説明

カラー画像処理方法および装置

【課題】本発明は、第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理方法および装置に関し、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルに基づいて、第1色信号を正確な色再現性で高速に第2色信号へ変換することができ、また、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルが微分連続でなくても第1色信号を正確な色再現性で高速に第2色信号へ変換することができるカラー画像処理方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】CMYK信号からL*a*b*信号を求めるための色変換モデルを求めるステップ(ステップS1、S2)と、色変換モデルに基づいて、色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法、例えば、シンプレックス法を行うことによりL*a*b*信号からYMCK信号を求めるステップ(ステップS4)とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理方法および装置に関し、例えば、RGB信号をYMCK信号に変換するためのカラー画像処理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カラープリンタ等の画像形成装置には、例えば、赤、緑および青の所謂RGB色信号やデバイス独立の均等色空間の信号であるL*a*b*色信号を、画像形成装置において画像を形成するために使用する画像記録信号(デバイス信号)であるイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの所謂YMCK色信号に変換する色変換装置が搭載されている。
【0003】このような色変換装置としては、一般的にはマトリックス演算やダイレクトルックアップテーブルが広く用いられている。ダイレクトルックアップテーブルは、入力信号の値と、この入力信号に所定の色変換係数を乗じた出力値との関係を予めROM(読み出し専用メモリ)或いはRAM(ランダムアクセスメモリ)に記憶させたものであり、RGB色信号やL*a*b*色信号から直接的にYMCK色信号へ変換を行うことができる。このダイレクトルックアップテーブルを使用して色変換を行う場合には、実質的に演算時間を必要としないので、色変換を極めて高速に行うことができるという利点がある。ダイレクトルックアップテーブルを作成する際に使用する色変換係数は、画像形成装置におけるYMCK色信号と当該YMCK色信号とにより紙等に画像を出力した際の色を実測した測色値との関係をモデル化した色変換モデルを予め作成し、この色変換モデルを活用して求められている。
【0004】たとえば、特開平10−70668号公報に記載された発明では、実測により求めたCMY色信号をRGB色信号に変換する変換テーブルで構成された色変換モデルをニュートン法などの逐次近似法を用いて解くことにより、RGB色信号をCMY色信号に変換する変換テーブルを求ている。また、特開平9−186894号公報に記載された発明では、L*a*b*色信号と墨量Kとにより画像記録信号CMYKを求めて、当該画像記録信号CMYKを入力とし、L*a*b*色信号を出力するニューラルネットワーク型の色変換モデルをニュートン法のような逐次近似法を用いて解いて、L*a*b*色信号を画像記録信号CMYKに変換するダイレクトルックアップテーブルの格子点を求めている。
【0005】上記の特開平10−70668号公報や特開平9−186894号公報において用いられている方法は、コンピュータカラーマッチング(CCM)と呼ばれており、画像記録信号CMYもしくは墨Kを含むCMYKと、その画像記録信号によるプリントアウト時の画像における3刺激値XYZや均等色空間のL*a*b*などの測色値から、画像記録信号CMYもしくはCMYKから測色値XYZもしくはL*a*b*が得られる色変換モデルを作成し、この色変換モデルをニュートン法のような逐次近似法を用いて解くことにより、測色値XYZもしくはL*a*b*から画像記録信号CMYもしくはCMYKを求める方法である。
【0006】CCMについては、例えば「色彩再現の基礎と応用技術」、佐柳和男監修、トリケップス、pp.96−97に解説されており、35年以上も前に提案された方式であるが要求される色を実現する画像記録信号の組み合わせを色変換モデルを使って求める方式として広く用いられている。CCMでは、一般にニュートン法を用いて色変換モデルを解くために、色変換モデルが微分可能である必要があり、したがって、この色変換モデルとしては微分可能な関数である多項式やニューラルネットワークが用いられている。最近では、特開平9−186894号公報でも示されているように、より高精度な色変換モデルであるニューラルネットワークが広く用いられている。
【0007】ニューラルネットワークで構成された色変換モデルを上記のCCMを使わずに解く方法としては、特開平8−102865号公報や特開平8−204973号公報に記載されて方法がある。これら方法では、画像記録信号CMYKからL*a*b*色信号を求める色変換モデルを作成するために使用した画像記録信号CMYKとL*a*b*色信号とのデータセットをニューラルネットワークに学習させることにより、L*a*b*、および墨量Kから画像記録信号CMYを出力するニューラルネットワークを作成している。このニューラルネットワークを用いると、L*a*b*色信号と墨量Kから画像記録信号CMYKを求めることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平10−70668号公報や特開平9−186894号公報に提案されているCCMを用いて色変換モデルを解く方法は、ニュートン法を用いて色変換モデルを解くために収束が早く、高速にダイレクトルックアップテーブルの色変換係数を求めることが可能である点で確かに効果的であるが、ニュートン法を用いるために微分連続な色変換モデルを使う必要があり、微分不連続な色変換モデルを使用することができないという問題が生じる。
【0009】また、特開平9−186894号公報に提案された色変換モデルとしてニューラルネットワークを用いる方法では、高精度なニューラルネットワーク型の色変換モデルを用いて高精度な色変換係数を求めることができる点で確かに効果的ではあるが、発明者の検討により以下のような問題が判明した。例えば、a*=b*=0であるグレー部分について、明度L*を100から0まで変化させた場合において、特開平9−186494号公報で提案された方法により得られる画像記録信号の成分CMYKのそれぞれの値を図5(a)に示す。図5(a)の横軸は、明度L*を8bitに量子化した値を示しており、横軸の値0がL*=100を示し、横軸の値255がL*=0を示している。また、縦軸は画像記録信号CMYKの各色の網点面積率(%)を示している。
【0010】図5(a)に示すようにグレー部分(シャドウ部)において墨量Kの網点面積率が大きくなると、本来単調増加するはずの画像記録信号CMYの網点面積率が反転して減少してしまう現象が見られる。このような階調が反転する現象が発生すると画像に擬似輪郭が発生してしまったり、濃度低下が発生したり、モアレが発生したり等の画質上に重大な欠陥を引き起こしてしまう問題が生じる。このような現象は、墨量Kが大きいときに顕著に発生するために、従来技術では墨量Kの値を大きく設定することは困難であるという問題が生じる。
【0011】このような現象は、ニューラルネットワーク型の色変換モデルを逐次近似法の一種であるニュートン法で解く際に、予期しない局所領域で解が収束してしまうために発生する現象であり、ニューラルネットワーク型の色変換モデルでは墨量Kが大きい領域やハイライト部やシャドウ部などに予期しない局所領域が多数存在し、ニュートン法を用いて解を求めた場合において、正解以外の値に収束してしまって、正確な色分解値を求めることができないために発生するということが発明者の検討により判明した。
【0012】一方、色変換モデルをCCMを使わずに解くためには、一般に各色12bit精度以下の有限の階調である画像記録信号CMYKについて、色変換モデルを全探査することにより解を求めることが可能であるが、「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜(3)ニューラルネットワークによる色変換モデル〜」、村井和昌、Japanハードコピー’96論文集、pp.209−212に示されているように、4次元空間上の全探査は演算時間が莫大にかかってしまうため現実的ではないという問題が生じる。
【0013】また、ニューラルネットワークで構成された色変換モデルをCCMを使わずに解く方法として、色変換モデルを作成する際に使用した画像記録信号CMYKと測色値L*a*b*とのデータセットをニューラルネットワークに学習させることにより色変換モデルの逆モデルを求める方法が特開平8−102865号公報や特開平8−204973号公報に提案されているが、「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜(3)ニューラルネットワークによる色変換モデル〜」、村井和昌、Japanハードコピー’96論文集、pp.209−212に示されているように、この方法ではCCMを使う方法に比べて色変換精度が悪いといった問題があり、さらに色変換モデルの逆モデルをニューラルネットワークの学習により求める必要があるため、CCMを使う方法に比べて変換時間が非常に長くなってしまうという問題が生じる。
【0014】本発明の目的は、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルに基づいて、第1色信号から第2色信号を正確な色再現性で高速に求めることのできるカラー画像処理方法および装置を提供することにある。また、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルが微分連続でなくても第1色信号から第2色信号を正確な色再現性で高速に求めることのできるカラー画像処理方法および装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理方法であって、第2色信号から第1色信号を求めるための色変換モデルを求めるステップと、色変換モデルに基づいて、色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法を行うことにより第1色信号から第2色信号を求めるステップとを有することを特徴とするカラー画像処理方法によって達成される。また、上記目的は、第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理装置であって、第2色信号から第1色信号を求めるための色変換モデルを有する色予測手段と、色変換モデルに基づいて、色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法を行うことにより第1色信号から第2色信号を求める非線形最適化手段とを有することを特徴とするカラー画像処理装置によって達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態によるカラー画像処理方法および装置を図1乃至図6を用いて説明する。まず、本実施の形態によるカラー画像処理方法により色変換係数を決定するカラー画像処理装置の概略の構成を図1を用いて説明する。図1は、本カラー画像処理装置を備えたカラー画像出力システムの一例を示している。
【0017】本カラー画像出力システムは、画像入力装置100、画像処理装置200および画像形成装置300を有している。画像入力装置100は、外部から各種フォーマットのカラー画像を取り込んで、カラー画像信号を出力するものである。本実施の形態では、R(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の各色のデータにつき、それぞれ8ビット、256階調の、総計24ビットのRGBデータからなるカラー画像信号を出力する。
【0018】具体的に、画像入力装置100は、35mmカラーネガフィルムやポジフィルム、もしくはAPSフイルムなどに代表される銀塩写真フィルムを、CCDセンサによってRGBデータとして読み取り、またはKODAK社のPhotoCD(商標)フォーマットのCD−ROMから画像データを読み取ってRGBデータに変換し、またはCanon社のDCS1c(商品名)のようなデジタルカメラから撮影データを取り込んでRGBデータに変換し、またはユーザが他のコンピュータを用いて編集してMOやZip(ストレージメディアの規格)に代表される記録メディアに保存したカラーイメージデータを、その記録メディアから読み取ってRGBデータに変換し、またはネットワーク上に接続された機器から送信されたイメージ情報をRGBデータに変換し、このRGBデータを画像処理装置200に転送する機能を有するものである。
【0019】画像形成装置300は、画像処理装置200から入力された画像記録信号(本実施の形態ではYMCKデータ)に基づいた画像を用紙上に形成するようになっている。図2は、本発明の画像形成装置300の一例の概略の構成を示している。図2において、ベルト状の中間転写体50は、ローラ5−1、5−2、5−3、5−4および加熱ロール2により支持されて図中の矢印方向に回転するようになっている。加熱ロール2に対向して加熱ロール3が配置されている。中間転写体50の周辺には4つの感光体1−1、1−2、1−3、1−4が配置されている。これら4つの感光体1−1、1−2、1−3、1−4は静電潜像形成用帯電器15、16、17、18により一様に帯電される。画像処理装置200から転送されたCMYK4色の画像記録信号に基づいて、スクリーンジェネレータ390がレーザ光をパルス幅変調する。パルス幅変調されたレーザ光は、レーザスキャナ走査装置380により4つの感光体1−1、1−2、1−3、1−4上に水平走査される。これにより4つの感光体1−1、1−2、1−3、1−4上には静電潜像が形成される。
【0020】静電潜像が形成された4つの感光体1−1、1−2、1−3、1−4上には、ブラック現像器11、イエロー現像器12、マゼンタ現像器13およびシアン現像器14によって、それぞれ黒、イエロー、マゼンタ、シアン色のトナー像が形成される。これらトナー像は、順次、転写器50−1、50−2、50−3、50−4により中間転写体50へ転写される。この結果、中間転写体50上には複数色のトナー像が形成される。この後、用紙トレイ6から給紙装置7によって熱可塑性の樹脂層が表面に塗布されている記録紙が送紙される。当該記録紙は巻回機構8に取付けられたピンロール9−1、9−2によって加熱ロール3に巻回されながら加熱された後、中間転写体50と密着した状態で加熱ロール2および加熱ロール3によって加圧加熱される。これによって中間転写体50上の複数色のトナー像は記録紙上の熱可塑性の樹脂層に浸透する。
【0021】加熱ロール2および加熱ロール3によって加圧加熱された中間転写体50および記録紙は、密着したまま移動して、冷却装置4により冷却される。これにより熱可塑性の樹脂層に浸透したトナーは凝集固化し、記録紙との強い接着力を生じる。その後、小曲率なロール5−1において、記録紙は記録紙自体の腰の強さによって中間転写体50からトナーと共に分離され、外部に出力される。記録紙に転写・定着されたトナー像は、記録紙表面の樹脂層と一体になっているので、当該記録紙の表面は平滑且つ高光沢となる。
【0022】感光体1−1、1−2、1−3、1−4としては、各種無機感光体(Se、a−Si、a−SiC、CdS等)の他に、各種有機感光体を用いることができる。トナーとしては、イエロー、マゼンタ、シアン等の色素を含有した熱可塑性のバインダで構成されている公知の材料を用いることができる。本実施の形態では、重量平均分子量54000、軟化点113℃、平均粒径7μmのポリエステルトナーを用いている。各色の記録媒体上のトナー量は、トナーの色素の含有量により異なるが、およそ0.4mg/cm〜0.7mg/cmになるように、露光または現像条件として設定されている。本実施の形態では、各色0.65mg/cmになるように設定されている。
【0023】記録媒体としては、市販のキャストコート紙である坪量127.9g/mのエナメルコート紙(米子加工紙株式会社)の表面に7μm厚のポリエステルを塗工したものを用いている。塗工するポリエステルとしては、本実施の形態では、重量平均分子量12300、数平均分子量3270および軟化点100℃のポリエステルを用いている。
【0024】中間転写体50は、ベース層と表面層との2層構造を有しているものを用いている。ベース層は、カーボンブラックを添加した厚さ70μmのポリイミドフィルムを用い、体積抵抗率はカーボンブラックの添加量を変化させて、1010Ωcmに調整している。なお、ベース層としては、例えば厚さ10〜300μmの耐熱性の高いシートを使用することができ、より具体的には、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミドなどのポリマーシート等を用いることができる。
【0025】また、表面層としては、本実施の形態では、中間転写体50から記録紙への同時転写定着を行うときに、トナー像を挟んで中間転写体50と記録紙とがよく密着するように、ゴム硬度40度、厚さ50μmのシリコン共重合体を用い、感光体1−1、1−2、1−3、1−4から中間転写体50に静電的に画像乱れなくトナー像を転写するためにシリコン共重合体の体積抵抗率を1014Ωcmに調整している。シリコン共重合体は、表面が常温でトナーに対して粘着性を示すとともに、溶融して流動化したトナーを離しやすくする特性を有しているために、記録紙等の記録媒体へトナーを効率的に移行させることができ、表面層には最適である。なお、表面層としては、例えば厚さ1〜100μmの離型性の高い樹脂層を使用することができ、より具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。
【0026】加熱ロール2、3としては、金属ロール、または、金属ロールにシリコンゴム等の耐熱弾性層を有したものを用いることができる。加熱ロール2、3の内部には熱源が配置され、熱源の設定温度はトナー及び記録紙表面の熱可塑性の樹脂層の熱溶融特性によって決定される。本実施の形態では、トナーの軟化点>樹脂層の軟化点としているので、加熱ロール2の設定温度>加熱ロール3の設定温度となるように熱源の温度設定を行っている。具体的には、加熱ロール2の熱源の設定温度を150℃に設定し、加熱ロール3の熱源の設定温度を120℃に設定している。本実施の形態では、転写・定着時の加熱ロール2、加熱ロール3間の圧力を5kgf/cmになるように設定してあるが、圧力はこれに限らず、たとえば1kgf/cm〜10kgf/cmの範囲であればよい。また、本実施の形態では、加熱ロール2、加熱ロール3の外径を50mmとし、各加熱ロール2、3の回転速度を、中間転写体50の搬送速度が240mm/secになるように設定している。また、本実施の形態では冷却装置4の風量を調整することにより、記録紙等の記録媒体を中間転写体50から剥離する時に、中間転写体50と接する記録媒体表面の温度が70℃となるようにしている。
【0027】本実施の形態では画像形成装置300として、タンデムエンジンの電子写真方式のカラープリンターを適用したが、これに限られず、シングルエンジン方式や、中間転写体を用いずに耐熱性を有するベルト感光体を用い、ベルト感光体上に形成された複数色のトナー像を直接記録紙に転写・定着する方式のプリンタであってもよい。また、画像形成装置300としては、電子写真方式のカラープリンタに限るものではなく、例えば印刷、インクジェット方式、熱転写方式および銀塩写真方式などのカラー画像形成装置であってもよい。
【0028】画像処理装置200は、第1色変換部210および第2色変換部220を有している。画像入力装置100から入力されたRGBデータは、第1色変換部210によって、均等色空間の一つであるCIE・L*a*b*色空間のデータに変換される。第1色変換部210によって変換されたL*a*b*データ(第1色信号)は、第2色変換部220によって、画像形成装置300の色空間の画像記録信号、本実施の形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびK(ブラック)の4色のデータ(第2色信号)に変換されて、画像形成装置300に転送される。画像入力装置100からの入力色信号として、本実施の形態では最も一般的なRGBデータを例にとって説明するが、印刷で用いられているCMYK色空間や、PhotoCDで用いられるYCC色空間などの他の色空間のデータであってもよい。
【0029】第1色変換部210としては、本実施の形態では入力色信号をL*a*b*色空間の信号に変換するものを用いているが、これに限られず、たとえばXYZ色空間やL*u*v*色空間などのデバイスに依存しない他の色空間の信号に変換するものであってもよい。なお、第1色変換部210としては、L*u*v*等の均等色空間の信号に変換するものであることがより望ましい。また、第1色変換部210としては、色変換回路として広く用いられているマトリックス演算型の色変換回路やダイレクトルックアップテーブル型の色変換回路やニューラルネットワーク型の色変換回路を使用することが可能であり、本実施の形態ではニューラルネットワーク型の色変換回路を使用している。
【0030】第1色変換部210は以下に示す方法で求めることができる。まず、画像入力装置100に入力するカラー画像の測色値(L*a*b*)を市販の測色計で測定し、入力するカラー画像の測色値(L*a*b*)に対応するRGBデータを求めて、入力測色値(L*a*b*)に対する出力データ(RGB)の色変換特性をモデル化する。このような色変換モデルには高次多項式やニューラルネットワークが一般に用いられるが、本実施の形態ではニューラルネットワークにRGBデータとL*a*b*データとの組み合わせのデータセットを学習させて、画像入力装置100の変換特性をモデル化させる。この得られたニューラルネットワークが第1色変換部210である。
【0031】次に、本発明の主要部である第2色変換部220について説明する。本実施の形態では、第2色変換部220を3入力4出力のダイレクトルックアップテーブルで構成している。ダイレクトルックアップテーブルは、入力信号L*a*b*の各軸を16分割した値を入力アドレスとし、立方体補間により補間演算を行って画像記録信号CMYKを算出するように構成している。本実施の形態においては、ダイレクトルックアップテーブルの補間方式としては、立方体補間方式を適用するようにしたが、補間方式はこれに限られず、三角柱補間方式や四面体補間方式などの他の補間方式を適用するようにしてもよい。また、本実施の形態においては第2色変換部220をダイレクトルックアップテーブルで構成したが、この構成に限られず、3入力4出力の色変換をおこなうことができれば、他の構成であってもよい。
【0032】本実施の形態において、第2色変換部220を構成するダイレクトルックアップテーブルを決定する処理を図3を用いて説明する。まず、ステップS1において、画像記録信号CMYKの任意の組み合わせに対する複数の色パッチを画像形成装置300にてプリントアウトし、測色計を用いて当該プリントアウトされた各色パッチの測色値L*a*b*を測定する。本実施の形態では、画像記録信号CMYKの組み合わせとしては、各色の網点面積率が20%刻みの6×6×6×6=1296個のパッチの組み合わせを画像形成装置300でプリントアウトした。測色計としてはX−Rite社の測色計であるX−Rite938(商品名)を使用した。測色計の測定条件をD50、2度視野としてL*a*b*を測定した。測定に用いる色パッチの数は任意でよいが、色変換モデルを高精度化するためにはできるだけ多くすることが望ましい。測定に用いる表色系として、本実施の形態では、均等色空間であるL*a*b*表色系を使用しているが、XYZ表色系などの他の表色系を使用するようにしてもよい。なお、色変換モデルを解く際に色差を評価する場合には、均等色空間が好ましい。
【0033】次に、ステップS2において、ステップS1で得られたの複数の画像記録信号CMYKデータと対応するL*a*b*データとのデータセットを教師データとして、ニューラルネットワークに学習させる。CMYKとL*a*b*との関係は、次の関数で表すことができる。
(L*,a*,b*)=F(C,M,Y,K) ・・・(1)
この式(1)をそれぞれの色成分に分解すると以下のようになる。
L*=FL(C,M,Y,K) ・・・(2)
a*=Fa(C,M,Y,K) ・・・(3)
b*=Fb(C,M,Y,K) ・・・(4)
本実施の形態では、ニューラルネットワークとしては、文献「フレキシブルUCRによる高精度色変換〜ニューラルネットワークによる高精度プリンタモデル〜」、村井和昌、Japan Hard Copy ’94論文集、pp.181−184に示されている4層で中間層細胞数が10個のニューラルネットワークを用い、バックプロバケーション法により学習させた。本実施の形態では、ステップS2において、ニューラルネットワークの色変換モデルを用いたが、他の多項式モデルや変換テーブル方式の色変換モデルをもちいることもできる。なお、後述するように、本発明によると微分不連続な色変換モデルであっても解くことができるので、色変換モデルの選択の幅は従来より広がっている。
【0034】次に、ステップS3において、ダイレクトルックアップテーブルの入力アドレス値L*a*b*を再現するための最大墨量Kmaxと最小墨量Kminとをニューラルネットワークに基づいて以下に示す方法により算出して、KmaxとKminとから最適な墨量Kを決定する。ここで、通常、式(1)に示す関数Fの逆関数は求まらない。しかし、L*a*b*の値を与えるとともに、CMYKの中の1変数を適切に決めれば、式(1)から残りの3変数を求めることができる。例えば、式(1)に、L*a*b*の値を与えるとともにKの値を与えるとCMYの値を決定することができる。
【0035】ここで、CMYの値を決定する手法について考察する。CCMなどの従来技術においては、式(1)にL*a*b*とKとの値を与えたときのCMYの値を非線形方程式の解法の一つであるニュートン法などの逐次計算法で求めていた。例えば、ニュートン法では、式(1)の導関数を用いて解を探索するために、前述のように予期しない局所領域に解が収束されてしまい、正確な色分解値を求めることができないという問題が生じる。そこで、本発明では、式(1)の導関数を用いない非線形最適化手法を適用することにより、式(1)を解くようにしている。ここで、再現すべき色をL*a*b*とおき、与える墨量をKとすると、再現すべき色と画像記録信号CMYおよび墨量Kによる色との色差ΔEは画像記録信号CMYの関数として次式で定義される。
ΔE(C,M,Y)=((L*−FL(C,M,Y,K))+(a*−Fa(C,M,Y,K))+(b*−Fb(C,M,Y,K))1/2 ・・・(5)
非線形方程式である式(1)を解くということは、色差ΔEが零になるCMYの値を求めることと同じことを意味しているので、式(1)式を解くという問題を、色差ΔEを目的関数として、目的関数ΔEを最小化するCMYを求めるという非線形最適化問題に捉えなおすことができる。したがって、シンプレックス法などの導関数を用いない非線形最適化手法により式(5)を解くこと、すなわち、CMYを求めることができる。したがって、色変換モデルが微分不連続であってもCMYの値を求めることができる。
【0036】シンプレックス法については、公知であるが、例えば「非線形計画法」、今野浩著、日科技連出版社、pp.284‐287にアルゴリズムが紹介されている。シンプレックス法はこのような多変数関数の最適化に適した手法であり、高速に最適値を求めることができる。このシンプレックス法は、ニュートン法のように多変数関数の導関数を必要としないので、ニューラルネットワークの予期しない局所領域に解が収束されてしまう事がなく、正確な解を求めることができ、さらに微分不連続な関数の最適化を行うことができるので、色変換モデルの選択の幅が広がるという利点を有している。本実施の形態では、色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法として多変数関数を高速に最適化することのできるシンプレックス法を適用したが、例えば、2分法や黄金分割探索法などの導関数を用いない他の非線形最適化手法を適用してもよい。
【0037】まず、式(5)の右辺のKの値を振りながら求められるCMYの値が次式に示す条件を満たすか否かを判断する。
0≦C,M,Y≦100(%) ・・・(6)
ここで、条件を満たす最も大きいKの値が最大墨量Kmaxであり、最も小さいKの値が最小墨量Kminである。墨量Kの値は通常8bit程度に量子化されているため、Kの値を0から100%まで全探索しても256回、式(5)を最適化することにより、式(6)を満たすKmaxとKminとを求めることができる。また、全検索しなくても2分探索アリゴリズムにより式(5)のKの値を0から100%まで振って式(6)を満たすKmaxおよびKminを効率的に求めることができる。
【0038】ここで、最小墨量Kminを求めずに、最小墨量は墨入れをしない場合であると考えてKmin=0としてもよい。本実施の形態では最小墨量Kminを求めずに、Kmin=0とした。本実施の形態では、最適な墨量Kを次式により決定する。
K=α・β・Kmax+(1−α・β)・Kmin・・・(7)
ここで、変数α、βはそれぞれ、明度L*、彩度C*の関数であり、例えば図4に示す特性を有している。図4(a)に示す関数は明度L*に関する墨入れ率αを表しており、X軸の増加方向に濃度が高くなるように、すなわちL*の値が小さくなるように表記している。図4(b)に示す関数は彩度C*に関する墨入れ率βを表している。なお、C*=(a*+b*1/2・・・(8)
である。
【0039】図4(a)に示すように明度L*に関する墨入れ率αの関数では、中濃度以下、の部分、すなわち、明度が高く明るい部分において墨Kが混入して画像の粒状性を悪化させ、モアレを発生させることを防ぐために、L*の値が50以上の明るい部分において墨Kが乗らないように墨入れ率αが0%に設定されている。また、L*の値が50の点の墨入れ率αが0%に設定され、L*の値が0の点の墨入れ率αが100%に設定され、前記両点間では下に凸の2次関数に従うように設定されている。したがって、中濃度以下の明るい部分には墨がまったく乗らないために、粒状性に優れ、かつモアレが発生しないようになる。また、L*の値が0〜50の間の部分では、下に凸の2次関数に従って墨入れ率αが増加するために、墨の入り始めの差を小さくすることができ、墨の混入による擬似輪郭等を防止することができる。
【0040】本実施の形態では、L*の値が50の点を基準としてそれ以上の明るい部分では、墨入れ率αが0%となるようにしていたが、基準となる点のL*の値はこれに限られず、L*の値が70〜30の範囲に設定するのが望ましい。また、本実施の形態では最大濃度点(L*の値が0の点)での墨入れ率αを100%に設定したが、墨入れ率αの値は100%に限るものではなく、30〜100%の範囲に設定するのが望ましい。また、本実施の形態では、明度L*に関する墨入れ率αの関数として2次関数を含む関数を使用しているが、これに限るものではなく、1次関数等の任意の関数を含む関数を使用してもよく、また、実験を行って得たルックアップテーブルによる自由な関数を使用してもよい。
【0041】図4(b)に示すように彩度C*に関する墨入れ率βの関数では、彩度が高い部分に墨が混入して彩度が低下し、粒状性が悪化してしまうことを防ぐために、C*の値が40を基準として、それ以上の鮮やかな部分にはまったく墨Kが乗らないように墨入れ率βが0%に設定されている。また、C*の値が40の点の墨入れ率βが0%に設定され、C*の値が0の点の墨入れ率βが100%に設定され、前記両点間では一次関数にしたがうように設定されている。したがって、設定した彩度以上の鮮やかな部分には墨がまったく乗らないため、高彩度部における彩度低下が発生せず、かつ粒状性に優れた色再現をすることができる。
【0042】本実施の形態においては、C*の値が40以上の鮮やかな部分の墨入れ率βを0%としたが、基準となるC*の値はこれに限られるものではなく、20〜60%の範囲に設定するのが望ましい。また、本実施の形態においては、明度L*に関する墨入れ関数αによって基本的な墨入れ率の制御を行ったために、グレー部(C*の値が0の点)での墨入れ率を100%に設定したが、C*の値が0の点での墨入れ率βは100%に限るものではなく、他の値に設定してもよい。また、本実施の形態では、彩度C*に関する墨入れ率βの関数を1次関数を含む関数に設定していたが、関数の種類はこれに限るものではなく、2次関数等の任意の関数を含む関数に設定することができ、また、実験を行って得たルックアップテーブルによる自由な関数を設定するようにしてもよい。なお、式(7)において、彩度C*に関する墨入れ量βの変化を考慮せず、すなわち、βを100%として、明度L*のみの墨入れ関数αにしたがって墨入れ量Kを制御するようにしてもよい。
【0043】次に、ステップS4において、ダイレクトルックアップテーブルの入力アドレス値L*a*b*と式(7)により得られた最適な墨量Kとから式(5)の目的関数ΔEを最小化するCMYの値をシンプレックス法を用いて求める。次に、ステップS5において、ステップS4で得られたCMYの値と最適な墨量Kとを各L*a*b*に対応するダイレクトルックアップテーブルの格子点に設定する。これによって、第2色変換部220を構成するダイレクトルックアップテーブルを決定することができる。
【0044】なお、本実施の形態においては画像形成装置300の色空間は墨を含むYMCK色空間であったが、墨Kを含まないYMC色空間やRGB色空間などの他の色空間でもよく、この場合には墨量Kを零とおいて考えれば、上記と同様にしてダイレクトルックアップテーブルを決定することができる。本実施の形態の効果を示す一例として、例えば明度L*が100から0まで変化するa*=b*=0のグレー(シャドウ部)を本発明のカラー画像処理方法を用いて図4に示す墨入れ関数を用いて色分解したときの各CMYKの値を図5(b)に示す。図5(b)の横軸は明度L*を8bitに量子化した値を示しており、0がL*の値100を示し、255がL*の値0を示している。また、縦軸は画像記録信号CMYKの各色の網点面積率(%)を示している。
【0045】図5(a)に示す従来においては、前述のようにシャドウ部において墨量Kが多くなると本来単調増加するはずの画像記録信号CMYが反転して値が小さくなるといった現象が見られていたが、図5(b)に示すように本実施の形態によると、画像記録信号CMYが階調反転することなく、本来あるべきように単調増加するようになる。このように本発明によると、従来技術に見られるような擬似輪郭の発生や、濃度低下やモアレの発生を防ぐことができ、良好な色再現を得ることができる。また、墨量Kがかなり大きいときにも従来のような現象は発生しないので、墨量Kの値を大きく設定することができる。
【0046】このように、CMYK信号などのデバイス色信号から表色系のL*a*b*などの三刺激値を求めるための色変換モデルをニューラルネットワークを学習させることにより求め、この色変換モデルを色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法の一つであるシンプレックス法を用いて解くことにより、L*a*b*色信号と墨量Kから画像記録信号CMYKを求める際に、ニューラルネットワーク型の色変換モデルを従来に比べて正確かつ高速に解くことができ、正確な色再現を得ることができる。また、墨量Kの値を大きく設定した場合にあっても、階調の反転現象が発生しないために、擬似輪郭や濃度低下のない良好な色再現を行うことができる。また、色変換モデルをニューラルネットワークのような微分連続なモデルで構成しなくても解くことができ、色変換モデルの選択肢を広げることができる。
【0047】次に、本発明の主要部である画像処理装置200の他の例を図6を用いて説明する。図6に示す画像処理装置200の第2色変換部220は、ダイレクトルックアップテーブルで構成されておらず、入力された各L*a*b*信号から対応するCMYK信号を適宜求める構成となっている。なお、入力された各L*a*b*信号から対応するCMYK信号を求めるための基本的な概念は、第2色変換部220をダイレクトルックアップテーブルで構成した上記例と同様である。まず、第1色変換部210から得られるL*a*b*データが最大墨量決定部221と最小墨量決定部222とに入力される。最大墨量決定部221および最小墨量決定部222は、色予測部、非線形最適化部、および2分探索部を有している。色予測部は、画像形成装置300の画像記録信号CMYKから再現される色L*a*b*を予測する色変換モデルを有しており、ニューラルネットワークにより構成されている。このニューラルネットワークは、第2色変換部220のダイレクトルックアップテーブルを作成する際のニューラルネットワークと同様に、予め対象となるプリンタのCMYKとL*a*b*との複数の対を教師データとして学習させることにより作成される。ここでCMYKとL*a*b*との関係は、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)で表すことができる。
【0048】非線形最適化部は、上記第2色変換部220のダイレクトルックアップテーブルを作成する際と同様に、導関数を用いない非線形最適化手法であるシンプレックス法を用いて、第1色変換部210から得られるL*a*b*データと所定の墨量Kと式(5)とに基づいて目的関数ΔEを最小化する際のCMYを効率的に計算する。2分探索部は、2分探索アリゴリズムにより非線形最適化部で使用する式(5)の右辺のKの値を振りながら非線形最適化部によって得られるCMYの値が式(6)の条件を満たすか否かを判断する。この条件を満たす最も大きいKの値が最大墨量Kmaxであり、最も小さいKの値が最少墨量Kminである。最大墨量決定部221と最小墨量決定部222とは、最大墨量Kmaxと最小墨量Kminとを墨量決定部224に出力する。
【0049】また、第1色変換部210から得られるa*およびb*は彩度決定部223に入力される。彩度決定部223は式(8)により入力されたa*およびb*から彩度信号C*を求めて墨量決定部224に出力する。墨量決定部224では、第1色変換部210から得られる明度信号L*と、彩度決定部223より得られる彩度信号C*と、最大墨量決定部221より得られる最大墨量Kmaxと、最小墨量決定部222より得られる最小墨量Kminとに基づいて、式(7)に示す墨入れ関数により最適な墨量Kを決定し、CMY決定部226とCMYK出力部227に送出する。なお、パラメータ入力部225によってユーザが墨入れ関数を変更することができる。
【0050】CMY決定部226は上記同様な色予測部と非線形最適化部を有している。CMY決定部226では第1色変換部210から得られる3色色信号L*a*b*と墨量決定部224から得られる墨量Kとから、非線形最適化部により画像形成装置300の画像記録信号CMYを決定して、CMYK出力部227に送出する。CMYK出力部227では、CMY決定部226から得られた3色のCMYと墨量決定部224から得られる墨量Kとをまとめた画像記録信号CMYKを画像形成装置300に出力する。
【0051】このように、第2色変換部220をダイレクトルックアップテーブルで構成せずに、適宜CMYKを求める構成にしたことにより、さらに、ダイレクトルックアップテーブルで問題になる補間誤差による擬似輪郭などの発生を防止することができ、非常に高精度な色変換を実現することができる。また、非線形最適化手法の中で高速に解を求めることのできるシンプレックス法を使用しているために、本実施の形態の構成をソフトウエアで実現した場合に従来に比べて高速に色変換することができる。
【0052】なお、本実施の形態では、画像形成装置300へYMCK色空間の信号を出力する例を説明したが、墨Kを含まないYMC色空間やRGB色空間などの他の色空間の信号を出力する場合においても本発明を適用でき、この場合には、墨量Kを零とおけば、上記と同様な処理により実現できる。
【0053】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルに基づいて、第1色信号から第2色信号を正確な色再現で高速に求めることができる。また、第2色信号から第1色信号を求める色変換モデルが微分連続でなくても第1色信号から第2色信号を正確な色再現で高速に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるカラー画像処理装置を有するカラー画像出力システムの一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例によるカラー画像形成装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による画像処理方法を説明する図である。
【図4】本発明の一実施の形態による墨入れ関数の一例を示す図である。
【図5】従来例および本発明の一実施の形態における色信号の変換結果の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態による画像処理装置の第2色変換部の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1−1〜1−4 感光体
2 加熱ロール
3 加圧ロール
4 冷却装置
5−1〜5−4 ローラ
6 用紙トレイ
7 給紙装置
8 巻回機構
9−1、9−2 ピンロール
11 黒現像器
12 イエロー現像器
13 マゼンタ現像器
14 シアン現像器
15〜18 静電潜像形成用帯電器
50 中間転写体
50−1〜50−4 転写器
100 画像入力装置
200 画像処理装置
210 第1色変換部
220 第2色変換部
221 最大墨量決定部
222 最少墨量決定部
223 彩度決定部
224 墨量決定部
225 パラメータ入力部
226 CMY決定部
227 CMYK出力部
300 画像形成装置
380 レーザスキャナ走査装置
390 スクリーンジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理方法であって、前記第2色信号から前記第1色信号を求めるための色変換モデルを求めるステップと、前記色変換モデルに基づいて、前記色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法を行うことにより第1色信号から第2色信号を求めるステップとを有することを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項2】請求項1記載のカラー画像処理方法において、前記非線形最適化手法は、シンプレックス法であることを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項3】請求項1または2に記載のカラー画像処理方法において、前記色変換モデルはニューラルネットワークであることを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載のカラー画像処理方法において、前記第1色信号は表色系の三刺激値の信号であり、前記第2色信号はカラー画像入力装置またはカラー画像形成装置のデバイス色信号であることを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項5】請求項4記載のカラー画像処理方法において、前記表色系の三刺激値の信号は、均等色空間の信号であることを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項6】請求項4または5に記載のカラー画像処理方法において、前記第2色信号はカラー画像出力装置の墨を含む4色のデバイス色信号であることを特徴とするカラー画像処理方法。
【請求項7】第1色信号を第2色信号に変換するためのカラー画像処理装置であって、前記第2色信号から前記第1色信号を求めるための色変換モデルを有する色予測手段と、前記色変換モデルに基づいて、前記色変換モデルの導関数を用いない非線形最適化手法を行うことにより前記第1色信号から前記第2色信号を求める非線形最適化手段とを有することを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項8】請求項7記載のカラー画像処理装置において、前記非線形最適化手段は、前記非線形最適化手法としてシンプレックス法を用いることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項9】請求項7または8に記載のカラー画像処理装置において、前記前記色変換モデルは、ニューラルネットワークであることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項10】請求項7乃至9のいずれかに記載のカラー画像処理装置において、前記第1色信号は表色系の三刺激値の信号であり、前記第2色信号はカラー画像入力装置またはカラー画像形成装置のデバイス色信号であることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項11】請求項10記載のカラー画像処理装置において、前記表色系の三刺激値の信号は、均等色空間の信号であることを特徴とするカラー画像処理装置。
【請求項12】請求項10または11に記載のカラー画像処理装置において、前記第2色信号はカラー画像出力装置の墨を含む4色のデバイス色信号であることを特徴とするカラー画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−78419(P2000−78419A)
【公開日】平成12年3月14日(2000.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−241588
【出願日】平成10年8月27日(1998.8.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】