説明

カード用コネクタ

【課題】SDメモリーカードが装着されたことを検出するスイッチをワイピング距離が長くなる構成として、スイッチの信頼性を向上させて、メモリーカード用コネクタの信頼性を向上させることを課題とする。
【解決手段】第1の検出スイッチ140は、可動端子部材141と、固定端子部125とよりなる。可動端子部材141は、基部142より延びている腕部145と、腕部145の先端のコンタクト部146とを有する。コンタクト部146は、リード部147、148を有し、馬蹄形状である。固定端子部125は、カバー部材120の側板部123に切り起して形成してあり、ラグ部126、127を有し、断面が略台形である。SDメモリーカードが装着されたとき、コンタクト部146は腕部145の撓む方向と同じ方向に変位し、リード部147、148の先端部147a、148aはラグ部126、127を跨いでこれを擦りつつ移動し、第1の検出スイッチ140はオンとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード用コネクタに係り、特に、ディジタルカメラ等の電子機器に組み込まれ、メモリーカードが装着可能である構成のメモリーカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラ、携帯オーディオ機器、携帯電話機、電子複写機等の電子機器にはメモリーカード用コネクタが組み込んであり、電子機器は、半導体記憶素子が内蔵してあるメモリーカードをメモリーカード用コネクタに装着された状態で使用される。
【0003】
現在は、複数種類のメモリーカードが存在しており、メモリーカード用コネクタに装着された状態を検出する方式は、メモリーカードの種類によって相違し、メモリーカード自体の端子群のうち所定の端子がメモリーカード用コネクタ内の対応するコンタクトに接触することで検出する方式と、メモリーカードの側面がメモリーカード用コネクタ内に設けてあるスイッチを押してスイッチを動作させることで検出する方式とがある。メモリースティック(商標)及びメモリースティックDuo(商標)は前者であり、SDメモリーカード(商標)及びMMC(マルチメディアカード)(商標)は後者である。
【0004】
また、SDメモリーカード20は、図1(A)に示すように、そのX2側の側面21の凹部22にノブ23が、書き込み禁止位置P1と書き込み可能位置P2との間でスライド可能に設けてある構成である。
【0005】
よって、SDメモリーカードが装着されるメモリーカード用コネクタは、内部に、装着されたSDメモリーカード自身を検出するためのスイッチ及びノブ23の位置を検出するためのスイッチを備えた構成となっている。
【0006】
図1(A)は従来のメモリーカード用コネクタ1をそのカバーを取り外した状態で示す。メモリーカード用コネクタ1には、装着されたSDカード20のノブ23の位置を検出するスイッチ10が設けてある。SDメモリーカード自身を検出するためのスイッチは省略してあるが、通常は、メモリーカード用コネクタ1の奥側に配置してある。
【0007】
スイッチ10は、固定端子11と可動端子12とよりなる構成である。可動端子12は、途中にU字形状部12aを有し、先端に突起部12bを有する。
【0008】
ノブ23が書き込み可能位置P2に設定してあるSDメモリーカード10がメモリーカード用コネクタ1内に挿入されて装着されると、図1(B)に示すようになり、可動端子12は、U字形状部12aをノブ23によって押されて撓まされ、突起部12bが固定端子11に接触して、スイッチ10はオンとなる。
【特許文献1】特開2001−167844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、可動端子と固定端子とを備えたスイッチにおいては、可動端子と固定端子の間に異物が挟まることが原因での接触不良を起すことがある。上記のスイッチ10において、可動端子12の突起部12bと固定端子11の間に異物が挟まることが原因での接触不良を回避するには、突起部12bが固定端子11の面を擦りつつ移動するワイピング距離を出来るだけ長くとることが重要である。
【0010】
しかし、上記のスイッチ10の場合には、ワイピングの方向は、U字形状部12aが押される方向X2に対して直交する方向Y1であり、ワイピングの距離は極く短い。このため、スイッチ10の信頼性、即ち、メモリーカード用コネクタ1の信頼性を高くすることは困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題を解決したカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、装着されたカードによって押されて弾性的に撓まされる可動端子と該可動端子と離間対向する固定端子を有する検出スイッチを備えたカード用コネクタであって、
前記可動端子は、装着されたカードによって押されて弾性的に撓まされる腕部と、該腕部より前記腕部の撓む方向と同じ方向に延在しているコンタクト部とを有する構成であり、
前記固定端子は、前記腕部が撓まされたときに前記コンタクト部によって擦られる形状を有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記コンタクト部が前記腕部の撓む方向と同じ方向に変位して前記固定端子に接触してこれを擦る構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
コンタクト部が腕部の撓む方向と同じ方向に変位して固定端子に接触してこれを擦るため、コンタクト部が固定端子を擦る距離、即ち、ワイピング距離を従来に比べて格段に長くすることが出来、これによって、検出スイッチの信頼性が向上し、ひいては、カード用コネクタの信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
各図中、X1−X2は幅方向、Y1−Y2は長手方向、Z1−Z2は厚さ(高さ)方向である。Y1はメモリーカードをメモリーカード用コネクタに挿入する方向、Y2はメモリーカードがイジェクトされる方向である。
【0016】
図2は本発明の実施例1になるメモリーカード用コネクタ60を示し、図3はメモリーカード用コネクタ60を分解して示し、図4はメモリーカード用コネクタ60の断面を示す。
[メモリーカード用コネクタ60の概略構造]
図2、図3、及び図4を参照するに、メモリーカード用コネクタ60は、下段ハウジングモジュール70と、この上面に重ねられた上段ハウジング100と、この上段ハウジング100を覆う金属板製のカバー部材120とを有し、内部に、排他部材130と、第1の検出スイッチ140と、第2の検出スイッチ160とを有し、Y2端に挿入口61を有し、且つ、挿入口61が下段ハウジングモジュール70に対応する下段挿入口62と上段ハウジング100に対応する上段挿入口63とよりなる構成である。
【0017】
このメモリーカード用コネクタ60は、プリント回路基板上に実装されて電子機器内に組み込まれ、挿入口61が電子機器の外面に露出している。
【0018】
メモリーカード用コネクタ60は、下段挿入口62を利用して、SDメモリーカード20、メモリースティック30、マルチメディアカード40が選択的に装着可能であり、上段挿入口63を利用して、メモリースティックDuo50が装着可能である構成である。
【0019】
ここで、メモリースティック30とメモリースティックDuo50とは、端子の配置が同じであり、メモリースティックDuo50はメモリースティック30の3/5の長さである関係にある。SDメモリーカード20とマルチメディアカード40とは、外形寸法が略同じであり、長さはメモリースティックDuo50の長さと略同じで、幅はメモリースティック30の幅より少し広く、且つ端子の配置が同じであり、SDメモリーカード20がノブ23を有する点が相違する。
[下段ハウジングモジュール70の構造]
特に図3に示すように、下段ハウジングモジュール70は、インサート成形部品であり、合成樹脂製の下段ハウジング本体71に、コンタクト部材80とダブルコンタクト部材90とがインサート成形されている。また、下段ハウジング本体71に、可動端子部材141,161が圧入されて固定してある。
【0020】
下段ハウジング本体71は、大略、X1側のフレームロッド72と、X2側のフレームロッド73と、3つの横架部74,75,76とを有する四角のフレーム形状である。フレームロッド72、73は、内側に、ガイド溝72a、73aを有する。
【0021】
コンタクト部材80は、下段挿入口62の近くに位置する横架部74にインサートしてあり、SDメモリーカード20及びマルチメディアカード40の双方の端子に対応して並んでいる。
【0022】
ダブルコンタクト部材90は、Y1端の横架部76にインサート成形してある。ダブルコンタクト部材90は、図5に示すように、短い長さのコンタクト腕部91と長い長さのコンタクト腕部92とを有し、根元93の箇所でコンタクト腕部91とコンタクト腕部92とがつながっており、根元93の箇所よりY1方向にリード端子部94が延びている形状であり、コンタクト腕部91を横架部76にインサート成形してある。コンタクト腕部91は、メモリースティック30の端子の配置に対応して並んでいる。コンタクト腕部92は、フレームロッド72、73よりZ1側の高さ位置にあって、Y2方向に延在しており、メモリースティックDuo50の端子の配置に対応して並んでいる。コンタクト腕部92は、先端に逆V字形状のコンタクト部92aを有し、これに続く部分にバルジ部92bを有する。リード端子部94
[上段ハウジング100の形状]
特に図3に示すように、上段ハウジング100は、合成樹脂製の成形部品であり、X1側のフレームロッド101と、X2側のフレームロッド102と、2つの横架部103,104とを有するフレーム形状である。フレームロッド101、102は、内側に、ガイド溝101a、102aを有する。
【0023】
横架部104には、複数の貫通孔105が形成してある。貫通孔105は、コンタクト腕部92に対応しており、コンタクト部92aが貫通し、バルジ部92bが圧入される大きさであり、Y1側の入口にはテーパ部が形成してある。
[カバー部材120の形状]
図3に示すように、カバー部材120は、天板部121と、両側の側板部122,123と、Y1側の板部124を有する。
【0024】
側板部123には、第1の検出スイッチ140の固定端子部125と第2の検出スイッチ160の固定端子部129とが形成してある。
[誤挿入防止部材130の形状]
図3に示すように、誤挿入防止部材130は、両側に三角部131,132を有し、両端より軸部133,134が突き出ている形状である。
[メモリーカード用コネクタ60の詳細な構造]
メモリーカード用コネクタ60は、下段ハウジングモジュール70上に、上段ハウジング100が、コンタクト部92aと嵌合して、且つ、突起101b、102bが夫々凹部72b、73bに嵌合され、突起101c、102cが夫々凹部72c、73cに嵌合されて位置決めしてあり、カバー部材120が重なりあっている下段ハウジングモジュール70及び上段ハウジング100を覆って、側板部122,123の開口122a、123aが下段ハウジング本体71の突起72d、73dに嵌合して固定してあり、誤挿入防止部材130が下段ハウジング本体71と上段ハウジング100との間に支持されている構成である。X方向に並んでいる複数のリード端子部94は良好な面精度を有する。また、メモリーカード用コネクタ60は、内部に第1の検出スイッチ140と第2の検出スイッチ160とを有する。第1、第2の検出スイッチ140,160については後述する。
【0025】
図2及び図4に示すように、下段ハウジングモジュール70は、内部に、SDメモリーカード20、メモリースティック30、マルチメディアカード40が装着されるための空間を有する。上段ハウジング100は、内部に、メモリースティックDuo50が装着されるための空間を有する。
【0026】
メモリースティックDuo50が装着されていない場合に、メモリーカード用コネクタ60には、下段挿入口62を通して、SDメモリーカード20、メモリースティック30、マルチメディアカード40が選択的に装着される。SDメモリーカード20はその端子がコンタクト部材80と接触した状態となって装着される。マルチメディアカード40もその端子がコンタクト部材80と接触した状態となって装着される。メモリースティック30はその端子がコンタクト腕部91と接触した状態となって装着される。
【0027】
逆に、SDメモリーカード20、メモリースティック30、マルチメディアカード40が装着されていない場合に、メモリーカード用コネクタ60には、上段挿入口63を通して、メモリースティックDuo50が装着される。メモリースティックDuo50はその端子がコンタクト腕部92と接触した状態となって装着される。
【0028】
SDメモリーカード20、メモリースティック30、マルチメディアカード40のうちの何れかが装着されている場合には、装着されているメモリーカード自体が下段挿入口62を塞いでおり、下段挿入口62を通って他のメモリーカードが装着されることが禁止されている。また、SDメモリーカード20等が装着されている場合には、誤挿入防止部材100が装着されたSDメモリーカード20等によってY1方向に押されて、図4中反時計方向に約90度回動されて三角部131,132が上段ハウジング100の内部の空間に突き出ており、上段ハウジング80内へのメモリースティックDuo50の装着を禁止している。また、メモリースティックDuo50が装着されている場合には、誤挿入防止部材100は装着されているメモリースティックDuo50によって押さえられて、三角部131,132が下段ハウジング本体71の内部の空間に突き出ており、下段ハウジング本体71内へのSDメモリーカード20、メモリースティック30、或いはマルチメディアカード40の装着を禁止している。
[第1の検出スイッチ140及び第2の検出スイッチ160の構造]
図6(A)、図7(A)は、第1の検出スイッチ140の通常の状態、即ち、オフの状態を示す。図6(B)、図7(B)は、第1の検出スイッチ140が動作してオンとなった状態を示す。図8は第1の検出スイッチ140の可動端子部材141及び第2の検出スイッチ160の可動端子部材161と、下段ハウジング本体71のうちこれらが圧入されて固定される部分を対応させて示す。
【0029】
下段ハウジング本体71のフレームロッド73の上面は、可動端子部材141及び可動端子部材161が圧入されて固定されて収まる形状となっている。
【0030】
第1の検出スイッチ140は、SDメモリーカード20又はマルチメディアカード40が装着されたことを検出するためのものであり、可動端子部材141と、カバー部材120の側板部123に切り起して形成してある固定端子部125とよりなる。
【0031】
図7の可動端子部材141は、フレームロッド73に固定してある向きと同じ向きで示してある。
【0032】
可動端子部材141は、金属板をプレス成形してなる部品であり、基部142と、基部142より異なる方向に延びているバルジ部143、リード端子部144及び長い腕部145と、腕部145の先端のコンタクト部146とを有する。コンタクト部146は、馬蹄形状であり、立体的である。
【0033】
バルジ部143は基部142よりZ2方向に折り曲げられており、リード端子部144はL字形状とされて基部142よりY1方向に延在している。
【0034】
腕部145は、基部142のうちZ1方向に折り曲げられている部分142aよりY2方向に延在し、Y−Z面内に位置しており、先端がX2方向に変位するように弾性的に撓みうる。腕部145は、X1方向に突き出たV字形の先端部145aを有する。
【0035】
コンタクト部146は、二つの対称なリード部147、148よりなる。リード部147、148は、腕部145と直交する方向、即ち、Z1及びZ2方向に延びており、クランク形状を有し、且つ、X2方向に曲げてあり、Y2側から見て横向きの馬蹄形状となっている。リード部147、148は、腕部145よりX2方向に、即ち、腕部145の弾性的に撓む方向と同じ方向に延在している。図6(A)に併せて示すように、リード部147、148は、対向する方向に突き出た先端部147a、148aを有する。また、リード部147、148は、先端部147a、148aの間の間隔が狭まるように対称に傾斜している。角度αは約10度である。
【0036】
可動端子部材141は、バルジ部143をフレームロッド73のスリット73fに圧入されて基部142を固定されて取り付けてあり、コンタクト部146は、先端側が開口部73eに対向しており、腕部145が撓むことによってX1−X2方向に変位可能である。即ち、コンタクト部146は腕部145の先端が撓む方向と同じ方向に変位する。
【0037】
固定端子部125は、図6(A)及び図7(A)に示すように、カバー部材120の側板部123に切り起して形成してあり、断面が略台形であり、共に側板部123よりX2方向に折り曲げてあるラグ部126、127を有する。Z1側のラグ部126とZ2側のラグ部127とは、根元側から見て先端部の間の間隔が広がるように対称に傾斜している。即ち、ラグ部126とラグ部127とは、コンタクト部146が移動する方向(X2の方向)に対して互いに外側に傾斜している。角度βは約25度である。即ち、固定端子部125は、コンタクト部146が腕部145の先端が撓む方向と同じ方向に変位したときに先端部147a、148aによって擦られるような形状を有する。βとαとは、β>αの関係にある。
【0038】
図7(A)に示すように、コンタクト部146は固定端子部125に離間対向している。第1の検出スイッチ140はオフである。
【0039】
SDメモリーカード20又はマルチメディアカード40が挿入されて装着されると、SDメモリーカード20又はマルチメディアカード40のX2側の側面のうち挿入方向先端に近い部分が、腕部145の先端部145aをX2方向に押し退け、腕部145がX2方向に撓み、コンタクト部146がX2方向に変位し、固定端子部125に接近し、先端部147a、148aが夫々ラグ部126、127に接触し、ラグ部126、127の表面を擦りつつラグ部126、127に乗りあがるように移動し、リード部147、148が固定端子部125に跨った状態となり、最終的には図7(B)に示すようになり、第1の検出スイッチ140はオンとなる。
【0040】
ここで、コンタクト部146が変位する方向(X2方向)が腕部145の撓む方向(X2方向)と同じであるため、先端部147a、148aが夫々ラグ部126、127を擦りつつ移動する距離L10は、従来のスイッチに比べて、数倍に長くなる。これによって、異物を除去するワイピング作用は従来に比べて強くなる。
【0041】
また、コンタクト部146が固定端子部125と接触すると、リード部147、148は先端部の間の間隔を強制的に拡げられ、弾性的に撓まされ、先端部147a、148aのラグ部126、127への押し付け力は増加する。これも、異物を除去するワイピング作用を強くする。
【0042】
また、コンタクト部146のリード部147、148が固定端子部125を挟む状態となるため、図6(A)に示す状態において、コンタクト部146が固定端子部125に対してZ方向に少しずれていた場合であっても、コンタクト部146が固定端子部125と接触する過程で、コンタクト部146の位置が矯正され、先端部147a、148aのラグ部126、127への接触は安定になされる。
【0043】
よって、第1の検出スイッチ140は従来に比べて高い信頼性を有し、メモリーカード用コネクタ60は比べて高い信頼性を有する。
【0044】
第2の検出スイッチ160は、SDメモリーカード20のノブ23が書き込み可能位置P2に設定されていることを検出するためのものであり、可動端子部材161と、カバー部材120の側板部123に切り起して形成してある別の固定端子部128とよりなる。
【0045】
可動端子部材161は、実質的に前記の可動端子部材141と同じであり、腕部165の先端に馬蹄形状のコンタクト部166を有し、固定端子部128も前記の固定端子部125と同じである。
【0046】
よって、第2の検出スイッチ160は、前記の第1の検出スイッチ140と同様に動作し、従来に比べて高い信頼性を有し、メモリーカード用コネクタ60は比べて高い信頼性を有する。
【0047】
なお、第1、第2の検出スイッチ140、160は、一対のリード部のうち一方のリード部を無くし、一つのリード部が固定端子部125のラグ部を擦る構成とすることも可能である。
【0048】
また、フレームロッド73に後述する図9に示す枠部180と似た枠部を設け、第1の検出スイッチ140がオフの状態で、コンタクト部146が枠部によって位置を決められるように構成することも可能である。
【0049】
ここで、ワイピングの方向が腕部の撓む方向に対して直交する方向である場合には、ワイピング距離を長くするには、腕部の長さを相当に長くする必要があり、第1、第2の検出スイッチを並べて配置することが出来ない。しかし、本実施例では、ワイピングの方向が腕部の撓む方向と同じ方向であるため、可動端子部材141,161は長さL1、L2が短くて足り、第1、第2の検出スイッチ140、160をフレームロッド73上に並んで配置することが可能となっている。
【0050】
なお、メモリーカード用コネクタ60は、カバー部材120の脚部が電子機器のプリント回路基板にねじ止めされ且つグランドパターンと半田付けされ、且つ、可動端子部材141のリード端子部144及び可動端子部材161のリード端子部164を検出回路のパターンの端のパッドと半田付けされ、且つ、第1、第2のコンタクト部材111,121の各リード端子部が対応するパッドと半田付けされて、プリント回路基板上に実装されて使用される。よって、第1、第2の検出スイッチ140、160がオンとされると、検出回路が適宜動作して電子機器を制御する。
[第1の検出スイッチ140の変形例の構造]
図9は第1の変形例になる第1の検出スイッチ140Aを示す。
【0051】
第1の検出スイッチ140Aは、可動端子部材141Aと、固定端子部125Aとを有する。
【0052】
可動端子部材141Aは、コンタクト部146Aを有する。コンタクト部146Aは、リード部147A、148Aの先端がすぼまって三角形状となっている。
【0053】
固定端子部125Aは、X1方向に、即ち、メモリーカード用コネクタの内側の方向に曲げてある一つの水平のラグ部170を有する。フレームロッド73は位置決め手段としてのテーパ部171を有する。このテーパ部171がラグ170の先端に位置している。
【0054】
第1の検出スイッチ140Aがオフである状態では、図9(A)に示すように、リード部147A、148Aの先端部147Aa、148Aaがテーパ部171を挟んでおり、コンタクト部146Aは位置を決められている。
【0055】
SDメモリーカード20又はマルチメディアカード40が挿入されて装着され、腕部がX2方向に撓まされ、コンタクト部146AがX2方向に変位し、先端部147Aa、148Aaがテーパ部171を乗り越えて、リード部147A、148Aがその先端部が拡がるように弾性的に変形され、先端部147Aa、148Aaがラグ部170の表面を擦ってワイピングしつつ移動し、図9(B)に示す状態となる。コンタクト部146Aが固定端子部125Aの表面を十分な距離L11に亘ってワイピングする。リード部147A、148Aはラグ部170を弾性的に挟んだ状態となり、第1の検出スイッチ140Aはオンとなる。
【0056】
図10は第2の変形例になる第1の検出スイッチ140Bを示す。
【0057】
第1の検出スイッチ140Aは、可動端子部材141と、固定端子部125Bとを有する。
【0058】
可動端子部材141Bのコンタクト部146Bは、前記の可動端子部材141のコンタクト部146より大きいサイズである。リード部147B、148Bは、先端側が狭くなるように傾斜している。
【0059】
固定端子部125Bは、水平のラグ部126B、127Bを有する。
【0060】
フレームロッド73は位置決め手段としての枠部180を有する。枠部180は案内手段としての上側の横架部181と下側の横架部182とを有する。
【0061】
第1の検出スイッチ140Bがオフである状態では、コンタクト部146は、その先端側が枠部180内に嵌合しており、リード部147Bの先端部分の上面が横架部181に当たっており、リード部148Bの先端部分の下面が横架部182に当たっている。コンタクト部146Aは枠部180によって位置を決められており、固定端子部125Bに対向している。
【0062】
SDメモリーカード20又はマルチメディアカード40が挿入されて装着され、腕部がX2方向に撓まされ、コンタクト部146BがX2方向に変位し、リード部147B、148Bが夫々横架部181,182によって案内されて先端側がすぼまるように変形され、先端部147Ba、148Baが夫々ラグ部126B、127Bが表面を擦ってワイピングしつつ移動し、図9(B)に示す状態となる。コンタクト部146Bが固定端子部125Bの表面を十分な距離L12に亘ってワイピングする。リード部147B、148Bは固定端子部125Bを挟んだ状態となり、第1の検出スイッチ140Bはオンとなる。
[メモリースティック30とコンタクト部材80との関連]
メモリースティック30はコンタクト部材80の上側を越えて奥まで挿入される。また、操作者はメモリースティック30をその後端側をZ1方向に押し上げた状態で下段挿入口62に挿入することもありうる。この場合には、挿入された初期の状態では、メモリースティック30は、図11に示すように、先端側が下がった斜めの姿勢となって、コンタクト部材80の上側を越える。このときに、コンタクト部材80の先端側がZ2方向に過度に撓まされ、場合によってはコンタクト部材80の先端がZ2方向に塑性変形する虞れがある。
【0063】
そこで、本実施例では、下段ハウジング本体71は、横架部75のY2側の一段下がった部分に、即ち、コンタクト部材80の先端と対応する部分に、Z1方向に突き出た突起部75aを有する構成としてある。
【0064】
このため、メモリースティック30がその先端側が下がった斜めの姿勢で挿入された場合でも、メモリースティック30の先端がコンタクト部材80の先端に到る直前に、同じく図11に二点鎖線で示すように、メモリースティック30の先端が突起部75aに乗りあがってZ1方向へ強制的に変位され、この状態でコンタクト部材80の先端部を乗り越える。これによって、コンタクト部材80の先端部のZ2方向への変形量は抑えられ、コンタクト部材80が塑性変形してしまうことは回避される。
【0065】
また、本発明の要部をなす検出スイッチは、メモリーカードに限らず、カード状のものが装着されるカード用コネクタ装置にに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】従来のメモリーカード用コネクタを示す図である。
【図2】本発明の実施例1になるメモリーカード用コネクタを、これに装着される種々のメモリーカードと対応させて示す斜視図である。
【図3】図2のメモリーカード用コネクタを分解して示す斜視図である。
【図4】図2のメモリーカード用コネクタを、IV-IV線を含む垂直面で切断した縦断側面図である。
【図5】ダブルコンタクト部材を示す斜視図である。
【図6】図2のメモリーカード用コネクタの第1の検出スイッチを示す斜視図である。
【図7】第1の検出スイッチを示す断面図である。
【図8】第1、第2の検出スイッチの可動端子部材とこれらが組み込まれる下段ハウジングの部分とを対応させて示す図である。
【図9】第1の検出スイッチの第1の変形例を示す断面図である。
【図10】第1の検出スイッチの第2の変形例を示す断面図である。
【図11】挿入途中のメモリースティックの先端の移動の経路を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
20 SDメモリーカード
23 ノブ
30 メモリースティック
40 マルチメディアカード
50 メモリースティックDuo
60 メモリーカード用コネクタ
61 挿入口
62 下段挿入口
63 上段挿入口
70 下段ハウジングモジュール
71 下段ハウジング本体
80 コンタクト部材
90 ダブルコンタクト部材
91,92 コンタクト腕部
100 上段ハウジング
120 カバー部材
125 固定端子部
126、127 ラグ部
130 誤挿入防止部材
140、140A、140B 第1の検出スイッチ
141 可動端子部材
145 腕部
146 コンタクト部
147,148 リード部
160 第2の検出スイッチ
161 可動端子部材
165 腕部
166 コンタクト部
170 ラグ部
171 テーパ部
180 枠部
181、182 横架部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着されたカードによって押されて弾性的に撓まされる可動端子と該可動端子と離間対向する固定端子を有する検出スイッチを備えたカード用コネクタであって、
前記可動端子は、装着されたカードによって押されて弾性的に撓まされる腕部と、該腕部より前記腕部の撓む方向と同じ方向に延在しているコンタクト部とを有する構成であり、
前記固定端子は、前記腕部が撓まされたときに前記コンタクト部によって擦られる形状を有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記コンタクト部が前記腕部の撓む方向と同じ方向に変位して前記固定端子に接触してこれを擦る構成としたカード用コネクタ。
【請求項2】
前記コンタクト部は、前記腕部より分岐しているリードを曲げて形成してあり、
前記固定端子は、前記カード用コネクタを覆う金属製カバー部材の側板部に切り起して前記リードに対応して形成してあるラグ部を有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記リードが前記ラグ部に接触してこれを擦る請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記ラグ部は、前記コンタクト部が移動する方向に対して傾斜しており、
前記リードの先端が前記ラグ部に接触してこれを擦りつつ移動するにつれて前記リードの先端の前記ラグ部への接触圧が増加する請求項2に記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記コンタクト部は、前記腕部より分岐している一対のリードを曲げて形成してあり、前記腕部の先端側から見て馬蹄形状を有し、
前記固定端子は、前記カード用コネクタを覆う金属製カバー部材の側板部に切り起して前記一対のリードに対応して形成してある一対のラグ部を有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記一対のリードの夫々が前記一対のラグ部の対応するラグ部に接触してこれを擦り、前記一対のリードが前記固定端子を挟む請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記一対のラグ部は、前記コンタクト部が移動する方向に対して互いに外側に傾斜しており、
前記一対のリードの夫々の先端が前記ラグ部に接触して擦りつつ移動するにつれて前記リードの先端の前記ラグ部への接触圧が増加する請求項4に記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記コンタクト部に嵌合して、前記コンタクト部の位置を決める手段を更に有する請求項4に記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
前記コンタクト部は、前記腕部より分岐している一対のリードを曲げて形成してあり、前記腕部の先端側から見て先端側がすぼまっている三角形状を有し、
前記固定端子は、前記カード用コネクタを覆う金属製カバー部材の側板部より前記カード用コネクタの内側の方向に切り起して前記一対のリードに対応して形成してある一つののラグ部を有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記一対のリードの先端側が押し広げられて前記ラグ部の両面に接触してこれを擦り、前記一対のリードが前記ラグ部を挟む請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項8】
前記コンタクト部の先端のすぼまっている部分に嵌合して、前記コンタクト部の位置を決める手段を更に有する請求項7に記載のカード用コネクタ。
【請求項9】
前記コンタクト部は、前記腕部より分岐している一対のリードを曲げて形成してあり、前記腕部の先端側から見て馬蹄形状を有し、
前記固定端子は、前記カード用コネクタを覆う金属製カバー部材の側板部に切り起して前記一対のリードに対応して形成してある一対のラグ部を有し、
前記コンタクト部が変位したときに、曲げてある一対のリードの外側を案内して、前記一対のリードをその先端側がすぼむ方向に変形させる案内手段を更に有し、
前記腕部が撓まされたときに、前記一対のリードの夫々が前記案内手段によってすぼむ方向に変形され前記一対のラグ部の対応するラグ部に接触しこれを擦りつつ移動し、前記一対のリードが前記固定端子を挟む請求項1に記載のカード用コネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうち何れか一項に記載の検出スイッチが、2つ、前記装着されたカードの同じ側面に対向するように配置してある構成のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−110742(P2009−110742A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279949(P2007−279949)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】