説明

カチオン性界面活性剤化合物、そのコンディショナーとしての使用、並びにこれを含む美容処理方法及び化粧品もしくは医薬品組成物

本願は、新規なカチオン性界面活性剤化合物、特に髪用コンディショニング剤としてのその使用、特に髪のための、前記化合物を使用する美容処理方法、並びに、特に髪用の、前記界面活性剤を含む化粧品または医薬品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカチオン性化合物、これを含む化粧品組成物、及びその使用、特に、髪の美容処理のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
敏感化した髪、特に、環境要因の作用下で、または機械的及び/または化学的処理、例えば、染色操作、漂白操作、パーマ操作の作用下で様々な程度に傷んだ、且つ/または脆化した髪は、しばしばもつれ解き及びスタイリングが困難であり、且つ、柔らかさに欠ける。
【0003】
コンディショニングカチオン性界面活性剤を含む化粧品組成物、例えば、US2006/0078529に記載のものが、既に、ケラチン物質、特に、髪の処理用に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US2006/0078529
【特許文献2】FR2869902
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Takai et al., JOC, 1994, 59, 2671-2673; and Tanaka et al., Bioorganic Chemical Chemistry Letters, 13, 2003, 1037-1040
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、こうした組成物は、依然として所望の化粧品品質、特に、官能特性、特に、処理後の髪の感触に関する品質を持たない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実際のところ、出願人は、予期せぬことに、且つ驚くべきことに、非常に特殊なカチオン性化合物が、特に、組成物が濡れた髪に適用された場合の髪のしなやかさの改善、及びその後のリンス後にも依然として改善されたしなやかさを呈して、ごわつかない髪の達成に関して、髪に有利なコンディショニング特性を付与できることを見出した。こうした髪のしなやかさの付与は、本発明による組成物について特に注目すべきである。
【0008】
さらにまた、しなやかさに加えて、これらの組成物は、また、もつれ解き、滑化、櫛とき性能、及び髪の扱い易さを改善することができる。髪の成形はより容易であり、髪の感触は非常に快く、且つ柔らかである。
【0009】
更に、本発明による化合物は、水性化粧品媒質に容易に担持させることができ、このためその使用は容易である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
然るに、本発明の主題は、以下に定義される式(I)または(II)の化合物である。
【0011】
本発明の別の主題は、生理学的に許容される媒質中に、以下に定義される式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物を含む、化粧品または医薬品組成物である。
【0012】
本発明の別の主題は、以下に定義される式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物、または以下に定義される組成物の、ヘアーコンディショニング剤としての使用である。
【0013】
然るに、本発明による化合物は、式(I)または(II):
【化1】

[式中、
・mは、1乃至10の整数であり;
・nは、0乃至10の整数であり;
・Xは、O、NH、またはSを表し;
・R1、R2、及びR3は、互いに独立に、直鎖状C1-C22もしくは分枝状C3-C28アルキル基、または直鎖状C2-C22もしくは分枝状C3-C28アルケニル基を示し、これらの基は、ヒドロキシル(-OH)及びアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって任意に置換されており、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され;あるいはまた、
R1及びR2は、これらの結合する窒素原子と共に、飽和もしくは不飽和の、5員環もしくは6員環である炭素含有複素環を形成し、1つもしくは2つの非隣接炭素原子は、酸素、窒素(-NR”)によって任意に置換されていてよく、ここでR” = HまたはC1-C22アルキル、または硫黄原子であり、前記複素環は、アリール、C1-C22アルキル、ヒドロキシル、またはアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって任意に置換されていてよく、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され、R3は、任意に上記定義を有し;
・R4は、
−それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一または相違する飽和もしくは不飽和の炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキル基(飽和)(前記環は、C1-C6アルキル、ヒドロキシル(-OH)、及びアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって、それ自体が任意に置換されたアリールによって、任意に置換されており、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され;R4が2または3の炭素原子含有環を含むアルキル基を示す場合は、前記環は二価のメチレンまたはエチレン基によって互いに分離されることが理解される);または
−5または6員環である、飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を、鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキルまたはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)
であり、
・R5は、水素原子またはORまたはNRR’基であり、ここで、R及びR’は、H及びC1-C6アルキルから互いに独立に選択され(mが2以上である場合は、R5基は同一または相違することが理解される);
・An-は、式(II)の化合物の電気的中性を確保するための、有機もしくは無機のアニオン、または有機もしくは無機のアニオンの混合物を示す]
の化合物に相当する。
【0014】
好ましくは、mは、1乃至4の整数、特に、1、2、または3、好ましくは、1または2である。
好ましくは、nは、0乃至4の整数であり、特に、0、1、2、または3、好ましくは、0または1である。
好ましくは、Xは、OまたはNHを表す。
【0015】
好ましくは、R1は、直鎖状C1-C4アルキルもしくは分枝状C3-C4アルキル基、または直鎖状C2-C4アルケニルもしくは分枝状C3-C4アルケニル基を示す。好ましくは、R1は、メチルまたはエチルを表す。
【0016】
好ましくは、R2は、直鎖状C1-C4アルキルもしくは分枝状C3-C4アルキル基、または直鎖状C2-C4アルケニルもしくは分枝状C3-C4アルケニル基を示す。好ましくは、R2は、メチルまたはエチルを表す。
【0017】
好ましくは、R3は、直鎖状C1-C22アルキルもしくは分枝状C3-C22アルキル基、または直鎖状C2-C22アルケニルもしくは分枝状C3-C22アルケニル基を示す。好ましくは、R3は、直鎖状C1-C18アルキル基を表す。
【0018】
好ましくは、R4は、
−それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一または相違する飽和もしくは不飽和の炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状C4-C22アルキル基;好ましくは、それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一の飽和炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状C12-C21アルキル基(前記アルキル基は、とりわけ、1乃至3のシクロプロピル環が割り込んだものであり、2または3の環が存在する場合は、これらが二価のメチレン-CH2-基によって互いに分離されていることが理解される);または
−5員環である、飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を、鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C21アルキルまたはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)
を示す。
【0019】
特に、R4は、鎖中に以下の二価の配列:
【化2】

の1つが割り込んだ、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキル基、または
5員環である、飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を、鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C21アルキルまたはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)
であってよい。
【0020】
好ましくは、R5は、水素原子またはヒドロキシル(OH)基を示す。
【0021】
好ましくは、An-は、アニオン、または、アセテート、ラクテート、タルトレート、シトレート、ハライド、SO42-、HSO4-、MeSO4-、EtSO4-、メシレート、及びトシレート、特に、Cl-、Br-、MeSO4-、EtSO4-、メシレート、及びトシレート、並びにこれらの混合物を示す。
【0022】
式(II)の化合物は、それ自体で、または溶媒和物の形態で、特に、水和物の形態で、使用することができる。
【0023】
式(I)または(II)の化合物は、単独でまたは混合物として使用することができる。
【0024】
式(I)または(II)の好ましい化合物の中では、以下の化合物、その塩または溶媒和物を、単独で、または混合物として挙げてよい。
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【0025】
式(I)または(II)の別の好ましい化合物の中では、以下の化合物、その塩または溶媒和物であり、これらの化合物が、単独で、または混合物として使用可能なことが理解される。
【化3E】

【化3F】

【化3G】

【化3H】

【0026】
好ましい実施態様では、本発明による化合物の混合物、特に、以下の混合物を使用することができる。
− 3-(ジメチルアミノ)プロピル 13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノエート+3-(ジメチルアミノ)プロピル 11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノエート+3-(ジメチルアミノ)プロピル (6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノエートの混合物、特に、40/55/5の割合の混合物;
− 13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデカンアミド+11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウンデカンアミド+(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデス-6-エナミドの混合物、特に、40/55/5の割合の混合物;
− 2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 11-シクロペンチルウンデカノエート及び2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 13-シクロペンチルトリデカノエートの混合物、特に、50/50の割合の混合物;
− 3-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)アミノ]-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- 及び3-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)アミノ]-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An-の混合物、特に、50/50の割合の混合物(An-は、好ましくは、メチルスルフェートを表す);
− N-{3-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)オキシ]プロピル}-N,N-ジメチル ヘキサデカン-1-アミニウム An- 及びN-{3-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)オキシ]プロピル}-N,N-ジメチルヘキサデカン-1-アミニウム An-の混合物(An-は、好ましくは、ブロマイドを表す)、特に、50/50の割合の混合物;
− 3-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)オキシ]-2-ヒドロキシN,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- 及び3-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)オキシ]-2-ヒドロキシN,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An-の混合物(An-は、好ましくは、クロライドを表す)、特に、50/50の割合の混合物;
− 3-({13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An-の混合物、特に、40/55/5の割合の混合物(An-は、好ましくは、メチルスルフェートを表す);
− 3-({13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An-の混合物、特に、40/55/5の割合の混合物(An-は、好ましくは、メチルスルフェートを表す);
− 2-{2-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)オキシ]エトキシ}-N,N,N-トリエチルエタンアミニウムAn- +2-{2-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)オキシ]エトキシ}-N,N,N-トリエチルエタンアミニウムAn-の混合物(An-は、好ましくは、エチルスルフェートを表す)、特に、50/50の割合の混合物;
− 3-({13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノイル}オキシ)-2-ヒドロキシN,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノイル}オキシ)-2-ヒドロキシN,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An- +3-({(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノイル}オキシ)-2-ヒドロキシN,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム An-の混合物(An-は、好ましくは、クロライドを表す);
− 11-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウンデカンアミド及び13-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデカンアミドの混合物、特に、50/50の割合の混合物。
【0027】
本発明による化合物(I)及び(II)は、当業者によって、その一般的知識に基づいて調製可能である。
【0028】
化合物(I)の合成は、特に、特許FR2869902に記載の方法に従って実施可能なものがある。
【0029】
化合物(II)には、下記の合成スキーム:
【化4】

にしたがって調製可能なものがある。
【0030】
第四級化エステル(II)は、アミン(I)とアルキル化剤、例えば、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、ヨウ化エチル、硫酸ジエチル、またはハロアルカン、例えば、ブロモヘキサデカンとを反応させることにより得られる。第三級アミン(I)とアルキル化剤は、混合し、15乃至140℃に2乃至80時間に亘り加熱してよい。冷却後、過剰のアルキル化剤はジイソプロピルエーテルでの洗浄操作により除去してよい。生じる固体は、好ましくは不活性雰囲気下で、濾過して取り、洗浄し、減圧下で、任意にP2O5の存在下で乾燥させて良い。
【0031】
反応の完了にあたり、イオン交換を、所望の交換によって選択したイオン交換樹脂との接触により行って良い。これらの樹脂は、例えば、IRA402(アルキルスルフェートからクロライドへの交換)またはIRA400(ヨウ化物から塩化物への交換)である。然るに、化合物の水性または(水性)アルコール性溶液をイオン交換樹脂で処理することにより、アニオンを交換することができる。溶媒は除去して良く、生成物は、例えば、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで濾過し、減圧下で、任意にP2O5の存在下で乾燥させて良い。
【0032】
式(I)または(II)において、R4が、5員環である飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキルもしくはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)を示す化合物は、大風子油から出発し、鹸化に次いでエステルの活性化、及び縮合によって調製可能である。
【0033】
大風子油は、イイギリ(Flacourtiaceae)科に属する、熱帯地域の大本、特に、Hydnocarpus wightiana及びTaraktogenos kurzii等のタイプの木の種子から抽出される精油である。これらの植物は、本来アジア由来であり、特に、インド、ベトナム、及びフィリピン原産、さらに中央アフリカ原産、及び南米、特に、ブラジル原産である。
【0034】
大風子油が抽出される種子は、高比率の脂質、一般的に、30乃至50%、種によって、15乃至20%の蛋白質及びその加水分解生成物、及び4乃至6%の鉱物質、更に、1乃至3%の非鹸化性物質、ペンテン環を含む不飽和脂肪酸のグリセリドであって、本質的に下式:
【化5】

のショールムーグリン酸、ヒドノカルピン酸、及びゴルル酸を含むものを含む。
【0035】
これら三種の酸の各含量は、その種の由来に依存する。ショールムーグリン油もまた、パルミチン、オレイン、パルミトレイン、ステアリン、及びミリスチンタイプの脂肪酸、並びに微量のアレプル酸及びアレプリル酸(aleprilic acid)を含むことが判明している。
【0036】
本発明の組成物中に使用されるショールムーグリン油は、多様な植物、例えば、
・ ヒドノカルプス ウィチアナ(Hydnocarpus wightiana)、
・ 緬甸大風子(Taraktogenos kurzii)、
・ ヒドノカルプス アルピナ(Hydnocarpus alpina)、
・ ヒドノカルプス アンテルミンティカ(Hydnocarpus anthelmintica)、
・ ヒドノカルプス カウリフローラ(Hydnocarpus cauliflora)、
・ ヒドノカルプス ドーネンシス(Hydnocarpus dawnensis)、
・ ヒドノカルプス ヘテロフィラ(Hydnocarpus heterophylla)、
・ ヒドノカルプス ハチンソニー(Hydnocarpus hutchinsonii)、
・ ヒドノカルプス オボイデア(Hydnocarpus ovoidea)、
・ ヒドノカルプス サブファルカータ(Hydnocarpus subfalcata)、
・ ヒドノカルプス ベネナータ(Hydnocarpus venenata)、
・ ヒドノカルプス ベルーコサ(Hydnocarpus verrucosa)、
・ ヒドノカルプス ウッディー(Hydnocarpus woodii)、
・ ヒドノカルプス カルビペタラ(Hydnocarpus calvipetala)、
・ ヒドノカルプス イリキフォリア(Hydnocarpus ilicifolia)、
・ ヒドノカルプス オクタンドラ(Hydnocarpus octandra)、
・ ギノカルジア オドラータ(Gynocardia odorata)、
・ オンコバ エキナータ(Oncoba echinata)、
・ カロンコバ グラウカ(Caloncoba glauca)、
・ カロンコバ ウェルウィッチー(Caloncoba welwitschii)、
・ カルポットロシェ ブラジリエンシス(Carpotroche brasiliensis)、
・ カルポットロシェ アマゾニカ(Carpotroche amazonica)、
・ アステリアスティグマ マクロカルパ(Asteriastigma macrocarpa)、
・ メイナ オドラータ(Mayna odorata)、及び
・ リンダクケリア デンタータ(Lindackeria dentata)
の種子から抽出することができる。
【0037】
大風子油中に存在する三種の主な酸は、本発明による式(I)の化合物の幾つかに該当する、対応する完全に水添された酸を生成させるために、標準的触媒水添条件下で水添することができる。
・下式:
【化6】

の11-シクロペンチルウンデカン酸
・下式:
【化7】

の13-シクロペンチルトリデカン酸
【0038】
(I)または(II)の本発明による化合物は、化粧品または医薬品の分野、特に、髪の分野において、特に、コンディショニング剤として非常に特段の応用を有する。
【0039】
組成物中に存在する、単独で、または混合物としての化合物(I)または(II)の量は、むろん組成物のタイプ及び所望の特性に依存し、且つ、組成物全質量に対して、0.01乃至50質量%の非常に広い範囲内、好ましくは、0.1乃至30質量%、特に、0.5乃至25質量%、実際のところ1乃至20質量%、更に好適には、1.5乃至10質量%であってよい。
【0040】
本発明による組成物は、明らかに、式(I)または(II)の化合物の混合物を含んで良い。
【0041】
本発明による組成物は、従来使用されている全ての製剤形態で、特に、水性、アルコール性、水性/アルコール性、または油性の溶液または懸濁液の形態、ローションまたはセラムタイプの溶液または分散液の形態、エマルション、特に、液体または半液体の稠度を有するものであって、O/W、W/O、または多相タイプのものの形態、(O/W)または(W/O)クリームタイプの柔らかな稠度を有する懸濁液またはエマルションの形態、水性または無水のゲルの形態、あるいは、別のあらゆる化粧品形態で提供することができる。
【0042】
これらの組成物は、噴霧形態(スプレー)または泡沫形態でのこの組成物の適用を行うために、ポンプ式スプレーまたはエアロゾル溶液中に実装することができる。こうした実装形態は、例えば、髪の処理のために、スプレーまたは泡沫を得ることが所望される場合に示される。こうした場合には、この組成物は、好ましくは、少なくとも1つの噴射剤を含む。
【0043】
好ましくは、この組成物は、式(I)または(Ia)の化合物を、水性相中に分散状態で、あるいは脂肪相中に溶解状態で含むエマルションの形態で提供される。
【0044】
本発明による組成物は、生理学的に許容される媒質、すなわち、ケラチン物質、特に、顔または身体の皮膚、唇、髪、睫毛、眉毛、及び爪と適合性である媒質を含む。前記生理学的に許容される媒質は、好ましくは、化粧品として許容される媒質であり、この組成物は、然るに、特に局所適用を企図した化粧品組成物である。
【0045】
前記生理学的に許容される媒質は、好ましくは、C1-C40アルコール類、炭素含有油類、水、C8-C40エステル類、C8-C40酸類、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、噴射剤、サンスクリーン、保湿剤、フケ防止剤、酸化防止剤、還元剤、酸化ベース、カップラー、酸化剤、直接染料、縮毛矯正剤、パール剤、及び乳白剤、可塑剤、または凝集剤、ヒドロキシ酸、顔料、充填剤、シリコーン、有機溶媒、ポリマー性もしくは非ポリマー性増粘剤、乳化剤、またはポリマー、特に、コンディショニングもしくはスタイリングポリマーから選択される、少なくとも1つの通常の化粧品成分を含む。前記媒質は、明らかに、以上に列挙される幾つかの化粧品成分を含むことができる。
【0046】
これらの性質及び前記組成物の目的によって、通常の化粧品成分は、当業者によって容易に決定可能な標準的な量で存在して良く、これは、各成分毎に、0.01乃至80質量%であってよい。
【0047】
この組成物は、特に、水及び/または1つもしくは複数のC1-C40アルコール類を含んで良く、特に、C1-C7脂肪族もしくは芳香族モノアルコール類、ポリオール類及びポリオールエーテル類を挙げてよく、これらは、単独で、または水との混合物として使用しても良い。有利には、この組成物は、水/エタノール、水/イソプロパノール、または水/ベンジルアルコール混合物を含む。
【0048】
炭素含有油、特に、炭化水素油、及び/またはシリコーン油は、組成物全質量に対して0.01乃至20質量%、特に、0.02乃至10質量%の割合で存在して良い。特に、植物、動物、または鉱物油であって、水添されていない、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状の、環状もしくは脂肪族の炭化水素合成油、例えば、ポリ-α-オレフィン類、特に、ポリデセン類及びポリイソブテン類、揮発性もしくは不揮発性の、有機変性または非有機変性の、水溶性もしくは水不溶性のシリコーン油、フッ化もしくは過フッ化油、並びにこれらの混合物を挙げてよい。
【0049】
8乃至40の炭素原子を有するアルコール、エステル、及び酸は、組成物全質量に対して0.01乃至50質量%、特に、0.1乃至20質量%の割合で存在して良い。
【0050】
特に、直鎖状もしくは分枝状C12-C32、特に、C12-C26の鎖を有する脂肪アルコール類、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール、またはリノレイルアルコールを挙げてよい。
【0051】
オキシアルキレン化、特に、オキシエチレン化された、C8-C40、特に、C16-C20の脂肪アルコール類、好ましくは、10乃至50molのエチルレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを含むもの、例えば、オレス-12、セテアレス-12、及びセテアレス-20、オキシプロピレン化ステアリルアルコールであって、特に15molのプロピレンオキシドを含むもの、オキシエチレン化ラウリルアルコールであって、特に7より多くのオキシエチレン基を含むもの、並びにこれらの混合物を、更に挙げてよい。
【0052】
直鎖状もしくは分枝状C16-C40鎖を有する脂肪酸、特に、18-メチルエイコサン酸、ココナッツオイル、または水添ココナッツオイル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸、及びこれらの混合物を挙げてよい。
【0053】
直鎖状もしくは分枝状鎖を有し、且つ合計で8乃至40の炭素原子を含む脂肪エステル、例えば、8乃至30の炭素原子を含む脂肪酸のモノアルコールもしくはポリオールのエステル、並びにこれらのオキシアルキレン化された、特にオキシエチレン化された誘導体であって、前記ポリオールが、好ましくは、糖、C2-C6アルキレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、ソルビタン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択されるものを更に挙げてよい。モノアルコールのエステルとしては、イソプロピルミリステートもしくはパルミテート、並びに、ミリスチル、セチル、及びステアリルのミリステート、パルミテート、及びステアレートを単独で、または混合物として挙げてよい。
【0054】
この組成物は、炭素含有油として、この組成物中に0.1乃至10質量%、特に、0.2乃至5質量%の割合で存在して良い、植物油、例えば、アボカドオイル、オリーブオイル、アプリコットオイル、アルガンオイル、ホホバオイル、またはシアバターを更に含んで良い。
【0055】
好ましい実施態様では、本発明による組成物は、とりわけ、化粧品組成物中に1乃至15質量%、特に、2.5乃至10質量%、実際に3乃至8質量%の量で存在して良い、C8-C40脂肪アルコールを含む。
【0056】
これらの脂肪アルコールは、飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状であってよく、特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リシノレイルアルコール、またはリノリルアルコールを単独でまたは混合物として挙げて良く、単独または混合物としての飽和脂肪アルコールが好ましい。
【0057】
式(I)のもの以外の非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、または双性のイオン性界面活性剤、及びこれらの混合物は、組成物の全質量に対して、0.01乃至50質量%、特に、0.1乃至40質量%、実際に0.5乃至30質量%、更に好適には1乃至15質量%の割合で存在してよい。
【0058】
特に、この組成物中の界面活性剤の量に対する脂肪アルコールの量の質量比は、好ましくは、1.5以上、特に、1.5乃至10、更には、1.6乃至8、更に好適には、1.7乃至6である。
【0059】
噴射剤は、この組成物全質量に対して5乃至90質量%の割合で、特に、10乃至60質量%の割合で存在して良い。
【0060】
サンスクリーンは、この組成物全質量に対して0.01乃至20質量%の割合で、特に、0.5乃至10質量%の割合で存在して良い。
【0061】
保湿剤は、この組成物全質量に対して0.01乃至20質量%の割合で、特に、0.1乃至7質量%の割合で存在して良い。
【0062】
フケ防止剤は、この組成物全質量に対して0.001乃至20質量%の割合で、特に、0.01乃至10質量%の割合で、好ましくは、0.1乃至5質量%の割合で、存在して良い。
【0063】
酸化防止剤は、この組成物全質量に対して0.05乃至1.5質量%の割合で存在して良い。
【0064】
還元剤は、この組成物全質量に対して0.1乃至30質量%の割合で、特に、0.5乃至20質量%の割合で存在して良い。
【0065】
酸化ベースは、この組成物全質量に対して0.001乃至10質量%の量で、好ましくは、0.005乃至6質量%の量で存在して良い。
【0066】
カップラーは、この組成物全質量に対して0.001乃至10質量%の量で、好ましくは、0.005乃至6質量%の量で存在して良い。
【0067】
酸化剤は、この組成物全質量に対して1乃至40質量%の量で、好ましくは、1乃至20質量%の量で存在して良い。
【0068】
直接染料は、この組成物全質量に対して0.001乃至20質量%の量で、好ましくは、0.01乃至10質量%の量で存在して良い。
【0069】
縮毛矯正剤は、この組成物全質量に対して0.01乃至3.5質量%の割合で、特に、0.05乃至1.5質量%の割合で存在して良い。
【0070】
パール剤及び乳白剤は、この組成物全質量に対して0.01乃至3質量%の割合で、特に、0.05乃至2.5質量%の割合で存在して良い。
【0071】
可塑剤または凝集剤は、この組成物全質量に対して0.1乃至25質量%の割合で、特に、1乃至10質量%の割合で存在して良い。
【0072】
ヒドロキシ酸は、この組成物全質量に対して1乃至10質量%の割合で、特に、2乃至5質量%の割合で存在して良い。
【0073】
顔料及び充填剤は、この組成物全質量に対して0.01乃至50質量%の割合で、特に、0.02乃至30質量%の割合で存在して良い。
【0074】
シリコーンは、揮発性または不揮発性であって良く、特に、変性であるか否かによらず、ポリオルガノシロキサン類、すなわち、ポリオルガノシロキサンオイル、ガム、及び樹脂のそれ自体を、あるいは、有機溶媒中の溶液の形態、あるいはエマルションまたはマイクロエマルションの形態のものを挙げてよい。これらは、組成物全質量に対して0.01乃至40質量%の割合で、特に、0.05乃至20質量%の量で存在して良い。
【0075】
増粘剤は、この組成物全質量に対して0.01乃至10質量%の割合で、特に、0.1乃至5質量%の割合で存在して良い。
【0076】
ポリマー、特に、水に可溶性、あるいは炭素含有油及び/またはシリコーンオイル中に可溶性であるポリマーは、この組成物全質量に対して0.01乃至20質量%の割合で、特に、0.1乃至10質量%の割合で存在して良い。
【0077】
当業者であれば、この組成物に加えられる成分及びその量を、本発明の組成物の特性を損なうことのないように、選択するであろう。
【0078】
本発明による化粧品組成物は、身体または顔の皮膚、唇、眉毛、睫毛、爪、及び髪のケア、清浄化、及び/またはメイクアップのための製品、抗日光もしくはセルフ・タンニング製品、身体用衛生製品、または髪用製品、特に、髪のケア、清浄化、スタイリング、成形、または染色のための製品の形態で提供してよい。
【0079】
特に、これは、髪の分野において、特に、ヘアスタイルの形状維持または髪の成形のため、あるいはまた、髪のケア、美容処理、または清浄化において特に有利な応用を有する。髪用組成物は、好ましくは、シャンプー、ヘアコンディショナー、スタイリングもしくはケア用ゲル、ケアローションもしくはクリーム、コンディショナー、ヘアセットローション、ブロー乾燥ローション、固定及びスタイリング組成物、例えば、ラッカーもしくはスプレー、髪の再構築ローション、髪の喪失に対抗するためのローションもしくはゲル、抗寄生虫シャンプー、フケ防止ローションもしくはシャンプー、または脂漏症の治療のためのシャンプーである。前記ローションは、この組成物の噴霧形態もしくは泡沫形態での適用を行うために、様々な形態で、特に、噴霧器、ポンプ式スプレーもしくはエアロゾル容器に実装することができる。
【0080】
これはまた、染色、漂白、パーマ、もしくは縮毛矯正操作の前または後に、あるいは、パーマ操作または縮毛矯正操作の2つの工程の間に適用される、髪の染色製品、特に、酸化染色もしくは直接染色製品の形態で、任意に、着色シャンプーの形態で、パーマ、縮毛矯正、もしくは漂白組成物の形態で、あるいは、濯ぎ落とす組成物の形態で提供することができる。
【0081】
本発明による組成物は、身体または顔の皮膚、唇、及び/または身体表面成長物のためのケア組成物、特に、保湿組成物、とりわけ、皮膚の美容処理、特に、皮膚の保湿、滑化、脱色、栄養付与、日光からの保護、または皮膚への特殊な美容処理を行うことを企図したケア製品の形態で、提供することもできる。然るに、これは、リップケアベース、口紅の固定ベース、抗日光保護もしくは人工日焼け組成物、顔用(日中、夜間、老化防止、または保湿)ケア組成物、マット化組成物、皮膚の清浄化用組成物、例えば、メイクアップ除去製品、またはバスもしくはシャワーゲル、または清浄化バーもしくは石鹸、身体衛生用組成物、特に、デオドラントまたは制汗製品、あるいはまた脱毛組成物、アフターシェーブゲル、またはアフターシェーブローションであってよい。
【0082】
これはまた、身体または顔の皮膚、唇、睫毛、爪、または髪のメイクアップのための製品、特に、ファンデーション、ブラッシャー、フェースパウダー、アイシャドウ、コンシーラー、アイライナー、マスカラ、口紅、リップグロス、リップペンシル、ネイルラッカー、ネイルケア製品、または身体の皮膚のテンポラリータトゥーのための製品の形態で提供することもできる。
【0083】
とりわけ、本発明による組成物は、ケア及び美容処理において、特に髪の保護、特に、弱った、且つ/または傷んだ髪、例えば、化学的または機械的処理によって弱った、且つ/または傷んだ髪の保護において、有利な応用を有する。特に、本発明による化合物を、髪の染色、漂白、もしくは縮毛矯正の工程後の後処理において使用することができる。
【0084】
このように、本発明の主題は、ケラチン物質、特に、身体または顔の皮膚、唇、爪、髪、及び/または睫毛の美容処理のため、特に、メイクアップ、ケア、清浄化、染色、または成形のための方法であって、本発明による少なくとも1つの化合物を含む化粧品組成物を前記物質に適用する工程を含む方法である。
【0085】
好ましくは、これは、髪のコンディショニングのための美容処理方法であって、特に、髪にしなやかさ、もつれ解き、滑らかさ、及び/または櫛とき性能をもたらすため、あるいは、髪にしなやかさ、もつれ解き、滑らかさ、及び/または櫛とき性能を改善するための美容処理方法である。
【0086】
前記組成物の適用の後には、任意に、リンス工程及び/または熱処理工程を行うことができる。
【0087】
本発明は、以下の実施例に、より詳細に詳説される。
【実施例】
【0088】
(R4が鎖中に環を含む化合物のための一般的合成方法(実施例1乃至4))
鎖中に1つもしくは複数のシクロプロパン環を含むカルボン酸の合成は、論文:Takai et al., JOC, 1994, 59, 2671-2673; and Tanaka et al., Bioorganic Chemical Chemistry Letters, 13, 2003, 1037-1040に記載された操作にしたがって行われる。
【0089】
この合成スキームは、以下のように詳説される。
【化8】

【0090】
一般的に、カルボン酸A、アミノアルコールA’、及び触媒(例えば、N,N-ジメチルアミノピリジン)を、有機溶媒、例えば、無水ジクロロメタン中で、不活性雰囲気下にて、-5℃乃至10℃の温度で撹拌する。カップリング剤、例えば、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロライドを、ゆっくりと加える。反応媒質を、好ましくは、この温度で、周囲温度に戻るまで一時間に亘って撹拌する。反応完了にあたって、反応媒質を加水分解し、次いで有機溶媒、例えば、ジクロロメタンによる抽出の後、有機相を水性溶液を用いて洗浄し、金属硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム)で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた化合物は式(I)のものであり、これは、P2O5の存在中、真空下で乾燥させて良い。
【0091】
式(II)の第四級化合物が、化合物(I)とアルキル化剤、例えば、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、ヨウ化エチル、硫酸ジエチル、またはハロアルカンとを反応させることにより得られる。必要に応じて、反応完了の際に、所望の交換によって選択されるイオン交換樹脂と接触させることにより、イオン交換を行うことができる。これらの樹脂は、例えば、IRA402(アルキルスルフェートからクロライドへの交換)またはIRA400(ヨウ化物から塩化物への交換)である。
【0092】
(R4が鎖末端に環、特に、大風子油から誘導される環を含む化合物のための一般的合成方法(実施例5乃至12))
合成スキームは以下の通りである。
【化9】

【0093】
大風子油から生じる酸Dの混合物は、前記油の鹸化によって得られる。
当業者には既知の方法によるカルボキシル官能基、例えば、式Eの酸塩化物の活性化の後、これらの酸を、アルコール、チオール、または第一級アミンA’と縮合させて、式(I)のエステル、チオエステル、またはアミドを生成させる。次いで、これらの化合物を、例えば上記のアルキル化剤と反応させて、式(II)の第四級化合物を生成させる。
【0094】
対応する飽和化合物は、水添酸の混合物H(本質的に、11-シクロペンチルウンデカン酸及び13-シクロペンチルトリデカン酸のみを含む)から、同様の方法に従って調製することができる。
【0095】
(実施例1及び2)
【化10】

【0096】
(実施例1:3-(ジメチルアミノ)プロピル 8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノエートの合成)
【化11】

3.6gの8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタン酸(12.14mmol)、1.447mlの3-(N,N-ジメチルアミノ)-1-プロパノール(12.14mmol)、及び100mlのジクロロメタンを、還流コンデンサー、温度計、滴下漏斗、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ。およそ5°Cに冷却した後、0.297gの4-ジメチルアミノピリジン(2.43mmol)を導入し、次いで、30分間の撹拌後に、4.655gの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(24.28mmol)を、温度を10℃未満に維持するために少量ずつ加えた。
【0097】
添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、その後5時間に亘って周囲温度に維持した。次に、反応混合物を300mlの水に注ぎ、100mlのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を100mlの飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した後、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス漏斗で濾過した後、減圧下で蒸発させて、4.45グラムの目標生成物を黄色オイルの形態で、96%の収率で得た。
1H NMR スペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
マススペクトル:(m/z) [M+H]+ = 382
【0098】
(実施例2: N,N,N-トリメチル-3-{[8-(2-オクチルシクロプロピル)]オクタノイル]オキシ}プロパン-1-アミニウム メチルスルフェートの合成)
【化12】

実施例1で調製した2.2グラムの3-(ジメチルアミノ)プロピル 8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノエート(5.76mmol)に次いで、15mlのテトラヒドロフラン、1.222グラムの炭酸ナトリウム(11.53mmol)、及び0.518mlの硫酸ジメチル(5.48mmol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた50mlの反応器に仕込んだ。続いて、反応混合物を周囲温度で24時間に亘って撹拌し続けた後、ガラス漏斗で濾過した。次いで、濾液を100mlのイソプロピルエーテルに注いだ。この洗浄操作を3回繰り返し、その後、生成した沈殿物をガラス漏斗で濾過して取り、乾燥させた後、2.77グラムの橙色ワックスが95%の収率で生成した。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
マススペクトル:(m/z) [M]+ = 396
【0099】
(実施例3:2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノエートの合成)
【化13】

工程1:8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタン酸の酸塩化物の合成
16.3gの8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタン酸、次いで100mlのトルエン及び10.45mlの塩化オキサリルを、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた500mlの反応器に仕込んだ。反応混合物を周囲温度で2時間に亘って撹拌し続けた。アリコートを取り、減圧下で蒸発させた後に、反応の進行をNMRで観察した。反応媒質を減圧下で蒸発させた後、8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタン酸の酸塩化物に相当する、17.2グラムの橙色を帯びた黄色のオイルが定量的収率で得られた。
【0100】
工程2:
2.63gの予め乾燥させた炭酸ナトリウム(24.81mmol)、100mlのメチルテトラヒドロフラン、及び2.13mlの2-(2-ジエチルアミノエトキシ)エタノール(12.4mmol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた500mlの反応器に仕込んだ。次いで、反応媒質を、およそ5℃の温度に冷却した後、予め調製した4.69グラムの8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタン酸の塩化物(14.88mmol)を30mlのメチルヒドロフランに溶解させた溶液を、温度をおよそ5℃に維持するために滴下により添加した。添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、12時間に亘り撹拌を続けた。次いで、反応媒質を、濾紙で濾過し、有機相を水で洗浄した。次いで、有機相を、100mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、残渣を、10グラムの塩基性アルミナと共にペーストとした。次いで濾過を行い、続く減圧下での蒸発により、5.68gの黄色オイルを生成させた。
【0101】
次いで、このオイルを、ジクロロメタン/メタノール混合物中にてシリカカラムで精製し、3.11gの2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノエートを、透明オイルの形態で、60%の収率で生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
マススペクトル:(m/z) [M+H]+ = 441
【0102】
(実施例4:N,N,N-トリエチル-2-(2-{[8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノイル]オキシ}エトキシ)エタンアミニウム エチルスルフェートの合成)
【化14】

実施例3で調製した、2グラムの2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノエート(4.55mmol)及び1.19mlの硫酸ジエチル(9.1mmol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた50mlの反応器に導入した。その後、反応混合物を、撹拌しつつ24時間に亘って周囲温度に維持した。その後、10mlのジクロロメタンを加え、ジクロロメタン/メタノール/水性アンモニア混合物中にてシリカカラムで精製を行った。
【0103】
純粋画分を蒸発させた後、2gのN,N,N-トリエチル-2-(2-{[8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノイル]オキシ}エトキシ)エタンアミニウム エチルスルフェートを、有色ペーストの形態で、74%の収率で得た。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z) [M]+ = 468
【0104】
(実施例5)
工程1:大風子油から生じる酸の混合物(本質的にヒドノカルピン酸、ゴルル酸、及びショールムーグリン酸を含む混合物)の合成
150gの水酸化カリウムを含む、600mlの95%エタノールを、900mlの水中の300gの精製大風子油(ID Bio)の懸濁物に添加した。次いで、反応混合物を、撹拌しつつ5時間に亘って80°Cの温度とし、周囲温度で一晩置いた。その後、500mlのエタノール/水混合物を減圧下で蒸発させて除き、1リットルの水を添加し、300mlのエチルエーテルで抽出を3回行って鹸化不可能な不純物を除去した。反応媒質をアイスバスで5℃に冷却した後、37%の塩酸溶液を、1.35の最終pHが得られるまで滴下した。得られた沈殿物をガラス漏斗で濾過して除き、5リットルの水で洗浄して、中性pHの水性洗浄液を得た。その後、沈殿物を35℃のオーブンで乾燥させて、290gの目標とする酸の混合物(D)を生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
GC:脂肪酸のパーセンテージの測定:
ヒドノカルピン酸:46.6%
ゴルル酸:10.3%
ショールムーグリン酸:29.3%
【0105】
(工程2:ショールムーグリン酸塩化物+ヒドノカルピン酸塩化物+ゴルル酸塩化物混合物の合成)
【化15】

工程1で得られた6gの酸の混合物を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ後、100mlのジクロロメタンを加えた。次いで、2.96mlの塩化オキサリルを加えた後、反応混合物を4時間還流させた。次いで減圧下で蒸発を行って、わずかに橙色であり、収率が100%のオーダーである、6.4グラムのオイルを生成させた。酸塩化物の混合物を、そのまま反応させる。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル:100MHz:合致
【0106】
(工程3:3-(ジメチルアミノ)プロピル 13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノエート+3-(ジメチルアミノ)プロピル 11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノエート+3-(ジメチルアミノ)プロピル (6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノエート混合物の合成)
【化16】

1.17gの3-ジメチルアミノプロパノール(0.01126mol)、1.486gのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.01126mol)、及び、更に100mlのジクロロメタンを、還流コンデンサー、温度計、滴下漏斗、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ。およそ5℃の温度に冷却した後、工程2で調製した3gの酸塩化物(0.01126mol)を50mlのジクロロメタンに溶解させた溶液を、10℃未満の温度に維持するために滴下によって導入した。
【0107】
添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、その後3時間に亘って周囲温度に維持した。次に、反応混合物を300mlの僅かに酸性の水(pH5)に注ぎ、100mlのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を100mlの飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した後、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス漏斗で濾過した後、減圧下で蒸発させた。得られた粗製の生成物を、塩基性アルミナカラムで精製し、蒸発させた後、2.5グラムの目標生成物を、白色粉末の形態で、63%の収率で得た。
1H NMR スペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
【0108】
(実施例6:3-({13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート+3-({11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート+3-({(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノイル}オキシ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート混合物の合成)
【化17】

実施例5の工程3で得た、3.1gの誘導体(0.0088mol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ後、50mlのジクロロメタンを加えた。次いで、1.11グラムの硫酸ジメチル(0.0088mol)を加えた後、反応混合物を撹拌しつつ12時間に亘って周囲温度とした。次いで、これを減圧下で蒸発させた後、得られた粗製物をイソプロピルエーテルで洗浄して、3.43グラムの目標生成物を、淡褐色ペーストの形態で、81%の収率で得た。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z):[M]+ = 352及び380
【0109】
(実施例7:11-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウンデカンアミド+13-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデカンアミドの合成)
工程1:11-シクロペンチルウンデカン酸及び13-シクロペンチルトリデカン酸の混合物の合成
実施例5の工程1で得た、50グラムの酸の混合物、6グラムの50%湿った5%のパラジウム担持活性炭、及び300mlのエタノールを、ハイドロジェネーターに仕込んだ。アルゴンで脱気した後、水素を、5ml/分の流速、6バールの圧力、及び40℃の温度で導入した。1時間半に亘り反応させた後、それ以上の水素消費は観察されない。撹拌を中止し、アルゴンでパージを行い、セライトで濾過した後、アルコール相を減圧下で蒸発させて46グラムのワックス様白色粉末を95%のオーダーの収率で生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
【0110】
工程2:11-シクロペンチルウンデカン酸塩化物及び13-シクロペンチルトリデカン酸塩化物の混合物(50/50)の合成
工程1で調製した3.3gの酸の混合物(平均MW = 270、すなわち、0.0185mol)を、還流コンデンサー、酸蒸気捕捉システム(水酸化ナトリウムゾル)、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器中の、100mlのジクロロメタン中に導入した。次いで、5mlの塩化チオニル(0.0685mol)を加え、反応混合物を4時間還流させた。周囲温度で一晩置いた後、反応媒質を蒸発させて、3.5グラムの明黄色オイルを、100%のオーダーの収率で生成させた(平均MW = 286.9)。
【0111】
工程3:11-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウンデカンアミド+13-シクロペンチル-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデカンアミド混合物の合成
【化18】

1.28gのN,N-ジメチルアミノプロピルアミン(0.0125mol)、1.62gのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.0125mol)、更に100mlのジクロロメタンを、還流コンデンサー、温度計、滴下漏斗、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ。およそ5℃の温度に冷却した後、工程2で調製した、3.5gの酸塩化物(0.0122mol)を50mlのジクロロメタン中に溶解させた溶液を、温度を10℃未満に維持するために滴下により導入した。
【0112】
添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、その後3時間に亘って周囲温度に維持した。次に、反応混合物を300mlの僅かに酸性の水(pH5)に注ぎ、100mlのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を100mlの飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した後、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス漏斗で濾過した後、減圧下で蒸発させて、3.7グラムの目標生成物を白色粉末の形態で、85%の収率で得た。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z) [M+H]+ = 339及び367
【0113】
(実施例8:3-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)アミノ]-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート+3-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)アミノ]-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート混合物の合成)
【化19】

実施例7の工程3で調製した3.1gの混合物(0.0088mol)及び2mlの硫酸ジメチル(0.0211mol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた50mlの反応器に仕込んだ。続いて、反応混合物を、撹拌しつつ周囲温度に24時間維持した後、100mlのイソプロピルエーテルに注いだ。この洗浄操作を3回繰り返し、その後、生成した沈殿物をガラス漏斗で濾過して取り、乾燥させた後、4gの褐色を帯びたペーストを生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致(但し、実施例7の化合物が微量残留)
Massスペクトル:(m/z) [M]+ = 353及び381
【0114】
(実施例9:2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 11-シクロペンチルウンデカノエート+2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エチル 13-シクロペンチルトリデカノエート混合物の合成)
【化20】

2.13gの2-(2-ジエチルアミノエトキシ)エタノール(0.0132mol)、1.4gのトリエチルアミン(0.0138mol)及び、更に100mlのジクロロメタンを、還流コンデンサー、温度計、滴下漏斗、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ。およそ5℃に冷却した後、実施例7の工程2で調製した、3.6gの酸塩化物(0.0126mol)を50mlのジクロロメタンに溶解させた溶液を、温度が10℃未満に維持されるように滴下によって導入した。
【0115】
添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、その後3時間に亘って周囲温度に維持した。次に、反応混合物を300mlの僅かに酸性の水(pH5)に注ぎ、100mlのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を100mlの飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した後、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス漏斗で濾過した後、減圧下で蒸発させ、4.26gの目標生成物を、褐色ペーストの形態で、82%の収率で生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル:100MHz:合致
【0116】
(実施例10:2-{2-[(11-シクロペンチルウンデカノイル)オキシ]エトキシ}-N,N,N-トリエチルエタンアミニウムエチルスルフェート+2-{2-[(13-シクロペンチルトリデカノイル)オキシ]エトキシ}-N,N,N-トリエチルエタンアミニウムエチルスルフェート混合物の合成)
【化21】

実施例9で得られた3.8gの混合物(0.00925mol)及び、更に5mlの硫酸ジエチル(0.037mol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた50mlの反応器に仕込んだ。その後、反応混合物を、撹拌しつつ24時間に亘って周囲温度に維持し、100mlのイソプロピルエーテルに注いだ。この洗浄操作を3回繰り返し、その後、生成した沈殿物をガラス漏斗で濾過して取り、乾燥させた後、4gの褐色を帯びたペーストを98%の収率で生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z): [M]+ = 426 及び454
【0117】
(実施例11:13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデカンアミド+11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ウンデカンアミド+(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]-N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]トリデス-6-エナンアミド混合物の合成)
【化22】

2.28gの3-ジメチルアミノプロピルアミン(0.0223mol)、2.88gのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.0223mol)、及び更に100mlのジクロロメタンを、、還流コンデンサー、温度計、滴下漏斗、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込んだ。およそ5°Cの温度に冷却した後、実施例5の工程2で調製した、6.35gの酸塩化物(0.00223mol)を50mlのジクロロメタン中に溶解させた溶液を、温度を10℃未満に維持するために滴下により加えた。
【0118】
添加が完了したところで、反応媒質を周囲温度に戻し、その後4時間に亘って周囲温度に維持した。次に、反応混合物を100mlの僅かに酸性の水(pH5)に注ぎ、100mlのジクロロメタンで3回抽出した。有機相を100mlの飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した後、この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス漏斗で濾過した後、減圧下で蒸発させた。次いで、得られた粗製の生成物を、塩基性アルミナカラムで精製し、蒸発させた後、5.55gの目標生成物が、淡褐色ワックスの形態で、70.8%の収率で得られた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z): [M+H]+ = 337及び365
【0119】
(実施例12:3-({13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデカノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート+3-({11-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]ウンデカノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート+3-({(6E)-13-[(1R)-シクロペント-2-エン-1-イル]トリデス-6-エノイル}アミノ)-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム メチルスルフェート混合物の合成)
【化23】

実施例11で得た2.51gの誘導体(0.00715mol)を、還流コンデンサー、温度計、及びアルゴン導入口を取り付けた250mlの反応器に仕込み、50mlのジクロロメタンを加えた。次いで、1.8gの硫酸ジメチル(0.0143mol)を加え、反応混合物を、撹拌しつつ12時間に亘って周囲温度とした。次いで、これを減圧下で蒸発させ、得られた粗製の生成物をイソプロピルエーテルで洗浄し、3.3gの目標生成物を、淡褐色固体の形態で、96%の収率で生成させた。
1H NMRスペクトル、400MHz、及び13C NMRスペクトル、100MHz:合致
Massスペクトル:(m/z): [M]+ = 351及び379
【0120】
(実施例13)
以下の髪用組成物が調製される(質量%):
・3%のN,N,N-トリメチル-3-{[8-(2-オクチルシクロプロピル)オクタノイル]オキシ}プロパン-1-アミニウム メチルスルフェート(実施例2)
・100%までの残量の水
漂白した髪の毛房を、0.5gの髪について15gの割合の髪用化粧品粗製物中に浸漬することによって処理する。この処理を、30°Cにて15分間に亘って行い、次いで、水でリンスする。湿った毛房は、滑らかな感触を有し、しなやかでもつれ解きが容易であることが観察される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II):
【化1】

[式中、
・mは、1乃至10の整数であり;
・nは、0乃至10の整数であり;
・Xは、O、NH、またはSを表し;
R1、R2、及びR3は、互いに独立に、直鎖状C1-C22もしくは分枝状C3-C28アルキル基、または直鎖状C2-C22もしくは分枝状C3-C28アルケニル基を示し、これらの基は、ヒドロキシル(-OH)及びアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって任意に置換されており、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され;あるいはまた、
R1及びR2は、これらの結合する窒素原子と共に、飽和もしくは不飽和の、5員環もしくは6員環である炭素含有複素環を形成し、1つもしくは2つの非隣接炭素原子は、酸素、窒素(-NR”)によって任意に置換されていてよく、ここでR” = HまたはC1-C22アルキル、または硫黄原子であり、前記複素環は、アリール、C1-C22アルキル、ヒドロキシル、またはアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって任意に置換されていてよく、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され、R3は、任意に上記定義を有し;
・R4は、
−それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一または相違する飽和もしくは不飽和の炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキル基(飽和)(前記環は、C1-C6アルキル、ヒドロキシル(-OH)、及びアミノ(-NRR’)基から選択される、1つもしくは複数の同一または相違する基によって、それ自体が任意に置換されたアリールによって、任意に置換されており、ここでR及びR’は、互いに独立に、H及びC1-C6アルキルから選択され;R4が2または3の炭素原子含有環を含むアルキル基を示す場合は、前記環は二価のメチレンまたはエチレン基によって互いに分離されることが理解される);または
−5または6員環である、飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を、鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C22アルキルまたはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)
であり、
・R5は、水素原子またはORまたはNRR’基であり、ここで、R及びR’は、H及びC1-C6アルキルから互いに独立に選択され(mが2以上である場合は、R5基は同一または相違することが理解される);
・An-は、式(II)の化合物の電気的中性を確保するための、有機もしくは無機のアニオン、または有機もしくは無機のアニオンの混合物を示す]
の化合物。
【請求項2】
Xが、OまたはNHを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、直鎖状C1-C4アルキルもしくは分枝状C3-C4アルキル基、または直鎖状C2-C4アルケニルもしくは分枝状C3-C4アルケニル基を表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R2が、直鎖状C1-C4アルキルもしくは分枝状C3-C4アルキル基、または直鎖状C2-C4アルケニルもしくは分枝状C3-C4アルケニル基を表す、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R3が、直鎖状C1-C22アルキルもしくは分枝状C3-C22アルキル基、または直鎖状C2-C22アルケニルもしくは分枝状C3-C22アルケニル基を示す、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R4が、
−それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一または相違する飽和もしくは不飽和の炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状C4-C22アルキル基;好ましくは、それぞれが3、4、5、または6員環である、1乃至3の同一の飽和炭素含有環が、その鎖中に割り込んでいる、直鎖状C12-C21アルキル基(前記アルキル基は、とりわけ、1乃至3のシクロプロピル環が割り込んだものであり、2または3の環が存在する場合は、これらが二価のメチレン-CH2-基によって互いに分離されていることが理解される);または
−5員環である、飽和もしくは不飽和の非芳香族炭素含有基を、鎖末端に含む、直鎖状もしくは分枝状C4-C21アルキルまたはアルケニル基(飽和もしくは不飽和)
を示す、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の化合物:
【化2A】

【化2B】

【化2C】

【化2D】

【化2E】

【化2F】

【化2G】

【化2H】

及びこれらの塩または溶媒和物から、単独でまたは混合物として選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
生理学的に許容される媒質中に、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の、式(I
)または(II)の少なくとも1つの化合物を含む、化粧品または医薬品組成物。
【請求項9】
組成物中に単独でまたは混合物として存在する化合物(I)または(II)の量が、組成物全重量に対して0.01乃至50質量%、好ましくは、0.1乃至30質量%、特に、0.5乃至25質量%、実際に1乃至20質量%、更に好適には、1.5乃至10質量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
生理学的に許容される媒質中に、C1-C40アルコール類、炭素含有油類、水、C8-C40エステル類、C8-C40酸類、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、噴射剤、サンスクリーン、保湿剤、フケ防止剤、酸化防止剤、還元剤、酸化ベース、カップラー、酸化剤、直接染料、縮毛矯正剤、パール剤、及び乳白剤、可塑剤、または凝集剤、ヒドロキシ酸、顔料、充填剤、シリコーン、有機溶媒、ポリマー性しくは非ポリマー性増粘剤、乳化剤、またはポリマー、特に、コンディショニングもしくはスタイリングポリマーから選択される、少なくとも1つの通常の化粧品成分を含む、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
身体または顔の皮膚、唇、眉毛、睫毛、爪、及び髪のケア、清浄化、及び/またはメイクアップのための製品、抗日光もしくはセルフ・タンニング製品、身体用衛生製品、または髪用製品、特に、髪のケア、清浄化、スタイリング、成形、または染色のための製品の形態で提供される、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
髪の、特に、弱った、且つ/または傷んだ髪、例えば、化学的または機械的処理によって弱った、且つ/または傷んだ髪の、ケア及び美容処理、特に、保護のための髪用組成物の形態で提供される、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか一項に定義される式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物、あるいは請求項8乃至12のいずれか一項に定義される組成物の、ヘアーコンディショニング剤としての使用。
【請求項14】
ケラチン物質の美容処理方法であって、前記物質への、請求項8乃至12のいずれか一項に定義される化粧品組成物の適用を含む方法。
【請求項15】
髪のコンディショニングのための、特に、髪にしなやかさ、もつれ解き、滑らかさ、及び/または櫛とき性能をもたらすため、あるいは、髪にしなやかさ、もつれ解き、滑らかさ、及び/または櫛とき性能を改善するための美容処理方法であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2011−522776(P2011−522776A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544767(P2010−544767)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050163
【国際公開番号】WO2009/101321
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】