カラーフィルタ表裏欠陥の分別方法、及び分別装置
【課題】外観検査装置にて検出された欠陥がカラーフィルタの表面か裏面かを作業者によらず、分別する表裏欠陥の分別方法、表裏欠陥の分別装置を提供する。
【解決手段】・カラーフィルタ表面の角度θbの上方の反射系光源と検査カメラの反射光学系、及び角度θaの上方の透過系検査カメラの透過光学系を用い、a)検査座標を欠陥の位置座標と同一に検出し、得た欠陥(R)(基準検出系欠陥)の検査データと、b)反射光学系を位置座標(x−dtanθb、y)とし、透過光学系の位置座標(x−dtanθa、y)とし検出し、得た欠陥(B)(比較検出系欠陥)の検査データを、検査結果データAとし保存する工程、・合成処理のパラメータを予め選択設定する工程、・合成処理工程、・膜面欠陥を検査結果データAに加え検査結果データBとする工程を具備する。
【解決手段】・カラーフィルタ表面の角度θbの上方の反射系光源と検査カメラの反射光学系、及び角度θaの上方の透過系検査カメラの透過光学系を用い、a)検査座標を欠陥の位置座標と同一に検出し、得た欠陥(R)(基準検出系欠陥)の検査データと、b)反射光学系を位置座標(x−dtanθb、y)とし、透過光学系の位置座標(x−dtanθa、y)とし検出し、得た欠陥(B)(比較検出系欠陥)の検査データを、検査結果データAとし保存する工程、・合成処理のパラメータを予め選択設定する工程、・合成処理工程、・膜面欠陥を検査結果データAに加え検査結果データBとする工程を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの外観検査に関するものであり、特に、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業員によらず、欠陥が表面の膜面上の欠陥か、裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法及び分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜、柱状スペーサー、配向制御用突起などを順次に位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
【0003】
ブラックマトリックスは遮光性を有し、その開口部でカラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとしている。また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックスの形成は、例えば、黒色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのパターン露光、現像によってブラックマトリックスを形成するといった方法がとられている。
【0004】
また、着色画素は、例えば、赤色、緑色、青色の色再現のフィルタ機能を有するものであり、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させた着色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのパターン露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
また、透明導電膜の形成は、着色画素及びブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0005】
また、フォトスペーサー、及び配向制御用突起などの形成は、上記ブラックマトリックス、或いは着色画素の形成と同様にフォトリソグラフィ法によって形成するといった方法がとられている。
【0006】
このカラーフィルタの製造工程で発生する外観上の欠陥は、主として、画素の一部が欠落した白欠陥と異物の付着などによる黒欠陥に分類される。
白欠陥は、ガラス基板表面のフォトレジストの弾き、フォトレジスト中の気泡、画素上の異物の脱落に伴う膜剥がれなどにより生じる画素の欠落部、すなわち、ピンホールである。ピンホールのあるカラーフィルタが液晶表示装置に組み込まれると、白点として光って観視されるので表示品質を損ねる。
【0007】
また、黒欠陥は、工程中で発生するパーティクル、作業場に浮遊する塵埃などが付着したものであり、画素上では突起となることが多い。例えば、この突起の高さが液晶表示装置の対向基板に接触するような高さであると、短絡を起こし表示品質を損ねる。
従って、ブラックマトリックス、或いは着色画素の形成後には、欠陥の検査が行われ、続いて、欠陥に対する修正が施される。なお、欠陥の大きさは、5μmφ〜500μmφ程度のものである。
【0008】
上記欠陥の検査には、透過光によるカラーフィルタの透過検査と反射光による反射検査
の2種の検査がある。透過検査による方が欠陥を検出し、良否を識別することが正確、容易な欠陥には透過検査が行われる。また、反射検査による方が欠陥を検出し、良否を識別することが正確、容易な欠陥には反射検査が行われる。すなわち、各欠陥の性状により透過検査、又は/及び反射検査が行われる。
尚、上記検査においては、検査する欠陥項目、良否を識別する水準などは、品目によって適宜に設定して行われる。
【0009】
図1は、自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。また、図2は、その平面図である。図1及び図2に示すように、この自動外観検査装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、反射系光源(13A)、反射系検査カメラ(14A)、透過系光源(13B)、透過系検査カメラ(14B)、欠陥検出用の画像処理装置(15)、及び検査制御CPU(16)で構成されている。
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、図1中、白太矢印で示すように、X軸方向に搬送されながら検査を受ける。
【0010】
反射系光源(13A)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の表面に斜め上方から照射する。カラーフィルタ(10)の表面で正反射した反射光を反射系検査カメラ(14A)で受光させ、その信号を画像処理装置(15)へと伝送する。
また、透過系光源(13B)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の裏面に下方から垂直に照射する。カラーフィルタ(10)を透過した透過光を透過系検査カメラ(14B)で受光させ、その信号を画像処理装置(15)へと伝送する。画像処理装置(15)では、伝送された信号を処理し、欠陥を検出する。検査制御CPU(16)では、検査の制御、欠陥の良否判定、及び欠陥の位置座標、画像データなど欠陥情報を保存する。
【0011】
図2に示すように、この一例における反射系検査カメラ(14A)は、反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の8個の反射系検査カメラで構成されており、これらは、カラーフィルタ(10)の搬送方向(X軸方向)と直角に、すなわち、カラーフィルタ(10)の幅方向(Y軸方向)に一列に順次に配列されている。
また、反射系光源(13A)は、反射系光源(1)(13A(1))〜反射系光源(8)(13A(8))の8個の反射系光源で構成されており、上記反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。
【0012】
また、透過系検査カメラ(14B)は、透過系検査カメラ(1)(14B(1))〜透過系検査カメラ(8)(14B(8))の8個の透過系検査カメラで構成されており、上記反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。また、透過系光源(13B)は、透過系光源(1)(13B(1))〜透過系光源(8)(13B(8))の8個の透過系光源で構成されており、各々が定盤(11)の下方にて透過系検査カメラ(1)(14B(1))〜透過系検査カメラ(8)(14B(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。
【0013】
カラーフィルタ(10)のサイズは、例えば、幅(W)1500mm×長さ(L)1800mm程度のものである。図1及び図2に示すように、反射系検査カメラ(14A)及び透過系検査カメラ(14B)は固定されており、カラーフィルタ(10)が検査ステージ(12)に載置された状態で、白太矢印で示すように、左方から右方へ移動し、カラーフィルタ(被検査体)(10)面が走査される。
反射系検査カメラ(14A)及び透過系検査カメラ(14B)の撮像素子としては、例えば、ラインセンサーが用いられることが多い。
【0014】
図3は、検査カメラにて撮像されたカラーフィルタ映像の一例を模式的に示す説明図である。図3に示すように、被検査体としてのカラーフィルタは、ブラックマトリックス(21)が形成され外観検査の終了したガラス基板上に、赤色、緑色、青色の着色画素(22)が形成された状態のものである。各色の着色画素(22)は、その各々が、図3中、Y軸方向に連続して配設されている。またX軸方向には、その各色の連続した列が赤色、緑色、青色の順に繰り返し配設されている。赤色の着色画素(C12)に欠陥(D)が発生している例である。
【0015】
図4(a)は、図3に示す左端下方の赤色の着色画素(C11)の点線で囲む部分を拡大した説明図、図4(b)は、その右方に隣接する赤色の着色画素(C12)の点線で囲む部分を拡大した説明図である。また、図4(c)は、図3に示す左端上方の赤色の着色画素(C01)の点線で囲む部分を拡大した説明図、図4(d)は、その右方に隣接する赤色の着色画素(C02)の点線で囲む部分を拡大した説明図である。
【0016】
この検査装置は、欠陥がランダムに発生することを前提にして、左右及び上下に隣接する同色の着色画素(22)を比較して欠陥を検出する比較方式を採用したものである。図4中、左端下方の赤色の着色画素(C11)の特定箇所(Ki)の濃度(検査カメラへ入射する光の強さから算出される光学濃度)と、右方に隣接する赤色の着色画素(C12)の特定箇所(Ki)の濃度との濃度差、及び図4中、右端上方の赤色の着色画素(C02)の特定箇所(Ki)の濃度と、下方に隣接する赤色の着色画素(C12)の特定箇所(Ki)の濃度との濃度差によって欠陥を検出する。
【0017】
1個の着色画素は、複数の領域(K1〜Kn)に分割される。複数に分割された1領域は、検査のために比較する着色画素上の1単位であり、以降、本発明においては、この1領域を着色画素上の検査画素と称する。また、例えば、欠陥を同様に複数に分割した際には、その1領域を欠陥の検査画素と称する。
【0018】
先ず、例えば、1)左端下方の赤色の着色画素(C11)の第1検査画素(K1)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第1検査画素(K1)の濃度を比較し、続いて、右端上方の赤色の着色画素(C02)の第1検査画素(K1)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第1検査画素(K1)の濃度を比較し、2)次に、着色画素(C11)の第2検査画素(K2)の濃度と、着色画素(C12)の第2検査画素(K2)の濃度を比較し、続いて、着色画素(C02)の第2検査画素(K2)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第2検査画素(K2)の濃度を比較し、以降、同様に順次に比較を行い、着色画素(C11)及び着色画素(C02)に対する着色画素(C12)の欠陥を検出する。
【0019】
図4においては、着色画素(C11)及び着色画素(C02)の第i検査画素(Ki)の濃度と、着色画素(C12)の第i検査画素(Ki)の濃度差が大きいために欠陥として検出されることになる。
この濃度は、検査カメラへ入射する光の強さから算出される光学濃度である。着色画素(C12)上の、濃度差が予め設定した閾値以上ある複数の第i検査画素(Ki)で構成される領域を欠陥と判定するようにしておく。
【0020】
図5は、図4に示す欠陥(D)を拡大し点線で表したものである。濃度差が閾値以上ある検査画素(×印)の複数で構成される領域(D’、D’=Ki-1〜Ki-n)が2値化した欠陥である。欠陥と判定した領域領域(D’)が黒欠陥であるか、或いは白欠陥である
かは、検査カメラへ入射する光の強さから算出される検査画素の光学濃度、例えば、8ビット(256)で区分した光学濃度が、128以上の際には黒欠陥、128以下の際には白欠陥とする。
【0021】
次に、上記欠陥の検査に続いて行われる、欠陥に対する修正としては、ピンホールのように、着色画素の一部が欠落した白欠陥に対しては、塗布針の先端部に修正インキを付着させて、その修正インキをピンホールに転移させて修正する方法、マイクロディスペンサーによって修正インキを滴下する方法、インクジェットにより修正インキを吐出させる方法、ピンホールにフィルムを転写させる方法などが提案されている。
【0022】
また、異物の付着のような黒欠陥に対しては、例えば、共焦点を用いた光学系により非接触で異物の高さを計測しながら、研磨材を表面に設けた研磨テープで除去するといった方法、或いは、レーザで異物を除去してレーザーカット枠(修正口)を設けた後に、マイクロディスペンサー、インクジェット、フィルム転写等により修正する方法が提案されている。
【0023】
図6は、このような着色画素の修正を行う際に用いる修正装置の一例の概略を示す平面図である。また、図7は、図6中、白太矢印で示す方向からの塗布機構などの部分を拡大して示す側面図である。この修正装置は、上記レーザーカット枠(修正口)内に修正インキを塗布し、塗布した修正インキを硬化させて修正インキ被膜を形成する修正装置である。
【0024】
ガントリ(構台)(33)はX軸トロッコ(32)上に設けられている。X軸トロッコ(32)は、定盤(30)上に設けられたX軸レール(31)上をX軸方向に自在に移動できるようになっている。また、Y軸トロッコ(34)は、ガントリ(構台)(33)上をY軸方向に自在に移動できるようになっている。このX軸方向及びY軸方向への自在な移動によって、Y軸トロッコ(34)の側面に設けられた顕微鏡(35)、塗布機構(36)、及びCCDカメラ(39)の各々を、定盤(30)上の任意のXY座標位置へ移動させることが出来るようになっている。
【0025】
修正装置は、通信手段によって自動外観検査装置の検査制御CPU(16)に接続されており、検査制御CPU(16)に保存された、前記欠陥の位置座標を基に、顕微鏡(35)をカラーフィルタ(被検査体)(10)上の欠陥上方の位置に移動させることが出来るようになっている。
このレーザーカット枠への修正インキの塗布及び硬化は、先ず、顕微鏡(35)によってレーザーカット枠を確認し、次に、修正インキが充填されている修正インキ壺に挿入し、その先端部に修正インキを付着させた塗布針をZ軸方向に降下させて、レーザーカット枠内の露出しているガラス基板面に接触させ、修正インキを転移、塗布し、レーザーカット枠に修正インキの塗布膜を設ける。
【0026】
続いて、この修正インキの塗布膜をCCDカメラ(39)で観察し、図示せぬIR(赤外)スポットヒータを用いてIR(赤外)照射を行い、修正インキを硬化させ、修正インキ被膜を形成するといった手順となる。
図8(a)は、着色画素(22)の白欠陥の部分にレーザーカット枠(修正口)(S1)が形成された段階を表したものである。白欠陥の平面形状は不定型であるので、修正を容易にするために単純な形状にレーザーを用い当該部分を揮散させる。図8(b)は、着色画素(22)内の修正口(S1)に対して修正インキの塗布膜が設けられ、硬化され修正インキ被膜(修正膜)(25)が形成された段階を表したものである。
【0027】
前記自動外観検査装置で欠陥が検出されたカラーフィルタは、上記修正装置へ搬入され
る前に、自動外観検査装置の後工程として設置されたレビュー装置を使用して、作業者がモニターで欠陥を確認している。
図9は、作業者が欠陥を確認する際に使用するレビュー装置の一例の概略を示す側面図である。図9に示すように、このレビュー装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、顕微鏡(14C)、モニター(17)で構成されている。
【0028】
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、定盤(11)上で静止した状態で欠陥の確認を受ける。レビュー装置は、X軸方向及びY軸方向への移動機構(図示せず)によって、定盤(11)上方の顕微鏡(14C)を任意のXY座標位置へ移動させることが出来るようになっている。
レビュー装置は、通信手段によって自動外観検査装置の検査制御CPU(16)に接続されており、検査制御CPU(16)に保存された、前記欠陥の位置座標を基に、顕微鏡(14C)をカラーフィルタ(被検査体)(10)上の欠陥上方の位置に移動させることが出来るようになっている。
【0029】
顕微鏡(14C)は、撮像素子としてエリアセンサーを備えており、内蔵する照明装置からの検査光をカラーフィルタ(被検査体)(10)上に照射し、オートフォーカスで焦点を合わせ欠陥の映像を取得し、取得した映像をモニター(17)上に表示することができる。作業者は、レビュー装置のモニター(17)上に表示される映像を観視して、自動外観検査装置が検出した欠陥を確認する。
【0030】
さて、前記自動外観検査装置で欠陥を検出すると、カラーフィルタには多数個の欠陥が検出される。しかし、実際に修正を必要とする欠陥は検出された欠陥の一部である。検出された欠陥に対して修正を施すか否かの判断は、作業者がレビュー装置のモニター(17)上に表示される映像を観視して判断を行っている。
その判断には相応の時間を費やすが、特に所要時間を要するのは検出された欠陥が、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別する判断である。
【0031】
これは、自動外観検査装置の検査カメラの焦点深度は、現状、例えば、数100μm程度と深いので、自動外観検査装置はカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥と、裏面のガラス基板面上の欠陥を検出している。これに対して、レビュー装置の顕微鏡の焦点深度は、現状、例えば、数10μm程度と浅いので、膜面(表面)への焦点合わせと、裏面への焦点合わせを手動で行っている。つまり、レビュー装置では、自動外観検査装置で欠陥として検出された欠陥が、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥であるか、裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別する負担が大きな問題となっている。この分別する負担を解消し、レビュー装置の作業能力を向上させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2009−41930号公報
【特許文献2】特開2001−166129号公報
【特許文献3】特開2007−163137号公報
【特許文献4】特開2008−203280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業者の分別によらず、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法を提供することを課題とするものである。
また、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数を検査制御CPUに保存する工程、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、
a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、
b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、
3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程、
4)検出欠陥合成処理を行う工程、
5)上記4)にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程、
を具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法である。
【0035】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、前記3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程が、
a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、
b)同定する欠陥の選択、
c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、
d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定、を行う工程であり、
前記4)検出欠陥合成処理を行う工程が、 a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判
断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、前記5)を実施する、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする、以上のa)〜f)の手順で行う工程であることを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法である。
【0036】
また、本発明は、カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などの検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置、
3)該カラーフィルタを反射系検査カメラ及び透過系検査カメラの焦点位置で保持し、搬送させる搬送部、
を少なくとも具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置である。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の検査データと、b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の検査データとを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め選択、設定を行う工程、検出欠陥合成処理を行う工程、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程を具備するので、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業者の分別によらず、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法となる。
【0038】
また、本発明は、1)検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置を少なくとも具備するので、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。
【図2】自動外観検査装置の一例の概略を示す平面図である。
【図3】検査カメラにて撮像されたカラーフィルタ映像の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示す赤色の着色画素の点線で囲む部分を拡大した説明図である。
【図5】図4に示す欠陥を拡大し点線で表したものである。
【図6】修正装置の一例の概略を示す平面図である。
【図7】図6中、白太矢印で示す方向からの塗布機構などの部分を示す側面図である。
【図8】着色画素の修正口及び修正膜である。
【図9】レビュー装置の一例の概略を示す側面図である。
【図10】自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。
【図11】図10に示す反射系検査カメラと反射系光源、及び透過系検査カメラと透過系光源を、同一側面図に重ね合わせた説明図である。
【図12】図11に示す反射系検査カメラでの欠陥の位置座標を膜面上に表したものである。
【図13】図11に示す透過系検査カメラでの欠陥の位置座標を膜面上に表したものである。
【図14】本発明による分別装置の一例の光学系を説明する側面図である。
【図15】カラーフィルタ裏面の欠陥が検出される位置座標の説明図である。
【図16】図15に示す反射系検査カメラにて撮像された欠陥の位置座標の説明図である。
【図17】図15に示す透過系検査カメラにて撮像された欠陥の位置座標の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法、及びラーフィルタ表裏欠陥の分別装置をその実施の形態に基づいて説明する。
図10は、自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。図10に示すように、この自動外観検査装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、反射系光源(33A)、反射系検査カメラ(34A)、反射系欠陥検出用の画像処理装置(35A)、透過系光源(33B)、透過系検査カメラ(34B)、反射系欠陥検出用の画像処理装置(35B)、及び検査制御CPU(36)で構成されている。
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、図10中、白太矢印で示すように、X軸方向に搬送されながら検査を受ける。
【0041】
反射系光源(33A)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の表面に斜め上方から照射する。カラーフィルタ(10)の表面で正反射し
た反射光を反射系検査カメラ(34A)で受光させ、その信号を画像処理装置(35A)へと伝送する。
また、透過系光源(33B)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の裏面に下方から垂直に照射する。カラーフィルタ(10)を透過した透過光を垂直上方の透過系検査カメラ(34B)で受光させ、その信号を画像処理装置(35B)へと伝送する。画像処理装置(35A、35B)では、伝送された信号を処理し、欠陥を検出する。検査制御CPU(36)では、検査の制御、欠陥の良否判定、及び欠陥の位置座標、画像データなど欠陥情報を保存する。
【0042】
この自動外観検査装置は、前記図1に示す自動外観検査装置と類似した構成であり、反射系検査カメラ(34A)と反射系光源(33A)は、カラーフィルタ(10)の幅方向(Y軸方向)に一列に複数個が配列されている。また、透過系検査カメラ(34B)と透過系光源(33B)は、上記反射系検査カメラ(34A)に対応し、Y軸方向に一列に複数個が配列されている(図示せず)。
【0043】
カラーフィルタの欠陥検査は、カラーフィルタ(10)が検査ステージ(12)に載置された状態で、白太矢印で示すように、左方から右方へ移動し、カラーフィルタ(被検査体)(10)面が走査され、前記図3〜図5に示すように、カラーフィルタの着色画素は、複数の検査画素に分割され、隣接する着色画素の検査画素との濃度比較により欠陥として検出される。
【0044】
検査制御CPU(36)に保存する欠陥情報は、自動外観検査装置が検出した欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などである。欠陥の位置座標は、例えば、図5に示す2値化された欠陥(D’)のカラーフィルタ上の位置座標(x、y)である。欠陥種別は、例えば、反射系検査カメラで検出された反射系白欠陥、反射系黒欠陥、或いは、透過系検査カメラで検出された透過系白欠陥、透過系黒欠陥である。
また、欠陥を構成する検査画素数は、例えば、図5に示す、Ki-1〜Ki-nの数である。
【0045】
図11は、図10に示す反射系検査カメラ(34A)と反射系光源(33A)、及び透過系検査カメラ(34B)と透過系光源(33B)を、同一側面図に重ね合わせて説明するものである。図11に示すように、反射系検査カメラ(34A)及び透過系検査カメラ(34B)は、同一の欠陥(D)を撮像している。
【0046】
図12は、図11に示す反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)の位置座標(x、y)を、膜面(着色画素)(22)上に表したものである。図12に示すように、反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)は、上記反射系白欠陥又は反射系黒欠陥である。
また、図13は、図11に示す透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)の位置座標(x、y)を、膜面(着色画素)(22)上に表したものである。図13に示すように、透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)は、上記透過系白欠陥又は透過系黒欠陥である。
【0047】
すなわち、図12及び図13に示すように、図11に示す反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)の位置座標と、図11に示す透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)の位置座標は同一の位置座標(x、y)となる。
【0048】
図14は、本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置の一例の、光学系を説明する側面図である。図14に示すように、本発明の分別装置の光学系は、カラーフィルタ(10)表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸プラス方向へ角度θb 傾けた位置の反射系光源(43A)と、該表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸マイ
ナス方向へ角度θb 傾けた位置の、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラ(44A)からなる反射光学系、
及びカラーフィルタ(10)表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸マイナス方向へ角度θa (θa <θb )傾けた位置の、透過系検査カメラ(44B)と、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上を照射する透過系光源(43B)からなる透過光学系で構成されている。
【0049】
反射系光源(43A)及び反射系検査カメラ(44A)の傾斜角度(θb )は、10度〜45度の範囲であることが好ましく、また、透過系検査カメラ(44B)及び透過系光源(43B)の傾斜角度(θa )は、10度以下であることが好ましい。
【0050】
反射光学系と透過光学系は、例えば、図10に示すように、装置の異なる位置に設けられたものでもよく、或いは図14に示すように、反射光学系の焦点位置と透過光学系の焦点位置とが重なるように設けられたものでもよい。
また、例えば、図10に示す自動外観検査装置に、本発明の分別装置の機構、及び機能を付加したものでもよい。
【0051】
本発明による、角度(θb )を有する反射光学系と、角度(θa )を有する透過光学系を備えた分別装置を用いると、図14に示すように、位置座標(x、y)にある欠陥の内、カラーフィルタ表面の膜面(着色画素)(22)上の欠陥(D1)が検出される位置座標は、前記図11に示す場合と同様に、位置座標(x、y)となる。
【0052】
すなわち、図14に示す分別装置の反射系検査カメラ(44A)にて撮像された欠陥(D1)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、前記図12に示すものと同一になる。
同様に、図14に示す分別装置の透過系検査カメラ(44B)にて撮像された欠陥(D1)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、前記図13に示すものと同一になる。
【0053】
一方、図15に示すように、位置座標(x、y)にある欠陥の内、カラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上の欠陥(D2)が検出される位置座標は、前記図12とは異なったものとなる。すなわち、図15に示す分別装置の反射系検査カメラ(44A)にて撮像された欠陥(D2)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、図16に示すように、位置座標(x−dtanθb 、y)となる。
また、図15に示す分別装置の透過系検査カメラ(44B)にて撮像された欠陥(D2)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、図17に示すように、位置座標(x−dtanθa 、y)となる。
【0054】
ここで、dは、ガラス基板(20)の厚さであり、400μm〜1100μm程度のものである。また、膜面(着色画素)(22)の厚さは、1μm〜2μm程度のものである。
【0055】
上記のように、本発明は、角度(θb )を有する反射光学系と、角度(θa )を有する透過光学系を用いることによって、同一の位置座標にある欠陥であっても、カラーフィルタ表面の膜面(着色画素)(22)上の欠陥(D1)と、カラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上の欠陥(D2)とが、膜面(着色画素)(22)上の異なった位置座標で検出されるといった原理にもとずくものである。
【0056】
本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法は、先ず、分別装置の反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一に
した欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する。
基準検出系は、検索のリファレンスとなる欠陥の検出系であり、また、比較検出系は、基準検出系の欠陥と同定する欠陥を検索する検出系である。
【0057】
次に、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥に分別する処理である、検出欠陥合成処理を行う際のパラメータとして予め、a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、b)同定する欠陥の選択、c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定を行う。
【0058】
検索のレファレンスとなる欠陥は、基準検出系の反射系白欠陥、反射系黒欠陥、透過系白欠陥、又は透過系黒欠陥から選択する。同定する欠陥は、比較検出系の反射系白欠陥、反射系黒欠陥、透過系白欠陥、又は透過系黒欠陥から選択する。
また、同一欠陥同定範囲(H)は、基準検出系の欠陥と比較検出系の欠陥とを比較した際に、同一の欠陥であることを認識する距離である。膜面上欠陥分別範囲(L)は、基準検出系の欠陥と比較検出系の欠陥が、同一の欠陥と判断された場合、膜面上の欠陥であるかを判断する範囲である。
【0059】
次に、検出欠陥合成処理を以下のa)〜f)の手順で行う。
a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする。表1は、上記手順のフローチャートに表したものである。
【表1】
【0060】
続いて、検出欠陥合成処理にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する。
【0061】
上記のようにしてカラーフィルタ表裏欠陥の分別を終了したカラーフィルタには、修正が施される。欠陥修正装置は、通信手段を利用し分別装置より検査結果データBの欠陥情報及び検出系を読み込み、検出系が合成系欠陥となる欠陥を修正の対象欠陥として修正を施す。なお、欠陥修正装置は設定により、検出系を複数選択することが可能なものとし、対象とする検出系は状況によって使い分ける。
【0062】
上記のように、本発明は、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを、作業者の分別によらず、分別することのできるので、負担が解消し、レビュー装置の作業能力は向上したものとなる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・カラーフィルタ(被検査体)
11・・・定盤
12・・・検査ステージ
13A、33A、43A・・・反射系光源
13B、33B、43B・・・透過系光源
14A、34A、44A・・・反射系検査カメラ
14B、34B、44B・・・透過系検査カメラ
14C・・・顕微鏡
15、35、45・・・欠陥検出用の画像処理装置
16、36、46・・・検査制御CPU
17・・・モニター
21・・・ブラックマトリックス
22・・・着色画素
D・・・欠陥
D1・・・カラーフィルタ表面の欠陥
D2・・・カラーフィルタ裏面の欠陥
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの外観検査に関するものであり、特に、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業員によらず、欠陥が表面の膜面上の欠陥か、裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法及び分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜、柱状スペーサー、配向制御用突起などを順次に位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
【0003】
ブラックマトリックスは遮光性を有し、その開口部でカラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとしている。また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックスの形成は、例えば、黒色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのパターン露光、現像によってブラックマトリックスを形成するといった方法がとられている。
【0004】
また、着色画素は、例えば、赤色、緑色、青色の色再現のフィルタ機能を有するものであり、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させた着色フォトレジストの塗布膜を設け、この塗布膜へのパターン露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
また、透明導電膜の形成は、着色画素及びブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0005】
また、フォトスペーサー、及び配向制御用突起などの形成は、上記ブラックマトリックス、或いは着色画素の形成と同様にフォトリソグラフィ法によって形成するといった方法がとられている。
【0006】
このカラーフィルタの製造工程で発生する外観上の欠陥は、主として、画素の一部が欠落した白欠陥と異物の付着などによる黒欠陥に分類される。
白欠陥は、ガラス基板表面のフォトレジストの弾き、フォトレジスト中の気泡、画素上の異物の脱落に伴う膜剥がれなどにより生じる画素の欠落部、すなわち、ピンホールである。ピンホールのあるカラーフィルタが液晶表示装置に組み込まれると、白点として光って観視されるので表示品質を損ねる。
【0007】
また、黒欠陥は、工程中で発生するパーティクル、作業場に浮遊する塵埃などが付着したものであり、画素上では突起となることが多い。例えば、この突起の高さが液晶表示装置の対向基板に接触するような高さであると、短絡を起こし表示品質を損ねる。
従って、ブラックマトリックス、或いは着色画素の形成後には、欠陥の検査が行われ、続いて、欠陥に対する修正が施される。なお、欠陥の大きさは、5μmφ〜500μmφ程度のものである。
【0008】
上記欠陥の検査には、透過光によるカラーフィルタの透過検査と反射光による反射検査
の2種の検査がある。透過検査による方が欠陥を検出し、良否を識別することが正確、容易な欠陥には透過検査が行われる。また、反射検査による方が欠陥を検出し、良否を識別することが正確、容易な欠陥には反射検査が行われる。すなわち、各欠陥の性状により透過検査、又は/及び反射検査が行われる。
尚、上記検査においては、検査する欠陥項目、良否を識別する水準などは、品目によって適宜に設定して行われる。
【0009】
図1は、自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。また、図2は、その平面図である。図1及び図2に示すように、この自動外観検査装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、反射系光源(13A)、反射系検査カメラ(14A)、透過系光源(13B)、透過系検査カメラ(14B)、欠陥検出用の画像処理装置(15)、及び検査制御CPU(16)で構成されている。
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、図1中、白太矢印で示すように、X軸方向に搬送されながら検査を受ける。
【0010】
反射系光源(13A)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の表面に斜め上方から照射する。カラーフィルタ(10)の表面で正反射した反射光を反射系検査カメラ(14A)で受光させ、その信号を画像処理装置(15)へと伝送する。
また、透過系光源(13B)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の裏面に下方から垂直に照射する。カラーフィルタ(10)を透過した透過光を透過系検査カメラ(14B)で受光させ、その信号を画像処理装置(15)へと伝送する。画像処理装置(15)では、伝送された信号を処理し、欠陥を検出する。検査制御CPU(16)では、検査の制御、欠陥の良否判定、及び欠陥の位置座標、画像データなど欠陥情報を保存する。
【0011】
図2に示すように、この一例における反射系検査カメラ(14A)は、反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の8個の反射系検査カメラで構成されており、これらは、カラーフィルタ(10)の搬送方向(X軸方向)と直角に、すなわち、カラーフィルタ(10)の幅方向(Y軸方向)に一列に順次に配列されている。
また、反射系光源(13A)は、反射系光源(1)(13A(1))〜反射系光源(8)(13A(8))の8個の反射系光源で構成されており、上記反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。
【0012】
また、透過系検査カメラ(14B)は、透過系検査カメラ(1)(14B(1))〜透過系検査カメラ(8)(14B(8))の8個の透過系検査カメラで構成されており、上記反射系検査カメラ(1)(14A(1))〜反射系検査カメラ(8)(14A(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。また、透過系光源(13B)は、透過系光源(1)(13B(1))〜透過系光源(8)(13B(8))の8個の透過系光源で構成されており、各々が定盤(11)の下方にて透過系検査カメラ(1)(14B(1))〜透過系検査カメラ(8)(14B(8))の配列に対応し、Y軸方向に一列に順次に配列されている。
【0013】
カラーフィルタ(10)のサイズは、例えば、幅(W)1500mm×長さ(L)1800mm程度のものである。図1及び図2に示すように、反射系検査カメラ(14A)及び透過系検査カメラ(14B)は固定されており、カラーフィルタ(10)が検査ステージ(12)に載置された状態で、白太矢印で示すように、左方から右方へ移動し、カラーフィルタ(被検査体)(10)面が走査される。
反射系検査カメラ(14A)及び透過系検査カメラ(14B)の撮像素子としては、例えば、ラインセンサーが用いられることが多い。
【0014】
図3は、検査カメラにて撮像されたカラーフィルタ映像の一例を模式的に示す説明図である。図3に示すように、被検査体としてのカラーフィルタは、ブラックマトリックス(21)が形成され外観検査の終了したガラス基板上に、赤色、緑色、青色の着色画素(22)が形成された状態のものである。各色の着色画素(22)は、その各々が、図3中、Y軸方向に連続して配設されている。またX軸方向には、その各色の連続した列が赤色、緑色、青色の順に繰り返し配設されている。赤色の着色画素(C12)に欠陥(D)が発生している例である。
【0015】
図4(a)は、図3に示す左端下方の赤色の着色画素(C11)の点線で囲む部分を拡大した説明図、図4(b)は、その右方に隣接する赤色の着色画素(C12)の点線で囲む部分を拡大した説明図である。また、図4(c)は、図3に示す左端上方の赤色の着色画素(C01)の点線で囲む部分を拡大した説明図、図4(d)は、その右方に隣接する赤色の着色画素(C02)の点線で囲む部分を拡大した説明図である。
【0016】
この検査装置は、欠陥がランダムに発生することを前提にして、左右及び上下に隣接する同色の着色画素(22)を比較して欠陥を検出する比較方式を採用したものである。図4中、左端下方の赤色の着色画素(C11)の特定箇所(Ki)の濃度(検査カメラへ入射する光の強さから算出される光学濃度)と、右方に隣接する赤色の着色画素(C12)の特定箇所(Ki)の濃度との濃度差、及び図4中、右端上方の赤色の着色画素(C02)の特定箇所(Ki)の濃度と、下方に隣接する赤色の着色画素(C12)の特定箇所(Ki)の濃度との濃度差によって欠陥を検出する。
【0017】
1個の着色画素は、複数の領域(K1〜Kn)に分割される。複数に分割された1領域は、検査のために比較する着色画素上の1単位であり、以降、本発明においては、この1領域を着色画素上の検査画素と称する。また、例えば、欠陥を同様に複数に分割した際には、その1領域を欠陥の検査画素と称する。
【0018】
先ず、例えば、1)左端下方の赤色の着色画素(C11)の第1検査画素(K1)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第1検査画素(K1)の濃度を比較し、続いて、右端上方の赤色の着色画素(C02)の第1検査画素(K1)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第1検査画素(K1)の濃度を比較し、2)次に、着色画素(C11)の第2検査画素(K2)の濃度と、着色画素(C12)の第2検査画素(K2)の濃度を比較し、続いて、着色画素(C02)の第2検査画素(K2)の濃度と、隣接する赤色の着色画素(C12)の第2検査画素(K2)の濃度を比較し、以降、同様に順次に比較を行い、着色画素(C11)及び着色画素(C02)に対する着色画素(C12)の欠陥を検出する。
【0019】
図4においては、着色画素(C11)及び着色画素(C02)の第i検査画素(Ki)の濃度と、着色画素(C12)の第i検査画素(Ki)の濃度差が大きいために欠陥として検出されることになる。
この濃度は、検査カメラへ入射する光の強さから算出される光学濃度である。着色画素(C12)上の、濃度差が予め設定した閾値以上ある複数の第i検査画素(Ki)で構成される領域を欠陥と判定するようにしておく。
【0020】
図5は、図4に示す欠陥(D)を拡大し点線で表したものである。濃度差が閾値以上ある検査画素(×印)の複数で構成される領域(D’、D’=Ki-1〜Ki-n)が2値化した欠陥である。欠陥と判定した領域領域(D’)が黒欠陥であるか、或いは白欠陥である
かは、検査カメラへ入射する光の強さから算出される検査画素の光学濃度、例えば、8ビット(256)で区分した光学濃度が、128以上の際には黒欠陥、128以下の際には白欠陥とする。
【0021】
次に、上記欠陥の検査に続いて行われる、欠陥に対する修正としては、ピンホールのように、着色画素の一部が欠落した白欠陥に対しては、塗布針の先端部に修正インキを付着させて、その修正インキをピンホールに転移させて修正する方法、マイクロディスペンサーによって修正インキを滴下する方法、インクジェットにより修正インキを吐出させる方法、ピンホールにフィルムを転写させる方法などが提案されている。
【0022】
また、異物の付着のような黒欠陥に対しては、例えば、共焦点を用いた光学系により非接触で異物の高さを計測しながら、研磨材を表面に設けた研磨テープで除去するといった方法、或いは、レーザで異物を除去してレーザーカット枠(修正口)を設けた後に、マイクロディスペンサー、インクジェット、フィルム転写等により修正する方法が提案されている。
【0023】
図6は、このような着色画素の修正を行う際に用いる修正装置の一例の概略を示す平面図である。また、図7は、図6中、白太矢印で示す方向からの塗布機構などの部分を拡大して示す側面図である。この修正装置は、上記レーザーカット枠(修正口)内に修正インキを塗布し、塗布した修正インキを硬化させて修正インキ被膜を形成する修正装置である。
【0024】
ガントリ(構台)(33)はX軸トロッコ(32)上に設けられている。X軸トロッコ(32)は、定盤(30)上に設けられたX軸レール(31)上をX軸方向に自在に移動できるようになっている。また、Y軸トロッコ(34)は、ガントリ(構台)(33)上をY軸方向に自在に移動できるようになっている。このX軸方向及びY軸方向への自在な移動によって、Y軸トロッコ(34)の側面に設けられた顕微鏡(35)、塗布機構(36)、及びCCDカメラ(39)の各々を、定盤(30)上の任意のXY座標位置へ移動させることが出来るようになっている。
【0025】
修正装置は、通信手段によって自動外観検査装置の検査制御CPU(16)に接続されており、検査制御CPU(16)に保存された、前記欠陥の位置座標を基に、顕微鏡(35)をカラーフィルタ(被検査体)(10)上の欠陥上方の位置に移動させることが出来るようになっている。
このレーザーカット枠への修正インキの塗布及び硬化は、先ず、顕微鏡(35)によってレーザーカット枠を確認し、次に、修正インキが充填されている修正インキ壺に挿入し、その先端部に修正インキを付着させた塗布針をZ軸方向に降下させて、レーザーカット枠内の露出しているガラス基板面に接触させ、修正インキを転移、塗布し、レーザーカット枠に修正インキの塗布膜を設ける。
【0026】
続いて、この修正インキの塗布膜をCCDカメラ(39)で観察し、図示せぬIR(赤外)スポットヒータを用いてIR(赤外)照射を行い、修正インキを硬化させ、修正インキ被膜を形成するといった手順となる。
図8(a)は、着色画素(22)の白欠陥の部分にレーザーカット枠(修正口)(S1)が形成された段階を表したものである。白欠陥の平面形状は不定型であるので、修正を容易にするために単純な形状にレーザーを用い当該部分を揮散させる。図8(b)は、着色画素(22)内の修正口(S1)に対して修正インキの塗布膜が設けられ、硬化され修正インキ被膜(修正膜)(25)が形成された段階を表したものである。
【0027】
前記自動外観検査装置で欠陥が検出されたカラーフィルタは、上記修正装置へ搬入され
る前に、自動外観検査装置の後工程として設置されたレビュー装置を使用して、作業者がモニターで欠陥を確認している。
図9は、作業者が欠陥を確認する際に使用するレビュー装置の一例の概略を示す側面図である。図9に示すように、このレビュー装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、顕微鏡(14C)、モニター(17)で構成されている。
【0028】
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、定盤(11)上で静止した状態で欠陥の確認を受ける。レビュー装置は、X軸方向及びY軸方向への移動機構(図示せず)によって、定盤(11)上方の顕微鏡(14C)を任意のXY座標位置へ移動させることが出来るようになっている。
レビュー装置は、通信手段によって自動外観検査装置の検査制御CPU(16)に接続されており、検査制御CPU(16)に保存された、前記欠陥の位置座標を基に、顕微鏡(14C)をカラーフィルタ(被検査体)(10)上の欠陥上方の位置に移動させることが出来るようになっている。
【0029】
顕微鏡(14C)は、撮像素子としてエリアセンサーを備えており、内蔵する照明装置からの検査光をカラーフィルタ(被検査体)(10)上に照射し、オートフォーカスで焦点を合わせ欠陥の映像を取得し、取得した映像をモニター(17)上に表示することができる。作業者は、レビュー装置のモニター(17)上に表示される映像を観視して、自動外観検査装置が検出した欠陥を確認する。
【0030】
さて、前記自動外観検査装置で欠陥を検出すると、カラーフィルタには多数個の欠陥が検出される。しかし、実際に修正を必要とする欠陥は検出された欠陥の一部である。検出された欠陥に対して修正を施すか否かの判断は、作業者がレビュー装置のモニター(17)上に表示される映像を観視して判断を行っている。
その判断には相応の時間を費やすが、特に所要時間を要するのは検出された欠陥が、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別する判断である。
【0031】
これは、自動外観検査装置の検査カメラの焦点深度は、現状、例えば、数100μm程度と深いので、自動外観検査装置はカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥と、裏面のガラス基板面上の欠陥を検出している。これに対して、レビュー装置の顕微鏡の焦点深度は、現状、例えば、数10μm程度と浅いので、膜面(表面)への焦点合わせと、裏面への焦点合わせを手動で行っている。つまり、レビュー装置では、自動外観検査装置で欠陥として検出された欠陥が、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥であるか、裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別する負担が大きな問題となっている。この分別する負担を解消し、レビュー装置の作業能力を向上させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2009−41930号公報
【特許文献2】特開2001−166129号公報
【特許文献3】特開2007−163137号公報
【特許文献4】特開2008−203280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業者の分別によらず、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法を提供することを課題とするものである。
また、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数を検査制御CPUに保存する工程、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、
a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、
b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、
3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程、
4)検出欠陥合成処理を行う工程、
5)上記4)にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程、
を具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法である。
【0035】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、前記3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程が、
a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、
b)同定する欠陥の選択、
c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、
d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定、を行う工程であり、
前記4)検出欠陥合成処理を行う工程が、 a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判
断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、前記5)を実施する、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする、以上のa)〜f)の手順で行う工程であることを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法である。
【0036】
また、本発明は、カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などの検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置、
3)該カラーフィルタを反射系検査カメラ及び透過系検査カメラの焦点位置で保持し、搬送させる搬送部、
を少なくとも具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置である。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の検査データと、b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の検査データとを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め選択、設定を行う工程、検出欠陥合成処理を行う工程、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程を具備するので、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥から、作業者の分別によらず、その欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法となる。
【0038】
また、本発明は、1)検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置を少なくとも具備するので、カラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを分別することのできるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。
【図2】自動外観検査装置の一例の概略を示す平面図である。
【図3】検査カメラにて撮像されたカラーフィルタ映像の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】図3に示す赤色の着色画素の点線で囲む部分を拡大した説明図である。
【図5】図4に示す欠陥を拡大し点線で表したものである。
【図6】修正装置の一例の概略を示す平面図である。
【図7】図6中、白太矢印で示す方向からの塗布機構などの部分を示す側面図である。
【図8】着色画素の修正口及び修正膜である。
【図9】レビュー装置の一例の概略を示す側面図である。
【図10】自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。
【図11】図10に示す反射系検査カメラと反射系光源、及び透過系検査カメラと透過系光源を、同一側面図に重ね合わせた説明図である。
【図12】図11に示す反射系検査カメラでの欠陥の位置座標を膜面上に表したものである。
【図13】図11に示す透過系検査カメラでの欠陥の位置座標を膜面上に表したものである。
【図14】本発明による分別装置の一例の光学系を説明する側面図である。
【図15】カラーフィルタ裏面の欠陥が検出される位置座標の説明図である。
【図16】図15に示す反射系検査カメラにて撮像された欠陥の位置座標の説明図である。
【図17】図15に示す透過系検査カメラにて撮像された欠陥の位置座標の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法、及びラーフィルタ表裏欠陥の分別装置をその実施の形態に基づいて説明する。
図10は、自動外観検査装置の一例の概略を示す側面図である。図10に示すように、この自動外観検査装置は、定盤(11)、検査ステージ(12)、反射系光源(33A)、反射系検査カメラ(34A)、反射系欠陥検出用の画像処理装置(35A)、透過系光源(33B)、透過系検査カメラ(34B)、反射系欠陥検出用の画像処理装置(35B)、及び検査制御CPU(36)で構成されている。
検査ステージ(12)に載置されたカラーフィルタ(被検査体)(10)は、図10中、白太矢印で示すように、X軸方向に搬送されながら検査を受ける。
【0041】
反射系光源(33A)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の表面に斜め上方から照射する。カラーフィルタ(10)の表面で正反射し
た反射光を反射系検査カメラ(34A)で受光させ、その信号を画像処理装置(35A)へと伝送する。
また、透過系光源(33B)は、射出された検査光を搬送されてきたカラーフィルタ(被検査体)(10)の裏面に下方から垂直に照射する。カラーフィルタ(10)を透過した透過光を垂直上方の透過系検査カメラ(34B)で受光させ、その信号を画像処理装置(35B)へと伝送する。画像処理装置(35A、35B)では、伝送された信号を処理し、欠陥を検出する。検査制御CPU(36)では、検査の制御、欠陥の良否判定、及び欠陥の位置座標、画像データなど欠陥情報を保存する。
【0042】
この自動外観検査装置は、前記図1に示す自動外観検査装置と類似した構成であり、反射系検査カメラ(34A)と反射系光源(33A)は、カラーフィルタ(10)の幅方向(Y軸方向)に一列に複数個が配列されている。また、透過系検査カメラ(34B)と透過系光源(33B)は、上記反射系検査カメラ(34A)に対応し、Y軸方向に一列に複数個が配列されている(図示せず)。
【0043】
カラーフィルタの欠陥検査は、カラーフィルタ(10)が検査ステージ(12)に載置された状態で、白太矢印で示すように、左方から右方へ移動し、カラーフィルタ(被検査体)(10)面が走査され、前記図3〜図5に示すように、カラーフィルタの着色画素は、複数の検査画素に分割され、隣接する着色画素の検査画素との濃度比較により欠陥として検出される。
【0044】
検査制御CPU(36)に保存する欠陥情報は、自動外観検査装置が検出した欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などである。欠陥の位置座標は、例えば、図5に示す2値化された欠陥(D’)のカラーフィルタ上の位置座標(x、y)である。欠陥種別は、例えば、反射系検査カメラで検出された反射系白欠陥、反射系黒欠陥、或いは、透過系検査カメラで検出された透過系白欠陥、透過系黒欠陥である。
また、欠陥を構成する検査画素数は、例えば、図5に示す、Ki-1〜Ki-nの数である。
【0045】
図11は、図10に示す反射系検査カメラ(34A)と反射系光源(33A)、及び透過系検査カメラ(34B)と透過系光源(33B)を、同一側面図に重ね合わせて説明するものである。図11に示すように、反射系検査カメラ(34A)及び透過系検査カメラ(34B)は、同一の欠陥(D)を撮像している。
【0046】
図12は、図11に示す反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)の位置座標(x、y)を、膜面(着色画素)(22)上に表したものである。図12に示すように、反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)は、上記反射系白欠陥又は反射系黒欠陥である。
また、図13は、図11に示す透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)の位置座標(x、y)を、膜面(着色画素)(22)上に表したものである。図13に示すように、透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)は、上記透過系白欠陥又は透過系黒欠陥である。
【0047】
すなわち、図12及び図13に示すように、図11に示す反射系検査カメラ(34A)にて撮像された欠陥(D)の位置座標と、図11に示す透過系検査カメラ(34B)にて撮像された欠陥(D)の位置座標は同一の位置座標(x、y)となる。
【0048】
図14は、本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置の一例の、光学系を説明する側面図である。図14に示すように、本発明の分別装置の光学系は、カラーフィルタ(10)表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸プラス方向へ角度θb 傾けた位置の反射系光源(43A)と、該表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸マイ
ナス方向へ角度θb 傾けた位置の、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラ(44A)からなる反射光学系、
及びカラーフィルタ(10)表面の上方で、カラーフィルタ表面の垂線からX軸マイナス方向へ角度θa (θa <θb )傾けた位置の、透過系検査カメラ(44B)と、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上を照射する透過系光源(43B)からなる透過光学系で構成されている。
【0049】
反射系光源(43A)及び反射系検査カメラ(44A)の傾斜角度(θb )は、10度〜45度の範囲であることが好ましく、また、透過系検査カメラ(44B)及び透過系光源(43B)の傾斜角度(θa )は、10度以下であることが好ましい。
【0050】
反射光学系と透過光学系は、例えば、図10に示すように、装置の異なる位置に設けられたものでもよく、或いは図14に示すように、反射光学系の焦点位置と透過光学系の焦点位置とが重なるように設けられたものでもよい。
また、例えば、図10に示す自動外観検査装置に、本発明の分別装置の機構、及び機能を付加したものでもよい。
【0051】
本発明による、角度(θb )を有する反射光学系と、角度(θa )を有する透過光学系を備えた分別装置を用いると、図14に示すように、位置座標(x、y)にある欠陥の内、カラーフィルタ表面の膜面(着色画素)(22)上の欠陥(D1)が検出される位置座標は、前記図11に示す場合と同様に、位置座標(x、y)となる。
【0052】
すなわち、図14に示す分別装置の反射系検査カメラ(44A)にて撮像された欠陥(D1)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、前記図12に示すものと同一になる。
同様に、図14に示す分別装置の透過系検査カメラ(44B)にて撮像された欠陥(D1)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、前記図13に示すものと同一になる。
【0053】
一方、図15に示すように、位置座標(x、y)にある欠陥の内、カラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上の欠陥(D2)が検出される位置座標は、前記図12とは異なったものとなる。すなわち、図15に示す分別装置の反射系検査カメラ(44A)にて撮像された欠陥(D2)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、図16に示すように、位置座標(x−dtanθb 、y)となる。
また、図15に示す分別装置の透過系検査カメラ(44B)にて撮像された欠陥(D2)の位置座標を、膜面(着色画素)(22)上に表すと、図17に示すように、位置座標(x−dtanθa 、y)となる。
【0054】
ここで、dは、ガラス基板(20)の厚さであり、400μm〜1100μm程度のものである。また、膜面(着色画素)(22)の厚さは、1μm〜2μm程度のものである。
【0055】
上記のように、本発明は、角度(θb )を有する反射光学系と、角度(θa )を有する透過光学系を用いることによって、同一の位置座標にある欠陥であっても、カラーフィルタ表面の膜面(着色画素)(22)上の欠陥(D1)と、カラーフィルタ裏面のガラス基板(20)面上の欠陥(D2)とが、膜面(着色画素)(22)上の異なった位置座標で検出されるといった原理にもとずくものである。
【0056】
本発明によるカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法は、先ず、分別装置の反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一に
した欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する。
基準検出系は、検索のリファレンスとなる欠陥の検出系であり、また、比較検出系は、基準検出系の欠陥と同定する欠陥を検索する検出系である。
【0057】
次に、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥に分別する処理である、検出欠陥合成処理を行う際のパラメータとして予め、a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、b)同定する欠陥の選択、c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定を行う。
【0058】
検索のレファレンスとなる欠陥は、基準検出系の反射系白欠陥、反射系黒欠陥、透過系白欠陥、又は透過系黒欠陥から選択する。同定する欠陥は、比較検出系の反射系白欠陥、反射系黒欠陥、透過系白欠陥、又は透過系黒欠陥から選択する。
また、同一欠陥同定範囲(H)は、基準検出系の欠陥と比較検出系の欠陥とを比較した際に、同一の欠陥であることを認識する距離である。膜面上欠陥分別範囲(L)は、基準検出系の欠陥と比較検出系の欠陥が、同一の欠陥と判断された場合、膜面上の欠陥であるかを判断する範囲である。
【0059】
次に、検出欠陥合成処理を以下のa)〜f)の手順で行う。
a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする。表1は、上記手順のフローチャートに表したものである。
【表1】
【0060】
続いて、検出欠陥合成処理にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する。
【0061】
上記のようにしてカラーフィルタ表裏欠陥の分別を終了したカラーフィルタには、修正が施される。欠陥修正装置は、通信手段を利用し分別装置より検査結果データBの欠陥情報及び検出系を読み込み、検出系が合成系欠陥となる欠陥を修正の対象欠陥として修正を施す。なお、欠陥修正装置は設定により、検出系を複数選択することが可能なものとし、対象とする検出系は状況によって使い分ける。
【0062】
上記のように、本発明は、カラーフィルタの外観検査装置によって検出された欠陥がカラーフィルタの表面の膜面上の欠陥か、或いはカラーフィルタの裏面のガラス基板面上の欠陥かを、作業者の分別によらず、分別することのできるので、負担が解消し、レビュー装置の作業能力は向上したものとなる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・カラーフィルタ(被検査体)
11・・・定盤
12・・・検査ステージ
13A、33A、43A・・・反射系光源
13B、33B、43B・・・透過系光源
14A、34A、44A・・・反射系検査カメラ
14B、34B、44B・・・透過系検査カメラ
14C・・・顕微鏡
15、35、45・・・欠陥検出用の画像処理装置
16、36、46・・・検査制御CPU
17・・・モニター
21・・・ブラックマトリックス
22・・・着色画素
D・・・欠陥
D1・・・カラーフィルタ表面の欠陥
D2・・・カラーフィルタ裏面の欠陥
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数を検査制御CPUに保存する工程、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、
a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、
b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、
3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程、
4)検出欠陥合成処理を行う工程、
5)上記4)にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程、
を具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法。
【請求項2】
前記3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程が、
a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、
b)同定する欠陥の選択、
c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、
d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定、を行う工程であり、
前記4)検出欠陥合成処理を行う工程が、 a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、前記5)を実施する、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする、以上のa)〜f)の手順で行う工程であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法。
【請求項3】
カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などの検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置、
3)該カラーフィルタを反射系検査カメラ及び透過系検査カメラの焦点位置で保持し、搬送させる搬送部、
を少なくとも具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置。
【請求項1】
カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標(x、y)、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数を検査制御CPUに保存する工程、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系を用い、
a)該反射光学系及び透過光学系の検査座標を、前記反射系欠陥及び透過系欠陥の位置座標(x、y)と同一にした欠陥検出を行い、得られた欠陥(R)(基準検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数と、
b)該反射光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθb 、y)とし、該透過光学系の検査座標を位置座標(x−dtanθa 、y)とした欠陥検出を行い、得られた欠陥(B)(比較検出系の欠陥)の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数とを、検査結果データAとして検査制御CPUに保存する工程、
3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程、
4)検出欠陥合成処理を行う工程、
5)上記4)にて、膜面上欠陥として判定した欠陥を検査結果データAに、検出系を合成系欠陥として追加し、該合成系欠陥が追加された検査結果を検査結果データBとして検査制御CPUに保存する工程、
を具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法。
【請求項2】
前記3)検出欠陥合成処理の際のパラメータを予め、選択、設定を行う工程が、
a)検索のレファレンスとなる欠陥の選択、
b)同定する欠陥の選択、
c)同一欠陥同定範囲(H)の設定、
d)膜面上欠陥分別範囲(L)の設定、を行う工程であり、
前記4)検出欠陥合成処理を行う工程が、 a)上記検査結果データAより基準検出系の欠陥(R)を検索して抽出する、
b)抽出した欠陥に対し、検査結果データAより比較検出系に該当する欠陥(B)を順に抽出し、同一欠陥同定範囲(H)内の距離にある欠陥を同定する、
c)同定結果が検出された場合はd)を実施する、該当欠陥がなければ上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行する、
d)同定結果が検出された場合は、基準検出系と比較検出系の間で同一欠陥であったと判断される、次に、欠陥間の距離が膜面上欠陥分別範囲(L)内か外かを判定する、
e)膜面上欠陥分別範囲内であれば、膜面上欠陥として判定し、前記5)を実施する、膜面上欠陥分別範囲外であれば、裏面のガラス基板面上の欠陥として判定する、
f)上記a)に戻り、次の基準検出系の欠陥を抽出し、繰り返し処理を続行し全ての欠陥について実施した時点で処理の完了とする、以上のa)〜f)の手順で行う工程であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ表裏欠陥の分別方法。
【請求項3】
カラーフィルタの外観検査装置で検出した欠陥を、カラーフィルタ表面の膜面上の欠陥と、カラーフィルタ裏面のガラス基板面上の欠陥とに分別するカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置において、
1)前記カラーフィルタ表面の斜め上方から検出した反射系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数、及び該カラーフィルタ表面の垂直上方から検出した透過系欠陥の位置座標、欠陥種別、欠陥を構成する検査画素数などの検査データを保存し、欠陥検出、検出欠陥合成処理、分別装置制御を行う検査制御CPU、
2)該カラーフィルタ表面の垂線から角度θb の斜め上方の反射系光源と、該表面での正反射光を撮像する反射系検査カメラからなる反射光学系、反射系画像処理装置、及びカラーフィルタ表面の垂線から角度θa (θa <θb )の斜め上方の透過系検査カメラと、該透過系検査カメラと同軸としカラーフィルタ裏面のガラス基板面上を照射する透過系光源からなる透過光学系、透過系画像処理装置、
3)該カラーフィルタを反射系検査カメラ及び透過系検査カメラの焦点位置で保持し、搬送させる搬送部、
を少なくとも具備することを特徴とするカラーフィルタ表裏欠陥の分別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−112431(P2011−112431A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267271(P2009−267271)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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