説明

カーボンナノチューブ分散液、その製造方法およびそれを用いた導電性材料

【課題】本発明によれば、基材への塗布や各種有機・無機材料との混合において有用なアルコール系有機溶媒へカーボンナノチューブを高濃度かつ均一に分散させた分散液を提供することを課題とする。
【解決手段】2〜5層カーボンナノチューブが50%以上含まれるカーボンナノチューブを用い、環状アミド構造を有するポリマーを用いることによって、アルコール系有機溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度かつ均一に分散させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール系有機溶媒に分散させたカーボンナノチューブ分散液、その製造方法およびそれを用いた導電性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下、CNTという)は、実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層CNT、2層に巻いたものを2層CNT、多層に巻いたものを多層CNTという。CNTはナノテクノロジーの有力な素材として、広範な分野で応用の可能性が検討されている。とりわけカーボンナノチューブは、自体が優れた真性の導電性を有することから導電性材料としての使用、例えば導電性フィルムや導電性樹脂コンポジットなどへの応用が検討されている。カーボンナノチューブをこれらの用途で使用するためにはカーボンナノチューブを溶媒に良好に分散させ、その分散液を基材表面に塗布あるいは材料自体と混合するることが有益であるが、一般にCNTは分散しにくいという問題があり、現状では分散が不完全なまま用いられていることが多い。特に、単層や2〜5層CNTのような層数が少ないCNTは凝集しやすく、分散が困難であった。これは、層数が少ないカーボンナノチューブはチューブ間のファンデルワールス力による凝集力が大きいためであると考えられている。この問題を解決するために、CNT濃度を低くして希薄状態で分散させるということが考えられる。しかし、カーボンナノチューブの濃度が高くなるとカーボンナノチューブ同士の分子間距離が短くなることから急激にファンデルワールス力の影響を受けるようになって凝集してしまうため、安定な高濃度分散液の調製は非常に困難であった。
【0003】
そこで、CNTに種々の界面活性剤を用いて分散させる検討が行われている(例えば特許文献1参照)。ここでは、いくつかの低分子界面活性剤を用いた水分散液を作製している。しかし、この検討で得られたCNT分散液は10000×gの遠心分離によって沈殿する程度の分散であり、本発明において目指している分散液とは異なる「不完全な」分散液である。
【0004】
また、CNTに高分子型分散剤を添加することで分散させる検討も行われている。例えば、CNTを水に分散させるための分散剤として水溶性高分子ポリビニルピロリドン(PVP)が知られている(非特許文献1参照)。この報告によればPVPを分散剤に用いた水分散液を調製しているが、調製されたCNT水分散液は希薄であり、ここからCNT−PVP複合体を回収し、これらを少量の水に再分散させることで1.4g/LのCNT水分散液を調製している。また、この方法で得られる分散液は水系であり、応用範囲が限られる上、分散液の調製、回収、再分散という手間がかかっており実用性が低い。
【0005】
また、特許文献2では、PVPの水分散液を用いた導電性フィルム作製しているが、水分散液にアルコールの一種であるイソプロパノールを添加することによって単層CNTを凝集させて回収しており、PVPを用いてアルコール系分散液を調製するということは、従来技術では想定されていなかった。
【0006】
しかし、CNTの導電性材料としての応用を考えた場合、水分散液ではその応用範囲が限られるため、より広範な用途に用いるためには有機溶媒への分散が望まれている。特に導電性フィルムのように基材への塗布を行う場合、基材を浸食せず、塗布工程をオンライン、オフラインでコーティング対応可能なアルコール系有機溶媒による分散液が望まれていた。
【0007】
一方、CNT分散液を各種用途へ応用する際には、できるだけ少量の分散液添加で最大の効果を出すことが求められる。そのためには、層数が少なくかつ良好にCNTが分散した分散液を用いることが好ましい。このような分散液を用いることによってベースとなる材料本来の特性を損ねることなくCNTの添加効果を最大に発揮することが可能となる。

【特許文献1】特表2004−534714号公報(国際公開第03/006725号パンフレット)
【特許文献2】特許第3665969号公報
【非特許文献1】Michael J. O’Connel et al. Chemical Physics Letters, 13 July 2001, 265-271
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、基材への塗布や各種有機・無機材料との混合において有用なアルコール系有機溶媒へカーボンナノチューブを高濃度かつ均一、安定的に分散可能で、かつ所望の濃度に調整可能な分散液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、2〜5層カーボンナノチューブが50%以上含まれるカーボンナノチューブを用い、環状アミド構造を有するポリマーを用いることによって、アルコール系有機溶媒中にカーボンナノチューブを高濃度かつ均一に分散させることができることを見いだした。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の構成からなる。
(1)高分解能透過型電子顕微鏡で観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であるカーボンナノチューブ、環状アミド構造を有するポリマーおよびアルコール系有機溶媒からなるカーボンナノチューブ分散液。
(2)層数が2〜5層であるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ全体の80%以上であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液。
(3)環状アミド構造を有するポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする(1)または(2)に記載のカーボンナノチューブ分散液。
(4)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が1g/L以上であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
(5)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が4g/L以上であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
(6)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が7g/L以上であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
(7)高分解能透過型電子顕微鏡で観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であるカーボンナノチューブ、環状アミド構造を有するポリマーおよびアルコール系有機溶媒を混合し、物理的衝撃を加えることによってカーボンナノチューブを分散させることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(8)(7)に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、さらに分散されずに残った凝集物を除去することを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(9)分散液に含まれるカーボンナノチューブが分散前に加えたカーボンナノチューブの半量以上あることを特徴とする(8)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(10)層数が2〜5層であるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ全体の80%以上であることを特徴とする(7)から(9)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(11)環状アミド構造を有するポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする(7)から(10)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(12)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が1g/L以上であることを特徴とする(7)から(11)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(13)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が4g/L以上であることを特徴とする(7)から(11)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(14)分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が7g/L以上であることを特徴とする(7)から(11)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(15)請求項1から14のいずれかによって得られたカーボンナノチューブ分散液を基材表面に塗布することによって得られる導電性材料。
(16)基材がフィルム、ガラス、繊維のいずれかである(15)に記載の導電性材料。
(17)(1)から(14)のいずれかによって得られたカーボンナノチューブ分散液を混合することによって得られる導電性材料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カーボンナノチューブが高濃度かつ均一に分散したアルコール系分散液を得ることができる。この分散液は長期保存後も凝集することなく安定であり、任意の希釈を行っても再凝集することがないため、様々な分野への応用が可能である。特に、導電性フィルムを得るために基材表面へ塗布するための塗布液として非常に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で用いるカーボンナノチューブは2〜5層カーボンナノチューブを50%以上含んでいる必要がある。これは高分解能透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブの層数が観察できる倍率、例えば倍率200万倍で観察したとき、複数視野から任意に100本のカーボンナノチューブを選択して層数を調べたときに、2〜5層が50本以上観察されることを意味する。このとき、ある視野で観察される2本のカーボンナノチューブが視野外でつながっていて実質的に1本である場合も考えられるが、視野上でつながって見えなければ2本であるとみなすものとする。残りのカーボンナノチューブは単層であるか6層以上であってもよいが、できるだけ層数が少ない方が好ましい。
【0013】
本発明で用いるカーボンナノチューブは、2〜5層カーボンナノチューブを50%以上含んでいることから、単層CNTと比較してバンドルを形成しにくく分散しやすい。層数は少ないほど好ましいが、少なくとも大部分は2層以上であることが好ましい。単層CNTは表面同士のファンデルワールス力による引力が非常に強く、バンドルを完全にほぐした状態で高濃度で存在することが難しい。一方、2層以上のCNTは単層CNTと比較するとバンドルを組みにくく、かつ表面が酸化されても内部のカーボンナノチューブが守られるなど導電性においても優れているからである。そこで、本発明で用いるカーボンナノチューブとしては、2〜5層カーボンナノチューブを50%以上含んでいることが好ましく、さらに好ましくは80%以上含んでいることが好ましい。上限は理想的には100%である。
【0014】
カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/直径)は高いほど好ましく、10以上であることが効率的に導電性を発現でき好ましい。好ましくは50以上であり、さらに好ましくは100以上である。
【0015】
このようなカーボンナノチューブを得る方法について説明する。グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを製造する方法である触媒化学気相成長法(化学気相成長法の中で担体に遷移金属を担持した触媒を用い炭素含有ガスと接触させる方法)によって合成することができる。カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法でも合成できるが、触媒化学気相成長法で合成したカーボンナノチューブがアモルファスカーボンなどの不純物を少なくできる点でもっとも好ましく用いられる。前記製法の好ましい例として、担体として酸化マグネシウムを用い、炭素含有ガスとしてメタンを用いることによって2〜5層カーボンナノチューブが50%以上含まれるカーボンナノチューブ組成物を得ることができる。また、さらに好ましい例として、特開2004−123505号公報に記載されているように、担体として耐熱性ゼオライトを用い、炭素含有ガスとしてアセチレンを用いることにより2〜5層カーボンナノチューブが50%以上、さらには80%以上含まれるカーボンナノチューブ組成物を得ることができる。
【0016】
本発明では、カーボンナノチューブの分散剤として環状アミド構造を有するポリマーを用いる。このような構造を有するポリマーであればどのようなものでもよいが、本発明の効果を特に顕著に発言しうる点で、ピロリドン骨格を有するポリマーが好ましく、特に、ポリビニルピロリドン(PVP)がよい。PVPは、CNT表面に吸着し、カーボンナノチューブを包むいわゆるラッピング効果を有することから、CNTの凝集を防止することができる。配合割合としては、CNTを分散させることができれば特に限定させるものではないが、好ましくは分散液の重量に対して0.01重量%から20重量%、より好ましくは0.02重量%から10重量%である。また、CNTに対するPVPの割合も適宜定めることができるが、CNT重量に対し、1/10倍量から100倍量を添加することが好ましい。CNTに対するPVPの割合が少なすぎると十分なラッピング効果が得られずにCNTが凝集してしまうし、割合が多すぎると、例えば分散液を基材表面へ塗布したときにCNTがPVPに埋もれてしまい、十分な導電性を発現することができなくなる。
【0017】
本発明で用いるPVPの分子量は特に限定されるものではないが、一般には1万〜200万がよい。CNTの分子量が非常に大きいため、PVPの分子量が小さすぎると十分にCNTをラッピングすることができないし、分子量が大きすぎると溶媒中におけるPVPの分子運動が低下し、十分にCNTをラッピングすることができない。
【0018】
本発明で用いるアルコール系有機溶媒としては、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機物であって直鎖状、分岐状、および環状のいずれでもよい。使用可能な例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどが挙げられるが、安全性や入手容易性、さらに特にPVP存在下でのカーボンナノチューブの分散性が顕著に良好である点から、エタノールやイソプロパノールが好ましく用いられる。
【0019】
本発明においてカーボンナノチューブが分散されているとは、目視で判別できる程度の凝集物がないことに加え、分散液を高速遠心機を用いて1000G、15分間遠心したときに分散液に含まれているカーボンナノチューブの90重量%以上が沈降せずに溶媒中に存在する状態であることを意味する。この状態を達成しているカーボンナノチューブは溶媒中で非常に良好に分散された状態であると見なすことが出来る。例え、目視あるいは光学顕微鏡400倍レベルで凝集物が見られなかったとしても、上記遠心力で分散液に含まれるカーボンナノチューブが10%を越えて沈降する場合は、本発明でいうところの分散されている状態とは見なさない。本発明における分散液中のカーボンナノチューブは1本1本単独で存在しても良いし、数本以上が集まって束になった状態(バンドル状態)で存在しても良い。本発明によって得られるCNT分散液は非常に安定であり、25℃で2週間保存後にも沈殿や凝集は見られない。
【0020】
分散液中のカーボンナノチューブの濃度は次のようにして求めることが出来る。すなわち、一定量、例えば10mlの分散液から濾過、蒸発乾固などによってカーボンナノチューブを回収し、カーボンナノチューブ以外に含まれている分散剤を大気中350℃30分で加熱することにより焼失させてカーボンナノチューブのみの重量を秤量する。これを先の分散液の体積で除することによって濃度を求めることができる。
【0021】
本発明によると、任意の濃度のカーボンナノチューブ分散液を得ることができるが、特に従来調製が困難であった高濃度分散液を得ることができる。具体的には上記方法で求めた分散液濃度が1g/L以上であることが好ましく、さらに好ましくは4g/L以上であり、さらに好ましくは7g/L以上である。分散液濃度の好ましい上限としては、100g/L以下であり、さらに好ましくは50g/L以下であり、さらに好ましくは30g/L以下である。このような高濃度かつ均一な分散液を調製することにより、他の材料へ分散液を添加する場合においてもより少ない添加量で済むため、ベース材料の特性を損ねることなく導電性などの必要な機能を付与することができ、好都合である。また、高濃度の分散液を調製することにより、従来と比較して分散液の製造や保管にかかるコストが少なくて済むため、産業上のメリットも大きい。
【0022】
本発明で得られたカーボンナノチューブ分散液は従来の方法で得られる分散液と比較して高濃度で調製することができるため、目的に応じて適宜希釈して使用することもできる。例えば、本発明で得られた分散液を分散媒と同じ有機溶媒で10倍に希釈した希釈液もまた本発明の分散液と同様に安定であり、2週間保存後にも沈殿や凝集は見られない。そのため、例えば、フィルム上に本分散液を塗布して導電性フィルムを作製するときに、濃度および塗布膜厚を調製することにより容易に表面抵抗値が10Ω/sq.から1010Ω/sq.の任意の範囲となる導電・静電性を付与することが可能である。
【0023】
本発明の分散液を製造する際、物理的衝撃を加える必要があるが、その方法には特に制限はない。例えば上記カーボンナノチューブとPVP、アルコール系有機溶媒を塗装製造に慣用の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し、液を製造することができる。
【0024】
本発明の分散液を製造する際、通常は遠心分離、フィルター濾過などによって未分散の凝集物を除去することが好ましい。例えば、液を遠心分離することによって、未分散のカーボンナノチューブやカーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある金属触媒などは沈殿するので、遠心上清を回収すれば液中に分散しているカーボンナノチューブを液の形で採取することができる。未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物などは沈殿物として除去することができ、それによって、カーボンナノチューブの再凝集を防止でき、液の安定性を向上することができる。さらに、強力な遠心力においては、カーボンナノチューブの太さや長さによって分離することもできる。
【0025】
遠心分離する際の遠心力は、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上、より好ましくは10,000G以上である。上限としては特に制限はないが、汎用超遠心機の性能より200,000G以下であることが好ましい。
【0026】
また、フィルター濾過に用いるフィルターは、孔径0.05μmから10μmの間で適宜選択することができる。それにより、未分散のカーボンナノチューブや、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある不純物等のうち比較的サイズの大きいものを除去することができる。
【0027】
このようにサイズ分画する場合においては、この分画される量を見越して、サイズ分画後の組成が上記範囲となるように調製する。サイズ分画前のカーボンナノチューブの配合割合の決定は、遠心分離後の沈殿物やフィルター上に残った分画物を乾燥させた後、350℃で30分焼成した後秤量し、カーボンナノチューブの濃度を算出する方法により行われる。このようなサイズ分画の結果、カーボンンナノチューブの長さや、層数、その他性状等バンドル構造の有無などでカーボンナノチューブを分離することができる。
【0028】
上記のように未分散の凝集物を除去した後の分散液に含まれるCNTは、分散前に加えたCNTの半量以上あることが望ましい。半量以上あるということは分散性がよいということを表し、このようなカーボンナノチューブは、例えば特開2004−123505号公報に示された製造方法により得ることができる。なかでもすなわち、金属成分として、鉄、コバルトを担持したチタノシリケートなどのメタロシリケートを固体触媒として用い、炭素源として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレン、あるいは混合物等の非芳香族炭化水素(特に好ましくは、アセチレン、メタノール、エタノール、エチレンなど)を用い、800〜900℃で固体触媒と炭素源を接触させてカーボンナノチューブを形成する方法により得る方法を好ましく挙げることができる。分散液中のCNTが分散前に加えたCNTの半量以下しかないということは、良好な分散液の製造方法とは言えず、分散剤、分散溶媒の選定が適切ではないということを示している。また、目的とする分散液を得るために必要なCNT量が多くなってしまい、コスト的にも問題が大きい。
【0029】
本発明のカーボンナノチューブ分散液は、さまざまな用途に用いることができる。例えば、フィルム、ガラス、繊維などの基材表面に塗布することによって、それらの基材の表面に導電性、静電性を付与させることができる。用いる基材としては、透明、不透明あるいは非着色、着色、さらに平面上や棒状、糸状のいずれも使用できる。特に、本発明の分散液は塗布後の透明性に優れており、基材の透明性を低下させることなく導電性、静電性を付与できるので、透明基材に適用することが好ましい。また、透明性は波長550nmの光透過率により評価することができる。UV・可視分光光度計で透明基材となるフィルムまたは基板などの波長550nmの光透過率を100%としたときに分散液を塗布したフィルムの透過率を測定することによって決定することができる。透明基材として好ましい光透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0030】
透明基材への適用以外にも例えば、クリーンルームなどの床材や壁材にコーティングすれば帯電防止床壁材として使用できるし、繊維に塗布すれば帯電防止衣服やマット、カーテンなどとして使用できる。
【0031】
また、基材表面への塗布のみならず、導電性を持たない材料、例えば有機高分子(樹脂)や無機粒子と分散液を混合することにより、該材料全体に導電性、静電性を付与することもできる。
【0032】
上記のような用途に用いる際、カーボンナノチューブ分散液には、PVP以外にも必要に応じて各種界面活性剤、有機もしくは無機バインダー、カップリング剤、架橋剤、安定化剤、沈降防止剤、着色剤、電荷調製剤、滑剤などの添加物を配合することができ、それらの種類、量について特に制限はない。
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
<参考例1>
酢酸第1鉄(アルドリッチ社製)0.01gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.21gとをエタノール(ナカライテスク社製)40mLに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に結晶性チタノシリケート粉末(エヌイーケムキャット社製“ チタノシリケート”)(TS−1)2.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、TS−1の結晶表面に上記酢酸金属塩を担持した固体触媒を得た。
【0035】
内径32mmの石英管中央部の石英ボート上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃になったところで、高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。得られたカーボンナノチューブを含有する組成物0.4gを電気炉に入れ大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した。さらに、このカーボンナノチューブを含有する組成物を濃度2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液200mL中に投入後、80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターで吸引濾過し、固液分離した。得られた固形物を蒸留水1Lで洗浄後、濃度5.1mol/Lの塩酸50mL中に投入し、80℃に保持しながら2時間撹拌した。その後、濾紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)製、フィルターペーパー(Filter Paper) 2号、125mm)を用いて固形物を分離した。濾紙上の固形物を、蒸留水500mLで洗浄後、60℃で乾燥してカーボンナノチューブ組成物を回収率90%で得た。
【0036】
上記のようにして得たカーボンナノチューブ組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で倍率200万倍で観察した。複数視野から任意に選択した100本のカーボンナノチューブの層数を調べたところ、2〜5層CNTが92本であった。
【0037】
<参考例2>
クエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業製)0.5gをメタノール(関東化学社製)25cmに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(和光純薬工業製)を5g加え、超音波洗浄機で60分間処理し、40℃乃至60℃の恒温下で攪拌しながらエタノールを除去して乾燥し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
【0038】
次に内径64mmの縦型石英管の中央部の石英ウール上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、空気を1600cm/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を900℃に加熱した(昇温時間120分)。900℃に到達した後、窒素ガスにて1000cm/分、10分間パージした後、メタンガス(高圧ガス工業製)を18cm/分、窒素ガスを376cm/分(メタン濃度4.7%)、反応圧力101325Paの条件で60分供給した後、メタンガスの供給をやめ、窒素流通下で温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。反応管を流通させる全てのガスは、下部から上部方向へ流通させた。
【0039】
さらに、上記のカーボンナノチューブから触媒を除去するため、次のように精製処理を行った。400℃で1時間空気下焼成をした後、6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で2時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で1時間攪拌した。濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥した。このカーボンナノチューブ組成物について参考例1と同様に層数を数えたところ、2〜5層CNTが60本であった。
【0040】
<参考例3>
Y型ゼオライト(HSZ−390HUA(東ソー(株)製:シリカ/アルミナ比=約400))約1g、酢酸鉄(Fe((CHCOO)Fe)及び酢酸コバルト((CHCOO)Co・4HO)を準備した。鉄及びコバルトがそれぞれ2.5wt%となるように、エタノール20cm中に溶解し、さらにY型ゼオライトを混合した。その後得られたものを10分間超音波にかけ、80℃で24時間乾燥させて、黄白色粉末の触媒を得た。前記黄白色粉末の触媒0.5gを石英ボートの上にのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を900℃に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr雰囲気下にした。具体的には、Arガスを200sccmで流入させ た。900℃に達した後、石英チューブ内を真空にし、その後約10分間、その温度を維持しつつ、エタノール雰囲気下にした。なお、この際のエタ ノール圧は5〜10Torr(0.67〜1.3kPa)であり、真空ポンプによって100〜300sccmの流れを作った。この流れは、時間当たりのエタ ノールの減量から計算できる。次いで、降温して、石英ボート上に黒粉を得た。これを参考例1と同様に、水酸化ナトリウム、および塩酸にて処理し、カーボンナノチューブ組成物を得た。このカーボンナノチューブ組成物について参考例1と同様に層数を数えたところ、単層CNTが94本であった。
【0041】
<実施例1>
50mlの容器に参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物300mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)300mg、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視は比較的均一であったが、光学顕微鏡400倍で観察すると分散しきれていない1ミクロン以下の粒子が確認できた。この液を高速遠心機を用いて10000G、15分遠心後上清を取り出して凝集物と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0042】
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、電気炉に投入して350℃で30分焼成した。焼成後の重量は75mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は7.5g/Lであった。
【0043】
この分散液をイソプロパノールで2、5、10、20倍に希釈し、もとの分散液と共に25℃で7日間放置した。これらを光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0044】
さらに本分散液およびイソプロパノール15倍希釈液を天然マイカ板(株式会社ニラコ製)にスピンコートによって塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させ、その表面を走査型電子顕微鏡を用い2万倍で観察した結果を図1に示す。ここから本実施例で作製した分散液および希釈液共にほとんどバンドルを組んでおらず、均一かつ独立に存在している状態であることがわかる。
【0045】
<実施例2>
50mlの容器に参考例2で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)60mg、エタノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視は比較的均一であったが、光学顕微鏡400倍で観察すると分散しきれていない1ミクロン以下の粒子が確認できた。この液を高速遠心機を用いて10000G、15分遠心後上清を取り出すことにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0046】
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成した。焼成後の重量は12mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は1.2g/Lであった。
【0047】
この分散液をエタノールで2、5、10、20倍に希釈し、もとの分散液と共に25℃で7日間放置した。これらを光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0048】
<実施例3>
実施例1で得られたカーボンナノチューブ分散液および2、5、10、20倍希釈した分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は表1の通りであり、高い導電性および透明性を示した。なお、表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定した。光透過率はUV・可視分光光度計(日立製作所U-2001)の550nmでの光透過率を測定し、ベースフィルムの透過率を100%としたときの塗布フィルムの透過率を測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
<比較例1>
50mlの容器に参考例3で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)60mg、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視で判別できる程度の凝集物が観察された。この液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心したところ、すべて沈殿してしまった。
【0051】
<比較例2>
50mlの容器に参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mg、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視で判別できる程度の凝集物が観察された。この液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心したところ、すべて沈殿してしまった。
【0052】
<比較例3>
50mlの容器に参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)60mg、蒸留水30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視は比較的均一であったが、光学顕微鏡400倍で観察すると分散しきれていない1ミクロン以下の粒子が確認できた。この液を高速遠心機を用いて10000G、15分遠心後上清を取り出し凝集物と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0053】
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成した。焼成後の重量は6mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は0.6g/Lであり、分散前に加えたカーボンナノチューブの半量以下しか存在しなかった。
【0054】
また、本分散液を25℃で7日間放置した。すると、翌日には目視で判別できる程度の凝集物が観察され、7日放置後の分散液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心したところ、すべて沈殿してしまった。
【0055】
<比較例4>
50mlの容器に多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブコーポレート社製、10〜20層が60%以上)60mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)60mg、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。調製された液は目視で判別できる程度の凝集物が観察された。この液を高速遠心機を用いて10000G、15分遠心後上清を取り出し凝集物と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
【0056】
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成した。焼成後の重量は1mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は0.1g/Lであり、分散前に加えたカーボンナノチューブの半量以下しか存在しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、CNTが高濃度かつ均一に分散したアルコール系分散液が提供できるため、導電性材料としての使用、特に導電性フィルムや導電性樹脂コンポジットなどの用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施例1で得られた分散液の15倍希釈液を塗布したマイカ表面の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分解能透過型電子顕微鏡で観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であるカーボンナノチューブ、環状アミド構造を有するポリマーおよびアルコール系有機溶媒からなるカーボンナノチューブ分散液。
【請求項2】
層数が2〜5層であるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ全体の80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項3】
環状アミド構造を有するポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項4】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が1g/L以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項5】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が4g/L以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項6】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が7g/L以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液。
【請求項7】
高分解能透過型電子顕微鏡で観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であるカーボンナノチューブ、環状アミド構造を有するポリマーおよびアルコール系有機溶媒を混合し、物理的衝撃を加えることによってカーボンナノチューブを分散させることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、さらに分散されずに残った凝集物を除去することを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項9】
分散液に含まれるカーボンナノチューブが分散前に加えたカーボンナノチューブの半量以上あることを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項10】
層数が2〜5層であるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ全体の80%以上であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項11】
環状アミド構造を有するポリマーがポリビニルピロリドン(PVP)であることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項12】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が1g/L以上であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項13】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が4g/L以上であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項14】
分散液に含まれるカーボンナノチューブ濃度が7g/L以上であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかによって得られたカーボンナノチューブ分散液を基材表面に塗布することによって得られる導電性材料。
【請求項16】
基材がフィルム、ガラス、繊維のいずれかである請求項15に記載の導電性材料。
【請求項17】
請求項1から14のいずれかによって得られたカーボンナノチューブ分散液を混合することによって得られる導電性材料。

【図1】
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【公開番号】特開2008−24522(P2008−24522A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194987(P2006−194987)
【出願日】平成18年7月15日(2006.7.15)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】