積された音データの中から該当する音データを取得する(ステップST61)。
例えば、二次診断用音データ作成部109は、二次診断要求データ127の取得データ情報129に格納されている開始時刻から取得データ量130に格納されている音データの取得量の範囲の音データをデータ蓄積部106から取り出す。
この二次診断用音データ作成部109により取得された音データは通信部108に送信される。
【0054】
次いで、通信部108は、二次診断用音データ作成部109から音データを受信した場合に、音データを含む二次診断用音データを生成して二次故障診断装置103に送信する(ステップST62)。
【0055】
図7はこの発明の実施の形態1における通信部112が生成する二次診断用音データ131のデータフォーマットを示す図である。
二次診断用音データ131は、図7に示すように、データ識別番号132、音データ情報133、音データ量134および音データ135から構成される。
このデータ識別番号132には送信するデータが二次診断用音データ131であることを示すコード(例えば“3”)が格納され、音データ情報133には送信する音データの情報(例えば送信する音データの開始時刻など)が格納され、音データ量134には送信する音データ135のデータ量が格納される。
【0056】
次に、二次故障診断装置103による二次診断用音データ131を受信した際の動作について説明する。
図8はこの発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置103による二次診断用音データ131を受信した際の動作を示すフローチャートである。
二次故障診断装置103の二次診断用音データ131を受信した際の動作は、図8に示すように、まず、データ蓄積部115は、一次故障診断装置101から二次診断用音データ131を受信した場合に、この二次診断用音データ131に含まれる音データ情報133の内容から内部バッファの格納場所を決定して、音データ135を内部バッファに蓄積する(ステップST81)。
【0057】
次いで、二次診断部116は、二次診断用音データ131を受信した診断用データ判定部113から二次診断の実施を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて、エレベータの各機器の故障有無を二次診断する(ステップST82)。
例えば、二次故障診断装置103のデータ蓄積部115のデータ蓄積容量は一次故障診断装置101のデータ蓄積部106の蓄積容量よりも大幅に大きく、さらに二次故障診断装置103のデータ蓄積部115は複数の一次故障診断装置101が収集した音データを蓄積しているため、蓄積された大量のデータを用いて過去に故障ありと診断した音データとの類似性を比較することにより、故障診断の精度を向上させて二次診断を行う。
この二次診断部116による二次診断結果を示す情報は診断用データ判定部113およびデータ蓄積部115に送信される。
【0058】
次いで、データ蓄積部115は、二次診断部116から受信した二次診断結果を診断対象の音データに対応づけて蓄積する(ステップST83)。
次いで、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101の一次診断結果と二次診断部116による二次診断結果に基づいて、一次故障診断装置101の診断パラメータの変更が必要であるかを判定する(ステップST84)。
例えば、一次診断結果が故障ありなのに対して二次診断結果が故障なしである場合や、複数の一次故障診断装置101の中で故障ありの一次診断結果が極端に多い一次故障診断装置101が存在した場合、一次故障診断装置101の診断パラメータの変更が必要であると判定する。
【0059】
このステップST84において、診断用データ判定部113が診断パラメータの変更は必要ないと判定した場合には、シーケンスは終了する。
一方、ステップST84において、診断用データ判定部113が診断パラメータの変更は必要であると判定した場合には、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118は、診断用データ判定部113による新たな診断パラメータの生成要求に従い、新たな診断パラメータを生成する(ステップST85)。
【0060】
具体的には、診断パラメータ生成部117は、診断用データ判定部113から新たな診断パラメータの生成を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて一次故障診断装置101の診断パラメータを新たに生成する。
【0061】
例えば、一次診断では音圧の異常により故障ありと診断され、二次診断では音圧は正常と診断された場合、一次診断の音圧の判定に使用したしきい値が小さすぎると判定して、しきい値をより大きな値に変更する。そしてデータ蓄積部115に蓄積されている音データの音圧および二次診断結果と比較することにより、変更後のしきい値と二次診断結果が一致することを確認した後、変更後のしきい値を新たな診断パラメータとして診断用データ判定部113へ送信する。
なお、診断パラメータ生成部117では、経年変化に依存しない衝撃音のような短時間で瞬間的に発生する音データに関する診断パラメータを生成する。
【0062】
一方、経年変化パラメータ生成部118は、診断用データ判定部113から新たな診断パラメータの生成を要求する信号を入力した場合に、データ蓄積部115に蓄積されている音データに基づいて経年変化を推定して、経年変化量を反映した診断パラメータを生成する。
【0063】
例えば、走行音やモータ音のような長時間連続して発生する音はエレベータの使用頻度や使用期間に応じて徐々に音が大きくなる傾向があるため、データ蓄積部115に蓄積されている過去の音データを分析して走行音の音圧情報を抽出し、その音圧の増加傾向を算出することにより1年後の音圧を推定し、推定結果に基づいて算出した音圧のしきい値を新たな診断パラメータとして診断用データ判定部113へ送信する。
【0064】
次いで、通信部112は、診断用データ判定部113から新たな診断パラメータの送信を要求する信号を入力した場合、新たな診断パラメータを含む診断パラメータ更新データを生成して一次故障診断装置101に送信する(ステップST86)。
【0065】
図9はこの発明の実施の形態1における通信部112が生成する診断パラメータ更新データ136のデータフォーマットを示す図である。
診断パラメータ更新データ136は、図9に示すように、データ識別番号137および診断パラメータ138から構成される。
このデータ識別番号137には送信するデータが診断パラメータ更新データ136であることを示すコード(例えば“4”)が格納され、診断パラメータ138には新たな診断パラメータ(例えば音圧のしきい値など)が格納される。
【0066】
次に、一次故障診断装置101による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作について説明する。
図10はこの発明の実施の形態1に係る一次故障診断装置101による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作を示すフローチャートである。
一次故障診断装置101による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作は、図10に示すように、まず、再診断部111は、二次故障診断装置103から新たな診断パラメータを含む診断パラメータ更新データ136を受信した場合に、この新たな診断パラメータを用いてデータ蓄積部106に蓄積された全ての音データに基づいて再度一次診断を実施する(ステップST101)。
【0067】
次いで、再診断部111は、再度実施した一次診断結果から、新たな診断パラメータが正常であるかを判定する(ステップST102)。
このステップST102において、再診断部111は、新たな診断パラメータが正常であると判定した場合には、この診断パラメータを診断パラメータ記憶部110に記憶する(ステップST103)。
【0068】
一方、このステップST102において、再診断部111は、再度実施した一次診断結果により故障ありと診断された箇所が所定の値よりも多ければ、新規パラメータは正常ではないと判定して診断パラメータを廃棄する(ステップST104)。
この再診断部111により再度実施された一次診断結果および診断パラメータの判定結果を示す情報は通信部108に送信される。
【0069】
次いで、通信部108は、再診断部111から一次診断結果および診断パラメータの判定結果を示す情報を受信した場合に、一次診断結果と診断パラメータの判定結果を含む再診断通知データを生成して二次故障診断装置103に送信する(ステップST105)。
【0070】
図11はこの発明の実施の形態1における通信部108が生成する再診断通知データ139のデータフォーマットを示す図である。
再診断通知データ139は、図11に示すように、データ識別番号140、診断パラメータ判定結果141、診断数142および複数の一次診断通知データ121から構成される。
このデータ識別番号140には伝送データが再診断通知データ139であることを示すコード(例えば“5”)が格納され、診断パラメータ判定結果141には再診断部111の診断パラメータの判定結果が格納され、診断数142には後続の一次診断通知データ121の数が格納され、一次診断通知データ121には再度実施した一次診断によって故障ありと診断した結果が格納される。
【0071】
次に、二次故障診断装置103による再診断通知データ139を受信した際の動作について説明する。
図12はこの発明の実施の形態1に係る二次故障診断装置103による再診断通知データ139を受信した際の動作を示すフローチャートである。
二次故障診断装置103による再診断通知データ139を受信した際の動作は、図12に示すように、まず、診断用データ判定部113は、一次故障診断装置101から受信した再診断通知データ139に含まれる診断パラメータ判定結果141に格納されているデータの有効・無効状態に基づいて、新たな診断パラメータが正常であるかを判定する(ステップST121)。
【0072】
このステップST121において、診断用データ判定部113は、再診断通知データ139に含まれる診断パラメータ判定結果141に格納されているデータが有効であり、新たな診断パラメータが正常であると判定した場合には、シーケンスは終了する。
一方、ステップST121において、診断用データ判定部113は、再診断通知データ139に含まれる診断パラメータ判定結果141に格納されているデータが無効であり、新たな診断パラメータは正常ではないと判定した場合には、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118に診断パラメータを再度生成するように要求する信号を出力する(ステップST122)。
【0073】
以上のように、この実施の形態1によれば、一次故障診断装置101の診断パラメータを変更する場合において、再診断部111によって、新たな診断パラメータを用いて直近の音データに基づいて一次診断を再度実施することにより、新たな診断パラメータが最新の音データに対して適切ではない場合に新たな診断パラメータを廃棄することが可能になるため、異常な故障検出を防ぐことができる。
【0074】
さらに、この実施の形態1によれば、二次故障診断装置103の経年変化パラメータ生成部118により、エレベータの使用頻度や使用期間に応じて徐々に音が大きくなる場合に経年変化による増加傾向を算出し、1年後の状態を推定して診断パラメータを算出することにより、診断パラメータの変更後は経年変化の範囲内であれば正常と判定できるようになるため、診断精度が向上する。
【0075】
さらに、この実施の形態1によれば、二次故障診断装置103の伝送帯域判定部114および診断用データ判定部113によって、通信回線102の伝送帯域に応じて一次故障診断装置101から取得する音データ量を変更することにより、通信コストを抑制しつつ即時性の高い故障診断ができる。
【0076】
さらに、この実施の形態1によれば、携帯診断保守装置104により、二次故障診断装置103が大量の収集データを通信回線102を使用することなく取得することができるため、通信コストを抑制しつつ高精度な二次診断ができる。
【0077】
また、この実施の形態1では、二次診断用音データ131の音データ135のデータ量を削減する動作のみ示しているが、二次診断用音データ131の送信は伝送速度を低下して低優先度で送信することにより、通信回線102の寡占を防ぎ、他の信号が伝送できるようにしてもよい。
例えば二次診断用音データ131の伝送中に新たな一次診断通知データ121の送信が必要な場合は、一次診断通知データ121の送信を優先することにより、診断結果の通知の即時性を維持することができる。
【0078】
さらに、この実施の形態1では、二次診断の結果に応じて、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118で新たな診断パラメータを生成しているが、経年変化パラメータ生成部118は携帯診断保守装置104によりデータ追加が行われた場合のみ新たな診断パラメータを生成するようにしてもよい。このように制御することにより、経年変化の推定精度を向上させ、新たな診断パラメータの精度を向上できる。
【0079】
さらに、この実施の形態1では、二次診断や新たな診断パラメータ生成を行う際に複数の一次故障診断装置101から収集した音データを一律に参照する動作を示しているが、昇降機の運用開始時間や使用頻度を基準に収集した音データを整列することにより、経年変化の算出精度の向上を図るようにしてもよい。例えば、使用頻度が同じで一年前から稼働している運用期間が長い別のエレベータの音データが存在する場合は、診断対象の運用期間の短いエレベータの一年後の音データと見なして経年変化の算出に使用することにより、新たな診断パラメータの精度を向上できる。
【0080】
さらに、この実施の形態1では、一次故障診断装置101が新たな診断パラメータを正常と判定した場合でも再診断通知データ139を送信するようにしているが、新たな診断パラメータを異常と判定した場合のみ再診断通知データ139を送信するようにしてもよい。このように制御することにより、伝送データ量を削減して通信コストを抑制できる。
【0081】
さらに、この実施の形態1では、一次故障診断装置101の再診断部111がデータ蓄積部106に蓄積されている全ての音データに基づいて一次診断を再度行っているが、二次故障診断装置103に送信済みか否かをデータ蓄積部106に記録するようにして、送信済みの音データは再診断部111による一次診断の対象外とするようにしてもよい。送信済みの音データは二次故障診断装置103の診断パラメータの生成に使用されるため、再診断部111による一次診断の対象外にすることが可能である。このように制御することにより、再診断部111による一次診断の処理時間を短縮でき、即時性の高い診断パラメータの変更が可能になる。
【0082】
さらに、この実施の形態1では、経年変化パラメータ生成部118において、1年後の状態を推定して診断パラメータを算出しているが、数ヶ月後の状態や数年後の状態を推定して診断パラメータを算出するようにしてもよい。このように制御することで、診断パラメータの変更後は経年変化の範囲内にあれば正常と判定できるようになるため、診断精度が向上する。
【0083】
さらに、この実施の形態1では、診断パラメータとして音圧を使用しているが、音圧以外の情報を診断パラメータとして使用しても同様の効果が得られる。
さらに、この実施の形態1では、データ収集部105によって音データを収集しているが、音データ以外の情報(振動など)を収集して故障診断を行うようにしても同様の効果が得られる。
【0084】
さらに、この実施の形態1では、データ収集部105により収集した音データをデータ蓄積部106に蓄積する際に、音声符号化方式を適用してデータ量を圧縮するようにしてもよい。これによりデータ蓄積部106のメモリを削減し、装置コストを抑制できる。
【0085】
さらに、この実施の形態1では、再診断部111、経年変化パラメータ生成部118および携帯診断保守装置104を備えているが、これらのうち、再診断部111のみを備えるようにしてもよい。これにより、再診断部111によって、新たな診断パラメータを用いて直近の音データに基づいて一次診断を再度実施することにより、新たな診断パラメータが最新の音データに対して適切ではない場合に新たな診断パラメータを廃棄することが可能になるため、異常な故障検出を防ぐことができるという同様の効果が得られる。
【0086】
さらに、この実施の形態1では、再診断部111、経年変化パラメータ生成部118および携帯診断保守装置104を備えているが、これらのうち、経年変化パラメータ生成部118のみを備えるようにしてもよい。これにより、エレベータの使用頻度や使用期間に応じて徐々に音が大きくなる場合に経年変化による増加傾向を算出し、1年後の状態を推定して診断パラメータを算出することにより、診断パラメータの変更によって経年変化の範囲内にあれば正常と判定できるようになるため、診断精度が向上するという効果が得られる。
【0087】
さらに、この実施の形態1では、診断パラメータ生成部117および経年変化パラメータ生成部118によって一次故障診断装置101の診断パラメータを生成するようにしているが、診断プログラムを選択して送信するようにしてもよい。例えば、診断用データ判定部113が一次故障診断装置101の一次診断結果は適切でないと判定した場合に、一次診断に適した別の診断プログラムを一次故障診断装置101へ送信することにより、診断精度が向上するという同様の効果が得られる。
【0088】
さらに、この実施の形態1では、再診断部111によって常にデータ蓄積部106に対して一次診断を再実施しているが、データ蓄積部106の蓄積量に応じて一次診断を実施しないようにしてもよい。例えば、データ蓄積部106に蓄積されているデータ量が少ない場合、再診断部111は無条件で新たな診断パラメータを正常と判定し、診断パラメータ記憶部110に診断パラメータ138を記憶させる。これにより、少量の蓄積データによる再診断の判定ミスを抑制することができ、診断精度が向上するという同様の効果が得られる。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態1では、診断パラメータを変更する際に一次故障診断装置101で再度一次診断を実施するようにしたものであるが、実施の形態2では、携帯診断保守装置104で一次診断を再実施するようにしたものについて示す。
図13はこの発明の実施の形態2に係るエレベータ遠隔故障診断システムを示す構成図である。この図13に示す実施の形態2に係るエレベータ遠隔故障診断システムは、図1に示す実施の形態1に係るエレベータ遠隔故障診断システムの再診断部111を再診断管理部(再診断手段)201に変更し、携帯診断保守装置104の通信部119を通信部202に変更し、再診断部(再診断手段)203を追加したものである。その他の構成は、同様であり、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0090】
再診断管理部201は、二次故障診断装置103から診断パラメータ更新データ136を受信した際に一次故障診断装置101に携帯診断保守装置104が接続されている場合には、この診断パラメータ更新データ136を携帯診断保守装置104に送信するものである。
【0091】
また、再診断管理部201は、携帯診断保守装置104から再診断通知データ139を受信した際に、この再診断通知データ139の診断パラメータ判定結果141に基づいて、新たな診断パラメータが正常であると判定した場合は、診断パラメータ記憶部110にこの新たな診断パラメータを記憶する。一方、新たな診断パラメータが正常でないと判定した場合には、この新たな診断パラメータは無効であると判定してこの診断パラメータを廃棄する。
【0092】
通信部202は、一次故障診断装置101に接続した際に一次故障診断装置101とデータの送受信を行い、また、二次故障診断装置103に接続した際に二次故障診断装置103とデータの送受信を行うものである。
【0093】
再診断部203は、一次故障診断装置101から診断パラメータ更新データ136を受信した場合に、データ蓄積部120に蓄積されている音データに基づいて、この診断パラメータ更新データ136に格納されている新たな診断パラメータを用いて一次診断を再実施するものである。
また、再診断部203は、再実施した一次診断結果に基づいて、新たな診断パラメータが正常であるか否かを判定する。
この再診断部203により再度実施された一次診断結果および新たな診断パラメータの判定結果は通信部202に送信される。
【0094】
次に、上記のように構成されたエレベータ遠隔故障診断システムの動作について説明する。
なお、二次故障診断装置103が一次故障診断装置101に診断パラメータ更新データ136を送信するまでの動作は実施の形態1に係るエレベータ遠隔故障診断システムの動作と同様であるため、その説明を省略する。また、携帯診断保守装置104は、既にデータ蓄積部106に蓄積されている音データをデータ蓄積部120に移動させているとする。
【0095】
まず、一次故障診断装置101による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作について説明する。
図14はこの発明の実施の形態2に係る一次故障診断装置101による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作を示すフローチャートである。
一次故障診断装置105による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作は、図14に示すように、まず、再診断管理部201は、二次故障診断装置103から診断パラメータ更新データ136を受信した際に、一次故障診断装置101に携帯診断保守装置104が接続されているかを判定する(ステップST141)。
【0096】
このステップST141において、再診断管理部201が携帯診断保守装置104は接続されていないと判定した場合には、シーケンスは終了する。
一方、再診断管理部201が携帯診断保守装置104は接続されていると判定した場合には、次いで、通信部108は、再診断管理部201による指示に従い、診断パラメータ更新データ136を携帯診断保守装置104へ送信する(ステップST142)。
【0097】
次に、携帯診断保守装置104による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作について説明する。
図15はこの発明の実施の形態2における携帯診断保守装置104による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作を示すフローチャートである。
携帯診断保守装置104による診断パラメータ更新データ136を受信した際の動作は、図15に示すように、まず、再診断部203は、一次故障診断装置101から診断パラメータ更新データ136を受信した場合に、データ蓄積部120に蓄積されている音データに基づいて、この診断パラメータ更新データ136に格納されている新たな診断パラメータを用いて一次診断を再実施する(ステップST151)。
【0098】
次いで、再診断部203は、再実施した一次診断に基づいて、新たな診断パラメータが正常であるかを判定する(ステップST152)。
例えば、再実施した一次診断により故障ありと診断された箇所が、一次故障診断装置101の診断パラメータによる一次診断よりも少なければ新たなパラメータを正常であると判定し、再度実施した一次診断により故障ありと診断された箇所が所定の値よりも多ければ、新たなパラメータは正常ではないと判定する。
この再診断部203により再実施された一次診断結果および診断パラメータの判定結果は通信部202に送信される。
【0099】
次いで、通信部202は、再診断部203から一次診断結果および診断パラメータの判定結果を示す情報を受信した場合に、この一次診断結果と診断パラメータの判定結果を含む再診断通知データ139を生成して一次故障診断装置101に送信する(ステップST153)。なお、通信部202が生成する再診断通知データ139では、診断数は常に“0”を設定する。
【0100】
次に、一次故障診断装置101による再診断通知データ139を受信した際の動作について説明する。
図16はこの発明の実施の形態2に係る一次故障診断装置101による再診断通知データ139を受信した際の動作を示すフローチャートである。
一次故障診断装置101による再診断通知データ139を受信した際の動作は、図16に示すように、まず、再診断管理部201は、携帯診断保守装置104から再診断通知データ139を受信した際に、この再診断通知データ139の診断パラメータ判定結果141に基づいて、新たな診断パラメータが正常であるかを判定する(ステップST161)。
【0101】
このステップST161において、再診断管理部201は、新たな診断パラメータが正常であると判定した場合には、診断パラメータ記憶部110にこの新たな診断パラメータを記憶し(ステップST162)、新たな診断パラメータが正常でないと判定した場合には、この新たなパラメータを廃棄する(ステップST163)。
【0102】
以上に示すように、この実施の形態2によれば、携帯診断保守装置104により一次診断の再実施を行うことにより、再診断管理部201を演算速度の遅い安価な部品で実現することが可能になるため、異常な故障検出の発生を防ぎつつ、一次故障診断装置101の部品コストを抑制することができ、一次故障診断装置101の装置コストが削減可能になる。
【0103】
さらに、この実施の形態2によれば、携帯診断保守装置104により一次診断の再実施を行うことにより、センタ側の二次故障診断装置103に処理が集中することを防ぎ、故障診断の処理負荷を分散させることができるため、多数の一次故障診断装置101から故障診断の通知が二次故障診断装置103に集中した場合でも対応できる。
【0104】
さらに、この実施の形態2によれば、携帯診断保守装置104の再診断部203により全ての診断パラメータの一次診断を再実施しているが、経年変化の影響を受ける診断パラメータのみ一次診断を再実施するようにしてもよい。例えば、短期間での修正が必要な診断パラメータに対しては一次故障診断装置101において再診断を実施し、経年変化を考慮するような長期間ごとの補正で十分な診断パラメータに対しては携帯診断保守装置104において再診断を実施することにより、再診断管理部201を演算速度の遅い安価な部品で実現することが可能になるため、異常な故障検出の発生を防ぎつつ、一次故障診断装置101の部品コストを抑制することができ、一次故障診断装置101の装置コストが削減可能になる。
【符号の説明】
【0105】
101 一次故障診断装置、102 通信回線、103 二次故障診断装置、104 携帯診断保守装置、105 データ収集部、106 データ蓄積部(データ蓄積手段)、107 一次診断部(一次診断手段)、108 通信部、109 二次診断用音データ作成部、110 診断パラメータ記憶部(診断方法記憶手段)、111 再診断部(再診断手段)、112 通信部、113 診断用データ判定部(診断方法変更判定手段)、114 伝送帯域判定部(伝送帯域判定手段)、115 データ蓄積部、116 二次診断部、117 診断パラメータ生成部、118 経年変化パラメータ生成部(診断方法変更手段)、119 通信部、120 データ蓄積部(データ保持手段)、201 再診断管理部(再診断手段)、202 通信部、203 再診断部(再診断手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、前記一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて前記各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備えたエレベータ遠隔故障診断システムにおいて、
前記一次故障診断装置は、
収集された前記各機器の音データを蓄積するデータ蓄積手段と、
予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを記憶する診断方法記憶手段と、
前記診断方法記憶手段に記憶された診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、収集された前記各機器の音データに基づいて一次診断を行い、前記機器の故障を検出した場合に一次診断結果を示すデータを前記二次故障診断装置に送信する一次診断手段と、
前記一次診断手段により送信されたデータに基づいて二次診断を行った前記二次故障診断装置から受信した新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、前記データ蓄積手段に蓄積された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合に当該新たな診断パラメータまたは診断プログラムを前記診断方法記憶手段に記憶させる再診断手段とを備えた
ことを特徴とするエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項2】
エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、前記一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて前記各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備えたエレベータ遠隔故障診断システムにおいて、
前記二次診断装置は、
前記一次診断および前記二次診断に基づいて、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを変更するかを判定する診断方法変更判定手段と、
前記診断方法変更判定手段により診断パラメータまたは診断プログラムを変更すると判定された場合に、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて、経年変化量を反映した新たな診断パラメータの生成、または診断プログラムの選定を行い、前記一次故障診断装置に送信する診断方法変更手段とを備えた
ことを特徴とするエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項3】
エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と、前記一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて前記各機器の故障有無を二次診断する二次故障診断装置とを備えたエレベータ遠隔故障診断システムにおいて、
前記一次故障診断装置は、
収集された前記各機器の音データを蓄積するデータ蓄積手段と、
予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを記憶する診断方法記憶手段と、
前記診断方法記憶手段に記憶された診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、収集された各機器の音データに基づいて一次診断を行い、前記機器の故障を検出した場合に一次診断結果を示すデータを前記二次故障診断装置に送信する一次診断手段と、
前記一次診断手段により送信されたデータに基づいて二次診断を行った前記二次故障診断装置から受信した新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、前記データ蓄積手段に蓄積された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合に当該診断パラメータまたは診断プログラムを前記診断方法記憶手段に記憶させる再診断手段とを備え、
前記二次故障診断装置は、
前記一次診断および前記二次診断に基づいて、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを変更するかを判定する診断方法変更判定手段と、
前記診断方法変更判定手段により診断パラメータまたは診断プログラムを変更すると判定された場合に、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて、経年変化量を反映した新たな診断パラメータの生成、または診断プログラムの選定を行い、前記一次故障診断装置に送信する診断方法変更手段とを備えた
ことを特徴とするエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項4】
前記一次故障診断装置または前記二次故障診断装置と接続する携帯診断保守装置をさらに備え、
携帯診断保守装置は、前記一次故障診断装置に接続された場合に前記データ蓄積手段に蓄積された音データを蓄積し、前記二次故障診断装置に接続された場合に蓄積した音データを前記二次故障診断装置に送信するデータ保持手段を備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項5】
前記携帯診断保守装置は、前記一次故障診断装置に接続された場合に、前記再診断手段から送信された新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、前記データ保持手段に保持された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合にその旨を示すデータを前記一次故障診断装置に送信する再診断手段を備えた
ことを特徴とする請求項4記載のエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項6】
前記二次故障診断装置は、前記通信回線の伝送帯域を判定し、前記通信回線の伝送帯域が狭いと判定した場合に、前記一次故障診断装置に伝送データ量の抑制を指示する伝送帯域判定手段を備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項7】
前記診断方法変更手段は、運用期間の長いエレベータの音データから運用期間の短いエレベータの音データの経年変化量を推定して、当該運用期間の短いエレベータの診断パラメータを生成する
ことを特徴とする請求項2から請求項6のうちのいずれか1項記載のエレベータ遠隔故障診断システム。
【請求項8】
エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断すると共に、通信回線を経由して二次故障診断装置に接続された一次故障診断装置において、
収集された前記各機器の音データを蓄積するデータ蓄積手段と、
予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを記憶する診断方法記憶手段と、
前記診断方法記憶手段に記憶された診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、収集された前記各機器の音データに基づいて一次診断を行い、前記機器の故障を検出した場合に一次診断結果を示すデータを前記二次故障診断装置に送信する一次診断手段と、
前記一次診断手段により送信されたデータに基づいて二次診断を行った前記二次故障診断装置から受信した新たな診断パラメータまたは診断プログラムを用いて、前記データ蓄積手段に蓄積された音データに基づいて一次診断を行い、正常である場合に当該新たな診断パラメータまたは診断プログラムを前記診断方法記憶手段に記憶させる再診断手段とを備えた
ことを特徴とする一次故障診断装置。
【請求項9】
エレベータのかごを昇降させる各機器の故障有無を一次診断する一次故障診断装置と通信回線を経由して接続され、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて前記各機器の故障有無を二次診断する二次診断装置において、
前記一次診断および前記二次診断に基づいて、予め設定された診断パラメータまたは診断プログラムを変更するかを判定する診断方法変更判定手段と、
前記診断方法変更判定手段により診断パラメータまたは診断プログラムを変更すると判定された場合に、前記一次故障診断装置から送信された音データに基づいて、経年変化量を反映した新たな診断パラメータの生成、または診断プログラムの選定を行い、前記一次故障診断装置に送信する診断方法変更手段とを備えた
ことを特徴とする二次故障診断装置。
【請求項10】
前記二次故障診断装置は、前記通信回線の伝送帯域を判定し、前記通信回線の伝送帯域が狭いと判定した場合に、前記一次故障診断装置に伝送データ量の抑制を指示する伝送帯域判定手段を備えた
ことを特徴とする請求項9記載の二次故障診断装置。
【請求項11】
前記診断方法変更手段は、運用期間の長いエレベータの音データから運用期間の短いエレベータの音データの経年変化量を推定して、当該運用期間の短いエレベータの診断パラメータを生成する
ことを特徴とする請求項9または請求項10記載の二次故障診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−184167(P2011−184167A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53259(P2010−53259)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】