説明

ガスボトルの表面に存在する複合コーティングを除去する方法

本発明は、ガスカートリッジの本体の表面上に存在する、繊維と少なくとも一つの樹脂とから形成される複合コーティングの少なくとも一つの層の少なくとも一部を除去する方法に関する。前記方法において、ガスカートリッジの本体上に存在する前記コーティング層の少なくとも一部を除去するために、少なくとも一つの液体窒素の流れが-100℃より低い温度で及び少なくとも00barsで前記コーティングとの接触に分与される。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、加圧ガスを貯蔵するために用いられるガスボトルの本体上に存在する複合コーティングを、該ガスボトルの本体がその後にリサイクルされ得るように除去するための方法に関する。
【0002】
一般に、ガスを貯蔵するために用いられるガスボトルには4つのタイプがある。即ち、
- タイプIのボトル:全体が金属(スチール又はアルミニウム)で作られたボトル;
- タイプIIのボトル:複合物、例えばケブラー/エポキシで被覆された金属(スチール又はアルミニウム)製の本体から成るボトル;
- タイプIIIのボトル;アルミニウム製の本体から成り、例えばケブラー/エポキシからなる複合物で被覆されたタイプI及びIIのボトルの本体よりも薄いボトル;及び、
- タイプIVのボトル;複合物で被覆された、ブロー成形されたポリエチレン又はポリアミド製の本体から成るボトル。
【0003】
タイプII及びIIIのボトルの有利な点は、そのボトルが、タイプIのボトルと同様の機械的特性を残しながらもより軽いという事実にある。タイプIVのボトルは極めて特殊な場合に用いられる。タイプII及びIIIのボトルは、ライナーと呼ばれ、ガスがその中に貯蔵され、複合「スキン」によって囲まれる、金属製の本体を有する。
【0004】
しかしながら、欧州の環境基準は厳しくなっており、現在、製品はリサイクルされるように設計されることが要求されている。よって、それらのボトルは現在、以下の方法でリサイクルされている。
【0005】
まず、ボトルは二つの部分に切断され、一方で金属が回収され、他方で複合物が回収されて粉砕される。
【0006】
しかしながら、金属ライナーを二つの半分のボトルに切断することは、ライナーをガス容器として直接的にリサイクルすることを可能にしない。それは、新しいライナーを製造するために再溶融及びリフォームされる必要があるベース金属としてリサイクルされるのみである。それ故、現今では、リサイクル操作は最適化されていない。
【0007】
従って、解決されるべき課題は、ガスボトル、特にタイプII及びIIIのボトル、即ち、複合物でコーティングされた金属本体又はライナーから成るガスボトルを、効率的及びエコロジカルにリサイクルすることを可能にする方法を提供することである。該方法は、それらの表面から複合コーティングを除去するために使用されたボトルの本体を二つに切断することを必要とせず、その結果、前記使用されたボトルの本体が、その後の再溶融及びリフォームなしで再利用されることを可能にする。
【0008】
本発明の解決方法は、ガスボトルの本体の表面に存在する、繊維と少なくとも一つの樹脂とから形成される複合コーティングの少なくとも一つの層の少なくとも一部を除去する方法であって、前記ガスボトルの本体上に存在する前記コーティング層の少なくとも一部を除去するために、前記コーティングは-100℃以下の温度及び少なくとも500barの圧力で、少なくとも一つの液体窒素噴射と接触される方法である。
【0009】
換言すると、一以上の加圧液体窒素噴射は、除去されるべき複合コーティングの表面に強い影響を与えるために放出される。コーティングにおける一以上の噴射の影響は、それをガスボトルの本体から剥がさせ(debond)、一以上の液体窒素噴射の圧力の影響下で除去させる。
【0010】
本発明の方法は、状況によって以下の特徴の一以上を含み得る。
【0011】
- 複合コーティングは、繊維と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の少なくとも一つとから形成される。
【0012】
- コーティングは、ガラス、玄武岩、カーボン又はアラミド繊維を含む。
【0013】
- コーティングは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂から選択される熱硬化性樹脂を含む。
【0014】
- コーティングは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド−6及びポリアミド−12のタイプの樹脂から選択される熱可塑性樹脂を含む。
【0015】
- 本体の複合コーティングは、ケブラー/エポキシ製であるか又はカーボン/エポキシ製である。
【0016】
-少なくとも一つの液体窒素噴射は、少なくとも一つの放出(delivery)ノズルを介して放出される。
【0017】
- 少なくとも一つの液体窒素噴射は、多数の回転又は振動ノズルによって放出される。
【0018】
- ガスボトルの本体は金属製であり、好ましくはスチール又はアルミニウム製であり、又はセラミック製である。
【0019】
- ガスボトルの本体は、ポリエチレン製又はポリアミド製である。
【0020】
- 液体窒素噴射の圧力は、4500bar以下であり、好ましくは1000〜4000barであり、及びさらにより好ましくは約3000〜3800barである。
【0021】
- 液体窒素は、約-130℃以下の温度であり、好ましくは約-140℃〜-230℃の温度である。
【0022】
- ガスボトルは、加圧液体窒素を放出する一以上のノズルに対して回転される。
【0023】
本発明の解決方法は、それ故、極めて高い圧力での一以上の液体窒素噴射を用いてボトルの本体の表面に存在する複合層を引き離す(detaching)ことに存し、図2に模式的に示したノズル保持ツール(nozzle-bearing tool)を備える図1のような装置によって実行され得る。
【0024】
従って、図1に示したように、ガスボトル10の複合性表面コーティング層13を除去するために用いられ得る、低温液体の噴射を用いた表面剥離(surface stripping)のための装置は、低圧液体窒素供給ライン6(即ち、約3〜6bar及び約-180℃で)を介して供給する液体窒素(以下、「LN」とも称する)の貯蔵のためのタンクなどの貯蔵容器1、内部上流熱交換器及び液体窒素が超高圧(UHP)になることを可能にするコンプレッサーを有する圧縮デバイス2から成る。圧縮デバイス2は、それ故、貯蔵タンク1から来るLNを圧縮する。
【0025】
第一圧力(UHP)でのLNは、次いで、輸送ライン(7)を介して外部の下流熱交換器3に輸送され、ここで、UHP LNは、典型的にはUHP液体窒素を得るために、大気圧の液体窒素(9における)で冷却される。
【0026】
上記は、典型的には1000bar以上、通常は2000bar〜5000bar、有利には約3000〜4000barの圧力(UHP)で、−140C以下の温度、典型的には−140C〜−180C、例えば、約−150Cから−160CのLNをもたらし、これは、UHP液体窒素の噴射12を放出する放出ノズル11を備えた表面剥離ツール4などに輸送される(8において)。
【0027】
タンク1は、数千リットルの液体窒素を貯蔵可能な、タンカートラック又は貯蔵タンクなどの通常は屋外に、すなわち野外に置かれる、高容量の固定又は移動可能タンクである。
【0028】
タンク1は、一以上の制御バルブを含む絶縁パイプによって装置に接続される。さらにその上、LNも絶縁ダクトを介してシステムの種々の構成部分の間を輸送される。全体的なガス流量はおよそ20 l/minであり、すなわち15m/minである。
【0029】
一般に、圧縮デバイス2、外部熱交換器3及び上記のすべてのツール4は、原理的には一以上の建物に配置される。
【0030】
図2に示したように、複合コーティング層13、すなわち、ガスボトル10の表面に存在する繊維/樹脂の混合物から形成される層を剥離するために、処理されるべきボトル10の表面を剥離するために用いられるUHP LN噴射12を得るように、UHP LN(8において)を供給されるノズル11を装備するツール4が用いられ、これは好ましくは回転又は振動を作り、これにより、それらの上の複合性表面コーティング層を除去し、回収されるべきボトル10の剥離された本体、すなわち、コーティング13のないボトルを可能にする。
【0031】
ボトル10の本体14は、次いで、リサイクルされることが可能であり、特に、加圧ガスを貯蔵するために再度用いられるように、新たなコーティング層13で被覆されることができる。
【実施例】
【0032】
本発明の方法の有効性を証明するために、以下の条件で試験を行った。
【0033】
高さ1.68m、直径0.23mであり、そのスチール又はアルミニウム製の本体がケブラー/エポキシ複合物の10mmの表面コーティング層で被覆された円筒形のガスボトルを、3200bar及び−155Cの温度の液体窒素噴射で処理した。前記窒素噴射を、図2におけるように、多数のノズルを有する回転ツールにより射出した。噴射は、0.054mの縞(strip)をたどった。回転ツールの前進速度は、1m/minであった。ボトルの全長が0.054mの幅で処理される場合、ボトルは0.053m(1mmの重複)ずつ回転される。
【0034】
試験結果は、複合「スキン」又は表面コーティングが、高圧液体窒素噴射の影響下で本体から極めて容易にはがれることを示した。ボトルの本体は、約18から20分で剥離された。
【0035】
さらに、そのような剥離操作の処理量(throughput)は、約4m/hであった。もちろん、多数のノズルを同時に使用することで、ボトルを処理する速度を上昇させることが可能である。
【0036】
さらにその上、使用される方法はボトル本体の完全性に影響しない、即ち、窒素噴射は金属をエッチングしない。これにより、それが容易に再利用されることを可能にし、それ故、この方法をエコロジカル且つ環境にやさしくする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】
【図2】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスボトルの本体の表面に存在する、繊維と少なくとも一つの樹脂とから形成される複合コーティングの少なくとも一つの層の少なくとも一部を除去する方法であって、前記ガスボトルの本体上に存在する前記コーティング層の少なくとも一部を除去するために、前記コーティングは-100℃以下の温度及び少なくとも500barの圧力で、少なくとも一つの液体窒素噴射と接触される方法。
【請求項2】
前記複合コーティングは、繊維と、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の少なくとも一つとから形成される、上記請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングは、ガラス、玄武岩、カーボン又はアラミド繊維を含むことを特徴とする上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂から選択される熱硬化性樹脂、又は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド−6及びポリアミド−12タイプの樹脂から選択される熱可塑性樹脂を含む、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記本体の前記複合コーティングは、ケブラー/エポキシから又はカーボン/エポキシから作られる、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも一つの液体窒素噴射が、少なくとも一つの放出ノズルを介して放出され、好ましくは多数の液体窒素噴射が多数の回転又は振動ノズルによって放出される、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
容器の前記本体は、スチール又はアルミニウムから選択される金属製、又は、セラミック製、ポリエチレン製又はポリアミド製である、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体窒素噴射の圧力は、4500bar以下であり、好ましくは1000〜4000barであり、及びさらにより好ましくは、約3000〜3800barである、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記窒素は、-130℃以下の温度であり、好ましくは-140℃〜-230℃の温度である、上記請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
容器は、液体窒素を放出する一以上のノズルに対して回転される、上記請求項の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505129(P2013−505129A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530308(P2012−530308)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051903
【国際公開番号】WO2011/036373
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】