説明

オキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体

本発明は、グルコキナーゼ活性化作用を有することから、糖尿病、糖尿病の合併症若しくは肥満の治療及び/又は予防に有用な式(I)
【化1】


[式中、Rはカルバモイル基等を示し、Rは低級アルキル基等を示し、X及びXは、全てCHを示すか、或いは、X又はXのいずれか1つが窒素原子を示し、かつ、残りの1つがCHを示し、
【化2】


で表される基は、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、イソキサゾリル基、及びチアゾリル基からなる群より選択される基を示し、
kは0又は1を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体を有効成分として含有するグルコキナーゼ活性化剤に関する。さらに、新規なオキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコキナーゼ(GK)(ATP:D−hexose 6−phosphotransferaze,EC2.7.1.1)は、哺乳類の4種のヘキソキナーゼのうちの一つ(ヘキソキナーゼIV)である。ヘキソキナーゼは、解糖系の一番はじめの段階の酵素でグルコースからグルコース6燐酸への反応を触媒する。グルコキナーゼは、主に肝臓と膵臓ベータ細胞に発現が限局しており、それらの細胞のグルコース代謝の律速段階を制御することで、体全体の糖代謝に重要な役割を果たしている。肝臓と膵臓ベータ細胞のグルコキナーゼは、それぞれスプライシングの違いによりN末15アミノ酸の配列が異なっているが、酵素学的性質は同一である。グルコキナーゼ以下の3つのヘキソキナーゼ(I,II,III)は、1mM以下のグルコース濃度で酵素−活性が飽和してしまうのに対し、グルコキナーゼのグルコースに対するKmは、8mMと生理的な血糖値に近い。従って、正常血糖(5mM)から、食後血糖上昇(10−15mM)の血糖変化に呼応した形でグルコキナーゼを介した細胞内グルコース代謝の亢進が起こる。
10年ほど前から、グルコキナーゼは膵臓ベータ細胞や肝臓のグルコースセンサーとして働くという仮説が提唱された(例えば、ガーフィンケル(Garfinkel D)ら著、「コンピュータ モデリング アイデンティファイズ グルコキナーゼ アズ グルコース センサー オブ パンクレアティック ベータ セルズ(Computer modeling identifies glucokinase as glucose sensor of pancreatic beta−cells)」、アメリカン ジャーナル フィジオロジー(American Journal Physiology)、第247巻(3Pt2)1984年、p527−536)。最近のグルコキナーゼ遺伝子操作マウスの結果から、実際にグルコキナーゼは全身のグルコース恒常性に重要な役割を担うことが明らかになっている。グルコキナーゼ遺伝子を破壊したマウスは生後まもなく死亡する(例えば、グルぺ(Grupe A)ら著、「トランスジェニック ノックアウツ リビール ア クリティカル リクワイヤメント フォー パンクレアティク ベータ セルズ グルコキナーゼ イン メインテイニング グルコース ホメオスタシス(Transgenic knockouts reveal a critical requirement for pancreatic beta cell glucokinase in maintaining glucose homeostasis)」、セル(Cell)、第83巻、1995年、p69−78)が、一方グルコキナーゼを過剰発現させた正常及び糖尿病マウスは血糖値が低くなる(例えば、フェレ(Ferre T)ら著、「コレクション ディアベティック アルターネイションズ バイ グルコキナーゼ(Correction of diabetic alterations by glucokinase)」、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシィズ オブ ザ ユーエスエー(Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A.)、第93巻、1996年、p7225−7230)。グルコース濃度上昇によって、膵臓ベータ細胞と肝細胞の反応は、異なるがいずれも血糖を低下させる方向に対応する。膵臓ベータ細胞は、より多くのインスリンを分泌するようになるし、肝臓は糖を取り込みグリコーゲンとして貯蔵すると同時に糖放出も低下させる。
【0003】
このようにグルコキナーゼ酵素活性の変動は、肝臓および膵臓ベータ細胞を介した哺乳類のグルコースホメオスタシスにおいて重要な役割を果たしている。MODY2(maturity−onset diabetes of the young)と呼ばれる若年に糖尿病を発症する症例においてグルコキナーゼ遺伝子の突然変異が発見され、グルコキナーゼ活性の低下が血糖上昇の原因となっている(例えば、ビオンネット(Vionnet N)ら著、「ノンセンス ミューテイション イン ザ グルコキナーゼ ジーン コージィーズ アーリー−オンセット ノン−インシュリン−ディペンデント ディアベテス メリィタス(Nonsense mutation in the glucokinase gene causes early−onset non−insulin−dependent diabetes mellitus)、ネイチャー ジェネティクス(Nature Genetics)、第356巻、1992年、p721−722)。一方グルコキナーゼ活性を上昇させる突然変異をもつ家系も見つかっており、このような人たちは低血糖症状を示す(例えば、グレイサー(Glaser B)ら著、「ファミリアル ハイパーインシュリニズム コーズド バイ アン アクティベイティング グルコキナーゼ ミューテイション(Familial hyperinsulinism caused by an activating glucokinase mutation)」、ニュー イングランド ジャーナル メディスン(New England Journal Medicine)、第338巻、1998年、p226−230)。
【0004】
これらのことからグルコキナーゼはヒトでもグルコースセンサーとして働き、グルコース恒常性に重要な役割を果たしている。一方多くのII型糖尿病患者でグルコキナーゼセンサーシステムを利用した血糖調節は可能と考えられる。グルコキナーゼ活性化物質には膵臓ベータ細胞のインスリン分泌促進作用と肝臓の糖取り込み亢進および糖放出抑制作用が期待できるので、II型糖尿病患者の治療薬として有用と考えられる。
【0005】
近年、膵臓ベータ細胞型グルコキナーゼがラット脳の、中でも特に摂食中枢(Ventromedial hypothalamus,VMH)に限局して発現していることが明らかにされた。VMHの約2割の神経細胞は、グルコースレスポンシブニューロンと呼ばれ、従来から体重コントロールに重要な役割を果たすと考えられてきた。ラットの脳内へグルコースを投与すると摂食量が低下するのに対して、グルコース類縁体のグルコサミン脳内投与によってグルコース代謝抑制すると過食となる。電気生理学的実験からグルコ−スレスポンシブニューロンは生理的なグルコ−ス濃度変化(5−20mM)に呼応して活性化されるがグルコサミン等でグルコ−ス代謝抑制すると活性抑制が認められる。VMHのグルコ−ス濃度感知システムには膵臓ベータ細胞のインスリン分泌と同様なグルコキナ−ゼを介したメカニズムが想定されている。従って肝臓、膵臓ベータ細胞に加えVMHのグルコキナ−ゼ活性化を行う物質には血糖是正効果のみならず、多くのII型糖尿病患者で問題となっている肥満をも是正できる可能性がある。
【0006】
上記の記載から、グルコキナーゼ活性化作用を有する化合物は、糖尿病の治療剤及び/又は予防剤として、或いは、網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症の治療及び/又は予防剤として、更には肥満の治療及び/又は予防剤として有用である。
【0007】
グルコキナーゼ活性化作用を有し、かつ、ベンズイミダゾール骨格を有する化合物としては、下記式
【化1】

で表される化合物等が、WO2007/007910に開示されている。
【0008】
WO2007/007910には、ベンズイミダゾール骨格を有する上記化合物等がラセミ体において良好なグルコキナーゼ活性化作用を有していることが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、グルコキナーゼ活性化作用を有する新規な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、下記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩が、良好なグルコキナーゼ活性化作用を有し、水に対して高い溶解性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
【0012】
(1)式(I):
【化2】

[式中、
は、式(II):
【化3】

(式中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、又はR12、R13及びそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基又はホモピペリジン−1−イル基を示し;
14は、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を同一又は異なって1乃至4有していてもよい、低級アルキル基を示し;
mは、0又は1を示し;
nは、0又は1を示し;
及びXは、全てCHを示すか、或いは、X又はXのいずれか1つが窒素原子を示し、かつ、残りの1つがCHを示し;
式(IV):
【化4】

で表される基は、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、イソキサゾリル基、及びチアゾリル基からなる群より選択される基を示し;
は、低級アルキル基(該低級アルキル基は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)、低級アルコキシ基又はヒドロキシ基を示し;
kは、0又は1を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩(以下、「本発明に係る化合物」又は「式(I)で表される化合物」とも言う)を提供する。
【0013】
さらに、本発明は、
(2)2型糖尿病の治療、予防及び/又は発症を遅らせるために用いられる以下の(α)乃至(γ)からなる医薬組成物、
(α)前記式(I)で表される化合物
(β)以下の(a)−(i)からなる群より選択される1又は2以上の化合物
(a)他のグルコキナーゼ活性化剤、
(b)ビグアニド、
(c)PPARアゴニスト、
(d)インスリン、
(e)ソマトスタチン、
(f)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(g)インスリン分泌促進剤、
(h)DPP−IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤)、及び
(i)グルコース取り込み促進薬
(γ)薬理学的に許容される担体
(3)前記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするグルコキナーゼ活性化剤、
(4)前記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む糖尿病の予防剤又は治療剤、
(5)前記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物、
をも提供する。
【0014】
さらに、前記式(I)で表される化合物は、グルコキナーゼ活性化作用を有しているので、糖尿病の治療剤及び/又は予防剤として、或いは、網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化等の糖尿病の慢性合併症の治療及び/又は予防剤として、更には肥満の治療及び/又は予防剤として有用である。
【0015】
前記式(I)で表される化合物は、好ましくは、糖尿病の予防剤又は治療剤として、さらに好ましくは、糖尿病の治療剤として有用である。
【0016】
以下に、本明細書において用いられる用語の意味について説明し、本発明に係る化合物について更に詳細に説明する。
【0017】
「低級アルキル基」とは、炭素数1乃至6の直鎖又は分岐を有するアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0018】
「低級アルコキシ基」とは、ヒドロキシ基の水素原子が前記低級アルキル基で置換された基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
「ハロゲン原子」とは、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0020】
本発明に係る式(I)
【0021】
【化5】

【0022】
[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物について、更に具体的に開示するために、式(I)において用いられる各種記号について、具体例を挙げて説明する。
【0023】
は、式(II):
【化6】

で表される基を示す。
【0024】
12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、又はR12、R13及びそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基又はホモピペリジン−1−イル基を示す。
【0025】
12及びR13が示す「低級アルキル基」としては、前記定義の低級アルキル基と同様の基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0026】
12及びR13が、水素原子又は低級アルキル基である場合、これらは同一又は異なっていてもよい。
【0027】
mは、0又は1を示し、mが1である場合が好ましい。
【0028】
前記式(II)中の式(II−2):
【化7】

で表される基としては、具体的には、例えば、アゼチジン−1−イルカルボニル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチル−N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルメチル基及びアゼチジン−1−イルカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0029】
14は、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を同一又は異なって1乃至4有していてもよい、低級アルキル基を意味する。
【0030】
14が示す「ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を同一又は異なって1乃至4有していてもよい、低級アルキル基」とは、無置換の低級アルキル基を示すか、或いは、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子からなる群より選択される基で、同一又は異なって、1乃至4置換された低級アルキル基を意味する。
該無置換の低級アルキル基とは、前記定義の低級アルキル基と同様の基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
該置換基の低級アルコキシ基とは、前記定義の低級アルコキシ基と同様の基を意味し、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
該置換基のハロゲン原子とは、前記定義のハロゲン原子と同様の原子を意味し、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0031】
前記式(II)中の式:
【化8】

で表される基としては、具体的には、例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエトキシ基、メトキシメチル基、ヒドロキシメチル基及び1−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
【0032】
及びXは、全てCHを示すか、或いは、X又はXのいずれか1つが窒素原子を示し、かつ、残りの1つがCHを示す。
【0033】
式(I)中の式(IV):
【化9】

で表される基は、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、イソキサゾリル基及びチアゾリル基からなる群より選択される基を示し、具体的には、
【化10】

[式中、
【化11】

は、ベンズイミダゾール環との結合部位を示す]からなる群より選択される基を意味する。
【0034】
は、低級アルキル基(該低級アルキル基は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)、低級アルコキシ基又はヒドロキシ基を示す。
【0035】
が示す「ヒドロキシ基で置換されていてもよい低級アルキル基」とは、無置換の低級アルキル基を意味するか、又はヒドロキシ基で置換された低級アルキル基を意味する。
該無置換の低級アルキル基とは、前記定義の低級アルキル基と同様の基を意味し、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
該ヒドロキシ基で置換された低級アルキル基とは、ヒドロキシ基で置換された前記低級アルキル基を意味し、具体的には、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基等が挙げられる。
【0036】
が示す「低級アルコキシ基」とは、前記定義の「低級アルコキシ基」と同様の基を意味し、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
【0037】
kは、0又は1を示す。
【0038】
(A)本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、前記式(I)で、前記式(I)中の式:
【化12】

(式中、
【化13】

は、R及び酸素原子との結合部位を示し、他の記号は、前記に同じ)で表される基が、ベンゼン環から水素原子を2個除いてなる2価の基である、化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0039】
(B)本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、前記式(I)で、前記式(I)中の式:
【化14】

(式中、
【化15】

は、R及び酸素原子との結合部位を示し、他の記号は、前記に同じ)で表される基が、Xが窒素原子であるピリジン環から水素原子を2個除いてなる2価の基である、化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0040】
(C)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、Rが式(II−2):
【化16】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される基である前記(A)もしくは(B)のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0041】
(D)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、Rが式(II−3):
【化17】

[式中、R14は前記に同じ]で表される基である前記(A)若しくは(B)のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0042】
(E)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、Rがアゼチジン−1−イルカルボニル基、ジメチルカルバモイルメチル基、メチルカルバモイルエチル基又はエチルカルバモイル基である前記(A)若しくは(B)のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0043】
(F)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、Rがメトキシメチル基である前記(A)若しくは(B)のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0044】
(G)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、Rがジメチルカルバモイルメチル基又はメチルカルバモイルメチル基である前記(A)若しくは(B)のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0045】
(H)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、mが1である前記(1)、(A)乃至(C)のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0046】
(I)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、前記式(IV)で表される基が、ピリジニル基、ピラジニル基及びチアゾリル基からなる群より選択される基である前記(E)乃至(H)のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0047】
(J)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、kが0である前記(1)、(A)乃至(I)のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0048】
(K)また、本発明に係る化合物の別の好ましい態様は、前記式(I)で表される化合物が、
5−{5−[4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル}ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
N,N−ジエチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N,N−ジメチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N−エチル−N−メチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N−エチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N,N−ジメチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミド、
N−メチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミド、
5−(2−ピリジン−2−イル−5−{[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(2−ヒドロキシエトキシ)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(メトキシメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
及び、
5−(5−{[5−(メトキシメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン
からなる群より選択される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【0049】
上記(A)乃至(L)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩は、いずれも前記式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩に包含される。
【0050】
本発明に係る式(I):
【化18】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物は、例えば、以下の方法によって製造することができる。
【化19】

[式中、各記号は前記に同じ]
【0051】
(工程1)
本工程は、塩基の存在下、化合物(1)と化合物(2)とを反応させることにより、化合物(3)を製造する方法である。
本工程において用いられる化合物(1)は、式:
【化20】

[式中、各記号は前記に同じ]で表されるカルボン酸誘導体を用いて、文献記載の方法(WO2007/007910の実施例20 工程1乃至5)、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより製造することができる。
本工程において用いられる化合物(2)の量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5乃至10当量、好ましくは、1乃至2当量である。
該化合物(2)は、市販のものを用いるか、或いは、市販の原料から当業者に周知の方法、これに準じた方法で製造することができる。
本工程において用いられる塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、フッ化セシウム等が挙げられる。
該塩基の量は、化合物(1)1当量に対して、通常0.5乃至20当量、好ましくは、1乃至5当量である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられ、これらのうち、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
反応時間は、通常1分間乃至72時間、好ましくは、10分間乃至12時間である。
反応温度は、通常室温乃至溶媒の沸点、好ましくは、室温乃至130℃である。
このようにして得られる化合物(3)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製するか又は単離精製することなく次工程に付すことができる。
【0052】
(工程2)
本工程は、化合物(3)を還元し、さらに環化させることにより、本発明に係る化合物(I)を製造する方法である。
本工程において用いられる還元剤としては、例えば、塩化スズ(II)、鉄(II)、ラネーニッケル、水酸化パラジウム等が挙げられる。
該還元剤の量は、化合物(3)1当量に対して、通常0.01乃至50当量、好ましくは、0.1乃至20当量である。
反応溶媒は、反応に支障のないものであれば、特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸等が挙げられる。
反応時間は、通常1分間乃至24時間、好ましくは、5分間乃至12時間である。
反応温度は、通常0乃至150℃、好ましくは、室温乃至120℃である。
このようにして得られる本発明に係る化合物(I)は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、再沈殿、溶媒抽出、結晶化、クロマトグラフィー等により、単離精製することができる。
【0053】
以上で説明した反応において、一般に、保護基の導入、除去は、適宜行うことができる。具体的には、文献記載の方法(例えば、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、T.W.Green著、第2版、John Wiley&Sons社、1991年、等)、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、保護基の除去、導入を行うことができる。
【0054】
本発明によって提供されるオキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体は、薬学的に許容される塩として存在することができ、当該塩は、式(I)で表される化合物、又は式(I)に包含される化合物を用いて、常法に従って製造することができる。
具体的には、上記式(I)、又は式(I)に包含される化合物が、当該分子内に例えばアミノ基、ピリジル基等に由来する塩基性基を有している場合には、当該化合物を酸で処理することにより、相当する薬学的に許容される塩に変換することができる。
【0055】
当該酸付加塩としては、例えば塩酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルキルスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のアリ−ルスルホン酸塩;フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及びグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸等の有機酸である酸付加塩を挙げることができる。また、本発明の化合物が酸性基を当該基内に有している場合、例えばカルボキシル基等を有している場合には、当該化合物を塩基で処理することによっても、相当する薬学的に許容される塩に変換することができる。当該塩基付加塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グアニジン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基による塩が挙げられる。さらに本発明の化合物は、遊離化合物又はその塩の任意の水和物又は溶媒和物として存在してもよい。
【0056】
また、本発明に係る化合物は、その置換基の態様によって、光学異性体、ジアステレオ異性体、幾何異性体等の立体異性体又は互変異性体が存在する場合がある。これらの異性体は、すべて本発明に係る化合物に包含されることは言うまでもない。さらに、これらの異性体の任意の混合物も本発明に係る化合物に包含されることは言うまでもない。
【0057】
2型糖尿病或いはそれに関連する疾患若しくは症状の予防又は治療のための薬剤を製造するにあたり、本発明に係る式(I)の化合物は、式(I)の化合物と担体物質とを組み合わせて用いることができる。
【0058】
本発明に係る式(I)の化合物の予防又は治療のための投与量は、もちろん、治療する症状の性質、選択する特定の化合物及び投与経路により変動する。
【0059】
また、年齢、体重及び各患者の感受性によっても変動する。一般的に、1日の投与量は、単回又は複数回の量として、体重1kgあたり、約0.001mgから約100mgであり、好ましくは、体重1kgあたり、約0.01mgから約50mgであり、より好ましくは約0.1mgから10mgである。これらの制限を越えた範囲での投与量の使用が必要な場合もありうる。
適切な経口投与量の例としては、単回又は1日あたり、2乃至4回の複数回投与としては、少なくとも約0.01mgから多くとも2.0gである。好ましくは、投与量の範囲は、1日に1回又は2回の投与で、約1.0mgから約200mgである。より好ましくは、投与量の範囲は、1日1回の投与で約10mgから100mgである。
静脈内投与又は経口投与を用いた場合には、代表的な投与範囲は、1日あたり、体重1kgあたり、式(I)の化合物を約0.001mgから約100mg(好ましくは0.01mgから約10mg)であり、より好ましくは1日あたり、体重1kgあたり、式(I)の化合物を約0.1mgから10mgである。
【0060】
上述したように、医薬組成物は、式(I)の化合物と薬学的に許容される担体を含む。「組成物」という用語は、直接又は間接的に、2又はそれ以上のいかなる成分を組み合わせ、複合させ又は凝集させてできたもの、1又はそれ以上の成分を解離させた結果できたもの、或いは、成分間の他のタイプの作用又は相互作用の結果によりできたものだけでなく、担体を構成する活性及び不活性成分(薬学的に許容される賦形剤)も含む。
医薬上許容される担体と組み合わせて、2型糖尿病の治療、予防或いその発症を遅らせるのに有効な量の式(I)の化合物が含まれる組成物が好ましい。
【0061】
本発明に係る化合物の効果的な量を哺乳類、とりわけヒトに投与するためには、いかなる適切な投与経路でも用いることができる。例えば、経口、直腸、局所、静脈、眼、肺、鼻などを用いることができる。投与形態の例としては、錠剤、トローチ、散剤、懸濁液、溶液、カプセル剤、クリーム、エアロゾールなどがあり、経口用の錠剤が好ましい。
経口用の組成物を調製するに際しては、通常の医薬用媒体であれば、いかなるものも用いることができ、そのような例としては、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料添加剤、保存料、着色料などであり、経口用の液体組成物を調製する場合には、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液が挙げられ、担体としては、例えば、澱粉、砂糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられ、経口用の固体組成物を調製する場合には、例えば、パウダー、カプセル剤、錠剤などが挙げられ、中でも経口用の固体組成物が好ましい。
投与のしやすさから、錠剤やカプセル剤が最も有利な経口投与形態である。必要ならば、錠剤は、標準の水性又は非水性の技術でコーティングすることができる。
【0062】
上記の通常の投与形態に加えて、式(I)に係る化合物は、例えば、U.S.特許番号3,845,770、3,916,899、3,536,809、3,598,123、3,630,200及び4,008,719に記載の放出制御手段及び/又はデリバリー装置によっても、投与することができる。
【0063】
経口投与に適した本発明に係る医薬組成物は、パウダー又は顆粒として、或いは水溶性の液体、非水溶性の液体、水中油型のエマルジョン又は油中水型のエマルジョンとして、それぞれがあらかじめ決められた量の活性成分を含むカプセル剤、カシュー剤又は錠剤を挙げることができる。そのような組成物は、薬剤学上いかなる方法を用いて調製することができるが、すべての方法は、活性成分と1又は2以上の必要な成分からなる担体とを一緒にする方法も含まれる。
一般に、活性成分と液体の担体又はよく分離された固体の担体或いは両方とを均一かつ充分に混合し、次いで、必要ならば、生産物を適当な形にすることにより、組成物は調製される。例えば、錠剤は、圧縮と成形により、必要に応じて、1又は2以上の副成分と共に調製される。圧縮錠剤は、適当な機械で、必要に応じて、結合剤、潤滑剤、不活性な賦形剤、界面活性剤又は分散剤と混合して、活性成分をパウダーや顆粒などの形に自由自在に圧縮することにより調製される。
成形された錠剤は、パウダー状の湿った化合物と不活性な液体の希釈剤との混合物を適当な機械で成形することにより調製される。
好ましくは、各錠剤は、活性成分を約1mg乃至1g含み、各カシュー剤又はカプセル剤は、活性成分を約1mg乃至500mg含む。
【0064】
式(I)の化合物についての医薬上の投与形態の例は、次の通りである。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
式(I)の化合物は、2型糖尿病と関連する疾患又は症状だけでなく、2型糖尿病の発症の治療/予防/遅延に用いられる他の薬剤と組み合わせて用いることができる。該他の薬剤は、通常用いられる投与経路又は投与量で、式(I)の化合物と同時に又は別々に投与することができる。
式(I)の化合物は、1又は2以上の薬剤と同時に使用する場合には、式(I)の化合物とこれらの他の薬剤とを含んだ医薬組成物が好ましい。従って、本発明に係る医薬組成物は、式(I)の化合物に加えて、1又は2以上の他の活性成分も含む。式(I)の化合物と組み合わせて用いられる活性成分の例としては、別々に投与するか、又は同じ医薬組成物で投与してもよいが、以下のものに限定されることはない。
(a)他のグルコキナーゼ活性化剤
(b)ビグアニド(例、ブホルミン、メトホルミン、フェンホルミン)
(c)PPARアゴニスト(例、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ノシグリタゾン)
(d)インスリン
(e)ソマトスタチン
(f)α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、ミグリトール、アカルボース)、
(g)インスリン分泌促進剤(例、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボムリド、グリクラジド、グリメルピリド、グリピジド、グリキジン、グリソキセピド、グリブリド、グリへキサミド、グリピナミド、フェンブタミド、トラザミド、トルブタミド、トルシクラミド、ナテグリニド、レパグリニド)、及び
(h)DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤)、及び
(i)グルコース取り込み促進薬
【0070】
2番目の活性成分に対する式(I)の化合物の重量比は、幅広い制限の範囲内で変動し、さらに、各活性成分の有効量に依存する。従って、例えば、式(I)の化合物をPPARアゴニストと組み合わせて用いる場合には、式(I)の化合物のPPARアゴニストに対する重量比は、一般的に、約1000:1乃至1:1000であり、好ましくは、約200:1乃至1:200である。式(I)の化合物と他の活性成分との組み合わせは、前述の範囲内であるが、いずれの場合にも、各活性成分の有効量が用いられるべきである。
【0071】
本発明に係る化合物が有するグルコキナーゼ活性化作用及びそれに基づく血糖降下作用は、例えば、以下に述べる薬理試験例により証明される。
【0072】
薬理試験例1(グルコキナーゼ活性化作用)
次に本発明に係る化合物(I)で表される化合物が示すグルコキナーゼ活性化能及びその試験方法について示す。
前記式(I)で表される化合物の有する優れたグルコキナ−ゼ活性化作用の測定は、文献記載の方法(例えば、ディアベテス(Diabetes)、第45巻、第1671頁−1677頁、1996年等)又はそれに準じた方法によって行うことができる。
グルコキナーゼ活性は、グルコース−6−リン酸を直接測定するのではなく、リポーターエンザイムであるグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼがグルコース−6−リン酸からホスホグルコノラクトンを生成する際に、生じるThio−NADHの量を測定することによって、グルコキナーゼの活性化の程度を調べる。
このアッセイで使用するrecombinant human liver GKはFLAG fusion proteinとしてE.coliに発現させ、ANTIFLAG M2 AFFINITY GEL(Sigma)で精製した。
アッセイは平底96−well plateを用いて30℃で行った。Assay buffer(25mM Hepes Buffer:pH=7.2、2mM MgCl2、1mM ATP、0.5mM TNAD、1mM dithiothreitol)を69μl分注し、化合物のDMSO溶液またはコントロールとしてDMSOを1μl加えた。次に、氷中で冷やしておいたEnzyme mixture(FLAG−GK、20U/mlG6PDH)20μlを分注した後、基質である25mMグルコースを10μl加え、反応を開始させる(最終グルコース濃度=2.5mM)。
反応開始後、405nmの吸光度の増加を30秒ごとに12分間測定し、最初の5分間の増加分を使用して化合物の評価を行った。FLAG−GKは1%DMSO存在下で5分後の吸光度増加分が0.04から0.06の間になるように加えた。
DMSOコントロールでのOD値を100%とし、評価化合物の各濃度におけるOD値を測定した。各濃度のOD値より、Emax(%)及びEC50(μM)を算出し、化合物のGK活性化能の指標として用いた。
【0073】
本方法により本発明に係る化合物のGK活性化能を測定した。その結果を下記表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
本発明に係る化合物は上記表5に示したように、Emax及びEC50を指標として、キラルなベンズイミダゾール化合物が優れたGK活性化能を有している。
【0076】
本方法によりWO2007/007910号公報の実施例化合物が示すGK活性化能を測定した。その結果を本発明に係る化合物と比較して下記表6に示す。
【0077】
【表6】

【0078】
本方法により、本発明に係る化合物は、上記に示したようにWO2007/007910号公報の実施例化合物が示すGK活性化能を著しく改善した。
【0079】
次に本発明に係る化合物が有する血糖効果作用及びその試験方法について説明する。
【0080】
薬理試験例2(血糖降下作用)
雄性のC57BL/6Jマウスに高脂肪食 (RESEARCH DIETS社 D12492)を第6週齢より9週間以上給餌し、高脂肪食負荷マウスを作製した(>160mg/dl)。
自由摂食、摂水条件下の高脂肪食負荷マウス(第18−21週齢、n=6)の尻尾先端を僅かにハサミで切断し、血液を採取した。採取した血液を用いて、血糖測定装置(ワンタッチウルトラ(ジョンソン・エンド・ジョンソン) )により化合物投与前血糖値を測定した。その後、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した化合物を10mg/kgで経口投与した。なお、対照群としては、0.5%メチルセルロース溶液を経口投与した。被験薬液投与1時間毎に血糖測定装置を用いて血糖値を測定した。
投与後1時間の血糖降下幅(対照群と化合物投与群との差)の値を下記の表に示す。
実施例1の化合物及び実施例7の化合物の投与後1時間の血糖降下幅(対照群と化合物投与群との差)の値を下記表7に示す。
【0081】
【表7】

【0082】
薬理試験例3(血糖降下作用)
一晩絶食した雄性のビーグル犬(体重9.4−14.4kg)の橈側皮静脈より投与前採血を行った。その後、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した被験薬物を経口投与した(0.3および1mg/kg)。対照群には、0.5%メチルセルロース溶液を経口投与した。被験薬投与0.5,1,2,4時間後に採血を行った。得られた血液より血漿を分離し、デタミナーGL−E(共和メディックス)を用いて血漿グルコース値を測定した。
実施例1の化合物及び実施例7の化合物の投与4時間後までの対照群に対する血漿グルコース値AUCの減少率を下記に記す。
【0083】
【表8】

【0084】
以上より、本発明に係る化合物は、優れた血糖降下作用を有している。
【発明の効果】
【0085】
式(I)で表される本発明に係るオキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体又はその薬学的に許容される塩は、強力なグルコキナーゼ活性化作用を有しており、糖尿病、糖尿病の合併症若しくは肥満の治療及び/又は予防に有用である。
【0086】
本発明の化合物は、インスリン依存性糖尿病(IDDM, insulindependent diabetes mellitus)とインスリン非依存性糖尿病(NIDDM, non−insulindependent diabetes mellitus)のどちらのタイプの糖尿病にも適応可能である。
【0087】
ここで、糖尿病の合併症とは、糖尿病を発症することにより併発する疾病のことであり、当該糖尿病の合併症としては、具体的には、例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症、糖尿病性動脈硬化症等が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
以下において、製剤例、実施例、参考例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0089】
製剤例1
実施例1の化合物10部、重質酸化マグネシウム15部及び乳糖75部を均一に混合して、350μm以下の粉末状又は細粒状の散剤とする。この散剤をカプセル容器に入れてカプセル剤とする。
製剤例2
実施例1の化合物45部、澱粉15部、乳糖16部、結晶性セルロース21部、ポリビニルアルコール3部及び蒸留水30部を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで篩別して直径1410乃至177μmの大きさの顆粒剤とする。
製剤例3
製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作製した後、この顆粒剤96部に対してステアリン酸カルシウム3部を加えて圧縮成形し直径10mmの錠剤を作製する。
製剤例4
製剤例2の方法で得られた顆粒剤90部に対して結晶性セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を加えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加えて糖衣錠を作製する。
【0090】
実施例の薄層クロマトグラフは、プレートとしてSilicagel60F245(Merck)を、アミン系薄層クロマトグラフはプレートとしてPLC05 NH(FUJI Silysia)を用い、検出法としてUV検出器を用いた。カラム用シリカゲルとしては、WakogelTMC−300(和光純薬)、Pulif−Pack SI又はNH(Moritex)又はFLASHカートリッジ(Biotage)を、逆相カラム用シリカゲルとしては、LC−SORBTMSP−B−ODS(Chemco)又はYMC−GELTMODS−AQ120−S50(山村化学研究所)を用いた。
【0091】
下記の実施例における略号の意味を以下に示す。
i−Bu:イソブチル基
n−Bu:n−ブチル基
t−Bu:t−ブチル基
Me:メチル基
Et:エチル基
Ph:フェニル基
i−Pr:イソプロピル基
n−Pr:n−プロピル基
CDCl3:重クロロホルム
CD3OD:重メタノール
DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド
【0092】
下記に核磁気共鳴スペクトルにおける略号の意味を示す。
s:シングレット
d:ダブレット
dd:ダブルダブレット
dt:ダブルトリプレット
t:トリプレット
m:マルチプレット
br:ブロード
brs:ブロードシングレット
q:カルテット
J:カップリング定数
Hz:ヘルツ
【0093】
実施例1
【化21】

5−{5−[4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル}ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製
1)WO2007/007910の実施例20 工程1乃至5の記載の方法により製造したN−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド(350mg、1.01mmol)のN−メチルピロリドン溶液(8ml)に4−(アゼチジン−1−イルカルバモイル)フェノール(218mg、1.22mmol)及び炭酸セシウム(991mg、3.04mmol)を加え、窒素雰囲気下、120℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷後、水を加え、析出した沈殿物を濾取し、乾燥することにより、N−[5−[4−(2−アゼチジン−1−イル−2−オキソエチル)フェノキシ]−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミドを含む茶色固体を得た。
2)上記反応で得られた化合物のN,N−ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に塩化スズ2水和物(327mg、1.45mmol)を加え、100℃で4時間攪拌した。反応液を氷冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加え、水層を酢酸エチルエステルで2回抽出し、有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下に濃縮し、得られた残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、0.5mm、クロロホルム:メタノール=120:1)で精製し、表題化合物のラセミ体(87.0mg、収率:66%)を淡黄色固体として得た。
3)上記反応で得られたラセミ体(84mg)をキラルカラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um、7ml/min)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=30:70、0.1%ジエチルアミン)で光学分割を行い、表題化合物のエナンチオマーA(faster:22min:14mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:36min:19mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.14−2.40(3H,m),2.61−2.74(3H,m),4.22−4.35(4H,m),5.81(1H,t,J=7.2Hz),6.99−7.04(2.5H,m),7.36−7.43(1.5H,m),7.62−7.66(2.5H,m),7.85−7.90(1H,m),7.93(0.5H,s),8.37(0.5H,dd,J=0.8,7.8Hz),8.41(0.5H,dd,J=0.8,7.8Hz),8.62(0.5H,d,J=5.0Hz),8.66(0.5H,d,J=5.0Hz),10.75(0.5H,s),10.82(0.5H,s).
ESI−MS(m/e):455[M+H]
【0094】
4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)フェノールの調製
1)1−(ベンジルオキシ)安息香酸(25g、110mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(500ml)にアゼチジン塩酸塩(10.3g、110mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(25.2g、131mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(20.1g、131mmol)およびトリエチルアミン(33.6ml、241mmol)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて2回抽出したのち、有機層を水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をクロロホルム−ジエチルエーテルから結晶化することで1−[4−(ベンジルオキシ)ベンゾイル]アゼチジン(23.0g、収率:79%)を淡褐色固体として得た。
2)上記反応で得られた化合物のテトラヒドロフラン溶液(400ml)にパラジウム炭素(5g、50%wet、47mmol)を加えたのち反応系中を水素にて置換し、室温にて1気圧下で3時間攪拌した。反応溶液をセライトにてろ過してパラジウム炭素を除き、溶媒を減圧下濃縮することで表題化合物(15.1g、収率:100%)を褐色固体として得た。
【0095】
実施例2
【化22】

5−(5−{[6−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び6−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピリジン−3−オールを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、ついで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=45:55、0.1%ジエチルアミン、10mi/mim)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:20min:24.0mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:35min:23.6mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.15−2.40(3H,m),2.63−2.75(3H,m),4.25(2H,t,J=7.6Hz),4.70(2H,t,J=7.6Hz),5.81(1H,t,J=7.2Hz),7.07(0.5H,s),7.34−7.43(2.5H,m),7.66(0.5H,s),7.85−7.91(1H,m),7.95(0.5H,s),8.09−8.13(1H,m),8.34−8.43(2H,m),8.62(0.5H,d,J=4.5Hz),8.66(0.5H,d,J=4.5Hz),10.77(0.5H,s),10.83(0.5H,s).
ESI−MS(m/e):456[M+H]
【0096】
6−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピリジン−3−オールの調製
1)5−(ベンジルオキシ)−2−ブロモピリジン(10.0g、37.8mmol)のメタノール溶液(200ml)に、酢酸パラジウム(0.43g、1.89mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(2.10g、3.79mmol)およびトリエチルアミン(11.1ml、80.0mmol)を加え、一酸化炭素雰囲気下、90℃で2日間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Flashカートリッジ 65M、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製し、メチル 5−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−カルボキシレート(7.48g、収率:81%)を淡褐色固体として得た。
2)上記反応で得られた化合物(2.52g、10.35mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)および水(25ml)混合溶液に、水酸化ナトリウム(4.14g、104mmol)を加え、60℃にて終夜攪拌した。反応液を室温まで冷却後、4N塩酸にて中和したのち、クロロホルムにて2回抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮することで5−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−カルボン酸(2.35g、収率:99%)を白色固体として得た。
3)上記反応で得られた化合物(1.73g、7.54mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(40ml)にアゼチジン(473mg、8.29mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.74g、9.05mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.39g、9.05mmol)およびトリエチルアミン(2.31ml、16.6mmol)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルにて2回抽出したのち、有機層を水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Flashカートリッジ 40M、ヘキサン:酢酸エチル=1:2)により精製し2−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−5−(ベンジルオキシ)ピリジン(1.99g、収率:98%)を淡黄色固体として得た。
4)上記反応で得られた化合物(1.99g、7.41mmol)のテトラヒドロフラン溶液(45ml)にパラジウム炭素(400mg、50%wet、3.76mmol)を加え、水素雰囲気下(1気圧)、室温にて3時間攪拌した。反応溶液をセライトにてろ過してパラジウム炭素を除き、溶媒を減圧下濃縮することで表題化合物(1.43g、収率:100%)を褐色固体として得た。
【0097】
実施例3
【化23】

N,N−ジエチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミドの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及びN,N−ジエチル−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK IA−H(20*250mm、5um、7ml/min)、ヘキサン:IPA=25:75、0.1%ジエチルアミン)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:20min:10.0mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:26min:10.0mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(DMSO−D)δ:1.13−1.20(6H,m),2.20−2.36(2H,m),2.54−2.77(4H,m),3.48(2H,d,J=7.0Hz),5.83−5.85(1H,m),7.15(1H,s),7.49−7.64(4H,m),7.91(1H,brs),8.04−8.06(1H,m),8.35−8.41(2H,m),8.80(1H,s).
ESI−MS(m/e):472[M+H]
【0098】
N,N−ジエチル−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドの調製
1)5−ブロモ−2−(エチルアミド)ピリジン(1.00g、4.37mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(44mL)にナトリウムペントキサイド(0.58mg、5.24mmol)を加え15分撹拌し、さらにヨウ化エチル(1.02g、6.55mol)を加えて室温で終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、ヘキサン:酢酸エチルエステル=1:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−(ジエチルアミド)ピリジン(390mg、収率:35%)を淡黄色なシロップとして得た。
2)上記反応で得られた化合物の1,4−ジオキサン溶液(15mL)にビス(ピナコラート)ジボロン(424mg、1.67mmol)、酢酸パラジウム(17.0mg、0.076mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(84mg、0.15mmol)、酢酸カリウム(179mg、1.82mmol)を加え、窒素雰囲気下110℃で終夜撹拌した。反応液を室温まで冷却後、反応液をセライト濾過した後、減圧下に濃縮した。
3)上記反応で得られた粗生成物のテトラヒドロフラン溶液(3mL)に35%過酸化水素水(0.17mL、1.97mmol)を滴下した。1時間撹拌後、酢酸エチル(10mL)を加え、有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液と水によって洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、ヘキサン:酢酸エチルエステル=1:1)により精製し、表題化合物(250mg、収率:85%)を淡黄色固体として得た。
【0099】
実施例4
【化24】

N,N−ジメチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミドの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルピリジン−2−カルボキサミドを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um、10ml/min)、ヘキサン:IPA=45:55、0.1%ジエチルアミン)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:20min:47.0mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:27min:45.0mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。(
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.12−2.36(1H,m),2.66−2.72(3H,m),3.15(6H,s),5.81(1H,dd,J=5.1,9.4Hz),7.31−7.41(3H,m),7.65(2H,t,J=16.8Hz),7.85−7.93(2H,m),8.39(2H,ddd,J=4.0,7.9,13.2Hz),8.63(1H,dd,J=4.7,12.9Hz).
ESI−MS(m/e):444[M+H]
【0100】
5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルピリジン−2−カルボキサミドの調製
1)5−ベンジルオキシ−2−カルボン酸(500mg、2.20mmol)のピリジン(10ml)にジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2M、3.30mL)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.30g、6.50mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧濃縮した残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、ヘキサン:酢酸エチルエステル=1:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−(ジメチルアミド)ピリジン(517mg、収率:92%)を淡黄色なシロップとして得た。
2)上記反応で得られた化合物を1,4−ジオキサン(5mL)に溶かし、水酸化パラジウム(100mg、0.7mmol)を加え、水素雰囲気下(1気圧)2時間激しく撹拌した。反応液をセライト濾過後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、表題化合物(312mg、収率:93%)を淡黄色なシロップとして得た。
【0101】
実施例5
【化25】

N−エチル−N−メチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミドの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び5−ヒドロキシ−N,N−ジメチルピリジン−2−カルボキサミドを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、ついで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:EtOH=25:75、0.1%ジエチルアミン、7ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:31min:60.0mg)を淡赤色固体、エナンチオマーB(slower:36min:60mg)を淡赤色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.18−1.23(3H,brm),2.14−2.29(1H,m),2.64−2.66(3H,brm),3.10(3H,s),3.59−3.61(2H,m),5.78(1H,brs),7.29(1H,d,J=2.0Hz),7.33(3H,dd,J=5.5,13.7Hz),7.53−7.61(1H,m),7.78−7.90(2H,m),8.22−8.38(2H,m),8.58(1H,s).
ESI−MS(m/e):458[M+H]
【0102】
N−エチル−5−ヒドロキシ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドの調製
1)5−ベンジルオキシ−2−カルボン酸(500mg、2.18mmol)のピリジン(10ml)にエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2M、3.27mL)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.25g、6.54mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧濃縮した残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、ヘキサン:酢酸エチルエステル=1:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−(エチルアミド)ピリジン(210mg、収率:38%)を淡黄色シロップとして得た。
2)上記反応で得られた化合物のN,N−ジメチルホルムアミド(8ml)溶液に、室温で水素化ナトリウム(32.8mg、0.82mmol)を加えて15分間撹拌した後、ヨウ化メチル(233mg、1.6mmol)を加え、1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−(エチルメチルアミド)ピリジン(221mg、収率:100%)を淡黄色なシロップとして得た。
3)上記反応で得られた化合物を1,4−ジオキサン(5mL)に溶かし、水酸化パラジウム(115mg、0.82mmol)を加え、水素雰囲気下2時間激しく撹拌した。反応液をセライト濾過後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、表題化合物(221mg、収率:100%)を淡黄色なシロップとして得た。
【0103】
実施例6
【化26】

N−エチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミドの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及びN−エチル−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドを用いて、実施例1と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:IPA=25:75、0.1%ジエチルアミン、12ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:13min:150mg)を淡赤色固体、エナンチオマーB(slower:24min:150mg)を淡赤色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:1.26(3H,t,J=7.2Hz),2.65−2.68(4H,m),3.52(2H,dt,J=7.2,14.1Hz),5.79(1H,t,J=7.2Hz),7.38(3H,ddd,J=2.9,6.6,12.5Hz),7.89(2H,dq,J=3.7,16.0Hz),8.18(1H,d,J=9.0Hz),8.32(1H, d,J=2.7 Hz),8.41(1H,d,J=7.8Hz),8.62(1H,d,J=3.5 Hz).
ESI−MS(m/e):444[M+H]
【0104】
N−エチル−5−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミドの調製
1)5−ブロモピリジン−2−カルボン酸(4.90g、24.3mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)−水(50ml)混合溶液にエチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(2M、24.3mL)、ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(9.29g、60.6mmol)、トリエチルアミン(20.3ml、146mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(11.6g、60.6mmol)を加え、50℃で終夜撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮し、5−ブロモ−2−(エチルアミド)ピリジンを含む粗生成物を得た。
2)上記反応で得られた化合物の1,4−ジオキサン溶液(118mL)にビス(ピナコラート)ジボロン(3.29g、13.0mmol)、酢酸パラジウム(0.13g、0.59mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(0.65g、1.18mmol)、酢酸カリウム(0.65g、1.18mmol))を加え、窒素雰囲気下110℃で終夜撹拌した。反応液を室温まで冷却後、反応液をセライト濾過した後、減圧下に濃縮した。
3)上記反応で得られた化合物をテトラヒドロフラン(47mL)に溶かし、35%過酸化水素水(1.3mL、15mmol)を滴下した。1時間撹拌後、反応液を10mLまで減圧濃縮し、クロロホルム(50mL)を加えた。有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI200、ヘキサン:酢酸エチルエステル=1:1)により精製し、表題化合物(1.10g、収率:56%)を白色固体として得た。
【0105】
実施例7
【化27】

N,N−ジメチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミドの調製
1)N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド(350mg、1.01mmol)のN−メチルピロリドン溶液(8ml)に2−(4−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジメチルアセトアミド(218mg、1.22mmol)及び炭酸セシウム(991mg、3.04mmol)を加え、窒素雰囲気下、120℃で1時間攪拌した。反応液を氷冷後、水を加え、析出した沈殿物を濾取し、乾燥することにより、N−[5−{4−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]フェノキシ}−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミドを含む茶色固体を得た。
2)上記反応で得られた化合物のN,N−ジメチルホルムアミド(8ml)溶液に塩化スズ2水和物(1.14g、5.07mmol)を加え、100℃で4時間攪拌した。反応液を氷冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加え、水層を酢酸エチルエステルで2回抽出し、有機層を飽和食塩水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下に濃縮し、得られた残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、0.5mm、クロロホルム:メタノール=120:1)で精製し、表題化合物のラセミ体(351mg、収率:76%)を淡黄色固体として得た。
3)上記反応で得られたラセミ体(120mg)を光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=30:70、0.1%ジエチルアミン、7ml/min)で光学分割を行い、表題化合物のエナンチオマーA(faster:23min:53.0mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:28min:52.0mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.12−2.31(1H,m),2.58−2.78(3H,m)2.95(1.5H,s),2.96(1.5H,s),3.00(1.5H,s),3.03(1.5H,s),3.67(2H,d,J=3.1Hz),5.84(1H,td,J=3.4,7.0Hz),6.92−6.95(2.5H,m),7.18−7.23(2H,m)7.29−7.36(1.5H,m),7.56(0.5H,s),7.79−7.86(1.5H,m),8.31(0.5H,d,J=8.0Hz),8.35(0.5H,d,J=8.0Hz),8.57(0.5H,d,J=4.5Hz),8.61(0.5H,d,J=4.5Hz),10.54(0.5H,s),10.61(0.5H,s).
ESI−MS(m/e):457[M+H]
【0106】
2−(4−ヒドロキシフェニル)−N,N−ジメチルアセトアミドの調製
4−(ヒドロキシフェニル)酢酸(5.11g、33.6mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(120ml)にジメチルアミン塩酸塩(3.01g、36.9mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(7.73g、40.3mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(6.17g、40.3mmol)およびトリエチルアミン(7.63ml、43.7mmol)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムにて2回抽出したのち、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルム−ジエチルエーテルから結晶化することで表題化合物(3.24g、収率:54%)を白色固体として得た。
【0107】
実施例8
【化28】

N−メチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミドの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び2−(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチルアセトアミドを用いて、実施例7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:イソプロパノール=70:30、12.5ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:14min:42mg)を白色固体、エナンチオマーB(slower:26min:36mg)を白色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.17−2.36(1H,m),2.54−2.75(3H,m)2.76(1.5H,s),2.77(1.5H,s),3.52(2H,s),5.48(0.5H,brs),5.70(0.5H,brs),5.80(1H,q,J=7.4Hz),6.81(0.5H,s),6.90−6.96(2H,m),7.17−7.21(2H,m)7.31−7.37(1.5H,m),7.54(0.5H,s),7.79−7.84(1.5H,m),8.32(0.5H,d,J=8.0Hz),8.36(0.5H,d,J=8.0Hz),8.58−8.62(1H,m)10.85(0.5H,s),10.95(0.5H,s).
ESI−MS(m/e):443[M+H]
【0108】
2−(4−ヒドロキシフェニル)−N−メチルアセトアミドの調製
1)[4−(ベンジルオキシ)フェニル]酢酸(400mg、1.65mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(10ml)にメチルアミン塩酸塩(134mg、1.98mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(475mg、2.48mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(379mg、2.48mmol)およびトリエチルアミン(0.69ml、4.95mmol)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムにて2回抽出したのち、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Flashカートリッジ 25M、クロロホルム:メタノール=9:1)により精製し、2−[4−(ベンゾイルオキシ)フェニル]−N−メチルアセトアミド(455mg、収率:100%)を白色固体として得た。
2)上記反応で得られた化合物(455mg、1.78mmol)のクロロホルム(1ml)およびメタノール(10ml)混合溶液にパラジウム炭素(400mg、50%wet、3.76mmol)を加え水素雰囲気下(1気圧)、室温にて終夜攪拌した。反応溶液をセライトにてろ過してパラジウム炭素を除き、溶媒を減圧下濃縮することで表題化合物(330mg、収率:100%)を緑褐色固体として得た。
【0109】
実施例9
【化29】

5−(2−ピリジン−2−イル−5−{[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)オイリジン−3−イル]オキシ}−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−オールを用いて、実施例7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体のジアステレオ混合物を得た。ついで、光学活性カラムクロマグラフィー(Daicel CHIRALPAK IA(20*250mm、5um、10ml/min)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=55:45、0.1%ジエチルアミン)で光学分割を行い、ジアステレオマーA及びBの混合物(faster:15min)、ジアステレオマーC(middle:20min:2.2mg)を淡黄色固体、ジアステレオマーD(slower:23min:3.0mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
さらに上記で得られたジアステレオマーA及びBの混合物を光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK OD−H(20*250mm、5um、12.5ml/min)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=70:30、0.1%ジエチルアミン)で光学分割を行い、表題化合物のジアステレオマーA(faster:22min:1.8mg)を淡黄色固体、ジアステレオマーB(slower:26min:1.9mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
ジアステレオマーA及びD
H−NMR(CDCl)δ:2.24−2.32(1.5H,m),2.66−2.79(3.5H,m),5.04(1H,s),5.20(1H,s),5.81−5.86(1H,m),7.07(0.5H,s),7.26−7.27(0.5H,m),7.38−7.43(3.5H,m),7.67(0.5H,s),7.87−7.89(1H,m),8.37−8.45(2H,m),8.62−8.68(1H,m),10.58−10.62(1H,m).
ESI−MS(m/e):471[M+H]
ジアステレオマーB及びC
H−NMR(CDCl)δ:2.20−2.24(1H,m),2.66−2.79(4H,m),5.04(1H,s),5.19(1H,s),5.84(1H,t,J=6.8Hz),7.08(0.5H,s),7.38−7.41(3H,m),7.67(0.5H,s),7.87−7.89(1.5H,m),8.35−8.45(2.5H,m),8.64−8.67(1H,m),10.59−10.63(1H,m).
ESI−MS(m/e):471[M+H]
【0110】
6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−オールの調製
ピリジン−3−オール(2.00g、21.0mmol)と1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロエタノール(3.30g、23.1mmol)の混合物に炭酸カリウム(4.66g、36.3mmol)を加え、窒素雰囲気下、100℃で4時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、反応液に水及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI200、ヘキサン:酢酸エチルエステル=40:60)により精製し、表題化合物(780mg、収率:19%)を白色アモルファスとして得た。
【0111】
実施例10
【化30】

5−(5−{[6−(2−ヒドロキシエトキシ)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び6−(2−ヒドロキシエトキシ)ピリジン−3−オールを用いて、実施例7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK IA−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:IPA=40:60、0.1%ジエチルアミン、8.5ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:15min:45mg)を淡黄色固体、エナンチオマーB(slower:20min:46mg)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDOD)δ: 2.08(1H,ddd,J=6.8,10.4,19.4Hz),2.42−2.72(3H,m),3.08−3.09(1H,m),3.67(2H,t,J=4.9Hz),4.16(2H,t,J=4.9Hz),5.80(1H,t,J=7.6Hz),6.72(1H,dd,J=2.7,9.0Hz),6.87(1H,t,J=10.2Hz),7.33−7.39(1H,m),7.43−7.47(1H,m),7.66(1H,s),7.78−7.83(1H,m),7.89(1H,td,J=2.0,7.8Hz),8.05(1H,d,J=8.2Hz),8.62(1H,dd,J=1.4,4.5Hz).
ESI−MS(m/e):433[M+H]
【0112】
6−(2−ヒドロキシエトキシ)ピリジン−3−オールの調製
1)2−フルオロ−5−ブロモピリジン(5.78g、32.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液に、水素化ナトリウム(1.97mg、82.0mmol)を加え15分撹拌した。2−ベンジルオキシエタノール(5g、32.9mmol)を加えさらに室温で30分撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して2−[2−(ベンジルオキシ)エトキシ]−5−ブロモピリジンを含む粗生成物を得た。
2)上記反応で得られた化合物の1,4−ジオキサン溶液(66mL)にビス(ピナコラート)ジボロン(9.19g、36.2mmol)、酢酸パラジウム(0.37g、1.64mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン(1.82g、3.29mmol)、酢酸カリウム(3.87g、39.5mmol)を加え、窒素雰囲気下110℃で終夜撹拌した。反応液を室温まで冷却後、反応液をセライト濾過した後、減圧下に濃縮した。
3)上記反応で得られた粗生成物のテトラヒドロフラン溶液(66ml)に35%過酸化水素水(3.74ml、42.8mmol)をゆっくりと加えた。1時間撹拌後、1時間撹拌後、反応液を10mLまで減圧濃縮し、酢酸エチル(60mL)を加えた。有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液と水によって洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI400、クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、5−(ヒドロキシ)−2−(ベンジルオキシエトキシ)ピリジン(5.17g、収率:64%)を淡黄色固体として得た。
4)上記反応で得られた化合物(1.2g、4.89mmol)を1,4−ジオキサン(50mL)に溶かし、水酸化パラジウム(250mg、1.78mmol)を加え、水素雰囲気下3日激しく撹拌した。反応液をセライト濾過後濃縮し、表題化合物(680mg)を得た。
【0113】
実施例11
【化31】

5−(5−{[6−(メトキシメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び6−(メトキシメチル)ピリジン−3−オールを用いて、実施例7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:エタノール=25:75、0.1%ジエチルアミン、7ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:15min:28.2mg)を無色固体、エナンチオマーB(slower:29min:28.8mg)を無色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.19−2.34(1H,m),2.64−2.69(2H,m),2.72−2.81(1H,m),3.50(3H, d,J=5.9Hz),4.59(2H,d,J=2.4Hz),5.87(1H,t,J=7.1 Hz),6.96(0.5H,s),7.30−7.43(3.5H,m),7.62(0.5H,s),7.87(1H,tdd,J=1.5,3.5,7.7Hz),7.93(0.5H,s),8.35−8.39(1H,m),8.42(1H,t,J=2.0 Hz),8.61−8.66(1H,m),10.64 (0.5H,s),10.75(0.5H,s).
ESI−MS(m/e):417[M+H]
【0114】
6−(メトキシメチル)ピリジン−3−オールの調製
1)6−メチルピリジン−3−オール(10.0g、91.6mmol)のジメチルホルムアミド溶液(100ml)に氷冷下水素化ナトリウム(4.76g、119mmol)を加え、30分撹拌した後、ベンジルクロライド(12.7ml、110mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液に水−飽和食塩水(1:1)及び酢酸エチルを加え抽出した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜1:2)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−メチルピリジン(16.4g、収率:90%)を橙色油状物として得た。
2)上記反応で得られた化合物(16.4g、82.0mmol)及び炭酸水素ナトリウム(20.5g、244mmol)のクロロホルム溶液(300ml)に氷冷下3−クロロ過安息香酸(28.1g、163mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に水を加え、抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1、クロロホルム:メタノール=20:1〜10:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−メチルピリジン−1−オキシド(17.4g、収率:98%)を無色固体として得た。
3)上記反応で得られた化合物(17.2g、79.9mmol)の無水酢酸溶液(50ml)を130℃で30分撹拌した。反応液を減圧下に濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水及び酢酸エチルを加え抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜1:2)により精製し、[5−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メチル アセテート(16.2g、収率:79%)を橙色油状物として得た。
4)上記反応で得られた化合物(16.2g、63.0mmol)のエタノール溶液(100ml)に5N水酸化ナトリウム水溶液(25ml、125mmol)を加え、80℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下に濃縮後、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1〜1:2、酢酸エチル、クロロホルム:メタノール=10:1)により精製し、[5−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メタノール(8.56g、収率:63%)を淡黄色固体として得た。
5)上記反応で得られた化合物(2.14g、9.94mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80ml)に氷冷下水素化ナトリウム(477mg、11.9mmol)を加え、30分撹拌した後、ヨウ化メチル(681μl、10.9mmol)を加え、さらに室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを加え抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1〜1:1)により精製し、5−(ベンジルオキシ)−2−(メトキシメチル)ピリジン(2.02g、収率:88%)を淡黄色油状物として得た。
6)上記反応で得られた化合物(2.02g、8.79mmol)のメタノール溶液(40ml)に10%パラジウム炭素(204mg)を加え、水素雰囲気下室温で1時間撹拌した。反応液をろ過後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1〜酢酸エチル)により精製し、表題化合物(1.19g、収率:97%)を無色固体として得た。
【0115】
実施例12
【化32】

5−(5−{[5−(メトキシメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H -ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H )−オンの調製
N−[5−フルオロ−2−ニトロ−4−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]ピリジン−2−カルボキサミド及び5−(メトキシメチル)ピリジン−2−オールを用いて、実施例7と同様の方法、これに準じた方法又はこれらと常法とを組み合わせることにより、表題化合物のラセミ体を得、次いで光学活性カラムクロマトグラフィー(Daicel CHIRALPAK AD−H(20*250mm、5um)、ヘキサン:イソプロピルアルコール=25:75、7ml/min)で光学分割することにより、エナンチオマーA(faster:14min:14mg)を白色固体、エナンチオマーB(slower:30min:14mg)を白色固体としてそれぞれ得た。
以下に表題化合物の分析データを示す。
H−NMR(CDCl)δ:2.18−2.67(4H,m),3.41(3H,s),4.42(2H,s),5.72−5.85(1H,brm),6.96(1H,brs),7.31−7.93(4H,m),8.14(1H,s),8.38(1H,brs),8.56−8.69(1H,brm),10.58(1H,brs).
ESI−MS(m/e):417[M+H]
【0116】
5−(メトキシメチル)ピリジン−2−オールの調製
1)6−オキシ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(1.17g、7.64mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(40ml)に氷冷下、塩化2‐(トリメチルシリル)エトキシメチル(1.63ml、9.17mmol)及び60%水素化ナトリウム(0.45g、11.5mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液に水及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、ヘキサン:酢酸エチル=19:1〜1:1)により精製し、6−オキシ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(1.06g、収率:49%)を無色油状物として得た。
2)上記反応で得られた化合物(1.06g、3.74mmol)のメタノール溶液(20ml)に2N水酸化ナトリウム溶液(5ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応液に5N塩酸(2ml)を加えた後減圧下にメタノールを留去し、クロロホルムを加えた。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して6−オキシ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸を含む粗生成物を得た。
3)上記反応で得られた化合物のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に1,1’‐カルボニルジイミダゾール(0.90g、5.57mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液に氷冷下、5.6M水素化ホウ素ナトリウム水溶液(10ml、5.6mmol)を加え、更に30分攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液及びクロロホルムを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、クロロホルム:メタノール=99.6:0.4〜96:4)により精製し、5−(ヒドロキシメチル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ピリジン−2(1H)−オン(794mg、収率:84%)を無色油状物として得た。
4)上記反応で得られた化合物(794mg、3.11mmol)のテトラヒドロフラン溶液(20ml)に氷冷下、ヨウ化メチル(0.97ml、15.6mmol)及び60%水素化ナトリウム(497mg、12.4mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを加え、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI60、クロロホルム:メタノール=99.8:0.2〜98:2)により精製し、5−(メトキシメチル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}ピリジン−2(1H)−オン(488mg、収率:58%)を無色油状物として得た。
5)上記反応で得られた化合物(488mg、1.81mmol)のクロロホルム溶液(15ml)にトリフルオロ酢酸(5ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧下に濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Purif−Pack SI20、クロロホルム:メタノール=99.4:0.6〜94:6)により精製し、表題化合物(200mg、収率:79%)を無色結晶として得た。
【産業上の利用可能性】
【0117】
式(I)で表される本発明に係るオキソテトラヒドロフラン−2−イル−ベンズイミダゾール誘導体又はその薬学的に許容される塩は、優れたグルコキナーゼ活性化作用を示すことから、医薬の分野において、糖尿病、糖尿病の合併症若しくは肥満の治療及び/又は予防に有用である。
【0118】
本発明を、特定の実施態様を参照しながら開示し説明してきたが、当業者は、その手順及びプロトコールについて、多様な変更、修飾及び置換が、本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされ得ることを認識するであろう。例えば、本明細書にすでに説明した好ましい投与量以外の有効投与量を、肥満症、糖尿病、肥満症関連疾患又は上記に示した本発明化合物による他の適応症に治療すべき哺乳動物の反応性の変動の結果として適用されることもあり得る。同様に、観察される特異的薬理学的応答は、選択した特定の活性化合物により、又は医薬用担体が存在するか、並びに製剤の型及び採用する投与方式により、依存的に変わり得るものであり、結果におけるかかる予測される変動又は差異は、本発明の目的と実施形態に従って意図される。従って、本発明は以下の請求項の範囲によって限定されるべきであり、またかかる請求項は妥当である限り広く解釈すべきことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は、式(II):
【化2】

(式中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、又はR12、R13及びそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン−1−イル基、ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基又はホモピペリジン−1−イル基を示し;
14は、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を同一又は異なって1乃至4有していてもよい、低級アルキル基を示し;
mは、0又は1を示し;
nは、0又は1を示し;
及びXは、全てCHを示すか、或いは、X又はXのいずれか1つが窒素原子を示し、かつ、残りの1つがCHを示し;
式(IV):そして
【化3】

で表される基は、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、イソキサゾリル基、及びチアゾリル基からなる群より選択される基を示し;
は、低級アルキル基(該低級アルキル基は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい)、低級アルコキシ基又はヒドロキシ基を示し;そして
kは、0又は1を示す]で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(I)中の式:
【化4】

(式中、
【化5】

は、R及び酸素原子との結合部位を示し、他の記号は、前記に同じ)で表される基が、ベンゼン環から水素原子を2個除いてなる2価の基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I)中の式:
【化6】

(式中、
【化7】

は、R及び酸素原子との結合部位を示し、他の記号は、前記に同じ)で表される基が、Xが窒素原子であるピリジン環から水素原子を2個除いてなる2価の基である請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、式(II−2):
【化8】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される基である請求項2もしくは3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、式(II−3):
【化9】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される基である請求項2もしくは3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、アゼチジン−1−イルカルボニル基、ジメチルカルバモイルメチル基、メチルカルバモイルメチル基又はエチルカルバモイル基である請求項2もしくは3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、メトキシメチル基である請求項2もしくは3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、ジメチルカルバモイルメチル基又はメチルカルバモイルメチル基である請求項2もしくは3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
mが1である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
式(IV):

で表される基が、ピリジニル基、ピラジニル基及びチアゾリル基からなる群より選択される基である請求項6乃至9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
kが0である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
式(I)で表される化合物が、
5−{5−[4−(アゼチジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル}ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(アゼチジン−1−イルカルボニル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
N,N−ジエチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N,N−ジメチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N−エチル−N−メチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N−エチル−5−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}ピリジン−2−カルボキサミド、
N,N−ジメチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミド、
N−メチル−2−(4−{[6−(5−オキソテトラヒドロフラン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]オキシ}フェニル)アセトアミド、
5−(2−ピリジン−2−イル−5−{[6−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(2−ヒドロキシエトキシ)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
5−(5−{[6−(メトキシメチル)ピリジン−3−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
及び、
5−(5−{[5−(メトキシメチル)ピリジン−2−イル]オキシ}−2−ピリジン−2−イル−1H−ベンズイミダゾール−6−イル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン、
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
2型糖尿病の治療、予防及び/又は発症を遅らせるために用いられる以下の(1)乃至(3)からなる医薬組成物。
(1)式(I):
【化10】

[式中、各記号は前記に同じ]で表される化合物、
(2)以下の(a)−(i)からなる群より選択される1又は2以上の化合物
(a)他のグルコキナーゼ活性化剤、
(b)ビグアニド、
(c)PPARアゴニスト、
(d)インスリン、
(e)ソマトスタチン、
(f)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(g)インスリン分泌促進剤、
(h)DPP−IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤)、及び
(i)グルコース取り込み促進薬、
(3)薬理学的に許容される担体
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とするグルコキナーゼ活性化剤。
【請求項15】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む糖尿病の予防剤又は治療剤。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−501295(P2012−501295A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507742(P2011−507742)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/JP2009/064072
【国際公開番号】WO2010/024110
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(595152759)MSD株式会社 (22)
【Fターム(参考)】