説明

カメラの撮像構造

【課題】 薄型で焦点距離の調整範囲が広く取れて、フレア現象やゴースト現象の発生を抑えられるオートフォーカス機構のカメラの撮像構造を提供する。
【解決手段】 絞り24に接触させて、あるいは一体的にオートフォーカス機能を有する液晶レンズ30を配設する。液晶レンズ30は2層からなる液晶セルで構成し、透明基板のレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設ける。遮光膜30aは黒色金属膜、黒色塗料膜、黒色フィルムなどで形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの撮像構造に関し、特に、液晶レンズを備えた撮像構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フィルムを使わないデジタルカメラ(電子カメラ)が著しく普及して来ている。フィルムに代えてCCDやCMOSなどの光学センサーを用い、撮影画像をデジタル画像データとして内部メモリーやメモリーカードなどに記録する。このデジタルカメラの一つの撮像構造を示すものとして、下記の特許文献1に示されたものなどがある。
【0003】
ここで、従来技術におけるデジタルカメラの撮像構造の一つとして、特許文献1に記載された撮像構造について図9を用いて簡単に説明する。図9は従来技術の一つとして特許文献1に示された所のデジタルカメラの内部の構造を示す断面図を示している。図9において、電子カメラは大きく分けてカメラ本体1とレンズ鏡筒2とからなり、カメラ本体1には光学ファインダーの接眼レンズ3の外、ビームスプリッタ14、カラー個体撮像素子であるCCD15や、表示部としてのカラー液晶ディスプレイ4、操作部としてのレリーズボタン、メニューボタン(これらは、何れも図示していない)などが設けられている。
【0004】
一方、レンズ鏡筒2にはズームレンズである第1レンズ群11a、第2レンズ群11bと、絞り/シャッター12と、フォーカスレンズである第3レンズ群11cが設けられている。被写体光はズームレンズである第1レンズ群11a、第2レンズ群11bを通過した後、絞り/シャッター12で光量が制御される。絞り/シャッター12を通過した被写体光は第3レンズ群11cを通過してカメラ本体1内に導かれ、ビームスプリッタ14によって透過光と反射光の2つに分割さる。そして、透過光はCCD15上に結像する。一方、反射光はピントを合わせるためのピント板16、被写体像を反転させるためのリレーレンズ17、接眼レンズからの逆入射光を遮断するための液晶シャッター18を透過して接眼レンズ3に到達し、観察用の被写体像として観察者に提供される。そして、この観察用の被写体像はカラー液晶ディスプレイ4にも表示される。
【0005】
ズームレンズである第2のレンズ群11bは図示した矢印の方向、即ち、レンズ鏡筒2内を前後に移動する。前後に移動して被写体像を拡大したり縮小したりする。また、フォーカスレンズである第3レンズ群11cはオートフォーカスになっているために焦点距離を合わせるために自動的に前後(図中矢印の方向)に移動する。
【0006】
【特許文献1】特許公開2002−258357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この様な構造の中で、カメラの低価格化、小型化、薄型化などの市場ニーズにより、コンパクトカメラやカメラ付携帯電話のカメラなどにあってはズーム機構を無くしてオートフォーカス機構のみを設けたシンプルなメカニカル構造にし、低価格化、小型化、薄型化などを実現している。
【0008】
しかしながら、フォーカスレンズを前後に移動させて自動的に焦点を合わせるオートフォーカス機構は特に非常に薄型なカメラ付携帯電話などにおいてはそのレンズの移動距離を十分に取ることができず、狭い限られた距離範囲でしか焦点が合わせられないと云う問題を有する。このため、遠距離あるいは至近距離での写真映像は不鮮明なものとなり、鮮明な写真映像を得るには限られた距離範囲でしか使用することができないと云う問題を有する。
【0009】
また、上記の構造にあっては、強い光がレンズ内に入ってくるとレンズ内部や鏡筒内部で複雑な反射が起き、被写体像に滲みなどのフレア現象やゴースト現象などの問題が発生し易い。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みて成されたもので、薄型であっても広い距離範囲で焦点距離の調整が可能で、且つ、フレア現象やゴースト現象が発生しないカメラの撮像構造を見いだすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、本発明のカメラの撮像構造は、少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のカメラの撮像構造は、少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズを前記絞りと一体的に又は隣接して配設すると共に前記液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のカメラの撮像構造は、少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズの中に前記絞りを配設すると共に前記液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のカメラの撮像構造は、前記液晶レンズは2層の液晶セルを積層したものからなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のカメラの撮像構造は、前記遮光膜は前記液晶レンズの透明基板の上下面及び前記液晶レンズの側面の少なくとも一部分に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のカメラの撮像構造は、前記絞りは前記遮光膜の一部分から構成されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のカメラの撮像構造は、前記前記遮光膜は黒色金属膜、黒色塗料膜、黒色フィルムの少なくとも1種からなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のカメラの撮像構造は、前記複数の撮影レンズと前記絞りと前記液晶レンズは鏡筒内に固定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のカメラの撮像構造はフォーカス機能を有する液晶レンズを配設して用いる。ホモジニアスな分子配列を持つネマティック液晶を封入した液晶セルを用い、そのネマティック液晶の複屈折率を利用して所要の電圧を印加すると透過光に位相変調が起き、その位相変調を利用することにより焦点距離が調整できるフォーカス機能が得られる。このフォーカス機能が得られる液晶セルを液晶レンズとして用いると、印加する電圧量によって自由に焦点距離の調整ができる。この液晶レンズを配設することにより、従来技術でのレンズの移動をなくすことができ、そのアクチュエータなどの移動手段をなくすことができるのでコストダウンの効果を得る。また、この液晶レンズは厚みを薄く形成することができ、そして、従来技術のように撮影レンズを移動させる必要はなくなるのでカメラの構造を薄型にすることができる。また、この液晶レンズのレンズとして機能する領域(本発明では、以降、レンズとして機能する領域をレンズ機能領域と呼んで説明することにする)、即ち、レンズ機能領域を除いた領域部分に遮光膜を設ける。そして、その遮光膜を黒色金属膜、黒色塗料膜、混色フィルムなどでもって形成する。液晶レンズ内に強い光が入ってもその遮光膜により光を吸収して遮り、強い光が結像部材に届くのを防止してフレア現象やゴースト現象などの発生を防止する。
【0020】
また、本発明においては、このような液晶レンズを絞りと一体的に、或いは絞りに隣接して配設する。絞りはレンズを通過する光の量を調節する働きをなしており、その絞りの開口した量(これは開口した径によって決まるが)でレンズを通過する光の量が決まる。従って、絞りの開口部分だけ光が通過し、開口以外の部分は光が遮断される。尚、本発明においては、絞りの開口した量(径)を開口量と呼んで説明することにする。従って、液晶レンズを絞りと一体的に、あるいは、絞りに隣接して配設すると、液晶レンズのレンズ機能領域を絞りの開口量より僅かに大きく設定すれば良い。このことは、液晶レンズのレンズ機能領域をミニマムな面積にすることができ、小さい面積領域で光の位相変調量を大きくすることができるのでレンズパワーを高めることができ、焦点距離の調整範囲を広く取れるようになる。
【0021】
また、本発明においては、このような液晶レンズの中に絞りを配設する。液晶レンズと絞りが1個の部品になっていることから、部品取扱が容易になり、また、カメラ組立の容易さなどの効果を得る。
【0022】
また、本発明においては、液晶レンズを2層の液晶セルを積層したものから構成する。そして、1層目の液晶セルの配向膜の配向方向と2層目の液晶セルの配向膜の配向方向を丁度90°にクロスさせて積層する。これにより、光のP偏光成分(液晶セルへの入射面に平行な振動方向を持つ成分)とS偏光成分(液晶セルへの入射面に垂直な振動方向を持つ成分)を透過して利用することができて光の利用効率を高める効果を得る。
【0023】
また、本発明においては、遮光膜を液晶レンズの透明基板の上下面、液晶レンズの側面に設ける。これにより、液晶層に入る強い光で、レンズ機能領域外に入る光の殆どは遮光膜に吸収されて遮断され、フレア現象やゴースト現象の発生を抑える。
【0024】
また、本発明においては、絞りを遮光膜の一部分で構成する。新たに絞りとしての部品を設ける必要もなくなり、コストダウンの効果を生む。
【0025】
また、本発明においては、複数の撮影レンズ、絞り、液晶レンズを鏡筒内に固定する。カメラの構造がシンプルな構造になることからユニット化ができ、取扱いが容易になる。また、落下などによる衝撃に対しても破損発生を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図4用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図である。尚、本実施形態においてはカメラ付携帯電話のカメラの撮像構造を示している。また、図2は図1における絞りの平面図と要部断面図で、図2の(a)は平面図、図2の(b)は要部断面図である。また、図3は図1における液晶レンズの要部断面図、図4は図3における上透明電極の形状を示した平面図である。
【0027】
本発明の実施形態に係るカメラの撮像構造は、図1に示すように、撮影光(撮影する被写体からの反射光のことで、以降、撮影光と呼んで説明する)Pの入射方向(矢印方向)に向かって第1レンズ21、絞り24、液晶レンズ30、第2レンズ22、第3レンズ23、結像部材27とが順に配列した構造をなしている。また、図示はしていないが、ここでの第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズ23の撮影レンズと絞り24、液晶レンズ30は鏡筒の中に収納されて、何れも固定されている。また、結像部材27はCCDやCROMなどの撮像素子が用いられ、電子シャッター機構を用いた撮像構造をなしている。
【0028】
ここで、本実施形態においては、絞り24は液晶レンズ30の前に配置して液晶レンズと接触した状態で固定されている。そして、絞り24に設けられた開口24aの部分を通過する光のみが液晶レンズ30に入射するようになっている。絞り24は、図2に示すように、遮光部材24bを設けた遮光フィルムからなり、その中心部に円形の開口24aを設けたリング状の形状をなしている。そして、開口24aが光透過部分をなしている。図2において、開口24aの所の直径で示したNはこの開口24aの開口量を示しており、この開口量Nの大きさでもって光の通過量を決めている。本実施形態のレンズの撮像構造においては、この開口量Nは一定の値に設定している。開口量Nが一定であると、撮影環境の明るさ、暗さによってカメラ内に入射する撮影光の光量が異なってくるが、光量の不足が生じても回路上のソフトで撮影画像の明るさがある程度調整できるようになっている。
【0029】
本実施形態での絞り24は遮光部材24bを設けた遮光フィルムから構成している。フィルムの素材は耐湿性や耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性などに優れたポリエチレンテレフタレートのフィルムを用い、その表面に酸化クロム(CrO)金属膜からなる遮光部材24bを設けている。酸化クロム金属膜からなる遮光部材24bは黒色の色調をなして光を吸収し、光を透過しない。この酸化クロム金属膜は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法で形成することができる。例えば、真空蒸着法などで形成する場合には、チャンバー内の載品台に被着物(フィルム)を載置し、真空蒸着機のチャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)の範囲に設定して、所要の厚みになるまで蒸着を施すことによって得られる。時間によって膜厚が決まるので、時間管理の下で蒸着作業を行う。厚みは光透過がない厚みであれば良く、500Å以上の厚みがあれば十分である。
【0030】
尚、この遮光部材24bは酸化クロム(CrO)金属膜に限るものではなく、黒色塗膜などで形成しても良い。黒色塗膜は印刷方法、吹き付け塗装方法、ロールコータ方法などの方法によって形成することができる。また、絞り24は遮光部材を設けた遮光フィルムに限らず、遮光部材を設けた金属薄板で構成することも可能である。しかしながら、軽量性や部品接触による他部品への損傷性などを考慮するとフィルムを使用するのがより好ましい。また、フィルムの素材はポリエチレンテレフタレートのフィルムに限るものではなく、耐湿性や耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性などに優れたフィルムであれば良く、この様なものとしては、他にポリカーボネイトフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどを挙げることができる。また、フィルムの厚みとしては0.05〜0.35mmのものが取扱い易く、しかも薄型化が狙えることで好適である。
【0031】
次に、絞り24と接触させて配設した液晶レンズ30は部分的に遮光膜30aを設けた液晶レンズになっている。この液晶レンズ30は、図3に示すように、第1液晶セル30−1と第2液晶セル30−2の2層からなる液晶セルで構成している。そして、第1液晶セル30−1と第2液晶セル30−2は下基板35を共用した液晶セルになっている。また、第1液晶セル30−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル30−2の配向膜の配向方向は丁度90°にクロスした配向方向をなして積層されている。
【0032】
第1液晶セル30−1は上基板31Aと下基板35との間隙に封止材40を介して液晶39を封入したものから構成している。そして、ここでの上基板31Aはガラスからなる上透明基板32の下面に上透明電極33を設け、その上に上配向膜34aを設け、後述するレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設け、上透明基板32の上面のレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設けた構成をなしている。また、下基板35はガラスからなる下透明基板36の上面に下透明電極37を設け、その上に下配向膜38aを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設け、下透明基板36の下面には下透明電極37を設け、その上に下配向膜38bを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設けた構成をなしている。そして、下透明基板36の上面側の下配向膜38aの配向方向と下面側の下配向膜38bの配向方向は丁度90°クロスした配向方向をなしている。また、上基板31Aの上配向膜34aの配向方向と下基板35の下配向膜38aの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。
【0033】
次に、第2液晶セル30−2は下基板35と上基板31Bとの間隙に封止材40を介して液晶39を封入したものから構成している。ここでの上基板31Bは上透明基板32の上面に上透明電極33を設け、その上に上配向膜34bを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設け、上透明基板32の下面にレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設けた構成をなしている。そして、下基板35の下配向膜38bの配向方向と上基板31Bの上配向膜34bの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。従って、第1液晶セル30−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル30−2の配向膜の配向方向は丁度90°にクロスする配向をなしている。尚、上記の中での上面とか下面は図3において上方側を向いた面を上面、下方側を向いた面を下面と表している。
【0034】
更に、以上の構成をなす第1液晶セル30−1と第2液晶セル30−2の積層した2層からなる液晶セルの4辺の側面に遮光膜30aを設けて液晶レンズ30を構成している。
【0035】
ここで、上透明電極33は、錫をドープした酸化インジウムのITO(Indium Tin Oxide)膜で形成しており、その形状は図4に示す形状をなしている。即ち、中心に丸い円形電極33aを設け、その周りに同心円で形成した環状電極33b、33c、33d、33eを設けた構成をなしている。そして、円形電極33aと複数の環状電極33b、33c、33d、33eのそれぞれに電圧を印加するために円形電極33及びそれぞれの環状電極33b、33c、33d、33eに接続する接続電極33a1、33b1、33c1、33d1、33e1を上透明基板32の一部分の縁に集合させて設けている。そして、一番外側にある環状電極33eの外形の大きさまでがレンズとして機能する領域になっており、図3、4の中で示したMの領域がレンズの機能領域をなしている。以降、このMをレンズ機能領域Mと呼んで説明する。尚、図4は分かり易くするために上透明電極33を5つの電極に分割したもので示したが、必要とされる分割数でもって形成する。この分割数は多い方が精度の良い位相変調の分布が得られるので好ましい。また、この円形電極33a、環状電極33b、33c、33d、33eにはそれぞれ異なる電圧量が印加される。
【0036】
一方、下透明電極37は、上透明電極33と同様に錫をドープした酸化インジウムのITO膜などで形成するが、その形状は丸い円形形状で一面に形成しており、その大きさは上透明電極33の一番外側にある環状電極33eの外形の大きさ、即ち、レンズ機能領域Mと同じ大きさで形成している。尚、図示はしていないが、この下透明電極37にも電圧を印加するために下透明基板36の縁まで引き回した接続電極を設けている。
【0037】
このITO膜からなる上透明電極33、下透明電極37は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法でITO膜を全面に形成し、その後に、ホォトリソグラフイ法によって上記の形状に形成する。
【0038】
ここで、絞り24の開口24aの部分を通過する撮影光Pが液晶レンズ30のレンズ機能領域Mを透過するようにレンズ機能領域Mの大きさを設定する。絞り24と接触して液晶レンズ30が配設されていることから液晶レンズ30のレンズ機能領域Mの大きさを絞り24の開口量Nより僅かに大きく設定している。そして、絞り24の開口24aを通過する光は全てレンズ機能領域Mに入射するようになっている。
【0039】
次に、上配向膜34a、34b、及び下配向膜38a、38bは印刷法やスピンコート法などによって形成したポリイミド樹脂の樹脂膜からなり、その表面にはコットン布材などを用いてラビング処理しての配向処理を施している。
【0040】
封入する液晶39はホモジニアス分子配列をなすネマティック液晶、あるいは、このネマティック液晶に微量のカイラルネマティック液晶を混合した混合液晶などを用いている。
【0041】
封止材40は熱硬化性のエポキシ樹脂にシリカボールなるスペーサを分散したものからなっている。このスペーサは所要のセルギャップを設けるために設けているもので、本実施形態では粒径20μmのシリカボールを用いて、セルギャップは20μmに設定している。セルギャップは電圧印加ON時−OFF時に液晶分子の配向立ち上がり反応速度や立ち下がり反応速度の応答速度に影響を及ぼす。セルギャップが小さいと液晶分子の立ち上がりや立ち下がりの応答速度は早くなり、セルギャップが大きいと液晶分子の立ち上がりや立ち下がりの応答速度は遅くなる。本実施形態の液晶セルはセルギャップを20μmに小さく取ることで液晶分子の応答速度を早くしている。各種の実験の結果から、セルギャップは10〜50μmの範囲が好適な範囲であるとの結果を得ている。
【0042】
更にまた、封止材40を介して第1液晶セル30−1と第2液晶セル30−2を構成するときに、第1液晶セル30−1を構成するところの上基板Aの配向膜34aの配向方向と下基板35の配向膜38aの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向をなして組立て、また、第2液晶セル30−2を構成するところの下基板35の下配向膜38bの配向方向と上基板31Bの上配向膜34bの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向をなして組立ている。このようにパラレル配向の配置を取ると光の屈折方向を同一方向に揃えられる。また、第1液晶セル30−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル30−2の配向膜の配向方向を90°にクロスした状態にして組み立てている。この様にすることによって、光のP偏光成分(液晶セルへの入射面に平行な振動方向を持つ成分)とS偏光成分(液晶セルへの入射面に垂直な振動方向を持つ成分)を透過して利用することができて光の利用効率を高める効果を得る。
【0043】
構成する上透明基板32及び下透明基板36は、0.15〜1.1mmの範囲の厚みの透明なガラスが用いられる。ガラスの厚みは研磨によって任意に設定することができるが、強度的な保証から見ると0.15mm以上あることが好ましい。本実施形態においては、上透明基板32は0.15mm、下透明基板36は0.3mmのガラスを使用し、液晶レンズの総厚を約0.6mmの厚みに形成している。
【0044】
次に、遮光膜30aは、本実施形態においては、酸化クロム(CrO)金属膜を真空蒸着法で500〜600Åの厚みに形成している。この酸化クロム金属膜は黒色色調をなしており、光を吸収して光透過はしない。そして、この酸化クロム金属膜からなる遮光膜30aに入射する光は酸化クロム金属膜に吸収されて消滅する。
【0045】
この様な構成をなす液晶レンズ30は次の様な方法で形成する。最初に、上基板31A、31Bと下基板35の何れか一方の基板に封止材40をスクリーン印刷などの方法で形成する。次に、上基板31A、下基板35、上基板31Bを対向して位置を合わせ、加圧の下で加熱して上基板31A、下基板35、上基板31Bを接合する。尚、封止材40は液晶注入口として1箇所開口部を設けている。また、上基板31A、下基板35、上基板31Bの対向は、前述したように配向膜の配向方向を合わせて対向させる。次に、液晶を真空注入方法で開口部から注入し、注入後は紫外線硬化樹脂でもって開口部を封口する。そして、最後に4辺の側面に真空蒸着方法で酸化クロム蒸着膜なる遮光膜30aを形成する。これによって液晶レンズ30が出来上がる。
【0046】
以上の構成の液晶レンズ30は円形電極と円形電極を取り巻く複数の環状電極にそれぞれ異なる電圧を印加して液晶分子の配向方向を電極毎に変えることにより、そこを透過する光に位相変調を与えて焦点距離を調整することができる。撮影体との距離を自動計測したデータ信号に基づいて制御回路の中でそれぞれの印加電圧の指示信号が出され、そして、それぞれの接続電極を介して液晶レンズ30が駆動し、そして、焦点距離を自動的に調整するオートフォーカスの機能を果たす。従って、従来技術でのアクチュエータを用いてのレンズ移動する機構をなくすことができ、構成部品の削減でコストダウン効果を生む。また、液晶レンズ30を薄く形成することで薄型な撮像構造が得られる。
【0047】
また、液晶レンズ30を絞り24と接触させて配設することで、液晶レンズ30のレンズ機能領域Mの大きさをミニマムな大きさに設定することができる。これにより、上透明電極33の分割数を少なくすることができる。そして、小さい面積領域で光の位相変調量を大きくすることができるのでレンズパワーを高めることができて、焦点距離の調整範囲を広く取ることができる。そして、遠距離から至近距離までの焦点距離調整ができるようになる。また、電極の分割数が少ないと回路設計が複雑にならずに済み、回路の設計、製作が容易になる。
【0048】
また、液晶レンズ30は液晶セルを2層積層して構成する。これにより、前述したように焦点距離調整の応答速度を速くする効果、光のP偏光成分、S偏光成分を透過して利用することができて光の利用効率を高める効果を得る。
【0049】
また、液晶レンズ30はレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜30aを設けていることで、遮光膜30aに入射する強い光は遮光膜30aに吸収されて消滅する。そして、結像部材27の方に回り込む強い光が殆どなくなってフレア現象やゴースト現象の発生が抑えられる。
【0050】
また、第1レンズ21、絞り24、液晶レンズ30、第2レンズ22、第3レンズ23は鏡筒内に固定収納され、鏡筒ユニットとして用いられる。従来技術の構造と比較するとシンプルなユニットになり、組立易さ、取扱い易さなどの効果も生まれる。また、落下などの衝撃に対しても破損危険は少なくなる。
【0051】
尚、本実施形態においては、遮光膜30aは酸化クロム金属膜で構成したが、黒色塗料膜や黒色フィルムなどで構成しても良く、設ける場所に応じて使い分けしても良い。
【0052】
また、液晶レンズ30は下基板を共用した2層の液晶セルで構成したが、2個の液晶セルを接着剤を介して貼合わせて形成したもので構成しても同様な効果を得る。
【0053】
また、液晶レンズ30は絞り24の後方に配設したが、絞り24の前方に配設してもレンズ機能領域Mを極端に大きく設定する必要はないので同様な効果を奏する。また、液晶レンズ30と絞り24との間に僅かな隙間があっても、その隙間から強い光が多く逃げない状態であれば同様な効果を奏する。
【実施例1】
【0054】
以下、実施例を用いて、更なる本発明のカメラの撮像構造を説明する。最初に実施例1について図5、図6を用いて説明する。ここで、図5は本発明の実施例1に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図で、図6は図5における液晶レンズと絞りの要部断面図を示している。尚、本実施例1においてはカメラ付携帯電話のカメラの撮像構造を示している。
【0055】
実施例1に係るカメラの撮像構造は、図5に示すように、撮影光Pの入射方向(矢印の方向)に向かって第1レンズ21、絞り44、液晶レンズ50、第2レンズ22、第3レンズ23、結像部材27の順で配列されている。この配列順序は前述の実施形態での配列と同じ配列をなしていて、前述の実施形態での構造と異なる所は、絞り44が液晶レンズ50に一体をなして設けられている所である。また、液晶レンズの大きさが大きく形成されている。以降、構造として異なる所の絞り44と液晶レンズ50を論主にして本実施例1を説明する。
【0056】
実施例1の液晶レンズ50は、図5、図6に示すように、絞り44の大きさと同じ大きさに形成している。そして、液晶レンズ50に絞り44を一体に設けた構成をなしている。尚、図5、図6において、絞り44と遮光膜50aは分かり易くするために線の太さを変えて誇張して描いている。この絞り44は酸化クロム(CrO)金属膜からなる遮光部材でもって構成して、絞り44と同じ大きさに形成した液晶レンズ50の上面に開口量Nなる開口44aを持って設けている。この酸化クロム金属膜は液晶レンズ50を構成する第1液晶セル50−1の上基板51Aの上面に、開口44aを設ける部分にマスキングを施して、酸化クロム金属を用いて真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法で、500〜600Åの厚みに形成している。500Å以上の厚みがあれば遮光部材として十分な働きをなす。開口44aの開口量Nは光の撮影光Pの通過量を決めており、本実施例1では一定の値に設定している。開口44aが設けられた面が撮影光Pの入射方向に向かって配置される。
【0057】
液晶レンズ50は、図6に示すように、第1液晶セル50−1と第2液晶セル50−2の2層の液晶セルでもって構成している。そして、第1液晶セル50−1と第2液晶セル50−2は下基板55を共用した液晶セルになっていて、第1液晶セル50−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル50−2の配向膜の配向方向は丁度90°にクロスした配向方向をなして積層されている。
【0058】
第1液晶セル50−1は上基板51Aと下基板55との間隙に封止材60を介して液晶59を封入したものから構成している。そして、ここでの上基板51Aはガラスからなる上透明基板52の下面に上透明電極53を設け、その上に上配向膜54aを設け、機能領域Mを除く領域部分に遮光膜50aを設けた構成をなしている。また、下基板55はガラスからなる下透明基板56の上面に下透明電極57を設け、その上に下配向膜58aを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜50aを設けている。また、下透明基板56の下面には下透明電極57を設け、その上に下配向膜58bを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜50aを設けた構成をなしている。そして、下透明基板56の上面側の下配向膜58aの配向方向と下面側の下配向膜58bの配向方向は丁度90°クロスした配向方向をなしている。また、上基板51Aの上配向膜54aの配向方向と下基板55の下配向膜58aの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。
【0059】
次に、第2液晶セル50−2は下基板55と上基板51Bとの間隙に封止材60を介して液晶59を封入したものから構成している。ここでの上基板51Bは上透明基板52の上面に上透明電極53を設け、その上に上配向膜54bを設け、レンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜50aを設けている。また、上透明基板52の下面のレンズ機能領域Mを除く領域部分に遮光膜50aを設けた構成をなしている。そして、下基板55の下配向膜38bの配向方向と上基板31Bの上配向膜34bの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。従って、第1液晶セル50−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル50−2の配向膜の配向方向は丁度90°にクロスする配向をなしている。尚、上記の中での上面とか下面は図6において上方側を向いた面を上面、下方側を向いた面を下面と表している。
【0060】
更に、以上の構成をなす第1液晶セル50−1と第2液晶セル50−2の積層した2層からなる液晶セルの4辺の側面に遮光膜50aを設けて液晶レンズ50を構成している。
【0061】
ここで、この液晶レンズ50を構成するそれぞれの構成部品、即ち、上透明基板52、下透明基板56、上透明電極53、下透明電極57,上配向膜54a、54b、下配向膜58a、58b、液晶59、封止材60、遮光膜50aは前述の実施形態のものと同じ仕様のものを用いているので、ここでの仕様説明は省略する。
【0062】
また、液晶レンズ50のレンズ機能領域Mは絞り44の開口量Nの大きさより僅かに大きく設定していて、絞り44の開口44aを透過する光はレンズ機能領域Mを透過して位相変調するようになっている。
【0063】
以上の構成をなすことにより、絞り44付液晶レンズ50として1個の部品になる。そして、第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズの撮影レンズと絞り44付液晶レンズ50は鏡筒の中に収納されて鏡筒ユニットを形成する。前述の実施形態の構成と比較すると、構成部品の点数が少なくなり取扱が更に楽になる。
【0064】
また、液晶レンズ50の構成は前述の実施形態の液晶レンズの構成と殆ど同じ構成をなしているので、前述の実施形態で述べた効果と同じ効果が得られる。
【実施例2】
【0065】
次に、実施例2について図7、図8を用いて説明する。ここで、図7は本発明の実施例2に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図で、図8は図7における液晶レンズの要部断面図を示している。尚、実施例2はカメラ付携帯電話の撮像構造を示している。
【0066】
実施例2のカメラの撮像構造は液晶レンズの中に絞りを配設した構造をなしている。図7に示すように、第1レンズ21と第2レンズ22の間に、内部に絞り84を配設した液晶レンズ90を配置した構造を取っている。実施例2のカメラの撮像構造は、撮影光Pの入射方向(矢印の方向)に向かって、第1レンズ21、液晶レンズ90、第2レンズ22、第3レンズ23、結像部材27の順で配列している。ここでの第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズ23、結像部材27の配置順序、並びに、その部品仕様は前述の実施形態のものと同じ配列順序を取っており、また、同じ部品仕様のものを用いている。また、前述の実施例1の構造と異なる所は液晶レンズと絞りの仕様のみが異なっている。従って、この実施例2においては仕様の異なっている液晶レンズ90と絞り94を論主にして説明する。
【0067】
実施例2の液晶レンズ90は、図8に示すように、第1液晶セル90−1と第2液晶セル90−2との間に絞り84を配設して、第1液晶セル90−1と絞り84と第2液晶セル90−2とで液晶レンズ90を構成している。また、ここでの液晶レンズ90は、レンズ機能領域Mを除く外周面に、即ち、第1液晶セル90−1の上面側と第2液晶セル90−2の下面側とそれらの側面側に遮光膜90aを設けている。
【0068】
ここでの第1液晶セル90−1は上基板91Aと下基板95Aとの間に封止剤100を介して液晶99を封入した液晶セルからなっている。上基板91Aは透明なガラスからなる上透明基板92と、この上透明基板92の下面に設けた上透明電極93と、上透明電極93上に設けた上配向膜94aと、上透明基板92の上面のレンズ機能領域Mを除く部分に設けた遮光膜90aとから構成している。また、下基板95Aは透明なガラスからなる下透明基板96と、この下透明基板96の上面に設けた下透明電極97と、下透明電極97上に設けた下配向膜98aとから構成している。そして、上基板91Aの上配向膜94aの配向方向と下基板95Aの下配向膜98aの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。
【0069】
また、第2液晶セル90−2も第1液晶セル90−1と同じような構成を取っており、下基板95Bと上基板91Bとの間に封止材100を介して液晶99を封入した構成を取っている。ここでの下基板95Bは下透明基板96と、この下透明基板96の下面に設けた下透明電極97と、その上に設けた下配向膜98bとから構成し、上基板91Bは上透明基板92と、上透明基板92の上面に設けた上透明電極93と、その上に設けた上配向膜94bと、上透明基板92の下面のレンズ機能領域Mを除く領域部分に設けた遮光膜90aとから構成している。そして、下基板95Bの下配向膜98bの配向方向と上基板91Bの上配向膜94bの配向方向は180°異なる正反対の方向に向けたパラレル配向になる配置をなしている。また、第1液晶セル90−1の配向膜の配向方向と第2液晶セル90−2の配向膜の配向方向は90°にクロスした配向方向をなしている。尚、上記の中での上面とか下面は図9において上方側を向いた面を上面、下方側を向いた面を下面と表している。
【0070】
そして、この第1液晶セル90−1と第2液晶セル90−2の間に開口84aを有する絞り84を設けている。また、第1液晶セル90−1と第2液晶セル90−2の側面にも遮光膜90aを設けている。
【0071】
ここでの絞り84は開口84aを設けた0.05mm厚みの黒色フィルムで構成しており、両面接着テープを介して第1液晶セル90−1と第2液晶セル90−2に貼付けてある。また、第1液晶セル90−1側を撮影光の入射側に向けて配置され、液晶レンズ90のレンズ機能領域Mの大きさは絞り84の開口量Nより僅かに大きく設定している。そして、絞り84の開口84aの部分には第1液晶セル90−1のレンズ機能領域Mでもって位相変調された光が通過するようになっている。
【0072】
また、ここでの遮光膜90aは0.05mmの黒色フィルムで構成しており、黒色フィルムを両面接着テープで貼付けて設けている。
【0073】
以上の構成を取った液晶レンズ90は、強い光を絞り84や遮光膜90aで吸収して遮断し、フレア現象やゴースト現象の発生を抑制する。また、焦点距離の調整範囲を広くするなどの前述の実施例1と同様な効果を得る。
【0074】
以上、カメラ付携帯電話を実施例に取って説明したが、本発明のカメラの撮像構造はコンパクトカメラなどにも適用でき、絞りの値を一定の値に設定して用いるカメラには全て適用して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図である。
【図2】図1における絞りの平面図と要部断面図で、図2の(a)は平面図、図2の(b)は要部断面図である。
【図3】図1における液晶レンズの要部断面図である。
【図4】図3における上透明電極の形状を示した平面図である。
【図5】本発明の実施例1に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図である。
【図6】図5における液晶レンズと絞りの要部断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係るカメラの撮像構造を模式的に示した主要構成部品の配置図である。
【図8】図7における液晶レンズの要部断面図である。
【図9】従来技術の一つとして特許文献1に示された所のデジタルカメラの内部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
21 第1レンズ
22 第2レンズ
23 体3レンズ
24、44、84 絞り
24a、44a、84a 開口
24b 遮光部材
27 結像部材
30、50、90 液晶レンズ
30a、50a、90a 遮光膜
30−1、50−1、90−1 第1液晶セル
30−2、50−2、90−2 第2液晶セル
31A、31B、51A、51B、91A、91B 上基板
32、52、92 上透明基板
33、53、93 上透明電極
33a 円形電極
33b、33c、33d、33e 環状電極
33a1、33b1、33c1、33d1、33e1 接続電極
34a、34b、54a、54b、94a、94b 上配向膜
35、55、95A、95B 下基板
36、56、96 下透明基板
37、57、97 下透明電極
38a、38b、58a、58b、98a、98b 下配向膜
39、59、99 液晶
40、60、100 封止材
N 開口量
M レンズ機能領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするカメラの撮像構造。
【請求項2】
少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズを前記絞りと一体的に又は隣接して配設すると共に前記液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするカメラの撮像構造。
【請求項3】
少なくとも複数の撮影レンズと絞りと結像部材を有するカメラの撮像構造において、フォーカス機能を有する液晶レンズを配設し、該液晶レンズの中に前記絞りを配設すると共に前記液晶レンズのレンズ機能領域以外の領域部分の少なくとも一部分に遮光膜を設けたことを特徴とするカメラの撮像構造。
【請求項4】
前記液晶レンズは2層の液晶セルを積層したものからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカメラの撮像構造。
【請求項5】
前記遮光膜は前記液晶レンズの透明基板の上下面及び前記液晶レンズの側面の少なくとも一部分に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカメラの撮像構造。
【請求項6】
前記絞りは前記遮光膜の一部分から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカメラの撮像構造。
【請求項7】
前記前記遮光膜は黒色金属膜、黒色塗料膜、黒色フィルムの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のカメラの撮像構造。
【請求項8】
前記複数の撮影レンズと前記絞りと前記液晶レンズは鏡筒内に固定したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のカメラの撮像構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−206300(P2007−206300A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24138(P2006−24138)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】