説明

オーブン、及び高分子フィルムの製造方法

【課題】内槽内の被加熱物の熱履歴を均一にできるオーブンを提供する。
【解決手段】オーブン1は、第1側壁4aに熱風導入口13が形成され、第2側壁に排気口16が形成された内槽4と、内槽を囲む外槽6と、内槽と外槽の間隙にある加熱手段8と、熱風12を熱風導入口から内槽内を通過させ、排気口から内槽と外槽の間隙へ還流させる送風手段9と、熱風導入口の周りにあり、熱風導入口を挟んで熱風の上流側と反対側で熱風に対向する第1集風板18と、熱風導入口の風上側にあり、熱風の循環方向に沿って配置され互いに対向する第2集風板26とを備え、熱風導入口の開口面積が内槽4内の被加熱物100を第1側壁に投影した面積よりも大きく、熱風導入口は、第1側壁に垂直な方向から見て被加熱物全体が熱風導入口の内側に収まるように位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーブン、及び高分子フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーブンの一種であるバッチ式オーブンは、通常、内槽とこれを内包する外槽を備え、加熱手段とこれに隣接する送風手段が、内槽と外槽との間隙に設けられている。オーブン内の気体は、加熱手段によって加熱されて、送風手段により熱風として内槽と外槽との間隙に送り出され、内槽に設けられた通気口を通じて内槽内を通過した後に、再び送風手段に還流する。このように、オーブン内では熱風の循環経路(以下、熱風循環路と記す。)が形成されている。被加熱物は、内槽内に設置され、熱風循環路を巡る熱風によって加熱される。
【0003】
従来、市場から容易に入手できるバッチ式オーブンでは、内槽における熱風の風上側に熱風導入口を多数設けられていた。このため、内槽に導入される熱風の流速が比較的小さくなる傾向があり、さらには多数ある熱風導入口一つ当たりの熱風の風速(以下、熱風風速と記す。)が比較的均一ではなかったため、内槽に設置される被加熱物の形状によっては、被加熱物全体に与えられる熱履歴が不均一になりやすいという不都合があった。
【0004】
このような不都合を回避する試みとして、下記特許文献1に、外槽と内槽との隙間と内槽の内部とを結ぶ熱風循環経路に、加熱ヒータと熱風を循環させるファンとを設けたバッチ式オーブンにおいて、熱風循環経路の上流側の隙間の上下方向に沿って複数枚設けられ、熱風の風向を調整可能な風向板を備えることを特徴とするバッチ式オーブンが開示されている。
【特許文献1】特開2001−12870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたオーブンでは、熱風導入口一つ当たりの熱風風速の均一性は改善されるが、内槽内における熱風風速は市場から入手できるバッチ式オーブンと大差なく、被加熱物の加熱に要する時間が長くなる傾向があった。熱風風速の向上を求めて、送風手段を強化するのは限界があり、また加熱に係る消費エネルギーが大きくなる傾向があった。また、単に熱風導入口の数を減らすことで、熱風導入口一つ当たりの熱風風速を上げると、熱風風速の不均一化が助長されやすく、結果として内槽内における被加熱物の熱履歴が不均一になり、被加熱物に加熱むらが生じてしまう傾向があった。特に、被加熱物が高分子材料であると、高分子材料に与えられる熱エネルギーのむらによって、最終的に得られる高分子製品が均一な特性を維持することが極めて困難であり、高分子材料がシート状やフィルム状の形態であると、その傾向がより顕著となることが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、内槽内に設置された被加熱物の熱履歴をより均一にすることができるオーブン、及びこのオーブンを用いた、高分子フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のオーブンは、第1側壁に熱風導入口が形成され、第1側壁に対向する第2側壁に排気口が形成された内槽と、内槽を内包する外槽と、内槽と外槽との間隙に位置する加熱手段と、内槽と外槽との間隙に位置し、加熱手段で加熱された気体を熱風として熱風導入口を介して内槽内を通過させ、排気口を介して内槽と外槽との間隙に還流させる送風手段と、第1側壁と外槽との間隙において熱風導入口の周りに位置し、熱風導入口を挟んで熱風の上流側と反対側において熱風に対向する第1集風板と、第1側壁と外槽との間隙において熱風導入口の風上側に位置し、熱風の循環方向に沿って配置されて互いに対向する一対の第2集風板と、を備え、熱風導入口の開口面積が、内槽内に設置される被加熱物を第1側壁に投影した面積よりも大きく、熱風導入口の位置は、第1側壁に垂直な方向から見て、被加熱物の全体が熱風導入口の内側に収まるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記本発明のオーブンでは、第2集風板によって熱風循環路を巡る熱風が熱風導入口側へ効率的に誘導され、第1集風板によって、熱風が熱風導入口から内槽の内部へ導入され、内槽内に十分な熱風が供給されるため、従来に比べて、ガス流の淀み(熱気の滞留)が抑制され、内槽内における被加熱物の熱履歴をより均一にし、且つ安定させることができる。また、上記本発明のオーブンでは、従来のオーブンに具備されている程度の送風手段によっても、内槽内に供給される熱風の風速を比較的速めることができるので、被加熱物の加熱に要する時間を短縮化することができる。なお、本発明において、「被加熱物の熱履歴が均一である」とは、被加熱物の各部位間の温度差が小さく、また、被加熱物の各部位の温度の時間変化が同様であることを意味する。
【0009】
このような集風板を備えないオーブンでは、熱風が、熱風導入口から内槽の内部へ導入されずに、第1側壁と外槽との間隙のうち熱風導入口を挟んで熱風の上流側と反対側に位置する空間へ逃れる可能性があった。そのため、第1側壁と外槽との間隙のうち熱風導入口を挟んで熱風の上流側と反対側に位置する空間に熱気が滞留したりする傾向があった。本発明者が検討したところ、第1側壁と外槽との間隙における熱気の滞留は、内槽内における被加熱物の熱履歴を不均一化させる傾向があることが明らかとなった。一方、本発明のオーブンでは、上述の集風板が具備されているため、このような現象の発生が抑制される。
【0010】
また、上記本発明のオーブンでは、熱風導入口の開口面積が、内槽内に設置される被加熱物を第1側壁に投影した面積よりも大きく、熱風導入口の位置が、第1側壁に対して垂直な方向から見た被加熱物の全体が熱風導入口の内側に収まるように配置されることによって、熱風が内槽内の被加熱物全体へ均一に供給されるため、被加熱物の加熱むらが抑制される。
【0011】
上記本発明のオーブンでは、第1集風板が熱風導入口の風上側へ傾いていることが好ましく、また、第1側壁に対して垂直な方向から見て、第1集風板の両端が、熱風導入口の風上側へ屈曲していることが好ましい。
【0012】
第1集風板を熱風導入口の風上側へ傾けたり、また、第1集風板の両端を熱風導入口の風上側へ屈曲させたりすることによって、熱風導入口へ熱風が容易に導入されるようになり、内槽内の昇温過程において温度のオーバーシュートを抑制でき、内槽内の温度を所定の範囲内に制御し易くなり、内槽内における被加熱物の熱履歴をより均一にし、且つ安定させることができる。
【0013】
上記本発明のオーブンでは、第1側壁に対して垂直な方向から見て、第1集風板が熱風導入口の縁に沿って配置されていることが好ましい。
【0014】
第1集風板を熱風導入口の縁に沿って配置させることによって、熱風を熱風導入口から内槽の内部へより確実に導入させることができる。
【0015】
上記本発明のオーブンは、一対の第2集風板の間隔が、熱風導入口に向かって徐々に狭くなっていることが好ましい。その結果、より確実に内槽内へ熱風が供給され、内槽内における被加熱物の熱履歴をより均一にし、且つ安定させることができる。
【0016】
上記本発明のオーブンでは、第1側壁と外槽との間隙において熱風導入口を挟んで熱風の上流側と反対側に位置する空間が、第1集風板および第2集風板によって塞がれていることが好ましい。
【0017】
その結果、熱風を、内槽と外槽の間隙に滞留させることなく、容易に熱風導入口から内槽の内部へ導入させることが可能となり、内槽内における被加熱物の熱履歴をより均一にし、且つ安定させることができる。
【0018】
上記本発明のオーブンは、熱風導入口を囲み、第1側壁から内槽の内部へ突出する筒状の第3集風板を更に有することが好ましい。また、上記本発明のオーブンは、筒状の第3集風板の内側に位置するルーバを更に備えることが好ましい。
【0019】
第3集風板及びルーバによって、熱風をより確実に被加熱物へ供給することができる。
【0020】
本発明の高分子フィルムの製造方法は、高分子フィルムの前駆体を巻き取ってロール体を形成する工程と、ロール体を、上記本発明のオーブンにおける内槽内で熱処理して、高分子フィルムの前駆体を高分子フィルムに転化させる工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
温度分布が均一な内槽内でロール体を熱処理することによって、ロール体全体が均一に加熱され、加熱むらのない均質な特性の高分子フィルムを得ることができる。また、例えば高分子フィルム前駆体として芳香族液晶ポリエステル等を用いた場合、従来のオーブンでは内槽の昇温過程において温度がオーバーシュートして、得られる高分子フィルムが部分的に熱分解する問題や、熱分解まで至らないまでも高分子フィルムの機械的特性が大きく低下する問題があったが、本発明のオーブンを用いると、かかる不都合を良好に回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内槽内に設置された被加熱物の熱履歴をより均一にすることができるオーブン、及びこのオーブンを用いた、高分子フィルムの製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面1〜4を適宜参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
【0024】
(オーブン)
本実施形態のオーブン1は、内槽4と、内槽4を内包する外槽6とを備える。内槽4の上壁と外槽6の上壁との間隙には、加熱手段(ヒーター8)と送風手段(ファン9)とが、互いに隣接するように設置されている。内槽4の内部には、ワーク受け22が設けられ、ワーク受け22の上には、円筒状の被加熱物(ロール体100)が設置される。
【0025】
オーブン1を作動させる際は、内槽4及び外槽6の内部の気体を熱媒として用いる。ヒーター8で加熱された気体(以下、熱気と記す。)は、ファン9によって、熱風12として内槽4と外槽6との間隙に送り出される。熱媒として使用する気体は、被加熱物を構成する材料によって適宜変更することができる。被加熱物を構成する材料が比較的酸化されやすい場合は、熱媒としては、窒素、アルゴン、ネオン等の不活性ガスが好ましい。熱媒として使用する気体が不活性ガスである場合、一旦内槽4及び外槽6の内部の空気を不活性ガスで置換し、オーブン1の内部を密閉してもよい。また、内槽4又は外槽6に、吸気孔及び排気孔を設け、吸気孔から熱媒となる気体を供給し、排気孔から排気するような形態であってもよい。なお、このように吸気孔及び排気孔を備える形態においては、吸気孔からの気体供給量と排気孔からの排気量を調節することで、槽内を微加圧状態に保持してもよい。
【0026】
内槽4の側壁のうち第1側壁4aには、円形の熱風導入口13が形成されている。熱風導入口13は、ファン9及びヒーター8の風下側に位置する。また、内槽4の側壁のうち第1側壁4aに対向する第2側壁4bには、熱風導入口13に対向する円形の排気口16が形成されている。
【0027】
側壁4aと外槽6との間隙において、熱風導入口13を挟んで熱風12の上流側と反対側に第1集風板18が設置・固定されている。第1集風板18は、熱風導入口13を挟んで熱風12の上流側と反対側において熱風12に対向している。よって、ヒーター8から熱風導入口13の側へ向かう熱風12は、第1集風板18によって熱風導入口13から内槽4の内部へ導入される。熱風導入口13から内槽4の内部へ導入された熱風12は、ロール体100を加熱した後に、排気口16から、第2側壁4bと外槽6との間隙へ排出される。
【0028】
オーブン1には、第1側壁4aと外槽6との間隙において熱風導入口13の風上側に位置し、熱風12の循環方向(熱気循環路)に沿って配置され、互いに対向する一対の第2集風板26が設置・固定されている。なお、第1集風板18と第2集風板26とが一体となって集風板を構成することが好ましい。また、一対の第2集風板26の間隔が、熱風導入口13に向かって徐々に狭くなっていることが好ましい。一対の第2集風板26の間隔を、熱風導入口13に向かって徐々に狭くすることによって、熱風12が一対の第2集風板26によって熱風導入口13へ集中させられる。その結果、内槽4内へ充分な熱風12が供給されるため、被加熱物(ロール体100)を極めて効率的に加熱することができる。
【0029】
熱風導入口13の開口面積は、内槽4内に設置されるロール体100を第1側壁4aに投影した面(ロール体100の長軸に垂直な断面。以下、投影面100sと記す。)の面積よりも大きく、第1側壁4aに対して垂直な方向(熱風導入口13の中心と排気口16の中心とを結ぶ方向)から見て、ロール体100の全体が熱風導入口13の内側に収まっているように、熱風導入口13が第1側壁4aに配置されている(図2参照)。この場合、ロール体100の長軸方向と熱風導入口13の中心と排気口16の中心とを結ぶ方向とが一致するため、ロール体100の長軸方向と熱風導入口13から内槽4内へ供給される熱風12の方向も一致する。その結果、ロール体100の全体に熱風12が均一に供給されるため、ロール体100の加熱むらが抑制される。
【0030】
なお、熱風導入口13の開口面積は、投影面100sの面積に対する関係で上述のように構成されていればよいが、投影面100sの周部において任意に2点を取り、この2点を結ぶ直線を第1の直線とし、第1の直線を延長したときに第1の直線が熱風導入口13の縁と交差する2点を結ぶ直線を第2の直線とし、第1の直線の長さをL1、第2の直線の長さをL2とした場合、L2/L1(但し、L1及びL2は同一のスケールとする。)は1.0以上が好ましく、1.05以上がより好ましく、1.1以上がさらに好ましい。また、L2/L1は2.0以下が好ましく、1.75以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。
【0031】
上述のように、ファン9は、ヒーター8で加熱された気体を、熱風12として集風板(第1集風板及び第2集風板)によって熱風導入口13に集中的に供給し、熱風導入口13を介して内槽4内を通過させ、排気口16を介して内槽4と外槽6との間隙に還流させる。換言すれば、熱気は、熱風12として、ファン9、ヒーター8、内槽4と外槽6との間隙、熱風導入口13、内槽4の内部、排気口16、内槽4と外槽6との間隙を経由するような熱気循環路を形成している。また、上述のとおり、熱気循環路の途中に、吸気孔及び排気孔を設け、適度に吸気・排気を施してもよい。
【0032】
本実施形態では、第2集風板26によって熱風循環路を巡る熱風が熱風導入口13側へ効率的に誘導され、且つ第1集風板18が熱風導入口13を挟んで熱風12の上流側と反対側において熱風12に対向しているため、第1集風板18及び第2集風板26が設置されていない場合に比べて、熱風導入口13から内槽4内へ多量の熱気が供給され、被加熱物を効率的に加熱することが可能となる。また、該被加熱物に与えられる熱履歴がより均一になり、被加熱物の加熱むらを良好に防止することができる。
【0033】
このような集風板(第1集風板18と第2集風板26とが一体となった集風板)を備えないオーブンでは、熱風12が第1側壁4aと外槽6との間隙で滞留する可能性があった。本発明者が検討したところ、このような集風板を備えないオーブンでは、被加熱物を効率的に加熱することが比較的困難となり、加熱処理に係る処理時間が超過したり、被加熱物に加熱むらが生じ易くなったりする傾向があった。一方、本実施形態のオーブン1では、第1集風板18と第2集風板26が具備されているため、上述のような不都合を回避することができることを本発明者は見出した。かかる効果が発現される理由は必ずしも定かではないが、集風板によって熱風導入口13に多量の熱気を供給できるので、被加熱物に極めて効率的に熱エネルギーが与えられ、被加熱物の形状に係る加熱むらが低減できると推定される。
【0034】
第1集風板18は熱風導入口13の風上側へ傾いていることが好ましい(図1参照)。また、第1側壁4aに対して垂直な方向から見て、第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲していることが好ましい(図2参照)。
【0035】
第1集風板18を熱風導入口13の風上側へ傾けたり、また、第1集風板18の両端を熱風導入口13の風上側へ屈曲させたりすることによって、内槽4内の昇温過程において温度のオーバーシュートを抑制できると共に、内槽4内の温度を所定の範囲内に制御し易くなる。
【0036】
オーブン1では、第1側壁4aに対して垂直な方向から見て、第1集風板18が熱風導入口13の縁に沿って配置されていることが好ましい(図2参照)。
【0037】
第1集風板18を熱風導入口13の縁に沿って配置させることによって、熱風12を熱風導入口13から内槽4の内部へより確実に導入させることができる。
【0038】
第1側壁4aと外槽6との間隙において熱風導入口13を挟んで熱風12の上流側と反対側に位置する空間20は、第1集風板18および第2集風板26によって塞がれていることが好ましい。
【0039】
第1集風板18および第2集風板26によって空間20を塞ぐことによって、熱風12を、空間20へ逃がすことなく、より確実に熱風導入口13から内槽4の内部へ導入することが可能となる。なお、空間20は完全に塞がれて密閉されていることが好ましいが、熱風12が空間20に逃れない範囲であれば、一部塞がれていなくともよい。
【0040】
オーブン1には、熱風導入口13を囲み、第1側壁4aから内槽4の内部へ突出する筒状の第3集風板28が設置されていることが好ましい。また、筒状の第3集風板28の内側には、ルーバ32が設置されていることが好ましい。なお、オーブン1には、排気口16を囲み、第2側壁4bから内槽4の内部へ突出する筒状の風向板29が設置されていてもよい。
【0041】
第3集風板28及びルーバ32によって、より確実に熱風12をロール体100へ供給することができる。
【0042】
ルーバ32の一部は、熱風導入口13から外槽6に向かって突出し、且つ突出した部分が熱風導入口13の風上側に屈曲していることが好ましい。熱風導入口13から外槽6側へ突出した部分においてルーバ32を熱風導入口13の風上側に屈曲させることによって、熱風12を熱風導入口13から内槽4の内部へより導入し易くなる。
【0043】
(高分子フィルムの製造方法)
続いて、上述したオーブン1を用いた、高分子フィルムの製造方法について説明する。
【0044】
かかる製造方法においては、適切な巻芯を用い、高分子フィルムとなり得る高分子フィルム前駆体を巻芯に巻き取ってロール体を形成することが好ましい。なお、高分子フィルム前駆体とは、巻芯に巻き取れる程度のフィルム状又はシート状の形状を有し、本発明のオーブンを用いた加熱処理によって所望の高分子フィルムを形成できるものを意味する。なお、このような高分子フィルム前駆体は、そのまま巻芯に巻き取れてもよく、適切な支持基材上に形成された後に、高分子フィルム前駆体と支持基材との積層体の形態で巻き取られてもよい。
【0045】
以下では、高分子フィルムの製造方法の好適な実施形態として、支持基材として金属箔を用い、該金属箔上に高分子フィルムが積層された積層体(高分子フィルム積層体)を形成する製造方法に関して詳述する。このような、高分子フィルム積層体は金属箔を導電層として、高分子フィルムを絶縁層としてなる積層体であることから、電気・電子分野に係る部材として極めて有用である。この高分子フィルム積層体の製造方法では、まず、金属箔2上に高分子フィルム前駆体からなる前駆体層14が形成された積層体10を巻き取ってロール体100を形成する(図4参照)。
【0046】
前駆体層14は、熱処理によって上述した高分子フィルムを形成し得る層であり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリイミドベンゾオキサゾール等の製造におけるイミド閉環を生じる前の前駆体化合物を含む層や、熱処理前の芳香族液晶ポリエステルを含む層から構成される。金属箔1は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属からなる箔、薄膜、シート状フィルム等から構成される。
【0047】
ロール体100を形成するために積層体10を巻き取る際は、巻き取られる積層体10同士の間に挟まれるように、積層体10の巻き取り方向と交差する方向の両端に位置する辺に沿ってそれぞれスペーサー30を配置した後に、積層体10を巻き取ることが好ましい(図4参照)。スペーサー30を用いているため、巻き取りによる積層体10同士の癒着を確実に防止することができる。
【0048】
スペーサー30は、その長手方向において連続する凹凸形状を有することが好ましい。スペーサー30が凹凸形状を有することによって、ロール体100の両端において、積層体10同士の間隙と通じる通気孔が形成される。その結果、ロール体100をオーブン1の内槽4内で熱処理する工程において、熱風導入口13から内槽4内に導入された熱風12が、ロール体100の両端に開いた通気孔を介して、ロール体100の内部(巻き取された積層体10同士の間)に侵入し、排気口16の側へ通過することができる。その結果、ロール体100の内部が均一に加熱されるため、加熱むらのない均質な高分子フィルム積層体を得易くなる。
【0049】
このようにして形成されたロール体100を、上述のオーブン1で熱処理して、金属箔2上に高分子フィルムが形成された高分子フィルム積層体を得る。ロール体100は内槽4内のワーク受け22に設置した状態で、熱処理される(図1、2参照)。ロール体100に対する熱処理時の処理温度は、通常、200℃〜350℃の範囲であり、用いる前駆体層14の種類等に応じて、適宜決定すればよい。
【0050】
熱処理後には、ロール体100を冷却し、このロール体100から高分子フィルム積層体1を繰り出し、更に必要に応じて切断や、スペーサー30の除去等を行うことで、実用に即した形状の高分子フィルム積層体が得られる。
【0051】
上述した高分子フィルム積層体のうち、特に高分子フィルムが液晶ポリエステルから構成されてなる高分子フィルム積層体は、高周波特性に優れ、また低吸水性を有するものであるので、近年種々の用途に期待されている。例えば、液晶ポリエステルからなる高分子フィルムを備えた高分子フィルム積層体は、高周波プリント配線基板、高周波ケーブル、通信機器回路、パッケージ用基板等の用途に好適に用いることができる。本発明のオーブンを用いた加熱処理によって、液晶ポリエステルからなる高分子フィルムを備えた高分子フィルム積層体において高分子フィルムが優れた機械強度を有することが可能となり、且つ高分子フィルム−金属箔間に優れた接着強度を有する高分子フィルム積層体を効率的に生産することが可能となる。
【0052】
本実施形態では、内槽4内に設置されたロール体100に多量の熱気が比較的均一に供給される。その結果、ロール体100全体が均一に加熱され、加熱むらのない均質な高分子フィルム積層体を得ることができる。例えば、高分子フィルム前駆体として好適な芳香族液晶ポリエステル等を用いた場合、従来のオーブンでは内槽の昇温過程において温度がオーバーシュートして芳香族液晶ポリエステルが熱分解されたり、加熱むらが生じて所望の特性を有する芳香族ポリエステルフィルムが部分的に形成されなかったりする不都合が生じるが、本実施形態ではこれらの不都合を良好に回避することができる。
【0053】
また本実施形態では、ロール体100に効率的に熱気が供給され、比較的熱風風速を速めることができるため、ロール体100への熱伝達速度が従来よりも大きく、ロール体100の加熱に係る処理時間の短縮化を図ることができる。そのため、本実施形態では、加熱むらのない均質な高分子フィルム積層体を短時間で得ることができる。仮にロール体100の寸法が大きく、ロール体100の熱容量が大きい場合であっても、ロール体100への熱伝達速度が大きく、温度分布が均一な内槽4内でロール体100を加熱するため、短時間で大量の高分子フィルム積層体を得ることができる、このように、本実施形態では、高分子フィルム積層体の生産性が向上する。
【0054】
従来のオーブンを用いた、高分子フィルム積層体の製造方法では、ロール体100の加熱中に随時可動式の風向板の傾きを調整することにより槽内の温度分布を調整しなければならなかったため、ロール体100の加熱工程が煩雑とであり、また風向板の動作にエネルギーを消費した。一方、本実施形態においては、可動式の風向板を用いることなく、熱風導入口13及び集風板(第1集風板18及び第2集風板26)によって容易にロール体100に与えられる熱履歴の分布を均一にし、且つ安定させることができる。
【0055】
以上、本発明に係るオーブン、及び当該オーブンを用いた高分子フィルム積層体の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、オーブン1において、第1側壁4aに垂直な方向から見て、第1集風板18が熱風導入口13の縁に沿って曲線状に形成されていてもよい(図5参照)。この場合も、上述した実施形態と同様に、第1集風板18が設置されていない場合に比べて内槽4内により多くの熱気が供給され、ロール体100に与えられる熱履歴の分布をより均一且つ安定にすることができる。また、第1集風板18が熱風導入口13の縁に沿って曲線状に形成されているため、熱風導入口13が曲線状でない場合に比べて、ガスの淀みが更に抑制され、充分な熱風12を熱気導入口13から内槽4内へ導入することができる。
【0057】
また、第1集風板18が、第1側壁4a対して垂直に配置されていてもよい(図6、7参照)。つまり、第1集風板18が、熱風導入口13の風上側へ傾かず、また、第1側壁4aに垂直な方向から見た第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲していなくてもよい。また、第1集風板18が熱風導入口13の風上側へ傾いているだけであり、第1側壁4aに対して垂直な方向から見た第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲していなくてもよい(図8参照)。これらの場合も、第1集風板18を備えないオーブンに比べて、ロール体100に与えられる熱履歴の分布をより均一にし、且つ安定させることができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
実施例1で準備したオーブンは、図6、7に示すようにオーブン1において、熱風導入口13の側と同様に、排気口16の側にも第1集風板および第2集風板に相当する構造を有する風向板を更に設置させた。また、実施例1のオーブンでは、第1集風板18が第1側壁4aに対して垂直であり、排気口16側の風向板は第2側壁4bに対して垂直であった。実施例1のオーブンが備える内槽4は、1000mm×1000mm×1000mmの立方体であった。内槽4と外槽6との間隔は90mmであった。熱風導入口13の口径はφ397mmであり、その開口面積は、1238cmであった。また、第1集風板18の厚さは0.1mmであった。
【0060】
(実施例2)
実施例2では、図6、7に示すオーブン1を準備した。実施例2のオーブン1における各部位の材質、寸法、及び形状は、排気口16側に風向板を備えない点を除いて実施例1のオーブンと同様とした。
【0061】
(実施例3)
実施例3では、図1、2に示すオーブン1からルーバ32を除いた構造を有するオーブンを準備した。実施例3のオーブン1における各部位の材質、寸法、及び形状は、第1集風板18を熱風導入口13の風上側に45度傾かせた点、及び第1側壁4aに垂直な方向から見て、熱風導入口13の風上側と反対側から熱風導入口13を挟み込むように、第1集風板18を45度屈曲させた点を除いて、実施例1のオーブンと同様とした。
【0062】
(実施例4)
実施例4では、図8、9に示すオーブン1を準備した。実施例4のオーブン1における各部位の材質、寸法、及び形状は、第1側壁4aに垂直な方向から見た第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲していない点を除いて、実施例3のオーブンと同様とした。
【0063】
(比較例1)
比較例1では、図10、11に示すオーブン101を準備した。比較例1のオーブン101では、実施例1〜4のオーブンとは対照的に、第1集風板、第2集風板、第3集風板、及びルーバのいずれも具備させなかった。また、比較例1のオーブン101では、図11に示すように、第1側壁4aには、口径φ22mmの円形通風孔102を364個、縦横に形成した。第1側壁4aに形成された円形通風孔102の開口面積の合計は、1688cmであった。また、比較例1のオーブン101では、第1側壁4aとほぼ同様に、第2側壁4bに、口径φ22mmの円形通風孔102を374個縦横に形成した。第2側壁4bに形成された円形通風孔102の開口面積の合計は、1726cmであった。以上の点を除いて、比較例1のオーブン101における各部位の材質、寸法、及び形状は、実施例3のオーブンと同様とした。
【0064】
(比較例2)
比較例2では、第1集風板、第2集風板、及びルーバを備えないこと以外は実施例3と同様のオーブンを準備した。
【0065】
[風速測定試験]
実施例1、2、及び比較例1、2の各オーブンを用いて、内槽4内における風速の測定試験を行った。風速の測定は、内槽4内の風上側におけるワーク受け22の中央部と、内槽4内の風下側におけるワーク受け22の下部(風向板29の下端近傍に相当する位置)の2箇所に、熱線風速計(日本カノマックス社製、アネモマスターMODEL6112)を設置して行った。なお、風速測定試験では、内槽4内にロール体100を設置しなかった。また、風速測定試験では、まず、オーブン内部に窒素ガスを充填し、オーブン内部の気圧を微加圧とし、オーブン内部の温度を約32℃に維持した。次に、ファンインバーターを稼動させて熱風を発生させ、風上側風速及び風下側風速を測定した。なお、風上側風速とは、内槽4内の風上側におけるワーク受け22の中央部で測定した風速を意味し、風下側風速とは、内槽4内の風下側におけるワーク受け22の下部で測定した風速を意味する。
【0066】
実施例1の風上側風速は6.4m/秒であり、風下側風速は0.88m/秒であった。実施例2の風上側風速は7.2m/秒であり、風下側風速は1.0m/秒であった。比較例1の風上側風速は1.8m/秒であり、風下側風速は0.4m/秒であった。比較例2の風上側風速は6.7m/秒であり、風下側風速は1.2m/秒であった。これらの測定結果から、第1側壁4aに熱風導入口13が形成された実施例1〜4、及び比較例2では、第1側壁4aに多数の円形通風孔102が形成された比較例1に比べて、風上側風速、及び風下側風速のいずれも大きいことが確認された。
【0067】
また、風上の熱風導入口13の側にのみ第1集風板18および第2集風板26が設置された実施例2では、風下の排気口16の側にも第1集風板および第2集風板に相当する風向板が設置された実施例1に比べて、風上風速及び風下風速が共に大きいことが確認された。したがって、風速測定試験においては、風下の排気口16の側に第1集風板および第2集風板に相当する風向板を設置したことによる好ましい効果は確認されなかった。
【0068】
[温度差測定試験]
実施例1〜4、及び比較例1、2の各オーブンを用いて、内槽4内のガス置換、昇温、温度保持及び降温の各過程を連続的に行った。ガス置換過程では、1時間、内槽4内のプログラム温度(所望の温度)を30℃に維持する操作を行った。このガス置換過程では、オーブン内部のガスを、窒素ガスに置換した。次に、昇温過程では、2時間で、内槽4内のプログラム温度を30℃から320℃まで連続的に上昇させる操作を行った。次に、温度保持過程では、1時間、内槽4内のプログラム温度320℃に維持する操作を行った。次に、降温過程では、加熱手段を停止して、2時間で、内槽4内のプログラム温度を320℃から30℃まで連続的に下降させた。なお、内槽4内のガス置換、昇温、温度保持及び降温の各過程は、後述する温度測定のために熱電対を設置する便宜上、内槽4内にロール体100を設置することなく行った。
【0069】
各過程において、内槽4内の3つの測定点にそれぞれ設置した各熱電対によって、各測定点の温度を経時的に測定した。内槽4内の温度の測定は、内槽4内にロール体100を設置した場合にロール体の上部100aが位置する箇所(以下、上部と記す。)、ロール体の中央部100bが位置する箇所(以下、中央部と記す。)、及びロール体の下部100cが位置する箇所(以下、下部と記す。)の3箇所で行った(図1参照)。また、プログラム温度を制御するための熱電対を、内槽4内における風上側(ワーク受け22と第1側壁4aの中間近傍)に設置した。
【0070】
上述の方法で、実施例1〜4、及び比較例1、2それぞれのオーブンにおいて、上部、中央部、及び下部の各温度を測定した。
【0071】
内槽4内のガス置換、昇温、温度保持、及び降温の各過程では、上部、中央部、下部の各温度が、{(プログラム温度)−5}℃から{(プログラム温度)+5}℃の範囲(以下、許容温度範囲と記す。)内に維持されることが好ましい。ロール体100全体を均一に加熱し、加熱むらのない均質な高分子フィルム積層体を得るためには、上記の許容温度範囲が要求される。
【0072】
次に、測定された上部、中央部、下部の各温度と、プログラム温度との温度差(以下、プログラムとの温度差と記す。)、上部、下部の各温度と、中央部の温度との温度差(以下、中央との温度差と記す。)、各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差(以下、位置による温度差と記す。)、及びこれらの時間変化等を求めた。
【0073】
プログラムとの温度差、中央との温度差、及び位置による温度差は、それぞれ小さいほど好ましい。プログラムとの温度差、中央との温度差、及び位置による温度差が小さいほど、内槽4内において本来ロール体100が設置される領域の温度分布がより均一であることを意味する。
【0074】
また、内槽4内のガス置換、昇温、温度保持、及び降温の各過程において、位置による温度差が5℃以上となった時間の合計値(単位:hour、以下、温度不均一時間と記す。)、及び各過程の所要時間に対する温度不均一時間の割合(単位:%、以下、温度不均一率と記す。)は、いずれも小さいほど好ましい。温度不均一時間、及び温度不均一率がそれぞれ小さいほど、内槽4内において本来ロール体100が設置される領域の温度分布がより均一であり、且つ、より安定であることを意味する。
【0075】
実施例1の結果を、表1及び図12〜14に示す。実施例2の結果を、表2及び図15〜17に示す。実施例3の結果を、表3及び図18〜20に示す。実施例4の結果を、表4及び図21〜23に示す。比較例1の結果を、表5及び図24〜26に示す。比較例2の結果を、表6及び図27〜29に示す。
【0076】
【表1】



【0077】
【表2】



【0078】
【表3】



【0079】
【表4】



【0080】
【表5】



【0081】
【表6】



【0082】
実施例1〜4は、比較例1、2に比べて、昇温、温度保持、及び降温の各過程において、温度不均一時間が短く、また、温度不均一率も小さかった。すなわち、実施例1〜4では、比較例1、2に比べて、内槽4内において本来ロール体100が設置される領域の温度分布が均一であり、且つ安定していることが確認された。また、比較例2の下部では、温度保持過程の初期において、約340℃の大きなオーバーシュートが発生したことに対して、実施例1〜4では、このようなオーバーシュートが抑制されていることが確認された。特に、第1集風板18が熱風導入口13の風上側へ傾いている実施例4と、第1集風板18が熱風導入口13の風上側へ傾いており、且つ第1側壁4aに垂直な方向から見た第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲している実施例3においては、オーバーシュートを抑制する効果が特に大きく、温度保持過程の初期における最大温度が許容温度範囲の上限値325℃より低いことが確認された。
【0083】
第1集風板18が熱風導入口13の風上側へ傾いている実施例4、及び、第1集風板18が熱風導入口13の風上側へ傾いており、且つ第1側壁4aに垂直な方向から見た第1集風板18の両端が熱風導入口13の風上側へ屈曲している実施例3では、第1集風板18が屈曲することなく第1側壁4a対して垂直に設置された実施例1、2に比べて、温度保持過程において内槽4内の温度が許容温度範囲の315〜325℃に維持され易く、また、プログラムとの温度差が5℃未満で小さいことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るオーブンの概略断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のオーブンにおけるII−II概略断面図であり、図2(b)は、図2(a)の拡大図である。
【図3】図3は、図1のオーブンが備える第1集風板及び第2集風板の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る高分子フィルムの製造方法において、金属箔上に高分子フィルム前駆体からなる前駆体層が形成された積層体を巻き取って形成されたロール体の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態に係るオーブンの、内槽の第1側壁に平行な概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係るオーブンの概略断面図である。
【図7】図7は、図6のオーブンにおけるVII−VII概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に係るオーブンの概略断面図である。
【図9】図9は、図8のオーブンにおけるIX−IX概略断面図である。
【図10】図10は、比較例1のオーブンの概略断面図である。
【図11】図11は、図10のオーブンにおけるXI−XI概略断面図である。
【図12】図12(a)は、実施例1の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図12(b)は、図15(a)の拡大図である。
【図13】図13(a)は、実施例1の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図13(b)は、実施例1の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図14】図14(a)は、実施例1の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図14(b)は、図14(a)の拡大図である。
【図15】図15(a)は、実施例2の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図15(b)は、図15(a)の拡大図である。
【図16】図16(a)は、実施例2の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図16(b)は、実施例2の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図17】図17(a)は、実施例2の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図17(b)は、図17(a)の拡大図である。
【図18】図18(a)は、実施例3の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図18(b)は、図18(a)の拡大図である。
【図19】図19(a)は、実施例3の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図19(b)は、実施例3の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図20】図20(a)は、実施例3の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図20(b)は、図20(a)の拡大図である。
【図21】図21(a)は、実施例4の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図21(b)は、図21(a)の拡大図である。
【図22】図22(a)は、実施例4の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図22(b)は、実施例4の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図23】図23(a)は、実施例4の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図23(b)は、図23(a)の拡大図である。
【図24】図24(a)は、比較例1の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図24(b)は、図24(a)の拡大図である。
【図25】図25(a)は、比較例1の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図25(b)は、比較例1の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図26】図26(a)は、比較例1の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図26(b)は、図26(a)の拡大図である。
【図27】図27(a)は、比較例2の温度差測定試験で測定したプログラム温度、上部、中央部、及び下部の各温度の時間変化を示すグラフであり、図27(b)は、図27(a)の拡大図である。
【図28】図28(a)は、比較例2の温度差測定試験での実測温度とプログラム温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図28(b)は、比較例2の温度差測定試験で測定した上部、下部の各温度と中央部の温度との温度差の時間変化を示すグラフである。
【図29】図29(a)は、比較例2の温度差測定試験の各測定時点における上部、中央部、下部の各温度のうち、最高温度と最低温度との温度差の時間変化を示すグラフであり、図29(b)は、図29(a)の拡大図である。
【符号の説明】
【0085】
1・・・オーブン、4・・・内槽、4a・・・第1側壁、4b・・・第2側壁、6・・・外槽、8・・・加熱手段、9・・・送風手段、12・・・熱風、13・・・熱風導入口、16・・・排気口、18・・・第1集風板、26・・・第2集風板、100・・・被加熱物(ロール体)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側壁に熱風導入口が形成され、前記第1側壁に対向する第2側壁に排気口が形成された内槽と、
前記内槽を内包する外槽と、
前記内槽と前記外槽との間隙に位置する加熱手段と、
前記内槽と前記外槽との間隙に位置し、前記加熱手段で加熱された気体を熱風として前記熱風導入口を介して前記内槽内を通過させ、前記排気口を介して前記内槽と前記外槽との間隙に還流させる送風手段と、
前記第1側壁と前記外槽との間隙において前記熱風導入口の周りに位置し、前記熱風導入口を挟んで前記熱風の上流側と反対側において前記熱風に対向する第1集風板と、
前記第1側壁と前記外槽との間隙において前記熱風導入口の風上側に位置し、前記熱風の循環方向に沿って配置されて互いに対向する一対の第2集風板と、を備え、
前記熱風導入口の開口面積が、前記内槽内に設置される被加熱物を前記第1側壁に投影した面積よりも大きく、
前記熱風導入口の位置は、前記第1側壁に垂直な方向から見て、前記被加熱物の全体が、前記熱風導入口の内側に収まるように配置されていることを特徴とするオーブン。
【請求項2】
前記第1集風板が、前記熱風導入口の風上側へ傾いていることを特徴とする請求項1に記載のオーブン。
【請求項3】
前記第1側壁に対して垂直な方向から見て、前記第1集風板の両端が、前記熱風導入口の風上側へ屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載のオーブン。
【請求項4】
前記第1側壁に対して垂直な方向から見て、前記第1集風板が前記熱風導入口の縁に沿って配置されていることを特徴とする特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオーブン。
【請求項5】
一対の前記第2集風板の間隔が、前記熱風導入口に向かって徐々に狭くなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオーブン。
【請求項6】
前記熱風導入口を囲み、前記第1側壁から前記内槽の内部へ突出する筒状の第3集風板を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオーブン。
【請求項7】
筒状の前記第3集風板の内側に位置するルーバを更に備えることを特徴とする請求項6に記載のオーブン。
【請求項8】
高分子フィルムの前駆体を巻き取ってロール体を形成する工程と、
前記ロール体を、請求項1〜7のいずれかに記載のオーブンにおける前記内槽内で熱処理して、前記高分子フィルムの前駆体を前記高分子フィルムに転化させる工程と、を備えることを特徴とする高分子フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−47358(P2009−47358A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213981(P2007−213981)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】