説明

オーダマッチングシステム

【課題】マルチオーダの複数搬送容器が発生した場合、マルチオーダの複数搬送容器を同じ梱包ステーションに効率良くかつ連続して供給できるようなオーダマッチングシステムを提供する。
【解決手段】商品ピッキング設備にマルチ検品梱包エリアMA1を設ける。制御部は、マルチオーダの搬送容器はマルチ検品梱包エリアにおけるいずれかのマルチ検品梱包シュートラインへ導く搬送制御を実行する。制御装置は特に、マルチオーダの複数の搬送容器については同一オーダの搬送容器がすべて大ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を逐次前記小ループバッファ搬送ラインに分岐させ、続いて前記同一オーダの搬送容器がすべて前記小ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を同じマルチ検品梱包シュートラインに導くように制御動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオーダマッチングシステムに関し、特に商品ピッキング設備におけるピッキングエリアにおいてオーダに応じた物品のピッキングが行われた搬送容器を複数の検品梱包シュートラインを備える検品梱包エリアに搬送して検品及び梱包を行う場合に適用されるオーダマッチングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の商品ピッキング設備の一例を図5〜図7を参照して説明する。図5は商品ピッキング設備およびそれに付随する検品梱包エリアの概略構成図、図6は搬送容器の斜視図、図7は搬送装置の説明図である。
【0003】
まず、図5に基づき、商品ピッキング設備の基本構成を説明する。この商品ピッキング設備は、大きく分けて、伝票投入エリアAとピッキングエリアBと検品梱包エリアDとからなる。伝票投入エリアA内には伝票投入ラインLaが配設され、ピッキングエリアB内には主搬送ラインLbが配設され、検品梱包エリアD内には検品梱包ラインLdが配設されている。検品梱包ラインLdと伝票投入ラインLa間には返送ラインLrが配設されている。伝票投入ラインLaと主搬送ラインLbと検品梱包ラインLdと返送ラインLrは一連に接続され、多数の搬送容器が周回できるようになっている。
【0004】
伝票投入エリアAは、複数の、例えば4箇所の伝票投入ステーションa1,a2,a3,a4を備えている。各伝票投入ステーションa1〜a4は、いずれもオーダ別に発行された伝票を空の搬送容器に入れ伝票投入ラインLaに投入し発進させる場所である。
【0005】
ピッキングエリアBは、商品をオーダピッキングする最も重要な場所である。なお、商品をABC分類(アイテム別出荷傾向)により分類すると出荷頻度の高い商品をAランク品といい、Bランク品とは中位の出荷頻度、Cランク品とは低い出荷頻度の商品をいう。また、特定商品とは、品種は少ないが、ほとんどの顧客に提供するような、出荷量の多い商品、パンフレット、景品、宣伝品等をいう。
【0006】
ピッキングエリアBは、多数の商品ピッキングアイランドP1と、小数の特定商品ピッキングアイランドP2とから構成されている。商品ピッキングアイランドP1の数は任意であるが、数箇所から数10箇所位設けられる。この商品ピッキングアイランドP1は、通信販売される非常に多種多様な膨大な数の商品、例えばAランク品からCランク品までの商品群を、各商品ピッキングアイランドP1に均等に入れるように分け、個々の商品群に属する商品を保管し、その商品群中の商品のみをピッキングする目的で設けられたものである。
【0007】
各商品ピッキングアイランドP1でのピッキングは、主搬送ラインLbから分岐し再度合流する商品ピッキングラインで搬送容器を各商品ピッキングアイランドP1に立寄らせることにより行われる。特定商品ピッキングアイランドP2の数も任意であり、1箇所から数箇所設けられる。この特定商品ピッキングアイランドP2は、多くのオーダに共通する商品、例えば、Aランク品や特定商品などの品種は少ないが、多くの顧客に提供するような出庫量の多い商品を、搬送容器に投入する場所である。この特定商品ピッキングアイランドP2でのピッキングも、主搬送ラインLbと並列に設けられた特定商品ピッキングラインで搬送容器を特定商品ピッキングアイランドP2で立寄らせることにより行われる。
【0008】
検品梱包エリアDは、1オーダ分の商品が収納された搬送容器を集め、各搬送容器から商品を取り出して検品し、梱包する場所であり、多数の梱包ステーションd1,d2,・・・,d10と、梱包ラインLdから各梱包ステーションd1〜d10に分岐した検品梱包シュートラインから構成されている。各梱包ステーションd1,・・・で搬送容器1から商品が取り出されると、空の搬送容器1は各梱包ステーションd1,・・・を循回する内部の返送ラインLrと、これを伝票投入ラインLaに接続する外部の返送ラインLrを通って伝票投入ラインLaへ進んでいく。
【0009】
上記の基本構成を有する商品ピッキング設備の特徴は、後述する搬送容器が任意の商品ピッキングアイランドP1,・・・及び特定商品ピッキングアイランドP2に対し、主搬送ラインLbから自由に分岐して立寄り、再び合流することが可能であり、かつ他の商品ピッキングアイランドP1及び特定商品ピッキングアイランドP2に立寄らないで通過することも自由にできるという点にある。顧客からのオーダは種々様々であるから各搬送容器に投入する商品及び特定商品もバラバラになっている。これに対し、各搬送容器は異なる商品ピッキングアイランドP1,・・・及び特定商品ピッキングアイランドP2に立寄ってピッキングされた商品が投入され、別の商品ピッキングアイランドP1,・・・及び特定商品ピッキングアイランドP2は通過する。このことにより、各搬送容器は別の搬送容器の走行やピッキング動作を待つことなく、ほとんど自由にピッキングした商品が収納されて検品梱包エリアDへ搬送される。
【0010】
このように、本例では、各搬送容器がランダムに動いてピッキングが行われることにより、オーダピッキングが可能となっている点に特徴があり、出荷リードタイムを短縮することができる。
【0011】
次に、上記のごときオーダピッキングに好適な搬送容器1を説明する。図6に示す搬送容器1は、伝票投入ラインLaを走行する間にオーダ伝票が投入され、主搬送ラインLbを走行する間にオーダ伝票に基づいてピッキングされた商品や特定商品が収容され、梱包ラインLdまで搬送するものである。
【0012】
図6に基づき、搬送容器1の具体的構成を説明する。搬送容器1は、箱状の容器1aとハンガー1bとフック1cとから構成された吊下型容器である。容器1aは縦長の合成樹脂製の箱であり、剛性があり、上面と前面上部が開口されている。この開口が大きいことにより、かなり大形の商品や特定商品でも容器1aに投入することができる。また、前記開口から手の届きやすい位置にある内壁の上部にはオーダ伝票Sを挟んでおくためのポケット1dが設けられている。
【0013】
ハンガー1bは容器1aに対し揺動可能に任意のヒンジ1eで連結されている。このため、容器1aを傾けることができ、商品や特定商品の投入、取り出しが容易にできるようになっている。フック1cはハンガー1bの中央に立設されており、上端部が半球状に湾曲している。フック1cは搬送方向に対して横向きであり、後述する搬送手段に係合して、搬送容器1が搬送されるようになっている。
【0014】
ハンガー1bの片側の上面にはIDタグ2が取付けられている。このIDタグ2は、固有の搬送容器番号の他に、オーダされた商品情報、商品投入の有無、分岐指令信号など、オーダに付随する搬送情報を記録することができる。一方、各搬送ラインLa,Lb,Ld,Lrの要所要所にはIDタグリーダ/ライタ3が設置されており、これらにより、IDタグ2に対して必要な制御情報を読取り/書込みを行って必要な箇所で搬送容器1を分岐させたり、合流させる等の制御を行っている。このように、IDタグ2とIDタグリーダ/ライタ3を組み合わせた結果、搬送容器1は、ピッキングされた商品を収納する容器となるだけでなく、それ自体が制御情報を持つ媒体となっている。
【0015】
図7は搬送容器1の搬送装置の一例を示している。この搬送装置は、図5に示す伝票投入ラインLa、主搬送ラインLb、梱包ラインLd及び返送ラインLrを構成するものである。なお、前記各ラインLa,Lb,Ld,Lrから分岐する商品ピッキングラインや特定商品ピッキングライン、検品梱包シュートラインなどは、フック1cを自由すべりさせるレールや、これとコンベヤとの組合わせなど、任意の搬送手段を用いることができる。
【0016】
図7の搬送装置においては、前記各ラインLa,Lb,Ld,Lrを含む搬送路を規定するガイド部材としてのレール5が建屋の構造体100に固定されており、レール5には走行車輪6が等間隔で配置されている。各走行車輪6には一連のチェーン7が取付けられている。このチェーン7は図示しないモータ等で走行動力を与えられて搬送部材として作用し、各ラインLa,Lb,Ld,Lrを周回するようになっている。そして、チェーン7には一定ピッチでキャッチ(引っ掛け部)8が取付けられている。キャッチ8は、搬送容器1を自由に着脱できるツメ状ラッチを有している。キャッチ8に搬送容器1のフック1cが引っ掛けられることにより、搬送容器1は吊り下げられた状態で搬送される。
【0017】
既述のごとく、上記の搬送装置は、各ラインLa,Lb,Ld,Lrを構成するものであり、これらから分岐したシュートラインや分岐ライン等への分岐動作及び合流動作は、任意の構成の合流装置及び分岐装置を用いて行われる。このため、搬送容器1は、各搬送ラインLa,Lb,Ld,Lrを周回し、かつ各分岐ラインヘ進入し、分岐ラインから合流する等の自由な動きが可能となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0018】
ところで、この種のオーダマッチングシステムにおいて、オーダピッキングによって発生した商品は1つの搬送容器内に収納されるが、1オーダの内容(数量・商品個々のサイズ)によっては1つの搬送容器に収納できずに2個、場合によっては3個以上の複数の搬送容器(以下、これをマルチユニットの複数搬送容器と呼ぶ)に収納せざるを得ないパターンが発生する。このようなパターンが発生した場合、検品梱包エリアDでの検品梱包作業は、マルチユニットの複数搬送容器に収納された商品を1つの箱に詰替える作業となるため、マルチユニットの複数搬送容器が連続して検品梱包エリアDの同じ梱包ステーションに供給されてくることが望ましい。
【0019】
しかしながら、マルチユニットの複数搬送容器はピッキングエリアBを移動している間に別れてしまうことが多い。これは、一旦満杯になった搬送容器はピッキングアイランドに入ることは無いのに対し、後続する搬送容器はピッキングアイランドに入って追加のピッキングが行われることになるからである。この場合、マルチユニットの複数搬送容器は連続してほぼ同時刻に同じ梱包ステーションに供給されない。つまり、満杯の搬送容器が先に指定された梱包ステーションに供給され、追加のピッキングが行われた後続搬送容器はある時間(不定期)が経過してから指定された梱包ステーションに到達することになる。
【0020】
これまでのオーダマッチングシステムでは、例えばマルチユニットの2つの搬送容器の一方が指定された梱包ステーションに割付けられた場合、後続のマルチユニットの搬送容器がその梱包ステーションに到達するまで新たなオーダの搬送容器の指定ができないので、梱包作業を開始することができない。
【0021】
このような問題点を解決する手法として、以下のような方法が考えられる。つまり、ピッキングエリアBにおいて、満杯になった搬送容器のすぐ後ろに空の搬送容器を準備し、マルチユニットの2つ以上の搬送容器が必ず連なって搬送されるようにし、満杯の搬送容器もピッキングアイランドを通過させるようにする手法である。しかし、この手法では満杯の搬送容器が増えるにしたがってピッキングの作業能率が低下する要因となる。
【0022】
【特許文献1】特開2001−253515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の課題は、マルチオーダの複数搬送容器が発生した場合、マルチオーダの複数搬送容器を同じ梱包ステーションに効率良くかつ連続して供給できるようなオーダマッチングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ピッキングエリアにおいてオーダに応じた物品のピッキングが行われた搬送容器を複数の検品梱包シュートラインを備える検品梱包エリアに搬送して検品及び梱包を行うようにしたオーダマッチングシステムであり、前記検品梱包エリアを、1オーダについて搬送容器が1個のシングルオーダ用のシングル検品梱包エリアと、1オーダについて搬送容器が2個以上のマルチオーダ用のマルチ検品梱包エリアとに分け、前記シングル検品梱包エリアは、前記ピッキングエリアに接続されている主搬送ラインから分岐可能にされた複数のシングル検品梱包シュートラインを備え、前記マルチ検品梱包エリアは、前記主搬送ラインから分岐可能にされた大ループバッファ搬送ラインと、該大ループバッファ搬送ラインから分岐可能にされた小ループバッファ搬送ラインと、該小ループバッファ搬送ラインから分岐可能にされた複数のマルチ検品梱包シュートラインとを備える。
【0025】
本発明によるオーダマッチングシステムにおいては、前記搬送容器には少なくとも配送先情報とシングルオーダ、マルチオーダを区別すると共にマルチオーダの場合には同一オーダの関連性を示すための識別情報とを含む搬送情報が付与されたタグが付される一方、前記主搬送ライン、大ループバッファ搬送ライン、及び小ループバッファ搬送ラインにおける分岐点の上流側にはそれぞれ前記タグの識別情報を読み取る読取手段が配置される。本発明によるオーダマッチングシステムはまた、複数箇所の前記読取手段からの読取り情報に基づいてシングルオーダの搬送容器は前記シングル検品梱包エリアにおけるいずれかのシングル検品梱包シュートラインへ導き、マルチオーダの搬送容器は前記マルチ検品梱包エリアにおけるいずれかのマルチ検品梱包シュートラインへ導く搬送制御を実行する制御装置を備える。
【0026】
前記制御装置は更に、マルチオーダの複数の搬送容器については同一オーダの搬送容器がすべて前記大ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を逐次前記小ループバッファ搬送ラインに分岐させ、続いて前記同一オーダの搬送容器がすべて前記小ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を同じマルチ検品梱包シュートラインに導く。
【0027】
本発明によるオーダマッチングシステムはまた、前記大ループバッファ搬送ラインに大ループリジェクトシュートラインを設け、前記制御装置は、マルチオーダによる前記同一オーダの搬送容器が前記大ループバッファ搬送ラインに揃うまでは既に当該大ループバッファ搬送ラインに入っている前記同一オーダの搬送容器は当該大ループバッファ搬送ラインを周回させ、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが前記大ループバッファ搬送ラインに入ってから第1の所定時間を経過しても前記同一オーダの搬送容器が前記大ループバッファ搬送ラインに揃わない場合には周回中の前記同一オーダの搬送容器を前記大ループリジェクトシュートラインに導くことを特徴とする。
【0028】
本発明によるオーダマッチングシステムは更に、前記小ループバッファ搬送ラインに小ループリジェクトシュートラインを設け、前記制御装置は、マルチオーダによる前記同一オーダの搬送容器が前記小ループバッファ搬送ラインに揃うまでは既に当該小ループバッファ搬送ラインに入っている前記同一オーダの搬送容器は当該小ループバッファ搬送ラインを周回させ、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが前記小ループバッファ搬送ラインに入ってから第2の所定時間を経過しても前記同一オーダの搬送容器が前記小ループバッファ搬送ラインに揃わない場合には周回中の前記同一オーダの搬送容器を前記小ループリジェクトシュートラインに導くことを特徴とする。
【0029】
本発明によるオーダマッチングシステムは更に、前記主搬送ラインは前記シングル検品梱包エリアから前記ピッキングエリア側に搬送容器を戻すための返送用搬送ラインを含み、前記マルチ検品梱包エリアから前記返送用搬送ラインに搬送容器を合流させるための合流搬送ラインを設け、前記シングル検品梱包エリア、マルチ検品梱包エリアにおいてそれぞれ検品梱包が行われて空となった搬送容器は、前記搬送情報を削除したうえで前記返送用搬送ラインにより前記ピッキングエリア側に戻されることを特徴とする。
【0030】
本発明によるオーダマッチングシステムは更に、前記搬送容器は、搬送ラインを規定するレールに沿って走行可能な吊り下げ手段により吊り下げ状態で搬送されるものであり、前記大ループバッファ搬送ラインは建屋の天井近くに設けられることが好ましい。
【0031】
本発明によるオーダマッチングシステムは、前記主搬送ラインを主搬送コンベヤ、前記小ループバッファ搬送ラインを周回式コンベヤでそれぞれ構成しても良く、この場合、前記大ループバッファ搬送ラインは前記主搬送コンベヤから分岐可能にされた分岐用コンベヤと前記周回式コンベヤに合流可能にされた合流用コンベヤと前記分岐用コンベヤと前記合流用コンベヤとの間に設置された自動倉庫設備との組合わせを少なくとも1組備えて構成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、マルチ検品梱包エリアのマルチ検品梱包シュートラインにおける作業者は、マルチオーダの複数搬送容器を揃えるという意識を持たずにマルチ検品梱包作業が可能となる。そして、マルチオーダの複数搬送容器をそれほどの時間ずれを生じることなく同じマルチ検品梱包シュートラインに供給することができるので、マルチ検品梱包作業における待ち時間が少なくなり、検品梱包作業の作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1を参照して、本発明を図5で説明したような商品ピッキング設備における検品梱包エリアに適用した場合の第1の実施の形態について説明する。図1では、図5に示された伝票投入エリア、ピッキングエリアは図示を省略している。つまり、本形態においても、図示しないピッキングエリアにおいてオーダに応じた商品のピッキングが行われた搬送容器を複数の検品梱包シュートラインを備える検品梱包エリアに搬送して検品及び梱包を行う。勿論、この設備は建屋内に構築される。
【0034】
特に、第1の実施の形態では検品梱包エリアを、1オーダについて搬送容器が1個のシングルオーダ用のシングル検品梱包エリアSA1と、1オーダについて搬送容器が2個以上のマルチオーダ用のマルチ検品梱包エリアMA1とに分けている。シングル検品梱包エリアSA1は、ピッキングエリアに接続されている主搬送ラインM1から分岐可能にされた複数のシングル検品梱包シュートラインSL1を備える。一方、マルチ検品梱包エリアMA1は、主搬送ラインM1から分岐可能にされた大ループバッファ搬送ラインLBL1と、この大ループバッファ搬送ラインLBL1から分岐可能にされた小ループバッファ搬送ラインSBL1と、この小ループバッファ搬送ラインSBL1から分岐可能にされた複数のマルチ検品梱包シュートラインML1とを備える。主搬送ラインM1は、ピッキングエリアから送られてくる搬送容器をシングル検品梱包エリアSA1に導くラインだけでなく、シングル検品梱包エリアSA1において検品梱包が終了して空になった搬送容器をピッキングエリア側、厳密には伝票投入エリアに送り返すための返送用搬送ラインM1−1、及びシングル検品梱包シュートラインSL1に分岐できなかった搬送容器をピッキングエリア側に送り返して再度シングル検品梱包シュートラインSL1へ搬送する、又はピッキングを継続するための返送用搬送ラインM1−1´を含む。
【0035】
なお、主搬送ラインM1からの分岐、大ループバッファ搬送ラインLBL1への合流は、複数の分岐・合流装置11により行われる。大ループバッファ搬送ラインLBL1は閉ループを構成しており、バッファの機能、つまり複数のマルチユニットの搬送容器について到着待ちの搬送容器を集合させる領域を持つ。大ループバッファ搬送ラインLBL1からの分岐、小ループバッファ搬送ラインSBL1への合流は、複数の分岐・合流装置12により行われる。主搬送ラインM1から各シングル検品梱包シュートラインSL1への分岐を可能にするために分岐装置13が設置され、小ループバッファ搬送ラインSBL1から各マルチ検品梱包シュートラインML1への分岐を可能にするために分岐装置14が設置されている。図1では、分岐・合流装置11をシングル検品梱包エリアSA1よりも上流側に2つ設置し、分岐・合流装置12を大ループバッファ搬送ラインLBL1における蛇行領域の入り口、出口に近い箇所にそれぞれ1つづつ設置するようにしているが、分岐・合流装置の設置箇所は図示の形態に限定されるものではない。分岐・合流装置及び分岐装置は、周知のものを使用するので詳しい説明は省略する。
【0036】
搬送容器は、図6で説明した搬送容器1と同様のものが使用されるが、IDタグ2に付与される情報が異なる。本形態では、IDタグ2に、顧客情報、商品ピッキング情報、媒体種情報、搬送制御情報、及びバッグ情報等から成る搬送情報を付与するようにしている。顧客情報は配送先を示す配送先情報、例えば配送先である顧客の顧客番号であり、商品ピッキング情報は、搬送容器に収納されるべき商品毎にピッキングの完了/未完了を示すフラグ情報である。つまり、ある商品についてフラグが立っていればピッキング完了、立っていなければピッキング未完了を示す。媒体種情報は、商品とは別にパンフレットやカタログのような紙類を検品梱包エリアで同封するようにしているので、それらの種類を示すための情報である。搬送制御情報は、ピッキングエリア搬送先を示すための情報である。バッグ情報は、搬送容器1がシングルオーダ用であるかマルチオーダ用であるかを示すための識別情報であり、例えばシングルオーダの場合には1/1、3個のマルチオーダの場合には、同一オーダの関連性を示すために1個目が1/3、2個目が2/3、3個目は3/3というように示される。
【0037】
主搬送ラインM1、大ループバッファ搬送ラインLBL1、及び小ループバッファ搬送ラインSBL1における分岐点BA、BD、BB、BCの上流側にはそれぞれ通過しようとする搬送容器1のIDタグ2に対して搬送情報のうち、特に商品ピッキング情報、バッグ情報の読取りを行うための図6で説明したIDタグリーダ/ライタ3(図1では図示省略)が配置される。
【0038】
図2は、第1の実施の形態にかかるオーダマッチングシステムの制御系の構成を概略的に示している。本制御系は、各分岐点に配置されたIDタグリーダ/ライタで読み取られた搬送情報を受け取り、その中の特に商品ピッキング情報、バッグ情報(識別情報)に基づいて各分岐・合流装置に対して分岐・合流指令を出力する制御部20を有する。なお、商品ピッキング設備には、この制御部20とは別に、図5で説明した伝票投入エリアA、ピッキングエリアBのために別の制御系が備えられる。この別の制御系は、前述したように、伝票投入ステーションAにおいてオーダ別に伝票を発行し、ピッキングエリアBにおいては商品ピッキング情報の書込み、つまりピッキングの完了を示すフラグ情報の書込み及び分岐・合流指令を出力する制御が行われる。
【0039】
本実施の形態の特徴は、図1の範囲の検品梱包エリアの構成及び制御動作に特徴があり、伝票投入エリアA、ピッキングエリアBについては図5において説明した動作が実行される。伝票投入エリアA、ピッキングエリアBのための別の制御系については図示、説明を省略し、以下では、大ループバッファ搬送ライン、小ループバッファ搬送ライン、シングル検品梱包エリア、マルチ検品梱包エリアの制御動作についてのみ説明を行う。
【0040】
図3は、大ループバッファ搬送ライン、小ループバッファ搬送ライン、シングル検品梱包エリア、マルチ検品梱包エリアにおける制御動作の流れを示すフローチャート図である。
【0041】
図3において、ピッキングエリアBから主搬送ラインM1で搬送容器1が送られてくると、分岐点BAに設置されたIDタグリーダ/ライタ3によりIDタグ2に対する搬送情報の読取りが行われ(ステップ31)、読取りデータは制御部20に送られる。ステップ32では、制御部20は、IDタグリーダ/ライタ3からの読取り情報の中のバッグ情報に基づいて搬送容器1がシングルオーダ、マルチオーダのいずれであるかを判別すると共に、商品ピッキング情報によりピッキング完了、未完了のいずれであるか、つまり収納されるべき商品がすべて収納されているかどうかの判別を行う。制御部20は、シングルオーダの搬送容器1又はピッキング未完了の商品のある搬送容器1については主搬送ラインM1を直進させる(ステップ33)。
【0042】
主搬送ラインM1を直進した搬送容器1は、今度は、シングル検品梱包エリアSA1における各分岐点BDに設置されたIDタグリーダ/ライタ3によりIDタグ2に対する搬送情報の読取りが行われ(ステップ34)、読取りデータは制御部20に送られる。ステップ35では、制御部20は、IDタグリーダ/ライタ3からの読取り情報の中のバッグ情報、商品ピッキング情報によりシングルオーダかつピッキング完了、未完了のいずれであるかの判別を行う。搬送容器1がピッキング未完了、又はデータが消去、あるいはマルチオーダのものであれば、制御部20はこの搬送容器1をどの分岐点BDにおいても分岐させない。その結果、この搬送容器1は、返送用搬送ラインM1−1´を通してピッキングエリア側に戻される(ステップ36)。
【0043】
一方、ピッキング完了のシングルオーダの搬送容器1は、主搬送ラインM1におけるいずれかの分岐点BDでシングル検品梱包シュートラインSL1に分岐される(ステップ37)。分岐点をどこにするかはシングル検品梱包シュートラインの空き状況に応じて決められる。つまり、制御部20は、各シングル検品梱包シュートラインSL1に現在、搬送容器1が何個待ち状態にあるかを常時把握している。そして、各分岐点BDにおいてIDタグ2が読み取られる毎に対応するシングル検品梱包シュートラインSL1の空き状況を判別し、空いているシングル検品梱包シュートラインSL1があればそこの分岐装置13を作動させて搬送容器1を分岐させる。制御部20は、この分岐した搬送容器1の数と、検品梱包が終了する毎に作業者により入力される終了を示す押釦信号の数とから各シングル検品梱包シュートラインSL1に現在何個の搬送容器1があるかを把握している。
【0044】
なお、各シングル検品梱包シュートラインSL1、マルチ検品梱包シュートラインML1にもIDタグリーダ/ライタが設置される他、複数の媒体を区画保有する媒体棚及び同封すべき媒体を示す複数のランプが複数の媒体に対応して設置されている。作業者は検品梱包を行おうとする搬送容器1のIDタグから搬送情報を読み取る。この搬送情報は制御部20に送られる。制御部20は、送られてきた搬送情報のうちの媒体種情報から同封すべき媒体を示すランプを点灯させる。作業者は、搬送情報の読取りを終えると、IDタグ内の情報を消去する。
【0045】
搬送容器1の分岐があったシングル検品梱包シュートラインSL1では、そこに配置されている作業者により搬送容器1内の商品について検品、梱包作業が行われる。シングル検品梱包シュートラインSL1では、搬送されてきた搬送容器1に投入されている伝票に記入されている各種情報を参照しながら検品、梱包作業を行う。なお、媒体種情報については、同封すべきパンフレット、カタログ等がある場合には対応するランプが点灯表示される。そして、空となった搬送容器1についてはIDタグ2における搬送情報が消去された上で返送用搬送ラインM1−1に載せられる。なお、シングル検品梱包シュートラインSL1に搬送情報を表示するためのディスプレイ手段を設置し、このディスプレイ手段で表示されている搬送情報を参照しながら検品、梱包作業を行うようにしても良い。
【0046】
次に、ステップ32において搬送容器1がマルチオーダかつピッキング完了と判別された場合の制御動作について説明する。この場合、制御部20は、分岐点BAにおける分岐・合流装置11を作動させて搬送容器1を分岐させると共に、大ループバッファ搬送ラインLBL1に合流させる(ステップ41)。この時、分岐点BAにおいてIDタグリーダ/ライタ3で読み取られた搬送情報は制御部20に送られることは前述した通りである。制御部20は、マルチオーダ用の搬送容器1が大ループバッファ搬送ラインLBL1に入ると、搬送情報の中の顧客情報、バッグ情報に基づいて以下に述べる大ループ情報管理を行う(ステップ42)。
【0047】
例えば、マルチオーダが2個の搬送容器1によるものであったとする。この場合、制御部20は、マルチオーダの2個の搬送容器1のうち最初のもの、つまりバッグ情報が1/2(又は2/2)を示す搬送容器1(以下、最初の搬送容器1と呼ぶ)が大ループバッファ搬送ラインLBL1に入ると、同じ顧客情報を持ちかつバッグ情報が2/2(又は1/2)を示す搬送容器1(以下、後続の搬送容器1´と呼ぶ)が大ループバッファ搬送ラインLBL1に入るまでは、最初の搬送容器1を大ループバッファ搬送ラインLBL1内を周回させる(ステップ43)。言い換えれば、制御部20は、最初の搬送容器1が大ループバッファ搬送ラインLBL1に入ると、後続の搬送容器1´がそろったかどうかの判別、つまり同一マルチオーダの搬送容器がそろったかどうかの判別を、ステップ41における分岐・合流が発生する毎に行う(ステップ44)。制御部20は、大ループバッファ搬送ラインLBL1内に最初の搬送容器1と後続の搬送容器1´とがそろったことを判別すると、これらの搬送容器1の小ループバッファ搬送ラインSBL1への分岐制御に移行する(ステップ45)。
【0048】
制御部20は、ステップ45に移行した後、分岐点BBにおけるIDタグリーダ/ライタ3から最初に識別した搬送容器1又は後続の搬送容器1´、あるいは後続の搬送容器1´又は最初に識別した搬送容器1のバッグ情報を持つ読取り情報が送られてくると(ステップ46)、そこの分岐・合流装置12を作動させて最初の搬送容器1及び後続の搬送容器1´を大ループバッファ搬送ラインLBL1から分岐させて小ループバッファ搬送ラインSBL1に合流させる(ステップ47)。以上の制御動作は、マルチオーダの搬送容器が3個以上の場合でもまったく同じように適用されることは明らかである。
【0049】
ここで、最初の搬送容器1及び後続の搬送容器1´が大ループバッファ搬送ラインLBL1内の異なった場所にあったとしても、これらの搬送容器1、1´の小ループバッファ搬送ラインSBL1への合流のタイミングがずれることは少ない。これは、前述したように、分岐・合流装置12を大ループバッファ搬送ラインLBL1における蛇行領域の入り口、出口に近い箇所にそれぞれ1つづつ設置するようにしているからである。
【0050】
以下では、最初の搬送容器1が先に小ループバッファ搬送ラインSBL1に入ったものとする。制御部20は、マルチオーダ用の最初の搬送容器1が小ループバッファ搬送ラインSBL1に入ると、搬送情報の中の顧客情報、バッグ情報に基づいて以下に述べる小ループ情報管理を行う(ステップ48)。
【0051】
制御部20は、最初の搬送容器1が小ループバッファ搬送ラインSBL1に入ると、後続の搬送容器1´が小ループバッファ搬送ラインSBL1に入るまでは、最初の搬送容器1を小ループバッファ搬送ラインSBL1内を周回させる(ステップ49)。つまり、制御部20は、最初の搬送容器1が小ループバッファ搬送ラインSBL1に入ると、後続の搬送容器1´がそろったかどうかの判別を行う(ステップ50)。制御部20は、小ループバッファ搬送ラインSBL1内に最初の搬送容器1と後続の搬送容器1´とがそろったことを判別すると、これらの搬送容器1、1´を同じマルチ検品梱包シュートラインML1へ分岐する制御に移行する(ステップ51)。制御部20は、ステップ51に移行した後、分岐点BCにおけるIDタグリーダ/ライタ3から最初の搬送容器1又は後続の搬送容器1´の搬送情報を持つ読取り情報が送られてくると(ステップ52)、そこの分岐装置14を作動させて最初の搬送容器1又は後続の搬送容器1´をマルチ検品梱包シュートラインML1に分岐させる。最初の搬送容器1(又は後続の搬送容器1´)が先にマルチ検品梱包シュートラインML1に入った場合、制御部20は続いて、上記分岐装置14におけるIDタグリーダ/ライタ3から後続の搬送容器1´(又は最初の搬送容器1)の搬送情報を持つ読取り情報が送られてくるまで待ち、この読取り情報が送られてくると、そこの分岐装置14を作動させて後続の搬送容器1´(又は最初の搬送容器1)を上記と同じマルチ検品梱包シュートラインML1に分岐させる(ステップ53)。以上の制御動作も、マルチオーダの搬送容器が3個以上の場合であってもまったく同じように適用されることは明らかである。
【0052】
以上のようにして、同一マルチオーダの搬送容器1を連続的に同じマルチ検品梱包シュートラインML1に供給することができる。マルチ検品梱包シュートラインML1における1回の周回に要する時間は短いので、最初の搬送容器がマルチ検品梱包シュートラインML1に供給されてから同一オーダの搬送容器が同じマルチ検品梱包シュートラインML1にそろうまでの時間は短い。
【0053】
なお、マルチ検品梱包シュートラインML1において検品梱包が行われて空となった搬送容器1は、シングル検品梱包ラインSL1と同様、IDタグ2の搬送情報が消去されており、主搬送ラインM1と合流可能な合流返送ラインM1−2に載せられる。合流返送ラインM1−2への合流は作業者により行われる。
【0054】
図1に戻って、本形態では、大ループバッファ搬送ラインLBL1には大ループリジェクトシュートラインLRL1を設け、小ループバッファ搬送ラインSBL1には小ループリジェクトシュートラインSRL1を設けている。このため、大ループバッファ搬送ラインLBL1から大ループリジェクトシュートラインLRL1への分岐点BEには分岐装置15を設けると共に、前述同様のIDタグリーダライタ3(図示は省略)を設けている。一方、小ループバッファ搬送ラインSBL1から小ループリジェクトシュートラインSRL1への分岐点BFには分岐装置16を設けると共に、前述同様のIDタグリーダライタ3(図示は省略)を設けている。大ループバッファ搬送ラインLBL1、小ループリジェクトシュートラインSRL1はそれぞれ、合流返送ラインM1−2に合流可能にされている。この合流返送ラインM1−2への合流も作業者により行われる。
【0055】
大ループリジェクトシュートラインLBL1は以下のように使用される。制御部20は、前述したように、同一マルチオーダの搬送容器が大ループバッファ搬送ラインLBL1にそろうまでは既に大ループバッファ搬送ラインLBL1に入っている同一マルチオーダの搬送容器は大ループバッファ搬送ラインLBL1を周回させる。しかし、同一マルチオーダの搬送容器の最初の1つが大ループバッファ搬送ラインLBL1に入ってから第1の所定時間T1を経過しても同一マルチオーダの搬送容器が大ループバッファ搬送ラインLBL1にそろわない場合には周回中の同一マルチオーダの搬送容器を大ループリジェクトシュートラインLRL1に分岐させる。つまり、大ループバッファ搬送ラインLBL1内を周回中にそろわなかった同一マルチオーダの搬送容器の読取り情報が第1の所定時間T1内に制御部20に送られないとき、制御部20は、分岐装置15を起動させてこの搬送容器を大ループリジェクトシュートラインLRL1に分岐させる。
【0056】
同様に、小ループリジェクトシュートラインSBL1は以下のように使用される。制御部20は、前述したように、同一マルチオーダの搬送容器が小ループバッファ搬送ラインSBL1にそろうまでは既に小ループバッファ搬送ラインSBL1に入っている同一マルチオーダの搬送容器は小ループバッファ搬送ラインSBL1を周回させる。しかし、同一マルチオーダの搬送容器の最初の1つが大ループバッファ搬送ラインLBL1に入ってから第2の所定時間T2を経過しても同一マルチオーダの搬送容器が小ループバッファ搬送ラインSBL1にそろわない場合には周回中の同一マルチオーダの搬送容器を小ループリジェクトシュートラインSRL1に分岐させる。つまり、小ループバッファ搬送ラインSBL1内を周回中にそろわなかった同一マルチオーダの搬送容器の読取り情報が第2の所定時間T2内に制御部20に送られないとき、制御部20は、分岐装置16を起動させてこの搬送容器を小ループリジェクトシュートラインSRL1に分岐させる。なお、第1の所定時間T1と第2の所定時間T2とは異なるが任意に設定を変更することが可能である。
【0057】
上記のようにするのは、大ループバッファ搬送ラインLBL1、小ループバッファ搬送ラインSBL1における搬送容器のバッファ数には制限があり、大ループバッファ搬送ラインLBL1、小ループバッファ搬送ラインSBL1がそれぞれ、そろっていない搬送容器で専有されるのを防ぐためである。
【0058】
合流返送ラインM1−2からの搬送容器はシングル検品梱包エリアSA1における主搬送ラインM1の分岐点BDを通過する。ここで、マルチ検品梱包シュートラインML1からの搬送容器の場合、この搬送容器の持つ搬送情報は既に消去され空容器であることを示している。一方、大ループリジェクトシュートラインLRL1、小ループリジェクトシュートラインSRL1からの搬送容器の場合、この搬送容器の持つ搬送情報はマルチオーダであることを示している。これにより、合流返送ラインM1−2からの搬送容器が分岐装置13でシングル検品梱包シュートラインSL1に分岐されることは無い。
【0059】
なお、大ループバッファ搬送ラインLBL1は、搬送容器1を周回させるだけであるので、作業員の手の届く高さ位置にある必要は無い。そこで、大ループバッファ搬送ラインLBL1を規定するレールを建屋の天井近くの高さ位置に設置することで、建屋の床における大ループバッファ搬送ラインLBL1のための設置スペースを無くし、新たな作業エリアや設備の設置スペースとして有効に活用できる。
【0060】
以上のように、第1の実施の形態によるオーダマッチングシステムによれば、マルチオーダの複数の搬送容器をそれほど時間ずれを生ずることなく、同じマルチ検品梱包ラインに供給することができるので、マルチ検品梱包ラインにおける各作業者は、マルチオーダの複数の搬送容器がそろうまで長時間待たずに済み、検品梱包作業の効率を向上させることができる。
【0061】
なお、マルチ検品梱包エリアMA1は、マルチ検品梱包専用である必要は無く、日々の注文特性を事前に把握することによってマルチオーダが少ないと予測される場合には、マルチバッグ(搬送容器)とシングルバッグ(搬送容器)の引込み量をMAXバッファ量=マルチバッグ量+シングルバッグ量というように修正(設定)することにより、シングル検品梱包エリアとしても機能させることができる。
【0062】
図4は、本発明の第2の実施の形態によるオーダマッチングシステムを示す。前述した第1の実施の形態においては搬送容器の搬送を吊下げ式で行っているが、本第2の実施の形態では、コンベヤ等で実現するようにしている。このため、搬送容器は、コンベヤに載せて搬送する箱状の容器が使用され、この箱状容器の側面等にIDタグが付される。
【0063】
簡単に言えば、本第2の実施の形態でも検品梱包エリアを、1オーダについて搬送容器が1個のシングルオーダ用のシングル検品梱包エリアSA1´と、1オーダについて搬送容器が2個以上のマルチオーダ用のマルチ検品梱包エリアMA1´とに分けている。そして、主搬送ラインと返送搬送ラインとが主搬送コンベヤMC1で構成され、シングル検品梱包エリアSA1´には主搬送コンベヤMC1の主搬送ラインから分岐可能にされた搬送コンベヤ60が設置されている。搬送コンベヤ60には、複数のシングル検品梱包シュートラインSL1´が分岐可能に設けられている。
【0064】
一方、小ループバッファ搬送ラインは周回式コンベヤCB1で構成されている。周回式コンベヤCB1には、複数のマルチ検品梱包シュートラインML1´が分岐可能に設けられている。また、大ループバッファ搬送ラインは主搬送コンベヤMC1から分岐可能にされた分岐用コンベヤ61と、周回式コンベヤCB1に合流可能にされた合流用コンベヤ62と、分岐用コンベヤ61と合流用コンベヤ62との間に設置された自動倉庫設備63との組み合わせを少なくとも1組、ここでは2組備えて構成されている。自動倉庫設備というのは、搬送容器を保管するための棚として多段式の収納棚を複数列組み合わせたものを複数層備え、各棚への搬送容器の出し入れを自動で行うようにした倉庫であり、この種の自動倉庫自体は周知であるので詳しい説明は省略する。
【0065】
また、図4では、搬送容器に付されたIDタグに対するIDタグリーダ/ライタ3は、主搬送コンベヤMC1の主搬送ラインにおける分岐用コンベヤ61の分岐点の近く、搬送コンベヤ60の分岐点の近く、分岐用コンベヤ62における周回式コンベヤCB1への分岐点の近くにそれぞれ配置するもののみを示している。しかし、第1の実施の形態と同様、IDタグリーダ/ライタは、各シングル検品梱包シュートラインSL1´への分岐点の近く、マルチ検品梱包シュートラインML1´への分岐点の近く、更にはリジェクトシュートラインMLX´の分岐点の近くにも設置されることは言うまでも無い。
【0066】
本形態での自動倉庫設備63の利用方法は以下の通りである。制御装置は、マルチオーダによる同一オーダの搬送容器がすべて自動倉庫設備63に導入されたと判別した後に前記同一オーダの搬送容器を逐次分岐用コンベヤ62に払い出して周回式コンベヤCB1に合流させる。続いて前記同一オーダの搬送容器が周回式コンベヤCB1にそろったと判別した後に、前記同一オーダの搬送容器を同じマルチ検品梱包シュートラインML1´に分岐させる。
【0067】
制御装置はまた、マルチオーダによる同一オーダの搬送容器の最初の1つが自動倉庫設備63に導入されてから同一オーダの搬送容器が自動倉庫設備63に導入されるまでは既に自動倉庫設備63に保管されている前記同一オーダの搬送容器は保管を続ける。そして、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが自動倉庫設備63に導入されてから第1の所定時間T1を経過しても前記同一オーダの搬送容器が自動倉庫設備63にそろわない場合には、制御装置は保管中の前記同一オーダの搬送容器を、リジェクトシュートライン(コンベヤ)64からマルチ検品梱包エリアMA1´外に排出させて、主搬送コンベヤMC1における返送搬送ラインに送る。
【0068】
一方、周回式コンベヤCB1にもリジェクトシュートライン(コンベヤ)MLX´を設け、制御装置は、マルチオーダによる前記同一オーダの搬送容器が周回式コンベヤCB1に入るまでは既に周回式コンベヤCB1に載っている前記同一オーダの搬送容器は周回式コンベヤCB1を周回させる。そして、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが周回式コンベヤCB1に入ってから第2の所定時間T2を経過しても前記同一オーダの搬送容器が周回式コンベヤCB1に入ってこない場合には、制御装置は周回中の前記同一オーダの搬送容器をリジェクトシュートラインMLX´からマルチ検品梱包エリアMA1´外に排出させて、主搬送コンベヤMC1における返送搬送ラインに送る。
【0069】
上記の説明で明らかなように、本第2の実施の形態は、搬送手段がコンベヤで実現され、大ループバッファ搬送ラインが分岐用コンベヤ61、62と自動倉庫設備63とで実現される点を除けば、作用、効果は第1の実施の形態とほぼ同じである。
【0070】
なお、第1、第2の実施の形態のいずれにおいても、搬送容器に付されるIDタグは、ワイヤレスで読取り/書込みの可能なタグの他、バーコードを使用することもできる。バーコードを使用する場合には、バーコードリーダが組み合わされる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によるオーダマッチングシステムは、ピッキング作業と検品梱包作業とでオーダピッキングを実施する物流システム全般、例えば食品・日用雑貨・通販等の各業界に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるオーダマッチングシステムの概略を説明するための図である。
【図2】図1に示されたオーダマッチングシステムの制御系の構成を説明するための図である。
【図3】図1に示されたオーダマッチングシステムの制御動作を説明するためのフローチャート図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による商品ピッキング設備の概略を説明するための図である。
【図5】従来の商品ピッキング設備及び検品梱包エリアの一例を説明するための図である。
【図6】図1のオーダマッチングシステム、図5の商品ピッキング設備において使用される吊下げ式の搬送容器を説明するための図である。
【図7】図6に示された吊下げ式の搬送容器を搬送する搬送装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
SA1、SA1´ シングル検品梱包エリア
MA1、MA1´ マルチ検品梱包エリア
M1 主搬送ライン
M1−1 返送搬送ライン
M1−2 合流返送ライン
LBL1 大ループバッファ搬送ライン
SBL1 小ループバッファ搬送ライン
BA、BB、BC、BD、BE、BF 分岐点
11、12 分岐・合流装置
13、14 分岐装置
MC1 主搬送コンベヤ
60 搬送コンベヤ
61 分岐用コンベヤ
62 合流用コンベヤ
63 自動倉庫設備
64、MLX´ リジェクトシュートライン
CB1 周回式コンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングエリアにおいてオーダに応じた物品のピッキングが行われた搬送容器を複数の検品梱包シュートラインを備える検品梱包エリアに搬送して検品及び梱包を行うようにしたオーダマッチングシステムにおいて、
前記検品梱包エリアを、1オーダについて搬送容器が1個のシングルオーダ用のシングル検品梱包エリアと、1オーダについて搬送容器が2個以上のマルチオーダ用のマルチ検品梱包エリアとに分け、
前記シングル検品梱包エリアは、前記ピッキングエリアに接続されている主搬送ラインから分岐可能にされた複数のシングル検品梱包シュートラインを備え、
前記マルチ検品梱包エリアは、前記主搬送ラインから分岐可能にされた大ループバッファ搬送ラインと、該大ループバッファ搬送ラインから分岐可能にされた小ループバッファ搬送ラインと、該小ループバッファ搬送ラインから分岐可能にされた複数のマルチ検品梱包シュートラインとを備え、
前記搬送容器には少なくとも配送先情報とシングルオーダ、マルチオーダを区別すると共にマルチオーダの場合には同一オーダの関連性を示すための識別情報とを含む搬送情報が付与されたタグが付される一方、前記主搬送ライン、大ループバッファ搬送ライン、及び小ループバッファ搬送ラインにおける分岐点の上流側にはそれぞれ前記タグの識別情報を読み取る読取手段が配置され、
複数箇所の前記読取手段からの読取り情報に基づいてシングルオーダの搬送容器は前記シングル検品梱包エリアにおけるいずれかのシングル検品梱包シュートラインへ導き、マルチオーダの搬送容器は前記マルチ検品梱包エリアにおけるいずれかのマルチ検品梱包シュートラインへ導く搬送制御を実行する制御装置を備えたことを特徴とするオーダマッチングシステム。
【請求項2】
該制御装置は更に、マルチオーダの複数の搬送容器については同一オーダの搬送容器がすべて前記大ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を逐次前記小ループバッファ搬送ラインに分岐させ、続いて前記同一オーダの搬送容器がすべて前記小ループバッファ搬送ラインに入ってから前記同一オーダの搬送容器を同じマルチ検品梱包シュートラインに導くようにしたことを特徴とする請求項1に記載のオーダマッチングシステム。
【請求項3】
前記大ループバッファ搬送ラインに大ループリジェクトシュートラインを設け、前記制御装置は、マルチオーダによる前記同一オーダの搬送容器が前記大ループバッファ搬送ラインに揃うまでは既に当該大ループバッファ搬送ラインに入っている前記同一オーダの搬送容器は当該大ループバッファ搬送ラインを周回させ、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが前記大ループバッファ搬送ラインに入ってから第1の所定時間を経過しても前記同一オーダの搬送容器が前記大ループバッファ搬送ラインに揃わない場合には周回中の前記同一オーダの搬送容器を前記大ループリジェクトシュートラインに導くことを特徴とする請求項2に記載のオーダマッチングシステム。
【請求項4】
前記小ループバッファ搬送ラインに小ループリジェクトシュートラインを設け、前記制御装置は、マルチオーダによる前記同一オーダの搬送容器が前記小ループバッファ搬送ラインに揃うまでは既に当該小ループバッファ搬送ラインに入っている前記同一オーダの搬送容器は当該小ループバッファ搬送ラインを周回させ、前記同一オーダの搬送容器の最初の1つが前記小ループバッファ搬送ラインに入ってから第2の所定時間を経過しても前記同一オーダの搬送容器が前記小ループバッファ搬送ラインに揃わない場合には周回中の前記同一オーダの搬送容器を前記小ループリジェクトシュートラインに導くことを特徴とする請求項2または3に記載のオーダマッチングシステム。
【請求項5】
前記主搬送ラインは前記シングル検品梱包エリアから前記ピッキングエリア側に搬送容器を戻すための返送用搬送ラインを含み、前記マルチ検品梱包エリアから前記返送用搬送ラインに搬送容器を合流させるための合流搬送ラインを設け、前記シングル検品梱包エリア、マルチ検品梱包エリアにおいてそれぞれ検品梱包が行われて空となった搬送容器は、前記搬送情報を削除したうえで前記返送用搬送ラインにより前記ピッキングエリア側に戻されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオーダマッチングシステム。
【請求項6】
前記搬送容器は、搬送ラインを規定するレールに沿って走行可能な吊り下げ手段により吊り下げ状態で搬送されるものであり、前記大ループバッファ搬送ラインは建屋の天井近くに設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオーダマッチングシステム。
【請求項7】
前記主搬送ラインは主搬送コンベヤ、前記小ループバッファ搬送ラインは周回式コンベヤでそれぞれ構成され、前記大ループバッファ搬送ラインは前記主搬送コンベヤから分岐可能にされた分岐用コンベヤと前記周回式コンベヤに合流可能にされた合流用コンベヤと前記分岐用コンベヤと前記合流用コンベヤとの間に設置された自動倉庫設備との組合わせを少なくとも1組備えて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のオーダマッチングシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−36507(P2006−36507A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221669(P2004−221669)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】