説明

カーテンスプレー装置、カーテンスプレー塗布方法及びインクジェット用記録媒体

【課題】塗布液層の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が安定した薄膜が得られるカーテンスプレー塗布装置、カーテンスプレー塗布方法及びこの方法を使用し製造した記録媒体を提供する。
【解決手段】バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体ノズルの開口部の幅が該塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広く構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布液を液滴として噴霧することにより被塗布体に塗布するカーテンスプレー装置、カーテンスプレー塗布方法及びこの方法を用いて塗布製造されたインクジェット用記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗布体上に塗布液を塗布する方法は種々知られている。例えば、搬送される長尺の帯状被塗布体上に塗布液を高精度に塗布する方法としては、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、各種の方法が提案されており、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法、スプレー塗布法等が知られている。これら、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法は前計量型塗布方法と呼ばれ、高速、薄膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴によりインクジェット用記録媒体、写真感光材料、磁気記録材料等のコータとして広く用いられている。エクストルージョン塗布法にはエクストルージョン型コータ、スライドビード塗布法にはスライド型コータが使用されている。その好ましい一例としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案されたスライドビード塗布装置、あるいはエクストルージョン塗布装置等が広く用いられている。又カーテン塗布装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、同様に広く用いられている。
【0003】
しかし、これらコータを有する塗布装置による塗布は、その原理上、ビードやカーテン膜等、塗布装置と被塗布体との間を連続的に塗布液でつなぐことになる。被塗布体上に均一な厚さの塗布膜を形成するためには、塗布装置からの塗布液流量は、常に一定で、途切れがあってはならない。すなわち、塗布膜を連続的に形成するため、又、塗布膜厚を精度高く一定にするために、所定量以上の塗布液を要することになる。よって、これらの方式において、塗布装置から吐出される塗布液量を極端に少なくすることは、均一な膜厚を得る目的からすると、困難を伴う。
【0004】
そのため、塗布層あたりの溶質量が少ない、つまり、塗布液を塗布し乾燥する前の湿潤膜厚がごく薄い膜(例えば、1〜50μm程度)を形成する場合には、塗布液の溶媒量を増やし、塗布液全体を増量することが必要となる。特に塗布液の粘度が低い場合には、被塗布体上で流れてしまうため、安定な塗布膜を形成することが難しく、塗布液量をますます増やさねばならない。
【0005】
しかし、溶媒量を増やすと、塗布後、溶媒を飛ばして乾燥させる負荷(乾燥負荷)が大きくなり、生産効率上好ましくない。又、溶媒量が多かったり、乾燥に時間が掛かると、当該塗布層の下に別の構成層が存在する場合には、該構成層に当該塗布層の塗布液が過度に浸透、拡散し、悪影響を及ぼす場合がある。よって、薄膜を、塗布膜厚の精度高く、乾燥負荷が少なく、生産性高く設ける塗布方法が望まれている。
【0006】
このような高精度に均一な塗布膜厚の薄膜を、構成層上に設けることが必要となる塗布製造物としては色々あるが、例えばインクジェット記録方法に用いられるインクジェット用記録媒体(以下、記録媒体とも言う)が挙げられる。記録媒体としては、例えば、普通紙のように紙そのものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる支持体の上にインク吸収層を塗設したもの、あるいは樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収性の支持体の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。
【0007】
これら記録媒体としては、光沢感、つや感、深み等銀塩写真のような高品位の質感に対応するため、支持体の上に、インク吸収層としてポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール等の水溶性バインダを塗設した膨潤型記録媒体や、インク吸収層として顔料あるいは顔料とバインダで微細な空隙構造を形成し、この空隙にインクを吸収させる、いわゆる空隙型記録媒体が知られている。最近では、得られる画質、取り扱い性の面から空隙型記録媒体が主流となっている。この様な空隙型記録媒体の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載されているものが知られている。
【0008】
又、記録媒体に求められる性能として、画像の耐久性や画像保存性に対する要求もより高度になり、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスによる変褪色に対する耐性を持たせるために数々の対応が取られている。例えば、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスから画像を保護するために、インクが吸着しているインク受容層にこれら有害ガスを入り込ませない用にするためカーテンスプレー塗布装置を用いて、インク受容層上に表面層を形成する方法が知られている。例えば、特開2004−122705には、インク受容層上に、粘度が0.7〜2mPa・sの塗布液を、乾燥前の厚さが10〜50μmになるように、カーテンスプレー塗布装置を用いて平均液滴径が5〜30μmの噴霧状態でインク受容層上に塗布液層を形成する技術が知られている。しかしながら、カーテンスプレー塗布装置を用いてインク受容層上に塗布液層を形成することで、薄膜塗布ができ乾燥負荷も少なく、画像保存性の面でも効果はあるが、カーテンスプレー塗布装置を用いて塗布液層を形成する時に膜厚のバラツキが大きく、膜厚が一定にならない問題点を有していた。
【0009】
この様に、カーテンスプレー塗布装置を用いて安定した塗布液層を形成する方法が検討されており、例えば、塗布液の粘度、気体を噴出する時の線速度、平均流径、スプレー装置と被塗布体との距離、塗布速度等を規定することで、基体の幅方向の塗布幅の変動が±20%以下、搬送方向の塗布幅の変動が±10%以下にするスプレー塗布方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
特許文献1に記載の方法で、カーテンスプレー塗布装置を用いて、塗布液層を形成し表面層を設けることで画像保存性は改良されるのであるが、未だ塗布液層の両サイドの塗布性が不十分であり、これに伴い、安定した両サイドの塗布膜厚及び塗布幅を得るのが不十分であるのが現状である。
【0011】
これらの状況から、塗布液層の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が安定した薄膜が得られるカーテンスプレー塗布装置、カーテンスプレー塗布方法及びこの方法を使用し製造した記録媒体の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2004−906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的としては、塗布液層の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が安定した薄膜が得られるカーテンスプレー塗布装置、カーテンスプレー塗布方法及びこの方法を使用し製造した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0014】
(請求項1)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の該気体ノズルの開口部の幅が前記塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広いことを特徴とするカーテンスプレー装置。
【0015】
(請求項2)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
該塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から片側5〜150mm外側にエア巻き込み防止プレートを設け、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体までの距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の該噴霧の最大長さ(幅)に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【0016】
(請求項3)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の前記塗布液ノズルの開口部の幅に対する該気体ノズルの開口部の前記塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅をAとし、
前記塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの距離をBとした時、
Aは1〜150mmで、Bは5〜150mmであり、且つA≦Bの関係を有し、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体まで距離に対して50〜300%を有し、幅は前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%を有していることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【0017】
(請求項4)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の該噴霧の塗布幅が、前記被塗布体の幅に対して105〜150%であることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【0018】
(請求項5)
前記塗布液を噴霧する時の角度が15〜60°であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカーテンスプレー装置。
【0019】
(請求項6)
前記被塗布体がインクジェット用記録媒体用であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカーテンスプレー装置。
【0020】
(請求項7)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の該気体ノズルの開口部の幅が該塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広いことを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【0021】
(請求項8)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
該塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から片側5〜150mm外側にエア巻き込み防止プレートを設け、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体までの距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【0022】
(請求項9)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の前記塗布液ノズルの開口部の幅に対する該気体ノズルの開口部の前記塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅をAとし、
前記塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの位置をBとした時、
Aは1〜150mmで、Bは5〜150mmであり、且つA≦Bの関係を有し、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体まで距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【0023】
(請求項10)
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の該噴霧の塗布幅が、前記被塗布体の幅に対して105〜150%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【0024】
(請求項11)
前記塗布液を噴霧する時の角度が15〜60°であることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法。
【0025】
(請求項12)
前記被塗布体はインクジェット用記録媒体用であることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法。
【0026】
(請求項13)
請求項7〜12の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法により作製されたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【0027】
発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を加えた結果、塗布液を供給する塗布液ノズルと、塗布液ノズルの開口部(塗布液噴出口)に近接して気体を噴出する気体ノズルの開口部(気体噴出口)とを有し、気体を塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うカーテンスプレー塗布装置を使用して、バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、被塗布体上に塗布液を塗布する場合、塗布幅の両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定になる原因として、次のことが生じていることによるものであることが判明した。
【0028】
カーテンスプレー装置で塗布液を液滴とし噴霧状態で塗布を行う場合、塗布液ノズルを介して供給された塗布液が、塗布液ノズルの開口部(塗布液噴出口)に近接して設けられた気体ノズルの開口部(気体噴出口)から、気体を噴出することで塗布液が液滴化する。この液滴化した塗布液が、塗布液ノズルの開口部と気体ノズルの開口部とから構成される噴霧口から気体ノズルの角度と、気体の線速度に従って、一定の速度で噴霧状態で角度(噴霧角度)持って、断面形状が三角形状を有して広がりながら被塗布体の表面に、被塗布体の幅方向と、搬送方向に一定の面積を有して到着することで塗布が行われる。この時、被塗布体に到着する面積が安定しているのであれば、両端の塗布膜厚及び塗布幅が安定するのであるが、両端の塗布膜厚及び塗布幅が安定しないのは、被塗布体の表面に到達する塗布液の面積の変動に起因することが判明した。
【0029】
何故、面積が変動するのか発明者らは、更に鋭意検討を加えた結果、カーテンスプレー装置の塗布液ノズルの開口部と気体ノズルの開口部とから構成される噴霧口から噴霧された液滴は被塗布体の表面に到着する迄に噴霧口から噴霧された直後に対して減速する。この時、噴霧の被塗布体の幅方向で均等に減速すればよいのであるが、噴霧の側面は空気と接触しているため空気の影響を受け、中心部の流れに引き込まれ縮流が発生することで被塗布体の表面に到着する面積が変動し、更に引き込まれる量が変動することで更に面積の変動が大きくなったり、小さくなったりすることが発生していると推定した。
【0030】
これらに対して、発明者らは鋭意検討を加えた結果、1)縮流の発生を抑えるために、塗布液が液滴化している部分に空気の影響を及ぼさない様にすること、2)噴霧の被塗布体の幅方向の側面が中央に引き込まれる量を抑えるために、引き込まれる際に持ち込まれる空気の量を少なくすることが有効であることが判明し本発明に至った次第である。
【発明の効果】
【0031】
両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が安定した薄膜が得られるカーテンスプレー塗布装置、カーテンスプレー塗布方法及びこの方法を使用し製造した記録媒体を提供することができ、記録媒体の性能が安定し、生産効率の向上が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図1〜図10を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
図1はインク吸収層を有する記録媒体用基体にカーテンスプレー塗布装置を使用し、インク吸収層上に表面層を形成した記録媒体の塗布製造ラインの一例を示す模式図である。尚、本図では第1塗工部への塗布液の供給系、第2塗工部への塗布液及び空気の供給系、乾燥工程への乾燥用空気の供給系は省略してある。又、被塗布体としてインク吸収層を有する記録媒体用基体を使用している。
【0034】
図中、1aは塗布製造ラインを示す。塗布製造ライン1aは、被塗布体である記録媒体用基体(以下、基体とも言う)の繰り出し部2と、多孔質インク吸収層(以下、インク吸収層とも言う)を形成する塗布液の第1塗工部3と、冷却部4と、第1乾燥部5と、インク吸収層の上に表面層を形成する塗布液層を塗布する第2塗工部6と、第2乾燥部7と、巻き取り部8とを有している。
【0035】
202は基体201の元巻きロールを示す。繰り出し部2から繰り出された基体201は第1塗工部3でバックアップロール301に巻回されたインク吸収層を有する基体201上にコータ302により少なくとも1層のインク吸収層を形成するための塗布が行われる。コータ302としては同時に多層の塗布液が塗布できることから流量規制型のスライドビード塗布装置が好ましい。
【0036】
基体201上にインク吸収層を形成する塗布液層を有する基体は、インク吸収層用の塗布液が親水性バインダを含有しているので冷却部4で冷却装置401により固定化された状態で第1乾燥部5に搬送され、溶媒が除去されインク吸収層203が形成される。501は乾燥箱を示し、502は搬送用のロールを示し、503は塗布面の接触を避けるため基体を浮かせて搬送するための気体を吹き出し塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサを示す。これにより、塗布面の接触を避け乾燥することが可能となっている。
【0037】
第1乾燥部5で、塗布液層中の溶媒が除去されインク吸収層203が形成された段階(第1乾燥部5で減率乾燥以降が好ましい)で、第1乾燥部5の外側に配置された第2塗工部6で、バックアップロール602に巻回された基体上のインク吸収層203の上にカーテンスプレー塗布装置601により表面層用の塗布液がカーテンスプレー塗布装置601により噴霧され塗布が行われる。
【0038】
第2塗工部6で、表面層用の塗布液がインク吸収層203上に塗布された基体は第2乾燥部7に入り、表面層用に形成された塗布液層204aの溶媒の除去が行われ表面層204が形成される。701は乾燥箱を示し、702は搬送用のロールを示し、703は塗布面の接触を避けるため基体を浮かせて搬送するための気体を吹き出し塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサを示す。これにより、塗布面の接触を避け乾燥することが可能となっている。
【0039】
第2乾燥部7で表面層用の塗布液の溶媒の除去が行われ表面層204が形成され、記録媒体ができ上がる。乾燥箱から出た帯状の記録媒体は、巻き取り部8で巻き芯801に巻き取られロール状の記録媒体802が製造される。
【0040】
尚、第1乾燥部5及び第2乾燥部7における乾燥は、温風を吹き付け乾燥する方式が好ましい(温風吹き付け手段は不図示)。
【0041】
第2塗工部6を配設する位置は、第1乾燥部5でインク吸収層203の減率乾燥以降が好ましく、塗工後に再度乾燥を行うことが可能であれば特に限定はない。例えば、本図に示す第1乾燥部5と、第2乾燥部7とを合わせ、インク吸収層203の減率乾燥以降に乾燥部から出して乾燥箱の上部に設け、塗工後に乾燥箱に入れてもよいし、本図に示す様に第1乾燥部5と第2乾燥部7との間に配設してもかまわない。塗布製造ライン1の配設する環境に合わせ適宜選択することが可能である。
【0042】
第2塗工部6のカーテンスプレー塗布装置601は搬送方向と直交する方向である基体の塗布面に対向するように配置されている。第2塗工部6の詳細については、図3〜図11で説明する。
【0043】
図2はインク吸収性の記録媒体用基体にカーテンスプレー塗布装置を使用し、表面層を形成した記録媒体の塗布製造ラインの一例を示す模式図である。尚、本図では塗工部への塗布液及び空気の供給系、乾燥工程への乾燥用空気の供給系は省略してある。又、被塗布体としてインク吸収性の記録媒体用基体を使用している。
【0044】
図中、1bは塗布製造ラインを示す。塗布製造ライン1bは、基体の繰り出し部9と、インク吸収性の基体901の上に表面層を形成する塗布液層を塗布する塗工部10と、乾燥部11と、巻き取り部12とを有している。
【0045】
902は基体901の元巻きロールを示す。繰り出し部9から繰り出された基体901は塗工部10でバックアップロール10aに巻回された基体901上にカーテンスプレー塗布装置10bにより表面層用の塗布液が噴霧され塗布が行われる。塗布液層の塗布が行われた後、乾燥部11に搬送され、溶媒が除去され表面層903が形成され記録媒体ができ上がる。11aは乾燥箱を示し、11bは搬送用のロールを示し、11cは塗布面の接触を避けるため基体を浮かせて搬送するための気体を吹き出し塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサを示す。これにより、塗布面の接触を避け乾燥することが可能となっている。
【0046】
乾燥箱11aから出た表面層を有する記録媒体は、巻き取り部12で巻き芯12aに巻き取られロール状の記録用媒体12bが製造される。
【0047】
尚、乾燥部11における乾燥は、温風を吹き付け乾燥する方式が好ましい(温風吹き付け手段は不図示)。
【0048】
カーテンスプレー塗布装置10bは搬送方向と直交する方向である基体の塗布面に対向するように配置されている。本図に示されるカーテンスプレー塗布装置10bは図1に示されるカーテンスプレー塗布装置601と同じである。
【0049】
本発明は、図1及び図2に示す様に、連続搬送するインク吸収層を有する基体及びインク吸収性の基体上に、これらの基体の幅方向の全幅に塗布液をカーテンスプレー塗布し、表面層を形成し、記録媒体を作製するカーテンスプレー装置、カーテンスプレー塗布方法及びこのカーテンスプレー塗布方法により製造された記録媒体に関するものである。
【0050】
図3は図1のXで示される部分の拡大概略図である。図3の(a)は図1のXで示される部分の拡大概略斜視図である。図3の(b)は図3の(a)のYで示される部分の拡大概略正面図である。
【0051】
図中、603はカーテンスプレー装置の噴霧口P(図5を参照)から液滴化され噴霧された塗布液を示す。塗布液は噴霧口P(図5を参照)からインク吸収層203を有する基体201の搬送方向に長さ(幅)Lの広がりを持って塗布されている。603aは噴霧された塗布液が、空気の影響を受けずにインク吸収層203の上に到着した時の噴霧された塗布液の側面を示し、603bは噴霧された塗布液が、空気の影響を受けてインク吸収層203の上に到着した時の噴霧された塗布液の側面を示す。空気の影響を受けない場合は、噴霧口P(図5を参照)から噴霧された塗布液は、噴霧時の噴霧口P(図5を参照)の幅方向(基体の幅方向)で噴霧速度差を生じることなく、ある速度を保ちインク吸収層203の上に到着するため噴霧された塗布液の側面603aの状態を保持すると考えられる。しかし、実際の塗布では、空気の影響を受けるため噴霧口P(図5を参照)から噴霧された塗布液は、噴霧された直後は噴霧時の噴霧口P(図5を参照)の幅方向(基体の幅方向)で噴霧速度差を生じることはないが、一定の距離を進んだ所から空気の影響を受け、噴霧口P(図5を参照)の幅方向(基体の幅方向)で噴霧速度差が生じる。特に噴霧された塗布液の側面は、中央部に対して空気の影響を受けやすいため、速度が低下し縮流が発生してしまう。このため、中央部に噴霧された塗布液の両側面が引き寄せられる状態となる。このため、噴霧された塗布液がインク吸収層203の上に到着する時点では、基体201の搬送方向の幅方向の両端でインク吸収層203の上に到着する点にバラツキが発生し、塗布膜厚と塗布幅の安定した塗布が行えなくなってしまっている。噴霧口P(図5を参照)と基体との距離が長いほど縮流が顕著に発生する。
【0052】
本発明は、この縮流による搬送方向の幅方向の両端の塗布膜厚及び塗布幅の安定したカーテンスプレー装置、カーテンスプレー塗布方法及びこのカーテンスプレー塗布方法により作製したインクジェット用記録媒体に関するものである。
【0053】
図4はカーテンスプレー装置とインク吸収層を有する基体との配置関係を示す図1のXで示される部分の拡大概略平面図である。尚、本図ではカーテンスプレー装置の塗布液供給管及び空気供給管等は省略してある。カーテンスプレー装置601は基体の搬送方向(図中の矢印方向)と交差する位置に配設されている。本発明において、交差するとは、カーテンスプレー装置601の噴霧口を形成するラインが基体と平行で、且つ基体の進行方向に対して交差する角度を言う。θ1はカーテンスプレー装置601と基体との交差する角度を示し、角度θ1は塗布安定性、塗布する範囲を考慮し、75〜105°が好ましい。本図の場合は、カーテンスプレー装置601と基体との交差する角度が90°の場合を示している。尚、図2に示すカーテンスプレー装置の基体との配置関係は図1に示すカーテンスプレー装置と同じである。
【0054】
図5は図1のXで示される部分の拡大模式図である。
【0055】
図中、13は供給系を示し、塗布液供給系13aと、加圧空気供給系13bとを有している。塗布液供給系13aでは、塗布液タンク13a1で調製された塗布液が送液ポンプ13a2により流量計13a3、フィルター13a4を介してカーテンスプレー装置601の塗布液供給管601aに塗布液を供給するようになっている。供給された塗布液は、一旦塗布液ポケット601a1に溜められた後、カーテンスプレー装置601の幅方向に設けられている塗布液ノズル601a2の開口部(塗布液噴出口)601a4より噴出される。
【0056】
加圧空気供給系13bでは、空気が加圧ポンプ13b1により加圧され流量計13b2、フィルター13b3を介してカーテンスプレー装置601の加圧空気供給管601c(601b)に加圧空気を供給するようになっている。供給された加圧空気は、一旦加圧空気ポケット601c1(601b1)に一旦溜められた後、気体ノズル601c2(601b2)を介して開口部(気体噴出口)601c3(601b3)より噴出される。
【0057】
Pは噴霧口を示し、塗布液ノズル601a2の開口部(塗布液噴出口)601a4と、気体ノズル601c2(601b2)の開口部(気体噴出口)601c3(601b3)とを有している。噴霧口Pでは、塗布液ノズル601a2の開口部(塗布液噴出口)601a4より噴出した塗布液が、気体ノズル601c2(601b2)の開口部(気体噴出口)601c3(601b3)より噴出した空気により液滴状となり、連続搬送される(図中の矢印方向)帯状の基体上のインク吸収層203上に噴霧状態で塗布される。204aは、インク吸収層203を有する基体201上のインク吸収層203上に表面層を形成する表面層用塗布液層を示す。インク吸収層203を表面上に有する基体201は、カーテンスプレー装置601の噴霧口Pに対して相対的にバックアップローラ602に抱かれて移動させ(搬送させ)、連続的に塗布を行うことが可能となっている。601d〜601gはカーテンスプレー装置601を構成している各ブロックを示す。加圧空気ポケット601b1は、ブロック601gとブロック601fとから構成され、気体ノズル601b2はブロック601gとブロック601fとの間隙に形成される。加圧空気ポケット601c1は、ブロック601eとブロック601dとから構成され、気体ノズル601c2はブロック601eとブロック601dとの間隙に形成される。塗布液ポケット601a1は、ブロック601fとブロック601eとから構成され、塗布液ノズル601a2は、ブロック601fとブロック601eとの間隙に形成される。601a3は塗布液ノズル601a2に挟持された櫛型部材を示す。櫛型部材601a3は、必要に応じて使用することが可能である。604はカーテンスプレー装置601の噴霧口Pの両端近傍に配設されたエア巻き込み防止プレートを示す。エア巻き込み防止プレート604に関しては、図7〜図9で説明する。
【0058】
塗布液ノズル601a2の開口部(塗布液噴出口)601a4に送られてくる塗布液は、開口部(塗布液噴出口)601a4の間隙の距離をd1(図6を参照)とした時、フィルター13a4の口径を、ポンプの圧損、塗布液噴出口での異物の詰まり、これに伴う塗布故障を考慮して1/3d1〜1/50d1を使用して濾過されていることが好ましい。更には、1/6d1〜1/20d1を使用して濾過されていることが好ましい。
【0059】
気体ノズルの開口部(気体噴出口)601b3(601c3)に送られてくる加圧空気は、気体ノズルの開口部(気体噴出口)601b3(601c3)の間隙の距離をd2(図6を参照)とした時、フィルター13b3の口径を、ポンプ圧損、空気の供給量の安定性、気体ノズルの開口部(気体噴出口)での異物の詰まり、スプレーの安定性を考慮して1/3d2〜1/50d2を使用して濾過されていることが好ましい。更には、1/6d1〜1/20d1を使用して濾過されていることが好ましい。
【0060】
塗布液ノズル601a2からの塗布液の供給量は、所望の塗布膜厚、塗布液の濃度、塗布速度等により一概には規定できないが、概ね基体上の塗設量として、1〜50g/m2の範囲が好ましい。1g/m2未満では、安定で均一な塗布膜を形成するのが難しくなる場合があり、逆に50g/m2を越えると乾燥負荷が大きくなり乾燥工程を長くしたり、温度を上げる必要が生じ、無駄なコストが掛かる場合がある。塗布液の湿潤膜厚としては、1〜50μmであることが特徴であり、好ましくは5〜30μmである。
【0061】
一方、気体ノズルから噴出される気体は、塗布に適して入れば特に限定はなく、一般には空気を用いるが、空気の供給条件としては、概ね1〜50CMM/m(塗布幅当たりの流量)の範囲が好ましく、その時の気体ノズルでの内圧としては、塗布の均一性の観点から、10kPa以上であることが好ましい。
【0062】
空気の線速度vは、塗布乾燥性及び塗布収率の観点から126〜400m/sが好ましい。空気の線速度とは、気体ノズル601c2(601b2)の開口部の気体噴出口601c3(601b3)直後における空気の線速度であり、レーザードップラ風速計、例えば、KANOMAX社製の1D FLV system8851により測定して求めることができる。又、塗布収率とは、インク吸収層上に塗布された塗布液量/供給した全塗布液量×100(%)であり、質量法により算出する。すなわち、インク吸収層上に塗布された塗布液量は、インク吸収層上への塗布前後の質量変化から算出し、供給した全塗布液量はカーテンスプレーコータへ送液、供給した質量、すなわち、送液流量×塗布時間より求めることができる。
【0063】
図6は図5に示すカーテンスプレー装置の噴霧口の塗布液ノズルと気体ノズルの関係を示す概略平面図である。図6の(a)は図5に示すカーテンスプレー装置の塗布液ノズルに櫛型部材を挟持し、塗布液ノズルの開口部の両端に櫛刃がない状態のスプレー口の概略平面図である。図6の(b)は図5に示すカーテンスプレー装置の塗布液ノズルに他の形状の櫛型部材を挟持し、塗布液ノズルの開口部の両端に櫛刃がある状態のスプレー口の概略平面図である。図6の(c)は図5に示すカーテンスプレー装置の塗布液ノズルに櫛型部材を挟持しない状態のスプレー口の概略平面図である。尚、本図ではエア巻き込み防止プレートは省略してある。
【0064】
図中、601i(601j)はカーテンスプレー装置601を構成する各ブロック601d〜601gを組み付ける側板を示す。d2は気体ノズル601b2(601c2)の開口部の気体噴出口601b3(601c3)の間隙の幅を示し、d1は塗布液ノズル601a2の開口部(塗布液噴出口)601a4の間隙の距離を示す。気体噴出口601b3(601c3)の間隙の距離d2及び塗布液噴出口601a4の間隙の距離d1は、塗布液の粘度、塗布液供給量、塗布液に混入している添加物の種類、スプレーした時に必要とする液滴の粒径等を考慮し、50〜300μmの範囲で用いることが好ましい。601a31は櫛型部材601a3の櫛刃を示す。塗布液ノズル601a2に櫛型部材601a3を挟持する場合、本発明ではカーテンスプレー装置601の塗布液ノズル601a2の開口部の基体の幅方向の幅は、開口部の両端において櫛型部材601a3の櫛刃601a31により開口されている部分の両端間の幅とする。
【0065】
図6の(a)の場合、塗布液ノズル601a2の開口部の両端に櫛型部材601a3の櫛刃601a31がない場合を示す。図6の(b)の場合、塗布液ノズル601a2の開口部の両端に櫛型部材601a3の櫛刃601a31がある場合を示す。この場合、図6の(a)に比べ開口部の基体の幅方向の幅は狭くなっている。J1は図6の(a)に示される塗布液ノズル601a2の開口部の基体の幅方向の幅を示し、J2は図6の(b)に示される塗布液ノズル601a2の開口部の基体の幅方向の幅を示す。図6の(c)の場合、櫛型部材601a3がない場合を示す。J3は塗布液ノズル601a2の開口部601a4の基体の幅方向の幅を示し、図6の(a)に示す塗布液ノズル601a2の開口部601a4の基体の幅方向の幅J1と同じとなっている。
【0066】
Kは気体ノズル601b2(601c2)の開口部601b3(601c3)の基体の幅方向の幅を示す。
Aは基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅J1(J2、J3)に対する気体ノズルの開口部の基体の幅Kの塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅((幅K−幅J1(J2、J3))/2)を示す。片側の幅Aは1〜150mmである。すなわち、気体ノズル601b2(601c2)の開口部601b3(601c3)の基体の幅方向の幅Kは、塗布液ノズル601a2の開口部601a4の基体の幅方向の幅J1(J2、J3)に対して片側で1〜150mm広く(両側で2〜300mm広く)配設されている。又、気体ノズルの開口部の基体の幅Kはバックアップロールの幅よりも広くなってもかまわない。
【0067】
片側の幅Aが1mm未満の場合は、縮流が発生し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が不均一になるため好ましくない。片側の幅Aが150mmを越える場合は、広げた効果が得られず、カーテンスプレー装置の幅、ロール幅等の設備が必要以上に大きくなり設備のコストが高くなるため好ましくない。
【0068】
本発明に用いられるカーテンスプレー装置において、塗布液ノズル601a2の開口部601a4の形状は、挟持する櫛型部材の櫛刃の形状で変形させることが可能であり、例えば、矩形でも円形でも可能である。本図は矩形の場合を示している。Wは櫛型部材の櫛刃601a31のピッチを示す。ピッチWは、100〜3000μmとすることが好ましい。櫛型部材601a3を使用することで、塗布液ノズル601a2の間隙の幅d1を維持し、櫛型部材601a3の櫛刃601a31の形状を変えることで塗布液ノズルの開口部の幅を変えることが可能となっている。
【0069】
一方、気体ノズル601b2(601c2)にも、必要に応じて塗布液ノズル601a2と同じように櫛型部材を挟持することは可能である。櫛型部材を挟持した場合、気体ノズルの開口部の幅に対する考え方は、櫛型部材を挟持する塗布液ノズルの開口部の幅に対する考え方と同じである。
【0070】
本図に示す様に気体ノズルの開口部のカーテンスプレー装置の幅手方向の幅を、塗布液用の開口部のカーテンスプレー装置の幅手方向の幅に対して片側で1〜150mm広く配設することで次の効果が得られる。
1)噴霧口から液滴化された塗布液の外側に気体流を作ることで、外側に気体流を作ることで、液滴化された部分が保護され、噴霧された塗布液の縮流を抑制することが可能となった。この結果、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が安定し、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に一定の面積を有して到着することで、両端の塗布膜厚及び塗布幅が安定した塗布が可能となった。
【0071】
図7は図5に示すカーテンスプレー装置の噴霧口のエア巻き込み防止プレートと塗布液ノズルの開口部との関係を示す概略平面図である。
【0072】
図中、Bはエア巻き込み防止プレート604を配設する時の塗布液ノズル601a2の開口部601a4の端部からの距離を示す。距離Bは5〜150mmである。距離Bが5mm未満の場合は、エア巻き込み防止プレートに液滴化した塗布液が付着し、落下することで塗布故障を発生させる危険があるため好ましくない。距離Bが150mmを越える場合は、カーテンスプレー装置、その他搬送系の設備が必要以上に大きくなり、過剰設備となるため好ましくない。
【0073】
図6に示される片側の幅Aと本図に示される距離Bと、A≦Bの関係を有している。片側の幅Aと本図に示される距離Bとの関係が、A>Bの場合は、エア巻き込み防止プレートににより気体ノズルの一部が機能を働かせることができなくなるため好ましくない。
【0074】
Mはエア巻き込み防止プレート604の厚さを示す。厚さMは、気体ノズルからの気体噴出量により異なるため、特に限定はないが、噴出される気体により変形しない厚さを有していることが好ましい。
【0075】
図8は図5のZで示される部分の拡大概略図である。
【0076】
図中、604aはエア巻き込み防止プレート604の先端を示す。先端604aの形状はバックアップロールと同じ曲率を有する曲面となっていることが好ましい。11は塗布液ノズルの開口部から噴出した塗布液が気体ノズルの開口部から噴出した気体により液滴化された液滴を示す。
【0077】
Nは、カーテンスプレー装置601の噴霧口Pからエア巻き込み防止プレート604の先端604aまでの最短の長さを示す。長さNは、塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対して50〜300%であり、特に好ましくは80〜150%である。
長さNが、塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対して50%未満の場合は、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となってしまうため好ましくない。長さNが、塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対して300%を越える場合は、カーテンスプレー装置、その他搬送系の設備が必要以上に大きくなり、過剰設備となるため好ましくない。
【0078】
Oは、エア巻き込み防止プレート604の幅を示す。幅Oは、被塗布体であるインク吸収層203を有する記録媒体用基体201の搬送方向の噴霧の最大長さ(幅)に対して80〜300%である。特には100〜150%が好ましい。幅が80%未満の場合は、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となってしまうため好ましくない。幅が300%を越える場合は、幅に対してエア巻き込み防止プレートの効果が得られず、過剰設備となるたのめ好ましくない。他の符号は図5と同義である。
【0079】
θ2は噴霧角度を示す。噴霧角度θ2は、噴霧口の精度、噴霧口の耐久性、カーテンスプレー装置の作り易さ、液滴の大きさの安定性、液滴の密度の安定性等を考慮し15〜60°が好ましい。
【0080】
図9は図8の部分拡大概略正面図である。
【0081】
図中の符号は図7、図8と同義である。本図は、エア巻き込み防止プレート604を配設を配設することで、塗布液が液滴化している部分に空気の影響が及ぼさなくなり、縮流の発生を抑え、噴霧口Pから噴霧された塗布液が基体上に到達していることを示している。
【0082】
図5、図7〜図9に示すようにエア巻き込み防止プレートを設けることで次の効果が得られる。
1)スプレー口から噴霧された塗布液の被塗布体の搬送方向の両端の縮流を抑えることが可能となり、塗布液の被塗布体の搬送方向の両端の塗布膜厚が安定になり、品質向上が可能となった。
2)スプレー口から噴霧された塗布液の被塗布体の搬送方向の両端の縮流を抑えることが可能となり、被塗布体の搬送方向の塗布幅が均一になり、品質向上が可能となった。
3)搬送方向の両端の塗布膜厚が安定となり、塗布幅が均一になったことで、乾燥工程の負荷及び未乾燥部分の減少、巻きズレがなくなり生産効率の向上が可能となった。
【0083】
図10は、図1に示すカーテンスプレー装置を使用し、塗布幅が基体の幅より広い状態を示す部分拡大正面図である。
【0084】
図中、Qは基体の幅を示し、Rは噴霧された塗布液による塗布幅を示す。この場合、塗布幅Rは基体の幅Qよりも広くなっている場合を示している。基体の幅Qはバックアップロール602の幅と同じであることが好ましい。基体の幅Qより広く噴霧され、塗布に関与しない塗布液はバックアップロール602近傍で吸引手段(不図示)で回収することが好ましい。塗布幅Rは基体の幅Qに対して105〜150%である。塗布幅Rが105%未満の場合、噴霧口から噴霧された塗布液の基体の幅方向の側面で発生する縮流の影響を受けている部分が塗布されるため、塗布幅の両端部で塗布膜厚及び塗布幅が安定しなくなり、安定した塗布ができなくなるため好ましくない。塗布幅Rが150%を越える場合、広げることによる効果が得られず、塗布液の回収装置、カーテンスプレ装置、ロール等が全て大きくなり設備に無駄な投資をすることになるため好ましくない。
【0085】
本図に示す様に噴霧の塗布幅を基体の幅に対して105〜150%とすることで次の効果が得られる。
1)縮流が発生していない部分で塗布が行われるため、塗布液の被塗布体の搬送方向の両端の塗布膜厚が安定になり、品質向上が可能となった。
2)縮流が発生していない部分で塗布が行われるため、塗布液の被塗布体の搬送方向の塗布幅が均一になり、品質向上が可能となった。
3)搬送方向の両端の塗布膜厚が安定となり、塗布幅が均一になったことで、乾燥工程の負荷及び未乾燥部分の減少、巻きズレがなくなり生産効率の向上が可能となった。
【0086】
図1〜図10に示される本発明のカーテン塗布装置及びこのカーテン塗布装置を使用したカーテン塗布方法により、次の効果が得られた。
1)塗布液の被塗布体の搬送方向の両端の塗布膜厚が安定になり、品質向上が可能となった。
2)被塗布体の搬送方向の塗布幅が均一になり、品質向上が可能となった。
3)搬送方向の両端の塗布膜厚が安定となり、塗布幅が均一になったことで、乾燥工程の負荷及び未乾燥部分の減少、巻きズレがなくなり生産効率の向上が可能となった。
【0087】
本発明に係る表面層を形成する塗布液には、特開2004−906号公報、同2004−122705号公報に記載の塗布液を使用することが好ましい。
【0088】
本発明で用いることのできる基体としては特に限定はなく、例えば、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用でき、吸水性基体であっても、非吸水性基体であってもかまわない。本発明で用いることのできる吸水性基体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
【0089】
上記紙基体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
【0090】
紙基体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
【0091】
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性基体には、透明基体及び不透明基体がある。透明基体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。この様な透明な基体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0092】
又、不透明基体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、特開2004−122705号公報に記載の原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした樹脂被覆紙、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0093】
非吸水性基体を使用する場合は、基体上にインク吸収層を設けることが好ましい。インク吸収層は特開2004−122705に記載の多孔質層で構成されていることが好ましい。インク吸収層が多孔質であるとは、5〜200nm程度の孔径を持つ空隙を多数有することを指す。空隙同士は単独に孤立するのではなく、連続的にお互いに導通していることが好ましい。この場合の空隙径の定義としては、例えば、水銀圧入法による測定値を用いることができる。以下、好ましい多孔質層について説明する。
【0094】
多孔質層は、主に親水性バインダと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマを含有する均一な塗布液を基体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性又は疎水性樹脂を含有する塗布液を基体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水あるいは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダを含有する塗布液を基体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及び又は微粒子油滴と親水性バインダを含有する塗布液を基体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては多孔質層に、平均液滴径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。
【0095】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0096】
無機微粒子の平均液滴径は、粒子そのものあるいは多孔質層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0097】
無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナ又はアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
【0098】
本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカあるいは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカ又は気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるので好ましい。又、アルミナ又はアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、又不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0099】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均液滴径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0100】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均液滴径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0101】
本発明においては、インク吸収層に水溶性バインダを用いることができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダは、二種以上併用することも可能である。
【0102】
本発明で好ましく用いられる水溶性バインダは、ポリビニルアルコールである。
【0103】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0104】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。又、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0105】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0106】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0107】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0108】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0109】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0110】
本発明においては、染料定着剤として多価金属化合物を用いることが好ましく、本発明の目的効果を達成する範囲において、それらの化合物と共に、カチオン性ポリマを併用することを妨げるものではない。
【0111】
カチオン性ポリマの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、等が挙げられる。
【0112】
又、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマ、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0113】
インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、多孔質層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダの種類に大きく依存するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0114】
又、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0115】
又、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマを含有してもよく、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0116】
多孔質層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当たり20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0117】
インク保持能を有する多孔質層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率と言う。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。
【0118】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0119】
本発明においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録用紙作製の任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収層形成用の塗布液中に添加してもよい。
【0120】
本発明においては、インク吸収層形成後に、水溶性バインダの硬化剤を供給する方法を単独で用いてもよいが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。硬化剤としては、水溶性バインダと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0121】
ホウ酸又はその塩とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、又、二種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。又、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダ1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0122】
本発明に係る基体上に設けたインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0123】
インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0124】
上記のような多孔質層は、特に、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。インクジェット記録方法に好ましい多孔質層の空隙容量は10〜30ml/m2である。
【0125】
本発明に係わるインク吸収層は、従来公知の塗布方法で塗設することができ、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法、スロットノズルスプレー塗布方法あるいは、米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等が、好ましく用いられる。
【0126】
本発明に係るインク吸収層の各層には各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0127】
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明に係る記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【実施例】
【0128】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0129】
実施例1
図1に示す塗布製造ラインを使用して記録媒体の作製を行った。
【0130】
〔カーテンスプレー装置の準備〕
塗布液ノズルに櫛型部材を挟持しない図6の(c)に示す様な噴霧口を持つ図5に示すカーテンスプレー装置において、気体ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅に対して片側で表1に示す様に変えたカーテンスプレー装置を準備しNo.1−1〜1−7とした。カーテンスプレー装置としては、塗布幅1450mm、塗布液ノズルの間隙の距離60μm、気体ノズルの間隙の距離200μmとし、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を1450mmとした。塗布液ノズルに対する気体ノズルの角度(片側)は、40degとした。
【0131】
【表1】

【0132】
〈多孔質インク吸収層用塗布液の準備〉
(分散液の調製)
カチオン性ポリマ(P1)の15質量%水溶液100gに、一次粒子の平均粒子径が12μmの微粒子シリカ(トクヤマ製、QS−20)の25%水分散液500g、次いでホウ酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色澄明な分散液を得た。
【0133】
【化1】

【0134】
(多孔質インク吸収層用塗布液の調製)
上記調製した分散液を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10質量%水溶液及びポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6質量%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。次いで、45℃の純水を加えて液量を調整して、半透明状の塗布液を得た。
【0135】
〈表面層用の塗布液の調製〉
以下の組成からなる塗布液を調製した。
【0136】
ポリ塩化アルミニウム 160ml
(多木化学(株)製PAC250A、固形分23.5%)
水 840ml
粘度は25℃で、B型粘度計で測定した結果、0.9mPa・sであった。
【0137】
(インク吸収層用塗布液と表面層用の塗布液の塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙基体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方式の塗布機を用いて上記インク吸収層用塗布液を塗布幅1470mmで塗布し、図1に示す第1乾燥部でインク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、乾燥して、多孔質インク吸収層を形成した後、準備した各カーテンスプレー装置No.1−1〜1−7を用いて上記表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を有する記録材料を作製し試料No.101〜107とした。
【0138】
(インク吸収層用塗布液の塗布条件)
塗布スピードは200m/minで行った。多孔質インク吸収層塗布済み帯状の基体の下層における各成分の付量は以下の通りで、乾燥膜厚は35μmである。
【0139】
微粒子シリカ 15g/m2
カチオン性ポリマ(P1) 2.2g/m2
ポリビニルアルコール 2.3g/m2
インク吸収層用塗布液の塗布後は、10℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を10℃以下にまで低下させた後、第1乾燥部での全乾燥工程は360秒とし、このうち前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとし乾燥工程の各ゾーンを通過させて乾燥した。
(表面層用の塗布液の塗布条件)
各カーテンスプレー装置No.1−1〜1−7は、図4に示す様にカーテンスプレー装置のスプレー口を形成するラインが基体と平行で、且つ基体の進行方向に対して交差する角度90°になるように配設した。湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部での全乾燥工程は100秒とし、相対湿度が40〜60%の風を吹き付け乾燥した。塗布液は、塗布液ノズルの間隙の幅60μmに対して1/10の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。空気は、気体ノズルの間隙の幅200μmに対して1/50の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。
【0140】
気体ノズルから噴出される空気の供給条件としては、8CMM/m(単位幅当たりの流量)とし、その時の気体ノズルでの内圧としては8kPaとなるようにした。空気の初期線速度vは150m/sとした。カーテンスプレ装置の噴霧口とインク吸収層との間隙は20mm、塗布速度は200m/secで行った。
【0141】
(評価)
作製した各試料No.101〜107に付き、塗布幅安定性と塗布幅の両端の塗膜均一性とに付き判定を行い、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。尚、塗布幅安定性は、全長1000mの塗布方向に100m間隔で塗布幅を鋼製スケールで実測し、平均値を算出し、以下の評価ランクに従って評価した。理論塗布幅1450mmに対する割合を計算で求めた。
【0142】
塗布幅安定性の評価ランク
◎:平均値が1445mm以上
○:平均値が1440mm以上、1445mm未満
△:平均値が1435mm以上、1440mm未満
×:平均値が1435mm未満
塗布幅の両端の塗膜均一性は、以下に示す方法で測定し、バラツキを式1)により計算で求めた。
【0143】
塗布幅の両端の塗膜の測定
全長1000mの塗布方向に100m間隔で10箇所の塗布膜厚をソニー(株)製 マイクロ−メイト M−30で実測し、以下に示す式1)で計算し求めた。
【0144】
式1)最高膜厚−最低膜厚/平均膜厚×100
塗膜均一性の評価ランク
◎:膜厚のバラツキが2%未満
○:膜厚のバラツキが2%以上、5%未満
△:膜厚のバラツキが5%以上、10%未満
×:膜厚のバラツキが10%を越える
塗布幅安定性の評価ランク
【0145】
【表2】

【0146】
試料No.101は縮流が発生し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が不均一になるため実用化は好ましくないと判断した。試料No.107は塗布幅安定性、塗膜均一性共に良好な結果となったが、設備が必要以上に大きくなるため実用化は好ましくないと判断した。基体の幅方向の気体ノズルの開口部の幅が塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広くすることで縮流の発生を防止し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が均一になることが確認され、本発明の有効性が確認された。
【0147】
実施例2
図1に示す塗布製造ラインを使用して記録媒体の作製を行った。
【0148】
〔カーテンスプレー装置の準備〕
塗布液ノズルに櫛型部材を挟持しない図6の(c)に示す様な噴霧口を持つ図5に示すカーテンスプレー装置において、表3に示す様に配設位置変及び幅を変えたエア巻き込み防止プレートを塗布液ノズルの開口部の両端に設けたカーテンスプレー装置を準備しNo.2−1〜2−23とした。尚、カーテンスプレー装置としては、塗布液ノズルの間隙の距離60μm、気体ノズルの間隙の距離200μmとし、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を1450mmとした。気体ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅と同じにした。塗布液ノズルに対する気体ノズルの角度は、40degとした。尚、エア巻き込み防止プレートの配設位置は、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の端部から外側の距離を示す。エア巻き込み防止プレートの長さは塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対する割合(%)を示す。幅は基体の搬送方向の噴霧の最大長さ(幅)に対する割合(%)を示す。エア巻き込み防止プレートは厚さ2mmのSUSを使用した。
【0149】
【表3】

【0150】
〈多孔質インク吸収層用塗布液の準備〉
実施例1と同じ多孔質インク吸収層用塗布液を準備した。
【0151】
〈表面層用の塗布液の調製〉
実施例1と同じ表面層用の塗布液を準備した。
【0152】
(インク吸収層用塗布液と表面層用の塗布液の塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙基体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方塗布機を用いて上記インク吸収層用塗布液を塗布幅1470mmで塗布し、図1に示す第1乾燥部でインク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、乾燥して、多孔質インク吸収層を形成した後、準備した各カーテンスプレー装置No.2−1〜2−23を用いて上記表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を有する記録材料を作製し試料No.201〜223とした。
【0153】
(インク吸収層用塗布液の塗布条件)
実施例1と同じ条件とした。
(表面層用の塗布液の塗布条件)
各カーテンスプレー装置No.2−1〜2−23は、図4に示す様にカーテンスプレー装置のスプレー口を形成するラインが基体と平行で、且つ基体の進行方向に対して交差する角度90°になるように配設し、その他の条件は実施例1と同じ条件で行った。
【0154】
(評価)
作製した各試料No.201〜223に付き、実施例1と同じ方法により塗布幅安定性と塗布幅の両端の塗膜均一性とに付き測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表4に示す。
【0155】
【表4】

【0156】
試料No.207、215、223は塗布幅安定性、塗膜均一性共に良好な結果となったが、設備が必要以上に大きくなるため実用化は好ましくないと判断した。試料No.201はエア巻き込み防止プレートの配設位置が本発明の範囲外にあるため、エア巻き込み防止プレートに液滴化した塗布液が付着し、落下することで塗布故障を発生した。又、付着した塗布液の落下に伴い塗布幅安定性も悪化した。試料No.208はエア巻き込み防止プレートの塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対する長さが本発明の範囲外にあるため、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となった。試料No.216はエア巻き込み防止プレートの幅が本発明の範囲外にあるため、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となった。エア巻き込み防止プレートを塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対して50〜300%の長さ、幅を基体の搬送方向の噴霧の最大長さ(幅)に対して80〜300%で塗布液ノズルの開口部の両端から外側に5〜150mmに配設することで、縮流の発生を防止し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が均一になることが確認され、本発明の有効性が確認された。
【0157】
実施例3
図1に示す塗布製造ラインを使用して記録媒体の作製を行った。
【0158】
〔カーテンスプレー装置の準備〕
塗布液ノズルに櫛型部材を挟持しない図6の(c)に示す様な噴霧口を持つ図5に示すカーテンスプレー装置において、表5に示す様に基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅に対する気体ノズルの開口部の塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの距離、エア巻き込み防止プレートの長さ、幅を変えたカーテンスプレー装置を準備しNo.3−1〜3−30とした。尚、カーテンスプレー装置としては、塗布液ノズルの間隙の距離60μm、気体ノズルの間隙の距離200μmとし、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を1450mmとした。気体ノズルの開口部の基体の幅方向の幅を、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の幅と同じにした。塗布液ノズルに対する気体ノズルの角度は、40degとした。尚、Bはエア巻き込み防止プレートの配設位置は、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の端部から外側の距離を示す。Aは基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅に対する気体ノズルの開口部の塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅を示す。エア巻き込み防止プレートの長さは塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対する割合(%)を示す。幅は基体の搬送方向の噴霧の最大長さ(幅)に対する割合(%)を示す。エア巻き込み防止プレートは厚さ2mmのSUSを使用した。
【0159】
【表5】

【0160】
〈多孔質インク吸収層用塗布液の準備〉
実施例1と同じ多孔質インク吸収層用塗布液を準備した。
【0161】
〈表面層用の塗布液の調製〉
実施例1と同じ表面層用の塗布液を準備した。
【0162】
(インク吸収層用塗布液と表面層用の塗布液の塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙基体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方式の塗布機を用いて上記インク吸収層用塗布液を塗布幅1470mmで塗布し、図1に示す第1乾燥部でインク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、乾燥して、多孔質インク吸収層を形成した後、準備した各カーテンスプレー装置No.3−1〜3−30を用いて上記表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を有する記録材料を作製し試料No.301〜330とした。
【0163】
(インク吸収層用塗布液の塗布条件)
実施例1と同じ条件とした。
(表面層用の塗布液の塗布条件)
各カーテンスプレー装置No.3−1〜3−30は、図4に示す様にカーテンスプレー装置のスプレー口を形成するラインが基体と平行で、且つ基体の進行方向に対して交差する角度90°になるように配設し、その他の条件は実施例1と同じ条件で行った。
【0164】
(評価)
作製した各試料No.301〜330に付き、実施例1と同じ方法により塗布幅安定性と塗布幅の両端の塗膜均一性とに付き測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表6に示す。
【0165】
【表6】

【0166】
試料No.307、314、322、330は塗布幅安定性、塗膜均一性共に良好な結果となったが、設備が必要以上に大きくなるため実用化は好ましくないと判断した。試料No.301は基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅に対する気体ノズルの開口部の塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅が本発明の範囲外にあるため、縮流が発生し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が不均一になった。試料No.308はエア巻き込み防止プレートの配設位置が本発明の範囲外にあるため、エア巻き込み防止プレートに液滴化した塗布液が付着し、落下することで塗布故障を発生した。又、付着した塗布液の落下に伴い塗布幅安定性も悪化した。
試料No.315はエア巻き込み防止プレートの塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対する長さが本発明の範囲外にあるため、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となった。
試料No.323はエア巻き込み防止プレートの幅が本発明の範囲外にあるため、縮流が発生し、噴霧口から液滴化され噴霧された塗布液の状態が不安定となり、被塗布体の表面に被塗布体の幅方向と、搬送方向に到着する面積が不安定となり、両端の塗布膜厚及び塗布幅が不安定となった。
基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅に対する気体ノズルの開口部の塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅をAとし、塗布液ノズルの開口部の基体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの距離をBとした時、Aは1〜150mmで、Bは5〜150mmであり、且つA≦Bの関係を有し、エア巻き込み防止プレートの長さを塗布液ノズルの開口部から基体までの距離に対して50〜300%とし、幅を基体の搬送方向の噴霧の最大長さ(幅)に対して80〜300%とすることで、更に縮流の発生を防止し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚及び塗布幅が均一になることが確認され、本発明の有効性が確認された。
【0167】
実施例4
実施例3の試料N0.326を作製する際、表7に示す様に霧角度を変えた他は全て同じ条件で記録材料を作製し試料No.401〜406とした。
【0168】
(評価)
作製した各試料No.401〜406に付き、実施例1と同じ方法により塗布幅安定性と塗布幅の両端の塗膜均一性とに付き測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表7に示す。
【0169】
【表7】

【0170】
本発明の有効性が確認された。
【0171】
実施例5
図1に示す塗布製造ラインを使用して記録媒体の作製を行った。
【0172】
〔カーテンスプレー装置の準備〕
塗布液ノズルに櫛型部材を挟持する図6の(a)に示す様なスプレー口を持ち、エア巻き込み防止プレートを持たない図5に示すカーテンスプレー装置において、塗布幅を基体の幅に対して表8に示す様に変えたカーテンスプレー装置を準備しNo.5−1〜5−7とした。カーテンスプレー装置としては、塗布液ノズルの間隙の距離60μm、気体ノズルの間隙の距離200μmとし、基体の幅方向の塗布液ノズルの開口部の幅に対する気体ノズルの開口部の塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅を片側で50mm広くした。噴霧角度は、45degとした。尚、塗布幅は、塗布幅に応じてカーテンスプレー装置の幅を大きくし、それに応じて塗布液ノズル及び塗布液ノズルの基体の幅手方向に対する幅を広げた。
【0173】
【表8】

【0174】
〈多孔質インク吸収層用塗布液の準備〉
実施例1と同じ多孔質インク吸収層用塗布液を準備した。
【0175】
〈表面層用の塗布液の調製〉
実施例1と同じ表面層用の塗布液を準備した。
【0176】
(インク吸収層用塗布液と表面層用の塗布液の塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙基体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方式の塗布機を用いて上記インク吸収層用塗布液を塗布幅1470mmで塗布し、図1に示す第1乾燥部でインク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、乾燥して、多孔質インク吸収層を形成した後、準備した各カーテンスプレー装置No.5−1〜5−7を用いて上記表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を有する記録材料を作製し試料No.501〜507とした。
【0177】
(インク吸収層用塗布液の塗布条件)
実施例1と同じ条件とした。
(表面層用の塗布液の塗布条件)
各カーテンスプレー装置No.5−1〜5−7は、図4に示す様にカーテンスプレー装置のスプレー口を形成するラインが基体と平行で、且つ基体の進行方向に対して交差する角度90°になるように配設し、その他の条件は実施例1と同じ条件で行った。
【0178】
(評価)
作製した各試料No.501〜507に付き、実施例1と同じ方法により塗膜均一性を判定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表9に示す。
【0179】
【表9】

【0180】
試料No.501は塗布幅が基体の幅に対して本発明の範囲外にあるため、噴霧口から噴霧された塗布液の基体の幅方向の側面で発生する縮流の影響を受けている部分が塗布され、塗布幅の両端部で塗布膜厚及び塗布幅が安定しなくなり、安定した塗布ができなくなった。試料No.507は塗膜均一性は問題はないが、カーテンスプレー装置及び付帯設備が大きくなり設備が高くなる割に効果に差がないため実用化は好ましくないと判断した。本発明の有効性が確認された。カーテンスプレー装置を用いて塗布する際、塗布幅を基体の幅に対して105〜150%にすることで縮流の発生を防止し、基体の搬送方向の幅の両サイドの塗布膜厚均一になることが確認され、本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】インク吸収層を有する記録媒体用基体にカーテンスプレー塗布装置を使用し、インク吸収層上に表面層を形成した記録媒体の塗布製造ラインの一例を示す模式図である。
【図2】インク吸収性の記録媒体用基体にカーテンスプレー塗布装置を使用し、表面層を形成した記録媒体の塗布製造ラインの一例を示す模式図である。
【図3】図1のXで示される部分の拡大概略図である。
【図4】カーテンスプレー装置とインク吸収層を有する基体との配置関係を示す図1のXで示される部分の拡大概略平面図である。
【図5】図1のXで示される部分の拡大模式図である。
【図6】図5に示すカーテンスプレー装置の噴霧口の塗布液ノズルと気体ノズルの関係を示す概略平面図である。
【図7】図5に示すカーテンスプレー装置の噴霧口のエア巻き込み防止プレートと塗布液ノズルの開口部との関係を示す概略平面図である。
【図8】図5のZで示される部分の拡大概略図である。
【図9】図8の部分拡大概略正面図である。
【図10】図1に示すカーテンスプレー装置を使用し、塗布幅が基体の幅より広い状態を示す部分拡大正面図である。
【符号の説明】
【0182】
1a、1b 塗布製造ライン
2 繰り出し部
201、901 基体
203 インク吸収層
204、903 表面層
204a 表面層用塗布液層
301、602、10a バックアップロール
5 第1乾燥部
501、11a 乾燥箱
6 第2塗工部
601、10b カーテンスプレー塗布装置
601a2 塗布液ノズル
601a3 櫛型部材
601a4、601b3、601c3 開口部(塗布液噴出口)
601b2、601c2 気体ノズル
601d〜601g ブロック
603 塗布液
603a、603b 側面
604 エア巻き込み防止プレート
604a 先端
7 第2乾燥部
802 記録媒体
11 液滴
13 供給系
13a 塗布液供給系
13b 加圧空気供給系
P 噴霧口
J1、J2、J3、K、O、Q 幅
L、P 距離
M 厚さ
N 長さ
R 塗布幅
θ1 角度
θ2 噴霧角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の該気体ノズルの開口部の幅が前記塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広いことを特徴とするカーテンスプレー装置。
【請求項2】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
該塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から片側5〜150mm外側にエア巻き込み防止プレートを設け、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体までの距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の該噴霧の最大長さ(幅)に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【請求項3】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を該塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に前記塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の前記塗布液ノズルの開口部の幅に対する該気体ノズルの開口部の前記塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅をAとし、
前記塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの距離をBとした時、
Aは1〜150mmで、Bは5〜150mmであり、且つA≦Bの関係を有し、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体まで距離に対して50〜300%を有し、幅は前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%を有していることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【請求項4】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー装置において、
前記被塗布体の幅方向の該噴霧の塗布幅が、前記被塗布体の幅に対して105〜150%であることを特徴とするカーテンスプレー装置。
【請求項5】
前記塗布液を噴霧する時の角度が15〜60°であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のカーテンスプレー装置。
【請求項6】
前記被塗布体がインクジェット用記録媒体用であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のカーテンスプレー装置。
【請求項7】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の該気体ノズルの開口部の幅が該塗布液ノズルの開口部の幅に対して片側で1〜150mm広いことを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【請求項8】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
該塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から片側5〜150mm外側にエア巻き込み防止プレートを設け、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体までの距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【請求項9】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の前記塗布液ノズルの開口部の幅に対する該気体ノズルの開口部の前記塗布液ノズルの開口部の端部からの片側の幅をAとし、
前記塗布液ノズルの開口部の前記被塗布体の幅方向の端部から外側に設けるエア巻き込み防止プレートの位置をBとした時、
Aは1〜150mmで、Bは5〜150mmであり、且つA≦Bの関係を有し、
該エア巻き込み防止プレートの長さは前記塗布液ノズルの開口部から前記被塗布体まで距離に対して50〜300%を有し、幅が前記被塗布体の搬送方向の前記噴霧の最大幅に対して80〜300%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【請求項10】
バックアップロールに保持搬送される被塗布体の搬送方向と交差する方向の塗布幅にわたって、塗布液を供給する塗布液ノズルと、該塗布液ノズルの開口部に近接して気体を噴出する気体ノズルとを有するカーテンスプレー装置を使用し、該気体を前記塗布液に衝突させて液滴を形成して噴霧を行うことにより、該被塗布体上に塗布液を塗布するカーテンスプレー塗布方法において、
前記被塗布体の幅方向の該噴霧の塗布幅が、前記被塗布体の幅に対して105〜150%であることを特徴とするカーテンスプレー塗布方法。
【請求項11】
前記塗布液を噴霧する時の角度が15〜60°であることを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法。
【請求項12】
前記被塗布体はインクジェット用記録媒体用であることを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法。
【請求項13】
請求項7〜12の何れか1項に記載のカーテンスプレー塗布方法により作製されたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−205099(P2006−205099A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22545(P2005−22545)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】