説明

ガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法及びシステム

【構成】未加工金属片(3)から製造された金属シリンダ本体(2)を有するガスシリンダ(1)のための追跡情報を作成するための方法は、未加工金属片(3)に識別コード(20)を含んだ個別マーク(19)を付する工程と、未加工金属片(3)の少なくとも一つの変態又はコントロール処理中に、個別マーク(19)を読み取ることにより未加工金属片(3)の識別コード(20)を識別し、変態又はコントロール処理の結果の少なくとも一つの処理パラメータを識別コード(20)と関連付ける工程と、その処理パラメータの識別コートとの関連性に関する情報をデータベース(21)に保存する工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力下でガスを収容するのに用いることのできる可搬性容器であるガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法及びシステムに関するものである。
【0002】
当該ガスシリンダは、例えば、鋼のような金属から作られている。金属シートリール(metal sheet reel),チューブ又はビレットからカットされた未加工片(unrefined piece)をガスシリンダの出発材料とし、この出発材料は、以下の工程に晒される。
所望の形状と材料特性とを備えたガスシリンダを確保するために、未加工金属片の形状と機械的特性との双方を修正する複数の変態処理工程と、
未加工金属片を検査し、選択するための複数の検査・選択工程であって、未加工金属片を識別し、及び/又は、検査された未加工金属片が所定の目標特性に該当しない特性を有する未加工金属片である場合に、当該未加工金属片を廃棄する工程と、
任意であるが、複合ガスシリンダの場合に、例えば、アクセサリーの付加又はフィラメント・ワインディング及びカーリング(filament winding and curing)のようなガスシリンダを完成させるためのアセンブリ工程と、
任意であるが、例えば、完成されたガスシリンダをペインティングするような仕上げ処理工程。
【0003】
未加工金属材料(ガスシリンダの製造敷地内に外部の納入業者によって通常搬入される金属シートリール、チューブ又はビレット)の製造バッチを見つけ出すことができるようにするために、それらに対する変態処理工程の前に、一製造バッチの全ての未加工金属片にそのような製造バッチを識別するためのスタンプされた英数字のバッチコードを含む初期マークを付けることが知られている。
【0004】
また、未加工金属片に対する変態処理工程の後に、製造された個々のガスシリンダにそれを識別するスタンプされた英数字の識別コードを含む個別の最終マークを付することも知られている。
【0005】
こうして、検査・選択工程、例えば、ガスシリンダの油圧試験又は体積膨脹試験中に、シリンダの識別コードをデータベースに保存し、試験結果をそのような識別コードに関連付けさせることができる。
【0006】
公知の方法及び装置は、未加工金属片の製造バッチと油圧試験の結果との双方を追跡して個々のガスシリンダと関連付けることを可能にする。
【0007】
実際に、ガスシリンダの技術分野においては、個々のガスシリンダの技術的特性が未加工材料の特性に主として左右され、他方、未加工材料の個々の冶金学的変態処理(熱処理及び変形処理)の影響は、完成されたガスシリンダについて行われる適合性試験の結果、例えば体積膨脹試験の結果を通じて直ちに考察することができると信じられている。
【0008】
更に、同じ製造バッチからの未加工金属片の全てが同一で、同じ処理が施されているとみなされるので、最先端技術においては、冶金学的変態処理中に個々の未加工金属片又は個々の半加工シリンダを識別することは必要ないとみなされている。
【0009】
本願の発明者は、この一般的に抱かれている見解を認識しており、この見解によれば、個々の冶金学的変態処理の影響、即ち、熱処理と変形処理の影響は、ガスシリンダの適合性試験の良好な結果又は悪い結果を通じて直ちに考察することができるが、本願発明者は、これは、未加工材料の製造バッチのより具体的且つ明確な基準に従って、既に使用中のガスシリンダを識別又は分類することの可能性を結果として妨げてしまう技術的偏見であると思料している。
【0010】
実際に、例えば、ガス動力車輌に搭載されているガスシリンダ又はその他の分野において用いられているガスシリンダのサービスから撤退する場合を想定すると、一般に、その撤退を未加工材料の全製造バッチから作られた全てのシリンダに及ぼす必要があるが、各ガスシリンダのより詳細な「製造履歴」に基づいて、関連するガスシリンダの総数を限定することができれば有益である。
【0011】
従って、本発明の目的は、少なくとも一つの、選択パラメータのような製造条件に基づいて、個々のガスシリンダに実際に介入することにより、ガスシリンダを識別し又はグループ化することができるように、製造された各ガスシリンダのより詳細な製造履歴を再構成するような特徴を有する、ガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法及びシステムを提供することにある。
【0012】
本発明のこの目的及びその他の目的は、以下の工程を通して製造された金属シリンダ本体を有するガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法によって達成される。
未加工金属片を提供する工程と、
所望の形状と材料特性とを備えたシリンダ本体を確保するために未加工金属片を複数の変態処理に晒す工程。
【0013】
前記変態処理工程は、A)未加工金属片の機械的特性を修正するような少なくとも一つの熱処理工程とB)未加工金属片の形状を修正する少なくとも一つの変形処理工程とを含み、未加工金属片又は該未加工金属片から得られたシリンダ本体を少なくとも一つのコントロール処理に晒す工程を含んでいる。
【0014】
ガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法は、
未加工金属片を変態処理に晒す前に、未加工金属片の識別コードを含んだ個別マークを未加工金属片に付ける工程と、
未加工金属片に付けられた個別マークを読み取って、読み取った個別マークの識別コードをデータベースに保存する工程と、
少なくとも一つの変態処理工程中に、又は、コントロール処理工程中に、個別マークを読み取ることにより、未加工金属片の又は該未加工金属片から得られた金属シリンダ本体の識別コードを識別し、変態処理工程の少なくとも一つの処理パラメータ、又は、コントロール処理の結果を読み取った個別マークの識別コードと関連付ける工程と、
変態処理工程の処理パラメータ、又は、コントロール処理の結果と、処理パラメータ又はコントロール処理の結果の、読み取った個別マークの識別コードとの関連性に関する情報とをデータベースに保存する工程とを含んでいる。
【0015】
識別コードを介して未加工金属片をマーキングすることと、熱処理及び/又は変形処理の処理パラメータ、又は、試験結果を未加工金属片の識別コードと関連付けることで、各ガスシリンダの製造履歴をより詳細に再構成することができ、従って、特定の選択パラメータに基づいて的を絞った態様で各ガスシリンダを識別することができる。
【0016】
本発明とその利点をより明確に理解することができるようにするべく、本発明を何ら限定するものではない本発明の幾つかの実施形態を、添付図面を参照して以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、金属シートのリールからカットした未加工金属片から金属シリンダ本体を有するガスシリンダを製造するためのプロセスを概略的に示した図である。
【図2】図2は、チューブからカットした未加工金属片から金属シリンダ本体を有するガスシリンダを製造するためのプロセスを概略的に示した図である。
【図3】図3は、ビレットからカットした未加工金属片から金属シリンダ本体を有するガスシリンダを製造するためのプロセスを概略的に示した図である。
【図4】図4は、図1,2及び3に示したプロセスの一つにおいて実施される付加的なフィラメント・ワインディング及びカーリング工程を概略的に示した図である。
【図5】図5は、図1〜4に示したプロセスの一つにおいてガスシリンダのための追跡情報を作り出すための、本発明の一実施形態に係るシステムを概略的に示した図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による、ガスシリンダのための追跡情報を作り出すための方法において採用される個別マークを概略的に示した図である。
【図7】図7は、図6に示した個別マークの詳細を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照すると、例えば、鋼から作られた金属シリンダ本体2を有するガスシリンダ1は、未加工金属片3を提供する工程と、所望の形状と材料特性とを備えたシリンダ本体2を確保するために未加工金属片3を複数の変態処理に晒す工程とを通じて製造することができる。
【0019】
変態処理工程は、未加工金属片3の機械的特性を修正するような少なくとも一つの熱処理工程と、未加工金属片3の形状を修正する少なくとも一つの変形処理工程を含んでいる。
【0020】
金属シートのリール4からカットした未加工金属片3からガスシリンダ1を製造するプロセスの一例を示した図1を参照すると、熱処理工程は、少なくとも一つの焼きなまし工程5及び/又は少なくとも一つの焼入れ・焼きもどし工程を含んでいてもよい。他方、変形処理工程は、
冷間深絞り工程7と、
フローフォーミング(flow forming)工程8と、
シリンダ本体2をスピニング加工してシリンダ本体2のネック部10を形成する工程9と、
シリンダ本体2をサンドブラスティングする工程22と、
シリンダ本体2のネック部10にネジ山を付形する工程11とのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0021】
例えば、チューブ12からカットした未加工金属片3からガスシリンダ1を製造するプロセスを示した図2を参照すると、熱処理工程は、少なくとも一つの焼入れ・焼きもどし工程6を含んでいてもよい。他方、変形処理工程は、
例えばオジーブ・スピニング(ogive spinning)を介してシリンダ本体をスピニング加工してシリンダ本体の基部を形成する工程13と、
シリンダ本体2の基部をシェ―ピング及び内面ドレッシングする工程14と、
フローフォーミング工程8と、
シリンダ本体2をスピニング加工してシリンダ本体2のネック部10を形成する工程9と、
シリンダ本体2をサンドブラスティングする工程22と、
シリンダ本体2のネック部10にネジ山を付形する工程11とのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0022】
例えば、ビレット15からカットした未加工金属片3からガスシリンダ1を製造するプロセスを示した図3を参照すると、熱処理工程は、少なくとも一つの焼入れ・焼きもどし工程6を含んでいてもよい。他方、変形処理工程は、
カッピング(cupping)及び熱間穿孔工程16と、
壁厚減少処理工程17と、
シリンダ本体2をスピニング加工してシリンダ本体2のネック部10を形成する工程9と、
シリンダ本体2をサンドブラスティングする工程22と、
シリンダ本体2のネック部10にネジ山を付形する工程11とのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0023】
更に、変態処理工程は、特に冷間深絞り工程7と関連させて、少なくとも一つの平滑処理工程18を含んでいてもよい。
【0024】
本発明によれば、ガスシリンダ1のための追跡情報を作り出すための方法は、
変態処理工程5,6,7,8,9,11,14,17,18,22を実施する前に、未加工金属片3の識別コード20を含んだ個別マーク19を未加工金属片3に付ける工程と、
未加工金属片3に付けられた個別マーク19を読み取って、読み取った個別マーク19に含まれる識別コード20をデータベース21に保存する工程と、
未加工金属片3の変態処理工程5,6,7,8,9,11,14,17,18,22の少なくとも一つを実施中に、未加工金属片3の個別マーク19を読み取ることにより、その読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、変態処理工程5,6,7,8,9,11,14,17,18,22の少なくとも一つの処理パラメータを読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
変態処理工程5,6,7,8,9,11,14,17,18,22の処理パラメータと、該処理パラメータの識別コード20との関連性に関する情報とをデータベースに保存する工程を含んでいる。
【0025】
未加工金属片の識別コードを介してのマーキングと、熱処理及び/又は変形処理における処理パラメータを未加工金属片の識別コードと関連付けることとにより、個々のガスシリンダの製造履歴をより詳細に再構成することができるため、特定の選別パラメータに基づいて的を絞った態様で各ガスシリンダを識別することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、追跡情報を作り出すための方法は、
未加工金属片3の変形処理工程7,8,9,11,14,17,22の少なくとも一つの工程中に、未加工金属片3の個別マーク19を読み取ることにより未加工金属片3の読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、変形処理工程7,8,9,11,14,17,22の少なくとも一つの処理パラメータを読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
変形処理7,8,9,11,14,17,22の処理パラメータと、該処理パラメータの、読み取った個別マーク19の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程と、
未加工金属片3の熱処理工程5,6の少なくとも一つを実施中に、未加工金属片3の個別マーク19を読み取ることにより未加工金属片3の読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、熱処理5,6の少なくとも一つのパラメータを読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
熱処理5,6の処理パラメータと、該処理パラメータの、読み取った個別マーク19の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0027】
これにより、シリンダ本体2における未加工金属片3の変態処理中に、変形処理の処理パラメータと熱処理の処理パラメータとの双方に基づいて、各ガスシリンダを区別することができる。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、未加工金属片3から得られる金属シリンダ本体2について硬度試験23を実施し、この実施形態に係る方法は、
シリンダ本体2の個別マーク19を読み取ることによりシリンダ本体2の読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、硬度試験23の結果を読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
硬度試験23の結果と、該硬度試験23の結果の、読み取った個別マーク19の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0029】
本発明の更に別の実施形態によれば、未加工金属片3から得られる金属シリンダ本体2について、それの特性を確認するための少なくとも一つの非破壊試験を実施し、この実施形態に係る方法は、
非破壊試験中に、シリンダ本体2の個別マーク19を読み取ることにより読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、非破壊試験の結果を読み取った個別マーク19の識別コード10と関連付ける工程と、
非破壊試験の結果と、該非破壊試験の結果の、読み取った個別マーク10の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0030】
非破壊試験は、未加工金属片3又はそれから得られたシリンダ本体2を少なくとも一つの外観検査に晒す工程24及び/又はシリンダ本体2を少なくとも一つの超音波深傷検査に晒す工程25を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の更に別の実施形態によれば、未加工金属片3から得られる金属シリンダ本体2について、体積膨脹を伴った又は伴っていない油圧試験26を実施し、この実施形態に係る方法は、
油圧試験26中に、シリンダ本体2の個別マーク19を読み取ることにより、その読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、油圧試験の結果を読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
油圧試験26の結果と、該油圧試験26の結果の、読み取った個別マーク10の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0032】
本発明の更に別の実施形態によれば、複合シリンダの場合に、未加工金属片3から得られる金属シリンダ本体2について、ガスシリンダ1を完成させるための少なくとも一つのアセンブリ工程、例えば、バルブ27又はその他のアクセサリーを付ける工程又はフィラメント・ワインディング及びカーリング工程28に晒し、この実施形態に係る方法は、
アセンブリ工程中に、シリンダ本体2の個別マーク19を読み取ることにより、シリンダ本体2の読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、アセンブリ工程のパラメータを読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
アセンブリ工程のパラメータと、該アセンブリ工程の、読み取った個別マーク19の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0033】
本発明の更に別の実施形態によれば、未加工金属片3から得られる金属シリンダ本体2について少なくとも一つの仕上げ処理、例えば、ペインティング29を施し、この実施形態に係る方法は、
仕上げ処理中に、シリンダ本体2の個別マーク19を読み取ることにより、シリンダ本体2の読み取った個別マーク19の識別コード20を識別し、仕上げ処理のパラメータを読み取った個別マーク19の識別コード20と関連付ける工程と、
仕上げ処理のパラメータと、該仕上げ処理のパラメータの、読み取った個別マーク19の識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存する工程を含んでいる。
【0034】
ここに例示した各実施形態の説明において記載した「〜工程中」という表現は、当該処理工程を、未加工金属片3,シリンダ本体2,ガスシリンダ1について夫々引用した変態,試験,組立,仕上げ処理工程と夫々一致させて、即ち、そのような工程の直前,又はそのような工程の実施中又はそのような工程の直後に実施することを意味するものとする。
【0035】
識別コード20と関連付けられる、熱処理工程5,6の処理パラメータは、温度値と時間値、特に、時間に応じた温度曲線,ワークステーションの担当作業員の識別データ,所謂、ワークステーションの「セットアップ」である、ワークステーションの校正特性(calibration characteristics)を含んでいてもよい。
【0036】
識別コード20と関連付けられる、変形処理工程7,8,9,11,14,17,22の処理パラメータは、その変形処理工程で用いられるスタンプ/パンチ/ローラの幾何学的寸法,作業時間,待機時間及び前進移動速度,吸収される力及び/又はパワー,シリンダ本体の回転速度,スタンプ/パンチ/ローラの移動順序,時間値,温度値、特に、時間に応じた温度曲線,サンドブラスティング時間及び強度,ワークステーションの担当者の識別データ,所謂、ワークステーションの「セットアップ」である、ワークステーションの校正特性等を含んだ作業レシピを含んでいてもよい。
【0037】
識別コード20と関連付けられる、硬度試験23の結果は、検出された硬度値と、試験ステーションの担当作業員の識別データとを含んでいてもよい。
【0038】
識別コード20と関連付けられる、外観検査24の結果は、検査ステーションの担当作業員の識別データに加えて、検査判断,発見された異常の識別と分別とに関するデータ含んでいてもよい。
【0039】
識別コード20と関連付けられる、超音波深傷検査25の結果は、検査ステーションの担当作業員の識別データに加えて、エコグラム,検査装置の校正特性,検査判断,発見された異常の識別と分別とに関するデータを含んだファイルであってもよい。
【0040】
識別コード20と関連付けられる、油圧試験の結果は、試験ステーションの担当作業員の識別データに加えて、体積膨脹の値,付加される圧力の値,圧力が付加される時間の値を含んでいてもよい。
【0041】
識別コード20と関連付けられるアセンブリパラメータは、例えば、シリンダ本体に付けられるバルブ27の特性,バルブ27の駆動トルク,フィラメント・ワインディング及びカーリング28の処理パラメータ,強化材料の識別データ,外側補強層の固定及び硬化処理の時間値と温度値,ワークステーションの担当者の識別データ,ワークステーションの校正特性,所謂、ワークステーションの「セットアップ」等を含んでいてもよい。
【0042】
識別コード20と関連付けられる仕上げ処理のパラメータは、ペインティング29の処理パラメータ、例えば、ペインティングの時間値,温度値及び識別データ,ワークステーションの担当作業員の識別データ,ワークステーションの校正特性を含んでいてもよい。
【0043】
有益的には、識別コード20と関連付けられる処理パラメータに加えて、加工順序の表示、換言すると、同一ワークステーションにおいて加工される、先の未加工金属片の識別コード20(n−1)と次の未加工金属片の識別コード20(n+1)を含んでいてもよい。
【0044】
こうして、或る時間に或るワークステーションにおいて生じた処理異常を被ったガスシリンダを、的を絞った態様で識別することができる。
【0045】
本発明の有益な実施形態によれば、個別マークの仮付け又はラベリングにおいて、及び、その仮付けマークを部分的又は全体的にだめにしてしまう可能性のある、未加工金属片の後続の処理において、及び、後続のマーク再仮付け又は再ラべリングにおいて発生するやも知れない未加工金属片3の識別エラーの可能性を除去するために、個別マーク19は永久マークである。
【0046】
個別マーク19は、シリンダ本体2の基部の外面を形成することとなる未加工金属片3の表面に配置するのが好ましく、ダイ(die)に取り付けられたマトリックスを介した機械的パンチングを通じて、或いは、レーザー彫刻を通じて形成することができる。
【0047】
ガスシリンダ1の製造中に、未加工及び半加工片3の並びにシリンダ本体2の色,形状及び構造を修正した場合であっても、個別マーク19を自動的に検出及び読み取ることができるように個別マーク19自体を構成するのが有益である。
【0048】
実際に、本発明の更なる一側面によれば、未加工金属片3の個別マーク19の読み取りは、例えば、複数の光学検出器30を介して自動的に行われる。各光学検出器30は、上述した変態処理、試験、組立て、仕上げ工程を実施するワークステーションの一つに配置され、コントロールユニット31に信号接続されている。
【0049】
同様に、処理パラメータと、該処理パラメータの、未加工片3の識別コード20との関連性に関する情報とを確保することと、識別コード20と、処理パラメータと、処理パラメータの、識別コード20との関連性に関する情報とをデータベース21に保存することは、同様にコントロールユニット31を介して自動的に行われる。
【0050】
この目的のために、コントロールユニット31、例えば、プロセッサ32,メモリー33及びユーザインターフェース34を備えたマイクロコンピュータが、光学検出器30と、未加工及び半加工の金属片3の処理とシリンダ本体2の処理をコントロールする複数のローカルプロセスコントローラ35とに接続されている。
【0051】
コントロールユニット31は、
未加工金属片3又はシリンダ本体2を識別するデータ、例えば、個別マーク19の少なくとも一つのデジタル写真のファイルを光学検出器30から受信し、
デジタル形態の識別コード20を得るために個別マーク19をデコーディングし、
ローカルプロセスコントローラ35から、試験の結果に加えて、変態処理の処理パラメータと想定される場合のアセンブリ処理及び仕上げ処理の処理パラメータを含むデータを受信し、
試験の結果に加えて、変態処理の処理パラメータと想定される場合のアセンブリ処理及び仕上げ処理の処理パラメータ(以下、「処理パラメータ」と言う。)を各デジタル識別コード20と関連付け、
デジタル識別コード20と、処理パラメータと、処理パラメータの、識別コード20との関連性に関する情報を、メモリー33において作ることのできるデータベース21に保存するように構成されている。
【0052】
処理パラメータは、ローカルプロセスコントローラ35のデータベースを読み取ることを通して、又は、少なくとも一つのプロセスセンサ36による直接的又は間接的な測定を通して、確保することができる。
【0053】
以上の構成に代えて、ローカルプロセスコントローラ35、又は、光学検出器30と直接的に関係付けられたコントロールユニットを、
金属片3又はシリンダ本体2を識別するデータ、例えば、個別マーク19の少なくとも一つのデジタル写真のファイルを光学検出器30から受信し、
デジタル形態の識別コード20を得るために個別マーク19をデコーディングし、
ローカルプロセスコントローラ35から、試験の結果に加えて、変態処理の処理パラメータと想定される場合のアセンブリ処理の及び仕上げ処理の処理パラメータを含むデータを受信し、
試験の結果に加えて、変態処理の処理パラメータと想定される場合のアセンブリ処理の及び仕上げ処理の処理パラメータ(以下、「処理パラメータ」と言う。)を各デジタル識別コード20と関連付け、
デジタル識別コード20と、処理パラメータと、処理パラメータの、識別コード20との関連性に関する情報を、それらをデータベース21に保存するセントラルコントロールユニット31に伝送するように構成することができる。
【0054】
光学検出器30は、例えば、焦点レンズを備えたLEDのような照明手段38を備えたテレビカメラ37を含んでいてもよい。テレビカメラ37の焦点軸37Fと照明手段38の焦点軸38Fは、個別マーク19の方向に配向され、光が照射された領域と暗い領域との互いに異なった領域を備えた画像を生じさせて捕らえるように、相互に且つ個別マーク19の中間面に対して傾斜している。
【0055】
画像の暗い領域を局所的に拡大するために、異なった光照射配向で個別マーク19の二つの画像を捕えることが有益である。
【0056】
個別マーク19は、例えば、データマトリックスタイプの、浅浮き彫りの複数の点状領域42を備えたエンコードフィールド39を含んでいてもよい。このエンコードフィールド39は、シリンダ本体2の識別コード20、好ましくは、鋼の製造バッチを識別する材料コードをコード化するものである。エンコードフィールド39と平行に、鋼の製造バッチを示す英数字を含んだ材料フィールド41に加えて、識別コード20を示すアルファベット及び/又は数字を含んだ識別フィールド40を形成することができる(図6参照)。
【0057】
このことは、例えば、クロスチェックの場合に、オペレータによるコードの読み取りと手動挿入とを簡単にできるようにさせ、本発明による方法と装置とに識別の冗長性(identification redundancy)を付与することとなる。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、浅浮き彫りの各点状領域42は、丸い頂点を備えた半球状又は切頭円錐状の形状と、0.1mmと0.6mmとの間の、好ましくは、0.2mmと0.4mmとの間の、更に好ましくは、約0.3mmの当初深さ(initial depth)を有している(図7参照。)。
【0059】
テレビカメラ37に代えて、個別マーク19の浅浮き彫りの点状領域42を検出するように構成されたレーザスキャナー又はブラッシュタッチセンサ(brush touch sensor)を採用することができる。
【0060】
光学検出器30によって捕えられて、コントロールユニット31又はローカルプロセスコントローラ35、又は、光学検出器30に直接的に関連するコントロールユニットに伝送される画像をデコードする場合について説明を戻すと、本発明の一実施形態によれば、そのようなデコーディングは、
画像をパースペクティブ補正(perspective correction)すること、
好ましくはピクセルレベルでガウス平滑化フィルタ(Gaussian smoothing filter)を画像全体に適用すること、
ピクセルレベルでブラック/ホワイトフィルタを適用すること、
所定の延長閾値(extension threshold)より低いピクセルを除去するためにノイズフィルタを適用すること、
ヒュージ変換(Huge transform)を適用し、その後に、得られたデータマトリックスの画像を配向するための畳み込み(convolution)に加えて、フーリエ変換を適用すること、及び、
得られたデータマトリックスをデコーディングすることのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0061】
例えば、複数のグループのデコーディングパラメータを利用し、第一のデコーディングパラメータのグループを介してデコードされた識別コードが存在するか否かを確認するために、デコードされた当該識別コードをデータベース21に保存された識別コードと比較し、デコードされた当該識別コードがデータベース21に存在しない場合には、デーコーディングが間違いであると判断し、その使用した第一のデコーディングパラメータのグループを好適でないものとみなして、それを拒絶し、次に、識別コードを再びデコードするために第二のデコーディングパラメータのグループを使用してデコードされた当該識別コードをデータベース21に保存された識別コードと比較し、デコードされた当該識別コードがデータベース21に存在しない場合には、デコーディングが間違いであると判断し、その使用した第二のデコーディングパラメータのグループを好適でないものとみなして、それを拒絶し、他方、デコードされた当該識別コードがデータベース21に存在する場合には、デコーディングが成功し、当該第二のデコーディングパラメータのグループは良好な等級となったものと判断し、それを第一のデコーディングのグループとして再分類し、不合格の第一のデコーディングのグループは第二のデコーディングのグループとして再分類することも有益である。デコーディングパラメータの様々なグループをデコーディングの成功に依存してこのように評価即ち再分類することにより、各デコーディングプロセスを常に最も良好なデコーディングパラメータのグループで開始することができる結果となる。
【0062】
個別マーク19を読み取る精度を向上させるために、マーク自体を、例えば、空気ブロワー又は流体ブロワー、又は、機械的ブラッシングによって清浄することができる。
【0063】
上述した方法及びシステムを介して作られ且つ適合されるデータベースは、ガスシリンダの迅速且つ的を絞った追跡のための一組の情報を提供する。
【0064】
マーキング方法及び装置,マークを検出するための方法及び装置、並びに、検出されたデジタル画像を処理するための方法及び装置が、ガスシリンダのための追跡情報を作成するための方法及び装置の他の特徴と組み合わさってかなり高い相乗効果を奏するというように、ガスシリンダの製造条件にとって特に好適であることを当業者は明確に評価することができる。
【0065】
それにも拘わらず、本願の発明者は、マーキング方法及び装置,マークを検出するための方法及び装置、及び、検出されたデジタル画像を処理するための方法及び装置が、ガスシリンダ以外の物、特に、金属,合成材料又は天然材料から作られた固形物に、マーキングし、そのマークを検出し、その物を追跡するために効果的に利用することができることを敢えて銘記する。
【0066】
勿論、当業者は、本発明の要旨の範囲内で付随的及び特定の条件を満足させるために、本発明の上述した実施形態に対して様々な修正及び変更を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加工金属片(3)を提供する工程と、
所望の形状と材料特性とを備えた金属シリンダ本体を確保するべく、前記未加工金属片(3)に複数の変態処理(5,6,7,8,9,11,14,17,18,22)を施す工程であって、A)前記未加工金属片(3)の機械的特性を修正するための少なくとも一つの熱処理工程(5,6)とB)前記未加工金属片(3)の形状を修正するための少なくとも一つの変形処理工程(7,8,9,11,14,17,22)とを含んだ工程と、
前記未加工金属片(3)又は該未加工金属片(3)から得られた前記金属シリンダ本体を少なくとも一つのコントロール処理に晒す工程とを通じて製造される、前記金属シリンダ本体を有するガスシリンダ(1)のための追跡情報を作り出すための方法であって、
前記変態処理の前に、前記未加工金属片(3)の識別コード(20)を含んだ個別マーク(19)を前記未加工金属片(3)に付ける工程と、
前記未加工金属片(3)に付けられた個別マーク(19)を読み取って、読み取った個別マーク(19)の識別コード(20)をデータベース(21)に保存する工程と、
前記変態処理工程(5,6,7,8,9,11,14,17,18,22)のうちの少なくとも一つの工程又は前記コントロール処理中に、前記個別マーク(19)を読み取ることにより、前記未加工金属片(3)の又は該未加工金属片(3)から得られた前記金属シリンダ本体(20)の前記個別マーク(19)の前記識別コード(20)を識別し、前記変態処理工程(5,6,7,8,9,11,14,17,18,22)の少なくとも一つの処理パラメータ、又は、前記コントロール処理の結果を前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記変態処理工程(5,6,7,8,9,11,14,17,18,22)の前記処理パラメータ、又は、前記コントロール処理の前記結果と、前記処理パラメータ又は前記コントロール処理の前記結果の前記識別コード(20)との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程とを含んでいる、ガスシリンダ(1)のための追跡情報を作り出すための方法。
【請求項2】
前記変態処理工程(7,8,9,11,14,17,22)のうちの少なくとも一つの工程中に、前記未加工金属片(3)の前記個別マーク(19)を読み取ることによりその読み取った個別マーク(19)の前記識別コード(20)を識別し、前記変態処理工程(7,8,9,11,14,17,22)の少なくとも一つの処理パラメータを前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記変態処理工程(7,8,9,11,14,17,22)の前記処理パラメータと、前記処理パラメータの前記識別コード(20)との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程と、
前記未加工金属片(3)の前記熱処理工程(5,6)の少なくとも一つの工程中に、前記未加工金属片(3)の前記個別マーク(19)を読み取ることにより前記未加工金属片(3)の前記識別コード(20)を識別し、前記熱処理工程(5,6)の少なくとも一つの処理パラメータを前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記熱処理工程(5,6)の前記処理パラメータと、前記熱処理工程(5,6)の前記処理パラメータの前記識別コード(20)との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程とを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理工程(5,6)が、少なくとも一つの焼きなまし工程(5)と、少なくとも一つの焼入れ及び焼きもどし工程(6)とを含んでいる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記変態処理工程(7,8,9,11,14,17,22)が以下の工程の少なくとも一つを含んでいる、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
冷間深絞り工程(7)と、
フローフォーミング工程(8)と、
前記シリンダ本体(2)をスピニング加工して、前記シリンダ本体(2)のネック部(10)を形成する工程(9)と、
前記シリンダ本体(2)をサンドブラスティング加工する工程(22)と、
前記シリンダ本体(2)の前記ネック部(10)にネジ山を付形する工程(11)と、
フローフォーミングを介して前記シリンダ本体(2)の基部をスピニング加工する工程(13)と、
前記シリンダ本体(2)の前記基部を形成するための前記基部のシェ―ピング及び内部ドレッシング処理工程(14)と、
カッピング及び熱間穿孔工程(16)と、
前記シリンダ本体(2)の壁厚減少処理工程17。
【請求項5】
前記変態処理工程が、冷間深絞り工程(7)と関連する少なくとも一つの平滑処理工程(18)を含んでいる、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記未加工金属片(3)から得られた金属シリンダ本体(2)に対して硬度試験(23)を実施し、
前記硬度試験(23)中に、前記シリンダ本体(2)の前記個別マーク(19)を読み取ることにより前記識別コード(20)を識別し、前記硬度試験(23)の結果を前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記硬度試験(23)の結果と、前記硬度試験(23)の前記結果の前記識別コード(20)との関連性に関する情報を前記データベースに保存する工程とを含んでいる、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記未加工金属片(3)から得られた金属シリンダ本体(2)に対して、それの特性を確認するための少なくとも一つの非破壊試験を実施し、
前記非破壊試験の工程中に、前記シリンダ本体(2)の個別マーク(19)を読み取ることにより前記シリンダ本体(2)の前記識別コード(20)を識別し、前記非破壊試験の結果を前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記非破壊試験の前記結果と、前記非破壊試験の前記結果の前記識別コード(20)との関連性とをデータベース(21)に保存する工程を含んでいる、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記非破壊試験が、前記シリンダ本体(2)を少なくとも一つの外観検査に晒す工程(24)と、前記シリンダ本体(2)を超音波深傷検査する工程(25)を含んでいる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記未加工金属片(3)から得られた前記金属シリンダ本体(2)に対して油圧試験(26)を実施し、
前記油圧試験(26)中に、前記シリンダ本体(2)の前記個別マーク(19)を読み取ることにより前記シリンダ本体(2)の前記識別コード(20)を識別し、前記油圧試験(26)の結果を前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記油圧試験(26)の結果と、前記油圧試験の前記結果の前記識別コード(20)との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程を含んでいる、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記未加工金属片(3)から得られる前記金属シリンダ本体(2)について、前記ガスシリンダ(1)を完成させるために少なくとも一つのアセンブリ工程を実施し、
前記アセンブリ工程中に、前記シリンダ本体(2)の前記個別マーク(19)を読み取ることにより前記シリンダ本体(2)の前記識別コード(20)を識別し、前記アセンブリ工程の組立パラメータを前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記組立パラメータと、前記組立パラメータの前記識別コード(20)との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程を含んでいる、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アセンブリ工程が、バルブ(27)又はその他のアクセサリーを前記金属シリンダ本体(2)に付ける工程と、前記ガスシリンダ(1)が複合ガスシリンダの場合に、前記金属シリンダ本体(2)に対してフィラメント・ワインディング及びカーリング(28)を施す工程とを含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記未加工金属片(3)から得られる前記金属シリンダ本体(2)について、ペインティングを施す少なくとも一つの仕上げ処理(29)を施し、
前記仕上げ工程中に、前記シリンダ本体(2)の前記個別マーク(19)を読み取ることにより前記シリンダ本体(2)の前記識別コード(20)を識別し、前記仕上げ処理工程の仕上げパラメータを前記識別コード(20)と関連付ける工程と、
前記仕上げパラメータと、前記仕上げパラメータの前記識別コード20との関連性に関する情報とを前記データベース(21)に保存する工程を含んでいる、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記識別コード(20)と関連付けられる前記パラメータを、以下のパラメータを含むグループから選択する、請求項1〜12に記載の方法。
温度値及び時間値と、
ワークステーションの担当作業員の識別コードと、
処理レシピと、
工具の移動速度と、
吸収されるパワーと、
付加される力と、
前記シリンダ本体(2)の回転速度と、
前記工具の移動順序。
【請求項14】
前記識別コード(20)と関連付けられる、前記試験の前記結果と前記検査の前記結果とを、以下の結果を含むグループから選択する、請求項6〜9の何れか一項に記載の方法。
検出された硬度の値と、
検査判断と、
発見された異常の識別と分別と、
エコグラムを含んだファイルと、
試験及び検査装置の校正特性と、
体積膨脹の値,付加される圧力の値,圧力付加時間の値と、
試験ステーションの担当作業員の識別コード。
【請求項15】
前記識別コード(20)と関連付けられる前記組立てパラメータを、下記のパラメータを含むグループから選択する、請求項10又は11に記載の方法。
前記金属シリンダ本体(2)に付加されるバルブ(27)の特性と、
前記バルブ(27)の駆動特性と、
フィラメント・ワインディング及びカーリング(28)の処理パラメータと、
補強材料の識別コードと、
フィラメント・ワインディング及びカーリング(28)の時間値と温度値と、
ワークステーションの担当作業員の識別コードと、
ワークステーションの校正特性。
【請求項16】
前記識別コード(20)と関連付けられる前記パラメータが、同一ワークステーションにおいて加工される前記未加工金属片(3)の順序を表示するものである、請求項1〜15に記載の方法。
【請求項17】
前記個別マーク(1)が永久マークである、請求項1〜16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記片(3)の前記個別マーク(19)を読み取る工程と、前記処理パラメータを確保する工程と、前記処理パラメータを前記識別コード(20)と関連付ける工程と、前記識別コード(20),前記処理パラメータ,前記処理パラメータの前記識別コード(20)との関連性に関する情報を保存する工程とを自動的に実施する、請求項1〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
ローカルプロセスコントローラ(35)のデータベースを読み出すと共に少なくとも一つのプロセスセンサ(36)を介した検出により前記処理パラメータを確保する工程を含んでいる、請求項1〜18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記個別マーク(19)が、前記金属シリンダ本体(2)の前記識別コード(20)をコード化した、浅浮き彫りの複数の点状領域(42)を備えたエンコードフィールド(39)と、前記未加工金属片(3)の製造バッチを識別する材料コードと、識別コード20を示すアルファベットを含んだ識別フィールド(40)と、前記未加工金属片(3)の製造バッチを示す英数字を含んだ材料フィールド(41)とを含んでいる、請求項1〜19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法を介して、ガスシリンダ(1)の追跡情報を作成するシステムであって、
プロセッサ(32)とメモリー(33)とユーザインターフェイス(34)とを有して、前記未加工金属片(3)の処理工程をコントロールする複数のローカルプロセスコントローラ(35)にデータ接続されたコントロールユニット(31)と、
前記コントロールユニット(31)に信号接続されて、前記未加工金属片(3)の前記変態処理を実施する各ワークステーションに配置され、前記未加工金属片(3)の前記個別マーク(19)を検出するようになっている複数の光学検出器(30)とを有し、
前記コントロールユニット(31)が、
検出された前記個別マーク(19)を示すデータを前記光学検出器から受けて、
デジタル形態の前記識別コード(20)を確保するために前記個別マーク(19)をデコードし、
前記処理パラメータを含んだデータを前記ローカルプロセスコントローラ(35)から受信し、
前記処理パラメータを前記デジタル形態の前記識別コード(20)と関連付け、
前記デジタル形態の識別コード(20),前記処理パラメータ,該パラメータの前記識別コード(20)との関連性に関する情報を、前記メモリー(33)において作成された前記データベース(21)に保存するように構成されている、ガスシリンダ(1)の追跡情報を作成するシステム。
【請求項22】
前記光学検出器(30)が照明手段(38)を備えたテレビカメラ(37)を含み、前記テレビカメラ(37)の焦点軸(F37)と前記照明手段(38)の焦点軸(38F)とが、前記個別マーク(19)の方向に配向され、光が照射された領域と暗い領域との互いに異なった領域を備えた画像を前記個別マーク(19)の画像と共に生じさせて捕らえるように、相互に且つ個別マーク(19)の中間面に対して傾斜している、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記光学検出器(30)が、異なった方向からの光の照射で、前記個別マーク(19)の二つの画像を捕えるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記個別マーク(19)が、浅浮き彫りの領域を備えたデータマトリックスを含み、前記コントロールユニット(31)が、以下の工程を介して前記データマトリックスの画像をデコードするように構成されている、請求項21〜23の何れか一項に記載のシステム。
前記画像をパースペクティブ補正する工程と、
ピクセルレベルでガウス平滑化フィルタを画像全体に適用する工程と、
ピクセルレベルでブラック/ホワイトフィルタを適用する工程と、
所定の延長閾値より低いピクセルを除去するためにノイズフィルタを適用する工程と、
ヒュージ変換を適用し、その後に、前記データマトリックスの前記画像を配向するための畳み込みに加えて、フーリエ変換を適用する工程と、
得られたデータマトリックスをデコーディングする工程。
【請求項25】
前記コントロールユニット(31)が、
複数のグループのデコーディングパラメータを用いて、前記識別コード(20)をデコードし、
前記デコーディングパラメータの第一のグループを介してデコードされた識別コード(20)を前記データベース(21)に保存された前記識別コード(20)と比較し、デコードされた識別コード(20)がデータベース(21)に存在しない場合に、当該識別コード(20)を拒絶し、デコーディングパラメータの第二のグループへ進み、
各ワークステーションと片(3)を区別して、デコーディングの合格に従ってデコーディングのグループを評価、即ち、第一,第二、第三・・・として分類するように構成されている、請求項21〜24の何れか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−520742(P2013−520742A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554472(P2012−554472)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/IT2010/000083
【国際公開番号】WO2011/104736
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512071204)ファーベル インダストリエ エス.ピー.エー. (2)
【Fターム(参考)】