説明

エンジン自動停止車両及びその制御方法

【課題】エンジン停止制御による燃費の向上効果を高める。
【解決手段】コントローラは、アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立した時、電動オイルポンプを作動させ(S12、S14)、その後上記アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となっても、車両の加速状態又は運転者の加速意図が判定されるまでは、電動オイルポンプを停止させることなく作動を継続させる(S15、S16、S17、S18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを自動的に停止及び再始動させるエンジン自動停止車両に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のエンジン停止条件が成立した時、一時的にエンジンを自動停止させ、再始動条件が成立した時、エンジンを自動的に再始動させるように制御するエンジン停止制御が知られている。エンジン停止制御としては、例えばアイドルストップ制御やコーストストップ制御が知られている。
【0003】
アイドルストップ制御は、車両が停止したことによりアイドルストップ条件が成立した時、エンジンを停止させ、ブレーキオフなどによりアイドルストップ条件が非成立となった時、エンジンを再始動させる。
【0004】
またコーストストップ制御は、車両が走行中にアクセルオフかつブレーキオンによってコースト状態となっている場合であって車速が所定車速以下となった時、エンジンを停止させ、アクセルオンやブレーキオフによってコーストストップ条件が非成立となった時、エンジンを再始動させる。
【0005】
上記エンジン停止制御によってエンジンが停止している場合は、エンジンによって駆動されるメカオイルポンプも同時に停止する。そこで、特許文献1には、メカオイルポンプとは別に、バッテリに蓄電された電力によって作動する電動オイルポンプを設け、エンジン停止制御中に電動オイルポンプを駆動することで変速機の作動油圧を確保することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−247910公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、電動オイルポンプがオフ状態からオン状態へと切り替わる時、ポンプを回転駆動するモータを制御するモータドライバが発熱する。そこで、モータドライバの過熱を防止するため、電動オイルポンプは停止してから一定の時間だけ再起動を禁止するように制御される。
【0008】
しかし、エンジン停止制御中にエンジン停止条件が非成立となり、エンジンが再始動するとともに電動オイルポンプが停止した後、すぐに再度エンジン停止条件が成立するような状況では、電動オイルポンプの再起動がまだ禁止されているので、油圧確保の点からメカオイルポンプの作動を継続させる必要があり、よって再起動禁止の時間が経過するまではエンジンを停止させることができない。
【0009】
すなわち、エンジン停止制御が可能な状況であっても、電動オイルポンプの再起動禁止が解除されるまではエンジン停止制御を行うことができない。これにより、エンジン停止制御の開始が遅れ、その分だけエンジンを停止させる時間が短くなるので、エンジン停止制御による燃費の向上効果が低減する。
【0010】
本発明は、エンジン停止制御による燃費の向上効果を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様によれば、停止条件が成立した時、自動停止するとともに、再始動条件が成立した時、再始動するエンジンと、エンジンによって駆動される第1オイルポンプと、エンジンの自動停止中に作動する第2オイルポンプと、車両が加速状態であるかの判定、加速要求があるかの判定、及び加速要求が予測されるかの判定、の加速条件判定のうち一つ以上を行う加速判定手段と、停止条件が成立した時、第2オイルポンプを作動させ、再始動条件が成立してから加速判定手段による判定が行われるまでの間、第2オイルポンプの作動を継続させるオイルポンプ制御手段と、を備えることを特徴とするエンジン自動停止車両が提供される。
【0012】
また、本発明の別の態様によれば、停止条件が成立した時、自動停止するとともに、再始動条件が成立した時、再始動するエンジンと、エンジンによって駆動される第1オイルポンプと、エンジンの自動停止中に作動する第2オイルポンプとを備えるエンジン自動停止車両の制御方法であって、車両が加速状態であるかの判定、加速要求があるかの判定、及び加速要求が予測されるかの判定、の加速条件判定のうち一つ以上を行う判定手順と、停止条件が成立した時、第2オイルポンプを作動させ、再始動条件が成立してから判定手順による判定が行われるまでの間、第2オイルポンプの作動を継続させる継続手順と、を含むことを特徴とするエンジン自動停止車両の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
これらの態様によれば、一時的にエンジンの自動停止が中断されたような状況において第2オイルポンプが停止されることを回避できるので、エンジンの停止条件が再度成立した時に第2オイルポンプの制約を受けることなく迅速にエンジンを自動停止させることができる。よって、エンジンの自動停止による燃費の向上効果を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるエンジン自動停止車両の概略構成図である。
【図2】コントローラの内部構成を示した図である。
【図3】第1実施形態においてコントローラが実行する電動オイルポンプの制御の内容を示したフローチャートである。
【図4】比較例における電動オイルポンプの制御を説明するためのタイムチャートである。
【図5】第1実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。
【図6】第1実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。
【図7】第2実施形態においてコントローラが実行する電動オイルポンプの制御の内容を示したフローチャートである。
【図8】第2実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。
【図9】その他の実施形態の作用効果を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、ある変速機構の「変速比」は、当該変速機構の入力回転速度を当該変速機構の出力回転速度で割って得られる値である。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るエンジン自動停止車両を示す概略構成図である。この車両は駆動源としてエンジン1を備え、エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
【0017】
変速機4には、エンジン1の回転が入力されエンジン1の動力の一部を利用して駆動されるメカオイルポンプ10mと、バッテリ13から電力供給を受けて駆動される電動オイルポンプ10eとが設けられている。電動オイルポンプ10eは、オイルポンプ本体と、これを回転駆動する電気モータ及びモータドライバとで構成され、運転負荷を任意の負荷に、あるいは、多段階に制御することができる。また、変速機4には、メカオイルポンプ10mあるいは電動オイルポンプ10eからの油圧(以下、「ライン圧PL」という。)を調圧して変速機4の各部位に供給する油圧制御回路11が設けられている。
【0018】
変速機4は、ベルト式無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に直列に設けられる副変速機構30とを備える。「直列に設けられる」とはエンジン1から駆動輪7に至るまでの動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギヤ列)を介して接続されていてもよい。あるいは、副変速機構30はバリエータ20の前段(入力軸側)に接続されていてもよい。
【0019】
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるVベルト23とを備える。プーリ21、22は、それぞれ固定円錐板と、この固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、この可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させる油圧シリンダ23a、23bとを備える。油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してVベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比が無段階に変化する。
【0020】
副変速機構30は前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニョウ型遊星歯車機構31と、ラビニョウ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(Lowブレーキ32、Highクラッチ33、Revブレーキ34)とを備える。各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると、副変速機構30の変速段が変更される。
【0021】
例えば、Lowブレーキ32を締結し、Highクラッチ33とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速となる。Highクラッチ33を締結し、Lowブレーキ32とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな2速となる。また、Revブレーキ34を締結し、Lowブレーキ32とHighクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進となる。なお、以下の説明では、副変速機構30の変速段が1速である場合に「変速機4が低速モードである」と表現し、2速である場合に「変速機4が高速モードである」と表現する。
【0022】
コントローラ12は、エンジン1及び変速機4を統合的に制御するコントローラであり、図2に示すように、CPU121と、RAM・ROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。
【0023】
入力インターフェース123には、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力回転速度(=プライマリプーリ21の回転速度、以下、「プライマリ回転速度Npri」という。)を検出する回転速度センサ42の出力信号、車速VSPを検出する車速センサ43の出力信号、ライン圧PLを検出するライン圧センサ44の出力信号、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ45の出力信号、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ46の出力信号、車両の加速度を検出する加速度センサ47の出力信号等が入力される。
【0024】
記憶装置122には、エンジン1の制御プログラム、変速機4の変速制御プログラム、これらプログラムで用いられる各種マップ・テーブルが格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されているプログラムを読み出して実行し、入力インターフェース123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して、燃料噴射量信号、点火時期信号、スロットル開度信号、変速制御信号、電動オイルポンプ10eの駆動信号を生成し、生成した信号を出力インターフェース124を介してエンジン1、油圧制御回路11、電動オイルポンプ10eのモータドライバに出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、その演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
【0025】
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換えるとともにメカオイルポンプ10m又は電動オイルポンプ10eで発生した油圧から必要な油圧を調製し、これを変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比、副変速機構30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われる。
【0026】
ここで、メカオイルポンプ10m及び電動オイルポンプ10eの作動について説明する。
【0027】
メカオイルポンプ10mは、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるので、エンジン1が停止している間は油圧を油圧制御回路11へ供給することができなくなる。そこで、エンジン停止中における油圧を確保するため、エンジン1が停止している間は電動オイルポンプ10eを駆動させる。
【0028】
なお、ここでいう「エンジン1が停止している間」は、車両が駐車状態(キーオフ)である場合は含まず、車両が運転状態(エンジン始動後、キーオンされている状態)であって(車速=0を含む)エンジン1が停止している状態を意味する。また、「エンジン1が停止」はエンジン1の回転が必ずしも完全に停止していることを要件とせず、メカオイルポンプ10mだけでは必要油圧を確保できなくなるような極低速回転も含む。
【0029】
すなわち、電動オイルポンプ10eが作動する場合は、エンジン1がアイドルストップ制御又はコーストストップ制御によって停止している場合、すなわち、エンジン1がアイドルストップ状態又はコーストストップ状態にある場合である。以下、アイドルストップ制御及びコーストストップ制御について説明する。
【0030】
アイドルストップ制御は、停車中にエンジン1を自動的に停止(アイドルストップ)させて燃料消費量を抑制する制御である。
【0031】
アイドルストップを実行するにあたり、コントローラ12は、例えば、以下に示す条件a1〜a6を判定する。
【0032】
a1:車両が停車中(VSP=0)
a2:ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ液圧が所定値以上)
a3:アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
a4:エンジン1の水温が所定範囲Xe内
a5:変速機4の油温が所定範囲Xt内
a6:車体の傾斜(≒路面勾配)が所定値以下
【0033】
そして、コントローラ12は、これらの条件a1〜a6が全て成立した場合にアイドルストップ条件成立と判定してアイドルストップを許可し、燃料噴射をカットしてエンジン1を停止させる。
【0034】
エンジン1の水温の所定範囲Xeは、下限値がエンジン1の暖機が完了していると判断される温度に設定され、上限値がエンジン1のアフターアイドルが必要な高温域の下限に設定される。
【0035】
また、アイドルストップ中は電動オイルポンプ10eで発生させた油圧で変速機4の摩擦締結要素を締結又はピストンをストロークさせておくことで摩擦締結要素が動力伝達可能となるまでに要する時間を短縮する。したがって、変速機4の油温の所定範囲Xtは、作動油の粘度を考慮して電動オイルポンプ10eが正常に回転できる温度範囲に設定される。
【0036】
また、コントローラ12は、アイドルストップ中も上記条件a1〜a6がそれぞれ継続して成立しているかを判定し、一つでも成立しなくなるとアイドルストップ条件非成立と判定し、アイドルストップを終了、すなわち、エンジン1を再始動する。
【0037】
一方、コーストストップ制御は、車両がコースト状態であって、例えば、ロックアップクラッチが解放されている場合にエンジン1を停止させる制御である。
【0038】
コースト状態では、燃料消費量を抑制する目的で燃料噴射がカットされるが、エンジン1は駆動輪によって連れ回されて回転しているので、メカオイルポンプ10mは駆動され必要油圧を確保することができる。しかし、車速がある程度低下するとトルクコンバータ2のロックアップクラッチが解放され、これによりエンジン1の回転速度が低下するのでエンジンストールを回避するために燃料噴射が再開される。このように本来燃料噴射を再開していた領域において燃料噴射をカットしてエンジン1を停止させる制御がコーストストップ制御である。
【0039】
コーストストップ制御中は燃料噴射がカットされ、かつロックアップクラッチが解放されているので、エンジン1の回転速度は極低回転であり、これにより、メカオイルポンプ10mの回転はほぼ停止している。そこで、必要油圧を確保するため、コーストストップ制御時に電動オイルポンプ10eが駆動される。
【0040】
コーストストップ状態を判定するために、コントローラ12は、例えば、以下に示す条件b1〜b4を判定する。
【0041】
b1:車両が走行中(VSP≠0)
b2:車速が所定車速VSP1以下である(VSP≦VSP1)
b3:アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
b4:ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキ液圧が所定値以上)
【0042】
なお、所定車速VSP1は、コースト状態においてロックアップクラッチを解除させる車速以下であってゼロより大きい値に設定される。
【0043】
そして、コントローラ12は、これらの条件b1〜b4が全て成立した場合にコーストストップ条件成立と判定してコーストストップを許可し、燃料噴射をカットしてエンジン1を停止させる。
【0044】
また、コントローラ12は、コーストストップ中も上記条件b1〜b4がそれぞれ継続して成立しているかを判定し、一つでも成立しなくなるとコーストストップ条件非成立と判定し、コーストストップを終了、すなわち、エンジン1を再始動する。なお、コーストストップを終了する条件は上記条件b1〜b4に限られない。
【0045】
アイドルストップ制御及びコーストストップ制御は以上のように行われ、いずれか一方が実行されている場合にエンジン1は停止中であると判断して電動オイルポンプ10eを駆動させる。なお、上記条件から明らかなように、コーストストップ状態のまま車両が停止すると、そのままアイドルストップ状態へと移行するが、この場合エンジン1は停止したまま、すなわち電動オイルポンプ10eは駆動状態のまま、コーストストップ制御からアイドルストップ制御へと移行する。
【0046】
またここで、電動オイルポンプ10eの過熱防止について説明する。
【0047】
電動オイルポンプ10eは、前述のようにオイルポンプ本体と、これを回転駆動する電気モータ及びモータドライバとで構成される。モータドライバは電動オイルポンプ10eをオフ状態からオン状態へと切り替える時に発熱するので、モータドライバの過熱による構成部品の破損及び寿命の低下を防止する必要がある。このため、電動オイルポンプ10eは作動後の一定時間だけ再起動を禁止するように制御され、一定時間が経過するまでは再びON状態とすることが禁止される。
【0048】
したがって、アイドルストップ制御及びコーストストップ制御の条件が一時的に非成立となり、その直後に再度条件成立となった場合には、前述の一定時間がまだ経過していないので電動オイルポンプ10eの再起動が禁止されており、結果としてエンジン1を停止することができなくなる。
【0049】
例えば、アイドルストップ状態である場合に運転者がブレーキペダルから足を離したことでアイドルストップ条件が非成立となってエンジン1が再始動したような場合には、その後すぐにブレーキペダルが踏み込まれてアイドルストップ条件が再度成立しても、電動オイルポンプ10eの起動禁止タイマ(EOP起動禁止タイマ)が完了するまでは電動オイルポンプ10eを駆動させることができず、この間エンジン1を停止させることができない。これにより、エンジン1の停止が遅れる分だけ燃料消費量が増大して燃費が悪化する。
【0050】
そこで、本実施形態では以下のように電動オイルポンプ10eを制御している。図3はコントローラ12が実行する電動オイルポンプ10eの制御の内容を示したフローチャートである。なお、このフローチャートは規定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
【0051】
ステップS11では、コントローラ12は電動オイルポンプ10eが停止しているか否かを判定する。電動オイルポンプ10eが停止している場合は処理がステップS12へ進み、電動オイルポンプ10eが作動中である場合には処理がステップS15へ進む。
【0052】
ステップS12では、コントローラ12はアイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立するか否かを判定する。アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立する場合には処理がステップS13へ進み、いずれの条件も成立しない場合には処理が終了する。ここで、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件は、前述のアイドルストップ制御及びコーストストップ制御の実行を判定する条件a1〜a6及びb1〜b4である。
【0053】
ステップS13では、コントローラ12はEOP起動禁止タイマが完了したか否かを判定する。EOP起動禁止タイマが完了したと判定された場合には処理がステップS14へ進み、ゼロより大きい場合には処理が終了する。EOP起動禁止タイマは、電動オイルポンプ10eの再起動が禁止される期間をカウントするために設けられるタイマであり、電動オイルポンプ10eを起動後停止した場合に、所定値からゼロとなるまで徐々に低下するように設定される。EOP起動禁止タイマが完了していない場合には、アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立していても電動オイルポンプ10eを起動することができないので処理が終了する。
【0054】
ステップS14では、コントローラ12は電動オイルポンプ10eを起動する。すなわち、アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立し、かつ前回電動オイルポンプ10eを停止してから再起動禁止期間が経過した後である場合、エンジン1を停止させるとともに電動オイルポンプ10eを起動させる。
【0055】
一方、ステップS11において電動オイルポンプ10eが作動中であると判定された場合には、ステップS15においてコントローラ12はアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立であるか否かを判定する。いずれの条件も非成立であると判定される場合には処理がステップS16へ進み、いずれかの条件が成立している場合には処理が終了する。アイドルストップ条件及びコーストストップ条件は前述のステップS12と同一である。なお、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となる時、電動オイルポンプ10eの駆動状態にかかわらずエンジン1が再始動される。
【0056】
ステップS16では、コントローラ12は車両が加速状態であるか否かを判定する。車両が加速状態であると判定される場合には処理がステップS18へ進み、加速状態でないと判定される場合には処理がステップS17へ進む。車両が加速状態であることは以下に示す条件c1〜c4を一つ以上満たすことによって判定される。
【0057】
c1:車両の加速度が負の値(減速状態)から正の値(加速状態)へと変化した
c2:加速状態が所定時間T1以上継続した
c3:車速がアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時点の車速より高車速である
c4:車速がアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時点の車速より高車速である状態が所定時間T2以上継続した
【0058】
なお、条件c2における所定時間T1は、車両が加速状態であることを精度よく判定できる程度の時間に設定される。条件c3及びc4における条件非成立となった時点の車速は、前述のステップS15においてアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立であると判定された時点の車速である。条件c4における所定時間T2は、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時点の車速より高車速であることを精度よく判定できる程度の時間に設定される。
【0059】
ステップS17では、コントローラ12は車両に加速要求があるか否か又は加速要求が予測されるか否かを判定する。加速要求がある又は加速要求が予測されると判定される場合には処理がステップS18へ進み、加速要求がない及び加速要求が予測されないと判定される場合には処理が終了する。車両に加速要求があること又は加速要求が予測されることは、以下に示す条件を一つ以上満たすことによって判定される。
【0060】
d1:アクセルペダルが踏み込まれている(アクセル開度APO≠0)
d2:アクセルペダルが踏み込まれている状態が所定時間T3以上継続した
d3:アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上である
d4:アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上である状態が、所定時間T4以上継続した
d5:アクセルペダルの踏み込み速度が加速判定踏み込み速度(開度/sec)以上である
d6:ブレーキペダルの解放速度が加速判定解放速度(開度/sec)以上である(ブレーキ液圧の低下速度が加速判定解放速度以上)
d7:ブレーキペダルから足が離されてからアクセルペダルが踏み込まれるまでの踏み変え時間が加速判定踏み換え時間以下である
d8:レンジ又はモードが切り替えられた(例えば、Low側の1つ以上の変速段のみで変速を行うSレンジ又はLレンジに切り替えられたこと、マニュアル変速可能なMモードに切り替えられたこと、パドルスイッチによってシフトされたこと、変速マップが全体的にLow側に変更されるパワーモードスイッチがオンにされたこと、後退レンジであるRレンジにシフトされたこと、などによって判断される)
d9:車両の前後方向の加速度、横方向の加速度、又は合成加速度が所定加速度以上である
【0061】
上記条件d1〜d5は加速要求があることを判定するための条件であり、条件d6〜d9は加速要求が予測されることを判定するための条件である。したがって、本ステップでは条件d1〜d9を一つ以上満たすことを判定することにより、運転者の加速意図があるか否かを判定している。
【0062】
なお、条件d2における所定時間T3は、アクセルペダルが踏み込まれていることを精度よく判定できる程度の時間に設定される。条件d3における加速判定踏み込み量は、運転者が加速意図をもってアクセルペダルを踏み込んだことを精度よく判定できる程度の開度に設定される。条件d4における所定時間T4は、運転者が加速意図をもってアクセルペダルを踏み込んだことを精度よく判定できる程度の時間に設定される。条件d5における加速判定踏み込み速度は、運転者が加速意図をもってアクセルペダルを踏み込んだことを精度よく判定できる程度の速度に設定される。条件d6における加速判定解放速度は、運転者が加速意図をもってブレーキペダルを解放したことを精度よく判定できる程度の速度に設定される。条件d7における加速判定踏み換え時間は、運転者が加速意図をもってブレーキペダルからアクセルペダルへと踏み換えを行ったことを精度よく判定できる程度の時間に設定される。
【0063】
すなわち、上記ステップS16及びステップS17では、コントローラ12は、アイドルストップ制御又はコーストストップ制御が中止してからすぐに、再度アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立してアイドルストップ制御又はコーストストップ制御を再開する可能性があるか否かを判定している。
【0064】
ステップS18では、コントローラ12は電動オイルポンプ10eを停止させる。すなわち、前述のステップS16又はS17において車両が加速状態にある又は運転者の加速意図があると判定された場合には、アイドルストップ制御及びコーストストップ制御を直後に再開する可能性が低いと判断して、コントローラ12は電動オイルポンプ10eを停止させる。なおこの場合、エンジン1は始動しているので電動オイルポンプ10eを停止させても必要な油圧は確保される。
【0065】
ステップS19では、コントローラ12はEOP起動禁止タイマを作動させる。これにより、EOP起動禁止タイマが完了するまで、すなわちゼロとなるまで、電動オイルポンプ10eの再起動は禁止される。
【0066】
以上の処理をまとめると、アイドルストップ制御又はコーストストップ制御が行われて電動オイルポンプ10eが作動している場合に、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となっても、車両が加速状態である又は運転者の加速意図があると判定されるまでは電動オイルポンプ10eの作動を継続させる。
【0067】
次に、本実施形態の作用について図4〜図6を参照しながら説明する。図4は、比較例における電動オイルポンプの作動状態を示すタイムチャートである。
【0068】
運転者がブレーキペダルを踏み込むことで車速が低下しているコースト状態で走行中、時刻taにおいてコーストストップ条件が成立して電動オイルポンプ10eが起動する。
【0069】
その後時刻tbにおいて、運転者がブレーキペダルから足を離すことでコーストストップ条件が非成立となり、エンジン1を始動させるとともに電動オイルポンプ10eを停止させる。これにより、EOP起動禁止タイマが作動され、EOP起動禁止タイマが完了するまで電動オイルポンプ10eの再起動は禁止される。
【0070】
その後すぐ時刻tcにおいて、運転者がブレーキペダルを再度踏み込むことによりコーストストップ条件が再度成立する。しかし、EOP起動禁止タイマがまだ完了していないので、電動オイルポンプ10eの再起動は禁止されており、よってコーストストップ制御を行うことができない。
【0071】
時刻tdにおいて、EOP起動禁止タイマが完了し、この時点で電動オイルポンプ10eの再起動が可能になるので、電動オイルポンプ10eを起動してコーストストップ制御を実行する。
【0072】
すなわち、時刻tcからtdまでコーストストップ制御の開始が遅れ、その分だけエンジン1の停止が遅れるので、燃料消費量が増加して燃費が悪化する。
【0073】
図5及び図6は、本実施形態におけるエンジン自動停止車両の作用を示すタイムチャートである。
【0074】
図5に示すように、時刻tbまでは比較例と同様であるが、本実施形態では時刻tbにおいてコーストストップ条件が非成立となった後も、引き続き電動オイルポンプ10eの作動を継続させる。これにより、時刻tcにおいてコーストストップ条件が再度成立した時、電動オイルポンプ10eは既に起動しており、EOP起動禁止タイマに関係なくコーストストップ制御を実行することができる。
【0075】
また、図6に示すように、時刻tbにおいてコーストストップ条件が非成立となった後に電動オイルポンプ10eを引き続き継続して作動させている状態で、時刻teにおいて車両が加速状態である又は運転者の加速意図があると判定されると、電動オイルポンプ10eの作動を停止させる。その後、EOP起動禁止タイマが作動する。
【0076】
すなわち、本実施形態ではコーストストップ条件及びアイドルストップ条件が非成立となった後も、車両が加速状態である又は運転者の加速意図があると判定されるまでは電動オイルポンプ10eの作動を継続させ、直後に再度コーストストップ条件及びアイドルストップ条件が成立する場合に備えている。
【0077】
以上のように本実施形態では、アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が成立して電動オイルポンプ10eを起動している場合に、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時、その後、車両が加速状態である又は運転者に加速意図があると判定されるまで、電動オイルポンプ10eの作動を継続させる。これにより、一時的にアイドルストップ制御又はコーストストップ制御が中断されたような状況において電動オイルポンプ10eが停止してEOP起動禁止タイマが作動することを回避でき、アイドルストップ条件又はコーストストップ条件が再度成立した時に迅速にエンジン1を自動停止させることができる。よって、エンジン1の自動停止による燃費の向上効果を促進させることができる(請求項1、7に対応)。
【0078】
また、コントローラ12は、車両の加速度が負の値(減速状態)から正の値(加速状態)へと変化した場合(条件c1)、加速状態が所定時間T1以上継続した場合(条件c2)、車速がアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時点の車速より高車速である場合(条件c3)、又は車速がアイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった時点の車速より高車速である状態が所定時間T2以上継続した場合(条件c4)、車両が加速状態であるとの判定を行うので、車両の加速状態を容易に精度よく判定することができる(請求項4に対応)。
【0079】
さらに、コントローラ12は、アクセルペダルが踏み込まれている場合(条件d1)、アクセルペダルが踏み込まれている状態が所定時間T3以上継続した場合(条件d2)、アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上である場合(条件d3)、アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上である状態が、所定時間T4以上継続した場合(条件d4)、アクセルペダルの踏み込み速度が加速判定踏み込み速度(開度/sec)以上である場合(条件d5)、ブレーキペダルの解放速度が加速判定解放速度(開度/sec)以上である場合(条件d6)、又はブレーキペダルから足が離されてからアクセルペダルが踏み込まれるまでの踏み変え時間が加速判定踏み換え時間以下である場合(条件d7)、運転者に加速意図があるとの判定を行うので、運転者の加速意図を容易に精度よく判定することができる(請求項5、6に対応)。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態では、電動オイルポンプ10eの駆動継続時間に上限値を設けるため、以下に説明する制御を実行する。なお、車両の全体構成は第1実施形態と同様である。
【0081】
図7は、コントローラ12が実行する電動オイルポンプ10eの制御の内容を示したフローチャートである。なお、このフローチャートは規定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
【0082】
ステップS31〜S35は、第1実施形態のステップS11〜S15と同一である。
【0083】
ステップS36では、コントローラ12は電動オイルポンプ駆動継続タイマ(EOP駆動継続タイマ)を作動させる。EOP駆動継続タイマは、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった後に電動オイルポンプ10eの作動を継続している場合に、電動オイルポンプ10eの連続作動時間が長時間となることを回避するために設定されるタイマである。電動オイルポンプ10eは連続して作動させることでモータドライバが発熱するので、過熱防止のため連続作動時間には上限がある。したがって、EOP駆動継続タイマは、コーストストップ制御及びアイドルストップ制御時の電動オイルポンプ10eの作動時間を考慮して、電動オイルポンプ10eを連続作動させながらモータドライバの過熱を防止できる程度の所定のタイマ値に設定される。
【0084】
このようにして、EOP駆動継続タイマは、電動オイルポンプ10eが起動されてから最初の処理時(ステップS31における判定がYESからNOへと変化した時)には、駆動継続上限時間がタイマ値として設定され、その後の処理時にはタイマ値がカウントされる。
【0085】
ステップS37及びS38は、第1実施形態のステップS16及びS17と同一である。
【0086】
ステップS39では、コントローラ12はEOP駆動継続タイマが完了したか否かを判定する。EOP駆動継続タイマが完了している場合にはステップS40ヘ進み、完了していない場合には処理を終了する。
【0087】
ステップS40及びS41は、第1実施形態のステップS18及びS19と同一である。
【0088】
以上の処理をまとめると、アイドルストップ条件及びコーストストップ条件が非成立となった後に電動オイルポンプ10eの作動を継続している場合に、駆動継続上限時間だけ作動を継続しても車両が加速状態である及び運転者の加速意図があると判定されない場合は、電動オイルポンプ10eの作動を停止させる。
【0089】
次に、本実施形態の作用について図8を参照しながら説明する。図8は本実施形態におけるエンジン自動停止車両の作用を示すタイムチャートである。
【0090】
図8に示すように、時刻tbまでは第1実施形態と同様であるが、本実施形態では時刻tbにおいてコーストストップ条件が非成立となった時、EOP駆動継続タイマを作動させる。EOP駆動継続タイマは時刻tbにおいて駆動継続上限時間までステップ的に増加した後、時間の経過とともに徐々に低下していく。
【0091】
その後、時刻tfとなるまでの間、車速はほぼ一定であり、かつ車両の加速状態及び運転者の加速意図が検出されない。例えば、車両が下り坂を走行中であり、車両が勾配によって受ける加速方向の力と、エンジンブレーキや抵抗などから受ける制動力とがバランスしている状況では、アクセルペダル及びブレーキペダルをともに踏み込んでいないコースト状態で車速が一定に保持されることがある。このような場合に、時刻tfにおいてEOP駆動継続タイマがゼロとなると、車両の加速状態及び運転者の加速意図が判定されていなくても電動オイルポンプ10eの作動を停止させる。
【0092】
以上のように本実施形態では、コーストストップ条件及びアイドルストップ条件が非成立となった後に電動オイルポンプ10eの作動を継続させている場合であっても、条件非成立となってから駆動継続上限時間が経過した場合は、車両の加速状態及び運転者の加速意図が検出されていなくても電動オイルポンプ10eの作動を停止させるので、電動オイルポンプ10eの作動を長時間継続させることを回避することができる。よって、電動オイルポンプ10eの連続作動によるモータドライバの過熱によって、次回作動時に電動オイルポンプ10eの作動継続可能な時間が短くなることを抑制することができる(請求項2に対応)。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0094】
例えば、上記第1及び第2の実施形態では、コーストストップ条件及びアイドルストップ条件が非成立となった後、車両の加速状態又は運転者の加速意図が判定されるまで、又はEOP駆動継続タイマが完了するまでは、電動オイルポンプ10eの作動を継続させるが、この場合の電動オイルポンプ10eの指示電流をエンジン1の作動状態に応じて通常起動時より低く設定してもよい。
【0095】
すなわち、図9のタイムチャートに示すように、コーストストップ制御中又はアイドルストップ制御中は電動オイルポンプ10eの指示電流を所定の指示電流とすることで必要油圧を確保し(時刻ta〜tb)、コーストストップ条件及びアイドルストップ条件が非成立となった後は指示電流を所定の指示電流より低い値に設定する(tb〜tc)。この間は、エンジン1が再始動してメカオイルポンプ10mが作動しているので、電動オイルポンプ10eの吐出圧が低下しても必要油圧は十分に確保される。また、再度コーストストップ条件又はアイドルストップ条件が成立すると電動オイルポンプ10eの指示電流を通常時の所定の指示電流へと戻すことでエンジン1が停止しても必要な油圧を確保することができる(tc以降)。
【0096】
これにより、メカオイルポンプ10mが作動している間は電動オイルポンプ10eの指示電流を抑制することができるので、電動オイルポンプ10eの電力消費を抑制して、新たにバッテリ13を充電するために必要なエンジン1の燃料消費量を抑えて燃費を向上させることができる(請求項3に対応)。
【符号の説明】
【0097】
1 エンジン
10e 電動オイルポンプ(第2オイルポンプ)
10m メカオイルポンプ(第1オイルポンプ)
12 コントローラ(加速判定手段、オイルポンプ制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止条件が成立した時、自動停止するとともに、再始動条件が成立した時、再始動するエンジンと、
前記エンジンによって駆動される第1オイルポンプと、
前記エンジンの自動停止中に作動する第2オイルポンプと、
前記車両が加速状態であるかの判定、加速要求があるかの判定、及び加速要求が予測されるかの判定、の加速条件判定のうち一つ以上を行う加速判定手段と、
前記停止条件が成立した時、前記第2オイルポンプを作動させ、前記再始動条件が成立してから前記加速判定手段による判定が行われるまでの間、前記第2オイルポンプの作動を継続させるオイルポンプ制御手段と、
を備えることを特徴とするエンジン自動停止車両。
【請求項2】
前記オイルポンプ制御手段は、前記再始動条件が成立してから駆動継続上限時間が経過した時、前記加速条件判定が成立していなくても前記第2オイルポンプの作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載のエンジン自動停止車両。
【請求項3】
前記オイルポンプ制御手段は、前記再始動条件が成立した後は、前記再始動条件が成立する前より低出力で前記第2オイルポンプの作動を継続させることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン自動停止車両。
【請求項4】
前記加速判定手段は、前記車両の加速度が負の値から正の値へと変化したこと、加速度が正の値である状態が継続したこと、車速が前記再始動条件が成立した時点における車速より高くなったこと、又は車速が前記再始動条件が成立した時点における車速より高い状態が継続したこと、のうち一つ以上に基づいて、前記車両が加速状態であるかの判定を行うことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のエンジン自動停止車両。
【請求項5】
前記加速判定手段は、アクセルペダルの踏み込み量がゼロより大きくなったこと、前記アクセルペダルの踏み込み量がゼロより大きい状態が継続したこと、前記アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上となったこと、前記アクセルペダルの踏み込み量が加速判定踏み込み量以上である状態が継続したこと、又は前記アクセルペダルの踏み込み速度が加速判定踏み込み速度以上となったこと、のうち一つ以上に基づいて、前記加速要求があるかの判定を行うことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジン自動停止車両。
【請求項6】
前記加速判定手段は、ブレーキペダルの解放速度が加速判定解放速度以上となったこと、又は前記ブレーキペダルの踏み込み量がゼロとなってからアクセルペダルの踏み込み量がゼロより大きくなるまでに要する時間が加速判定踏み換え時間以下であること、のうち一つ以上に基づいて、前記加速要求が予測されるかの判定を行うことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のエンジン自動停止車両。
【請求項7】
停止条件が成立した時、自動停止するとともに、再始動条件が成立した時、再始動するエンジンと、前記エンジンによって駆動される第1オイルポンプと、前記エンジンの自動停止中に作動する第2オイルポンプとを備えるエンジン自動停止車両の制御方法であって、
前記車両が加速状態であるかの判定、加速要求があるかの判定、及び加速要求が予測されるかの判定、の加速条件判定のうち一つ以上を行う判定手順と、
前記停止条件が成立した時、前記第2オイルポンプを作動させ、前記再始動条件が成立してから前記判定手順による判定が行われるまでの間、前記第2オイルポンプの作動を継続させる継続手順と、
を含むことを特徴とするエンジン自動停止車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−52640(P2012−52640A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197722(P2010−197722)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】