説明

オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法

【課題】成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触媒、および、該触媒の存在下、オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】特定の第4族遷移金属化合物(成分(A1))と、特定の第4族遷移金属化合物(成分(A2))と、特定の触媒成分(成分(B))と、有機アルミニウム化合物(成分(C))とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であって、成分(A1)と、成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))が1〜90であるオレフィン重合用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン−α−オレフィン共重合体などのオレフィン重合体は、種々の成形法により、フィルム、シート、ボトル等に成形され、食品包装材などの種々の用途に用いられている。
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合された共重合体が、衝撃強度や引張強度等の機械的強度に優れることが知られている。そのため、成形品の薄肉化により、機械的強度を維持したまま成形品の軽量化、低コスト化が期待できることから、種々の用途に該共重合体を利用することが検討されている。ところが、従来のメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出加工時の押出負荷が高く、また、メルトテンションやスウェル比が小さいために、成形加工性は十分ではなく、その利用には限界があった。
【0003】
これに対して、昨今では、新規なメタロセン触媒が検討され、該触媒により重合された成形加工性が改良されたエチレン−α−オレフィン共重合体が提案されている。例えば、特許文献1には、2つのシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基が架橋基を介して結合した配位子を有する遷移金属化合物と、互いに結合していない2つの置換シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を有する遷移金属化合物と、活性化用助触媒成分とからなるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されている。また、特許文献2には、シリカ、ヘキサメチルジシラザン、ジエチル亜鉛、ペンタフルオロフェノールおよび水が接触されてなる助触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムと、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドとからなるメタロセン触媒を用いて重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−96125号公報
【特許文献2】特開2004−149761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2記載のエチレン−α−オレフィン共重合体は、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体と比べて成形加工性に優れるものの、さらなる成形加工性の改善が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触媒、および、該触媒の存在下、オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況の下、成形加工性に優れるオレフィン重合体の製造方法について鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一は、下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、下記成分(B)と、下記成分(C)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であって、成分(A1)と、成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))が1〜90であるオレフィン重合用触媒にかかるものである。
成分(A1):下記一般式(1)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、mは、1〜5の整数を表し、X、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のX1は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
成分(A2):下記一般式(2)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、nは1〜5の整数を表し、X、R、およびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のXは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
成分(B):下記成分(b1)と、下記成分(b2)と、下記成分(b3)とを接触させて形成される触媒成分
(b1):下記一般式(3)で表される化合物
(3)
[式中、Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、xはMの原子価に相当する数を表す。Lは、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数1〜20ハイドロカルビル基を表し、Lが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b2):下記一般式(4)で表される化合物
t−1H (4)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。Rは、ハロゲン原子、電子吸引性基、ハロゲン原子を含有する基または電子吸引性基を有する基を表し、Rが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b3):下記一般式(5)で表される化合物
s−2 (5)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、sはTの原子価に相当する数を表す。Rは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基または炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。
成分(C):有機アルミニウム化合物
【0007】
本発明の第二は、成分(B)が上記成分(b1)と、上記成分(b2)と、上記成分(b3)と、下記成分(b4)とを接触させて形成される固体触媒成分である、本発明の第一に記載のオレフィン重合用触媒にかかるものである。
(b4):粒子状担体
【0008】
本発明の第三は、上記オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造し得るオレフィン重合用触媒を提供することができる。また、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合することにより、成形加工性に優れるオレフィン重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含したものであり、また「重合体」という語は単独重合体のみならず共重合体を包含したものである。
【0011】
本発明のオレフィン重合用触媒は、下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、下記成分(B)と、下記成分(C)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であって、成分(A1)と、成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))が1〜90であるものである。
【0012】
成分(A1):下記一般式(1)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、mは、1〜5の整数を表し、X、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のX1は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
【0013】
成分(A2):下記一般式(2)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、nは1〜5の整数を表し、X、R、およびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のXは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
【0014】
成分(B):下記成分(b1)と、下記成分(b2)と、下記成分(b3)とを接触させて形成される触媒成分
(b1):下記一般式(3)で表される化合物
(3)
[式中、Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、xはMの原子価に相当する数を表す。Lは、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数1〜20ハイドロカルビル基を表し、Lが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b2):下記一般式(4)で表される化合物
t−1H (4)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。Rは、ハロゲン原子、電子吸引性基、ハロゲン原子を含有する基または電子吸引性基を有する基を表し、Rが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b3):下記一般式(5)で表される化合物
s−2 (5)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、sはTの原子価に相当する数を表す。Rは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基または炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。
成分(C):有機アルミニウム化合物
【0015】
一般式(1)のM1および一般式(2)のM2は、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などがあげられる。
【0016】
一般式(1)のJ1および一般式(2)のJ2は、元素周期律表の第14族の原子を表す。好ましくは、炭素原子またはケイ素原子である。
【0017】
一般式(1)のmおよび一般式(2)のnは1〜5の整数である。mとして好ましくは、1〜2である。nとして好ましくは、1〜2である。
【0018】
一般式(1)のX1、R1、R2、一般式(2)のX2、R3およびR4は、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基であり、複数のX1は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR1、R2は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のX2は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR3、R4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
1、R1、R2、X2、R3およびR4のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられる。
【0020】
1、R1、R2、X2、R3およびR4の置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基などがあげられる。
【0021】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などがあげられる。
【0022】
炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
【0023】
炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基などがあげられる。また、これらのアラルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化アラルキル基などがあげられる。
【0024】
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。また、これらのアリール基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化アリール基などがあげられる。
【0025】
また、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、ハイドロカルビルシリル基で置換されたハイドロカルビル基、ハイドロカルビルアミノ基で置換されたハイドロカルビル基、ハイドロカルビルオキシ基で置換されたハイドロカルビル基などがあげられる。
【0026】
ハイドロカルビルシリル基で置換されたハイドロカルビル基としては、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルプロピル基、トリメチルシリルブチル基、トリメチルシリルフェニル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(トリメチルシリル)エチル基、ビス(トリメチルシリル)プロピル基、ビス(トリメチルシリル)ブチル基、ビス(トリメチルシリル)フェニル基、トリフェニルシリルメチル基などがあげられる。
【0027】
ハイドロカルビルアミノ基で置換されたハイドロカルビル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ジメチルアミノフェニル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジメチルアミノ)エチル基、ビス(ジメチルアミノ)プロピル基、ビス(ジメチルアミノ)ブチル基、ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、フェニルアミノメチル基、ジフェニルアミノメチル基、ジフェニルアミノフェニル基などがあげられる。
【0028】
ハイドロカルビルオキシ基で置換されたハイドロカルビル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、sec−ブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシ−n−プロピル基、エトキシ−n−プロピル基、n−プロポキシ−n−プロピル基、イソプロポキシ−n−プロピル基、n−ブトキシ−n−プロピル基、sec−ブトキシ−n−プロピル基、tert−ブトキシ−n−プロピル基、フェノキシ−n−プロピル基、メトキシイソプロピル基、エトキシイソプロピル基、n−プロポキシイソプロピル基、イソプロポキシイソプロピル基、n−ブトキシイソプロピル基、sec−ブトキシイソプロピル基、tert−ブトキシイソプロピル基、フェノキシイソプロピル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、n−ブトキシフェニル基、sec−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、フェノキシフェニル基などがあげられる。
【0029】
1、R1、R2、X2、R3およびR4の置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基などがあげられる。
【0030】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコソキシ基などがあげられる。また、これらのアルコキシ基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルコキシ基などがあげられる。
【0031】
炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などがあげられる。また、これらのアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化アラルキルオキシ基などがあげられる。
【0032】
炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などがあげられる。また、これらのアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化アリールオキシ基などがあげられる。
【0033】
1、R1、R2、X2、R3およびR4の炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基とは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたシリル基であり、炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基などがあげられる。炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基としては、例えば、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルシリル基、炭素数2〜20のジハイドロカルビルシリル基、炭素数3〜20のトリハイドロカルビルシリル基などが挙げられ、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルシリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、n−プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、n−ブチルシリル基、sec−ブチルシリル基、tert−ブチルシリル基、イソブチルシリル基、n−ペンチルシリル基、n−ヘキシルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられ、炭素数2〜20のジハイドロカルビルシリル基としては、例えば、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジ−n−プロピルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジ−n−ブチルシリル基、ジ−sec−ブチルシリル基、ジ−tert−ブチルシリル基、ジイソブチルシリル基、ジフェニルシリル基などが挙げられ、炭素数3〜20のトリハイドロカルビルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0034】
1、R1、R2、X2、R3およびR4の炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基とは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたアミノ基であり、炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などがあげられる。炭素数1〜20ハイドロカルビルアミノ基としては、例えば、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルアミノ基、炭素数2〜20のジハイドロカルビルアミノ基などが挙げられ、炭素数1〜20のモノハイドロカルビルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基などがあげられ、炭素数2〜20のジハイドロカルビルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、フェニルエチルアミノ基、フェニルプロピルアミノ基、フェニルブチルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロイソインドリル基などがあげられる。
【0035】
1として好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基、ベンジル基である。
【0036】
1として好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
【0037】
2として好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0038】
2として好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基、ベンジル基である。
【0039】
3として好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
【0040】
4として好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0041】
一般式(1)で表される成分(A1)の遷移金属化合物としては、M1をジルコニウム原子、X1を塩素原子としたものとして、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0042】
メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0043】
メチレン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0044】
メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0045】
ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジビニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジアリルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(ビニル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(アリル)(メチル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0046】
ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0047】
ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイル(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
【0048】
ジメチルシランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、等を例示することができる。
【0049】
上記例示においてη5−シクロペンタジエニル基の置換体は、架橋基が1−位の場合、一置換体であれば、2−位、3−位、4−位および5−位の置換体を含み、架橋位が1−位以外でも同様に全ての組合せを含む。二置換体以上も同様に、置換基および架橋位の全ての組合せを含む。また、上記遷移金属化合物のX1のジクロリドをジフルオライド、ジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジイソプロピル、ジメトキシド、ジエトキシド、ジプロポキシド、ジブトキシド、ビス(トリフルオロメトキシド)、ジフェニル、ジフェノキシド、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシド)、ビス(3,4,5−トリフルオロフェノキシド)、ビス(ペンタフルオロフェノキシド)、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシド)、ジベンジル等に変更した化合物を例示することができる。さらに、上記遷移金属化合物のM1のジルコニウムをチタンまたはハフニウムに変更した化合物を例示することができる。
【0050】
一般式(1)で表される成分(A1)の遷移金属化合物として好ましくは、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0051】
一般式(2)で表される成分(A2)の遷移金属化合物としては、M2をジルコニウム原子、X2を塩素原子としたものとして、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0052】
メチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0053】
メチレン(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレン(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0054】
メチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0055】
ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジビニルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジアリルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(ビニル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(アリル)(メチル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0056】
ジメチルシランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0057】
ジメチルシランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイル(インデニル)(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
【0058】
ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(n−プロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジイソプロピルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチル)(メチル)シランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(n−プロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(イソプロピル)シランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロヘキシル)(メチル)ビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)シランジイルビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等を例示することができる。
【0059】
上記例示においてη5−インデニル基の置換体は、架橋基が1−位の場合、一置換体であれば、2−位、3−位、4−位、5−位、6−位および7−位の置換体を含み、架橋位が1−位以外でも同様に全ての組合せを含む。二置換体以上も同様に、置換基および架橋位の全ての組合せを含む。また、上記遷移金属化合物のX2のジクロリドをジフルオライド、ジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジイソプロピル、ジメトキシド、ジエトキシド、ジプロポキシド、ジブトキシド、ビス(トリフルオロメトキシド)、ジフェニル、ジフェノキシド、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシド)、ビス(3,4,5−トリフルオロフェノキシド)、ビス(ペンタフルオロフェノキシド)、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシド)、ジベンジル等に変更した化合物を例示することができる。さらに、上記遷移金属化合物のM2のジルコニウムをチタンまたはハフニウムに変更した化合物を例示することができる。
【0060】
一般式(2)で表される成分(A2)の遷移金属化合物として好ましくは、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドであり、より好ましくは、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
【0061】
一般式(3)のM3は、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子である。好ましくは、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子またはビスマス原子であり、より好ましくは、マグネシウム原子、亜鉛原子、スズ原子またはビスマス原子であり、更に好ましくは亜鉛原子である。
【0062】
一般式(3)のxはM3の原子価に相当する数を表す。例えば、M3が亜鉛原子の場合、xは2である。
【0063】
一般式(3)のLは、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Lが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
Lのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられる。
【0065】
Lの置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基などがあげられる。
【0066】
Lの炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などがあげられる。好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
【0067】
Lの炭素数1〜20ハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
【0068】
Lの炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基などがあげられる。好ましくは、ベンジル基である。また、これらのアラルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭素数7〜20のハロゲン化アラルキル基などがあげられる。
【0069】
Lの炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。好ましくは、フェニル基である。また、これらのアリール基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭素数6〜20のハロゲン化アリール基などがあげられる。
【0070】
Lとして好ましくは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。
【0071】
一般式(4)のT1は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子であり、好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
【0072】
一般式(4)のtは、T1の原子価を表し、T1が酸素原子または硫黄原子の場合、tは2であり、T1が窒素原子またはリン原子の場合、tは3である。
【0073】
一般式(4)のR5は、ハロゲン原子、電子吸引性基、ハロゲン原子を含有する基、電子吸引性基を有する基を表し、電子吸引性基を含有する基または電子吸引性基を表し、R5が複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。電子吸引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子吸引性基としてあげられる。
【0074】
5のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられる。
【0075】
5の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、ハイドロカルビルオキシカルボニル基、スルホン基、フェニル基などがあげられる。
【0076】
5のハロゲン原子を含有する基としては、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数7〜20のハロゲン化アラルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素数7〜20の(ハロゲン化アルキル)アリール基などの炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基;炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビルオキシ基;炭素数2〜20のハロゲン化ハイドロカルビルオキシカルボニル基などがあげられる。また、R5の電子吸引性基を有する基としては、炭素数6〜20のシアノ化アリール基などの炭素数1〜20のシアノ化ハイドロカルビル基、炭素数6〜20のニトロ化アリール基などの炭素数1〜20のニトロ化ハイドロカルビル基などがあげられる。
【0077】
5の炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエチル基、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエチル基 、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエチル基などがあげられる。
【0078】
5の炭素数6〜20のハロゲン化アリール基としては、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェニル基、パークロロ−1−ナフチル基、パークロロ−2−ナフチル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基、3,4,5−トリブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェニル基、パーブロモ−1−ナフチル基、パーブロモ−2−ナフチル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、2,6−ジヨードフェニル基、3,4−ジヨードフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、2,4,6−トリヨードフェニル基、3,4,5−トリヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨードフェニル基、ペンタヨードフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェニル基、パーヨード−1−ナフチル基、パーヨード−2−ナフチル基などがあげられる。
【0079】
5の炭素数7〜20の(ハロゲン化アルキル)アリール基としては、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基などがあげられる。
【0080】
5の炭素数6〜20のシアノ化アリール基としては、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基などがあげられる。
【0081】
5の炭素数6〜20のニトロ化アリール基としては、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基などがあげられる。
【0082】
5の炭素数2〜20のハイドロカルビルオキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などがあげられ、より具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などがあげられる。
【0083】
5の炭素数2〜20のハロゲン化ハイドロカルビルオキシカルボニル基としては、ハロゲン化アルコキシカルボニル基、ハロゲン化アラルキルオキシカルボニル基、ハロゲン化アリールオキシカルボニル基などがあげられ、より具体的には、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロフェノキシカルボニル基などがあげられる。
【0084】
5として好ましくは、炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基であり、より好ましくは、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基または炭素数6〜20のハロゲン化アリール基であり、さらに好ましくは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基、炭素数7〜20のフッ素化アリール基、炭素数1〜20の塩素化アルキル基または炭素数6〜20の塩素化アリール基であり、特に好ましくは、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜20のフッ素化アリール基である。炭素数1〜20のフッ素化アルキル基として好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基であり、より好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基である。炭素数6〜20のフッ素化アリール基として好ましくは、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基またはパーフルオロ−2−ナフチル基であり、より好ましくは、3,5−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。炭素数1〜20の塩素化アルキル基として好ましくは、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基または1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基である。炭素数6〜20の塩素化アリール基として好ましくは、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基またはペンタクロロフェニル基である。
【0085】
一般式(5)のT2は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子であり、好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
【0086】
一般式(5)のsは、T2の原子価を表し、T2が酸素原子または硫黄原子の場合、sは2であり、T2が窒素原子またはリン原子の場合、sは3である。
【0087】
一般式(5)のR6は、炭素数1〜20のハイドロカルビル基または炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。R6の炭素数1〜20のハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基などがあげられ、Lの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリール基として例示した基を例示することができる。R6の炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基としては、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数7〜20のハロゲン化アラルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素数7〜20の(ハロゲン化アルキル)アリール基などの炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基などがあげられ、R5の炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、炭素数7〜20の(ハロゲン化アルキル)アリール基として例示した基を例示することができる。
【0088】
6として好ましくは、炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基であり、より好ましくは、炭素数1〜20のフッ素化ハイドロカルビル基である。
【0089】
成分(b1)の一般式(3)で表される化合物としては、M3が亜鉛原子である化合物として、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等のジアルキル亜鉛;ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等のジアリール亜鉛;ジアリル亜鉛等のジアルケニル亜鉛;ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛;塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化n−プロピル亜鉛、塩化イソプロピル亜鉛、塩化n−ブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化n−ヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化n−プロピル亜鉛、臭化イソプロピル亜鉛、臭化n−ブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化n−ヘキシル亜鉛、よう化メチル亜鉛、よう化エチル亜鉛、よう化n−プロピル亜鉛、よう化イソプロピル亜鉛、よう化n−ブチル亜鉛、よう化イソブチル亜鉛、よう化n−ヘキシル亜鉛等のハロゲン化アルキル亜鉛;ふっ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、よう化亜鉛等のハロゲン化亜鉛等があげられる。
【0090】
成分(b1)の一般式(3)で表される化合物として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、さらに好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、またはジ−n−ヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0091】
成分(b2)の一般式(4)で表される化合物としては、アミン、ホスフィン、アルコール、チオール、フェノール、チオフェノール、ナフトール、ナフチルチオール、カルボン酸化合物などがあげられる。
【0092】
アミンとしては、ジ(フルオロメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロブチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロヘキシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロオクチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロドデシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンタデシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロエイコシル)アミンなどをあげることができる。また、これらのアミンのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアミンをあげることができる。
【0093】
ホスフィンとしては、上記アミンの窒素原子をリン原子に変更した化合物をあげることができる。それらのホスフィンは、上記アミン中のアミンをホスフィンに置き換えることによって表される化合物である。
【0094】
アルコールとしては、フルオロメタノール、ジフルオロメタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H−パーフルオロブタノール、1H,1H−パーフルオロペンタノール、1H,1H−パーフルオロヘキサノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H−パーフルオロドデカノール、1H,1H−パーフルオロペンタデカノール、1H,1H−パーフルオロエイコサノールなどをあげることができる。また、これらのアルコールのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアルコールをあげることができる。
【0095】
チオールとしては、上記アルコールの酸素原子を硫黄原子に変更した化合物をあげることができる。それらのチオールは、上記アルコール中のノールをンチオールに置き換えることによって表される化合物である。
【0096】
フェノールとしては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノールなどをあげることができる。また、これらのフェノールのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したフェノールをあげることができる。
【0097】
チオフェノールとしては、上記フェノールの酸素原子を硫黄原子に変更した化合物をあげることができる。それらのチオフェノールは、上記フェノール中のフェノールをチオフェノールに置き換えることによって表される化合物である。
【0098】
ナフトールとしては、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノールなどをあげることができる。また、これらのナフトールのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したナフトールをあげることができる。
【0099】
ナフチルチオールとしては、上記ナフトールの酸素原子を硫黄原子に変更した化合物をあげることができる。それらのナフチオールは、上記ナフトール中のナフトールをナフチルチオールに置き換えることによって表される化合物である。
【0100】
カルボン酸化合物としては、例えば、ペンタフルオロベンゾイックアシッド、パーフルオロエタノイックアシッド、パーフルオロプロパノイックアシッド、パーフルオロブタノイックアシッド、パーフルオロペンタノイックアシッド、パーフルオロヘキサノイックアシッド、パーフルオロヘプタノイックアシッド、パーフルオロオクタノイックアシッド、パーフルオロノナノイックアシッド、パーフルオロデカノイックアシッド、パーフルオロウンデカノイックアシッド、パーフルオロドデカノイックアシッドなどをあげることができる。
【0101】
成分(b2)の一般式(4)で表される化合物として好ましくは、アミン、アルコールまたはフェノール化合物であり、アミンとして好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミンまたはビス(ペンタフルオロフェニル)アミンであり、アルコールとして好ましくは、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノールまたは1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールであり、フェノールとして好ましくは、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールまたは3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)フェノールである。
【0102】
成分(b2)の一般式(4)で表される化合物としてより好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノールまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、さらに好ましくは、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノールまたは1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0103】
成分(b3)の一般式(5)で表される化合物としては、水、硫化水素、アミン、アニリン化合物などをあげることができる。
【0104】
アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−エイコシルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン、(2−メチルフェニル)メチルアミン、(3−メチルフェニル)メチルアミン、(4−メチルフェニル)メチルアミン、(2,3−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,6−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,4−ジメチルフェニル)メチルアミン、(3,5−ジメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルアミン、(ペンタメチルフェニル)メチルアミン、(エチルフェニル)メチルアミン、(n−プロピルフェニル)メチルアミン、(イソプロピルフェニル)メチルアミン、(n−ブチルフェニル)メチルアミン、(sec−ブチルフェニル)メチルアミン、(tert−ブチルフェニル)メチルアミン、(n−ペンチルフェニル)メチルアミン、(ネオペンチルフェニル)メチルアミン、(n−ヘキシルフェニル)メチルアミン、(n−オクチルフェニル)メチルアミン、(n−デシルフェニル)メチルアミン、(n−テトラデシルフェニル)メチルアミン、ナフチルメチルアミン、アントラセニルメチルアミン等のアラルキルアミン;アリルアミン;シクロペンタジエニルアミンなどがあげられる。
【0105】
また、アミンとしては、フルオロメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミンなどのハロゲン化アルキルアミンなどがあげられる。また、これらのアミンのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアミンをあげることができる。
【0106】
アニリン化合物としては、アニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2,3−ジエチルアニリン、2,4−ジエチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、3,4−ジエチルアニリン、3,5−ジエチルアニリン、2,3,4−トリエチルアニリン、2,3,5−トリエチルアニリン、2,3,6−トリエチルアニリン、2,4,6−トリエチルアニリン、3,4,5−トリエチルアニリン、2,3,4,5−テトラエチルアニリン、2,3,4,6−テトラエチルアニリン、2,3,5,6−テトラエチルアニリン、ペンタエチルアニリンなどをあげることができる。また、これらのアニリン化合物のエチルをn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシルなどに変更したアニリン化合物などがあげられる。
【0107】
また、アニリン化合物としては、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、3,4,5−トリ(トリフルオロメチル)アニリンなどをあげることができる。また、これらのアニリン化合物のフルオロをクロロ、ブロモ、ヨードなどに変更したアニリン化合物をあげることができる。
【0108】
成分(b3)の一般式(5)で表される化合物として好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、または3,4,5−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、もっとも好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0109】
成分(B)は、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)を接触させて形成されるものである。成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)の接触順序としては、次の順序があげられる。
〔1〕 成分(b1)と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触される。
〔2〕 成分(b1)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触される。
〔3〕 成分(b2)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触される。
【0110】
成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)との接触は、不活性気体雰囲気下で実施されることが好ましい。接触温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は、通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、接触には溶媒が用いられていてもよく、用いられることなくこれらの化合物が直接接触されていてもよい。
【0111】
溶媒が使用される場合、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)、およびそれらの接触物と反応しないものが用いられる。しかしながら、上述のように、段階的に各成分が接触される場合には、ある段階においてある成分と反応する溶媒であっても、該溶媒が他の段階において各成分と反応しない溶媒であれば、該溶媒は他の段階で用いられることができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。該溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等の非極性溶媒;ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、硫黄化合物等の極性溶媒をあげることができる。具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;フェノール、p−クレゾール等のフェノール系溶媒;アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のカルボニル系溶媒;ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等のリン酸誘導体;アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ピリジン、ピペリジン、モルホリン等のアミン系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物をあげることができる。
【0112】
成分(b1)の使用量1モルあたりの成分(b2)および成分(b3)の使用量としては、下記の関係式(I)を満足することが好ましい。
|M3の原子価−成分(b2)のモル量−2×成分(b3)のモル量|≦1 (I)
また、成分(b1)の使用量1モルあたりの成分(b2)の使用量は、好ましくは0.01〜1.99モルであり、より好ましくは0.1〜1.8モルであり、更に好ましくは0.2〜1.5モルであり、最も好ましくは0.3〜1モルである。成分(b1)の使用量1モルあたりの成分(b3)の好ましい使用量、より好ましい使用量、更に好ましい使用量、最も好ましい使用量は、M3の原子価、上記の成分(b1)の使用量1モルあたりの成分(b2)の使用量、および上記関係式(I)によってそれぞれ算出される。
【0113】
成分(b1)および成分(b2)の使用量は、成分(B)に含まれる成分(b1)に由来する金属原子が、成分(B)1gあたりに含まれる金属原子のモル数として、好ましくは0.1mmol以上となる量であり、より好ましくは0.5〜20mmolとなる量である。
【0114】
反応をより速く進行させるため、上記のような接触の後に、より高い温度での加熱工程を付加してもよい。加熱工程では、より高温とするために、沸点の高い溶媒を使用することが好ましく、加熱工程を行う際に、接触で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0115】
成分(B)は、このような接触の結果、原料である成分(b1)、成分(b2)および/または成分(b3)が未反応物として残存していてもよいが、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。接触温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は、通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0116】
また、このような接触や洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で4時間〜18時間である。
【0117】
成分(B)として、好ましくは、上記成分(b1)と、上記成分(b2)と、上記成分(b3)と、下記成分(b4)とを接触させて形成される固体触媒成分である。
(b4):粒子状担体
【0118】
成分(b4)の粒子状担体としては、重合触媒調製用の溶媒あるいは重合溶媒に不溶な固体状物質が好適に用いられ、多孔質の物質がより好適に用いられる。粒子状担体の役割については、例えば、「触媒化学 応用化学シリーズ6」等に記載されている。
【0119】
成分(b4)の粒子状担体は、粒径の整ったものであることが好ましく、成分(b4)の粒子状担体の粒径の体積基準の幾何標準偏差は、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.0以下であり、更に好ましくは1.7以下である。
【0120】
成分(b4)の粒子状担体の平均粒子径は、通常1〜5000μmであり、好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積は、好ましくは10〜1000m2/gであり、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0121】
成分(b4)の粒子状担体の多孔質の物質としては、無機物質または有機ポリマーが好適に用いられ、無機物質がより好適に用いられる。
【0122】
無機物質としては、無機酸化物、粘土、粘土鉱物などをあげることができる。また、これらを複数混合して用いてもよい。
【0123】
無機酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgO、ならびに、これら2種以上の混合物をあげることができる。これらの無機酸化物の中では、SiO2および/またはAl23が好ましく、特にSiO2(シリカ)が好ましい。なお、上記無機酸化物は少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもよい。
【0124】
また、無機酸化物には通常、表面に水酸基が生成し存在しているが、無機酸化物として、表面水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した改質無機酸化物を使用してもよい。改質無機酸化物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシラン;トリフェニルクロロシラン等のトリアリールクロロシラン;ジメチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン;ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジクロロシラン;メチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシラン;フェニルトリクロロシラン等のアリールトリクロロシラン;トリメチルメトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン;トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールアルコシキシラン;ジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;ジフェニルジメトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン;テトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン;テトラクロロシラン;メタノール、エタノール等のアルコール;フェノール;ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム;ブチルリチウム等のアルキルリチウム等と接触された無機酸化物、トリアルキルアルミニウムとの接触後、ジエチルアミンおよびジフェニルアミン等のジアルキルアミン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノールと接触された無機酸化物をあげることができる。
【0125】
また、無機酸化物は水酸基同士が水素結合することにより無機酸化物自体の強度が高まっていることがある。その場合、仮に表面水酸基の活性水素全てについて種々の置換基で置換してしまうと、粒子強度の低下等を招く場合がある。よって、無機酸化物の表面水酸基の活性水素は必ずしも全て置換する必要はなく、表面水酸基の置換率は適宜決めればよい。表面水酸基の置換率を変化させる方法は特に限定されない。該方法としては、例えば、接触に使用する化合物の使用量を変化させる方法を例示することができる。
【0126】
粘土または粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、スメクタイト、モンモリロナイト群、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどをあげることができる。これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイトであり、更に好ましくはモンモリロナイト、ヘクトライトである。
【0127】
無機物質としては、無機酸化物が好適に用いられる。無機物質は、乾燥し実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は、通常、目視で水分を確認できない無機物質について温度100〜1,500℃で、好ましくは100〜1,000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。加熱時間は、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、加熱中に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、減圧下で加熱減圧する方法等をあげることができる。
【0128】
有機ポリマーとしては、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体が好ましい。
【0129】
活性水素を有する官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、カルバゾリル基等があげられる。好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基である。特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0130】
非プロトン供与性のルイス塩基性官能基は、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基であり、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換スルホン酸基等があげられる。好ましくは、複素環基であり、さらに好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基である。特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0131】
有機ポリマーにおいて、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の含有量は、有機ポリマーを構成する重合体単位グラムあたりの官能基のモル量として、好ましくは0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0132】
上記の活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体の製造方法としては、例えば、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合させる方法、該モノマーと重合性不飽和基を有する他のモノマーとを共重合させる方法をあげることができる。このとき更に重合性不飽和基を2個以上有する架橋重合性モノマーをも一緒に共重合することが好ましい。
【0133】
上記の重合性不飽和基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチン基等のアルキニル基等をあげることができる。
【0134】
活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、ビニル基含有ヒドロキシ化合物などをあげることができる。該モノマーの具体例としては、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オールなどがあげられる。
【0135】
活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、ビニル(N−置換)インダゾールなどをあげることができる。
【0136】
重合性不飽和基を有する他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物、環状オレフィンなどをあげることができる。該モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。好ましくは、エチレン、スチレンである。また、重合性不飽和基を2個以上有する架橋重合性モノマーとしては、ジビニルベンゼン等をあげることができる。
【0137】
有機ポリマーは、乾燥され、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥されたものが好ましい。加熱処理の温度は、目視で水分を確認できない有機ポリマーについては、通常30〜400℃であり、好ましくは50〜200℃であり、更に好ましくは70〜150℃である。加熱時間は、好ましくは10分間〜50時間であり、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、加熱中に、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、減圧下で加熱乾燥する方法等をあげることができる。
【0138】
成分(B)として、成分(b1)と、成分(b2)と、成分(b3)と、成分(b4)とを接触させて形成される固体触媒成分を用いる場合、成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)および成分(b4))の接触順序としては、次の順序があげられる。
<1> 成分(b1)と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触される。
<2> 成分(b1)と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触される。
<3> 成分(b1)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触される。
<4> 成分(b1)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触される。
<5> 成分(b1)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触される。
<6> 成分(b1)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触される。
<7> 成分(b2)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触される。
<8> 成分(b2)と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触される。
<9> 成分(b2)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触される。
<10> 成分(b2)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b3)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触される。
<11> 成分(b3)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触される。
<12> 成分(b3)と成分(b4)とが接触され、該接触による接触物と成分(b2)とが接触され、該接触による接触物と成分(b1)とが接触される。
【0139】
成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)および成分(b4)との接触は、不活性気体雰囲気下で実施されることが好ましい。接触温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は、通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、接触には溶媒が用いられていてもよく、用いられることなくこれらの化合物が直接接触されていてもよい。
【0140】
溶媒が使用される場合、成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)および成分(b4)、およびそれらの接触物と反応しないものが用いられる。しかしながら、上述のように、段階的に各成分が接触される場合には、ある段階においてある成分と反応する溶媒であっても、該溶媒が他の段階において各成分と反応しない溶媒であれば、該溶媒は他の段階で用いられることができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。該溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等の非極性溶媒;ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、硫黄化合物等の極性溶媒をあげることができる。具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒;フェノール、p−クレゾール等のフェノール系溶媒;アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のカルボニル系溶媒;ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等のリン酸誘導体;アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ピリジン、ピペリジン、モルホリン等のアミン系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物をあげることができる。
【0141】
成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)とが接触されてなる接触物(c)と、成分(b4)とが接触される場合、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、接触物(c)を製造する場合の溶媒(s1)としては、上記の脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒またはエーテル系溶媒が好ましい。
【0142】
一方、接触物(c)と成分(b4)とが接触される場合の溶媒(s2)としては、極性溶媒が好ましい。溶媒の極性を表す指標としては、ETN値(C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).)等が知られており、0.8≧ETN≧0.1なる範囲を満足する溶媒が特に好ましい。
【0143】
かかる極性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどをあげることができる。
【0144】
溶媒(s2)として更に好ましくは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールであり、特に好ましくは、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノールであり、最も好ましくは、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールである。
【0145】
前記溶媒(s2)としては、これら極性溶媒と炭化水素溶媒との混合溶媒が用いられることができる。炭化水素溶媒としては、脂肪族または脂環式炭化水素溶媒や芳香族炭化水素溶媒として例示した化合物が用いられる。極性溶媒と炭化水素溶媒との混合溶媒としては、例えば、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘキサン/1−プロパノール混合溶媒、ヘキサン/2−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/1−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/1−プロパノール混合溶媒、トルエン/2−プロパノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒、キシレン/1−プロパノール混合溶媒、キシレン/2−プロパノール混合溶媒などをあげることができる。好ましくは、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒である。更に好ましくは、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒である。最も好ましくはトルエン/エタノール混合溶媒である。また、トルエン/エタノール混合溶媒における、エタノール分率の好ましい範囲は10〜50体積%であり、更に好ましくは15〜30体積%である。
【0146】
成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)を接触させて形成される接触物(c)と、成分(b4)とが接触される場合、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、溶媒(s1)および溶媒(s2)として、共に炭化水素溶媒を用いることもできる。この場合、成分(b1)、成分(b2)および成分(b3)が接触された後、得られた接触物(c)と成分(b4)とが接触されるまでの時間は短い方が好ましい。時間として好ましくは0〜5時間であり、更に好ましくは0〜3時間であり、最も好ましくは0〜1時間である。また、接触物(c)と成分(b4)とが接触される温度は、通常−100℃〜40℃であり、好ましくは−20℃〜20℃であり、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0147】
上記の<2>、<5>、<6>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>の場合、上記の非極性溶媒、極性溶媒いずれも使用されることができる。好ましくは、非極性溶媒である。なぜならば、成分(b1)と成分(b3)との接触物や、成分(b1)と成分(b2)との接触物と成分(b3)とが接触されてなる接触物は、一般的に非極性溶媒に対し溶解性が低いので、これら接触物が生成する時に反応系内に成分(b4)が存在する場合、該接触物が成分(b4)の表面に析出し、より固定化されやすい、と考えられるからである。
【0148】
反応をより速く進行させるため、上記のような接触の後に、より高い温度での加熱工程を付加してもよい。加熱工程では、より高温とするために、沸点の高い溶媒を使用することが好ましく、加熱工程を行う際に、接触で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0149】
成分(B)は、このような接触の結果、原料である成分(b1)、成分(b2)、成分(b3)および/または成分(b4)が未反応物として残存していてもよいが、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。接触温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は、通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0150】
また、このような接触や洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で4時間〜18時間である。
【0151】
成分(C)の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキル(ジアルコキシ)アルミニウム、ジアルキル(アルコキシ)アルミニウム、アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム、ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等があげられる。
【0152】
トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等があげられ、ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等があげられ、アルキルアルミニウムジクロライドとしては、例えば、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、n−ヘキシルアルミニウムジクロライド等があげられ、ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等があげられ、アルキル(ジアルコキシ)アルミニウムとしては、例えば、メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、メチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等があげられ、ジアルキル(アルコキシ)アルミニウムとしては、例えば、ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、メチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等があげられ、アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウムとしては、例えば、メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等があげられ、ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウムとしては、例えば、ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等があげられる。
これらの有機アルミニウム化合物は、一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0153】
有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムであり、更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0154】
本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(A1)と、成分(A2)と、成分(B)と、成分(C)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であって、該接触において、成分(A1)と成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))としては、1〜90であり、成分(B)と、成分(C)の接触量は任意である。
【0155】
成分(A1)と、成分(A2)と、成分(B)、成分(C)との接触において、成分(A1)と成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))として、好ましくは、5〜80であり、より好ましくは、10〜70であり、更に好ましくは、20〜70であり、特に好ましくは、30〜70である。
【0156】
成分(A1)と成分(A2)の合計の使用量は、成分(B)1gあたり、好ましくは、1〜10000μmol/gであり、より好ましくは、10〜1000μmol/gであり、更に好ましくは、20〜500μmol/gである。
【0157】
成分(C)の使用量は、成分(A1)と成分(A2)の合計のモル数1モルあたりの有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル数として、好ましくは、0.1〜1000であり、より好ましくは、0.5〜500であり、更に好ましくは、1〜100である。
【0158】
また、重合用触媒の調製において、成分(A1)、成分(A2)、成分(B)および成分(C)に加え、電子供与性化合物(成分(D))を接触させてもよい。電子供与性化合物の使用量は、成分(A1)と成分(A2)の合計のモル数1モルあたりの電子供与性化合物のモル数として、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.1〜50であり、更に好ましくは0.25〜5である。
【0159】
電子供与性化合物としては、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンをあげることができる。
【0160】
成分(A1)と成分(A2)と成分(B)と、成分(C)と、必要に応じて、成分(D)との接触は、不活性気体雰囲気下で実施されることが好ましい。接触温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは30分間〜100時間である。また、接触は、各成分が重合反応槽に別々に投入されて、重合反応器内で行われてもよい。
【0161】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記オレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するものである。
【0162】
重合方法としては、気相重合法、スラリー重合法、バルク重合法などがあげられる。好ましくは、気相重合法であり、より好ましくは連続気相重合法である。該重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に撹拌翼が設置されていてもよい。
【0163】
重合用触媒、各触媒成分を重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。
【0164】
オレフィンを気相重合する場合、重合温度としては、通常、オレフィン重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。重合反応槽には、不活性ガスを導入してもよく、分子量調節剤として水素を導入してもよい。また、電子供与性化合物を導入してもよい。
【0165】
重合に用いるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のオレフィンがあげられる。これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。
【0166】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合に好適であり、エチレンとα−オレフィンとの組み合せとしては、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−オクテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/1−ブテン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/1−ヘキセン/1−オクテン等があげられ、好ましくはエチレン/1−ヘキセン、エチレン/4−メチル−1−ペンテン、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン、エチレン/1−ブテン/1−オクテン、エチレン/1−ヘキセン/1−オクテンである。
【0167】
また、オレフィンの重合においては、必要に応じて、他の単量体を重合反応槽に導入し、本発明の効果を損なわない範囲において、該他の単量体を共重合させてもよい。該他の単量体としては、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素、α,β−不飽和カルボン酸等をあげることができる。
【0168】
これらの具体例としては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等のジオレフィン;ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等の環状オレフィン;スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン等のアルケニルベンゼン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレン等のアルキルスチレン、ジビニルベンゼン等のビスアルケニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等のアルケニルナフタレン等のアルケニル芳香族炭化水素;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル;マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル等があげられる。
【0169】
本発明のオレフィン重合体の製造方法としては、成分(A1)と成分(A2)と成分(B)と、成分(C)と、必要に応じて、電子供与性化合物とを用いて、少量のオレフィンを重合(以下、予備重合と称する。)して得られた予備重合固体成分を、重合触媒成分または重合触媒として用いて、オレフィンを重合する方法が好ましい。
【0170】
予備重合で用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどをあげることができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、エチレンのみ、あるいはエチレンとα−オレフィンとを併用して、更に好ましくは、エチレンのみ、あるいは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとを併用して用いられる。
【0171】
予備重合固体成分中の予備重合された重合体の含有量は、成分(B)1g当たり、好ましくは0.01〜1000gであり、より好ましくは0.05〜500gであり、更に好ましくは0.1〜200gである。
【0172】
予備重合方法としては、連続重合法でもバッチ重合法でもよく、例えば、バッチ式スラリー重合法、連続式スラリー重合法、連続気相重合法である。予備重合を行う重合反応槽に、成分(A1)と成分(A2)と成分(B)と、成分(C)と、必要に応じて、電子供与性化合物とを投入する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で投入する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で投入する方法が用いられる。
【0173】
予備重合をスラリー重合法で行う場合、溶媒としては、通常、飽和炭化水素化合物が用いられ、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等があげられる。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。飽和炭化水素化合物としては、常圧における沸点が100℃以下のものが好ましく、常圧における沸点が90℃以下のものがより好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが更に好ましい。
【0174】
また、予備重合をスラリー重合法で行う場合、スラリー濃度としては、溶媒1リットル当たりの成分(B)の量が、通常0.1〜600gであり、好ましくは0.5〜300gである。予備重合温度は、通常−20〜100℃であり、好ましくは0〜80℃である。予備重合中、重合温度は適宜変更してもよいが、予備重合を開始する温度は、45℃以下とすることが好ましく、40℃以下とすることが好ましい。また、予備重合中の気相部でのオレフィン類の分圧は、通常0.001〜2MPaであり、好ましくは0.01〜1MPaである。予備重合時間は、通常2分間〜15時間である。
【0175】
予備重合された予備重合固体触媒成分を重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。
【0176】
本発明のオレフィン重合体の製造方法により得られるオレフィン重合体としては、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体等があげられる。エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体等があげられる。好ましくは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体である。
【0177】
オレフィン重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、オレフィン重合体の全重量(100重量%)に対して、50重量%以上であることが好ましい。
【0178】
オレフィン重合体の密度(以下、「d」と記載することがある。)は、通常、860〜960kg/m3である。得られる成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは950kg/m3以下であり、より好ましくは940kg/m3以下であり、更に好ましくは930kg/m3である。また、得られる成形体の剛性を高める観点から、好ましくは870kg/m3以上であり、より好ましくは880kg/m3以上であり、更に好ましくは890kg/m3以上であり、特に好ましくは900kg/m3以下である。該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。
【0179】
オレフィン重合体のメルトフローレート(以下、「MFR」と記載することがある。)は、通常、0.01〜100g/10分である。該メルトフローレートは、成形加工性を高める観点、特に成形加工時の押出負荷を低減する観点から、好ましくは0.05g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上である。また、得られる成形体の機械的強度を高める観点から、好ましくは50g/10分以下であり、より好ましくは20g/10分以下である。該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。オレフィン重合体のメルトフローレートは、例えば、水素濃度または重合温度により変更することができ、水素濃度または重合温度を高くすると、オレフィン重合体のメルトフローレートが大きくなる。
【0180】
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法によりエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を製造する場合、得られるエチレン−α−オレフィン共重合体は、製造条件により、下記に示す2種類のエチレン−α−オレフィン共重合体を作り分けることができる。
【0181】
1)エチレンに基づく単量体単位と炭素数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有し、密度(d)が850〜970kg/m3であり、メルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分であり、二峰性の分子量分布を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が31〜70であり、13C−NMRにより測定される炭素数5以上の分岐数(NLCB)が炭素原子1000個あたり0.7〜1.0であるエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、「重合体1」と記載することがある)。
2)エチレンに基づく単量体単位と炭素数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、密度(d)が860〜950kg/m3であり、メルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2〜10であり、スウェル比(SR)が1.35未満であり、下記式(II)で定義されるg*が0.50〜0.75であるエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、「重合体2」と記載することがある)。
g*=[η]/([η]GPC×gSCB*) (II)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表し、下記式(II−I)によって定義され、[η]GPCは、下記式(II−II)によって定義され、gSCB*は、下記式(II−III)によって定義される。
[η]=23.3×log(ηrel) (II−I)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC=0.00046×Mv0.725 (II−II)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
SCB*=(1−A)1.725 (II−III)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐の含量測定から求めることができる。)]
【0182】
重合体1を製造する場合、本発明のオレフィン重合用触媒のうち、成分(A1)の一般式(1)で表される遷移金属化合物として、Jが炭素原子である遷移金属化合物を用い、かつ成分(A1)と、成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))が20〜70であるものを用い、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
【0183】
重合体2を製造する場合、本発明のオレフィン重合用触媒のうち、成分(A1)の一般式(1)で表される遷移金属化合物として、Jがケイ素原子である遷移金属化合物を用い、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
【0184】
本発明のオレフィン重合体の製造方法により得られるオレフィン重合体は、成形加工時の押出負荷、インフレーションフィルム成形時のバブル安定性、Tダイフィルム成形時のネックイン、中空成形時のパリソンの形状保持性などの成形加工性に優れ、機械的強度に優れる。また、成形品の透明性にも優れうる。
【0185】
オレフィン重合体は、公知の成形方法、例えば、インフレーションフィルム成形法やTダイフィルム成形法などの押出成形法、中空成形法、射出成形法;圧縮成形法などにより成形される。成形方法としては、押出成形法、中空成形法が好適に用いられ、インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、中空成形法が特に好適に用いられる。
【0186】
オレフィン重合体は、種々の形態に成形して用いられる。成形品の形態は特に限定されないが、フィルム、シート、容器(トレイ、ボトルなど)などに用いられる。該成形品は、食品包装材;医薬品包装材;半導体製品などの包装に用いる電子部品包装材;表面保護材などの用途にも好適に用いられる。
【実施例】
【0187】
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0188】
(1)密度(d、単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0189】
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
【0190】
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
テトラリン溶媒に重合体を溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて135℃にて測定した。
【0191】
(4)分子量分布(Mn、Mw、Mw/Mn)、高分子量及び低分子量側ピーク位置の分子量、ピークの高さ比(H/L)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。二峰性分布の各ピーク位置の分子量は、校正により、ポリエチレンに換算して求めた値である。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0192】
(5)短鎖分岐数(NSCB、単位:1/1000C)
赤外分光光度計(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用い、エチレンとα−オレフィンの特性吸収より検量線を用いて炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(NSCB)を求めた。このNSCB値は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量を表す。
【0193】
(6)長鎖分岐数(NLCB、単位:1/1000C)
カーボン核磁気共鳴法によって、次の測定条件により、カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定し、下記算出方法より求めた。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d4
=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
測定基準:トリメチルシラン
窓関数 :負の指数関数
<算出方法>
5〜50ppmに観測されるすべてのピークの総和を1000として、38.22〜38.27ppm付近にピークトップを有するピークのピーク面積を求めた。当該ピークのピーク面積は、高磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトから、低磁場側で隣接するピークとの谷のケミカルシフトまでの範囲でのシグナルの面積とした。なお、本条件によるエチレン−α−オレフィン共重合体の測定では、炭素数5の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークのピークトップの位置は、38.21ppmであった。
【0194】
(7)スウェル比(SR)
(2)のメルトフローレートの測定において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、オリフィスから15〜20mm程度の長さで押出したエチレン−α−オレフィン共重合体のストランドを、空気中で冷却し、固体状のストランドを得た。次に、該ストランドの押出し上流側先端から約5mmの位置でのストランドの直径D(単位:mm)を測定し、その直径Dをオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)を算出し、スウェル比とした。
【0195】
(8)g*
前記式(II)によってg*を求めた。
なお、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度(ηrel)を、熱劣化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を5重量%含むテトラリン100mlに、エチレン−α−オレフィン共重合体100mgを135℃で溶解してサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて前記サンプル溶液と熱劣化防止剤としてBHTを0.5重量%のみを含むテトラリンからなるブランク溶液との降下時間から算出し、式(II−I)によって求め、[η]GPCは、(4)のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布の測定から、式(II−II)によって求め、gSCB*は、(5)のエチレン−α−オレフィン共重合体の短鎖分岐数の測定から式(II−III)によって求めた。
【0196】
実施例1
(1)固体触媒成分(B)の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0197】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、22℃に冷却し、H2O0.11kgを反応器の温度を22℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、22℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌した。撹拌後、室温にて、残量16Lまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌した。撹拌後、室温にて、上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することにより、固体触媒成分(B)を得た。
【0198】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.010MPaになるように加え、1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.44mol%、1−ブテン=1.64mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を10μmol/mlに調整したイソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド[成分(A1)に相当]のトルエン溶液 0.5mlと濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド[成分(A2)に相当]のトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)56.2mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で180分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体145gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、860g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表1に示した。
【0199】
実施例2
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、1−ブテン=1.76mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を10μmol/mlに調整したイソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド[成分(A1)に相当]のトルエン溶液 0.6mlと濃度を0.5μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド[成分(A2)に相当]のトルエン溶液 0.40mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)55.0mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で180分間重合した。その後、ブタン、エチレンをパージして、エチレン−1−ブテン共重合体125gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、758g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表1に示した。
【0200】
実施例3
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、1−ブテン=1.81mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を5μmol/mlに調整したイソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド[成分(A1)に相当]のトルエン溶液1.25mlと濃度を0.5μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド[成分(A2)に相当]のトルエン溶液 0.20mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)60.0mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で180分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体171gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、950g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表1に示した。
【0201】
実施例4
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.005MPaになるように加え、1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.15mol%、1−ブテン=1.57mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を10μmol/mlに調整したジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド[成分(A1)に相当]のトルエン溶液1.5mlと濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド[成分(A2)に相当]のトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)156.6mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で60分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体278gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、1780g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表1に示した。
【0202】
比較例1
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.001MPaになるように加え、1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.11mol%、1−ブテン=3.32mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を5μmol/mlに調整したイソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液1.0mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)53.2mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で180分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体95gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、595g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表2に示した。
【0203】
比較例2
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ブテンを20g、重合溶媒としてブタンを730g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、1−ブテン=1.25mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を10μmol/mlに調整したジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液2.5mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)237.1mgを投入した。重合中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、70℃で60分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体307gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、1290g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表2に示した。
【0204】
比較例3
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.025MPaになるように加え、1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.10mol%、1−ブテン=2.96mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)3.4mgを投入した。重合中は全圧、およびガス中の水素濃度を一定に維持するように、エチレン/水素混合ガス(水素=0.32mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ブテン共重合体65gを得た。固体触媒成分1g当たりの1時間当たりの重合活性は、19100g/g固体触媒成分・hであった。得られた共重合体の物性を表2に示した。
【0205】
【表1】

錯体1:イソプロピリデンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
錯体2:ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
錯体3:ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド
【0206】
【表2】

※1 分子量が低いため測定不能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A1)と、下記成分(A2)と、下記成分(B)と、下記成分(C)とを接触させて形成されるオレフィン重合用触媒であって、成分(A1)と、成分(A2)とのモル比((A1)/(A2))が1〜90であるオレフィン重合用触媒。
成分(A1):下記一般式(1)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、mは、1〜5の整数を表し、X、RおよびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のX1は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
成分(A2):下記一般式(2)で表される遷移金属化合物



[式中、Mは、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Jは、元素周期律表の第14族の原子を表し、nは1〜5の整数を表し、X、R、およびRは、それぞれ同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20のハイドロカルビルシリル基または炭素数1〜20のハイドロカルビルアミノ基を表し、複数のXは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
成分(B):下記成分(b1)と、下記成分(b2)と、下記成分(b3)とを接触させて形成される触媒成分
(b1):下記一般式(3)で表される化合物
(3)
[式中、Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、xはMの原子価に相当する数を表す。Lは、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数1〜20ハイドロカルビル基を表し、Lが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b2):下記一般式(4)で表される化合物
t−1H (4)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。Rは、ハロゲン原子、電子吸引性基、ハロゲン原子を含有する基または電子吸引性基を有する基を表し、Rが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b3):下記一般式(5)で表される化合物
s−2 (5)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、sはTの原子価に相当する数を表す。Rは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基または炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。
成分(C):有機アルミニウム化合物
【請求項2】
成分(B)が下記成分(b1)と、下記成分(b2)と、下記成分(b3)と、下記成分(b4)とを接触させて形成される固体触媒成分である、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
(b1):下記一般式(3)で表される化合物
(3)
[式中、Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、xはMの原子価に相当する数を表す。Lは、水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭素数1〜20ハイドロカルビル基を表し、Lが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b2):下記一般式(4)で表される化合物
t−1H (4)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、tはTの原子価に相当する数を表す。Rは、ハロゲン原子、電子吸引性基、ハロゲン原子を含有する基または電子吸引性基を有する基を表し、Rが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
(b3):下記一般式(5)で表される化合物
s−2 (5)
[式中、Tは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を表し、sはTの原子価に相当する数を表す。Rは、炭素数1〜20のハイドロカルビル基または炭素数1〜20のハロゲン化ハイドロカルビル基を表す。
(b4):粒子状担体
【請求項3】
請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合するオレフィン重合体の製造方法。

【公開番号】特開2010−275444(P2010−275444A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130153(P2009−130153)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】