説明

カプセル内視鏡システム、および画像処理装置

【課題】簡単な構成で最適な分光画像を得る。
【解決手段】カプセル内視鏡システム2のパーソナルコンピュータ(PC)13は、分光画像生成部69を有する。分光画像生成部69は、カプセル内視鏡11で得られた画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像データを生成する。ハードディスクドライブ(HDD)64には、大凡の被観察部位を表すカプセル内視鏡11の型番、撮像素子23や照明光源25の特性が分かる製造ロット番号、および被観察部位に対応した複数の係数マトリックス67が記憶されている。マトリックス演算回路70は、画像データに関連付けて記憶された型番、製造ロット番号を含む識別情報、および人体内におけるカプセル内視鏡11の位置を示す位置情報に応じた係数マトリックス67をHDD64から読み出し、これを用いて画像データを分光画像データとするマトリックス演算処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル内視鏡で得られた画像を用いて医療診断を行うためのカプセル内視鏡システム、および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、撮像素子や照明光源などが超小型のカプセルに内蔵されたカプセル内視鏡による医療診断が実用化されつつある。カプセル内視鏡を利用した医療診断では、まず、患者にカプセル内視鏡を嚥下させ、照明光源で人体内の被観察部位(人体内管路の内壁面)を照明しつつ、撮像素子で被観察部位を撮像し、これにより得られた画像データを受信装置に無線送信する。カプセル内視鏡から無線送信された画像データは、受信装置に搭載されたフラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶される。そして、検査終了後に受信装置からパーソナルコンピュータなどの画像処理装置に取り込まれ、内視鏡画像としてモニタに表示される。
【0003】
ところで、最近、内視鏡を用いた医療診断の分野では、病変の発見を容易にするために、狭い波長帯域の光を被観察部位に照射し、これによる反射光を画像化(以下、このようにして得られた画像を、通常の画像と区別して分光画像と呼ぶ。)して観察するNarrow Band Imaging(以下、NBIと略す。)と呼ばれる手法が脚光を浴びている。このNBIによれば、被観察部位に色素を散布したり、インドシアニングリーン(ICG;Indocyanine green)などの造影剤を注入したりすることなく、粘膜下層部の血管を強調した画像や、胃壁、腸の表層組織などの臓器の構造物を強調した画像を容易に得ることができる。
【0004】
NBIをカプセル内視鏡に適用した例としては、白色光を発する白色光発光部と狭帯域の光を発する狭帯域光発光部とを有し、これらの発光部を順次発光させて、これらの発光部によって照明された被観察部位からの反射光を含む光学像を撮像素子で順次撮像させるものが提案されている(特許文献1参照)。このカプセル内視鏡では、白色光発光部、または撮像素子の一方に、狭帯域光を透過するフィルタを設けている。
【特許文献1】特開2005−074034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数の発光部が必要であり、これらを駆動させるための動作シーケンスが複雑になるうえ、消費電力も嵩むため、カプセル内視鏡の大型化、およびコストアップを招くおそれがあった。
【0006】
また、得られる分光画像がフィルタの特性によって一義的に決まるため、カプセル内視鏡の個体毎の性能のばらつきや、食道、胃、小腸、大腸などの用途に応じた最適な分光画像を得ることが困難であった。特に、カプセル内視鏡は、一つのシステムで複数種類且つ種類毎に多数扱われるので、個体毎の性能のばらつきを補正することができないと、診断の指針が安定しないなどの不具合が起こるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡単な構成で最適な分光画像を得ることができるカプセル内視鏡システム、および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体内に嚥下され、被検体内の被観察部位の像光を撮像するカプセル内視鏡と、前記カプセル内視鏡で得られた画像データの無線信号を受信してメモリに記憶する受信装置と、前記メモリから前記画像データを取り込んで、診断に供する内視鏡画像を生成してモニタに表示する画像処理装置とからなるカプセル内視鏡システムにおいて、前記画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータを演算により生成する分光画像生成部を有することを特徴とする。
【0009】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことが好ましい。
【0010】
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。
【0011】
前記位置検出部は、前記無線信号の電界強度を測定する電界強度測定手段を有することが好ましい。この場合、前記電界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることが好ましい。
【0012】
あるいは、前記位置検出部は、前記カプセル内視鏡に設けられた磁石と、前記磁石による磁界強度を測定する磁界強度測定手段とを有することが好ましい。この場合、前記磁界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることが好ましい。
【0013】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報、および前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報、および前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことが好ましい。
【0014】
前記位置検出部は、前記無線信号の電界強度を測定する電界強度測定手段を有することが好ましい。この場合、前記電界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることが好ましい。
【0015】
あるいは、前記位置検出部は、前記カプセル内視鏡に設けられた磁石と、前記磁石による磁界強度を測定する磁界強度測定手段とを有することが好ましい。この場合、前記磁界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることが好ましい。
【0016】
前記分光画像の分光スペクトルを計測するスペクトル計測部と、前記スペクトル計測部の計測結果の情報を、前記分光画像とともに前記モニタに表示させる表示制御部とを備えることが好ましい。この場合、前記表示制御部は、前記スペクトル計測部の計測結果に基づいて抽出された注目すべき領域を示すマークを、前記分光画像上に表示させることが好ましい。
【0017】
前記カプセル内視鏡が載置され、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスを作成するために必要なマトリックス作成用画像が描かれたスタンドを備え、前記マトリックス作成用画像を前記カプセル内視鏡で撮像して得られたマトリックス作成用画像データに基づいて、前記係数マトリックスを作成するマトリックス作成部を有し、前記分光画像生成部は、前記マトリックス作成部で作成された係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記マトリックス作成用画像は、等分割された複数の領域を色分けした色見本であることが好ましい。
【0018】
前記カプセル内視鏡は、電源が投入された際に、前記識別情報の無線信号を前記識別情報取得部に送信する無線送信部を有することが好ましい。
【0019】
請求項20に記載の発明は、カプセル内視鏡で得られた画像データを取り込んで、診断に供する内視鏡画像を生成してモニタに表示する画像処理装置において、前記画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータを演算により生成する分光画像生成部を有することを特徴とする。
【0020】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことが好ましい。
【0021】
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。
【0022】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報、および前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報、および前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことが好ましい。
【0023】
前記分光画像の分光スペクトルを計測するスペクトル計測部と、前記スペクトル計測部の計測結果の情報を、前記分光画像とともに前記モニタに表示させる表示制御部とを備えることが好ましい。この場合、前記表示制御部は、前記スペクトル計測部の計測結果に基づいて抽出された注目すべき領域を示すマークを、前記分光画像上に表示させることが好ましい。
【0024】
前記カプセル内視鏡が載置され、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスを作成するために必要なマトリックス作成用画像が描かれたスタンドを備え、前記マトリックス作成用画像を前記カプセル内視鏡で撮像して得られたマトリックス作成用画像データに基づいて、前記係数マトリックスを作成するマトリックス作成部を有し、前記分光画像生成部は、前記マトリックス作成部で作成された係数マトリックスを用いて前記演算を行うことが好ましい。この場合、前記マトリックス作成用画像は、等分割された複数の領域を色分けした色見本であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のカプセル内視鏡システム、および画像処理装置によれば、カプセル内視鏡で得られた画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータを演算により生成する分光画像生成部を有するので、簡単な構成で最適な分光画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1(A)、(B)において、カプセル内視鏡システム2は、患者10の口部から人体内に嚥下されるカプセル内視鏡11と、患者10がベルトなどに取り付けて携帯する受信装置12と、受信装置12が接続されるパーソナルコンピュータ(以下、PCと略記する。)13とから構成される。カプセル内視鏡11は、人体内管路を通過する際に管路の内壁面を撮像し、これにより得られた画像データを無線送信する。
【0027】
受信装置12は、患者10が身に付けたシールドシャツ13内に装着された複数のアンテナ14を介して、カプセル内視鏡11から送信された画像データを受信し、これをメモリ48(図4参照)に記憶する。受信装置12の前面には、各種設定画面を表示する液晶表示器(以下、LCDと略記する。)15、および各種設定を行うための操作ボタン16が設けられている。受信装置12は、PC13とUSBケーブルなどで接続され、PC13とデータの遣り取りを行う。
【0028】
PC13は、キーボードやマウスなどの操作部17と、モニタ18とを備えている。PC13は、カプセル内視鏡11による検査終了後に、受信装置12のメモリ48に記憶された画像データを取り込んで、画像データから内視鏡画像を生成し、これをモニタ18に表示する。
【0029】
アンテナ14には、カプセル内視鏡11からの電波36(図3参照)の電界強度を測定する電界強度測定センサ19が内蔵されている。電界強度測定センサ19は、電界強度の測定結果を位置検出回路43(図4参照)に出力する。
【0030】
図2において、カプセル内視鏡11は、透明な前カバー20と、この前カバー20に嵌合して水密な空間を形成する後カバー21とからなる。両カバー20、21は、その先端または後端が略半球形状となった筒状に形成されている。
【0031】
両カバー20、21が作る空間内には、被観察部位の像光を取り込むための対物光学系22と、被観察部位の像光を撮像するCCDやCMOSなどの撮像素子23とからなる撮像部24、被観察部位に光を照射する白色LEDなどの照明光源25、送信回路35や電力供給回路37(ともに図3参照)が実装された電気回路基板26、およびボタン型の電池27などが収容されている。電気回路基板26の後部には、アンテナ28が配され、送信回路35に接続されている(図3参照)。
【0032】
対物光学系22は、前カバー20の先端の略半球形状となった部分に配された、透明な凸型の光学ドーム22aと、光学ドーム22aの後端に取り付けられ、後端に向けて先細となったレンズホルダー22bと、レンズホルダー22bに固着されたレンズ22cとから構成される。対物光学系22は、光軸29を中心軸として、前方視野角140°〜180°の撮影範囲を有し、この撮影範囲における被観察部位の全方位画像を像光として取り込む。
【0033】
図3において、CPU30は、カプセル内視鏡11の全体の動作を統括的に制御する。CPU30には、カプセル内視鏡11の動作を制御するための各種プログラムやデータが記憶されたROM31が接続されている。CPU30は、ROM31から必要なプログラムやデータを読み出し、カプセル内視鏡11の動作制御を行う。
【0034】
撮像素子23は、CPU30に接続されたドライバ32の制御の下に、例えば、2フレーム/秒のフレームレートで、対物光学系22から入射した被観察部位の像光を撮像面に結像させ、各画素からこれに応じた撮像信号を出力する。
【0035】
AFE33は、ドライバ32の制御の下に、撮像素子23から入力された撮像信号に対して、相関二重サンプリング、増幅、およびA/D変換を施して、撮像信号をデジタルの画像データ(例えば10ビット)に変換する。
【0036】
変調回路34は、AFE33から出力されたデジタルの画像データにデジタル直交変調を施し、RF信号を生成する。送信回路35は、アンテナ28を介して、変調回路34で生成されたRF信号を電波36として受信装置12に送信する。
【0037】
電力供給回路37は、CPU30により制御され、電池27の電力をカプセル内視鏡11の各部に供給する。なお、符号38は、CPU30の制御の下に、照明光源25をオン/オフ駆動させるためのドライバである。
【0038】
ROM31には、大腸用、小腸用などのカプセル内視鏡11の用途を示す型番、および製造ロット番号を表す識別情報のデータ(以下、単に識別情報という。)が記憶されている。CPU30は、カプセル内視鏡11の電源が投入された際にROM31から識別情報を読み出し、送信回路35に出力する。送信回路35は、アンテナ28を介して、CPU30から入力された識別情報を電波36として受信装置12に送信する。
【0039】
図4において、CPU40は、受信装置12の全体の動作を統括的に制御する。CPU40には、受信装置12の動作を制御するための各種プログラムやデータが記憶されたROM41が接続されている。CPU40は、このROM41から必要なプログラムやデータを読み出し、受信装置12の動作制御を行う。また、CPU40は、操作ボタン16からの操作入力信号に応じて、受信装置12の各部を動作させる。
【0040】
受信回路42は、アンテナ14で受信された電波36、すなわちRF信号を増幅する。また、受信回路42は、カプセル内視鏡11の電源が投入された際に電波36として送信される識別情報を受信して、これをCPU40に出力する。
【0041】
位置検出回路43は、電界強度測定センサ19から入力される電波36の電界強度の測定結果を元に、人体内のカプセル内視鏡11の位置を検出し、この検出結果(以下、位置情報という。)をCPU40に出力する。人体内のカプセル内視鏡11の位置を検出する具体的な方法としては、例えば、複数のアンテナ14による電波36の電界強度分布と、人体内のカプセル内視鏡11の位置とを対応させたデータを予めROM41に記憶しておき、これを参考にして位置の特定を行う。
【0042】
復調回路44は、電波36で表されるRF信号に対して、例えば、デジタル直交検波を施して、RF信号をカプセル内視鏡11で変調される前の画像データに復調する。同期分離回路45は、CPU40の制御の下に、復調回路44で復調された画像データから、振幅分離によって同期信号を分離し、 続いて周波数分離により水平同期信号と垂直同期信号とを分離する。
【0043】
DSP(Digital Signal Processor)46は、復調回路44で復調された画像データに対して、γ変換やYC変換などの各種信号処理を施し、輝度信号と色差信号とからなる画像データをメモリ制御部47に出力する。メモリ制御部47は、DSP46から出力された画像データに、識別情報、および位置情報を関連付けてメモリ48に記憶させる。メモリ48は、例えば、記憶容量が1GB程度のフラッシュメモリからなり、メモリ制御部47から順次出力される画像データを記憶・蓄積する。
【0044】
ドライバ49は、LCD15の表示制御を行う。通信I/F50は、USBケーブルなどが接続されるコネクタ51を経由したPC13とのデータの遣り取りを媒介し、メモリ48に記憶された画像データをPC13に送信する。
【0045】
図5において、CPU60は、PC13の全体の動作を統括的に制御する。CPU60には、モニタ18の表示制御を行う表示制御部61、コネクタ62を経由した受信装置12とのデータの遣り取りを媒介し、受信装置12からの画像データを受信する通信I/F63、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略記する。)64、およびメモリ65が接続されている。
【0046】
HDD64には、PC13の動作に必要な各種プログラムやデータとともに、画像処理プログラム66、および係数マトリックス67が記憶されている。また、通信I/F63で受信された画像データも記憶される。メモリ65には、HDD64から読み出したデータや、各種演算処理により生じる中間データが一時記憶される。
【0047】
操作部17が操作されて画像処理プログラム66が起動されると、モニタ18に画像処理プログラム66の作業ウィンドウが表示される。この作業ウィンドウ上でユーザーが操作部17を操作することにより、内視鏡画像の表示、編集などを行うことができる。また、画像処理プログラム66が起動されると、CPU60には、通常画像生成部68、および分光画像生成部69が構築される。
【0048】
通常画像生成部68は、HDD64から画像データを読み出し、この画像データから通常の内視鏡画像のデータ(以下、通常画像データという。)を生成する。分光画像生成部69は、画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータ(以下、分光画像データという。)を生成する。分光画像の波長帯域は、操作部17を操作することで設定変更することが可能となっている。
【0049】
分光画像生成部69には、マトリックス演算回路70が設けられている。マトリックス演算回路70は、HDD64に記憶された係数マトリックス67を読み出して、画像データに係数マトリックス67を乗算するマトリックス演算処理を実行する。すなわち、画像データを表すマトリックスをC、分光画像データを表すマトリックスをC’、係数マトリックスをAとして、
CA=C’
なるマトリックス演算を行う。
【0050】
ここで、係数マトリックス67は、画像データを設定された波長帯域の分光画像データとするために、上記の式から導かれる次式、
A=(CC)−1tCC’ (但し、CはCの転置行列)
から予め求められた所定の係数である。係数マトリックス67は、撮像素子23の色フィルターや照明光源25から発せられる光の分光特性、被観察部位の分光反射特性に依存するので、最適な分光画像を得るためには、これらに応じて係数マトリックス67の値を補正する必要がある。このため、HDD64には、大凡の被観察部位を表すカプセル内視鏡11の型番、撮像素子23や照明光源25の特性が分かる製造ロット番号、および被観察部位に対応した複数の係数マトリックス67が、例えばデータデーブルの形で記憶されている。マトリックス演算回路70は、画像データに関連付けて記憶された識別情報、および位置情報に応じた係数マトリックス67をHDD64から読み出し、これを用いてマトリックス演算処理を行う。
【0051】
図6に示すように、表示制御部61は、検査日や患者の情報80とともに、通常画像データ、および分光画像データに基づいた通常画像81、および分光画像82をモニタ18に並べて表示させる。なお、言う迄もないが、通常画像81、または分光画像82をそれぞれ個別にモニタ18に表示させることも可能である。
【0052】
次に、上記のように構成されたカプセル内視鏡システム2で検査を行う際の手順を説明する。まず、カプセル内視鏡11の電源が投入されると、ROM31からCPU30に識別情報が読み出され、送信回路35に出力される。そして、送信回路35によって、CPU30から入力された識別情報がアンテナ28を介して電波36として受信装置12に送信される。
【0053】
カプセル内視鏡11が患者10に嚥下され、照明光源25で人体内の被観察部位が照明されつつ、撮像素子23で管路の内壁面が撮像される。このとき、対物光学系22から入射した人体内の被観察部位の像光は、撮像素子23の撮像面に結像され、撮像素子23から撮像信号が出力される。撮像素子23から出力された撮像信号は、AFE33で相関二重サンプリング、増幅、およびA/D変換が施され、デジタルの画像データに変換される。
【0054】
AFE33から出力されたデジタルの画像データは、変調回路34でデジタル直交変調が施され、これによりRF信号が生成される。生成されたRF信号は、送信回路35で増幅され、アンテナ28から電波36として送信される。
【0055】
受信装置12では、カプセル内視鏡11のアンテナ28から送信された電波36がアンテナ14で受信されると、この電波36、すなわちRF信号が受信回路42で増幅される。また、電界強度測定センサ19で電波36の電界強度が測定される。そして、電界強度測定センサ19の測定結果を元に、人体内のカプセル内視鏡11の位置が位置検出回路43で検出され、この検出結果、すなわち位置情報がCPU40に出力される。
【0056】
受信回路42で増幅されたRF信号は、復調回路44でデジタル直交検波が施され、カプセル内視鏡11で変調される前の画像データに復調される。復調回路44で復調された画像データは、CPU40の制御の下に、同期分離回路45で同期分離が施され、DSP46で各種信号処理が施された後、メモリ制御部47で識別情報、および位置情報が付加され、メモリ48に記憶・蓄積される。
【0057】
カプセル内視鏡11による検査終了後、受信装置12がPC13に接続されると、メモリ48に記憶された画像データは、通信I/F50、コネクタ51、USBケーブル、およびコネクタ62を経由してPC13の通信I/F63で受信され、HDD64に記憶される。
【0058】
PC13では、操作部17が操作されて画像処理プログラム66が起動されると、モニタ18に画像処理プログラム66の作業ウィンドウが表示される。また、CPU60に通常画像生成部68、および分光画像生成部69が構築される。そして、HDD64から通常画像生成部68に画像データが読み出され、通常画像生成部68によって通常画像データが生成される。
【0059】
分光画像生成部69では、画像データに関連付けて記憶された識別情報、および位置情報に応じた係数マトリックス67が、HDD64からマトリックス演算回路70に読み出される。そして、HDD64から読み出された係数マトリックス67を用いて、マトリックス演算回路70で画像データに対してマトリックス演算処理が行われ、これにより分光画像データが生成される。生成された通常画像データ、および分光画像データは、表示制御部61によって、通常画像81、および分光画像82としてモニタ18に並べて表示される。
【0060】
以上説明したように、カプセル内視鏡システム2は、分光画像生成部69で画像データから分光画像データを生成するので、分光画像を得るために複数の発光部や狭帯域のフィルタを設けることなく、簡単な構成で分光画像を得ることができる。
【0061】
分光画像の生成に際して、識別情報、および位置情報に応じた最適な係数マトリックス67を用いるので、カプセル内視鏡11の個体毎の性能のばらつきや被観察部位毎のばらつきがない、最適な分光画像を常に得ることができる。
【0062】
カプセル内視鏡11の電源を投入した際に、識別情報を自動的に受信装置12に無線送信するようにしたので、術者が識別情報を手入力するための操作部を設ける必要がなく、部品コストの削減に寄与することができる。
【0063】
上記実施形態では、電界強度測定センサ19の測定結果を元に、位置検出回路43で人体内におけるカプセル内視鏡11の位置を検出しているが、この代わりに、図7に示すように、磁石90が内蔵されたカプセル内視鏡91と、ホール素子92が設けられたアンテナ93とを用い、磁石90による磁界の強度をホール素子92で測定して、この測定結果を元に、位置検出回路43で人体内におけるカプセル内視鏡11の位置を検出してもよい。また、電界強度測定センサ19やホール素子92などを用いずに、例えば、周知の画像認識技術を利用して画像データを解析する画像解析部をPC13に設け、この画像解析部でカプセル内視鏡11からの画像データを解析することで、被観察部位を特定してもよい。
【0064】
なお、図8に示すように、スペクトル計測部100をCPU60に構築してもよい。スペクトル計測部100は、例えば、分光画像の等分割された複数の領域毎に、その領域の分光画像データで表される分光スペクトルを計測する。
【0065】
この場合、図9に示すように、表示制御部61は、スペクトル計測部100の計測結果の情報101(スペクトルグラフ101aと数値データ101b)を、通常画像81、および分光画像82とともにモニタ18に表示させる。また、分光画像82上に、注目領域を示す枠102を表示させる。ここで、注目領域は、スペクトル計測部100の計測結果に基づいて導き出されるもので、例えば、分光スペクトルが他よりも特異な領域や、過去に蓄積されたデータから病変と推定される分光スペクトルをもつ領域が抽出される。このように、診断の補助になる計測結果の情報101や枠102を表示することで、より迅速且つ的確な診断を行うことが可能となる。
【0066】
上記実施形態では、HDD64に予め記憶された係数マトリックス67を用いて、分光画像を生成しているが、出荷後にカプセル内視鏡11の特性が経時変化することにより生じる係数マトリックス67のずれを補正する、あるいは経時変化した特性に応じた新たな係数マトリックスを作成するようにしてもよい。すなわち、図10に示すように、検査前にカプセル内視鏡11が載置されるスタンド110を用意する。スタンド110には、カプセル内視鏡11が撮像部24を下にして嵌め込まれる穴111が穿たれている。穴111の底面112には、図11に示すような、円を八等分した領域113aを、例えば、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、黒、白の八色に色分けしたマトリックス作成用画像113が描かれている。また、図12に示すように、マトリックス作成部114をCPU60に構築する。
【0067】
図10〜図12に示す系で係数マトリックス67を補正する、あるいは新たな係数マトリックスを作成する手順を説明する。まず、検査前のカプセル内視鏡11を、撮像部24を下にしてスタンド110の穴111に嵌め込み、カプセル内視鏡11の電源を投入してマトリックス作成用画像113を撮像する。そして、これにより得られた画像データ(以下、マトリックス作成用画像データという。)を、電波36で受信装置12に送信する。
【0068】
次いで、受信装置12とPC13とを接続し、受信装置12からPC13にマトリックス作成用画像データを送信する。そして、マトリックス作成部114で、マトリックス作成用画像データに基づいて、カプセル内視鏡11の特性の経時変化による係数マトリックス67のずれを補正する。あるいは経時変化に応じた新たな係数マトリックスを作成する。係数マトリックス67を補正する、あるいは新たな係数マトリックスを作成する方法としては、例えば、出荷前にマトリックス作成用画像113を撮像して得た基準のマトリックス作成用画像データをHDD64に記憶しておき、基準のマトリックス作成用画像データと受信装置12から送られたマトリックス作成用画像データとを比較して、この比較結果から経時変化によるずれを求め、求めたずれに応じて係数マトリックス67の値を補正するか、新たな係数マトリックスを作成する。これにより、出荷後にカプセル内視鏡11の特性が変化した場合でも、最適な分光画像を得ることができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、識別情報、および位置情報を分光画像の生成の際に参照しているが、いずれか一方でよい。
【0070】
上記実施形態では、PC13のHDD64に画像処理プログラム66がインストールされ、画像処理プログラム66を起動させることで、CPU60に通常画像生成部68や分光画像生成部69が構築される例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、通常画像生成部68や分光画像生成部69をディスクリート回路やFPGAなどのハードウェアの形で搭載したPCを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】カプセル内視鏡システムの構成を示す概略図であり、(A)は、カプセル内視鏡が人体内に嚥下される様子、および受信装置の装着状態、(B)は、受信装置がパーソナルコンピュータに接続された状態をそれぞれ示す。
【図2】カプセル内視鏡の内部構成を示す断面図である。
【図3】カプセル内視鏡の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】受信装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】パーソナルコンピュータの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】モニタの表示状態を示す図である。
【図7】カプセル内視鏡に磁石、アンテナにホール素子を配した別の実施形態を示す図である。
【図8】カプセル内視鏡の別の実施形態を示すブロック図である。
【図9】分光画像とともにスペクトル計測結果および注目領域を表す枠をモニタに表示した状態を示す説明図である。
【図10】カプセル内視鏡が載置されるスタンドを示す図である。
【図11】マトリックス作成用画像の例を示す図である。
【図12】パーソナルコンピュータの別の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
2 カプセル内視鏡システム
11、91 カプセル内視鏡
12 受信装置
13 パーソナルコンピュータ(PC)
14、93 アンテナ
18 モニタ
19 電界強度測定センサ
23 撮像素子
30 CPU
35 送信回路
36 電波
40 CPU
43 位置検出回路
47 メモリ制御部
48 メモリ
60 CPU
61 表示制御部
66 画像処理プログラム
67 係数マトリックス
69 分光画像生成部
70 マトリックス演算回路
81 通常画像
82 分光画像
90 磁石
92 ホール素子
100 スペクトル計測部
101 計測結果の情報
102 枠
110 スタンド
113 マトリックス作成用画像
114 マトリックス作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に嚥下され、被検体内の被観察部位の像光を撮像するカプセル内視鏡と、前記カプセル内視鏡で得られた画像データの無線信号を受信してメモリに記憶する受信装置と、前記メモリから前記画像データを取り込んで、診断に供する内視鏡画像を生成してモニタに表示する画像処理装置とからなるカプセル内視鏡システムにおいて、
前記画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータを演算により生成する分光画像生成部を有することを特徴とするカプセル内視鏡システム。
【請求項2】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項3】
前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことを特徴とする請求項2に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項4】
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項5】
前記位置検出部は、前記無線信号の電界強度を測定する電界強度測定手段を有することを特徴とする請求項4に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項6】
前記電界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることを特徴とする請求項5に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項7】
前記位置検出部は、前記カプセル内視鏡に設けられた磁石と、
前記磁石による磁界強度を測定する磁界強度測定手段とを有することを特徴とする請求項4に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項8】
前記磁界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることを特徴とする請求項7に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項9】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報、および前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報、および前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項10】
前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことを特徴とする請求項9に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項11】
前記位置検出部は、前記無線信号の電界強度を測定する電界強度測定手段を有することを特徴とする請求項9または10に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項12】
前記電界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることを特徴とする請求項11に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項13】
前記位置検出部は、前記カプセル内視鏡に設けられた磁石と、
前記磁石による磁界強度を測定する磁界強度測定手段とを有することを特徴とする請求項9または10に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項14】
前記磁界強度測定手段は、前記被検体に装着され、前記無線信号を受信する複数のアンテナに設けられていることを特徴とする請求項13に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項15】
前記分光画像の分光スペクトルを計測するスペクトル計測部と、
前記スペクトル計測部の計測結果の情報を、前記分光画像とともに前記モニタに表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項16】
前記表示制御部は、前記スペクトル計測部の計測結果に基づいて抽出された注目すべき領域を示すマークを、前記分光画像上に表示させることを特徴とする請求項15に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項17】
前記カプセル内視鏡が載置され、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスを作成するために必要なマトリックス作成用画像が描かれたスタンドを備え、
前記マトリックス作成用画像を前記カプセル内視鏡で撮像して得られたマトリックス作成用画像データに基づいて、前記係数マトリックスを作成するマトリックス作成部を有し、
前記分光画像生成部は、前記マトリックス作成部で作成された係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項18】
前記マトリックス作成用画像は、等分割された複数の領域を色分けした色見本であることを特徴とする請求項17に記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項19】
前記カプセル内視鏡は、電源が投入された際に、前記識別情報の無線信号を前記識別情報取得部に送信する無線送信部を有することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載のカプセル内視鏡システム。
【請求項20】
カプセル内視鏡で得られた画像データを取り込んで、診断に供する内視鏡画像を生成してモニタに表示する画像処理装置において、
前記画像データから、任意の波長帯域を有する分光画像のデータを演算により生成する分光画像生成部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項21】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項20に記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことを特徴とする請求項21に記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項20に記載の画像処理装置。
【請求項24】
前記カプセル内視鏡の個体毎に付加された識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記被検体内における前記カプセル内視鏡の位置を検出する位置検出部と、
前記演算を行う際に用いる係数マトリックスが、前記識別情報、および前記被観察部位に対応付けて記憶された記憶部とを有し、
前記分光画像生成部は、前記識別情報取得部で取得された前記識別情報、および前記位置検出部の検出結果に応じた係数マトリックスを前記記憶部から読み出して、読み出した係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項20に記載の画像処理装置。
【請求項25】
前記識別情報は、前記カプセル内視鏡の型番、および前記カプセル内視鏡の製造ロット番号を含むことを特徴とする請求項24に記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記分光画像の分光スペクトルを計測するスペクトル計測部と、
前記スペクトル計測部の計測結果の情報を、前記分光画像とともに前記モニタに表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする請求項20ないし25のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項27】
前記表示制御部は、前記スペクトル計測部の計測結果に基づいて抽出された注目すべき領域を示すマークを、前記分光画像上に表示させることを特徴とする請求項26に記載の画像処理装置。
【請求項28】
前記カプセル内視鏡が載置され、前記演算を行う際に用いる係数マトリックスを作成するために必要なマトリックス作成用画像が描かれたスタンドを備え、
前記マトリックス作成用画像を前記カプセル内視鏡で撮像して得られたマトリックス作成用画像データに基づいて、前記係数マトリックスを作成するマトリックス作成部を有し、
前記分光画像生成部は、前記マトリックス作成部で作成された係数マトリックスを用いて前記演算を行うことを特徴とする請求項20ないし27のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項29】
前記マトリックス作成用画像は、等分割された複数の領域を色分けした色見本であることを特徴とする請求項28に記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−319442(P2007−319442A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153277(P2006−153277)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】