説明

オレキシン受容体アンタゴニストとしてのN−アロイル環状アミン

本発明は、N-アロイルサイクリックアミン誘導体およびその医薬としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの医薬的に重要な生物学的プロセスは、G−蛋白質および/またはセカンドメッセンジャーを含むシグナル変換経路に関与する蛋白質によって媒介される。
【0002】
ヒト7回膜貫通型G−蛋白質結合ニューロペプチド受容体、オレキシン−1(HFGAN72)をコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドが同定され、EP−A−875565、EP−A−875566およびWO96/34877に開示されている。第2ヒトオレキシン受容体、オレキシン−2(HFGANP)をコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドが同定され、EP−A−893498に開示されている。
オレキシン−1受容体のリガンド、例えば、オレキシン−A(Lig72A)であるポリペプチドをコードするポリペプチドおよびポリヌクレオチドがEP−A−849361に開示されている。
【0003】
オレキシン受容体は、哺乳類宿主中に見出され、限定するものではないが、鬱病;不安;沈溺;強迫障害;情動性神経症/障害;鬱性神経症/障害;不安神経症;気分変調障害;行動障害;気分障害;性的機能不全;精神性的機能不全;性障害;性的障害;精神分裂症;躁鬱;せん妄;痴呆;ハンチントン病およびジル・ド・ラ・トゥレット症候群のような重篤な精神遅滞および運動異常;生物リズムおよび概日リズム障害;摂食障害、例えば、食欲不振、病的飢餓、カヘキシーおよび肥満;糖尿病;食欲/味覚障害;嘔吐/吐き気;喘息;癌;パーキンソン病;クッシング症候群/病;好塩基性腺腫;プロラクチノーマ;高プラクチン血症;下垂体低下症;下垂体腫瘍/腺腫;視床下部疾患;フレーリッヒ症候群;副腎下垂体疾患;下垂体疾患;下垂体腫瘍/腺腫;下垂体成長ホルモン;副腎下垂体機能低下;副腎下垂体機能亢進;視床下部性機能低下症;カルマン症候群(無嗅覚症、嗅覚障害);機能性または心因性無月経;下垂体低下症;視床下部甲状腺低下症;視床下部−副腎機能不全;特発性高プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏の視床下部障害;特発性成長ホルモン欠乏;こびと症;巨人症;先端巨大症;生物リズムおよび概日リズム障害;および神経学的障害、ニューロパシー疼痛および下肢静止不能症候群、心臓および肺病のような疾患に付随する睡眠障害;急性および鬱血性心不全;高血圧;低血圧;尿閉;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;虚血性または出血性発作;くも膜下出血;外傷性頭部創傷に伴うくも膜下出血のような頭部創傷;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大;慢性腎機能不全;腎疾患;耐糖能異常;偏頭痛;痛覚過敏;疼痛;疼痛に対する感受性増加または悪化、例えば、痛覚過敏、灼熱痛および異痛;急性疼痛;火傷痛;非定型顔面痛;ニューロパシー痛;背痛;複合性局所疼痛症候群IおよびII;関節炎痛;スポーツ傷害痛;感染に関連する疼痛、例えば、HIV、ポリオ後症候群およびヘルペス後神経痛;幻想肢痛;陣痛;癌痛;化学療法後の疼痛;発作後の疼痛;手術後の疼痛;嘔気嘔吐;神経痛;過敏性大腸症候群、偏頭痛およびアンギナを含む内臓痛に伴う状態;膀胱失禁、例えば、急迫性尿失禁;麻薬または麻薬からの離脱に対する耐性;睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠症;睡眠時異常行動;ジェット機症候群;および脱抑制−痴呆−パーキンソン症候群−筋萎縮複合;淡蒼球−橋−黒質変性(pallido-ponto-nigral-degeneration)、癲癇および発作障害のような疾病分類学的存在を含む神経変性障害を含む病理を含む多くの生物学的機能の原因となりうる。
【0004】
実験は、リガンドオレキシン−A(より詳細に下記する)の中枢投与は、4時間の間、自由摂食性ラットにおける食物摂取を刺激することが示された。この増加は、ビヒクルを与えられた対照ラットの約4倍であった。これらのデータは、オレキシン−Aが食欲の内在性レギュレーターでありうることを示唆する。したがって、その受容体のアンタゴニストは、肥満および糖尿病の治療に有用でありうる(cell, 1998, 92, 573-585を参照)。
【0005】
西欧化社会には肥満の有意な発病率がある。WHO定義によると、39の研究のうち平均35%の対象が体重過剰であり、さらに22%が臨床的に肥満であった。USAにおいて全健康管理費用の5.7%が肥満の結果であると推測される。2型糖尿病の約85%が肥満であり、食餌および運動は全ての糖尿病において価値がある。西欧化諸国において診断された糖尿病の発病率は、典型的に5%であり、同数の診断されていない個体があると推測される。両疾患の発病率は上昇しており、効果的でないか、または心血管影響を含む毒性リスクを有しうる現行の治療の不足を示している。スルホニル尿素またはインスリンを用いる糖尿病の治療は低血糖症を引き起こすことができ、一方、メトホルミンはGI副作用を引き起こす。2型糖尿病の非薬物治療は、糖尿病の長期の合併症を減少させることが示された。インスリン感作薬は多くの糖尿病患者に有用であるが、それらは抗−肥満効果を有さない。
【0006】
ラット睡眠/EEG研究もまた、オレキシン−A、オレキシン受容体のアゴニストの中枢投与が、正常睡眠期間の開始時に投与する場合、主として逆説睡眠および徐波睡眠2の減少を犠牲にして、用量に関連して覚醒の増加を引き起こすことを示した。したがって、その受容体のアンタゴニストは、不眠症を含む睡眠障害の治療に有用でありうる。
【0007】
本発明は、ヒトオレキシン受容体、特にオレキシン−1受容体の非ペプチドアンタゴニストであるN−アロイル環状アミン誘導体を提供する。特に、これらの化合物は、2型(非インスリン依存性)糖尿病患者において観察される肥満を含む肥満および/または睡眠障害の治療に使用できる可能性がある。そのうえ、これらの化合物は、発作、特に、虚血性または出血性発作の治療および/または催吐性応答を遮断するのに有用である。すなわち、吐き気および嘔吐の治療に有用である。
【0008】
国際特許出願WO99/09024、WO99/58533、WO00/47577およびWO00/47580は、フェニル尿素誘導体を開示し、WO00/47576は、オレキシン受容体アンタゴニストとしてのキノリニルシンナミド誘導体を開示している。WO01/96302は、N−アロイルサイクリックアミン誘導体を開示している。
【0009】
本発明により、式(I):
【化1】

[式中:
Xは、O、CR、NHまたは結合であり;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成する:
ただし、一対のRおよびR、RおよびR、RおよびRは、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し、残りの基は水素であり;
は、水素、置換されていてもよい(C1−4)アルキルまたは置換されていてもよい(C1−4)アルキルCOであり;
Arは、置換されていてもよいアリール、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環または二環式ヘテロアリール基であり;
Arは、フェニルまたはN、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリル基であり、ここに、フェニルまたはヘテロサイクリル基は、Rおよびさらなる任意の置換基により置換されており;あるいはArは、置換されていてもよい二環式芳香族またはN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する二環式ヘテロ芳香族基であり;
は、水素、置換されていてもよい(C1−4)アルコキシ、ハロ、シアノ、置換されていてもよい(C1−6)アルキル、置換されていてもよいフェニル、またはN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5または6員のヘテロサイクリル基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0010】
およびR、RおよびRまたはRおよびRが、置換されていてもよい(C1−4)アルキルである場合、置換されていてもよいアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい。
好ましくは、RおよびRは、存在する場合、水素である。
好ましくは、RおよびRがメチルである場合、R、R、RおよびRは水素であり、あるいは、RおよびRがメチルである場合、R、R、RおよびRは水素である。
好ましくは、XはCRである。
好ましくは、Rは、水素または置換されていてもよい(C1−4)アルキルであり、より好ましくは、水素である。
好ましくは、ArがフェニルまたはN、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリル基である場合、R基は、アミドカルボニルの結合位置に隣接して位置する。
【0011】
Arは、5個まで、好ましくは、1、2または3個の任意の置換基を有していてもよい。
Arが単環または二環式ヘテロアリール基である場合の例としては、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、チアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、オキサゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5−b]ピリジニル、ピリドピリミジニル、イソキノリニル、フラニルまたはチエニルが挙げられる。
好ましくは、Arはピリミジニルまたはピリジニルである。
【0012】
ArがN、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリル基である場合、これは、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニルまたはピラゾリルであり得る。
Arが置換されていてもよい二環式芳香族またはヘテロ芳香族である場合、これはベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ナフチル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ナフチリジニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インドリル、ベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルから選択され得る。
好ましくは、Arは、置換されていてもよいキノリニル、チアゾリル、ピラゾリル、フェニル、ナフチルまたはキノキサリニルである。
【0013】
がN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリル基である場合、これは、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルまたはピロリンジニルであり得る。
好ましくは、RがN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリック環である場合、これは、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニルまたはピラゾリルであり得る。
好ましくは、Rは、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、ハロまたは置換されていてもよいフェニル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリミジニルまたはオキサジアゾリル基から選択される。
【0014】
およびRまたはRおよびRまたはRおよびRが、これらが結合している炭素と一緒になって、4〜6員のヘテロサイクリル環を形成する場合、これは、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニルまたはアゼチジニルから選択され得る。
【0015】
Ar、ArおよびR基に関する任意の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルコキシ、ハロ(C1−4)アルキル、ハロ(C1−4)アルコキシ、アリール(C1−4)アルコキシ、(C1−4)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキル、(C3−6)シクロアルキル(C1−4)アルコキシ、(C1−4)アルカノイル、(C1−4)アルコキシカルボニル、(C1−4)アルキルスルホニル、(C1−4)アルキルスルホニルオキシ、(C1−4)アルキルスルホニル(C1−4)アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニル(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルスルホンアミド、(C1−4)アルキルアミド、(C1−4)アルキルスルホンアミド(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルアミド(C1−4)アルキル、アリールスルホンアミド、アリールカルボキサミド、アリールスルホンアミド(C1−4)アルキル、アリールカルボキサミド(C1−4)アルキル、アロイル、アロイル(C1−4)アルキルまたはアリール(C1−4)アルカノイル基;RN−、ROCO(CH、RCON(R)(CH、RNCO(CH、RNSO(CHまたはRSONR(CH基(ここに、RおよびRは、各々独立して、水素原子または(C1−4)アルキル基であるか、あるいは適当なRは、(C3−6)アザシクロアルカンまたは(C3−6)(2−オキソ)アザシクロアルカン環の一部を形成し、rは0または1〜4の整数である)、(C1−4)アシル、アリール、アリール(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキル、RN(CH)n−、RN(CH)nO−(ここに、nは、1〜4の整数であるか、あるいは、置換基がRN(CH)n−またはRN(CH)nOである場合、Rは、基の(CH)nの少なくとも1つのCHと一緒になって、(C3−6)アザシクロアルカンを形成し、Rは水素、(C1−4)アルキル基を意味するか、あるいは、それらが結合している窒素と一緒になって、第1の(C3−6)アザシクロアルカンに縮合した第2の(C3−6)アザシクロアルカンを形成する)を含む。
【0016】
Arに関する好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、(C1−4)アルキルまたは(C1−4)アルコキシである。
Arに関する好ましい置換基は、ハロゲンである。最も好ましくは、Arに関する好ましい置換基は、臭素である。
に関する好ましい置換基は、ハロゲンである。
【0017】
〜R、RおよびRが、(C1−4)アルキルである場合、任意の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ヒドロキシ(C1−4)アルコキシ、(C1−4)アルキルチオ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキルまたは(C3−6)シクロアルキル(C1−4)アルコキシであり得る。
ArおよびArにおいて、別の置換基に対してオルト位に位置する置換基は、形成して環を形成することができる。
【0018】
式(I)で示される好ましい化合物は:
(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−イル]−メタノン;
(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−キノリン−8−イル−メタノン;
1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン;
(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン;
1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン;
(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2,3−ジエチル−キノキサリン−5−イル)−メタノン;
(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン;または
1−{(S)−2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2,3−ジエチル−キノリン−8−イル)−メタノン;
およびその医薬上許容される塩から選択される。
【0019】
式(I)で示される化合物中にハロゲン原子が存在する場合、これは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。
式(I)で示される化合物がアルキル基を含有する場合、単独または大きな基、例えば、アルコキシまたはアルキルチオの一部を形成する場合のいずれであっても、アルキル基は、直鎖または分枝鎖あるいはその組み合わせであってもよく、好ましくは、メチルまたはエチルである。
【0020】
本明細書で用いられる場合、(C4−6)シクロアルキルなる用語は、4、5または6炭素原子を有するシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロヘキシルを意味する。好ましくは、シクロプロピルである。シクロアルキル基は、さらに、直鎖または分枝鎖のアルキル基により置換され得る。
本明細書で用いられる場合、アリールなる用語は、5〜6員の芳香族環、例えば、フェニルまたは少なくとも1つの環が芳香族である7〜12員の二環系、例えば、ナフチルを意味する。
【0021】
式(I)で示される化合物がRまたはSエナンチオマーとして存在しうることは明らかであろう。本発明は、混合物を含むかかる異性体の全てをその範囲内に含む。さらなるキラル中心が式(I)で示される化合物に存在する場合、本発明は、その混合物を含む全ての可能なジアステレオ異性体をその範囲内に含む。異なる異性体形態は、慣用的な方法により、1つを他から分離または分割してもよく、またはいずれかの所定の異性体を通常の合成法または立体特異性もしくは不斉合成により得てもよい。
【0022】
本発明が式(I)で示される化合物の医薬上許容される誘導体を含み、これらが本発明の範囲内に含まれることは理解されるだろう。
本発明の特定の化合物は、実施例に記載の化合物およびその医薬上許容される誘導体を含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「医薬上許容される誘導体」なる語は、式(I)で示される化合物のいずれもの医薬上許容される塩、エステルまたはかかるエステルの塩を含み、それは、レシピエントへの投与時に、式(I)で示される化合物またはその活性な代謝物もしくは残渣を(直接または間接的に)提供することができる。
【0024】
医薬に使用するために、式(I)で示される化合物の塩が医薬上許容されるべきであることは明らかであろう。適当な医薬上許容される塩は、当業者に明らかであり、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸;および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸と形成された酸付加塩を含む。他の塩、例えば、シュウ酸塩を、例えば、式(I)で示される化合物の単離に使用してもよく、本発明の範囲内に含まれる。また、本発明の範囲内には、式(I)で示される化合物の溶媒和物および水和物が含まれる。
ある特定の式(I)で示される化合物は、1当量以上の酸と酸付加塩を形成しうる。本発明は、全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態をその範囲内に含む。
【0025】
式(I)で示される化合物は医薬組成物中での使用が意図されるので、それらが各々、好ましくは、実質的に純粋な形態、例えば、少なくとも60%の純度、より適当には、少なくとも75%の純度、好ましくは、少なくとも85%、特に少なくとも98%の純度(%は重量/重量である)で提供されることが容易に理解されよう。該化合物の不純な調製物は、医薬組成物中で使用されるより純粋な形態を調製するために使用されうる。
【0026】
本発明のさらなる特徴によると、式(I)で示される化合物およびその誘導体の製法が提供される。下記のスキームは、本発明の化合物へのいくつかの合成経路を詳述するものである。
【化2】

【0027】
適当な脱離基Lの例としては、ハロゲン、OSOMeおよびOSOCFが挙げられる。アミン(VIII)を得るためのアミン(VI)の反応は、不活性溶媒、例えばキシレン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノンまたはヒドロキシル様溶媒、例えばt−ブタノール中、塩基、例えば炭酸カリウムまたはジイソプロピルエチルアミンの存在下、好ましくは、高温で行われる。
【0028】
脱離基Lの例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。アシル化は、文献で公知の広範囲の条件を用いて、例えば、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で行うことができる。別法として、これらの工程は、Lがヒドロキシである場合、反応は、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、ジイミド試薬、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライドおよび活性化剤、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、あるいはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを含むジメチルホルムアミド中で行われる。
【0029】
保護基PおよびPの例としては、t−ブチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニルおよび置換されていてもよいベンジルが挙げられる。脱保護条件は、特定の保護基に依存するだろう;上記した基に関しては、それぞれ、酸(例えば、ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸)、塩基(例えば、水性メタノールのような溶媒中の炭酸カリウム)および不活性溶媒中での触媒加水分解(例えば、低級アルコールまたは酢酸エチル中の炭素担持パラジウムを用いる)である。
【0030】
式(II)で示される化合物は文献で公知であるか、あるいは、公知の方法により調製し、当該分野で公知の方法を用いて型(II)の酸に変換することができる。例えば、RおよびRが両方ともMeであり、XがCHである場合は、EP0447704A1による。
アミド(V)のアミン(VI)への還元は、公知の方法を用いて、例えば、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中、水素化金属、例えば水素化リチウムアルミニウムまたはボランを用いることにより行われる。
【0031】
が置換されていてもよいアルキルである化合物を得るための式(VII)で示される化合物のアルキル化は、公知の方法を用いて、例えば、水素化金属、例えば水素化ナトリウムの存在下、ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、アルキル化剤、例えばヨウ化メチルを用いることにより行うことができる。
が置換されていてもよい(C1−4)アルキルCOである式(I)で示される化合物は、Rが水素である式(I)で示される水素から、文献で公知のアシル化反応により得ることができる。
【0032】
このスキームの範囲内において、Ar基と反応することによるアミン(VI)のアミン(VIII)への変換は、保護基Pを用いることなく行うことができる。すなわち、化合物(VI)および(VIII)において、PはHでありうる。
Ar、Ar、R、R、R、RおよびX内での保護基交換および任意の保護基の使用を範囲内に含む。例えば、XがNHである場合、好ましくは、保護基を用いる。
【0033】
スキーム1に概説した合成経路は、文献記載の方法により合成することができる式(X)および(XI)で示される化合物から、RおよびRがHであり、XがCHであり、RおよびRが式(I)の記載と同意義である化合物(I)の合成に用いることができる。例えば、RおよびRが両方ともMeであり、XがCHである場合は、EP0447704Aにより、
【0034】
【化3】

およびRがMeである場合、EP0447704A1による。
【化4】

【0035】
およびRおよびNH基が、Boc基で保護されている式(XXIV)で示される化合物は、Castro et al, J. Med. Chem 1997, 40, 2491-2501に開示されている。
Xが結合である場合、下記式で示される化合物は以下の通りに開示されている:
【化5】

【0036】
【化6】

【0037】
ニトリル(XII)のアミン(XIII)への還元は、公知の方法を用いて、例えば、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、水素化金属、例えば水素化リチウムアルミニウムを用いることにより行うことができる。中間体(XIII)の(XIV)および生成物(I)への変換は、スキーム1に記載のように行うことができる。
式(XII)で示される化合物は、文献で公知の方法を用いて合成することができる。例えば、RおよびRが両方ともMeであり、XがCHである場合、Martens et al. J. Chem. Soc. Perkin Trans 1, 2001, 508-13に従って合成することができる。
Ar、Ar、R、R、R、RおよびX内における、保護基交換および任意の保護基の使用を範囲内に含む。例えば、XがNHである場合、好ましくは、保護基が用いられる。
【0038】
【化7】

(XVII)の(XVIII)への変換に関して、RはHであり得る。式(XVIII)で示される化合物において、Rが保護基Pである場合、脱保護が行われる(XVIII、R=H)。(XVIII)(R=H)のArCOL基によるアルキル化により、式(I)で示される化合物が得られる。
【0039】
(XV)のアルキル化剤(C1−4)Lとの反応は、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中で行う。
Ar、Ar、R、R、R、RおよびX内において、保護基交換および任意の保護基の使用を範囲内に含む。例えば、XがNHである場合、好ましくは、保護基が用いられる。
【0040】
【化8】

【0041】
適当な脱離基Lの例としては、ハロゲン、ヒドロキシ、OSOMe、OSO(4−トリル)が挙げられる。(XX)のHNRArとの反応は、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、トリエチルアミン、水素化ナトリウムまたはカリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下で行われる。
【0042】
【化9】

【0043】
式(I)で示される化合物は、単一で、または少なくとも2つ、例えば、5〜1000個、好ましくは10〜100個の式(I)で示される化合物を含む化合物ライブラリーとして調製することができる。化合物ライブラリーは、コンビナトリアル「スプリット・アンド・ミックス」法によって、または液相もしくは固相化学のいずれかを用いるマルチプル・パラレル合成によって、当業者に公知の手法によって調製することができる。
【0044】
かくして、本発明のさらなる態様によると、少なくとも2つの式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む化合物ライブラリーが提供される。
医薬上許容される塩は、慣用的には、適当な酸または酸誘導体との反応により調製することができる。
【0045】
式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストが必要な疾患または障害、例えば、肥満および糖尿病;プロラクチノーマ;低プロラクチン血症;成長ホルモン欠乏の視床下部障害;特発性成長ホルモン欠乏;クッシング症候群/疾患;視床下部−副腎機能不全;こびと症;睡眠障害;睡眠時無呼吸;ナルコレプシー;不眠症;睡眠時異常行動;ジェット機症候群;神経学的障害、ニューロパシー痛および下肢静止不能症候群などの疾患に付随する睡眠障害;心臓および肺疾患;鬱病;不安;沈溺;強迫障害;情動性神経症/障害;鬱性神経症/障害;不安神経症;気分変調障害;行動障害;気分障害;性的機能不全;精神性的機能不全;性障害;性的障害;精神分裂症;躁鬱;せん妄;痴呆;病的飢餓および下垂体低下症の治療に有用である。さらに、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体は、また、発作、特に虚血性または出血性発作および/または催吐性応答、すなわち悪心および嘔吐の阻害に有用である。
【0046】
式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、特に、2型糖尿病に付随する肥満を包含する肥満および睡眠障害の治療に有用である。さらに、式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、発作、特に虚血性または出血性発作および/または催吐性応答、すなわち、吐き気および嘔吐の阻害に有用である。
【0047】
本発明に従って治療することができる他の疾患または障害は、生物リズムおよび概日リズム障害;副腎下垂体疾患;下垂体疾患;下垂体腫瘍/腺腫;副腎下垂体機能低下;機能性または心因性無月経;副腎下垂体亢進;偏頭痛;痛覚過敏;疼痛;疼痛に対する感受性増加または悪化、例えば、痛覚過敏、灼熱痛および異痛;急性疼痛;火傷痛;非定型顔面痛;ニューロパシー痛;背痛;複合性局所疼痛症候群IおよびII;関節炎痛;スポーツ傷害痛;感染に関連する疼痛、例えば、HIV、ポリオ後症候群およびヘルペス後神経痛;幻想肢痛;陣痛;癌痛;化学療法後の疼痛;発作後の疼痛;手術後の疼痛;神経痛;および麻薬または麻薬からの離脱に対する耐性を含む。
【0048】
本発明は、また、治療または予防の必要な対象に、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを特徴とする、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストが必要とされる疾患または障害の治療または予防方法を提供する。
本発明は、また、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストが必要とされる疾患または障害の治療または予防に用いるための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
本発明は、また、ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストが必要とされる疾患または障害の治療または予防のための医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用を提供する。
【0049】
治療に使用する場合、本発明の化合物は、通常、医薬組成物の形態として投与される。本発明は、また、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0050】
式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、いずれかの慣用的方法により、例えば、経口、非経口、バッカル、舌下、鼻腔、直腸または経皮投与により投与することができ、それに応じて適応させた医薬組成物であってもよい。
経口投与された場合に活性である式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体は、液体または固体として、例えば、シロップ、懸濁、エマルジョン、錠剤、カプセルまたはロゼンジとして処方することができる。
【0051】
液体処方は、一般に、適当な液体担体、例えば、水、エタノールまたはグリセリンなどの水性溶媒またはポリエチレングリコールまたは油などの非水性溶媒中における活性成分の懸濁液または溶液からなるであろう。該処方は、また、懸濁化剤、保存料、フレーバー剤および/または着色料を含有していてもよい。
【0052】
錠剤形態の組成物は、固形処方の調製に一般的に用いられるいずれか適当な医薬担体、例えば、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、シュークロースおよびセルロースを用いて調製することができる。
【0053】
カプセル形態の組成物は、一般的なカプセル化法を用いて調製することができる。例えば、活性成分を含有するペレットを標準的な担体を用いて調製し、ついで、ハードゼラチンカプセル中に充填することができ;別法として、いずれかの適当な医薬担体、例えば、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油を用いて、分散または懸濁を調製し、ついで、該分散または懸濁をソフトゼラチンカプセル中に充填できる。
【0054】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または非経口的に許容される油、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油または胡麻油中における活性成分の溶液または懸濁液からなる。別法では、該溶液を凍結乾燥し、ついで、投与直前に、適当な溶媒で復元することができる。
【0055】
鼻腔内投与用組成物は、有利には、エアロゾル、滴剤、ゲルおよび散剤として処方することができる。エアロゾル処方は、典型的には、医薬上許容される水性または非水性溶媒中における活性成分の溶液または微細な懸濁液からなり、通常、噴霧装置で使用するためのカートリッジまたはリフィルの形態をとることのできる密閉容器中における滅菌形態で、単一または複数投与量で提供される。別法として、密閉容器は、使い捨ての分注装置、例えば、単一投与量鼻腔吸入器または計測バルブを備え付けたエアロゾル・ディスペンサーであってもよい。投与形態がエアロゾル・ディスペンサーからなる場合、それは、圧縮ガス、例えば、空気であることのできる噴射剤または有機噴射剤、例えば、フルオロクロロ炭化水素またはヒドロフルオロ炭素を含有するであろう。エアロゾル投与形態は、また、ポンプ−噴霧器の形態を取ることができる。
【0056】
バッカルまたは舌下投与に適当な組成物は、活性成分が糖およびアラビアゴム、トラガカントゴムまたはゼラチンおよびグリセリンと共に処方される錠剤、ロゼンジおよび香錠を含む。
直腸投与用組成物は、有利には、ココア脂などの慣用的な坐剤基剤を含有する坐剤の形態である。
【0057】
経皮投与に適当な組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを含む。
好ましくは、該組成物は、錠剤、カプセルまたはアンプルなどの単位投与形態である。
【0058】
上記した障害または疾患の治療または予防に使用される式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の投与量は、通常、治療される特定の障害または疾患、対象の体重および他の同様の因子によって変化するだろう。しかしながら、一般則として、適当な単位投与量は、0.05〜1000mg、より適当には0.05〜500mgでありうる。単位投与量は、1日の総投与量が約0.01〜100mg/kgの範囲になるように、1日に1回以上、例えば、1日に2または3回投与してもよく;かかる治療は数週間または数ヶ月に及んでもよい。医薬上許容される誘導体の場合、上記の数字は、式(I)で示される親化合物として計算される。
式(I)で示される化合物を上記の投与量範囲で投与する場合、毒物学的影響は示されず/予測されない。
【0059】
ヒトオレキシン−Aは、アミノ酸配列:
ピロGlu Pro Leu Pro Asp Cys Cys Arg Gln

Lys Thr Cys Ser Cys Arg Leu Tyr Glu Leu
10 15
Leu His Gly Ala Gly Asn His Ala Ala Gly
20 25
Ile Leu ThrLeu−NH
30
【0060】
オレキシン−Aは、オレキシン−1受容体のリガンドの活性化を阻害する化合物についてのスクリーニング法において使用できる。
一般的には、かかるスクリーニング法は、その表面にオレキシン−1受容体を発現する適当な細胞を提供することを含む。かかる細胞は、哺乳類、酵母、ドロソフィラ(Drosophila)またはイー・コリ(E.coli)由来の細胞を含む。特に、オレキシン−1受容体をコードしているポリヌクレオチドを用いて、該受容体を発現するように細胞をトランスフェクトする。ついで、発現された受容体を、試験化合物およびオレキシン−1受容体リガンドと接触させて、機能的応答の阻害を観察する。1のかかるスクリーニング法は、WO92/01810に記載のように、オレキシン−1受容体を発現するようにトランスフェクトされるメラニン細胞の使用を含む。
【0061】
別のスクリーニング法は、オレキシン−1受容体をコードしているRNAをツメガエル卵母細胞中に導入して該受容体を一時的に発現させることを含む。ついで、該受容体卵母細胞を、受容体リガンドおよび試験化合物と接触させ、ついで、該リガンドによる該受容体の活性化を阻害すると考えられる化合物についてスクリーニングする場合、シグナルの阻害の検出を行う。
【0062】
別の方法は、オレキシン−1受容体をその表面に有する細胞への標識したオレキシン−1受容体リガンドの結合の阻害を決定することによる、該受容体の活性化を阻害する化合物についてのスクリーニングを含む。該方法は、細胞がその表面にオレキシン−1受容体を発現するように、該受容体をコードしているDNAで真核生物細胞をトランスフェクトし、オレキシン−1受容体リガンドの標識形態の存在下、該細胞または細胞膜調製物を化合物と接触させることを含む。該リガンドは、放射能標識を含有しうる。該受容体に結合した標識リガンドの量は、例えば、放射能を測定することによって測定される。
【0063】
また別のスクリーニング法は、オレキシン−1受容体リガンドとオレキシン−1受容体の相互作用に影響を及ぼすことにより、細胞内カルシウムイオンまたは他のイオンの動員を阻害する試験化合物の高スループットスクリーニングのためのFLIPR装置の使用を含む。
【0064】
限定するものではないが、特許および特許出願を含む本明細書に引用される全ての出版物は、出典明示により本明細書に組み入れる。
【0065】
下記の実施例は、本発明の薬理学的に活性な化合物の調製法を説明するものである。記載D1〜D14は、本発明の化合物の中間体の調製法を説明する。
【0066】
記載1:(RS)−C−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イル)−メチルアミン
テトラヒドロフラン(114ml)中の水素化リチウムアルミニウムの1M溶液を、(RS)−3,3−ジエチル−ピペリジン−2−カルボニトリル[Martens et al, J. Chem. Soc., Perk Trans 1, 2001, 508-13](15.7g、0.114mol)の撹拌溶液中に、アルゴン雰囲気下室温にて滴下した。得られた混合物を、室温にて0.5時間撹拌し、ついで、1時間加熱還流した。混合物を室温に冷却し、水として3.5mlの氷で冷却し、20%の水酸化ナトリウム(1.54ml)および水(15ml)を、撹拌しながら、順次滴下した。0.5h時間後、無水硫酸ナトリウムを加え、0.5h時間撹拌を続け、混合物を濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄した。合した濾液および洗浄液を、減圧下で蒸発させて標題化合物を、淡橙色油(12.7g、79%)として得た。質量スペクトル(API):実測値143(MH)。C18として計算値142。
【0067】
記載2:(RS)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン
キシレン(250ml)中の(RS)−C−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イル)−メチルアミン(D1)(7g、0.049mol)、5−ブロモ−2−クロロピリミジン(9.52g、0.049mol)、ジイソプロピルエチルアミン(26.4ml、0.147mol)および炭酸カリウム(13.6g、0.099mol)の混合物を、アルゴン雰囲気下120℃で20分間加熱した。冷却して、混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、合した濾液および洗浄液を減圧下で蒸発させた。残渣を、0〜10%の酢酸エチル中メタノール勾配、ついで、2〜4%の0.880アンモニアを含有する酢酸エチル中の10%のメタノール混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、標題化合物を淡橙色固体として得た(4.5g、31%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値299(MH)。C121979BrNとして計算値298。
【0068】
記載2のラセミ生成物を、以下の方法を用いて別個のエナンチオマーに分離した。ラセミ体(0.94g)を、エタノール中に溶解し、100mg/mlの濃度にした。この溶液の2mlのアリコートを、Chiralpak AD(250mm×20mmi.d.)クロマトグラフィーカラムに適用した。215nmでのU.V.検出を用いて流速17ml/分にてエタノールで抽出し、個々のエナンチオマーを得た。2mlのアリコートの注入を繰り返して、関連するフラクションをプールし、プールしたフラクションを減圧下で濃縮して、下記のものを得た。
【0069】
記載(2a):早く溶出されたエナンチオマー(0.29g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値299(MH)、C121979BrNとして計算値298。エナンチオマー純度99.9%e.e.[α]=+55.1°(c=1、CHCl、29℃)
記載(2b):遅くに溶出されたエナンチオマー(0.29g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値299(MH)、C121979BrNとして計算値298。エナンチオマー純度99.9%e.e.[α]=−51.2°(c=1、CHCl、28℃)
【0070】
記載3:(RS)−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン
無水ジメチルホルムアミド(5ml)中の(RS)−C−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イル)メチルアミン(D1)(0.2g、1.41mmol)、5−ブロモ−2−フルオロ−ピリジン(0.248g、1.41mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.76ml、4.23mmol)および炭酸カリウム(0.389g、2.82mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下100℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧下で蒸発させ、残渣を、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配、ついで、2〜4%の0.880アンモニアを含有する酢酸エチル中の10%のメタノールの混合物で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、淡橙色油として標題化合物を得た(0.28g、67%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値298(MH)、C132079BrNとして計算値297。
【0071】
記載3のラセミ生成物を、以下の方法を用いて別個のエナンチオマーに分離した。ラセミ体(3.2g)を、エタノール中に溶解し、20mg/mlの濃度にした。この溶液の1mlのアリコートを、Chiralpak AD(250mm×20mmi.d.)クロマトグラフィーカラムに適用した。215nmでのU.V.検出を用いて流速17ml/分にてエタノールで抽出し、個々のエナンチオマーを得た。1mlのアリコートの注入を繰り返して、関連するフラクションをプールし、プールしたフラクションを減圧下で濃縮して、下記のものを得た。
【0072】
記載(3a):早く溶出されたエナンチオマー(0.45g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値298(MH)、C132079BrNとして計算値297。エナンチオマー純度96.4%e.e.[α]=+47.5°(c=1、CHCl、30℃)
記載(3b):遅くに溶出されたエナンチオマー(0.45g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値298(MH)、C132079BrNとして計算値297。エナンチオマー純度94.8%e.e.[α]=−46.8°(c=1、CHCl、28℃)
【0073】
記載4:(RS)−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−カルボン酸
水(600ml)中の3−クロロ−6,6−ジエチル−アゼパン−2−オン[EP0447704A1](18g、0.103mol)および水酸化バリウム8水和物(40.6g、0.129mol)の混合物を、20時間加熱還流した。冷却して、硫酸アンモニウム(17.13g、0.129mol)を撹拌しながら加えた。混合物をキーゼルゲルにより濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をトルエンと混合し、混合物を減圧下で蒸発させて、無色の固体として標題化合物(20g)を得、さらに精製することなく用いた。HNMR(DO)δ1.00(6H,m),1.40−1.70(2H,m),1.75−1.90(1H,m),2.05−2.15(1H,m),2.75−2.85(1H,m),3.03(1H,m),3.40−3.55(1H,m)
【0074】
記載5:(RS)−5,5−ジエチル−ピペリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル
ジオキサン(800ml)および水(140ml)中のD4(20g)およびトリエチルアミン(19.5ml、0.14mol)の溶液に、二炭酸ジ−t−ブチル(30.6g、0.14mol)を加えた。得られた混合物を、室温にて48時間撹拌し、ついで、減圧下で蒸発させた。残渣を1Nの水酸化ナトリウムおよび酢酸エチル(500ml)間で分配した。有機層を1Nの水酸化ナトリウム(2×100ml)で抽出した。合した水層を、5Nの塩酸でpH6に調節し、ジクロロメタン(3×250ml)で抽出した。合した抽出物を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させて、淡黄色ガムとして標題化合物を得た(10.3g)。NMR(CDCl)δ:0.85−0.95(6H,m),1.10−1.30(2H,m),1.45(9H,m),1.87(1H,m),2.10(1H,m),2.75−2.95(1H,m),3.50−3.65(1H,m),4.60−4.90(1H,m),7.20−8.90(1H,brs)
【0075】
記載6:(RS)−2−カルバモイル−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ジメチルホルムアミド(100ml)中の(RS)−5,5−ジエチル−ピペリジン−1,2−ジカルボン酸1−tertブチルエステル(D5)(9.5g、37mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド(10.63g、55mol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(8.5g、55mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(26ml、148mmol)および塩化アンモニウム(3.96g、74mmol)の混合物を、室温にて20時間撹拌し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を水(500ml)および酢酸エチル(500ml)間で分配し、水層を酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。合した有機物を水(3×300ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(300ml)、0.5Nの塩酸(500ml)およびブライン(250ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜50%の酢酸エチル勾配で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標題化合物を無色固体として得た(5.3g、54%)。NMR(CDCl)δ:0.88(3H,s),0.91(3H,s),1.20−1.50(2H,m),1.48(9H,s),1.75(1H,m),2.17(1H,m),2.57(1H,brm),3.40−3.85(1H,brm),4.83(1H,brm),5.58(1H,brs),6.06(1H,brs)
【0076】
記載7:(RS)−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−カルボン酸アミド
ジクロロメタン(50ml)およびトリフルオロ酢酸(15ml)中の(RS)−2−カルバモイル−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(D6)(5.2g、0.02mol)の溶液を、40℃で0.5時間加熱した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(100ml)および1Nの水酸化ナトリウム(100ml)間で分配した。水層を、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出し、合した有機物を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させて、無色の固体として標題化合物を得た(3g、95%)。NMR(CDCl)δ:0.89(3H,s),0.97(3H,s),1.20−1.35(1H,m),1.40−1.55(1H,m),1.60−1.75(2H,m),1.80−1.90(1H,m),2.45(1H,m),2.60(1H,m),3.15(1H,m),5.5(1H,brs),6.75(1H,brs)
【0077】
記載8:(RS)−1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−カルボン酸アミド
1,2−ジクロロエタン(120ml)中の(RS)−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−カルボン酸アミド(D7)(3g、19.2mmol)およびベンズアルデヒド(2.15ml、21.2mmol)の溶液を、アルゴン雰囲気下室温にて1.5時間撹拌し、ついで、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(6.08g、28.7mmol)を滴下した。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、ジクロロメタン(120ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜50%の酢酸エチル勾配で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、無色の固体として標題化合物(4.24g、90%)を得た。質量スペクトル(API):実測値247(MH)、C1522Oとして計算値246
【0078】
記載9:(RS)−C−(1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イル)−メチルアミン
テトラヒドロフラン(20.7ml)中の水素化リチウムアルミニウムの1Mの溶液を、0.15時間にわたって、(RS)−1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−カルボン酸アミド(D8)(4.22g、17.2mmol)の撹拌溶液に滴下し、得られた混合物を、室温にて0.5時間撹拌し、ついで、さらに3時間加熱還流した。冷却して、水(3.7ml)、2Nの水酸化ナトリウム(4.12ml)および水(3.7ml)を加え、ついで、0.1時間後、硫酸無水ナトリウムを加えた。混合物を濾過し、固体を、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液および洗浄液を合して減圧下で蒸発させて、無色固体として標題化合物を得た(4g、100%)。NMR(CDCl)δ:0.79(3H,s),0.97(3H,s),1.10−1.60(5H,m),1.65−1.90(2H,m),2.15(1H,m),2.30−2.45(1H,m),2.65−2.75(1H,m),3.0−3.15(2H,m),4.07(1H,m),7.10−7.35(5H,m)。
【0079】
記載10:(RS)−N−(1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
無水ジクロロメタン(100ml)中のトリフルオロ酢酸無水物(2.92ml、20.6mmol)を、(RS)−C−(1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イル)−メチルアミン(D9)(3.98g、17.2mmol)およびトリエチルアミン(3.35ml、24mmol)の撹拌溶液にアルゴン雰囲気下0℃で滴下した。得られた混合物を、室温に加温し、20分間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、減圧下蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜50%の酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルに付して、無色固体として標題化合物を得た(3.85g、66%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値329(MH)、C1723Oとして計算値328。
【0080】
記載11:(RS)−5,5−ジエチル−2−[(2,2,2−トリフルオロ−エタノイルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
エタノール(100ml)中の(RS)−N−(1−ベンジル−5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(D10)(4.75g、14.5mmol)および二炭酸ジ−tert−ブチル(3.8g、17.4mmol)の溶液を、大気圧および室温で、10%の炭素担持パラジウム(1g、水との54%ペースト)の存在下70時間水素化した。混合物をkieselguhrで濾過し、濾液を減圧下で蒸発させて、残渣を、ペンタン中の0〜10%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、無色固体として標題化合物(4.57g、93%)を得た。質量スペクトル(API):実測値339(MH)、C1525として計算値338。
【0081】
記載12:(RS)−2−アミノメチル−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tertブチルエステル
メタノール(300ml)および水(100ml)中の(RS)−5,5−ジエチル−2−[(2,2,2−トリフルオロ−エタノイルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tertブチルエステル(D11)(4.56g、12.6mmol)および炭酸ナトリウム(9.4g、89mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で2.5時間加熱還流した。炭酸カリウム(9.4g、68mmol)を加え、1時間還流を続けた。反応混合物を冷却し、減圧下で蒸発させて、残渣を水(100ml)およびジクロロメタン(300ml)間で分配した。水層をジクロロメタン(2×100ml)で抽出し、合した有機物を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させて、淡橙色油として標題化合物を得た(3.2g、98%)。NMR(CDCl)δ:0.89(3H,s),0.91(3H,s),1.20−1.80(5H,m),1.46(9H,s),1.82(1H,m),2.50(1H,m),2.62(1H,m),2.90(1H,m),3.60(1H,brs),4.15(1H,brs)。
【0082】
記載13:(RS)−2−[5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
キシレン(100ml)中の(RS)−2−アミノメチル−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.7g、11.2mmol)、5−ブロモ−2−クロロピリミジン(2.04g、11.2mmol)、炭酸カリウム(3.1g、22.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.9ml、33.5mmol)の混合物を、130℃で20時間アルゴン雰囲気下で加熱した。反応混合物を冷却し、濾過し、固体を酢酸エチルで洗浄した。合した濾液および洗浄液を減圧下で蒸発させ、残渣を、ペンタン中の0〜20%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標題化合物を無色油として得た(3.6g、80%)。NMR(CDCl)δ:0.91(6H,s),1.27(1H,m),1.30−1.55(2H,m),1.40(9H,s),1.88(1H,m),2.59(1H,m),3.33(1H,m),3.40−3.75(2H,m),4.96(1H,brs),5.30(1H,brs),8.25(2H,s)
【0083】
記載14:(RS)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン
(RS)−2−[5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(D13)(3.6g、9.0mmol)から、記載D7の方法を用いて標題化合物を淡橙色固体として調製した(2.6g、97%)。NMR(CDCl)δ:0.85(3H,s),0.98(3H,s),1.20−1.60(5H,m),2.42(1H,m),2.55−2.70(2H,m),3.25(1H,m),3.46(1H,m),5.64(1H,brs),8.26(2H,s)
【0084】
記載14のラセミ生成物を、下記方法を用いて別個のエナンチオマーに分離した。ラセミ体(2.5g)をエタノールに溶解して200mg/mlの濃度にした。この溶液に1mlのアリコートを、ChiralpakAD(200mm×50mmi.d.)クロマトグラフィーカラムに適用した。230nmでU.V.検出を用いて、流速50ml/分の流速で、0.1%のトリエチルアミンを含有するエタノールを用いて溶出して、個々のエナンチオマーを得た。1mlのアリコートを繰り返して注入して、関連するフラクションをプールし、プールしたフラクションを蒸発させて、以下のものを得た。
【0085】
記載(14a):早く溶出されたエナンチオマー(1.07g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値299(MH)、C121979BrNとして計算値298、エナンチオマー純度99%e.e.[α]=−21.7°(c=1、CHCl、29℃)
記載(14b):遅くに溶出されたエナンチオマー(0.975g):質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値299(MH)、C121979BrNとして計算値298。エナンチオマー純度98%e.e.[α]=+16.5°(c=1、CHCl、29℃)
【0086】
実施例1:(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−イル]−メタノン
ジクロロメタン(1ml)中の5−(4−フルオロ−フェニル)−2−メチル−チアゾール−4−カルボニルクロライド(0.094g、0.37mmol)の溶液を、ジクロロメタン(3ml)中の(RS)−5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D2)(0.1g、0.33mmol)およびトリエチルアミン(0.1ml、0.74mmol)の撹拌溶液に滴下した。2.5時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(8ml)で洗浄し、有機相を10gのシリカゲルカラムに付した。ヘキサン中の0〜100%の酢酸エチル勾配で溶出して、無色固体として標題化合物を得た(0.135g、78%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)実測値518(MH)、C232579BrFNOSとして計算値517。
【0087】
実施例2:(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−キノリン−8−イル−メタノン
無水ジメチルホルムアミド(6ml)中の(RS)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D2)(0.08g、0.27mmol)、キノリン−8−カルボン酸(0.046g、0.27mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)(0.102g、0.27mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.14ml、0.81mmol)の混合物を、室温にて24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して、無色の固体として標題化合物(0.039g、32%)を得た。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値454(MH)、C222479BrNOとして計算値453
【0088】
実施例3:1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン
無水ジメチルホルムアミド(3.5ml)中の(+)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D2a)(0.075g、0.25mmol)、2−メチル−キノリン−5−カルボン酸(0.047g、0.25mmol)、HATU(0.096g、0.25mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.13ml、0.75mmol)の混合物を、室温にて24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配を用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して標題化合物を無色固体として得た(0.06g、53%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値468(MH)、C232679BrNOとして計算値467。実施例3の絶対立体化学は規定しない。
【0089】
実施例4:(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン
無水ジメチルホルムアミド(5ml)中の(RS)−5−(ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D14)(0.1g、0.33mmol)、2−メチル−キノリン−5−カルボン酸(0.068g、0.36mmol)、HATU(0.125g、0.33mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.18ml、0.99mmol)の混合物を、室温にて24時間加熱した。得られた混合物を減圧下で蒸発させ、残渣を酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、減圧下で蒸発させた。残渣を、ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標題化合物を無色固体として得た(0.103g、66%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値468(MH)、C232679BrNOとして計算値467。
【0090】
実施例5:1−{2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−5,5−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン
ジクロロメタン(4ml)中の(+)−5−(ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(5,5−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D14b)(0.12g、0.4mmol)、2−メチル−キノリン−5−カルボン酸(0.075g、0.4mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)(0.077g、0.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)(0.01g、0.07mmol)の混合物を、室温にて20時間振盪させた。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム(8ml)で洗浄し、有機層を、予備充填した10gシリカカラムに付した。ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配で溶出して、標題化合物を無色固体(0.062g、33%)として得た。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値468(MH)、C232679BrNOとして計算値467。
【0091】
実施例6:(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2,3−ジエチル−キノキサリン−5−イル)−メタノン
ジクロロメタン(4ml)中の(RS)−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D3)(0.12g、0.4mmol)、2,3−ジエチル−キノキサリン−5−カルボン酸(0.082g、0.4mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)(0.077g、0.4mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)(0.01g、0.07mmol)の混合物を、室温にて20時間振盪させた。反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム(8ml)で洗浄し、有機層を、予備充填した10gのシリカカラムに付した。ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%メタノールで溶出した。流速3ml/分で0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水中の0〜95%のアセトニトリルで溶出するABZC8(100mm×21mmi.d.)クロマトグラフィーカラムで質量関連精製に付して、標題化合物をトリフルオロ酢酸塩として得た(0.05g、21%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値482(MH)、C242879BrNOとして計算値481。
【0092】
実施例7:(RS)−1−{2−[(5−ブロモ−ピリジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2−メチル−キノリン−5−イル)−メタノン
ジクロロメタン(4ml)中の(RS)−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D3)(0.1g、0.34mmol)、2−メチル−キノリン−5−カルボン酸(0.063g、0.34mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド(EDC)(0.064g、0.34mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)(0.01g、0.07mmol)の混合物を、室温にて20時間浸透させた。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム(8ml)で洗浄し、有機層を、予備混合した10gのシリカカラムに適用した。ペンタン中の0〜100%の酢酸エチル勾配、ついで、酢酸エチル中の0〜10%のメタノール勾配に付して、標題化合物を無色固体として得た(0.037g、23%)。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値467(MH)、C242779BrNOとして計算値466。
【0093】
下記実施例の化合物を、適当なピペリジンから、実施例1〜7の記載と同様の方法を用いて調製した。
【表1】


【0094】
【表2】

【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【0097】
実施例44:1−{(S)−2−[(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−メチル]−3,3−ジエチル−ピペリジン−1−イル}−1−(2,3−ジエチル−キノリン−8−イル)−メタノン
ジクロロメタン(30ml)中の2,3−ジエチルキノリン−8−カルボン酸(0.5g、2.5mmol)に、塩化オキサリル(0.48ml、5.5mmol)、ついで、ジメチルホルムアミド(1滴)を滴下した。得られた溶液を常温で1時間撹拌し、ついで、蒸発させた。かくして、褐色固体として得た2,3−ジエチル−8−キノリンカルボニルクロライド塩酸塩(0.64g、100%)を、精製することなく用いた。ジクロロメタン(5ml)中の(+)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−(3,3−ジエチル−ピペリジン−2−イルメチル)−アミン(D2a)(0.1g、0.33mmol)およびトリエチルアミン(0.2ml、1.44mmol)の溶液に、2,3−ジエチル−8−キノリンカルボニルクロライド塩酸塩(0.087g、0.34mmol)を加えた。常温で1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、有機層をシリカゲルカラムに適用した。酢酸エチル−ペンタン勾配で溶出して、標題生成物(0.5g、31%)を得た。質量スペクトル(エレクトロスプレーLC/MS):実測値482(MH)、C242879BrNOとして計算値481。
【0098】
本発明が、本明細書中に上記した特定および好ましい基の全ての組合せを含むことは理解される。
【0099】
オレキシン−1受容体アンタゴニスト活性の測定
式(I)で示される化合物のオレキシン−1受容体アンタゴニスト活性を、下記の実験方法に従って測定した。
【0100】
実験方法
ヒトオレキシン−1受容体を発現しているCHO−DG44細胞を、2mMのL−グルタミン、0.4mg/mLのG418硫酸塩(GIBCO BRL)および10%の熱不活性化胎仔ウシ血清(Gibco BRL)を含有する細胞培地(アール塩を有するMEM培地)中で培養した。細胞を20,000細胞/100μl/ウェルにて、10μg/ウェルのポリ−L−リジン(SIGMA)で予め被覆した96−ウェル黒色透明底滅菌プレート(Costar)中に播種した。播種したプレートを37℃にて、5%CO中で一晩インキュベートした。
【0101】
アゴニストを、水:DMSO(1:1)中の1mMストックとして調製した。プロベネシッドを含有するTyrodeバッファー(145mMのNaCl、10mMグルコース、2.5mMのKCl、1.5mMのCaCl、1.2mMのMgClおよび2.5mMのプロベネシッドを含有する10mMのHEPES;pH7.4)中における11x半対数単位希釈(Biomek2000、Beckman)を用いて、EC50値(最大応答の50%を生じるのに必要な濃度)を評価した。アンタゴニストを、DMSO(100%)中における10mMストックとして調製した。アンタゴニストIC50値(アゴニスト応答の50%を阻害するために必要な化合物の濃度)を、10%DMSOおよびプロベネシッドを含有するTyrodeバッファー中の11x反対数単位希釈を用いて、3.0nMヒトオレキシン−Aに対して決定した。
【0102】
アッセイ日に、プロベネシッド(Sigma)およびFluo3AM(Texas Fluorescence Laboratories)を含有する50μlの細胞培地を各ウェルに加えて(Quadra, Tomtec)、各々、2.5mMおよび4μMの最終濃度を得た。96−ウェルプレートを5%CO中37℃で60分間インキュベートした。ついで、染料を含有するローディング溶液を吸引し、プロベネシッドおよび0.1%ゼラチンを含有する4×150μlのTyrodeバッファーで洗浄した(Denley Cell Wash)。各ウェルに残った緩衝液の量は125μlであった。アンタゴニストまたはバッファー(25μl)を穏やかに振盪させた細胞プレートに加え(Quadra)、5%CO中37℃にて30分間インキュベートした。ついで、細胞プレートを蛍光イメージング・プレート・リーダー(FLIPR,Molecular Devices)装置に移した。薬物添加前に、細胞プレートの単一画像を得て(シグナルテスト)、染料負荷コンシステンシーを評価した。作業プロトコールは、1秒間隔で得られた60画像、ついで、5秒間隔でさらに24画像を用いた。20秒後に(連続的な読み取りの間)、アゴニストを加えた(FLIPRにより)。各ウェルから、全アッセイ期間にわたりピーク蛍光を決定し、1〜19(両端を含む)の読み取りの平均を該数字から減じた。蛍光におけるピーク増加を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・ロジスティック・フィットを用いて、繰り返して曲線をフィットさせて(Bowen and Jerman, TiPS, 1995, 16, 413-41に記載のように)、濃度作用値を求めた。アンタゴニストKb値は、等式:
=IC50/(1+([3/EC50])
(式中、EC50は、アッセイにおいて決定されたヒトオレキシン−Aの強度(nM)であり、IC50はモルで表される)
を用いて計算された。
【0103】
この方法に従って試験された実施例の化合物は、ヒトクローン化オレキシン−1受容体にて7.0〜9.7の範囲のpKb値を有した。
【0104】
式(I)で示される化合物のオレキシン−2受容体アンタゴニストを下記の実験方法に従って測定した。
【0105】
実験方法
ヒトオレキシン−2受容体を発現しているCHO−DG44細胞を、2mM L−グルタミン、0.4mg/mL G418硫酸塩(GIBCO BRL)および10%熱不活性化胎仔ウシ血清(Gibco BRL)を含有する細胞培地(アール塩を有するMEM培地)中で培養した。細胞を20,000細胞/100μl/ウェルにて、10μg/ウェルのポリ−L−リジン(SIGMA)で予め被覆した96−ウェル黒色透明底滅菌プレート(Costar)中に播種した。播種したプレートを37℃にて、5%CO中で一晩インキュベートした。
【0106】
アゴニストは、水:DMSO(1:1)中の1mMストックとして調製された。プロベネシッドを含有するTyrodeバッファー(145mMのNaCl、10mMグルコース、2.5mMのKCl、1.5mMのCaCl、1.2mMのMgClおよび2.5mMプロベネシッドを含有する10mMのHEPES;pH7.4)中における11x半対数単位希釈(Biomek2000, Beckman)を用いて、EC50値(最大応答の50%を生じるのに必要な濃度)を評価した。アンタゴニストは、DMSO(100%)中における10mMストックとして調製された。アンタゴニストIC50値(アゴニスト応答の50%を阻害するために必要な化合物の濃度)は、10%DMSOおよびプロベネシッドを含有するTyrodeバッファー中の11x反対数単位希釈を用いて、10.0nMヒトオレキシン−Aに対して決定した。
【0107】
アッセイ日に、プロベネシッド(Sigma)およびFluo3AM(Texas Fluorescence Laboratories)を含有する50μlの細胞培地を各ウェルに加えて(Quadra, Tomtec)、各々、2.5mMおよび4μMの最終濃度を得た。96−ウェルプレートを5%CO中、37℃で60分間インキュベートした。ついで、染料を含有するローディング溶液を吸引し、プロベネシッドおよび0.1%ゼラチンを含有する4×150μlのTyrodeバッファーで洗浄した(Denley Cell Wash)。各ウェルに残ったバッファーの量は125μlであった。アンタゴニストまたはバッファー(25μl)を穏やかに振盪させた細胞プレートに加え(Quadra)、5%CO中37℃にて30分間インキュベートした。ついで、細胞プレートを蛍光イメージング・プレート・リーダー(FLIPR, Molecular Devices)装置に移した。薬物添加前に、細胞プレートの単一画像を得て(シグナルテスト)、染料負荷コンシステンシーを評価した。作業プロトコールは、1秒間隔で得られた60画像、ついで、5秒間隔でさらに24画像を用いた。20秒後に(連続的な読み取りの間)、アゴニストを加えた(FLIPRにより)。各ウェルから、全アッセイ期間にわたりピーク蛍光を決定し、1〜19(両端を含む)の読み取りの平均を該数字から減じた。蛍光におけるピーク増加を化合物濃度に対してプロットし、4パラメーター・ロジスティック・フィットを用いて、繰り返して曲線をフィットさせて(Bowen and Jerman, TiPS, 1995, 16, 413-417に記載のように)、濃度作用値を求めた。アンタゴニストKb値は、等式:
=IC50/(1+([3/EC50])
(式中、EC50は、アッセイにおいて決定されたヒトオレキシン−Aの強度(nM)であり、IC50はモルで表される)
を用いて計算された。
【0108】
この方法に従って試験された実施例の化合物は、ヒトクローンオレキシン−2受容体にて6.3〜8.2の範囲のpKb値を有した。
【0109】
該明細書および請求の範囲が一部を形成する出願は、いずれかの後の出願に関し、優先権の基礎として用いることができる。かかる後の出願の請求の範囲は、本明細書に記載のいずれかの特徴または特徴の組合せに向けられてもよい。それらは、生成物、組成物、方法または使用クレームの形態を取っていてもよく、例えば、限定するものではないが、本願の請求の範囲を包含していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Xは、O、CR、NHまたは結合であり;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し;
およびRは、両方とも水素、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成する:
ただし、一対のRおよびR、RおよびR、RおよびRは、両方とも置換されていてもよい(C1−4)アルキルであるか、あるいはそれらが結合している炭素と一緒になって、(C3−6)シクロアルキル環または4〜6員のヘテロサイクリル環を形成し、残りの基は水素である;
は、水素、置換されていてもよい(C1−4)アルキルまたは置換されていてもよい(C1−4)アルキルCOであり;
Arは、置換されていてもよいアリール、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する置換されていてもよい単環または二環式ヘテロアリール基であり;
Arは、フェニルまたはN、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する5または6員のヘテロサイクリル基であり、ここに、フェニルまたはヘテロサイクリル基は、Rおよびさらなる任意の置換基により置換されており;あるいは、Arは、置換されていてもよい二環式芳香族またはN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する二環式ヘテロ芳香族基であり;
は、水素、置換されていてもよい(C1−4)アルコキシ、ハロ、シアノ、置換されていてもよい(C1−6)アルキル、置換されていてもよいフェニル、またはN、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5または6員のヘテロサイクリル基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
XがCRである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRがメチルである場合、R、R、RおよびRが水素であり、あるいはRおよびRがメチルである場合、R、R、RおよびRが水素である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Arが、ピリミジニルまたはピリジニルである、請求項1〜3いずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
ピリミジニルまたはピリジニルがハロゲンにより置換されている、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
ハロゲンが臭素である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
実施例1〜44いずれか1つに記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
ヒトオレキシン受容体のアンタゴニストを必要とする疾患または障害の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする対象に、有効量の請求項1〜7いずれか1項記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項10】
肥満の治療用の医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。
【請求項11】
睡眠障害の治療用の医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。

【公表番号】特表2006−504695(P2006−504695A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537127(P2004−537127)
【出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010412
【国際公開番号】WO2004/026866
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】