説明

オルガノポリシロキサン樹脂からのシリコーン有機エラストマーゲル

SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂及び分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する有機化合物との反応からのシリコーンエラストマーを含むゲル組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月26日出願の米国特許出願60/0975,365の利益を請求する。
【0002】
本開示は、SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂及び分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する有機化合物との反応からのシリコーンエラストマーを含むゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンエラストマーゲルは、適用すると独特の感覚プロフィルを与えることによりパーソナルケア処方の美観を高めるために、広く使われている。多くのシリコーンエラストマーゲルは、SiHポリシロキサンと不飽和炭化水素置換基を含有する他のポリシロキサン、例えばビニル官能性ポリシロキサンとのヒドロシリル化架橋反応に、またはSiHポリシロキサンと炭化水素ジエンとを架橋させることにより得られる。シリコーンエラストマーはキャリア・フルイド、例えば揮発性シリコーンなどの存在下で形成して、ゲル化組成物をもたらすことができる。あるいは、シリコーンエラストマーが高固形分で形成し、続いてせん断され、キャリア・フルイドと混合されて、同様にゲルまたはペースト状組成物を作ることができる。そのようなシリコーンエラストマーの代表的な例は米国特許第5,880,210号及び米国特許第5,760,116号に教示されている。
【0004】
シリコーンエラストマーは、パーソナルケア処方の改良に飛躍的な進歩を提供してきたが、その使用を制限する幾つかの欠点を有している。例えば、大部分がジメチルシロキサンであるシリコーンエラストマーは、有機ベース溶媒及びキャリア・フルイドのゲル化のための効果がより小さい。高ジメチルシロキサンを有するシリコーンエラストマーゲル組成物は、また、多くのパーソナルケア成分と限られた相溶性を有する。例えば、広く使われている日焼け防止剤、オクチルメトキシシンナマートは、多くのシリコーンエラストマーゲル中では、限られた溶解性を有する。その他の問題は、そのような非相溶性成分の存在下でのシリコーンエラストマーゲル粘度の減少化である。それ故に、有機溶媒をゲル化できるシリコーンエラストマーを識別する必要がある。さらに、シリコーンエラストマーゲルに付随する美観を維持しながら、多くのパーソナルケア成分との優れた相溶性を有するシリコーンエラストマーゲルを識別する必要がある。この目的を達成するため、シリコーンエラストマーの各種のパーソナルケア成分との相溶性を改良するための多くの試みがなされており、ここでは、アルキル、ポリエーテル、アミンまたは他の有機官能性基をシリコーン・有機エラストマー骨格にグラフトさせていた。そのような有機官能性シリコーンエラストマーは、米国特許第5,811,487号、米国特許第5,880,210号、米国特許第6,200,581号、米国特許第5,236,986号、米国特許第6,331,604号、米国特許第6,262,170号、米国特許第6,531,540号、及び米国特許6,365,670号で教示されている。
【0005】
しかし、まだシリコーンエラストマーベースゲルの相溶性、特に有機ベース揮発性フルイド及びパーソナルケア成分との相溶性を改良する必要がある。そのように改良される相溶性は感覚的美観を犠牲にしてはならない。さらに、キャリア・フルイド中のシリコーンエラストマーのゲル化または増粘効率は、保持されるか、改良されるべきである。
【0006】
本発明者らは、あるオルガノポリシロキサン樹脂に基づいたシリコーン・有機エラストマーが、効率的にキャリア・フルイドのゲル化組成物を提供することを見出した。得られるゲル化組成物はまた、感覚的美観を保持する一方で、追加的利点、例えば、多くの通常のパーソナルケア成分との優れた相溶性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願60/0975,365
【特許文献2】米国特許第5,880,210号
【特許文献3】米国特許第5,760,116号
【特許文献4】米国特許第5,811,487号
【特許文献5】米国特許第5,880,210号
【特許文献6】米国特許第6,200,581号
【特許文献7】米国特許第5,236,986号
【特許文献8】米国特許第6,331,604号
【特許文献9】米国特許第6,262,170号
【特許文献10】米国特許第6,531,540号
【特許文献11】米国特許6,365,670号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、
(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する有機化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒
との反応からのシリコーンエラストマー、
ならびに
(D)任意のキャリア・フルイド、
(E)任意のパーソナルまたはヘルスケア活性成分
を含む、少なくとも0.03ニュートン力の硬さを有するゲル組成物に関する。
【0009】
(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂:
本発明の成分(A)は、その分子中に少なくとも1個のSiH単位を有するオルガノポリシロキサン樹脂である。オルガノポリシロキサンは、あらゆる数の(RSiO1/2)、(RSiO2/2)、(RSiO3/2)、または(SiO4/2)単位を含有する。オルガノポリシロキサンの式は、次式:RSiO(4−n)/2(ここで、Rは独立して任意の有機基、あるいは炭化水素、あるいはアルキル基、あるいはメチルである)のオルガノポリシロキサン中のシロキサン単位の平均によって示すことができる。標準式中のnの値は、オルガノポリシロキサンを特徴づけることに用いることができる。例えば、n=1の平均値は、オルガノポリシロキサンが(RSiO3/2)シロキシ単位の主たる集合であることを示し、一方n=2は(RSiO2/2)が支配的であることを示すことになる。本明細書で用いられる「オルガノポリシロキサン樹脂」とは、樹脂を示す平均式RSiO(4−n)/2中1.8未満のnの値を有するオルガノポリシロキサンを指す。オルガノポリシロキサンのシロキシ単位の式において、Rがメチルである場合は、それぞれのシロキシ単位は、しばしば、M、D、TまたはQシロキシ単位と呼称される。本発明において、成分(A)として有用なオルガノポリシロキサンは、少なくとも1個のSiHシロキシ単位を含有し、すなわち、分子中に少なくとも1個の(RHSiO0.5)、(RHSiO)、または(HSiO1.5)シロキシ単位が存在する。Rがメチルである場合は、それらのシロキシ単位は、M、D及びTシロキシ単位とそれぞれ表すことができる。前記SiH含有オルガノポリシロキサンは、シルセスキオキサン樹脂もしくは「MQ」樹脂であると見なされる、あらゆるSiH含有オルガノポリシロキサン樹脂から選ぶことができる。
【0010】
一つの実施態様では、前記SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂は、式
(RHSiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(R’SiO3/2(SiO4/2
(ここで、aは0より大きく、
bは0から0.8であり、
cは0から0.4であり、
dは0から0.95であり、
eは0から0.9、あるいは0から0.95であり、
ただし、少なくともdまたはeはゼロより大きく、ならびにa、b、c、d及びeの合計が少なくとも0.9であり、
Rは上記定義したように有機基であり、典型的にはRはメチルであり、
R’は2個から8個の炭素原子を有する一価炭化水素基である)
を含む。
【0011】
R’は直鎖状または分岐状アルキル、例えばエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチル基でよい。またR’はアリールまたはアルキルアリール、例えばフェニル、アルキルフェニル基でもよい。典型的にはR’はプロピルである。
【0012】
上記式(RHSiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(R’SiO3/2(SiO4/2、及び下記のその後の使用において、下付き文字a、b、c、d、及びeは、それぞれ指定されたシロキシ単位のモル分率を表す。a、b、c、d、及びeの合計は、少なくとも0.9であり、d及びeは0より大きい。このように、SiH含有オルガノ水素シロキサン樹脂は、追加のシロキシ単位、例えばシラノール及び/またはアルコキシ官能性シロキシ単位を含んでもよい。
【0013】
別の実施態様では、前記SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂が、式
(MeHSiO1/2(MeSiO2/2(R’SiO3/2
(ここで、aは0より大きく、
cは0から0.4であり、
dは0から0.9であり、
ただし、a、c、及びdの合計が少なくとも0.9であり、及びdは0より大きく、
R’は、上記したように、2個から8個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
Meはメチルである)
を含むSiH含有シルセスキオキサン樹脂である。
【0014】
さらなる実施態様では、前記SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂が、式
(MeHSiO1/2(MeSiO1/2(SiO4/2
(ここで、aは0より大きく、
bは0から0.8であり、
eは0から0.9、あるいは0から0.95であり、
ただし、a、b及びeの合計が少なくとも0.9であり、ならびにeはゼロより大きく、
Meはメチルである)
を含むSiH含有MQ樹脂である。
【0015】
成分(A)として有用なSiH含有オルガノポリシロキサン樹脂の製造法は、国際公開番号WO2005/100444に記載されているように公知である。その特許は参考としてここに組み込まれる。
【0016】
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する有機化合物:
成分(B)は、その分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を含有する有機化合物または化合物の混合物である。同化合物は、任意のジエン、ジインまたはエンイン化合物であってよい。ジエン、ジインまたはエンイン化合物は、分子内に少なくとも2個の、互いに幾分離れた脂肪族不飽和基が存在する化合物(高分子状化合物を含む)である。典型的には、不飽和基は、化合物の末端に、または高分子状化合物であれば側鎖に存在する。末端また側鎖不飽和基を含有する化合物は式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を含有する一価不飽和脂肪族炭化水素基であり、Yは二価の有機もしくはシロキサン基またはそれらの組合せである)で表すことができる。典型的には、RはCH=CH‐、CH=CHCH‐、CH=C(CH)CH‐またはCH≡C‐、及び同様な置換不飽和基、例えばHC=C(CH)‐、及びHC≡C(CH)‐である。
【0017】
成分(B)として、式R−Y−Rを有する化合物は、Yの選択によって、「有機」、「炭化水素」、「有機ポリマー」、「ポリエーテル」または「シロキサン」、またはそれらの組合せであると見なしてよい。Yは二価の炭化水素、シロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレン、ポリイソアルキレン、炭化水素‐シリコーン共重合体、またはそれらの混合物でもよい。
【0018】
一つの実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される有機化合物から選ばれ、式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族基であり、Yは二価の炭化水素である)を有する。二価の炭化水素Yは、1個から30個の炭素を、脂肪族または芳香族構造のいずれかとして含有し、且つ分岐状または非分岐状でもよい。成分(B)は、1個から30個の炭素を含有するα、ω‐不飽和アルケンもしくはアルキン、またはそれらの混合物から選ぶことができる。成分(B)は、以下に限定されないが、1,4‐ペンタジエン、1,5‐ヘキサジエン;1,6‐へプタジエン;1,7‐オクタジエン、1,8‐ノナジエン、1,9‐デカジエン、1,11‐ドデカジエン、1,13‐テトラデカジエン、及び1,19‐エイコサジエン、1,3‐ブタジイン、1,5‐ヘキサジイン(ジプロパルギル)、及び1‐ヘキセン‐5‐インによって例示することができる。
【0019】
他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中では(B)と表示される、R−Y−R化合物(ここで、Yはシロキサンである)から選ばれる。Yシロキサン基は、Rとして示される、少なくとも2個の脂肪族不飽和を有する有機基と結合して、R−Y−R構造を形成する、任意のオルガノポリシロキサンから選ぶことができる。このように、成分(B)は、平均式RSiO(4−m)/2(ここで、Rは有機基であり、Rは上記に定義された一価不飽和脂肪族基であり、mはゼロから3である)で表される、シロキサン単位を少なくとも2個を含む任意のオルガノポリシロキサン及びそれらの混合物でもよい。
【0020】
基は、オルガノポリシロキサン分子中の、いかなるモノ、ジ、またはトリ−シロキシ単位、例えば;(RSiO0.5)、(RRSiO)、または(RSiO1.5)上に存在しても;R置換基を含まない他のシロキシ単位、例えば(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)または(SiO)シロキシ単位との組み合わせとして存在しても良く(ここで、Rは独立して任意の有機基、あるいは1個から30個の炭素を含有する炭化水素、あるいは1個から30個の炭素を含有するアルキル基、あるいはメチルである);ただし、このオルガノポリシロキサン中には、少なくとも2個のR置換基が存在する。
【0021】
成分(B)として好適な、R−Y−R構造に基づく、こうしたシロキサンの代表的な非限定的例としては、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、w≧0、x≧0、y≧2、及びzは≧0であり、Rは有機基であり、ならびにRは一価不飽和脂肪族炭化水素基である)
が挙げられる。
【0022】
は、ビニル官能性ポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)、例えば平均式:
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]Si(Me)CH=CH
MeSiO[(Me)SiO][CH=CH(Me)SiO]SiMe
(ここで、Meはメチルであり、
x≧0、あるいはxは0から200であり、あるいはxは10から100であり、
y≧2、あるいはyは2から200であり、あるいはyは10から100である)
を有するものから選ぶことができる。ビニル官能性ポリジメチルシロキサンは、公知であり、多くが市販されている。
【0023】
他の実施態様では、成分(B)は、R‐Y‐R(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、Yは式(C2nO)(ここで、nは2から4までであり、bは2より大きく、あるいはbは2から100までであってよく、あるいはbは2から50までであってよい)を有し、本明細書中で(B)と表示されるポリエーテル化合物から選ばれる。
ポリオキシアルキレン基は、典型的には、オキシエチレン単位(CO)、オキシプロピレン単位(CO)、オキシテトラメチレンもしくはその異性体オキシブチレン単位(CO)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。R‐Y‐R化合物は、式R‐O[(CO)(CO)(CO)]‐R(ここで、f、g、及びhはそれぞれ独立して1から100まででよく、ただしf+g+hの合計は2より大きく、あるいはf+g+hの合計は2から100までであり、あるいはf+g+hの合計は2から50までである)を有するポリオキシアルキレン基から選ぶことができる。
【0024】
あるいは、ポリオキシアルキレン基は、オキシプロピレン単位(CO)のみを含む。ポリオキシプロピレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては;
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
(ここで、gは上記に定義されている通りである)
が挙げられる。
ポリオキシブチレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては、
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
が挙げられる。
成分(B)はまた、種々のポリエーテルの混合物、すなわちB成分の混合物でもよい。
【0025】
他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される、R‐Y‐R化合物(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、YはC2からC6のアルキレン単位またはそれらの異性体から選択されるポリアルキレン基である)から選ばれる。一つの例は、イソブチレン単位を含有するポリマーである、ポリアルキレン基である。ポリイソブチレン基の分子量は変わり得るが、典型的には100から10,000g/モルまでである。ポリイソブチレン基を含有するR‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては、BASFよりOPPONOL BVの商品名で市販されている化合物、例えば、平均分子量5000g/モルを有するジアリル末端ポリイソブチレンである、OPPONOL BV 5Kなどが挙げられる。
【0026】
さらに他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される、R‐Y‐R化合物(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、Yは炭化水素‐シリコーンコポリマー基である)から選ばれる。炭化水素‐シリコーンコポリマー基は、式
‐[R(RSiO)
(ここで、R及びRは上記に定義されている通りであり;
u及びvは独立して、≧1であり、あるいはuは1から20までであり、あるいはvは2から500、または2から200までであり、
qは≧1であり、あるいはqは2から500までであり、あるいはqは2から100までである)
を有することができる。
炭化水素‐シリコーンコポリマー基を有するR‐Y‐R化合物は、α‐ω不飽和炭化水素、例えばBとして上記されているものとオルガノ水素シロキサンとの間でヒドロシリル化反応により製造することができる。そのような反応の代表的な非限定的例は、以下に示される。
【化1】

【0027】
別の実施態様では、成分(B)は、ビニルまたはアルケニル側鎖基を含有するポリジエン化合物から選ばれる。ビニルまたはアルケニル側鎖基は、通常ジエン重合反応の反応生成物であり、SiH化合物との反応に利用可能である。ポリブタジエンは、こうしたポリマーの一例であり、典型的には、約20モル%の1,2‐ビニル側鎖基を含有する。Ricon130は、20−35モル%の1,2‐ビニル側鎖基を有する、市販の液状ポリブタジエンポリマーであり、約750cpsの粘度及び2500g/モルの分子量を有する。Ricon130は、Sartomer Company(米国ペンシルベニア州Exton)から入手できる。
成分(B)はまた、任意のジエン、ジインまたはエンイン化合物、例えばB、B、B、B及びBの混合物でもよい。
【0028】
本組成物を製造するために用いられる成分(A)及び成分(B)の量は、個々の成分及び脂肪族不飽和に対する所望のSiHの割合に依存している。本発明の組成物を製造するために有用な成分(B)由来の脂肪族不飽和に対する、成分(A)中のSiHの比は、10:1から1:10、あるいは5:1から1:5、あるいは4:1から1:4でもよい。
【0029】
成分(A)及び(B)が、本組成物での脂肪族不飽和基及びSiH含有基を含有するただ一つの物質でないならば、上記比は、これらの成分のみならず、組成物中に存在するこうした基の合計量に関連する。
【0030】
(C)ヒドロシリル化触媒:
成分(C)は、ヒドロシリル化反応に典型的に使用される任意の触媒を含む。白金族元素含有触媒を用いるのが好ましい。白金族とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金ならびにそれらの錯体を意味する。本発明の組成物の製造に有用な白金族元素含有触媒は、ウィリングの米国特許第3,419,593号及びブラウン他の米国特許第5,175,325号により記載されている通りに製造される白金錯体であり、各特許はそのような錯体及びその製造法を示すため参考としてここに組み込まれる。有用な白金族元素含有触媒の他の例は、リー他の米国特許第3,989,668号;チャン他の米国特許第5,036,117号;アッシュビーの米国特許第3,159,601号;Lamoreaux他の米国特許第3,220,972号;チョーク他の米国特許第3,296,291号;Modicの米国特許第3,516,946号;カールシュテットの米国特許第3,814,730号;及びシャンドラ他の米国特許第3,928,629号に見出すことができ、それらすべてが、有用な白金族元素含有触媒及びその製造法を示すための参考としてここに組み込まれる。白金含有触媒は、白金金属、例えばシリカゲルまたは粉末炭などのキャリア上に堆積された白金金属、または白金族元素の化合物もしくは錯体でもよい。好ましい白金含有触媒としては、クロロ白金酸(ヘキサ水和物状態または無水状態のいずれか)、クロロ白金酸を脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応を含む方法により得られる白金含有触媒、米国特許出願番号10/017229(2001年12月7日出願)に記載されたアルケン‐白金‐シリル錯体、例えば(COD)Pt(SiMeCl(ここで、CODは1,5‐シクロオクタジエンであり、Meはメチルである)などが挙げられる。そのアルケン‐白金‐シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することにより製造することができる。
【0031】
触媒の適正な量は、用いられる特定の触媒によって異なる。白金触媒は、組成物中の固形分(非溶剤成分のすべて)の合計重量パーセントに基づいて、少なくとも2部(百万部当たり)(ppm)、好ましくは4から200ppmの白金をもたらすために十分な量で存在しなければならない。同じ基準で、白金が、4から150ppmの白金を与えるに十分な量で存在するのが特に好ましい。触媒は、単一種としてまたは2種以上の種の混合物として添加してもよい。
【0032】
(D)キャリア・フルイド:
シリコーンエラストマーは、任意のキャリア・フルイド(D)中に含まれてもよい。必須ではないが、典型的には、キャリア・フルイドは、上述したヒドロシリル化反応を行うために用いられる溶剤と同じでもよい。適するキャリア・フルイドとしては、シリコーン(直鎖状及び環状の両方の)、有機オイル、有機溶剤及びそれらの混合物が挙げられる。溶剤の特定の例は、米国特許第6,200,581号に見い出すことができる。その特許は、この目的のために、参考としてここに組み込まれる。
【0033】
典型的には、キャリア・フルイドは、25℃で1から1,000mm/秒の範囲の粘度を有する、低粘度シリコーンまたは揮発性メチルシロキサンもしくは揮発性メチルシロキサンもしくは揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルへプタシロキサン、へプタメチル‐3‐[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ヘキサメチル‐3,3‐ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサンのほかに、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンである。
【0034】
有機溶剤は、以下に限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル及び芳香族ハロゲン化物によって例示され得る。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11−C13)、Isopar H(C11−C12)ハロゲン化ポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルとして、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンチルグリコールヘプタノアート、グリコールジステアラート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールn‐ブチルエーテル、エチル3‐エトキシプロピオナート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ネオペンタン酸トリデシル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジイソブチルアジパート、ジイソプロピルアジパート、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、及びオクチルパルミタートが挙げられる。前記キャリア・フルイドとして、独立した化合物としてまたは成分として相応しい、他の有機キャリア・フルイドには、脂肪、油、脂肪酸、脂肪アルコールがある。
【0035】
キャリア・フルイドの量は、(A)、(B)及び(D)を含む組成物(ここで、(A)、(B)及び(D)の合計が100質量%である)中に0から98質量%、あるいは0.5から80質量%、あるいは5から70質量%のキャリア・フルイドが存在するような量である。
【0036】
(E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分:
成分(E)は、任意のパーソナルまたはヘルスケア活性成分から選ばれる活性成分である。本明細書で使われる「パーソナルケア活性成分」とは、パーソナルケア処方での添加剤として当技術分野で知られている化合物または化合物の混合物を意味する。その添加剤は、典型的には、髪または皮膚を手当てする目的で加えられ、化粧上及び/または美容上のメリットを与える。「ヘルスケア活性成分」とは、医薬用または医学用メリットを与えることが当技術分野で知られている、化合物または化合物の混合物を意味する。このように、「ヘルスケア活性成分」は、一般的に使用されており、かつ米国保健社会福祉省食品医薬局(連邦規制基準タイトル21(21巻)、第1章Parts200−299及びParts300−499に含まれる)により定義される、活性成分または活性薬物成分と認められる物質である。
【0037】
本発明のプロセスでの使用に有用な活性成分としては、ビタミン及びその誘導体(「プロビタミン」を含む)が挙げられる。ここで有用なビタミンとしては、以下に限定されないが、ビタミンA、レチノール、レチノールのC‐C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びそれらの混合物が挙げられる。レチノールとしては、トランス‐レチノール、1,3‐シス‐レチノール、11‐シス‐レチノール、9‐シス‐レチノール、及び3,4‐ジデヒドロレチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB、ビタミンB、プロビタミンB、パンテノール、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びパントテン酸が挙げられる。他の適するビタミン及び、ここで含まれると見なされるビタミンのINCI名称として、アスコルビルジパルミタート、アスコルビルメチルシラノールペクチン、アスコルビルパルミタート、アスコルビルステアラート、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムがある。
【0038】
注目すべきは、レチノールが、ビタミンAの化粧品工業会(CTFA、米国ワシントンDC地区)が指定する化粧品原料の国際命名法(INCI)の名称であることである。本発明に含まれると見なされる、他の好適なビタミン及びINCI名称には、レチニルアセタート、レチニルパルミタート、レチニルプロピオナート、α‐トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセタート、トコフェリルリノレアート、トコフェリルニコチナート、及びトコフェリルスクシナートが含まれる。
【0039】
本発明における使用に適する市販品の例の一部は、ビタミンAアセタート及びビタミンC(いずれもFluka Chemie AG.(スイス国ブックス)の商品);COVI−OX T−50、ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)のビタミンE製品;COVI−X T−70、ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)の他のビタミンE製品;及びビタミンEアセタート、Rocheビタミン&ファインケミカル(米国ニュージャージー州ナトリー)の製品である。
【0040】
成分(E)は、また日焼け防止剤でもよい。日焼け防止剤は、太陽光への暴露の弊害から皮膚を保護することが当技術分野で公知の、任意の日焼け防止剤から選ぶことができる。日焼け防止化合物は、典型的には、紫外線(UV)光を吸収する有機化合物、無機化合物またはそれらの混合物から選ばれる。このように、日焼け防止剤として使用可能な、代表的な非制限的例としては;
アミノ安息香酸、シノキサート、ジエタノールアミンメトキシシンナマート、ジガロイルトリオレアート、ジオキシベンゾン、エチル4‐[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、グリセリルアミノベンゾアート、ホモサラート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニラート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オキシベンゾン、パジマートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、赤ペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、及びトロラミンサリチラート、アセトアミノサロール、アラントインPABA(Allatoin PABA)、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1−12、3‐ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルフォンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチラート、ボルネロン、ブメトリオゾール(Bumetrizole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカ タルク、シノキサート、DEA‐メトキシシンナマート、ジベンゾオキサゾール ナフタレン(Dibenzoxazol Naphthalene)、ジ‐t‐ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレアート、ジイソプロピルメチルシンナマート、ジメチルPABAエチルセテアリールジモニウムトシラート、
ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミントリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミントリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナマート、エチルメトキシシンナマート、エチルPABA、エチルウロカナート、エトクリレン(Etrocrylene)フェルラ酸、グリセリルオクタノアートジメトキシシンナマート、グリセリルPABA、グリコールサリチラート、ホモサラート、イソアミルp‐メトキシシンナマート、イソプロピルベンジルサリチラート、イソプロピルジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メンチルアントラニラート、メンチルサリチラート、メチルベンジリデンカンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オクチルトリアゾン、PABA (p‐アミノ安息香酸)、PEG−25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチル・ベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、赤ペトロラタム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸TEA、TEA‐サリチラート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、及びVA/クロトナート/メタクリロキシベンゾフェノン‐1コポリマーが挙げられる。
【0041】
日焼け防止剤は、単一または一種を超える組合せでもよい。あるいは、日焼け防止剤はシンナマートベース有機化合物であるか、あるいは日焼け防止剤はオクチルメトキシシンナマート、例えばUvinul(登録商標)MC80、パラ‐メトキシケイ皮酸と2‐エチルヘキサノールとのエステルである。
【0042】
シリコーンゲル組成物中に存在する成分(E)の量は、変化し得るが、典型的には次の範囲であってよい;シリコーンゲル組成物中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量である、組成物中のシリコーンエラストマーゲルの重量に基づいて、
0.05から50質量%、あるいは1から25質量%、あるいは1から10質量%。
【0043】
活性成分である成分(E)は、シリコーンエラストマーの製造中(前配合法)またはシリコーンエラストマーゲルの形成後(後配合法)のいずれかにて、シリコーンゲルまたはゲルペースト組成物に加えることができる。あるいは、成分(E)は、ゲルまたはゲルペーストの水性エマルジョンに、後から配合することができる。
【0044】
シリコーンエラストマー:
本発明のシリコーンエラストマーは、成分(A)、(B)、及び(C)のヒドロシリル化反応生成物として得られる。用語「ヒドロシリル化」とは、触媒(例えば、成分(C)など)の存在下での、ケイ素結合水素含有有機ケイ素化合物(例えば成分(A)など)の脂肪族不飽和含有化合物への付加反応を意味する。ヒドロシリル化反応は、当技術分野では公知であり、あらゆる公知の方法または技術を、(A)、(B)、及び(C)のヒドロシリル化反応を生じさせて、本発明のシリコーンエラストマーを調製するために使用することができる。
【0045】
ヒドロシリル化反応は、溶剤下で行うのがよく、溶剤は、その後、公知の技術にて取り除くことができる。あるいは、ヒドロシリル化は、溶剤中(ここで、その溶剤は任意の成分(D)として記述されるキャリア・フルイドと同じである)で行うことができる。
【0046】
シリコーンエラストマーを含有するゲル化組成物:
前記シリコーンエラストマーは、キャリア・フルイド(成分(D)として上述した)に加えてゲル化組成物を形成することも、あるいはこれを最初に別反応にて製造し、その後キャリア・フルイドに加えてゲルを得ることもできる。本発明のゲル化組成物は、その硬度または堅さによって特性化され得る。ゲルを特性化する有用な試験は、米国ゼラチン製造業者協会により推奨されているものであり、例えば「テクスチュア・アナザイザー」(モデルTA.XT2、Stable Micro Systems Inc.(英国イングランド・Godalming)を使用するものなどである。ゲルサンプルは、5.0kgの荷重セルと探針を有するテクスチュア・アナライザーで圧縮試験に置かれる。探針は、ゲル表面に0.5mm/分の速度で近づき、ゲル中5.0mmの距離まで圧迫し続けた後、後退する前に1秒間保持される。テクスチュア・アナライザーは、圧縮試験の間に探針が受ける抵抗力を検出する。荷重セルごとに示される力が、時間の関数として描かれる。
【0047】
本発明の目的において、シリコーンエラストマー、ゲル及びエラストマーブレンド(SEB)の硬度は、圧縮試験での「テクスチュア・アナライザー」の探針により検出される抵抗力として定義される。二つのデータが、硬度を特性化することに使用してよい: 力1;最大圧縮点(すなわち、ゲル表面下5.0mmの圧縮点)での力、及びエリアF−T;最大圧縮点で保持された1秒間の面積−力の積分。典型的に合計5回の試験の平均が各ゲルについて行われた。
【0048】
力1として得られた値は、重量グラムの値を101.97で除することによりニュートン(N)に変換される(すなわち、1ニュートンはこの装置に用いられた探針のサイズに基づいて101.97重量グラムに等しい)。テクスチュア・アナライザー測定により報告される二番目の特性は、重量グラム・秒でエリアF−T1:2である。これは力対試験時間曲線の面積積分である。それがエラストマー及びゲルに関連している、圧縮力に対する抵抗を維持する能力を示すので、この特性は、ゲルの網目構造の指標となる。値は重量グラム・秒で報告され、重量グラム・秒単位での値を101.97で除することによりSI単位のニュートン・秒に変換される。
【0049】
本発明のシリコーンゲルは、少なくとも200ニュートン/m、あるいは400ニュートン/m、あるいは600ニュートン/mの圧縮硬度を有する。
【0050】
シリコーンエラストマー含有ゲルペースト組成物:
本発明のゲル化組成物は、
I)上記の通り、シリコーンエラストマーゲルを剪断する工程、
II)せん断されたシリコーンエラストマーゲルを、付加的な量の
(D)上記したキャリア・フルイド及び、任意に
(E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分と
混合する工程により、活性成分を含有するゲルペーストまたはゲルブレンド組成物の製造に用いることができる。
【0051】
本発明のシリコーンエラストマーゲル組成物は、キャリア・フルイド中に分散された、不連続の架橋シリコーンエラストマーゲル粒子と見なしてよい。それ故に、シリコーンエラストマー組成物は、低分子量シリコーンフルイドの効果的なレオロジー増粘剤でもある。それ自体は、有用なゲルブレンド組成物、例えば「ペースト」組成物を製造するために用いることができる。
【0052】
そのようなシリコーンエラストマーブレンドを製造するためには、既知の初期エラストマー含量(IEC)を有する上記シリコーンエラストマーゲルが、小粒径を得るためにせん断され、最終エラストマー含量(FEC)にさらに希釈される。本明細書で用いられる、「せん断」とは、任意のせん断混合法を意味し、たとえばホモジナイジング、ソノレーティング、またはせん断混合として当技術分野で知られている、他のあらゆる混合法によりもたらされる。シリコーンエラストマーゲル組成物のせん断混合は、縮小された粒径を有する組成物をもたらす。その結果生じた、縮小された粒径を有する組成物は、その後、(D)キャリア・フルイドと混合される。キャリア・フルイドは、上記した任意のキャリア・フルイドでよく、典型的には、揮発性メチルシロキサン、例えば、D5などである。(D)キャリア・フルイドと縮小された粒径を有するシリコーンエラストマー組成物との混合技術は重要でなく、典型的には、簡単な攪拌または混合を含む。得られた組成物は、100,000cP(mPa・s)を超える粘度を有するペーストと見なしてよい。
【0053】
シリコーンエラストマーゲル組成物は、種々のパーソナル、ハウスホールド、及びヘルスケア用途に用いることができる。特に本発明の組成物は、米国特許第6,051,216号、同第5,919,441号、同第5,981,680号に教示の通り、増粘剤として;国際公開番号WO2004/060271及び同WO2004/060101に開示の通り、オイルを構造化するために:国際公開番号WO2004/060276に教示の通り、日焼け止め組成物に;国際公開番号WO2003/105801に開示の通り、フィルム形成用樹脂をさらに含有する化粧品組成物中の構造化剤として;米国特許出願公開2003/0235553、同2003/0072730、同2003/0170188、ヨーロッパ特許第1,266,647号、ヨーロッパ特許第1,266,648、ヨーロッパ特許第1,266,653、国際公開番号WO2003/105789、同WO2004/000247及び同WO2003/106614に教示の通り、化粧品組成物中に;国際公開番号WO2004/054523に教示の通り、構造化剤として;米国特許出願公開2004/0180032に教示の通り、長時間付着性の化粧品組成物に;国際公開番号WO2004/054524で議論されている通り、透明もしくは半透明ケア及び/またはメーキャップ組成物に、使用してよい。これら特許すべては、参考として本明細書に組み込まれる。
【0054】
シリコーンエラストマーゲルはまた、以下に限定されないが、棒状、柔らかい固体、回転塗布式、エアロゾル、及びポンプスプレーの形状のもとで制汗剤及び体臭防止剤組成物に用いることができる。制汗剤及び体臭防止剤のいくつかの例としては、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPEG、アルミニウムクロロヒドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPG、アルミニウムクロロヒドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドラート、アルミニウムクロロヒドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロヒドラート、炭酸水素ナトリウム、アルミニウムセスキクロロヒドレックスPEG、クロロフィリン−銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドラート及びリシノール酸亜鉛がある。
【0055】
本発明のパーソナルケア組成物は、クリーム、ジェル、パウダー、ペースト、または好きなだけ浴びるようにつけられる(freely pourable)液体の形状であり得る。一般に、そのような組成物は、室温で固形材料が組成物中に存在しなければ、簡易なプロペラ・ミキサー、ブロックフィールド二重反転ミキサー、またはホモジナイジング・ミキサーを用いて、通常室温で製造することができる。特別な装置及び加工条件は、典型的には必要とされない。生成された形状の型に依存して、製造方法は異なるが、そのような方法は当技術分野ではよく知られている。
【0056】
本発明による組成物は、標準的な方法で、例えば、人体に、例えば、皮膚または髪に、アプリケーター、ブラシを使用して適用することにより、手で適用することにより、これを注ぎかけることにより、且つ/または、前記組成物を、人体表面にもしくは表面から、場合により、塗りこむかもしくはマッサージすることによって、使用することができる。除去方法もまた、例えば、カラー化粧品用に、よく知られた標準方法であり、洗浄、ふき取り、剥がすなどである。皮膚への使用については、本発明による組成物は、例えば、皮膚のコンディショニングなどの従来の方法で使用してよい。この目的のための組成物の有効量が、皮膚に適用される。その有効量は、通常約1mg/cmから約3mg/cmまでである。皮膚への適用には、典型的には、組成物を皮膚に塗りこむことが含まれる。この皮膚への適用方法は皮膚を有効量の組成物に接触させ、その後組成物を皮膚に塗りこむ工程を含む。それら工程は好ましい効果を実現するため必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0057】
本発明による組成物の髪への使用には、髪のコンディショニングするための従来の方法を用いることができる。髪をコンディショニングするための有効量が、髪に適用される。そのような有効量は、通常約1gから50g、好ましくは約1gから約20gまでである。髪への適用には、典型的には、ほとんどまたはすべての髪が組成物に接触するように、組成物を髪になじませることを含む。髪のコンディショニング方法は、有効量のヘアケア組成物を髪に適用する工程及び、その後の、組成物を髪になじませる工程を含む。これらの工程は、好ましいコンディショニング効果を実現するため、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。シリコーンの高含量が本発明によるヘアケア組成物に取り込まれるときは、枝毛用ヘア製品用に有用な材料となり得る。
【0058】
本発明による組成物は、人間または動物の皮膚に、例えば保湿、着色もしくは外見の一般的な改善のため、または活性成分、例えば日焼け止め剤、体臭防止剤、虫よけなどを適用するために、用いることができる。
【0059】
シリコーン樹脂エラストマーは、制汗剤、体臭防止剤、スキンクリーム、スキンケアローション、保湿剤、美顔処理剤、例えば、にきびもしくはしわの除去剤、パーソナル及び洗顔クレンザー、日焼け止め剤、メーキャップ、カラー化粧品、ファンデーション、頬紅、口紅、リップクリーム、アイライナー、マスカラ、及び粉おしろいに使用してよい。本発明の組成物は、他の種々の成分と組み合わせて、以下に記述されるパーソナルケアまたはメディカルケア製品を製造することができると見込まれる。これらの成分としては、こうしたパーソナルケア及びメディカル医療製品に処方するために一般に用いられる、シリコーン材料、香料、保存料、ポリオール例えばグリセリン及びプロピレングリコール、追加界面活性剤、保湿剤、顔料及びパウダー、日焼け止め剤、香料、皮膚軟化薬、構造化剤、増粘剤、電解質、pH調節剤、フィルム形成剤、コンディショニング剤、ボタニカル(植物エキス)ならびに活性成分、例えば、ビタミン及びその誘導体、酸化防止剤など、アミノ酸誘導体、リポソーム、制汗剤及び体臭防止剤、皮膚漂白剤、皮膚保護剤、セルフ・タンニング剤、並びに、髪及び皮膚のコンディショニング剤、例えば、第四級ポリマーまたはアミノ官能性シリコーンが挙げられる。そのシリコーン樹脂エラストマーは、0.1から50重量部、好ましくは0.5から20重量部、最も好ましくはxからxx重量部の量で用いられる。
【0060】
本発明による組成物はまた、多くの任意成分:
−次の構造を有する非揮発性ポリシロキサン:
【化2】

(ここで、nは100−10,000mm/秒の範囲の粘度を有するポリシロキサンを与えるに十分な値であり、R1及びR2は、1−20個の炭素原子を含有するアルキル基またはアリール基、好ましくは、1‐6個の炭素原子を含有するアルキル基、より好ましくは、メチルまたはフェニル基でよい。典型的には、nの値は20−500、より好ましくは、80−375である。):いくつかの実例となるポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン及びポリジフェニルシロキサンが挙げられる。
−アルキルメチルシロキサン:このシロキサンポリマーは通常式MeSiO[MeSiO][MeRSiO]SiMe(ここで、Rは6‐30個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、Meはメチルを示し、及び重合度(DP)、すなわちy及びzの合計は3−50である)を有することがあり得る。アルキルメチルシロキサンの揮発性及び液状の種を前記組成物に用いることができる。
−シリコーンガム:ポリジオルガノシロキサンガムは当技術分野で知られており、市販されている。これらは、通常、25℃で1,000,000センチストーク(mm/秒)を超える粘度、好ましくは25℃で5,000,000センチストーク(mm/秒)以上の粘度を有する不溶性ポリジオルガノシロキサンからなる。これらシリコーンガムは、典型的には、加工し易くするために適する溶剤にすでに分散された組成物として販売されている。超高粘度シリコーンもまた、典型的には、任意成分として含めることができる。その超高粘度シリコーンは、典型的には、25℃で5百万センチストーク(mm/秒)以上、25℃で約2千万センチストーク(mm/秒)までの動粘度を有する。懸濁液の形状であるこのタイプの組成物は、最も好ましく、例えば、米国特許第6,013,682号(2000年1月11日)に記載されている。
−シリコーンポリアミド:適するシリコーンポリアミドの代表的な組成物は、米国特許第5,981,680号(1999年11月9日)に詳細に説明されている。
−シリコーン樹脂:この樹脂組成物は、通常、高度に架橋された重合体シロキサンである。架橋は、三官能性及び/または四官能性シランと、製造中に用いられる一官能性及び/または二官能性シランモノマーを組み合わせることにより得られる。適するシリコーン樹脂を得るために必要な架橋度は、シリコーン樹脂製造中に導入されるシランモノマー単位の特質により変動し得る。一般に、三官能性及び四官能性シロキサンモノマー単位を十分な水準で有し、故に堅いまたは硬い膜に乾燥させるために十分な架橋水準を保有する、任意のシリコーンが、シリコーン樹脂として使用に適すると見なしてよい。本明細書の用途に適する市販のシリコーン樹脂は、通常、低粘度揮発性もしくは非揮発性シリコーンフルイド中の、未硬化の形態で供給される。シリコーン樹脂は、硬化した樹脂状構造ではなく、その未硬化形態で、本発明の組成物に導入されるべきである。
−その他のシリコーンエラストマー:そのようなエラストマーは、通常末端ケイ素原子に結合した不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノ水素シロキサンと組み合わせた後、少なくとも部分硬化させることにより得られる反応生成物である。適するエラストマーの一つの例は、化粧品業界でジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーまたはジメチコン架橋ポリマーのINCI名称で知られている組成物である。そのポリシロキサンエラストマーのエマルジョン及び懸濁液もまた、組成物の成分として用いることができる。異なる有機及び無機材料、例えば、雲母及びシリカなどで塗布された粉末状のポリシロキサンエラストマーもまた用いることができる。
−カルビノールフルイド:この材料は、国際公開番号WO2003/101412A2で記載されており、一般に、置換ヒドロカルビル官能性シロキサンフルイド、または樹脂と記載してもよい。
−水溶性または水分酸性シリコーンポリエーテル組成物:これもまたポリアルキレンオキシドシリコーンコポリマー、シリコーンポリ(オキシアルキレン)コポリマー、シリコーングリコールコポリマー、またはシリコーン界面活性剤として知られている。これらは、直鎖状の熊手型もしくはグラフト型材料、またはABA型(ここで、Bはシロキサンポリマーブロックであり、Aはポリ(オキシアルキレン)基である)であってよい。ポリ(オキシアルキレン)基は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、または混合ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド基を含んでよい。その他のオキシド、例えば、ブチレンオキシドまたはフェニレンオキシドもまた可能である。
【0061】
本発明による組成物は、シリコーンエマルジョンを用いて油中水またはシリコーン中水エマルジョンの形で供給され得る。典型的には、シリコーン中水型乳化剤は、非イオン系で、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル及びシリコーングリコシドからなる群から選ばれる。適するシリコーンベース界面活性剤は、当技術分野では周知であり、例えば米国特許第4,122,029号(ジィー他)、米国特許第5,387,417号(Rentsch)、及び米国特許第5,811,487号(シュルツ他)に記載されており、RSiO(4−b)2シロキサン単位(ここで、bは0から3までの値(0及び3を含む)を有し、コポリマー中の全シロキサン単位のケイ素1つ当たりのR基の平均値が、およそ2であり、Rはメチル、エチル、ビニル、フェニル及びポリオキシアルキレンセグメントをポリジオルガノシロキサンセグメントに結合する二価の基を含む群から選ばれる基を示し、すべてのRの少なくとも95%がメチルであり;少なくとも1個のポリオキシアルキレンセグメントが少なくとも1000の平均分子量を有し、0から50モルパーセントのポリオキシプロピレン単位及び50から100モルパーセントのポリオキシエチレン単位を含み、前記ポリオキシアルキレンセグメントの少なくとも1個の末端部が前記ポリジオルガノシロキサンセグメントに結合し、前記ポリジオルガノシロキサンセグメントに結合していない前記ポリオキシアルキレンセグメントの任意の末端部は末端基で満たされ;前記コポリマーで、ポリジオルガノシロキサンセグメントのポリオキシアルキレンセグメントに対する重量比が2から8までの値を有する)を本質的に含む、少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメントを含有するポリジオルガノシロキサンポリオキシアルキレンコポリマーが含まれる。あるいは、シリコーンベース界面活性剤は、架橋された乳化剤でもよく、この乳化剤においては、少なくとも2個のオルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン分子が架橋基によって架橋されており;架橋されたオルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン乳化剤が、次式
【化3】

(ここで、架橋されたオルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン乳化剤の式中、Rは、2から25個の炭素原子を有する脂肪族基であり;R’は加水分解性結合を含有しない有機基またはオルガノシロキサン基であり;R”は末端基であり;R’”は独立して1から25個の炭素原子を有する脂肪族基であり;Rは独立して水素及び1‐3個の炭素原子を含有するアルキル基を含む群から選ばれ;xは0から100までの整数であり;cは1から5までの整数であり;zは0から600までの整数であり;yは1から10までの整数であり;x+y+z>40;aは4から40までの整数であり;bは0から40までの整数であり;a/b>1)を有する。最終組成物中のシリコーン乳化剤の量は、広く変動してよく、典型的には、0.05から1.5質量%、あるいは0.1から1質量%、より好ましくは0.15から0.8質量%、または0.2から0.6質量%となる。
【0062】
本発明による組成物は、任意のまたは主要な成分として、日焼け止め剤を含んでよい。日焼け止め剤には、以下に限定されないが、290と320ナノメートル間、すなわち、UV−B領域の紫外線を吸収するもの、例えば、パラ‐アミノ安息香酸誘導体及びシンナメート誘導体例としてエチルヘキシルメトキシシンナメートなどの成分;320から400ナノメートルの範囲、すなわちUV−A領域の紫外線を吸収するもの、例えば、ベンゾフェノン誘導体及びブチルメトキシジベンゾイルメタン誘導体、ならびに親水性組成物例としてベンジリジンカンファースルホン酸誘導体などの組成物が含まれる。本発明による化粧品組成物はまた、コートされたまたは非コートの金属酸化物の顔料またはナノ顔料(平均一次粒径:通常5nmと100nmの間、好ましくは10と50nmの間)、例えば、酸化チタン(ルチル及び/またはアナターゼ形状の無定形または結晶化された)の、酸化鉄の、酸化亜鉛の、酸化ジルコニウムの、または酸化セリウムのナノ顔料などを含有することができ、それら金属酸化物はすべて光防護剤であり、それ自体周知であり、かつ紫外線放射を物理的にブロッキングする(反射及び/または散乱させる)ことにより作用するものである。また、標準的なコーティング剤は、アルミナ及び/またはアルミニウムである。
【0063】
本発明による組成物が水中油エマルジョンである場合は、それにはエマルジョンの製造に一般的に用いられる普通の成分、例えば、以下に限定されないが、水中油エマルジョンの製造に当技術分野で周知の非イオン性界面活性剤を含めることができる。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシ化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。
【0064】
本発明による組成物は、懸濁剤、例えば、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマーなどを含めることができる。これらポリマーの例には、Carbopol 934、940、941、及び956(B.F.グッドリッチ社より入手可)が挙げられる。さらにその他の適する懸濁剤としては、ジ(水素化タロー)フタル酸アミド、及び架橋したマレイン酸無水物−メチルビニルエーテルコポリマー、セルローズエーテル誘導体、グァ−ガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグァ−ガム、デンプン及びデンプン誘導体が挙げられる。適する増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グァ−ガム、ヒドロキシプロピルグァ−ガム、エトキシ化アルコール例えばラウレス‐4またはポリエチレングリコール400により例示される。
【0065】
本発明による組成物は、オイルまたはオイル状成分をさらに含むことができる。本明細書で使われる用語「オイル」とは、実質的に水に不溶であり、前記組成物中に存在する任意の低分子量シリコーン種と通常相溶性である任意の物質をさす。組成物が化粧品またはパーソナルケア製品に使用される場合は、製品の成分は、美容上受け入れられるか、あるいは、製品の最終使用条件に合わなければならない。適するオイル成分のいくつかの例としては、天然油、例えば、ココナツオイルなど;炭化水素、例えば、鉱油及び水素化ポリイソブテンなど;脂肪族アルコール、例えば、オクチルドデカノールなど;エステル、例えば、安息香酸C12からC15アルキルエステルなど;ジエステル、例えば、プロピレンジペラルゴナートなど;及びトリエステル、例えば、トリオクタン酸グリセリルなどが挙げられる。低粘度オイルもまた、例えば、25℃で5から100mPa・sの粘度を有し、通常、例えば、RCO−OR’の構造を有するエステル(ここで、RCOはカルボン酸基を示し、OR’はアルコール残基である)を含むオイルなどを用いることができる。低粘度オイルのいくつかの例としては、イソノナン酸イソトリデシル、PEG‐4ジへプタノアート、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、セチルオクタノアート、セチルパルミタート、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、ココジカプリラート/カプラート、イソステアリン酸デシル、イソデシルオレアート、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、オクチルパルミタート、リンゴ酸ジオクチル、トリデシルオクタノアート、ミリスチン酸ミリスチル、オクトデカノール、及びオクチルドデカノール混合物、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、イソドデカノール、大豆油、ひまわり油、小麦及び/または穀物胚種油、甘扁桃油、ホホバ油、アボカド油、オリーブ油、ヤシ油、カロフィルム及びひまし油が挙げられる。
【0066】
特に、本発明による組成物が、メーキャップに使用されることを目的としている場合は、別の添加剤は、パウダー及び顔料を含んでよい。本発明のパウダー成分は、通常乾燥した、0.02−50ミクロンの粒径を有する粒子状物質として定義してよい。粒子状物質は着色されていても、または非着色(例えば白色)でもよい。適するパウダーとしては、以下に限定されないが、塩化酸化ビスマス、チタナート化雲母、ヒュームドシリカ、球状シリカビーズ、ポリメチルメタクリラートビーズ、窒化ボロン、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシナート、ベントナイト、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、タルク、雲母、二酸化チタン、カオリン、ナイロン、シルク粉末が挙げられる。上述のパウダーは、事実上粒子を疎水性にするために表面処理することができる。
【0067】
パウダー成分は、種々の有機及び無機顔料をさらに含む。パウダー顔料は、一般に、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料を含む種々の芳香族型であり、それらはD&C及びFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イェローなどと呼称されている。無機顔料は、ほとんどの場合、レーキまたは酸化鉄と呼称される、認定された有色添加剤の不溶性金属塩からなる。例えば、カーボンブラック、酸化クロム、または酸化鉄、ウルトラマリン、ピロリン酸マンガン、紺青、及び二酸化チタンなどの粉末着色剤、通常着色顔料との混合物として用いられる真珠光沢剤、あるいは、通常着色顔料との混合物として用いられ、かつ普通に化粧品産業で用いられる、いくつかの有機染料を組成物に加えることができる。一般に、これらの着色剤は、最終組成物の重量に対して0から20%の量で存在してよい。
【0068】
粉末無機または有機充填剤もまた、通常、最終組成物の重量に対して0から40%の量で加えることができる。これら粉末充填剤は、タルク、雲母、カオリン、酸化亜鉛またはチタン、炭酸カルシウムまたはマグネシウム、シリカ、球状二酸化チタン、ガラスまたはセラミックビーズ、8−22個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導される金属石鹸、非膨張性ポリマーパウダー、膨張性パウダー及び天然有機化合物例えば穀物デンプンなどから選ぶことができる。それらは、架橋されたまたはされていない、コポリマーミクロスフェア、例えばEXANCEL(Nobel Industrie)、ポリトラップ(polytrap)ならびにシリコーン樹脂パウダー及びミクロビーズ(例えば、トスパール、東芝製)でもよい。
【0069】
前記組成物に有用なワックスまたはワックス状材料は、通常、常圧で35から120℃の融点を有する。この範疇のワックスとしては、合成ワックス、シリコーンワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト、蜜ろう、カルナウバろう、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン、ラノリン誘導体、キャンデリラワックス、カカオ脂、セラックろう、鯨ろう、ぬかろう、カポックワックス(capok wax)、 サトウキビろう、モンタンワックス、鯨ろう、ヤマモモろう、またはこれらの混合物が挙げられる。非シリコーン系脂肪性物質として用いることのできるワックスのうちで、例えば蜜ろうなどの動物系ワックス;例えばカルナウバ、キャンデリラワックスなどの植物系ワックス;鉱物系ワックス、例としてはパラフィンもしくは亜炭ワックス、またはマイクロクリスタリンワックスまたはオゾケライト;ポリエチレンワックス及びフィッシャートロプシュ合成により得られたワックスを含む合成系ワックスをあげることができる。シリコーンワックスのうちで、ポリメチルシロキサンアルキル、シルセスキオキサン樹脂で、アルコキシ及び/またはエステルを有するものを挙げることができる。
【0070】
シリコーン樹脂エラストマーは、以下に限定されないが、棒状、柔らかい固体、回転塗布式、エアロゾル、及びポンプスプレーの形状のもとで、制汗及び体臭防止組成物に用いることができる。制汗剤及び体臭防止剤のいくつかの例として、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPEG、アルミニウムクロロヒドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレックスPG、アルミニウムクロロヒドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドラート、アルミニウムクロロヒドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロヒドラート、炭酸水素ナトリウム、アルミニウムセスキクロロヒドレックスPEG、クロロフィリン−銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロヒドラート及びリシノール酸亜鉛がある。
【0071】
本発明による組成物は、標準的な方法、例えば、人体に、例えば、皮膚または髪に、アプリケーター、ブラシを使用して適用することにより、手で適用することにより、これを注ぎかけることにより、且つ/または、前記組成物を、人体表面にもしくは表面から、場合により、塗りこむかもしくはマッサージすることによって、使用することができる。例えば、カラー化粧品の除去方法もまたよく知られている標準方法であり、洗浄、ふき取り、剥がすなどを含む。
【0072】
皮膚上の使用については、本発明による組成物は、例えば、皮膚のコンディショニングなどの従来の方法で使用してよい。目的のための組成物の有効量が、皮膚に適用される。その有効量は、通常、約1mg/cmから約3mg/cmまでである。皮膚への適用には、典型的には組成物を皮膚に塗りこむことが含まれる。この皮膚への適用方法は、皮膚を有効量の組成物に接触させ、その後、組成物を皮膚に塗りこむ工程を含む。それら工程は、好ましい効果を実現するため、必要に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0073】
本発明による組成物の髪への使用には、髪のコンディショニングのための従来の方法を用いることができる。髪をコンディショニングするための有効量が髪に適用される。そのような有効量は、通常、約1gから50g、好ましくは約1gから約20gまでである。髪への適用には、典型的には、ほとんどまたはすべての髪が組成物に接触するように、組成物を髪になじませることが含まれる。髪のコンディショニング方法は、有効量のヘアケア組成物を髪に適用する工程及び、その後の、組成物を髪になじませる工程を含む。それら工程は、好ましいコンディショニング効果を実現するため必要に応じて何度でも繰り返すことができる。シリコーンの高含量が本発明によるヘアケア組成物に取り込まれるときは、枝毛用ヘア製品用に有用な材料となり得る。
【0074】
本発明による組成物は、人間または動物の皮膚に、例えば、保湿、着色、または、外見の一般的な改善のため、あるいは、活性成分、例えば日焼け止め剤、体臭防止剤、虫よけなどを適用するために、用いることができる。
【0075】
シリコーン樹脂エラストマーは、感覚的美観を保持する一方で、多くの日常のパーソナルケア成分との優れた相溶性を得るために、特に有用である。
【実施例】
【0076】
これらの実施例は、本発明を当業者に例証することを意図しているのであって、本請求項に記載される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。すべての測定及び実験は、別段の表示がない限り、23℃で行われた。
材料の説明:
次の材料がこれら実施例で使用された。
オルガノ水素シロキサン:
Pr樹脂1 = Mプロピルシルセスキオキサン樹脂(本明細書では、MPrと短縮する)、ここでTPrはCHCHCHSiO3/2である。これはM0.46510.0177Pr0.5172のNMRから導き出された構造及び25cpsの粘度を有する。これは国際公開番号WO2005/100444に記載された製法に従って、プロピルトリエトキシシランから製造され、約2.38%のエトキシを含有した。
Pr樹脂2 = Mプロピルシルセスキオキサン樹脂(本明細書では、MPrと短縮する)、ここでTPrはCHCHCHSiO3/2である。これはM0.4550.017Pr0.528のNMRから導き出された構造及び821g/モルの分子量を有する。これは国際公開番号WO2005/100444に記載された製法に従って、プロピルトリエトキシシランから製造され、約6.8%のエトキシを含有した。
Q樹脂 = この研究で用いられた特別の樹脂は、M0.4130.00900.497のNMRから導き出された構造を有し、IHD(イソヘキサデカン)中で約48.6%濃度に製造されている。樹脂溶液はFTIR測定で0.773%[H]を有する。
MeHCYCLICS = 式[(CH)HSiO]x(ここで、xの平均値は4.4である)を有するメチル水素シクロシロキサン(MeHサイクリック)
不飽和基を含有するシロキサンポリマー:
ビニルシロキサン#1 = 一般式(CH=CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH(CH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が8であり、25℃で4mm/秒の粘度を有する)のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
ビニルシロキサン#2 = 一般式(CH=CH)(CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH((CHCH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が100であり、25℃で170mm/秒の粘度を有する)のジメチルヘキセニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
ビニルシロキサン#3 = 一般式(CH=CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH(CH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が130であり、25℃で325mm/秒の粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
α,ω‐不飽和ポリプロピレンオキシド:
PO20 − ポリセリンDUS‐80=約20のプロピレンオキシド(PO)単位を有するα、ω‐ビスアリルポリプロピレンオキシド、日油株式会社製(日本)
MPO20 − ポリセリンDMUS‐80=約20のプロピレンオキシド(PO)単位を有するα、ω‐ビスメタリルポリプロピレンオキシド、日油株式会社製(日本)
ポリ不飽和ポリマー:
PBD − Ricon130は、20−35モル%の1,2‐ビニル側鎖基を有する液状ポリブタジエンポリマーで、約750cpsの粘度及び2500g/モルの分子量を有する。Ricon130は、SartomerカンパニーInc.(米国ペンシルベニア州Exton)から入手される。
ヒドロシリル化触媒:
PT CATALYST = SLY−OFF4000(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)0.52質量%の白金を含有し供給のまま用いられる白金触媒
キャリア・フルイド:
D5 = デカメチルシクロペンタシロキサンまたはD5サイクリックス、DC245(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)供給のまま用いられる
2−1184フルイド = 低粘度の直鎖状ジメチルシリコーンフルイド(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)供給のまま用いられる
IDD = Permethyl 99Aの商品名でPresperseから入手されるイソドデカン
IHD = Permethyl 101Aの商品名でPresperseから入手されるイソヘキサデカン
IDNP = CERAPHYL SLKの商品名でISP(International Specialty Product Co)から入手されるネオペンタン酸イソデシル
TPP = トリフェニルホスフィン
安定剤 = ビタミンAパルミタート(VAP)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)
シリコーンエラストマーブレンド(SEB)の粘度測定法:
特別T−バー型スピンドルを備え付けた、適するブルックフィールド粘度計を用いると、ブルックフィールドヘリパス(商標)スタンドは、ペースト、パテ、クリーム、ゼラチンまたはワックスと同様な特性を有する物質の相対センチポイズ値で粘度/稠度測定を可能にする。
シリコーンエラストマーブレンドの粘度は、ヘリパススタンド(ブルックフィールド モデルD)及びT−バー・スピンドル(ブルックフィールド・ヘリパス・スピンドル・セット)とブルックフィールド モデルRVD−II+粘度計を用いて測定した。すべてがブルックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズInc.(米国マサチューセッツ州ミドルボロ・Commerce Boulevard 11)から購入された。
4オンス円形ジャーに100gのサンプルサイズが必要であった。次の準備手順が測定前に用いられた:サンプルは最初に遠心分離機で脱気され、その後2時間真空脱気された。脱気後、サンプルは25℃で最低4時間調整された。サンプルはT‐バー・スピンドルともに中心に設置された。ヘリパス・スピンドルの典型的な方法に従って記録された。
一般に、スピンドル93(T‐バー・スピンドルC)はより低い粘性サンプルに、スピンドル95(T‐バー・スピンドルE)はより粘性サンプルに使われる。rpmの標準設定は2.5であった。スピンドル速度は一定の2.5rpmで維持され、著しい粘度を持つサンプルを取り扱うにはスピンドルを取り換えられた。
シリコーンエラストマーゲル硬度の測定:
シリコーンエラストマーの硬度(堅さ)は、テクスチュア・アナライザー(モデルTA.XT2、Stable Micro Systems Inc.英国イングランド・Godalming)を用いて特性化された。米国ゼラチン製造業者協会はそのような試験法を標準手順として推奨している。
シリコーンゲル及びエラストマーブレンドについて、DELRINアセタール樹脂(デュポン)の直径1/2インチ(1.27cm)円柱状探針が測定に使われた。ゲルサンプルは、探針を用いて、下記の試験サイクルで圧縮試験に処する:探針はゲル表面に0.5mm/分の速度で近づき、ゲル中5.0mmの距離まで圧迫し続けた後、後退する前に1秒間保持される。テクスチュア・アナライザーは、圧縮試験の間に探針が受ける抵抗力を検出するために、5.0Kg荷重セルを有する。荷重セルごとに示される力が時間の関数として描かれる。
シリコーンエラストマー、ゲル及びエラストマーブレンド(SEB)の硬度は、圧縮試験の間に探針により検出される抵抗力として定義される。二つのデータが、硬度値に用いられる:力1;最大圧縮点(すなわち、ゲル表面下5.0mmの圧縮点)での力、及びエリアF−T;最大圧縮点で保持された1秒間の面積−力の積分。合計5回の試験が各ゲルについて行われ、試験5回の平均が記録される。
ゲル硬度測定に用いられるテクスチュア・アナライザーは、トランスデューサーにより検出される、グラム単位の力である。ゲル硬度について二つのデータが記録される:力1、探針がゲルサンプルでの事前にプログラムされたへこみ(または圧縮)に到達したときに記録されたグラム単位の力。力1の測定値単位は重量グラムである。
力1について得られた値は、重量グラムを101.97(すなわち、1ニュートンは、この装置で用いた探針のサイズに基づいて、101.97重量グラムに等しい)で除することによってニュートン(N)に変換される。例えば、6327重量グラムの値は、62.0Nに変換される。
テクスチュア・アナライザー測定により記録された二番目の特性は、重量グラム・秒で、エリアF−T1:2である。これは力対試験時間曲線の面積積分である。これが、エラストマー及びゲルに関連している、圧縮力に対する抵抗を維持する能力を示すので、ゲルの網目を示す特性である。
その値は、重量グラム・秒で報告され、重量グラム・秒での値を101.97で除することによりSI単位のニュートン・秒に変換される。例えば、33,947重量グラム・秒はSI単位で332.9N・sである。
【0077】
実施例1(参考):
MMPrシルセスキオキサン樹脂の製造
一般式MMPrのシロキサン樹脂を、国際公開番号WO2005/100444A1の実施例2(参考)に記載された方法により製造した。
この実験で用いられたMPr樹脂1及びMPr樹脂2の詳細な組成は、以下に示される。
【表1】

【0078】
実施例2(参考):
少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンの製造:
成分(A)の一部として例示されるオルガノ水素シロキサンを、MeHサイクリックス及びビニルシロキサン#2から製造した。オルガノ水素シロキサン中間体を、D5フルイド、IDNP(ネオペンタン酸イソデシル、及びIDD(イソドデカン)中それぞれで50質量%とした。それらオルガノ水素シロキサンは、以下の表に示される。
【表2】

これらオルガノ水素シロキサンを、MeH サイクリックス、ビニルシロキサン#7及び相当するキャリア・フルイドを反応フラスコに満たし、均質に混合して製造した。その後、混合物を、3−5ppmのPt(Sly−Off 4000 Pt触媒溶液、0.52質量%の白金含有)で触媒化した。混合物を、ヒドロシリル化発熱反応を起こさせるために50℃に加熱し、温度を50と70℃との間で3時間保持した。その後、反応混合物が40℃以下に冷却された時点で、0.5から0.75%のVAP/BHT(ビタミンAパルミタート及びブチル化ヒドロキシトルエン)安定剤を導入した。
【0079】
実施例3:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルの製造:
無水のシリコーンポリエーテルゲルを、疎水性ポリエーテル、例えば、α,ω‐ビスアリルポリプロピレンオキシド(PO)ポリエーテル、またはα,ω‐ビス(メチル)アリルポリプロピレンオキシド(PO)ポリエーテルと、SiH官能性シロキサン樹脂とを、化粧品フルイド中において白金触媒の存在下で反応させることにより製造した。反応生成物は、透明な固体ゲルであった。シリコーン樹脂とジアリルPOポリエーテルとの間の反応は、定量的で、速い付加反応である。所望のポリエーテル含量のシリコーンゲルは、適当な分子量のポリエーテルを用いることにより製造可能である。例証するために、ポリエーテルは、この実験用に日油株式会社(日本)から入手された。
ゲル網目構造中での別の有機含量質量%を有するシリコーン有機エラストマーゲルが、容易に製造される。最高で約80%の疎水性ポリエーテルを有するゲルが、以下に説明される。疎水性ポリエーテル有機分を含まないエラストマーゲルが参考として含まれている。
【表3】

【0080】
実施例4:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルの製造:
別の化粧品フルイド中のシリコーン有機エラストマーゲルが、簡便に製造される。ダウコーニング245フルイド揮発性サイクリックス、ダウコーニング2−1184フルイド(低粘度の直鎖状シリコーン)、イソドデカン(IDD)、及び、ネオペンタン酸イソデシル(IDNP)有機エステル溶剤中のエラストマーゲルが、以下に説明される。すべてのゲルは約30%の疎水性ポリエーテルを含有する。
【表4】

【0081】
実施例5:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルブレンドまたはペーストの製造:
化粧品フルイド中のシリコーンポリエーテルエラストマーブレンドは、本発明に従って、シリコーンポリエーテルゲルから製造できる。シリコーンポリエーテルエラストマーブレンドを製造するために、既知の初期エラストマー含量(IEC)のシリコーンポリエーテルゲルが、上記に示された方法に従って、最初に製造される。シリコーンポリエーテルゲルが、機械的にせん断されるか、または粉砕されて、小さな粒径とされ、続いて所望の最終エラストマー含量(FEC)になるように化粧品フルイドで希釈される。出来上がったエラストマーブレンドは、化粧品フルイド中で膨潤し、懸濁した、一定の粒径のSPEゲル粒子の無水懸濁液である。SPEエラストマーブレンドは、透明かつペースト状の稠度を有する。
有機部分が疎水性ポリエーテル型である、シロキサン−有機エラストマーブレンドが製造される。これらは、その工程1がゲルの形成であり、その工程2が小さい粒径へのゲルの縮小及びさらに選択の溶剤への希釈である、二工程により製造することができる。最終のSOEBは溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドで、ペースト状の稠度を有する。この二工程プロセスで製造されたゲル網目構造で、40%、30%及び0%有機分含量のSOEBの例が、以下に示される。
【表5】

【0082】
実施例6:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルブレンドまたはペーストの製造:
有機部分が、疎水性ポリエーテル型であるシロキサン‐有機エラストマーブレンドが製造される。これらは、その工程1がゲルの形成であり、その工程2が小さい粒径へのゲルの縮小及びさらに選択の溶剤への希釈である、二工程により製造することができる。最終SOEBは、溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドであり、ペースト状稠度を有する。この二工程プロセスで製造されたSOEBの例は、以下に示される。
【表6】

あるいは、シロキサン‐有機エラストマーブレンドは、ゲル化及び粒度の縮小が同時または連続して起こり、同様な最終エラストマーブレンドになるような他の加工方法及び装置を用いて製造することもできる。最終SOEBは、溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドで、ペースト状稠度を有する。
【0083】
実施例7:
シロキサン樹脂炭化水素ゲルの製造:
Ricon130が用いられ、MPrと反応してシロキサン樹脂及び炭化水素網目構造(ここでは、キャリア・フルイドの存在下で、シロキサン樹脂のSiHがPBDポリマーの1,2‐ビニルと反応する)を形成した。形成されたエラストマーゲルは、優れたゲル硬度、良好な透明性及び優れた加工性を有した。
PBOから製造されたシロキサン樹脂‐炭化水素エラストマーは以下に示される。
【表7】

【0084】
実施例8:
シロキサン樹脂炭化水素ゲルブレンドまたはペーストの製造:
有機部分が炭化水素型であるシロキサン‐有機エラストマーブレンドが製造される。これらは、その工程1がゲルの形成であり、その工程2が小さい粒径へのゲルの微細化及びさらに選択の溶剤への希釈である、二工程により製造することができる。最終SOEBは、溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドであり、ペースト状稠度を有する。この二工程プロセスで製造されたSOEBの例は、以下に示される。
【表8】

あるいは、シロキサン‐有機エラストマーブレンドは、ゲル化及び粒度の微細化が同時または連続して起こり、同様の最終エラストマーブレンドになるような他の加工方法及び装置を用いて製造することもできる。最終SOEBは、溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドであり、ペースト状稠度を有する。
【0085】
実施例9:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルの製造:
他のSiH含有シロキサン樹脂もまた、シリコーン有機エラストマーゲル及びシリコーン有機エラストマーブレンドを連続して製造するために用いることもできる。こうした一つのシロキサン樹脂は、MDTPr樹脂2である。その他の官能基、例えば、アルコキシシリル基(例として、メトキシシリル、エトキシシリル)などが、SiH官能性シロキサン樹脂中に存在してもよい。
ゲル網目構造中に、異なる有機含量質量%を有するシリコーン有機エラストマーゲルが容易に製造される。約40%及び30%疎水性ポリエーテルを有するゲルが、以下に示されている。
【表9】

【0086】
実施例10:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルブレンドまたはペーストの製造:
有機部分が疎水性ポリエーテル型であるシロキサン‐有機エラストマーブレンドが製造される。これらは、その工程1がゲルの形成であり、その工程2が小さい粒径へのゲルの縮小及びさらに選択の溶剤への希釈である、二工程により製造することができる。最終SOEBは、溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドであり、ペースト状稠度を有する。この二工程プロセスで製造されたゲル網目構造で、40%、30%及び0%の有機含量のSOEBの例が以下に示される。
【表10】

【0087】
実施例11:
シロキサン樹脂ポリエーテルゲルブレンドまたはペーストの製造:
他のSiH含有シロキサン樹脂もまた、シリコーン有機エラストマーゲル及びシリコーン有機エラストマーブレンドを連続して製造するために用いることができる。こうしたシロキサン樹脂の一つは、MMQ樹脂である。その他の官能基、例えば、アルコキシシリル基(例として、メトキシシリル、エトキシシリル)などが、SiH官能性シロキサン樹脂中に存在してもよい。
ゲル網目構造中の有機含量の異なる質量%を有するシリコーン有機エラストマーゲルが容易に製造される。約40%及び30%疎水性ポリエーテルを有するゲルが以下に示される。疎水性ポリエーテル有機を含まないエラストマーゲルが、参考として含まれている。
【表11】

【0088】
実施例12:
有機相溶性試験用シリコーン有機エラストマーブレンドの製造:
有機部分が疎水性ポリエーテル型であるシロキサン‐有機エラストマーブレンドが製造される。それらは、前に記載された一つの直接法を用いて製造できる。あるいは、これらは、その工程1がゲルの形成であり、その工程2が小さい粒径へのゲルの縮小及びさらに選択の溶剤への希釈である、二工程により製造することができる。最終SOEBは溶剤で膨潤したシロキサン樹脂炭化水素ゲルの均質なブレンドであり、ペースト状稠度を有する。そのようなSOEBの一例が製造された。ゲル組成物及びそれから誘導されるSOEBが、以下の二つの表に示される。
【表12】

【0089】
【表13】

【0090】
実施例13(比較例):
シロキサン有機エラストマーブレンドの相溶性:
本発明のSOEBの、普通のパーソナルケア成分との相溶性の改良を明示するために、SOEBと選択されたパーソナルケア成分とを75/25重量比(ビタミンAパルミタートを除いて)で混合する。混合物は、評価され、以下の表の脚注のキーによりランク付けされる。ダウコーニングの市販品のシリコーンエラストマーブレンド(SEB)が、参考として用いられた。結果は以下に示される。
【表14】

SOEBについては、従来のSEBと比較して、三つのキーすべてにおいて、パーソナルケア成分との非常に良好な相溶性が見られる:SOEBと選択されたパーソナルケア成分(EtOHエタノール、C12−C15アルキルベンゾアート、カプリル/カプリン酸トリグリセリド)との混合物。SOEB/成分混合物のほとんどは9040SEB/成分対応物よりも格段に粘性が高く、これは、よりよい相溶性と増稠の効果の、別の指標でもある。最後に、よりよい透明性がSOEB/成分混合物の多くでみられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する有機化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒
の反応由来のシリコーンエラストマー、
ならびに
(D)任意のキャリア・フルイド、
(E)任意のパーソナルまたはヘルスケア活性成分
を含む、少なくとも0.03ニュートン力の硬度を有するゲル組成物。
【請求項2】
前記(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂が式
(RHSiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(R’SiO3/2(SiO4/2
(ここで、aは0より大きく、
bは0から0.8であり、
cは0から0.4であり、
dは0から0.9であり、
eは0から0.9であり、
ただし、少なくともdまたはeはゼロより大きく、ならびにa、b、c、d及びeの合計が少なくとも0.95であり、
Rは有機基であり、
R’は2個から8個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である)
を含む、請求項1のゲル組成物。
【請求項3】
前記(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂が式
(MeHSiO1/2(MeSiO2/2(R’SiO3/2
(ここで、aは0より大きく、
cは0から0.4であり、
dは0から0.9であり、
ただし、a、c、及びdの合計が少なくとも0.9であり、及びdは0より大きく、
R’は2個から8個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
Meはメチルである)
を含むシルセスキオキサン樹脂である、請求項1のゲル組成物。
【請求項4】
前記(A)SiH含有オルガノポリシロキサン樹脂が式
(MeHSiO1/2(MeSiO1/2(SiO4/2
(ここで、aは0より大きく、
bは0から0.8であり、
eは0から0.9であり、
ただし、a、b及びeの合計が少なくとも0.95であり、ならびにeはゼロより大きく、
Meはメチルである)
を含むSiH含有MQ樹脂である、請求項1のゲル組成物。
【請求項5】
前記(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する有機化合物が式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を含有する一価の不飽和脂肪族基であり、及びYは二価の炭化水素、シロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレン、ポリイソアルキレン、炭化水素−シリコーン共重合体またはこれらの混合物から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記Yが式‐[(CO)(CO)(CO)]-(ここで、c、d、及びeはそれぞれ独立して、0から100までの間であり、f+g+hの合計は2を超える)を有するポロオキシアルキレン基である、請求項5の組成物。
【請求項7】
前記(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を含有する化合物がグループ
HC=CHCH[CO]CHCH=CH
HC=CH[CO]CH=CH
HC=C(CH)CH[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCH[CO]CHC≡CH、及び
HC≡CC(CH[CO]C(CHC≡CH
(ここで、gは2より大きい)
から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記(B)少なくとも2個の脂肪族不飽和基を含有する化合物が式HC=CHCH[CO]CHCH=CH、またはHC=C(CH)CH[CO]CHC(CH)=CH(ここで、gは2より大きい)を有する、請求項1の組成物。
【請求項9】
(A)/(B)のモル比が10/1から1/10である、請求項1の組成物。
【請求項10】
前記キャリア・フルイドが存在し、及びそれが25℃の粘度が1から1,000mm/秒の範囲にあるシリコーンである、請求項1の組成物。
【請求項11】
前記キャリア・フルイドが存在し、及びそれがデカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカン、イソヘキシルデカン、またはネオペンタン酸イソデシルである、請求項1の組成物。
【請求項12】
前記E)がビタミン、日焼け止め剤、植物エキスまたは香料から選ばれるパーソナルケア活性成分である、請求項1の組成物。
【請求項13】
前記E)が局所用薬剤活性成分、タンパク質、酵素、抗真菌剤または抗菌剤から選ばれるヘルスケア活性成分である、請求項1の組成物。
【請求項14】
カラー化粧品、口紅、ファンデーション、シャンプー、ヘアー・コンディショナー、毛髪固定剤、シャワージェル、皮膚保湿液、皮膚コンディショナー、ボディー・コンディショナー、日焼け防止品、制汗剤及びデオドラントから選ばれ、請求項1の組成物を含有するパーソナルケア組成物。

【公表番号】特表2010−540721(P2010−540721A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527061(P2010−527061)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/077167
【国際公開番号】WO2009/042535
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】