説明

カラーフィルター用感光性着色組成物、およびカラーフィルター

【課題】本発明は、露光条件に関わらず高精細なパターンを形成でき、N―メチルピロリドンやγ―ブチロラクトンといった極性溶媒への耐溶剤性に優れたカラーフィルター用着色組成物を提供することである。
【解決手段】少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、反応性モノマー、重合禁止剤および有機溶剤を含有する感光性着色組成物であって、ポリエーテルを有する二官能性モノマーおよび三官能以上の多官能性アクリルモノマーをそれぞれ含有し、該反応性モノマーにしめる二官能性モノマーの含有量が10〜50質量%、三官能以上の多官能性アクリルモノマーの含有量が20〜90質量%であり、該反応性モノマーの全固形分中にしめる含有量が20質量%以上であることを特徴とする感光性着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、感光性着色組成物に関し、特に液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターに好適な感光性着色組成物に関する。また、本発明は、該感光性着色組成物を用いて形成されるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】

カラーフィルターは、通常、ブラックマトリクスを形成したガラス、プラスチックシートなどの透明基板表面に、赤、緑、青の異なる色相を、画素サイズが数10μmから数100μmの微細なストライプ状あるいはモザイク状等の色パターンによって形成したものからなっている。従来から、カラーフィルタを製造する方法は種々提案されており、中でも顔料分散法を用いた製造方法が広く知られている。その一例として、ネガティブタイプ(露光部硬化型)を取り上げ以下に説明する。
【0003】
まず、顔料を分散剤や光重合性ポリマー中で分散させ、さらにアルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、反応性モノマー等を添加して感光性着色組成物を調整する。次いで、該組成物を基板上に塗布、乾燥した後、フォトマスクを介して露光し現像する。このように形成したパターンを加熱焼成して基板に定着させることで画素パターンを形成する。このサイクルを必要色数分繰り返すことで、着色被膜のパターンが得られる。
【0004】
カラーフィルタ用の感光性着色組成物において、アルカリ現像性が良好で、高い露光感度、十分な解像性、基板密着性、耐溶剤性を有することが求められている。特に近年では、カラーフィルタの生産性を向上させるため、オーバーコートレスのカラーフィルタが望まれているが、耐溶剤性などの信頼性についてはまだまだ不十分である。オーバーコートレスでの画素の信頼性向上のためにニ官能性樹脂を用いる例(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、これらの組成物を使用した場合、画素上のシワやクラックは解消されるものの、感度が低下するため色差が悪化するという問題があった。
【0005】
一方、このようなネガ型感光性組成物からカラーフィルターを形成しようとすると、マスクサイズの設計通りにパターンを形成しようとしても、画素がマスクサイズに対して太るという問題が生じ、露光条件に関わらず高精細な画素アレイを設計通りに得ることは困難であった。露光量の変化に対するパターン形状のばらつきの対策としては、感光性着色組成物にヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用されている例(例えば、特許文献2参照)や、リン酸系酸化防止剤が使用されている例(例えば、特許文献3参照)、ハイドロキノン系あるいはカテコール系重合禁止剤が使用されている例(例えば、特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、これらの組成物を過剰に用いると、露光条件あるいは露光ギャップに対して十分なマージンは得られるものの、極性溶媒への耐溶剤性は悪化するという問題があった。
【特許文献1】特開2004−163917号公報
【特許文献2】特開2002−22925号公報
【特許文献3】特開2003−25524号公報
【特許文献4】特開2007−034119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、露光条件に関わらず高精細なパターンを形成でき、N―メチルピロリドンやγ―ブチロラクトンといった極性溶媒への耐溶剤性に優れたカラーフィルター用着色組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。すなわち、
(1)少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、反応性モノマー、重合禁止剤および有機溶剤を含有する感光性着色組成物であって、下記一般式(1)または一般式(2)で表されるポリエーテルを有する二官能性モノマーおよび三官能以上の多官能性アクリルモノマーをそれぞれ含有し、該反応性モノマーにしめる二官能性モノマーの含有量が10〜50質量%、三官能以上の多官能性アクリルモノマーの含有量が20〜90質量%であり、該反応性モノマーの全固形分中にしめる含有量が20質量%以上であることを特徴とする感光性着色組成物。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。mは2〜8の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ2〜8の整数を示し、rおよびsは2≦(r+s)≦20を満たす整数を示す。Xは、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、または下記一般式(3)で表される基で示される。)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、RおよびRは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
(2)三官能以上の多官能性アクリルモノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびその酸変性アクリレートのうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の感光性着色組成物。
(3)前記重合禁止剤の全樹脂分にしめる含有量が0.1〜0.5%であることを特徴とする(1)に記載の感光性着色組成物。
(4)任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルタにおいて、該着色層が請求項(1)〜(3)のいずれかに記載のカラーフィルタ用感光性着色組成により形成される着色膜を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の効果】
【0014】
本発明の感光性着色組成物を用いることにより、露光条件に関わらず高精細なパターンを形成でき、かつ耐溶剤性に優れたカラーフィルター用着色組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の感光性着色組成物に用いられる顔料としては、有機顔料、無機顔料等を用いることができるが、耐熱性、透明性の面から有機顔料が好ましい。中でも透明性が高く、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましい。代表的な有機顔料の具体的な例をカラ−インデックス(CI)ナンバ−で示すと、次のようなものが好ましく使用されるが、いずれもこれらに限定されるものではない。
【0016】
黄色顔料の例としては、ピグメントイエロ−(以下PYと略す)12、13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185などが使用される。
また、オレンジ色顔料の例としては、ピグメントオレンジ(以下POと略す)13、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71などが使用される。
また、赤色顔料の例としては、ピグメントレッド(以下PRと略す)9、48、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254などが使用される。
また、紫色顔料の例としては、ピグメントバイオレット(以下PVと略す)19、23、29、30、32、37、40、50などが使用される。
また、青色顔料の例としては、ピグメントブル−(以下PBと略す)15、15:3、15:4、15:6、22、60、64などが使用される。
また、緑色顔料の例としては、ピグメントグリ−ン(以下PGと略す)7、10、36、などが使用される。
これらの顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理などの表面処理がされていてもかまわず、耐光性や耐溶剤性を損なわない程度に染料を含むことができる。
【0017】
上記顔料は、例えばカラ−フィルタ−のR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)3色の画素が、CRT(陰極線管)蛍光体の色度特性、バックライトや液晶ディスプレイに用いる液晶特性に合うように、数色組み合わせて調色され使用することもできる。
【0018】
R(レッド)の場合を例にあげると、PR−254とPR−177の組合せ、PR−254とPY−138の組合せ、PR−254とPY−139の組合せ、PR−209とPO−38の組合せ等で色度が調色される。
G(グリーン)の場合は、PG−7やPG−36と上記黄色顔料、例えば、PY−17、PY−83の組合せやPY−138の組合せ、PY−139の組合せ、PY−150の組合せ等で色度が調色される。
B(ブルー)の場合は、PB15:3やPB:15:6と紫色顔料、例えばPV−19やPV−23の組み合わせで調色される。
【0019】
また、樹脂ブラックマトリクスに使用される顔料は、使用する有機溶剤および水に不溶であり遮光剤としての役割を果たすものであれば、特に限定されない。有機顔料としてピグメントブラック7の他、カーボンブラック、黒鉛、酸化鉄、酸化マンガン、チタンブラックなどが遮光剤として使用され、さらに表面処理を好ましく行うことができる。また、必要に応じて、これら遮光剤を混合して用いることもでき、他の色の顔料を添加することもできる。これら遮光剤のなかでも、少ない使用量で高い遮光性を得られることから、チタンブラックを含むことが好ましい。
【0020】
本発明の感光性着色組成物は顔料を用い、分散機を用いて溶液中に均一に分散することが好ましい。顔料の分散方法に特に限定はなく、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロールミル、高速度衝撃ミル、ビーズミルなど、公知の方法が使用できる。メディアを用いたビーズミルは微細な顔料を分散できるため好ましく用いられ、高精細なパターンを形成するのに好適である。
【0021】
分散機を用いて顔料を分散させる工程としては、顔料と、アクリル系ポリマー、反応性モノマー、光重合開始剤、有機溶剤、および重合禁止剤を直接、分散機に投入し感光性着色組成物を得ることもできるが、生産性および設備面の簡便さの観点から、顔料、有機溶剤、好ましくはアクリル系ポリマー、好ましくはさらに分散剤を含有する顔料分散液としてあらかじめ調整しておくことが好ましい。
【0022】
有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールエーテル系溶剤、あるいは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メトキシブチルアセテート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることができ、これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶剤も好ましく用いることができる。またこれら以外の溶剤との混合も好ましく用いられる。
【0023】
ただし、本発明の着色組成物を第コーティング法により基板に塗布する場合には、膜厚の均一性、及び吐出スリット部に顔料凝集物が生じるのを防止する観点から、沸点が比較的高い溶剤を使用するのが好ましい。一方、沸点が高すぎると乾燥性が悪化するので、具体的には、150℃以上220℃以下の範囲に沸点を有する溶剤を用いるのが好ましい。
【0024】
使用できるアクリル系樹脂としては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0025】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、トリシクロデカニルメタクリレートなどの脂環式基を側差に有するビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系樹脂を用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。
【0027】
主鎖に対して付加することのできる不飽和基を有するエポキシ化合物としては、グリシジル基あるいは脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。特に限定されるわけではないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。特にメタクリル酸および/またはアクリル酸とメタクリル酸メチル、ベンジルメタクリレート、スチレン、トリシクロデカニルメタクリレートから選ばれた3〜4元共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したものは、感度および現像性が良好であるため好ましく用いられる。
【0028】
本発明におけるバインダー樹脂の平均分子量Mw(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算したもの)は、3千〜20万が好ましく、さらに好ましくは9千〜10万である。3千未満では十分な硬化膜強度が得られず、また、20万を超えると現像性が悪化するため、好ましくない。また、適度なアルカリ現像性を得るためには、酸価は50〜200(mgKOH/g)であることが好ましく、70〜150(mgKOH/g)がより好ましい。
【0029】
また顔料の分散を安定化させるために、分散剤として、顔料の中間体、誘導体といった低分子分散剤、高分子分散剤など公知のものが使用できる。顔料誘導体としては、例えば顔料骨格のアルキルアミン変性体やカルボン酸誘導体、スルホン酸誘導体などを挙げることができ、顔料の湿潤や微細顔料の安定化に有効である。これら顔料誘導体の中でも、有機顔料のスルホン酸誘導体は微細顔料の安定化に効果が大きく、好ましく用いられる。高分子分散剤としては、通常、カラーフィルター用に使用されるものであれば、特に限定されず、ポリエステル、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、などのポリマー、またはこれらの共重合体など、種々のものを単独、または混合して用いることができる。
【0030】
かかる方法によって顔料分散液を調整した後、アクリル系樹脂、反応性モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、その他添加剤等を混合した希釈ワニスを用意し、顔料分散液と混合することで、感光性着色組成物を得ることができる。
アクリル系樹脂としては、上記のものが使用でき、また、顔料分散液にあらかじめ含有されている場合は、同じものであっても異なっていても良い。
【0031】
反応性モノマーとしては、下記構造式(1)または(2)で表されるものを含有することが好ましい。
【0032】
【化1】

【0033】
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。mは2〜8の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ2〜8の整数を示し、rおよびsは2≦(r+s)≦20を満たす整数を示す。Xは、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、または下記一般式(3)で表される基で示される。)
【0036】
【化3】

【0037】
(式中、RおよびRは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
これら、構造式(1)で表される反応性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレートやトリエチレングリコールジアクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが、構造式(2)で表される反応性モノマーとしては、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
また三官能以上の多官能性アクリルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、もしくはこれらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物やアルキルエステル変性物などを用いることができる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびその酸変性アクリレートのうちいずれか一種以上を含有することが好ましい。
【0039】
これら反応性モノマーのうち、上記構造式(1)または(2)で表される二官能性モノマーの含有量が10〜50質量%、三官能以上の多官能性アクリルモノマーの含有量が20〜90質量%であり、反応性モノマーの全固形分中にしめる含有量が20質量%以上でかつ、全樹脂成分中にしめる含有量が30%以上であることが好ましい。これらの範囲内で適宜、反応性モノマーを混合することにより、高感度でかつ極性溶媒浸漬時にもクラックやシワなどの発生がほとんどなく、かつ色差の小さい良好なパターンを形成することができる。
【0040】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤など公知のものが使用できる。
【0041】
例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(4−メチル)ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどがあげられる。
【0042】
また、1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製“CGI242”などのカルバゾール系化合物が感度向上が見込めるため好ましく用いられる。
【0043】
さらに芳香族、脂肪族の第3級アミンなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、感光性着色組成物全固形分に対して、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。
【0044】
本発明で用いる重合禁止剤としては、ヒドロキノン系、およびカテコール系のものである。
より具体的には、ヒドロキノン系のものとしては、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノンなどが挙げられ、カテコール系のものとしては、カテコール、tert−ブチルカテコールなどが挙げられる。
【0045】
これら重合禁止剤の添加量は、全樹脂分に対して、好ましくは0.1〜0.5質量%である。添加量が0.1質量%より少ない場合は、画素の太りを軽減する効果が小さいため好ましくなく、0.5質量%を超える場合は、極性溶媒浸漬時に感度の低下により膜表面が浸食され、色差が悪化し、シミが発生しやすくなるため好ましくない。これら重合禁止剤は、2種類以上を混合して使用こともできる。なお、ここでいう顔料を除く固形分とは、顔料および顔料誘導体を除く固形分であって、有機溶剤を除く、アクリル系樹脂、高分子分散剤、反応性モノマー、光重合開始剤、その他添加剤などを含む、樹脂分および低分子化合物の総量である。具体的には、感光性着色組成物を、2000〜40,000倍の重力加速度を持つ遠心分離機に1〜60分間、例えば20,000倍の重量加速度で10分間処理し、顔料成分を沈降させた後、沈降分を除いた溶液を常圧中、もしくは減圧中で、40℃〜200℃で10分〜24時間、例えば150℃で60分間加熱し有機溶媒成分を気化、乾燥させることで測定することができる。
【0046】
上記以外のヒンダードフェノール系や、リン系、イオウ系、アミン系などの重合禁止剤もしくは酸化防止剤は、画素がマスクサイズに対して太り、設計通りの高精細なパターンが形成できない傾向があり、また、分解物や未反応物が塗膜中に残存することに起因すると推定される電気的信頼性の悪化が見られるため好ましくない。
【0047】
本発明の感光性着色組成物は、その他添加剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤、アクリル系樹脂以外の高分子化合物、密着改良剤や界面活性剤、有機酸、有機アミノ化合物、硬化剤などが挙げられる。
有機溶剤としては、公知のもの、例えば上記顔料分散液に記載のものなど使用でき、顔料分散液に含有されるものと同じものであっても異なっていても良い。
【0048】
高分子化合物としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリイミド前駆体など種々のものを用いることができる。
【0049】
密着改良剤は、塗膜の基板への密着性を向上させる目的で、好ましく添加することができる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
【0050】
界面活性剤は、感光性着色組成物の塗布性、および着色層の表面の均一性を良好にする目的で、あるいは、顔料の分散性を良好にする目的で添加することができる。かかる界面活性剤の添加量は、顔料に対して、好ましくは0.001〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%であるのがよい。添加量がこの範囲より少ないと、塗布性、着色膜表面の均一性の改良、あるいは顔料分散性の改良の効果が小さく、多すぎると逆に塗布性が不良となったり、顔料の凝集が起こる場合があるため好ましくない。具体的には、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤などがあげられる。
かかる方法により得られた感光性着色組成物は、さらに遠心機、濾過器などを用いて粗大粒子や粉塵などの不純物を除去することも好ましく行われる。
【0051】
本発明の感光性着色組成物において、顔料は、通常、感光性着色組成物の全固形分中に5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%の範囲で用いられる。顔料の量が5%より少ないと色純度が低く好ましくなく、60質量%より多いと現像不良やパターンの剥がれが起こりやすいため好ましくない。
【0052】
次に、本発明の感光性着色組成物を用いたカラーフィルターの製造方法の例を説明する。感光性着色組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板を着色組成物中に浸漬する方法、着色組成物を基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。
【0053】
また、かかる基板としては、通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板や、シリコン、ガリウム−ひ素などの半導体基板などが用いられるが、特にこれらに限定されない。なお、かかる基板上に本発明の感光性着色組成物を塗布する場合、シランカップリング剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、着色膜と基板の接着力を向上させることができる。
【0054】
上記により、基板上に本発明の感光性着色組成物を塗布した後、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥などにより有機溶剤を除去し、塗膜を形成する。とくに減圧乾燥工程を設けた後、オーブンあるいはホットプレートで追加の加熱乾燥することにより、対流によって生じる塗布欠点が解消され収率が向上する。減圧乾燥は常温〜100℃、5秒〜10分、気圧500〜5Pa、より好ましくは気圧100〜10Paの範囲で行うのが好ましい。加熱乾燥はオーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜120℃の範囲で10秒〜30分行うのが好ましい。この後、必要に応じて塗膜上に酸素遮断膜を設けても良い。
【0055】
次に、露光を行う。該感光性着色組成物の塗膜上にマスクを設置し、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯等を用いて、紫外線等により選択的に露光する。露光量は365nmにおける放射照度の時間積分値で表され、特に限定されるわけではないが、好ましくは10mJ/cm〜200mJ/cm、より好ましくは20mJ/cm〜100mJ/cmである。10mJ/cmより小さい場合は透明樹脂層のパターンが硬化不足のために現像時に剥がれてしまうことがあるため好ましくなく、200mJ/cmより大きい場合はタクトタイムが長くなり生産効率が悪いため好ましくない。
【0056】
ついでアルカリ性現像液で現像を行う。アルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては特に限定はしないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン、モルホリン等の環状アミン類などの有機アルカリ類等が挙げられる。
【0057】
これら現像液のアルカリ性物質の濃度は特に限定されるわけではないが、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。また、現像液は作業環境、廃現像液処理の点から、アルカリ水溶液の水系現像液が好ましい。アルカリ水溶液の水系現像液を用いる場合、現像液にエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤を適宜加えても良い。
現像方式は浸漬法、スプレー法、パドル法等を用いるが特に限定しない。また、現像後適宜純水などによる洗浄工程を加えても良い。
【0058】
ここで、現像液として非イオン系界面活性剤などの界面活性剤を0.01〜1質量%添加したアルカリ性現像液を使用すると、より良好なパターンが得られるため好ましい。
【0059】
得られた着色組成物の塗膜パターンは、その後、加熱処理することによってパターンニングされた着色画素となる。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜300℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.25〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0060】
上記方法で任意の色数について逐次着色パターンを形成せしめると、所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有する液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。ここで着色組成物のパターニング順序は限定されない。また、色数は任意だが、RGBの3色、もしくは樹脂ブラックマトリクスを加えた4色が好ましい。
【0061】
また必要に応じて、ブラックマトリックス、保護膜、透明電導膜等を形成することができる。これらを形成する位置、形成順序、形成方法などは、特に限定されない。一例として、基板上にブラックマトリックスを形成し、その上に着色層、さらにその上に保護膜、さらにその上に透明導電膜を形成するなどの構成が挙げられる。
【実施例】
【0062】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、これによって本発明の範囲は何ら制限されるものではない。
【0063】
(パターン作製方法)
感光性着色組成物を、無アルカリガラス(日本電気硝子(株)製、OA10:50mm×70mm、厚さ0.7mm)基板表面上に、スピンコーター(ミカサ(株)製、1H−D2型)を用いて塗布したのち、90℃のイナートオーブン(ダバイエスペック(株)製、PERFECTOVEN PV−210)内で10分間加熱乾燥(プリベイク)を行い、膜厚2.00μmの塗膜を形成した。その後、この基板を室温に冷却したのち、露光機(ユニオン光学(株)製、紫外線露光機PEM−6M、コリメーションアングルθ=2°、i線(365nm)照度=40mW/cm)を用い、フォトマスク(HOYA(株)製、ネガマスク、ストライプ設計線幅50μm)を介して、j線:313nm、i線:365nm、h線:405nmおよびg線:436nmの各波長を含む紫外線で所定の露光量で露光した。
【0064】
次に、水酸化テトラメチルアンモニウム(三菱ガス化学(株)、TMAH)0.2質量%とエマルゲンA−60(花王(株)製)を0.5質量%含む23℃の水溶液を現像液に用い、基板を自動現像装置(ミカサ(株)製、AD−2000)で所定の時間シャワー現像したのち、純水で洗浄し、風乾した。さらに230℃のイナートオーブン(ダバイエスペック(株)製、HIGHTEMPOVEN PV−110)内で30分間加熱乾燥(ポストベイク)を行い、基板上に各色カラーフィルターを作製した。
【0065】
(評価方法)
1.線幅の露光量依存性
上記のパターン作製方法に従って、50μmストライプパターンのフォトマスクを介して30、60、90mJ/cmの露光量と露光ギャップ100μmで露光した。現像時間は50秒から70秒とし、形成したカラーフィルターパターンの形状について、光学顕微鏡(オリンパス販売(株)製BH3−MJL、およびケイエスオリンパス(株)製XD200)を用いて画素形状の観察および画素幅の測定を行い、マスク設計線幅と得られたパターンの線幅の差を求めた。
○:各露光量で得られた線幅の差が3μm以下のもの。
×:各露光量で得られた線幅の差が3μmより大きいもの。
【0066】
2.耐溶剤性試験
上記のパターン作製方法に従って、100μmストライプパターンのフォトマスクを介して120mJ/cmの露光量と露光ギャップ100μmで露光した。現像時間は50秒から70秒とし、形成したカラーフィルターパターンを顕微分光装置(大塚電子(株)製MCPD−2000)を用いてCIELAB測色値(L*,a*,b*)を測定した。このパターンをN―メチルピロリドン(以下NMPとする)中に5分浸漬させ、エアブローなしに120℃のホットプレートで2分乾燥させ、再度顕微分光装置を用いてCIELAB測色値を測定し、浸漬前の測色値との間の色差ΔEab*を求めた。
○:上記色差ΔEab*が3以内であるもの。
×:上記色差ΔEab*が3以上であるもの。
【0067】
また、浸漬後のパターン表面を光学顕微鏡(オリンパス販売(株)製BH3−MJL、およびケイエスオリンパス(株)製XD200)を用いて観察した。
○:クラックやシワなどがほとんどないもの。
△:クラックやシワは少ないが、シミが発生しているもの。
×:クラックやシワが多発しているもの。
【0068】
(アクリル系樹脂の合成例)
1000ccの4つ口フラスコに3−メトキシ−3−メチル−ブタノール150gを仕込み、これを90℃に保ち、窒素シール、撹拌を行いながらメタクリル酸メチル30g、スチレン30g、メタクリル酸40gにn−ドデシルメルカプタン1.1g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2gを混合して滴下ロートで30分かけて滴下した。この後4時間反応を続けた後、窒素シールをやめ、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1g、ジメチルベンジルアミン0.4gを加えた。グリシジルメタクリレート33gを30分かけて滴下し、さらに90℃で3時間撹拌することで反応を行った。室温に戻した後、精製水/アセトンの混合溶剤に滴下することで再沈殿させ、濾過、乾燥することにより平均分子量Mw4万、酸価115mgKOH/gの粉末状のアクリル系樹脂(ポリマーAとする)を得た。
【0069】
実施例1
顔料としてピグメントレッド254とピグメントレッド177の60/40(重量比)混合物を13.5重量部、高分子分散剤として“Disperbyk”2001(ビックケミージャパン(株)製、46質量%)を10重量部、ポリマーAを4.5重量部、有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAとする)72重量部を混合した後、ジルコニアビーズが充填されたミル型分散機を用いて分散し、顔料分散液を得た。
【0070】
次に、この顔料分散液100重量部に対し、反応性モノマーとして、構造式(1)で−Rは−H、m=2、n=9で表される化合物(共栄社油脂(株)製、ライトエステル9EG)を3.5重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬(株)製“カヤキュア”DPHA、以下DPHAとする)を7.5重量部、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガキュア907、以下IC907とする)を2.2重量部、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製 、以下DETX−Sとする)を1.1重量部、密着改良剤としてビニルトリメトキシシラン(信越化学(株)製 KBM1003、以下KBM1003とする)を1.2重量部、界面活性剤としてメガファックR−08(大日本化学工業(株)製、以下R−08とする)を0.1重量部、重合禁止剤として2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、以下DOHQとする)0.1重量部(全樹脂分に対して0.5質量%)、および有機溶剤としてPGMEA100重量部を混合して、感光性着色組成物を調製した。50μm線幅及び耐溶剤性試験の評価結果を表1に示す。全ての評価項目において良好な結果であり、パターン線幅の露光量依存性も小さく高精細でかつ耐溶剤性に優れたパターンが得られた。
【0071】
実施例2
実施例1において、ライトエステル9EGを、構造式(1)で−R1は−H、m=2、n=14で表される化合物(共栄社油脂(株)製、ライトエステル14EG)に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。得られたパターンは耐溶剤性に優れており、パターン線幅の露光量依存性も小さかった。
【0072】
実施例3
実施例1において、ライトエステル9EGを、構造式(2)で−Rは−CH、p=q=2、r+s=6でXが構造式(3)(日本油脂(株)製、ブレンマーPDBE−250)で表される化合物に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。得られたパターンは耐溶剤性に優れており、パターン線幅の露光量依存性も小さかった。
【0073】
実施例4
実施例1において、重合禁止剤DOHQを0.02重量部(全樹脂分に対して0.1質量%)添加する以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。得られたパターンは耐溶剤性に優れており、パターン線幅の露光量依存性も小さかった。
【0074】
比較例1
反応性モノマーとして、二官能性モノマーを用いず、全てDPHAを用いた以外は実施例1と同様にして感光性着色組成物を調整した。色差とパターン線幅の露光量依存性は良好であったが、NMP浸漬後の膜表面にはクラックやシワが観察された。
【0075】
比較例2
反応性モノマーとして、ライトエステル9EGを1.8重量部、DPHAを4.2重量部、ポリマーAを5.0重量部用いた以外は実施例1と同様にして感光性着色組成物を調整した。実施例1に比べ反応性モノマーの含有量が減り、NMP浸漬後の膜にはシミが観察され、色差も3以上と悪化した。
【0076】
比較例3
実施例1において、重合禁止剤DOHQを0.2重量部(全樹脂分に対して1.0質量%)添加する以外は実施例1と同様の操作を行った。パターン線幅の露光量依存性は非常に小さく、NMP浸漬後の色差も良好であったが、膜上にシミが観察された。
【0077】
比較例4
重合禁止剤の添加無しである以外は実施例1と同様にして感光性着色組成物を調整した。NMP耐性は良好であったが、露光量によって線幅の変換差が大きくなり高精細なパターンを作製することが困難であった。
【0078】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、反応性モノマー、重合禁止剤および有機溶剤を含有する感光性着色組成物であって、下記一般式(1)または一般式(2)で表されるポリエーテルを有する二官能性モノマーおよび三官能以上の多官能性アクリルモノマーをそれぞれ含有し、該反応性モノマーにしめる二官能性モノマーの含有量が10〜50質量%、三官能以上の多官能性アクリルモノマーの含有量が20〜90質量%であり、該反応性モノマーの全固形分中にしめる含有量が20質量%以上であることを特徴とする感光性着色組成物。
【化1】

(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。mは2〜8の整数を示し、nは1〜20の整数を示す。)
【化2】

(式中、Rは水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を示す。pおよびqはそれぞれ2〜8の整数を示し、rおよびsは2≦(r+s)≦20を満たす整数を示す。Xは、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、または下記一般式(3)で表される基で示される。)
【化3】

(式中、RおよびRは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【請求項2】
三官能以上の多官能性アクリルモノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、およびその酸変性アクリレートのうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記重合禁止剤の全樹脂分にしめる含有量が0.1〜0.5%であることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項4】
任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色層からなる画素を有するカラーフィルタにおいて、該着色層が請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ用感光性着色組成により形成される着色膜を含有することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2009−204641(P2009−204641A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43903(P2008−43903)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】