説明

オイルフィルターシステム用放出添加剤組成物

【課題】 エンジンオイルフィルター用持続放出型液体添加剤濃縮物の改善が要望される。
【解決手段】 少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤とを含んで成る添加剤濃縮物が提供される。当該添加剤濃縮物のタンジェントデルタは約5以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放出添加剤濃縮液およびオイルフィルターシステム内でのその使用法を対象とする。より具体的には本開示は、少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤を含有する放出添加剤を含んで成るオイルフィルターを備えたエンジンのオイルドレーンの間隔を延長する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンの燃焼過程で、鉱物および有機酸性副産物が生成される。同時に、内燃エンジン中で使用される潤滑剤の分解により、他の酸性物質が生成されることもある。このような副産物は高温での堆積物形成、低温でのスラッジ形成、および各種エンジンパーツの腐食の原因となり、最終的には潤滑されたエンジン成分の磨耗の増加につながる。スラッジ形成や高温での堆積物形成、およびエンジンパーツの磨耗促進のサイクルを断つため、潤滑剤には通常、当該の酸性物質を中和するための塩基性の物質が含まれる。
【0003】
しかしながら、その耐用年数を通した潤滑剤組成物の塩基性の保持能力が問題である。オイルの塩基性が維持できないと、例えば推奨されたオイル交換の間隔よりも頻繁なオイル交換が必要とされるなど、車のダウンタイムが劇的に増加したり、エンジンの寿命が劇的に減少することがある。
【0004】
従って、長期にわたって潤滑剤組成物の塩基性を維持することができれば、例えばスラッジ形成や高温での堆積物形成、および腐食の可能性を劇的に低下させ、またメンテナンスの時間を低減しエンジンの寿命を延長することができる。
【0005】
上述に関し、当開示の例示的実施例に基づいて、エンジンオイルフィルター用の持続放出型液体添加剤濃縮物、およびエンジンのオイルドレーンの間隔を延長する方法を提供する。当該添加剤濃縮物中には少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤が含まれる。また当該添加剤濃縮物のタンジェントデルタは約5以上である。
【0006】
別の例示的実施例では、自動車のオイルドレーンの間隔を延長する方法が開示される。この方法には、エンジンオイル中に一定間隔で放出される放出添加剤液を含んだオイルフィルターを自動車に取り付けることが含まれる。当該放出添加剤液には少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤が含まれ、また当該放出添加剤液のタンジェントデルタは約5以上である。
【0007】
当開示の添加剤および方法の利点は、添加剤濃縮物のために特定の処理条件を必要とすることなくエンジンのオイルドレーンの間隔が劇的に延長されることである。言い換えると、オイルフィルターを通して添加剤を潤滑油システムに制御放出するため、固体あるいは反固体ではなく液体の添加剤濃縮物が有利に使用される。本開示のその他の目的および利点は、以下の部分的な説明により、および/または本開示を実行することによって理解することができる。本開示の目的および利点は、添付の請求項で特に指摘されている要素およびそれらの組み合わせによって実現・達成される。
【0008】
前述の概要および以下の詳しい説明は、共に例示および説明のみを目的としたものであり、請求されたとおりに開示を制限するものではない。
【0009】
本開示の目的のため、流体の「タンジェントデルタ」とは流体のレオロジー特性のことであり、流体の小振幅振動せん断試験によって測定される流体の損失率と貯蔵率の比率で
あると定義される。従って、当該添加剤濃縮物は実質的に液体状であり、そのタンジェントデルタは約5またはそれ以上である。
【例示的実施例の説明】
【0010】
本開示に基づいて、フィルターを通してオイルに加えられる液体添加剤濃縮物を使用することにより、エンジン内の非塩基性オイル/酸性オイルが減少され、それにより腐食の可能性を低減する、自動車のメンテナンスの時間を縮小する、またエンジンの寿命を延長するなどの特性のうち少なくとも一つが達成される。さらに潤滑組成物の塩基性は、オイルを所定量の添加剤濃縮物に接触させることにより、維持あるいは増加される。いかなる特定の理論にも限定されることなく、添加剤濃縮物中の洗浄剤が潤滑組成物内にゆっくり放出され、それにより潤滑組成物の寿命を通して潤滑組成物のTBNが維持および/または増加されるため、開示された添加剤濃縮物を使用することによって上記に開示された少なくとも一つの特性が達成されると考えられている。当該洗浄剤のTBNは、適切に少なくとも約100である。当技術分野の通常の技術を有する者には、潤滑組成物の寿命がエンジン操作、エンジンの種類、エンジンのサービス、車のマイル数、潤滑組成物中の塩基性オイルの質、その他を含みそれらに限定されることのない、いくつかの要因に基づいていることが理解される。
【0011】
添加剤濃縮物を使用することによって恩恵を受けるエンジンには、内燃エンジン、固定エンジン、発電機、ディーゼルおよび/またはガソリンエンジン、高速用エンジンおよび/またはオフハイウェイ用エンジン、2サイクルエンジン、航空エンジン、ピストンエンジン、船舶用エンジン、鉄道用エンジン、生分解性燃料エンジン、その他が含まれるが、それらに限定はされない。一つの実施例において、当該エンジンには排ガス再循環装置、触媒コンバーター、ディーゼル粒子フィルター、NOトラップ等の後処理装置が装備されている。
【0012】
本明細書で使用される「放出」という用語は、添加剤組成物の成分が例えば潤滑組成物の寿命を通して、長期にわたって放出されることを意味すると理解される。放出の速度は、潤滑システム内での添加剤組成物の存在箇所、添加剤組成物の組成、組成物の形態、および/または添加剤組成物を潤滑組成物に加える添加様式など、いくつかの要因によって調整される。当技術分野の通常の技術を有する者は、添加剤組成物の希望の放出速度を得るために、上述のいずれかおよび/またはすべての要因を調整することもできる。
【0013】
添加剤濃縮物は、潤滑組成物と接触している限り、潤滑システム内のどこに位置していても良い。例えば添加剤濃縮物は、フィルター、ドレインパン、オイルのバイパスループ、キャニスター、ハウジング、タンク、フィルターのコンパートメント、フィルター内のキャニスター、バイパスシステム内のキャニスターなどのうち少なくとも一つに位置することができる。ある実施例では、当該潤滑システムはオイルフィルターを含んで成り、当該のオイルフィルターには本明細書で開示された添加剤濃縮物が含まれている。
【0014】
別の実施例では、当該オイルフィルターは、例えば非拡散性の境界で仕切り、それによって少なくとも一つの添加剤コンパートメントを作ることのできる、スリーブやカップなどのハウジングを含んで成る。添加剤組成物および/または使用済みの添加剤組成物をフィルターを取り除いた際に容易に除去し、新しい添加剤組成物および/またはリサイクルの添加剤組成物に交換することができることから、添加剤濃縮物の置き場としてフィルターは望ましい場所であるといえる。
【0015】
さらに、添加剤濃縮物はオイルフィルターの添加剤コンパートメント内に存在するが、当該添加剤コンパートメントは、ある期間にわたって所定量の添加剤濃縮物をオイルに添加するための、少なくとも一つの添加剤計測穴を含んで成る。当該の少なくとも一つの穴
を、運搬の目的のため、ワックスあるいはその他の油溶性またはオイルに融解可能な物質などの脂肪性の物質で覆うことができる。この脂肪性の物質は、熱いオイルと接触するとある期間にわたって浸食、分解、あるいは溶けてなくなり、添加剤濃縮物が潤滑剤組成物中に放出される。この脂肪性の物質は、添加剤濃縮物あるいは潤滑剤組成物の特性のいずれかおよび/またはすべてに対し有害なものではないと考えられている。
【0016】
さらに別の実施例では、添加剤濃縮物は潤滑システム内の別の場所におかれる。例えば、放出添加剤はオイルフィルターの外側の「汚れている」サイド、またはオイルフィルターの外側の「きれいな」サイドにおかれる。添加剤濃縮物の位置に関わらず、当該添加剤濃縮物は潤滑組成物の寿命を通して、などの所定の期間にわたって潤滑組成物中に放出されるように意図されている。
【0017】
潤滑組成物の寿命を通して潤滑組成物のTBNが維持されるか増加される限り、潤滑組成物中に放出される添加剤濃縮物の量はいかなる有効量でもかまわない。例えば潤滑組成物のTBNは、開示された添加剤濃縮物と潤滑組成物とを組み合わせる/混合する/混ぜることによって維持されるおよび/または増加される。潤滑組成物のTBNを維持または増加させることにより、エンジンオイルドレーンの間隔が現在製造業者によって勧められている間隔と比較して延長されると考えられている。
【0018】
ある実施例では、乗用車のエンジンオイルドレーンの間隔は、通常のサービス間隔よりも約10,000マイルなどのように、約7,500マイル以上延長される。別の実施例では、トラック隊のトラックのエンジンオイルドレーンの間隔は、通常のトラック隊のサービス間隔よりも例えば約25,000以下、約15,000マイル以上、更なる例では約35,000マイル以上延長される。
【0019】
潤滑組成物は少量の添加剤濃縮物を含んで成る。本明細書で使用される「少量」とは、潤滑組成物の総重量に対し、例えば約40重量%以下、さらには約30重量%以下などのように、約50重量%以下であると理解されるものである。ある実施例では、添加剤濃縮物は、潤滑組成物の総重量に対し約0.0001重量%から約49.9重量%の間の量で提供される。
【0020】
本開示によると、添加剤濃縮物は、TBNが少なくとも約100である少なくとも一種類の洗浄剤、少なくとも一種類の抗酸化剤、および追加として少なくとも一種類の粘度指数向上剤を含んで成る。本明細書で使用される「洗浄剤」とは、スルホン酸塩、フェネート、サリチル酸塩、カルボン酸塩、およびそれらの組み合わせの中から選択され、TBNが少なくとも約100であるような洗浄剤を意味すると考えられている。従って洗浄剤は、市販の過塩基性スルホン酸カルシウム洗浄剤、Mg、Ba、Li、Sr、Na、Ca、Kなどのようなアルカリ金属やアルカリ土類金属を含有した過塩基性洗浄剤、およびそれらの混合物の中から選択される。過塩基性のアルカリ金属洗浄剤やアルカリ土類金属洗浄剤の非限定的な例としては、スルホン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、フェネートナトリウム、硫化フェネートナトリウム、スルホン酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルシウムフェネート、硫化カルシウムフェネート、スルホン酸リチウム、カルボン酸リチウム、サリチル酸リチウム、リチウムフェネート、硫化リチウムフェネート、スルホン酸マグネシウム、カルボン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、マグネシウムフェネート、硫化マグネシウムフェネート、スルホン酸カリウム、カルボン酸カリウム、サリチル酸カリウム、カリウムフェネート、硫化カリウムフェネートなどが挙げられる。
【0021】
好適な洗浄剤はマンニッヒ縮合物の金属塩の中からも選択される。洗浄剤として使用されるマンニッヒ縮合物は、アルキルフェノール、ホルムアルデヒド、またはアルデヒドと
、アンモニア、低級アルキルアミン、およびポリアミンの中から選択された窒素塩基、およびそれらの混合物を使用して調整される。
【0022】
マンニッヒ縮合物の調整に使用されるアルキルフェノール上のアルキル基は、分岐鎖アルキル基、直鎖アルキル基、またはそれらの混合物である。望ましくは当該アルキル基は炭素数が約4から約60以下の分岐鎖アルキル基である。さらに望ましくは、炭素数は6から約40以下、最も望ましくは炭素数は約8から約20以下である。
【0023】
上述の洗浄剤はそれぞれ、単独で使用されるか、または使用される上述のふたつ以上の洗浄剤の組み合わせで使用される。市販の過塩基性洗浄剤製品は、二酸化炭素を石灰(水酸化カルシウム)とアルキルベンゼンスルホン酸洗浄剤の混合物と反応させて、炭酸カルシウムを含有したミセルを形成することによって形成される。洗浄剤生成物が塩基性になるように、当量以上の石灰と二酸化炭素が使用される。
【0024】
このような物質は、洗浄剤の塩基容量の測定値である全アルカリ価(TBN)の観点から便宜良く説明される。本明細書での使用に適した洗浄剤のTBNは約100から約600、例えば約200から約500また例えば約300から約400であり得る。洗浄剤の混合物が使用される場合、少なくとも一つの洗浄剤のTBNが少なくとも300であることが望ましい。
【0025】
当該の洗浄剤は添加剤濃縮物中に、添加剤濃縮物の総重量に対して約60重量%から約90重量%、例えば約70重量%から約80重量%などのように、当技術分野の通常の技術を有する者によって容易に決定することのできる任意の有効量で存在することができる。さらに当該洗浄剤の活性成分の含有量は約60%、あるいはそれ以上である。本明細書で使用される「活性成分の含有量」とは、プロセスオイルや希釈剤のような洗浄剤中の不活性成分に対する、洗浄化合物の量を指す。
【0026】
添加剤濃縮物は、さらに少なくとも一種類の抗酸化剤を含んで成る。本開示に基づいて使用することのできる抗酸化剤の種類には特定の制限はない。本明細書での使用に適した抗酸化剤には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールのようなアルキル置換フェノール、硫化フェネート、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、ヒンダードフェノール、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに制限はされない。
【0027】
一つの例示的実施例において、抗酸化剤は、ジアリルアミンやジアリルアミンのアルキル誘導体(例えばジフェニルアミン、ビス−ノニル化ジフェニルアミン、ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ビス−オクチル化ジフェニルアミン、ビス−デシル化ジフェニルアミン、デシルジフェニルアミン)、およびそれらの混合物などのようなアミンである。
【0028】
別の例示的実施例において、抗酸化剤は、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどの立体的に込み合ったフェノール;4−エチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−プロピル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ブチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ペンチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘキシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘプチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−(2−エチルヘキシル)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−オクチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ノニル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−デシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ウンデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ドデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−トリデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−テトラデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4,4−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4−メチレンビス(2−t−アミル−o−クレゾール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6ジ−t−ブチルフェノール)などのメチレン架橋の立体的に込み合ったフェノール、およびそれらの組み合わせである。さらに、機能化されたヒンダードフェノールを含む立体的に込み合ったフェノールの誘導体は、本明細書での使用に適している。ヒンダードフェノールの機能化に使用される官能基には、エステル、チオエステル、アルキル基、アミン、ケトン、アミド、スルホキシド、およびスルホンなどが含まれるが、これらに限定はされない。
【0029】
別の好適な抗酸化剤として、水性KOHのような塩基性触媒の条件下で2,6−ジアルキルフェノールをアクリレートエステルと共に加熱することによって調整される、エステル置換のヒンダードフェノールがある。
【0030】
当該抗酸化剤は、放出添加剤組成物の総重量に対して約10重量%から約40重量%、例えば約15重量%から約30重量%などの任意の有効量で添加剤濃縮物中に存在する。
【0031】
添加剤濃縮物には、随意に一種類以上の粘度調整剤(VM)が含まれる。粘度調整剤(VM)は潤滑油に高温および低温での操作性を与えるよう機能する。好適な粘度調整剤には、ポリイソブチレン、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、および高級アルファオレフィン、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸およびビニル化合物のコポリマー、スチレンおよびアクリル系エステルのインターポリマー、およびスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、およびイソプレン/ブタジエンの部分的に水素化されたコポリマー、そしてブタジエンとイソプレンおよびイソプレン/ジビニルベンゼンの部分的に水素化されたホモポリマーの中から選択された窒素を含有していない粘度調整剤がある。
【0032】
添加剤濃縮物中の粘度調整剤の量は広範囲にわたって様々である。しかしながら、所定の期間にわたって所定量の添加剤濃縮物を潤滑剤組成物にもたらすのに適した量の粘度調整剤を含んでいることが望ましい。粘度調整剤の量は、添加剤濃縮物がゲル、固体、あるいは半固体の特性を表す原因となる量よりも少なくなくてはならない。従って添加剤濃縮物には、添加剤濃縮物の総重量を基にして、約0重量パーセントから約20重量パーセントの粘度調整剤が含まれる。
【0033】
現在のモーターオイルのような潤滑組成物は、あらかじめ形成された添加剤パッケージを精製基油ストックまたは合成基油ストックと組み合わせることによって作られる。潤滑組成物は各種の異なった潤滑剤パッケージを含んで成る。潤滑剤は液体状である方が扱いや測量が容易であるため、通常固体である添加剤は一般に少量の基油ストックに溶解される。本開示のある実施例では、当該添加剤濃縮物のオイル含有量は、添加剤濃縮物の総重量を基にして約5重量%から約30重量%などのように、約50重量%以下である。
【0034】
当該添加剤濃縮物の調整用に使用するのに適した基油は、合成油、鉱油、またはそれらの混合物のいずれかから選択される。鉱油には、パラフィン系、ナフテン系、またはパラフィン−ナフテン混合系の、溶媒や酸で処理されたミネラル潤滑油や液体石油のような他のミネラル潤滑油に加え、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラードなど)が含まれる。石炭や頁岩から得られたオイルもまた好適である。さらに、ガス・ツー・リキッドプロセスから得られたオイルもまた好適である。
【0035】
基油の粘度は、目的に適した任意の粘度でよい。好適なエンジンオイルの100℃での動的粘度はたとえば約2cStから約150cSt、またさらなる例では約5cStから
約15cStである。従って、たとえば基油は、添加剤濃縮物の粘度を100℃で約10cStから約50cStにするように選択される。
【0036】
合成油の非限定的な例には、ポリマー化およびインターポリマー化されたオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン・イソブチレンコポリマーなど)のような炭化水素油;ポリ(1−ヘキセン)、ポリ−(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)等、およびそれらの混合物のようなポリアルファオレフィン;アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジ−ノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど);アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化ジフェニルスルフィド、およびそれらの誘導体、類似体および同族体などが含まれる。
【0037】
末端ヒドロキシル基がエステル化やエーテル化などで修正されているアルキレンオキサイドポリマー、インターポリマー、およびそれらの同族体などは、既に知られている別の種類の使用可能な合成油の構成要素となる。このようなオイルは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのポリマー化によって調整されたオイル、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルおよびアリルエーテル(例えば平均分子量約1000のメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量約500−1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量約1000−1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテルなど)、またはそれらのモノカルボン酸エステルあるいはポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、C3−8の混合脂肪酸エステル、またはC13のオキソ酸ジエステルなどによって例証される。
【0038】
使用される別の種類の合成油には、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)と各種アルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)のエステルが含まれる。これらのエステルの具体例として、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、セバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2モルおよび2−エチルヘキサン酸2モルを反応させることによって形成されるエステル錯体などが挙げられる。
【0039】
合成油として有用なエステルにはまた、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールのような、C5−12のモノカルボン酸、ポリオール、またポリオールエーテルなどが含まれる。
【0040】
従って、本明細書に記載の組成物の生成に使用される基油は、米国石油協会(API)の基油互換性規定に指定されているグループI−Vの基油のいずれかから選択することができる。
【0041】
グループIには90%以下の飽和および/または0.03%以上の硫黄が含まれており、粘度指数は80以上120以下である;グループIIには90%以上の飽和と0.03%以下の硫黄が含まれており、粘度指数は80以上120以下である;グループIIIには90%以下の飽和と0.03%以下の硫黄が含まれており、粘土指数は120以上である;グループIVはポリアルファオレフィン(PAO)である;またグループVにはグループI、II、III、またはIVに含まれていないその他すべてのベースストックが含まれる。
【0042】
上記のグループを定義するために使用されたテスト方法は、飽和度についてはASTM
D2007、粘度指数にはASTM D2270、また硫黄についてはASTM D2622、4294、4927、および3120のうちの一つであった。
【0043】
グループIVのベースストック、即ちポリアルファオレフィン(PAO)には、アルファオレフィンの水素化されたオリゴマーが含まれ、オリゴマー化の最も重要な方法は、フリーラジカル工程、ジーグラー触媒作用、および陽イオン性フリーデル・クラフツ触媒作用である。
【0044】
ポリアルファオレフィンの粘度は一般的に100℃で2cStから100cStの範囲、例えば100℃で4cStから8cStの範囲である。これらは、例えば、炭素数が約2から約30の分岐あるいは直鎖のアルファオレフィンのオリゴマーで、非限定的な例には、ポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン、およびポリ−1−デセンが含まれる。ホモポリマー、インターポリマー、およびそれらの混合物もまた含まれる。
【0045】
上記で引用されたベースストックのバランスに関して、「グループIのベースストック」にはまた、結果として得られる混合物がグループIのベースストックに指定された範囲内に含まれる特性を有することを条件として、他の一つ以上のグループからのベースストックと混合することのできるグループIのベースストックも含まれる。
【0046】
例示的なベースストックには、グループIのベースストックおよびグループIIのベースストックとグループIのブライトストックとの混合物が含まれる。
【0047】
本明細書での使用に適したベースストックは、蒸留、溶剤精製、水素プロセス、オリゴマー化、エステル化、および再精製などのプロセスを含み、またこれらに限定されることのない各種の異なったプロセスを用いて作ることができる。
【0048】
基油は、フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素から得られたオイルである。フィッシャー・トロプシュ合成された炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用して、HおよびCOを含有した合成ガスから作られる。このような炭化水素を基油として有用なものとするためには、一般にさらなるプロセスが必要である。例えば、当該炭化水素は、米国特許第6,103,099号または6,180,575号に記載のプロセスを用いて水素異性化したり、米国特許第4,943,672号または6,096,940号に記載のプロセスを用いて水素化分解および水素異性化したり、米国特許第5,882,505号に記載のプロセスを用いて脱ろうしたり、または米国特許第6,013,171号、6,080,301号、または6,165,949号に記載のプロセスを用いて水素異性化および脱ろうすることができる。
【0049】
鉱油であれ合成油であれ(これら任意の二つ以上の混合物も同様に)、本明細書上記に開示された種類の未精製オイル、精製オイル、および再精製オイルを基油中で使用することができる。未精製のオイルは、鉱油または合成油源から精製処理されずに直接得られたものである。未精製のオイルには、例えば、レトルト工程から直接得られたシェール油、一次蒸留から直接得られた石油、またはエステル化工程から直接得られてさらなる処理を受けずに使用されたエステル油などがある。精製オイルは、一つ以上の特性を向上させるために一つ以上の精製ステップで処理されていることを除けば、未精製のオイルと同様である。溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、透過などのような精製技術の多く
は、当技術分野に精通した技術者に知られている。再精製オイルは、精製オイルを得るために使用したプロセスと同様のプロセスを、すでに使用された精製オイルに適用することによって得られる。このような再精製オイルは、再生油または再処理油としても知られ、またしばしば、使用済みの添加剤、汚染物質、およびオイルの崩壊産物の除去を目的とした技術によってさらに処理される。
【0050】

以下の例は本発明およびその有利な特性を例証するものである。本明細書の他の箇所と同様、この例において、すべてのパーツおよびパーセンテージは特に別段の記載がない限り重量パーツおよび重量パーセンテージを表す。以下の例は例証のみを目的としており、本明細書に開示された発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【0051】
添加剤濃縮物は、添加剤濃縮物の基油の量を約30重量パーセント未満とするのに十分な基油の量で、活性成分の含有量が約64%である500TBNのスルホン酸カルシウム洗浄剤のような過塩基性洗浄剤75重量%を、アルキル化ジフェニルアミンのような抗酸化剤25重量%と混合することによって生成される。
【0052】
本明細書および添付の請求項の英文において、「a」、「an」、および「the」などの単数形を表す単語が使用されていても、明白に単数であることが限定されていない限り、複数の意を含むことに注意されたい。従って、例えば「an antioxidant」という表現には二つ以上の異なった抗酸化剤が含まれる。また、本明細書で使用される「含む(include)」という表現およびその文法的な変化形は、リストに挙げられた項目が、それらに代用する、あるいは付加され得る他の同様の項目を除外しないように、非限定的であることを意図したものである。
【0053】
本明細書および添付の請求項の目的のため、特記されていない限り、数量やパーセンテージ、または比率を表す全ての数値、また明細書および請求項で使用されている他の数値はすべて、あらゆる場合において「約」という言葉で修飾されていると考えられる。従ってそれに反する指定がない限り、明細書および添付の請求項で示されている数値パラメータは、本開示によって得ようとされている希望の特性によって変化し得る近似値である。少なくとも、また当請求項の範囲に対する均等の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも報告された多くの有効数字と通常の四捨五入の適用を考慮に入れて解釈されるべきものである。
【0054】
特定の実施例について説明してきたが、現時点で予見されていない、あるいは予見できない代替案、変更、変化、改良点、および実質的に対応する内容が出願人あるいは当技術分野に精通した他の技術者に発見されることもあり得る。従って添付の、提出されまた修正される可能性のある請求項は、このような代替案、変更、変化、改良点、および実質的に対応する内容をすべて含むことを意図している。
【0055】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
1.少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤とを含んで成る、エンジンオイルフィルター内で使用する、持続放出性液体添加剤濃縮物であり、当該添加剤濃縮物のタンジェントデルタが約5以上であることを特徴とする持続放出性液体添加剤濃縮物。
2.洗浄剤のTBNが約100から約600の間であるような、上記1に記載の添加剤濃縮物。
3.洗浄剤のTBNが約200から約500の間であるような、上記1に記載の添加剤濃縮物。
4.濃縮物の活性成分の含有量が、濃縮物の総重量に対し少なくとも約60重量%であるような、上記1に記載の添加剤濃縮物。
5.洗浄剤が、スルホン酸塩、フェネート、サリチル酸塩、カルボン酸塩、金属塩、マンニッヒ縮合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記1に記載の添加剤濃縮物。
6.洗浄剤が、スルホン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、フェネートナトリウム、硫化フェネートナトリウム、スルホン酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルシウムフェネート、硫化カルシウムフェネート、スルホン酸リチウム、カルボン酸リチウム、サリチル酸リチウム、リチウムフェネート、硫化リチウムフェネート、スルホン酸マグネシウム、カルボン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、マグネシウムフェネート、硫化マグネシウムフェネート、スルホン酸カリウム、カルボン酸カリウム、サリチル酸カリウム、カリウムフェネート、硫化カリウムフェネート、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記1に記載の添加剤濃縮物。
7.洗浄剤が、添加剤濃縮物の総重量に対して約60重量%から約90重量%の量で存在する、上記1に記載の添加剤濃縮物。
8.洗浄剤が、添加剤濃縮物の総重量に対して約70重量%から約80重量%の量で存在する、上記1に記載の添加剤濃縮物。
9.抗酸化剤が、アルキル置換フェノール、硫化フェネート、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ヒンダードフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記1に記載の添加剤濃縮物。
10.ヒンダードフェノールが、エステル、チオエステル、アルキル基、アミン、ケトン、アミド、スルホキシドおよびスルホンから成る群から選択された少なくとも一つの官能基を含んで成る、上記9に記載の添加剤濃縮物。
11.ヒンダードフェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−エチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−プロピル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ブチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ペンチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘキシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘプチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−(2−エチルヘキシル)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−オクチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ノニル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−デシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ウンデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ドデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−トリデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−テトラデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4,4−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4−メチレンビス(2−t−アミル−o−クレゾール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6ジ−t−ブチルフェノール)、のようなメチレン架橋の立体的に込み合ったフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記9に記載の添加剤濃縮物。
12.芳香族アミンが、ジアリルアミン、ジアリルアミンのアルキル誘導体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記9に記載の添加剤濃縮物。
13.添加剤濃縮物に実質的に窒素含有分散剤が含まれていない、上記1に記載の添加剤濃縮物。
14.抗酸化剤が、添加剤濃縮物の総重量に対して約10重量%から約40重量%の量で存在している、上記1に記載の添加剤濃縮物。
15.抗酸化剤が、添加剤濃縮物の総重量に対して約15重量%から約30重量%の量で存在している、上記1に記載の添加剤濃縮物。
16.濃縮物が窒素原子を含有しない粘度指数向上剤をさらに含んで成る、上記1に記載の添加剤濃縮物。
17.濃縮物が、添加剤濃縮物の総重量に対して約5重量%から約30重量%以下の量のオイルをさらに含んで成る、上記1に記載の添加剤濃縮物。
18.エンジンオイル中に一定間隔で放出される放出添加剤液を含んで成るオイルフィルターを自動車につけることを含む自動車のオイルドレーンの間隔を延長する方法であって、当該放出添加剤液には少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤が含有されており、また当該放出添加剤液のタンジェントデルタが約5以上である、ことを特徴とする方法。
19.洗浄剤のTBNが約100から約600の間である、上記18に記載の方法。
20.洗浄剤のTBNが約200から約500の間である、上記18に記載の方法。
21.放出添加剤の活性成分の含有量が添加剤の総重量に対し少なくとも約60重量%である、上記18に記載の方法。
22.洗浄剤が、スルホン酸塩、フェネート、サリチル酸塩、カルボン酸塩、金属塩、マンニッヒ縮合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択された上記18に記載の方法。
23.洗浄剤が、スルホン酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、フェネートナトリウム、硫化フェネートナトリウム、スルホン酸カルシウム、カルボン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、カルシウムフェネート、硫化カルシウムフェネート、スルホン酸リチウム、カルボン酸リチウム、サリチル酸リチウム、リチウムフェネート、硫化リチウムフェネート、スルホン酸マグネシウム、カルボン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、マグネシウムフェネート、硫化マグネシウムフェネート、スルホン酸カリウム、カルボン酸カリウム、サリチル酸カリウム、カリウムフェネート、硫化カリウムフェネート、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記18に記載の方法。
24.洗浄剤が、放出添加剤の総重量に対して約60重量%から約90重量%の量で存在する、上記18に記載の方法。
25.洗浄剤が、放出添加剤の総重量に対して約70重量%から約80重量%の量で存在する、上記18に記載の方法。
26.抗酸化剤が、アルキル置換フェノール、硫化フェネート、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ヒンダードフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記18に記載の方法。
27.ヒンダードフェノールが、エステル、チオエステル、アルキル基、アミン、ケトン、アミド、スルホキシド、およびスルホンから成る群から選択された少なくとも一つの官能基をさらに含んで成る、上記26に記載の方法。
28.ヒンダードフェノールが、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−エチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−プロピル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ブチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ペンチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘキシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ヘプチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−(2−エチルヘキシル)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−オクチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ノニル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−デシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ウンデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−ドデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−トリデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4−テトラデシル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール;4,4−メチレンビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4−メチレンビス(2−t−アミル−o−クレゾール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6ジ−t−ブチルフェノール)のようなメチレン架橋の立体的に込み合ったフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記26に記載の方法。
29.芳香族アミンが、ジアリルアミン、ジアリルアミンのアルキル誘導体、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、上記26に記載の方法。
30.放出添加剤に実質的に窒素含有分散剤が含まれていない、上記18に記載の方法。31.抗酸化剤が、放出添加剤の総重量に対して約10重量%から約40重量%の量で存在する、上記18に記載の方法。
32.抗酸化剤が、放出添加剤の総重量に対して約15重量%から約30重量%の量で存在する、上記18に記載の方法。
33.放出添加剤が窒素原子を含まない粘度指数向上剤をさらに含んで成る、上記18に記載の方法。
34.放出添加剤が、放出添加剤の総重量に対して約5重量%から約30重量%以下の量のオイルをさらに含んで成る、上記18に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤とを含んで成る、エンジンオイルフィルター内で使用する、持続放出性液体添加剤濃縮物であり、当該添加剤濃縮物のタンジェントデルタが約5以上であることを特徴とする持続放出性液体添加剤濃縮物。
【請求項2】
洗浄剤のTBNが約100から約600の間であるような、請求項1に記載の添加剤濃縮物。
【請求項3】
洗浄剤が、スルホン酸塩、フェネート、サリチル酸塩、カルボン酸塩、金属塩、マンニッヒ縮合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、請求項1に記載の添加剤濃縮物。
【請求項4】
洗浄剤が、添加剤濃縮物の総重量に対して約60重量%から約90重量%の量で存在する、請求項1に記載の添加剤濃縮物。
【請求項5】
抗酸化剤が、アルキル置換フェノール、硫化フェネート、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ヒンダードフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、請求項1に記載の添加剤濃縮物。
【請求項6】
添加剤濃縮物に実質的に窒素含有分散剤が含まれていない、請求項1に記載の添加剤濃縮物。
【請求項7】
エンジンオイル中に一定間隔で放出される放出添加剤液を含んで成るオイルフィルターを自動車につけることを含む自動車のオイルドレーンの間隔を延長する方法であって、当該放出添加剤液には少なくとも一種類の洗浄剤と少なくとも一種類の抗酸化剤が含有されており、また当該放出添加剤液のタンジェントデルタが約5以上である、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
抗酸化剤が、アルキル置換フェノール、硫化フェネート、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ヒンダードフェノール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されたものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗酸化剤が、放出添加剤の総重量に対して約15重量%から約30重量%の量で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
放出添加剤が窒素原子を含まない粘度指数向上剤をさらに含んで成る、請求項7に記載の方法。

【公開番号】特開2009−74059(P2009−74059A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207871(P2008−207871)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】