説明

オリーブ葉抽出物を含有する歯周組織健康維持剤

【課題】歯ぐきの健康を維持し、歯肉の健康を維持し、歯を支える組織の健康を維持し、歯周病を予防、治療または改善し、歯周組織の健康を維持し、または歯槽骨の吸収を抑制する剤を提供する。更には、これらの作用効果を有する有効成分を含む飲食品、口腔用組成物および医薬組成物を提供する。
【解決手段】レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤および抗歯肉炎剤、ならびにそれらを含む飲食品、口腔用組成物および医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、ア−ティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有する歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤および抗歯周炎剤、ならびにそれらの剤を含む飲食品、口腔用組成物および医薬組成物に関する。また、骨吸収抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
骨を減少させる直接の原因としては骨代謝の変調が挙げられる。特に、骨組織を破壊する破骨細胞の機能亢進は骨の減少を顕著に引き起こすため、破骨細胞の機能を適正に保つことは、健全な骨格を維持する上で非常に重要な課題となっている。一方、骨の減少を伴う疾患としては、例えば、骨粗鬆症や、骨形成不全、リウマチ、変形性関節症、歯周病などが挙げられる。
【0003】
歯周病(慢性辺縁性歯周炎)は歯肉炎や歯周炎の総称であり、歯周組織における歯周病原因菌の感染成立とそれに伴う生体の防御反応の結果生じた慢性的な炎症により、歯を支えている結合組織や歯槽骨の破壊・吸収が生じ、最終的には歯牙の喪失をきたす疾患である。歯牙の喪失や重度の歯槽骨の破壊・吸収は、咀嚼機能に重大な障害を生じさせ、大幅なQOLの低下をもたらすだけでなく、高齢者においては全身の健康状態を損なう原因の一つとなっている。この歯槽骨の破壊・吸収は、破骨細胞の形成亢進や活性化の要因が大きく関与していることが知られている。したがって、破骨細胞の形成抑制や破骨細胞の骨吸収機能の抑制は、歯周病における骨破壊・吸収防止において有効的なアプローチになりうる。
【0004】
破骨細胞の形成亢進や活性化は、炎症反応と深い関連性があることから、従来、炎症反応を引き起こす歯周病自体を予防・改善させるために、歯周病に深く関わる因子である口腔内の歯周病原因菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス、アクチノバチラス・アクチノマイセテスコミタンスなど)に着目し、それらが産生する内毒素(リポポリサッカライド)の産生の防止や除去、歯周病原因菌自体の殺菌や除去などの試みがなされてきた。また、歯周組織の炎症が生じている場合には、抗炎症剤で炎症自体を抑制することにより歯周病を予防、改善する試みもなされてきた。しかし、歯周病は慢性的な疾患である故に、症状が進行してしまうと、従前の歯周病原因の排除や対症療法的な抗炎症効果だけでは改善しにくいという問題が残っていた。
【0005】
そこで、破骨細胞の形成亢進や活性化を直接抑制することで、歯槽骨の吸収を防止する試みがなされている。特に、歯槽骨吸収の予防、改善効果を得るためには長期間の使用が必要となるため、長期使用による安全性上の問題を生じない成分として、食品としても使用できる成分を用いる提案がなされている。これらの提案としては、硫酸化グリコサミノグリカンナトリウムとカルシウム化合物の併用(特許文献1)、牛乳から調製された塩基性シスタチンやその分解物(特許文献2)があるが、未だ満足できる改善効果を得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−053388号公報
【特許文献2】特開2000−281587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、骨の吸収を抑制・阻害する骨吸収抑制剤を提供することにある。更には、歯周病に伴う歯槽骨の吸収を抑制・阻害し、歯周病の予防及び改善を図る組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビの抽出物に優れた歯肉線維芽細胞におけるIL−6産生抑制効果、破骨細胞形成抑制効果、破骨細胞による骨吸収抑制効果、歯槽骨の吸収抑制効果および歯肉組織炎症に関与するサイトカインのmRNAの発現抑制効果があることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は下記の組成物を提供するものである。
[1]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯ぐきの健康維持剤;
[2]前記[1]に記載の歯ぐきの健康維持剤を含む飲食品;
[3]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯肉の健康維持剤;
[4]前記[3]に記載の歯肉の健康維持剤を含む飲食品;
[5]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯を支える組織の健康維持剤;
[6]前記[5]に記載の歯を支える組織の健康維持剤を含む飲食品;
[7]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯周病予防/治療/改善剤;
[8]前記[7]に記載の歯周病予防/治療/改善剤を含む飲食品;
[9]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯周組織健康維持剤;
[10]前記[9]に記載の歯周組織健康維持剤を含む飲食品;
[11]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯槽骨吸収抑制剤;
[12]前記[11]に記載の歯槽骨吸収抑制剤を含む飲食品;
[13]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする抗歯肉炎剤;
[14]前記[13]に記載の抗歯肉炎剤を含む飲食品;
[15]レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする抗歯周炎剤;
[16]前記[15]に記載の抗歯周炎剤を含む飲食品;
ならびに
項1.レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、ア−ティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする骨吸収抑制剤;および
項2.歯槽骨の吸収抑制効果を有することを特徴とする前記項1記載の骨吸収抑制剤
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、骨の吸収を抑制・阻害する骨吸収抑制剤、歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤および抗歯周炎剤を提供でき、特に、優れた歯槽骨の吸収を抑制・阻害効果を有する組成物を提供できる。また、歯槽骨の吸収が生じている歯周病の症状を改善させたり、健全な咀嚼機能を維持させる効果も期待できる。
【0011】
本明細書中で用いる「歯槽骨吸収抑制」とは、歯周病原菌により活性化された破骨細胞による歯槽骨の吸収を抑制することをいう。
また、本明細書中で用いる「歯ぐきの健康維持」とは口腔内の歯ぐきの恒常性を維持することをいい、「歯ぐき」とは歯(歯根部分)を囲む周囲の部分をいう。例えば、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)、付着歯肉、遊離歯肉および歯槽骨などの部分を指す。
また、本明細書中で用いる「歯肉の健康維持」とは、口腔内の歯肉の恒常性を維持することをいう。
また、本明細書中で用いる「歯を支える組織の健康維持」とは、歯(歯根部分)を囲む周囲の部分、例えば、歯肉、歯根膜のような軟組織のみならず、その周囲の硬組織を含む部分の恒常性を維持することをいう。
また、本明細書中で用いる「健康維持」とは、健全な状態を維持すること(恒常性を維持すること)をいい、不健全な状態になること(恒常性を失うこと)を予防する概念も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】オリーブ葉温水抽出物の歯肉線維芽細胞におけるIL−6産生抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図2】オリーブ葉水−エタノール抽出物の歯肉線維芽細胞におけるIL−6産生抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図3】オリーブ葉温水抽出物の破骨細胞形成抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図4】オリーブ葉水−エタノール抽出物の破骨細胞形成抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図5】オリーブ葉温水抽出物の破骨細胞骨吸収抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図6】オリーブ葉水−エタノール抽出物の破骨細胞骨吸収抑制効果(in vitro)を示すグラフである。
【図7】オリーブ葉温水抽出物の骨吸収抑制効果(in vivo)を示すグラフである。
【図8】オリーブ葉水−エタノール抽出物の骨吸収抑制効果(in vivo)を示すグラフである。
【図9】オリーブ葉抽出物の歯肉組織炎症に関与するIL−1βのmRNAの発現抑制効果、IP−10のmRNAの発現抑制効果、MCP−1のmRNAの発現抑制効果、MIP−1αのmRNAの発現抑制効果およびMIP−2のmRNAの発現抑制効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
【0014】
本発明に使用するレイシは、中国の福建省や広東省、台湾などで産生される常緑小高木植物で、別名ライチとも呼ばれるムクロジ科レイシ属の植物を指す。具体的にはLitchi chinensis Sonn.を挙げることができる。この植物においては、その花、果皮、果実、茎、葉、枝、樹皮又は種子を用いることができるが、特に果皮を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約5:1〜約1:5がより好ましい。この抽出物には、プロアントシアニジンのモノマー及びオリゴマー(二〜五量体)を含有するものが好ましく、これらの含有量が総ポリフェノールの約25重量%以上であるものが最も好ましい。
【0015】
本発明に使用するアカショウガは、東南アジアで栽培されている品種であり、ショウガ科ショウガ属の多年草植物のうち、Zingiber officinale var. Rubraを指す。この植物においては、その花、茎、葉、根茎、根皮、根又は全草を用いることができるが、特に根茎を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約20:1〜約1:20がより好ましい。
【0016】
本発明に用いるドクダミとは、ドクダミ科ドクダミ属(Saururaceae Houttuynia)の植物を指し、具体的にはHouttuynia cordata Thunbergを挙げることができる。この植物においては、その花、茎、葉、根または全草を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましい。
【0017】
本発明で用いるソバとは、別名キョウバクと呼ばれるタデ科ソバ属の植物を指す。具体的にはFagopyrum esculemtumを挙げることができる。この植物においては、その花、茎、葉、根、種子または全草を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約20:1〜約1:20がより好ましい。
【0018】
本発明で用いるギムネマとは、インドを中心に自生する常緑蔓植物であり、別名ギムネマ・シルベスタとも呼ばれるガガイモ科ホウライアオカズラ属の植物を指す。具体的にはGymnema sylvestreを挙げることができる。この植物においては、その花、茎、蔓、葉、根、種子又は全草を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約20:1〜約1:20がより好ましい。
【0019】
本発明で用いるバナバとは、東南アジア、オーストラリアなどに広く生育している常緑高木で、別名オオバナサルスベリ(大花百日紅)とも呼ばれるミソハギ科サルスベリ属の植物を指す。具体的には、Lagerstroemia speciosaを挙げることが出来る。この植物においては、その花、葉、樹皮、根又は種子を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特にエタノールが好ましい。
【0020】
本発明で用いるニームとは、インド、バングラディシュ近辺を原産とする樹木で、別名インドセンダン、マルゴーサなどとも呼ばれるセンダン科の植物を指す。具体的には、Melia azadirachta L.、Azadirachta Indica A.Jussをあげることができる。この植物においては花、葉、枝、樹皮、根又は種子を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水が好ましい。
【0021】
本発明に用いるアーティチョークとは、地中海沿岸を原産とする多年草で、別名チョウセンアザミ、グローブアーティチョークなどとも呼ばれるキク科チョウセンアザミ属の植物を指す。具体的には、Cynara scolymusを挙げることが出来る。この植物においては、その花、果実、葉、根、種子または全草を用いることができるが、特に地上部の植物全体を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特にエタノールが好ましい。
【0022】
本発明で使用するオリーブとは、モクセイ科オリーブ属の植物を指し、具体的には、オリーブ(Olea europaea Linne)やその同属種(例えば、Olea welwitschii、Olea paniculataなど)を挙げることができ、500を超える品種が存在するが、品種の代表例としては、例えばネバディブロンコ、マンザニロ、ピクアル、ホジブランコ、アルベキナ、カタマラ、コロネイキ、ピッチョリーネ、パラゴン、ワッガベルダル、ミッション、ワシントン、ウエストオーストラリアミッション、サウスオーストラリアベンダル、アザパ、バルネア、コルニカブラ、ゴルダル、フラントイオ、レッチーノ、チプレッシーノ、ルッカ、アスコラーナテレナ、コレッジョッラ、モロイオロ、ブラックイタリアン、コラティーナ、ヘレナ、ロシオーラ、ワンセブンセブン、エルグレコ、ハーディズマンモスなどが挙げられる。
この植物においては、その花、果皮、果実、葉、樹皮、根または種子を用いることができるが、特に葉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約20:1〜1:20がより好ましく、約1:9〜1:1が最も好ましい。また、抽出時の溶媒の温度は約−4℃〜約200℃の範囲であればよいが、約30℃〜約150℃が好ましく、約40℃〜約80℃がより好ましい。
【0023】
本発明に使用するイネとは、イネ科イネ属の植物を指し、具体的には、Oryza sativa LinneおよびOryza sativa Linne(Gramineae)を挙げることが出来る。この植物においては、その葉、根、種子(コメ)または全草を用いることができるが、コメを使用することが好ましく、コメに存在する糠層または黒米の種子を使用することが最も好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましい。
【0024】
本発明で使用するクルミとは、クルミ科クルミ属の植物を指し、具体的には、Juglans ailantifolia 、Juglan ailantifolia var. cordiformis 、Juglan regia 、Juglan regia var. orientisを挙げることが出来る。この植物においては、その花、仮果、葉、樹皮または核果の仁を用いることができるが、特に種子、果肉を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約20:1〜約1:20がより好ましい。
【0025】
本発明に使用するヘマトコッカス藻類とは、淡水性の単細胞緑藻類を指し、具体的には、Haematococcus pluvialis、Haematococcus lacustris、Haematococcus capensisを挙げることが出来る。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましい。また、アスタキサンチンが含まれるものが好ましい。
【0026】
本発明で用いるマタタビとは、日本や朝鮮半島に自生する落葉蔓植物で、別名モクテンリョウとも呼ばれるマタタビのほか、ミヤママタタビを含むマタタビ科マタタビ属の植物を指す。具体的には、Actinidia polygama SiebやActinidia kolomixta Maxim.を挙げることが出来る。この植物においては、その花、果実、茎、葉、根、種子または全草を用いることができるが、特に葉、果実を使用することが好ましい。使用できる抽出溶媒は有機溶剤、有機溶剤と水の混合物、水を用いて抽出することにより得られ、特に水、エタノールの単独または混液が好ましく、混液の混合比は例えば水:エタノールの体積比で約100:1〜約1:200が好ましく、約5:1〜約1:5がより好ましい。
【0027】
上記、レイシ、アカショウガ、ギムネマ、バナバ、ニーム、ドクダミ、ソバ、マタタビ、オリーブが好ましく、レイシ、アカショウガ、マタタビ、オリーブがより好ましい。
【0028】
本発明に使用できる抽出溶媒としては、例えば、水、エタノールのほか、石油エーテル、ヘキサン、ブタノール、プロパノール、メタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールが挙げられるが、水溶性の溶媒が好ましい。
【0029】
抽出方法については、その溶媒の温度や原料に対する溶媒の重量比率、または抽出時間についても、種々の原料および使用する溶媒に対しそれぞれを任意に設定することができる。溶媒の温度としては一般的に約−4℃から約200℃の範囲で任意に設定できるが、原料中に含まれる成分の抽出効率および安定性の点から、約30〜150℃が好ましく、約40〜100℃がより好ましい。
【0030】
上記の溶媒を用いて得られた抽出液は、さらに適宜精製、濃縮、乾燥などの操作を施して使用することができる。例えば、酸(無機酸、有機酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等)の添加による分解、醗酵処理、微生物を用いた代謝変換処理、イオン交換樹脂や活性炭、ケイ藻土等による成分吸着、クロマトグラフィーを用いた分画、濾紙やメンブランフィルター、限外濾過膜などを用いた濾過、加圧または減圧、加温または冷却、スプレードライ、凍結乾燥、pH調整、脱臭、脱色、長時間の静置保管などが例示でき、これらを任意に選択して組合わせた処理を行うことが可能である。
【0031】
また、得られた抽出物は、そのまま、または希釈、濃縮もしくは凍結乾燥した後、必要に応じて粉末状またはペースト状などに調製し、適宜製剤化して本発明の歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤または抗歯周炎剤に使用することができる。また、さらに必要により活性炭などを用いて脱臭、脱色等の精製処理を施してから使用することもできる。
【0032】
本発明の歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤または抗歯周炎剤は、単独でも使用できるが、飲食品もしくは食品組成物、口腔用組成物または医薬組成物の有効成分として配合することもができる。
【0033】
また、本発明の歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤または抗歯周炎剤を含有する飲食品もしくは食品経口組成物、口腔用組成物または医薬組成物には、上記抽出物を含有する歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤または抗歯周炎剤に、本発明の効果を損なわない範囲において、通常これらの組成物に使用できる成分を配合することができる。例えば、飲食品もしくは食品経口組成物には、タンパク質、脂質、糖質、炭水化物、食物繊維、油分、アルコール類、高分子物質、増粘剤、粘結剤、粘稠剤、乳化剤、ガムベース、包接化合物、酸化防止剤・抗酸化剤、キレート剤、甘味剤、pH調整剤、塩類、アミノ酸類、香料、生薬、防腐剤、酸味料、軟化剤、着色料、光沢剤、ビタミン類、水;口腔用組成物には界面活性剤、研磨剤、粘結剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、潤沢剤、懸濁剤、湿潤剤、ビタミン類、pH調整剤、有機酸、糖アルコール、甘味料、抗酸化剤、着色料、殺菌剤、防腐剤、香料、水;医薬組成物には、界面活性剤、粘結剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、潤沢剤、懸濁剤、湿潤剤、ビタミン類、pH調整剤、有機酸、糖アルコール、甘味料、抗酸化剤、着色料、殺菌剤、防腐剤、香料などを配合することができる。
【0034】
本発明の飲食品もしくは食品組成物、口腔用組成物または医薬組成物の形態としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、粉剤、チュアブルタブレット、キャンディ、グミ、チューイングガム、粉歯磨、シート状剤、口腔用パスタ、糖衣錠、トローチ剤、貼付剤などの固形の組成物または当該固形の組成物製剤を封入したカプセル剤などの経口投与可能な組成物、飲料、薬飲料、液体歯磨、マウスウォッシュ、マウスリンス、液状歯磨、うがい液などの液体・液状の組成物、ヨーグルト、練歯磨、低粘度ジェル、クリーム、軟膏剤、ジェル、口腔用ゲルなどの半固形の組成物、その他一般の形態を挙げることができ、歯ぐきの健康維持、歯肉の健康維持、歯を支える組織の健康維持、歯周病予防/治療/改善、歯周組織健康維持および歯槽骨の吸収抑制、特に歯肉炎や歯周炎に伴う歯槽骨の吸収の予防または改善のための健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、歯磨、薬用歯磨などの化粧品、医薬部外品や医薬品に分類される用途に使用することができる。
【0035】
本発明の飲食品もしくは食品組成物、口腔用組成物または医薬組成物は、レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、ア−ティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を有効成分とし、歯ぐきの健康維持、歯肉の健康維持、歯を支える組織の健康維持、歯周病予防/治療/改善、歯周組織健康維持および歯槽骨の吸収抑制、歯肉炎、歯周炎または歯槽骨減少の予防/治療/改善、抗炎症のために用いられる旨の表示、例えば「歯ぐきを健康に保つ」、「歯を支える健康な歯ぐきを保つ」など、あるいは、歯肉に炎症のある者、歯周組織に炎症のある者、歯槽骨が減少している者に用いられる旨の表示、例えば「歯ぐきの健康が気になる方」向け、「歯ぐきが気になる方」向け、「歯ぐきが下がってきたと感じる方」向け、「歯ぐきに違和感を感じる方」向けなど、を付した組成物とすることができる。
【0036】
本発明の歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤または抗歯周炎剤の1日摂取量の目安は、オリーブ葉の温水抽出物から得られた剤としては約1500mg/日以下、好ましくは約5〜600mg/日、最も好ましくは約25〜300mg/日であり、オリーブ葉の水−エタノール抽出物から得られた剤としては約1000mg/日以下、好ましくは約2.5〜500mg/日、最も好ましくは約15〜250mg/日である。
【0037】
また、かかる剤を含む組成物に含まれるオリーブ葉抽出物の量は、飲食品のうち飲料組成物についてはオリーブ葉の温水抽出物から得られた剤として約0.002−0.3重量%、好ましくは約0.006−0.06重量%、オリーブ葉の水−エタノール抽出物から得られた剤として約0.0005−0.2重量%、好ましくは約0.003−0.05重量%、タブレット、キャンディーまたはチューイングガムについてはオリーブ葉の温水抽出物から得られた剤として約0.06−20重量%、好ましくは約0.2−4重量%、オリーブ葉の水−エタノール抽出物から得られた剤として約0.02−15重量%、好ましくは約0.1−4重量%、カプセル剤についてはオリーブ葉の温水抽出物から得られた剤として約0.2−40重量%、好ましくは約0.5−8重量%、オリーブ葉の水−エタノール抽出物から得られた剤として約0.06−25重量%、好ましくは約0.3−7重量%であり、口腔用組成物についてはオリーブ葉の温水抽出物から得られた剤として約0.001−1重量%、好ましくは約0.01−0.5重量%であり、オリーブ葉の水−エタノール抽出物から得られた剤として約0.0001−1重量%、好ましくは約0.0025−0.5重量%である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、各例中の配合量は、特に規定がない限り重量%を示す。
【0039】
各素材について、骨髄細胞から破骨細胞の形成抑制効果を調べるため、以下の試験を実施した。
【0040】
<試験方法>
【0041】
試験例1:破骨細胞形成抑制試験
骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養により破骨細胞形成を行い、被検体を添加してその形成の抑制を評価した。α−MEM/10%FBSで調製した骨芽細胞懸濁液を培養後、マウスの脛骨から骨髄細胞を取り、培養皿に加えた。被検体と誘導因子であるPGE2およびVD3を上記培養皿に添加し培養した。培養は、被検体なしで誘導を行ったコントロールに破骨細胞が形成された時点で終了させた。形成された破骨細胞は固定を行った後にTRAP染色を行い、顕微鏡で観察を行った。
評価は、以下の基準で行った。
◎ コントロールに対して、破骨細胞の形成抑制効果が90%以上
○ コントロールに対して、破骨細胞の形成抑制効果が50%以上
× 上記以外
【0042】
<被検体及び評価濃度>
以下の抽出物について評価を行った。抽出物は全て粉末状のものを用いた。評価濃度としては、20、100、200、250、500、1000マイクロg/mLの各濃度で行った。各評価のうち、最も高い評価でかつ評価濃度の低い試験をピックアップし、その被検体の評価結果とした。
レイシ果皮抽出物(ポリフェノールのモノマー及びオリゴマーを約25重量%含有)、アカショウガ抽出物、ギムネマ葉抽出物、バナバ葉抽出物、ニーム葉抽出物、ドクダミ抽出物、ソバ葉抽出物、マタタビ抽出物、オリーブ葉抽出物、米糠油抽出物、アーティチョーク抽出物、クルミ抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物(アスタキサンチン)、ユーグレナ抽出物、ニラ種子抽出物、クワ葉抽出物
【0043】
<総合評価>
下記の基準に従って行なった。
◎ 破骨細胞形成抑制試験評価が◎
○ 破骨細胞形成抑制試験評価が○
× 上記以外
【0044】
評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
<試験結果>
表1に示したとおり、レイシ果皮抽出物、アカショウガ抽出物、ギムネマ葉抽出物、バナバ葉抽出物、ニーム葉抽出物、ドクダミ抽出物、ソバ葉抽出物、マタタビ抽出物、オリーブ葉抽出物、米糠油抽出物、アーティチョーク抽出物、クルミ抽出物およびヘマトコッカス藻抽出物に良好な効果が認められた。レイシ果皮抽出物、アカショウガ抽出物、ギムネマ葉抽出物、バナバ葉抽出物、ニーム葉抽出物、ドクダミ抽出物、ソバ葉抽出物、マタタビ抽出物およびオリーブ葉抽出物については優れた効果が認められた。特に、レイシ果皮抽出物、オリーブ葉抽出物、アカショウガ抽出物およびマタタビ抽出物については低い評価濃度で優れた効果が認められた。
【0047】
試験例2:歯肉線維芽細胞におけるIL−6産生抑制試験
刺激物質であるリポ多糖類(LPS)とオリーブ葉抽出物を含有した培地で歯肉線維芽細胞を培養し、24時間後に培養上清を回収した。その培養上清中のIL−6量をELISAを用いて測定した。オリーブ葉を含有しないLPS刺激のみの場合のIL−6産生量を100%として、各オリーブ葉抽出物のIL−6産生抑制率(%)を算出し、評価した。
その結果を図1および2に示す。
<試験結果>
図1および2に示したとおり、オリーブ葉の温水(70℃)抽出物および水−エタノール抽出物(50℃、混合比(体積比)20:80)では抽出物の濃度の増大にともなって歯肉線維芽細胞によるIL−6産生抑制効果の増大が認められ、温水抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対して約85%のIL−6産生抑制効果が認められ、水−エタノール抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対してほぼ100%のIL−6産生抑制効果が認められ、低濃度においてオリーブ葉抽出物の優れた歯肉線維芽細胞によるIL−6産生抑制効果が示された。
【0048】
試験例3:破骨細胞形成抑制試験
つぎに、試験例1で良好な破骨細胞形成抑制効果が認められたオリーブ葉について、温水(70℃)抽出物および水−エタノール抽出物(50℃、混合比(体積比)20:80)について評価を行った。抽出物はいずれも粉末状のものを用いた。評価濃度としては、4、20、100マイクロg/mLの各濃度で行った。被検体なしで誘導を行ったコントロールに破骨細胞が形成された時点で終了させた。
その結果を、コントロールに対する比として図3および4に示す。
<試験結果>
図3および4に示したとおり、オリーブ葉の温水抽出物および水−エタノール抽出物では抽出物の濃度の増大にともなって破骨細胞形成抑制効果の増大が認められ、温水抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対して約80%の破骨細胞形成抑制効果が認められ、水−エタノール抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対して約90%の破骨細胞形成抑制効果が認められ、低濃度においてオリーブ葉抽出物の優れた破骨細胞形成抑制効果が示された。
【0049】
試験例4:破骨細胞骨吸収抑制試験(in vitro)
コラーゲンゲル上にα−MEM/10%FBSで調製した骨芽細胞と骨髄細胞を加え、誘導因子であるPGE2およびVD2を加えて共存培養を行った。培養で形成された破骨細胞を集めて骨吸収活性抑制試験に使用した。dentine sliceに破骨細胞を播種し、24h培養した。培養後、dentine slice上の細胞を綿棒で取り除き、Mayer's hematoxylin Solutionで吸収窩を染色した。Pit数の観察は顕微鏡下で行った。
その結果を、図5および6に示す。
<試験結果>
図5および6に示したとおり、オリーブ葉の温水(70℃)抽出物および水−エタノール抽出物(50℃、混合比(体積比)20:80)では抽出物の濃度の増大にともなって破骨細胞骨吸収抑制効果の増大が認められ、温水抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対して約90%の破骨細胞骨吸収抑制効果が認められ、水−エタノール抽出物では100μg/mLの濃度においてコントロールに対して約95%の破骨細胞骨吸収抑制効果が認められ、低濃度においてオリーブ葉抽出物の優れた破骨細胞骨吸収抑制効果が示された。
【0050】
試験例5:歯槽骨吸収抑制試験(in vivo)および歯肉組織炎症に関与する遺伝子の発現抑制試験
ラットにオリーブ葉抽出物を配合した餌を与えて飼育し、口腔内に歯周病原菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis))を投与して歯周病を惹起させた。8週間後に歯槽骨吸収および歯肉組織炎症に関与するサイトカインのmRNA転写活性を評価し、オリーブ葉抽出物を配合していない餌を与えた群との比較により歯周病改善効果を評価した。
その結果を、図7−9に示す。
<試験結果>
図7−9に示したとおり、オリーブ葉の温水(70℃)抽出物および水−エタノール抽出物(50℃、混合比(体積比)20:80)を配合した餌(各々、0.25重量%および0.125重量%配合餌)を摂取させた群においては、配合していない餌を摂取させた群と比較して統計学的に有意な歯周病改善効果が示され、歯肉組織炎症に関与するサイトカインのmRNA転写活性を抑制することが示された。
【0051】
上記したように、本発明のオリーブ葉抽出物は、低濃度において顕著なサイトカイン産生抑制効果、破骨細胞形成抑制効果、破骨細胞による骨吸収抑制効果、歯槽骨吸収抑制効果ならびに歯周病の改善効果を有することが示された。ここで、オリーブ葉抽出物が、骨を吸収する破骨細胞の生成数を抑制(分化抑制)することにより骨量の低減が防止/抑制されることが示され、破骨細胞自体による骨吸収作用も抑制することが示され、さらに、歯肉組織の炎症系遺伝子の発現を抑制することが示されたことにより、本発明のオリーブ葉抽出物は、歯槽骨の吸収、それに伴う歯槽骨周囲に存在する組織の退縮、吸収、腫れなどの異常、歯肉の炎症によって生じる歯周病予防/治療/改善効果が認められ、また、歯ぐきの健康維持効果、歯肉の健康維持効果、歯を支える組織の健康維持効果、歯周組織健康維持効果、歯槽骨吸収抑制効果、抗歯肉炎効果および抗歯周炎効果が認められた。
【0052】
以下に、本発明に係る処方例を記載する。
【実施例1】
【0053】
実施例1:タブレット
成分 配合量(%)
パラチニット 35.0
ショ糖脂肪酸エステル 2.0
レイシ果皮抽出物(40%含水エタノール抽出物) 0.5
スクラロース 0.1
アセスルファムカリウム 0.05
香料 1.5
マルチトール 残量
合計 100.0
【実施例2】
【0054】
実施例2:清涼飲料水
成分 配合量
茶葉抽出液(*1) 1000g
アカショウガ抽出物(含水エタノール抽出物) 0.5g
L-アスコルビン酸 450ppm
*1 水1kgあたり茶葉30gを用い、75℃で5分間抽出したもの
【実施例3】
【0055】
実施例3:粒カプセル
ゼラチンおよびソルビトールからなる内カプセル皮膜40重量部でカプセル内溶液60重量部を被包し、さらに糖質からなる外カプセル皮膜110重量部で糖衣することにより粒カプセルを調製した。
カプセル内溶液
成分 配合量
バナバ葉抽出物(エタノール抽出物) 12.0
ビタミンC 7.2
ビタミンE 2.4
グリセリン脂肪酸エステル 1.0
紅花油 残部
合計 60重量部
内カプセル皮膜
成分 配合量
ゼラチン 36.0
ソルビトール 残部
合計 40重量部
外カプセル皮膜
成分 配合量
卵殻カルシウム 1.0
アスパルテーム 0.1
アラビアガム 0.6
ゼラチン 0.2
カルバナワックス 0.1
シェラック 0.3
香料 0.4
パラチニット 残部
合計 110重量部
【実施例4】
【0056】
実施例4:練歯磨
成分 配合量(%)
リン酸水素カルシウム 20.0
グリセリン 20.0
ソルビット液 15.0
プロピレングリコール 3.0
アルキルグルコシド 2.0
キトサン 2.0
ヒドロキシエチルセルロース 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
モノフルオロリン酸ナトリウム 1.0
パラオキシ安息香酸エステル 0.5
サリチル酸メチル 0.2
メントール 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
塩化ベンゼトニウム 0.1
アーティチョーク抽出物(エタノール抽出物) 0.05
香料 0.7
精製水 残量
合計 100.0
【実施例5】
【0057】
実施例5:洗口液
成分 配合量(%)
グリセリン 15.0
エタノール 8.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
ペパーミント油 0.5
メントール 0.3
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
プルラン 0.1
酢酸dl−α−トコフェロール 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.05
サッカリンナトリウム 0.05
塩化セチルピリジニウム 0.05
ニーム葉抽出物(熱水(100℃)抽出物) 0.02
精製水 残量
合計 100.0
【実施例6】
【0058】
実施例6:口腔用パスタ
成分 配合量(%)
グリセリン 20.0
流動パラフィン 11.0
セタノール 9.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
4.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 2.0
レシチン 2.0
ソルビタンモノパルミテート 1.0
ニコチン酸トコフェロール 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
塩化ベンゼトニウム 0.2
塩化セチルベンゼトニウム 0.1
サリチル酸メチル 0.15
塩化セチルピリジニウム 0.05
サッカリン 0.05
ギムネマ葉抽出物(10%含水エタノール抽出物) 0.05
香料 0.3
精製水 残量
合計 100.0
【実施例7】
【0059】
実施例7:チューイングガム
成分 配合量(%)
オリーブ葉エキス
(70%含水エタノール抽出物(60℃)) 2.0
炭酸カルシウム 7.0
キシリトール 58.0
マルチトール 8.0
香料 3.0
ガムベース 残部
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例8】
【0060】
実施例8:チューイングガム
成分 配合量(%)
マタタビエキス
(80%含水エタノール抽出物) 3.0
炭酸カルシウム 5.0
エリスリトール 10.0
キシリトール 38.0
マルチトール 12.0
香料 3.0
ガムベース 残部
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例9】
【0061】
実施例9:キャンディ
成分 配合量(%)
オリーブ葉エキス
(80%含水エタノール抽出物(50℃)) 1.5
マルチトール 10.0
パラチニット 残部
アスパルテーム 0.1
香料 0.2
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例10】
【0062】
実施例10:タブレット
成分 配合量(%)
オリーブ葉エキス
(温水(60℃)抽出物) 2.0
ポリデキストロース 7.0
シュガーエステル 2.0
キシリトール 15.0
パラチノース 残部
香料 1.0
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例11】
【0063】
実施例11:タブレット
成分 配合量(%)
マタタビエキス
(70%含水エタノール抽出物) 10.0
ポリデキストロース 7.0
シュガーエステル 2.0
アスパルテーム 0.1
パラチノース 残部
香料 1.0
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例12】
【0064】
実施例12:チュアブルタブレット
成分 配合量(%)
オリーブ葉エキス
(70%含水エタノール抽出物(60℃)) 1.0
アラビアガム 1.2
ショ糖脂肪酸エステル 1.8
パラチニット 残部
香料 3.0
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例13】
【0065】
実施例13:チュアブルタブレット
成分 配合量(%)
マタタビエキス
(70%含水エタノール抽出物) 5.0
アラビアガム 1.1
ステアリン酸マグネシウム 1.1
パラチニット 残部
香料 1.0
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例14】
【0066】
実施例14:清涼飲料水
成分 配合量
茶葉抽出液(*1) 1000g
マタタビエキス
(80%含水エタノール抽出物) 0.08g
L−アスコルビン酸 500ppm
*1 水1kg当たり茶葉30gを用い、75℃で5分間抽出したもの
【実施例15】
【0067】
実施例15:粒カプセル
ゼラチンおよびソルビトールからなる内カプセル皮膜40重量部でカプセル内溶液60重量部を被包し、さらに糖質からなる外カプセル皮膜110重量部で糖衣することにより粒カプセルを調製した。
カプセル内容液
成分 配合量
オリーブ葉抽出物(温水(60℃)抽出物) 12.0
ビタミンC 7.2
ビタミンE 2.4
グリセリン脂肪酸エステル 1.0
紅花油 残部
合計 60重量部

内カプセル皮膜
成分 配合量
ゼラチン 36.0
ソルビトール 残部
合計 40重量部

外カプセル皮膜
成分 配合量
卵殻カルシウム 1.0
アスパルテーム 0.1
アラビアガム 0.6
ゼラチン 0.2
カルバナワックス 0.1
シェラック 0.3
香料 0.4
パラチニット 残部
合計 110重量部
【実施例16】
【0068】
実施例16:練歯磨
成分 配合量(%)
リン酸水素カルシウム 20.0
グリセリン 20.0
ソルビット液 15.0
プロピレングリコール 3.0
アルキルグルコシド 2.0
ヒドロキシエチルセルロース 1.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
パラオキシ安息香酸エステル 0.5
メントール 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.1
サッカリンナトリウム 0.1
オリーブ葉抽出物(温水(50℃)抽出物) 0.05
香料 0.7
精製水 残量
合計 100.0
(1日4粒)
【実施例17】
【0069】
実施例17:洗口剤
成分 配合量(%)
グリセリン 15.0
エタノール 8.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
ペパーミント油 0.5
メントール 0.3
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
酢酸dl−α−トコフェロール 0.05
サッカリンナトリウム 0.05
塩化セチルピリジニウム 0.05
オリーブ葉抽出物
(80%含水エタノール抽出物(50℃)) 0.02
精製水 残量
合計 100.0
【実施例18】
【0070】
実施例18:口腔用パスタ
成分 配合量(%)
グリセリン 20.0
流動パラフィン 11.0
セタノール 9.0
ポリオキシエチレンソルビタン
モノステアレート 4.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 2.0
レシチン 2.0
ソルビタンモノパルミテート 1.0
ニコチン酸トコフェロール 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.3
塩化セチルピリジニウム 0.05
サッカリン 0.05
オリーブ葉抽出物
(80%含水エタノール抽出物(50℃)) 0.05
香料 0.3
精製水 残量
合計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の歯ぐきの健康維持剤、歯肉の健康維持剤、歯を支える組織の健康維持剤、歯周病予防/治療/改善剤、歯周組織健康維持剤、歯槽骨吸収抑制剤、抗歯肉炎剤および抗歯周炎剤、ならびにそれらを含む飲食品、口腔用組成物および医薬組成物は、特に歯肉炎や歯周炎に伴う歯槽骨の吸収の予防または改善のための健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養機能食品、病者用食品、歯磨、薬用歯磨などの化粧品、医薬部外品や医薬品に分類される用途に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯ぐきの健康維持剤。
【請求項2】
請求項1に記載の歯ぐきの健康維持剤を含む飲食品。
【請求項3】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯肉の健康維持剤。
【請求項4】
請求項3に記載の歯肉の健康維持剤を含む飲食品。
【請求項5】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む歯を支える組織の健康維持剤。
【請求項6】
請求項5に記載の歯を支える組織の健康維持剤を含む飲食品。
【請求項7】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯周病予防/治療/改善剤。
【請求項8】
請求項7に記載の歯周病予防/治療/改善剤を含む飲食品。
【請求項9】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯周組織健康維持剤。
【請求項10】
請求項9に記載の歯周組織健康維持剤を含む飲食品。
【請求項11】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする歯槽骨吸収抑制剤。
【請求項12】
請求項11に記載の歯槽骨吸収抑制剤を含む飲食品。
【請求項13】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする抗歯肉炎剤。
【請求項14】
請求項13に記載の抗歯肉炎剤を含む飲食品。
【請求項15】
レイシ、アカショウガ、ドクダミ、ソバ、ギムネマ、バナバ、ニーム、アーティチョーク、オリーブ、コメ、クルミ、ヘマトコッカス藻およびマタタビから選ばれる少なくとも1種の抽出物を含有することを特徴とする抗歯周炎剤。
【請求項16】
請求項15に記載の抗歯周炎剤を含む飲食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−263332(P2009−263332A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6849(P2009−6849)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】