説明

カチオン性直接染料

【課題】カチオン性直接染料の提供
【解決手段】本発明は、式(1)
【化1】


(式中、
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表し;X-はアニオンを表し;R3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表し;nは、1又は2であり;及びnが1である場合には、R2は水素原子、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基を表し;又はnが2である場合には、R2は未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキレン基を表す。)で表される新規カチオン性染料に関する。さらに、本発明は、とりわけ他の染料を含むその組成物、それらの調製のための方法及びケラチン、ウール、革、絹、紙、セルロース又はポリアミド、及び好ましくはヒト毛髪のような有機材料の染色におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規カチオン性直接染料、その組成物、それらの調製のための方法及びケラチン繊維、ウール、革、絹、紙、セルロース又はポリアミド、とりわけケラチン含有の繊維、綿又はナイロン、及び好ましくは毛髪、より好ましくはヒト毛髪のような有機材料の染色におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1から、カチオン性染料が、有機材料、例えばケラチン、絹、セルロース又はセルロース誘導体、及びまた合成繊維、例えばポリアミドを染色するために使用され得ることが既知である。カチオン性染料は非常に鮮やかな色調を示す。欠点は、加水分解及び光に対するそれらの不十分な耐久性、還元又は酸化条件下でのそれらのたびたびの不十分な安定性、及びそれらのしばしばの不満足な貯蔵安定性である(非特許文献1を参照のこと。)。
【特許文献1】国際公開第95/01772号パンフレット
【非特許文献1】John F.Corbett:“The Chemistry of Hair−Care Products”.JSCD 1976年8月,第290頁
【発明の開示】
【0003】
本発明の実際の技術的な問題は、有機材料の染色のための、洗浄、光、シャンプー及び摩擦に関して良好な耐久特性を有し、及び好ましくは、還元又は酸化染色条件下で満足し得る安定性を示す、深い染色により特徴付けられる鮮やかな染料を提供することであった。
したがって、式(1)
【化1】

(式中、
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表し;
-はアニオンを表し;
3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表し;
nは、1又は2であり;及び
nが1である場合には、R2は水素原子、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基を表し;又は
nが2である場合には、R2は未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキレン基を表す。)
で表されるカチオン性染料が開発された。
好ましいのは、式中、
1がメチル基を表す、式(1)で表されるカチオン性染料である。
さらに、より好ましくは、式中、
1がメチル基を表し、
nが1であり、及び
2が置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す、式(1)で表されるカチオン性染料である。
さらに、より好ましくは、式中、
1がメチル基を表し、
nが2であり、及び
2が置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし14のアルキレン基、好ましくは置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし8のアルキレン基、より好ましくは置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし6のアルキレン基を表す、式(1)で表されるカチオン性染料である。
より一層好ましくは、式中、
3が水素原子を表し、及び
1がメチル基を表し、
nが1であり、及び
2が未置換の又は置換された炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す、式(1)で表されるカチオン性染料である。
よりずっと好ましいのは、式中、
3が水素原子を表し、
1がメチル基を表し、
nが2であり、及び
2が置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし14のアルキレン基、好ましくは置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし8のアルキレン基、及びより好ましくは置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし6のアルキレン基を表す、式(1)で表されるカチオン性染料である。
【0004】
本発明において、炭素原子数1ないし14のアルキル基又は炭素原子数1ないし14のアルキレン基、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基、炭素原子数1ないし8のアルキル基又は炭素原子数1ないし8のアルキレン基、及び好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキル基及び炭素原子数1ないし6のアルキレン基の置換基は例えば、ヒドロキシル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基、好ましくはメチル基;又は炭素原子数1ないし8のアルコキシ基及び炭素原子数1ないし6のアルコキシ基;シアニド基及び/又はハリド;又はNR56(式中、R5及びR6は、各々互いに独立して、水素原子、未置換の又は置換されたアリール基又は炭素原子数1ないし6のアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又はt−ブチル基を表す。)である。
炭素原子数1ないし14のアルキル基及び炭素原子数1ないし14のアルキレン基、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基、炭素原子数1ないし8のアルキル基及び炭素原子数1ないし8のアルキレン基、及び好ましくは
炭素原子数1ないし6のアルキル基及び炭素原子数1ないし6のアルキレン基は;直鎖状の、又は枝分れ状であり得、好ましくは、枝分れ状のアルキル基又はアルキレン基は、第三ブチル基、イソプロピル基、ドデシル基、2,2−ジメチルプロピル基、又は2,2−ジメチルプロピレン基であり;又は好ましくは、直鎖状のアルキル基又はアルキレン基は、エチル基、ドデシル基、ヘキシル基、エチレン基、ドデシレン基、ヘキシレン基、オクチル基、オクチレン基であり;
又は上記の炭素原子数5のアルキル基又は炭素原子数5のアルキレン基からは、単環式又は多環式、及び好ましくはシクロヘキシル基又はシクロヘキシレン基であり;
及び
中断されていないか、又はO、S、N、NH;のような少なくとも1個のヘテロ原子により中断され得;例えば−CH2CH2−O−CH2CH2−O−CH2CH3又は−CH2CH2−O−CH2CH3又は−CH2CH2−O−CH3、又は−CH2−O−CH3、又はCH2CH2CH2−O−CH(CH32、好ましくはCH2CH2CH2−O−CH(CH32である。
【0005】
炭素原子数1ないし14のアルキル基及び炭素原子数1ないし14のアルキレン基は、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基、炭素原子数1ないし8のアルキル基及び炭素原子数1ないし8のアルキレン基、及び好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキル基及び炭素原子数1ないし6のアルキレン基であり;好ましくは炭素原子数1ないし14のアルキル基は、炭素原子数1ないし12のアルキル基であり、及び炭素原子数1ないし14のアルキレン基は、好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキレン基である。
炭素原子数1ないし14のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基である。
炭素原子数1ないし12のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基である。
炭素原子数1ないし8のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチル基又は2−エチルヘキシル基である。
炭素原子数1ないし6のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘキシル基である。
炭素原子数1ないし4のアルキル基は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基である。
好ましくは、メチル基、2,2’−ジメチルプロピル基、n−ヘキシレン基である。
【0006】
炭素原子数1ないし14のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基、n−ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,2’−ジメチルプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシ
レン基、ウンデシレン基又はドデシレン基である。
炭素原子数1ないし12のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基、n−ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,2’−ジメチルプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基又はドデシレン基である。
炭素原子数1ないし8のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基、n−ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,2’−ジメチルプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、n−ヘキシレン基、n−オクチレン基、1,1’,3,3’−テトラメチルブチレン基又は2−エチルヘキシレン基である。
炭素原子数1ないし6のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基、n−ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,2’−ジメチルプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、n−ヘキシレン基である。
炭素原子数1ないし4のアルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、第二ブチレン基、第三ブチレン基である。
【0007】
炭素原子数1ないし6のアルコキシ基は、O−炭素原子数1ないし6のアルキル基であり、好ましくはO−炭素原子数1ないし4のアルキル基である。
アリール基は例えば、未置換の又は置換されたフェニル基、ベンジル基又はトルイル基である。
ハリドは例えば、フルオリド基、クロリド基、ブロミド基又はイオダイド基であり、とりわけクロリド基及びフルオリド基である。
“アニオン”は例えば、ハリド、好ましくはクロリド及びフルオリド、スルフェート、硫酸水素塩、ホスフェート、四フッ化ホウ素、炭酸塩、炭酸水素塩、オキサレート又は炭素原子数1ないし8のアルキルスルフェート、とりわけメチルスルフェート又はエチルスルフェートのような有機又は無機アニオンを示し;アニオンはまた、ラクテート、ホルメート、アセテート、プロピオネート又は錯体アニオン、例えば塩化亜鉛二塩を示す。
アニオンはとりわけ、ハリド、好ましくはクロリド又はフルオリド、スルフェート、硫酸水素塩、メチルスルフェート、ホスフェート、ホルメート、アセテート又はラクテートである。
アニオンは、よりとりわけクロリド、メチルスルフェート、ホルメート又はアセテートである。
【0008】
より好ましくは、式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)又は(17)
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

(式中、X-はアニオンを表す。)
で表されるカチオン性染料である。
【0009】
最も好ましくは、式(6)、(7)又は(8)
【化17】

【化18】

又は
【化19】

(式中、X-はアニオンを表す。)
で表されるカチオン性染料である。
【0010】
本発明は、式(18)
【化20】

(式中、
7は、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基又はハリドを表し、好ましいハリドは、クロリド又はフルオリドであり、好ましくはフルオリドであり、及び
1、R3は及びX-は、式(1)で表される化合物に対して与えられたと同様の定義及び好例を有する。)で表されるカチオン性染料;
好ましくは、式中のR7がフルオリドを表すところの式(18)で表される化合物;
及びより好ましくは、式中のR7がフルオリドを表し、及びR1がメチル基を表すところの式(18)で表される化合物;
及び最も好ましくは、式中のR7がフルオリドを表し、及びR1がメチル基を表し、及びR3が水素原子を表すところの式(18)で表される化合物にさらに関する。
さらに、本発明は、
a)以下の式
【化21】

(式中、R3及びR7は、上記与えられた定義及び好例を有する。)
で表される化合物のジアゾ化、及び
b)前記ジアゾ化された化合物とイミダゾールのカップリング、及び
c)その後のアルキル化又はアリール化;好ましくはメチル化
からなる、上記定義された式(18)で表されるカチオン性染料の調製方法に関する。
本発明はまた、式(21)
【化22】

で表される染料に関する。
さらに、本発明は、
a)2−フルオロアニリンをジアゾ化し、及び
b)その後イミダゾールとカップリングする
ことからなる、上記定義されたとおりの式(21)で表されるカチオン性染料の調製方法に関する。
【0011】
上述のジアゾ化、カップリング、アルキル化及びアリール化は、それ自体既知であり、及び例えば、Jerry March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanismus and Structureのような標準的なテキストブックに開示されている。
【0012】
本発明はまた、式(1)で表される染料、好ましくは式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)又は(17)で表される染料の調製方法に関し、及び上記方法に従い調製される式(18)
【化23】

(式中、
7は、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基又はハリドを表し、好ましいハリドはクロリド又はフルオリドであり、好ましくはフルオリドであり、及び
1、R3は及びX-は、式(1)で表される化合物に対して与えられたと同様の定義及び好例を有する。)
で表される化合物を、式(19)
【化24】

(式中、
nは1又は2であり;及び
nが1である場合には、R2は水素原子、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基を表し;又は
nが2である場合には、R2は未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキレン基を表す。)
で表されるアミンと接触させることからなる。
反応は、一般的に、例えば、出発化合物を一緒に混合することにより又は一方の出発化合物を他方へと滴下添加することにより、式(18)で表される化合物と式(19)で表されるアミンを接触させることにより開始される。
慣用的に、温度は、出発化合物の混合の間は290ないし300Kの範囲にある。
式(18)で表される化合物と式(19)で表されるアミンのモル比は、一般的に5:1ないし1:5の範囲で、とりわけ3:1ないし2:1の範囲で選択される。
反応の継続時間は一般的に、出発化合物の反応性に、選択された反応温度に、及び所望の転換率に応じる。反応の選択された継続時間はたいてい、1時間ないし3日の範囲にある。
式(18)で表される化合物と式(19)で表されるアミンとの反応温度は、293ないし363Kの範囲で、とりわけ323ないし355Kの範囲で、よりとりわけ333ないし355Kの範囲の温度で望ましく選択される。
選択される反応圧は一般的に、70kPaないし10MPa、とりわけ90kPaないし5MPaの範囲にあり、及びよりとりわけ大気圧である。
塩基の存在下において式(18)で表される化合物と式(19)で表されるアミンの反応を行うことが望ましい。
式(18)で表される化合物と塩基のモル比は、一般的に10:1ないし1:5の範囲で、とりわけ1:1ないし1:3の範囲で選択される。
【0013】
適する塩基は例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウム、例えば水酸化ナトリウム、又はアルカリ金属カーボネート、例えばナトリウム−、カリウム又はリチウムカーボネート、例えばナトリウムカーボネート、又はアルカリ金属ヒドロカーボネート、例えばナトリウム−、カリウム又はリチウムヒドロカーボネート、例えばナトリウムヒドロカーボネート、又はアルカリ金属炭素原子数1ないし6のアルキルオキシド、例えばナトリウム−、カリウム又はリチウム炭素原子数1ないし6のアルキルオキシド、好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド又はリチウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド又はリチウムエトキシド;又は三級アミン、例えばピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、1,4―ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、チヌクリジン(chinuclidine)、N−メチルピペリジン;又はアルカリ金属酢酸、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、又は酢酸リチウムである。
好ましくは、水酸化ナトリウム、ナトリウムカーボネート、三級アミン、例えばピリジン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0014】
触媒の存在下で、式(18)で表される化合物と式(19)で表されるアミンの反応を行うことが望ましい。
式(18)で表される化合物と触媒のモル比は一般的に、100:0.01ないし100:10の範囲で、とりわけ100:1ないし100:10の範囲で、最も好ましくは100:4ないし100:6の範囲で選択される。
適する触媒は、例えばアルカリ金属炭素原子数1ないし6のアルキルオキシド、例えばナトリウム−、カリウム又はリチウム炭素原子数1ないし6のアルキルオキシドであり、好ましくはナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド又はリチウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド又はリチウムエトキシド;又は三級アミン、例えば、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、チヌクリジン、N−メチルピペリジン;又はアルカリ金属酢酸、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、又は酢酸リチウムである。
好ましくは、酢酸カリウム、ナトリウムメトキシド、ピリジン及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0015】
得られた反応混合物は、その後、293ないし363Kの範囲で選択された温度範囲で、とりわけ323ないし355Kの範囲で、よりとりわけ333ないし355Kの範囲で攪拌されることが推奨される。その後の攪拌のために選択される継続時間は、一般的に1時間ないし24時間である。
さらに、反応は、溶媒を用いて又は用いずに行われ得るが、好ましくは溶媒中で行われる。好例は、有機溶媒又は溶媒混合物である。
本発明に関連して、溶媒は有機溶媒及び水、又は有機溶媒の混合物又は有機溶媒と水の混合物である。
有機溶媒は例えば、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はグリコール、とりわけイソプロパノール、又はアセト
ニトリル又はプロピオニトリルのようなニトリル、又はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピリジンのようなアミド、又はジメチルスルホキシドのようなスルホキシド又はそれらの混合物のような、プロトン性又は非プロトン性極性有機溶媒である。
溶媒に対する式(18)で表される化合物の質量割合は一般的に、20ないし90質量%の範囲にあり、とりわけ30ないし60質量%の範囲にある。
好ましい生成物は有利に処理され得及び単離され得、及び所望により精製され得る。
慣用的には、処理は、反応混合物の温度を280ないし300Kの範囲に、とりわけ290ないし300Kの範囲に低下させることにより開始する。
数時間にわたる時間で温度をゆっくりと低下させることが有利であり得る。
一般的に、反応生成物は大抵濾過され、そしてその後、水又は塩溶液を用いて洗浄され、その後に乾燥される。
濾過は通常、好ましくは真空下て、標準的な濾過装置、例えばブフナー漏斗、圧搾濾過器、加圧吸引濾過器において行われる。
乾燥温度は、適用される圧力による。乾燥はたいてい50ないし200mbarにおいて真空下に行われる。
乾燥はたいてい、313ないし363K、とりわけ323ないし353Kの範囲、及びよりとりわけには328ないし348Kの範囲の温度にて行われる。
生成物は、単離された後に再結晶化により精製されることが有利であることが証明されている。
有機溶媒及び溶媒混合物が再結晶化のために適する。好ましいのは、アルコール、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール又はブタノールであり、とりわけ2−プロパノールである。
【0016】
本発明に従う式(1)で表される染料は、ケラチン、ウール、革、絹、紙、セルロース又はポリアミド、とりわけケラチン含有の繊維、綿又はナイロン、及び好ましくはヒト毛髪のような有機材料を染色ために適する。
本発明に従う方法により生じる、染料の色調の多様性は、他の染料との組合せにより高められ得る。
本発明は、本発明に従う式(1)で表される染料、及び少なくとも1種の他の染料を用いた毛髪の着色にもまた関する。
本発明の式(1)で表される染料は、同種の又は異なった類の染料と、とりわけ直接染料、酸化染料:カップラー化合物とジアゾ化化合物又はキャップされたジアゾ化化合物の染料前駆体組合せ;及び/又はカチオン性反応性染料と組合せられ得る。
直接染料は、天然又は合成であり;それらは酸性染料のように非荷電の、カチオン性又はアニオン性である。
酸化染料はまた、顕色剤化合物及びカップラー化合物の群からの酸化染料前駆体をも指す。前記カップラー化合物は、酸とのその付加塩をもまた指す。
本発明に関連して、1つの種類の染料は、Society of Textile Chemist and Coloristのカラーインデックスに定義される染料を含む。
さらに、本発明に関連して、式(1)で表される化合物を含む組合せは、組成物、配合物、方法を含む。
本発明はさらに、式(1)で表される化合物を含む組成物、配合物、方法又は組合せを含む。
【0017】
式(1)で表されるカチオン性染料との組合せとして好ましいのは、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31又はベーシックレッド51のようなカチオン性染料、又は国際公開第01/66646号パンフレットに記載されたとおりのカチオン性染料、とりわけ実施例4のカチオン性染料であり、又は国際公開第02/31056号パンフレッ
トに記載されるとおりのカチオン性染料、とりわけ実施例6のカチオン性染料、又は欧州特許出願公開第714,954号明細書において記載されるとおりの式(3)の式106で表される染料である。
本発明において、式(1)で表される化合物、及びさらに少なくとも1種の他の直接染料及び/又は酸化剤を含む組成物が好ましい。
さらに、本発明において、式(1)で表される化合物、及びさらに少なくとも1種の酸化染料及び/又は;少なくとも1種の酸化染料及び酸化剤を含む組成物である。
さらに、本発明において好ましくは、シャンプー、コンディショナー、ジェル又はエマルジョンの形態にある、式(1)で表される化合物を含む組成物である。
さらに、本発明において好ましくは、有機材料を、少なくとも1種の式(1)で表されるカチオン性染料と接触させることからなる、有機材料、とりわけヒト毛髪を染色する方法である。
より好ましくは、本発明において、ヒト毛髪を染色又は色味付けする方法である。
本発明の他の好ましい態様は、ヒト毛髪を、少なくとも1種の式(1)で表される染料、及び酸化剤、及び所望により、他の直接染料と接触させることからなる、ヒト毛髪又は毛髪房を染色する方法に関する。
さらに、本発明は、ヒト毛髪を、少なくとも1種の式(1)で表されるカチオン性染料、及び少なくとも1種の酸化染料と接触させるか;又は前記毛髪を、少なくとも1種の式(1)で表されるカチオン性染料、及び少なくとも1種の酸化染料及び酸化剤と接触させることからなる、請求項14ないし16のうちいずれか1項に記載のヒト毛髪を染色する方法に関する。
【0018】
本発明に従う染料は、鮮やかな色調により特徴付けられる。それらは、ケラチン、ウール、革、絹、紙、セルロース又はポリアミド、とりわけケラチン−含有の繊維、綿又はナイロン、及び好ましくはヒト毛髪のような有機材料を染色するのに適する。得られた染色物は、それらの色調の深さ、及び例えば光、シャンプー及び摩擦に対する耐久性のような洗浄特性に対する良好な耐久性により特徴付けられる。本発明に従う染料の安定性及び保管安定性は優れている。それらは従って、酸化及び還元条件下での染色のためにとりわけ適する。本発明に従う新規染料、とりわけ式(4)、(5)、又は(6)で表されるものの利点は、還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸に対するそれらの安定性である。それ故、それらは1つのエマルジョン中で酸化染料と組合され得る。
【0019】
以下の実施例は、本方法を該実施例に限定することなしに着色のための方法を示す。特に示されない限り、部及びパセンテージは質量に関する。特定された染料の量は、着色される材料に対する。
【実施例】
【0020】
実施例A/調製手順
実施例A1
【化25】

12.4gの2−フルオロアニリンを、水25mLと32%塩酸25mLの撹拌された溶液に295Kにて添加した。その後、反応混合物を273Kまで冷却し、そして、混合物の温度が273ないし276Kの範囲に維持されるような速度で36%亜硝酸ナトリウム19mLを滴下した。亜硝酸ナトリウム溶液の添加後、混合物を1時間撹拌した。1時間の間に過剰の亜硝酸塩が検出されない場合(ヨウ化カリウム/テンプン紙を使用することにより検出)、さらなる量の硝酸ナトリウム溶液を添加した。この1時間後、過剰に残存する亜硝酸塩をスルファミド酸を用いて分解した。その後、得られたジアゾ溶液を、30mL水中の7.4gイミダゾールの273Kの冷却溶液に滴下し、そして、該溶液のpHを、36%水酸化ナトリウム溶液を添加することにより、pH10ないし11の範囲に維持した。ジアゾ化を完了させた後、得られた懸濁液を295Kまで加温し、36%水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを10.5に調節した。このpH及び温度における1時間の撹拌後、懸濁液を濾過した。その後、得られた濾過ケークを、50mLの水で2回洗浄して、55gの湿った生成物を得た。その後、該湿った生成物を500mLの水中に懸濁し、及び0.3モルのジメチルスルフェート及び水酸化ナトリウムを、pHを10ないし10.3に及び温度を25ないし30℃に維持するために同時に添加した。混合物を1時間放置して、過剰のジメチルスルフェートの加水分解を終了した。水を蒸発させ、そしておよそ40gの湿った固体を得、該固体は以下の式:
【化26】

を有する27gの乾燥した(0.07モル)生成物を与えた。
窒素雰囲気下、293Kにて、1gのナトリウムメトキシドを、25%アンモニア溶液10.0mL、イソプロパノール100g、及び式(21)で表される化合物の撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にてオートクレーブ圧下、28時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、イソプロパノール45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(20)で表される化合物17.6gを得た。
【0021】
実施例A2
【化27】

窒素雰囲気下、293Kにて、40%メチルアミン溶液10.0mL、100gイソプロパノールの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物を添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にてオートクレーブ圧下、8時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、イソプロパノール45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(22)で表される生成物18.6gを得た。
【0022】
実施例A3
【化28】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエタノールアミン10gを、3−イソプロポキシ−1−プロピルアミン8g、水100g及び式(21)で表される化合物27gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、3時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(23)で表される生成物30.5gを得た。
【0023】
実施例A4
【化29】

窒素雰囲気下、293Kにて、N,N−ジメチルアミノ−エチルアミン1.8g、アセトニトリル40gの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物6.6gを添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、3時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル15mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(24)で表される生成物9.0gを得た。
【0024】
実施例A5
【化30】

窒素雰囲気下、293Kにて、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノ−プロパン3.06g及び水40gの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物11.3gを添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、6時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、水/塩化ナトリウム溶液30mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(25)で表される生成物12gを得た。
【0025】
実施例A6
【化31】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエチルアミン4gを、2,2−ジメチル−1,3−
ジアミノ−プロパン2.04g、イソプロパノール100g、及び式(21)で表される化合物14.3gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、6時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、イソプロパノール30mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(26)で表される生成物12gを得た。
【0026】
実施例A7
【化32】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエチルアミン4gを、1,6−ジアミノ−ヘキサン2.3g、イソプロパノール100g、及び式(21)で表される化合物14.3gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を343Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、6時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、イソプロパノール30mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(27)で表される生成物10.6gを得た。
【0027】
実施例A8
【化33】

窒素雰囲気下、293Kにて、2,2,N,N−テトラメチル−1,3−ジアミノ−プロパン5.2g、アセトニトリル100g、及び式(21)で表される化合物14.3gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、3時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル30mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(28)で表される生成物10.6gを得た。
【0028】
実施例A9
【化34】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエチルアミン4gを、第三ブチルアミン2.3g、アセトニトリル40g、及び式(21)で表される化合物の抽出物14.3gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、16時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル15mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(29)で表される生成物10.6gを得た。
【0029】
実施例A10
【化35】

窒素雰囲気下、293Kにて、ナトリウムメトキシド1gを、ドデシルアミン7.3g、アセトニトリル100g、及び式(21)で表される化合物14.3gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて窒素下にて及び常圧下、8時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(30)で表される生成物15.6gを得た。
【0030】
実施例A11
【化36】

窒素雰囲気下、293Kにて、イソプロピルアミン4.3g、水40g、及び式(21)で表される化合物14.3gの撹拌された混合物に添加した。反応混合物をこの温度にて常圧下、8時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(31)で表される生成物10.6gを得た。
【0031】
実施例A12
【化37】

窒素雰囲気下、293Kにて、ナトリウムメトキシド1gを、1−オクチルアミン6g、イソプロパノール100g、及び式(21)で表される化合物14gの撹拌された混合物に添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、8時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、イソプロパノール45mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(32)で与えられる生成物14.8gを得た。
【0032】
実施例A13
【化38】

窒素雰囲気下、293Kにて、エチレンジアミン3.8g、アセトニトリル40gの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物14gを添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、3時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル15mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(33)で与えられる生成物9.0gを得た。
【0033】
実施例A14
【化39】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエチルアミン4g、エタノールアミン2.0g、アセトニトリル40gの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物14gを添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、5時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル15mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(34)で与えられる生成物9.0gを得た。
【0034】
実施例A15
【化40】

窒素雰囲気下、293Kにて、トリエチルアミン4g、シクロヘキシルアミン3.8g、アセトニトリル40gの撹拌された混合物に、式(21)で表される化合物14gを添加した。その後、温度を333Kまで上昇させた。反応混合物をこの温度にて常圧下、8時間撹拌した。その後、反応塊を、温度を295Kまで低下させながら4時間撹拌した。反応塊を濾過し、そして濾過残留物を、アセトニトリル15mLを用いて洗浄し、そして真空下に乾燥して、式(35)で与えられる生成物9.0gを得た。
【0035】
実施例B/塗布:
実施例B1
非イオン性界面活性剤(プランタレン(Plantaren)2000,ヘンケル(Henkel)社)の10%強アルカリ性溶液を、クエン酸を用いてpH9.5に調節した。実施例A48の式(28)で表される染料0.1%を前記溶液の中に溶解し、及び白く漂白した一房のヒト毛髪を室温にて該染料溶液を用いて処理した。ほんの短期間の後、前記房は青みがかった赤の色調に染まり、それは10回シャンプーした後でもまだ非常に鮮明であった。前記染料はまた、痛んでいない毛髪への強い親和性も有した。その場合もまた、洗浄耐久性は非常に良好であった。痛んだ及び痛んでいない毛髪での光耐久性は優れていた。痛んでいない及び痛んだ髪でのパーマ耐久性もまた非常に良好であった。
【0036】
実施例B2:
非イオン性界面活性剤((プランタレン)2000,ヘンケル社)の10%溶液を、クエン酸を用いてpH5.5に調節した。実施例A10の式(30)で表される染料0.1%を前記溶液の中に溶解し、及び一房のミドルブロンドの痛んでいないヒトの毛髪を室温で該染料溶液を用いて処理した。ほんの短期間の後、前記房は青みがかった色調に染まり
、それは良好な洗浄耐久性、パーマ耐久性及び光耐久性を有していた。
【0037】
実施例B3:
実施例A6で与えられた式(26)で表される本発明に従う染料 0.1%、及び
セテアリルアルコール 3.5%、
セテアレス80 1.0%、
グリセリルモノ−ジ−ステアレート 0.5%、
ステアラミドDEA 3.0%、
ステアラムホプロピルスルホネート 1.0%、
ポリクオタニウム(polyquarternium)−6 0.5%、及び
総計100%となる水、
を含む染料エマルジョンを、漂白したヒトの毛髪に室温で30分間塗布し、及びすすぎ洗いした。結果は、良好な耐久性を有する非常に魅力的で強い赤の染色であった。
【0038】
実施例B4
セチルステアリルアルコール 11.0

オレス−5 5.0
オレイン酸 2.5
ステアリン酸モノエタノールアミド 2.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.7
1,2−プロパンジオール 1.0
塩化アンモニウム 0.5
EDTA四ナトリウム塩 0.2
香料 0.4
トウモロコシタンパク質加水分解物 0.2
シリカ 0.1
を含有するpH9.8の実施例A1に与えられた式(20)で表される染料を1%含む染料エマルジョンを、同量の6%過酸化水素溶液と混合し、及び混合物を直ちに一房の茶色の毛髪に塗布した。30分後、前記房をすすぎ洗いし、シャンプーし、すすぎ洗いし及び乾燥した。
着色結果は、非常に鮮やかな赤の色調であった。
【0039】
実施例B5:
セチルステアリルアルコール 11.0

オレス−5 5.0
オレイン酸 2.5
ステアリン酸モノエタノールアミド 2.5
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.5
ラウリル硫酸ナトリウム 1.7
亜硫酸ナトリウム 1.0
アスコルビン酸 0.5
1,2−プロパンジオール 1.0
塩化アンモニウム 0.5
EDTA四ナトリウム塩 0.2
香料 0.4
トウモロコシタンパク質加水分解物 0.2
シリカ 0.1
トルエン−2,5−ジアミンスルフェート 0.07
レゾルシノール 0.02
2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール 0.01
4−アミノ−m−クレゾール 0.03
2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン 0.001

を含有するpH9.8の実施例A1に与えられた式(20)で表される染料を0.5%含む染料エマルジョンを、同量の6%過酸化水素溶液と混合し、及び混合物を直ちに一房の茶色の長い毛髪に塗布した。30分後、前記房をすすぎ洗いし、シャンプーし、すすぎ洗いし及び乾燥した。着色結果は、非常に鮮やかな紫の色調であった。
実施例1A、2A及び3Aの染料の利点は、還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸に対する安定性である。それ故、前記染料は1種のエマルジョン中において酸化染料と組合せることが可能である。
【0040】
実施例B6:
非イオン性界面活性剤(プランタレン2000,ヘンケル社)の強アルカリ性10%溶液をクエン酸を用いてpH9.5に調節した。実施例1Aの式(20)で表される染料0.1%及び式
【化41】

で表される染料0.1%を前記溶液中に溶解し、及び一房のミドルブロンドの痛んでいないヒトの毛髪を室温で該染料溶液を用いて処理した。ほんの10分後、前記房は鮮明な紫の色調に染まり、それは良好な洗浄耐久性、パーマ耐久性及び光耐久性を有していた。
【0041】
実施例B7:
非イオン性界面活性剤(プランタレン2000,ヘンケル社)の10%強アルカリ性溶液をクエン酸を用いてpH9.5に調節した。実施例1の染料0.1%及び実施例A5の式(25)で表される染料0.2%を前記溶液中に溶解し、及び一房のダークブロンドの痛んでいないヒトの毛髪を室温で該染料溶液を用いて処理した。20分後、前記房は鮮明なナス色の色調に染まり、それは良好な洗浄耐久性、パーマ耐久性及び光耐久性を有していた。
【0042】
実施例B8:
第一段階:
一房のブロンドの漂白したヒトの毛髪を、6質量%過酸化水素溶液5g及び以下
【表1】

に与えられる9.8のpHを有する酸化ベースを含む組成物5gからなる組成物を用いて処理した。
【0043】
実施例B8a/第二段階:
15分後、クエン酸の添加により前記毛髪のpHをpH5に調節した。その後、前記毛髪が7のpHを有するように、本発明に従う実施例A1の式(20)で表される染料0.1質量%を含む12.5%クエン酸ゲル5gを前記毛髪に塗布し、そして梳った。15分後、前記毛髪を水で洗い、すすぎ洗いし及び乾燥した。前記房は、鮮明な色調に染色され、それは良好な洗浄耐久性及び光耐久性を有した。
【0044】
実施例B8a/第二段階:
15分後、すすぎ洗いなしに、ブロンドヘアを、6質量%過酸化水素溶液5g及び以下
【表2】

に与えられる5のpHを有する酸化ベースからなる組成物5g並びに本発明に従う実施例A3に式(23)で表される染料0.1質量%を含む12.5%クエン酸ゲル5gからなる組成物を用いて処理した。前記毛髪が7のpHを有するように、毛髪を梳った。15分後、前記毛髪を水で洗い、すすぎ洗いし及び乾燥した。前記房は、鮮明な色調に染色され、それは良好な洗浄耐久性及び光耐久性を有した。
【0045】
実施例B8c/第二段階:
15分後、前記毛髪を、以下
【表3】

に与えられる9.8のpH値を有する酸化ベースからなる組成物5gを用いて処理した。
【0046】
実施例B8a/第二段階:
15分後、クエン酸の添加により前記毛髪のpHをpH5に調節した。その後、前記毛髪が7のpHを有するように、本発明に従う実施例A1の式(20)で表される染料0.1質量%を含む12.5%クエン酸ゲル5gを前記毛髪に塗布し、そして梳った。15分後、前記毛髪を水で洗い、すすぎ洗いし及び乾燥した。前記房は、鮮明な色調に染色され、それは良好な洗浄耐久性及び光耐久性を有した。
【0047】
実施例B8a/第二段階:
15分後、すすぎ洗いなしに、ブロンドヘアを、6質量%過酸化水素溶液5g及び以下
【表4】

に与えられる9.8のpHを有する酸化ベース並びに9.8のpHを有する本発明の実施例A3に従う式(23)で表される染料1質量%を含む溶液からなる組成物を用いて櫛により処理した。15分後、前記毛髪を水で洗い、すすぎ洗いし及び乾燥した。前記房は、鮮明な色調に染色され、それは良好な洗浄耐久性及び光耐久性を有した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表し;
-はアニオンを表し;
3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表し;
nは、1又は2であり;及び
nが1である場合には、R2は水素原子、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基を表し;又は
nが2である場合には、R2は未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキレン基を表す。)
で表されるカチオン性染料。
【請求項2】
式中、R1はメチル基を表す、請求項1に記載のカチオン性染料。
【請求項3】
式中、R1はメチル基を表し、
nは2であり、及び
2は置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし8のアルキレン基を表す、請求項1又は2に記載のカチオン性染料。
【請求項4】
式中、R1はメチル基を表し、
nは1であり、及び
2は置換されたか又は未置換の炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のカチオン性染料。
【請求項5】
式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)又は(17)
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

(式中、X-はアニオンを表す。)
で表される、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のカチオン性染料。
【請求項6】
式(18)
【化17】

(式中、
7は、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基又はハリドを表し、及び
-はアニオンを表し、
3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表し、及び
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表す。)で表されるカチオン性染料;
又は
式(21)
【化18】

で表される化合物。
【請求項7】
式(18)
【化19】

(式中、
7は、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基又はハリドを表し、
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表し;
-はアニオンを表し;
3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表す。)
で表される化合物を、式(19)
【化20】

(式中、
nは1又は2であり;及び
nが1である場合には、R2は水素原子、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基を表し;又は
nが2である場合には、R2は未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキレン基を表す。)
で表されるアミンと接触させることからなる、上記請求項1で定義されたとおりの式(1)で表されるカチオン性染料の調製方法。
【請求項8】
a)2−フルオロアニリンをジアゾ化し、及び
b)その後イミダゾールとカップリングする
ことからなる、上記請求項6に定義されたとおりの式(21)で表される化合物の調製方法。
【請求項9】
a)式
【化21】

(式中、
7は、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基又はハリドを表し、
1は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基又はアリール基を表し;
3は、未置換の又は置換された炭素原子数1ないし14のアルキル基、アリール基、炭素原子数1ないし6のアルコキシ基、シアニド基、ニトロ基又はハリドを表す。)
で表されるアミンのジアゾ化;及び
b)前記ジアゾ化された化合物をイミダゾールとカップリングすること、及び
c)その後のアルキル化又はアリール化
からなる、上記請求項6で定義されたとおりの式(18)で表されるカチオン性染料の調製方法。
【請求項10】
式(18)で表される化合物は、請求項9に記載の方法により調製される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
上記請求項1に定義された式(1)で表される少なくとも1種の染料、又は請求項6に定義されたか又は請求項7ないし10に記載の方法に従い調製された化合物を含む組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の他の直接染料及び/又は酸化剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の酸化染料及び/又は;少なくとも1種の酸化染料及び酸化剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
シャンプー、コンディショナー、ジェル又はエマルジョンの形態にある、請求項11ないし13のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
有機材料、とりわけヒト毛髪を染色する方法であって、前記有機材料を、少なくとも1種の請求項1ないし5に記載の式(1)で表される染料、又は請求項6に定義された化合物、又は請求項10ないし13に記載の組成物、又は請求項7ないし10に従い調製された染料、及び、所望により他の染料と接触させることからなる、方法。
【請求項16】
ヒト毛髪を染色又は色味付けするための請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ヒト毛髪を、少なくとも1種の請求項1に定義された式(1)で表される染料、又は請求項6に定義された化合物、及び酸化剤、及び所望により、他の直接染料と接触させることからなる、請求項15又は16に記載のヒト毛髪又は毛髪房を染色する方法。
【請求項18】
ヒト毛髪を、少なくとも1種の請求項1に定義された式(1)で表されるカチオン性染料又は請求項6に定義された化合物、及び少なくとも1種の酸化染料と接触させるか;又は前記毛髪を、少なくとも1種の請求項1に定義された式(1)で表されるカチオン性染料、又は請求項6に定義された化合物、及び少なくとも1種の酸化染料及び酸化剤と接触させることからなる、請求項16又は17に記載のヒト毛髪を染色する方法。


【公表番号】特表2006−528709(P2006−528709A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520827(P2006−520827)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051481
【国際公開番号】WO2005/012437
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】