説明

カラーフィルタ基板及びその製造方法

【課題】静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一の透明基板の表裏に形成し、かつ、XY電極の重なり部をジャンパーで形成を行なう、製品の品位低下が軽減した液晶パネル用のカラーフィルタ基板を提供し、且つ、検査機による検査を可能とした製造方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル電極が、同一レイヤーに、X軸方向及びこれと直交するY軸方向に間欠的に配列される複数の第1の透光性電極と、X軸方向及びY軸方向に配列されると共に各々が第1の透光性電極の行間及び列間に配置される複数の第2の透光性電極とを備え、X軸方向に整列する第1の透光性電極の各々は、X軸方向及びY軸方向に配列される導電性材料からなる複数のジャンパーによって相互に電気的に接続され、このジャンパーは、基板表示面を垂直方向から見たときに透明基板裏面のブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式液晶ディスプレイ等に用いられる、タッチパネル機能を有するカラーフィルタ基板に関し、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の表裏に形成したカラーフィルタ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタは、カラー液晶表示装置等に不可欠な部材で、液晶表示装置の画質を向上させたり、各画素にそれぞれの原色の色彩を与えたりする役割を有している。このカラーフィルタを構成するフィルタセグメントまたはブラックマトリックスは、ガラス基板などに感光性材料を塗布し、余剰の溶剤を乾燥除去したあと、画素形成のためのフォトマスクを介し、プロキシミティ露光(近接露光)などで超高圧水銀灯を使用して活性エネルギー線を照射し、硬化(ネガ型)またはアルカリ溶解度を高め(ポジ型)、アルカリ溶液などで溶解する部分を除去することにより形成されている。これを各色について繰り返すことにより、カラーフィルタが作製される。
【0003】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では、一般に、ガラス基板上に各画素ごとにアクティブ素子(薄膜トランジスタ、TFT)を形成したアレイ基板と、ガラス基板上にカラーフィルタと一様な透明電極を形成したカラーフィルタ基板とが、間に液晶を挟んで対向して配置されている。なお、アレイ基板の各TFT素子のスイッチング作用によって各画素の液晶のシャッター作用を制御している。
【0004】
近年、カラー液晶表示装置は、液晶カラーテレビや液晶表示装置一体型のノートパソコンとして大きな市場を形成するに至っている。また、携帯電話機や、携帯情報端末、カーナビゲーションシステムを始め、タッチパネルを液晶表示パネルと一体型で構成した、タッチパネル式液晶ディスプレイが市場に普及してきた。タッチパネルは、その構造及び検出方式の違いにより、抵抗膜型や静電容量型等の様々なタイプがある。このうち、静電容量型タッチパネルは、1枚の基板上に透光性導電膜(透光性電極)を有し、指またはペン等が接触(タッチ)することによって形成される静電容量を介して流れる微弱電流量の変化を検出する事によって被接触位置を特定するもので、指示される内容を入力信号として受け取り液晶表示装置を駆動する。静電容量型タッチパネルは、抵抗膜型タッチパネルと比べて、より高い透過率が得られる利点がある。
【0005】
当初は、例えば特許文献1に開示されているように、液晶等の表示素子上に取り付けられて、表示内容と対応しながらペンで手書き入力、ポイント入力、または指で入力する抵抗膜(感圧)方式の透明タッチパネルが開発されていた。しかし、この方式では、タッチパネルを具備した製品の厚さと大きさとが増加するという問題点がある。そこで、静電容量型タッチパネルを用いる場合でも、従来は、タッチパネル電極とカラーフィルタとを別々の基板で作成し、モジュールにする時に貼り合わせる技術が主流であった。しかしながら、タッチパネルのストライプとカラーフィルタのストライプの微妙なズレによる干渉縞の発生や、タッチパネル表面とカラーフィルタ表面との距離により斜め表示で視差が発生する等表示性能面での問題点があった。
【0006】
そこで、タッチパネル電極とカラーフィルタ基板の貼り合わせの工程削減目的と、貼りあわせた時に発生する空隙による光学特性低減防止の為に、タッチパネル電極とカラーフィルタを同一のガラス基板の表裏に形成する技術が各社で検討されている。片面(裏面)に前述した内容でカラーフィルタが作製されているガラス基板の反対面(表面)にタッチパネル電極を形成することになる。
【0007】
静電容量型のタッチパネル電極を形成する場合、XY電極の重なり部分に金属でのジャンパーを形成し、XYを認識可能な電極形成を行なう。例えば、特許文献2及び特許文献3には、基板上に透明導電性薄膜からなる、X軸方向に等間隔に配置し相互に平行配列する複数のX軸トレース、及び、Y軸方向に等間隔に配置し相互に平行配列する複数のY軸トレースを備え、並びに、X軸トレース及びY軸トレースは、同一平面上において行列式に交差配置されており、個別のX軸トレース上の各センサユニットは相互連結し、個別のY軸トレース上の各センサユニットは連結せず間隔を空けて配列し、導電性の材料よりなるジャンパーを介して電気的に接続している、コンデンサ式タッチパッド(静電容量型タッチパネル電極)が開示されている。
【0008】
ジャンパーは、金属やITO(酸化インジウムすず)等で形成する。静電容量型のタッチパネル電極の重なり部にジャンパーを形成する場合、従来は、裏面のカラーフィルタ部の画素開口部にタッチパネル電極のジャンパーがレイアウトされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−139005号公報
【特許文献2】登録実用新案第3144563号公報
【特許文献3】登録実用新案第3144241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来の静電容量型タッチパネル電極は、基板上に、透光性電極、絶縁膜、ジャンパー(導電体)をこの順に積層することにより形成される。この場合、ジャンパーが人に近い側(液晶パネルと反対側)に形成されるので、ジャンパーを金属光沢を有する導電材料で形成した場合、ジャンパーが見た目に目立ちやすくなってしまう。
【0011】
これに対して、本出願人は、特願2009−129326において、基板上に、ジャンパー(導電体)、絶縁膜、透光性電極をこの順に積層することで、ジャンパーが目立ちにくく、断線する可能性の低い構造の静電容量型入力装置を発明し提案している。
【0012】
しかしながら、上記したどちらの構造の静電容量型のタッチパネル電極であっても、静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一ガラス基板の表裏形成する場合、静電容量型のタッチパネル電極のXY電極の重なり部のジャンパーが、裏面のカラーフィルタの画素開口部にレイアウトされると、ジャンパーの影響でカラーフィルタの品位が低下する問題がある。(ジャンパーが見えてしまう。)また、カラーフィルタの画素開口部にタッチパネル電極のジャンパーがレイアウトされるとジャンパーの影響で、検査機での画像品質検査が不可能になり製品の品質低下、生産のタクトダウン、製造装置改造の必要による費用アップに繋がる問題があった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一の透明基板の表裏に形成し、かつ、静電容量型のタッチパネル電極のXY電極の重なり部をジャンパーで形成を行なう場合において、製品の品位低下の問題を軽減した優れた液晶パネル用のカラーフィルタ基板を提供し、且つ、検査機による検査を可能として、品質の安定化、装置改造やタクトダウンによるコストアップ抑止にも繋がる製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、透明基板の表面に静電容量型のタッチパネル電極が形成され、且つ、前記透明基板の裏面にブラックマトリックスで画定された複数色の着色画素を含むカラーフィルタが形成されているタッチパネル機能を有するカラーフィルタ基板において、
前記タッチパネル電極は、同一レイヤーに、X軸方向及びこれと直交するY軸方向に間欠的に配列される複数の第1の透光性電極と、前記X軸方向及び前記Y軸方向に配列されると共に各々が前記第1の透光性電極の行間及び列間に配置される複数の第2の透光性電極とを備え、X軸方向に整列する前記第1の透光性電極の各々は、前記X軸方向及び前記Y軸方向に配列される導電性材料からなる複数のジャンパーによって相互に電気的に接続され、前記ジャンパーは、基板表示面を垂直方向から見たときに前記透明基板裏面の前記ブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板である。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記ジャンパーの導電性材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載するカラーフィルタ基板である。
【0016】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に記載するカラーフィルタ基板の製造方法であって、
少なくとも、
(1)透明基板裏面に、画素部に対応する開口領域を画定するブラックマトリックスを形成する工程と、
(2)前記開口領域に複数色の着色画素を形成する工程と、
をこの順に含む裏面加工工程と
少なくとも、
(イ)透明基板表面に、導電性材料よりなるジャンパーを、基板表示面を垂直方向から見たときに透明基板裏面のブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成する工程と、
(ロ)前記ジャンパーと前記透明基板表面を覆うように絶縁膜を形成し、かつ、第1の透光性電極とジャンパーとが重なり合う部分の前記絶縁膜にスルーホールを設ける工程と、(ハ)透明導電性材料を用いて、第1及び第2の透光性電極となる透明導電膜を絶縁膜の上全面に形成する工程と
(ニ)前記透明導電膜をパターニングして、所定形状の第1の透光性電極と第2の透光性電極を形成する工程と、
をこの順に含む表面加工工程と、
の表裏両面の加工工程を具備することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラーフィルタ基板は、上記したように、静電容量型のタッチパネル電極とカラーフィルタを同一の透明基板の表裏に形成し、かつ、X軸方向に整列する第1の透光性電極の各々をジャンパーで接続し、且つ、そのジャンパーは、基板表示面を垂直方向から見たときに透明基板裏面のブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成されている。そのため、製品の品位低下の問題が軽減され、優れた液晶パネル用のカラーフィルタ基板を提供できる。さらに、着色画素部にジャンパーが無いことで、検査機による検査が可能となり、検査保証が可能となるため品質が安定化し、装置改造やタクトダウンによるコストアップを抑止する効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のカラーフィルタ基板の、一実施形態例を断面で示した模式図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタ基板の、表面のタッチパネル電極の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1に示すカラーフィルタ基板の、表面のタッチパネル電極の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタ基板の、タッチパネルとカラーフィルタのレイアウトを透過で示す模式図である。
【図5】従来のカラーフィルタ基板の、タッチパネルとカラーフィルタのレイアウトを透過で示す模式図である。
【図6】タッチパネル−カラーフィルタ一体型基板の画像検査イメージを示す説明図である。
【図7】擬似欠陥発生確認での重ね合わせ位置パターンとジャンパー位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のカラーフィルタ基板を、一実施形態に基いて以下に詳細に説明する。なお、以下の説明で、従来のカラーフィルタ基板と同じ機能を担う部分については同じ呼称と番号を変えることなく用いて説明する。
【0020】
一般に、タッチパネル式液晶表示装置は、表示パネル、パネル駆動部、タッチ位置検出部等から構成され、表示パネルはアレイ基板と対向基板および液晶層からなる。本発明のカラーフィルタ基板は、複数の画素部とタッチ位置を感知するための信号ラインとが形成されたタッチパネル−カラーフィルタ一体型基板(以下の説明ではTP−CF一体型基板と略称する)として、アレイ基板との中間に液晶層を挟持する形で用いられる。
【0021】
図1は、本発明のカラーフィルタ基板の、一実施形態例を断面で示した模式図である。本発明のカラーフィルタ基板は、図1に示すように、透明基板2の表面に、複数のジャンパー8と、絶縁膜6と、複数の第1の透光性電極3と、複数の第2の透光性電極4と、保護膜9とを備える静電容量型のタッチパネル電極1が形成されている。ジャンパー8、絶縁膜6、透光性電極(第1の透光性電極3及び第2の透光性電極4)は、透明基板2上にこの順序で形成されたものである。また、透明基板2の裏面には、ブラックマトリックス11で画定された赤(R)、緑(G)、青(B)等複数色の着色画素12、一様な透明電極13が形成されているカラーフィルタ10が形成されている。
【0022】
透明基板2は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に液晶表示装置に用いられているものでよく、ガラス等の無機透明基板、またはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー等の透明樹脂基板が使用可能である。本発明に係るタッチパネル機能は静電容量型であるため、従来のタッチスクリーン方式のように外力による歪みの必要は無く、適用する表示パネルの仕様によって材質及び厚みは適宜選択できる。
【0023】
ジャンパー8は、導電性材料から形成され、透明基板2の表面にX軸方向及びY軸方向に行列状に配列されている。ジャンパー8の各々は、X軸方向に整列する第1の透光性電極3をX軸方向に接続するためのものであり、両端部がX軸方向に隣接する1対の第1の透光性電極3の各々と重なり合うような位置及び寸法で、且つ、基板表示面を垂直方向から見
たときに透明基板裏面のブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成される。ジャンパー8は、例えば、メタル(MAM、APCその他)やITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子で形成することができる。ここで、MAMは、Mo(モリブデン)/Al(アルミニウム)/Moの略称で3層構造の導電材料である。また、APCは銀/パラジウム/銅の合金である。
【0024】
絶縁膜6は、透光性の絶縁材料をジャンパー8及び透明基板2の表面全体を覆うように積層することにより形成される。第1の透光性電極3とジャンパー8とが重なり合う部分の絶縁膜には、ジャンパー8の表面にまで達するスルーホールが設けられる
図2は、表面に形成される、タッチパネル電極1の概略構成を示す平面図である。図2に示すように、このタッチパネル電極1は、同一レイヤー内に、X軸方向及びこれと直交するY軸方向に間欠的に配列される複数の第1の透光性電極3と、X軸方向及びY軸方向に配列されると共に各々が第1の透光性電極3の行間及び列間に配置される複数の第2の透光性電極4とを備える。まず、ITO等インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物の透光性導電材料を用いて、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の真空成膜手法を用いた同一工程で絶縁膜6の上全面に透明導電膜を形成する。その後、この透明導電膜を公知の手法でパターニングして、所定形状の第1の透光性電極と第2の透光性電極を形成する。
【0025】
図3は、本発明のカラーフィルタ基板の、表面のタッチパネル電極1の概略構成を示す断面図である。X軸方向に整列する第1の透光性電極3の各々は、絶縁膜6上においてはX軸方向及びY軸方向のいずれにも相互に接続されていないが、スルーホール7を介して透明基板上のジャンパー8に電気的に接続された状態となる。一方、第2の透光性電極4の各々は、X軸方向及びY軸方向に配列されると共に各々が第1の透光性電極の行間及び列間に配置され、絶縁膜6上において、第2の透光性電極4と同時にパターニングされる接続部5を介してY軸方向に相互に連結されている。
【0026】
図1の断面模式図に示すように、裏面のカラーフィルタ10は、透明基板2上に画素部に対応する開口領域を画定するブラックマトリックス(BM)11が形成され、前記開口部に複数色の着色画素12が形成されている。さらにこの上全面に共通電極層としての透明導電膜13が形成されている。更に、必要に応じて、図示しないフォトスペーサーがブラックマトリックス11の上に、透明導電膜13を介して更に形成される。
【0027】
まず、予めその表面にタッチパネル電極1が形成された透明基板2の裏面に、画素部に対応する開口領域を画定するブラックマトリックス11を形成する。この場合、前記したタッチパネル電極1のジャンパー8が、基板表示面を垂直方向から見たときに、このブラックマトリックス11と重なる所定の位置となるようにブラックマトリックスのピッチ及び形状を設計する。本発明においては、このジャンパー8とブラックマトリックス11の位置の条件を満たす範囲であれば、第1の透光性電極3と第2の透光性電極4のそれぞれのピッチは、例えば、赤色画素(R)、緑色画素(G)、青色画素(B)で構成される単位画素毎にも、あるいは、所定個数の単位画素毎にも形成することができ、その形状も矩形以外の各種形状を選択することが可能である。なお、本実施形態では、ブラックマトリックスの幅は3〜30μmの範囲が好ましい。
【0028】
ブラックマトリックスは、黒色樹脂を用いて形成された、液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックスを形成する方法としては、黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状に形成する方法がある。黒色の色材としては、カーボンブラックや複数の有機顔料を用いることができる。
【0029】
次に、開口領域に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)等複数色の着色画素12を形成する。そしてさらに、この上全面に共通電極層としての透明導電膜13を形成する。なお、本実施形態では、透明基板の表面に予めタッチパネル電極1を形成した後、その透明基板の裏面にカラーフィルタ10を作成するが、この加工工程を逆に実施することも可能である。
【0030】
着色画素を形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した着色感光性樹脂の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。複数の着色層の入色順を限定するものでないが、アライメントの都合からブラックマトリクスのパターン形成後に着色層の塗布、露光、現像等により着色画素(赤色画素、緑色画素、青色画素など)を順次形成することが望ましい。ブラックマトリックス及び着色画素の形成に用いる黒色感光性樹脂及び着色感光性樹脂は、例えば、樹脂バインダに顔料を、分散剤を用いて分散させ、この分散液にモノマー、開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0031】
以上説明したように、同一の透明基板に、表面加工工程でタッチパネル電極を形成し、続いて裏面加工工程でカラ−フィルタを形成することで本発明のTP−CF一体型基板が得られた。なお、比較評価のために同時に、ジャンパーの位置をずらした基板も作製した。
【0032】
次に、このTP−CF一体型基板を用いて、通常のカラーフィルタで行われている画像検査を実施し、表面に形成されたタッチパネル電極が、カラーフィルタの画像検査(透過・反射)をする際に取り込み画像に映りこみ、カラーフィルタ検査の比較処理を行った場合に擬似欠陥を発生させる可能性を検証した。図6の説明図に、TP−CF一体型基板の画像検査イメージを模式的に示す。(a)は反射モード、(b)は透過モードである。
【0033】
<評価内容>
[透光性電極部の擬似欠陥発生確認]
カラーフィルタ用画像検査機を用いて、表面にITOパターニングからなるタッチパネル電極が形成されたカラーフィルタの画像を取り込み、表面にITOパターニングがある箇所とない箇所の輝度値(0〜255)を比較して、コントラスト差が生じているかを確認した。なお、コントラスト差が25以上ある場合は、擬似欠陥が発生すると判定する。評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

[金属ジャンパー部の擬似欠陥発生確認]
カラーフィルタ用画像検査機を用いて、表面にITOからなるタッチパネル電極が形成されたカラーフィルタの、RGB後の画像を取り込み、表面に金属ジャンパーがある箇所とない箇所の輝度値(0〜255)を比較して、コントラスト差が生じているかを確認した。この場合、金属ジャンパーとBMとの重ね合わせ位置を、図7の説明図に示すように、以下の3パターンとして、ジャンパー方向がカラーフィルタパターンに対して縦、横それぞれについて評価を行った。なお、コントラスト差が25以上ある場合は、擬似欠陥が発生すると判断される。評価結果を表1に示す。
・重ね合わせ位置パターン1:ジャンパーがBM上で半分隠されている。
・重ね合わせ位置パターン2:ジャンパーが完全に開口部(画素部)上にある。
・重ね合わせ位置パターン3:ジャンパーが完全にBM上にある。
【0035】
<評価結果>
表1に示すように、ITOパターニング部(透光性電極部)については、コントラスト差は25未満であり、擬似欠陥は発生しないと判断された。金属ジャンパー部については、重ね合わせ位置パターン3のRGB後基板のみが、反射モード、透過モードのいずれでもコントラスト差は25未満であり、擬似欠陥は発生しないと判断された。それに対して、従来のジャンパーが部分的にしか隠されていないものやジャンパーが画素部にあるものは、ジャンパーを小さくすることで反射では見えにくくなるが透過すなわち、実用的にはジャンパーが見えてしまうことになり、画像品質が低下する。即ち、本発明のカラーフィルタ基板(ジャンパー部がBM部に全て隠れる)のみが、反射・透過の双方でコントラスト差が小さく、画像品質に影響が少なく、且つ、品質保証のための画像検査が可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0036】
1・・・タッチパネル電極 2・・・透明基板 3・・・第1の透光性電極
4・・・第2の透光性電極 5・・・(第2の透光性電極の)接続部 6・・・絶縁膜
7・・・スルーホール 8・・・ジャンパー 9・・・保護膜
10・・・カラーフィルタ 11・・・ブラックマトリックス 12・・・着色画素
13・・・透明導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の表面に静電容量型のタッチパネル電極が形成され、且つ、前記透明基板の裏面にブラックマトリックスで画定された複数色の着色画素を含むカラーフィルタが形成されているタッチパネル機能を有するカラーフィルタ基板において、
前記タッチパネル電極は、同一レイヤーに、X軸方向及びこれと直交するY軸方向に間欠的に配列される複数の第1の透光性電極と、前記X軸方向及び前記Y軸方向に配列されると共に各々が前記第1の透光性電極の行間及び列間に配置される複数の第2の透光性電極とを備え、X軸方向に整列する前記第1の透光性電極の各々は、前記X軸方向及び前記Y軸方向に配列される導電性材料からなる複数のジャンパーによって相互に電気的に接続され、前記ジャンパーは、基板表示面を垂直方向から見たときに前記透明基板裏面の前記ブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成されていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記ジャンパーの導電性材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載するカラーフィルタ基板。
【請求項3】
請求項1に記載するカラーフィルタ基板の製造方法であって、
少なくとも、
(1)透明基板裏面に、画素部に対応する開口領域を画定するブラックマトリックスを形成する工程と、
(2)前記開口領域に複数色の着色画素を形成する工程と、
をこの順に含む裏面加工工程と
少なくとも、
(イ)透明基板表面に、導電性材料よりなるジャンパーを、基板表示面を垂直方向から見たときに透明基板裏面のブラックマトリックスと重なる所定の位置に形成する工程と、
(ロ)前記ジャンパーと前記透明基板表面を覆うように絶縁膜を形成し、かつ、第1の透光性電極とジャンパーとが重なり合う部分の前記絶縁膜にスルーホールを設ける工程と、(ハ)透明導電性材料を用いて、第1及び第2の透光性電極となる透明導電膜を絶縁膜の上全面に形成する工程と
(ニ)前記透明導電膜をパターニングして、所定形状の第1の透光性電極と第2の透光性電極を形成する工程と、
をこの順に含む表面加工工程と、
の表裏両面の加工工程を具備することを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68287(P2012−68287A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210593(P2010−210593)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】