説明

ガスケット及び基板収納容器

【課題】ガスケットを上下逆にして取り付けるおそれを回避し、組立性の向上を図ることのできるガスケット及び基板収納容器を提供する。
【解決手段】2枚以下の半導体ウェーハを整列収納する背の低い容器本体1と、この容器本体1の横長に開口した正面部7を開閉する着脱自在の蓋体20と、容器本体1の正面部7と蓋体20との間に介在して変形する伸縮性のガスケット28とを備え、蓋体20の裏面周縁部に嵌合溝27を形成し、この嵌合溝27にガスケット28を嵌合する。ガスケット28を、蓋体20の嵌合溝27に密嵌される横長の枠体29と、この枠体29に一体形成されて容器本体1の正面部7周縁に圧接する湾曲片32とから形成し、枠体29の上部コーナ30と下部コーナ31とを上下非対称に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板を収納する基板収納容器用のガスケット及び基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板収納容器は、例えば複数枚の半導体ウェーハを上下に並べて整列収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面部に着脱自在に嵌合される蓋体と、容器本体の正面部と蓋体との間に介在して変形するシール用のガスケットとを備えて構成されている。
蓋体の裏面周縁部にはエンドレスの嵌合溝が形成され、この嵌合溝にガスケットが外部から強く押し込んで嵌合されている。ガスケットは、蓋体の嵌合溝に嵌合される本体を備え、この本体から容器本体の正面部内に圧接する突片が選択的に突出している(特許文献1、2、3参照)。
【特許文献1】特開2001‐354249号公報
【特許文献2】特開2008‐62979号公報
【特許文献3】特開2006‐303261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来における基板収納容器は、以上のように構成されているので、ガスケットの上下方向が視覚的に判別し難く、その結果、蓋体の嵌合溝に上下逆のガスケットを誤って嵌合するおそれがあり、製造時や交換時における蓋体の組立性が悪いという問題がある。
【0004】
本発明は上記に鑑みなされたもので、ガスケットを上下逆にして取り付けるおそれを回避し、組立性の向上を図ることのできるガスケット及び基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては上記課題を解決するため、嵌合溝に嵌め合わされる変形可能な伸縮性のものであって、
嵌合溝に嵌め合わされる横長の枠体と、この枠体に形成される湾曲片と、枠体の上部に設けられて嵌合溝を区画する区画壁内に接触する上部位置決め突起と、枠体の下部に設けられて嵌合溝を区画する区画壁内に接触する下部位置決め突起とを含み、
枠体の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成し、上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置を左右方向にずらしてこれらが上下方向において整合しないようにしたことを特徴としている。
【0006】
また、本発明においては上記課題を解決するため、3枚以下の基板を収納する容器本体と、この容器本体の横長に開口した正面部に着脱自在に嵌め合わされる蓋体と、容器本体の正面部と蓋体との間に介在して変形する伸縮性のガスケットとを備え、蓋体の裏面周縁部に嵌合溝を形成し、この嵌合溝にガスケットを嵌め合わせたものであって、
ガスケットは、蓋体の嵌合溝に嵌め合わされる横長の枠体と、この枠体に形成されて容器本体の正面部に接触する湾曲片とを含み、枠体の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成したことを特徴としている。
【0007】
なお、容器本体の正面部の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成することができる。
また、容器本体の正面部の周縁に形成されて外方向に張り出すリムフランジと、このリムフランジの側部に穿孔される取付孔と、この取付孔に選択的に挿入される着脱自在の情報表示パッドとを備え、
取付孔を、リムフランジの正面側に位置する拡径部と、この拡径部に一体形成されてリムフランジの背面側に位置する縮径部とから形成し、情報表示パッドの正面部を、リムフランジの正面に略面一に揃えるか、あるいは取付孔の拡径部内に埋没させることができる。
【0008】
また、情報表示パッドを、取付孔の拡径部に嵌まる柱部と、この柱部から伸びて取付孔の縮径部に引っかかる弾性の係止片とから形成することができる。
また、蓋体を、容器本体の正面部に嵌め合わされて施錠機構を内蔵する筐体と、この筐体の開口した正面部を被覆する表面カバーと、この表面カバーに設けられて施錠機構のスライド体の操作孔に対向する操作口とから構成することができる。
【0009】
また、施錠機構は、蓋体に支持されてその左右内外方向にスライド可能なスライド体と、このスライド体の先端部に回転可能に支持され、蓋体側壁の貫通孔から突出して容器本体の正面部内側の係止溝に干渉可能な係止爪と、スライド体を蓋体の左右外方向にスライドさせて係止爪を蓋体の貫通孔から突出させるバネと、スライド体の末端部側に設けられ、蓋体外部から操作ピンが挿入される操作孔とを含み、スライド体の操作孔を略円形に形成し、容器本体の正面部から蓋体を取り外す場合に、スライド体の操作孔に操作ピンを挿入してスライド体を蓋体の左右内方向にスライドさせ、突出した係止爪を蓋体の貫通孔内に退没させるようにしても良い。
【0010】
さらに、ガスケットは、枠体の上部に設けられて蓋体の嵌合溝を区画する区画壁内に接触する上部位置決め突起と、枠体の下部に設けられて蓋体の嵌合溝を区画する区画壁内に接触する下部位置決め突起とをさらに含み、上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置を左右方向にずらしてこれらが上下方向において整合しないようにすることも可能である。
【0011】
ここで、特許請求の範囲における嵌合溝の上部コーナと下部コーナとは、上下非対称に形成することができる。また、ガスケットは、基板収納容器の蓋体に使用されるのが主な用途ではあるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、嵌合溝を有する各種の機器やケース等に使用することができる。このガスケットの上部位置決め突起と下部位置決め突起とは、単数複数いずれでも良い。基板には、少なくとも各種のガラス基板、カバーガラス、半導体ウェーハ(φ200mm、300mm、450mm等)、フォトマスク等が含まれる。さらに、「容器本体の正面部」には、正面部に外方向に広がるリムフランジが形成される場合には、リムフランジが含まれる。
【0012】
本発明によれば、ガスケットを形成する枠体の上部コーナと下部コーナとが上下非対称に形成されたり、上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置がずれているので、視覚的にガスケットの向きの判別が容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガスケットの枠体の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成するので、ガスケットを上下逆にして取り付けるおそれを回避し、組立性を向上させることができるという効果がある。
【0014】
また、容器本体の正面部の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成すれば、これらのコーナを基準としてガスケットの上下方向の判別が容易となる。したがって、蓋体の嵌合溝に上下逆のガスケットを誤って嵌合するおそれを回避し、蓋体の組立性を向上させることができる。
さらに、ガスケットの上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置を左右方向にずらしてこれらが上下方向において整合しないようにすれば、これらの位置決め突起を目印にしてガスケットの上下方向を正確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る基板収納容器の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図12に示すように、2枚以下の半導体ウェーハを整列収納する容器本体1と、この容器本体1の横長に開口した正面部7を開閉する着脱自在の蓋体20と、容器本体1の正面部7と蓋体20との間に介在して変形するシール用のガスケット28とを備え、このガスケット28を、枠体29、湾曲片32、一対の上部位置決め突起33、一対の下部位置決め突起34とから形成するようにしている。
【0016】
半導体ウェーハは、例えば薄く丸いφ300mmのシリコンタイプからなり、周縁部に位置合わせや識別用の平面略半円形のノッチが選択的に形成される。
【0017】
容器本体1は、図1ないし図4に示すように、成形用の金型に所定の樹脂を含む成形材料が射出されることにより、2枚の半導体ウェーハを整列収納する背の低いフロントオープンボックスタイプに射出成形され、開口した横長の正面部7に同形の蓋体20がエンドレスのガスケット28を介し着脱自在に嵌合されており、半導体加工装置に対する接続用のロードポート装置に搭載されてその出し入れ口に正面部7やリムフランジ8を対向させる。
【0018】
容器本体1を成形する成形材料の所定の樹脂としては、例えば力学的性質、耐熱性、寸法安定性等に優れるポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート等があげられる。これらの樹脂には、必要なカーボン、カーボン繊維、金属繊維、カーボンナノチューブ、帯電防止剤、難燃剤等が選択的に添加される。
【0019】
容器本体1の内部、具体的には相対向する内部両側に、半導体ウェーハの周縁部側方を支持する左右一対のティース2が対設され、この一対のティース2が容器本体1の上下方向に間隔をおいて複数配列される(図2参照)。
【0020】
容器本体1の外周面には図1、図3、図4に示すように、容器本体1の機械的強度や剛性を高める平面略U字形のリブフランジ3が一体化される。このリブフランジ3は、容器本体1の背面部と両側部とに外側から一体成形され、背面部両側には、金属製のバランスウェイトがそれぞれ螺着されており、この複数のバランスウェイトにより容器本体1の正面部7が下方に傾斜するのが規制される。
【0021】
リブフランジ3の背面部中央は、略W字形に屈曲形成されて凹部を形成し、この凹部の開口が下方を向いて容器本体1のロードポート装置に対する位置決め部4として機能する。また、リブフランジ3の側部前方も、略逆V字形に屈曲されて凹部を形成し、この凹部の開口が下方を向いてロードポート装置に対する位置決め部4として機能する。
【0022】
容器本体1の天井の中心部には図1ないし図3に示すように、被取付リブ5が立設され、この被取付リブ5上には、図示しない搬送機構に把持される平面略三角形あるいは多角形の吊持フランジ6が螺子等の締結具を介し着脱自在に後から螺着される。
【0023】
容器本体1の正面部7は、図1ないし図4に示すように、外方向に広がるよう屈曲形成されてリムフランジ8を形成し、このリムフランジ8内の一対の上部コーナ9と一対の下部コーナ10とのRが曲率の異なる上下非対称に形成されており、リムフランジ8の内部両側には、蓋体20施錠用の係止溝11がそれぞれ上下方向に切り欠かれる。
【0024】
リムフランジ8の左右に張り出した両側部には、複数の取付孔12がそれぞれ上下方向に並べて丸く穿孔されており、この複数の取付孔12に情報表示パッドであるインフォパッド13が選択的に挿入され、かつロードポート装置の検出センサ(例えば、光電センサ、フォトセンサ、タッチセンサ等)に検出されることにより、半導体ウェーハの有無や枚数、基板収納容器のタイプ等がロードポート装置に識別される。
【0025】
各取付孔12は、図5に示すように、リムフランジ8の正面側に位置する丸い拡径部14と、この拡径部14に一体形成されてリムフランジ8の背面側に位置する丸い縮径部15とから形成される。また、インフォパッド13は、同図に示すように、取付孔12の拡径部14に嵌まる円柱部16と、この円柱部16の背面側から伸長する一対の係止片17とから構成される。この一対の係止片17は、弾性やバネ性を有して円柱部16の半径内外方向に撓み、縮径部15の裏面側周縁に係止してインフォパッド13の取付孔12からの脱落を防止する。
【0026】
蓋体20は、図6ないし図8に示すように、容器本体1の正面部7、換言すれば、リムフランジ8に着脱自在に嵌合され、施錠機構40を内蔵する横長の筐体21と、この筐体21の開口した正面部(表面部)に螺着されて被覆する透明の表面カバー35とを備えて構成され、容器本体1に対して図示しない蓋体開閉装置により取り付け・取り外しされる。
【0027】
筐体21は、図6に示すように、内部両側に施錠機構40用の複数の保持リブ22がそれぞれ一体的に突出形成され、周壁の両側部には、容器本体1の係止溝11に対向する施錠機構40用の溝孔23がそれぞれ切り欠かれており、各溝孔23の内周縁付近には、施錠機構40用の支持リブ24が一体的に突出形成される。
【0028】
筐体21の裏面中央部には、横長の取付穴25が凹み形成され、この取付穴25には、複数の半導体ウェーハの周縁部前方を弾性片により弾発的に保持するフロントリテーナ26が装着される。また、筐体21の裏面周縁部には、横長で枠形の嵌合溝27が切り欠かれ、この嵌合溝27には、容器本体1のリムフランジ8との間に介在する弾性のガスケット28が嵌合される。嵌合溝27の一対の上部コーナと一対の下部コーナとのRは、リムフランジ8のコーナの形に応じ、上下非対称に形成される。
【0029】
ガスケット28は、図10に示すように、例えば耐熱性、難燃性、耐寒性、圧縮特性に優れるシリコーンゴム、フッ素ゴム、各種の熱可塑性エラストマー(例えば、オレフィン系等)等を成形材料として弾性変形可能な横長の枠形に成形される。このガスケット28は、図9ないし図12に示すように、蓋体20の嵌合溝27に隙間なく密嵌される横長の枠体29と、この枠体29の外周面に突出形成されて容器本体1の正面部7に圧接する断面略C字形あるいは略U字形の湾曲片32と、枠体29の上部に並設されて蓋体20の嵌合溝27を区画する区画壁27a内に圧接する一対の上部位置決め突起33と、枠体29の下部に並設されて嵌合溝27の区画壁27a内に圧接する一対の下部位置決め突起34とを備えて伸縮自在に形成される。
【0030】
枠体29は、嵌合溝27の全周よりもやや短く形成され、一対の上部コーナ30と下部コーナ31とのRが図9に示すように、ガスケット28の上下方向が容易に判別できるよう、リムフランジ8のコーナの形に応じ、曲率が異なる上下非対称に形成される。また、一対の上部位置決め突起33と下部位置決め突起34とは、図10に示すように、左右水平方向にずれ、上下方向において整合せずに不揃いに形成されており、ガスケット28の上下方向の判別を容易化する。上部位置決め突起33や下部位置決め突起34は、例えばブロック形、円柱形、角柱形、台形等の形にそれぞれ形成され、高さ、長さ、幅が必要に応じて変更される。
【0031】
表面カバー35は、横長の略矩形に形成され、両側部には、施錠機構40用の操作口36がそれぞれ略凸字形に穿孔されており、中央部と最両側部とには、蓋体開閉装置に真空吸着される正面円形の吸着領域がそれぞれ形成される。各操作口36は、蓋体20の左右内外方向に伸びる横長に形成され、左右外方向側が湾曲辺付きの拡幅部とされるとともに、左右内方向側に位置する残部が矩形の狭幅部とされており、裏面側周縁部には、施錠機構40用の一対のガイド片37が筐体21の内方向に向け一体形成される。
【0032】
施錠機構40は、図8に示すように、筐体21の内部両側に支持されて左右内外方向にスライド可能な一対のリンクプレート41と、筐体21の各溝孔23に出没可能に軸支されてリンクプレート41の先端部に連結支持され、容器本体1の係止溝11に嵌合して干渉する揺動可能な一対の係止爪45と、各リンクプレート41に嵌入されて容器本体1の係止溝11に係止爪45を干渉させる一対のコイルバネ47と、各リンクプレート41の最末端部43側に穿孔され、蓋体20外部から操作ピンが挿入される操作孔48とを備えて構成される。
【0033】
各リンクプレート41は、例えば先端部が二股に分かれた略Y字形の板に形成され、棒形の中央部にはコイルバネ47用の筒体であるカラー42がスライド可能に嵌入されており、末端部と最末端部43とが表面カバー35の一対のガイド片37にスライド可能に挟持されるとともに、最末端部43には、表面カバー35の操作口36に対向する正面略半楕円形の操作孔48が穿孔される。
【0034】
リンクプレート41の末端部には、カラー42のスライドや脱落を規制する略U字形のアームであるリンクアーム44がピンを介し左右内外方向に揺動可能に嵌入軸支され、このリンクアーム44が筐体21の保持リブ22にピンを介し左右内外方向に揺動可能に軸支される。
【0035】
各係止爪45は、変形した略V字形に屈曲形成され、屈曲部が筐体21の支持リブ24にピンを介し揺動可能に軸支される。この係止爪45は、その一端部がリンクプレート41の二股の先端部間にピンを介し揺動可能に軸支され、二股に分岐した他端部の間には、容器本体1の係止溝11内に摺接する複数のローラ46がピンを介し回転可能に支持される。各ローラ46は、例えば容器本体1と同様の材料等を使用して筒形に成形される。
【0036】
各コイルバネ47は、リンクプレート41の中央部に嵌通されてリンクプレート41の幅広の先端部側とカラー42との間に介在し、カラー42をリンクアーム44に圧接するとともに、筐体21の溝孔23から係止爪45の他端部、すなわち複数のローラ46を外部に突出させる。各操作孔48は、基本的には正面略楕円形に形成される。
【0037】
操作ピンは、図示しないが、細長い円柱形のピン部と、このピン部に一体成形されて半径外方向に膨出する膨出部とを備え、自動あるいは手動により操作される。この操作ピンは、ピン部が操作口36を貫通してリンクプレート41の操作孔48に挿入され、膨出部が表面カバー35の操作口36に適切に接触・干渉して蓋体20を支持するよう機能する。
【0038】
上記において、蓋体20の嵌合溝27にガスケット28を嵌合する場合には、ガスケット28の枠体29を伸ばし広げて嵌合溝27に嵌入し、嵌合溝27の区画壁27a内に一対の上部位置決め突起33と下部位置決め突起34とをそれぞれ圧接すれば、嵌合溝27にガスケット28を適切に嵌合することができる。
【0039】
また、容器本体1の複数の取付孔12にインフォパッド13を選択的に挿入する場合には、選択した取付孔12にインフォパッド13の一対の係止片17を挿入して押圧すれば良い。
すると、取付孔12の縮径部15の裏面側周縁に一対の係止片17が撓みながら係止し、取付孔12の拡径部14にインフォパッド13の円柱部16が嵌合し、リムフランジ8の正面にインフォパッド13の正面部が面一に揃えられて整合する。
【0040】
これとは逆に、容器本体1の取付孔12からインフォパッド13を取り外す場合には、インフォパッド13の一対の係止片17を内方向に撓ませて縮径部15の裏面側周縁との係止を解除し、リムフランジ8の背面側から正面側にインフォパッド13を押圧すれば良い。
【0041】
また、半導体ウェーハを収納した容器本体1の開口した正面部7を蓋体20により閉じる場合には、容器本体1のリムフランジ8内に蓋体20を蓋体開閉装置により押圧して嵌合するとともに、容器本体1の正面部7周縁にガスケット28の湾曲片32を圧接し、容器本体1の各係止溝11に蓋体20の溝孔23を対向させれば良い。
【0042】
すると、圧縮されていた各コイルバネ47の復元作用によりリンクプレート41が保持リブ22、ガイド片37、リンクアーム44に案内されつつ蓋体20の左右外方向に水平にスライドして係止爪45を蓋体20の表裏方向に揺動させ、この係止爪45の他端部が蓋体20の溝孔23から外部に弧を描きながら突出して回転可能な複数のローラ46を容器本体1の係止溝11に嵌入し、この複数のローラ46の嵌入により、容器本体1の正面部7が蓋体20により強固に閉じられ、かつ気密性や密閉性が確保される。
【0043】
このように施錠機構40に負荷が作用しない場合には、容器本体1の各係止溝11内に揺動突出した係止爪45のローラ46が転がり接触可能に嵌入し、容器本体1の正面部7が蓋体20により覆われることとなる。
【0044】
これに対し、半導体ウェーハを収納した容器本体1の正面部7から施錠状態の蓋体20を取り外す場合には、一対のリンクプレート41の操作孔48に操作ピンを蓋体20の操作口36を介し外部からそれぞれ挿入し、操作ピンを操作口36の拡幅部から狭幅部方向に動かすことにより、各リンクプレート41を蓋体20の左右内方向にスライドさせれば良い。
【0045】
すると、各リンクプレート41がコイルバネ47を圧縮しながら蓋体20の左右内方向に水平にスライドし、係止爪45が弧を描きながら揺動してその露出した他端部、すなわち複数のローラ46を蓋体20の溝孔23内に退没させ、この係止爪45の他端部の退没により、容器本体1の係止溝11から複数のローラ46が外れて容器本体1から蓋体20を取り外すことが可能になる。
【0046】
上記構成によれば、枠体29の上部コーナ30と下部コーナ31とが上下非対称に形成され、上部位置決め突起33と下部位置決め突起34との位置が左右水平方向にずれているので、ガスケット28の上下方向の判別が実に容易となる。したがって、蓋体20の嵌合溝27に上下逆のガスケット28を誤って嵌合するおそれを回避し、製造時や交換時における蓋体20の組立性を著しく向上させることができる。また、嵌合溝27に沿ってガスケット28を外部から強く押し込むのではなく、ガスケット28を伸ばし広げて嵌合溝27に嵌入するので、作業性が良い。
【0047】
また、取付孔12にザグリを形成するので、インフォパッド13の正面部を、リムフランジ8の正面に面一に揃えたり、あるいは取付孔12内に埋没させることができ、取付孔12に挿入されたインフォパッド13の正面がリムフランジ8の正面から前方に突出することがない。したがって、インフォパッド13の正面の突出部分が障害物となることがないので、ロードポート装置の出し入れ口に容器本体1の正面部7やリムフランジ8が適切に接触し、半導体製造作業の円滑化、迅速化、容易化を図ることが可能になる。
【0048】
また、容器本体1から蓋体20を取り外さない施錠機構40の非操作時には、容器本体1の係止溝11に係止爪45がコイルバネ47により絶えず嵌入して容器本体1の正面部7やリムフランジ8を蓋体20により強固に閉じるので、容器本体1から蓋体20が外れることが全くなく、蓋体20の施錠や開閉に支障を来たすおそれがない。さらに、容器本体1の係止溝11に係止爪45が直接嵌入するのではなく、係止爪45の回転可能な複数のローラ46が嵌入して摺接するので、容器本体1と係止爪45との擦れによりパーティクルが発生して半導体ウェーハを汚染させるおそれがない。
【0049】
なお、上記実施形態の容器本体1や蓋体20は、透明、不透明、半透明等を特に問うものではない。また、容器本体1の正面部7、リムフランジ8、嵌合溝27、ガスケット28のいずれかには、ガスケット28の密着を規制するダイヤモンドライクカーボン処理を適宜施しても良い。
【0050】
また、ガスケット28の湾曲片32は、エンドレスでも良いし、間隔をおいた複数でも良い。また、ガスケット28の一対の上部位置決め突起33と下部位置決め突起34とは、識別性を向上させる観点からそれぞれ形を変更しても良いし、相互に異なる色彩を塗布することもできる。さらに、枠体29の側部に必要数の位置決め突起を形成して識別性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体を模式的に示す正面説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す側面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す底面説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態のリムフランジの一部等を模式的に示す断面説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体を模式的に示す斜視分解説明図である。
【図7】図6の背面図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の実施形態における蓋体を模式的に示す平面説明図である。
【図9】本発明に係るガスケットの実施形態を模式的に示す正面説明図である。
【図10】本発明に係るガスケットの実施形態を模式的に示す部分説明図である。
【図11】本発明に係るガスケットの実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図12】本発明に係るガスケットの実施形態を模式的に示す他の断面説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 容器本体
7 正面部
8 リムフランジ
9 上部コーナ
10 下部コーナ
12 取付孔
13 インフォパッド
20 蓋体
27 嵌合溝
27a 区画壁
28 ガスケット
29 枠体
30 上部コーナ
31 下部コーナ
32 湾曲片
33 上部位置決め突起
34 下部位置決め突起
40 施錠機構
41 リンクプレート
45 係止爪
47 コイルバネ
48 操作孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合溝に嵌め合わされる変形可能な伸縮性のガスケットであって、嵌合溝に嵌め合わされる横長の枠体と、この枠体に形成される湾曲片と、枠体の上部に設けられて嵌合溝を区画する区画壁内に接触する上部位置決め突起と、枠体の下部に設けられて嵌合溝を区画する区画壁内に接触する下部位置決め突起とを含み、
枠体の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成し、上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置を左右方向にずらしてこれらが上下方向において整合しないようにしたことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
3枚以下の基板を収納する容器本体と、この容器本体の横長に開口した正面部に着脱自在に嵌め合わされる蓋体と、容器本体の正面部と蓋体との間に介在して変形する伸縮性のガスケットとを備え、蓋体の裏面周縁部に嵌合溝を形成し、この嵌合溝にガスケットを嵌め合わせた基板収納容器であって、
ガスケットは、蓋体の嵌合溝に嵌め合わされる横長の枠体と、この枠体に形成されて容器本体の正面部に接触する湾曲片とを含み、枠体の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成したことを特徴とする基板収納容器。
【請求項3】
容器本体の正面部の上部コーナと下部コーナとを上下非対称に形成した請求項2記載の基板収納容器。
【請求項4】
ガスケットは、枠体の上部に設けられて蓋体の嵌合溝を区画する区画壁内に接触する上部位置決め突起と、枠体の下部に設けられて蓋体の嵌合溝を区画する区画壁内に接触する下部位置決め突起とをさらに含み、上部位置決め突起と下部位置決め突起との位置を左右方向にずらしてこれらが上下方向において整合しないようにした請求項2又は3記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−272371(P2009−272371A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119627(P2008−119627)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】