説明

カテーテルアブレーション治療において病変部サイズを制御するための方法および装置

【課題】カテーテルアブレーションシステムにおいて病変部サイズをリアルタイムで推定するために、力の時間積分を使用する方法および装置を提供する。
【解決手段】接触アブレーションプローブによって対象組織にかかる力を測定し、アブレーションプローブの通電時間で力を積分する。力の時間積分は、推定された病変部サイズ(深度、体積、および/または面積)をリアルタイムで供給するために算出され使用できる。力の時間積分は、病変部サイズをよりよく推定するために、対象組織に伝達された電力の変動をリアルタイムで表わすものであってもよい。スチームポップを防止すべく、力の計測基準は、プローブに伝達された所望の電力レベルを設定するためにフィードバックで使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、アブレーション治療を用いる有機組織の治療に一般に関する。より詳細には、本発明の分野は、カテーテル接触アブレーション伝達システムを用いる病変部サイズの予測および表示に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の通常動作を駆動する電気的インパルスに影響するものとして、数々の条件が知られている。心房細動は、一般的な不整脈であり、心臓のうち上方の2つの部屋(心房)に関係する。心房細動において、心房と肺静脈を起源とする無秩序な電気的インパルスが、洞房結節によって生成される通常の電気的インパルスを越えると、心拍を生成する心室に不規則なインパルスが伝わる。心房細動によって心房の収縮が悪くなる場合があり、再び心房に血液が循環して血栓が形成される場合がある。このため、心房細動を有する人は、脳卒中の危険性が非常に高い。心房細動は鬱血心不全を引き起こす場合もあり、極端なケースでは死に至ることがある。
【0003】
心房細動の一般的な治療には、薬物治療、または心房細動を通常の心調律に変換する同期電気的除細動が含まれる。外科的療法も、従来治療に反応を示さない人々、または従来治療による深刻な副作用に苦しむ人々のために開発されている。外科技術として、心房−心室の周囲の異常な電気的インパルスの伝播をブロックするために、左心房と右心房が切開される。
【0004】
フランシシェリ(Francischelli)による特許文献1には、切開を行なって2つの顎部を備えるアブレーションヘッドの顎部を心臓に挿入し、更に両顎部間に心臓壁の選択した部分を固定することによって、心臓壁に沿って線形の病変部を作成する外科的技術が開示されている。両顎部を用いて、心臓壁組織の厚さが測定される。両顎部には既知のクランプ力が与えられ、これによって心臓壁組織の歪みを推察することができる。固定した組織を完全に切除するために、心臓壁の厚さに基づき、顎部の力と、RFエネルギと、アブレーション時間との組合せが選択される。顎部によってかかる歪みは、病変部の経壁性(transmurality)を推察するのにも用いられる。
【0005】
カテーテル接触アブレーション技術は、最も接触性のない外科的技術の代替として、ならびに従来治療(たとえば薬物治療)に反応を示さない人々、または従来治療による深刻な副作用に苦しむ人々にとっての代替として考案された。接触アブレーション技術は、心房細動の起源と考えられる肺静脈近傍の細胞群のアブレーション、または左心房の後壁に位置する肺静脈からの電気経路を機能停止にする広範な病変部の作成に関わる。エネルギ伝達方法には、無線周波数、マイクロ波、冷凍術(cryothermy)、レーザ、および高強度超音波が含まれる。接触プローブは、カテーテルによって心臓に置かれる。このカテーテルは、鼠径部または首の静脈に入れられて心臓に通されるため、外部から心臓壁を切開しなくてもよい。次いでプローブは、左心房の後壁に接して置かれ、組織を局所的に切除するように、ならびに左心房から肺静脈を電気的に分離するように通電される。電気的分離を完全にしたい場合、左心房と肺静脈の間において切除した組織の連続的なラインが形成されるように、上記処理を繰返し行なう。
【0006】
接触アブレーション技術の利点が認識されており、たとえば身体は切開されず、このため感染のリスクや回復時間が削減される。また上記の技術を用いることによって、ペーシングハードウェアまたは他の形式の電子治療もしくは機械治療の必要が削減されたり、無
くなることが多い。
【0007】
しかし、幾つかの接触アブレーション技術について、「スチームポップ」として知られている現象が懸念されている。スチームポップは、特に灌流された無線周波数カテーテルアブレーションに関連したリスクがある。この場合、表面下の加熱によって気化および膨張が急速に生じて近傍の組織が分裂し、可聴のポップ音が生じる。この分裂が十分に大きいと(すなわち気化膨張の体積が十分に大きいと)、心穿孔は「タンポナーデ」につながる場合があり、心筋(心臓の筋肉)と、心膜(心臓の外側を覆う嚢であり、心臓の圧縮を生じさせる)との間のスペースに血液が蓄積する。
【0008】
ある研究によると、カテーテル先端の温度を45°C未満に維持すると、RFエネルギ伝達時にスチームポップが抑えられる。ワタナベらによる非特許文献1を参照されたい。一方、別の研究では、スチームポップは接触アブレーションヘッドの温度に関係しないが、代わりに対象組織のインピーダンスの減少と強い関係があることが分かっている。またこの研究では、インピーダンスの減少が所定量を越えないようにインピーダンスを監視することが推奨されている。サイラ(Seiler)らによる非特許文献2を参照されたい。
【0009】
良好なアブレーション接触を行なうためのインピーダンスに基づく測定の欠点として、臓器壁の挙動は一様ではない場合がある。脂肪の領域のインピーダンスは、筋肉の領域とは非常に異なる。この違いによって、インピーダンスは接触整合性について信頼性のない指標を示すものとなる。また担当医は接触力を知るという利点を得ないまま、より優れたインピーダンスの指標を得ようとより大きな接触力をかける場合があるため、安全性が損なわれる場合がある。
【0010】
別の研究では、電力レベル/病変部直径の組合せを適切に選択することによって、スチームポップを回避できると推定されている。トップ(Topp)による非特許文献3を参照されたい。リーバ(Lieber)らによる特許文献2には、アブレーション時に組織反射スペクトル特性を測定することによって表面下スチーム形成を検出する方法が開示されている。
【0011】
接触アブレーション技術についてはこの他、病変部サイズが電気的隔離を行なうのに十分か否かとの懸念がある。同時に、過度のアブレーションも問題である。過度のアブレーションは、心臓近傍の他の臓器組織(たとえば食道)を損傷する場合があり、心房の構造的完全性を損なう場合がある。この結果、「突破口」が生じ、心房壁から血液が漏れる。接触アブレーション処置時に病変部サイズを制御する技術には、接触プローブと、対象組織における基質との間のインピーダンスを測定すること(特許文献3、特許文献4)、有害な組織の焦げ付き(tissue charring)が生じる前に起きる屈曲のRFアブレーション時に、(電解質として機能する)介在組織の電流出力を監視すること(特許文献5)、病変部の深度を増加させるために外部補助電極を使用すること(特許文献6)、表面組織を傷つけずに病変部の深度を拡張するために、表面下組織の低温接触冷却と組合せて表面下組織を加熱するマイクロ波プローブ(特許文献7)、およびエネルギ伝達直後に病変部の温度を測定すること(特許文献4)が含まれる。幾つかの特許は、プローブ先端の過熱と、RF送信を妨げる付随する凝固形成とを防ぐことによって病変部の深度を拡張するために、RFアブレーションプローブ先端の温度の冷却および/または監視を行なう方法を開示している(特許文献8、特許文献9、特許文献10)。
【0012】
病変部サイズおよびスチームポップの制御向上にも拘らず、カテーテルアブレーションに関連した有効性とリスクには、大きな開きがある。カルキン(Calkins)らによる非特許文献4を参照されたい。カルキンによると、カテーテルアブレーションの結果に
は、技術上の差異および施術を行なう医師の経験や技術的熟練度に部分的に起因して大きな開きがある。
【0013】
またカテーテルアブレーション技術には、成功の指標、問題領域の指標、または潜在的な合併症の指標を提供するという、処置の映像化に関する課題がある。アブレーション技術の映像化を行なう早期の方法には、電気信号の分析に依存するカテーテル心内膜マッピングを用いて、心臓腔をマッピングすること(特許文献11)が含まれる。信頼性が低いと認められているこれら早期の方法およびより改良された方法は、キャビティのモデル化の精度を向上させるように開発されてきた。最近の映像化方法は、コンピュータ断層撮影法(CT)スキャン、または磁気共鳴映像法(MRI)スキャンを使用してまず患者の体腔を高解像度でモデル化し、次いで3次元画像と物理的座標との関係を構築するシステムによって「融合」を行なう。あるシステムは、臓器の形態マップを作成するカテーテル位置センサを使用する。他のシステムは、患者において感知された身体臓器の領域で、CTスキャン/MRIスキャンの画像座標をマッピングするカテーテル位置センサを使用する。これらのシステムのうちの幾つかは電気信号に基づき位置センサを使用し、他のシステムは電磁信号を使用する。更に他のシステムは、心臓腔の正確なマップ作成において位置を決定するのに超音波アレイを使用する。商用のマッピング実装が入手可能であり、たとえば磁場センサと専用カテーテルとを使用してチャンバ形状を検出するCARTO(登録商標)マッピングシステム(バイオセンス(Biosense)社製)、および電気センサと標準カテーテルとを使用して3次元(3D)モデルを生成するEnSite NavX(商標)Navigation and Visualization Technologyがある。更に他の方法は、画像融合技術に結合したX線装置(XMR)を使用して、心臓腔の3次元映像化を行なう。
【0014】
急速に注目を集めている方法は、心臓腔に注入される造影剤を用いる3次元血管造影法である。注入後、間接撮影装置が患者の周囲を回転して情報を取り込む。取り込んだ情報に基づき、コンピュータシステムは、心臓腔を描画する3次元を作成することができる。遅延造影磁気共鳴映像法(DE−MRI)技術などのMRI技術において、最近進歩が見られており、空間歪みを生じることなく心臓腔の画像の解像度が向上されている。最近開発された他の3次元マッピング技術は、パッポン(Pappone)らによる非特許文献5に公開されている。本明細書に記載する定義を除き、この全内容は引用によって本明細書に援用される。
【0015】
3次元映像化技術は進歩しているが、アブレーション処置の分析の1要素であるに過ぎない。従来、アブレーション処置は、印加されるRFエネルギの電力、温度、および/または時間を測定することを特徴としていた。これらの初期特性では、病変部サイズと有効性を全体として予測できないことが分かっている。したがって、既存の技術は単に、アブレーション処置に関する限られた量の視覚情報をオペレータに供給するものである。既存の映像化技術は、心臓腔を3次元に映像化したものの上に重ねられた、固定サイズの3次元オブジェクトを色識別することによって、電力、温度、および時間の推定値をオペレータに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0256522号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0097220号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/063195号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0275440号明細書
【特許文献5】米国特許第6,322,558号明細書
【特許文献6】米国特許第7,151,964号明細書
【特許文献7】米国特許第7,465,300号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0177151号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2007/0093806号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2008/0161793)号明細書
【特許文献11】米国特許第4,940,064号明細書
【特許文献12】欧州特許第2047797号明細書
【特許文献13】国際公開第2008/045958号
【特許文献14】国際公開第2007/050960号
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0200049号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2007/0060847号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2008/0294144号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2008/0009750号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「先端を冷却したアブレーションによる高周波数電力伝達およびイヌ心臓中の病変部サイズの増加:ポップおよびインピーダンス上昇を抑えるカテーテル先端温度監視の重要性(Cooled−Tip Ablation Results in Increased Radiofrequency Power Delivery and Lesion Size in the Canine Heart: Importance of Catheter−Tip Temperature Monitoring for Prevention of Popping and Impedance Rise)」 Journal of Interventional Cardiac Electrophysiology)」,vol.6,no.2,pp.9−16(2002)
【非特許文献2】「灌流した無線周波数アブレーション時のスチームポップ:防止用インピーダンス監視の実現可能性(Steam pops during irrigated radiofrequency ablation: Feasibility of impedance monitoring for prevention)」,Heart Rhythm,vol.5,no.10,pp.1411−16(2008年)
【非特許文献3】「生理食塩水に結合した表面高周波数アブレーション:スチームポップおよび豚肝臓の損傷深度に影響するファクタ(Saline−linked surface radiofrequency ablation: Factors affecting steam popping and depth of injury in the pig liver)」,Ann. Surg.,vol.239,no.4,pp.518−27(2004年)
【非特許文献4】「カテーテルおよび外科的アブレーションについてのHRS/EHRA/ECAS専門家による合意書:職員、方針、処置およびフォローアップについての提言。心房細動のカテーテルおよび外科的アブレーションについてのHRSタスクフォース(HRS/EHRA/ECAS expert Consensus Statement on catheter and surgical ablation of atrial fibrillation: recommendations for personnel, policy, procedures and follow−up. A report of the Heart Rhythm Society(HRS) Task Force on catheter and surgical ablation of atrial fibrillation)」,Heart Rhythm,v.4,no.6,pp.816−61(2007年)
【非特許文献5】「心房アブレーションの指針としての非蛍光マッピング:将来に対する現状および期待(Non−fluoroscopic mapping as a guide for atrial ablation: current status and expectations for the future)」, European Heart Journal Supplements,vol.9,Supplement I,pp.I136−I147(2007年)
【非特許文献6】「灌流した高周波数アブレーションカテーテル予測病変部およびスチームポップと血栓の発生に統合された新規の接触力センサ(Novel Contact Force Sensor Incorporated in Irrigated Radiofrequency Ablation Catheter Predicts Lesion Size and Incidence of Steam Pop and Thrombus)」,Circulation: Arrhythmia and Electrophysiology,vol.1,no.5,pp.354−362(2008年12月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、アブレーション処置の結果を、包括的に映像化および特性化したものをオペレータに供給できる技術はない。
病変部サイズを予測するため、および/またはカテーテル接触アブレーション処置時における有害なスチームポップ発生を削減するため、更に、予測した病変部サイズと、組織損傷(すなわち穿孔、抵抗性組織)と、接触アブレーション処置時の隔離間隙とを映像化するための代替の装置および方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の様々な実施形態は、力の時間積分技術を用いて作成される病変部の体積、面積、および/または深度を確実に予測する。他の実施形態は、スチームポップを防止するために、アブレーションプローブと対象組織の間の接触力に基づき、アブレーションプローブに伝達されるエネルギを制御する。
【0020】
別の態様において、本発明の様々な実施形態は、アブレーション処置時に作成される病変部の予測した体積、面積、および/または深度を確実に映像化する。一実施形態は、力−接触密度のマッピング処置を用いて作成される、予測した病変部を映像化する。別の実施形態は、力の時間積分技術を用いて、予測した病変部を映像化する。更に別の実施形態は、力と時間と電力(および/または電流)の積分技術を用いて、予測した病変部を映像化する。他の実施形態は、組織損傷の発生と位置(たとえばアブレーションプロセスにおいて生じた穿孔)を予測する。更に他の実施形態は、処置時または処置後に生じ得る隔離間隙の発生と位置を予測する。
【0021】
カテーテル接触アブレーションシステムの最近の進歩には、対象組織との接触によって生じるカテーテル上の反力を測定する能力が含まれる。対象組織に接すると、先端における接触力測定または圧力測定を決定するための装置および方法が、最近、多くの特許出願に開示されている。たとえば特許文献12、特許文献13、特許文献14を参照されたい。これらの開示は、また時間、温度、電力、および/または電流に加え、接触力および/または接触圧力を、接触アブレーション処置時に施術者に利用可能な別のリアルタイム測定基準として発表している。本出願の指定代理人に指定された特許文献15、特許文献16、レオ(Leo)らによる特許文献17、およびアビー(Aeby)らによる特許文献18は、RFアブレーションヘッドを備えるカテーテルのエンドエフェクタ上の反力について、3次元空間における力ベクトルを分解するための装置および方法を開示する。各々の全開示内容は、本明細書に記載する定義を除き、引用によって本明細書に援用される。
【0022】
生じる病変部のサイズは、既知の通電レベルで接触時間に亘って反力を積分することによって、確実に推定できることが分かっている。あるいは力と通電レベル(いずれも時間
に応じて可変)の積は、接触時間に亘って積分されてもよい。力の時間積分、または力−通電−時間の積分は、接触時間を知ることによって、ならびに力の平均値もしくは力の他の代表値、および/または時間間隔に亘る通電を掛け合わせることによって、確実に概算される。本明細書において、「力の時間積分」は、時間に亘る力の測定に関わる測定量として広く定義される。このため、本明細書において用いられる「力の時間積分」は、力×時間の積(たとえば印加の時間間隔を掛け合わせた力として表わされるもの)、力−通電−時間の積分、力×時間×通電の積、およびそれらの組合せを含む。
【0023】
接触力と病変部サイズだけでなく、接触力と病変部サイズとの関係に関する研究について、ヨコヤマらによる非特許文献6に公開されている。この全開示内容は、本明細書に記載する定義を除き、引用によって本明細書に援用される。ヨコヤマは、病変部の形成を最大にし、スチームポップと冠状動脈血栓(thrombosus)を削減するために、RF電力と印加時間とを最適化することについても開示している。しかしヨコヤマは、力の時間積分と、病変部サイズの予測との間の関連性については開示していない。
【0024】
本明細書においては、スチームポップの発生を更に削減するための装置および方法について開示する。構造的に、本装置および方法は、アブレーションヘッドへのエネルギ伝達を制御する電力源へのフィードバック要素として、接触力または接触圧力の測定を用いる。接触力/接触圧力が低いまたは間欠的である場合、電力レベルは高出力となるように制御され、接触力/接触圧力がより高い場合は低出力となるように制御される。この技術によって、スチームポップを削減することができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、映像化技術を用いるアブレーション手術の結果を包括的に特性化するための装置および方法が提供される。映像化の態様は、アブレーション処置時に作成される病変部の病変特性(たとえば面積、体積、および/または深度)について信頼性のある指標を、リアルタイムでおよび/または手術後の分析時にオペレータに供給できる。或る実施形態において、接触密度は、アブレーション処置時に心臓腔を3次元(3D)に映像化したものにマッピングされる。他の実施形態において、力、時間、およびアブレーション通電パラメータ(たとえば電力または電流)は、アブレーション処置時に心臓腔を3次元に映像化したものにマッピングされる。
【0026】
本発明の映像化の態様によると、病変部サイズを確実に概算することによって、および隔離ラインの完全性を推定することによって、専門家によるアブレーション処置の効率向上が可能になる。更に別の実施形態において、接触、力、および電力密度は、心臓腔を3次元に映像化したものにマッピングされる。映像化の態様によると、潜在的な組織損傷(たとえば患者の回復時に合併症を生じ得る、穿孔が生じやすい領域)について、オペレータは確実に概算することができる。また映像化の態様によると、処置時に見られる潜在的な隔離間隙、または処置後の一定期間に生じ得る潜在的な隔離間隙について、オペレータは確実に概算することができる。また映像化の態様によると、オペレータはそれぞれの外科的処置によって作成される病変部同士を区別することができ、したがって全般範囲と患者の病歴とに関する情報が供給される。したがって、アブレーション処置に関する情報は、詳細な分析を行なうために、または患者の病歴の一部となるように保存されてもよい。最後に、本発明の幾つかの実施形態は、アブレーションプロセスにおいてRF電力の導入にマイナスの影響を及ぼす浮腫または他の細胞構造の作成に関する情報を供給してもよい。その後、これらの浮腫または構造は、将来のアブレーション処置のために監視されてもよく、標的とされてもよい。記載の方法および装置を利用することによって、アブレーションプロセスにおいて作成される病変部の特性を確実に予測することができ、処置の成功が保証され、処置の複雑さと回復時間とが潜在的に削減される。
【0027】
本明細書に開示する方法および装置は、接触および/または病変部サイズのロボット制
御にも構成している力の時間積分の算出は、カテーテルの操作を制御する(またはカテーテルの操作を制御する別のマイクロプロセッサに情報を提供する)マイクロプロセッサによって行なわれてもよい。電力出力(電圧出力もしくは電流出力)または接触力もしくは接触圧力が、力の時間積分の制御において人の介在なく、予測した病変部サイズを生成すべくにシステムによって能動的に制御されるように、上記の算出はリアルタイムでまたは擬似リアルタイムで行なわれてもよい。
【0028】
構造的には、医療処置時に対象組織を切除するための切除システムの様々な実施形態は、医療処置時に患者に導入されるように構成された伸長軟性カテーテルであって、カテーテル先端部を有するカテーテルを含む。アブレーションヘッドは、カテーテル先端部に配置され、医療処置時に対象組織に接触するように構成される。力センサは、アブレーションヘッドに作用可能に結合され、対象組織との接触によってアブレーションヘッドにかかる接触力を検出するように構成され、接触力に応じて力信号を出力する。一実施形態において、力センサは、光ファイバ歪みゲージを含む。電力源は、アブレーションヘッドを通電するためにアブレーションヘッドに作用可能に結合される。電流センサは、アブレーションヘッドに流れる電流を検出するように構成されてもよい。
【0029】
一実施形態において、制御装置は、接触力の値のシーケンスを生成するために、力センサから力信号を受信するように構成される。データ収集システムは、アブレーションヘッドの通電の時間周期を決定するように、ならびに力の時間積分を生成すべく、通電の時間周期に亘って取得した接触力の値のシーケンスを積分するように構成されてもよい。
【0030】
一実施形態において、制御装置は、アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータを決定するように、且つ通電パラメータによって作成される対象組織における病変部のサイズパラメータを予測するように構成される。この実施形態において、この予測は、力の時間積分と通電パラメータとに基づく。一実施形態において、通電パラメータは、電力レベルおよび/または電流である。制御装置は、アブレーションヘッドに伝達される電流の大きさを決定するように構成されてもよく、電流の大きさによって作成される対象組織における病変部のサイズパラメータを予測するように更に構成されてもよく、前記予測は、力の時間積分と電流の大きさとに基づいてもよい。サイズパラメータは、病変部の体積、病変部の深度、または病変部の面積のうちの1つ以上であってもよい。
【0031】
制御装置はまた、アブレーションヘッドの通電の時間周期と、電力源によってアブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさとを制御するように構成されてもよい。一実施形態において、制御装置は、電力源によってアブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを制御するように構成され、通電パラメータの大きさは、接触力の大きさに基づく。力の時間積分が所定値に到達すると、制御装置は、電力源によるアブレーションヘッドの通電をほぼ無効にするように構成されてもよい。更に別の実施形態において、制御装置は、通電を削減または無効にすることに加え、あるいはそれに代わって、灌流を増加させるように構成されてもよい。或る実施形態において、制御装置は、力×時間の間隔をリアルタイムで算出するように構成されてもよい。
【0032】
システム全体は、人であるオペレータが手動操作できるように構成されてもよく、カテーテル先端部を移動させるためにロボットマニピュレータに結合されてもよい。ロボットマニピュレータは、制御装置によって制御されてもよい。
【0033】
或る実施形態において、制御装置は、力センサと電力源とに作用可能に結合した中央処理装置を有する。中央処理装置によってアクセスされ実行されるプログラム命令を含む記憶媒体が提供されてもよい。一実施形態において、プログラム命令は、アブレーションヘッドが対象組織に接触しているときに、力センサによって接触力のシーケンスを測定する
工程と、接触力のシーケンスは接触に応じることと;接触力のシーケンスが測定されているときに、一定期間、アブレーションヘッドを通電する工程と;力の時間積分を決定するために、アブレーションヘッドを通電する前記一定期間に亘って力センサによって測定した接触力のシーケンスを積分する工程とを含む。プログラム命令は、アブレーションヘッドを通電する間、アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータを決定する工程と;通電パラメータの大きさを制御する工程と;スチームポップの発生を防止または削減するために、接触力のシーケンスに含まれる接触力に基づき、通電パラメータを選択する工程と;力の時間積分と通電パラメータとに基づき、病変部のサイズパラメータを決定し、および/または力の時間積分が所定値に到達すると、アブレーションヘッドの通電を終了する命令を決定する工程とを更に含んでもよい。
【0034】
力信号調整装置はまた、力センサから受信される力信号をデジタル化するように、且つデジタル化した信号を中央処理装置に供給するように構成されてもよい。光ファイバ力センサを用いる構成において、力信号調整装置は、光ファイバ歪みゲージと中央処理装置とに作用可能に結合した光ファイバインテロゲータを含んでもよい。力信号調整装置はまた、(たとえば力センサから受信する力信号をデジタル化するために、ならびにデジタル信号を中央処理装置に供給するために)接触力の値のシーケンスを生成するように構成されてもよい。
【0035】
方法論によって、本発明の様々な実施形態は、対象組織にカテーテルのアブレーションヘッドを稼働させる工程と;アブレーションヘッドが対象組織に稼働するときに、力センサによって接触力のシーケンスを測定する工程であって、接触力は、対象組織へのアブレーションヘッドの稼働に応じることとを含む。アブレーションヘッドは、接触力のシーケンスが測定されているときに、一定期間通電される。通電を行なう前記一定期間に亘って力センサによって測定した接触力のシーケンスは、次いで統合されて、力の時間積分が決定される。一実施形態において、この方法は、アブレーションヘッドを通電する間、アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータを決定する工程と、力の時間積分と通電パラメータとに基づき、病変部のサイズパラメータを決定する工程とを更に含む。通電パラメータの大きさは、スチームポップの発生を防止または削減するために、接触力のシーケンスに含まれる接触力に基づき選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る、接触アブレーションシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態に係る病変部サイズへの、一定の力または周期的な力の影響を決定するためのテスト設定の概略図。
【図3】図2のテスト設定によって生成した力について、略一定のシーケンスの時間トレースの一例を示すグラフ。
【図4】図2のテスト設定によって生成した力について、変動するシーケンスの時間トレースの一例を示すグラフ。
【図5】図2のテスト設定によって生成した力について、間欠的なシーケンスの時間トレースの一例を示すグラフ。
【図6】図2のテスト設定において、アブレーション後の試験片の断面図。
【図7】本発明の一実施形態に係る20Wと40Wにおける病変部の、体積に対する力の時間積分値のグラフ。
【図8】本発明の一実施形態に係る20Wと40Wにおける病変部の、深度に対する力の時間積分値のグラフ。
【図9】本発明の一実施形態に係る20Wと40Wにおける病変部の、面積に対する力の時間積分値のグラフ。
【図10】本発明の一実施形態に係る接触アブレーションシステムの概略図。
【図10A】本発明の一実施形態に係るプログラム命令のフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態に係る病変部生成時の、心房壁の部分拡大断面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る力生成プローブによって、生体内で生成した接触力の時間トレースを示すグラフ。
【図13】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムの概略図。
【図14】本発明の一実施形態に係る、臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図15】本発明の一実施形態に係る、病変部を視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図16】本発明の一実施形態に係る、病変部を代替として視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図17】本発明の一実施形態に係る、病変部を代替として視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図18】本発明の一実施形態に係る、病変部を代替として視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図19】本発明の一実施形態に係る、接触密度マッピングによって作成した病変部を視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図20】本発明の一実施形態に係る、接触密度マッピングによって作成した病変部を視覚的に示した臓器の代替3次元仮想モデルの概略図。
【図21】本発明の一実施形態に係る、力接触密度マッピングによって作成した病変部を視覚的に示した臓器の3次元仮想モデルの概略図。
【図22】本発明の一実施形態に係る、力接触密度マッピングによって作成した、病変部を視覚的に示した臓器の代替3次元仮想モデルの概略図。
【図23】本発明の一実施形態に係る病変部を視覚的に示した、臓器壁の断面図。
【図24】本発明の一実施形態による病変部を視覚的に表示するための、コンピュータシステムインタフェースの概略図。
【図25】本発明の一実施形態による臓器の3次元モデルにおいて、病変部の生成および表示を行なうためのステップを示すフローチャート。
【図26】本発明の一実施形態に係る臓器の3次元モデルにおいて、浮腫または抵抗性組織の生成および表示を行なうためのステップを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照し、本発明の一実施形態において、接触アブレーションシステム30を示す。接触アブレーションシステム30は、カテーテル先端部34を有するカテーテル32を含み、カテーテル先端部34は、力センサ38に作用可能に結合したアブレーションヘッド36を含む。このアブレーションヘッド36は、対象組織40に接触するように配置されている。カテーテル32は、電力源42に作用可能に結合される。電力源42は、アブレーションヘッド36にエネルギを供給し、伝達したエネルギを測定する。測定装置44も示されており、この測定装置44は、力センサ38をソースとすることができ、力センサ38から得られる出力信号である力信号を測定することができる。
【0038】
手術において、対象組織40上または対象組織40内に病変部46を作成するために、アブレーションヘッド36は対象組織40に接触し通電される。力センサ38は出力を生成するように構成され、この出力から接触力の大きさを推察することができる。一般に、特に対象組織40は動作(たとえば鼓動する心臓の壁)の影響下にある場合、接触力は時変である。エネルギの流れが、アブレーションヘッド36と対象組織40の間の接触抵抗に依存し得る場合、アブレーションヘッド36におけるエネルギの流れ(たとえば電流または電力)も時変になり得る。この接触抵抗も同様に、アブレーション時に接触力と病変部46の変化特性とによって変動し得る。
【0039】
本発明の様々な実施形態は力の時間積分を実施し、これによって病変部46のサイズ(体積、深度、および/または面積)を予測することができる。「力の時間積分」は、時間
に亘る力の測定を含む測定量として、本明細書において広く定義される。力の時間積分は、時間に亘る力の測定値を含む幾つかの方法のうち、定義した1つであってもよい。力の時間積分の一例として、勿論、時間に亘る力(FOT)の数値積分法がある。
【0040】
【数1】

【0041】
ここでF(t)は、対象組織と、アブレーションヘッドの先端部との間における、時間に亘って測定した接触力である。パラメータtは時間を表わし、接触力は時変になり得ることを示している。
【0042】
力の時間積分はまた、力×時間の積(FTP)として、以下のように表わすこともできる。
【0043】
【数2】

【0044】
ここでF(Fに上線付)は、時間周期Δtに亘るF(t)の代表値である。
力の時間積分の別の表現として、時間に亘る力−通電(FEOT)の積分、または力−通電−時間の積(FETP)があり、以下のように表わされる。
【0045】
【数3】

【0046】
【数4】

【0047】
ここでE(t)は測定した通電であり、アブレーションヘッドに伝達したエネルギの流れ(たとえば電力または電流)を示し、E(Eに上線付)は時間周期Δtに亘って測定した通電E(t)の代表値(たとえば時間−平均した通電の値)である。上記のように、測定エネルギE(t)は時変であってもよい。たとえば力×時間−通電の積(FETP)は上記パラメータの組合せを含んでもよく、たとえば以下のようである。
【0048】
【数5】

【0049】
【数6】

【0050】
別の実施形態において、時間に亘って正規化した力(NFOT)の積分は、エネルギレベルについて正規化されており、以下のように実施されてもよい。
【0051】
【数7】

【0052】
FOTのキャリブレーションまたはFTPのキャリブレーションのみが使用できる場合、このようなアプローチは精度の向上に有用となり得る。
本発明に関して、「力」自体の測定は、力の時間積分の推察または導出を行なうのに必要ではない。力および張力または圧力は、他のコンテキストにおいて等価ではない場合もあるが、力に関係する他のパラメータ(たとえば張力、圧力)は、本発明において、力の時間積分の力要素の代用とされてもよく、病変部サイズをなお確実に予測することができる。同様に、本明細書において他に「力」という場合、(これらに制限されないが、力センサ、力信号、力の変換、力の設定点、力の間隔、力の値、力の測定、力レベル、力範囲、接触力、および反動力)、他のパラメータ(たとえば力に関係する圧力および張力)を含むように広く解釈されるものとすることを理解されたい。
【0053】
上記の様々な力の時間積分は、作成される病変部46のサイズを予測するのに有用となり得る。病変部サイズの情報を取得するため、ならびにこの情報を病変部の生成と病変部サイズの予測に使用するための方法および装置を、以下に説明する。
【0054】
図2を参照し、本発明の一実施形態において、テスト装置50は、接触力の時間積分と、RFアブレーションの病変部サイズとの関係を決定するように開発されたものである。電動プラットフォーム52を使用して、灌流したアブレーションカテーテル56(直径:2.3−mm)の下方の組織標本54(ウシ筋肉)を昇降させた。このアブレーションカテーテルは空間に固定され、アブレーションヘッド57を備えている。アブレーションヘッド57は、組織標本54に略垂直に配向されている。灌流されたアブレーションカテーテル56のアブレーションヘッド57を、力センサ58(感度<1g、サンプリングレート:64Hz)に作用可能に結合した。所望の接触力特性を得るべく電動プラットフォーム52の鉛直変位62を制御するように、力センサ58は、プログラム可能な閉ループコントローラ60にフィードバック要素として組込まれた。アブレーションヘッド57を、RFソース64に作用可能に結合した。このRFソース64を使用して、単極RFエネルギを組織標本に伝達した。
【0055】
この設定を用いて、3つの互いに異なる接触条件(すなわち一定のCC、可変のVC、および間欠的なIC)をテストした。一定の接触条件CCは、アブレーション周期において一定の接触力をシミュレートした。可変の接触条件VCは、連続的な接触をシミュレートしたが、アブレーションプローブと、鼓動する心臓との相互作用をシミュレートすべく、周期的に変動する力を用いた。間欠的な接触条件ICは、接触が連続的ではない場合にアブレーションプローブと、鼓動する心臓との相互作用をシミュレートすべく、周期的で非継続的な接触をシミュレートした。
【0056】
実験は、一定の電力伝達レベル(20Wと40W)で行なった。通電期間は60秒に設定し、食塩水(17cc/min)を灌流した。一定の接触条件CCは、20グラム重(gmf)でテストした。1g重は、標準重力の1グラム量の重量に等価とした。可変の接触条件VCは、最小約10g重と最大約20g重の間において周期的に変動する力を用いてテストした。間欠的な接触条件ICは、負荷サイクルの一部を0g重の条件に維持した場合、最小0g重から最大20g重まで様々であった。接触条件VC,ICは、心拍を毎分50拍〜100拍にシミュレートしてテストした。収縮期−対−拡張期の比も、50:50および30:70にシミュレートした。
【0057】
図3〜図5を参照し、様々な接触条件CC,VC,ICのトレースの例を、本発明の一実施形態に示す。一定の接触条件CCにおいて14個の病変部が作成され、可変の接触条件VCにおいて48個の病変部が作成され、間欠的な接触ICにおいて35個の病変部が作成された。力の時間積分は、一定の接触条件CCにおいて最も高く、可変の接触条件VCにおいて中間であり、間欠的な接触条件ICにおいて最も低かった。病変部の深度と体積は、間欠的な接触条件ICよりも一定の接触条件CCにおいてより大きく、また間欠的な接触条件ICよりも可変の接触条件VCにおいてより大きかった。
【0058】
図6を参照し、本発明の一実施形態において、切除した組織標本54における病変部80のサイズ(面積、深度、および体積)の決定を示す。病変部80は、表面積82と体積84を有することを特徴としている。病変部80の表面積82と体積84は、変色した組織と、変色しなかった組織との間の境界によって決定される病変部の直径を最初に測定することによって決定される。楕円形状の病変部表面において、長径Aと径Bとが測定される。その後、切除した組織を、病変部80の中心軸86において切り裂く。病変部表面が楕円形状の場合、長径Aまたは短径Bに沿って切り裂かれる。病変部80の深度Dは、切り裂かれた組織標本54において測定される。
【0059】
病変部の表面積は、以下のように決定されてもよい。
面積=π・(A/2)・(B/2) …数(8)。
病変部の体積は、楕円体の体積の半分として推定されてもよい。
【0060】
体積=1/2・[(4/3)・π・(A/2)・(B/2)・D] …数(9)
=π/6・A・B・D 。
図7〜図9を参照し、本発明の一実施形態において、テスト時に得られた病変部の体積、深度、面積に、力の時間積分を統合した結果を示す。20Wと40Wと両方の電力供給において、力の時間積分と、病変部の体積および病変部の深度との間に、略線形の相関性が見られる。病変部サイズと、シミュレートした心拍数との間、または病変部サイズと収縮期/拡張期の比との間に識別可能な関係は見られなかった。
【0061】
したがって、一実施形態において、本発明の病変部サイズを予測する方法とは、(たとえば数1〜数7に示す代表値の統合によってまたは積によって)アブレーションヘッドの通電期間に亘る力信号から、力の時間積分を設定すること、ならびに線形相関性による積分から、病変部サイズの特性(たとえば深度、体積、または面積)を推察することである。この方法は、データの統計処理を可能にすべく、データポイントの十分な母集団を得ることによって、既知の不確かさにおいて信頼できるものにされてもよい。病変部の面積の推定(図9)は、容易に、等価な直径Deに変換できる。
【0062】
De=4・A/π …数(10)。
図10を参照し、本発明の一実施形態において、力感知用カテーテル接触アブレーションシステム120を示す。このシステム120は、力感知用カテーテルアセンブリ122
を含み、カテーテルアセンブリ122は、データ収集処理装置または制御装置124と、電力源126と、注入ポンプ128とに作用可能に結合される。カテーテルアセンブリ122は、ハンドル部分132を含んでもよく、ハンドル部分132は、カテーテル基端部136とカテーテル先端部138とを有する細長い軟性カテーテル134に作用可能に結合される。カテーテル先端部138は、力センサ142を含む。この力センサ142は、接触アブレーションプローブまたはアブレーションヘッド144に作用可能に結合されており、アブレーションヘッド144にかかる接触力に応じて力信号を出力するように構成されている。アブレーションヘッド144は、電源ケーブル146によって電力源126に作用可能に結合した1つ以上の電極を含んでもよい。アブレーションヘッド144はまた、1つ以上の温度センサ150を含んでもよい。力センサ142と温度センサ150とから得られる信号(がある場合)はまた、計装用ケーブル152によって制御装置124に通されてもよい。カテーテルアセンブリ122はまた、デジタルメモリ素子154を含んでもよい。デジタルメモリ素子154は、力センサ142に特有のキャリブレーションパラメータを保存し、コンピュータケーブル156によって制御装置124に結合されている。
【0063】
制御装置124は、A/D変換器160と、力変換モジュールまたは力信号調整装置162と、中央コントローラまたはプロセッサ164とを含んでもよく、それらのすべてはインタフェース166に作用可能に結合されてもよい。インタフェース166は、力感知用カテーテルアセンブリ122からの様々なケーブル146,152,156の接続を含んでもよく、力センサ142を零にするために、重量リセットまたはゼロリセット68に作用可能に結合されてもよい。中央処理装置164は、中央処理装置164によって実行されるプログラム命令170を含む記憶媒体168へのアクセスを含んでもよく、アクセスを行なってもよい。中央処理装置164はまた、力信号調整装置162から得られるデータの制御およびログ記録を行なってもよく、通信ケーブル172(たとえばRS−422ケーブル)によってA/D変換器160と通信を行なってもよい。一実施形態において、電力源は、出力コントローラ173を備えていてもよい。出力コントローラ173は、電力出力の算出制御を行なうために、制御ライン174によって中央処理装置164に作用可能に結合される。中央処理装置164はまた、1つ以上のディスプレイ176によって、リアルタイム情報を提供してもよい。中央処理装置164によって情報がログ記録される速度は、制限されないが、たとえば約60Hzである。ディスプレイが更新される速度は、制限されないが、たとえば約10Hzである。
【0064】
力の感知は、歪みセンサによって、または変形体の移動を感知する距離センサ/変位センサによって行なわれてもよい。歪みセンサは、一般的な抵抗性歪みセンサ、圧電素子およびピエゾ抵抗(piezoresistive)素子、ならびにMEMSセンサを含む。距離センサは、容量センサ、誘導センサ、または光センサの技術を有する。たとえばある距離センサは、3つのピックアップコイルの反対側にある1つの磁気エミッタを使用して、コイルそれぞれの局所的強度の変化を測定し、したがって人体における歪みを測定する。
【0065】
一般に力信号調整装置162は、感知素子もしくは力センサ142の素子を駆動する、もしくはソースとする装置、および/または力センサ142の出力のデジタル化または監視を行なう装置を含む。たとえば力センサ142がホイートストンブリッジ(Wheatstone bridge)構成の箔型歪みゲージを実施する場合、力信号調整装置162は、励振源と、ホイートストンブリッジの出力の調整と増幅を行なう信号調整器と、A/D変換器(図示せず)とを含んでもよい。力信号調整装置162はまた、デジタル化した出力を工学単位(たとえばニュートン、重量ポンド、またはグラム重量)に変換するファームウェアを含んでもよい。あるいはデジタル信号は、中央処理装置164によって工学単位に変換されてもよい。
【0066】
一実施形態において、力センサ142は、1つ以上の光ファイバ歪み要素(たとえば光ファイバグレーティングまたはファブリペロー共振器)を含む。この実施形態において、計装用ケーブル152は、光ファイバケーブルを含み、力信号調整装置162は、光ファイバインテロゲータ(たとえばマイクロンオプティクス(MicronOptics)社製のモデル:SM125(ファイバブラッグインテロゲーション用)、フィゾー(FISO)社製のモデル:FCM(ファブリペローインテロゲーション用))を含む。
【0067】
電流検出器180は、アブレーションヘッド144に流れる電流を検出するために、電源ケーブル146に作用可能に結合されてもよい。電流検出器180は、中央処理装置164によって処理されるように、A/D変換器160に作用可能に結合されてもよい。一実施形態において、電流検出器180は、電源ケーブル146周囲の導電性コイルを含む。この導電性コイルは、電源ケーブル146を通るAC電流によって生成される磁界に比例する出力信号である力信号182を生成する。
【0068】
一実施形態において、ロボットマニピュレータ184は、力感知用カテーテルアセンブリ122に作用可能に結合されてもよい。ロボットマニピュレータ184は、ローカルマイクロプロセッサコントローラ186に、作用可能に結合されてもよい。ローカルマイクロプロセッサコントローラ186は、ローカルインタフェース187から、および/または中央処理装置164から、ユーザが制御を行なってもよい。あるいはロボットマニピュレータ184の制御は、中央処理装置164が直接行なってもよく、独立したマイクロプロセッサコントローラと付随するインタフェースとが不要となってもよい。
【0069】
機能的には、カテーテル134の移動とそれに続くアブレーションヘッド144にかかる反動力の大きさとを制御するために、ロボットマニピュレータ184は、ローカルマイクロプロセッサコントローラ186のコマンドに応答するようにされてもよい。この移動は、閉ループコントロールスキームにおいて制御したパラメータであってもよく、力センサ142が測定する力は、フィードバック測定であってもよい。所望の力の設定点、または所望の力間隔の設定点は、オペレータによってローカルインタフェース187または中央処理装置164を介して、ローカルマイクロプロセッサコントローラ186に供給されてもよい。
【0070】
随意により、所望の力または力間隔は、オペレータまたは制御装置124が供給する決定力のあるパラメータから算出されてもよい。たとえば体積が300mmの病変部サイズが、30Wの通電において所望とされる応用を考える。図7から、約1000g重−secの力と時間の積分は、決定力のあるパラメータであり、このパラメータから所望の力または力間隔が導出される。その後、アブレーションヘッド144の通電期間とともに力の時間積分が生成される所望の力または力間隔を使用するために、ロボットマニピュレータ184は通電されてもよい。ロボットマニピュレータ184が印加する力は、所望の力または所望の力の積分において、ローカルマイクロプロセッサコントローラ186によって制御されてもよい。一方、力の値と通電時間は、規定した力の時間積分が達成されるまで、制御装置124によって監視される。この処理は、制御装置124がアブレーションヘッド144への電力を止めることによって終了されてもよい。
【0071】
図10Aを参照し、本発明の一実施形態において、プログラム命令170の一例を示す。この実施形態において、所望の最小サイズと所望の通電とが、それぞれステップS170a,S170bにおいて、たとえばユーザ入力によって最初に設定される。次いで、たとえばロボットマニピュレータ184にコマンドを送信することによって、アブレーションヘッドは対象組織に接触する(ステップS170c)。対象組織とアブレーションヘッドの間の接触力の大きさは、ステップS170dにおいて測定され、ステップS170e
において許容可能な所定の大きさ間隔と比較される(たとえば図11に示す所望の力間隔198)。接触力が許容可能な大きさ間隔内にない場合、アブレーションヘッドの位置は、接触力の大きさの増減を行なうように調節され(ステップS170f)、ステップS170dを繰返し行なうことによって、接触力の大きさが再び測定される。対象組織とアブレーションヘッドの間で測定した接触力がステップS170eにおいて許容可能な大きさ間隔内となるまで、ステップS170f,S170d,S170eのループが繰返し行なわれる。次いでプログラム命令170は、たとえば出力コントローラ173によってRF発電機126を制御することによって(たとえば電流または電力の設定点を設定することによって)、ステップS170gにおいて所望の通電レベルでアブレーションヘッド144を通電するように、中央処理装置164に指示を行なう。
【0072】
アブレーションヘッドを通電すると、図10Aに示す実施形態は、ステップS170h,S170i,S170j,S170kを含むループに移行する。このループにおいて、ステップS170hで接触力の大きさと通電レベルとが測定される。次いで、ステップS170fにおいてアブレーションヘッドの通電が行なわれるため、力の時間積分(たとえば数1〜数7のうちの1つ)は、ステップS170hで取得した力の大きさの測定に基づきステップS170iにおいて算出した力×時間の間隔に基づき、病変部サイズが予測され(ステップS170j)、次いでステップS170kにおいて、所望の病変部サイズとの比較が行なわれる。予測した病変部サイズが所望の病変部サイズ以上である場合、ステップS170h〜S170kのループは終了する。さもなければ、ステップS170h,S170i,S170j,S170kが繰返し行なわれる。ステップS170h〜S170kのループが終了すると、アブレーションヘッドの通電も終了し(ステップS170l)、最後の病変部サイズの予測がコンピュータメモリに記録される(ステップS170m)。
【0073】
図11を参照し、患者にカテーテル134を入れる手術は、患者の首または鼠径部の静脈から行なわれ、静脈を通して患者の心臓188に通されてもよい。カテーテル134のカテーテル先端部138は、心臓188の心房190に入れられてもよく、アブレーションヘッド144は心房190の壁に接触する。アブレーションヘッド144と心房190の壁とが適切に接触すると、制御装置124は力センサ142を起源とする有意な力の測定を登録し、結果はディスプレイ176にリアルタイムで提示される。複数のディスプレイを使用することによって、複数の位置において、たとえばオペレータのために手術室において、ならびに助手のために調整室(手術室から離れていることが多い)において、力の情報を提示することができる。
【0074】
その後、所望レベルの力がディスプレイ176に提示されるまで、オペレータはカテーテル134のカテーテル先端部138の位置を調節する。所望の力レベルに倒達すると、オペレータは、所望の時間周期の間アブレーションヘッド144を通電してもよく、心房壁に病変部が作成される。オペレータは、この処理を他の位置において繰返し行なって、心房壁に所望のパターンの病変部(たとえば図11に示す)を作成してもよい。
【0075】
図12を参照し、本発明の一実施形態において、制御装置124が登録した力196の時間トレース194を示す。これは所望の力間隔198を示す一例であって、これに制限されない。時間トレース194の描写は、ディスプレイ176にリアルタイムで表示されてもよい。力196は、心臓188の収縮期と拡張期の動きによって、典型的には波状の性質を有する。ディスプレイ176に提示されるデータは、瞬間的な数値、数々のデータポイントを時間平均した数値、時間平均した数値の時間トレース、またはそれらを組合せた形式であってもよい。力196が所望の力間隔198内にある場合、ディスプレイ176におけるデータの提示は、オペレータに通知を行なうように調整されてもよい。たとえば時間トレース194上で力の上限198aと力の下限198bを識別することによって
調整されてもよい。あるいは時間平均した値が時間周期のうちの所望の間隔内にある場合は、指標を提示することによって調整されてもよい。
【0076】
制御装置124は、データの取得および表示を行ないつつ、力×時間のパラメータを統合するように構成されてもよい。中央処理装置164は、オペレータがアブレーションヘッド144の電源を入れると力の時間積分の統合を開始するように、ならびに力の時間積分が所定値に到達すると電力源126からの電力供給を止めるように構成されてもよい。一実施形態において、所定値は、切除される心臓の領域またはゾーンに基づいてもよく、心臓のすべての組織が接触アブレーションに同様に応答するとは限らないことが分かる。所望の病変部サイズに対応する力の時間積分値を設定する相関性(たとえば図7〜図9に示す)を用いて、所定値は、オペレータが所望とする病変部サイズにも(または、代わりに病変部サイズに)基づいてもよい。力の時間積分のこのような力学計算によって、より信頼性のある結果が供給され得る。オペレータは電源を入れさえすればよく、すなわち中央処理装置164が、力の時間積分に基づき電力をいつ止めるべきかを決定する。
【0077】
本発明の一実施形態において、中央処理装置164は、力センサ142によって感知した力に基づきアブレーションヘッド144に伝達される通電パラメータ(たとえば電力または電流)を制御するように、プログラムされてもよい。中央処理装置164は、力信号調整装置162によって分解される力を監視し、分解した力に対応する所望の通電の大きさを決定してもよい。次いで中央処理装置164は、パワーコントローラ173を用いて、電力源126の出力(たとえばAまたはW)を制御してもよい。
【0078】
電力源126の制御は、開ループであっても閉ループであってもよい。開ループの構成において、電力源126の設定(たとえば電圧または電流)によって、許容可能な不確かさに対して既知の出力(たとえば電流または電力)が生成されるように、電力源126はキャリブレーション調整されてもよい。閉ループの構成においては、電流センサ180の出力信号である力信号182を用いて、フィードバックパラメータを供給してもよい。電流センサ180の出力信号である力信号182は、生じた電流の不安定さを、たとえば間欠的な接触によって緩和するように調整されてもよい。公称接触力として望ましい電力または電流のレベルの決定は、数学関数によって、または中央処理装置164のメモリに保存したルックアップテーブルによって実行されてもよい。一実施形態において、制御した電流のレベルは、0.2アンペアよりも大きくてもよい。別の実施形態において、エネルギ伝達は、電流のレベルが2アンペアを越えないように調整されてもよい。
【0079】
機能的には、接触力に基づき通電パラメータの大きさを制御することによって、スチームポップ発生を防止または削減できる。力と通電の関係は、この目的に合わせて調整されてもよい。スチームポップの可能性が削減されるように、および/または生じるスチームポップが心穿孔を起こすほど重度にならないように、所与の力に対して指示した電力を選択することができる。
【0080】
通電パラメータの大きさの時変は、力の時間積分技術の使用を不可能にするものではないことに留意されたい。図7〜図9のキャリブレーションは、20Wと40Wの一定電力レベルで行なわれるが、可変の力の時間積分と病変部サイズとの一次関係は、2つの関数間における線形補間または線形外挿が信頼性のあることを示唆している。したがって、キャリブレーションデータ(たとえば図7と図8に示す)は、力の時間積分とアブレーション電力との両方の関数として、病変部サイズを供給するように操作されてもよい。
【0081】
本明細書に示すデータ(すなわち病変部サイズ対力の時間積分、および電力)は線形補間の基礎をなし得るが、本発明はこれらのパラメータの線形補間に制限されないことに留意されたい。たとえば他の通電パラメータレベル(25W、30W、および/または35
Wなど)における追加の関数によって、通電パラメータレベル間においてより高次の補間の基準が供給される。
【0082】
代替実施形態において、制御装置124は、代りに電力源126の通電パラメータを測定して、その測定に基づき、標的へのオペレータの所望の力レベルを設定してもよい。電力調節した所望の力レベルは、時間トレースにおける間隔として、またはそれらの両方として、数値的にディスプレイ176に表示されてもよい。
【0083】
別の実施形態において、病変部サイズの推定は、所与の接触状態(CC、VC、またはIC)で費やされた時間に基づいてもよい。たとえば力の測定は、接触条件において一度行なえ、接触間隔にわたり一定であると仮定される。接触時間の決定は、別の方法で(たとえば心電図(EKG)によって)行ってもよく、低解像度の力の時間積分値になるように力を掛け合わせてもよい。このような方法おいて、限られた数の測定のみが必要となり、力の測定の時間分解能条件が下げられる。
【0084】
図13を参照し、カテーテル接触アブレーションシステム120の一実施形態における中央処理装置164は、病院情報システム(HIS)200に接続されてもよい。病院情報システム200は複数のアプリケーションサーバ202と、医療記録および医療手術データの保存および実行が行なわれるデータベースシステム204とを含んでもよい。したがって、この実施形態において、医療記録履歴の情報部分を作成するために、中央処理装置164は病院情報システム200に、アブレーション処置における病変部の特性化および映像化に関する情報を伝えてもよい。様々な実施形態において、病変部情報を特性化および映像化したものは、様々なコンピュータ装置(たとえばハンドヘルド携帯機器206、ラップトップコンピュータまたはネットトップコンピュータ208、およびデスクトップワークステーション210)を用いて後に閲覧されてもよい。病変部情報を特性化および映像化したものは、ハードウェアまたはコンピュータ実行可能なソフトウェアで実施される閲覧機能を使用する任意の装置で閲覧され得ることを、本技術分野における当業者には理解されたい。
【0085】
図14を参照し、本発明の一実施形態による臓器の3次元仮想モデルを示す。これらの実施形態において、3次元仮想モデルは、患者の心臓260の仮想モデルである。上記のとおり、心臓260の高解像度3次元モデルは、磁気共鳴映像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)など様々な処置を使用して作成されてもよい。MRIスキャンまたはCTスキャンは、地理座標システムにマッピングまたは溶融される。したがって、マッピング処置の後、オペレータは患者の心臓の高解像度3次元仮想モデル260を有する。3次元仮想モデル260は病院情報システム200に通信され、病院情報システム200に保存されて、患者の医療記録の一部になってもよい。
【0086】
或る実施形態において、位置を感知可能な病変部の特性化および映像化を行なうために、3次元仮想モデル260は、位置を認識した力感知用カテーテルと併せて使用される。様々な実施形態において、心臓腔内におけるカテーテルの位置を推定するために、力感知用カテーテルは、磁気センサまたは電気センサを使用する。たとえば患者の心臓内におけるカテーテルの位置を追跡するために、患者に置かれた電極パッチは、力感知用EPカテーテルとインタフェースをとる。次いでこの位置は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムのカテーテル位置情報をオペレータに供給するために、3次元仮想モデル260にマッピングされてもよい。
【0087】
図15〜図18を参照し、本発明の様々な実施形態による病変部の特性化および映像化を示す。様々な実施形態において、アブレーション処置時にオペレータは、力感知用カテーテル134を関心のある位置に案内する。カテーテル134のカテーテル先端部138
を、心臓の心房に入れてもよい。接触アブレーションプローブ144は心房の壁に接触してもよい。これによってデータ収集処理装置124は、力センサ142を起源とし、且つディスプレイ176にリアルタイムで表示される有意な力の測定を登録する。その後、所望レベルの力がディスプレイ176に提示されるまで、オペレータはカテーテル134のカテーテル先端部138の位置を調節する。所望の力のレベルに到達すると、オペレータは、所望の時間周期の間、接触アブレーションプローブ144を通電してもよく、心房壁に病変部が作成される。オペレータは、この処理を他の位置において繰返し行なって、心房壁に所望のパターンの病変部を作成してもよい。様々な実施形態において、印加エネルギの力のレベル、温度、および時間周期は、データ収集処理装置124によって記録される。
【0088】
データ収集処理装置124がデータの取得および表示を行なう間、システムは、映像化情報のコンパイル、特性化、および生成を行なってもよい。オペレータが接触アブレーションプローブ144の電源を繰返し入れる度に、中央処理装置164は、病変部情報のコンパイル、特性化、および映像化を行なうように構成されてもよい。その後、中央処理装置164は、算出した病変部情報を3次元仮想モデル260上に重ねてもよい。
【0089】
様々な実施形態において、データ収集処理装置の124は、アブレーション処置時に生成される病変部の特性化および映像化を行なう。様々な実施形態において、病変部情報の特性化および映像化を行なうために、データ収集処理装置124は、測定基準に関する情報(たとえば接触、接触力、電力、温度、電気インピーダンス、力の時間積分、またはそれらの組合せ)を使用してもよい。またデータ収集処理装置124は、それぞれのアブレーションサイトにおいて影響を受けた組織の面積、深度、および体積を推定し、これらの推定を描写する異なる映像化を用いてもよい。
【0090】
幾つかの実施形態において、データ収集処理装置124は、病変部の範囲を更に特性化するために、種々の大きさを用いてもよい。たとえば様々な実施形態において、データ収集処理装置124は、測定基準(たとえば力、時間、温度、電力、電気インピーダンス、または力の時間積分)の高い大きさ280、中間の大きさ282、および低い大きさ284を用いて、推定した病変部特性を3次元仮想モデル260上に重ねる。具体的には、一実施形態は、高い大きさ280、中間の大きさ282、低い大きさ284として、それぞれ高い力(20g越)、中間の力(10g〜20g)、および低い力(10g未満)を使用して作成される病変部を特性化する。様々な実施形態において、それぞれの大きさレベルの映像化は異なる(たとえばそれぞれの位置においてそれぞれの閾値レベルの病変部同士を区別するために、面積、色、ストローク、不透明度、または充填パターンは異なる)。またこの映像化は、映像化によって定義した領域290もしくは視覚効果292によってそれぞれの病変部を表わしてもよく、あるいは範囲と大きさのレベル全体を視覚的に表示するために、それぞれの病変部の位置の境界を融合させてもよい(図5と図6に示す)。他の実施形態において、映像化は、別個の視覚効果を用いてそれぞれの測定基準の大きさレベルを表わしてもよい。たとえば或る実施形態において、力の時間積分の大きさを領域によって表わしてもよく、温度の大きさを色によって表わす。測定基準を種々の大きさに区別することは本開示によって制限されないことを、本技術分野における当業者には理解されたい。したがって、或る実施形態において、測定基準は3つ未満の大きさに体系化され、他の実施形態において、測定基準は少なくとも3つの大きさに体系化される。また様々な実施形態において、測定基準を各種大きさで描写することは、システム設定を用いて、または測定基準の描写を変更可能にする優先度に基づく手術(preferences operation)を用いて変更されてもよいことを、本技術分野における当業者には理解されたい。
【0091】
様々な実施形態において、映像化は、それぞれの大きさレベルの病変部の更なる病理分
析結果に一致するように、変更されてもよい。たとえば或る実施形態において、患者の心臓組織における病変部の身体的な兆候をよりよく反映するために、高い大きさ280と中間の大きさ282を映像化したものは、アスペクト比(短径に対する長径の比)が異なる楕円であってもよい。このように患者の心臓における病変部の領域および範囲の推定がオペレータに供給される。また様々な実施形態において、データ収集処理装置124は、視覚的な履歴(たとえば更なる病変部サイトに関する決定を行なうための処置、または患者の治療に影響する処置を、時間の経過にしたがって映像化したもの)を、オペレータに供給してもよい。
【0092】
一実施形態において、予測した病変部サイズを映像化したもの(たとえばドット)を重ねるために、力の時間積分が使用される。この実施形態において、力の大きさまたは時間の大きさは、映像化したドットの直径に比例的に影響する。別の実施形態において、力、時間、および電力の積分は、病変部サイズを予測するのに使用される。様々な実施形態において、カラーコードは、推定した病変部サイズをマークするために使用される。たとえば小さな病変部には黄色が用いられ、大きな病変部には赤色が用いられる。更に別の実施形態において、映像化したドットの直径は、推定した病変部の面積を表わし、映像化したドットの色は、推定した病変部の深度を表わす。
【0093】
図19と図20を参照し、本発明の一実施形態による映像化の例を示す。この映像化は、心臓組織の病変部のマッピングを行なうために、力感知用カテーテルによって供給される接触情報を用いるものである。様々な実施形態において、データ収集処理装置124は、力感知用カテーテルのそれぞれの接触点300を映像化したものを、3次元仮想モデル260上に重ねる。一実施形態において、映像化したそれぞれの接触点は、アブレーション処置時における約1秒の接触を表わす。別の実施形態において、映像化したもの(たとえばドット)は、力の時間積分に依存する割合で重ねられる。関連する実施形態において、映像化したドットは、力と時間と電力に依存する割合で重ねられる。したがって、これらの実施形態において、3次元仮想モデルの領域は、映像化したより高い密度のドットを有し、病変部サイズはより拡張されると考えられる。或る実施形態において、この映像化したドット密度は、エネルギが臓器のうちのある領域にどのように伝達したかを表わす。このようにして、データ収集処理装置124は、病変部の位置およびアブレーション処置についてのオペレータの決定に影響し得るアブレーション時に、接触の持続期間および範囲が最も高い臓器組織をグラフ表示してもよい。
【0094】
図21と図22を参照し、本発明の一実施形態による、心臓組織の病変部をマッピングするために接触と組合せた、力を映像化したものを示す。様々な実施形態において、データ収集処理装置124は、力感知用カテーテルの力302と組合せた、それぞれの接触点を映像化したものを3次元仮想モデル260上に重ねる。一実施形態において、映像化したそれぞれの接触点の直径は、接触に用いられた力の量に基づき異なる。たとえば低い力を用いて作成される接触点は、小さな直径を映像化したものであり、大量の力を用いて作成した接触点の直径は大きい。他の実施形態において、直径は他の測定基準(たとえば力の時間積分)に応じて異なってもよい。このようにデータ収集処理装置124は、アブレーション時の接触の持続期間、力、および範囲が最も大きい心臓組織を、付加的にグラフ表示してもよい。
【0095】
別の実施形態において、病変部の直径は、力の時間積分技術によって予測されるように、予測した病変部サイズの実際の面積を表わしてもよい。この面積は等価の直径に変換されてもよく、この直径は、モデルにおいて病変部の直径を比例的に真に推定できるように、増減されてもよい。
【0096】
様々な実施形態において、3次元仮想モデル260上に心臓組織の病変部をマッピング
するために、電力を接触および力と組合せてもよい。この実施形態において、データ収集処理装置124は、力感知用カテーテルの力および電力と組合せた、それぞれの接触点を映像化したものを、3次元仮想モデル260上に重ねる。一実施形態において、映像化したそれぞれの接触点の直径は、接触に用いる力と電力の量に基づき異なる。一実施形態において、映像化した接触点は、接触に用いた電力の量に基づき、異なる楕円率を示してもよい。たとえば低い力と低い電力を用いて作成した接触点は、小さな領域を映像化したものとなり、主に円形となる。一方、大量の力と大量の電力を用いて作成した接触点は、直径が大きくほぼ楕円となる。他の実施形態において、病変部の推定に使用されるそれぞれの測定基準が表わすために、追加の視覚効果が用いられる。たとえば時間の大きさは充填パターンによって表わしてもよく、電力は色によって、力は不透明度によって表わしてもよい。このようにして、データ収集処理装置124は、アブレーション時の接触の持続期間、力、電力、および範囲が最も大きい心臓組織を、付加的にグラフ表示してもよい。
【0097】
更に別の実施形態において、第1測定基準は異なる直径で表わしてもよく、第2測定基準は異なる色または暗度によって表わす。たとえば力の時間積分の大きさは、図11に示すように接触点の直径で表わしてもよく、電力レベルは、接触点の色または暗度で表わす(たとえば低電力には薄い灰色、中間の電力には中間の灰色、高い電力には黒色とする)。したがって、様々な実施形態において、病変部の映像化に用いるそれぞれの測定基準は、異なる視覚効果で表わされ、その位置における測定基準の大きさの指標がオペレータに供給される。
【0098】
様々な実施形態において、力−接触密度の組合せの映像化、または力−電力−接触密度の組合せの映像化によって、オペレータは組織損傷(たとえば穿孔304)について信頼性のある決定を行なえる。これらの実施形態において、接触点における力または力と電力の組合せによって、データ収集処理装置124は、組織損傷(たとえば穿孔)となる可能性が高い組織領域を特性化することができる。このようにして、これらの実施形態は、見込まれる複雑な処置を初期に指標としてオペレータに示し、必要があれば是正措置を可能にする。また力または力と電力を用いることによって、カテーテル接触情報のみを用いる場合には見られない組織損傷の予測が可能になる。したがって、組織損傷を決定するために力または力と電力を映像化することは、アブレーション処置の結果、見込まれる身体的な兆候を判別するのに有用である。
【0099】
他の実施形態において、接触密度と組合せた力の映像化、または接触密度と組合せた力と電力の映像化によって、アブレーション処置に耐性のある浮腫または組織の位置の推定をオペレータに供給してもよい。これらの実施形態において、データ収集処理装置124は、接触、力、または電力が病変部の生成に不十分であったと決定してもよく、その点を見込まれる浮腫または抵抗の領域として識別してもよい。様々な実施形態において、これらの領域は、異なる視覚効果(たとえば異なる色、ストローク、または勾配)を用いて映像化されてもよい。
【0100】
更に別の実施形態において、接触密度と組合せた力の映像化、または接触密度と組合せた力と電力の映像化によって、隔離ラインの間隙の位置の推定をオペレータに供給してもよい。これらの実施形態において、データ収集処理装置124は、接触、力、または電力は電気的隔離に不十分だったと決定してもよく、その点を見込まれる隔離間隙の領域として識別してもよい。様々な実施形態において、これらの領域は、様々な視覚効果(たとえば様々な色、ストローク、または勾配)を用いて映像化されてもよい。
【0101】
図23を参照し、3次元仮想モデル160の断面320を示す。様々な実施形態において、3次元仮想モデル160は、特性化および映像化が行なわれた病変部の様々な表示(たとえば病変部の深度、および病変部の体積の想定される形状に基づく断面)を検査する
ために、断面にされてもよい。たとえば病変部の体積は、半球または半楕円の病変部と仮定されてもよい。予測した病変部の深度と体積とした場合、病変部断面の境界が推定されてもよい。したがって、オペレータは、3次元仮想モデル160の断面表示を用いることによって、映像化した病変部の推定した深度を観察してもよい。
【0102】
関連する実施形態において、データ収集処理装置124は、全層性病変部の推定を行なってもよい。したがって、全層性病変部の可能性の映像化は、追加の視覚効果を用いて表わされてもよい。たとえば視覚効果(たとえば色、色調、または透明度)は、ある位置における全層性病変部の可能性について、その大きさの映像化を表わすのに使用されてもよく、接触点の直径は、力の時間積分の大きさを表わす。
【0103】
図24を参照して、一実施形態による映像化ユーザインターフェース340を示す。映像化ユーザインターフェース340は、3次元モデル表示枠342、制御枠344、および情報枠346を有してもよい。3次元モデルの表示枠は、マウス、キーボード、ジョイスティック、または同様のユーザインタラクション装置を用いて操作してもよい。このようにして、心臓のすべての領域の病変部を映像化するために、オペレータはX平面、Y平面、Z平面における3次元仮想モデルを操作できる。また3次元モデル表示枠は、スライス操作を選択することによって、またはズーム制御を用いて組織にズームインすることによって、心臓組織の断面を表示することが可能であってもよい。制御枠344は、複数のオプションメニューまたはオプションボタン348を有してもよく、本明細書に記載のように、オペレータは様々な映像化オプションを選択してもよい。制御枠344は設定可能であり、動作制御部の配置、サイズ、および数の修正に対応する。情報枠346は、選択した映像化352において、患者350に関する情報をオペレータに供給してもよい。またこの情報枠は、オペレータが病変部の映像化によって3次元仮想地図の領域をカーソルでハイライトする場合、病変部枠354のそれぞれの映像化に関する情報をオペレータに供給してもよい。情報枠346は設定可能であり、表示される情報の配置、サイズ、およびコンテンツの修正に対応する。
【0104】
図25と図26を参照し、本発明の一実施形態による病変部の特性化および映像化を行なう方法を示す。まず、身体臓器の3次元モデル(たとえば心臓)をMRIスキャン、CTスキャン、ソノグラムを用いて作成し、電気インパルスまたは磁気インパルスが生成される(S400)。次いで、臓器の3次元仮想モデルが座標系にマッピングされ、したがって指向座標を3次元仮想モデルと融合する(S402)。次いで、融合した3次元モデルは、メモリに保存される(S404)。或る実施形態において、融合した3次元モデルは病院情報システム200に保存され、患者の病歴とリンクされる。他の実施形態において、融合したモデルは、アブレーション処置時に使用するために、データ収集処理装置の124においてのみ使用される。アブレーション処置の間、接触感知式アブレーションカテーテルの位置と測定可能な変数とが記録される(S406)。
【0105】
或る実施形態において、測定可能な変数には、時間、温度、力、電力、接触、電気インピーダンス、および位置が含まれる。次いでカテーテルの測定位置は、保存した3次元モデル上にマッピングされる(S408)。融合した3次元モデルは、処置の開始前に、病院情報システム200からデータ収集処理装置124に転送されてもよい。他の実施形態において、融合した3次元モデルは、データ収集処理装置124に存在する。次に、データ収集処理装置124は、現在のカテーテル位置における病変部について、測定した変数を分析する(S410)。或る実施形態において、データ収集処理装置124は、測定した変数に基づき、時間−力の積分を推定する。次いでデータ収集処理装置124は、前記位置の病変部のパラメータを算出する。様々な実施形態において、パラメータには、前記位置の病変部の面積、深度、体積、またはそれらの組合せが含まれてもよい(S412)。他の実施形態において、データ収集処理装置124はまた、前記位置の病変部について
算出したパラメータの映像化に用いられる視覚効果を算出する。視覚効果は、様々な色、ストローク、または勾配の充填効果を含んでもよい。次いでデータ収集処理装置124は、前記位置の病変部について算出したパラメータを、3次元モデル414上に描画する。或る実施形態において、抵抗性組織のパラメータを算出する追加ステップが実行される(S416)。次いでデータ収集処理装置124は、病変部、抵抗性組織、またはそれらの組合せを3次元モデル上に描画する(S418)。この実施形態において、抵抗性組織の映像化は、病変部情報を映像化するのに用いられる効果とは大きく異なる視覚効果を使用する。
【0106】
本明細書に開示する特徴および方法はそれぞれ、改善された装置、システム、ならびにこのような装置およびシステムを製造または使用するための方法を提供すべく、別個に使用されてもよく、あるいは他の特徴および方法と併せて使用されてもよい。したがって、本明細書に開示する特徴および方法の組合せは、本発明をその最も広い意味において実施するのに必要でなくてもよく、代りに、本発明の代表的な実施形態について特に記載するために開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置時に対象組織を切除するための切除システムであって、前記切除システムは、
医療処置時に患者に導入されるように構成され、且つカテーテル先端部を有する伸長軟性のカテーテルと;
医療処置時に前記対象組織に接触するように構成され、且つ前記カテーテル先端部に配置されたアブレーションヘッドと;
前記アブレーションヘッドにかかる接触力を測定するために、前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された力センサであって、前記力センサは前記接触力に応じて力信号を出力するように構成されることと;
前記アブレーションヘッドを通電するために、前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された電力源と;
前記力信号を受信するように、且つ前記アブレーションヘッドの通電の時間周期を決定するように構成された制御装置であって、前記制御装置は、力の時間積分を算出するために、前記力信号に基づき通電の時間周期に亘って取得した前記接触力の値のシーケンスを生成することと
を含み、
前記制御装置は、前記対象組織のアブレーションを制御するために、前記力の時間積分を使用する
ことを特徴とする、切除システム。
【請求項2】
前記力の時間積分は、力を時間で積分することと;通電による力を時間で積分することと;力と時間の積とのうちの1つである、
請求項1記載の切除システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記アブレーションヘッドに伝達される電力と電流のうちの1つである通電パラメータの大きさを決定するように構成され、
前記制御装置は更に、前記力の時間積分と、前記通電パラメータの大きさとに基づき、前記対象組織において前記通電パラメータによって作成される病変部のサイズパラメータを予測するように構成される、
請求項1記載の切除システム。
【請求項4】
前記サイズパラメータは、前記病変部の体積と深度のうちの1つである、
請求項3記載の切除システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記アブレーションヘッドの通電の時間周期を制御するように構成される、
請求項1記載の切除システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記電力源によって前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを制御するように構成される、
請求項1記載の切除システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記電力源によって前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを制御するように構成され、
前記通電パラメータの大きさは、前記接触力の大きさに基づく、
請求項1記載の切除システム。
【請求項8】
前記切除システムは更に、前記カテーテル先端部を移動させるためのロボットマニピュレータを含む、
請求項1記載の切除システム。
【請求項9】
前記ロボットマニピュレータは、前記制御装置によって制御される、
請求項8記載の切除システム。
【請求項10】
前記力の時間積分は、リアルタイムで算出される、
請求項1記載の切除システム。
【請求項11】
前記力の時間積分が所定値に到達すると、前記制御装置は、前記電力源による前記アブレーションヘッドの通電をほぼ無効にするように構成される、
請求項10記載の切除システム。
【請求項12】
通電パラメータは、電流であり、
前記制御装置は更に、前記アブレーションヘッドに流れる電流を検出するように構成された電流センサを含む、
請求項1記載の切除システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記電流の大きさを決定するように構成され、
前記制御装置は更に、前記電流の大きさによって作成される前記対象組織における前記病変部のサイズパラメータを、前記力の時間積分と電流の大きさとに基づき予測するように構成される、
請求項12記載の切除システム。
【請求項14】
前記制御装置は、前記力の時間積分を算出する中央処理装置を含む、
請求項1記載の切除システム。
【請求項15】
前記中央処理装置は、前記接触力の値のシーケンスを生成するように構成される、
請求項14記載の切除システム。
【請求項16】
前記力センサは、光ファイバ歪みゲージを含み、
力信号調整装置は、前記光ファイバ歪みゲージと前記中央処理装置とに作用可能に結合された光ファイバインテロゲータを含む、
請求項14記載の切除システム。
【請求項17】
前記制御装置は、前記力信号をデジタル化して前記中央処理装置に供給するように構成された力信号調整装置を含む、
請求項14記載の切除システム。
【請求項18】
前記力信号調整装置は、前記接触力の値のシーケンスを生成するように構成される、
請求項17記載の切除システム。
【請求項19】
前記力の時間積分は、圧力測定と張力測定のうちの1つに基づく、
請求項17記載の切除システム。
【請求項20】
対象組織を切除する切除方法であって、前記切除方法は、
医療処置時に患者に導入されるように構成された伸長軟性のカテーテルを提供する工程であって、前記カテーテルの先端部であるカテーテル先端部は、力センサに作用可能に結合されたアブレーションヘッドを備えることと;
前記対象組織に前記アブレーションヘッドを稼働させる工程と;
前記アブレーションヘッドが前記対象組織に稼働するときに、前記対象組織への前記ア
ブレーションヘッドの稼働に応じる接触力のシーケンスを、前記力センサによって測定する工程と;
前記接触力のシーケンスが測定されているときに、一定期間、前記アブレーションヘッドを通電する工程と;
前記一定期間における前記接触力のシーケンスに基づき、力の時間積分を決定する工程と
を含むことを特徴とする、切除方法。
【請求項21】
前記切除方法は更に、前記力の時間積分に基づき、前記病変部のサイズパラメータを推定する工程を含む、
請求項20記載の切除方法。
【請求項22】
前記サイズパラメータは、前記病変部の体積と深度のうちの1つである、
請求項21記載の切除方法。
【請求項23】
前記切除方法は更に、
前記アブレーションヘッドを通電する間、前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを決定する工程と;
前記通電パラメータの大きさを用いて、前記病変部のサイズパラメータを推定する工程と
を含む、
請求項20記載の切除方法。
【請求項24】
前記切除方法は更に、
前記アブレーションヘッドを通電する間、前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさのシーケンスを測定する工程を含む、
請求項20記載の切除方法。
【請求項25】
前記力の時間積分は、力−通電−時間の積分と;力−通電−時間の積と;正規化された力の時間積分とのうちの1つである、
請求項24記載の切除方法。
【請求項26】
前記力の時間積分は、力を時間で積分することである、
請求項20記載の切除方法。
【請求項27】
通電パラメータは、電力と電流のうちの1つである、
請求項20記載の切除方法。
【請求項28】
前記切除方法は更に、前記アブレーションヘッドを通電する間、通電パラメータの大きさを制御する工程を含む、
請求項20記載の切除方法。
【請求項29】
スチームポップの発生を防止または削減するために、
前記通電パラメータの大きさは、前記接触力のシーケンスに含まれる前記接触力に基づき選択される、
請求項28記載の切除方法。
【請求項30】
前記力の時間積分は、リアルタイムで算出される、
請求項20記載の切除方法。
【請求項31】
前記切除方法は更に、前記力の時間積分が所定値に到達すると、前記アブレーションヘッドの通電を終了する工程を含む、
請求項30記載の切除方法。
【請求項32】
医療処置時に対象組織にエネルギを伝達するエネルギ伝達システムであって、前記エネルギ伝達システムは、
医療処置時に患者に導入されるように構成され且つカテーテル先端部を有する伸長軟性のカテーテルと;
医療処置時に前記対象組織に接触するように前記カテーテル先端部に配置されたアブレーションヘッドと;
前記アブレーションヘッドにかかる接触力を検出するために前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された力センサであって、前記力センサは、前記接触力に相関して力信号を生成するように構成されることと;
前記アブレーションヘッドを通電するために前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された電力源と;
中央処理装置を有する制御装置であって、前記制御装置は前記力センサと前記電力源とに作用可能に結合されることと
を含み、
前記中央処理装置は、前記中央処理装置によって実行されるプログラム命令を含む記憶媒体にアクセスし、前記プログラム命令は、
前記アブレーションヘッドが前記対象組織に接触する場合に、接触に応じる前記接触力のシーケンスを前記力センサによって測定する工程と;
前記接触力のシーケンスが測定されている場合に、一定期間、前記アブレーションヘッドを通電する工程と;
前記一定期間に亘って前記力センサによって測定した前記接触力のシーケンスに基づき、力の時間積分を決定する工程と
を含むことを特徴とする、エネルギ伝達システム。
【請求項33】
前記プログラム命令は更に、前記力の時間積分に基づき、病変部のサイズパラメータを推測する工程を含む、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項34】
前記プログラム命令は更に、
前記アブレーションヘッドを通電する間、前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを決定する工程と;
前記力の時間積分と前記通電パラメータの大きさとに基づき、前記病変部のサイズパラメータを決定する工程と
を含む、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項35】
前記通電パラメータは、電流であり、
前記制御装置は、前記通電パラメータの大きさを決定するように構成された電流センサを含み;
前記プログラム命令は更に、前記アブレーションヘッドを通電する間、前記アブレーションヘッドに伝達される電流を測定する工程を含む、
請求項34記載のエネルギ伝達システム。
【請求項36】
前記制御装置は更に、前記アブレーションヘッドの通電を検出するように構成された電流センサを含む、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項37】
前記力の時間積分は、リアルタイムで決定される、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項38】
前記プログラム命令は更に、前記力の時間積分が所定値に到達すると、前記アブレーションヘッドの通電を終了する工程を含む、
請求項37記載のエネルギ伝達システム。
【請求項39】
前記制御装置は、前記力信号をデジタル化して前記中央処理装置に供給するように構成された力信号調整装置を含む、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項40】
前記力センサは、光ファイバ歪みゲージを含み、
前記力信号調整装置は、前記光ファイバ歪みゲージと前記中央処理装置とに作用可能に結合された光ファイバインテロゲータを含む、
請求項39記載のエネルギ伝達システム。
【請求項41】
前記力信号調整装置は、前記接触力のシーケンスを測定して前記中央処理装置に供給するように構成される、
請求項40記載のエネルギ伝達システム。
【請求項42】
前記プログラム命令は、前記アブレーションヘッドを通電する間、通電パラメータの大きさを制御する工程を含む、
請求項32記載のエネルギ伝達システム。
【請求項43】
スチームポップの発生を防止または削減するために、前記通電パラメータの大きさは、前記接触力のシーケンスに含まれる前記接触力に基づき選択される、
請求項42記載のエネルギ伝達システム。
【請求項44】
医療処置時に対象組織にエネルギを伝達するエネルギ伝達システムであって、前記エネルギ伝達システムは、
医療処置時に患者に導入されるように構成され且つカテーテル先端部を有する伸長軟性のカテーテルと;
医療処置時に前記対象組織に接触するように、前記カテーテル先端部に配置されたアブレーションヘッドと;
前記アブレーションヘッドにかかる接触力を検出するために前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された力センサであって、前記力センサは、前記接触力に相関する出力を生成するように構成されることと;
前記アブレーションヘッドを通電するために前記アブレーションヘッドに作用可能に結合された電力源と;
前記アブレーションヘッドの通電を制御する制御手段と;
前記力センサから得られる接触力のシーケンスを測定する測定手段と;
力の時間積分を決定するための決定手段と
を含み、
前記アブレーションヘッドが通電している間、前記力の時間積分は、取得した前記接触力のシーケンスに基づくことを特徴とする、エネルギ伝達システム。
【請求項45】
前記力センサは、光ファイバ歪みゲージを含み、
力信号調整装置は、前記光ファイバ歪みゲージと前記中央処理装置とに作用可能に結合された光ファイバインテロゲータを含む、
請求項44記載のエネルギ伝達システム。
【請求項46】
対象組織を切除する切除方法であって、前記切除方法は、
医療処置時に患者に導入されるように構成された伸長軟性のカテーテルを提供する工程であって、前記カテーテルは、力センサに作用可能に結合されたアブレーションヘッドを備えることと;
前記アブレーションヘッドを通電するための電力源を提供する工程と;
前記力センサをソースとして前記力センサの出力を監視するように構成された力信号調整装置を提供する工程と;
前記力センサの出力を受信する中央処理装置を提供する工程であって、前記中央処理装置は、前記対象組織のアブレーションを特性化するのに使用される力の時間積分を決定するように構成されていることと;
前記カテーテルを操作するための1組の命令を提供する工程と
を含み、前記命令は、
前記アブレーションヘッドを、前記対象組織に稼働させる工程と;
前記アブレーションヘッドが前記対象組織に稼働するときに、前記稼働に応じる接触力のシーケンスを、前記力センサによって測定する工程と;
前記接触力のシーケンスが測定されているときに、一定期間、前記アブレーションヘッドを通電する工程と;
前記一定期間において測定した前記接触力のシーケンスに基づき、前記力の時間積分を決定する工程と
を含むことを特徴とする、切除方法。
【請求項47】
前記中央処理装置は、前記通電によって前記対象組織に形成された病変部のサイズパラメータを推定するように構成される、
請求項46記載の切除方法。
【請求項48】
前記サイズパラメータは、前記病変部の体積と深度のうちの1つである、
請求項47記載の切除方法。
【請求項49】
前記中央処理装置は、
前記アブレーションヘッドを通電する間に前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさを決定するように、
ならびに前記通電パラメータの大きさを用いて病変部のサイズパラメータを推定するように構成される、
請求項46記載の切除方法。
【請求項50】
前記中央処理装置は、前記アブレーションヘッドを通電する間に前記アブレーションヘッドに伝達される通電パラメータの大きさのシーケンスを、監視するように構成される、
請求項46記載の切除方法。
【請求項51】
前記切除方法は更に、前記電力源と前記アブレーションヘッドの間を流れる電流を検出する電流センサを提供する工程を含み、
通電パラメータは、電流である、
請求項46記載の切除方法。
【請求項52】
前記中央処理装置は、前記アブレーションヘッドを通電する間に、通電パラメータの大きさを制御するように構成される、
請求項46記載の切除方法。
【請求項53】
スチームポップの発生を防止または削減するために、前記通電パラメータの大きさは、前記接触力のシーケンスに含まれる前記接触力に基づき選択される、
請求項52記載の切除方法。
【請求項54】
前記中央処理装置は、前記力の時間積分が所定値に到達すると、前記アブレーションヘッドの通電を終了するように構成される、
請求項30記載の切除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−259810(P2010−259810A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−107727(P2010−107727)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(510126508)
【氏名又は名称原語表記】ENDOSENSE SA
【Fターム(参考)】