説明

カード用コネクタ

【課題】誤挿入されたカードが前記突出部のテーパ面に沿って進行すると、カードの段部が第2側壁部の手前側端に当接して回動し、カード前端の第1側の角部が前記係合凹部に進入することによって、カード用コネクタの複数箇所が誤挿入されたカードの複数箇所に当接してカードの前進を阻止することができ、カードから受ける力によってカード用コネクタが損傷を受けることがなく、カードに損傷を与えることがなく、小型のカードであっても誤挿入を確実に防止することができるようにする。
【解決手段】ハウジングは、適正な姿勢で挿入されたカードの第1側及び第2側と各々対向し、カードの挿入方向に延在する第1側壁部及び第2側壁部、段部と当接するテーパ面を含み、第1側壁部から第2側壁部に向けて突出する突出部、並びに、誤挿入されたカードの第1角部が進入可能に第2側壁部に形成された係合凹部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等の電子機器においては、miniSD(R)カード、TransFlash(R)、マイクロSD(R)カード等の各種メモリカードを利用するために、カード用コネクタを備えている。
【0003】
近年、電子機器の急速な小型化に伴って、メモリカード及びカード用コネクタは、急速に小型化される傾向にある。また、カード用コネクタは、表示画面、操作ボタン等の部材の配設場所を避けて、電子機器の側面、裏面等の比較的視認し難い場所に配設されることが多くなっている。そのため、カードが表裏逆向きで挿入されること、すなわち、誤挿入されてしまうことがある。そして、カードが誤挿入されると、カードの外側のパッド以外の部分がカード用コネクタの接続端子に当接するので、該接続端子が折曲がったり、破損したりしてしまう。そこで、カードの誤挿入を防止するカード用コネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図12は従来のカード用コネクタを示す図である。
【0005】
図において、301はカード用コネクタのハウジングの筐(きょう)体であり、合成樹脂製の成形体であるベース302、及び、金属板から成り前記ベース302に取付けられたカバー303を有する。そして、前記筐体301の内部は図示されないカードが挿入される挿入空間であり、前記筐体301の後端部にはカード挿入口304が形成されている。また、前記ベース302の両側壁にはカードを案内するガイド溝305が形成されている。これにより、前記カード挿入口304から挿入されたカードは、前記ガイド溝305に沿って、矢印で示される方向に移動する。そして、前記ベース302の前端近傍には金属から成る複数の端子308が配設され、筐体301の内部に挿入されたカードの面電極と接触して導通するようになっている。
【0006】
また、前記カバー303は、ベース302の開放された上面を覆う面板部306を備え、該面板部306には誤挿入防止用の係止突起307が形成されている。該係止突起307は、カードが表裏逆向きで挿入されると、すなわち、誤挿入されると、誤挿入されたカードの前上端縁に当接することによって、前記カードの前進を阻止する。これにより、誤挿入されたカードによって端子308が損傷を受けることを防止することができる。なお、カードが適切な姿勢で挿入された場合には、カードの前端寄りの上面に形成された凹溝部内に前記係止突起307が収容されるようになっている。そのため、適切な姿勢で挿入されたカードは、筐体301の内部において前端まで前進し、その面電極が端子308と接触して導通することができる。
【特許文献1】特開2004−335172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のカード用コネクタは、カバー303に形成された係止突起307を備えているので、カードの前端寄りの上面に係止突起307を収容するための凹溝部を形成する必要があるが、小型で薄いカードに凹溝を形成することは困難であるため、小型のカードを対象とするものに適用することができない。また、係止突起307のみが誤挿入されたカードの前上端縁に当接することによって、カードの前進を阻止するようになっているので、カードからの力を一箇所で受けることとなり、前記係止突起307及びカバー303の係止突起307周辺部分が変形する可能性がある。一方、誤挿入されたカードも、係止突起307からの反力を一箇所で受けることとなり、カードの外壁部が損傷を受ける可能性がある。
【0008】
本発明は、前記従来のカード用コネクタの問題点を解決して、カードの第1側の前端寄りに形成されたテーパ状の段部と当接するテーパ面を含む第1側壁部から突出する突出部を有するとともに、第2側壁部に形成された係合凹部を有し、誤挿入されたカードが前記突出部のテーパ面に沿って進行すると、カードの段部が第2側壁部の手前側端に当接して回動し、カード前端の第1側の角部が前記係合凹部に進入し、受部に当接することによって、誤挿入を防止する。さらに、カード用コネクタの複数箇所が誤挿入されたカードの複数箇所に当接してカードの前進を阻止することができ、カードから受ける力によってカード用コネクタが損傷を受けることがなく、カードに損傷を与えることがなく、小型のカードであっても誤挿入を確実に防止することができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明のカード用コネクタにおいては、端子部材を備えるカードを収容するハウジングと、該ハウジングに取付けられ、前記カードの端子部材と接触する接続端子と、前記ハウジングに取付けられ、平板部を備えるケースとを有し、前記カードが前記ハウジングに挿入されるカード用コネクタであって、前記カードは、第1側の前端寄りに形成された第1切欠部、及び、前記第1側に対向し、前記前端の第2角部から後端まで直線状に延在する第2側を備え、前記第1切欠部は、前記前端の第1角部から直線状に延在する直線部、及び、該直線部の後端側に接続されたテーパ状の段部を含み、前記ハウジングは、適正な姿勢で挿入されたカードの第1側及び第2側と各々対向し、前記カードの挿入方向に延在する第1側壁部及び第2側壁部、前記段部と当接するテーパ面を含み、前記第1側壁部から第2側壁部に向けて突出する突出部、並びに、誤挿入されたカードの第1角部が進入可能に前記第2側壁部に形成された係合凹部を備える。
【0010】
本発明の他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記ハウジングに適正な姿勢で挿入されたカードを挿入方向と反対の方向へ押圧するスライド部材、及び、該スライド部材をカードの挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材を備え、前記スライド部材をロック位置で停止させるとともに、前記カードを前記挿入方向に押込むプッシュ動作によってスライド部材が前記挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記スライド部材を終端点から前記挿入方向と反対の方向に移動させてカードを排出するカード案内機構を有し、前記スライド部材が前記突出部を含む。
【0011】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第1側壁部及び第2側壁部は、誤挿入されたカードの第2側及び段部が当接可能な第2側当接部及び段部当接部を、前記挿入方向の手前側端に各々含む。
【0012】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記段部当接部から係合凹部までの長さは、前記直線部の長さよりも長い。
【0013】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記係合凹部の深さは、前記第1角部の半径より大きい。
【0014】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第2側当接部からテーパ面までの長さは、前記直線部の長さよりも短い。
【0015】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記係合凹部より前記挿入方向の奥側に形成された凹部を備え、前記ケースは、前記凹部と係合する第1サポート部を備える。
【0016】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記第2側当接部に形成された凹部を備え、前記ケースは、前記凹部と係合する第2サポート部を備える。
【0017】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、端子部材を備えるカードを収容するハウジングと、該ハウジングに取付けられ、前記カードの端子部材と接触する接続端子と、前記ハウジングに取付けられ、平板部を備えるケースとを有し、前記カードが前記ハウジングに挿入されるカード用コネクタであって、前記カードは、第1側の前端寄りに形成された第1切欠部、及び、前記第1側に対向し、前記前端の第2角部から後端まで直線状に延在する第2側を備え、前記カード用コネクタの第1側辺は、適正な姿勢で挿入されたカードの第1切欠部と係合する係合部を備え、該係合部は、誤挿入されたカードを前記カード用コネクタの第2側辺に向けて移動させる傾斜面を含み、前記第2側辺は、誤挿入されたカードの第1切欠部の段部と当接して前記カードを傾動させる段部当接部、及び、前記カードの前端と当接する受部を備える。
【0018】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第1側辺は、誤挿入されたカードの第2側と当接する保持部を備え、前記カードが前記受部及び保持部によって支持される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カード用コネクタは、カードの第1側の前端寄りに形成されたテーパ状の段部と当接するテーパ面を含む第1側壁部から突出する突出部を有するとともに、第2側壁部に形成された係合凹部を有する。そのため、誤挿入されたカードが前記突出部のテーパ面に沿って進行すると、カードの段部が第2側壁部の手前側端に当接して回動し、カード前端の第1側の角部が前記係合凹部に進入し、受部に当接する。これにより、カード用コネクタの複数箇所が誤挿入されたカードの複数箇所に当接してカードの前進を阻止することができ、カードから受ける力によってカード用コネクタが損傷を受けることがなく、カードに損傷を与えることがなく、小型のカードであっても誤挿入を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカードの電極側面を示す平面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるカードの反電極側面を示す平面図である。
【0022】
図において、10は本実施の形態におけるカード用コネクタであり、図示されない電子機器が備える配線回路基板等の基板21に実装される。そして、前記カード用コネクタ10の内部にはカード31が挿入され、前記カード用コネクタ10を介して、前記電子機器にカード31が装着される。なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
【0023】
また、前記カード31は、概略長方形の板状の形状を備え、一方の表面には、図3に示されるように、前端33寄りの部分に端子部材としてのコンタクトパッド32が複数個露出して配設され、他方の表面には、図4に示されるように、コンタクトパッド32が配設されていない。そして、前記カード31は、第1側34の前端33寄りの部分に形成された第1切欠部36、及び、第1側34における前記第1切欠部36よりも後端38寄りの部分に形成された第2切欠部37を有する。また、前記第1側34に対向し、該第1側34と平行な第2側35は、切欠部が形成されておらず、直線状に前記カード31の挿入方向に延在する。なお、図3に示されるように、第1側34は、長方形の表面におけるコンタクトパッド32側から観て左側の長辺に対応し、第2側35はコンタクトパッド32側から観て右側の長辺に対応する。
【0024】
さらに、前記第1切欠部36は、前端33から後端38に向けて延在する直線部36a、及び、該直線部36aの後端38側に接続されたテーパ状の段部36bを備える。そして、前記直線部36aは第2側35に平行であり、前記カード31の幅(図3及び4における横方向の寸法)は、前記直線部36aにおいては他の部分より狭くなっている。また、カード31の前端33と直線部36a側とが接続される部分、すなわち、前端33における第1側34側の第1角部としての第1前端角部33a、及び、カード31の前端33と第2側35とが接続される部分、すなわち、前端33における第2側35側の第2角部としての第2前端角部33bは、所定の半径を備える円弧状の外面を備える。なお、また、前記カード31の後端38寄りの部分には、厚さ(図3及び4における図面と垂直方向の寸法)が他の部分より厚い肉厚部38aが形成されている。
【0025】
本実施の形態において、カード31は、例えば、miniSD(R)カード、TransFlash(R)、マイクロSD(R)カード等のICカードであり、第1側34の前端33寄りに形成されたテーパ状の段部36bを備えるものであれば、いかなる種類のカードであってもよいが、ここでは、マイクロSD(R)カードであるものとして説明する。
【0026】
また、本実施の形態において、カード用コネクタ10の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ10又はその部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ10又はその部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0027】
ここで、前記カード用コネクタ10は、図2に示されるように、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたカード31を収容するハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって成形され、ハウジング11の上側に取付けられたケースとしてのシェル12とを有する。該シェル12の平板部としての天面12aは平板状に形成され、カード用コネクタ10に挿入されたカード31の一部を覆うとともに、スライド部材14をその動作範囲全体に亘(わた)って覆っている。そして、前記カード用コネクタ10は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、基板21の面に実装され、前方(図1における右下方、図2における左上方)からカード31が挿入される。ここでは、該カード31が、コンタクトパッド32が配設された面が下になるような向きで、カード用コネクタ10に挿入されるものとして説明する。すなわち、カード31の第1側34及び第2側35がカード用コネクタ10の第1側辺10a及び第2側辺10bに、各々、沿うようにして挿入される。
【0028】
また、図1は、説明のためにシェル12を除去した状態のカード用コネクタ10を示す図である。図1に示されるように、ハウジング11は、カード31の挿入方向に関して手前側となる前縁側(図1における右下側)が略U字状に切取られた形状を備える底壁部11a、及び、該底壁部11aの後部において後側の縁に沿って延在し、底壁部11aから立設する後壁部11bを有する。ここで、底壁部11aの上面には、前後方向に延在するように形成された端子装填(てん)溝11eが複数形成され、各端子装填溝11eに接続端子としての端子13が挿入されて取付けられている。そして、該端子13は、その根本部が前記端子装填溝11e内における底壁部11aの手前側の縁に近い部分に取付けられ、その先端部13bが後壁部11bに向けて斜め上方に延在して底壁部11aの上面より上方に突出している。前記端子13の先端部13bは、接触部として機能し、カード31のコンタクトパッド32に接触して電気的に接続される。また、前記端子13の根本部から延在するソルダーテール部13aは、底壁部11aの手前側の縁から前方に向けて突出し、前記基板21の表面に露出するように配設された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部22に、はんだ付等によって電気的に接続される。
【0029】
そして、ハウジング11は、底壁部11aの一方の側縁に沿って前後方向に延在する断面L字状の側部としての第1側壁部11c、及び、底壁部11aの他方の側縁に沿って前後方向に延在する側部としての第2側壁部11dを有する。なお、前記第1側壁部11c及び第2側壁部11dは、カード用コネクタ10の第1側辺10a及び第2側辺10bに、各々、対応する。
【0030】
ここで、前記カード用コネクタ10は、該カード用コネクタ10内にカード31を挿入する際にも、カード用コネクタ10内からカード31を取出す際にも、該カード31を押込む動作を必要とする、いわゆる、プッシュインプッシュアウトタイプ、又は、プッシュ/プッシュタイプと通称されるものである。そのため、第1側壁部11cには、カード用コネクタ10内に挿入されたカード31を案内するためのカード案内機構のスライド部材14が前後方向、すなわち、カード31の挿入方向にスライド可能に取付けられている。
【0031】
そして、前記スライド部材14は、カード31と係合するための係合部として、第1係合部14a及び第2係合部14bを有する。前記第1係合部14aは、カード31の第1切欠部36と係合する部分であり、第1切欠部36の段部36bが当接する傾斜面としてのテーパ面14cを含み、第1側壁部11cから第2側壁部11dに向けて突出する突出部である。そして、前記第1係合部14aにおけるカード31の挿入方向に関して手前側には、前記テーパ面14cが形成され、該テーパ面14cの奥側には直線部36aと対向する平面14fが形成されている。なお、該平面14fはカード31の挿入方向に延在する。また、前記第2係合部14bは、カード31の第2切欠部37と係合する部分であり、カード31の挿入方向に関して前記第1係合部14aより手前側において、スライド部材14の内側の側面から突出するように一体的に形成されている。そのため、スライド部材14は、第1係合部14aと第2係合部14bとによってカード31を保持し、該カード31とともに前後方向に移動することができる。
【0032】
そして、第1側壁部11cには、スライド部材14を前方に向けて付勢するための部材であって、コイルスプリングから成る付勢部材15が取付けられている。なお、該付勢部材15の両端は、後壁部11bの係止部11f及びスライド部材14の後端面に当接している。これにより、前記スライド部材14は、付勢部材15によって、カード31の挿入方向と反対の方向、すなわち、カード31の排出方向に付勢される。
【0033】
さらに、前記係止部11fには、固定カムとしてのピン部材17の一端が係止され、該ピン部材17の他端は、スライド部材14の上面に形成されたスライドカムとしてのカム溝14eと係合し、ピボット結合されている。そして、前記ピン部材17とカム溝14eとが協働することによって、カード31とともに移動するスライド部材14にプッシュ/プッシュの動作を行わせるようになっている。これにより、前記カード案内機構は、カード31を挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード31が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材15の付勢力によって、前記カード31を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出することができる。なお、前記ピン部材17とカム溝14eとのようなプッシュ/プッシュの動作を行うためのカム機構は従来周知であるので、その説明を省略する。
【0034】
また、前記第1側壁部11cの前端部には、カード31を排出させるように移動するスライド部材14を停止させる停止部材としてのストッパ部11gが形成されている。そして、該ストッパ部11gの前端内側の角部は、カード31が後述されるように誤挿入された場合に、該カード31の第2側35が当接可能な保持部としての第2側当接部11hである。また、該第2側当接部11hの前端側の凹部は、シェル12の一部が係合し、カード31が誤挿入された場合に、該カード31から受ける力に対抗して第2側当接部11hを前記シェル12によって支持する凹部としての第2側当接サポート部11mである。
【0035】
一方、前記第2側壁部11dには、カード31が誤挿入された場合に、該カード31の前端33における第1側34側の角部、すなわち、第1前端角部33aが進入可能な係合凹部としての前端係合凹部11jが形成されている。なお、該前端係合凹部11jは、図に示される例において、第2側壁部11dを厚さ方向に貫通するような開口として形成されているが、第2側壁部11dを厚さ方向に貫通することなく、第2側壁部11dの内側の側面が外側に向けて陥入するような形状の凹部であってもよい。この場合、該凹部の深さは、任意に設定することができるが、前記第1前端角部33aの外面の半径より大きいことが望ましい。また、前記前端係合凹部11jの長さ、すなわち、該前端係合凹部11jの前端壁11pから受部としての後端壁11nまでの寸法は、前記第1前端角部33aの外面の半径の2倍以上であることが望ましい。これにより、カード31が誤挿入された場合に、カード31の第1前端角部33aが前端係合凹部11j内に確実に進入することができる。
【0036】
さらに、カード31の挿入方向に関して前端係合凹部11jの後端壁11nより奥側には他の凹部が形成されている。該凹部は、シェル12の一部が係合し、カード31が誤挿入された場合に、該カード31から受ける力に対抗して前端係合凹部11jの後端壁11nを前記シェル12によって支持する凹部としての前端当接サポート部11kである。
【0037】
また、前記第2側壁部11dの前端内側の角部は、カード31が誤挿入された場合に、該カード31の段部36bが当接可能な段部当接部11iである。なお、図に示されていないが、前記第2側当接サポート部11mと同様に、シェル12の一部が係合し、カード31が誤挿入された場合に、該カード31から受ける力に対抗して段部当接部11iを前記シェル12によって支持する段部当接サポート部を、必要に応じて形成することもできる。
【0038】
ここで、前記前端係合凹部11jの配設される位置は、任意に設定することができるが、段部当接部11iまでの長さ、より正確には、前記前端係合凹部11jのカード31の挿入方向に関して手前側の端部と段部当接部11iとの間の長さが、カード31の直線部36aの直線部の長さよりも長くなるような位置であることが望ましい。これは、カード31が誤挿入された場合に、カード31の段部36bが段部当接部11iに当接した状態で、カード31の第1前端角部33aが前端係合凹部11j内に進入することができるようにするためである。
【0039】
また、第2側当接部11hと段部当接部11iとは、カード31の挿入方向に関してほぼ同一位置に配設されていることが望ましい。さらに、スライド部材14の第1係合部14a及びテーパ面14cの配設される位置は、スライド部材14がストッパ部11gに当接した状態において、第2側当接部11hからテーパ面14cまでの長さがカード31の直線部36aの長さよりも短くなるような位置であることが望ましい。これにより、カード31が誤挿入された場合に、該カード31の第2前端角部33bがテーパ面14cに沿って移動し、カード31全体が第2側壁部11dの方向に移動することができる。
【0040】
さらに、第1係合部14a及びテーパ面14cの配設される位置は、スライド部材14がストッパ部11gに当接した状態において、第2側当接部11hから第1係合部14aの頂部、すなわち、テーパ面14cの後壁部11b側の端部までの長さがカード31の直線部36aの長さよりも短くなるような位置であることがより望ましい。これにより、カード31が誤挿入された場合に、該カード31の段部36bが段部当接部11iに当接する前に、カード31全体の第2側壁部11dの方向への移動が完了する。
【0041】
また、スライド部材14の平面14fと第2側壁部11dの内側面との間隔は、カード31の直線部36aにおける幅よりもわずかに大きく、第1側34と第2側35との間隔よりは狭くなるように設定されていることが望ましい。これにより、カード31が適正に挿入される場合、スライド部材14の第1係合部14aがカード31の第1切欠部36と係合すると、スライド部材14の平面14fとカード31の直線部36aとが接触又は近接した状態となり、かつ、第2側壁部11dの内側面とカード31の第2側35とが接触又は近接した状態となり、カード31は、第2側壁部11dに沿って、スライド部材14とともにスムーズに進行することができる。
【0042】
次に、前記構成のカード用コネクタ10の動作について説明する。まず、カード31が適正な姿勢で挿入される場合、すなわち、正規挿入の場合の動作について説明する。
【0043】
この場合、利用者が手指等によってカード31をカード用コネクタ10の前方から挿入する。なお、カード31は、前端33がハウジング11の後壁部11bの方を向き、コンタクトパッド32が配設された面が基板21と対向し、コンタクトパッド32が配設されていない面がシェル12の天面12aと対向するような姿勢で挿入される。これにより、カード31は、第1側34がハウジング11の第1側壁部11cに沿って、かつ、第2側35がハウジング11の第2側壁部11dに沿って進行する。
【0044】
続いて、利用者がカード31をプッシュして更に押込むと、スライド部材14の第1係合部14a及び第2係合部14bがカード31の第1切欠部36及び第2切欠部37と各々係合し、前記カード31は、スライド部材14とともに、後壁部11bに向けて移動する。この際、利用者の手指等が発揮する押圧力は、カード31の段部36bから第1係合部14aのテーパ面14cを通してスライド部材14に伝達される。そして、該スライド部材14がコイルスプリングから成る付勢部材15を圧縮するので、スライド部材14及びカード31は、付勢部材15の反発力を受けるが、該反発力が利用者の手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記反発力に抗して移動する。この場合、スライド部材14は第1側壁部11cに沿ってスライドし、カード31は、第1側34がハウジング11の第1側壁部11cに沿って、かつ、第2側35がハウジング11の第2側壁部11dに沿って、スライド部材14とともに進行する。そして、スライド部材14及びカード31は、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0045】
続いて、利用者がカード31をプッシュする動作を止め、カード31に対する押圧力を解除すると、付勢部材15の反発力によって、スライド部材14及びカード31は後壁部11bから離脱する向きに移動させられる。そして、スライド部材14及びカード31は、カード用コネクタ10内でカード31をロックした状態で保持するロック位置で停止する。これは、スライド部材14のカム溝14eと係合しているピン部材17が、カム溝14eの一部に係止してスライド部材14の動きを停止させることによって、スライド部材14を前記ロック位置で停止させているからである。
【0046】
そして、カード31は、ロック位置に保持されることによって、カード用コネクタ10が実装された基板21を備える電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード31がロック位置に保持されている場合、該カード31のコンタクトパッド32は、端子13の先端部13bと接触して導通している。
【0047】
次に、カード31をカード用コネクタ10から排出させて取出す動作について説明する。
【0048】
この場合、利用者が手指等によってカード31をプッシュして押込むと、スライド部材14及びカード31は、ロック位置から後壁部11bに向けて移動させられる。そして、利用者がカード31をプッシュして更に押込むと、スライド部材14及びカード31は、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0049】
続いて、利用者がカード31をプッシュする動作を止め、該カード31に対する押込力を解除すると、付勢部材15の反発力によって、スライド部材14及びカード31は後壁部11bから離脱する向きに移動させられ、ロック位置の方向に復帰する。この場合、スライド部材14がロック位置に到達しても、スライド部材14のカム溝14eと係合しているピン部材17がカム溝14eの一部に係止しないので、スライド部材14の動きが規制されず、前記ロック位置で停止させることができない。そのため、スライド部材14及びカード31は、前記ロック位置を通過し、カード31の挿入方向と反対の方向に更に移動する。
【0050】
そして、スライド部材14及びカード31は、スライド部材14の前端がストッパ部11gに当接することによって停止する。この場合、カード31の第1切欠部36及び第2切欠部37と、カード案内機構のスライド部材14の第1係合部14a及び第2係合部14bとの係合が解除されることがない。すなわち、スライド部材14が図1に示されるような位置に復帰しても、カード31は、スライド部材14の第1係合部14a及び第2係合部14bによって仮保持された状態となっているので、カード用コネクタ10から飛出すことがない。そのため、カード31を紛失する恐れがない。
【0051】
なお、カード31は、スライド部材14の第1係合部14a及び第2係合部14bがカード31を仮保持する強さは、スライド部材14がストッパ部11gに当接して停止させられたときにも、カード31を離脱させることがない程度の強さであるが、利用者が手指等によってカード31を引張る強さよりは十分に弱い強さである。そのため、ストッパ部11gに当接して停止しているスライド部材14の第1係合部14a及び第2係合部14bによって仮保持されているカード31は、利用者が手指等によって引張ることによって、容易にスライド部材14から離脱させることができる。
【0052】
次に、カード31が誤挿入された場合の動作について説明する。なお、本実施の形態においては、説明の都合上、カード31が裏表逆向きで挿入された場合についてのみ説明する。
【0053】
図5は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第1の斜視図、図6は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第2の斜視図、図7は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第3の斜視図、図8は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示す分解図、図9は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取付けた状態の斜視図、図10は本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取付けた状態の要部拡大透視図である。
【0054】
利用者が、カード31の姿勢に十分な注意を払うことなく、カード31をカード用コネクタ10の前方から挿入すると誤挿入が起こり得る。図5に示される例においては、カード31が裏表逆向き、すなわち、コンタクトパッド32が配設された面がシェル12の天面12aと対向し、コンタクトパッド32が配設されていない面が基板21と対向するような姿勢で挿入される。なお、図5においては、説明のために、シェル12を取除いた状態が示されている。
【0055】
そして、カード31の前端33がカード用コネクタ10内に挿入されると、前端33における第2側35側の角部としての第2前端角部33bがスライド部材14のテーパ面14cに当接する。該テーパ面14cは、スライド部材14の内側の側面から突出する第1係合部14aにおけるカード31の挿入方向に関して手前側に形成された面であるので、この状態でカード31を前進させると、第2前端角部33bがテーパ面14cによってガイドされ、カード31全体が第2側壁部11dの方向に移動する。すなわち、カード31は、第2側壁部11dに接近するように、その幅方向に移動する。
【0056】
ここで、前記カード31の幅は、直線部36aにおいては他の部分より狭くなっている。そして、前記直線部36aは、第1係合部14aと係合する第1切欠部36の一部であるから、直線部36aにおけるカード31の幅と他の部分におけるカード31の幅との差は、前記第1係合部14aの突出量とほぼ対応する。そのため、カード31は、前記第1係合部14aの突出量だけ第2側壁部11dの方向に移動することができる。すなわち、誤挿入されたカード31は、スライド部材14の第1係合部14aを避けるようにして、挿入方向に前進する。
【0057】
そして、第2側当接部11hからテーパ面14cの後壁部11b側の端部までの長さがカード31の直線部36aの長さよりも短い場合には、図6に示されるように、段部36bが段部当接部11iに当接する前に、カード31全体の第2側壁部11dの方向への移動が完了している。これにより、前記直線部36aは、第2側壁部11dの内側面に接触、又は、近接した状態となっている。なお、カード31の第2側35は、第2側当接部11hから大きく離間している。
【0058】
続いて、利用者がカード31をプッシュして更に押込もうとして該カード31の後端38に挿入方向の力を加えると、カード31の第2前端角部33bがスライド部材14に当接し、テーパ状の段部36bが段部当接部11iに当接し、かつ、第2側35が第2側当接部11hから大きく離間しているので、カード31は、後端38がハウジング11の第1側壁部11cに向かう方向、すなわち、図6における上方から観て反時計回り方向に回動する。そして、図10に示されるように、カードの第1前端角部33aが前端係合凹部11jに侵入し、後端壁11nに当接すると、第1前端角部33aの侵入が停止して、カードの前進が制限され、図7〜10に示されるような状態となる。なお、説明のために、図7においてはシェル12を取除いた状態が示され、図8においてはシェル12がともに示され、図9においてはシェル12が取付けられた状態が示され、図10においては前端係合凹部11jを拡大した透視図が示されている。
【0059】
本実施の形態において、シェル12は、図8に示されるように、ハウジング11の第2側壁部11dに対応する側壁から内側に向かって突出するように形成された第1サポート部12b、及び、ハウジング11の第1側壁部11cの前端に対応する位置から下方に向かって突出するように形成された第2サポート部12cを有する。そして、シェル12がハウジング11に取付けられた状態においては、図9及び10に示されるように、第1サポート部12bがハウジング11の前端当接サポート部11kに係合して前端係合凹部11jの後端壁11nを支持し、第2サポート部12cがハウジング11の第2側当接サポート部11mに係合して第2側当接部11hを支持するようになっている。
【0060】
また、図7〜10に示されるように、カード31は、挿入方向に対して傾斜した姿勢となり、図7に明確に示されるように、カード31の第2側35が第2側当接部11hに当接した状態となる。この場合、図10に明確に示されるように、第1前端角部33aが前端係合凹部11jの後端壁11nに当接している。したがって、誤挿入されたカード31は、複数箇所がハウジング11の複数箇所に当接することによって前進が阻止される。すなわち、第1前端角部33aが前端係合凹部11jの後端壁11nに当接し、第2側35が第2側当接部11hに当接し、かつ、段部36bが段部当接部11iに当接することによって、前記カード31の前進が阻止される。この場合、ハウジング11の前端係合凹部11j、第2側当接部11h及び段部当接部11iがカード31の誤挿入を防止する誤挿入防止部材として機能する。
【0061】
そして、前記前端係合凹部11j、第2側当接部11h及び段部当接部11iが、カード31の第1前端角部33a、第2側35及び段部36bに当接することによって、カード31は、図7〜10に示される位置で停止させられる。そのため、図7及び8に示されるように、端子13の先端部13bは、カード31のコンタクトパッド32が配設されていない面が当接することがないので、損傷を受けることがない。
【0062】
また、カード31は、第1前端角部33a、第2側35及び段部36bでハウジング11と当接するので、カード31の前進を阻止する反力を複数箇所で分散して受けることとなる。そのため、ハウジング11からの反力を受けてもカード31が損傷してしまうことがない。さらに、カード31が当接する前端係合凹部11j、第2側当接部11h及び段部当接部11iが、合成樹脂等の絶縁性材料から成り、金属のような硬い材料から成るものでないので、カード31が損傷してしまうことがない。
【0063】
一方、ハウジング11は、前端係合凹部11j、第2側当接部11h及び段部当接部11iでカード31と当接するので、該カード31を挿入する力を複数箇所で分散して受けることとなる。そのため、カード31からの力を受けてもハウジング11が損傷してしまうことがない。また、前端係合凹部11jの後端壁11nは、シェル12の第1サポート部12bが前端当接サポート部11kと係合することによって支持されているので、カード31からの力を受けても変形したり破損したりしてしまうことがない。同様に、第2側当接部11hは、シェル12の第2サポート部12cがハウジング11の第2側当接サポート部11mと係合することによって支持されているので、カード31からの力を受けても変形したり破損したりしてしまうことがない。なお、第1サポート部12bの先端を折曲げ等の加工を施すことによって、カード31がシェル12の角部に直接当らないようにし、第1サポート部12bで直接カード31の前端33を受け、前端係合凹部11jの後端壁11nで第1サポート部12bを支持するようにしてもよい。
【0064】
なお、本実施の形態においては、カード用コネクタ10がカード案内機構を有し、第1側壁部11cから第2側壁部11dに向けて突出する突出部がスライド部材14の第1係合部14aである場合についてのみ説明したが、前記カード用コネクタ10はカード案内機構を有していないものであってもよい。この場合、前記突出部は、カード31の段部36aと当接するテーパ面14cを含み、第1側壁部11cから第2側壁部11dに向けて突出するものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、第1側壁部11cに取付けられた突起状の弾性体であってよい。
【0065】
このように、本実施の形態において、カード用コネクタ10は、カード31が挿入されるハウジング11を有し、該ハウジング11は、適正な姿勢で挿入されたカード31の第1側34及び第2側35と各々対向し、カード31の挿入方向に延在する第1側壁部11c及び第2側壁部11d、カード31の段部36bと当接するテーパ面14cを含み、第1側壁部11cから第2側壁部11dに向けて突出する突出部、並びに、誤挿入されたカード31の第1前端角部33aが進入可能に第2側壁部11dに形成された前端係合凹部11jを備える。
【0066】
そのため、誤挿入されたカード31が前記テーパ面14cに沿って進行すると、カード31の段部36bが第2側壁部11dの手前側端に当接して回動し、カード31の第1前端角部33aが前端係合凹部11jに進入する。これにより、ハウジング11の複数箇所が誤挿入されたカード31の複数箇所に当接してカード31の前進を阻止することができ、カード31から受ける力によってハウジング11が損傷を受けることがなく、カード31に損傷を与えることがなく、小型のカード31であっても誤挿入を確実に防止することができる。したがって、簡単な構成でありながら、誤挿入されたカード31を確実に阻止することができる。また、誤挿入を防止するための部材を別途取付ける必要がないので、部品数が増加することがなく、コストが高くなることがない。さらに、カード31が損傷を受けることもない。
【0067】
また、前記カード用コネクタ10は、スライド部材14、及び、該スライド部材14をカード31の挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材15を備え、スライド部材14をロック位置で停止させるとともに、カード31を挿入方向に押込むプッシュ動作によってスライド部材14が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、付勢部材15の付勢力によって、スライド部材14を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させてカード31を排出するカード案内機構を有し、前記突出部がスライド部材14の第1係合部14aである。この場合、プッシュ/プッシュの動作によって、カード31の挿入及び排出を容易に行うことができる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0069】
図11は本発明の第2の実施の形態における誤挿入の動作を示す分解図である。
【0070】
前記第1の実施の形態におけるカード用コネクタ10が、コンタクトパッド32が配設された面が基板21と対向し、コンタクトパッド32が配設されていない面がシェル12の天面12aと対向するような姿勢でカード31が挿入されるものであるのに対し、本実施の形態におけるカード用コネクタ10は、コンタクトパッド32が配設された面がシェル12の天面12aと対向し、コンタクトパッド32が配設されていない面が基板21と対向するような姿勢でカード31が挿入されるものである。すなわち、前記第1の実施の形態において裏表逆向きとなっている誤挿入の場合のカード31の姿勢が、本実施の形態におけるカード用コネクタ10に正規挿入の場合のカード31の姿勢である。
【0071】
そのため、本実施の形態において、カード31の挿入方向に関するハウジング11及びシェル12の各部の位置関係は、前記第1の実施の形態におけるハウジング11及びシェル12の各部の位置関係と左右が逆になっている。また、後壁部11bには、前後方向に貫通するように形成された端子装填孔11qが複数形成され、該端子装填孔11qに端子13の根本部が挿入されて取付けられている。そして、該端子13は、ハウジング11の前縁側に向けて延在し、先端部13bが下方に向けて突出し、カード31の上向きの面に配設されたコンタクトパッド32に接触して電気的に接続される。
【0072】
その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
そして、カード31が適正に挿入される正規挿入の場合の動作は、カード31の姿勢が裏表逆向きとなっている以外の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
また、カード31が誤挿入された場合の動作も、カード31の姿勢が前記第1の実施の形態における誤挿入の場合と裏表逆向きとなっている以外の点については、前記第1の実施の形態と同様である。すなわち、図11に示されるように、回動が停止した状態において、カード31は、挿入方向に対して傾斜した姿勢となり、第1前端角部33aが前端係合凹部11j内に進入し、第2側35が第2側当接部11hに当接し、かつ、段部36bが段部当接部11iに当接することによって、前記カード31の前進が阻止される。
【0075】
その他の点については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
本実施の形態におけるカード用コネクタ10のように、端子13がハウジング11の前縁側に向けて延在しているコネクタでは、カード31が誤挿入されて端子13と接触した場合に、該端子13が座屈してしまう可能性が高い。しかし、本実施の形態では、ハウジング11の前端係合凹部11j、第2側当接部11h及び段部当接部11iがカード31の誤挿入を防止する誤挿入防止部材として機能するので、誤挿入されたカード31が端子13と接触することがない。そのため、端子13が座屈してしまうことがない。
【0077】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるカードの電極側面を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるカードの反電極側面を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第1の斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第2の斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取除いた状態の第3の斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示す分解図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取付けた状態の斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における誤挿入の動作を示すシェルを取付けた状態の要部拡大透視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における誤挿入の動作を示す分解図である。
【図12】従来のカード用コネクタを示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10 カード用コネクタ
10a 第1側辺
10b 第2側辺
11 ハウジング
11a 底壁部
11b 後壁部
11c 第1側壁部
11d 第2側壁部
11e 端子装填溝
11f 係止部
11g ストッパ部
11h 第2側当接部
11i 段部当接部
11j 前端係合凹部
11k 前端当接サポート部
11m 第2側当接サポート部
11n 後端壁
11p 前端部
11q 端子装填孔
12 シェル
12a 天面
12b 第1サポート部
12c 第2サポート部
13、308 端子
13a ソルダーテール部
13b 先端部
14 スライド部材
14a 第1係合部
14b 第2係合部
14c テーパ面
14e カム溝
14f 平面
15 付勢部材
17 ピン部材
21 基板
22 相手側端子部
31 カード
32 コンタクトパッド
33 前端
33a 第1前端角部
33b 第2前端角部
34 第1側
35 第2側
36 第1切欠部
36a 直線部
36b 段部
37 第2切欠部
38 後端
38a 肉厚部
301 筐体
302 ベース
303 カバー
304 カード挿入口
305 ガイド溝
306 面板部
307 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)端子部材(32)を備えるカード(31)を収容するハウジング(11)と、
(b)該ハウジング(11)に取付けられ、前記カード(31)の端子部材(32)と接触する接続端子(13)と、
(c)前記ハウジング(11)に取付けられ、平板部(12a)を備えるケース(12)とを有し、前記カード(31)が前記ハウジング(11)に挿入されるカード用コネクタ(10)であって、
(d)前記カード(31)は、第1側(34)の前端(33)寄りに形成された第1切欠部(36)、及び、前記第1側(34)に対向し、前記前端(33)の第2角部(33b)から後端(38)まで直線状に延在する第2側(35)を備え、
(e)前記第1切欠部(36)は、前記前端(33)の第1角部(33a)から直線状に延在する直線部(36a)、及び、該直線部(36a)の後端(38)側に接続されたテーパ状の段部(36b)を含み、
(f)前記ハウジング(11)は、適正な姿勢で挿入されたカード(31)の第1側(34)及び第2側(35)と各々対向し、前記カード(31)の挿入方向に延在する第1側壁部(11c)及び第2側壁部(11d)、前記段部(36b)と当接するテーパ面(14c)を含み、前記第1側壁部(11c)から第2側壁部(11d)に向けて突出する突出部(14a)、並びに、誤挿入されたカード(31)の第1角部(33a)が進入可能に前記第2側壁部(11d)に形成された係合凹部(11j)を備えることを特徴とするカード用コネクタ(10)。
【請求項2】
(a)前記ハウジング(11)に適正な姿勢で挿入されたカード(31)を挿入方向と反対の方向へ押圧するスライド部材(14)、及び、該スライド部材(14)をカード(31)の挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材(15)を備え、前記スライド部材(14)をロック位置で停止させるとともに、前記カード(31)を前記挿入方向に押込むプッシュ動作によってスライド部材(14)が前記挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材(15)の付勢力によって、前記スライド部材(14)を終端点から前記挿入方向と反対の方向に移動させてカード(31)を排出するカード案内機構を有し、(b)前記スライド部材(14)が前記突出部(14a)を含む請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項3】
前記第1側壁部(11c)及び第2側壁部(11d)は、誤挿入されたカード(31)の第2側(35)及び段部(36b)が当接可能な第2側当接部(11h)及び段部当接部(11i)を、前記挿入方向の手前側端に各々含む請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項4】
前記段部当接部(11i)から係合凹部(11j)までの長さは、前記直線部(36a)の長さよりも長い請求項3に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項5】
前記係合凹部(11j)の深さは、前記第1角部(33a)の半径より大きい請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項6】
前記第2側当接部(11h)からテーパ面(14c)までの長さは、前記直線部(36a)の長さよりも短い請求項3に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項7】
(a)前記ハウジング(11)は、前記係合凹部(11j)より前記挿入方向の奥側に形成された凹部(11k)を備え、
(b)前記ケース(12)は、前記凹部(11k)と係合する第1サポート部(12b)を備える請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項8】
(a)前記ハウジング(11)は、前記第2側当接部(11h)に形成された凹部(11m)を備え、
(b)前記ケース(12)は、前記凹部(11m)と係合する第2サポート部(12c)を備える請求項3に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項9】
(a)端子部材(32)を備えるカード(31)を収容するハウジング(11)と、
(b)該ハウジング(11)に取付けられ、前記カード(31)の端子部材(32)と接触する接続端子(13)と、
(c)前記ハウジング(11)に取付けられ、平板部(12a)を備えるケース(12)とを有し、前記カード(31)が前記ハウジング(11)に挿入されるカード用コネクタ(10)であって、
(d)前記カード(31)は、第1側(34)の前端(33)寄りに形成された第1切欠部(36)、及び、前記第1側(34)に対向し、前記前端(33)の第2角部(33b)から後端(38)まで直線状に延在する第2側(35)を備え、
(e)前記カード用コネクタ(10)の第1側辺(10a)は、適正な姿勢で挿入されたカード(31)の第1切欠部(36)と係合する係合部(14a)を備え、
(f)該係合部(14a)は、誤挿入されたカード(31)を前記カード用コネクタ(10)の第2側辺(10b)に向けて移動させる傾斜面(14c)を含み、
(g)前記第2側辺(10b)は、誤挿入されたカード(31)の第1切欠部(36)の段部(36b)と当接して前記カード(31)を傾動させる段部当接部(11i)、及び、前記カード(31)の前端(33)と当接する受部(11n)を備えることを特徴とするカード用コネクタ(10)。
【請求項10】
前記第1側辺(10a)は、誤挿入されたカード(31)の第2側(35)と当接する保持部(11h)を備え、前記カード(31)が前記受部(11n)及び保持部(11h)によって支持される請求項9に記載のカード用コネクタ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−234465(P2007−234465A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56326(P2006−56326)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】