説明

エンジンの排ガス温度制御装置

【課題】触媒に供給する排ガスの温度を触媒の活性温度域に維持する。
【解決手段】エンジン11の排気通路15に、エンジン11からの排ガスに含まれるNOx、HCやCO等の内少なくとも一つの成分を浄化する触媒18を配設したエンジンの排ガス温度制御装置であって、エンジン11に設けられ、吸気ポートが触媒18より下流の排気通路15に接続され、排気ポートが触媒18より上流の排気通路15に接続された専用気筒12aと、専用気筒12aの排気ポートから排出されて触媒18に供給される排ガスの温度を調節すべく、専用気筒12aの吸気バルブ26及び排気バルブ27を開閉制御する制御手段28とを備えたことを特徴とするエンジンの排ガス温度制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気通路に、上記エンジンからの排ガスに含まれるNOx、HCやCO等の内少なくとも一つの成分を浄化する触媒を配設したエンジンの排ガス温度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等が含まれている。担体にアルカリ又はアルカリ土類金属を貴金属と共に担持させ、排ガスに含まれるNOを酸化して硝酸塩として触媒上に吸着させてNOxを浄化するLNT触媒(NOx吸蔵触媒)や、担体に貴金属を主に担持させ、HCやCOを酸化除去する酸化触媒を用いて、エンジンからの排ガスを浄化している(引用文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−315271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、LNT触媒を用いた後処理装置では、触媒の活性は触媒に供給される排ガスの温度に依存し、排ガスの温度が230℃から500℃の温度範囲(触媒活性温度域)にある場合に必要な浄化率を確保できる。
【0005】
しかしながら、エンジン始動直後や渋滞時には排ガスの温度が下がり易く、また硫黄脱離処理等の高温処理後には排ガスの温度が600℃以上の温度から下がり難く、排ガスの温度が触媒活性温度域から外れることで浄化率が低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、触媒に供給する排ガスの温度を触媒の活性温度域に維持することができる排ガス温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンの排気通路に、上記エンジンからの排ガスに含まれるNOx、HCやCO等の内少なくとも一つの成分を浄化する触媒を配設したエンジンの排ガス温度制御装置であって、上記エンジンに設けられ、吸気ポートが上記触媒より下流の上記排気通路に接続され、排気ポートが上記触媒より上流の上記排気通路に接続された専用気筒と、該専用気筒の排気ポートから排出されて上記触媒に供給される排ガスの温度を調節すべく、上記専用気筒の吸気バルブ及び排気バルブを開閉制御する制御手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域より低い低温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒に導入し、上記専用気筒のピストンが上昇する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、排ガスを上記専用気筒内で圧縮して加熱し、加熱した排ガスを上記触媒に供給する加熱処理モードを実行するものであっても良い。
【0009】
また、上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域より高い高温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、上記専用気筒内の排ガスを膨張させて冷却し、上記専用気筒のピストンの下降途中で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒内に導入して冷却し、冷却した排ガスを上記触媒に供給する冷却処理モードを実行するものであっても良い。
【0010】
また、上記専用気筒内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタを備え、上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒内に導入し、上記専用気筒のピストンが上昇する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、排ガスを上記専用気筒内で圧縮して加熱し、上記専用気筒のピストンの上昇途中で上記筒内噴射用インジェクタにより上記専用気筒内に燃料を噴射して、燃料を上記専用気筒内で気化させ、気化燃料を含む排ガスを上記触媒に供給する燃料気化促進処理モードを実行するものであっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、触媒に供給する排ガスの温度を触媒の活性温度域に維持することができるという優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る排ガス温度制御装置の概略図である。
【0014】
本実施形態に係る排ガス温度制御装置10は、例えば、トラック等の車両に搭載されるディーゼルエンジンに適用されるものである。
【0015】
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)11は、複数の気筒12が形成されたエンジン本体13と、エンジン本体13に接続された吸気通路14及び排気通路15とを備えている。エンジン11の排気通路15にはタービン16が設けられており、エンジン11の吸気通路14にはタービン16により駆動されるコンプレッサ17が設けられている。
【0016】
本実施形態の排ガス温度制御装置10では、エンジン11の排気通路15にLNT触媒(NOx吸蔵触媒)18を有する後処理装置19が設けられている。LNT触媒18は、エンジン11(エンジン本体13)からの排ガスに含まれるNOxを浄化するものであり、例えば、担体にアルカリ又はアルカリ土類金属を貴金属からなる触媒活性成分と共に担持させて形成されている。
【0017】
また、LNT触媒18(後処理装置19)より上流の排気通路15に、LNT触媒18に供給される排ガスの温度を検出するための温度センサ20が設けられている。
【0018】
また、エンジン11の排気通路15と吸気通路14とを接続してEGR通路21が設けられており、EGR通路21にEGRクーラ22及びEGRバルブ23が設けられている。
【0019】
本実施形態に係る排ガス温度制御装置10は、エンジン11(エンジン本体13)に設けられ、吸気ポートがLNT触媒18より下流の排気通路15に専用吸気通路24を介して接続され、排気ポートがLNT触媒18より上流の排気通路15に専用排気通路25を介して接続された専用気筒12aと、専用気筒12aの排気ポートから排出されてLNT触媒18に供給される排ガスの温度を調節すべく、専用気筒12aの吸気バルブ26及び排気バルブ27を開閉制御する制御手段(コントローラ)28とを備える。
【0020】
また、本実施形態に係る排ガス温度制御装置10は、専用気筒12a内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタ29と、専用気筒12aの吸気バルブ26の開閉タイミング、吸気バルブ26のリフト量、専用気筒12aの排気バルブ27の開閉タイミング及び排気バルブ27のリフト量を可変とするバルブ駆動機構30(図2及び図3参照)とを有している。
【0021】
図2及び図3に示すように、本実施形態のバルブ駆動機構30は、専用気筒12aの吸気バルブ26或いは排気バルブ27をなす弁体31と、弁体31を閉弁方向(図2中の上方向)に付勢するスプリング32、33と、スプリング32、33の付勢力に抗して弁体31を開弁方向(図2中の下方向)にロッカーアーム34を介して押圧するカム(吸気バルブ用移動カム35或いは排気バルブ用移動カム36)とを有している。
【0022】
本実施形態では、吸気バルブ用移動カム35及び排気バルブ用移動カム36にはそれぞれ、後述する加熱処理モード、燃料気化促進処理モード及び冷却処理モードのためのプロファイルP1、P2、P3が併設されている(図3参照)。また、本実施形態では、吸気バルブ用移動カム35及び排気バルブ用移動カム36は、カムシャフト37に回転不能に設けられ且つカムシャフト37の軸方向に沿って移動可能に設けられている。吸気バルブ用移動カム35及び排気バルブ用移動カム36はそれぞれ、キー38に沿ってカムシャフト37の軸方向に移動するようになっている。
【0023】
本実施形態のバルブ駆動機構30は、吸気バルブ用移動カム35或いは排気バルブ用移動カム36をカムシャフト37の軸方向に沿って移動させるための左右一対の駆動カム39と、駆動カム39を駆動するためのモータ40とを有している。駆動カム39の曲面部にはギア41が設けられており、このギア41に、モータ40に取り付けたウォームギア42が噛合している。
【0024】
本実施形態では、モータ40を駆動(正転或いは逆転)させ、左右の駆動カム39を所定の角度だけ同時に回転させ、吸気バルブ用移動カム35の吸気バルブ26(弁体31)に対する位相を変えることで、吸気バルブ26の開閉タイミングを吸気バルブ用移動カム35のプロファイルP1〜P3に応じたタイミングに制御し、或いは排気バルブ用移動カム36の排気バルブ27(弁体31)に対する位相を変えることで、排気バルブ27の開閉タイミングを排気バルブ用移動カム36のプロファイルP1〜P3に応じたタイミングに制御するようになっている。
【0025】
また、本実施形態のバルブ駆動機構30は、ロッカーアーム34の支点位置43を変更すべく回動自在に設けられたポジションプレート44と、ポジションプレート44を駆動するためのモータ45とを有している。ポジションプレート44は扇状に形成されている。ポジションプレート44の曲面部にはギア46が設けられており、このギア46に、モータ45に取り付けたウォームギア47が噛合している。
【0026】
本実施形態では、モータ45を駆動(正転或いは逆転)させ、ポジションプレート44を所定の角度だけ回転させ、ポジションプレート44に取り付けた吸気バルブ26のロッカーアーム34の支点位置43を移動させることで、吸気バルブ26(弁体31)のリフト量を制御し、或いはポジションプレート44に取り付けた排気バルブ27のロッカーアーム34の支点位置43を移動させることで、排気バルブ27のリフト量を制御するようになっている。
【0027】
吸気バルブ26或いは排気バルブ27の弁体31のリフト量Xは、ロッカーアーム34のカム(吸気バルブ用移動カム35或いは排気バルブ用移動カム36)による移動量をSとし、ロッカーアーム34の支点位置43からカム(吸気バルブ用移動カム35或いは排気バルブ用移動カム36)までの距離をL1とし、ロッカーアーム34の支点位置43から弁体31までの距離をL2とすれば、以下の式で表せる。
【0028】
X=S×L2/L1
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
コントローラ28は、温度センサ20で検出した排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より低い低温度域にあるときには、加熱処理モードを実行するようになっている。
【0030】
詳しくは、図4に示すように、コントローラ28は、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より低い低温度域(本実施形態では、230℃未満の温度範囲)にあるときには、専用気筒12aのピストンが下降する行程の終期で吸気バルブ26を開いて、LNT触媒18を通過したLNT触媒18より下流の排気通路15内の排ガスを専用気筒12aに導入し、専用気筒12aのピストンが上昇する行程の始期で吸気バルブ26及び排気バルブ27を閉じて、排ガスを専用気筒12a内で圧縮して加熱し、専用気筒12aのピストンが下降する行程の始期で排気バルブ27を開いて、加熱した排ガスをLNT触媒18に供給するようになっている。本実施形態では、ピストンの上死点付近での排気バルブ27とピストンとの干渉を防止するために、専用気筒12aのピストンが下降する行程の始期において、ピストンの上死点付近では排気バルブ27を閉じるようにしている(図4参照)。
【0031】
本実施形態の加熱処理モードによれば、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度より低い低温度域にあるときに、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を、専用気筒12aで加熱処理を行った後にLNT触媒18に供給することで、LNT触媒18に供給される排ガスの温度をLNT触媒18の活性温度域まで短時間で高めることができ、LNT触媒18による浄化開始までの時間を短縮することが可能となる。また、本実施形態では、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を、専用気筒12aで加熱処理を行った後に再びLNT触媒18を通過させるので、排気通路15のテールパイプ48から排出されるNOxの一層の低減が可能となる。さらに、専用気筒12a内には吸気(新気)を導入せずにLNT触媒18を通過した排ガスを導入し且つ加熱処理モードの実行中に専用気筒12a内に燃料を噴射しないので、専用気筒12a内で燃焼が生じることはなく、エンジン11の出力に影響を及ぼすことはない。
【0032】
また、コントローラ28は、温度センサ20で検出した排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より高い高温度域にあるときには、冷却処理モードを実行するようになっている。
【0033】
詳しくは、図5に示すように、コントローラ28は、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より高い高温度域(本実施形態では、500℃を越える温度範囲、より好ましくは600℃を越える温度範囲)にあるときには、専用気筒12aのピストンが下降する行程の始期で吸気バルブ26及び排気バルブ27を閉じて、専用気筒12a内の排ガス(専用気筒12a内に残留する排ガス)を膨張させて冷却し、専用気筒12aのピストンの下降途中で吸気バルブ26を開いて、LNT触媒18を通過した排ガスを専用気筒12a内に導入して冷却し、専用気筒12aのピストンが上昇する行程の始期で排気バルブ27を開いて、冷却した排ガスをLNT触媒18に供給するようになっている。本実施形態では、ピストンの上死点付近での排気バルブ27とピストンとの干渉を防止するために、専用気筒12aのピストンが上昇する行程の終期において、ピストンの上死点付近では排気バルブ27を閉じるようにしている(図5参照)。
【0034】
本実施形態の冷却処理モードによれば、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度より高い高温度域にあるときに、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を、専用気筒12aで冷却処理を行った後にLNT触媒18に供給することで、LNT触媒18に供給される排ガスの温度をLNT触媒18の活性温度域まで短時間で下げることができ、LNT触媒18の冷却を促進させることができ、特に硫黄脱離処理等の高温処理後にLNT触媒18に用いられる貴金属のシンタリングが促進されることを抑制することが可能となる。また、本実施形態では、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を、専用気筒12aで冷却処理を行った後に再びLNT触媒18を通過させるので、排気通路15のテールパイプ48から排出されるNOxの一層の低減が可能となる。さらに、専用気筒12a内には吸気(新気)を導入せずにLNT触媒18を通過した排ガスを導入し且つ冷却処理モードの実行中に専用気筒12a内に燃料を噴射しないので、専用気筒12a内では燃焼が生じることはなく、エンジン11の出力に影響を及ぼすことはない。
【0035】
また、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域にあるときにはLNT触媒18のNOx浄化性能維持に不可欠な還元処理を行う必要があり、コントローラ28は、温度センサ20で検出した排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域にあるときには、LNT触媒18に供給する燃料の気化促進処理を行う燃料気化促進処理モードを実行するようになっている。
【0036】
詳しくは、図6に示すように、コントローラ28は、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域(本実施形態では、230℃〜500℃の温度範囲)にあるときには、専用気筒12aのピストンが下降する行程の終期で吸気バルブ26を開いて、LNT触媒18を通過した排ガスを専用気筒12a内に導入し、専用気筒12aのピストンが上昇する行程の始期で吸気バルブ26及び排気バルブ27を閉じて、排ガスを専用気筒12a内で圧縮して加熱し、専用気筒12aのピストンの上昇途中で筒内噴射用インジェクタ29により専用気筒12a内に燃料を噴射して、燃料を専用気筒12a内で気化させ、専用気筒12aのピストンが上死点に至る前に排気バルブ27を開いて、気化燃料を含む排ガスをLNT触媒18に供給するようになっている。本実施形態では、ピストンの上死点付近での排気バルブ27とピストンとの干渉を防止するために、ピストンが上昇する行程の終期及びピストンが下降する行程の始期において、ピストンの上死点付近では排気バルブ27を閉じるようにしている(図6参照)。
【0037】
また、本実施形態では、コントローラ28は、燃料気化促進処理モードの実行中、バルブ駆動機構30により専用気筒12aの吸気バルブ26のリフト量、及び、専用気筒12aの排気バルブ27のリフト量を調節して専用気筒12a内での燃料の着火を抑制するようになっている。
【0038】
本実施形態の燃料気化促進処理モードによれば、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域にあるときに、ピストンにより圧縮・加熱された専用気筒12a内の排ガスに燃料を高圧で噴射することで、燃料の液滴の微粒化と燃料の気化を促進することが可能となる。また、本実施形態では、専用気筒12aのピストンが下降する行程では専用気筒12a内に燃料を噴射しないので、燃料の潤滑オイルへの混入と燃料混入による潤滑オイルの希釈を抑制することが可能となる。
【0039】
なお、コントローラ28が、温度センサ20で検出した排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域にあるときに、筒内噴射用インジェクタ29により専用気筒12a内に燃料を噴射する筒内噴射に加え、筒外噴射用インジェクタ49(図1参照)によりLNT触媒18より上流の排気通路15内に燃料を噴射する筒外噴射を実行するようにしても良い。
【0040】
以上要するに、本実施形態によれば、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より低い低温度域にあるときに、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を専用気筒12aで加熱処理を行った後にLNT触媒18に供給し、一方、LNT触媒18に供給される排ガスの温度がLNT触媒18の活性温度域より高い高温度域にあるときに、LNT触媒18を通過した排ガスの一部を専用気筒12aで冷却処理を行った後にLNT触媒18に供給することで、LNT触媒18に供給する排ガスの温度をLNT触媒18の活性温度域に維持することが可能となる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0042】
例えば、上記の実施形態では、触媒としてNOxを浄化するLNT触媒18を用いたがこれには限定はされず、触媒としてエンジンからの排ガスに含まれるHCやCOを浄化する酸化触媒を用いても良い。
【0043】
また、バルブ駆動機構30がカムレス方式のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る排ガス温度制御装置の概略図である。
【図2】図2は、バルブ駆動機構の概略図である。
【図3】図3は、図2の3−3線矢視図である。
【図4】図4は、加熱処理モードにおける吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを示す図である。
【図5】図5は、冷却処理モードにおける吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを示す図である。
【図6】図6は、燃料気化促進処理モードにおける吸気バルブ及び排気バルブの開閉タイミングを示す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 排ガス温度制御装置
11 エンジン(ディーゼルエンジン)
12a 専用気筒
15 排気通路
18 LNT触媒(触媒)
26 吸気バルブ
27 排気バルブ
28 コントローラ(制御手段)
29 筒内噴射用インジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に、上記エンジンからの排ガスに含まれるNOx、HCやCO等の内少なくとも一つの成分を浄化する触媒を配設したエンジンの排ガス温度制御装置であって、
上記エンジンに設けられ、吸気ポートが上記触媒より下流の上記排気通路に接続され、排気ポートが上記触媒より上流の上記排気通路に接続された専用気筒と、該専用気筒の排気ポートから排出されて上記触媒に供給される排ガスの温度を調節すべく、上記専用気筒の吸気バルブ及び排気バルブを開閉制御する制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンの排ガス温度制御装置。
【請求項2】
上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域より低い低温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒に導入し、上記専用気筒のピストンが上昇する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、排ガスを上記専用気筒内で圧縮して加熱し、加熱した排ガスを上記触媒に供給する加熱処理モードを実行する請求項1に記載のエンジンの排ガス温度制御装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域より高い高温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、上記専用気筒内の排ガスを膨張させて冷却し、上記専用気筒のピストンの下降途中で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒内に導入して冷却し、冷却した排ガスを上記触媒に供給する冷却処理モードを実行する請求項1又は2に記載のエンジンの排ガス温度制御装置。
【請求項4】
上記専用気筒内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタを備え、
上記制御手段は、上記触媒に供給される排ガスの温度が上記触媒の活性温度域にあるとき、上記専用気筒のピストンが下降する行程で上記吸気バルブを開いて、上記触媒を通過した排ガスを上記専用気筒内に導入し、上記専用気筒のピストンが上昇する行程で上記吸気バルブ及び上記排気バルブを閉じて、排ガスを上記専用気筒内で圧縮して加熱し、上記専用気筒のピストンの上昇途中で上記筒内噴射用インジェクタにより上記専用気筒内に燃料を噴射して、燃料を上記専用気筒内で気化させ、気化燃料を含む排ガスを上記触媒に供給する燃料気化促進処理モードを実行する請求項1から3いずれかに記載のエンジンの排ガス温度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−287497(P2009−287497A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142475(P2008−142475)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】