説明

ガス・センサ・アレーの作動回路装置

【課題】電気接点数を低減することが可能な、ガスを検出するためのガス・センサ・アレーの作動回路装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの信号ラインを有する、センサ・アレー、特にガスを検出するためのガス・センサ・アレーの作動回路装置において、少なくとも1つの信号ラインが少なくとも2つの並列ライン・ブランチに分岐され、少なくとも2つの並列ライン・ブランチ内にそれぞれ、少なくとも1つのセンサと、それぞれのセンサに直列に結合されている少なくとも1つのダイオードとが配置される。この場合、少なくとも2つのダイオードは電気的に逆の遮断方向を有し、少なくとも1つの信号ラインに印加された電位の極性により、少なくとも1つの信号ライン内を流れる電流の少なくとも大部分が、第1の並列ライン・ブランチ内を流れたか、または第2の並列ライン・ブランチ内を流れたかが決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ・アレー、特にガスを検出するためのガス・センサ・アレーの作動回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス、特に自動車技術における排気ガスを検出するために、しばしば、いわゆる「センサ・アレー」が使用される。これらのセンサ・アレーは複数の非選択ガス・センサから構成され、この場合、適切な信号評価により、ないしは神経回路により、このアレーを用いて1つまたは複数のガスを選択的に検出可能である。
【0003】
たいていの場合、このセンサ・アレー内に、検出のための抵抗半導体センサ、例えば二酸化スズのベース上の抵抗半導体センサが使用される。このようなアレーの使用における問題点は、センサが個々に接触されなければならず、このことが一方でセンサと外部リード線との多数の接点が必要であることにある。これにより、特に、自動車分野においてセラミック基板が将来ますます使用される場合、接点がきわめて小さな寸法を有していなければならず且つさらに相互にきわめて緻密に配置されなければならないという他の問題が発生する。このような接点配置は、特にセンサの耐振性を著しく低下させるので、これは自動車技術において使用可能ではない。
【0004】
したがって、それにより必要な接点数を低減可能な、このようなセンサ・アレーの作動回路装置ないしは電気接点形成回路装置が望ましい。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、ダイオードの使用により、好ましくは金属−半導体接合としてそれ自身既知のショットキー・ダイオードを使用することにより、当該センサ・アレーにおける電気接点数を低減するという考え方を基本とする。
【0006】
少なくとも1つの信号ラインを有するセンサ・アレーの本発明による作動回路装置は、少なくとも1つの信号ラインが少なくとも2つの並列ライン・ブランチに分岐されていること、および少なくとも2つの並列ライン・ブランチ内にそれぞれ1つのセンサおよび1つのダイオードが配置され、この場合、少なくとも2つのダイオードがそれぞれ逆の遮断方向を有していること、という特徴を有している。
【0007】
極性の異なるダイオードを使用することにより、少なくとも2つのセンサをただ1つの信号ラインを介して応答させることが可能となる。信号ラインに印加された電位の対応の極性によってのみ、測定電流が一方のセンサ内を流れているか、またはそれぞれ他方のセンサ内を流れているかを決定可能であり、この場合、逆の遮断方向に配置されているそれぞれのダイオードは、少なくとも選択されなかったそれぞれのセンサのライン・ブランチ内を流れる電流の大部分を遮断し、または理想的な場合には選択されなかったそれぞれのセンサ内を流れるほとんど全ての電流さえも遮断する。
【0008】
好ましい実施形態においてはショットキー・ダイオードが使用され、これらは直接セラミック基板上に配置される。これにより、外部リード線の数をさらに低減可能であり且つそれに追加して冒頭記載の接点形成の問題を回避または阻止することさえ可能である。ショットキー・ダイオードは、PN接合(例えば、ドーピングされたケイ素またはゲルマニウム内)をベースにした通常のダイオードに比較して、耐熱性の形に形成可能であること、および比較的容易に上記セラミック基板上に装着可能であることという特定の利点を有していることを注記しておく。即ち、本発明による回路装置は、通常の厚膜技術によりコスト的に有利に製造可能である。これは特に、他の実施形態により半導電性金属酸化物が使用されるときに適用される。
【0009】
本発明は、上記の利点を有する前記ガス・センサ・アレーの作動に対してのみならず、基本的に、少なくとも2つのセンサがただ1つの電気信号ラインを介して作動可能であるかぎり、他のセンサ・タイプから構成されているセンサ・アレー、例えば以下に記載の抵抗センサまたは非抵抗センサからなるセンサ・アレーにおいてもまた使用可能であることに注目すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明による回路装置を原理図で示している。信号ライン100は、第1の分岐点105において、2つの並列ライン・ブランチ110、115に分岐する。第2の分岐点120において、両方のライン・ブランチ110、115は1つの引出線125に集合される。両方のライン・ブランチ110、115内にそれぞれ、以下に記載の実施例内の抵抗センサ130、135が配置され、即ち両方のセンサ130、135は、1つの信号ライン100のみから作動される。本発明は、基本的に、それらが電気信号ラインを介して作動されるかぎりにおいて、非抵抗センサにおいてもまた使用可能であることは明らかである。第1のライン・ブランチ110内に第1のショットキー・ダイオード140が配置され、しかもその陽極145が第1の分岐点105の方向に、また陰極150が第2の分岐点120の方向に配置されている。第2のライン・ブランチ115内に第2のショットキー・ダイオード155が配置され、しかも第1のショットキー・ダイオード140とは逆の極性に、即ち陽極160が第2の分岐点120の方向に、また陰極165が第1の分岐点105の方向に配置されている。
【0011】
ここでは、ショットキー・ダイオード140、155が図においてそれぞれのセンサ130、135の左側または右側に配置されているかは問題ではないことを注記しておく。両方のショットキー・ダイオード140、155が電気的にいかなる極性を有しているかは問題ではなく、それぞれ逆の極性を有していればよい。
【0012】
ここで、信号ライン100に印加されている電位の極性により、信号ライン100および両方のライン・ブランチ110、115内を流れる測定電流が一方のセンサ130内を流れているかまたは他方のセンサ135内を流れているかが決定可能である。したがって、両方のセンサ130、135のそれぞれ一方のみが、印加された電位の極性により選択可能である。即ち、図1に示されている装置内の両方のショットキー・ダイオード140、155を使用することによりはじめて、両方の抵抗センサ130、135を、信号ライン100のみを介して対応ないしは選択させることが可能である。
【0013】
ショットキー・ダイオード140、155は、直接セラミック基板上に装着されることが好ましい。これにより、以下に詳細に記載されるような外部リード線の数を大幅に低減させることができる。さらに、これにより冒頭記載の接点形成の問題もまた回避され、または当然阻止される。この場合、ショットキー・ダイオードは、通常のダイオードよりも耐熱性のある形態に製造可能であり、したがって比較的容易にセラミック基板上に装着可能である。これにより、通常の厚膜技術が使用可能である。これは、特に、半導電性金属酸化物が使用されるときに適用される。
【0014】
ショットキー・ダイオードは、冒頭記載記載のように、金属−半導体接合からなっている。金属は、半導体よりも大きい電子受入傾向を有している。これにより、電子は、半導体の境界層から金属内に移動する。電子が少ない層は電流を遮断するように働く。印加される電位の方向に応じてそれぞれ、遮断境界層の効果を増大または低減可能である。
【0015】
信号ライン100のみならず引出線125もまた同様に金属から形成されているので、信号ライン100、それぞれの選択センサ130、135および引出線125を介して流れる測定電流の通路上に必ずこのような2つの金属−半導体接合が存在する。この結果、特別の手段がなければ、逆の流れ方向を有する2つのダイオードが相互に直列に接続されていることになる。即ち、電流の流れは、測定電圧の極性とは無関係に遮断される。したがって、たいていの場合、両方の金属−半導体接合が、両方の接合の一方のみが電流を遮断する作用を発生し、他方のみがオーム接触として働くように相互に異なっていることが必要である。
【0016】
このタイプのショットキー・ダイオードは、種々の理由から、ガス・センサを有する基板上に装着可能である。これは、以下において、図2a、図2bおよび図3a、図3bの実施例で表わされている。図2aおよび図2bに示されている両方の実施形態においては、ショットキー・ダイオードは本来のガス検知センサから分離して配置され、これに対して、図3aおよび図3bに示されている実施形態においては、ショットキー・ダイオードはセンサと組み合わされ、即ちセンサがショットキー・ダイオードの半導体内に統合される。
【0017】
図2aに示されている実施形態は基板200を含み、この図の中央において基板200上に半導体(半導体材料)205が装着されている。その左側において、半導体材料205は、電子に対して比較的高い電気放出作用を有する金属導体材料からなる第1のリード線210に接している。半導体205および第1の金属導体間の境界面215に、それ自身既知のように、電流を遮断する作用を形成する金属−半導体接合が形成されている。その右側において、半導体材料205は、第1の導体材料に比較してより小さい電子放出作用を有する金属導体材料からなる第2のリード線220(ないしは図1に示す「引出線」)と接している。半導体205および第2の金属導体220間の境界面225において、同様にそれ自身既知のように、オーム接触のみとして働く第2の金属−半導体接合が形成されている。第1および第2の金属−半導体接合の上記電子特性は、両方の金属−半導体接合により引き起こされる上記の不利な効果を回避するように働く。
【0018】
ガス雰囲気の組成はショットキー・ダイオードの特性に影響を与えることがあるので、ショットキー・ダイオードを周囲のガス雰囲気から分離する保護層が設けられてもよい。ガス検知材料それ自身がショットキー・ダイオードの半導体として働くときもまた、金属および半導体間の接触領域の遮蔽により当該保護層を設けることができる。したがって、この実施例においては、半導体層205上にこのようなガスの影響から保護するためにさらに被覆層230が設けられ、被覆層230は半導体205を完全に被覆し且つ両方のリード線210、220の領域にまで到達している。
【0019】
半導体205の層に対する材料として、例えば耐熱性炭化ケイ素または異なる量でドーピングされた半導電性金属酸化物(例えば、TiO、SnO、WO、Cr)が考慮される。金属導体に対する材料として、例えば金、白金、パラジウム、ロジウムのような貴金属ないしはこれらの金属の合金が考慮されることが好ましい。しかしながら、例えば、マンガン酸ランタン、亜クロム酸ランタン、コバルト酸ランタンのような導電性金属酸化物の使用もまた考えられる。
【0020】
図2bに示されている実施形態においても同様に、基板305の中央に半導体材料300が装着されている。この場合も同様に、左側において、半導体300は金属導体からなる第1のリード線310に接している。この場合も同様に、図の右側において金属導体材料から形成されている第2のリード線ないしは引出線315が配置されている。図2aに相違して、半導体300が第2のリード線315の付近の領域320、325において上記の理由からドーピングされ、しかもドーピング濃度に勾配を有してドーピングされている。両方の部分領域320、325は、この実施例においては、異なるドーピング度を有する領域を示し、即ち、前記勾配は実際にはドーピング度の離散変化により達成される。この実施形態においては、接点形成のために使用される金属は同じであっても、ないしはほぼ同じ放出作用を有していてもよい。
【0021】
上記勾配ドーピングの代わりに、この領域内において相前後する層内に他の半導体を配置するように設計されていてもよく、この場合、層は、同様に、ドーピング内においてしかも層の順番方向に勾配を形成していることが好ましい。図2aに示す実施例においてと同様に、この場合もまた、さらに前記特性を有する被覆(保護)層330が設けられていてもよい。
【0022】
ここで、以下に、必要なオーム接触の上記の種々の形成可能性を、半導電性金属酸化物を使用した場合において説明する。このようなオーム接触は、この場合、次の代替方法で発生されてもよい。
1)半導体は、図2aに示されているように、2つの異なる金属導体と接触される。半導体から電子を受け入れる傾向がより小さい材料がオーム接触を形成している。
2)両方の金属接触間に存在する半導体は、オーム接触の位置において、電子を金属に放出するその傾向が低減されるように修正される。このために、例えば、次の手段が考えられる。
a)半導体は、オーム接触の位置において、適切なドーピングにより、半導電性状態から金属性(ないしは帯導電性)状態に移行される(図2b参照)。この場合、緩やかに上昇するドーピング勾配の利用が有効なことがある。
b)他の半導電性材料からなる接合層または他の半導電性材料からなる複数の相前後する層が使用される。これらの層は、次第に低減する、電子を金属に放出する傾向を有している。
3)オーム接触の位置において半導体はきわめて高くドーピングされ、これにより、不足境界層の厚みが小さくなるようにそのキャリア濃度が上昇する。この場合、緩やかに上昇するドーピング勾配の利用が有効なことがある。
4)代替態様1)−3)の任意の組み合わせもまた可能である。
【0023】
代替態様1)および3)において、SiまたはGeのような「通常の」半導体をベースにしたショットキー・ダイオードは、オーム接触形成の既知の技術であることを注記しておく。
【0024】
図3aおよび図3bに示す他の実施形態においては、それぞれのガス検知材料(半導電性金属酸化物、例えばTiO、SnO、WO、Cr)それ自身はショットキー・ダイオードに対する材料として使用される。
【0025】
図3aに示されている実施例においては、基板400上の一方の側(ここでは左側)に、比較的高い電子放出作用をもつ金属導体材料からなるリード線405が配置されている。反対側(ここでは右側)に、第2のリード線ないしは引出線410が存在し、第2のリード線ないしは引出線410は、電子に対する比較的小さい放出作用をもつ半導体材料から製造されている。これらの両方の導線405、410間に、図2aおよび図2bとは異なり、半導電性金属酸化物からなるガス検知層415が配置されている。この実施例においては、粒子によって示されているように、この層415は、厚膜技術ないしは厚層技術により製造されている。このガス検知層415の境界領域内に、上記の理由から、同様にガスの影響を防止する保護層420が設けられていてもよい。
【0026】
図3bに示されている実施例においては、基板500上の両側に、金属導体から形成されているリード線505、510が配置されている。これらの両方の導線505、510間に、同様に半導電性金属酸化物からなるガス検知層515が配置されている。しかしながら、この実施例においては、ガス検知層515の右側に半導電性金属酸化物のドーピング濃度内に勾配520が設けられている。ガス検知層515の境界領域内に、上記の理由から、同様にガスの影響を防止する保護層525が設けられていてもよい。
【0027】
たいていの使用例において、ダイオードにおける電圧降下が抵抗測定を妨害することがある。したがって、ここには図示されていない実施例により、ガス検知センサの抵抗を、直流電圧ではなく、一定のバイアス電圧に加重印加されている交流電圧で測定するように設計されてもよい。センサ内を流れる電流の交流部分を測定することにより、選択的にガス検知層の抵抗のみを測定することが可能である。バイアス電圧の極性により、上記のように、どの検知センサが応答されるかを制御することができる。さらに、直流電圧において、それぞれショットキー・ダイオードの破壊電圧より大きい異なる電圧値(少なくとも2つ)を使用することが可能である。ガス・センサの抵抗は、それ自身既知のように、それぞれの電流/電圧特性曲線の勾配から得られる。
【0028】
この場合も同様に図示されていない実施形態により、信号ラインごとに2つのショットキー・ダイオードのうちの1つがなくてもよい。この場合、ショットキー・ダイオードが遮断する電流方向には、1つのガス検知センサの抵抗のみが測定される。他の方向においては、両方のガス検知センサから得られる加算信号が測定される。
【0029】
ここで、図4a−図4dに当該センサ・アレーの作動回路ないしは形成回路の種々の変更態様が示される。第1の変更態様により、3つのガス・センサが1つの信号ラインを介して作動ないしは測定される(図4a参照)。図4aに示されている回路装置は、図1に対応して、信号ライン610および引出線615を介して図示の並列回路により作動される2つの抵抗センサ600、605を有している。これらのセンサ600、605は、上記のように、両方のショットキー・ダイオード620、625により選択される。回路装置は他の並列ループ630を含み、並列ループ630内に追加の抵抗センサ635が配置されている。しかしながら、この並列ループ630はショットキー・ダイオードを含んでいない。この変更態様においては、小さい測定電圧が印加されたとき、ショットキー・ダイオードに直列に接続されていないセンサ635の抵抗のみが測定される。ショットキー・ダイオード620、625の破壊電圧より大きい電圧(正または負)においては、同様に加算信号が測定される。回路のこの第1の変更態様は、特に、ショットキー・ダイオードと結合されていないガス検知センサ635がショットキー・ダイオード620、625と結合されているセンサ600、605よりも明らかに大きいオーム抵抗を有しているときに適している。この場合、ショットキー・ダイオードに結合されていないガス検知センサ635は、他のセンサ600、605の抵抗測定をほとんど妨害することはない。しかしながら、この変更態様は測定精度を低下させる。
【0030】
図4b−図4dからわかるように、センサ・アレーにおいてできるだけ多数の個別センサを提供するために、それぞれショットキー・ダイオードおよびガス検知抵抗センサからなる回路の上記変更態様からの組み合わせを有している。図4bに示されている回路においては、k個の信号ライン700−710およびn個の引出線715、720において、合計2・n・k 個の個別センサ725−780が形成される。信号ライン700−710は、分岐点785−795において、図1に示すそれぞれ2つの並列センサ対に分割される。図1に対応して、2つの個別センサ725、730等にそれぞれ2つのショットキー・ダイオード797、799が付属されている。
【0031】
図4cに示されている変更態様がk個の信号ライン800、805を含み、k個の信号ライン800、805は、2つの第1の分岐点810、815(即ち、ここでは、k=2)において、それぞれ2つの並列ライン経路に分割され、2つの並列ライン経路内にそれぞれショットキー・ダイオード820−835が配置されている。信号の流れ方向に関してショットキー・ダイオード820−835の後方に配置されている4つの第2の分岐点840−855において、4つの並列導体は、この場合2×4個の並列ラインに分割される。これらのライン内にそれぞれ1つの個別センサ870−884が配置されている。2×4個の並列ラインは、ここでは、6個の第3の結合点885−895において、再び2つの引出線860、865(ここでは、n=2)に集合される。信号ライン800、805および引出線860、865の数、即ちkおよびnの値は、ここに記載の回路条件が満たされているかぎりにおいてのみ好ましく、したがってセンサ・アレーの使用目的に応じてそれぞれ変更可能なことは明らかである。回路のこの変更態様は、ショットキー・ダイオードが節約可能であるという利点を有しているが、ショットキー・ダイオードがガス検知センサから分離して形成可能であるときにのみ実現可能であり、その理由は、この実施形態においては、ショットキー・ダイオード820−835およびセンサ870−884間に第2の分岐点840−855が配置されていなければならないからである。
【0032】
図4dに示されている変更態様は、n=4個の信号ライン900−915を有している。信号ライン900−915は第1の分岐点920−955内に到達する。これらの第1の分岐点920−955によりそれぞれ並列ライン経路が形成され、これらのライン経路内においてそれぞれショットキー・ダイオード/センサ対966−1006ないしは980−990が配置されている。両方の第1の分岐点925、950において、他の並列ライン経路960、975が形成されている。ライン経路960、975内における2つの分岐点ないしは結合点965、970において、2つの他の並列ライン経路が形成され、これらのライン経路内に、それぞれ付属のショットキー・ダイオード993、995を有するオプションとしての2つの他のセンサ992、994が配置されている。破線1008により可能な測定電流経路(ここでは両方の信号ライン900、905間)が表わされ、この測定電流経路は、それぞれの信号電圧の対応の極性により、存在する配置およびショットキー・ダイオード996−1006および993、995の極性に基づき、他の手段なしに(即ち、自動的に)形成される。さらに、破線1010は、この測定経路1008において可能な漏れ電流経路1010を示す。
【0033】
図4dに示されている変更態様は、n個の信号ラインにおいて、しかも図4aに示すオプションとして追加のガス検知センサを使用することなく、2・(n−1)個の個別センサの配置を可能にする。オプションとして追加のガス検知センサを考慮して、合計2・n個の個別センサのセンサ・アレーも可能となる。しかしながら、オプションとして追加のセンサを使用したとき、本来の測定電流のほかにさらに追加の漏れ電流が流れることがあり、この漏れ電流が測定精度を低下させるという上記の欠点が発生する。しかしながら、この漏れ電流は、測定電圧が測定電流経路に沿って存在するショットキー・ダイオードの破壊電圧より大きいが、漏れ電流経路に沿って存在するショットキー・ダイオードの破壊電圧の合計よりは小さくなっているとき、小さく保持することができる。
【0034】
本発明は、抵抗(層状)センサの代わりにガス検知ショットキー・ダイオードに基づくガス・センサにおいてもまた使用可能であることに注目すべきである。この場合、個々のセンサの構造は、図3aおよび図3bに示されている構造に対応する。しかしながら、この実施形態においては、上記保護層420、525の少なくとも一部、しかもダイオードの作用を示す接点215、225の上方に配置されている部分は省略されてもよい。しかしながら、オーム接触の上方の保護層は設けられたままであってもよい。ここで、抵抗ガス・センサを使用した上記の離散変更態様に相違して、本来の半導体層の抵抗は無視することができる。この実施例においては、測定信号として、ショットキー・ダイオード内の一定電流流れに対して必要な電圧が検知される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明による回路装置の原理図を示す。
【図2】図2aは、異なる金属を使用した第1の実施形態による、ショットキー・ダイオードにおいてオーム接触を有する本発明の回路装置を示し、図2bは、ドーピング濃度内に勾配を使用するか、ないしは異なる半導体の相互に重なる層を使用した第2の実施形態による、ショットキー・ダイオードにおいてオーム接触を有する本発明の回路装置を示す。
【図3】図3aは、異なる金属を使用することによりオーム接触が形成されている第1の実施形態による、ショットキー・ダイオードおよびガス検知抵抗センサから組み合わされた本発明の回路装置を示し、図3bは、異なる半導体ないしは異なるドーピング勾配を使用することによりオーム接触が形成されている第2の実施形態による、ショットキー・ダイオードおよびガス検知抵抗センサから組み合わされた本発明の回路装置を示す。
【図4a】図4a−図4dは、それぞれ複数のガス検知センサが1つの信号ラインのみと結合されている、本発明の回路装置の変更態様を示す。
【図4b】図4a−図4dは、それぞれ複数のガス検知センサが1つの信号ラインのみと結合されている、本発明の回路装置の変更態様を示す。
【図4c】図4a−図4dは、それぞれ複数のガス検知センサが1つの信号ラインのみと結合されている、本発明の回路装置の変更態様を示す。
【図4d】図4a−図4dは、それぞれ複数のガス検知センサが1つの信号ラインのみと結合されている、本発明の回路装置の変更態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの信号ラインを有する、センサ・アレー、特にガスを検出するためのガス・センサ・アレーの作動回路装置において、
少なくとも1つの信号ラインが少なくとも2つの並列ライン・ブランチに分岐されていること、および
少なくとも2つの並列ライン・ブランチ内にそれぞれ、少なくとも1つのセンサと、それぞれのセンサに直列に結合されている少なくとも1つのダイオードとが配置され、この場合、
少なくとも2つのダイオードは電気的に逆の遮断方向を有すること、および
少なくとも1つの信号ラインに印加された電位の極性により、少なくとも1つの信号ライン内を流れる電流の少なくとも大部分が、第1の並列ライン・ブランチ内を流れたか、または第2の並列ライン・ブランチ内を流れたかが決定されること、
を特徴とするガス・センサ・アレーの作動回路装置。
【請求項2】
少なくとも2つのダイオードがショットキー・ダイオードにより形成されていることを特徴とする請求項1の作動回路装置。
【請求項3】
ショットキー・ダイオードが直接セラミック基板上に配置されていることを特徴とする請求項2の作動回路装置。
【請求項4】
ショットキー・ダイオードが厚膜技術で製造されていることを特徴とする請求項3の作動回路装置。
【請求項5】
ガス・センサが半導電性金属酸化物から形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかの、半導体材料から形成されているガス・センサを有するセンサ・アレーの作動回路装置。
【請求項6】
少なくとも2つの金属−半導体接合の一方が電流を遮断する作用をなすように形成され、およびそれぞれ他方の金属−半導体接合がオーム接触として形成されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかの、少なくとも2つの金属−半導体接合をもつ、半導体材料から形成されているガス・センサを有するセンサ・アレーの作動回路装置。
【請求項7】
センサがダイオードの半導体内に統合されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの作動回路装置。
【請求項8】
ダイオードおよび/または金属−半導体接合を、センサ・アレーを包囲するガス雰囲気から分離する保護層が配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの作動回路装置。
【請求項9】
半導体が、耐熱性炭化ケイ素から、または半導電性金属酸化物、好ましくは同量または異なる量でドーピングされたTiO、SnO、WO、Crから形成されていること、および
メタル信号ラインが、貴金属、好ましくは金、白金、パラジウム、ロジウムまたはこれらの合金から、または導電性金属酸化物、好ましくはマンガン酸ランタンおよび/または亜クロム酸ランタンおよび/またはコバルト酸ランタンから形成されていること、
を特徴とする請求項5ないし8のいずれかの作動回路装置。
【請求項10】
半導体が信号ラインの範囲内でドーピングされ、しかも好ましくはドーピング濃度内に勾配を有してまたはドーピング度の離散変化を有してドーピングされていることを特徴とする請求項5ないし9のいずれかの作動回路装置。
【請求項11】
半導体材料がショットキー・ダイオード用材料としても使用されることを特徴とする請求項9または10の作動回路装置。
【請求項12】
少なくとも1つのガス・センサの電気抵抗が、一定基本電圧に加重印加されている交流電圧により測定され、この場合、少なくとも1つのガス・センサの電気抵抗が、それぞれのセンサ内を流れる電流の交流部分の測定により選択的に検知され、ガス・センサがそれに応答される基本電圧の極性により制御されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかの、抵抗ガス・センサから形成されているセンサ・アレーの作動回路装置。
【請求項13】
少なくとも1つのガス・センサの電気抵抗が直流により測定され、この場合、それぞれダイオードの破壊電圧より大きい少なくとも2つの異なる電圧値が使用されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかの、抵抗ガス・センサから形成されているセンサ・アレーの作動回路装置。
【請求項14】
少なくとも1つの信号ラインが少なくとも3つの並列ライン・ブランチに分岐され、この場合、少なくとも3つの並列ライン・ブランチの少なくとも2つ内にそれぞれ、少なくとも1つの抵抗センサと、それぞれの抵抗センサに接続されている少なくとも1つのダイオードとが配置されていること、および
少なくとも3つのライン・ブランチ内に、ダイオードが直列に接続されていない追加抵抗センサが配置され、この場合、印加された比較的小さい測定電圧において追加センサの抵抗のみが測定され、少なくとも2つのダイオードの破壊電圧より大きい電圧において、加算信号が測定されること、
を特徴とする、請求項1ないし13のいずれかの、抵抗センサから形成されているセンサ・アレーの作動回路装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2008−545953(P2008−545953A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511669(P2008−511669)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061969
【国際公開番号】WO2006/122875
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】