説明

カメラシステム、カメラ、電池ユニット、並びにそれらの制御方法

【課題】カメラの移動できる範囲が制限されることなく、死角をなくして広い領域を監視できるシステムの実現。
【解決手段】監視カメラ2と、監視カメラ2に電力を供給する電池ユニット20とがレール軌道1上を移動するカメラシステムにおいて、監視カメラ2は、カメラに接続された電池ユニットの蓄電残量を判定し、蓄電残量が規定値以下の場合、レール軌道上に待機する電池ユニットをカメラ本体に接続するように制御し、電池ユニット20は、監視カメラ2から受信した移動指令に基づいてレール軌道1上での移動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラと監視カメラに電力を供給する電池ユニットとが軌道上を移動して撮影する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店舗やオフィス、駐車場等の商業施設や一般の住居において、防犯上の理由から監視カメラが設置される場合が多い。監視カメラは、商業施設での窃盗行為や違法行為の監視、一般住居への不審者の侵入等の監視を目的として、建物の内外や建物を取り囲むフェンス等に設置される。
【0003】
監視カメラには、カメラを固定して設置する定点カメラのほか、視野を広くするために首を振らせたり、レール上を移動させるものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特に、定点カメラでは首振りを行っても撮影不能な多くの死角が生じるという難点があるため、監視カメラを複数箇所に設置する必要がある。よって、少ない監視カメラで、死角を少なくして広い領域を監視できるようなシステムが望まれる。
【特許文献1】特開2001−142138号公報
【特許文献2】特開2002−027441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レール上を移動する監視カメラは、電源ケーブル等により電力供給を行っているため、当該ケーブルの引き回しによってレール上を移動できる範囲が制限され、死角が生じてしまう等の不具合が発生する。
【0006】
更に、カメラ本体に再充電可能な電池を内蔵し電源ケーブルを持たないものであっても、電池の再充電を行うためには、レール上やその分岐路上に配設された充電装置等へ移動させる必要がある。ところが、この充電装置への移動中や充電中はカメラによる撮影ができないため、連続した監視ができず重要なものを見落とすような不具合が発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、カメラの移動できる範囲が制限されることなく、多くのカメラを必要とせず、死角をなくして広い領域を監視できるシステムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、カメラと、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットとが予め決められた軌道上を移動するカメラシステムであって、前記カメラは、前記軌道上を移動するための移動手段と、前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する判定手段と、前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機する第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御するカメラ制御手段と、を備え、前記電池ユニットは、前記軌道上を移動するための移動手段と、前記カメラとの間で無線通信を行う通信手段と、前記カメラから受信した移動指令に基づいて前記電池ユニットを移動制御する電池ユニット制御手段と、を備える。
【0009】
また、本発明のカメラは、予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、前記軌道上を移動すると共に、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットと、前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する判定手段と、前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機している第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する制御手段と、を備える。
【0010】
また、本発明は、予め決められた軌道上を移動し、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットであって、前記軌道上を移動するための移動手段と、前記カメラ本体との間で無線通信を行う通信手段と、前記カメラ本体から受信した位置情報に基づいて前記電池ユニットを移動制御する制御手段と、を備える。
【0011】
また、本発明は、カメラと、カメラに接続されて電力を供給する電池ユニットとが予め決められた軌道上を移動するカメラシステムの制御方法であって、前記カメラは、前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する工程と、前記蓄電残量が規定値以下の場合、通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機する第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する工程と、を実行し、前記電池ユニットは、前記カメラから受信した移動指令に基づいて前記電池ユニットを移動制御する工程と、を実行する。
【0012】
また、本発明は、予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、前記軌道上を移動すると共に、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットと、前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、を備えるカメラの制御方法であって、前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する工程と、前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機している第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する工程と、を備える。
【0013】
また、本発明は、予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、カメラ本体との間で無線通信を行う通信手段と、を備え、前記カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットの制御方法であって、前記カメラ本体から受信した位置情報に基づいて前記電池ユニットを移動制御する工程を、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電源ケーブルを廃止したのでカメラの移動できる範囲が制限されることなく、カメラの移動位置を軌道上において自由に設定できる。
【0015】
また、充電中や充電のための移動中であっても撮影が可能なので、連続した撮影ができて見落し等も低減することができる。
【0016】
よって、多数のカメラを必要とせず、死角をなくして広い領域を監視できるシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0018】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
また、本発明は、後述する実施形態の動作を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体(又は記録媒体)を、システムあるいは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによって達成されることは言うまでもない。
【0020】
[監視カメラの構成]
図1は、本発明の監視カメラシステムを実現する監視カメラの機能ブロック図である。図2及び図3は本実施形態の監視カメラの斜視図及び正面図である。
【0021】
図1に示すように、監視カメラシステムは、レール軌道1と、監視カメラ(カメラ本体)2と、電池ユニット20と、充電ステーション30と、監視カメラ2により撮影された映像をディスプレイに表示するモニタシステム40と、から構成される。
【0022】
レール軌道1は、建物の天井や壁等に設置されている。監視カメラ2はレール軌道1上を任意の位置に自走で移動する。電池ユニット20は、レール軌道1上を任意の位置に移動すると共にカメラ本体に接続されて電力を供給する再充電可能なリチウムイオン等からなる。充電ステーション30は、レール軌道1上に設置され、電池ユニット20を充電する。モニタシステム40は、監視カメラ2により撮影された映像をディスプレイに表示する。
【0023】
図2及び図3にも示すように、監視カメラ2はレール軌道1上を任意の位置に移動できる。3は被写体を撮影するレンズ部である。4はレンズ部3を所定の姿勢に変位可能に支持するドーム部である。電池ユニット20はカメラ本体2に着脱可能で、カメラ本体2に電力を供給する。6は、無線通信によりアンテナ7を介して監視カメラ2で撮影した映像情報をモニタシステム40に送信したり、電池ユニット20との間で各種信号を送受信する通信部である。
【0024】
8は、カメラ本体2のレール軌道1上の位置を検出する位置検出部であり、例えばGPS信号を受信してカメラ本体2の位置情報を検出するGPSセンサで構成される。なお、GPS信号を検出するほか、例えば後述するローラ24の駆動軸に設けたマークをエンコーダ等を用いて検出し、レール軌道1上の位置を算出するように構成しても良い。位置検出部8により検出された位置情報は、電池ユニット20や充電ステーション30等へアンテナ7を介して送信される。
【0025】
9は、カメラ本体2に対する電池ユニット20の着脱及び接近を検出するユニット検出部であり、例えば赤外線センサで構成される。ユニット検出部9は、電池ユニット20がユニット本体2に対して所定の範囲にまで接近してくると検出信号をコントローラ17に出力する。10は、電源端子部11を介して電池ユニット20の電源端子部22から電力の供給を受けて、監視カメラ全体に電力を供給する電源部である。
【0026】
12は、カメラ本体2をレール軌道1上を走行させ移動させるローラである。13は、ローラ12を回転駆動する駆動モータである。14は、後述するロック部15を作動させて電池ユニット20をカメラ本体2に対して接続(ロック)又は解除(アンロック)するためのアクチュエータである。
【0027】
17は、監視カメラ全体の動作制御や映像信号や検出信号等の演算処理を行うコントローラであり、CPU、ROM、RAM等から構成される。
【0028】
ロック部15は、電池ユニット20に形成された複数の係合孔21に係合することで、電池ユニット20をカメラ本体2のレール軌道1に沿う側面部(取付部)2b又は2cに機械的に結合する一対の爪部15a,15bからなる。電源端子部11は電池ユニット20が機械的に結合された状態で、電池ユニット20の電源端子部22に電気的に接続される一対の接点11a,11bからなる。上述した機械的及び電気的な接続構成は、カメラ本体2の両側面部2b,2cに同様に設けられ、電池ユニット20がカメラ本体2に対してレール軌道1上を互いに相反する方向から接近し、いずれの側面部2b,2cにも着脱可能に構成されている。
【0029】
また、監視カメラ2は、ドーム部4に設けられたアクチュエータ(不図示)により、レンズ部3を図3のa軸を中心にパン回転させ、b軸を中心にチルト回転可能である。
【0030】
電池ユニット20が結合され電力供給を受けているカメラ本体2は、図3の矢印c方向又はd方向へローラ12により移動可能であり、カメラ本体2をレール軌道1に沿って任意の位置に移動させ、レンズ部3をパン及びチルトさせて撮影することが可能である。
【0031】
なお、充電ステーション30には、電池ユニット20の係合孔21に係合するロック部31、ロック部31をロック位置又はアンロック位置に移動するアクチュエータ32、電池ユニット20の接近を検出するユニット検出部33が搭載されている。また、充電ステーション30には、電池ユニット20の電源端子部22に電気的に接続して充電を行う電源端子部34及び充電回路35、充電ステーション全体の動作を制御するコントローラが搭載されている。
【0032】
図4及び図5は、カメラ本体の内部構造を正面から見た断面図及び側断面図をそれぞれ示している。
【0033】
図4及び図5において、2dはカメラ本体2の外装である。外装2dの中空内部には、3つのローラ12a,12b,12cが、レール軌道1を挟むように配置されている。ローラ12aは、駆動モータ13に連結されて回転駆動可能に外装2dに軸支されている。また、ローラ12b,12cは、不図示のばね等によりレール軌道1に圧着するように付勢され、ローラ12a〜12cがレール軌道1に対して走行することによりカメラ本体2がレール軌道1に沿って移動する。
【0034】
爪部15a,15bは、電池ユニット20を結合する際には、アクチュエータ16によって図4の矢印e方向(閉方向)に移動し電池ユニット20をカメラ本体2の側面部2b(又は2c)にロックする。また、図4の矢印f方向(開方向)に移動することで電池ユニット20のロックを解除する。
【0035】
[電池ユニットの構成]
図6(a)及び(b)は本実施形態の電池ユニットの正面及び背面から見た斜視図である。
【0036】
図6に示すように、電池ユニット20のレール軌道1に沿う側面部20b,20cには、カメラ本体2のロック部15の爪部15a,15bに係合する一対の係合孔21a,21bとが形成されている。また、電池ユニット20の側面部20b,20cには、カメラ本体2の電源端子部11の接点11a,11bに接触する一対の接点22a,22bと、レール起動1を貫通する係合孔23とが形成されている。
【0037】
電池ユニット20には、図示は省略するが、電池本体、レール軌道1上を移動するローラや、ローラを回転駆動する駆動モータ、監視カメラや充電ステーションとの間で無線通信を行う通信部、電池ユニット全体の動作を制御するコントローラが搭載されている。
【0038】
[ロック/アンロック動作]
次に、図7を参照して、カメラ本体2と電池ユニット20とのロック/アンロック動作について説明する。
【0039】
図7(a)は、電池ユニット20がレール軌道1上を移動してカメラ本体2に接近した状態、(b)は電池ユニット20がカメラ本体2に結合した状態をそれぞれ示している。
【0040】
図7(a)に示すように、ユニット検出部9が電池ユニット20の接近を検出すると、電池ユニット20に対して減速指令を送信する。更に、減速指令に従い電池ユニット20が減速しカメラ本体2に当接したことを、ユニット検出部9が検出すると、カメラ本体2のコントローラ17へ検出信号を出力する。検出信号を受けたコントローラ17は、電池ユニット20が当接した側面部(図では2c)側の爪部15a,15bを矢印e方向に作動するようにアクチュエータ16に駆動指令を出力する。駆動指令を受けたアクチュエータ16は、爪部15a,15bを矢印e方向へ作動させ、電池ユニット20をカメラ本体2にロックする。このロック状態で、カメラ本体2の電源端子部11と、電池ユニット20の電源端子部22とが電気的に接続されて電力供給が開始される。
【0041】
次に、コントローラ17は、反対側の側面部2bに結合された電池ユニット20に対して、爪部15a,15bを矢印f方向に作動するようにアクチュエータ16に駆動指令を出力する。駆動指令を受けたアクチュエータ16は、爪部15a,15bを、矢印f方向へ作動させ、電池ユニット20との結合を解除する。これは図7の(b)から(a)への動作に相当する。
【0042】
カメラ本体2とのロックが解除された電池ユニット20は、充電ステーション30へレール軌道1上を自走で移動し、カメラ本体2と同様の手順で、充電ステーション30と結合され再充電が行われる。
【0043】
[動作説明]
次に、図8を参照して、本実施形態の監視カメラシステムの有用性について説明する。
【0044】
図8は、建物に監視カメラを設置した状態を例示している。
【0045】
図8において、電池ユニット20が結合された監視カメラ2がレール軌道1上に設置されている。また、レール軌道1上には充電ステーション30が設置され、レール軌道1に沿った充電ステーション30の一側面部30cには、充電済みで待機中の電池ユニット20’が結合されている。
【0046】
また、カメラ本体2のレンズ部3で撮影された映像は、コントローラ17で演算処理がなされる。通信部6からアンテナ7を介して送信される映像信号は充電ステーション30で受信されるか、別の建物にあるモニタシステム40へ転送される。
【0047】
監視人は、モニタシステム40を用いて、監視カメラ2のズーム、パン、及びチルト等の撮影条件、レール軌道1上における任意の位置への移動等を遠隔操作することができる。
【0048】
例えば、建物内に矢印i方向から不審者Hが侵入してきたときに、監視カメラ2が不審者Hの映像を撮影しているが、電池ユニット20の電池の消耗が検出された場合を想定する。
【0049】
この場合、カメラ本体2は、通信部6及びアンテナ7を介して、充電ステーション30或いは待機中の電池ユニット20’に移動指令を送信する。移動指令を受信した充電ステーション30又は電池ユニット20’は、充電ステーション30とのロックが解除され、不図示のローラによりレール軌道1に沿って移動を開始する。
【0050】
また、カメラ本体2は、移動指令と同時に、位置検出部8で検出された位置情報を電池ユニット20’に送信する。移動を開始した電池ユニット20’が所定の範囲にまでカメラ本体2に接近し、それをカメラ本体2のユニット検出部9が検出すると、カメラ本体2から電池ユニット20’に減速指令が送信される。減速指令を受信した電池ユニット20’は減速を開始する。
【0051】
次に、ユニット検出部9により電池ユニット20’がカメラ本体2に当接したことが検出されると、カメラ本体2のコントローラ17は、アクチュエータ16に爪部15a,15bをロック位置に作動させる駆動指令を出力し、電池ユニット20’を結合する。これにより、電池ユニット20’から電力供給が開始される一方、電池ユニット20から電力供給が停止される。
【0052】
次に、カメラ本体2のコントローラ17は、アクチュエータ16に対して電池ユニット20を結合する爪部15a,15bをアンロック位置に作動させる駆動指令を出力し、電池ユニット20のロックを解除する。
【0053】
その後、電池ユニット20は、レール軌道1上を充電ステーション30に向けて自走で移動し、同様の手順で充電ステーション30の他側面30bに結合し、再充電が開始される。
【0054】
この間に、不審者Hが矢印j方向へ移動していったとしても、監視カメラ2は遠隔にあるモニタシステム40に映像を途切れることなく送り続け、監視を継続することができる。
【0055】
ここで、電池ユニットに、記録媒体(例えば、メモリ、HDD等)を搭載し、電池ユニットがカメラ本体2と結合されている間に撮影された映像情報を記録媒体に蓄積しておく。そして、カメラ本体2から切り離された電池ユニットが充電ステーション30に結合されたときに、記録媒体に蓄積された映像情報を充電ステーション30に搭載された内部メモリ等へ移動する。その後、電池ユニットのHDDに蓄積されたデータを消去する等の処理も可能である。
【0056】
また、カメラ本体2に2次電池を内蔵してバックアップ電源とすることで、電池ユニットの交換を電力供給を遮断させずに確実に実行することができる。
【0057】
次に、図9を参照して、監視カメラによる撮影動作について説明する。
【0058】
図9に示すように、建物内に、棚53,54,55がある場合を想定する。この場合、監視カメラ2は、棚53と棚54の間にいる被写体HAを撮影している。次に、被写体HAが棚54と棚55の間へ移動したとすると、監視人はモニタシステム40を操作して監視カメラ2をレール軌道1上のA位置からB位置へ移動させることにより被写体HBを監視し続けることができる。更に、被写体HBが棚55の裏側へ移動したとすると、同様に、監視人はモニタシステム40を操作して監視カメラ2をC位置へ移動させることにより被写体HCを監視し続けることができる。このように、監視したい被写体の位置がレール軌道1が敷設された領域内であれば、カメラを遠隔操作して適切な位置へ移動し、監視を行うことができる。
【0059】
ここで、監視カメラ2がC位置にあるときに電池の消耗が検出されたとしても、上述した手順で電池ユニットを交換することにより、C位置での監視を続行することができる。
【0060】
更に、カメラ内で被写体の画像を信号処理することにより、特定の被写体を自動で追尾して監視することもできる。
【0061】
また、レール軌道1の全体にわたり監視カメラ2を自動で巡回させ、監視位置を連続的に移動させることもできる。
【0062】
図10は、本実施形態の監視カメラシステムによる電池ユニットの交換時の監視カメラの動作(a)、充電済みの電池ユニットの動作(b)、再充電が必要な電池ユニットの動作(c)をそれぞれ示すフローチャートである。
【0063】
なお、以下では、説明の便宜上、充電済みの電池ユニット20を第1の電池ユニット、再充電が必要な電池ユニット20’を第2の電池ユニットとして説明する。
【0064】
監視カメラ2では、図10(a)に示すように、コントローラ17が第1の電池ユニット20の蓄電残量を検出する(S1)。次に、コントローラ17は第1の電池ユニット20の蓄電残量が所定の規定値を超えているか判定する(S2)。そして、所定の規定値以下ならば第2の電池ユニット20’への交換を行うために、充電ステーション30又は充電ステーション30に結合された第2の電池ユニット20’に対して移動指令と位置情報を送信する(S3)。
【0065】
次に、コントローラ17は、ユニット検出部9の検出信号により、移動を開始した第2の電池ユニット20’が所定の範囲にまでカメラ本体2に接近したか判定し(S4)、接近が検出されると第2の電池ユニット20’に減速指令が送信される(S5)。
【0066】
次に、コントローラ17は、アクチュエータ16により第2の電池ユニット20’を結合するための爪部15a,15bをアンロック位置に移動させる(S6)。そして、第2の電池ユニット20’の当接を検出すると(S7)、アクチュエータ16により爪部15a,15bをロック位置に移動させ(S8)、電力供給を開始する(S9)。
【0067】
また、コントローラ17は、電力供給(S9)と同時に、第1の電池ユニット20からの電力供給を停止する(S10)。そして、アクチュエータ16により第1の電池ユニット20を結合するための爪部15a,15bをアンロック位置に移動させ、充電ステーション30への移動指令を送信する(S11)。
【0068】
充電ステーション30では、図10(b)に示すように、第2の電池ユニット20’を充電中又は待機中に(S21,S22)、監視カメラ2から移動指令を受信すると(S23)、第2の電池ユニット20’を充電ステーション30から切り離す。そして、第2の電池ユニット20’が監視カメラ2への移動を開始する(S24)。
【0069】
次に、移動中の第2の電池ユニット20’が監視カメラ2から減速指令を受信すると(S25)、減速を開始し(S26)、監視カメラ2に結合された後に電力供給を開始する(S27)。
【0070】
監視カメラ2から切り離された第1の電池ユニット20は、図10(c)に示すように、監視カメラ2から移動指令を受信すると(S31)、充電ステーション30への移動を開始する(S32)。その後、充電ステーション30に結合されて再充電を開始する(S33)。
【0071】
本実施形態は、レール軌道に沿って自走する監視カメラ及び電池ユニットによりシステムを構築した例を説明したが、本発明は、レール軌道を走行するものに限定されない。例えば、床上を自由に走行する自走型掃除機や自立型歩行ロボット、電動車椅子、その他の自走、自立型移動装置等にも本発明が適用可能である。即ち、レール等の移動補助ための外部機構と接続されておらず空間を自由に移動できる装置であっても、その装置の移動範囲が予め決められた軌道上に制限されている場合であれば、上記実施形態と同様に、本発明を適用可能である。
【0072】
上記実施形態によれば、電源ケーブルを廃止したので監視カメラの移動できる範囲が制限されることなく、監視カメラでの移動位置を軌道上において自由に設定できる。
【0073】
また、充電中や充電のための移動中であっても撮影が可能なので、連続した撮影ができて見落し等も低減することができる。
【0074】
よって、多数の監視カメラを必要とせず、死角をなくして広い領域を監視できるシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の監視カメラシステムを実現する監視カメラの機能ブロック図である。
【図2】本実施形態の監視カメラの斜視図である。
【図3】本実施形態の監視カメラの正面図である。
【図4】カメラ本体の内部構造を正面から見た断面図である。
【図5】カメラ本体の内部構造の側断面図である。
【図6】(a)及び(b)は本実施形態の電池ユニットの正面及び背面から見た斜視図である。
【図7】(a)は、電池ユニットがレール軌道上を移動してカメラ本体に接近した状態、(b)は電池ユニットがカメラ本体に結合した状態をそれぞれ示す図である。
【図8】本実施形態の監視カメラシステムの有用性を説明する図である。
【図9】本実施形態の監視カメラによる撮影動作を説明する図である。
【図10】本実施形態の監視カメラシステムによる電池ユニットの交換時の監視カメラの動作(a)、充電済みの電池ユニットの動作(b)、再充電が必要な電池ユニットの動作(c)をそれぞれ示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 レール軌道
2 監視カメラ(カメラ本体)
3 レンズ部
4 ドーム部
6 通信部
7 アンテナ
8 位置検出部
9 ユニット検出部
10 電源部
11 電源端子部
12 ローラ
13 駆動モータ
15 ロック部
16 アクチュエータ
17 コントローラ
20 電池ユニット
30 充電ステーション
40 モニタシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットとが予め決められた軌道上を移動するカメラシステムであって、
前記カメラは、
前記軌道上を移動するための移動手段と、
前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、
前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、
前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する判定手段と、
前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機する第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御するカメラ制御手段と、を備え、
前記電池ユニットは、
前記軌道上を移動するための移動手段と、
前記カメラとの間で無線通信を行う通信手段と、
前記カメラから受信した移動指令に基づいて前記電池ユニットを移動制御する電池ユニット制御手段と、を備えることを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記軌道上に配設されて前記電池ユニットを充電する充電装置を更に備え、
前記充電装置は、
前記カメラ及び前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、
前記電池ユニットを前記充電装置に接続するための接続手段と、
前記充電装置に接続された電池ユニットを充電する充電手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記カメラは、
前記電池ユニットの接近を検出する検出手段を更に備え、
前記カメラ制御手段は、前記電池ユニットの接近を検出した場合、当該電池ユニットに減速指令を出力することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記カメラは、
前記カメラの前記軌道上における位置を検出する検出手段を更に備え、
前記カメラ制御手段は、前記電池ユニットに対して、前記移動指令と共に、前記検出手段により検出した位置情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記カメラ制御手段は、前記カメラ本体に対する前記第1の電池ユニットの接続を解除すると共に、前記通信手段により移動指令を出力して前記第1の電池ユニットを前記充電装置に移動させるように制御することを特徴とする請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記カメラ本体における前記電池ユニットの取付部には、前記電池ユニットに対して電気的に接続される接点が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記カメラ本体における前記電池ユニットの取付部は、前記軌道に沿って互いに相反する方向の第1及び第2の取付部を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記カメラは、
前記通信手段により映像情報をモニタ装置に送信すると共に、前記モニタ装置において撮影条件を設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記電池ユニットは、前記映像情報を記憶する記録媒体を有することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項10】
予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、
前記軌道上を移動すると共に、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットと、
前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、
前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、
前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する判定手段と、
前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機している第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する制御手段と、を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項11】
予め決められた軌道上を移動し、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットであって、
前記軌道上を移動するための移動手段と、
前記カメラ本体との間で無線通信を行う通信手段と、
前記カメラ本体から受信した位置情報に基づいて前記電池ユニットを移動制御する制御手段と、を備えることを特徴とする電池ユニット。
【請求項12】
カメラと、カメラに接続されて電力を供給する電池ユニットとが予め決められた軌道上を移動するカメラシステムの制御方法であって、
前記カメラは、
前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する工程と、
前記蓄電残量が規定値以下の場合、通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機する第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する工程と、を実行し、
前記電池ユニットは、
前記カメラから受信した移動指令に基づいて前記電池ユニットを移動制御する工程と、を実行することを特徴とする方法。
【請求項13】
予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、
前記軌道上を移動すると共に、カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットと、
前記電池ユニットとの間で無線通信を行う通信手段と、
前記電池ユニットを前記カメラ本体に接続するための接続手段と、を備えるカメラの制御方法であって、
前記カメラ本体に接続された第1の電池ユニットの蓄電残量を判定する工程と、
前記蓄電残量が規定値以下の場合、前記通信手段により移動指令を出力して前記軌道上に待機している第2の電池ユニットを前記カメラ本体に接続するように制御する工程と、を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
予め決められた軌道上を移動するための移動手段と、
カメラ本体との間で無線通信を行う通信手段と、を備え、前記カメラ本体に接続されて電力を供給する電池ユニットの制御方法であって、
前記カメラ本体から受信した位置情報に基づいて前記電池ユニットを移動制御する工程を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−131208(P2008−131208A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312131(P2006−312131)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】