説明

オリゴデプシド化合物

【課題】 アミノ酸で修飾した乳酸(例えば、グリシル−乳酸など)を用いてオリゴマーを合成すること。
【解決手段】 下記式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物又はその塩。
【化1】


(式中、R1は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R2は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎖状及び環状のオリゴデプシド化合物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
縮合度3〜19の環状及び/又は鎖状のポリL−乳酸混合物は、抗悪性腫瘍剤として(特開平9−227388号公報および特開平10−130153号公報)、また癌患者のQOL改善剤として(特開2000−239171号公報)有用であることが報告されている。また、縮合度3〜19の環状及び/又は鎖状のポリ乳酸混合物が、血糖低下作用を有し、糖尿病又は糖尿病の合併症の予防及び/又は治療のための医薬として有用であることも判明している(国際公開WO01/010451号公報)。また、上記のポリ乳酸混合物は、過剰な食欲の抑制、基礎代謝増進並びに肥満の改善及び/又は予防、のために有用であることも判明している。さらに、上記のポリ乳酸混合物は、免疫賦活、微生物感染の防御、抗アレルギー、抗ストレス、及び抗癌剤の副作用の軽減など多様な生理活性を示すことが実証されている。
【0003】
上記したように縮合度3〜19の環状及び/又は鎖状のオリゴ乳酸混合物は、多種多様な薬効を示すことが実証されつつあり、今後も医薬品として開発されることが期待されている。その一方、より活性の高い物質を探索する上において、オリゴ乳酸の各種誘導体を探索していくことが望まれている。アミノ酸で修飾した乳酸(例えば、グリシル−乳酸など)を用いてオリゴマーを合成する試みについてはこれまでの所、報告がない。
【0004】
【特許文献1】特開平9−227388号公報
【特許文献2】特開平10−130153号公報
【特許文献3】特開2000−239171号公報
【特許文献4】国際公開WO01/010451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アミノ酸で修飾した乳酸(例えば、グリシル−乳酸など)を用いてオリゴマーを合成することを解決すべき課題とした。本発明はまた、当該オリゴマーの製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アミノ酸で修飾した乳酸を出発物質として使用し、縮合反応を試みることにより、鎖長の長いオリゴマー(オリゴデプシド化合物)の合成に成功した。さらに得られた鎖状オリゴマーを分子内環化反応に供することにより環状のオリゴマー(オリゴデプシド化合物)を合成することにも成功した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0007】
即ち、本発明によれば、下記式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物又はその塩が提供される。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R2は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)
【0008】
本発明の別の側面によれば、下記式(4)で表される化合物が提供される。
【化2】

(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい。mは1、2又は3を示す。)
【0009】
本発明のさらに別の側面によれば、下記式(1)、(2)又は(3):
【化3】

(式中、R1は水素原子を示し、R2は水素原子を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)
の何れかで表される化合物を分子内脱水縮合による環化反応に供することを特徴とする、上記の式(4)で表される化合物の製造方法が提供される。
【0010】
好ましくは、式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物を、ジイソプロピルエチルアミン及びFDPPの存在下で分子内脱水縮合による環化反応に供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、アミノ酸で修飾した乳酸(例えば、グリシル−乳酸など)を用いて製造したオリゴマー提供することが可能になった。本発明により提供される化合物は、医薬品、医薬品原料、食品添加物、香粧料原料、製剤原料、製剤添加物等として有用である。また、本発明のオリゴマーは、二次修飾によってさらに機能性を高めた誘導体の合成が可能となる。例えば、アシル化やアルキル化によって脂溶性を高めたり、ポリエチレングリコール化によって水溶性にすることが可能である。また、シリカや高分子ビーズなどの担体表面に固定化することによって、リガンドの探索や、特殊な分離カラムへの応用や、特殊な金属との選択性を有するセンサーなどの開発に応用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施態様及び実施方法について詳細に説明する。
本発明は、下記式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物又はその塩に関するものである。
【化4】

(式中、R1は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R2は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)
【0013】
さらに本発明によれば、下記式(4)で表される化合物が提供される。
【化5】

(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい。mは1、2又は3を示す。)
が提供される。
【0014】
式(1)〜(3)においてR1で表されるアミノ基の保護基の種類は特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。アミノ基の保護基の具体例としては、置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基(置換基としては、例えば、アルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリール基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の複素環基、架橋環式炭化水素基、アシル基、アルキルチオ基、ジシクロヘキシルカルボキシアミド基、置換もしくは無置換のベンゼンスルホニル基、アルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のホスホニオ基、シアノ基等が挙げられる)、置換もしくは無置換のアルケニルオキシカルボニル基(置換基としては、例えば、アリール基、ニトロ基等が挙げられる)、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換の複素環オキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキルジチオカルボニル基等のカルバメート型アミノ保護基、アミド型アミノ保護基、N−アルキル型アミノ保護基等が挙げられる。
【0015】
置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基、フェニルエチルオキシカルボニル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−2−ハロエチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルオキシカルボニル基、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル基、2−(2'−ピリジル)エチルオキシカルボニル基、2−(4'−ピリジル)エチルオキシカルボニル基、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキシアミド)エチルオキシカルボニル基、1−アダマンチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−ブロモベンジルオキシカルボニル基、p−クロロベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニル基、4−メチルスルフィニルベンジルオキシカルボニル基、9−アントリルメチルオキシカルボニル基、ジフェニルメチルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−チオキサンチル)]メチルオキシカルボニル基、4−メトキシフェナシルオキシカルボニル基、2−メチルチオエチルオキシカルボニル基、2−メチルスルホニルエチルオキシカルボニル基、2−(p−トルエンスルホニル)エチルオキシカルボニル基、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルオキシカルボニル基、4−メチルチオフェニルオキシカルボニル基、2,4−ジメチルチオフェニルオキシカルボニル基、2−ホスホニオエチルオキシカルボニル基、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−2−シアノエチルオキシカルボニル基、m−クロロ−p−アシロキシベンジルオキシカルボニル基、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルオキシカルボニル基、5−ベンゾイソオキサゾリルメチルオキシカルボニル基、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、o−ニトロベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルオキシカルボニル基、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0016】
置換もしくは無置換のアルケニルオキシカルボニル基の具体例としては、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、1−イソプロピルアリルオキシカルボニル基、シンナミルオキシカルボニル基、4−ニトロシンナミルオキシカルボニル基等が例示される。
【0017】
置換もしくは無置換の複素環オキシカルボニル基の具体例としては、8−キノリルオキシカルボニル基、N−ピペリジニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0018】
置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基の具体例としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルオキシカルボニル基などが例示される。
【0019】
アミド型アミノ保護基の具体例としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、クロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、フェニルアセチル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
【0020】
N−アルキル型アミノ保護基の具体例としては、ベンジル基、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチル基、N−5−ジベンゾスベリル基、N−トリフェニルメチル基、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル基、N−9−フェニルフルオレニル基、アリル基、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル基、N−3−アセトキシプロピル基などが挙げられる。
【0021】
R2で表されるカルボキシル基の保護基の種類は特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。カルボキシル基の保護基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−,iso−,sec−,tert−ブチル、n−ヘキシル基等のC1-8アルキル基、ブロモ−t−ブチル、トリクロロエチル等のハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等)で1ないし3置換されたC1-6アルキル基、ベンジル、p−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル基、p−t−ブチルベンジル等のニトロ、C1-4アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ等)またはC1-4アルキル基(例えばメチル、エチル、n−又はiso−プロピル、n−、iso−、sec−又はtert−ブチル等)等で1または2置換されていてもよいC7-14アラルキル基、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、n−,iso−,ブチリルオキシメチル、バレリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、1−(または2−)アセトキシエチル,1−(または2−または3−)アセトキシプロピル,1−(または2−または3−または4−)アセトキシブチル,1−(または2−)プロピオニルオキシエチル,1−(または2−または3−)プロピオニルオキシプロピル,1−(または2−)ブチリルオキシエチル,1−(または2−)イソブチリルオキシエチル,1−(または2−)ピバロイルオキシエチル,1−(または2−)ヘキサノイルオキシエチル、イソブチリルオキシメチル、2−エチルブチリルオキシメチル,3,3−ジメチルブチリルオキシメチル、1−(または2−)ペンタノイルオキシエチル等のC1-4アルカノイルオキシ−C1-4アルキル基、例えば2−メシルエチル基等のC1-4アルカンスルホニル−C1-4アルキル基,例えばメトキシカルボニルオキシメチル,エトキシカルボニルオキシメチル,プロポキシカルボニルオキシメチル,第三級ブトキシカルボニルオキシメチル,1−(または2−)メトキシカルボニルオキシエチル,1−(または2−)エトキシカルボニルオキシエチル,1−(または2−)イソプロポキシカルボニルオキシエチル等のC1-4アルコキシカルボニルオキシ−C1-4アルキル基、t−ブチルジメチルシリル、トリメチルシリル等のトリC1-4アルキルシリル基、アリル、メタ アリル等のC2-6アルケニル基、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシ メチル、イソプロポキシメチル等のC1-4アルコキシ−メチル基、(2−メチル チオ)−エチル等のC1-4アルキルチオC1-4アルキル基、3−メチル−2−ブテニル基、5−インダニル基、3−フタリジル基等が用いられる。
【0022】
なお、上記したような保護基の導入法及び脱保護法は当業者に公知であり、例えば、Teodora, W.Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John & Wiley & Sons Inc. (1981) などに記載されている。
【0023】
式(1)〜(4)において、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい。好ましくは、同一分子内のXは互いに同一である基を示す。Xが示す低級アルキル基としては、炭素数1〜6程度の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。式(1)〜(4)において、Xは好ましくは水素原子、又は−CH265である。
【0024】
本発明の化合物は塩としても存在することができる場合もある。このような金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、又は亜鉛塩等が挙げられる。さらに、本発明の化合物の各種の水和物、溶媒和物や結晶多形の物質も本発明の範囲内のものである。
【0025】
本発明の化合物には不斉炭素が含まれるため立体異性体が存在するが、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の該異性体を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内のものである。即ち、本発明の化合物は、光学活性体、ラセミ体、ジアステレオマー等の各種光学異性体の混合物及びそれらの単離されたものを含む。
【0026】
本発明の化合物の立体配置は、原料として使用する化合物における乳酸単位の立体配置に依存する。即ち、原料として使用する化合物における乳酸単位としてL体、D体またはその混合物を使用するかにより、本発明の化合物の立体配置も多様なものとなる。本発明においては、乳酸単位の立体配置としてはL体を使用することが好ましい。
【0027】
次に、本発明の化合物の製造方法について説明する。
本発明の式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物は、例えば、アミノ酸で修飾した乳酸同士を脱水縮合させることにより製造することができ、具体例の一つとしては、以下のように行うことができる。
【0028】
【化6】

【0029】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-グリシル-(S)-(+)-乳酸の塩化メチレン溶液、グリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル1.3387g(6.6 mmol)の塩化メチレン溶液、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールのTHF、トリエチルアミンの塩化メチレン溶液、N, N'-ジシクロへキシルカルボジイミドの塩化メチレン溶液をそれぞれ混合して撹拌する。室温に戻し、さらに3時間撹拌する。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウムを加え、塩化メチレンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ジエチルエーテル溶出部より、白色結晶のZ-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチルを得ることができる。
【0030】
上記で得られた化合物は、本発明の式(1)で表される化合物においてXが水素原子である化合物に相当する。式(1)においてXが低級アルキル基、又は−CH265を示す化合物を製造する場合には、Z-グリシル-(S)-(+)-乳酸の変わりに、Z−アラニル-(S)-(+)-乳酸又はZ−フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸などを使用すればよい。
【0031】
本発明の式(2)で示される化合物は、上記式(1)で示される化合物においてアミノ基を脱保護した化合物と、アミノ基を保護したアミノ酸で修飾した乳酸(例えば、Z-グリシル-(S)-(+)-乳酸)とを反応させることにより合成することができる。
【0032】
また、本発明の式(3)で示される化合物は、上記式(1)で示される化合物においてアミノ基を保護し、カルボキシル基を脱保護した化合物と、上記式(1)で示される化合物においてアミノ基を脱保護し、カルボキシル基を保護した化合物とを反応させることにより、合成することができる。
【0033】
本発明の式(4)で表される化合物は、本発明の式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物を分子内脱水縮合による環化反応に供することによって製造することができる。
【0034】
ここで、分子内脱水縮合による環化反応は、分子内脱水反応を伴うエステル化反応が進行できる条件下であれば任意の条件下で行うことができるが、好ましくは、ジイソプロピルエチルアミン及びFDPPの存在下で行うことができる。
【0035】
反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、好ましくは−50℃〜室温である。
また、反応は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施される。反応溶媒は反応に不活性な溶媒であれば特に制限されないが、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン等を用いることができる。
また、反応雰囲気としては、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気を使用することができる。
【0036】
上記反応の好ましい具体例としては、アルゴン雰囲気下室温で、式(1)〜(3)の何れかの化合物をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、ジイソプロピルエチルアミンを加え、FDPPのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加えて撹拌する。反応終了後、1N-HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、クロロホルム:酢酸エチル溶出部より、環状の式(4)で表される化合物を得ることができる。
以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0037】
実施例1:
【化7】

【0038】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-グリシル-(S)-(+)-乳酸2.0988g(7.5mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、グリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル1.3387g(6.6 mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1.0721g(7.0mmol)のTHF溶液5mlを加え、トリエチルアミン1.0738g(7.0mmol)の塩化メチレン溶液3mlを加え、N, N'-ジシクロへキシルカルボジイミド2.0574g(10mmol)の塩化メチレン溶液12mlを加え、1時間撹拌した。室温に戻し、さらに3時間撹拌した。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム16mlを加え、塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ジエチルエーテル溶出部より、白色結晶のZ-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチルが2.7093g(88%)得られた。
【0039】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.46(s, 9H), 1.47(d, J=7.0Hz, 3H), 1.51(d, J=7.0Hz, 3H), 3.9-4.2(m, 4H), 5.02(q, J=7.0Hz, 1H), 5.14(s, 2H), 5.2-5.4(b, 1H), 5.32(q, J=7.0Hz, 1H), 6.7-6.9(b, 1H), 7.3-7.4(m, 5H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ (ppm)=16.78, 17.64, 27.87, 40.81, 42.98, 67.24, 69.94, 71.25, 82.40, 128.05, 128.22, 128.50, 136.06, 156.63, 168.75, 168.91, 169.35, 170.20
IR (cm-1): 1536(CONH), 1679(CONH), 1758(C=O), 3336(NH)
[α]24D=-40.96°(c=1.06 CHCl3)
m.p. =69-71℃
【0040】
実施例2
【化8】

【0041】
Z-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.2347g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液4mlに、トリフルオロ酢酸2mlを滴下し、滴下終了後から室温で2時間30分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、水層を塩基性とした後、0℃に冷やした1N-塩酸を滴下し水層のpHを3~4にした。塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ジエチルエーテル溶出部より淡黄色油状のZ-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸を0.1888g(92%)得た。
【0042】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.48(d, J=7.0Hz, 3H), 1.52(d, J=7.0Hz, 3H), 3.95-4.15(m, 4H), 5.11(s, 2H), 5.14(q, J=7.0Hz, 1H), 5.30(q, J=7.0Hz, 1H), 5.5-5.6(b, 1H), 7.2-7.3(b,1H), 7.3-7.4(m, 5H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ=16.78, 27.88, 42.62, 67.07, 69.90, 82.34, 128.06, 128.15, 128.50, 136.20, 156.17, 169.32, 169.42
IR (cm-1): 1536(CONH), 1679(CONH), 1758(C=O), 3336(COOH)
【0043】
実施例3
【化9】

【0044】
Z-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.2335g(0.5mmol)の酢酸エチル溶液20mlに、10%-パラジウム-活性炭素0.15gを入れ、水素雰囲気下で3時間撹拌した。パラジウム活性炭素をろ過によって取り除いた後、無水硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥した。溶媒を除去したところ、対応する無色油状のグリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチルを0.1645g(99%)得た。
【0045】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm) = 1.46(s, 9H), 1.58(d, J=7.0Hz, 3H), 3.51(d, J=18.0Hz, 1H), 3.57(d, J=18.5Hz, 1H), 4.06(dd, J=5.0Hz, J=18.5Hz, 1H), 4.22(dd, J=6.0Hz, J=18.5Hz, 1H), 5.00(q, J=7.0Hz, 1H), 5.30(q, J=7.0Hz, 1H), 6.6-6.7(m, 1H)
【0046】
実施例4
【化10】

【0047】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-グリシル-(S)-(+)-乳酸0.2813g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、グリシル-(S)-(+)ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.1816g(0.55mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.3063g(2.0mmol)のTHF溶液5mlを加え、トリエチルアミン0.1012g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液3mlを加え、N,N'-ジシクロへキシルカルボジイミド0.2063g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液7mlを加え、1時間撹拌した。室温に戻し、さらに3時間撹拌した。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム30mlを加え、塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ジエチルエーテル溶出部より、白色結晶のZ-グリシル-(S)-(+)-乳酸3量体-tert-ブチルが0.2001g(65%)得られた。
【0048】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm) =1.45(s, 9H), 1.46(d, J=7.0Hz, 3H), 1.48(d, J=7.0Hz, 3H), 1.49(d, J=7.0Hz, 3H), 3.9-4.1(m, 6H), 4.99(q, J=7.0Hz, 1H), 5.09(d, J=12.5HZ, 1H), 5.15(d, J=12.5HZ, 1H), 5.28(q, J=7.0Hz, 1H), 5.29(q, J=7.0Hz, 1H), 5.55-5.60(b, 1H), 7.00-7.05(b, 1H), 7.18-7.23(b, 1H), 7.3-7.4(m, 5H)
IR (cm-1): 1535(CONH), 1731(C=O), 3363(NH)
[α]25D=-31.73°(c=1.10 CHCl3)
【0049】
実施例5
【化11】

【0050】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-グリシル-(S)-(+)-ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸0.3197g(1mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、グリシル-(S)-(+)ラクトイルアミノグリシル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.3307g(1mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.1627g(1mmol)のTHF溶液5mlを加え、トリエチルアミン0.1123g(1mmol)の塩化メチレン溶液3mlを加え、N, N'-ジシクロへキシルカルボジイミド0.2142g(1mmol)の塩化メチレン溶液12mlを加え、1時間撹拌した。室温に戻し、さらに3時間撹拌した。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム30mlを加え、塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、酢酸エチル溶出部より、白色結晶のZ-グリシル-(S)-(+)-乳酸4量体-tert-ブチルが0.4154g(70%)得られた。
【0051】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.45(s, 9H) 1.46(d, J=7.0Hz, 3H), 1.47(d, J=7.0Hz, 3H), 1.48(d, J=7.0Hz, 3H), 1.48(d, J=7.0Hz, 3H), 3.8-4.2(m, 8H), 4.98(q, J=7Hz, 1H), 5.08(d, J=12Hz, 1H), 5.15(d, J=12Hz, 1H), 5.2-5.3(m, 3H), 5.6-5.7(b, 1H), 7.0-7.2(b, 1H), 7.3-7.4(m, 7H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ (ppm)=16.87, 17.48, 17.58, 17.71, 27.93, 40.82, 41.58, 41.82, 43.26, 67.49, 69.89, 71.28, 71.31, 82.44, 127.97, 128.46, 128.65, 135.92, 157.39, 168.07, 168.21, 169.07, 169.24, 169.61, 170.64, 171.26, 171.87
IR (cm-1): 1529(CONH), 1658(CONH), 1749(C=O), 3284(NH)
[α]24D=-73.2°(c=1.00 CHCl3)
m.p.=59-60℃
【0052】
実施例6
【化12】

【0053】
Z-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル1.2939g(2mmol)の塩化メチレン溶液4mlに、トリフルオロ酢酸3mlを滴下し、滴下終了後から室温で2時間30分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、水層を塩基性とした後、0℃に冷やした1N-塩酸を滴下し水層のpHを3~4にした。塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)にて分離し、ジエチルエーテル溶出部より白色結晶のZ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸を1.0986g(93%)得た。
【0054】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.31(d, J=7.0Hz, 3H), 1.53(d, J=7.0Hz, 3H), 2.99(dd, J=7Hz, J=14Hz, 1H), 3.05 (dd, J=7.5Hz, J=14Hz, 1H), 3.10(dd, J=5.5Hz, J=14Hz, 1H), 3.31(dd,, J=5.5Hz, J=14.5Hz, 1H), 4.59(ddd, J=5.5Hz, J=7.0Hz, J=8.0Hz, 1H), 4.88(ddd, J=5.5Hz, J=7.0Hz, J=8.5Hz, 1H), 5.05(s, 2H), 5.16(q, J=7.0Hz, 1H), 5.16(d, J=8.0Hz, 1H), 5.20(q, J=7.0Hz, 1H), 6.83(d, J=7.5Hz, 1H), 7.2-7.4 (m, 15H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ=16.81, 17.63, 37.12, 37.41, 52.53, 54.80, 67.20, 69.00, 71.50, 127.11, 127.34, 128.03, 128.30, 128.49, 128.54, 128.83, 129.35, 129.14, 129.35, 135.25, 135.63, 156.17, 170.11, 170.33
IR (cm-1):1531(CONH), 1650(CONH), 1724(C=O), 3278(COOH)
【0055】
実施例7
【化13】

【0056】
Z-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.3240g(0.5mmol)の酢酸エチル溶液15mlに、10%-パラジウム活性炭素0.15gを入れ、水素雰囲気下で3時間撹拌した。パラジウム活性炭素をろ過によって取り除いた後、無水硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥した。溶媒を除去したところ、対応する無色油状のL-フェニルアラニル-(S)-(+)ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチルを0.2486g(97%)得た。
【0057】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm) =1.36(d, J=7.0Hz, 3H), 1.47(s, 9H), 1.48(d, J=7.0Hz, 3H), 2.77(dd, J=8Hz, J=13.5Hz, 1H), 3.09(dd, J=5Hz, J=13.5Hz, 1H), 3.11(dd, J=7Hz, J=14.0Hz, 1H), 3.32(dd, J=6Hz, J=14.0Hz, 1H), 3.70(ddd, J=5.0Hz, J=7Hz, J=8.0Hz, 1H), 4.88(ddd, J=5.5Hz, J=7.0Hz, J=8.5Hz, 1H), 5.02(q, J=7.0Hz, 1H), 5.16(q, J=7.0Hz, 1H), 6.46(d, J=7.5Hz, 1H), 7.2-7.4(m, 10H)
【0058】
実施例8
【化14】

【0059】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸0.4714g(1.1mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、L-フェニルアラニル-(S)-(+)ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.5132g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.1542g(1.0mmol)のTHF溶液5mlを加え、トリエチルアミン0.1022g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液3mlを加え、N, N'-ジシクロへキシルカルボジイミド0.2074g(1.0mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1時間撹拌した。室温に戻し、さらに3時間撹拌した。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム30mlを加え、塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ヘキサン:酢酸エチル(2:1)溶出部より、白色結晶のZ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸3量体-tert-ブチルが0.6352g(64%)得られた。
【0060】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.30(d, J=7.0Hz, 3H), 1.31(d, J=7.0Hz, 3H), 1.46(d, J=7.0Hz, 3H), 1.47(s, 9H), 2.9-3.15(m, 4H), 3.18(dd, J=5.0Hz, J=14Hz, 1H), 3.35(dd, J=5.0Hz, J=14Hz, 1H), 4.54(ddd, J=5.0Hz, J=7.3Hz, J=7.3Hz, 1H), 4.64(ddd, J=5.0Hz, J=8.0Hz, J=8.0Hz, 1H), 4.75(ddd, J=5.0Hz, J=8.0Hz, J=8.5Hz, 1H), 5.02(q, J=7Hz, 1H), 5.04(s, 2H), 5.11(q, J=7Hz, 1H), 5.14(q, J=7Hz, 1H), 6.73(d, J=8.5Hz, 1H), 6.82(d, J=7.5Hz, 1H), 7.0-7.4(m, 21H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ (ppm) =16.91, 17.48, 17.59, 17.71, 24.92, 25.59, 27.93, 33.91, 36.46, 36.64, 37.27, 52.41, 53.18, 53.43, 67.27, 69.78. 71.40, 71.50, 71.56, 82.14, 126.86, 127.22, 127.54, 127.95, 128.36, 128.40, 128.55, 128.60, 128.70, 128.98, 129.03, 129.15, 129.47, 135.13, 135.74, 136.24, 169.39, 169.48, 169.52, 17.18, 170.57
IR (cm-1): 1521(CONH), 1650(CONH), 1729(C=O), 3448(NH)
[α]25D=-25.94°(c=1.01 CHCl3)
【0061】
実施例9
【化15】

【0062】
アルゴン雰囲気下、0℃にて、Z-L-フェニルアラニル-(S)-(+)ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸0.3212g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、L-フェニルアラニル-(S)-(+)ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.2202g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.0774g(0mmol)のTHF溶液5mlを加え、トリエチルアミン0.0506g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液3mlを加え、N, N'-ジシクロへキシルカルボジイミド0.1064g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液5mlを加え、1時間撹拌した。室温に戻し、さらに3時間撹拌した。減圧ろ過し、飽和炭酸水素ナトリウム30mlを加え、塩化メチレンで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで2時間乾燥した。溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、ジエチルエーテル溶出部より、白色結晶のZ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸4量体-tert-ブチルが0.3642g(67%)得られた。
【0063】
1H NMR (500MHz, CDCl3)
δ (ppm)=1.28(d, J=7.0Hz, 3H), 1.30(d, J=7.0Hz, 3H), 1.31(d, J=7.0Hz, 3H), 1.45(d, J=7.0Hz, 3H), 1.46(s, 9H), 3.0-3.25(m, 7H), 3.34(dd, J=5Hz, J=14Hz, 1H), 4.49(ddd, J=7.0Hz, J=7.5Hz, J=7.5Hz, 1H), 4.64(ddd, J=5.5Hz, J=7.5Hz, J=7.5Hz, 1H), 4.75(ddd, J=5.5Hz, J=8.5Hz, J=8.5Hz, 1H), 4.87(ddd, J=5.0Hz, J=8.5Hz, J=8.5Hz, 1H), 5.01(q, J=7Hz, 1H), 5.15(s, 2H), 5.05-5.20(m, 3H), 6.8-7.4(m, 29H)
13C NMR (125MHz, CDCl3)
δ (ppm)=16.91, 17.48, 17.59, 17.71, 24.92, 25.59, 27.93, 33.91, 36.46, 36.64, 37.27, 52.41, 53.18, 53.43, 67.27, 69.78. 71.40, 71.50, 71.56, 82.14, 126.86, 127.22, 127.54, 127.95, 128.36, 128.40,128.55, 128.60, 128.70, 128.98, 129.03, 129.15, 129.47, 135.13, 135.74, 136.24, 169.39, 169.48, 169.52, 17.18, 170.57
IR (cm-1): 1533(CONH), 1656(CONH), 1731(C=O), 3280(NH)
[α]25D=-31.68°(c=1.19 CHCl3)
【0064】
実施例10
【化16】

【0065】
窒素雰囲気下室温で、L-フェニルアラニル-(S)-(+)-ラクトイルアミノ-L-フェニルアラニル-(S)-(+)-乳酸-tert-ブチル0.2553g(0.5mmol)の塩化メチレン溶液4mlに、トリフルオロ酢酸3mlを滴下し、滴下終了後から室温で2時間30分間撹拌した後、酢酸エチル10mlを加え減圧濃縮する操作をトリフルオロ酢酸臭がなくなるまで行った。アルゴン雰囲気下室温で、残渣をN,N-ジメチルホルムアミド45mlに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン0.42mlを加え、FDPP0.2882g(0.75mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液10mlを加えて5時間撹拌した。反応終了後、1N-HCl、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥した。溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて分離し、クロロホルム:酢酸エチル(5:1)溶出部より、環状デプシペプチドが0.3642g(環化収率18%)得られた。
【0066】
1H NMR (500MHz, CDCl3),
δ (ppm) =1.39(d, J=7.0Hz, 3H), 3.06(dd, J=6.5Hz, J=14Hz, 1H), 3.11(dd, J=7.0Hz, J=14Hz, 1H), 4.92(ddd, J=6.5Hz, J=7.0Hz, J=10Hz, 1H), 5.23(q, J=7.0Hz, 1H), 6.03(d, J=10Hz, 1H), 7.2-7.4(m, 5H)
IR (cm-1): 1527(CONH), 1660(CONH), 1743(C=O), 3343(NH)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物又はその塩。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はアミノ基の保護基を示し、R2は水素原子又はカルボキシル基の保護基を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)
【請求項2】
下記式(4)で表される化合物。
【化2】

(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい。mは1、2又は3を示す。)
【請求項3】
下記式(1)、(2)又は(3):
【化3】

(式中、R1は水素原子を示し、R2は水素原子を示し、Xは水素原子、低級アルキル基、又は−CH265を示し、同一分子内のXは互いに同一でも異なっていてもよい)
の何れかで表される化合物を分子内脱水縮合による環化反応に供することを特徴とする、請求項2に記載の式(4)で表される化合物の製造方法。
【請求項4】
式(1)、(2)又は(3)の何れかで表される化合物を、ジイソプロピルエチルアミン及びFDPPの存在下で分子内脱水縮合による環化反応に供することを特徴とする、請求項3に製造方法。


【公開番号】特開2006−232691(P2006−232691A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46884(P2005−46884)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】